JP2013168585A - 発光装置、半導体レーザ素子、車両用前照灯、および照明装置 - Google Patents

発光装置、半導体レーザ素子、車両用前照灯、および照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】可視光領域のレーザ光を利用した発光と、自然放出光を利用した発光とを切り替える。
【解決手段】閾値Ith以上の注入電流が供給されたときに可視光領域のレーザ光L0を発振し、閾値Ithを下回る注入電流が供給されたときに自然放出光LELを出射する半導体レーザ素子2と、半導体レーザ素子2から発せられたレーザ光L0または自然放出光LELを受けて蛍光LPLを発する発光部と、上記注入電流が0より大きく、かつ閾値Ithを下回る電流値を有するように、上記注入電流または閾値Ithを変化させる制御を行うことができる制御部16とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、励起光を出射する半導体レーザ素子および上記励起光を受けて蛍光を出射する発光部を備える発光装置、照明装置および車両用前照灯に関する。
レーザダイオードおよび蛍光体を備えた光源装置が特許文献1に開示されている。レーザダイオードが出射するレーザ光を蛍光体に入射させることによって、蛍光体からは自然放出光が放射される。特許文献1に係る発明では、この自然放出光を光源として利用する。
レーザ光は、時間的および空間的に位相がそろった電磁波でありコヒーレントな光といえる。また、レーザ光の発光点は非常に小さい。特許文献2には、このようなレーザ光の目に対する安全性を向上させるための発光装置が開示されている。上記発光装置は、コヒーレントなレーザ光の外部への出射を判断する判定部を備え、判定部の出力に基づいて半導体レーザ素子の発振を停止する発光装置が開示されている。
特開2003−295319号公報(2003年10月15日公開) 特開2011−66069号公報(2011年3月31日公開)
しかし、レーザ光を受けて発光する発光部を備える発光装置(レーザ発光装置と称する)において、レーザ光の発振を停止させると、レーザ光が外部に漏れないという安全性は確保できるが、レーザ光を受けて発光する発光はゼロになってしまう。
そこで、本発明の発明者らは、レーザ光による発光と、自然放出光(エレクトロ・ルミネッセンス光)による発光とを切り替えるという技術的思想を想到した。このような技術的思想は、新規なものであり、それゆえ、この技術的思想に基づく発光装置および照明装置は、本発明の発明者らが知る限りにおいて、これまで知られていない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的は、可視光領域のレーザ光を利用した発光と、自然放出光を利用した発光とを切り替えることができる発光装置、照明装置および車両用前照灯を提供することにある。
本発明に係る発光装置は、閾値以上の注入電流が供給されたときにレーザ光を発振し、上記閾値を下回る注入電流が供給されたときに自然放出光を出射する半導体レーザ素子と、上記半導体レーザ素子から発せられたレーザ光または自然放出光を受けて蛍光を発する発光部と、上記注入電流が0より大きく、かつ上記閾値を下回る電流値を有するように、上記注入電流または上記閾値を変化させる制御を行うことが可能な制御部とを備え、上記レーザ光の発振波長は、可視光の波長領域に含まれる波長であることを特徴とする。
上記の構成によれば、半導体レーザ素子から出射される励起光(レーザ光または自然放出光)を照射されることによって、発光部が蛍光を発する。この際、制御部は、例えば、半導体レーザ素子に供給する注入電流を制御する。制御部が、半導体レーザ素子に閾値以上の注入電流を供給したときには、半導体レーザ素子はレーザ光を出射する。制御部が、閾値を下回る注入電流を供給したときには、半導体レーザ素子はレーザ発振せずに自然放出光を出射する。このように、制御部が半導体レーザ素子に供給する注入電流を制御することによって、半導体レーザ素子からレーザ光または自然放出光を任意に選択して出射することができる。
また、制御部は、注入電流の供給を一定にした状態で、半導体レーザ素子の上記閾値を変化させる制御を行ってもよい。注入電流の供給を一定にした状態で、閾値を上昇させることによって、注入電流の電流値を、上記閾値を下回るものとすることができ、半導体レーザ素子からレーザ光を発振させずに自然放出光を出射することができる。
また、制御部は、注入電流の電流値の低下と上記閾値の上昇とをともに行ってもよい。
上記閾値を上昇させることにより、半導体レーザ素子が出射する自然放出光の光出力を向上させることができる。
また、レーザ光の発振波長が可視光の波長領域に含まれる波長であることによって、半導体レーザ素子が出射する自然放出光の波長の少なくとも一部も可視光領域に含まれる波長となる。このことによって、視認できる自然放出光を出射することができる。
なお、可視光領域とは、400nm以上、780nm以下の領域である。
本発明の一態様に係る発光装置は、上記レーザ光の光軸と上記発光部との相対位置関係の変化を検出する検出部をさらに備え、上記相対位置関係が変化したことを上記検出部が検出した場合に、上記制御部は上記制御を行うことがより好ましい。
上記の構成によれば、検出部はレーザ光の光軸と発光部との相対位置関係が変化したときに、当該変化を検出することができる。レーザ光の光軸と発光部との相対位置関係の変化には、レーザ光の光軸がずれること、発光部の位置がずれること、およびその両方が起こることが含まれる。
レーザ光の光軸と発光部との相対位置関係が変化すると、レーザ光の一部または全部が発光部に照射されずに、直接発光装置より外部へ出射される可能性が高まる。それゆえ、検出部は、レーザ光の一部または全部が外部へ出射される可能性の高まりを検出するといえる。
上記相対位置関係が変化したことを検出部が検出した場合、制御部は、例えば、半導体レーザ素子に閾値を下回る注入電流を供給し、半導体レーザ素子が自然放出光を出射するように制御する。このことによって、レーザ光が外部へ出射される可能性が高まったときに、半導体レーザ素子から出射される光を、レーザ光から自然放出光へ切り替えることができる。
本発明の一態様に係る発光装置において、上記検出部は、上記レーザ光の強度を検出するものであり、上記検出部が所定の強度以上のレーザ光を検出した場合に、上記制御部は上記制御を行うことがより好ましい。
上記の構成によれば、検出部は、レーザ光の光軸と発光部との相対位置関係の変化を、レーザ光の強度の変化として検出する。
レーザ光の光軸と発光部との相対位置関係が正常な場合は、レーザ光の大半は発光部において蛍光に変換される。したがって、検出部が検出するレーザ光の強度は低い。
一方、レーザ光の光軸と発光部との相対位置関係が正常な状態から変化すると、レーザ光の一部または全部が蛍光に変換されないという状況が生じる。この場合、検出部が検出するレーザ光の強度は大きくなる。
検出部が検出したレーザ光の強度が所定の強度以上である場合、制御部は、例えば、半導体レーザ素子に閾値を下回る注入電流を供給し、半導体レーザ素子から自然放出光を出射するように制御する。
それゆえ、発光部に照射されなかったレーザ光の強度に基づいて、半導体レーザ素子から出射される光を、レーザ光から自然放出光へ切り替えることができる。
本発明の一態様に係る発光装置において、上記半導体レーザ素子が複数設けられていることがより好ましい。
上記の構成によれば、半導体レーザ素子から自然放出光を出射するときに、より明るい光を出射することができる。
また、各半導体レーザ素子におけるレーザ光の出力を小さくすることができ、その結果、半導体レーザ素子そのものにかかる負荷を低減できる。従って、発光装置を長期間にわたって安定的に使用することができる。
本発明の一態様に係る発光装置において、上記制御部は、ユーザからの指示に従って上記制御を行ってもよい。
上記の構成によれば、ユーザが、任意に半導体レーザ素子が出射する光を、レーザ光または自然放出光に切り替えることができる。
本発明の一態様に係る発光装置において、上記制御部は、上記半導体レーザ素子の周囲の温度を上昇させることにより上記閾値を上昇させてもよい。
上記の構成によれば、制御部が半導体レーザ素子の温度を上昇させることにより、上記閾値を上昇させることができる。それゆえ、注入電流の電流値が低く設定されている場合には、上記閾値を上昇させることにより、相対的に注入電流の電流値を、上記閾値よりも小さくすることができる。
また、上記閾値を上昇させることによって、自然放出光を放出できる注入電流の範囲を広げることができ、半導体レーザ素子が出射する自然放出光の光出力を向上させることができる。
本発明の一態様に係る半導体レーザ素子は、閾値以上の注入電流が供給されたときにレーザ光を発振し、上記閾値を下回る注入電流が供給されたときに自然放出光を出射する半導体レーザチップと、上記半導体レーザチップが出射した自然放出光の配光制御を行う光学部材とがパッケージされていることを特徴とする。
上記の構成によれば、半導体レーザ素子が備える光学部材が、半導体レーザチップが出射した自然放出光の配光制御を行うため、より多くの自然放出光を半導体レーザ素子の外部へ出射することができる。すなわち、自然放出光の出力を向上させることができる。
本発明の一態様に係る半導体レーザ素子において、上記光学部材は、上記半導体レーザチップを覆う反射曲面を有する第1反射面と、当該第1反射面と対向する第2反射面とを有していることがより好ましい。
上記の構成によれば、半導体レーザチップから等方的に出射される自然放出光は、第1反射面と第2反射面とによって複数回にわたって反射されることによって、配光制御が行われる。上記配光制御を行うことによって、半導体レーザ素子が出射する自然放出光の出力を向上させることができる。
本発明の一態様に係る半導体レーザ素子において、上記第1反射面の一部には、配光制御した自然放出光を外部へ出射する窓部が形成されていることがより好ましい。
上記の構成によれば、第1反射面および第2反射面によって複数回の反射を受けた自然放出光の多くは、第1反射面の一部に向かって進むように配光制御が行われている。上記第1反射面の一部に窓部が形成されていることによって、配光制御した自然放出光を効率良く半導体レーザ素子の外部へ出射することができる。すなわち、自然放出光の出力を向上させることができる。
本発明の一態様に係る半導体レーザ素子において、上記光学部材は、反射鏡を含み、当該反射鏡は、上記半導体レーザチップの周囲の一部に配置され、上記半導体レーザチップから出射される自然放射光を所定の立体角内へ配光制御する反射曲面を有していることがより好ましい。
上記の構成によれば、半導体レーザチップから等方的に出射される自然放出光を、所定の立体角内へ配光制御することができる。このことによって、半導体レーザ素子から出射する自然放出光の出力を向上させることができ、かつ、自然放出光の配光制御を行うための第1反射面が不要となる。したがって、半導体レーザ素子のパッケージをより簡便な形状にすることができる。
本発明の一実施形態に係る車両用前照灯は、上記発光装置または上記半導体レーザ素子を含むことがより好ましい。
本発明の一実施形態に係る照明装置は、上記発光装置または上記半導体レーザ素子を含むことがより好ましい。
上記の構成により、レーザ光を利用した発光と、自然放出光を利用した発光とを切り替えることができる車両用前照灯および照明装置を実現することができる。
本発明に係る発光装置は、閾値以上の注入電流が供給されたときにレーザ光を発振し、上記閾値を下回る注入電流が供給されたときに自然放出光を出射する半導体レーザ素子と、上記半導体レーザ素子から発せられたレーザ光または自然放出光を受けて蛍光を発する発光部と、上記注入電流が0より大きく、かつ上記閾値を下回る電流値を有するように、上記注入電流または上記閾値を変化させる制御を行うことが可能な制御部とを備える構成である。
それゆえ、レーザ光を利用した発光と、自然放出光を利用した発光とを切り替えることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るヘッドランプの構成を示す模式図である。 一般的な半導体レーザ素子における、光出力の注入電流依存性を定性的に示す図である。 本発明の一実施形態に係るヘッドランプにおける半導体レーザ素子を駆動する際の処理の流れを示すフローチャートである。 (a)は、本発明の一実施形態に係る半導体レーザチップの回路図を模式的に示したものであり、(b)は、半導体レーザチップが自然放出光を出射している様子を示す模式図であり、(c)は、半導体レーザチップがレーザ光を出射している様子を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子の構成を示す模式図である。(a)は、半導体レーザ素子の斜視図であり、(b)はレーザ光を出射している半導体レーザチップの断面図であり、(c)は自然放出光を出射している半導体レーザチップの断面図である。 本発明の一実施形態に係る別の半導体レーザ素子の構造を示す模式図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る半導体レーザチップをサブマウントに固定した場合の構造を模式的に示し、(b)は、半導体レーザチップをステムに固定した場合の構造を模式的に示す三面図である。 本発明の一実施形態に係る別のヘッドランプの構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るさらに別のヘッドランプの構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るさらに別のヘッドランプの構成を示す模式図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係るレーザダウンライトの外観を示す斜視図であり、(b)は、上記レーザダウンライトが設置された天井の断面図であり、(c)は、上記レーザダウンライトの断面図である。 従来の半導体レーザ素子の構成を模式的に示す断面図である。
〔実施の形態1〕
本発明の一形態実施について図1〜図7に基づいて説明すれば以下の通りである。ここでは本発明の照明装置の一例として、自動車用のヘッドランプ(発光装置、車両用前照灯)1を例に挙げて説明する。ただし、本発明の照明装置は、自動車以外の車両・移動物体(例えば、人間・電車・船舶・航空機・潜水艇・ロケットなど)のヘッドランプとして実現されてもよいし、その他の照明装置として実現されてもよい。その他の照明装置として、例えば、サーチライト、プロジェクター、屋内照明器具、屋外照明器具、家庭用照明器具、商業用照明器具を挙げることができる。
自動車が備えるヘッドランプの主な役割は、夜間および視界の悪い状況において、当該自動車のドライバー(以下では、単にドライバーとする)にとって安全な視野を確保すること、および、当該自動車の周囲にいる人間に当該自動車の存在を正しく認識させること、の2点である。また、ヘッドランプ1は、走行用前照灯(ハイビーム)の配光特性基準を満たしていてもよいし、すれ違い用前照灯(ロービーム)の配光特性基準を満たしていてもよい。
<ヘッドランプ1の概要>
図1は、ヘッドランプ1の構成を示す模式図である。ヘッドランプ1は、半導体レーザ素子2が出射する光を励起光LEXとして発光部7に照射する。発光部7が含む蛍光体が励起光LEXを吸収することによって、上記蛍光体の基底状態にある電子が励起状態に励起される。励起状態に励起された電子は、基底状態に遷移する際に蛍光LPLを放射する。ヘッドランプ1は、上記蛍光体が放射する蛍光LPLと励起光LEXとの混色、または蛍光LPLを照明光LOUTとして利用する照明装置である。照明光LOUTとして、蛍光LPLと励起光LEXとの混色、または、蛍光LPLのいずれを選択するかは、ヘッドランプ1から出射したい照明光LOUTの色度に応じて決定することができる。
半導体レーザ素子2は、閾値以上の注入電流が供給されたときにレーザ光を発振し、上記閾値を下回る注入電流が供給されたときに自然放出光を出射する。半導体レーザ素子2から発振されたレーザ光は、励起光としての役割を果たし、発光部7を発光させる。上記自然放出光もレーザ光と同じ波長を含み、発光部7を発光させることができる。
それゆえ、図1では、半導体レーザ素子2から発振されるレーザ光および自然放出光を励起光LEXとして示している。
半導体レーザ素子2は通常状態において、レーザ光L0を励起光LEXとして発光部7に照射する。レーザ光L0の波長は、可視光の波長領域に含まれる波長であり、例えば405nm(青紫色)である。しかし、何らかの原因によってレーザ光L0が発光部7に照射されない状態に陥る可能性は否定できない。このような状態に陥る原因としては、以下のような状態が想定される。
・発光部7が所定の位置からずれる。
・発光部7に穴が開く、または、亀裂が生じる。
・レーザ光L0の光軸がずれる。
これらの状態は、レーザ光L0の光軸と発光部7との相対位置関係が、正常な状態から異常な状態へ変化した状態である。以下においては、レーザ光L0の光軸と発光部7との相対位置関係が異常な状態へ変化した状態のことを、光学系が異常な状態と呼ぶ。
光学系が異常な状態は、発光部7の位置が異常な場合と、レーザ光L0の光軸が異常な場合と、に大別される。本実施形態におけるヘッドランプ1では、光学系が異常な状態として発光部7の位置が異常な場合を想定する。
ヘッドランプ1において光学系が異常な状態になると、ヘッドランプ1が備える制御部16が、半導体レーザ素子2への注入電流値を、閾値電流Ithを下回る電流値に制御する(図2参照)。閾値電流Ithを下回る電流値を有する電流が半導体レーザ素子2に供給される場合、半導体レーザ素子2が出射する光は自然放出光LELのみとなる。
光学系が異常な状態であっても、半導体レーザ素子2が自然放出光LELを出射することによって、ドライバーはヘッドランプ1の照明光LOUTを完全に失うことはなく、ある程度の視野を確保することができる。
自然放出光LELは、人間の目に対する安全性が高いインコヒーレントな光である。よって、ヘッドランプ1の光学系が異常な状態となった際に、自然放出光LELがそのまま照明光LOUTとしてヘッドランプ1から照射されても、当該自動車の周囲にいる人間である歩行者、対向車の乗員および前走車の乗員などの目に損傷を与えない。
(ヘッドランプ1の制御方法)
ヘッドランプ1における半導体レーザ素子2を駆動する際の流れを、図3のフローチャートおよび図1を参照しながら説明する。なお、ヘッドランプ1が備えるそれぞれの構成部材については後述する。
ヘッドランプ1を備える自動車のドライバーは、ヘッドランプ1を点灯させる必要性を感じた際に、ユーザインターフェース18に含まれるスイッチ18bをオン状態にする。なお、当該自動車は周囲の明るさを検出する光センサーを備えていてもよい。上記光センサーが検出する明るさが、当該自動車の製造時にあらかじめ決められた所定の明るさを下回った場合に、自動的に半導体レーザ素子2の駆動を開始する構成としてもよい。
スイッチ18bがオン状態であることを制御部16の電流制御部16cが検出すると、電流制御部16cは電源17に対して所定の注入電流を半導体レーザ素子2に供給するための信号を出す。電源17は電流制御部16cからの信号を受けて、所定の注入電流を半導体レーザ素子2に供給する(S1)。
上記所定の注入電流の電流値は、半導体レーザ素子2の閾値電流Ith以上に設定されている(図2参照)。したがって、所定の注入電流が供給された半導体レーザ素子2は、レーザ光L0を発振する(S2)。
検出部15は、レーザ光L0の波長およびレーザ光の波長近傍の光を検出するように構成されている。発光部7が発する蛍光LPLのうち、レーザ光L0の波長近傍の光強度は非常に弱い。そのため、検出部15が検出する光は、レーザ光L0に起因する光であると考えて良い。検出部15は、検出したレーザ光L0の強度を制御部16の光強度取得部16aに出力する。光強度取得部16aは、レーザ光L0の強度を判定部16bに送る。判定部16bは、検出部15が検出したレーザ光L0の強度が、所定値より小さいかどうかを判定(S3)し、小さい場合には(S3にてYES)、その旨を示す正常情報を電流制御部16cに出力する。一方、検出部15が検出したレーザ光L0の強度が所定値以上の場合には(S3にてNO)、判定部16bは、その旨を示す異常情報を電流制御部16cに出力する。
上記判定結果がYESの場合、発光部7を透過し検出部15によって検出されるレーザ光L0の強度が非常に小さく、ヘッドランプ1が正常に動作していることを意味する。正常情報を受信すると、電流制御部16cは、電源17が所定の注入電流を半導体レーザ素子2に供給し続けるように電源17を制御する。すなわち、半導体レーザ素子2の発振は継続される(S4)。また、電流制御部16cは、ヘッドランプ1が正常に動作していることを示す情報をユーザインターフェース18の状態表示部18aに出力する(S5)。このことによって、ドライバーはヘッドランプ1が正常に動作していることを認識できる。
一方、上記判定結果がNOの場合、ヘッドランプ1の光学系が異常な状態であると考えられる。そこで、異常情報を受信すると、電流制御部16cは、注入電流を0より大きくかつ閾値電流Ithを下回る値とするように電源17を制御する(S6)。この制御によって半導体レーザ素子2におけるレーザ発振は止まり、半導体レーザ素子2からは励起光LEXとして自然放出光LELが出射される(S7)。また、電流制御部16cは、ヘッドランプ1が異常な状態にあることを示す情報をユーザインターフェース18の状態表示部18aに出力する(S8)。このことによって、ドライバーはヘッドランプ1に何らかの異常が発生していることを把握することができる。
<ヘッドランプ1の構成>
ヘッドランプ1は図1に示すように、半導体レーザ素子2、非球面レンズ3、発光部7、反射鏡8、透明板9、検出部15、制御部16、電源17、ユーザインターフェース18および発光部保持部材19を備えている。以下では、ヘッドランプ1が備えるそれぞれの構成部材について説明する。
(半導体レーザ素子2の概要)
半導体レーザ素子2は、励起光LEXを出射する励起光源として機能するものであり、半導体レーザチップ20(図5参照)を備えている。この半導体レーザチップ20は、閾値以上の注入電流が供給されたときにレーザ光L0を発振し、上記閾値を下回る注入電流が供給されたときに自然放出光LELを出射する。
半導体レーザ素子2として、1つのチップに1つの発光点を有する半導体レーザチップを用いてもよいし、複数の発光点を有する半導体レーザチップを用いてもよい。また、複数の半導体レーザ素子を配列させた半導体レーザモジュールを励起光源として用いてもよい。本実施形態では、1チップに1つの発光点(1ストライプ)を有する半導体レーザチップ20を単体で励起光源として用いている。
半導体レーザ素子2は、例えば、波長が405nm(青紫色)のレーザ光を発振し、動作電圧を5V、注入電流を0.7Aとした場合に光出力が1.0Wとなる。半導体レーザ素子2が発振するレーザ光L0の波長は、405nmに限定されず、可視光の波長領域に含まれる波長であればよい。ここで、可視光の波長領域とは、400nm以上、780nm以下の波長領域と定義する。レーザ光L0の波長は、400nm以上470nm以下の波長範囲にピーク波長を有することがより好ましい。
一般的に、発光部7として好適に利用できる蛍光体は、350nm以上、470nm以下の波長領域の励起光LEXによって効率良く励起される。一方、可視光領域は、上述の通り400nm以上、780nm以下である。それゆえ、レーザ光L0の波長範囲を400nm以上、470nm以下とすることにより、半導体レーザ素子2が出射する自然放出光LELも可視光領域の光(以下、可視光と称する)となる。自然放出光LELを利用した照明光LOUTが可視光であることによって、ドライバーは一定の視野を確保することができる。また、周囲にいる人間も照明光LOUTを視認することができ、当該車両の存在を適切に認識することができる。
半導体レーザ素子2の光出力は、例えば、1W以上20W以下であり、発光部7に照射されるレーザ光の光密度は、0.1W/mm以上50W/mm以下であることが好ましい。この範囲の光出力であれば、車両用のヘッドランプに要求される光束および輝度を実現できるとともに、出力が高過ぎるレーザ光L0によって発光部7が極度に劣化することを防止できる。すなわち、高光束かつ高輝度でありながら、長寿命の光源を実現できる。
なお、レーザ光を出射する励起光源として半導体レーザ以外のレーザ光源(固体レーザ)を用いてもよい。
(半導体レーザチップ20の構造)
半導体レーザチップ20の基本構造について図4を参照しながら説明する。半導体レーザチップ20は半導体レーザ素子2の内部に実装されている(詳しくは、半導体レーザ素子2の構造の項に記載)。
図4(a)は、半導体レーザチップ20を駆動する際の回路図を模式的に示したものであり、図4(b)は、半導体レーザチップ20の基本構造を示す斜視図である。図4(b)に示すように、半導体レーザチップ20は、カソード電極23、基板22、クラッド層113、活性層111、クラッド層112、アノード電極21がこの順に積層された構成である。すなわち、活性層111は、クラッド層113及びクラッド層112で挟まれた構造になっている。
基板22は、半導体基板であり、本願のように蛍光体を励起する為の青色〜紫外の励起光を得る為にはGaN、サファイア、SiCを用いることが好ましい。一般的には、半導体レーザ用の基板の他の例として、Si、GeおよびSiC等のIV属半導体、GaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSbおよびAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体、ZnO、Al、SiO、TiO、CrOおよびCeO等の酸化物絶縁体、並びに、SiNなどの窒化物絶縁体のいずれかの材料が用いられる。
アノード電極21は、クラッド層112を介して活性層111に電流を注入するためのものである。
カソード電極23は、基板22の下部から、クラッド層113を介して活性層111に電流を注入するためのものである。なお、電流の注入は、アノード電極21・カソード電極23に順方向バイアスをかけて行う。
青色〜紫外の励起光を得る為には、活性層111、クラッド層112およびクラッド層113の材料としてAlInGaNから成る混晶半導体が用いられる。一般に半導体レーザの活性層・クラッド層としては、Al、Ga、In、As、P、N、Sbを主たる組成とする混晶半導体が用いられ、そのような構成としても良い。また、活性層111、クラッド層112およびクラッド層113は、Zn、Mg、S、Se、TeおよびZnO等のII−VI属化合物半導体によって構成されていてもよい。
また、クラッド層113およびクラッド層112は、n型およびp型それぞれのGaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSb、及びAlNに代表されるIII−V属化合物半導体、並びに、ZnTe、ZeSe、ZnSおよびZnO等のII−VI属化合物半導体のいずれの半導体によって構成されていてもよい。
活性層111は、注入された電流により発光が生じる領域である。活性層111とクラッド層112及びクラッド層113との屈折率に差があることにより、発光した光が活性層111内に閉じ込められる。なお、活性層111は、多層量子井戸構造を形成していてもよい。
クラッド層113・クラッド層112および活性層111などの各半導体層との膜形成については、MOCVD(有機金属化学気相成長)法やMBE(分子線エピタキシー)法、CVD(化学気相成長)法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。各金属層の膜形成については、真空蒸着法やメッキ法、レーザアブレーション法、スパッタ法などの一般的な成膜手法を用いて構成できる。
(自然放出光とレーザ光)
半導体レーザチップ20に供給する注入電流と、半導体レーザチップ20が出射する励起光LEXの発光強度との相関関係について、図2および図4を参照しながら説明する。同時に、自然放出光LELおよびレーザ光L0が半導体レーザチップ20から出射される様子についても説明する。
半導体レーザチップ20のアノード電極21およびカソード電極23に順バイアスの電圧を印加することによって、活性層111に注入電流を供給する(図4(a)参照)。一般的な半導体レーザチップにおける光出力(L)の注入電流(I)依存性を図2に示す。一般的な半導体レーザチップにおいて図2に示すように、光出力が増加する傾き(ΔL/ΔI)が緩やかな領域(第1の領域)および急な領域(第2の領域)が存在する。第2の領域の直線を外挿することで得られるx切片の値が閾値Ithである。
注入電流が0より大きく、かつ閾値Ithを下回る場合、半導体レーザチップ20から出射される光は、電子とホールとの再結合によって生じる自然放出光LELのみである。活性層111はクラッド層112および113に挟まれた構造であるため、自然放出光LELは活性層111の面内方向に伝播する。すなわち、図4(b)に示すように自然放出光LELは半導体レーザチップ20が備える活性層111の断面から等方的に出射される。なお、自然放出光LELはインコヒーレントな光である。以下では、半導体レーザ素子2から自然放出光LELのみが出射される状態をELモードと呼ぶ。
半導体レーザ素子2がELモードで駆動されている場合、励起光LEXの成分は自然放出光LELのみでありレーザ光L0は含まれない。
閾値Ith以上の注入電流が供給される場合、半導体レーザチップ20からレーザ光L0が出射される。以下では、半導体レーザ素子2からレーザ光L0が出射される状態をレーザモードと呼ぶ。
半導体レーザ素子2がレーザモードで駆動されている場合、半導体レーザ素子2から出射される光の大半はレーザ光L0だが、自然放出光LELも含まれている。
活性層111には、誘導放出によって増幅される光を閉じ込めるために互いに対向して設けられる表側へき開面114および裏側へき開面115が形成されている。この表側へき開面114および裏側へき開面115が鏡の役割を果すことによって、半導体レーザチップ20は共振器として機能する。
一般的な半導体レーザチップにおいて、表側へき開面および裏側へき開面の少なくとも何れか一方は、完全に光を反射する鏡とは異なり、反射率が1よりかなり低く設定されている。半導体レーザチップ20においては、表側へき開面114の反射率を1よりかなり低く設定している。表側へき開面114と対向する裏側へき開面115には、それぞれのへき開面の反射率を所望の値とするための反射膜(図示せず)が形成されている。
上記構成を備えることによって、誘導放出によって増幅される光の一部は、表側へき開面114の発光点103からレーザ光L0として出射される(図4(c)参照)。半導体レーザチップ20における発光点103のサイズはおよそ1μm×10μmと非常に小さい。
レーザ光L0は誘導放出によって増幅される光なので、その波長および位相が揃ったコヒーレントな光である。また、表側へき開面114および裏側へき開面115の間を何度も往復したのちに出射されるため、レーザ光L0は極めて平行度の高い光として出射される。
(自然放出光を出射することの利点)
ヘッドランプ1の光学系に異常が生じた際に、照明光LOUTとして自然放出光LELを出射することの利点について説明する。ここでは、車両が備える2つのヘッドランプの一方が故障した場合について説明する。ここで、故障とは、発光部に照射されるレーザ光の光軸がずれた場合など、レーザ光の発振を続けることが好ましくない状態を指す。この場合、従来では、レーザ光の発振を止め、ヘッドランプを完全に消灯していた。
まず、車両の周囲にいる人間が、当該車両を認識する場合に生じる第1の問題を解決できる点について説明する。
故障した一方のヘッドランプを完全に消灯させた場合には、以下の問題が生じる。
・当該車両を認識することが遅れる。
・当該車両が4輪車または2輪車のいずれか判別することが困難になる。
・当該車両の大きさを見誤る。
・当該車両の速度を推測し間違える。
これに対して、ヘッドランプ1を2つ搭載した車両では、故障したヘッドランプ1が自然放出光LELを出射することによって、2つのヘッドランプのうちの少なくとも一方を完全に消灯させるという事態が回避できる。その結果、上記問題が発生することを回避できる。
また、ヘッドランプの一方が故障した場合に生じる第2の問題として、不十分な(片方だけの)照明光では障害物の視認性が落ちるため、車両運転時の安全を確保しづらくなるという問題が挙げられる。特に、左右のヘッドランプの照射領域がほとんど重複しない、または、全く重複しない場合には、一方が消灯した場合、そのヘッドランプが分担している照射領域には照明光が照射されないため、車両の運転が危険な状態になる可能性がある。
これに対して、ヘッドランプ1を2つ搭載した車両では、ヘッドランプ1の一方が故障すると、故障したヘッドランプ1において照明光LOUTは、レーザ光L0から自然放出光LELに切り替えられる。ヘッドランプ1が備える半導体レーザチップ20をELモードで駆動することによって得られる光出力は、レーザモードで駆動することによって得られる定格の光出力に対して1%から10%である(図2参照)。ELモードで駆動することによって、レーザモードで駆動する場合よりも光出力は低下するものの、ある程度の光照射を行うことができる。
そのため、左右のヘッドランプ1の照射領域が全く重複しない場合でも、故障したヘッドランプ1の照射領域が自然放出光LELによって照らされるため、故障したヘッドランプが完全に消灯する場合と比較して、当該車両のドライバーは、より広く、より明るい視界を確保することができる。このように、ヘッドランプ1が故障しても、当該車両のドライバーは大きな危険を伴うことなく運転を続けることができる。
また、ヘッドランプ1の照明光LOUTが白色ではなく青い、または、通常より光出力が低いことによって、当該車両の周囲にいる人間は、ヘッドランプ1が故障していることを認識することができる。
(ヘッドランプ1の安全性)
ヘッドランプ1の光軸に異常が生じている状態において、ヘッドランプ1が照射する照明光LOUTの安全性について説明する。
なんらかの原因によって、ヘッドランプ1の光軸が異常な状態となった場合に、ヘッドランプ1は、検出部15および制御部16によって光軸が異常な状態であることを検知することができる。本実施形態において光軸が異常な状態として想定するのは、次の状態である。
・発光部7は所定の位置に保持されているものの、発光部7に穴および亀裂などの欠陥が生じている状態。
・発光部7が所定の位置からずれており、レーザ光L0の一部が発光部7に照射されない状態。
・発光部7が所定の位置から完全に外れており、レーザ光L0が全く発光部7に照射されない状態。
このように光学系に異常が生じている場合、レーザ光L0の一部または全てが、発光部7に照射されなくなる。すなわち、レーザ光L0の一部または全てが発光部7よって蛍光LPLに変換されずにレーザ光L0のままヘッドランプのランプハウス(ハウジング10)の外部へ出射される。
光学系に異常が生じている場合、制御部16は半導体レーザ素子2へ供給する注入電流を閾値Ithを下回る電流値に制御する。このことによって、半導体レーザ素子2はELモードで駆動され自然放出光LELを出射する。自然放出光LELは、エネルギー密度が低いことに加えてインコヒーレントな光であり、人間の目に対して損傷を与える可能性が低い安全な光である。
ヘッドランプ1は、光学系に異常が生じている場合に、半導体レーザ素子2へ供給する注入電流を閾値Ithを下回る電流値に制御することによって、目に対して安全な自然放出光LELを励起光LEXとして出射する発光装置である。
(照明光LOUTの色)
ヘッドランプ1が正常な状態であれば、発光部7が含む蛍光体によりレーザ光L0は蛍光LPLに変換される。レーザ光L0が発光部7に照射されると、最終的に白色の照明光LOUTが外部へ出射される。
一方、半導体レーザ素子2から自然放出光LELを出射する場合、照明光LOUTの色は発光部7の状況に依存する。そのことについて、以下に説明する。
半導体レーザ素子2から出射される自然放出光LELは、レーザ光L0より光の指向性が低い。そのため、発光部7が本来保持されるべき場所において、自然放出光LELのスポット径は、レーザ光L0のスポット径より大きくなる。
発光部7が所定の位置に保持されていれば、発光部7に穴および亀裂などの欠陥が生じていても、発光部7は、自然放出光LELのスポット径の範囲内にある。したがって、自然放出光LELの一部は発光部7によって白色に変換され照明光LOUTの一部となる。発光部7に照射されない残りの自然放出光LELは、そのまま照明光LOUTの一部となる。
このように、照明光LOUTは、白色である蛍光LPLと例えば青紫色である自然放出光LELとを足しあわせた光となる。したがって、この場合、ヘッドランプ1の照明光LOUTの色は、ヘッドランプ1が正常である場合の白色とは異なり、例えば、青みの強い白色になる。
このようなヘッドランプの色の変化によって、当該車両の周囲にいる歩行者、対向車の乗員および前走車の乗員などは、当該車両が備えるヘッドランプ1が故障していることを認識することができる。
また、照明光LOUTに自然放出光LELが含まれる場合、照明光LOUTは、複数の波長成分を含むため、ドライバーは様々な色の物体を認識することができるという効果も得られる。
なお、ヘッドランプ1は自動車用のヘッドランプであるため、半導体レーザ素子2をELモードにて駆動している状態で走行するために、ヘッドランプ1から出射される照明光LOUTの色度が規則で定められている範囲内の色度となるように当該色度を設定することが好ましい。
これに対して、本発明を、照明光LOUTの色度の範囲が規則で定められていない照明装置に適用する場合は、照明光LOUTの色度は限定されない。照明光LOUTにおける色度の範囲が規則で定められていない照明装置の例としては、実施の形態5で述べるレーザダウンライト200などがあげられる。
レーザダウンライト200においても、ヘッドランプ1の場合と同様にレーザモードにおける照明光LOUTと、ELモードにおける照明光LOUTとの色は異なる。よって、当該照明装置の照明光LOUTを見た人は、当該照明装置が正常な状態、または、異常な状態のいずれかの状態にあるかを判断することができる。
(半導体レーザ素子2の構造)
本発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子2の構成を、図5を参照しながら説明する。図5(a)は、半導体レーザ素子2の構成を模式的に示す斜視図であり、図5(b)および(c)は半導体レーザ素子2の構成を模式的に示す断面図である。図5(b)および(c)は、半導体レーザチップ20を実装した半導体レーザ素子2を、アノード電極21側において半導体レーザチップ20の各層に対して垂直な方向から見た場合の断面図である。
また、半導体レーザ素子2の比較例として、従来の半導体レーザ素子300の断面図を図12に示す。
半導体レーザ素子2は、半導体レーザチップ20、サブマウント24、ステム25、配線26、キャップガラス27およびキャップ28を備えている。半導体レーザチップ20はサブマウント24に固定されており、サブマウント24はステム25に固定されている。半導体レーザチップ20のカソード電極23はサブマウント24と電気的に導通している。アノード電極21およびサブマウント24は、配線26を介して注入電流を供給するための電極に接続されている。
サブマウント24は、半導体レーザチップ20の駆動に伴い生じる熱を排熱するためのヒートシンクとして機能する。したがって、熱伝導率の高い金属であるアルミニウム、銅およびSiCのいずれかからなることが望ましい。ステム25を構成する材料としては、金めっきした鉄および金めっきした銅のいずれかを用いることができる。半導体レーザチップ20において生じる熱を排熱する観点からは、ステム25も熱伝導率の高い金属で構成されていることが好ましい。この場合は、注入電流を供給するための電極とステム25との間に絶縁部材(図示せず)を配置して、アノード電極21およびカソード電極23が電気的に短絡しないようにする。
半導体レーザ素子2と半導体レーザ素子300とは、それぞれのキャップ28および228の構成が大きく異なる。
半導体レーザ素子300の場合、半導体レーザチップ222から出射される光として想定しているのはレーザ光L0のみである。レーザ光L0は指向性および平行度が著しく高いため、半導体レーザチップ222から出射されたレーザ光L0の大半は、キャップガラス227を透過する。そのため、キャップ228の内側形状に特別な配慮は必要なく、図12に示すように単純な筒状の形状になっている。
半導体レーザ素子2の場合、半導体レーザチップ20から出射される光として、レーザ光L0に加えて自然放出光LELを想定している。自然放出光LELは、半導体レーザチップから等方的に出射される。そのため、半導体レーザ素子300を用いると、半導体レーザチップ222が出射する自然放出光LELのうち、ごくわずかな自然放出光LELのみがキャップガラス227を透過する(図12参照)。したがって、半導体レーザ素子300が出射する自然放出光LELの光出力は低下する。
半導体レーザチップが自然放出光LELを出射する場合、半導体レーザチップから等方的に出射される自然放出光LELの配光を制御し、半導体レーザ素子の光出力を向上させるパッケージを設けることが好ましい。
半導体レーザ素子2は、半導体レーザチップ20が出射する自然放出光LELの配光制御を行い、光出力を向上させることを目的に、半導体レーザチップ20が出射した自然放出光の配光制御を行う光学部材(例えば、反射鏡)が半導体レーザチップ20とともにパッケージされている。
具体的には、半導体レーザ素子2は、図5(b)および(c)に示すように、上記反射鏡として、半導体レーザチップ20を覆う反射曲面を有する反射鏡28a(第1反射面)と、当該反射鏡28aと対向する反射膜29(第2反射面)とを有している。反射鏡28aは、キャップ28の内側(半導体レーザチップ20が配置されている側)に形成されている。
キャップ28において、半導体レーザチップ20の表側へき開面に対向する領域には、レーザ光L0または自然放出光LELを透過するキャップガラス27(窓部)が配置されている。特に、キャップガラス27は、反射鏡28aおよび反射膜29によって配光制御された自然放出光を外部へ出射する窓部として機能する。
反射鏡28aの形状は、例えば回転放物面とすることができる。放物線の対称軸を円柱であるキャップ28の中心線と一致させ回転軸とする。上記放物線を、上記回転軸を中心として回転することにより上記回転放物面を得ることができる。反射鏡28aおよび反射膜29は、ステム25とキャップ28とによって形成される閉じた空間の内側領域に設けられている。
半導体レーザ素子2が、キャップ28および反射膜29を備えることによって、半導体レーザチップ20から出射される自然放出光LELのうち、直接キャップガラス27を透過しない自然放出光LELの配光制御が行われる。具体的には、自然放出光LELの多くが、反射鏡28aおよび反射膜29において複数回にわたって反射される。その結果、直接キャップガラス27を透過しない自然放出光LELもキャップガラス27を透過することが可能となり、半導体レーザ素子2から出射される自然放出光LELの光出力が向上する(図5(c)参照)。
半導体レーザ素子2が上記パッケージを備えることにより、ELモードにおける照明光LOUTの光出力を向上させる。その結果、ヘッドランプ1に異常が生じている状態においても、ドライバーにより明るい視野を提供することができる。
反射鏡28aの表面は、半導体レーザ素子2の発振波長(例えば、405nm)近傍の波長領域において反射率の高い材料が被服されていることが好ましい。同様に、反射膜29も半導体レーザ素子2の発振波長の近傍の波長領域において反射率の高い材料からなることが好ましい。上記の構成を備えることによって、半導体レーザ素子2は自然放出光LELの反射に伴う光強度の減衰を抑制することができる。
上記の405nm近傍の波長領域において反射率の高い材料としては、例えば銀、アルミニウムおよびロジウムのいずれかを用いることができる。これらの材料からなる被服を形成するためには、スパッタリングなどの一般的な成膜方法を用いることができる。なお、材料として銀やアルミニウムを用いるときは、表面の酸化を防止するための何らかの表面処理をさらに施すことが好ましい。
なお、反射鏡28aの形状は回転放物面に限定されない。たとえば反射鏡28aの形状は、回転楕円面の部分曲面や半球面でもよい。すなわち、反射鏡28aは、キャップ28の中心線を回転軸として放物線、楕円および円を回転させることによって形成される曲面の少なくともその一部をその反射面に含んでいるものであればよい。
また、反射鏡28aの形状は、複数の多角形の平面で形成されたドーム形状であってもよい。
(非球面レンズ3)
非球面レンズ3は、半導体レーザ素子2から出射された励起光LEXの指向性を制御した状態で発光部7に照射するためのレンズである(図1参照)。半導体レーザ素子2からは、励起光LEXとしてレーザ光L0または自然放出光LELが出射される。
通常は、半導体レーザ素子2はレーザ光L0を出射する。レーザ光L0は半導体レーザ素子2から出射された時点で、高い指向性を有している。そのため、発光部7の大きさによっては、非球面レンズ3を用いなくともレーザ光L0を発光部7のみに照射することはができる。しかし、非球面レンズ3を用いてレーザ光L0の指向性を制御することによって、発光部7に照射する際のスポット径を制御することができる。
レーザ光L0が蛍光LPLに変換される効率を高めることを考慮すると、レーザ光L0を発光部7に照射する際のスポットは、発光部7の光照射面と同じか、より小さいことが望ましい。
一方、上記スポットのサイズを小さくしすぎると、当該スポットにおけるレーザ光L0のエネルギー密度が増大する。この場合、半導体レーザ素子2から出射される多くのレーザ光L0が、発光部7の非常に小さな領域において吸収されるため、当該吸収に伴う発熱が局所的に発生する。その結果、発光部7の劣化を早め、寿命が短くなる虞がある。
したがって、発光部7に照射するレーザ光L0のスポット径は、発光部7の光照射面のサイズを超えない範囲でなるべく大きいことが好ましい。
一方、制御部16が備える判定部16bによって、ヘッドランプ1の光軸に異常があると判定された場合は、半導体レーザ素子2は自然放出光LELを出射する。
自然放出光LELは、反射鏡28aの形状、キャップガラス27の直径および半導体レーザチップ20の実装位置に依存して決定される所定の立体角内を進む光として出射される。したがって、自然放出光LELは指向性を有した光であるが、その指向性はレーザ光L0と比較して低いといえる。非球面レンズ3を用いることで、自然放出光LELの指向性を制御し、発光部7の設置位置におけるスポット径を制御することが可能となる。
非球面レンズ3として、例えばアルプス電気製のFLKN1 405を用いることができる。上述の機能を有するレンズであれば、非球面レンズ3の形状および材質は特に限定されないが、励起光の波長である405nm近傍の透過率が高く、かつ耐熱性のよい材料であることが好ましい。
なお、発光部7の大きさがレーザ光L0のスポット径と比較して大きい場合には、ヘッドランプ1において、非球面レンズ3を設けない構成としてもよい。
本実施形態では、励起光LEXを発光部7に照射するための手段として非球面レンズ3を用いているが、その手段は非球面レンズ3のみを用いる方法に限定されない。例えば、非球面レンズ3と発光部7との間に導光部を設置してもよい。上記導光部は、円錐台状の導光部材であり、石英ガラス、アクリル樹脂その他の透明素材で構成する。別の構成例としては、非球面レンズ3と発光部7との間に、導光部材として光ファイバーを設置しても良い。
(非球面レンズ3の変形例)
レーザモードおよびELモードの各モードにおけるスポット径を制御するための手段として、ヘッドランプ1は、非球面レンズ3の可動機構(図1には図示せず)を備えていても良い。上記可動機構を備えることによって、レーザモードおよびELモードのそれぞれの場合に最適なスポット径を実現することができる。
非球面レンズ3は、通常、レーザ光L0のスポット径が最適になる位置に配置されている。ELモードで半導体レーザ素子2を駆動する場合、電流制御部16cは、半導体レーザ素子2がELモードで駆動するよう制御するとともに、上記可動機構に対して非球面レンズ3を移動するための信号を出力する。当該信号を受けて、上記可動機構は、自然放出光LELのスポット径が最適になる位置に非球面レンズ3を移動する。
また、ヘッドランプ1は固定式の非球面レンズ3と、可動機構によって移動する第2のレンズを備えていてもよい。この構成では、レーザモードで半導体レーザ素子2を駆動する際は、非球面レンズ3のみを用い、第2のレンズはレーザ光L0の光軸上から外れた位置に収納されている。非球面レンズ3は、レーザ光L0のスポット径が最適になる位置に固定されている。ELモードで半導体レーザ素子2を駆動する際は、電流制御部16cが、第2のレンズの可動機構に対して、第2のレンズを移動するための信号を出力する。第2のレンズの可動機構は、当該信号を受け、第2のレンズを収納位置から自然放出光LELの光軸上に移動させ、自然放出光LELのスポット径が最適になる位置に配置する。
(発光部7)
発光部7は、励起光LEXを受けて発光するものであり、励起光LEXを受けて蛍光LPLを発する蛍光体が封止材としてのガラス材(例えば、無機ガラス)の中に分散されたものである。発光部7に含まれる蛍光体の組成については後述する。なお、励起光LEXとして、レーザ光L0および自然放出光LELが想定される。
この発光部7は、反射鏡8の焦点位置またはその近傍に発光部保持部材19によって固定されている。発光部7の位置の固定方法は、この方法に限定されない。たとえば、透明板9に接着することによって発光部7を固定してもよい。
発光部7の形状は、特に限定されず、直方体であっても、円筒状であってもよい。本実施形態では、発光部7は、例えば、直径2mm、厚さ1mmの円柱状である。
発光部7の厚みは1mmでなくともよい。上記厚みは、レーザ光L0が発光部7において全て蛍光LPLに変換されるか、または励起光LEXが発光部7において十分に散乱される厚みであればよい。つまり、蛍光体によりレーザ光L0が蛍光LPLに変換される、すなわちコヒーレント光がインコヒーレント光に変換される、もしくはコヒーレント光が発光部7を透過する過程で人体に無害な光出力レベルのコヒーレント光に散乱されるだけの厚みを発光部7が有していればよい。
このような発光部7の好ましい厚みを決定する要因のひとつとして、発光部7を構成する蛍光体と封止材との割合が挙げられる。発光部7における蛍光体の含有量が多くなれば、レーザ光L0を蛍光LPLに変換する効率が高まるため、発光部7の厚みを薄くできる。
また、発光部7の拡散機能をさらに高めるため、または発光部7を小型化するために、発光部7に拡散粒子を含ませても良い。拡散粒子を構成する物質として酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムおよびダイヤモンドなどを用いることができる。これら以外の物質からなる粒子を用いてもよいが、発光部7の励起光LEX吸収に伴う発熱に耐えられる物質であることが好ましい。
発光部7が拡散機能を有しているので、半導体レーザ素子2から出射されるコヒーレント性が高く発光点サイズの極めて小さなレーザ光L0を、人体への影響が少ない発光点サイズの大きな光に変換し、照明光LOUTとして出射できる。すなわち、レーザ光L0の空間的なコヒーレンシーを低下させることができる。
(蛍光体)
発光部7に含まれる蛍光体は、例えば、酸窒化物蛍光体、または窒化物蛍光体、またはIII−V族化合物半導体のナノメータサイズの粒子を用いた半導体ナノ粒子蛍光体である。例えば、発光部7に405nm(青紫色)の励起光が照射されたときに、白色の照明光が生成されるように、青色、緑色および赤色の蛍光を発する蛍光体を低融点ガラスに分散することによって、発光部7を構成してもよい。この場合、発光部7は、青紫色の励起光LEXを白色の蛍光LPLに変換する波長変換部材であるといえる。
なお、半導体レーザ素子2は、450nm(青色)のレーザ光(または、440nm以上490nm以下の波長範囲にピーク波長を有する、いわゆる「青色」近傍のレーザ光)を発振するものでもよく、この場合には、上記蛍光体は、黄色の蛍光体、または緑色の蛍光体と赤色の蛍光体との混合物である。黄色の蛍光体とは、560nm以上590nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。緑色の蛍光体とは、510nm以上560nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。赤色の蛍光体とは、600nm以上680nm以下の波長範囲にピーク波長を有する光を発する蛍光体である。
酸窒化物蛍光体の一例として、サイアロン(SiAlON)蛍光体と通称されるものを用いることができる。サイアロン蛍光体とは、窒化ケイ素のシリコン原子の一部がアルミニウム原子に、窒素原子の一部が酸素原子に置換された物質である。窒化ケイ素(Si)にアルミナ(Al)、シリカ(SiO)および希土類元素などを固溶させて作ることができる。
窒化物蛍光体の例としては、CASN(CaAlSiN)蛍光体およびSCASN((Sr,Ca)AlSiN)蛍光体を挙げることができる。
酸窒化物蛍光体および窒化物蛍光体は、その他の蛍光体に比べて熱に対する安定性が高い。そのため、発光部7を作製する時にガラス粉末と蛍光体とを混合して熱処理を行っても、組成が変化することなくガラス中に安定に存在する。結果として発光効率の高い発光部7を得ることができる。
蛍光体の別の好適な例としては、III−V族化合物半導体のナノメータサイズの粒子を用いた半導体ナノ粒子蛍光体を例示することができる。
半導体ナノ粒子蛍光体の特徴の一つは、同一の化合物半導体(例えば、GaN)を用いても、その粒子径をナノメータのオーダーで変更することにより、量子サイズ効果によって発光色を変化させることができる点である。
また、この半導体ナノ粒子蛍光体は、半導体ベースであるので蛍光寿命が短く、励起光のパワーを素早く蛍光として放射できるのでハイパワーの励起光に対して耐性が強いという特徴もある。これは、この半導体ナノ粒子蛍光体の発光寿命が10ナノ秒程度と、希土類を発光中心とする通常の蛍光体材料に比べて5桁も小さいためである。
さらに、上述したように、発光寿命が短いため、レーザ光の吸収と蛍光体の発光を素早く繰り返すことができる。その結果、強いレーザ光に対して高効率を保つことができ、蛍光体からの発熱を低減させることができる。
よって、発光部7が熱により劣化(変色や変形)するのをより抑制することができる。これにより、光の出力が高い発光素子を光源として用いる場合に、発光装置の寿命が短くなるのをより抑制することができる。
(照明光LOUT
ヘッドランプ1では、以下の光のいずれか1つ、またはそれらの組み合わせを照明光LOUTとして想定している。
・発光部7から放出される蛍光LPL
・半導体レーザ素子2から出射される自然放出光LEL
・発光部7によってインコヒーレント化または発光点が拡大されたレーザ光L1
より具体的には、発光部7に照射されたレーザ光L0が、発光部7に分散している蛍光体によって蛍光LPLに変換される場合、発光部7から放出される蛍光LPLそのものを照明光LOUTと呼ぶ。
ヘッドランプ1の光学系が異常な状態になり、半導体レーザ素子2から自然放出光LELのみが出射された場合において、自然放出光LELの一部が発光部7に照射されたときには、自然放出光LELが変換された蛍光LPLと自然放出光LELそのものとが照明光LOUTとなる。
発光部7に照射されたレーザ光の一部が、発光部7によって散乱または拡散されたものの、蛍光体によって蛍光LPLに変換されずに発光部7から放出される光を、インコヒーレント化されたレーザ光L1とする。この場合、インコヒーレント化されたレーザ光L1の波長はレーザ光L0と同じである。
インコヒーレント化されたレーザ光L1が存在する場合、蛍光LPLとインコヒーレント化されたレーザ光L1とが混合された光が照明光LOUTである。
(検出部15)
図1に示すように、検出部15は、レーザ光L0の光軸上かつ発光部7が励起光LEXを照射される面と対向する面側に配置されている。検出部15は、発光部7の背後におけるレーザ光L0の光強度を検出することを目的としており、光学フィルター13および光検出器14からなる。検出部15はレーザ光の波長領域の光強度を検出し、その光強度を示す信号を光強度取得部16aに出力する。検出部15は、発光部7と同様に保持部材を用いて保持されればよい。
検出部15は、レーザ光L0の波長近傍の波長領域の光を検出することが好ましい。そのためには、当該波長近傍の光を透過するバンドパスフィルターを光学フィルター13として用いればよい。
発光部7が発する様々な波長の蛍光LPLは光学フィルター13によって遮断される。そのため、レーザ光L0の波長近傍の波長領域を含む広い波長領域において検出感度を有する光検出器を光検出器14として用いても、レーザ光L0の波長近傍の光を選択的に検出することができる。光検出器14としては、例えばSiフォトダイオードを用いることができる。
光検出器14が、発光部7が放射する蛍光LPLを遮る位置に配置されている場合には、光検出器14が有する受光面のサイズは、できるだけ小さいことが好ましい。
また、検出部15と発光部7との間の距離は、レーザ光の検出効率等を考慮して適宜設定されればよい。検出部15を発光部7に近づければ、レーザ光の検出効率は高めるが、発光部7が放射する蛍光LPLを検出部15が遮る領域が大きくなる。
ヘッドランプ1において不測の事態が発生し、発光部7が所定の位置からずれた場合、光検出器14にはレーザ光L0が直接入射することが考えられる。したがって、光検出器14は、高強度の光が入射した場合でも破損することなく、光強度に応じた信号(電圧または電流)を出力することが可能な光検出器であることが好ましい。すなわち、光検出器14は広いダイナミックレンジを有していることが好ましい。
光学フィルター13は上述のバンドパスフィルターに限定されず、たとえばローパスフィルターを使うこともできる。ローパスフィルターとは、所定の波長より短い波長を透過するフィルターの総称である。励起光LEXの波長が405nmである場合、例えばカットオフ波長が410nmのローパスフィルターを光学フィルター13として用いることができる。
光検出器14から出力される信号は微弱であるため、ヘッドランプ1は当該信号を増幅するためのアンプを備えていてもよい(図1には図示せず)。上記アンプは、光検出器14の一部として光検出器14に組み込まれていてもよいし、反射鏡8の外側直近に設けてもよい。また、光強度取得部16aがアンプを含む構成としてもよい。
(制御系)
制御部16は、光強度取得部16a、判定部16bおよび電流制御部16cを備えている。
光強度取得部16aは、検出部15が検出したレーザ光L0の強度を示す情報(レーザ光強度情報)を検出部15から取得し、当該レーザ光強度情報を判定部16bへ出力する。
判定部16bは、レーザ光強度情報が示すレーザ光L0の強度が、所定値より小さいかどうかを判定する。そして、判定部16bは、上記強度が所定値より小さい場合には、その旨を示す正常情報を電流制御部16cに出力し、上記強度が所定値以上の場合には、その旨を示す異常情報を電流制御部16cに出力する。
電流制御部16cは、電源17を制御することにより、半導体レーザ素子2の駆動モード(レーザモードまたはELモード)を切り替える。具体的には、電流制御部16cは、半導体レーザ素子2をレーザモードで駆動する場合には、電源17を制御することにより所定の電流値の注入電流を半導体レーザ素子2に供給する。一方、半導体レーザ素子2をELモードで駆動する場合には、電流制御部16cは、電源17を制御することにより、注入電流が0より大きく、かつ閾値電流Ithを下回る電流値を有するように、注入電流を変化させる。
本実施形態において、電流制御部16cが電源17を制御する構成としているが、電源17と半導体レーザ素子2との間に、半導体レーザ素子2に供給される電流値を制御する電流制御部を設けてもよい。この電流制御部は、出力電流値を制御することができる定電圧源としての機能を備えていればよく、半導体レーザ素子2に供給する電圧を一定(例えば5V)とし、電流を可変制御する。
ユーザインターフェース18は、状態表示部18aおよびスイッチ18bを備えている。スイッチ18bは、ドライバーがヘッドランプ1の点灯(オン状態)および消灯(オフ状態)を切り替えるためのスイッチに加えて、半導体レーザ素子2の駆動モードを任意に切り替えるためのモード切替スイッチを備えていてもよい。
上記モード切替スイッチを備えることによって、例えば私道や私有地内のような、すなわち公道以外の場所であればドライバーが任意にレーザモードとELモードとを切り替えることができる。すなわち、ヘッドランプ1は、ユーザからの指示に従ってレーザモードとELモードとを切り替えることができる。ユーザインターフェース18が上記モード切替スイッチを備えることによって、キャンプを行っている際にヘッドランプを夜間のライトとして使用することができる。
なお、判定部16bは、上記正常情報および異常情報を状態表示部18aへ出力してもよい。当該正常情報を受け取ると、状態表示部18aは、ヘッドランプ1が正常な状態で点灯されていることをユーザに通知する。
一方、上記異常情報を受け取ると、状態表示部18aは、ヘッドランプ1が異常な状態にあることをユーザに通知する。
また、ヘッドランプ1は正常な状態であるが、上記モード切替スイッチによってELモードで駆動されている場合は、状態表示部18aは、ヘッドランプ1は正常であり、かつ、ELモードで駆動されていることをユーザに通知する。
このような判定部16b(すなわち、ヘッドランプ1に異常があることを通知する異常通知手段)が状態表示部18aに組み込まれていてもよい。
(反射鏡8)
反射鏡8は、発光部7が発する蛍光LPLを反射することにより、所定の立体角内を進む光線束を形成するものである。すなわち、反射鏡8は、発光部7からの光を反射することにより、ヘッドランプ1の前方へ進む光線束を形成する。この反射鏡8は、例えば、金属薄膜がその表面に形成された曲面形状(カップ形状)の部材であり、反射した光の進行方向に開口している。
反射鏡8の形状は、例えば回転放物面とすることができる。放物線の対称軸を回転軸として、当該回転軸を中心として当該放物線回転することにより回転放物面を得ることができる。なお、反射鏡8の形状は上記の回転放物面に限定されない。たとえば反射鏡8の形状は、回転楕円面の部分曲面や半球面でもよい。すなわち、反射鏡8は、放物線、楕円および円の対称軸を回転軸として回転させることによって形成される曲面の少なくともその一部をその反射面に含んでいるものであればよい。さらに、反射鏡8の形状は、複数の多角形の平面で形成されたドーム形状であってもよい。
(透明板9)
透明板9は、反射鏡8の開口部を覆う透明な樹脂板である。照明光LOUTの大半を透過する材質で、透明板9を形成することが好ましい。なお、透明板9として、樹脂板以外に無機ガラス板なども使用できる。
また、透明板9の形状は平板に限られない。反射鏡8によって形成された照明光LOUTの光線束をさらに配光制御するために、透明板9はレンズ形状であってもよい。
(半導体レーザ素子の変形例)
本発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子の変形例である半導体レーザ素子2aについて、図6および図7を参照しながら説明する。なお、半導体レーザ素子2と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
図6は、半導体レーザ素子2aの構成を模式的に示す断面図である。同図は、半導体レーザチップ20を実装した半導体レーザ素子2aを、アノード電極21側において半導体レーザチップ20の各層に対して垂直な方向から見た場合の断面図である。
半導体レーザ素子2aが半導体レーザ素子2と異なる点は、半導体レーザチップ20を実装するサブマウント24aが反射鏡としての機能するカップ形状の構造を備えていることである。半導体レーザ素子2が、反射鏡28aを備えたキャップ28によって自然放射光LELの配光制御を行うのに対して、半導体レーザ素子2aではサブマウント24aが自然放射光LELの配光制御を行う。したがって、キャップ28aの形状は従来のレーザ半導体素子300のキャップ228と同様である。
(サブマウント24a)
図7(a)は、半導体レーザチップ20をサブマウント24aに実装した状態を模式的に示す三面図である。図7(a)において、半導体レーザチップ20をアノード電極21側において半導体レーザチップ20の各層に対して垂直な方向から見た図を平面図とする。また、平面図に示す直線1A−1Aにおける断面を示す図を正面図(平面図の下側に示す図)とし、レーザ光L0の出射方向から見た図を側面図(平面図の右側に示す図)とする。
サブマウント24aには、放物線形状の曲面を有する掘りこみ部分が形成されている。この掘りこみ部分は、半導体レーザチップ20の厚みより深く形成されている。この掘りこみ部分の表面に反射膜を形成することにより反射鏡24bが形成されている。
反射鏡24bは、半導体レーザチップ20の周囲の一部に配置され、半導体レーザチップ20から出射される自然放射光LELを所定の立体角内へ配光する反射曲面を有している。この反射曲面は、半導体レーザチップ20が配置されているサブマウント24aの面に対して略垂直に起立しており、半導体レーザチップ20の側面(活性層111が露出している面)と対向している。それゆえ、反射鏡24bは、活性層111から等方的に出射される自然放射光LELを受けることができる。
この反射鏡24bは、図7(a)の平面図に示すように、半導体レーザチップ20の各層に対して垂直な方向から見た場合に、放物線形状を有している。それゆえ、反射鏡24bに照射された自然放射光LELは、反射鏡24bによって反射され、レンズキャップ27の方向へ配光制御される。
この構成により、自然放射光LELを効率良く半導体レーザ素子2aの外部へ出射することができる。それゆえ、ELモードにおける光出力を高めることができる。
反射鏡24bは、半導体レーザ素子2の発振波長近傍の波長領域において反射率の高い材料を含むことが好ましい。
なお、サブマウント24aは、半導体レーザチップ20のヒートシンクとしての機能も有しているため、熱伝導率の高い熱伝導率の高いAl等の金属や、AlN、SiCなどのセラミックスで構成されていることが好ましい。
(ステム25a)
図7(b)に示すステム25aは、半導体レーザ素子2aの別形態である。図7(b)は半導体レーザチップ20をステム25aに実装した状態を模式的に示す三面図である。半導体レーザチップ20をアノード電極21側において半導体レーザチップ20の各層に対して垂直な方向から見た図を平面図とし、平面図に示す直線2A−2Aにおける断面を示す図を正面図とし、レーザ光L0の出射方向から見た図を側面図とする。
半導体レーザチップ20がステム25aに直接実装されている点において、図7(b)の構成は図7(a)の構成と異なる。ステム25aには、放物線形状の掘りこみ部分が形成されている。この掘りこみ部分は、半導体レーザチップ20の厚みより深く形成されている。この掘りこみ部分の表面に反射膜を形成することにより反射鏡25bが形成されている。反射鏡25bの形状および配置は、反射鏡24bのそれと基本的に同じである。
反射鏡25bは、半導体レーザ素子2の発振波長近傍の波長領域において反射率の高い材料を含むことが好ましい。
反射鏡25bが自然放射光LELの配光制御を行うことによって、自然放射光LELを効率良く半導体レーザ素子2aの外部へ出射でき、ELモードにおける光出力を高めることができる。
ステム25aは、半導体レーザチップ20のヒートシンクとしての機能も有しているため、熱伝導率の高いAlなどの金属で構成されていることが好ましい。さらに、コストが見合うのであれば、ステム25aは、高熱伝導率のセラミックスを射出成型することで形成されてもよい。
(閾値Ithの制御)
上述の説明では、半導体レーザ素子2に閾値thを下回る注入電流を供給することによって自然放出光を出射させていたが、注入電流を一定にした状態で半導体レーザ素子の閾値Ithを上昇させることで半導体レーザ素子2に自然放出光を出射させることも可能である。ただし、この場合には、所定の注入電流の電流値を、閾値Ithを変化させることができる範囲内に設定する必要がある。
ヘッドランプ1は半導体レーザ素子2を加熱するために、ヒーターおよび温度センサー(いずれも図1には図示せず)を備えていてもよい。半導体レーザ素子2を加熱し、その温度を高温にすることによって、半導体レーザ素子2の閾値Ithを上昇させることができる。
また、閾値Ithを上昇させることは、図2における第1の領域をより高い注入電流側に拡大できることを意味する。加熱をしない場合と比較して、より高い注入電流値でも半導体レーザ素子2はELモードとして駆動するため、光出力の高い自然放出光LELを得ることができる。
なお、次のように、注入電流の低下と閾値Ithの上昇とをともに行ってもよい。この場合には、図3のフローチャートに示すS3において判定結果がNOの場合、電流制御部16cは半導体レーザ素子2に閾値Ithを下回る注入電流を供給する(S6)。
その一方で、電流制御部16cは、上記ヒーターにも電流を供給し、半導体レーザ素子2を加熱する。また、電流制御部16cは上記温度センサーをモニターし、半導体レーザ素子2が所定の温度で安定するように上記ヒーターへの供給電流を制御する。
電流制御部16cは、半導体レーザ素子2が所定の温度で安定したことを確認した後に、上昇した閾値Ithを超えない範囲で、半導体レーザ素子2に供給する注入電流を上昇させる。
ヘッドランプ1に異常が生じている場合だけでなく、ユーザが任意にELモードを選択する場合でも、電流制御部16cは上記と同様の制御を行い、半導体レーザ素子2を加熱することができる。
このような制御を行うことによって、ELモードで半導体レーザ素子2を駆動する場合に、ヘッドランプ1は、自然放出光LELによる照明光LOUTの光出力を高めることができる。
<ヘッドランプ1の効果>
ヘッドランプ1が備える制御部16が、半導体レーザ素子2に供給する注入電流値を、閾値Ithを下回るように制御することによって、半導体レーザ素子2は自然放出光LELを出射することができる。上記の制御は、ヘッドランプ1に異常が生じていることを検出部15が検出した場合に実行されるだけでなく、ドライバーの意志によって任意に実行することができる。
ヘッドランプ1は、レーザ光が外部に漏れる危険性をリアルタイムで検出することができ、当該危険性を検出した場合、半導体レーザ素子2が出射する励起光LEXをレーザ光L0から自然放射光LELに瞬時に切り替えることができる。自然放射光LELはインコヒーレントな光であり、かつ発光点のサイズが大きいため、人間の目に入射しても損傷を与える可能性の低い安全な光である。
この制御によって、レーザ光L0を利用した照明光LOUTを出射できない場合でも、代替手段として自然放射光LELを利用した照明光LOUTを出射することができ、ある程度の光出力を維持することができる。
それゆえ、ヘッドランプ1が搭載された車両のドライバーは、ある程度の視界を確保できるため、ヘッドランプの異常という事態に対して落ち着いて対処することができる。また、自然放射光LELが点灯していることによって、当該車両は自らの存在を周囲に知らしめることができる。同時に当該車両の周囲にいる人間は、当該車両の存在を認識し、その大きさおよび移動速度などを把握することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の一実施形態について、図8に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施形態に係るヘッドランプ50は、ヘッドランプ1における光学系の構成を変形したものである。ヘッドランプ1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
(反射鏡58および反射板51)
反射鏡58は、発光部7が発する蛍光LPLを反射することにより、所定の立体角内を進む光線束(照明光LOUT)を形成するものである。
反射鏡58は、回転放物面である反射鏡8をその回転軸を含む平面によって切断した形状を有している。新たな開口部となる上記回転軸を含む平面には、反射板51が設けられている。反射鏡58および反射板51の表面には、蛍光LPLを反射するために、例えば金属薄膜が形成されている。
なお、切断前の反射鏡58の形状は上記の回転放物面に限定されない。たとえば反射鏡58の形状は、回転楕円面の一部部分曲面や半球面でもよい。すなわち、切断前の反射鏡58は、放物線、楕円および円の対称軸を回転軸として回転させることによって形成される曲面の少なくともその一部をその反射面に含んでいるものであればよい。
(光学系の構成)
半導体レーザ素子2および非球面レンズ3は、反射鏡58の外部に配置されており、反射鏡58には、励起光LEXを透過または通過させる窓部52が形成されている。この窓部52は、開口部であってもよいし、励起光LEXの波長およびその近傍の波長を透過可能な透明部材を含むものであってもよい。例えば、励起光LEXを透過し、白色光(発光部7の蛍光LPL)を反射するフィルターを設けた透明板を窓部52として設けてもよい。この構成では、発光部7の蛍光が窓部52から漏れることを防止できる。
以上の構成によれば、反射鏡58の外部から、窓部52を通して発光部7に励起光LEXを照射できる。それゆえ、半導体レーザ素子2の配置の自由度を高めることができ、例えば、発光部7の光照射面に対する励起光LEXの照射角度を好ましい角度に設定することが容易になる。
発光部7は、反射板51の表面上であって、反射鏡58の焦点またはその近傍の位置に配置されている。この発光部7に対して、半導体レーザ素子2は、レーザ光L0を照射する。
検出部15は、反射鏡58に形成された開口部に配設されており、発光部7によって変換されずに反射板51において反射したレーザ光を検出する。この検出部15は、レーザ光L0の光軸が正常な状態において、当該レーザ光L0が、発光部7に照射されずに直接反射板51において反射したときに、その反射光を検出できる位置に配設される。
この構成によれば、発光部7が反射板51の所定の位置からずれた場合に、検出部15に入射するレーザ光L0が増加する。
検出部15が検出したレーザ光L0の強度が所定値以上であると判定部16bが判定した場合には、電流制御部16cは、注入電流を0より大きくかつ閾値電流Ithを下回るものとするように電源17を制御する。この制御によって半導体レーザ素子2におけるレーザ発振は止まり、半導体レーザ素子2からは自然放出光LELが出射される(ELモードへ切り替え)。
(変更例1)
また、ヘッドランプ50において、レーザ光L0の光軸および発光部7の位置が正常な場合に、発光部7によって散乱されたレーザ光L0の波長成分を検出部15によって検出する構成にしてもよい。
この構成では、レーザ光L0の一部は、発光部7によって蛍光に変換されずに、発光部7によって散乱されるように発光部7が設計されている。それゆえ、レーザ光L0の光軸および発光部7の位置が正常な場合でも、検出部15はレーザ光L0の波長成分をわずかに検出する。
当該構成において、レーザ光L0の光軸がずれた場合、検出部15に入射するレーザ光L0の波長成分の量が低下する。検出部15が検出したレーザ光L0の波長成分の強度が所定値(第1の所定値)より小さいと判定部16bが判定した場合には、半導体レーザ素子2の駆動モードがELモードへ切り替えられる。
上記第1の所定値は、レーザ光L0の光軸および発光部7の位置が正常な場合に、検出部15が検出するレーザ光L0の波長成分の量に基づいて設定される。
(変更例2)
また、上記第1の所定値に加え、当該第1の所定値よりも大きい第2の所定値を設け、検出部15が検出したレーザ光L0の強度が第2の所定値以上である場合にも、半導体レーザ素子2の駆動モードをELモードへ切り替える構成にしてもよい。
上記第2の所定値は、発光部7が正常な位置からずれた場合に、反射板51によって反射され、直接検出部15に入射するレーザ光L0の強度に基づいて設定される。
この構成では、レーザ光L0の光軸および発光部7の位置のいずれに異常がある場合においても、半導体レーザ素子2の駆動モードをELモードへ切り替えることができ、レーザ光L0が外部に出射されることを防止することができる。
上記第1および2の所定値は、制御部16が利用可能な記憶部に予め格納されている。
〔実施の形態3〕
本発明の一実施形態について、図9に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施形態に係るヘッドランプ60において、上述の実施形態と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
ヘッドランプ60は、半導体レーザアレイ4および光ファイバー5を用いて励起光LEXを発光部7に照射する点がヘッドランプ1と異なる。また、ヘッドランプ60は、ハウジング10、エクステンション11およびレンズ12を備えている。
(半導体レーザアレイ4)
半導体レーザアレイ4は、複数個の半導体レーザ素子2aおよび非球面レンズ3aを配列したものである。図9に示す例では、半導体レーザアレイ4は、3個の半導体レーザ素子2aおよび非球面レンズ3aから構成されている。
1個の半導体レーザ素子2を用いた場合と比較して、半導体レーザアレイ4を用いることによって、以下のメリットが得られる。
・ELモード時に出射する自然放出光LELの光出力を向上できる。
・半導体レーザ素子の寿命を延ばすことができる。
ELモードにおいて得られる自然放出光LELの最大光出力は、レーザ光L0の定格における光出力と比較して低く、1個の半導体レーザ素子では、ヘッドランプとして十分な光出力を得ることは困難である。
3個の半導体レーザ素子2aを配列した半導体レーザアレイ4を用いることによって、ELモードにおける自然放出光LELの光出力は3倍になり、自然放出光LELを利用した照明光LOUTにおける光出力を高めることができる。
なお、複数の半導体レーザ素子2aを配列した半導体レーザアレイ4を用いた場合でも、発光点におけるエネルギー密度が低いことに変わりはなく、照明光LOUTが目に対して安全な光であることには変わりがない。
さらに、半導体レーザアレイ4が3個の半導体レーザ素子2aを備えていることによって、通常のレーザモード時における半導体レーザ素子2aの負担を軽減することができる。半導体レーザ素子2aが3個の場合、半導体レーザ素子2が1つの場合と同程度のレーザ光L0の光出力を得るために、個々の半導体レーザ素子2aが求められるレーザ光L0の光出力は1/3でよいからである。
それゆえ、半導体レーザ素子の寿命を延ばすことができ、より長期間にわたって光出力の安定したレーザ光L0を出射することができる。
なお、半導体レーザアレイ4が備える半導体レーザ素子2aおよび非球面レンズ3aの数は3対に限定されない。ELモード時に必要と考えられる自然放出光LELの光出力、使用する半導体レーザ素子2aの性能、半導体レーザアレイ4のサイズおよびコストなどの諸条件を考慮して最適な半導体レーザ素子2aの個数を決めればよい。
(光ファイバー5)
光ファイバー5は、半導体レーザアレイ4が出射した励起光LEXを発光部7へと導く導光部材であり、複数の光ファイバーの束である。光ファイバー5を用いて励起光LEXを発光部7へ導光することによって、半導体レーザアレイ4を設置場所の自由度が高まる。
この光ファイバー5は、上記励起光LEXが入射する複数の入射端部5bと、入射端部5bから入射した励起光LEXを出射する出射端部5aとを有している。
なお、導光部材として光ファイバー以外の部材、または光ファイバーと他の部材とを組み合わせたものを用いてもよい。
(フェルール6)
フェルール6は、光ファイバー5の出射端部5aを発光部7の励起光照射面に対して所定の位置関係で保持する。
このフェルール6は、反射鏡8から延出する棒状または筒状の部材などによって反射鏡8に対して固定されていればよい。フェルール6の材質は、特に限定されず、例えばステンレススチールである。
(光学系の構成)
発光部7は発光部保持部材19によって反射鏡8の焦点、またはその近傍の位置に配置されている。
検出部15は、反射鏡8の開口部を覆う透明板9とレンズ12との間の空間に配置され、かつ、光ファイバー5の出射端部5aと対向する向きに配置されている。言い換えると、出射端部5aから出射されたレーザ光L0の光軸を直線で延長した先に検出部15が配置されている。
また、検出部15は、レンズ12の方向からヘッドランプ60を見た場合に、反射鏡8の開口領域と重ならない位置に設置されていることが好ましい。この配置によって、照明光LOUTを検出部15が遮ることがなくなり、ヘッドランプ60の配光パターンに照度ムラが生じることを防止することができる。
(ハウジング10)
ハウジング10は、ヘッドランプ60の本体を形成しており、反射鏡8等を収納している。光ファイバー5は、このハウジング10を貫いており、半導体レーザアレイ4は、ハウジング10の外部に設置されてもよい。半導体レーザアレイ4は、レーザ光の発振時に発熱するが、ハウジング10の外部に設置することにより半導体レーザアレイ4を効率良く冷却することが可能となる。
(エクステンション11)
エクステンション11は、反射鏡8の前方の側部に設けられており、ヘッドランプ60の内部構造を隠して見栄えを良くするとともに、反射鏡8と車体との一体感を高めている。このエクステンション11も反射鏡8と同様に金属薄膜がその表面に形成された部材である。
(レンズ12)
レンズ12は、ハウジング10の開口部に設けられており、ヘッドランプ60を密封している。発光部7が発生し、反射鏡8によって配光制御された照明光LOUTは、レンズ12を通ってヘッドランプ60の前方へ出射される。
〔実施の形態4〕
本発明の一実施形態について、図10に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施形態に係るヘッドランプ70において、上述の実施形態と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
上述の実施の形態では、検出部15は、レーザ光L0の波長およびその近傍の光を検出するものであったが、ヘッドランプ70では、検出部75が、発光部7が発する蛍光LPLの光強度を検出する点において、上述の実施の形態と異なる。それゆえ、ヘッドランプ70では、発光部7が所定の位置からずれることによって蛍光LPLの生成量が低下した場合とともに、レーザ光L0の光軸がずれることによって蛍光LPLの生成量が低下した場合に、その異常を検出できる。
なお、ヘッドランプ70において、発光部7は透明板9に接着することによって保持されている。
(検出部75)
検出部75は、反射鏡8の一部に形成された開口部に設けられており、光学フィルター73および光検出器74を備えている。検出部75の受光面は、発光部7から出射される蛍光LPLを受光できるように、発光部7の方向に向けられている。
検出部75が、レーザ光L0を検出せずに、蛍光LPLを検出するように、検出部75は、例えばカットオフ波長が420nmのハイパスフィルターを光学フィルター73として備えている。
検出部75が備える光検出器74は、光検出器14と同様にSiフォトダイオードを用いればよい。なお、光検出器14は、Siフォトダイオードに限られず、可視光領域において検出感度を有する光検出器であればよい。
(ヘッドランプ70の制御方法)
レーザ光L0の光軸と発光部7との相対位置関係が正常な場合、レーザ光L0は発光部7に照射され、発光部7は蛍光LPLを発する。検出部75は、蛍光LPLの光強度を検出し、光強度取得部16aへ出力する。光強度取得部16aは、蛍光LPLの強度を判定部16bに送る。判定部16bは、蛍光LPLの強度が、所定値より大きいかどうかを比較し、その判定結果を電流制御部16cに出力する。
蛍光LPLの強度が、所定値以上の場合、電流制御部16cは、電源17が所定の注入電流を半導体レーザアレイ4に供給するように電源17を制御する。これによって、半導体レーザアレイ4の発振は継続される。
一方、蛍光LPLの強度が、所定値よりも小さい場合、レーザ光L0の光軸と発光部7との相対位置関係になんらかの変化、すなわち異常があると考えられる。この場合、電流制御部16cは注入電流を0より大きく、かつ閾値電流Ithを下回る電流値とするように電源17を制御する。半導体レーザアレイ4への注入電流が閾値電流Ithを下回る電流値となることにより、半導体レーザアレイ4からは自然放出光LELが出射される。
検出部75が蛍光LPLの光強度を検出することによって、発光部7における異常(亀裂などの欠陥が生じる、または発光部保持部材19から剥離するなど)だけでなく、レーザ光L0の光軸が所定の状態から変化した場合も、レーザ光L0の光軸と発光部7との相対位置関係の変化として検知することができる。
例えば、フェルール6の保持部材が外れるなどの原因によりレーザ光L0の光軸がずれ、レーザ光L0が発光部7に照射されずにヘッドランプ70の外部へ直接照射される状態になったとする。この場合、発光部7にはレーザ光L0が照射されないため、蛍光LPLは発生しない。検出部75が蛍光LPLの光強度を検出していることによって、当該異常を瞬時に検知し、半導体レーザアレイ4の駆動モードをレーザモードからELモードに切り替えることができる。
また、本実施形態の付加的な効果として、半導体レーザアレイ4の経時劣化を検出し、必要な蛍光体強度が得られるように半導体レーザアレイ4へ供給する電流を制御できることが挙げられる。半導体レーザアレイ4は長期間使用することによって劣化し、出射するレーザ光L0の出力が低下する。レーザ光L0の光出力が低下することは、発光部7の発する蛍光LPLの光強度が低下することを意味する。
検出部75が蛍光LPLの光強度を検出しているので、制御部16は蛍光LPLの光強度が低下していることを検知することができる。したがって、電流制御部16cは、所定の蛍光LPLの光強度が得られるように、半導体レーザアレイ4へ供給する注入電流を増大すればよい。注入電流を増大させても検出部75で検出される蛍光LPLの光強度が増加しない場合は、半導体レーザアレイ4の劣化・故障、または発光部7等がすれたと判断し、半導体レーザアレイ4の駆動モードをELモードに切り替えればよい。
蛍光LPLの光強度が所定の強度を下回った場合、電流制御部16cは状態表示部18aにヘッドランプ70の点検が必要であることを通知してもよい。
〔実施の形態5〕
本発明の一実施形態について、図11に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施形態に係るレーザダウンライト200において、上述の実施形態と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
(レーザダウンライト200の概要)
レーザダウンライト200は、家屋、乗物などの構造物の天井に設置される照明装置であり、半導体レーザ素子2から出射したレーザ光L0を発光部7に照射することによって発生する蛍光LPLを照明光LOUTとして用いるものである。なお、レーザダウンライト200と同様の構成を有する照明装置を、構造物の側壁または床に設置してもよく、上記照明装置の設置場所は特に限定されない。
<レーザダウンライト200の概要>
図11(a)は、発光ユニット210の外観を示す斜視図である。図11(b)は、レーザダウンライト200が設置された天井の断面図である。図11(c)は、レーザダウンライト200の断面図である。図11(b)および図11(c)に示すように、レーザダウンライト200は、天板400に埋設されている。レーザダウンライト200は、照明光LOUTを出射する発光ユニット210と、光ファイバー5を介して発光ユニット210へ励起光LEXを供給する励起光源ユニット220とを含んでいる。励起光源ユニット220は、天井には設置されておらず、ユーザが容易に触れることができる位置(例えば、家屋の側壁)に設置されている。このように励起光源ユニット220の位置を自由に決定できるのは、LD光源ユニット220と発光ユニット210とが光ファイバー5によって接続されているからである。この光ファイバー5は、天板400と断熱材401との間の隙間に配置されている。
レーザダウンライト200は、レーザ光L0の光軸と発光部7との相対位置関係が変化した場合、閾値Ithを下回る注入電流を半導体レーザ素子2に供給する。したがって、不測の理由によって発光部7が所定の位置からずれた場合に、レーザ光L0が外部に出射されることを防止できる。
さらに、レーザ光L0の光軸と発光部7との相対位置関係が変化していない正常な状態であっても、ユーザの意思により励起光LEXを任意にレーザ光L0または自然放出光LELに切り替えて使用することができる。
(レーザダウンライト200の構成)
レーザダウンライト200は、図11(c)に示すように、発光ユニット210、制御部216、電源217、ユーザインターフェース218および励起光源ユニット220を備えている。
レーザダウンライト200は家庭用の交流電源を電源217として用いる。したがって、制御部216が備える電流制御部は、電源217から入力された交流100Vを、直流5Vに変換した後に、半導体レーザ素子2に注入電流として供給する。
ユーザインターフェース218は、単にレーザダウンライト200の点灯および消灯を切り替えるスイッチだけでなく、その明るさを制御するスイッチを備えていることが好ましい。具体的には、半導体レーザ素子2の駆動モードをレーザモードまたはELモードに任意に切り替えることが可能なモード切替スイッチを備えていることが好ましい。ユーザインターフェース218が上記モード切替スイッチを備えていることによって、必要に応じてレーザダウンライト200から発生する光束、つまり明るさを変化させることができる。
例えば、レーザダウンライト200が店舗のエントランスに設置されている場合、営業時間中は光出力の高いレーザモードにて使用し、営業時間外の夜間は光出力の低いELモードにて使用することができる。上記の構成を備えることによって、レーザダウンライト200の使用用途が広がる。
また、レーザダウンライト200は人検知装置(図示せず)を備えていてもよい。上記人検知装置は、レーザダウンライト200が照明光LOUTを照射する領域に人がいるかどうかを検出し、その検出結果を制御部216が備える電流制御部に出力する。当該電流制御部は、上記人検知装置が人を検出した場合に、半導体レーザ素子2に閾値Ithを上回る注入電流を供給し、上記人検知装置が人を検出しない場合には半導体レーザ素子2に閾値Ithを下回る注入電流を供給する。
上記の構成を備えることによって、レーザダウンライト200の周辺に人がいない場合は、レーザダウンライト200の照明光LOUTの明るさを下げることができる。すなわち、無用な電力消費を抑制し、かつ、半導体レーザ素子2の寿命を延ばすことができる。
(発光ユニット210の構成)
発光ユニット210は、筐体211、光ファイバー5、発光部7、検出部15および透明板9を備えている。
筐体211には、凹部212が形成されており、この凹部212の底面に発光部7が配置されている。凹部212の表面には、金属薄膜が形成されており、凹部212は発光部7が発する蛍光EPLの配光を制御する反射鏡として機能する。
また、筐体211には、光ファイバー5および検出部15の出力線を通すための通路が形成されている。
検出部15は、レーザ光L0の光路の延長線上に位置し、その光検出面が光ファイバー5の出射端部に対向するように配置されている。なお、レーザ光L0の波長領域の光を検出する検出部15の代わりに、蛍光EPLの波長領域の光を検出する検出部75を用いてもよい。検出部75を用いる場合は、レーザ光L0の光路の延長線上を避け、その光検出面が発光部7に対向するように配置することが好ましい。
図11(a)では、発光ユニット210は、円形の外縁を有しているが、発光ユニット210の形状(より厳密には、筐体211の形状)は特に限定されない。
なお、ダウンライトでは、ヘッドランプの場合とは異なり、理想的な点光源は要求されず、発光点が1つというレベルで十分である。それゆえ、発光部2の形状、大きさおよび配置に関する制約は、ヘッドランプの場合よりも少ない。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、半導体レーザ素子を励起光源として用い、蛍光体が発する蛍光を用いる発光装置として幅広く利用することが出来る。また、車両用前照灯および照明装置としても利用することが出来る。
1 ヘッドランプ(車両用前照灯)
2 半導体レーザ素子
4 半導体レーザアレイ
7 発光部
8 反射鏡(第1反射鏡)
15 検出部
16 制御部
20 半導体レーザチップ
24b 反射鏡
25b 反射鏡
28a 反射鏡(第1反射面)
29 反射膜(第2反射面)
50 ヘッドランプ(車両用前照灯)
58 反射鏡
60 ヘッドランプ(車両用前照灯)
70 ヘッドランプ(車両用前照灯)
200 レーザダウンライト(照明装置)

Claims (12)

  1. 閾値以上の注入電流が供給されたときにレーザ光を発振し、上記閾値を下回る注入電流が供給されたときに自然放出光を出射する半導体レーザ素子と、
    上記半導体レーザ素子から発せられたレーザ光または自然放出光を受けて蛍光を発する発光部と、
    上記注入電流が0より大きく、かつ上記閾値を下回る電流値を有するように、上記注入電流または上記閾値を変化させる制御を行うことが可能な制御部とを備え、
    上記レーザ光の発振波長は、可視光の波長領域に含まれる波長であることを特徴とする発光装置。
  2. 上記レーザ光の光軸と上記発光部との相対位置関係の変化を検出する検出部をさらに備え、
    上記相対位置関係が変化したことを上記検出部が検出した場合に、上記制御部は上記制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
  3. 上記検出部は、上記レーザ光の強度を検出するものであり、
    上記検出部が所定の強度以上のレーザ光を検出した場合に、上記制御部は上記制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
  4. 上記半導体レーザ素子が複数設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
  5. 上記制御部は、ユーザからの指示に従って上記制御を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置。
  6. 上記制御部は、上記半導体レーザ素子の温度を上昇させることにより上記閾値を上昇させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
  7. 閾値以上の注入電流が供給されたときにレーザ光を発振し、上記閾値を下回る注入電流が供給されたときに自然放出光を出射する半導体レーザチップと、
    上記半導体レーザチップが出射した自然放出光の配光制御を行う光学部材とがパッケージされていることを特徴とする半導体レーザ素子。
  8. 上記光学部材は、上記半導体レーザチップを覆う反射曲面を有する第1反射面と、当該第1反射面と対向する第2反射面とを有していることを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ素子。
  9. 上記第1反射面の一部には、配光制御した自然放出光を外部へ出射する窓部が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の半導体レーザ素子。
  10. 上記光学部材は、反射鏡を含み、当該反射鏡は、上記半導体レーザチップの周囲の一部に配置され、上記半導体レーザチップから出射される自然放射光を所定の立体角内へ配光制御する反射曲面を有していることを特徴とする請求項7に記載の半導体レーザ素子。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置または請求項7〜10のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子を含むことを特徴とする車両用前照灯。
  12. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置または請求項7〜10のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子を含むことを特徴とする照明装置。
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