JP2013169547A - シーム溶接方法及びその装置 - Google Patents

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敏浩 村川
Mitsugi Kaneko
貢 金子
Yasuhiro Kawai
泰宏 河合
Noriko Kurimoto
典子 栗本
Takashi Ikeda
貴史 池田
Haruhiko Kobayashi
晴彦 小林
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Abstract

【課題】少なくとも2枚のワークが積層され、且つその最外に厚みが最も小さい最薄ワークが配置された積層体に対してシーム溶接を施す際、前記最薄ワークと、該最薄ワークに隣接するワークとの間にナゲットを十分に成長させるシーム溶接方法及びその装置を提供する。
【解決手段】通電工程と中断工程を繰り返す際に、通電のタイミングと通電の中断のタイミングとを予熱範囲70Aとの関係で規定し、予熱用電極24が最薄ワークである金属板32上の或る位置Q1(図8A)に到達したとき、通電工程を開始し、予熱用電流i2を流して最薄ワークである金属板32に予熱範囲70Aを形成した後、前記中断工程を開始して通電を中断し(図8B)、その後、第1及び第2ローラ電極対23の挟持位置P2が、予熱範囲70Aの移動方向の略中央位置Q2に到達した時(図8C)に前記通電工程を開始し主溶接電流i1を流して加熱範囲72Aを形成し予熱範囲70Aに重ねる。
【選択図】図8

Description

この発明は、少なくとも2枚のワークを積層すると共に、前記ワーク中、厚みが最小の最薄ワークを最外に配置して形成した積層体に対してシーム溶接を行うシーム溶接方法及びその装置に関する。
シーム溶接は、金属板同士を接合する手法として広汎に知られている。特許文献1、2に開示されるように、シーム溶接では、積層された金属板(積層体)が1組のローラ電極(ローラ電極対)によって加圧挟持された後、該ローラ電極同士の間に通電がなされる。これにより、積層体中に、その積層方向に沿う電流経路が形成される。プラス電極から流れ出した電流は、該プラス電極が接触した金属板、金属板同士が互いに接触して形成される接触面、マイナス電極が接触した金属板を順次通過し、マイナス電極に到達する。
この通電の最中に、前記接触面近傍の部位に抵抗発熱(ジュール熱)が発生する。これにより、該部位が溶融する。
その後、前記ローラ電極対に対して積層体が相対的に移動されることにより電流経路が移動し、結局、積層体における抵抗発熱が起こる部位が移動する。すなわち、移動前に溶融していた部位から電流が遠ざかり、このため、該部位の抵抗発熱が終了する。その結果、該部位の温度が低下し、これにより該部位が凝固して固相となる。この凝固部位は、主にナゲットと呼称される。
一方、新たな電流経路に対応する部位では、上記と同様に、金属板同士が互いに接触して形成される接触面近傍の部位が溶融する。
以降は、上記した現象が逐次的に繰り返されることにより、前記ローラ電極対の移動軌跡に沿って金属板同士、すなわち積層体が連続的に接合される。
ところで、積層体として、場合によっては、3枚以上の金属板同士を接合することが求められることもある。ここで、金属板は互いに同一厚みであるとは限らず、寧ろ、互いに相違することが大半である。すなわち、複数枚の金属板の中には、厚みが最も小さいワーク(以下、最薄ワークとも表記する)が含まれる。
このような最薄ワークを積層体の最外に配置してシーム溶接を行った場合、この最薄ワークと、該最薄ワークに隣接する別のワークとの間のナゲットが十分に成長しないことがある。この理由は、最薄ワークの厚みが最小であるために固有抵抗が最小となることに起因して、十分な抵抗発熱が起こらなくなるためであると推察される。
最薄ワーク近傍のナゲットを大きく成長させるべく、電流値を大きくすることも想起される。しかしながら、この場合、ワークが溶融して飛散する、いわゆるスパッタが惹起され易くなるという不具合を招く。
上記の問題を解決する技術が、特許文献3に開示されている。この特許文献3に係る技術では、前記ローラ電極対の他に、前記ローラ電極の進行方向の前側方に前記最薄ワークに圧接し前記ローラ電極対と一体的に移動する補助電極を設け、前記補助電極を前記ローラ電極対の一方のローラ電極と同極性の電極とする構成を採用している(特許文献3の図10参照)。
特開2007−167896号公報 実用新案登録第3124033号公報 特開2011−194453号公報
この構成下に、特許文献3に係る技術では、一方のローラ電極と他方のローラ電極との間に電流(溶接電流という。)を流すと共に、前記他方のローラ電極と前記補助電極との間に電流(分岐電流又は補助電流という。)を流すことで、最薄ワークにおいて、十分な抵抗発熱が起こるようになると開示されているが、加熱範囲と通電タイミングとの関係については明確に規定されていなく改良の余地があり、また、補助電極とローラ電極の位置関係についても改良の余地がある。
この発明は上記した特許文献3に係る技術に関連してなされたものであって、前記ローラ電極対及び前記補助電極(この発明では、予熱用電極という。)の通電タイミングを的確に制御することにより積層体を構成する最薄ワーク(薄板ともいう。)及び前記最薄ワークより厚みの大きいその他の1又は複数のワーク(厚板ともいう。)の双方に十分なナゲットを生成することを可能とするシーム溶接方法及びその装置を提供することを目的とする。
この発明に係るシーム溶接方法は、少なくとも2枚のワークを積層すると共に、前記ワーク中、厚みが最小である最薄ワークを最外に配置して形成した積層体を第1及び第2ローラ電極対で挟持するとともに、前記第1及び第2ローラ電極対の移動方向の前方に設けた前記第2ローラ電極と同極性の予熱用電極を前記最薄ワークに当接し、前記予熱用電極と前記第1及び第2ローラ電極対とからなる電極組立体を前記積層体に対して相対的に移動させることで前記積層体のシーム溶接を行うシーム溶接方法であって、前記電極組立体を前記積層体に対して移動させながら、前記予熱用電極と前記第1ローラ電極との間に予熱用電流を流すと共に、前記第1及び第2ローラ電極対間に主溶接電流を流す通電工程と、前記電極組立体を前記積層体に対して移動させながら、前記予熱用電極と前記第1ローラ電極との間に流れる前記予熱用電流と、前記第1及び第2ローラ電極対との間に流れる前記主溶接電流と、の供給を中断する通電の中断工程と、を有し、前記電極組立体を前記積層体に対して相対的に移動させながら、前記通電工程と前記中断工程とを繰り返すことで前記積層体の前記シーム溶接を行う際、前記予熱用電極の当接位置が、前記積層体の前記最薄ワーク上の或る位置に到達した時に前記通電工程を開始し前記予熱用電極と前記第1ローラ電極との間に前記予熱用電流を流して前記最薄ワークに予熱範囲を形成した後、前記中断工程を開始して通電を中断し、その後、前記第1及び第2ローラ電極対の挟持位置が、前記予熱範囲の前記移動方向の略中央位置に到達した時に前記通電工程を開始して前記第1及び第2ローラ電極対間に前記主溶接電流を流し前記積層体の加熱範囲を形成して前記予熱範囲に重ねると共に、前記積層体の前記最薄ワーク上の他の前記或る位置に前記予熱用電流を流して新たな予熱範囲を形成することを特徴とする。
この発明によれば、通電工程と中断工程を繰り返す際に、予熱用電極が最薄ワーク上の或る位置に到達したとき、通電工程を開始し、予熱用電流を流して最薄ワークに予熱範囲を形成した後、前記中断工程を開始して通電を中断し、その後、前記第1及び第2ローラ電極対の挟持位置が、前記予熱範囲の前記移動方向の略中央位置に到達した時に前記通電工程を開始し前記主溶接電流を流して前記積層体に加熱範囲を形成して前記予熱範囲に重ねると共に、前記積層体の前記最薄ワーク上の他の或る位置に前記予熱用電流を流して新たな予熱範囲を形成するようにしたので、前記予熱用電流により最外の最薄ワークが予熱(通電)された後、予熱範囲への過入熱を回避し(通電の中断)、その後、その予熱範囲近傍が前記第1及び第2ローラ電極対間を流れる主溶接電流により加熱(通電)されるようにしたので、通電のタイミング(通電オン)と通電の中断のタイミング(通電オフ)とが適時に規定され、確実に、前記最薄ワークの予熱が行われた後に、最薄ワークが過入熱されることなく、前記最薄ワークを含む積層体に主溶接電流が流されて加熱されて、十分なナゲットを生成することができる。
具体的には、例えば、前記予熱用電極と前記最薄ワークの当接位置と、前記第1及び前記第2ローラ電極対との挟持位置との間の前記移動方向に沿う距離をL1とし、前記予熱用電極と前記第1及び第2ローラ電極対とからなる前記電極組立体が、前記積層体に対して相対的に移動する速度をV1とし、前記中断工程の開始時点から前記中断工程を終了する前記通電工程の開始時点までの通電の中断時間をToffとし、前記中断時間Toffの間に、前記電極組立体が進む距離をLoffとしたとき、前記距離Loffが、0<Loff=V1×Toff<L1の範囲内に設定されているようにすればよい。
なお、上記したシーム溶接方法が適用されたシーム溶接装置もこの発明に含まれる。
この発明によれば、積層体を挟持する第1及び第2ローラ電極対の他に、前記積層体の最外に配置された最薄ワークに当接する予熱用電極を、相対移動方向の前方に設け、この予熱用電極と、前記最薄ワークに当接した前記第1ローラ電極との間に、予熱用電流を流して予備的に最薄ワークを加熱しながら、前記予熱が与えられた部位である予熱範囲に前記第1及び第2ローラ電極対により主溶接電流を流してシーム溶接を行う際に、前記予熱用電流により最外の最薄ワークを予熱(通電)して予熱範囲を形成した後、通電を中断して前記予熱範囲への過入熱を回避し、その後、その予熱範囲近傍が、前記第1及び第2ローラ電極対間に流れる前記主溶接電流により加熱(通電)されるようにしたので、通電のタイミング(通電オン)と通電の中断のタイミング(通電オフ)とが適時に規定され、確実に、前記最薄ワークの予熱が行われた後に、最薄ワークが過入熱されることなく、前記最薄ワークを含む積層体に主溶接電流が流されて加熱範囲が拡大され、十分なナゲットを生成することができる。
よって、前記最薄ワークとこれに隣接するワークとの境界面を十分に加熱することができるようになる。
このように、この境界面に十分な大きさのナゲットを成長させることができるようになり、その結果、最薄ワークとこれに隣接するワークとを十分な接合強度で接合することができる。
実施形態に係るシーム溶接装置の概略全体側面図である。 前記シーム溶接装置を構成するシーム溶接機の一部斜視図である。 前記シーム溶接機の模式的一部正面図である。 図4Aは、予熱用電極の或る位置での通電状態における予熱範囲の説明図、図4Bは、前記予熱範囲への、主電極である第1及び第2ローラ電極対間に流れる電流による加熱範囲拡大の説明図である。 ON/OFFスイッチのオン(通電)オフ(通電の中断)タイミング図である。 図6Aは、任意の位置での通電状態を示す動作説明図、図6Bは、さらに進んだ任意の位置での通電状態を示す動作説明図である。 図7Aは、予熱用電極の或る位置での通電状態における予熱範囲と、前記予熱用電極と第1及び第2ローラ電極対との間の距離と所定位置との関係を示す説明図、図7Bは、通電の中断状態の説明図、図7Cは、前記予熱範囲への第1及び第2ローラ電極対間を流れる主溶接電流による加熱範囲拡大の説明図である。 図8は、2枚の金属板からなる積層体にこの出願に係る発明を適用した他の実施形態に係る説明図であり、図8Aは、予熱用電極の或る位置での通電状態における予熱範囲と、前記予熱用電極と第1及び第2ローラ電極対との間の距離と所定位置との関係を示す説明図、図8Bは、通電の中断状態の説明図、図8Cは、前記予熱範囲への第1及び第2ローラ電極対間を流れる主溶接電流による加熱範囲拡大の説明図である。
以下、この発明に係るシーム溶接方法につき、これを実施するシーム溶接装置との関係において好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この実施形態に係るシーム溶接装置10の概略全体側面図である。このシーム溶接装置10は、多関節ロボット12と、該多関節ロボット12の先端アーム14に支持されたシーム溶接機16とを有する。多関節ロボット12とシーム溶接機16とをこのように組み合わせて構成されるシーム溶接装置10は、前記特許文献1、2にも記載されるように公知であるため、この構成についての詳細な説明は省略する。
一部斜視図である図2、及び模式的一部正面図である図3に示すように、シーム溶接機16は、先端アーム14にマウント18(図1参照)を介して支持された第1ローラ電極20、第2ローラ電極22、及び電流分岐用であって予熱用ローラ電極(以下、予熱用電極ともいう。)24を具備し、この中、第2ローラ電極22が積層体26の下方に位置すると共に、第1ローラ電極20及び予熱用ローラ電極24が積層体26の上方に位置する。
シーム溶接機16は、基本的には、第1ローラ電極20及び第2ローラ電極22(第1及び第2ローラ電極対23ともいう。)で積層体26を挟持する。より正確には、第1ローラ電極20及び予熱用電極24と、第2ローラ電極22と、で積層体26を挟持する。
先ず、溶接対象である積層体26につき若干説明する。この場合、積層体26は、3枚の金属板28、30、32が下方からこの順序で積層されることによって構成される。この中の金属板28、30の厚みはD1(例えば、約1mm〜約2mm)に設定され、金属板32の厚みはD1に比して小寸法の厚みD2(例えば、約0.5mm〜約0.7mm)に設定される。なお、金属板28、30の厚みは同一ではなく異なっていてもよく、最上の金属板32は、これら金属板28、30に比して薄肉である。以下においては、金属板32を最薄ワークと呼称することもある。
なお、金属板28、30は、例えば、JAC590、JAC780又はJAC980(いずれも日本鉄鋼連盟規格に規定される高性能高張力鋼板、いわゆるハイテン材)からなり、最薄ワーク32は、例えば、JAC270(日本鉄鋼連盟規格に規定される高性能絞り加工用鋼板、いわゆる軟鋼材)からなる。軟鋼材はハイテン材に比較して固有抵抗が低く、熱伝導が高いために、ハイテン材に比較して発熱し難い特性を有する。
一方、前記マウント18には、ガイドレール34が敷設されると共に、このガイドレール34には、第1移動テーブル38に支持された第1ローラ電極20を第2ローラ電極22に対して接近又は離間する方向に変位させるための第1シリンダ(不図示)、第2移動テーブル42に支持された第2ローラ電極22を第1ローラ電極20に対して接近又は離間する方向に変位させるための第2シリンダ(不図示)が支持される。なお、第1移動テーブル38には、第1ローラ電極20を回転付勢するための第1回転用モータ(不図示)が支持され、第2移動テーブル42には、第2ローラ電極22を回転付勢するための第2回転用モータ(不図示)が支持される。このような構成は公知であり(例えば、特許文献1参照)、従って、図示及び詳細な説明を省略する。なお、第1シリンダ及び第2シリンダに代替してサーボモータ等を採用するようにしてもよい。
ガイドレール34の凸部36には、第1ローラ電極20を支持した第1移動テーブル38の凹部40と、第2ローラ電極22を支持した第2移動テーブル42の凹部44とが摺動自在に係合される。第1移動テーブル38は前記第1シリンダの図示しない第1ロッドに連結されると共に、第2移動テーブル42は前記第2シリンダの図示しない第2ロッドに連結される。
すなわち、第1ローラ電極20は、第1シリンダの第1ロッドが進退動作することに伴って第2ローラ電極22に対して接近又は離間する方向(矢印Y2、Y1方向)に変位する。その一方で、第2ローラ電極22は、第2シリンダの第2ロッドが進退動作することに伴って第1ローラ電極20に対して接近又は離間する方向(矢印Y1、Y2方向)に変位する。
第1ローラ電極20と第1移動テーブル38との間には、第1軸46が介在する。この第1軸46が、前記第1回転用モータの作用下に回転動作することにより、第1ローラ電極20が回転動作する。同様に、第2ローラ電極22は、前記第2回転用モータの作用下に第2軸48が回転動作することに伴って回転動作する。
ここで、第1移動テーブル38は、ガイドレールとして機能する。すなわち、第1移動テーブル38の一端面に突出形成された凸部50には、前記第1移動テーブル38に設けられた第3シリンダの図示しない第3ロッドが連結された第3移動テーブル52の凹部53が摺動自在に係合される。従って、予熱用ローラ電極24は、前記第3ロッドが進退動作することに伴って、第2ローラ電極22に対して接近又は離間する方向(矢印Y2、Y1方向)に変位することが可能である。
予熱用ローラ電極24と第3移動テーブル52との間には、第3軸54が介在する。第3軸54は、第3移動テーブル52に設けられた第3回転用モータ(不図示)が回転動作することに伴って回転する。
第1ローラ電極20と予熱用ローラ電極24の間には、所定のクリアランス{(後述する図6A参照)}が形成される。従って、第1ローラ電極20と予熱用ローラ電極24が互いに摺接することはない。
図3に示すように、第1リード線(電力線)58を介して第1ローラ電極20が交流電源60の正極(いわゆるホット側、便宜的にプラス電極ともいう。)に電気的に接続されると共に、第2リード線(電力線)62を介して第2ローラ電極22が前記交流電源60の負極(いわゆるコールド側、便宜的にマイナス電極ともいう。)に電気的に接続され、さらに、第2リード線62から分岐するようにして該第2リード線62に接続された第3リード線(電力線)64を介して予熱用ローラ電極24が交流電源60の負極に電気的に接続される。このことから理解されるように、第1ローラ電極20と予熱用ローラ電極24は共に、積層体26を構成する最薄ワーク(最外ワーク、この場合、最上ワーク)32に当接するが、その電気的極性は互いに逆である。
ここで、第1リード線58と第2リード線62とには、2極のON/OFFスイッチ66が介装される。このON/OFFスイッチ66の入/切を制御ユニット68により切り替えることにより、予熱用ローラ電極24と第1及び第2ローラ電極対23からなる電極組立体25に、電流を供給、いわゆる通電(オン)、又は電流の供給停止(非通電、中断、オフ)、いわゆる通電の中断をすることが可能である。なお、ON/OFFスイッチ66は、例えば、電力素子を利用した電子スイッチを採用することができる。
以上の構成において、前記第1〜第3シリンダ、第1〜第3回転用モータ、交流電源60、ON/OFFスイッチ66は、制御手段(制御部)としての制御ユニット68(図1参照)に電気的に接続されている。すなわち、これら第1〜第3シリンダ、第1〜第3回転用モータ、交流電源60、ON/OFFスイッチ66の動作ないし付勢・滅勢は、制御ユニット68によって制御される。制御ユニット68は、通電タイミング制御手段(通電タイミング制御部)としても機能する。
この実施形態に係るシーム溶接装置10は、基本的には以上のように構成されるシーム溶接機16を具備するものであり、次に、その作用効果につき、この実施形態に係るシーム溶接方法との関係において説明する。
積層体26に対してシーム溶接を行う際、すなわち、金属板28、30同士を接合すると共に、金属板30、32同士を接合する際には、先ず、多関節ロボット12が、第1ローラ電極20と第2ローラ電極22の間に積層体26が配置されるように前記先端アーム14、すなわち、シーム溶接機16を移動させる。
その後、制御ユニット68の作用下に前記第1シリンダ及び前記第2シリンダが付勢され、これに伴って前記第1ロッド及び前記第2ロッドが前進動作を開始する。すなわち、第2ローラ電極22が第1ローラ電極20に対して接近するように矢印Y1方向に向かって変位し、且つ第1ローラ電極20が第2ローラ電極22に対して接近するように矢印Y2方向に向かって変位する。その結果、第1ローラ電極20と第2ローラ電極22の間に積層体26が挟持される。
その一方で、制御ユニット68によって第3シリンダが付勢される。これに伴って第3ロッドが矢印Y2方向に向かって前進動作し、その結果、第1ローラ電極20と第2ローラ電極22と(第1及び第2ローラ電極対23という。)によって積層体26が挟持されるのと同時、又はその前後に、予熱用ローラ電極24が最薄ワーク32に当接する(図3参照、予備工程終了)。
このとき、制御ユニット68は、最薄ワーク32に対する第1ローラ電極20及び予熱用ローラ電極24の合計加圧力(F1+F2、但し、F1>F2)が、金属板28に対する第2ローラ電極22の加圧力(F3)と均衡するように、前記第1シリンダ及び前記第3シリンダの第1ロッド及び第3ロッドの各推進力と、前記第2シリンダの第2ロッドの推進力とを制御する。この制御により、積層体26に対する矢印Y2方向に沿って作用する加圧力(F1+F2)と、矢印Y1方向に沿って作用する加圧力(F3)とが略同等となる。
すなわち、このとき、F1<F3が成り立つ。従って、積層体26が第1ローラ電極20と第2ローラ電極22から受ける力は、第2ローラ電極22から第1ローラ電極20に向かうにつれて作用範囲が広くなる(大きくなる)ように分布する。このため、金属板30、32の境界面に作用する力は、金属板28、30の境界面に作用する力に比して小さくなる。
なお、図3に、2点鎖線の想像線で示すように、第1ローラ電極20の進行方向の後ろ側であって、予熱用ローラ電極24の対称の位置に、予熱用ローラ電極24と同径・同構成の24´を第3移動テーブル52に設け、加圧力F2+F1+F2´(F2=F2´)が、F2+F1+F2´≒F3となるように調整すれば前後方向の加圧力を均一にすることができる。
次に、制御ユニット68は、第1〜第3回転用モータを所定回転数で回転させることで図3に示すように積層体26に対して予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23とからなる電極組立体25を移動方向に所定速度で移動させると共に、ON/OFFスイッチ66を入状態(オン状態:ON状態)にして、積層体26に対する交流電源60からの通電を開始する。
上記したように、第1ローラ電極20が交流電源60の正極に接続され、予熱用ローラ電極24と第2ローラ電極22とが交流電源60の負極に接続されているため、図3に示すように、第1ローラ電極20から予熱用電極24に向かう電流(予熱用電流)i2が流れると共に、第1ローラ電極20から第2ローラ電極22に向かう電流(主溶接電流)i1が流れる(通電工程)。なお、図示はしないが、電流i1、i2をフィードバック制御して適値に保持することにより通常、i1>i2と主溶接電流i1が予熱用電流(分岐電流)i2より大きな値に設定される。電流i1、i2は、積層体26の構成に対応して適値が設定される。
図4A、図4B、及び図5は、十分なナゲットを生成することができる通電タイミングを規定した動作の説明に供される図である。
図4Aは、時点t1〜t2(図5参照)間の加熱状態の説明図、図4Bは、時点t3〜t4間の加熱状態の説明図、図5は、ON/OFFスイッチ66のオン(Ton)オフ(Toff)タイミングを示している。
図5中、オフ(Toff)時(中断工程の時間t2〜t3、t4〜t5、t6〜t7…)には、電流i1、i2は共に流れない。オン(Ton)時(通電工程の時間t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、…)には、電流i1+i2(図4Aには、理解の便宜のために電流i1を図示していない。同様に、図4Bには、電流i2を図示していない。)が流れる。この電流i1+i2の値は、上述したように、制御ユニット68により交流電源60の電圧値(電流値)を制御、例えばフィードバック制御することにより所定値に制御することができる。
時点t1〜t2間では、交流電源60から第1ローラ電極20を通じて予熱用電極24に電流i2が流れ、この電流i2に基づくジュール熱により図4Aに示すように、金属板32と金属板30の間が加熱され、薄板である金属板32が発熱し、金属板32の固有抵抗が増加し、さらに発熱して溶融を開始することにより予熱範囲(加熱範囲)70が形成される。
積層体26に形成される予熱範囲70は、電極組立体25の移動方向(相対移動方向)上、予熱用電極24の後方で、且つ第1及び第2ローラ電極対23の前方に位置する。すなわち、予熱範囲70は、移動方向上、予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23の間に位置する。
この加工中にも予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23とからなる電極組立体25は移動方向に移動する。時点t2〜t3では、ON/OFFスイッチ66がオフ時となり、薄板である金属板32へは、過入熱が回避される(通電の中断工程)。
次いで、ON/OFFスイッチ66がオン時となる時点t3〜t4において、図4Bに示すように、第1及び第2ローラ電極対23により厚板である金属板30、28の加熱が拡大し、薄板である金属板32の予熱範囲70に金属板30、28の加熱範囲72が概ね重ねられ、加熱範囲が拡大する。これにより、薄板である金属板32と厚板である金属板30、28の双方が拡大された、加熱範囲(加熱範囲72と予熱範囲70で溶融し、これによりこの後、十分なナゲットが生成される。
実際上、図4Aの過程(時点t1〜t2の通電工程)と、図4Aの過程と図4Bの過程の中間の過程(時点t2〜t3の中断工程)と、図4Bの過程(時点t3〜t4の通電工程)が連続し繰り返し行われて積層体26に対するシーム溶接が遂行される。
このため、シーム溶接での加工プロセスは、図6Aに示す或る箇所(位置)で、オンとされ、第1及び第2ローラ電極対23の前方に位置する予熱用電極24により薄板の金属板32に電流i2が通電され薄板である金属板32が加熱し予熱範囲70が生成されると共に、第1及び第2ローラ電極対23間を流れる電流(主溶接電流)i1により厚板である金属板30、28も加熱される。この際、図3に示したように、第1ローラ電極20の加圧力F1と、予熱用電極24の加圧力F2とが分散している点に留意する。
次に、オフ時とされることで、薄板である金属板32に対する過入熱が防止され、次いで、予熱用電極24及び第1及び第2ローラ電極対23がさらに前進した状態のある箇所で、時点t1〜t2(図5)で生成された予熱範囲70に対して、第1及び第2ローラ電極対23間に流れる主溶接電流i1により厚板の金属板30、28を加熱し薄板である金属板32の予熱範囲70に金属板30、28の加熱範囲72が重ねられる(図4B参照)。
このように、電流の分散(加圧力の分散)と厚板の金属板30、28への通電のタイミングを制御することにより、図6A、図6Bに示すように、薄板、厚板双方の金属板32、30、28に十分なナゲットを連続的に生成することができる。
以上説明したように上述した実施形態に係るシーム溶接方法は、少なくとも3枚のワークである金属板32、30、28を積層すると共に、前記ワーク中、厚みが最小である最薄ワークである金属板32を最外に配置して形成した積層体26を第1及び第2ローラ電極対23で挟持するとともに、第1及び第2ローラ電極対(主溶接電極対)23の移動方向の前方に設けた第2ローラ電極22と同極性の予熱用電極(補助電極)24を前記最薄ワークである金属板32に当接し、予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23とからなる電極組立体25を積層体26に対して相対的に移動させることで積層体26のシーム溶接を行うシーム溶接方法である。
このシーム溶接方法では、図7A〜図7Cに示すように、電極組立体25を積層体26に対して移動方向に相対的に移動させながら、予熱用電極24と第1ローラ電極20との間に予熱用電流i2を流すと共に、第1及び第2ローラ電極対23間に主溶接電流i1を流す通電工程(図7A、図5中、例えば、時点t1〜t2間)と、電極組立体25を積層体26に対して移動させながら、予熱用電極24と第1ローラ電極20との間に流れる予熱用電流i2と、第1及び第2ローラ電極対23との間に流れる主溶接電流i1と、の供給を中断する通電の中断工程(図7B、図5中、例えば、時点t2〜t3間)と、を有し、電極組立体25を積層体26に対して相対的に移動させながら、前記通電工程と前記中断工程とを繰り返すことで積層体26の前記シーム溶接を行う際、予熱用電極24の金属板32に対する当接位置P1が、積層体26の最薄ワークである金属板32上の或る位置に到達した時に前記通電工程を開始し予熱用電流i2を流して最薄ワークである金属板32に予熱範囲70(図7A)を形成した後、前記中断工程を開始して通電を中断し(図7B、電流i1、i2共に流れていない点に留意する。)、その後、第1及び第2ローラ電極対23の挟持位置P2が、予熱範囲70の前記移動方向の略中央位置に到達した時(図7C参照)に前記通電工程を開始して第1及び第2ローラ電極対23間に主溶接電流i1を流し積層体26の加熱範囲72を形成して予熱範囲70に重ねると共に、積層体26の最薄ワークである金属板32上の他の或る位置に予熱用電流i2を流して新たな予熱範囲(図7C中では図示省略)を形成するようにしている。
このように、通電工程と中断工程を繰り返す際に、通電のタイミング(通電オン:時点t1〜t2、t3〜t4、…)と通電の中断のタイミング(通電オフ:時点t2〜t3、t4〜t5)とを予熱範囲70との関係で規定し、予熱用電極24が最薄ワークである金属板32上の或る位置Q1(図7A参照)に到達したとき、通電工程を開始し、予熱用電流i2を流して最薄ワークである金属板32に予熱範囲70を形成した後、前記中断工程を開始して通電を中断し(図7B参照)、その後、第1及び第2ローラ電極対23の挟持位置P2が、予熱範囲70の前記移動方向の略中央位置Q2に到達した時(図7C参照)に前記通電工程を開始し主溶接電流i1を流して加熱範囲72を形成し予熱範囲70に重ねると共に、積層体26の前記最薄ワークである金属板32上の他の或る位置(図7Cで予熱用電極24が位置する位置)に予熱用電流i2を流して新たな予熱範囲{図7Cでは煩雑になるので図示していないが、電流i2が流れる経路上の図7Aに示した位置と同様な予熱用電極24と第1ローラ電極20との間の位置関係を有する位置。}を形成するようにしたので、予熱用電流i2により最外の最薄ワークである金属板32が予熱(通電:図7A)された後、予熱範囲70への過入熱を回避し(通電の中断、図7B)、その後、その予熱範囲70近傍が第1及び第2ローラ電極対23間を流れる主溶接電流i1により加熱(通電)され加熱範囲が拡大(加熱範囲72と予熱範囲70)されるようにしたので(図7C)、通電のタイミング(通電オン)と通電の中断のタイミング(通電オフ)とが適時に規定され、確実に、最薄ワークである金属板32の予熱が行われた後に、最薄ワークである金属板32が過入熱されることなく、最薄ワークである金属板32を含む積層体26に主溶接電流i1が流されて加熱されて、十分なナゲットを生成することができる。
通電タイミングの設定についてより具体的に説明すると、例えば、図7A〜図7Cに示すように、予熱用電極24と前記最薄ワークである金属板32の当接位置P1と、第1及び前記第2ローラ電極対23との挟持位置P2との間の前記移動方向に沿う距離をL1とし、予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23とからなる電極組立体25が、積層体26に対して相対的に移動する速度をV1とし、前記中断工程の開始時点から前記中断工程を終了する前記通電工程の開始時点までの通電の中断時間をToff(図5参照)とし、前記中断時間Toffの間に、予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23とが進む距離をLoffとしたとき、前記距離Loffが、0<Loff=V1×Toff<L1の範囲内に設定されているようにすればよい。より好ましくは、0<Loff=V1×Toff<(L1/2)の範囲内に設定されているようにすればよい。なお、距離(発熱点距離ともいう。)Loffは、例えば、予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23の加圧力・電流値・電極径・電極の先端形状等のパラメータにより支配され、決定することができる。あるいは、速度V1に基づき、中断時間Toffを算出し、この中断時間Toffに合致するように前記パラメータを調整乃至決定してもよい。
このように、この実施形態では、通電工程と中断工程を繰り返す際に、予熱用電極24が最薄ワークである金属板32上の或る位置(当接位置P1を、固定の或る位置Q1とする。)に到達したとき(図7A)、通電工程を開始して予熱範囲70を形成し、その後、通電工程を中断し(図7B)、その後、前記第1及び第2ローラ電極対23の挟持位置P2が予熱範囲70の略中央位置Q2に到達したときに(図7C)、通電工程を開始して(中断工程を終了して)加熱範囲を拡大(加熱範囲72+予熱範囲70)すると共に、予熱用電極24により積層体26の前記最薄ワークである金属板32に新たな予熱用電流i2が流されるようにしている。
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
上述の実施形態では、3枚の金属板32、30、28からなる積層体26を例として説明したが、図8A〜図8Cの他の実施形態に示すように、2枚の金属板32、30からなる積層体26Aにも略同様に、同一のタイミングで、この発明を同様に適用することができる。積層体26A中、薄い金属板32は、固有抵抗の低い発熱のし難い上述の軟鋼材、厚い金属板30は、固有抵抗の高い発熱のし易い上述のハイテン材である。
他の実施形態に係るシーム溶接方法は、2枚のワークである金属板32、30を積層すると共に、前記ワーク中、厚みが最小の最薄ワークである金属板32を最外に配置して形成した積層体26Aを第1及び第2ローラ電極対23で挟持するとともに、第1及び第2ローラ電極対(主溶接電極対)23の移動方向の前方に設けた第2ローラ電極22と同極性の予熱用電極(補助電極)24を前記最薄ワークである金属板32に当接し、予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23とからなる電極組立体25を積層体26Aに対して相対的に移動させることで積層体26Aのシーム溶接を行う。
このシーム溶接方法では、図8A〜図8Cに示すように、電極組立体25を積層体26Aに対して移動方向に相対的に移動させながら、予熱用電極24と第1ローラ電極20との間に予熱用電流i2を流すと共に、第1及び第2ローラ電極対23間に主溶接電流i1を流す通電工程(図8A、図5中、例えば、時点t1〜t2間)と、電極組立体25を積層体26Aに対して移動させながら、予熱用電極24と第1ローラ電極20との間に流れる予熱用電流i2と、第1及び第2ローラ電極対23との間に流れる主溶接電流i1と、の供給を中断する通電の中断工程(図8B、図5中、例えば、時点t2〜t3間)と、を有し、電極組立体25を積層体26Aに対して相対的に移動させながら、前記通電工程と前記中断工程とを繰り返すことで積層体26Aの前記シーム溶接を行う際、予熱用電極24の金属板32に対する当接位置P1が、積層体26Aの最薄ワークである金属板32上の或る位置に到達した時に前記通電工程を開始し予熱用電流i2を流して最薄ワークである金属板32に予熱範囲(加熱範囲)70A(図8A)を形成した後、前記中断工程を開始して通電を中断し(図8B、電流i1、i2共に流れていない点に留意する。)、その後、第1及び第2ローラ電極対23の挟持位置P2が、予熱範囲70Aの前記移動方向の略中央位置に到達した時(図8C参照)に前記通電工程を開始して第1及び第2ローラ電極対23間に主溶接電流i1を流し積層体26Aの加熱範囲72Aを形成して予熱範囲70Aに重ねると共に、積層体26Aの最薄ワークである金属板32上の他の或る位置に予熱用電流i2を流して新たな予熱範囲70A(図8C中では図示省略)を形成するようにしている。
このように、通電工程と中断工程を繰り返す際に、通電のタイミング(通電オン:時点t1〜t2、t3〜t4、…)と通電の中断のタイミング(通電オフ:時点t2〜t3、t4〜t5)とを予熱範囲70Aとの関係で規定し、予熱用電極24が最薄ワークである金属板32上の或る位置Q1(図8A参照)に到達したとき、通電工程を開始し、予熱用電流i2を流して最薄ワークである金属板32に予熱範囲70Aを形成した後、前記中断工程を開始して通電を中断し(図8B参照)、その後、第1及び第2ローラ電極対23の挟持位置P2が、予熱範囲70Aの前記移動方向の略中央位置Q2に到達した時(図8C参照)に前記通電工程を開始し主溶接電流i1を流して加熱範囲72Aを形成し予熱範囲70Aに重ねると共に、積層体26Aの前記最薄ワークである金属板32上の他の或る位置(図8Cで予熱用電極24が位置する位置)に予熱用電流i2を流して新たな予熱範囲{図8Cでは煩雑になるので図示していないが、電流i2が流れる経路上の図8Aに示した位置と同様な予熱用電極24と第1ローラ電極20との間の位置関係を有する位置。}を形成するようにしたので、予熱用電流i2により最外の最薄ワークである金属板32が予熱(通電:図8A)された後、予熱範囲70Aへの過入熱を回避し(通電の中断、図8B)、その後、その予熱範囲70A近傍が第1及び第2ローラ電極対23間を流れる主溶接電流i1により加熱(通電)され加熱範囲が拡大(加熱範囲72Aと予熱範囲70A)されるようにしたので(図8C)、通電のタイミング(通電オン)と通電の中断のタイミング(通電オフ)とが適時に規定され、確実に、最薄ワークである金属板32の予熱が行われた後に、最薄ワークである金属板32が過入熱されることなく、最薄ワークである金属板32を含む積層体26Aに主溶接電流i1が流されて加熱されて、十分なナゲットを生成することができる。
通電タイミングの設定については、図7A〜図7Cを参照して説明した上述の実施形態と同一であるが、念のために、説明を繰り返すと、例えば、図8A〜図8Cに示すように、予熱用電極24と前記最薄ワークである金属板32の当接位置P1と、第1及び前記第2ローラ電極対23との挟持位置P2との間の前記移動方向に沿う距離をL1とし、予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23とからなる電極組立体25が、積層体26Aに対して相対的に移動する速度をV1とし、前記中断工程の開始時点から前記中断工程を終了する前記通電工程の開始時点までの通電の中断時間をToff(図5参照)とし、前記中断時間Toffの間に、予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23とが進む距離をLoffとしたとき、前記距離Loffが、0<Loff=V1×Toff<L1の範囲内に設定されているようにすればよい。より好ましくは、0<Loff=V1×Toff<(L1/2)の範囲内に設定されているようにすればよい。なお、距離(発熱点距離ともいう。)Loffは、例えば、予熱用電極24と第1及び第2ローラ電極対23の加圧力・電流値・電極径・電極の先端形状等のパラメータにより支配され、決定することができる。あるいは、速度V1に基づき、中断時間Toffを算出し、この中断時間Toffに合致するように前記パラメータを調整乃至決定してもよい。
このように、図8A〜図8Cを参照して説明した他の実施形態では、通電工程と中断工程を繰り返す際に、予熱用電極24が最薄ワークである金属板32上の或る位置(当接位置P1を、固定の或る位置Q1とする。)に到達したとき(図8A)、通電工程を開始して予熱範囲70Aを形成し、その後、通電工程を中断し(図8B)、その後、前記第1及び第2ローラ電極対23の挟持位置P2が予熱範囲70Aの略中央位置Q2に到達したときに(図8C)、通電工程を開始して(中断工程を終了して)加熱範囲を拡大(予熱範囲70A+加熱範囲72A)すると共に、予熱用電極24により積層体26Aの前記最薄ワークである金属板32に新たな予熱用電流i2が流されるようにしている。
10…シーム溶接装置 12…多関節ロボット
16…シーム溶接機 20…第1ローラ電極
22…第2ローラ電極 24…予熱用ローラ電極
25…電極組立体
26、26A…積層体 28、30、32…金属板
60…交流電源 66…ON/OFFスイッチ
68…制御ユニット 70、70A…予熱範囲
72、72A…加熱範囲
i1…電流(主溶接電流) i2…電流(分岐電流、予熱用電流)

Claims (3)

  1. 少なくとも2枚のワークを積層すると共に、前記ワーク中、厚みが最小である最薄ワークを最外に配置して形成した積層体を第1及び第2ローラ電極対で挟持するとともに、前記第1及び第2ローラ電極対の移動方向の前方に設けた前記第2ローラ電極と同極性の予熱用電極を前記最薄ワークに当接し、前記予熱用電極と前記第1及び第2ローラ電極対とからなる電極組立体を前記積層体に対して相対的に移動させることで前記積層体のシーム溶接を行うシーム溶接方法であって、
    前記電極組立体を前記積層体に対して移動させながら、前記予熱用電極と前記第1ローラ電極との間に予熱用電流を流すと共に、前記第1及び第2ローラ電極対間に主溶接電流を流す通電工程と、
    前記電極組立体を前記積層体に対して移動させながら、前記予熱用電極と前記第1ローラ電極との間に流れる前記予熱用電流と、前記第1及び第2ローラ電極対との間に流れる前記主溶接電流と、の供給を中断する通電の中断工程と、
    を有し、
    前記電極組立体を前記積層体に対して相対的に移動させながら、前記通電工程と前記中断工程とを繰り返すことで前記積層体の前記シーム溶接を行う際、
    前記予熱用電極の当接位置が、前記積層体の前記最薄ワーク上の或る位置に到達した時に前記通電工程を開始し前記予熱用電極と前記第1ローラ電極との間に前記予熱用電流を流して前記最薄ワークに予熱範囲を形成した後、前記中断工程を開始して通電を中断し、
    その後、前記第1及び第2ローラ電極対の挟持位置が、前記予熱範囲の前記移動方向の略中央位置に到達した時に前記通電工程を開始して前記第1及び第2ローラ電極対間に前記主溶接電流を流し前記積層体の加熱範囲を形成して前記予熱範囲に重ねると共に、前記積層体の前記最薄ワーク上の他の前記或る位置に前記予熱用電流を流して新たな予熱範囲を形成する
    ことを特徴とするシーム溶接方法。
  2. 請求項1記載のシーム溶接方法において、
    前記予熱用電極と前記最薄ワークの当接位置と、前記第1及び前記第2ローラ電極対との挟持位置との間の前記移動方向に沿う距離をL1とし、
    前記予熱用電極と前記第1及び第2ローラ電極対とからなる前記電極組立体が、前記積層体に対して相対的に移動する速度をV1とし、
    前記中断工程の開始時点から前記中断工程を終了する前記通電工程の開始時点までの通電の中断時間をToffとし、
    前記中断時間Toffの間に、前記電極組立体が進む距離をLoffとしたとき、
    前記距離Loffが、
    0<Loff=V1×Toff<L1
    の範囲内に設定されている
    ことを特徴とするシーム溶接方法。
  3. 請求項1又は2記載のシーム溶接方法が適用されたシーム溶接装置。
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