JP2013174001A - 粒状金属鉄の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む原料混合物を、移動炉床式加熱還元炉で加熱して粒状金属鉄を製造する際に、粒状金属鉄の歩留まりを高め、生産性を向上できる粒状金属鉄の製造方法を提供する。
【解決手段】原料混合物として、1150℃において下記(1)〜(6)の要件を満足するスラグZが生成されるものを用いる。
(1)液相率が80%以上。
(2)FeO量が5〜60質量%。
(3)SiO2量が30質量%以上。
(4)CaO量が0.5〜50質量%。
(5)FeO量およびSiO2量から求められるFeO/SiO2比が0.17〜2.0。
(6)FeO量およびCaO量から求められるFeO/CaO比が0.2〜50。
【選択図】図1

Description

本発明は、粒状金属鉄の製造方法に関するものであり、詳細には、鉄鉱石等の酸化鉄含有物質と、石炭やコークス等の炭素質還元剤(以下、炭材ということがある)とを含む原料混合物を移動炉床式加熱還元炉で加熱し、該原料混合物中の酸化鉄を前記炭素質還元剤により還元し、粒状金属鉄を製造する方法に関するものである。なお、本発明において、「粒状」とは、必ずしも真球状であることを意味するものではなく、楕円状、卵形状、あるいはそれらが若干扁平したものも含む意味である。
鉄鉱石や酸化鉄等の酸化鉄含有物質から鉄を生産する方法としては、高炉法が主流である。その一方で、比較的小規模で、多品種・少量生産向きの製鉄法として、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤とを含む原料混合物(あるいは該原料混合物を押し固めた簡易成形体、更にはペレットやブリケットなどに成形した炭材内装成形体)を移動炉床式の加熱還元炉(例えば、回転炉床炉など)に供給し、該原料混合物が該炉内を移動する間に、加熱バーナーによる燃焼熱や輻射熱で加熱することによって該原料混合物中の酸化鉄を炭素質還元剤で直接還元し、得られた金属鉄(還元鉄)を続いて浸炭・溶融させ、次いで副生するスラグと分離しつつ粒状に凝集させた後、冷却凝固させて粒状の金属鉄(還元鉄)を製造する直接還元製鉄法が開発されている(特許文献1〜3など)。この直接還元製鉄法では高炉等の大規模な設備が不要になるため、実用化に向けて研究が盛んに行われている。しかし工業的規模で実施するには、操業安定性や安全性、経済性、粒状金属鉄(製品)の品質などを含めて更に改善しなければならない課題も多い。
当該課題の一つとして、粒状金属鉄の生産性の向上が挙げられる。生産性が悪ければ工業的規模で実施することはまず不可能だからである。そこで本出願人は、粒状金属鉄を生産性よく製造できる技術を先に提案している(特許文献4〜6)。これらの技術では、金属鉄を溶融させたときに副生するスラグに含まれるCaO量、MgO量、およびSiO2量から求められる塩基度[(CaO+MgO)/SiO2]と、スラグ中のMgO量を制御したり(特許文献4)、上記塩基度[(CaO+MgO)/SiO2]を所定の範囲に制御したうえで、原料混合物に、Na2O供給物質、K2O供給物質、Li2O供給物質、またはアルカリ金属を少なくとも一種含む融点が1400℃以下の複合酸化物を配合している(特許文献5、6)。
特開平2−228411号公報 特開2001−279313号公報 特開2001−247920号公報 特開2004−285399号公報 特開2009−7621号公報 特開2009−7619号公報
上記特許文献4〜6に開示した技術によって、粒状金属鉄の生産性をある程度向上できたが、粒状金属鉄の歩留まりを更に高め、粒状金属鉄の生産性を一層向上させる技術が求められている。
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む原料混合物を、移動炉床式加熱還元炉で加熱して粒状金属鉄を製造する際に、粒状金属鉄の歩留まりを高め、生産性を向上できる粒状金属鉄の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできる本発明に係る粒状金属鉄の製造方法とは、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む原料混合物を、移動炉床式加熱還元炉で加熱し、該原料混合物中の酸化鉄を前記炭素質還元剤により還元し、生成する金属鉄を副生するスラグと分離しつつ粒状に凝集させた後、冷却凝固させて粒状金属鉄を製造する方法である。そして、本発明の粒状金属鉄の製造方法は、前記原料混合物として、1150℃において下記(1)〜(6)の要件を満足するスラグZが生成されるものを用いる点に要旨を有している。
(1)液相率が80%以上。
(2)FeO量が5〜60質量%。
(3)SiO2量が30質量%以上。
(4)CaO量が0.5〜50質量%。
(5)FeO量およびSiO2量から求められるFeO/SiO2比が0.17〜2.0。
(6)FeO量およびCaO量から求められるFeO/CaO比が0.2〜50。
前記原料混合物を1150℃に加熱した後、表層断面における成分組成を少なくとも200点を一定の間隔で分析したときに、該成分組成が前記(2)〜(6)の全ての要件を満足する分析点の数の割合が、全分析点の数に対して3.5%以上となる原料混合物を用いることが好ましい。前記酸化鉄含有物質としては、該酸化鉄含有物質中のAl23量およびSiO2量から求められるAl23/SiO2比が0.1以下のものを用いることが好ましい。
本発明によれば、1150℃において所定の条件を満足するスラグが生成する原料混合物を用いているため、スラグが比較的低温で溶融し、スラグの凝集性が促進される。その結果、粒状金属鉄の凝集が促進されるため、粒状金属鉄の歩留まりが高くなり、粒状金属鉄の生産性が向上する。
図1は、スラグの組成とスラグの液相率との関係を示すSiO2−CaO−FeOn三元系状態図に、発明例の結果を示した説明図である。 図2は、スラグの組成とスラグの液相率との関係を示すSiO2−CaO−FeOn三元系状態図に、比較例の結果を示した説明図である。 図3は、回転炉床式の加熱還元炉の一構成例を示す概略説明図である。 図4は、実施例に示した(a)〜(e)の全ての要件を満足する分析点の数と、歩留まり率(%)との関係を示すグラフである。
まず、本発明を完成するに至った経緯を説明する。直接還元製鉄法で粒状金属鉄を製造するにあたり、原料混合物に含まれる脈石が多い場合には、副生するスラグ量が増大し、その凝集性が低下し、得られる粒状金属鉄の歩留まりが低下することが知られている。即ち、副生スラグの凝集性が低下すると、加熱還元により生成する粒状金属鉄と副生するスラグが混在した状態となるため、粒状金属鉄と副生スラグとの分離し難くなり、金属鉄の粒状化や塊状化が充分に進まず、粒状金属鉄がスラグを抱き込んだものとなったり、或いは極めて微細な粒状金属鉄が多量に生成し、副生スラグとの分離が困難となり、製品として適正粒度範囲の粒状金属鉄の歩留り率が低下する。
また、原料混合物として配合する酸化鉄含有物質や炭素質還元剤の種類によっては、その中に含まれる脈石が少ないものもあるが、その種類や組成によっては副生スラグの凝集性が劣悪になることがしばしば観察される。
そこで、本発明者らは、原料混合物を加熱したときに副生するスラグの凝集性を改善することを目指して検討した。その結果、スラグの融点を低下させれば、スラグの凝集性が向上すること、これにより加熱還元して得られた金属鉄の凝集性も高まるため、粒状金属鉄の生産性が向上することが明らかになった。そして、スラグの融点を低下させるには、原料混合物として、1150℃において所定の要件を満足するスラグZが生成されるものを用いればよいこと、これにより移動炉床式加熱還元炉を操業するときの一般的な温度である1450℃程度ではスラグが殆ど溶融するため、金属鉄の凝集性が高くなり、粒状金属鉄の生産性が向上することが明らかになった。
以下、本発明について説明する。
本発明に係る粒状金属鉄の製造方法は、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む原料混合物を、移動炉床式加熱還元炉で加熱し、該原料混合物中の酸化鉄を前記炭素質還元剤により還元し、生成する金属鉄を副生するスラグと分離しつつ粒状に凝集させた後、冷却凝固させて粒状金属鉄を製造するものである。そして本発明は、上記原料混合物として、1150℃において下記(1)〜(6)の要件を満足するスラグZが生成されるものを用いるところに特徴がある。
(1)液相率が80%以上。
(2)FeO量が5〜60質量%。
(3)SiO2量が30質量%以上。
(4)CaO量が0.5〜50質量%。
(5)FeO量およびSiO2量から求められるFeO/SiO2比が0.17〜2.0。
(6)FeO量およびCaO量から求められるFeO/CaO比が0.2〜50。
1150℃において上記(1)〜(6)の全ての要件を満足するスラグが生成するように成分調整を行った原料混合物を移動炉床式加熱還元炉内で加熱すると、スラグ形成成分が速やかに溶解し、これが凝集してスラグが素早く形成される。スラグが素早く形成されると、残った金属鉄は粒状に凝集し易くなるため、結果として、粒状金属鉄の歩留まりが向上し、粒状金属鉄の生産性が向上する。
上記(1)〜(6)の範囲は、本発明者らが種々実験を行った結果、導出されたものである。即ち、後述する実施例で示すように、成分組成の異なる鉄鉱石を用い、溶解完了時間がほぼ同じになるように成分調整した配合物を加熱すると、図1、図2に示す結果が得られた。図1および図2は、スラグの組成とスラグの液相率との関係を示すSiO2−CaO−FeOn三元系状態図に、発明例(図1)または比較例(図2)の結果を示した説明図である。図中、●はスラグの液相率が80%以上の結果、▲はスラグの液相率が30%以上、80%未満の結果、◆はスラグの液相率が30%未満の結果を夫々示している。
図1は、発明例の結果を示しており、上記配合物(原料混合物)を1150℃まで加熱したときに、(1)液相率が80%以上で、且つ(2)FeO量が5〜60質量%、(3)SiO2量が30質量%以上、(4)CaO量が0.5〜50質量%。(5)FeO量およびSiO2量から求められるFeO/SiO2比が0.17〜2.0の範囲、(6)FeO量およびCaO量から求められるFeO/CaO比が0.2〜50の範囲の全てを満足するスラグが生成している。
一方、図2は、比較例の結果を示しており、上記配合物(原料混合物)を1150℃まで加熱したときに、スラグの液相率が80%以上の分析点は3点見つかったが、これらの成分組成は、上記(2)〜(6)のいずれかの要件を満足していない。
そして図1に示した例では、1450℃に加熱したときにおけるスラグの溶融が促進され、下記表5に示すように、粒状金属鉄の歩留まり率が100%以上となり、粒状金属鉄の生産性が向上している。これに対し、図2に示した例では、1450℃に加熱したときにおけるスラグの溶融は促進されず、下記表5に示すように、粒状金属鉄の歩留まり率は100%未満となり、粒状金属鉄の生産性は改善できていない。
以下、本発明で規定している各範囲について説明する。
本発明では、上記原料混合物を1150℃まで加熱したときに生成するスラグのうち、上記(1)〜(6)の要件を満足しているスラグを「スラグZ」と呼ぶこととする。即ち、上記原料混合物を加熱すると、該原料混合物に含まれる脈石が徐々に溶融し、溶融スラグを形成する。脈石の融点は、脈石の成分組成によって異なり、加熱温度1150℃では、温度が低いため、原料混合物に含まれる脈石は一部が溶融し、溶融スラグと脈石が混在したスラグを形成しているものが多い。そのため溶融スラグは隣り合う溶融スラグと接触して凝集しないため、固液混合状態のスラグが原料混合物中に分散した状態となり、スラグ群を形成している。本発明では、このスラグ群のうち、上記(1)〜(6)の全ての要件を満足するスラグを「スラグZ」と呼び、このスラグZが生成するような原料混合物を用いている。
[(1)スラグの液相率が80%以上]
本発明では、スラグの体積基準で、1150℃における液相率が80%以上のスラグに着目している。1150℃におけるスラグの液相率が80%以上となるように原料混合物の成分組成を適切に制御することによって、該原料混合物を更に高温に加熱したときに生成する溶融スラグ量を増大させることができるため、スラグの凝集性が向上する。その結果、粒状金属鉄の凝集性も向上するため、粒状金属鉄の歩留まりが高くなり、粒状金属鉄の生産性が向上する。
上記スラグの液相率は、上記原料混合物を1150℃まで加熱した後冷却し、日本電子製の電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)「JSM−7001F(装置名)」と、エネルギー分散形X線分析装置(EDX)「JED−2300F(装置名)」を用いてスラグの成分組成を測定し、「FactSage(ソフトウェア名)」を用いて算出したスラグの融点に基づいて求めればよい。
[(2)スラグ中のFeO量が5〜60質量%]
スラグ中のFeO量が5質量%を下回るか、60質量%を超えると、1150℃まで加熱してもスラグの液相率を80%以上に高めることができない。また、1150℃を超える温度に更に加熱しても殆どのスラグは、スラグの液相率が80%以上にならないため、スラグの凝集性を高めることができない。従って粒状金属鉄の凝集が阻害され、粒状金属鉄の歩留まりが低下し、粒状金属鉄の生産性を向上できない。よって本発明では上記スラグ中のFeO量は5〜60質量%の範囲とした。上記スラグ中のFeO量は好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは58質量%以下、より好ましくは55質量%以下である。
[(3)スラグ中のSiO2量が30質量%以上]
スラグ中のSiO2量が30質量%を下回るとスラグの融点が高くなり、1150℃におけるスラグの液相率を80%以上に高めることができない。そのため1150℃を超える温度に更に加熱しても液相率が80%以上となるスラグは殆ど生成しないため、スラグの凝集性を高めることができない。従って粒状金属鉄の凝集が阻害され、粒状金属鉄の歩留まりが低下し、粒状金属鉄の生産性を向上できない。よって本発明では上記スラグ中のSiO2量が30質量%以上とした。上記スラグ中のSiO2量は好ましくは31質量%以上、より好ましくは32質量%以上である。上記スラグ中のSiO2量の上限は特に限定されないが、例えば、好ましくは60質量%以下、より好ましくは58質量%以下である。
[(4)スラグ中のCaO量が0.5〜50質量%]
スラグ中のCaO量を0.5〜50質量%の範囲に制御することによって、スラグの融点を降下させることができ、1150℃におけるスラグの液相率を80%以上に高めることができる。上記スラグ中のCaO量は、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上であり、好ましくは48質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。
[(5)スラグ中のFeO量およびSiO2量から求められるFeO/SiO2比(質量比)が0.17〜2.0の範囲]
上記FeO/SiO2比が0.17を下回るか、2.0を超えると、スラグの融点が高くなり、1150℃におけるスラグの液相率を80%以上に高めることができない。そのため1150℃を超える温度に更に加熱しても液相率が80%以上となるスラグは殆ど生成しないため、スラグの凝集性を高めることができない。従って粒状金属鉄の凝集が阻害され、粒状金属鉄の歩留まりが低下し、粒状金属鉄の生産性を向上できない。よって本発明では上記FeO/SiO2比を0.17〜2.0の範囲とした。上記FeO/SiO2比は好ましくは0.3以上、より好ましくは0.35以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは1.9以下、より好ましくは1.8以下である。
[(6)スラグ中のFeO量およびCaO量から求められるFeO/CaO比(質量比)が0.2〜50の範囲]
上記FeO/CaO比が0.2を下回るか、50を超えると、スラグの融点が高くなり、1150℃におけるスラグの液相率を80%以上に高めることができない。そのため1150℃を超える温度に更に加熱しても液相率が80%以上となるスラグは殆ど生成しないため、スラグの凝集性を高めることができない。従って粒状金属鉄の凝集が阻害され、粒状金属鉄の歩留まりが低下し、粒状金属鉄の生産性を向上できない。よって本発明では上記FeO/CaO比を0.2〜50の範囲とした。上記FeO/CaO比は好ましくは0.25以上、より好ましくは0.3以上であり、好ましくは49.8以下、より好ましくは49.5以下である。
本発明では、前記原料混合物を1150℃に加熱した後、表層断面における成分組成を少なくとも200点において一定の間隔で分析したときに、該成分組成が前記(2)〜(6)の全ての要件を満足する分析点の数の割合が、全分析点の数に対して3.5%以上となる原料混合物を用いることが好ましい。所定の成分組成を満足する分析点の割合が、3.5%以上であることによって、原料混合物を加熱還元して粒状金属鉄を製造したときの歩留まり率を90%以上に高めることができる。上記割合は、より好ましくは4.5%以上、更に好ましくは5.5%以上である。成分組成の分析点数は、少なくとも200点とすればよく、より好ましくは500点とすればよい。成分組成の分析は、表層断面(表面を含むように、表面に対して垂直方向に切断した断面)において、例えば、30〜100μm間隔で行えばよい。成分組成を分析する具体的な手順は、後記実施例で詳述する。
1150℃において上記(1)〜(6)の要件を満足するスラグZを生成させ、また、1150℃に加熱した後、表層断面における成分組成を少なくとも200点を一定の間隔で分析したときに、該成分組成が上記(2)〜(6)の全ての要件を満足する分析点の数の割合が、全分析点の数に対して3.5%以上とするには、原料混合物の成分組成を調整したり、原料混合物の加熱パターンを制御すればよい。
即ち、上記1150℃における液相率が80%以上のスラグを生成させるには、上記酸化鉄含有物質として、該酸化鉄含有物質中のAl23量およびSiO2量から求められるAl23/SiO2比(質量比)が0.1以下のものを用いることが好ましい。Al23/SiO2比が0.1を超える酸化鉄含有物質を用いると、SiO2量が少ないため、加熱還元途中(特に、1150℃付近)において、FeO−CaO系の高融点相が形成されやすくなる。これに対し、Al23/SiO2比が0.1以下の酸化鉄含有物質を用いると、加熱還元途中(特に、1150℃付近)において、酸化鉄と脈石とフラックスの接触により、FeO−SiO2−CaO系の低融点相が形成されやすくなる。そのため、1150℃における液相率が80%以上のスラグを生成させやすくなる。上記Al23/SiO2比は、より好ましくは0.08以下、更に好ましくは0.06以下である。なお、上記酸化鉄含有物質には、Al23とSiO2は不可避的に含まれるため、Al23/SiO2比が0の場合は除かれる。
本発明では、上記酸化鉄含有物質中のSiO2量は、例えば、4.0質量%以上であることが好ましい。SiO2を4.0質量%以上含有する酸化鉄含有物質を用いることによって、スラグの融点を降下させることができる。
上述したスラグ中のFeO量、SiO2量、CaO量は、原料である酸化鉄含有物質と炭素質還元剤の配合量を適切に調整することによって制御できる。酸化鉄含有物質は、通常、FeOの他、SiO2およびCaOなどの脈石を含んでおり、また炭素質還元剤は、通常、SiO2およびCaOなどの脈石を含んでいるため、これらがFeO供給物質、SiO2供給物質、CaO供給物質となるからである。
上述したスラグ中のFeO量は、加熱パターンを制御することによって調整することができる。例えば、上記酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む原料混合物を1450℃に加熱還元して金属鉄を製造する場合には、該原料混合物を炉に供給してから最終到達温度(ここでは1450℃)に達するまでの間で、約450〜550℃(特に、500℃)と約1150〜1190℃(特に、1170℃)を境として昇温速度を変えることが好ましい。具体的には、次のように加熱パターンを制御すればよい。即ち、常温から約450〜550℃までの昇温速度を590〜610℃/分、約450〜550℃から約1150〜1190℃までの昇温速度を140〜160℃/分、約1150〜1190℃から1450℃までの昇温速度を45〜55℃/分とすればよい。最も好ましくは、常温から約500℃までの昇温速度を600℃/分、約500℃から約1170℃までの昇温速度を150℃/分、約1170℃から1450℃までの昇温速度を50℃/分とすればよい。最高到達温度は、1450℃に限定されず、例えば、1400〜1500℃であればよい。
なお、酸化鉄含有物質の代表例である鉄鉱石や、炭素質還元剤の代表例である石炭やコークスは天然物であり、種類に応じてFeO、SiO2、CaOの各含有量も変化する。そのため、それらの配合量を一律に規定することは困難であるが、酸化鉄含有物質の成分組成と、炭素質還元剤の成分組成を考慮し、適切に調整することが好ましい。また、後述するように、炉床上に敷く床敷材として炭素質粉末を用いる場合は、該炭素質粉末の成分とその量も考慮して、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤の配合量を調整することによって、上記スラグ中のSiO2量およびCaO量を制御すればよい。
本発明に用いられる原料混合物は、前述した酸化鉄含有物質および炭素質還元剤のほかに、スラグ組成調整用副原料、バインダー、CaF2供給物質などを含んでいてもよい。
上記スラグ組成調整用副原料としては、前述した酸化鉄含有物質および炭素質還元剤以外の「他のCaO供給物質」や、MgO供給物質などを含んでいてもよい。即ち、本発明に用いられる原料混合物は、前述した酸化鉄含有物質および炭素質還元剤のほかに、これら以外の「他のCaO供給物質」(酸化鉄含有物質および炭素質還元剤から見れば、外添物質)を含んでいてもよい。この場合は、当該「他のCaO供給物質」の成分組成とその配合量も考慮して酸化鉄含有物質と炭素質還元剤の量を調整することによって、最終的に、上記スラグ中のCaO量を制御すればよい。
上記他のCaO供給物質の種類は特に制限されないが、例えば、生石灰(CaO)や石灰石(主成分はCaCO3)、ドロマイト鉱石などが挙げられる。これらは、夫々単独で配合してもよいし、併用して配合してもよい。
上記MgO供給物質の種類は特に制限されないが、例えば、MgO粉末や天然鉱石や海水などから抽出されるMg含有物質、或いは炭酸マグネシウム(MgCO3)などが挙げられる。好ましくはMgO粉末や炭酸マグネシウムであり、これらは夫々単独で配合してもよいし、併用して配合してもよい。
上記バインダーの種類は特に制限されないが、例えば、多糖類(例えば、小麦粉等の澱粉)が挙げられる。
上記CaF2供給物質の種類は特に制限されないが、例えば、蛍石が挙げられる。環境対策重視の観点に基づけば、有害なフッ素を含有する蛍石などのCaF2供給物質を原料混合物に配合しないことが望ましく、本発明によれば、CaF2供給物質を配合しなくても充分に粒状金属鉄の凝集性を向上できる。しかし原料混合物にCaF2供給物質を配合すれば、粒状金属鉄の凝集性を一層向上できる。また、原料混合物にCaF2供給物質を配合すれば、スラグの脱硫能が向上し、粒状金属鉄に含まれるS量(硫黄量)を低減できる。従って本発明による効果を損なわない範囲であれば、上記原料混合物にCaF2供給物質を配合しても構わない。
次に、本発明に係る移動炉床式加熱還元炉を用いた粒状金属鉄の製造方法を、図3を参照しながら詳細に説明する。図3には、本発明の製造方法に好ましく用いられる移動炉床式加熱還元炉の一例を示しているが、本発明はこれに限定する趣旨ではない。
図3は、移動炉床式加熱還元炉のうち、回転炉床式の加熱還元炉Aの一構成例を示す概略説明図である。なお、炉の内部構造を示すために、炉の一部を切り欠き、内部を示している。
上記回転炉床式の加熱還元炉Aには、酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む原料混合物1が、原料投入ホッパー3を通して、回転炉床4上へ供給される。
上記酸化鉄含有物質としては、通常、鉄鉱石(例えば、マグネタイト鉱石)や酸化鉄などが用いられる。上記炭素質還元剤としては、通常、石炭やコークスなどが用いられる。上記原料混合物1には、必要に応じて、上述したスラグ組成調整用副原料、バインダー、CaF2供給物質などを更に配合してもよい。
上記原料混合物1を供給するときの形態は特に限定されず、上記酸化鉄含有物質および上記炭素質還元剤などを適度に混合したものを供給すればよい。また、上記酸化鉄含有物質および上記炭素質還元剤などを押し固めて得られた簡易成形体を供給するか、または上記酸化鉄含有物質および上記炭素質還元剤などをペレットやブリケットなどに成形した炭材内装成形体を供給してもよい。
ここで、原料混合物1等を加熱還元炉Aに供給するときの手順を具体的に説明する。前記原料混合物1の供給に先立って、原料投入ホッパー3から回転炉床4上に炭素質粉末2を床敷として供給して敷き詰めておき、その上に上記原料混合物1を供給するのがよい。
上記酸化鉄含有物質と上記炭素質還元剤以外に配合され得るCaO供給物質や、或いはMgO供給物質等の添加法にも格別の制限はなく、原料混合物の調整段階で配合したり、床敷材と共に、或いはこれとは独立に回転炉床上へ予め装入しておき、或いは原料混合物の供給と同時もしくは原料混合物の供給後に上方から別途供給する方法、等を適宜採用できる。
図3に示した例では、1つの原料投入ホッパー3を炭素質粉末2の供給と、上記原料混合物1を供給するために共用する例を示しているが、ホッパーを2つ以上用いて上記炭素質粉末2と上記原料混合物1を別々に供給することも勿論可能である。
なお、床敷材として炉床上に供給される炭素質粉末2の使用は必ずしも必須ではなく、供給を省略してもよいが、炉床上に炭素質粉末2を床敷材として供給すれば、炉内の還元ポテンシャルがより効率的に高められ、金属化率の向上と硫黄含有量の低減の両作用をより一層効果的に発揮させることができるので好ましい。
こうした床敷材としての作用をより確実に発揮させるには、炉床上へ2mm程度以上の厚みで炭素質粉末2を敷いておくことが望ましい。炭素質粉末2を床敷材としてある程度の厚みを持った層状に敷き詰めておけば、この床敷層が原料混合物と炉床耐火物の緩衝材となり、或いは副生スラグ等に対する炉床耐火物の保護材となり、炉床耐火物の寿命延長にも役立つ。但し、上記床敷層の厚みは、7.5mm程度以下に抑えることが望ましい。床敷層が厚くなり過ぎると、原料混合物が炉床上の床敷層内へ潜り込んでしまい、還元の進行が阻害される等の問題を生じることがある。
上記床敷材として用いる炭素質粉末の種類は特に限定されず、通常の石炭やコークス等を粉砕し、好ましくは適度に粒度調整したものを使用すればよい。石炭を使用する場合は、流動性が低く且つ炉床上で膨れや粘着性を帯びることのない無煙炭を使用することが好適である。上記床敷材として装入する炭素質粉末は、上記原料混合物1に配合されている炭素質還元剤よりも硫黄含有量が少ないものを用いることが好ましい。
図3に戻って説明する。図3に示した加熱還元炉Aの回転炉床4は、反時計方向に回転されている。回転炉床4の回転速度は、加熱還元炉Aの大きさや操業条件によって異なるが、通常は8分から16分程度で1周する速度である。加熱還元炉Aにおける炉体8の壁面には加熱バーナー5が複数個設けられており、該加熱バーナー5の燃焼熱あるいはその輻射熱によって炉床部に熱が供給される。加熱バーナー5は、炉の天井部に設けてもよい。
耐火材で構成された回転炉床4上に供給した上記原料混合物1は、該回転炉床4上で加熱還元炉A内を周方向へ移動する中で、加熱バーナー5からの燃焼熱や輻射熱によって加熱される。そして当該加熱還元炉A内の加熱帯を通過する間に、当該原料混合物1内の酸化鉄は還元された後、副生する溶融スラグと分離しながら、且つ残余の炭素質還元剤による浸炭を受けて溶融しながら粒状に凝集して粒状金属鉄10となり、回転炉床4の下流側ゾーンで冷却固化された後、スクリューなどの排出装置6によって炉床上から順次排出される。このとき副生したスラグも排出されるが、これらはホッパー9を経た後、任意の分離手段(例えば、篩目や磁選装置など)により金属鉄とスラグの分離が行われる。なお、図3中、7は排ガス用ダクトを示している。
以上の通り、本発明では原料混合物として、1150℃において所定の要件を満足するスラグZが生成されるものを用いることによって、スラグの融点を降下させることができる。その結果、溶融した還元鉄の凝集を促進できるため、鉄の凝集性が良好となり、鉄の歩留まりが向上し、粒状金属鉄の生産性を向上できる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、下記実施例では、小型の実験用加熱還元炉を用いて試験を行った結果を示す。
酸化鉄含有物質として鉄鉱石を用い、炭素質還元剤として石炭を用い、これらを混合して原料混合物を得た。鉄鉱石の成分組成を下記表1に、石炭の成分組成を下記表2に示す。下記表1には、鉄鉱石に含まれるAl23量およびSiO2量から求められるAl23/SiO2比(質量比)を算出して示した。下記表2において、分析値の「その他」とは固形炭素質を意味する。
上記原料混合物には、酸化鉄含有物質(鉄鉱石)と炭素質還元剤(石炭)の他にバインダー、スラグ組成調整用副原料、およびCaF2供給物質を配合して配合物を得た。上記バインダーとしては、小麦粉を配合した。上記スラグ組成調整用副原料としては、CaOの供給物質としてドロマイト鉱石(主成分はCaCO3・MgCO3で、詳細な成分組成を下記表3に示す。)および石灰石を配合し、副生するスラグの塩基度が各サンプルでほぼ同じ(目標塩基度は1.2)になるように成分調整を行った。上記CaF2供給物質としては、蛍石を配合した。配合物の成分組成を下記表4に示す。
得られた配合物に適量の水を添加し、タイヤ型造粒機を用いて直径約19mmの生ペレットに造粒した。得られた生ペレットを乾燥機に供給し、180℃で1時間加熱して付着水を完全に除去して原料成形体を得た。
次に、得られた原料成形体を小型の実験用加熱還元炉内へ供給して加熱還元した。炉床上には、床敷材として下記表2に示す成分組成の石炭(炭素質粉末)を5mm程度の厚みで敷いた。炉内温度は1450℃に調整した。
なお、上記原料成形体を実験用加熱還元炉内へ供給してから該原料成形体の温度が1450℃に到達するまでの熱履歴は、次の通りである。即ち、常温から約500℃までの昇温速度を600℃/分、約500℃から約1170℃までの昇温速度を150℃/分、約1170℃から1450℃までの昇温速度を50℃/分とした。
加熱還元炉の炉床上に供給された原料成形体中の酸化鉄は、約10分かけて炉内で加熱される間に固体状態を維持しながら還元され、生成した還元鉄は、還元後に残っている炭素質粉末による浸炭を受けながら融点降下して相互に凝集した。このとき副生するスラグも、部分的、もしくはほぼ完全に溶融して相互に凝集し、溶融状態の粒状金属鉄と溶融スラグに分離した。その後、これら溶融状態の粒状金属鉄と溶融スラグを冷却して融点以下に降温(具体的には、1100℃程度までに冷却)して凝固させ、固体状態の粒状金属鉄またはスラグとして炉外へ排出した。このとき上記原料成形体を実験用加熱還元炉内へ装入した後、該加熱還元炉内の様子を目視で観察し、視界内に認められる成形体が全て溶解するまでにかかった時間(溶解完了時間)を測定した。溶解完了時間を表5に示す。
また、得られた粒状金属鉄と副生したスラグの成分組成を下記表5に示す。また、配合物の成分組成に基づいて求められるFe量に対する、凝集して粒状金属鉄として得られたFe量の割合(歩留まり率;%)を算出し、結果を下記表5に示す。
次に、上記原料成形体を上述した熱履歴で加熱するにあたり、上記原料成形体の温度が1150℃になった時点で加熱を止め、室温に冷却した。冷却後の原料成形体について、日本電子製の電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)「JSM−7001F(装置名)」と、これに付属している日本電子製のエネルギー分散形X線分析装置(EDX)「JED-2300F(装置名)」を用いて、表層断面におけるスラグの成分組成を無作為に分析した。具体的には、上記FE−SEMで観察された約0.24mm2の視野(横0.6mm×縦0.4mm)について、スラグ相に相当する箇所の成分組成を、観察視野1視野当たり10〜30点測定した。観察視野数は5〜10視野とした。なお、成分組成を分析した点数は、下記表5のNo.1は71点、No.2は111点であった。これら分析点における成分組成に基づいて「FactSage(ソフトウェア名)」を用い、各スラグの融点を算出し、1150℃におけるスラグの液相率を求めた。
下記表5のNo.1については、下記表6および表7に、成分組成を分析した全ての個々のスラグ中のMgO量、Al23量、SiO2量、FeO量、CaO量、CaF2量、1150℃におけるスラグの液相率を示した。また、FeO/SiO2比(質量比)、およびFeO/CaO比(質量比)を算出し、併せて示した。
一方、下記表5のNo.2については、下記表8に、成分組成を分析したスラグのうち、1150℃における液相率が80%以上のスラグ中のMgO量、Al23量、SiO2量、FeO量、CaO量、CaF2量、1150℃におけるスラグの液相率を示した。また、FeO/SiO2比(質量比)、およびFeO/CaO比(質量比)を算出し、併せて示した。
下記表5〜表8から次のように考察できる。No.1とNo.2は、いずれも副生するスラグの塩基度がほぼ等しくなるように成分調整したため、溶解完了時間は同じであった。しかし、本発明で規定する要件を満足しているNo.1と本発明で規定する要件を満足していないNo.2では、粒状金属鉄の歩留まり率に22.5%の差が発生した。
即ち、No.1は、上記原料成形体を1150℃まで加熱したときに、液相率が80%以上で、且つ本発明で規定する成分組成を満足するスラグが生成していたため、1450℃に加熱したときにスラグの溶融が速やかに進み、スラグの凝集が促進された。その結果、粒状金属鉄の凝集も促進され、粒状金属鉄の歩留まり率が100%以上になり、生産性が向上した。一方、No.2は、上記原料成形体を1150℃まで加熱したときに、液相率が80%以上のスラグは生成していたが、そのスラグの成分組成は、本発明で規定する要件を満足していなかったため、1450℃に加熱してもスラグの溶融は殆ど進行せず、スラグの凝集は促進されなかった。その結果、粒状金属鉄の凝集が阻害され、粒状金属鉄の歩留まり率は100%未満と低くなり、生産性は向上できなかった。
次に、上記FE−SEMと、これに付属している上記EDXを用いて上記冷却後の原料成形体の表層断面における成分組成を分析した。具体的には、FE−SEMで観察された約3.2mm2の視野(横2mm×縦1.6mm)について、横方向(水平方向)を40μm間隔で50箇所、縦方向(垂直方向)を80μm間隔で20箇所、合計1000箇所の分析点における成分組成を、FE−SEMに付属しているEDXで分析した。FE−SEMで観察するときの加速電圧は15kV、撮影方法は反射電子像法とし、EDXで分析するときの加速電圧は15kV、分析方法はポイント分析法、分析1箇所あたりの計測時間は60秒間とした。
成分組成を分析した1000箇所の分析点について、(a)FeO量が5〜60質量%である分析点の数、(b)SiO2量が30質量%以上である分析点の数、(c)CaO量が0.5〜50質量%である分析点の数、(d)FeO量およびSiO2量から求められるFeO/SiO2比が0.17〜2.0である分析点の数、(e)FeO量およびCaO量から求められるFeO/CaO比が0.2〜50である分析点の数、を夫々下記表9に示す。また、上記(a)〜(e)の全てを満足する分析点の数も併せて示す。
下記表9から明らかなように、上記No.1は、分析点1000点中、上記(a)〜(e)の全ての要件を満足する分析点の数は66箇所であり、分析点全体の数に対して6.6%であるのに対し、No.2は、17箇所であり、分析点全体の数に対して1.7%であった。
下記表9に示した上記(a)〜(e)の全ての要件を満足する分析点の数と、下記表5に示した歩留まり率(%)との関係を図4に示す。
図4から明らかなように、歩留まり率を90%以上にするには、上記(a)〜(e)の全ての要件を満足する分析点の数の割合が、全分析点の数に対して3.5%以上(1000点中35点以上)であればよいことが分かる。
以上の結果から明らかなように、1150℃において副生するスラグの液相率とスラグの成分組成に着目し、1150℃における液相率が80%以上で、成分組成が所定の条件を満足するように原料混合物の成分組成を調整すれば、粒状金属鉄の歩留まりを高め、生産性を向上できることが分かる。
A 回転炉床式の加熱還元炉
1 原料混合物
2 炭素質粉末
3 原料投入ホッパー
4 回転炉床
5 加熱バーナー
6 排出装置
7 排ガス用ダクト
8 炉体
9 ホッパー
10 粒状金属鉄

Claims (3)

  1. 酸化鉄含有物質と炭素質還元剤を含む原料混合物を、移動炉床式加熱還元炉で加熱し、該原料混合物中の酸化鉄を前記炭素質還元剤により還元し、生成する金属鉄を副生するスラグと分離しつつ粒状に凝集させた後、冷却凝固させて粒状金属鉄を製造する方法において、
    前記原料混合物として、1150℃において下記(1)〜(6)の要件を満足するスラグZが生成されるものを用いることを特徴とする粒状金属鉄の製造方法。
    (1)液相率が80%以上。
    (2)FeO量が5〜60質量%。
    (3)SiO2量が30質量%以上。
    (4)CaO量が0.5〜50質量%。
    (5)FeO量およびSiO2量から求められるFeO/SiO2比が0.17〜2.0。
    (6)FeO量およびCaO量から求められるFeO/CaO比が0.2〜50。
  2. 前記原料混合物を1150℃に加熱した後、表層断面における成分組成を少なくとも200点を一定の間隔で分析したときに、該成分組成が前記(2)〜(6)の全ての要件を満足する分析点の数の割合が、全分析点の数に対して3.5%以上となる原料混合物を用いる請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記酸化鉄含有物質として、該酸化鉄含有物質中のAl23量およびSiO2量から求められるAl23/SiO2比が0.1以下のものを用いる請求項1または2に記載の製造方法。
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JP2016199773A (ja) * 2015-04-07 2016-12-01 株式会社日向製錬所 スラグ凝固層厚が調整された電気炉及びこれを用いた金属製錬方法
US10683562B2 (en) 2015-05-28 2020-06-16 Kobe Steel, Ltd. Reduced iron manufacturing method

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