JP2013181654A - 自動変速機の伝達トルク制御装置 - Google Patents

自動変速機の伝達トルク制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】自動変速機に有するアクチュエータのトルク容量を必要最小限に設定することで、余計な損失の発生や耐久性の低下を防止すること。
【解決手段】モータジェネレータMGから駆動車輪14への駆動トルク伝達系に常時噛み合い式多段変速機3を配置し、常時噛み合い式多段変速機3に有する摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5へのトルク容量指令により変速制御する変速コントローラ21を備える。この自動変速機の伝達トルク制御装置において、変速コントローラ21は、「モータ伝達トルク上昇勾配ΔTin」と「クラッチ伝達トルク上昇勾配ΔTactr」の比と「現在のモータ伝達トルクTin」に基づいて摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5の目標クラッチ押し力tFcを設定する(図3)。
【選択図】図3

Description

本発明は、駆動源から駆動車輪への駆動トルク伝達系に配置された自動変速機の伝達トルク制御装置に関する。
従来、応答性向上とショック低減の両立を図ることを目的とし、目標エンジントルクに対し変化量制限を設けて制御を行うとともに、この変化量制限を応答性確保に主眼を置いた制御領域と、締結ショック低減に主眼を置いた制御領域の二つに分け、目標エンジントルク及び目標発進クラッチトルクを制御する自動変速機のトルク制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−309449号公報
しかしながら、従来の自動変速機のトルク制御装置にあっては、エンジントルクの応答性とクラッチトルクの応答性を考慮せずにクラッチトルク容量を設定するという構成になっている。このため、確実にトルクを伝達できるようにするためには、必要以上に高い余裕マージンを設定せざるを得ず、その分、オイルポンプの損失が増大し燃費が悪化する、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、自動変速機に有するアクチュエータのトルク容量を必要最小限に設定することで、余計な損失の発生や耐久性の低下を防止することができる自動変速機の伝達トルク制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の自動変速機の伝達トルク制御装置は、駆動源から駆動車輪への駆動トルク伝達系に自動変速機を配置し、前記自動変速機に有するアクチュエータへのトルク容量指令により変速制御する変速制御手段を備えることを前提とする。
この自動変速機の伝達トルク制御装置において、
前記変速制御手段は、「駆動源のトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
よって、変速制御手段において、「駆動源のトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」に基づいて、自動変速機に有するアクチュエータのトルク容量が設定される。
すなわち、「駆動源のトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」により、同じ駆動系に有する駆動源とアクチュエータの二つの応答性を整合させるために必要とする余裕マージンを決めることができる。したがって、二つの応答性の整合に必要な余裕マージンにより、自動変速機に有するアクチュエータのトルク容量が必要最小限に設定される。このため、必要以上に高い余裕マージンを設定する場合に比べ、アクチュエータでの余計な損失の発生やアクチュエータの耐久性の低下が防止される。
この結果、自動変速機に有するアクチュエータのトルク容量を必要最小限に設定することで、余計な損失の発生や耐久性の低下を防止することができる。
実施例1の自動変速機の伝達トルク制御装置が適用された電気自動車において駆動系構成と変速制御系構成を示す全体概略図である。 実施例1の変速制御系構成における自動変速機のアップ変速線とダウン変速線の一例を示す変速マップ図である。 実施例1の変速コントローラにて実行される摩擦クラッチへの目標クラッチ押し力の算出処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の摩擦クラッチへの目標クラッチ押し力の算出処理において加速要求係数の算出特性を示す加速要求係数特性図である。 実施例1の摩擦クラッチへの目標クラッチ押し力の算出処理において余裕クラッチ押し力(余裕マージン)の考え方を示すタイムチャートである。 実施例2の自動変速機の伝達トルク制御装置が適用された電気自動車において駆動系構成と変速制御系構成を示す全体概略図である。 実施例2のCVTコントローラにて実行されるプーリ圧の元圧である目標変速油圧の算出処理の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明の自動変速機の伝達トルク制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1の電気自動車に適用された自動変速機の伝達トルク制御装置の構成を、「駆動系構成」、「変速制御系構成」、「摩擦クラッチへの目標クラッチ押し力算出構成」に分けて説明する。
[駆動系構成]
図1は、実施例1の自動変速機の伝達トルク制御装置が適用された電気自動車において駆動系構成を示す。以下、図1に基づき、駆動系構成を説明する。
実施例1の駆動系構成として、図1に示すように、モータジェネレータMG(駆動源)と、常時噛み合い式多段変速機3(自動変速機)と、係合クラッチ用電動アクチュエータ4と、摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5(アクチュエータ)と、変速機出力軸6と、変速機入力軸7と、ロー側変速機構8と、ハイ側変速機構9と、を備えている。
前記モータジェネレータMGは、電動モータと回生ジェネレータとして用い、そのモータ軸を常時噛み合い式多段変速機3の変速機入力軸7に結合している。ここで、常時噛み合い式多段変速機3は、変速機入力軸7に対して変速機出力軸6を平行に配置している。
前記常時噛み合い式多段変速機3は、変速比の異なる2つのギア対のいずれかで動力を伝達する自動変速機で、減速比の小さなハイギア段(高速段)と減速比の大きなローギア段(低速段)とを有する2段変速としている。この常時噛み合い式多段変速機3は、モータジェネレータMGから変速機入力軸7及び変速機出力軸6を順次経てモータ動力を出力する際の変速に用いられ、低速段を実現するロー側変速機構8及び高速段を実現するハイ側変速機構9により構成される。
前記ロー側変速機構8は、上記モータ動力の出力に際し、ロー側伝動経路を選択するためのもので、変速機出力軸6上に配置して設ける。このロー側変速機構8は、低速段ギア対(ギア8a,ギア8b)が、変速機出力軸6及び変速機入力軸7間を駆動結合するように、変速機出力軸6に対するギア8aの回転係合/回転係合解除を行うもので、以下のようなシンクロ式の噛み合い係合による係合クラッチ8cにより構成する。ここで、低速段ギア対は、変速機出力軸6上に回転自在に支持したギア8aと、該ギア8aと噛み合い、変速機入力軸7と共に回転するギア8bと、から構成される。
前記係合クラッチ8cは、ギア8aに設けたクラッチギア8dと、変速機出力軸6に結合したクラッチハブ8eと、カップリングスリーブ8fと、を備え、クラッチギア8d及びクラッチハブ8eの外周にそれぞれに、同仕様のクラッチ歯を形成する。
カップリングスリーブ8fが、クラッチギア8d及びクラッチハブ8eの外周クラッチ歯の双方に噛合した図1に示す噛み合い位置にあるとき、係合クラッチ8cは、ギア8aを変速機出力軸6に結合する。一方、カップリングスリーブ8fが、図1に示す位置から軸線方向へシフトすることにより、クラッチギア8d及びクラッチハブ8eの外周クラッチ歯の一方と非噛み合い位置にあるとき、係合クラッチ8cは、ギア8aを変速機出力軸6から切り離す。ここで、カップリングスリーブ8fの軸線方向シフトは、係合クラッチ用電動アクチュエータ4によりこれを行う。
前記ハイ側変速機構9は、上記モータ動力の出力に際し、ハイ側伝動経路を選択するためのもので、変速機入力軸7上に配置して設ける。このハイ側変速機構9は、高速段ギア対(ギア9a,ギア9b)が、変速機出力軸6及び変速機入力軸7間を駆動結合するように、変速機入力軸7に対するギア9aの摩擦結合/摩擦結合解除を行うもので、以下のような摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5を用いて摩擦締結される摩擦クラッチ9cにより構成する。ここで、高速段ギア対は、変速機入力軸7上に回転自在に支持したギア9aと、ギア9aに噛み合い、変速機出力軸6と共に回転するギア9bと、から構成される。
前記摩擦クラッチ9cは、ギア9aと共に回転するドリブン側クラッチディスク9dと、変速機入力軸7と共に回転するドライブ側クラッチディスク9eと、クラッチ作動レバー9fと、摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5(例えば、特開平10−119603号公報等を参照)と、を備え、以下のように機能する。
摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5によりクラッチ作動レバー9fが、クラッチディスク9d,9eを相互に摩擦接触させる締結作動のときには、摩擦クラッチ9cは、ギア9aを変速機入力軸7に駆動結合させる。一方、摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5によりクラッチ作動レバー9fが、クラッチディスク9d,9eの摩擦接触を解除する解放作動のときには、摩擦クラッチ9cにより、ギア9aと変速機入力軸7の駆動結合が切り離される。
前記変速機出力軸6は、ギア11を固定し、このギア11と、これに噛合するギア12とからなるファイナルドライブギア組を介して、ディファレンシャルギア装置13を変速機出力軸6に駆動結合する。これにより、変速機出力軸6に達したモータジェネレータMGのモータ動力がファイナルドライブギア組11,12及びディファレンシャルギア装置13を経て左右駆動車輪14(なお、図1では一方の駆動車輪のみを示した)に伝達されるようにする。
[変速制御系構成]
図1は、実施例1の自動変速機の伝達トルク制御装置が適用された電気自動車において自動変速機の変速制御系構成を示し、図2は、自動変速機の変速マップを示す。以下、図1及び図2に基づき、変速制御系構成を説明する。
実施例1の変速制御系構成として、図1に示すように、変速コントローラ21(変速制御手段)、車速センサ22、アクセル開度センサ23、ブレーキストロークセンサ24、前後Gセンサ25、モータ回転数センサ26、スリーブストロークセンサ27、等を備えている。そして、変速制御に関連するモータジェネレータMGの制御系として、モータコントローラ28と、インバータ29と、バッテリ30と、を備えている。
前記変速コントローラ21は、常時噛み合い式多段変速機3の変速に際し、係合クラッチ8c(カップリングスリーブ8f)の噛み合い/非噛み合いのシフト切り替え制御と、摩擦クラッチ9c(クラッチ作動レバー9f)の解放/締結の作動制御と、を遂行する。この変速コントローラ21は、車速センサ22からの車速VSPと、アクセル開度センサ23からのアクセル開度APOと、ブレーキストロークセンサ24からのブレーキストローク量BSTと、を入力する。そして、これら入力情報と、図2に例示する変速マップに基づいて、以下に述べるように、常時噛み合い式多段変速機3の変速制御を行う。
図2の変速マップにおいて、太い実線は、車速VSPごとのモータジェネレータMGの最大モータ駆動トルク値を結んで得られる最大モータ駆動トルク線と、車速VSPごとのモータジェネレータMGの最大モータ回生トルク値を結んで得られる最大モータ回生トルク線を示し、これらにより囲まれた領域が実用可能領域である。
この実用可能領域内に、常時噛み合い式多段変速機3の変速機損失及びモータジェネレータMGのモータ損失を考慮して、一点鎖線で示すアップ変速線(Low→High)及び破線で示すダウン変速線(High→Low)を設定する。なお、アップ変速線(Low→High)は、ダウン変速線(High→Low)よりも、ヒステリシス分だけ高車速側に設定する。
そして、変速コントローラ21において、アクセルペダルが踏み込まれているときは、アクセル開度APOから求めた要求モータ駆動トルクと、車速VSPと、により運転点を決定し、ブレーキペダルが踏み込まれているときは、ブレーキストローク量BSTから求めた要求モータ回生トルクと、車速VSPと、により運転点を決定する。
運転点を決定すると、図2の変速マップ上で、運転点がロー側変速段領域に存在するか、又は、運転点がハイ側変速段領域に存在するかによって、現在の運転状態に好適な目標変速段(低速段又は高速段)が求められる。
次に、求めた目標変速段が低速段であれば、係合クラッチ8cを係合状態とし、摩擦クラッチ9cを解放状態とする低速段の選択状態にする。また、求めた目標変速段が高速段であれば、摩擦クラッチ9cを締結状態とし、係合クラッチ8cを非係合状態とする高速段の選択状態にする。この高速段の選択状態での摩擦クラッチ9cの締結状態において、摩擦クラッチ9cを経由して伝達されるトルク容量の制御を行う。
さらに、低速段の選択状態(実変速段=低速段)である場合、実用可能領域内の運転点がアップ変速線(Low→High)を超えてハイ側変速段領域に入ると、目標変速段を高速段に切り替えて、常時噛み合い式多段変速機3を低速段から高速段へアップ変速させる。
一方、高速段の選択状態(実変速段=高速段)である場合、実用可能領域内の運転点がダウン変速線(High→Low)を超えてロー側変速段領域に入ると、目標変速段を低速段に切り替えて、常時噛み合い式多段変速機3を高速段から低速段へダウン変速させる。
前記モータコントローラ28は、トルク制御による走行時、アクセル開度APO等に基づいて目標モータトルクtTmを算出し、目標モータトルクtTmを得るようにインバータ29に制御指令を出力する。インバータ29は、バッテリ30からの直流を、制御指令に応じた三相交流に変換してモータジェネレータMGに印加する。なお、目標モータトルクtTmの情報は、CAN通信線31を介して変速コントローラ21に送信される。
[摩擦クラッチへの目標クラッチ押し力算出構成]
図3は、実施例1の変速コントローラ21にて実行される摩擦クラッチ9cへの目標クラッチ押し力の算出処理流れを示す(変速制御手段)。以下、摩擦クラッチ9cへの目標クラッチ押し力の算出処理構成をあらわす図3の各ステップについて説明する。
なお、この処理は、摩擦クラッチ9cによるクラッチ押し力で駆動車輪14への伝達トルクが制御される高速段選択時、所定の制御周期にて繰り返し実行される。
ステップS1では、モータコントローラ28から取得した目標モータトルクtTmに基づき、摩擦クラッチ9cがスリップすることなく目標モータトルクtTmを伝達するために最低限必要な最低必要クラッチ押し力limit_Fcを算出し、ステップS2へ進む。
ステップS2では、ステップS1での最低必要クラッチ押し力limit_Fcの算出に続き、運転者(ドライバー)の加速要求の推定値wantGから加速要求係数k_wantGを算出し、ステップS3へ進む。
ここで、加速要求の推定値wantGは、前方車両との間隔やカーナビゲーション情報、等から算出する。そして、図4に示す特性に基づき、加速要求の推定値wantGから加速要求係数k_wantGを算出する。すなわち、図4に示すように、加速要求の推定値wantGがwantGOよりも小さい領域では、wantGの大きさに比例した可変値(0〜1.0)でk_wantGを与え、加速要求の推定値wantGがwantGO以上の領域では、k_wantG=1.0の固定値で与える。
ステップS3では、ステップS2での加速要求係数k_wantGの算出に続き、モータジェネレータMGのトルクの応答性(モータ伝達トルク上昇勾配ΔTin)と摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5の伝達トルクの応答性(クラッチ伝達トルク上昇勾配ΔTactr)の比(ΔTactr/ΔTin)と、加速要求係数k_wantGと、を用いた下記の式(1)により余裕クラッチ押し力margin_Fcを算出し、ステップS4へ進む。
ここで、margin_Fcの算出式は、
margin_Fc=(Tmax−Tin)×(1−ΔTactr/ΔTin)×k_wantG …(1)
とする。但し、Tmaxは現在のモータ回転数から算出されるモータ最大トルク、Tinは現在のモータ伝達トルク(入力トルク)である。
ステップS4では、ステップS3での余裕クラッチ押し力margin_Fcの算出に続き、最低必要クラッチ押し力limit_Fcと、余裕クラッチ押し力margin_Fcと、を用いた下記の式(2)により目標クラッチ押し力tFcを算出し、エンドへ進む。
tFc=limit_Fc×k_static+margin_Fc …(2)
但し、k_staticは、モータジェネレータMGのトルク応答性と摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5の伝達トルク応答性を考慮しない場合の安全率(例えば、1.5)である。
次に、作用を説明する。
実施例1の自動変速機の伝達トルク制御装置における作用を、「余裕クラッチ押し力算出の考え方」、「目標クラッチ押し力算出作用」に分けて説明する。
[余裕クラッチ押し力算出の考え方]
必要最小限の目標クラッチ押し力tFcの算出を目指すにあたって、余裕マージンとなる余裕クラッチ押し力margin_Fcをどのように算出するかが重要となる。以下、図5に基づき、これを反映する余裕クラッチ押し力算出の考え方を説明する。
余裕クラッチ押し力margin_Fcの算出式は、
margin_Fc=(Tmax−Tin)×(1−ΔTactr/ΔTin)×k_wantG …(1)
の式により与えている。
この式(1)の意味を、模式図であらわしたものが図5である。
まず、モータジェネレータMGのトルク応答性は、例えば、エンジンのトルク応答性に比べて良く、図5の最大加速時の傾きαによりあらわされる。一方、摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5による伝達トルク応答性は、例えば、油圧アクチュエータの伝達トルク応答性に比べて悪く、図5のクラッチ伝達トルク最大傾きβによりあらわされる。
すなわち、摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5による伝達トルク応答性は、モータジェネレータMGのトルク応答性より悪いことで、両者の応答性違いを考慮して摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5により摩擦クラッチ9cを過押し付けにする必要がある。
例えば、現時点の時刻t1において、トルク応答性の高いモータジェネレータMGにより最大加速時の傾きαにて加速したと推定すると、時刻t2にて現時点のモータ回転数によるモータ最大トルクTmaxに達する。
したがって、モータジェネレータMGによる最大加速時、摩擦クラッチ9cがスリップすることなくトルク伝達を確保するには、時刻t1から時刻t2までの間に、摩擦クラッチ9cの伝達トルクがモータ最大トルクTmaxに達するようにする必要がある。
しかし、トルク伝達応答性が低い摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5は、クラッチ伝達トルク最大傾きがβ(<α)であるため、現在のモータ伝達トルクTinの状態からクラッチ伝達トルクを高めても、モータ最大トルクTmaxに達しない。つまり、現時点の時刻t1において、モータ伝達トルクTinを嵩上げしておかないと、クラッチ伝達トルク最大傾きβにより時刻t2にてモータ最大トルクTmaxに達することができない。
すなわち、現時点の時刻t1にけるモータ伝達トルクTinの嵩上げ分が、必要とする余裕マージンということができる。
ここで、図5の最大加速時の傾きαは、式(1)のモータ伝達トルク上昇勾配ΔTinに相当し、図5のクラッチ伝達トルク最大傾きβは、式(1)のクラッチ伝達トルク上昇勾配ΔTactrに相当する。そして、式(1)の(Tmax−Tin)は、時刻t1と時刻t2のトルク差であり、式(1)の(1−ΔTactr/ΔTin)は、トルク差(Tmax−Tin)に対する必要マージンの比率に相当する。
このように、図5は、上記式(1)において、加速要求係数k_wantGが、k_wantG=1.0のときをあらわしていることになり、加速要求が高いと推定されるときは、最大加速時に対応できるだけの余裕クラッチ押し力margin_Fcが算出される。
また、加速要求が低く、加速要求係数k_wantGが、k_wantG<1.0のときには、加速要求のレベルに応じて、余分なマージンを抑えた必要最小限の余裕クラッチ押し力margin_Fcが算出される。
したがって、「モータ伝達トルク上昇勾配ΔTin(駆動源のトルクの応答性)」と「クラッチ伝達トルク上昇勾配ΔTactr(アクチュエータの伝達トルクの応答性)」と「モータ最大トルクTmax」と「現在のモータ伝達トルクTin(入力トルク)」を用いる。これにより、同じ駆動系に有するモータジェネレータMGと摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5の二つの応答性を整合させるために必要とする余裕マージンである余裕クラッチ押し力margin_Fcを精度良く算出することができる。
例えば、図5のクラッチ伝達トルク最大傾きβを、β’(>β)に変更すると、クラッチ伝達トルク最大傾きがβのときの必要なマージンがMであるのに対し、クラッチ伝達トルク最大傾きがβ’のときの必要なマージンがm(<M)というように低下する。
さらに、「加速要求係数k_wantG(推定されるドライバーの加速要求)」を加えることで、ドライバーの加速要求に応じて無駄なマージンを除いた最小限の余裕クラッチ押し力margin_Fcを算出することができる。
[目標クラッチ押し力算出作用]
摩擦クラッチ9cへ押し力Fcが過大であると電費の悪化及び耐久性の低下を招く。例えば、実施例1で押し力Fcが過大である場合、摩擦クラッチ9c内のレリーズベアリングへの押し力が、必要以上に高い状態を維持するためベアリングのフリクションが増大する。よって、摩擦クラッチ9cへの押し力Fcは必要最小限であることが好ましい。
これに対し、実施例1では、変速コントローラ21が、摩擦クラッチ9cの目標クラッチ押し力tFcを求めるにあたって、モータコントローラ28との間での通信により、目標モータトルクtTmを送受信しながら行うようにしている。
すなわち、図3のフローチャートにおいて、ステップS1では、モータコントローラ28から取得した目標モータトルクtTmに基づき、摩擦クラッチ9cがスリップすることなく目標モータトルクtTmを伝達するために最低限必要な最低必要クラッチ押し力limit_Fcが算出される。次のステップS2では、ドライバーの加速要求の推定値wantGから加速要求係数k_wantGが算出される。次の、ステップS3では、モータジェネレータMGのトルクの応答性(モータ伝達トルク上昇勾配ΔTin)と摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5の伝達トルクの応答性(クラッチ伝達トルク上昇勾配ΔTactr)の比(ΔTactr/ΔTin)と、加速要求係数k_wantGと、を用いて余裕クラッチ押し力margin_Fcが算出される。次のステップS4では、最低必要クラッチ押し力limit_Fcと、余裕クラッチ押し力margin_Fcと、を用いた下記の式(2)により目標クラッチ押し力tFcが算出される。
tFc=limit_Fc×k_static+margin_Fc …(2)
したがって、式(2)に示されるように、安全率k_staticを除くと、最低限必要な最低必要クラッチ押し力limit_Fcに、応答性の整合に必要な余裕マージンである余裕クラッチ押し力margin_Fcを加算することにより、常時噛み合い式多段変速機3に有する摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5の目標クラッチ押し力tFc(=トルク容量)が必要最小限に設定されることになる。このため、必要以上に高い余裕マージンを設定する場合に比べ、摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5での余計な損失の発生や摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5の耐久性の低下が防止される。
この結果、常時噛み合い式多段変速機3の動力伝達経路に有する摩擦クラッチ9cでのスリップによる駆動損失を抑えながら、摩擦クラッチ9cを過大な押し力により締結することによる電力消費の増大を抑えることで、電費の向上を促すことになる。
次に、効果を説明する。
実施例1の自動変速機の伝達トルク制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 駆動源(モータジェネレータMG)から駆動車輪14への駆動トルク伝達系に自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)を配置し、前記自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するアクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)へのトルク容量指令により変速制御する変速制御手段(変速コントローラ21)を備えた自動変速機の伝達トルク制御装置において、
前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源のトルクの応答性(モータ伝達トルク上昇勾配ΔTin)」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性(クラッチ伝達トルク上昇勾配ΔTactr)」の比と「入力トルク(現在のモータ伝達トルクTin)」に基づいて前記アクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を設定する(図3)。
このため、自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するアクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を必要最小限に設定することで、余計な損失の発生や耐久性の低下を防止することができる。
(2) 前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源のトルクの応答性(モータ伝達トルク上昇勾配ΔTin)」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性(クラッチ伝達トルク上昇勾配ΔTactr)」の比と「入力トルク(現在のモータ伝達トルクTin)」に基づいてトルク容量の余裕マージン(余裕クラッチ押し力margin_Fc)を決め、前記アクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)の最低必要トルク容量(最低必要クラッチ押し力limit_Fc)に、前記余裕マージン(余裕クラッチ押し力margin_Fc)を加えることで、前記アクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)の目標トルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を設定する(図3)。
このため、(1)の効果に加え、最低必要トルク容量(最低必要クラッチ押し力limit_Fc)に余裕マージン(余裕クラッチ押し力margin_Fc)を加えることで、自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するアクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を必要最小限に設定することができる。
(3) 前記変速制御手段は、「駆動源のトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク(モータ最大トルクTmax)」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するアクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を、最大加速時に対応しながら、必要最小限に設定することができる。
(4) 前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源のトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求(加速要求係数k_wantG)」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するアクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を、ドライバーの加速要求に対応しながら、必要最小限に設定することができる。
(5) 前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源とするモータ(モータジェネレータMG)のトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、駆動源にモータ(モータジェネレータMG)を搭載した駆動系の自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するアクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を、最大加速時に対応しながら、必要最小限に設定することができる。
(6) 前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源とするモータのトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、駆動源にモータ(モータジェネレータMG)を搭載した駆動系の自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するアクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を、最大加速時及びドライバーの加速要求に対応しながら、必要最小限に設定することができる。
(7) 前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源のトルクの応答性」と「クラッチ伝達トルク(摩擦クラッチ9cの伝達トルク)の応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するクラッチ(摩擦クラッチ9c)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を、最大加速時に対応しながら、必要最小限に設定することができる。
(8) 前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源のトルクの応答性」と「クラッチ用電動アクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)の応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するクラッチ用電動アクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を、最大加速時に対応しながら、必要最小限に設定することができる。
(9) 前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源のトルクの応答性」と「クラッチ伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するクラッチ(摩擦クラッチ9c)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を、最大加速時及びドライバーの加速要求に対応しながら、必要最小限に設定することができる。
(10) 前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源のトルクの応答性」と「クラッチ用電動アクチュエータの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するクラッチ用電動アクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を、最大加速時及びドライバーの加速要求に対応しながら、必要最小限に設定することができる。
(11) 前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源とするモータのトルクの応答性」と「クラッチ伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、駆動源にモータ(モータジェネレータMG)を搭載した駆動系の自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するクラッチ(摩擦クラッチ9c)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を、最大加速時及びドライバーの加速要求に対応しながら、必要最小限に設定することができる。
(12) 前記変速制御手段(変速コントローラ21)は、「駆動源とするモータのトルクの応答性」と「クラッチ用電動アクチュエータの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、駆動源にモータ(モータジェネレータMG)を搭載した駆動系の自動変速機(常時噛み合い式多段変速機3)に有するクラッチ用電動アクチュエータ(摩擦クラッチ用電動アクチュエータ5)のトルク容量(目標クラッチ押し力tFc)を、最大加速時及びドライバーの加速要求に対応しながら、必要最小限に設定することができる。
実施例2は、実施例1の常時噛み合い式多段変速機3に代え、電気自動車の駆動系(パワートレーン)にベルト式無段変速機を備えた例である。
まず、構成を説明する。
実施例2の電気自動車に適用された自動変速機の伝達トルク制御装置の構成を、「駆動系及び変速制御系構成」、「目標変速油圧の算出構成」に分けて説明する。
[駆動系及び変速制御系構成]
図6は、実施例2の自動変速機の伝達トルク制御装置が適用された電気自動車において駆動系構成と変速制御系構成を示す全体概略図である。以下、図6に基づいて、駆動系及び変速制御系構成を説明する。
実施例2の駆動系及び変速制御構成として、図6に示すように、モータジェネレータMG(駆動源)と、ベルト式無段変速機203(自動変速機)と、オイルポンプ204と、変速制御油圧アクチュエータ205(アクチュエータ)と、CVTコントローラ221(変速制御手段)と、モータコントローラ228と、を備えている。
前記モータジェネレータMGは、電動モータと回生ジェネレータとして用い、そのモータ軸をベルト式無段変速機203の変速機入力軸207に結合している。ここで、ベルト式無段変速機203は、変速機入力軸207に対して変速機出力軸206を平行に配置している。
前記ベルト式無段変速機203は、入力側のプライマリプーリ208と出力側のセカンダリプーリ209に掛け渡されるVベルト210のプーリ接触径を変化させることで無段階に変速比を制御する自動変速機である。プライマリプーリ208は、変速機入力軸207を介してモータジェネレータMGに駆動連結されている。セカンダリプーリ209は、ディファレンシャルギア装置213を含むファイナルドライブギア組を介して左右の駆動車輪214(図6では一方のみを示す)に駆動力を伝達する。
前記ベルト式無段変速機203の変速動作は、プライマリプーリ208及びセカンダリプーリ209のそれぞれのV溝を形成する一対のシーブのうち、一方の可動シーブを他方の固定シーブに対して相対的に接近させてV溝幅を狭めたり、逆に、離間させてV溝幅を拡げたりする。これにより、両プーリ208,209に対するVベルト210の巻き付け円弧径を変更させて行うようにしている。両プーリ208,209の可動シーブのストローク位置を、変速制御油圧アクチュエータ205からのプライマリプーリ圧Ppri及びセカンダリプーリ圧Psecにより決定する。
前記変速制御油圧アクチュエータ205は、オイルポンプ204からの吐出作動油を媒体として、CVTコントローラ221からの目標変速油圧tPv(詳しくは後述する)に一致した変速油圧を作り出し、これをそのままセカンダリプーリ圧Psecとしてセカンダリプーリ209に供給する。変速制御油圧アクチュエータ206は、さらに、図示しない変速制御弁を変速コントローラ221からの変速比指令に応動させることにより、目標変速油圧tPvにされた変速油圧を元圧(ライン圧)として、当該変速比指令に対応したプライマリプーリ圧Ppriを作り出し、これをプライマリプーリ208に供給する。
ここで、変速比を一定して走行中は、プライマリプーリ208がVベルト210を挟圧する力(クランプ力)は、プライマリプーリ圧Ppriに比例し、セカンダリプーリ209がVベルト210を挟圧する力(クランプ力)は、セカンダリプーリ圧Psecに比例する。したがって、両プーリ208,209のクランプ力の調整は、元圧である目標変速油圧tPvを制御することにより行う。
前記CVTコントローラ221は、目標変速油圧tPvを算出し、目標変速油圧tPvに関する信号は、変速制御油圧アクチュエータ205及びオイルポンプ204に出力される。オイルポンプ204への信号出力は、オイルポンプ204から両プーリ208,209に供給される油圧が、目標変速油圧tPvに対応した必要最小限のものとなるような流量制御を行ってポンプ負荷を低減するために使われる。なお、変速コントローラ221は、車速センサ222やアクセル開度センサ223、等からのセンサ信号を入力する。
前記モータコントローラ228は、トルク制御による走行時、アクセル開度APO等に基づいて目標モータトルクtTmを算出し、目標モータトルクtTmを得るようにインバータ229に制御指令を出力する。インバータ229は、バッテリ230からの直流を、制御指令に応じた三相交流に変換してモータジェネレータMGに印加する。なお、目標モータトルクtTmの情報は、CAN通信線231を介してCVTコントローラ221に送信される。
[目標変速油圧の算出構成]
図7は、実施例2のCVTコントローラ221にて実行されるプーリ圧の元圧である目標変速油圧tPvの算出処理の流れを示す(変速制御手段)。以下、変速制御油圧アクチュエータ205へ出力する目標変速油圧tPvの算出処理構成をあらわす図7の各ステップについて説明する。なお、この処理は、イグニッションスイッチがオンからオフまでの間、所定の制御周期にて繰り返し実行される。
ステップS21では、モータコントローラ228から取得した目標モータトルクtTmに基づき、両プーリ208,209とVベルト210との間でスリップすることなく目標モータトルクtTmを伝達するために最低限必要な最低必要油圧limit_Pvを算出し、ステップS22へ進む。
ステップS22では、ステップS21での最低必要油圧limit_Pvの算出に続き、運転者(ドライバー)の加速要求の推定値wantGから加速要求係数k_wantGを算出し、ステップS23へ進む。
ここで、加速要求の推定値wantGは、前方車両との間隔やカーナビゲーション情報、等から算出する。そして、図4に示す特性に基づき、加速要求の推定値wantGから加速要求係数k_wantGを算出する。
ステップS23では、ステップS22での加速要求係数k_wantGの算出に続き、モータジェネレータMGのトルクの応答性(モータ伝達トルク上昇勾配ΔTin)と両プーリ208,209とVベルト210による伝達トルクの応答性(プーリ伝達トルク上昇勾配ΔTactr)の比(ΔTactr/ΔTin)と、加速要求係数k_wantGと、を用いた下記の式(1')により余裕油圧margin_Pvを算出し、ステップS24へ進む。
ここで、margin_Pvの算出式は、
margin_Pv=(Tmax−Tin)×(1−ΔTactr/ΔTin)×k_wantG …(1')
とする。但し、Tmaxは現在のモータ回転数から算出されるモータ最大トルク、Tinは現在のモータ伝達トルク(入力トルク)である。
ステップS24では、ステップS23での余裕油圧margin_Pvの算出に続き、最低必要油圧limit_Pvと、余裕油圧margin_Pvと、を用いた下記の式(2')により目標変速油圧tPvを算出し、エンドへ進む。
tPv=limit_Pv×k_static+margin_Pv …(2')
但し、k_staticは、モータジェネレータMGのトルク応答性と両プーリ208,209の伝達トルク応答性を考慮しない場合の安全率(例えば、1.5)である。
次に、目標変速油圧算出作用を説明する。
両プーリ圧Ppri,Psecを余裕マージン分だけ常に高い状態を維持すると、Vベルトの伝達トルクに急激な変動がないときには、両プーリ圧Ppri,Psecが却って過大となり、Vベルト及び両プーリ間の接触面が発熱し、フリクションロスによる効率低下や耐久性の低下を招くことになる。さらに、両プーリ圧Ppri,Psecが余裕マージン分だけ常に高い状態を維持するため、オイルポンプの負荷が大きくなって、電費が悪化する。
これに対し、実施例2では、CVTコントローラ221が、目標変速油圧tPvを求めるにあたって、モータコントローラ228との間での通信により、目標モータトルクtTmを送受信しながら行うようにしている。
すなわち、図7のフローチャートにおいて、ステップS21では、モータコントローラ28から取得した目標モータトルクtTmに基づき、両プーリ208,209とVベルト210との間でスリップすることなく目標モータトルクtTmを伝達するために最低限必要な最低必要油圧limit_Pvが算出される。次のステップS22では、ドライバーの加速要求の推定値wantGから加速要求係数k_wantGが算出される。次の、ステップS23では、モータジェネレータMGのトルクの応答性(モータ伝達トルク上昇勾配ΔTin)と両プーリ208,209とVベルト210による伝達トルクの応答性(プーリ伝達トルク上昇勾配ΔTactr)の比(ΔTactr/ΔTin)と、加速要求係数k_wantGと、を用いて余裕油圧margin_Pvが算出される。次のステップS24では、最低必要油圧limit_Pvと、余裕油圧margin_Pvと、を用いた下記の式(2')により目標変速油圧tPvが算出される。
tPv=limit_Fc×k_static+margin_Fc …(2')
したがって、式(2')に示されるように、安全率k_staticを除くと、最低限必要な最低必要油圧limit_Pvに、応答性の整合に必要な余裕マージンである余裕油圧margin_Pvを加算することにより、ベルト式無段変速機203に有する両プーリ208,209への目標制御油圧tPv(=トルク容量)が必要最小限に設定されることになる。このため、必要以上に高い余裕マージンを設定する場合に比べ、変速制御油圧アクチュエータ205での余計な損失の発生や変速制御油圧アクチュエータ205の耐久性の低下が防止される。
この結果、ベルト式無段変速機203の動力伝達経路に有する両プーリ208,209とVベルト210との間でのスリップによる駆動損失を抑えながら、両プーリ208,209からの過大なクランプ力にてVベルト210を押すことでのフリクションロスによる効率低下や耐久性の低下を招くことが防止される。さらに、両プーリ圧Ppri,Psecは、必要最小限の余裕油圧margin_Pv分だけ高めるため、常に高い余裕油圧状態を維持する場合に比べ、オイルポンプ204の負荷が小さくなり、電費の向上を促すことになる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明すると、実施例2の自動変速機の伝達トルク制御装置にあっては、実施例1の(1)〜(6)の効果を得ることができる。
以上、本発明の自動変速機の伝達トルク制御装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、自動変速機として、常時噛み合い式多段変速機3を用いた例を示し、実施例2では、自動変速機として、ベルト式無段変速機203を用いる例を示した。しかし、自動変速機としては、遊星歯車式多段変速機やトロイダル式無段変速機等の他の自動変速機を用いたものであっても良い。さらに、多段変速機としては、ロー側変速段とハイ側変速段による2段自動変速機に限らず、2段より多段の変速機であっても良い。
実施例1,2では、本発明の伝達トルク制御装置を、駆動源にモータジェネレータMGを用いた電気自動車に適用する例を示した。しかし、本発明の伝達トルク制御装置は、駆動源にエンジンを備えたエンジン車に対しても適用することができるし、さらに、駆動源に電動モータとエンジンを備えたハイブリッド車に対しても適用することができる。
MG モータジェネレータ(駆動源)
3 常時噛み合い式多段変速機(自動変速機)
4 係合クラッチ用電動アクチュエータ
5 摩擦クラッチ用電動アクチュエータ(アクチュエータ)
6 変速機出力軸
7 変速機入力軸
8 ロー側変速機構
8c 係合クラッチ
9 ハイ側変速機構
9c 摩擦クラッチ
14 駆動車輪
21 変速コントローラ(変速制御手段)
22 車速センサ
23 アクセル開度センサ
28 モータコントローラ
203 ベルト式無段変速機(自動変速機)
204 オイルポンプ
205 変速制御油圧アクチュエータ(アクチュエータ)
221 CVTコントローラ(変速制御手段)
228 モータコントローラ

Claims (12)

  1. 駆動源から駆動車輪への駆動トルク伝達系に自動変速機を配置し、前記自動変速機に有するアクチュエータへのトルク容量指令により変速制御する変速制御手段を備えた自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源のトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  2. 請求項1に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源のトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」に基づいてトルク容量の余裕マージンを決め、前記アクチュエータの最低必要トルク容量に、前記余裕マージンを加えることで、前記アクチュエータの目標トルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源のトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  4. 請求項1又は2に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源のトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  5. 請求項1又は2に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源とするモータのトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  6. 請求項1又は2に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源とするモータのトルクの応答性」と「アクチュエータの伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  7. 請求項1又は2に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源のトルクの応答性」と「クラッチ伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  8. 請求項1又は2に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源のトルクの応答性」と「クラッチ用電動アクチュエータの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  9. 請求項1又は2に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源のトルクの応答性」と「クラッチ伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  10. 請求項1又は2に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源のトルクの応答性」と「クラッチ用電動アクチュエータの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  11. 請求項1又は2に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源とするモータのトルクの応答性」と「クラッチ伝達トルクの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
  12. 請求項1又は2に記載された自動変速機の伝達トルク制御装置において、
    前記変速制御手段は、「駆動源とするモータのトルクの応答性」と「クラッチ用電動アクチュエータの応答性」の比と「入力トルク」と「現在の入力回転数から想定される駆動源の最大トルク」と「推定されるドライバーの加速要求」に基づいて前記アクチュエータのトルク容量を設定する
    ことを特徴とする自動変速機の伝達トルク制御装置。
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