JP2013175809A - 音響処理装置 - Google Patents

音響処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013175809A
JP2013175809A JP2012037499A JP2012037499A JP2013175809A JP 2013175809 A JP2013175809 A JP 2013175809A JP 2012037499 A JP2012037499 A JP 2012037499A JP 2012037499 A JP2012037499 A JP 2012037499A JP 2013175809 A JP2013175809 A JP 2013175809A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
track
acoustic signal
localization
acoustic
priority
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012037499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5915249B2 (ja
Inventor
Kazunobu Kondo
多伸 近藤
Yu Takahashi
祐 高橋
Yasuyuki Umeyama
康之 梅山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Corp
Original Assignee
Yamaha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Corp filed Critical Yamaha Corp
Priority to JP2012037499A priority Critical patent/JP5915249B2/ja
Publication of JP2013175809A publication Critical patent/JP2013175809A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5915249B2 publication Critical patent/JP5915249B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Stereophonic System (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)

Abstract

【課題】複数トラックの音響信号をミックスダウンする場合の作業負担を軽減する。
【解決手段】定位解析部42は、Nトラックの音響信号X[1]〜X[N]の各々について定位方向θx[k,n]を解析する。音響処理部32は、音響信号X[n]の音響特性と定位方向θx[k,n]とを調整する調整処理をトラック毎に実行する。信号合成部34は、調整処理後のNトラックの音響信号Y[1]〜Y[N]を合成する。優先度設定部46は、各トラックの優先度P[n]を設定する。制御部48は、優先度P[n]の高いトラックが優先度P[n]の低いトラックと比較して明瞭化されるようにトラック毎の調整処理を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数トラックの音響信号をミックスダウンする技術に関する。
DAW(Digital Audio Workstation)を利用した音楽制作の場面では、個別に収録された複数トラックの音響信号について音響特性や定位方向等が調整されたうえで左右2チャネルの音響信号が生成(ミックスダウン)される。各トラックの音響特性や定位方向の最適化が一般的には困難であることを考慮して、例えば非特許文献1には、受聴者が各トラックを同等の音量と知覚するように各トラックのイコライザのゲインを自動的に設定する技術が開示されている。
E.P. Gonzalez and J. Reiss, "Automatic equalization of multi-channel audio using cross-adaptive methods", 127th Audio Engineering Society Convention, October, 2009
しかし、非特許文献1に記載された各トラックの音量の調整のみでは、実際には、例えば歌唱曲を構成する複数トラックのうち歌唱音のトラックが受聴者に明瞭に知覚されるといった所望の特性を実現することは困難である。したがって、各トラックの音響特性や定位方向等を制作者が手動で調整する必要があり作業負担が大きいという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、複数トラックの音響信号をミックスダウンする場合の作業負担を軽減することを目的とする。
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、以下の説明では、本発明の要素と後述の実施形態の要素との対応を括弧書で付記するが、本発明の範囲を実施形態の例示に限定する趣旨ではない。
本発明の音響処理装置は、複数トラックの音響信号(例えば音響信号X[1]〜X[N])の各々について定位方向(例えば定位方向θx[k,n])を解析する定位解析手段(例えば定位解析部42)と、音響信号の音響特性と定位解析手段が解析した定位方向とを調整する調整処理をトラック毎に実行する音響処理手段(例えば音響処理部32)と、調整処理後の各トラックの音響信号(例えば音響信号Y[1]〜Y[N])を合成する信号合成手段(例えば信号合成部34)と、各トラックの優先度(例えば優先度P[1]〜P[N])を設定する優先度設定手段(例えば優先度設定部46)と、優先度の高いトラックの音響信号が優先度の低いトラックの音響信号と比較して明瞭化されるように、音響処理手段によるトラック毎の調整処理を制御する制御手段(例えば制御部48)とを具備する。以上の構成では、優先度の高いトラックの音響信号が優先度の低いトラックの音響信号と比較して明瞭化されるように、音響信号の音響特性(例えば強度)と定位方向とを調整する調整処理が制御されるから、複数トラックの音響信号をミックスダウンする場合の作業負担が軽減される。
本発明の好適な態様において、調整処理は、音響信号の定位方向を調整する定位調整処理を含み、制御手段は、優先度の低いトラックの定位方向が、優先度の高いトラックの定位方向から離れるように、各トラックの定位調整処理を制御する。以上の態様では、優先度の低いトラックの定位方向が優先度の高いトラックの定位方向から離れるように各トラックの定位調整処理が制御されるから、優先度の高いトラックの定位感を他のトラックと比較して明瞭化することが可能である。
本発明の好適な態様において、調整処理は、音響信号の強度を調整する強度調整処理を含み、制御手段は、優先度の低いトラックの強度が、優先度の高いトラックの強度に対して抑制されるように、各トラックの強度調整処理を制御する。以上の態様では、優先度の低いトラックの強度が優先度の高いトラックの強度に対して抑制されるから、優先度の高いトラックを明瞭化することが可能である。また、優先度の低いトラックの音響信号のうち優先度の高いトラックの音響信号と重複する帯域内の各周波数成分が抑制されるように、制御手段が各トラックの強度調整処理を制御する構成によれば、優先度の高いトラックを明瞭化するという効果は格別に顕著である。
本発明の好適な態様において、調整処理は、音響信号に対する効果付与処理を含み、制御手段は、効果付与処理による効果付与の度合をトラック毎に制御する。例えば、音響信号を強調する強調処理を効果付与処理が含む構成では、優先度の高いトラックが優先度の低いトラックと比較して強調されるように、制御手段が各トラックの強調処理を制御する。以上の態様によれば、優先度の高いトラックを明瞭化することが可能である。また、音響信号に残響効果を付加する残響付加処理を効果付与処理が含む構成では、優先度の低いトラックに対する残響付加の度合が、優先度の高いトラックに対する残響付加の度合を上回るように、制御手段が各トラックの残響付加処理を制御する。以上の態様によれば、優先度の高いトラックの定位感を明瞭化することが可能である。
本発明の好適な態様に係る音響処理装置は、音響信号の各周波数成分の定位方向を示す定位軸と各周波数成分の周波数を示す周波数軸とが設定された定位-周波数平面における音響信号の各周波数成分の分布を示す音像分布画像を表示装置に表示させる手段であって、音響処理手段による調整処理前の各トラックの音響信号の第1音像分布画像(例えば第1音像分布画像Gx)と、音響処理手段による調整処理後の各トラックの音響信号の第2音像分布画像(例えば第2音像分布画像Gy)とを対比可能に表示させる表示制御手段を具備する。以上の態様では、調整処理前の各トラックの第1音像分布画像と調整処理後の各トラックの第2音像分布画像とを相互に対比することで、調整処理の効果を利用者が視覚的および直観的に評価できるという利点がある。
以上の各態様に係る音響処理装置は、音響信号の処理に専用されるDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェア(電子回路)によって実現されるほか、CPU(Central Processing Unit)等の汎用の演算処理装置とプログラムとの協働によっても実現される。本発明のプログラムは、複数トラックの音響信号の各々について定位方向を解析する定位解析処理と、音響信号の音響特性と定位解析処理で解析した定位方向とを調整するトラック毎の調整処理と、調整処理後の各トラックの音響信号を合成する信号合成処理と、各トラックの優先度を設定する優先度設定処理と、優先度の高いトラックの音響信号が優先度の低いトラックの音響信号と比較して明瞭化されるように、トラック毎の調整処理を制御する制御処理とをコンピュータに実行させる。以上のプログラムによれば、本発明の音響処理装置と同様の作用および効果が奏される。本発明のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされるほか、通信網を介した配信の形態で提供されてコンピュータにインストールされる。
本発明のひとつの実施形態に係る音響処理装置のブロック図である。 解析結果画像の模式図である。 調整処理と優先度との関係の説明図である。
<実施形態>
図1は、本発明のひとつの実施形態に係る音響処理装置100のブロック図である。図1に示すように、音響処理装置100には信号供給装置200が接続される。信号供給装置200は、個別に収録されたNトラック(Nは2以上の自然数)の音響信号X[1]〜X[N]を音響処理装置100に供給する。1トラックは、処理単位となる系統(例えば複数系統の音響の組合せや単数系統の音響)を意味する。第1実施形態の各音響信号X[n](n=1〜N)は、再生音の受聴者に対して特定の方向に音像が定位するように収録または加工(例えば左右チャネル間の強度差や位相差を変更する処理)された左チャネルの音響信号XL[n]と右チャネルの音響信号XR[n]とで構成されるステレオ信号である。ただし、複数のモノラルのチャネルから利用者が任意に選択した2個のチャネルの組合せを1個のトラック(ステレオトラック)として取扱うことも可能である。例えば可搬型または内蔵型の記録媒体から各音響信号X[n]を取得して音響処理装置100に供給する再生装置や、収音機器が生成した各音響信号X[n]を実時間的に取得して音響処理装置100に供給する入力装置が信号供給装置200として好適に採用され得る。
音響処理装置100は、Nトラックの音響信号X[1]〜X[N]の自動的なミックスダウンで音響信号Zを生成する信号処理装置である。音響信号Zは、左チャネルの音響信号ZLと右チャネルの音響信号ZRとで構成されるステレオ信号である。図1に示すように、音響処理装置100は、演算処理装置12と記憶装置14と表示装置22と入力装置24と放音装置26とを含んで構成される。表示装置22(例えば液晶表示パネル)は、演算処理装置12からの指示に応じて各種の画像を表示する。入力装置24は、音響処理装置100に対する利用者からの指示を受付ける機器であり、例えば利用者が操作する複数の操作子を含んで構成される。放音装置26(例えばステレオスピーカ)は、音響信号Zに応じた音波を再生する。
記憶装置14は、演算処理装置12が実行するプログラムや演算処理装置12が使用する各種の情報を記憶する。半導体記録媒体や磁気記録媒体等の公知の記録媒体または複数種の記録媒体の組合せが記憶装置14として任意に採用される。なお、各音響信号X[n]を記憶装置14に格納した構成(したがって信号供給装置200は省略される)も採用され得る。
演算処理装置12は、記憶装置14に格納されたプログラムを実行することで、Nトラックの音響信号X[1]〜X[N]から音響信号Zを生成するための複数の機能(音響処理部32,信号合成部34,定位解析部42,表示制御部44,優先度設定部46,制御部48)を実現する。なお、演算処理装置12の各機能を複数の装置に分散した構成や、演算処理装置12の一部の機能を専用の電子回路(DSP)が実現する構成も採用され得る。
音響処理部32は、音響信号X[1]〜X[N]に対する所定の信号処理(以下「調整処理」という)でNトラックの音響信号Y[1]〜Y[N]を生成する要素であり、相異なるトラックに対応するN個の単位処理部U[1]〜U[N]を含んで構成される。第n番目のトラックに対応する単位処理部U[n]は、音響信号X[n]に対する調整処理で音響信号Y[n]を生成する。各音響信号Y[n]は、左チャネルの音響信号YL[n]と右チャネルの音響信号YR[n]とで構成されるステレオ信号である。
各単位処理部U[n]が実行する調整処理は、定位調整処理と強度調整処理と効果付与処理とを包含する。定位調整処理は、音響信号X[n]の音像が定位する方向(以下「定位方向」という)を調整する処理(例えば音響信号XL[n]および音響信号XR[n]の強度差や位相差を制御する処理)である。強度調整処理は、音響信号X[n]の強度(振幅)を調整する処理である。本実施形態では、音響信号X[n]の各周波数成分の強度(振幅)を個別に調整するイコライジング処理を強度調整処理として例示する。効果付与処理は、音響信号X[n]に各種の音響効果を付与する処理である。本実施形態では、音響信号X[n]に対する残響効果の付加(残響付加処理)と音響信号X[n]の強調処理(例えばコンプレッサ等のダイナミクス系エフェクト)とを効果付与処理として例示する。強度調整処理および効果付与処理は、音響信号X[n]の音響特性を制御する処理とも換言され得る。
信号合成部34は、音響処理部32(各単位処理部U[n])による調整処理で生成されたNトラックの音響信号Y[1]〜Y[N]を合成することで音響信号Zを生成する。本実施形態の信号合成部34は、音響信号Y[1]〜Y[N]を加算する加算器である。具体的には、各トラックの左チャネルの音響信号YL[1]〜YL[N]の加算で左チャネルの音響信号ZLが生成され、各トラックの右チャネルの音響信号YR[1]〜YR[N]の加算で右チャネルの音響信号ZRが生成される。信号合成部34が生成した音響信号Zが放音装置26から再生される。
定位解析部42は、Nトラックの各々について周波数毎の定位方向θ[k,n](θx[k,n],θy[k,n])を算定する。記号kは、周波数軸上の任意の1個の周波数を意味する。本実施形態の定位解析部42は、音響処理部32による調整処理の実行前の各音響信号X[n]の定位方向θx[k,n]と、調整処理の実行後の各音響信号Y[n]の定位方向θy[k,n]とを算定する。
定位方向θ[k,n]の算定には公知の技術が任意に利用され得る。例えば、音響信号X[n]のうち左チャネルの音響信号XL[n]の各周波数の強度ML[k]と右チャネルの音響信号XR[n]の各周波数の強度MR[k]とを利用した以下の数式(1)の演算で音響信号X[n]の定位方向θx[k,n]が算定される。音響信号Y[n]の定位方向θy[k,n]についても同様に、左チャネルの音響信号YL[n]の強度ML[k]と右チャネルの音響信号YR[n]の強度MR[k]とを数式(1)に適用することで算定される。なお、数式(1)については、例えば、M. Vinyes, J. Bonada, A. Loscos, "Demixing Commercial Music Productions via Human-Assisted Time-Frequency Masking",Audio Engineering Society 120th Convention, France, 2006にも詳述されている。
Figure 2013175809
表示制御部44は、定位解析部42による解析結果を表現する図2の解析結果画像Gを表示装置22に表示させる。解析結果画像Gは、利用者が両者を対比できるように並置された第1音像分布画像Gxと第2音像分布画像Gyとを含んで構成される。
第1音像分布画像Gxおよび第2音像分布画像Gyの各々は、図2に示すように、定位方向を示す定位軸APと周波数を示す周波数軸AFとが設定された定位-周波数平面内での各周波数成分の分布を表現する画像である。第1音像分布画像Gxの定位-周波数平面内には、音響信号X[n]の各周波数成分を表象する複数の音像図形QがNトラックの音響信号X[1]〜X[N]について並列に配置される。音響信号X[n]の各周波数成分に対応する音像図形Qは、周波数軸AFのうちその周波数成分の周波数と、定位軸APのうちその周波数成分について定位解析部42が算定した定位方向θx[k,n]とに対応する座標に位置する。したがって、1個のトラックの音響信号X[n]に対応する複数の音像図形Qは、概略的には、図2に示すように、周波数軸AFに沿って長尺状に分布する。第1音像分布画像Gxと同様に、第2音像分布画像Gyの定位-周波数平面内には、調整処理の実行後の音響信号Y[n]の各周波数成分を表象する複数の音像図形QがNトラックの音響信号Y[1]〜Y[N]について並列に配置される。1個のトラックの音響信号Y[n]に対応する複数の音像図形Qは、概略的には、周波数軸AFに沿って長尺状に分布する。Nトラックの各々の周波数と定位方向との関係(すなわち調整処理の効果)を調整処理の実行前(第1音像分布画像Gx)と実行後(第2音像分布画像Gy)とで対比しながら評価することが可能である。
図1の優先度設定部46は、Nトラックの各々について優先度P[n](P[1]〜P[N])を可変に設定する。本実施形態の優先度設定部46は、入力装置24に対する利用者からの指示に応じて各トラックの優先度P[n]を設定する。例えば、利用者は、入力装置24を適宜に操作することで、第1音像分布画像Gxのうち所望のトラックの音像図形Qを選択してそのトラックの優先度P[n]を指示することが可能である。
制御部48は、定位解析部42がトラック毎に算定した定位方向θx[k,n]と優先度設定部46がトラック毎に設定した優先度P[n]とに応じて音響処理部32による調整処理(定位調整処理,強度調整処理,効果付与処理)を制御する。定位解析部42による定位方向θx[k,n]の算定と優先度設定部46による各優先度P[n]の設定との完了後に、入力装置24に対する所定の操作(例えば自動調整の開始を指示する操作子の押下)を契機として制御部48による調整処理の制御が開始される。
例えば、第n1番目(n1=1〜N)のトラックの音響信号X[n1]と第n2番目(n2=1〜N,n2≠n1)のトラックの音響信号X[n2]とに着目し、音響信号X[n1]の優先度P[n1]が音響信号X[n2]の優先度P[n2]を上回る場合(P[n1]>P[n2])を想定すると、制御部48は、優先度P[n1]の高い音響信号X[n1]が優先度P[n2]の低い音響信号X[n2]と比較して明瞭化される(聴感的な明瞭度が増加する)ように、音響処理部32による各トラックの調整処理を制御する。以下の説明では、第1音像分布画像Gxを例示する図3を参照しながら、調整処理の各処理(定位調整処理,強度調整処理,効果付与処理)に対する具体的な制御の内容を詳述する。
<定位調整処理>
制御部48は、Nトラックのうち優先度P[n]が低いトラックほど、定位解析部42が音響信号X[n]について算定した初期的な定位方向θx[k,n]からの変化量が大きくなるように、Nトラックの各々に対する定位調整処理を制御する。具体的には、優先度P[n2]のトラックの定位方向θx[k,n2]が、優先度P[n1](P[n1]>P[n2])のトラックの定位方向θx[k,n1]から離間するように、各トラックの定位調整処理が制御される。
例えば図3に示すように、音響信号X[2]の定位方向θx[k,2]と音響信号X[3]の定位方向θx[k,3]とが音響信号X[1]の定位方向θx[k,1]の左側に位置し、音響信号X[4]の定位方向θx[k,4]と音響信号X[5]の定位方向θx[k,5]とが音響信号X[1]の定位方向θx[k,1]の右側に位置する場合(N=5)を想定する。音響信号X[1]の優先度P[1]が最大である場合、図3に矢印で示すように、音響信号X[2]の定位方向θx[k,2]と音響信号X[3]の定位方向θx[k,3]とは左側に移動し、音響信号X[4]の定位方向θx[k,4]と音響信号X[5]の定位方向θx[k,5]とは右側に移動する。
音響信号X[3]の優先度P[3]が音響信号X[2]の優先度P[2]よりも低い場合(P[3]<P[2])、音響信号X[3]の定位方向θx[k,3]の変化量Δθ[3](処理前の定位方向θx[k,3]と処理後の定位方向θy[k,3]との差分)は、音響信号X[2]の定位方向θx[k,2]の変化量Δθ[2]を上回る。同様に、音響信号X[5]の優先度P[5]が音響信号X[4]の優先度P[4]よりも低い場合(P[5]<P[4])、音響信号X[5]の定位方向θx[k,5]の変化量Δθ[5]は、音響信号X[4]の定位方向θx[k,4]の変化量Δθ[4]を上回る。したがって、音響信号Zの再生音の受聴者は、優先度P[n]が高い音響信号X[n]の音像を明瞭に知覚することが可能である。
<強度調整処理>
制御部48は、Nトラックのうち優先度P[n]が低いトラックの音響信号X[n]ほど強度(全帯域にわたる強度)が低下するように、Nトラックの各々に対する強度調整処理を制御する。具体的には、優先度P[n2]のトラックの音響信号X[n2]の強度が、優先度P[n1](P[n1]>P[n2])のトラックの音響信号X[n1]の強度に対して抑制される。また、制御部48は、音響信号X[n2]のうち音響信号X[n1]の主要な分布帯域(例えば強度が所定値を上回る帯域)と重複する帯域内の各周波数成分の強度が低下するように、各トラックの強度調整処理を制御する。
例えば、図3に例示された状況(P[1]>P[2]>P[3],P[1]>P[4]>P[5])では、音響信号X[2]の全帯域にわたる強度が音響信号X[1]と比較して抑制され、かつ、音響信号X[2]のうち音響信号X[1]と周波数軸上で重複する帯域B[2]内の各周波数成分の強度が他の帯域と比較して抑制される。また、音響信号X[3]の全帯域にわたる強度が音響信号X[2]と比較して抑制され、かつ、音響信号X[3]のうち音響信号X[2]と重複する帯域B[3]内の各周波数成分の強度が他の帯域と比較して抑制される。音響信号X[4]および音響信号X[5]についても同様である。したがって、音響信号Zの再生音の受聴者は、優先度P[n]が高い音響信号X[n]の音響を高強度で明瞭に聴取することが可能である。
<効果付与処理>
制御部48は、Nトラックのうち優先度P[n]が高いトラックほど音響信号X[n]が明瞭化されるように、Nトラックの各々に対する効果付与処理(残響付加処理,強調処理)を制御する。すなわち、優先度P[n1]の音響信号X[n1]と優先度P[n2](P[n1]>P[n2])の音響信号X[n2]とに着目すると、音響信号X[n1]が音響信号X[n2]と比較して明瞭化されるように各トラックの効果付与処理が制御される。
例えば、図3に例示された状況(P[1]>P[2]>P[3],P[1]>P[4]>P[5])では、音響信号X[1]が音響信号X[2]と比較して強調されるとともに音響信号X[2]が音響信号X[3]と比較して強調されるように、効果付与処理のうち強調処理(ダイナミクス系エフェクト)の度合を制御部48は制御する。同様に、音響信号X[1]は音響信号X[4]と比較して強調され、音響信号X[4]は音響信号X[5]と比較して強調される。
また、音響信号X[2]に付加される残響効果の度合(残響時間)が音響信号X[1]に付加される残響効果の度合を上回り、音響信号X[3]に付加される残響効果の度合が音響信号X[2]に付加される残響効果の度合を上回るように、効果付与処理のうち残響付加処理による残響付加の度合を制御部48は制御する。同様に、音響信号X[4]に付加される残響効果の度合は音響信号X[1]に付加される残響効果の度合を上回り、音響信号X[5]に付加される残響効果の度合は音響信号X[4]に付加される残響効果の度合を上回る。したがって、優先度P[n]が低い音響信号X[n]ほど深い残響効果が付加されて定位感が低減(曖昧化)され、優先度P[n]が高い音響信号X[n]の定位感は相対的に明瞭化される。
利用者は、以上に例示した方法で制御された調整処理の実行後に、入力装置24を適宜に操作する(例えば第1音像分布画像Gxのうち所望のトラックの音像図形Qを定位軸APの方向にドラッグする)ことで各トラックの定位方向θx[n]を変更することが可能である。特定のトラックの定位方向θx[n]が変更されるたびに、制御部48は、以上に例示した調整処理の制御を実行する。
以上に例示した実施形態では、優先度P[n]が高いトラックの音響信号X[n]が優先度P[n]の低いトラックの音響信号X[n]と比較して明瞭化されるように、音響信号X[n]に対する調整処理がトラック毎に制御される。具体的には、定位解析部42が解析した定位方向θx[k,n]を調整する定位調整処理と、音響信号X[n]の音響特性(強度等)を調整する強度調整処理および効果付与処理とがトラック毎に制御される。以上の構成によれば、各トラックの音量のみが調整される非特許文献1の技術と比較して、Nトラックの音響信号X[1]〜X[N]がミックスダウンに好適な関係に調整されるから、Nトラックの音響信号X[1]〜X[N]をミックスダウンする場合の作業負担を軽減することが可能である。
<変形例>
以上に例示した形態には様々な変形が加えられる。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は併合され得る。
(1)音響処理部32による調整処理の内容は以上の例示に限定されない。例えば、ディストーションやオーバードライブ等のダイナミクス系エフェクトを調整処理(効果付与処理)として実行することも可能である。また、以上の例示では時間領域での調整処理を例示したが、周波数領域での調整処理も実行され得る。
(2)前述の形態では、第1音像分布画像Gxと第2音像分布画像Gyとを並置したが、第1音像分布画像Gxと第2音像分布画像Gyとを対比可能に表示する方法は以上の例示に限定されない。例えば、第1音像分布画像Gxおよび第2音像分布画像Gyの一方を透過画像として他方の前面に重複して配置する構成や、第1音像分布画像Gxおよび第2音像分布画像Gyの各々を時分割で表示する(例えば入力装置24の操作毎に一方から他方に切替わる)構成も採用され得る。
(3)前述の形態では、Nトラックの全部の音響信号X[1]〜X[N]について残響効果を付加したが、優先度P[n]が低い音響信号X[n](例えば優先度P[n]の降順で下位に位置する所定個の音響信号X[n]や優先度P[n]が閾値を下回る音響信号X[n])のみを対象として残響効果を付加し、優先度P[n]が高い残余の音響信号X[n]には残響効果を付加しない構成も採用され得る。
(4)前述の形態では、Nトラックの各々について優先度P[n]を設定したが、Nトラックのうち優先対象となるN個未満のトラックのみを指定する構成(所定個のトラックに対して残余のトラックよりも高い優先度P[n]を設定する構成)も採用され得る。
(5)各トラックの定位方向θx[k,n]を利用者からの指示に応じて変更可能な構成も採用され得る。なお、例えば優先度P[n2]の音響信号X[n2]の定位方向θx[k,n2]が優先度P[n1](P[n1]>P[n2])の音響信号X[n1]の定位方向θx[k,n1]に接近すると、音響信号X[n1]の定位感が減殺される。そこで、音響信号X[n2]の定位方向θx[k,n2]の変更範囲を、音響信号X[n1]の定位方向θx[k,n1]を含む所定の範囲(以下「禁止範囲」という)の外側に制限する構成(定位方向θx[k,n2]を定位方向θx[k,n1]に過度に接近させない構成)が好適である。例えば、利用者から指示された変更後の定位方向θx[k,n2]が禁止範囲内に位置する場合に変更前の位置に戻す構成や、禁止範囲を回避するように定位方向θx[k,n2]を変化させる構成が好適である。
(6)各トラックの定位方向θx[k,n]を調整する定位調整処理の内容は以上の例示に限定されない。例えば、相異なる2トラックの各定位方向θx[k,n]の間隔が所定値を上回るように各トラックの定位方向θx[k,n]を利用者が変更した場合に、特定のトラックの定位方向θx[k,n]をその間隔内に変更する構成が採用される。例えば、優先度P[n]が低い各トラックの定位方向θx[k,n]の間隔が拡張された場合に、優先度P[n]が高いトラックの定位方向θx[k,n]が自動的にその間隔内に変更される。以上の構成によれば、優先度P[n]が高いトラックの定位感を確実に明瞭化できるという利点がある。
100……音響処理装置、200……信号供給装置、12……演算処理装置、14……記憶装置、22……表示装置、24……入力装置、26……放音装置、32……音響処理部、34……信号合成部、42……定位解析部、44……表示制御部、46……優先度設定部、48……制御部、G……解析結果画像、Gx……第1音像分布画像、Gy……第2音像分布画像。

Claims (5)

  1. 複数トラックの音響信号の各々について定位方向を解析する定位解析手段と、
    前記音響信号の音響特性と前記定位解析手段が解析した定位方向とを調整する調整処理をトラック毎に実行する音響処理手段と、
    前記調整処理後の各トラックの音響信号を合成する信号合成手段と、
    前記各トラックの優先度を設定する優先度設定手段と、
    優先度の高いトラックの音響信号が優先度の低いトラックの音響信号と比較して明瞭化されるように、前記音響処理手段によるトラック毎の調整処理を制御する制御手段と
    を具備する音響処理装置。
  2. 前記調整処理は、音響信号の定位方向を調整する定位調整処理を含み、
    前記制御手段は、前記優先度の低いトラックの定位方向が、前記優先度の高いトラックの定位方向から離れるように、各トラックの定位調整処理を制御する
    請求項1の音響処理装置。
  3. 前記調整処理は、音響信号の各周波数成分の強度を調整する強度調整処理を含み、
    前記制御手段は、優先度の低いトラックの音響信号のうち優先度の高いトラックの音響信号と重複する帯域内の各周波数成分が抑制されるように、各トラックの強度調整処理を制御する
    請求項1または請求項2の音響処理装置。
  4. 前記調整処理は、前記音響信号を強調する強調処理を含み、
    前記制御手段は、優先度の高いトラックが優先度の低いトラックと比較して強調されるように、各トラックの強調処理を制御する
    請求項1から請求項3の何れかの音響処理装置。
  5. 前記調整処理は、前記音響信号に残響効果を付加する残響付加処理を含み、
    前記制御手段は、優先度の低いトラックに対する残響付加の度合が、優先度の高いトラックに対する残響付加の度合を上回るように、各トラックの残響付加処理を制御する
    請求項1から請求項4の何れかの音響処理装置。
JP2012037499A 2012-02-23 2012-02-23 音響処理装置および音響処理方法 Active JP5915249B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012037499A JP5915249B2 (ja) 2012-02-23 2012-02-23 音響処理装置および音響処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012037499A JP5915249B2 (ja) 2012-02-23 2012-02-23 音響処理装置および音響処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013175809A true JP2013175809A (ja) 2013-09-05
JP5915249B2 JP5915249B2 (ja) 2016-05-11

Family

ID=49268375

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012037499A Active JP5915249B2 (ja) 2012-02-23 2012-02-23 音響処理装置および音響処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5915249B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016082450A (ja) * 2014-10-17 2016-05-16 ヤマハ株式会社 ミキシング装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001306081A (ja) * 2000-03-17 2001-11-02 Sony France Sa 音楽的空間構成制御装置、音楽的臨場感形成装置、及び音楽的空間構成制御方法
JP2003257162A (ja) * 2002-02-27 2003-09-12 Yamaha Corp 音制御装置、音制御方法、プログラムおよび記録媒体
JP2004206747A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Japan Science & Technology Agency 楽曲ミキシング装置、方法およびプログラム
JP2006270741A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Clarion Co Ltd 車載音響処理装置、および、ナビゲーション装置
JP2007201818A (ja) * 2006-01-26 2007-08-09 Sony Corp オーディオ信号処理装置、オーディオ信号処理方法及びオーディオ信号処理プログラム
JP2011097268A (ja) * 2009-10-28 2011-05-12 Sony Corp 再生装置、ヘッドホン及び再生方法
JP2011158674A (ja) * 2010-01-29 2011-08-18 Roland Corp ユーザインターフェイス装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001306081A (ja) * 2000-03-17 2001-11-02 Sony France Sa 音楽的空間構成制御装置、音楽的臨場感形成装置、及び音楽的空間構成制御方法
JP2003257162A (ja) * 2002-02-27 2003-09-12 Yamaha Corp 音制御装置、音制御方法、プログラムおよび記録媒体
JP2004206747A (ja) * 2002-12-24 2004-07-22 Japan Science & Technology Agency 楽曲ミキシング装置、方法およびプログラム
JP2006270741A (ja) * 2005-03-25 2006-10-05 Clarion Co Ltd 車載音響処理装置、および、ナビゲーション装置
JP2007201818A (ja) * 2006-01-26 2007-08-09 Sony Corp オーディオ信号処理装置、オーディオ信号処理方法及びオーディオ信号処理プログラム
JP2011097268A (ja) * 2009-10-28 2011-05-12 Sony Corp 再生装置、ヘッドホン及び再生方法
JP2011158674A (ja) * 2010-01-29 2011-08-18 Roland Corp ユーザインターフェイス装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016082450A (ja) * 2014-10-17 2016-05-16 ヤマハ株式会社 ミキシング装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5915249B2 (ja) 2016-05-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101387195B1 (ko) 오디오 신호의 공간 추출 시스템
JP5955862B2 (ja) 没入型オーディオ・レンダリング・システム
RU2637990C1 (ru) Генерирование бинаурального звукового сигнала в ответ на многоканальный звуковой сигнал с использованием по меньшей мере одной схемы задержки с обратной связью
RU2666316C2 (ru) Аппарат и способ улучшения аудиосигнала, система улучшения звука
US20110200195A1 (en) Systems and methods for speaker bar sound enhancement
US10178491B2 (en) Apparatus and a method for manipulating an input audio signal
GB2565747A (en) Enhancing loudspeaker playback using a spatial extent processed audio signal
EP2708041B1 (en) Apparatus and method and computer program for generating a stereo output signal for providing additional output channels
JP5915308B2 (ja) 音響処理装置および音響処理方法
US8116469B2 (en) Headphone surround using artificial reverberation
US9106993B2 (en) Sound processing apparatus
JP5915249B2 (ja) 音響処理装置および音響処理方法
JP4392040B2 (ja) 音響信号処理装置、音響信号処理方法、音響信号処理プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体
JP6212348B2 (ja) アップミックス装置、音響再生装置、音響増幅装置、及びプログラム
GB2625729A (en) Audio techniques
JP2013114242A (ja) 音響処理装置
JP2023548570A (ja) オーディオシステムの高さチャネルアップミキシング

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141217

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150410

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150519

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150721

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160308

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160321

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5915249

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151