JP2013177331A - ナフタレンジカルボン酸製造において生じる廃液よりトリエチルアミンおよびアセトンを回収する方法 - Google Patents

ナフタレンジカルボン酸製造において生じる廃液よりトリエチルアミンおよびアセトンを回収する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナフタレンジカルボン酸を製造する過程で生じるナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む均一廃液よりトリエチルアミンおよびアセトンを工業的に有利に回収する方法を提供。
【解決手段】ナフタレンジカルボン酸製造において生じた、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、質量2質量%〜20質量%以下のトリエチルアミン、および22質量%〜70質量%のアセトンを含む均一廃液に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を添加し塩基置換を行った後、塩基置換されたナフタレンジカルボン酸塩を溶解させた状態を維持しつつ、該廃液を蒸留する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ナフタレンジカルボン酸を製造する過程で生じた、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む均一廃液よりトリエチルアミンおよびアセトンを回収する方法に関するものである。
ナフタレンジカルボン酸は化成品中間体として商業的に重要な品目であり、特に繊維やボトル、フィルム用途に用いられるポリエステルやポリアミドの原料として幅広い需要を持つ。その中でも、2,6−ナフタレンジカルボン酸は、優れた物理的特性と機械的性質を有するポリエチレンナフタレート(PEN)や芳香族系液晶ポリマーの原料として有用であり、近年需要が拡大している。
ナフタレンジカルボン酸の製造方法としては、ジアルキルナフタレンを酢酸溶媒中でコバルトやマンガン等の重金属と臭素化合物の存在下に、分子状酸素により高温、高圧で酸化する方法が知られている。この酸化反応により得られるナフタレンジカルボン酸には、酸化反応の中間生成物であるモノカルボン酸類やアルデヒド類、触媒由来の臭素付加物、着色成分及び酸化触媒由来のコバルトやマンガン等の金属分から選ばれる少なくとも一つが不純物として含まれており、この状態を粗ナフタレンジカルボン酸と呼称する。
これらの不純物を含む粗ナフタレンジカルボン酸をポリマーの原料として用いた場合、得られる樹脂は耐熱性、機械的強度、寸法安定性等の物理的特性や機械的特性が低下するため、ポリマーの原料として不適である。また粗ナフタレンジカルボン酸は、一般に黄色、橙色または黒色に着色しており、ボトルやフィルム等、特に透明性の要求される用途には不適である。このため高純度、且つ着色の少ないナフタレンジカルボン酸の工業的に有利な製造方法の開発が求められている。
一般に有機化合物の精製は蒸留や晶析、吸着等の操作により、あるいはそれらの方法を組み合わせることにより行われる。しかしながら、ナフタレンジカルボン酸は沸点・融点よりも自己分解温度の方が低いため、蒸留による精製が不可能である。また種々の溶媒に対して難溶性であるため晶析による精製も困難である。
このようにナフタレンジカルボン酸を従来の蒸留や晶析で精製する方法は困難であるため、ナフタレンジカルボン酸とトリエチルアミンを反応させてナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を形成させることにより、水やアルコールなどへの溶解度を向上させ、晶析や活性炭処理により不純物を除去し、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を精製した後にナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を分解して精製する方法が特許文献1に提案されている。
特許文献1においては、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩の結晶が析出する条件下で塩を形成させる工程(以下で塩形成工程と呼ぶ)が提案されている。
しかし、このプロセスではナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を含むスラリーからナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を分離する工程(以下、塩分離工程と呼ぶ)において、水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む溶媒とナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を分離し、溶媒を廃液として排出する必要がある。この工程で生じる廃液中にはトリエチルアミンが遊離および塩の形態で含まれている。このトリエチルアミンは高価であり、そのまま廃棄することは経済的に不利である。また、遊離もしくは塩の形態のトリエチルアミンを含む廃液を排出することは富栄養化を招く窒素源を環境に供給することとなり、好ましくない。故に、粗ナフタレンジカルボン酸からナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を経由してナフタレンジカルボン酸を得る工業的製造方法において、塩分離工程で生じる廃液よりトリエチルアミンを回収し再利用することが望まれている。
特許文献1には、母液(本発明での廃液に相当)あるいはリンス液に含まれるアミン類や有機溶媒は、一部あるいは全量を蒸留や液々分離等の操作により不純物と分離した後に、塩形成工程で循環再利用可能との記述があるが、具体的な方法の記述は一切ない。
特許文献2にはトリエチルアミンを含有する酸性廃液に水酸化ナトリウムなどの無機塩基を添加し、アルカリ性にpH調整後、トリエチルアミン層と水層に分離し、アニオン性界面活性剤を添加することでエマルジョン層を削減しつつ、トリエチルアミンを回収する方法が記されている。しかしながら、ナフタレンジカルボン酸製造工程において生じるナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む廃液はアルカリ性の均一溶液であり、無機塩基を添加したとしてもトリエチルアミン層と水層には分離しないため、この方法を用いることは不可能である。
特許文献3はトリエチルアミン及びジクロロメタンを含む水溶液から、二回蒸留を行うことにより水中のトリエチルアミンを回収する方法が記されている。この方法は蒸留に用いる水溶液中のトリエチルアミンの質量濃度が1〜10000ppm且つトリエチルアミン以外の有機化合物の質量濃度が1ppm〜10%の場合に限定されている。本発明における廃液はトリエチルアミン以外の有機化合物としてアセトンが含まれており、廃液中のアセトン質量濃度は少なくとも22%を超えている。
また、本発明における廃液は遊離のトリエチルアミン以外にナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩形態のトリエチルアミンが溶解した状態で存在している。ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩形態のトリエチルアミンを特許文献3に記載の二回蒸留する方法で回収しようとした場合、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を加熱塩分解する必要がある。その際ナフタレンジカルボン酸が析出するため、蒸留塔塔底が閉塞するという問題がある。また、塩分解温度はトリエチルアミンの沸点より高いため、用役費がかさむことになり、製造費用の面からも不利である。
特許文献4にはトロポロン化合物を製造する際に副生するトリエチルアミン塩酸塩を含む水溶液に対して、当量以上の水酸化ナトリウムなどの無機塩基を加えることで水溶液をトリエチルアミン層と水層とに分離し、トリエチルアミンを回収する方法が示されている。しかしながら、これはトリエチルアミン塩酸塩を含む水溶液からトリエチルアミンを回収する場合の方法であって、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩に対して適応できるかどうかの記載は一切ない。また、本発明におけるナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む廃液はアセトンを質量濃度で22%以上含んでいる均一な溶液であるため、二層分離を用いた方法の適用は不可能である。
特許第4839501号 特開2002−069042号公報 特許第4644153号 特許第4209626号
本発明の課題は、ナフタレンジカルボン酸製造において生じた、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、質量2質量%〜20質量%以下のトリエチルアミン、および22質量%〜70質量%のアセトンを含む均一廃液よりトリエチルアミンおよびアセトンを回収するにおいて、蒸留塔塔底での閉塞なく、効率よい方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、塩基置換することによって、(1)トリエチルアミンを遊離させ、(2)塩基置換されたナフタレンジカルボン塩の分解温度が高く、また、蒸留中に分解によりナフタレンジカルボンが析出しないことを見出し本願に到達した。
本発明は以下の(1)〜(3)からなる。
(1)
ナフタレンジカルボン酸製造において生じた、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、質量2質量%〜20質量%以下のトリエチルアミン、および22質量%〜70質量%のアセトンを含む均一廃液より、トリエチルアミンおよびアセトンを蒸留回収するにおいて、
以下(I)および(II)の工程からなるトリエチルアミンおよびアセトンの回収方法
(I)該廃液にアルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を添加し、溶解しているナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩をナフタレンジカルボン酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩に塩基置換させる。
(II)(I)の工程を経た廃液中に、塩基置換されたナフタレンジカルボン酸塩を溶解させた状態を維持しつつ、該廃液を蒸留する。
(2)
アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム、アルカリ土類金属水酸化物が水酸化カルシウムである(1)に記載のトリエチルアミンおよびアセトンの回収方法。
(3)
(II)の工程後に、以下(III)の工程を行う(1)または(2)に記載のトリエチルアミンおよびアセトンの回収方法。
(III)(II)の蒸留における留出物を再度蒸留し、トリエチルアミンおよびアセトンを得る。
本発明によれば、ナフタレンジカルボン酸製造において生じた、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、質量2質量%〜20質量%以下のトリエチルアミン、および22質量%〜70質量%のアセトンを含む均一廃液より、トリエチルアミンおよびアセトンを回収するにあたり、効率よく、また蒸留塔塔底の閉塞なく行うことができる。
回収したトリエチルアミンは塩形成工程等で再利用できるため変動費的に有利となる。
ナフタレンジカルボン酸製造における、本発明のトリエチルアミンおよびアセトン回収工程の位置づけを示す図である。 トリエチルアミンおよびアセトン回収工程の概略を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明で用いられるナフタレンジカルボン酸のカルボキシル基の位置は特に指定はないが、液晶ポリマー等の原料として特に有用な、2,6−位のものを用いるのが好適である。
[粗ナフタレンジカルボン酸]
粗ナフタレンジカルボン酸には、着色成分、酸化触媒金属、酸化反応の中間生成物であるホルミルナフトエ酸、ナフタレン環の分解で生じるトリメリット酸、臭素が付加したナフタレンジカルボン酸ブロミド、およびナフタレントリカルボン酸等から選ばれる少なくとも一つの有機不純物が含まれる。
[塩形成工程]
塩形成工程では、水とアセトンの混合溶媒中で粗ナフタレンジカルボン酸とトリエチルアミンを混合して塩を形成する反応(塩形成反応)をさせ、有機不純物が精製されたナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を生成させる。
生成した塩は溶媒に飽和まで溶解し、限界溶解量を超える分の塩は結晶として析出しスラリーとなる。
このスラリーに対し、塩に対する貧溶媒であるアセトンを加えることで溶媒に溶解している塩を結晶として晶出し、高い結晶化率を得る。この最終スラリーを固液分離することで精製された塩の結晶を高い回収率で得る。
[塩分離工程で得られる均一廃液]
塩分離工程で得られる廃液は図1に記載されているとおり、塩形成工程での最終スラリーを固液分離する際に得られる。該廃液は均一であり、該均一廃液の組成は下記の通りである(合計で100%となる)。

ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩(以下でNDCA・TEAと称すことがある): 5%以下
水: 20〜30%
トリエチルアミン(以下でTEAと称すことがある): 2〜20%。好ましくは10〜20%
アセトン: 22〜70%。好ましくは、55〜70%
不明不純物: 5%以下
[トリエチルアミン回収工程]
本発明におけるトリエチルアミン回収方法を説明する。均一廃液中のトリエチルアミン塩形態で存在するトリエチルアミンを蒸留で完全に回収しようとする場合、熱によりナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を完全に分解する必要がある。その時必要な温度は130℃以上である。
一方、トリエチルアミンの沸点は89.5℃であるため、予め塩基置換を行うことで、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩中のトリエチルアミンを遊離状態にしてから蒸留する方が用役費の面で有利である。また、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を含む均一廃液を塩基置換せずに、直接蒸留した場合、塩が分解した際にナフタレンジカルボン酸が蒸留塔内で析出するため、蒸留塔塔底を閉塞させる可能性がある。
[塩基置換]
ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む均一廃液にアルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を添加し、トリエチルアミンを遊離させる。この塩基置換で生じたナフタレンジカルボン酸アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩は、130℃以上に加熱したとしても分解せず、液中に溶解したままとなる。
[塩基置換で用いる塩基]
ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩から塩基置換を行い、トリエチルアミンを遊離させるために用いる塩基はアルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物である。上記塩基はそのまま用いてもよいが、取り扱いの容易さの観点から好ましくは水溶液として用いられる。アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく用いられる。また、アルカリ土類金属水酸化物は、水酸化カルシウムが好ましく用いられる。入手のし易さ、取扱い易さの面から、水酸化ナトリウムが特に好ましく用いられる。通常は一般的に流通している質量濃度20%、25%及び48%水酸化ナトリウム水溶液が用いられる。またそれらを水で希釈して使用することも可能である。加える塩基の使用量はナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩を含む水溶液中に含まれるカルボキシル基量(遊離のナフタレンジカルボン酸及びトリエチルアミン塩の形で存在するナフタレンジカルボン酸の両方に含まれるカルボキシル基の合計)に対して当量以上であり、1.0〜2.0倍であることが好ましい。確実な塩基置換およびコストの観点から、特に好ましくは1.1〜1.3倍である。カルボキシル基量が不明な場合、確実な塩基置換が行われたかについては、pH計を用いることにより判断可能となる。実際の当量点はpH 12.3付近に存在するため、pHは13以下にならない様に自動的に塩基が添加される機構にすることが好ましい。
[第一蒸留工程]
常温でアセトンを質量濃度で22%以上含む液中では、トリエチルアミンと水は二層分離しないため、二層分離を基にした分離方法の適用は不可能である。そこで、図2に記載のように塩基置換されたナフタレンジカルボン酸塩、水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む均一廃液を第一蒸留塔へ移送し、塩基置換されたナフタレンジカルボン酸の溶解を維持しつつ、蒸留を行う。
トリエチルアミン回収率向上のため、蒸留を塔底温度130℃程度で行った場合でも、塩基置換を行っておけば、蒸留中にナフタレンジカルボン酸塩分解して析出したナフタレンジカルボン酸に起因した蒸留塔詰まりは解消される。
塔底からナフタレンジカルボン酸アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩と不明不純物を含む水を排出し、塔頂から水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む留出液を得る。この際、水とトリエチルアミンは共沸するためトリエチルアミンは塔底に残留しない。例えば、質量濃度で水 21.5%、TEA 11.5%、アセトン 64.2%、2,6−NDCA・TEA 2.8%の割合の均一廃液の場合、第一蒸留塔として理論段20段のものを用い、第一蒸留塔を大気圧下で運転する際に、塔底を100±1℃、塔頂を58±1℃に制御して運転すれば、得られる第一蒸留塔の留出液の組成は質量濃度で水 5%以下且つアセトン 75%以上であり、缶出液の組成は水 90%以上となる。
また、第一蒸留塔に送られる均一廃液組成が変われば、塔底温度および塔頂温度は適宜調整される。
[第二蒸留工程]
次に第一蒸留塔塔頂から得られた水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む留出液を、トリエチルアミンおよびアセトンの濃度をさらに上げることを目的に第二蒸留塔に移送し、さらに蒸留を行う。例えば、質量濃度で水 0.9%、トリエチルアミン 16.9%、アセトン 82.2%の割合の第一蒸留塔留出液の場合、第二蒸留塔として理論段20段のものを用い、第二蒸留塔を大気圧下で運転する際に、塔底を60±0.5℃、塔頂を56±0.5℃に制御して運転すれば、第二蒸留塔の塔頂からは、アセトン85質量%以上でその他にトリエチルアミンおよび水を含む留出液が得られ、アセトンを回収できる。
また、塔底からは、トリエチルアミン40質量%以上でアセトン55質量%以下を含み、その他に水を含む缶出液が得られ、トリエチルアミンを回収できる。
このようにして均一廃液中のアセトンとトリエチルアミンを、それぞれ濃度を上げた形で回収することが可能となる。
また、第一蒸留塔留出液組成が変われば、第二蒸留塔での塔底温度および塔頂温度は適宜制御される。
[回収トリエチルアミンおよび回収アセトンの塩形成工程への再利用]
[第二蒸留工程]で示したように、回収トリエチルアミンおよび回収アセトンは、水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む混合物となる。塩形成工程で用いる溶媒も、水、トリエチルアミンおよびアセトンを含む溶媒であるため、この混合物である回収トリエチルアミンおよび回収アセトンは塩形成工程へ問題なく再利用することが可能である。
以下に各製造例、実施例、比較例、表中に記した略号の詳細を示す。

2,6−NDCA: 2,6−ナフタレンジカルボン酸
TEA: トリエチルアミン
2,6−NDCA・TEA: 2,6−ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩
2,6−NDCA・Na: 2,6−ナフタレンジカルボン酸ナトリウム塩
以下に実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例および比較例において、廃液、留出液または缶出液中の水、アセトンまたはTEA量はガスクロマトグラフィーにより分析した。また、2,6−NDCA量はメチルエステル化後にガスクロマトグラフィーにより分析した。
2,6−NDCA量は上記のガスクロマトグラフィー分析で得られたTEA量から試料液を中和滴定し得られた遊離TEAを差し引いて得られるTEA量から算出した。

2,6−NDCA・TEA量 = GC分析で得られるTEA量 ― 中和滴定で得られる遊離TEA量
<製造例1>
特許文献2の製造例を参考にして、2,6−ジメチルナフタレンの酸化反応を実施した。
氷酢酸 17970gに、酢酸コバルト(四水塩) 38g、酢酸マンガン(四水塩) 320g、臭化水素(47%水溶液) 74.3gを混合し溶解させ、触媒液を調製した。撹拌機、還流冷却器および原料送液ポンプを備えた50Lチタン製オートクレーブに前記の触媒液7400gを仕込んだ。残りの触媒液は2,6−ジメチルナフタレン 1800gと混合して原料供給槽に仕込み、加熱して2,6−ジメチルナフタレンを溶解させ原料液を調製した。窒素で反応系内の圧力を1.8MPaGに調整し、撹拌しながら温度200℃に加熱した。温度、圧力が安定した後、原料液および圧縮空気を反応器に供給し酸化反応を開始した。反応器オフガス中の酸素濃度が1.0容量%になるように供給空気流量を調節しながら、原料液を2時間かけて連続的に供給した。原料液の供給終了後、空気の供給を9分間継続した。反応終了後、反応器を室温まで冷却して反応生成物を取り出し、ガラスフィルターで吸引ろ過し、水及び酢酸で洗浄後、乾燥した。その結果、2,6−NDCA純度 98.60%であり、コバルト 360ppm、マンガン 2500ppm含む粗2,6−NDCAが得られた。
<製造例2>
還流冷却器、撹拌装置、温度測定管付きの1000mLガラス製3口フラスコに、製造例1で得られた粗2,6−NDCA 544g、水 331g、アセトン 549gを仕込んで撹拌した。撹拌しながらTEA 600gを滴下し、塩形成反応を行った。次にこのスラリーを撹拌しながらアセトン 1800gを追加し、晶出操作を実施した。晶出後のスラリー温度を25℃に調節し、スラリーを固液分離することで2,6−NDCA・TEAを1089g、均一廃液を2530g得た。2,6−NDCA・TEA中に存在する2,6−NDCA量から算出した2,6−NDCA回収率は95.0%と算出された。回収率は原料として仕込んだ2,6−NDCA量に対する、得られた2,6−NDCA・TEA中に含まれる2,6−NDCA量の割合で示している。また、均一廃液を分析したところ、質量濃度で水 21.5%、TEA 11.5%、アセトン 64.2%、2,6−NDCA・TEA 2.8%の組成であった。
<実施例1>
還流冷却器、撹拌装置、温度測定管付きの3Lガラス製3口フラスコを用い、製造例2で得られた均一廃液 1532gに質量濃度6%水酸化ナトリウム水溶液150g添加後、撹拌することで塩基置換を行い、2,6−NDCA・Naを含む均一廃液を得た。
次に、大気圧下でこの2,6−NDCA・Naを含む均一廃液を理論段数20段のオルダーショウカラムを有する第一蒸留塔の10段目へ流量150.0g/hで供給しながら蒸留を行ったところ塔底から質量濃度で水 93.6%、アセトン 0.5%、2,6−NDCA・Na 5.9%の缶出液を流量45.8g/hで、塔頂から質量濃度で水 0.9%、TEA 16.9%、アセトン 82.2%の留出液を流量104.2g/hで得た。
この際の第一蒸留塔塔頂温度は57.5℃以上58.5℃以下で、塔底温度は100.0℃以上101.0℃以下で制御を行った。
第一蒸留塔塔頂から得られた留出液を大気圧下で理論段数20段のオルダーショウカラムを有する第二蒸留塔の10段目へ流量95.0g/hで供給し、塔底から質量濃度で水 1.6%、TEA 46.2%、アセトン 52.2%の缶出液(回収TEA)を流量10.5g/hで、塔頂から質量濃度で水0.8%、TEA 13.2%、アセトン 86.0%の留出液(回収アセトン)を流量84.5g/hで得た。この際の第二蒸留塔塔頂温度は56.0℃以上57.0℃以下、塔底温度は60.0℃以上61.0℃以下で制御を行った。回収TEA・回収アセトン共に塩形成工程に再利用可能である。回収TEA・回収アセトン中のTEA濃度および質量から計算したTEAの回収率は99.2%であった。
<比較例1>
水酸化ナトリウム水溶液を用いた塩基置換を行わなかった以外は実施例1と同様に操作を行った。
製造例2で得られた均一廃液を大気圧下で理論段数20段のオルダーショウカラムを有する第一蒸留塔の10段目へ流量150.0g/hで供給しながら蒸留を行ったところ塔底から質量濃度で水 87.9%、アセトン 0.4%、2,6−NDCA・TEA 11.7%の缶出液を流量34.7g/hで、塔頂から質量濃度で水 1.0%、TEA 14.8%、アセトン 84.2%の留出液を流量115.3g/hで得た。
この際の第一蒸留塔塔頂温度は57.5℃以上58.5℃以下、塔底温度は100.0℃以上101.0℃以下で制御を行った。第一蒸留塔塔頂から得られた留出液を大気圧下で理論段数20段のオルダーショウカラムを有する第二蒸留塔の10段目へ流量95.0g/hで供給し、塔底から質量濃度で水 2.1%、TEA 39.4%、アセトン 58.5%である缶出液(回収TEA)を流量20.5g/hで、塔頂から質量濃度で水 0.7%、TEA 8.1%、アセトン 91.2%の留出液(回収アセトン)を流量74.5g/hで得た。この際の第二蒸留塔塔頂の温度は56.0℃以上57.0℃以下、塔底の温度は60.0℃以上61.0℃以下で制御を行った。この比較例1では2,6−NDCA・TEA形態のTEAは第一蒸留塔缶出液へ排出され回収することができなかった。その結果、TEAの回収率は88.5%となり、実施例1と比較して低いものであった。
<比較例2>
水酸化ナトリウム水溶液を用いた塩基置換を行わず、且つ2,6−NDCA・TEAの熱分解によりTEA回収率を上げるべく第一蒸留塔(塔底温度を上げる目的で加圧が可能なように第一蒸留塔はSUS316L製に変更)塔底温度を130.0℃以上131.0℃以下で制御を行った以外は実施例1と同様に操作を行った。
製造例2で得られた均一廃液を0.8MPaGの加圧条件下において20段の棚段を持つSUS316L製蒸留器を有する第一蒸留塔の10段目へ流量150.0g/hで供給しながら蒸留を行うと塔底から質量濃度で水 95.0%、アセトン 1.4%、2,6−NDCA 3.6%の缶出液を流量23.4g/hで、塔頂から質量濃度で水 9.6%、TEA 15.0%、アセトン 75.4%の留出液を流量115.3g/hで得た。この際の第一蒸留塔塔頂温度は71.0℃以上73.0℃以下とした。その後は実施例1と同様に操作を実施した。TEAの回収率は99.0%であった。
この比較例2では均一廃液中の2,6−NDCA・TEAは第一蒸留塔塔底部で塩分解されるため、第一蒸留塔塔底部および塔底部近くの壁面への付着が観察された。実際に工業的に行う場合は長時間の連続運転を実施することになるため、閉塞の発生が懸念される。
上記実施例1及び比較例1〜2についてまとめて表1に示す。
<製造例3>
還流冷却器、撹拌装置、温度測定管付きの1000mLガラス製3口フラスコに、製造例1で得られた粗2,6−NDCA 544g、水 348g、実施例1で得られた回収アセトン 227gを仕込んで撹拌した。撹拌しながら実施例1で得られた回収TEA 1211gを滴下し、塩形成反応を行った。次にこのスラリーを撹拌しながら実施例1で得られた回収アセトン 1850gを追加し、晶出操作を実施した。晶出後のスラリー温度を25℃に調節し、スラリーを固液分離することで2,6−NDCA・TEAを1089g、均一廃液を3091g得た。2,6−NDCA・TEA中に存在する2,6−NDCA量から算出した2,6−NDCA回収率は95.0%と算出された。実施例1で得られた回収TEA、回収アセトンともに、塩形成工程に再利用することができた。
Figure 2013177331
本発明によれば、用役費が安価、簡便な構成、蒸留塔の閉塞なく、且つ工業的手法により、ナフタレンジカルボン酸製造において生じた、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、質量2質量%〜20質量%以下のトリエチルアミン、および22質量%〜70質量%のアセトンを含む均一廃液より容易にトリエチルアミンおよびアセトンを回収することが可能となる。また、蒸留塔閉塞も起きず本発明の方法は工業的にも優れた方法であることから、本発明の工業的意義は非常に大きい。

Claims (3)

  1. ナフタレンジカルボン酸製造において生じた、ナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩、水、質量2質量%〜20質量%以下のトリエチルアミン、および22質量%〜70質量%のアセトンを含む均一廃液より、トリエチルアミンおよびアセトンを蒸留回収するにおいて、以下(I)および(II)の工程からなるトリエチルアミンおよびアセトンの回収方法
    (I)該廃液にアルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を添加し、溶解しているナフタレンジカルボン酸トリエチルアミン塩をナフタレンジカルボン酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩に塩基置換させる。
    (II)(I)の工程を経た廃液中に、塩基置換されたナフタレンジカルボン酸塩を溶解させた状態を維持しつつ、該廃液を蒸留する。
  2. アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム、アルカリ土類金属水酸化物が水酸化カルシウムである請求項1に記載のトリエチルアミンおよびアセトンの回収方法。
  3. (II)の工程後に、以下(III)の工程を行う請求項1または2に記載のトリエチルアミンおよびアセトンの回収方法。
    (III)(II)の蒸留における留出物を再度蒸留し、トリエチルアミンおよびアセトンを得る。
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