JP2013169709A - 鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体 - Google Patents

鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP2013169709A
JP2013169709A JP2012034867A JP2012034867A JP2013169709A JP 2013169709 A JP2013169709 A JP 2013169709A JP 2012034867 A JP2012034867 A JP 2012034867A JP 2012034867 A JP2012034867 A JP 2012034867A JP 2013169709 A JP2013169709 A JP 2013169709A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hard coat
plastic
resin
metal oxide
fine particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012034867A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5919027B2 (ja
Inventor
Tatsuya Ekinaka
達矢 浴中
Takehiro Suga
武宏 菅
Toshio Kida
稔男 喜田
Akira Niimi
亮 新見
yuta Toyoshima
雄太 豊嶋
Tetsuya Shichi
哲也 志知
Daisuke Yoshioka
大輔 吉岡
Makoto Yamashita
誠 山下
Sohei Okazaki
壮平 岡崎
Yuji Kaneko
祐司 金子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Central Japan Railway Co
Original Assignee
Teijin Ltd
Central Japan Railway Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2012034867A priority Critical patent/JP5919027B2/ja
Application filed by Teijin Ltd, Central Japan Railway Co filed Critical Teijin Ltd
Priority to PT13752448T priority patent/PT2818313T/pt
Priority to KR1020147023168A priority patent/KR20150002591A/ko
Priority to CN201380010399.5A priority patent/CN104203557B/zh
Priority to US14/377,303 priority patent/US10280272B2/en
Priority to EP13752448.4A priority patent/EP2818313B1/en
Priority to PCT/JP2013/055026 priority patent/WO2013125724A1/ja
Priority to TW102105985A priority patent/TWI617458B/zh
Publication of JP2013169709A publication Critical patent/JP2013169709A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5919027B2 publication Critical patent/JP5919027B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】 鱗片状金属酸化物微粒子硬化すると優れた耐摩耗性および防汚性が得られる、プラスチック基材層上に親水化処理されたハードコート層が形成された鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体を提供する。
【解決手段】 プラスチック基材層および親水化処理をされたハードコート層がこの順で形成されたプラスチック積層体であって、該ハードコート層が、
(I)コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物が、溶剤を除くハードコート全重量に対して30重量%以上であるハードコート剤により形成され、かつ
(II)水接触角が30°以下、
であることを特徴とする鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体に関するものである。さらに詳しくは、鱗片状金属酸化物微粒子硬化すると優れた耐摩耗性および防汚性が得られる、プラスチック基材層上に親水化処理をされたハードコート層が形成されたプラスチック積層体に関するものである。
プラスチックはその軽量性、成形性等の点で優れており、自動車部品、家電部品、ハウジング、容器、フィルム、シート等様々な分野で使用されている。特に透明プラスチックにおいては従来ガラスが使用されていた各種窓、光学用のレンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、遮音壁、信号機灯のレンズ、前照灯レンズ、カーブミラー、風防、銘板等に使用されている。しかしプラスチック基材は表面の耐摩耗性が十分ではなく、使用中に傷が付きやすく、その傷で機械特性が低下することが問題になっていた。また、プラスチックの多くはその表面が親油性であるため、汚れやすいことが問題になっていた。
この欠点を補うためにプラスチック基材層の表面に、メラミン樹脂、シロキサン樹脂、(メタ)アクリル樹脂等を用いてなるハードコート層を形成したプラスチック積層体が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、砂塵などによる物理的刺激が多い場面にも適した耐摩耗性は充分ではなく、更なる改善が求められていた。また、汚れやすいことについては、依然として問題となっていた。
一方、砂塵などによる物理的刺激が多い場面にも適した硬度を有し、優れた防汚性を得ることを目的として、基材層の表面に鱗片状の酸化チタン微粒子(チタニアナノシート)を含むコーティング剤が焼成された積層体が提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、本特許文献によると、ナノシートの硬度は焼成する温度によって大きく異なり、400℃以上での焼成を行わないと十分な硬度が発現せず、プラスチック基材に用いても、優れた硬度や防汚性が得られるかについては不明であった。
一方、透明基材フィルムにハードコート層および機能付与層がこの順で積層されているハードコートフィルムにおいて、該ハードコート層表面上に親水化処理が施されているハードコートフィルムが提案されている(例えば、特許文献3)。しかし、ハードコート層表面上に親水化処理を施す目的は、機能付与層のハジキの発生や樹脂層間の密着性の問題を解消することにあり、特定のハードコート剤を用いた際に、優れた硬度や防汚性が得られるかについては不明であった。
従って、鱗片状金属酸化物微粒子を硬化すると優れた耐摩耗性および防汚性が得られる、プラスチック基材層上に親水化処理をされたハードコート層が形成されたプラスチック積層体は、未だ存在しないのが現状である。
国際公開2007−105741号パンフレット 特開2005−290369号公報 特開2003−326649号公報
本発明の目的は、その上に鱗片状金属酸化物微粒子を硬化させた層を形成すると優れた耐摩耗性および防汚性が得られる、プラスチック基材層上に親水化処理されたハードコート層が形成された積層体を提供することにある。
本発明によれば、上記課題は、下記構成により解決される。
1. プラスチック基材層および親水化処理をされたハードコート層がこの順で形成された積層体であって、該ハードコート層は、
(I)コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物が、溶剤を除くハードコート全重量に対して30重量%以上であるハードコート剤により形成され、かつ
(II)水接触角が30°以下、
であることを特徴とする鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体。
2. プラスチック基材層が、透明プラスチックからなる前項1に記載のプラスチック積層体。
3. プラスチック基材層が、ポリカーボネート樹脂からなる前項1または2に記載のプラスチック積層体。
4. 窓部材を形成するための材料である前項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック積層体。
5. 車両用窓部材を形成するための材料である前項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック積層体。
本発明のプラスチック積層体は、鱗片状金属酸化物微粒子硬化すると優れた耐摩耗性および防汚性が得られる。従って、その奏する産業上の効果は格別である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ハードコート層について>
本発明に用いるハードコート層は、プラスチック基材上に形成される。ハードコート層に用いるハードコート剤としては、コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物が溶剤を除くハードコート剤全重量に対して30重量%以上であるハードコート剤が使用される。コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物は、50重量%以上であることが好ましく、更に70重量%であることが好ましい。下限以上では、ハードコート層上に金属触媒性を有する元素を構成元素とする鱗片状金属酸化物微粒子を硬化させた際に、優れた防汚性および耐摩耗性が得られるため好ましい。
鱗片状金属酸化物微粒子は、それ自身が電荷を有しており、また表面にM−O−H基を有する構造であるためSi−O−Hとの親和性が高い。従って、鱗片状金属酸化物微粒子の配向性が優れ、防汚性が向上すると推測される。
コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物が30重量%以上となるハードコート剤は、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤に有機溶剤分散コロイダルシリカを混合して得ることができる。
シリコーン樹脂系ハードコート剤は、シロキサン結合をもった硬化樹脂層を形成するものであり、例えば、3官能シロキサン単位に相当する化合物(トリアルコキシシラン化合物など)を主成分とする化合物の部分加水分解縮合物、好ましくはさらに4官能シロキサン単位に相当する化合物(テトラアルコキシシラン化合物など)を含む部分加水分解縮合物、並びにさらにこれらにコロイダルシリカなどの金属酸化物微粒子を充填した部分加水分解縮合物などが挙げられる。シリコーン樹脂系ハードコート剤はさらに2官能性のシロキサン単位および1官能性のシロキサン単位を含んでよい。これらには縮合反応時に発生するアルコール(アルコキシシランの部分加水分解縮合物の場合)などが含まれるが、さらに必要に応じて任意の有機溶剤、水、あるいはこれらの混合物に溶解ないしは分散させてもよい。そのための有機溶剤としては、低級脂肪酸アルコール類、多価アルコールとそのエーテル、エステル類などが挙げられる。なお、ハードコート層には平滑な表面状態を得るため各種界面活性剤、例えば、シロキサン系、フッ化アルキル系界面活性剤などを添加してもよい。
シリコーン樹脂系ハードコート剤は、プライマー層とトップ層から構成されるいわゆる2コートタイプ、並びに一層のみから形成されるいわゆる1コートタイプのいずれも選択できる。
かかるプライマー層(第1層)を形成する樹脂としては、各種ブロックイソシアネート成分およびポリオール成分からなるウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、およびポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレートなどの各種多官能アクリル樹脂を挙げることができ、これらは単独でも2種以上を併用して使用することもできる。これらの中でも好ましくはアクリル樹脂、多官能アクリル樹脂が50重量%、より好ましくは60重量%以上含有するものを挙げることができ、特にアクリル樹脂およびウレタンアクリレートからなるものが好ましい。これらは未反応状態のものを塗布後所定の反応をさせて硬化樹脂とすること、並びに反応後の樹脂を直接塗布し硬化樹脂層を形成することのいずれも適用可能である。後者は通常樹脂を溶媒に溶解し溶液とした後、塗布されその後溶媒が除去される。また前者の場合も溶媒を使用することが一般的である。
有機樹脂系ハードコート剤としては、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂または多官能アクリル樹脂などが挙げられる。ここで多官能アクリル樹脂としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレートなどの樹脂が挙げられる。
さらに、ハードコート層を形成する樹脂には、光安定剤や紫外線吸収剤、並びに触媒、熱・光重合開始剤、重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤および添加助剤を含むことができる。
コート方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材となる成形体の形状に応じて適宜選択することができる。
ハードコート層の厚みは2〜30μmが好ましく、3〜20μmがより好ましく、4〜10μmが更に好ましい。下限以上では、基材の耐摩耗性が得られ、上限以下では、硬化ムラが生じづらく基材との密着性が良好である。
<ハードコート層の親水化について>
ハードコート層表面の親水化法としては、特に制限はないが、酸化セリウム研磨、コロナ放電処理、バーナー処理、大気圧プラズマ処理、真空紫外線照射処理等が挙げられる。このような方法でハードコート層表面を処理することによって、ハードコート層の水接触角を30°以下とする。水接触角は、20°以下であることが好ましく、10°以下であることがより好ましい。上限以下では、鱗片状金属酸化物微粒子を硬化すると、優れた耐摩耗性および防汚性が得られる。
<鱗片状の金属酸化物微粒子について>
本発明において、鱗片状の金属酸化物微粒子(以下、ナノシートと称することがある)は、厚さは僅か10nm足らずの高いアスペクト比を持つシート状の金属酸化物微粒子である。トップコート層の形成方法は特に制限されないが、ナノシート分散液の塗布工程、乾燥工程、および固定化工程を経る。
ナノシート分散液は、最短幅10nm以上、厚み10nm以下、最短幅/厚み10以上のシート状物質を溶媒中に分散させた分散液で、鉱物結晶を層間剥離物質および分散剤と共に処理する等の方法で調製される。用いる溶媒としては、特に制限はないが、水およびメタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール等のアルコール類、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等のエーテル類、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が好ましく、水が特に好ましく用いられる。これらの溶媒は単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
ナノシート分散液中のナノシートの濃度は好ましくは0.01〜10%、より好ましくは0.1〜2%である。(基材の表面状態、コート法にもよるが)下限以上の濃度の分散液を使用することでナノシートを隙間なくコートすることができ、上限以下の濃度の分散液を使用することで適切な厚みのナノシート層を得ることができる。
ナノシート分散液は雲母など層状結晶をとる鉱物にアミン類等の層間剥離、分散安定剤を加えて粉砕、攪拌して得ることができる。このとき層間剥離、分散安定剤がナノシートの両面に配位してナノシート同士が再度結合するのを防いでいる。
このような分散液を塗布、乾燥して作成したナノシート層はナノシート間に剥離、分散安定に使用したアミンが残存した状態になっている。このようなナノシートにエネルギーを加えることでナノシート間物質の除去を行い、ナノシート同士およびナノシートと基体の密着を確保すると共に、ナノシート結晶相の相転位を行い必要な機能を確保する。
ナノシート分散液のコート法には特に制限はなく、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材の形状に応じて適宜選択することができる。ナノシートを塗布した後、常温から該基材の熱変形温度以下の温度下で溶媒を乾燥、除去した後、固定化する。固定化は、200℃以下で行うと、基材がプラスチックであっても、優れた耐摩耗性および外観が得られるため好ましい。さらに、電離物質線照射、電離放射線照射、赤外線照射、マイクロ波照射および高温水蒸気曝露よりなる群から選ばれる少なくとも1種の方法で硬化を行うと、耐摩耗性に優れるため好ましい。
これらの硬化方法の中でも、電離物質線照射が基体の温度上昇抑制の点で好ましく、プラズマ照射が特に好ましい。
ナノシート層の厚さは、硬化後に3〜100nmとなることが好ましく、4〜30nmがより好ましく、5〜20nmが特に好ましい。ナノシート層の厚みが下限以上では、耐摩耗性に優れるため好ましく、上限以下では、ナノシート層を十分に固定化できるため好ましい。
また、鱗片状の金属酸化物微粒子は、特に防汚性を付与する場合は光触媒性を有する元素を構成元素とする。そのような構成元素からなる鱗片状の金属酸化物微粒子を使用することでバンドギャップに相当するエネルギー(紫外光等)吸収により価電子帯の電子が伝導帯に励起され、価電子帯には電子の抜け殻である正孔(ホール:h+)が、伝導帯には電子(e-)が生じる。この電子とホールは酸化チタン表面の水や酸素と反応して極めて強い酸化力を有するラジカルを生成し、そのラジカルは汚れやバクテリアを構成するほとんど全ての有機物を分解する。また、紫外光吸収により構造変化が起こり、表面が高度に親水化して、水で容易に汚れを洗い流せるようになる。このような作用により紫外光照射により、容易に汚れを除去できる表面が形成される。構成元素としては、なかでもTi、Nbが、光触媒性に優れ、表面が超親水性となり、防汚性に優れるため好ましい。
構成元素がTiである場合、たとえばチタン酸カリウム、チタン酸カリウムマグネシウム、チタン酸セシウム等の層状チタン酸塩をイオン交換および層間剥離して得られる鱗片状金属酸化物微粒子を好適に用いることができる。さらに、レピドクロサイト型構造を有するチタン酸セシウム(Cs0.7Ti1.8250.175、□は空孔)から合成したナノシートは、アスペクト比の大きい板状構造を有しており、分散性に優れていることから、良質なコート膜を形成するため特に好ましい。構成元素がNbである場合においては、組成式KNbまたはKNb17で表わされる層状ニオブ酸カリウムをイオン交換および層間剥離して得られる鱗片状金属酸化物微粒子を好適に用いることができる。特に[Nbの組成で表わされるナノシートは、対称性の高い構造を有しており、ロール状に巻きあがることがなく、シート構造が安定に保たれるため、良質なコート膜を得るのに特に優れている。
<プラスチック基材層について>
本発明に用いるプラスチック基材層は、プラスチック基材の成形体であって、0.05〜20mm、好ましくは1〜10mmの厚さを有しているのが好適である。プラスチック基材としては、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリジシクロペンタジエン等のアモルファスポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、フェノール樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。中でも優れた透明性を有するポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホンが好ましい。更に、高い衝撃強度を有するポリカーボネート樹脂がより好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールA型ポリカーボネート以外にも、他の二価フェノールを用いて重合された高耐熱性または低吸水率の各種のポリカーボネート樹脂や、脂肪族ジオールを用いて重合された高耐熱性の各種のポリカーボネート樹脂であってもよい。ポリカーボネート樹脂はいかなる製造方法によって製造されたものでもよく、界面重縮合の場合は通常一価フェノール類の末端停止剤が使用される。ポリカーボネート樹脂はまた3官能フェノール類を重合させた分岐ポリカーボネート樹脂であってもよく、更に脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸、または二価の脂肪族または脂環族アルコールを共重合させた共重合ポリカーボネートであってもよい。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は13,000〜40,000の範囲であると、幅広い分野に適用可能となる。粘度平均分子量が20,000未満であると流動性に優れ車両用樹脂窓の中でも、複雑な形状や大型の樹脂成型品(例えばバックドアウィンドウ)に好適となり、粘度平均分子量が20,000以上であると強度に優れ、車両用樹脂窓全般に好適となる。本発明の好適な用途である車両用樹脂窓においては、目的とする成型品に合わせて分子量の選択が必要である。本発明の樹脂板は厚肉であるため、比較的高い分子量においても成形時の歪みは許容限度内となる。粘度平均分子量の上限は、汎用性の点からより好ましくは35,000、更に好ましくは30,000である。
尚、かかる粘度平均分子量はポリカーボネート樹脂全体として満足すればよく、分子量の異なる2種以上の混合物によりかかる範囲を満足するものを含む。特に粘度平均分子量が50,000(より好ましくは80,000以上、更に好ましくは100,000以上)を超えるポリカーボネートの混合は、溶融時のエントロピー弾性を高くする点で有利な場合がある。例えば、本発明においてはジェッティングの抑制に効果がある。エントロピー弾性の向上による効果は、ポリカーボネートの分子量が高いほど顕著となるが、実用上該分子量の上限は200万、好ましくは30万、より好ましくは20万である。かかるポリカーボネート樹脂を0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%配合すると、成形性を特に損なうことなく所定の効果が得られる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液から20℃で求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。ポリカーボネート樹脂の詳細については、例えば、特開2002−129003号公報に記載されている。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
他の二価フェノールを用いて重合された、高耐熱性または低吸水率の各種のポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記のものが好適に例示される。
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、ビスフェノールA成分が10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCF成分が5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPM成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(4)該ポリカーボネートを構成するニ価フェノール成分100モル%中、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下“ビスフェノールC”と略称)成分が40〜90モル%(より好適には50〜80モル%)であり、かつビスフェノールA成分が10〜60モル%(より好適には20〜50モル%)である共重合ポリカーボネート。
一方、脂肪族ジオールを用いて重合された、高耐熱性の各種のポリカーボネート樹脂の具体例としては、該ポリカーボネートを構成する脂肪族ジオールがイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドであるポリカーボネートが挙げられる。これらのなかでも特に、イソソルビド(1,4;3,6ージアンヒドロ−D−ソルビトール)は、製造の容易さ、耐熱性に優れることから好ましい。
これらの特殊なポリカーボネートは、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型のポリカーボネートと混合して使用することもできる。
これらの特殊なポリカーボネートの製法および特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報および特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
上記の熱可塑性樹脂は、上記の透明性を損なわない範囲において、従来公知の各種の添加剤を含有することができる。かかる添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、離型剤、摺動剤、赤外線吸収剤、光拡散剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、強化充填材、衝撃改質剤、光触媒系防汚剤、およびフォトクロミック剤等が例示される。尚、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、および離型剤などは、従来上記の熱可塑性樹脂における公知の適正量を配合できる。
以下、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、何らこれに限定されるものではない。なお実施例、比較例中の評価は下記の方法に従った。
<ハードコート層の評価>
(1)水接触角測定
表面を親水化処理したハードコート層の水接触角を接触角計(協和界面科学製ドロップマスターM−301型)を用いて測定した。
<鱗片状金属酸化物微粒子硬化後の評価>
(1)外観
目視にて試験片のコート層外観(異物の有無)、ひび割れ(クラック)の有無、および基体層の状態を確認した。外観が良好である場合を○、外観が不良である場合を×とした。
(2)密着性
コート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ”(登録商標))を圧着し、垂直に強く引き剥がして基体上に残った碁盤目の数で評価した(JIS K5600−5−6に準拠)。
(3)鉛筆硬度
試験片に対して45°の角度に鉛筆をセットし、750gの荷重で鉛筆を押し当てながら引っかき試験片にキズがつくかどうか外観を確認した。キズがつかなかった最も硬い鉛筆の硬度をその試験片の鉛筆硬度とした(JIS K5600−5−4に準拠)。
(4)スチールウール硬度(SW)
#0000の粗さのスチールウールを直径1mmの円形の治具に貼り付け1kg荷重で、前後5cmの幅で20往復させて傷のつき具合を以下の5段階で目視評価した。
5:全くキズがつかない。
4:長さ3mm以内のキズが1〜5本発生
3:長さ3mm以内のキズが6〜20本発生
2:キズが20〜50本発生
1:キズが50本以上発生
(5)耐摩耗性
Calibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘーズとテーバー摩耗試験前のヘーズとの差△Htを測定して評価した(ASTM D1044に準拠)。
(ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
(6)光照射後の水接触角測定
試験片に1mW/cmの紫外線を1時間照射した後、水滴の接触角を接触角計(協和界面科学製ドロップマスターM−301型)を用いて測定した。
<I.ハードコート層に用いるサンプル調製>
(参考例1)アクリルプライマーコート剤(A−1)の調製
還流冷却器および撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート(以下EMAと省略する)79.9部、シクロヘキシルメタクリレート(以下CHMAと省略する)33.6部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと省略する)13.0部、メチルイソブチルケトン126.6部(以下MIBKと省略する)および2−ブタノール(以下2−BuOHと省略する)63.3部を添加混合した。混合物に窒素ガスを15分間通気して脱酸素した後、窒素ガス気流下にて70℃に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと省略する)0.33部を加え、窒素ガス気流中、70℃で5時間攪拌下に反応させた。さらにAIBN0.08部を加えて80℃に昇温し3時間反応させ、不揮発分濃度が39.6%のアクリル共重合体溶液(A)を得た。アクリル共重合体の重量平均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で125,000であった。
得られたアクリル共重合体溶液(A)100部に、メチルイソブチルケトン43.2部、2−ブタノール21.6部、1−メトキシ−2−プロパノール83.5部を加えて混合し、チヌビン400(BASF(株)製トリアジン系紫外線吸収剤)5.3部、アクリル樹脂溶液(A)中のアクリル共重合体のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量になるようにVESTANAT B1358/100(デグサ・ジャパン(株)製ポリイソシアネート化合物前駆体)10.6部を添加し、さらにジメチルジネオデカノエート錫0.015部を加えて25℃で1時間攪拌し、アクリルプライマーコート剤(A−1)を得た。
(参考例2)シリコーン樹脂系ハードコート剤(I−1)の調製
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製 カタロイドSN−35、固形分濃度30重量%)133部に1Mの塩酸1.3部を加えよく攪拌した。この分散液を10℃まで冷却し、氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン162部を滴下して加えた。メチルトリメトキシシランの滴下直後から反応熱で混合液の温度は上昇を開始し、滴下開始から5分後に60℃まで温度上昇した後、冷却の効果で徐々に混合液温度が低下した。混合液の温度が30℃になった段階でこの温度を維持するようにして30℃で10時間攪拌し、これに、硬化触媒としてコリン濃度45重量%のメタノール溶液0.8部、pH調整剤として酢酸5部、希釈溶剤として2−プロパノール200部を混合し、シリコーン樹脂系ハードコート剤(I−1)を得た。
(参考例3)紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−2)の調製
多官能アクリレートオリゴマー(新中村化学(株)製U−15HA)100部、フェニル−1−ヒドロキシシクロヘキシルケトン(BASF(株)製Irgacure184)8部、1−メトキシ−2−プロパノール250部、2−プロパノール100部、有機溶剤分散コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製IPA−ST 固形分濃度30%)360部を混合して紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−2)を得た。
(参考例4)紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−3)の調製
多官能アクリレートオリゴマー(新中村化学(株)製U−15HA)100部、フェニル−1−ヒドロキシシクロヘキシルケトン(BASF(株)製Irgacure184)5部、1−メトキシ−2−プロパノール250部、2−プロパノール100部、有機溶剤分散コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製IPA−ST 固形分濃度30%)150部を混合して紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−3)を得た。
(参考例5)紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−4)の調製
多官能アクリレートオリゴマー(新中村化学(株)製U−15HA)100部、フェニル−1−ヒドロキシシクロヘキシルケトン(BASF(株)製Irgacure184)5部、1−メトキシ−2−プロパノール250部、2−プロパノール100部、有機溶剤分散コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製IPA−ST 固形分濃度30%)50部を混合して紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−4)を得た。
(参考例6)メラミン樹脂ハードコート剤(I−5)の調製
ヘキサメトキシメチロールメラミン(三井化学(株) 製サイメル350)100部、ポリエチレングリコール(分子量200)25部、1,4−ブタンジオール45部、イソプロピルアルコール118部、イソブタノール244部、マレイン酸7部、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン6部を混合してメラミン樹脂ハードコート剤(I−5)を得た。
<II.鱗片状金属酸化物微粒子硬化層(ナノシート層)に用いるサンプル調製>
(参考例7)ニオビアナノシートコート剤(II−1)の調製
硝酸カリウム、酸化ニオブをモル比1:3(K:Nb)の割合で混合し、600℃、2時間の仮焼を行った。粉末を粉砕混合し、再度900℃、20時間の本焼成を行い、徐冷してニオブ酸カリウム(KNb)を得た。生成したニオブ酸カリウムを1Mの硝酸中で懸濁・撹拌して24時間イオン交換を行い、遠心分離で上澄みを除去した後、純水で洗浄した。この一連のイオン交換処理を4回繰り返し、カリウムイオンを水素イオンに置き換えた層状ニオブ酸を得た。これに、層間剥離剤として3−メトキシプロピルアミン水溶液を加え、14日間撹拌した後、純水で希釈して固形分濃度3重量%のニオビアナノシート水分散液を調製した。得られたニオビアナノシート水分散液をエタノールで希釈して固形分濃度1重量%のニオビアナノシートコート剤(II−1)を得た。
コート剤(II−1)をさらにエタノールで希釈して0.01重量%とし、石英ガラス板上に引き上げ速度毎秒3cmの速さで、ディップコート法で塗布した。
得られた試験片表面を原子間力顕微鏡で観察して、サイズおよび厚みの測定を行ったところ、得られたナノシートは面方向の寸法が20〜50μm、厚み3〜8nmであった。
(参考例8)チタニアナノシートコート剤(II−2)の調製
炭酸セシウム、酸化チタンをモル比1:5.3の割合で混合し、800℃、20時間の焼成を2回行った。生成したチタン酸セシウムを希塩酸中で撹拌、ろ過、乾燥するという一連の処理を4回繰り返し、セシウムイオンを水素イオンに置き換えた層状チタン酸を得た。これに、層間剥離剤としてテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を加え、14日間撹拌した後、純水で希釈して固形分濃度3重量%のチタニアナノシート水分散液を調製した。得られたチタニアナノシート水分散液をエタノールで希釈して固形分濃度0.3重量%のチタニアナノシートコート剤(II−2)を得た。
コート剤(II−2)をさらにエタノールで希釈して0.01重量%とし、石英ガラス板上に引き上げ速度毎秒3cmの速さで、ディップコート法で塗布した。
得られた試験片表面を原子間力顕微鏡で観察して、サイズおよび厚みの測定を行ったところ、得られたナノシートは面方向の寸法が10〜50μm、厚み2〜5nmであった。
実施例1
ポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂と略称する)製シート(帝人化成(株)製PC−1111シート 150×150×5mm)に、参考例1で得られたアクリルプライマーコート剤(A−1)を、熱硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分静置後、130℃で1時間熱硬化させた。
次いで、該成形板の被膜表面上に参考例2で得られたシリコーン樹脂系ハードコート剤(I−1)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分静置後、120℃で1時間熱硬化させた。該被覆シート表面にキセノンエキシマランプからの照射光(40nW/cm)をランプからの距離0.5mmで1分照射して親水化した(VUV照射)。
その後、参考例7で得られたニオビアナノシートコート剤(II−1)を硬化後の膜厚が15nmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で5分静置後、容量結合型内部電極方式のプラズマ発生装置でプラズマキャリアガス:アルゴンガス、プロセス真空度0.5Pa、RF電源13.56MHz3600W、電極面積3600cmの条件でプラズマを発生させて該被覆成形板表面に7分間照射して硬化し、ポリカーボネート樹脂積層体を得た。硬化終了時の基体の温度を基体表面に取り付けた熱伝対により測定したところ、130℃であった。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例2
キセノンエキシマランプからの照射光(40nW/cm)の照射時間を20秒に変更したところ以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例3
PC樹脂製シート(150×150×5mm)に、参考例3で得られた紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−2)を、硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で1分、80℃で1分静置後、積算照度が600mJ/cmになるように高圧水銀ランプで紫外線を照射して硬化させた以外は実施例1と同様にしてPC樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例4
実施例1のPC樹脂製シート(150×150×5mm)をポリエーテルスルホン樹脂(PES、住友化学(株)製スミカエクセル)からなるシート(150×150×1mm)に変更した以外は、実施例1と同様にしてプラスチック積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例5
PC樹脂製シート(150×150×5mm)に、参考例4で得られた紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−3)を、硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で1分、80℃で1分静置後、積算照度が600mJ/cmになるように高圧水銀ランプで紫外線を照射して硬化させた以外は実施例1と同様にしてPC樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例6
ポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂と略称する)製シート(帝人化成(株)製PC−1111シート 150×150×5mm)に、参考例1で得られたアクリルプライマーコート剤(A−1)を、熱硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分静置後、130℃で1時間熱硬化させた。
次いで、該成形板の被膜表面上に参考例2で得られたシリコーン樹脂系ハードコート剤(I−1)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分静置後、120℃で1時間熱硬化させた。該被覆シート表面にキセノンエキシマランプからの照射光(40nW/cm)をランプからの距離0.5mmで1分照射して親水化した。
その後、参考例8で得られたチタニアナノシートコート剤(II−2)を硬化後の膜厚が20nmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で5分静置後、容量結合型内部電極方式のプラズマ発生装置でプラズマキャリアガス:アルゴンガス、プロセス真空度0.5Pa、RF電源13.56MHz3600W、電極面積3600cmの条件でプラズマを発生させて該被覆成形板表面に7分間照射して硬化し、ポリカーボネート樹脂積層体を得た。硬化終了時の基体の温度を基体表面に取り付けた熱伝対により測定したところ、130℃であった。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例1
PC樹脂製シート(150×150×5mm)に、参考例5で得られた紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−4)を、硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で1分、80℃で1分静置後、積算照度が600mJ/cmになるように高圧水銀ランプで紫外線を照射して硬化させた以外は実施例3と同様にしてPC樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例2
PC樹脂製シート(150×150×5mm)に、0.2%の2−アミノエタノールのメタノール溶液を流しかけて乾燥し、表面の汚れを除去すると共に表面に官能基を露出させた。該シートに参考例6で得られたメラミン樹脂ハードコート剤(I−5)を、硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分静置後、120℃で1時間熱硬化させた以外は実施例1と同様にしてPC樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例3
キセノンエキシマランプからの照射光(40nW/cm)をランプからの距離0.5mmで1分照射して表面を親水化する操作をしなかった以外は比較例1と同様にしてポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例4
キセノンエキシマランプからの照射光(40nW/cm)をランプからの距離0.5mmで1分照射して表面を親水化する操作をしなかった以外は比較例2と同様にしてポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例5
PC樹脂製シート(150×150×5mm)に、ハードコート層を形成せずに、実施例1と同じ条件でナノシート層を形成してポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例6
キセノンエキシマランプからの照射光(40nW/cm)をランプからの距離0.5mmで1分照射するのに代えて2.5%酸化セリウム水分散液でよく研磨して表面を親水化した以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
Figure 2013169709
本発明のプラスチック積層体は、その上に鱗片状金属酸化物微粒子硬化すると優れた耐摩耗性および防汚性が得られる。従って、航空機、車輛、自動車の窓、建設機械の窓、ビル、家、ガレージ、温室、アーケードの窓、前照灯レンズ、光学用のレンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、遮音壁、信号機灯のレンズ、カーブミラー、風防、銘板、その他各種シート、フィルム等に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. プラスチック基材層および親水化処理をされたハードコート層がこの順で形成された積層体であって、該ハードコート層は、
    (I)コロイダルシリカおよび/またはアルコキシシラン加水分解縮合物が、溶剤を除くハードコート全重量に対して30重量%以上であるハードコート剤により形成され、かつ
    (II)水接触角が30°以下、
    であることを特徴とする鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体。
  2. プラスチック基材層が、透明プラスチックからなる請求項1に記載のプラスチック積層体。
  3. プラスチック基材層が、ポリカーボネート樹脂からなる請求項1または2に記載のプラスチック積層体。
  4. 窓部材を形成するための材料である請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック積層体。
  5. 車両用窓部材を形成するための材料である請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック積層体。
JP2012034867A 2012-02-21 2012-02-21 鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体の製造方法 Expired - Fee Related JP5919027B2 (ja)

Priority Applications (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012034867A JP5919027B2 (ja) 2012-02-21 2012-02-21 鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体の製造方法
KR1020147023168A KR20150002591A (ko) 2012-02-21 2013-02-20 비늘 조각상의 금속 산화물 미립자로 이루어지는 탑코트층을 갖는 적층체
CN201380010399.5A CN104203557B (zh) 2012-02-21 2013-02-20 具有由鳞片状的金属氧化物微粒形成的顶涂层的层叠体
US14/377,303 US10280272B2 (en) 2012-02-21 2013-02-20 Laminate having a top coat layer containing flaky metal oxide fine particles
PT13752448T PT2818313T (pt) 2012-02-21 2013-02-20 Laminado que inclui uma camada de revestimento superior que compreende partículas finas de óxido metálico escameadas
EP13752448.4A EP2818313B1 (en) 2012-02-21 2013-02-20 Laminate including top coating layer comprising scaly metal oxide fine particles
PCT/JP2013/055026 WO2013125724A1 (ja) 2012-02-21 2013-02-20 鱗片状の金属酸化物微粒子からなるトップコート層を有する積層体
TW102105985A TWI617458B (zh) 2012-02-21 2013-02-21 a laminate having a top coat composed of scaly metal oxide fine particles

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012034867A JP5919027B2 (ja) 2012-02-21 2012-02-21 鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013169709A true JP2013169709A (ja) 2013-09-02
JP5919027B2 JP5919027B2 (ja) 2016-05-18

Family

ID=49263987

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012034867A Expired - Fee Related JP5919027B2 (ja) 2012-02-21 2012-02-21 鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5919027B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016068438A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 帝人株式会社 積層体
JP2016101639A (ja) * 2014-11-28 2016-06-02 住友ベークライト株式会社 窓部材
JP2016112702A (ja) * 2014-12-11 2016-06-23 株式会社豊田自動織機 コート層を有する樹脂材およびその製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000284108A (ja) * 1999-03-29 2000-10-13 Toto Ltd 樹脂鏡およびその製造方法
JP2000327310A (ja) * 1999-05-24 2000-11-28 Konica Corp 金属酸化物、その薄膜及びこれを製造する方法
JP2003025478A (ja) * 2001-07-17 2003-01-29 Lintec Corp ハードコートフィルム
JP2004111348A (ja) * 2002-07-24 2004-04-08 Kansai Paint Co Ltd 半導体微粒子分散液、半導体微粒子分散液の製造方法、半導体微粒子膜の形成方法、及び光電極
JP2005290369A (ja) * 2004-03-10 2005-10-20 Central Japan Railway Co 酸化チタンコーティング剤、及び酸化チタン塗膜形成方法
JP2006272757A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Lintec Corp 光触媒ハードコートフィルム

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000284108A (ja) * 1999-03-29 2000-10-13 Toto Ltd 樹脂鏡およびその製造方法
JP2000327310A (ja) * 1999-05-24 2000-11-28 Konica Corp 金属酸化物、その薄膜及びこれを製造する方法
JP2003025478A (ja) * 2001-07-17 2003-01-29 Lintec Corp ハードコートフィルム
JP2004111348A (ja) * 2002-07-24 2004-04-08 Kansai Paint Co Ltd 半導体微粒子分散液、半導体微粒子分散液の製造方法、半導体微粒子膜の形成方法、及び光電極
JP2005290369A (ja) * 2004-03-10 2005-10-20 Central Japan Railway Co 酸化チタンコーティング剤、及び酸化チタン塗膜形成方法
JP2006272757A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Lintec Corp 光触媒ハードコートフィルム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016068438A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 帝人株式会社 積層体
JP2016101639A (ja) * 2014-11-28 2016-06-02 住友ベークライト株式会社 窓部材
JP2016112702A (ja) * 2014-12-11 2016-06-23 株式会社豊田自動織機 コート層を有する樹脂材およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5919027B2 (ja) 2016-05-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5877086B2 (ja) プラスチック積層体およびその製造方法
EP2979862B1 (en) Polycarbonate resin laminate
EP3176216B1 (en) Hydrophilic material comprising sulfonate copolymer and amino resin
WO2010137721A1 (ja) オルガノシロキサン樹脂組成物およびその積層体
US10682669B2 (en) Method for manufacturing laminate
US20210032429A1 (en) Organic resin laminate
JP5330070B2 (ja) プラスチック積層体及びその製造方法
US20150132572A1 (en) Polycarbonate Glazing and Method of Preparing the Same
EP2767552A1 (en) Composition and film comprising same
JP5074053B2 (ja) 樹脂積層体及びその製造方法
JP5919027B2 (ja) 鱗片状金属酸化物微粒子硬化用プラスチック積層体の製造方法
TWI617458B (zh) a laminate having a top coat composed of scaly metal oxide fine particles
JP6130163B2 (ja) ポリカーボネート樹脂積層体
JP5919028B2 (ja) 鱗片状の金属酸化物微粒子を含む硬化層を形成する方法
JP5893985B2 (ja) アクリル樹脂塗料およびその積層体
JP2022025028A (ja) 積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150902

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160323

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5919027

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees