JP2013163734A - 蛍光体及び発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高輝度で高温特性と長期信頼性を有する蛍光体及びこの蛍光体を用いたい白色発光装置を提供する。
【解決手段】ピーク波長530nm以上535nm以下、蛍光強度200%以上230%以下の酸窒化物蛍光体(A)と、ピーク波長585nm以上604nm以下、外部量子効率62%以上且つ半価幅130nm以上の酸窒化物蛍光体(B)と、ピーク波長645nm以上655nm以下の窒化物蛍光体(C)を有し、蛍光体(A)、(B)の配合比が各々30質量%以上50質量%以下、蛍光体(C)の配合比が10質量%以上20質量%以下である蛍光体。
【選択図】なし
【解決手段】ピーク波長530nm以上535nm以下、蛍光強度200%以上230%以下の酸窒化物蛍光体(A)と、ピーク波長585nm以上604nm以下、外部量子効率62%以上且つ半価幅130nm以上の酸窒化物蛍光体(B)と、ピーク波長645nm以上655nm以下の窒化物蛍光体(C)を有し、蛍光体(A)、(B)の配合比が各々30質量%以上50質量%以下、蛍光体(C)の配合比が10質量%以上20質量%以下である蛍光体。
【選択図】なし
Description
本発明は、LED(Light Emitting Diode)に用いられる蛍光体及びLEDを用いた発光装置に関する。
白色発光装置に用いられる蛍光体として、βサイアロンと赤色発光蛍光体の組み合わせがあり(特許文献1参照)、特定の色座標を有する赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせた蛍光体がある(特許文献2参照)。一方、黄色蛍光体であるイットリウムアルミニウムガーネット(以後YAGと記載)系蛍光体を用いて白色を得る方法(特許文献3参照)もある。前者と区別するために、このような白色を「疑似白色」と称する。「疑似白色」を用いた発光装置は、比較的容易に高輝度が得られ易いが、演色性に劣る。また、両者とも高温下での使用や長期間使用した際の輝度低下を少なくすることが求められている。
本発明の目的は、YAG系蛍光体に比べてその高輝度な発光を損なうことなく、演色性、信頼性を改善した蛍光体を提供することにあり、この蛍光体を用いた白色発光装置を提供することにある。
本発明は、ピーク波長530nm以上535nm以下、蛍光強度200%以上230%以下の酸窒化物蛍光体(A)と、ピーク波長585nm以上604nm以下、外部量子効率62%以上且つ半価幅130nm以上の酸窒化物蛍光体(B)と、ピーク波長645nm以上655nm以下の窒化物蛍光体(C)を有し、蛍光体(A)、(B)の配合比が各々30質量%以上50質量%以下、蛍光体(C)の配合比が10質量%以上20質量%以下である蛍光体。
前記蛍光体は、蛍光体の配合比が、蛍光体(A)及び(B)の配合比をa及びbとした際に、a+b≧80質量%且つb/a≧1の関係を有することが好ましく、更に好ましくは、蛍光体(A)がβサイアロンであり、蛍光体(B)はβサイアロン以外の蛍光体であり、蛍光体(C)がCASNであることが好ましい。
本願の他の観点からの発明は、前述の蛍光体と、当該蛍光体を発光面に搭載したLEDとを有する発光装置である。
本発明によれば、YAG系蛍光体に比べて、演色性、信頼性を改善した蛍光体を提供することができ、この蛍光体を用いた白色発光装置を提供することができる。
本発明は、ピーク波長530nm以上535nm以下、蛍光強度200%以上230%以下の酸窒化物蛍光体(A)及びピーク波長585nm以上604nm以下、外部量子効率62%以上且つ半価幅130nm以上の酸窒化物蛍光体(B)を有し、蛍光体(A)、(B)の配合比が各々30質量%以上50質量%以下である蛍光体である。
本発明は、YAGの発光に不足する緑色領域にシャープなピークを有する蛍光体(A)とYAGよりブロードで長波長側の発光ピーク、即ち黄色成分と赤色成分を同時に有する蛍光体(B)の混合物を作成することで、YAG系蛍光体に比べてその高輝度な発光をあまり損なうことなく、演色性、信頼性を改善した蛍光体を得ることができる。
酸窒化物蛍光体(A)のピーク波長を530nm以上535nm以下としたのは、高い演色性を発現するために緑色を発光させるためであり、その蛍光強度を200%以上230%以下としたのは、高輝度を得るためである。酸窒化物蛍光体(B)のピーク波長を585nm以上604nm以下で且つ半価幅130nm以上としたのは、黄色と赤色成分を同時に含んだ発光とするためであり、外部量子効率62%以上としたのは、高輝度を得るためである。この二種類の蛍光体は、各々高信頼性を有し、その混合物も高信頼性を有となると共に、比較的高輝度を発現する。通常、色合いの異なる蛍光体を配合した場合、各々の励起波長域と発光波長域が重なることなどから、加成性が成り立たなくなって、混合品の発光ピークは個別の蛍光体の発光ピークを合成した計算値よりも低くなるが、本発明の組み合わせでは、励起域と発光域の重なりは少なく、一方の蛍光体の発光が他方の蛍光体の励起に殆ど使われないため、輝度の低下は小さくなって計算値に近くなる。蛍光体(A)及び蛍光体(B)の配合比が各々30質量%以上50質量%以下であるのは、高演色性の白色光を得るためである。
本発明においては、高い演色性を得るために、更に赤色成分の蛍光体(C)を組み合わせる。蛍光体(C)のピーク波長645nm以上655nm以下としたのは、蛍光体(A)と(B)の混合物で不足している領域に発光を追加するためである。蛍光体(C)は添加量が多すぎると蛍光体全体の輝度が低下し易く、少な過ぎると演色性があまり向上しないため、適切な添加量は、10質量%以上20質量%以下である。
本発明の蛍光体においては、更に高い演色性を得るために、酸窒化物(A)より短波長側にピークを有する緑色蛍光体を加えたり、高輝度を得るために酸窒化物(B)より短波長側にピークを有する黄色蛍光体等を追加したりすることができるが、酸窒化物では、蛍光体(A)より短波長側に発光ピークを有する蛍光体や、蛍光体(B)より少し短波長側に発光ピークを有する黄色蛍光体は、現状では入手困難である。バリウムオルソシリケート(BOS)系のようなシリケート系蛍光体は信頼性に劣り、多量に加えると混合物全体の信頼性を損なう。蛍光体(A)、(B)の配合比を各々a,bとした場合、a+b≧80%が好ましい。更に、適切な白色光を得るためには、b/a≦1であることが好ましい。Eu付活のβサイアロンはシャープなピーク波形を取るため蛍光体(A)には適切な材料である。
蛍光体の蛍光強度は、標準試料(YAG、具体的には三菱化学株式会社製P46Y3)のピーク高さを100%とした相対値を%表示して示したものである。蛍光強度の測定機は、株式会社日立ハイテック社製F−7000形分光光度計を用い、測定方法は、次のものである。
<測定法>
1)試料セット:石英製セルに測定試料及び標準試料を充填し、十分にエイジングした測定機に交互にセットして測定する。充填は、相対充填密度35%程度になるようにしてセル高さの3/4程度まで充填した。
2)測定:455nmの光で励起し、300〜800nmの最大ピークの高さを読み取った。測定を5回行ない、最大、最小値を除いて残りの3点の平均値とした。
<測定法>
1)試料セット:石英製セルに測定試料及び標準試料を充填し、十分にエイジングした測定機に交互にセットして測定する。充填は、相対充填密度35%程度になるようにしてセル高さの3/4程度まで充填した。
2)測定:455nmの光で励起し、300〜800nmの最大ピークの高さを読み取った。測定を5回行ない、最大、最小値を除いて残りの3点の平均値とした。
蛍光体のピーク波長は、蛍光強度の測定時に最大強度の波長として求められる。蛍光体の半価幅は、大塚電子社製のMCPD−7000瞬間マルチ測定システムにより、HALMA Company製のlabsphere(登録商標)スペクトラロン標準反射板(99%、2.0“×2.0”)を標準試料として用いる。測定方法は、アルミナ製の石板の中央部φ16mmに3mm厚さに試料を充填し、石英板で軽く押しつけ、すり切ってセットする。455nmの光で励起し、300〜800nmのピーク高さを読み取って積分強度を定め、最大値の半分の高さの幅を求める。測定は5回行って、最大、最小値を除いて残り3点の平均値とした。
本発明における蛍光体(A)は、ピーク波長530nm以上535nm以下、蛍光強度200%以上230%以下の酸窒化物蛍光体である。具体的には、βサイアロンがあり、より具体的には、電気化学工業株式会社アロンブライト(登録商標)のうち、GR−SW530A、GR−SW530B、GR−SW530C、GR−SW531A、GR−SW531B、GR−SW531C、GR−SW532A、GR−SW532B、GR−SW532C、GR−SW533A、GR−SW533B、GR−SW533C、GR−SW533Dがある。これらβサイアロンは、発光ピークが短波長域にあるにもかかわらず、比較的高いピーク強度を有する従来にない蛍光体材料である。βサイアロンは、ピーク波長がこの波長域にあると、半価幅が小さいシャープな波形となり、色再現性が良好となる。
本発明における蛍光体(B)は、ピーク波長582nm以上600nm以下、外部量子効率62%以上且つ半価幅130nm以上の酸窒化物蛍光体である。具体的には、電気化学工業株式会社アロンブライト(登録商標)のうち、OR−Kがこれに該当する。この蛍光体は橙色の蛍光体であるが、半価幅が130〜140nm程度あり、YAG系蛍光体の半価幅90〜110nmに比べてかなり広いため、黄色や赤色成分を十分含んでいる点が従来の蛍光体にない特徴となっている。このように半価幅が非常に広い蛍光体の場合、輝度の目安として発光ピークの高さで議論するのは適切とはいえず、積分強度や外部量子効率が採用される。本発明では外部量子効率を採用し、62%以上とする。通常のOR−Kの外部量子効率は、63〜72%であり、好ましくは65〜72%とする。黄色〜橙色成分を多く含むため、赤色の蛍光体に比べて視感度が高く、高輝度が得られ易い。また、蛍光体(A)と組み合わせることで、高い色再現性を発現する。
本発明における蛍光体(C)は、ピーク波長645nm以上655nm以下の窒化物蛍光体である。具体的には、CASNと略されてカズンとよばれる蛍光体があり、より具体的には、三菱化学株式会社BR−101A(ピーク波長650nm)、Intematix社のER6634(ピーク波長650nm)及び同社R6733(ピーク波長655nm)がある。この蛍光体(C)に、ピーク波長の調整用として、Intematix社ER6436(ピーク波長630nm)やER6535(ピーク波長640nm)、三菱化学株式会社のBR−102C、BR−102F(ピーク波長630nm)やBR−102D(ピーク波長620nm)を蛍光体(C)より少ない添加量の範囲で混在させてその合計量を蛍光体(C)としても良い。
蛍光体(A)、(B)、(C)更には他の蛍光体との混合手段は、均一に混合又は希望する混合度合いに混合できれば、適宜選択できるものである。この混合手段にあっては、不純物が混入したり、蛍光体の形状や粒度が明らかに変わったりしないことが前提である。
本願の他の観点からの発明は、上述の蛍光体と、当該蛍光体を発光面に搭載したLEDとを有する発光装置である。LEDの発光面に搭載される際の蛍光体は、封止部材によって封止されたものである。封止部材としては、樹脂とガラスがあり、樹脂としてはシリコーン樹脂がある。LEDとしては、最終的に発光される色に合わせて赤色発光LED、青色発光LED、他の色を発光するLEDを適宜選択することが好ましく、青色発光LEDの場合、窒化ガリウム系半導体で形成され、ピーク波長は440nm以上460nm以下にあるものが好ましく、さらに好ましくピーク波長は、445nm以上455nm以下である。LEDの発光部の大きさは0.5mm角以上のものが好ましく、LEDチップの大きさは、かかる発光部の面積を有するものであれば適宜選択でき、好ましくは、1.0mm×0.5mm、更に好ましくは1.2mm×0.6mmである。
本発明に係る実施例を、表及び比較例を用いて詳細に説明する。
表1に示した蛍光体は、本発明の蛍光体における蛍光体(A)、(B)及び(C)とその比較例の蛍光体である。表1の蛍光体(A)のうち、P2のみが請求項1記載の範囲内のピーク波長及び蛍光強度を有する蛍光体である。表1の蛍光体(B)のうち、P5のみが請求項1記載の範囲内のピーク波長及び蛍光強度を有する蛍光体である。表1の蛍光体(C)のうち、P8のみが請求項1記載の範囲内のピーク波長を有する蛍光体である。
これら蛍光体を表2の割合で混合して、実施例、比較例に係る蛍光体を得た。
実施例1の蛍光体は、蛍光体(A)としての表1のP2の蛍光体を30.0質量%、蛍光体(B)としての表1のP5の蛍光体を48.0質量%、蛍光体(C)として表1のP8の蛍光体を12.0質量%、更に蛍光体(B)の比較例である表1のP4の蛍光体を10.0質量%配合したものである。表1での蛍光体の構成におけるP1乃至P9の値は質量%である。蛍光体同士の混合にあっては、合計2.5gを計量してビニール袋内で混合した上、シリコーン樹脂(東レダウコーニング株式会社OE6656)47.5gと一緒に自転公転式の混合機(株式会社シンキー社株式会社あわとり練太郎ARE−310(登録商標))で混合した。表1のa+b及びb/aは、蛍光体(A)の実施例であるP1の配合比をa、蛍光体(B)実施例であるP6の配合比をbとしたときの値である。また、は、P8の配合量を超えない場合には、蛍光体(C)はP9及びP7を含む。
LEDへの搭載は、凹型のパッケージ本体の底部にLEDを置いて、基板上の電極とワイヤボンディングした後、混合した蛍光体をマイクロシリンジから注入して行なった。搭載後、120℃で硬化させた後、110℃×10時間のポストキュアを施して封止した。LEDは、発光ピーク波長448nmで、チップ1.0mm×0.5mmの大きさのものを用いた。
表2で示した評価について説明する。
表2の初期評価として、演色性の評価を採用した。演色性の評価には色再現範囲を採用し、色座標におけるNTSC規格比の面積(%)で表した。数字が大きいほど演色性が高い。評価の合格条件は70%以上であり、72%以上は優れた色再現性、68%未満は色再現性に劣ると言える。これは一般的なLED−TV向けに採用されていると言われている条件である。
表2の初期評価として、演色性の評価を採用した。演色性の評価には色再現範囲を採用し、色座標におけるNTSC規格比の面積(%)で表した。数字が大きいほど演色性が高い。評価の合格条件は70%以上であり、72%以上は優れた色再現性、68%未満は色再現性に劣ると言える。これは一般的なLED−TV向けに採用されていると言われている条件である。
表2の輝度は25℃での光束で評価した。電流100mAを10分間印加した後の測定値を取った。評価の合格条件は、28.4lm以上である。この値は測定機や条件によって変わるため、実施例との相対的な比較するために、(実施例の下限値)×90%として設定した値である。
表2の高温特性は、25℃の光束に対する減衰性で評価した。50℃、100℃、150℃での光束を測定して、25℃を100%とした時の値である。評価の合格条件は、50℃で97%以上、100℃で95%以上、150℃で90%以上である。この値も世界共通の規格値ではないが、現状、高信頼性の発光素子の目安と考えられている。
表2の長期信頼性は、85℃、85%RHに500及び2,000hrs放置後取り出して室温で乾燥した際の光束を測定し、初期値を100%としたときの光束の減衰値である。
評価の合格条件は、500hrsで96%以上、2,000hrsで93%以上である。これは高信頼性の蛍光体でなくては達成できない値である。
評価の合格条件は、500hrsで96%以上、2,000hrsで93%以上である。これは高信頼性の蛍光体でなくては達成できない値である。
表2が示すように、本発明の実施例は、比較的良好な色再現性、光束値を示し、且つ高温や高温高湿下で長期保存した際の光束の減衰も比較的小さい。
本発明の比較例1はYAGを用いたいわゆる疑似白色発光装置であり、輝度は良好であるが、演色性に劣り、実施例に比べて信頼性も低くなっている。比較例3、4、6、8、11、12も、色再現性に劣り、比較例2、5、7、9、10、13では光束値が小さい。また、蛍光体(A)に本発明の範囲外のシリケート系蛍光体を用いた比較例2、3、4、5、8では、高温特性、長期信頼性に劣り、信頼性の低いLEDパッケージとなって、テレビやモニターなどの製品に適用することは到底望めない。
本発明の比較例1はYAGを用いたいわゆる疑似白色発光装置であり、輝度は良好であるが、演色性に劣り、実施例に比べて信頼性も低くなっている。比較例3、4、6、8、11、12も、色再現性に劣り、比較例2、5、7、9、10、13では光束値が小さい。また、蛍光体(A)に本発明の範囲外のシリケート系蛍光体を用いた比較例2、3、4、5、8では、高温特性、長期信頼性に劣り、信頼性の低いLEDパッケージとなって、テレビやモニターなどの製品に適用することは到底望めない。
本発明の蛍光体は、白色発光装置に用いられる。本発明の白色発光装置としては、液晶パネルのバックライト、照明装置、信号装置、画像表示装置に用いられる。
Claims (4)
- ピーク波長530nm以上535nm以下、蛍光強度200%以上230%以下の酸窒化物蛍光体(A)と、ピーク波長585nm以上604nm以下、外部量子効率62%以上且つ半価幅130nm以上の酸窒化物蛍光体(B)と、ピーク波長645nm以上655nm以下の窒化物蛍光体(C)を有し、蛍光体(A)、(B)の配合比が各々30質量%以上50質量%以下、蛍光体(C)の配合比が10質量%以上20質量%以下である蛍光体。
- 請求項1記載の蛍光体の配合比が、蛍光体(A)及び(B)の配合比をa及びbとした際に、a+b≧80質量%且つb/a≦1の関係を有する蛍光体。
- 蛍光体(A)がβサイアロンであり、蛍光体(B)がβサイアロン以外の蛍光体であり、蛍光体(C)がCASNである請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蛍光体と、当該蛍光体を発光面に搭載したLEDとを有する発光装置。
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