JP2013181556A - フロントフォーク - Google Patents

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Abstract

【課題】 フロントフォークにおいて、簡易でコンパクトな構造により、インナチューブが中空パイプの外周の油室に進退する容積分の油を補償すること。
【解決手段】 フロントフォーク10において、中空パイプ22の外周に被着した環状ピース51の軸方向に延在された円弧状環状流路53により容積補償流路50を形成し、環状ピース51がアウタチューブ11内の底部に着座する閉じ位置と、その底部から離隔する開き位置との間で、中空パイプ22の外周に沿って上下動するチェック弁として機能するもの。
【選択図】 図4

Description

本発明は自動二輪車等に用いて好適なフロントフォークに関する。
自動二輪車用フロントフォークとして、特許文献1に記載の如く、車輪側のアウタチューブ内に車体側のインナチューブを摺動自在に挿入し、アウタチューブ内の底部に、インナチューブの内周に摺接する隔壁部を備えた中空パイプを立設し、インナチューブの先端部の内周に設けたピストンが進退する油室を中空パイプの外周に設け、この油室をピストンにより該ピストンの上部の上油室と該ピストンの下部の下油室に仕切り、中空パイプの内周に、インナチューブの上部に及ぶ油溜室を区画するとともに、該油溜室の上部をエア室とし、中空パイプの外周の油室と中空パイプの内周の油溜室とを連通し、インナチューブが中空パイプの外周の油室に進退する容積分の油を補償するための容積補償流路を設けてなるものがある。
特許文献1に記載のフロントフォークでは、アウタチューブ内の底部側で、中空パイプの外周にオイルロックピースを固定的に設けている。そして、中空パイプとオイルロックピースの間に設けた環状流路(チョーク部)を介して、中空パイプの外周の油室と中空パイプの内周の油溜室とを連通し、この環状流路によってインナチューブが圧縮行程で中空パイプの外周の油室に進入する容積分の油を補償することとしている。
また、特許文献1に記載のフロントフォークでは、オイルロックピースの下部外周にチェック弁を設け、伸長行程で、中空パイプの内周の油溜室の油を中空パイプの外周の油室に補給させ、インナチューブが伸長行程で中空パイプの外周の油室から退出する容積分の油を補給することとしている。
特開昭53-47644
特許文献1に記載のフロントフォークには以下の問題点がある。
(1)インナチューブが中空パイプの外周の油室に進退する容積分の油を補償するための部材として、中空パイプとの間に環状流路(チョーク部)を形成するオイルロックピース以外に、別部品としてのチェック弁を必要とし、部品点数が多い。
(2)インナチューブの先端側内周に設けたオイルロックカラーが圧縮行程で進入する前方に、中空パイプに固定されているオイルロックピースの下部外周に設けたチェック弁が配置される。これにより、アウタチューブに対するインナチューブの圧縮ストロークがチェック弁と干渉しない程度に短か目に制限される。又は、アウタチューブに対するインナチューブの圧縮ストロークを十分に確保する場合には、フロントフォークの全長が長めになるという不都合がある。
本発明の課題は、フロントフォークにおいて、簡易でコンパクトな構造により、インナチューブが中空パイプの外周の油室に進退する容積分の油を補償することにある。
請求項1に係る発明は、車輪側のアウタチューブ内に車体側のインナチューブを摺動自在に挿入し、アウタチューブ内の底部に、インナチューブの内周に摺接する隔壁部を備えた中空パイプを立設し、インナチューブの先端部の内周に設けたピストンが進退する油室を中空パイプの外周に設け、この油室をピストンにより該ピストンの上部の上油室と該ピストンの下部の下油室に仕切り、中空パイプの内周に、インナチューブの上部に及ぶ油溜室を区画するとともに、該油溜室の上部をエア室とし、中空パイプの外周の油室と中空パイプの内周の油溜室とを連通し、インナチューブが中空パイプの外周の油室に進退する容積分の油を補償するための容積補償流路を設けてなるフロントフォークにおいて、アウタチューブ内の底部側で、中空パイプの外周に環状ピースを被着し、環状ピースの内周の周方向複数箇所において周方向に沿うとともに、該環状ピースの軸方向に延在された円弧状環状流路と、圧縮行程で下油室から該環状ピースの円弧状環状流路に流入する油の下流に位置し、該環状ピースの内周が臨む中空パイプの周方向複数位置に貫通された孔により、前記容積補償流路を形成し、環状ピースがアウタチューブ内の底部に着座する閉じ位置と、その底部から離隔する開き位置との間で、中空パイプの外周に沿って上下動可能にされ、圧縮行程では閉じ位置に設定され、伸長行程では開き位置に設定されてインナチューブの退出容積分の油を前記油溜室から中空パイプの孔を経て前記油室に補給することを許容するチェック弁として機能するようにしたものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記環状ピースの上端面が中空パイプの外周の中間部に設けたストッパに衝合することにより、前記開き位置への移動限を規制されるようにしたものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記環状ピースの下端面がアウタチューブ内の底部に設けたシート面に接離するとき、該環状ピースの下端面の一部に設けた環状突部だけを該シート面に接離させるようにしたものである。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において更に、前記アウタチューブ内の底部において前記シート面に囲まれる部分を、前記環状ピースの下端面が接しない凹所にしてなるようにしたものである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに係る発明において更に、前記環状ピースが、オイルロックピースとしても機能し、圧縮行程のストローク端で前記ピストンの下端内周に設けたオイルロックカラーとの間で作動油を加圧して最圧縮ストロークを規制するようにしたものである。
(請求項1)
(a)フロントフォークにおいて、アウタチューブ内の底部側で、中空パイプの外周に環状ピースを被着した。そして、中空パイプにおいて環状ピースの内周が臨む周方向複数位置に貫通された孔と、環状ピースの内周の周方向複数箇所において周方向に沿うとともに、該環状ピースの軸方向に延在された円弧状環状流路により、インナチューブが圧縮行程で中空パイプの外周の油室に進入する容積分の油を補償する。このとき、圧縮行程で1次的比例特性が得られる円弧状環状流路の下流に、中空パイプに設けられて油溜室に貫通する孔が配置されている。この孔は充分に大きく、円弧状環状流路で得られる1次的比例特性に影響を及ぼさない。また、この孔は大きいので伸長行程で油溜室から中空パイプの外周の油室への油の補給にも優れる。
また、環状ピースがアウタチューブ内の底部に着座する閉じ位置と、その底部から離隔する開き位置との間で、中空パイプの外周に沿って上下動可能にされ、圧縮行程では閉じ位置に設定され、伸長行程では開き位置に設定されてインナチューブの退出容積分の油を前記油溜室から中空パイプの孔を経て前記油室に補給することを許容するチェック弁として機能するものにし、これによってインナチューブが伸長行程で中空パイプの外周の油室から退出する容積分の油を補償する。環状ピースがチェック弁として機能するため、伸長行程において中空パイプの外周の油室への油の補給充填効率が良い。
環状ピースが上述のチェック弁としての機能も備えたことにより、インナチューブが中空パイプの外周の油室に進退する容積分の油を補償するための部材を環状ピースだけで簡素に構成できる。
(b)圧縮行程でインナチューブの先端が、中空パイプの外周に被着した環状ピースの周囲に進入するとき、環状ピースの外周に別部品としてのチェック弁が存在しない。従って、アウタチューブに対するインナチューブの圧縮ストロークがチェック弁との干渉を避けるように短か目に制限されることがない。また、フロントフォークの全長を長目にとることなく必要十分な圧縮ストロークをコンパクトに確保できる。
(請求項2)
(c)前記環状ピースの上端面が中空パイプの外周の中間部に設けたストッパに衝合することにより、前記開き位置への移動限を規制される。中空パイプの外周に沿う環状ピースの上下動ストロークを簡易に規定できる。
(請求項3)
(d)前記環状ピースの下端面がアウタチューブ内の底部に設けたシート面に接離するとき、該環状ピースの下端面の一部に設けた環状突部だけを該シート面に接離させる。環状ピースが閉じ位置でアウタチューブ内のシート面に接する環状突部の面積が極小化されるから、その接触面圧が大きくなり、環状ピースの閉じ位置でのシール性が向上する。また、閉じ位置で環状ピースの環状突部とシート面との間に侵入したオイルが該環状突部に付着する付着面積も極小化され、圧縮行程から伸長行程への反転時に環状ピースが閉じ位置から開き位置に切換わるときの、環状ピースのシート面からの剥離性も良い。
(請求項4)
(e)前記アウタチューブ内の底部において前記シート面に囲まれる部分を、前記環状ピースの下端面が接しない凹所にした。アウタチューブ内の底部において環状ピースの下端面が接するシート面を含んで平滑加工すべき加工面積を減縮できる。また、環状ピースが開き位置に設定されてチェック弁として機能するとき、環状ピースの下端面がアウタチューブ内の底部との間に形成するオイル流路が凹所のへこみ分だけ拡大され、このチェック弁による中空パイプの外周の油室への油の補給充填効率を一層向上できる。
(請求項5)
(f)前記環状ピースが、オイルロックピースとしても機能し、圧縮行程のストローク端で前記ピストンの下端内周に設けたオイルロックカラーとの間で作動油を加圧して最圧縮ストロークを規制する。インナチューブの先端側内周に設けたオイルロックカラーが、オイルロックピースでもある環状ピースとのクリアランスを調整することで、圧縮行程の全屈付近で環状ピースとの間に区画するオイルロック室に閉じ込める油によりオイルロック荷重が得られる。
また、この環状ピース自体がチェック弁としても機能するから、圧縮行程から伸長行程への反転時に、オイルロック室の負圧をスムースに解消し、この負圧に起因する抜け音防止にも役立つ。
更に、圧縮行程から伸長行程への反転時に、環状ピースは中空パイプの内周の油溜室と中空パイプの外周の油室の圧力差により上方移動することに加え、オイルロックピースが環状ピースとの微小クリアランスに存在する油に生じさせる剪断力が、環状ピースに及んで該環状ピースを上方移動させるものになり、環状ピースの閉じ位置から開き位置への切換えのスムースを促進できる。
図1は実施例1のフロントフォークの全体を示す断面図である。 図2は図1の下部断面図である。 図3はピストンを示す断面図である。 図4は環状ピースを示す断面図である。 図5は図4のV-V線に沿う断面図である。 図6は実施例2のフロントフォークの全体を示す断面図である。 図7は図6の下部断面図である。 図8はピストンを示す断面図である。 図9は環状ピースを示す断面図である。 図10は図9のX-X線に沿う断面図である。
(実施例1)(図1〜図5)
フロントフォーク10(油圧緩衝器)は、自動二輪車等に用いられ、図1〜図4に示す如く、車輪側の、一端が閉じ、他端が開口するアウタチューブ11(車輪側チューブ)に、車体側のインナチューブ12(車体側チューブ)を摺動自在に挿入している。アウタチューブ11のインナチューブ12が挿入される開口端には、摺動ガイド13、シールスペーサ14、オイルシール15、ストッパリング16、ダストシール17が設けられる。インナチューブ12のアウタチューブ11に挿入される下端外周部には、摺動ガイド19が設けられる。
アウタチューブ11の底部には銅パッキン21Aを介してボルト21が挿入され、このボルト21により固定される中空パイプ22が立設している。ボルト21は中空パイプ22の下端テーパ部22Tの下の縮径部22Sの内周のねじ部に螺着する。インナチューブ12の上端部にはOリング23Aを介してキャップボルト23の下端部の外周が螺着される。
キャップボルト23のインナチューブ12の内部に臨む端面には、ばね受板31を介してばね受カラー32、ばね受板33が突き当て支持されている。ばね受板33と、中空パイプ22の上端部に設けられる拡径状隔壁部22Aの上端面からなるばね受板34との間には、圧縮コイルばね35が介装される。
中空パイプ22の上端部には上述の隔壁部22Aが設けられ、隔壁部22Aの外周の環状溝22B内に、インナチューブ12の内周に摺接するピストンリング24を嵌挿している。中空パイプ22における隔壁部22Aの下側部分の外周に後述する油室25を設ける。
インナチューブ12のアウタチューブ11に挿入された先端部(下端部)の内周にはピストン40が設けられる。ピストン40は、インナチューブ12の内径段差部に係止された環状上ピース41と、インナチューブ12の下端加締部12Aにより上ピース41に固定化される筒状下ピース42とからなり、下ピース42の上テーパ部42Aの内周にチェック弁44を配置している。チェック弁44については後述する。
インナチューブ12の先端部のピストン40は、中空パイプ22の外周の油室25を進退し、この油室25を上下に仕切る。即ち、インナチューブ12と中空パイプ22と隔壁部22Aとピストン40により上油室25Aを、ピストン40の下部のアウタチューブ11と中空パイプ22により下油室25Bを形成する。
中空パイプ22の内周に、インナチューブ12の上部に及ぶ油溜室27を区画し、油溜室27に作動油を充填するとともに、油溜室27の上部をエア室28とする。そして、中空パイプ22の外周の油室25と、中空パイプ22の内周の油溜室27とを連通し、インナチューブ12が中空パイプ22の外周の油室25に進退する容積分の油を補償するための容積補償流路50を、中空パイプ22に設けている。容積補償流路50については後述する。
アウタチューブ11とインナチューブ12の間に、アウタチューブ11の内周に固定される摺動ガイド13と、インナチューブ12の外周に固定される摺動ガイド19に挟まれる環状隙間室60を設ける。インナチューブ12のピストン40を設けた部分に孔61を穿設するとともに、ピストン40の下ピース42に孔62を穿設し、これらの孔61、62によって環状隙間室60を中空パイプ22の外周の油室25(上油室25A、下油室25B)に連通する。これにより、環状隙間室60に作動油を供給し、摺動ガイド13、19の潤滑、容積補償を行なう。
ここで、前述のピストン40に設けたチェック弁44は、図4に示す如く、環状隙間室60に連通するインナチューブ12の孔61及びピストン40の下ピース42の孔62と、中空パイプ22の外周の上油室25Aとの間に設けられる。チェック弁44は、上ピース41により背面支持される皿ばね状(コイルでも可)スプリング44Aにより付勢され、そのテーパ面を下ピース42の上テーパ部42Aのテーパ面に着座せしめられるとともに、その内周と中空パイプ22の外周との間に環状隙間44Bを形成している。これにより、チェック弁44は、圧縮行程で、高圧化する下油室25Bの油圧により開弁し、下油室25Bから上油室25Aへの油の流入を許容する。他方、チェック弁44は、伸長行程で、高圧化する上油室25Aの油圧により下ピース42の上テーパ部42Aに着座し、上油室25Aから流出する油をその環状隙間44Bにより絞る。
中空パイプ22は、伸長行程で高圧化する上油室25Aの油の一部を中空パイプ22の内周の油溜室27に流出させるオリフィス45を、隔壁部22Aの直下に穿設している。
尚、インナチューブ12に設けたピストン40の上ピース41と、中空パイプ22に設けた隔壁部22Aの間に、伸長行程のストローク端である最大伸長時のリバウンドスプリング36を設け、最伸長ストロークを規制する。
しかるに、フロントフォーク10にあっては、前述の、油室25と油溜室27を連通し、インナチューブ12が中空パイプ22の外周の油室25に進退する容積分の油を補償するための容積補償流路50を以下の如くに構成している。
フロントフォーク10は、図4、図5に示す如く、アウタチューブ11内の底部にボルト21により立設してある中空パイプ22の外周に環状ピース51を挿嵌して被着してある。そして、中空パイプ22は環状ピース51の内周が臨む下端テーパ部22Tの周方向複数位置の内外に貫通する孔52を備える。また、環状ピース51は中空パイプ22に嵌合する内周の周方向複数箇所において周方向に円弧状をなして沿うとともに、該環状ピース51の軸方向に延在するように刻設された複数条の円弧状環状流路53を備える。孔52は、圧縮行程で下油室25Bから環状ピース51の円弧状環状流路53に流入する油の流れの下流に位置する。中空パイプ22の孔52と環状ピース51の環状流路53が容積補償流路50を構成する。
尚、容積補償流路50を構成する円弧状環状流路53は、中空パイプ22と環状ピース51の嵌合部で、環状ピース51の内周及び/又は中空パイプ22の外周に刻設されれば良い。
容積補償流路50においては、環状流路53によって形成される絞り流路が1次的比例特性の減衰力を発生させる。本実施例では、環状ピース51の内周の4箇所(図5)に環状流路53を設けたが、環状流路53は環状ピース51の内周の2箇所以上、何箇所に設けられても良く、環状ピース51の内周にセレーション歯、又はスプライン歯を形成する如くの多数箇所に設けられても良い。
更に、フロントフォーク10は、図4に示す如く、環状ピース51がアウタチューブ11内の底部に着座する閉じ位置(図4)と、その底部から離隔する開き位置との間で、中空パイプ22の外周に沿って上下動するチェック弁として機能する。チェック弁として機能する環状ピース51は、圧縮行程では閉じ位置に設定され、該環状ピース51の下端面51Dをアウタチューブ11内の底部に設けたシート面54に密着する。また、環状ピース51は、伸長行程では中空パイプ22の外周の油室25と中空パイプ22の内周の油溜室27との圧力差により中空パイプ22の外周に沿って上方移動して開き位置に切換設定され、該環状ピース51の下端面51Dをアウタチューブ11のシート面54から離隔し、該環状ピース51の下端面51Dとアウタチューブ11の底部との間にオイル流路R(不図示)を形成する。そして、この伸長行程で、インナチューブ12が中空パイプ22の外周の油室25から退出する容積分の油を、中空パイプ22の内周の油溜室27から該中空パイプ22の孔52を経て該オイル流路Rから油室25に補給することを許容する。
ここで、フロントフォーク10にあっては、図4に示す如く、環状ピース51の上端面51Uが中空パイプ22の外周の中間部に設けたストッパ、本実施例では中空パイプ22の外周溝に係着したストッパリングからなるストッパ55により、前記開き位置への移動限を規制される。即ち、環状ピース51はアウタチューブ11のシート面54と中空パイプ22のストッパ55との間で、中空パイプ22の外周に沿って上下動できる。
また、フロントフォーク10にあっては、図4に示す如く、環状ピース51の下端面51Dがアウタチューブ11の底部に設けたシート面54に接離するとき、環状ピース51の下端面51Dの一部に設けた環状突部51Aだけを該シート面54に接離させる。本実施例では、環状ピース51の下端部に内外周に張り出るフランジ51F(外側フランジ51Faと内側フランジ51Fb)を設け、このフランジ51Fの外側フランジ51Faにおける下端面51Dの最外周部を環状突部51Aとしている。
また、フロントフォーク10にあっては、図4に示す如く、アウタチューブ11内の底部において、環状ピース51の下端面51Dが密着するシート面54に囲まれる部分を、環状ピース51の下端面51Dが接しない凹所56にしている。
尚、環状ピース51は、中空パイプ22の下端縮径部22Sまわりにチェックバルブスプリング57を装填し、中空パイプ22における下端テーパ部22Tと縮径部22Sとの交差部にバックアップ支持されるチェックバルブスプリング57を環状ピース51の内側フランジ51Fbの上面に着座させ、環状ピース51を常時閉じ位置に向けて付勢している。
フロントフォーク10にあっては、車両が受ける衝撃を圧縮コイルばね35とエア室28の空気ばねによって吸収して緩和し、この衝撃の吸収に伴なう圧縮コイルばね35の振動を以下の減衰作用により制振する。
(圧縮行程)
フロントフォーク10の圧縮行程では、インナチューブ12が伸長状態から下降して下油室25Bの圧力が上昇し、ピストン40のチェック弁44が上向き移動して開くことにより下油室25Bの油が上油室25Aの側に置換するとともに、インナチューブ12の断面積×ストローク分の油が下油室25Bから容積補償流路50を構成する環状ピース51の円弧状環状流路53、中空パイプ22に設けた孔52を通って油溜室27へ移動する際に、環状流路53で生ずる流路抵抗に起因する減衰力を生ずる。
また、この圧縮行程では、油室25の油が、インナチューブ12の孔61、ピストン40の孔62から、インナチューブ12の下降によって拡張する、アウタチューブ11とインナチューブ12の間の環状隙間室60に補給される。
(伸長行程)
フロントフォーク10の伸長行程では、インナチューブ12が圧縮状態から上昇して上油室25Aの圧力が上昇し、上油室25Aの油がピストン40の上テーパ部42Aに着座せしめられるチェック弁44の環状隙間44Bから下油室25Bに移動する際に環状隙間44Bで生ずる流路抵抗、及び上油室25Aの油が中空パイプ22のオリフィス45から出て油溜室27に移動する際に生ずる流路抵抗に起因する減衰力を生ずる。
また、この伸長行程では、インナチューブ12の断面積×ストローク分の油が油溜室27から、中空パイプ22に設けた孔52を経て、開き位置に設定される環状ピース51の下端面51Dがアウタチューブ11のシート面54との間に形成するオイル流路Rを通って下油室25Bに補給される。
また、この伸長行程では、インナチューブ12の上昇によって収縮する、アウタチューブ11とインナチューブ12の間の環状隙間室60の油が、インナチューブ12の孔61、ピストン40の孔62から、油室25に排出される。
従って、本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)フロントフォーク10において、アウタチューブ11内の底部側で、中空パイプ22の外周に環状ピース51を被着した。そして、中空パイプ22において環状ピース51の内周が臨む周方向複数位置に貫通された孔52と、環状ピース51の内周の周方向複数箇所において周方向に沿うとともに、該環状ピース51の軸方向に延在された円弧状環状流路53により、インナチューブ12が圧縮行程で中空パイプ22の外周の油室25に進入する容積分の油を補償する。このとき、圧縮行程で1次的比例特性が得られる円弧状環状流路53の下流に、中空パイプ22に設けられて油溜室27に貫通する孔52が配置されている。この孔52は充分に大きく、円弧状環状流路53で得られる1次的比例特性に影響を及ぼさない。また、この孔52は大きいので伸長行程で油溜室27から中空パイプ22の外周の油室25への油の補給にも優れる。
また、環状ピース51がアウタチューブ11内の底部に着座する閉じ位置と、その底部から離隔する開き位置との間で、中空パイプ22の外周に沿って上下動可能にされ、圧縮行程では閉じ位置に設定され、伸長行程では開き位置に設定されてインナチューブ12の退出容積分の油を前記油溜室27から中空パイプ22の孔52を経て前記油室25に補給することを許容するチェック弁として機能するものにし、これによってインナチューブ12が伸長行程で中空パイプ22の外周の油室25から退出する容積分の油を補償する。環状ピース51がチェック弁として機能するため、伸長行程において中空パイプ22の外周の油室25への油の補給充填効率が良い。
環状ピース51が上述のチェック弁としての機能も備えたことにより、インナチューブ12が中空パイプ22の外周の油室25に進退する容積分の油を補償するための部材を環状ピース51だけで簡素に構成できる。
(b)圧縮行程でインナチューブ12の先端が、中空パイプ22の外周に被着した環状ピース51の周囲に進入するとき、環状ピース51の外周に別部品としてのチェック弁が存在しない。従って、アウタチューブ11に対するインナチューブ12の圧縮ストロークがチェック弁との干渉を避けるように短か目に制限されることがない。また、フロントフォーク10の全長を長目にとることなく必要十分な圧縮ストロークをコンパクトに確保できる。
(c)前記環状ピース51の上端面51Uが中空パイプ22の外周の中間部に設けたストッパ55に衝合することにより、前記開き位置への移動限を規制される。中空パイプ22の外周に沿う環状ピース51の上下動ストロークを簡易に規定できる。
(d)前記環状ピース51の下端面51Dがアウタチューブ11内の底部に設けたシート面54に接離するとき、該環状ピース51の下端面51Dの一部に設けた環状突部51Aだけを該シート面54に接離させる。環状ピース51が閉じ位置でアウタチューブ11内のシート面54に接する環状突部51Aの面積が極小化されるから、その接触面圧が大きくなり、環状ピース51の閉じ位置でのシール性が向上する。また、閉じ位置で環状ピース51の環状突部51Aとシート面54との間に侵入したオイルが該環状突部51Aに付着する付着面積も極小化され、圧縮行程から伸長行程への反転時に環状ピース51が閉じ位置から開き位置に切換わるときの、環状ピース51のシート面54からの剥離性も良い。
(e)前記アウタチューブ11内の底部において前記シート面54に囲まれる部分を、前記環状ピース51の下端面51Dが接しない凹所56にした。アウタチューブ11内の底部において環状ピース51の下端面51Dが接するシート面54を含んで平滑加工すべき加工面積を減縮できる。また、環状ピース51が開き位置に設定されてチェック弁として機能するとき、環状ピース51の下端面51Dがアウタチューブ11内の底部との間に形成するオイル流路Rが凹所56のへこみ分だけ拡大され、このチェック弁による中空パイプ22の外周の油室25への油の補給充填効率を一層向上できる。
(実施例2)(図6〜図10)
図6〜図10に示した実施例2は実施例1と同様の容積補償流路50(環状ピース51、孔52、円弧状環状流路53、シート面54、ストッパ55、凹所56、チェックバルブスプリング57)を具備する。実施例2が実施例1と異なる点は、中空パイプ22の外周に被着した環状ピース51をオイルロックピース37としても用い、ピストン40の下ピース42をオイルロックカラー38としても用いたことにある。
即ち、アウタチューブ11内の底部に立設した中空パイプ22の外周に被着してある環状ピース51をオイルロックピース37とし、圧縮行程のストローク端である最大圧縮時にピストン40の下ピース42の下端内周に設けたオイルロックカラー38がオイルロックピース37の周囲に形成するオイルロック室39(不図示)に作動油を加圧して最圧縮ストロークを規制する。
ピストン40の下ピース42により形成したオイルロックカラー38は、フロントフォーク10の最圧縮近辺で、中空パイプ22の側に設けたオイルロックピース37との間に微小クリアランスを介して嵌合することとにより、上述のオイルロック室39に油を閉じ込め、最圧縮時の緩衝をする。そして、最圧縮状態から伸長行程への反転時には、中空パイプ22の外周の油室25と中空パイプ22の内周の油溜室27との圧力差により上方移動されるオイルロックピース37(環状ピース51)がアウタチューブ11の底部のシート面54との間にオイル流路Rを形成し、オイルロック室39の負圧をスムースに解消する。
従って、本実施例によれば、実施例1で前述した(a)〜(e)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
(f)前記環状ピース51が、オイルロックピース37としても機能し、圧縮行程のストローク端で前記ピストン40の下端内周に設けたオイルロックカラー38との間で作動油を加圧して最圧縮ストロークを規制する。インナチューブ12の先端側内周に設けたオイルロックカラー38が、オイルロックピース37でもある環状ピース51とのクリアランスを調整することで、圧縮行程の全屈付近で環状ピース51との間に区画するオイルロック室39に閉じ込める油によりオイルロック荷重が得られる。
また、この環状ピース51自体がチェック弁としても機能するから、圧縮行程から伸長行程への反転時に、オイルロック室39の負圧をスムースに解消し、この負圧に起因する抜け音防止にも役立つ。
更に、圧縮行程から伸長行程への反転時に、環状ピース51は中空パイプ22の内周の油溜室27と中空パイプ22の外周の油室25の圧力差により上方移動することに加え、オイルロックピース37が環状ピース51との微小クリアランスに存在する油に生じさせる剪断力が、環状ピース51に及んで該環状ピース51を上方移動させるものになり、環状ピース51の閉じ位置から開き位置への切換えのスムースを促進できる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
本発明は、フロントフォークにおいて、アウタチューブ内の底部側で、中空パイプの外周に環状ピースを被着し、中空パイプにおいて環状ピースの内周が臨む周方向複数位置に貫通された孔と、環状ピースの内周の周方向複数箇所において周方向に沿うとともに、該環状ピースの軸方向に延在された円弧状環状流路により、前記容積補償流路を形成し、環状ピースがアウタチューブ内の底部に着座する閉じ位置と、その底部から離隔する開き位置との間で、中空パイプの外周に沿って上下動可能にされ、圧縮行程では閉じ位置に設定され、伸長行程では開き位置に設定されてインナチューブの退出容積分の油を前記油溜室から中空パイプの孔を経て前記油室に補給することを許容するチェック弁として機能する。これにより、フロントフォークにおいて、簡易でコンパクトな構造により、インナチューブが中空パイプの外周の油室に進退する容積分の油を補償することができる。
10 フロントフォーク
11 アウタチューブ
12 インナチューブ
22 中空パイプ
22A 隔壁部
25 油室
25A 上油室
25B 下油室
27 油溜室
28 エア室
37 オイルロックピース
38 オイルロックカラー
40 ピストン
50 容積流路
51 環状ピース
51A 環状突部
51U 上端面
51D 下端面
52 孔
53 円弧状環状流路
54 シート面
55 ストッパ
56 凹所

Claims (5)

  1. 車輪側のアウタチューブ内に車体側のインナチューブを摺動自在に挿入し、
    アウタチューブ内の底部に、インナチューブの内周に摺接する隔壁部を備えた中空パイプを立設し、
    インナチューブの先端部の内周に設けたピストンが進退する油室を中空パイプの外周に設け、この油室をピストンにより該ピストンの上部の上油室と該ピストンの下部の下油室に仕切り、
    中空パイプの内周に、インナチューブの上部に及ぶ油溜室を区画するとともに、該油溜室の上部をエア室とし、
    中空パイプの外周の油室と中空パイプの内周の油溜室とを連通し、インナチューブが中空パイプの外周の油室に進退する容積分の油を補償するための容積補償流路を設けてなるフロントフォークにおいて、
    アウタチューブ内の底部側で、中空パイプの外周に環状ピースを被着し、
    環状ピースの内周の周方向複数箇所において周方向に沿うとともに、該環状ピースの軸方向に延在された円弧状環状流路と、圧縮行程で下油室から該環状ピースの円弧状環状流路に流入する油の下流に位置し、該環状ピースの内周が臨む中空パイプの周方向複数位置に貫通された孔により、前記容積補償流路を形成し、
    環状ピースがアウタチューブ内の底部に着座する閉じ位置と、その底部から離隔する開き位置との間で、中空パイプの外周に沿って上下動可能にされ、圧縮行程では閉じ位置に設定され、伸長行程では開き位置に設定されてインナチューブの退出容積分の油を前記油溜室から中空パイプの孔を経て前記油室に補給することを許容するチェック弁として機能することを特徴とするフロントフォーク。
  2. 前記環状ピースの上端面が中空パイプの外周の中間部に設けたストッパに衝合することにより、前記開き位置への移動限を規制される請求項1に記載のフロントフォーク。
  3. 前記環状ピースの下端面がアウタチューブ内の底部に設けたシート面に接離するとき、該環状ピースの下端面の一部に設けた環状突部だけを該シート面に接離させる請求項1又は2に記載のフロントフォーク。
  4. 前記アウタチューブ内の底部において前記シート面に囲まれる部分を、前記環状ピースの下端面が接しない凹所にしてなる請求項3に記載のフロントフォーク。
  5. 前記環状ピースが、オイルロックピースとしても機能し、圧縮行程のストローク端で前記ピストンの下端内周に設けたオイルロックカラーとの間で作動油を加圧して最圧縮ストロークを規制する請求項1〜4のいずれかに記載のフロントフォーク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020071165A1 (ja) * 2018-10-04 2020-04-09 Kybモーターサイクルサスペンション株式会社 フロントフォーク

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