以下、添付図面を参照して、スイッチング電源装置および電子機器システムの実施の形態について説明する。
スイッチング電源装置1は、一例として、図1に示すように、1次側整流部2、1次側電圧検出部3、トランス4、スイッチ5、作動電圧供給部6、スイッチ制御部7、2次側整流部8、電流検出部9、2次側電圧検出部10、フィードバック制御部11および間欠動作制御部12を備え、一対の出力電路Lo1,Lo2を介して接続される電子機器31(図2参照)に直流電圧(出力直流電圧)Voを出力(供給)する。本例では、図2に示すように、スイッチング電源装置1は、電子機器31とは別体のACアダプタとして構成されて、接続された電子機器31に直流電圧Voを出力する。
1次側整流部2は、一例として、整流回路および平滑回路(いずれも図示せず)を備えている。1次側整流部2では、この整流回路が、交流電路Lac,Lacを介して入力される商用交流電圧Vac(例えばAC100V)を整流して脈流電圧に変換し、この平滑回路が、この脈流電圧を直流電圧(入力直流電圧)V1に変換して、一対の直流電路(直流電圧V1の供給電路)Ld1,Ld2間に出力する(一例として、直流電路Ld2に対して直流電路Ld1が高電位となるように出力する)。
1次側電圧検出部3は、図1に示すように、一例として、分圧抵抗3a,3bおよび接断スイッチ3cを備え、分圧抵抗3a、接断スイッチ3cおよび分圧抵抗3bがこの順に直列に接続された状態で、直流電路Ld1,Ld2間に接続されて構成されている。本例では、接断スイッチ3cは、バイポーラ型トランジスタや電界効果型トランジスタなどの半導体スイッチ素子で構成されて、間欠動作制御部12から出力される制御信号S1によってオン・オフ状態が制御される。本例では、一例として、接断スイッチ3cは、間欠動作制御部12から制御信号S1が出力されていないときには、オン状態に移行しており、制御信号S1が出力されているときには、この制御信号S1によってオフ状態に移行させられる。
この構成により、1次側電圧検出部3は、接断スイッチ3cがオン状態のときには、直流電圧V1を分圧抵抗3a,3bで分圧して入力検出電圧Vidとしてスイッチ制御部7に出力する。また、1次側電圧検出部3は、接断スイッチ3cがオフ状態のときには、直流電路Ld1,Ld2のうちの一方の直流電路Ld1に接続された分圧抵抗3aと、他方の直流電路Ld2(スイッチング電源装置1内での基準電位(グランド電位)に規定されている直流電路)に接続された分圧抵抗3bとを分離することにより、直流電圧V1の負荷となる分圧抵抗3a,3bを直流電圧V1が出力(供給)される直流電路Ld1,Ld2から切り離す(直流電圧V1の負荷とならない状態に移行させる)。なお、以下では、直流電圧V1が供給される直流電路Ld1,Ld2からの負荷の切り離しを、直流電圧V1からの切り離しともいうものとする。
トランス4は、図1に示すように、一例として、共通のコアに巻回された1次巻線4a、2次巻線4bおよび補助巻線4cを備えている。1次巻線4aは、スイッチ5と直列接続された状態で直流電路Ld1,Ld2間に接続されている。また、1次巻線4aには中間タップ4dが形成されており、この中間タップ4dには、作動電圧供給部6が接続されている。
スイッチ5は、半導体スイッチ素子(バイポーラ型トランジスタや電界効果型トランジスタ(本例では一例として、n型の電界効果型トランジスタ))を用いて構成されている。また、スイッチ5は、上記したように、トランス4の1次巻線4aと直列に接続された状態で、直流電路Ld1,Ld2間に接続されている。また、スイッチ5は、スイッチ制御部7から出力される駆動信号S2により、周期的にオン・オフ動作させられる(例えば、20kHzを超える周波数でスイッチング動作させられる)。この構成により、スイッチ5は、1次巻線4aを介して直流電圧V1が印加されると共に、周期的にオン・オフすることにより、直流電圧V1をスイッチングする(スイッチング動作を実行する)。
作動電圧供給部6は、トランス4の1次巻線4a側の電圧(1次巻線4aに供給される直流電圧V1や、補助巻線4cに誘起される交流電圧)に基づいてスイッチ制御部7用の作動電圧Vopを生成して、スイッチ制御部7に供給する。本例では、一例として、作動電圧供給部6は、1次巻線4aの中間タップ4dとスイッチ制御部7との間に直列に接続された状態で配設された抵抗6aおよび接断スイッチ6b(本例では、抵抗6aに対して接断スイッチ6bがスイッチ制御部7側となる状態で配設されているが、逆でもよい)と、補助整流部6cとを備えて構成されている。本例では、接断スイッチ6bは、バイポーラ型トランジスタや電界効果型トランジスタなどの半導体スイッチ素子で構成されて、間欠動作制御部12から出力される制御信号S1によってオン・オフ状態が制御される。本例では、一例として、接断スイッチ6bは、間欠動作制御部12から制御信号S1が出力されていないときには、オン状態に移行しており、制御信号S1が出力されているときには、この制御信号S1によってオフ状態に移行させられる。すなわち、接断スイッチ6bは、制御信号S1により、接断スイッチ3cと連動してオン・オフ状態が制御される。
作動電圧供給部6では、スイッチング電源装置1を起動させる際に、間欠動作制御部12から制御信号S1が出力されていないため、接断スイッチ6bはオン状態に移行している。これにより、抵抗6aおよび接断スイッチ6bの直列回路は、1次巻線4aを経由して入力される直流電圧V1を抵抗6aで降圧させて作動電圧Vopを生成して、スイッチ制御部7に供給することで、スイッチ制御部7を作動させる。一方、スイッチング電源装置1が起動している状態においては、補助巻線4cに交流電圧が誘起されているため、補助整流部6cが、この交流電圧を整流・平滑することによって作動電圧Vopを生成してスイッチ制御部7に供給する。これにより、スイッチ制御部7の作動状態が維持される。
スイッチ制御部7は、作動電圧Vopの供給を受けて作動して、1次側電圧検出部3から出力される入力検出電圧Vid(直流電圧V1を示す電圧)、およびフィードバック制御部から出力される後述の出力検出電圧Vod1(直流電圧Voの電圧値を示す電圧)に基づいて、スイッチ5のオン期間(スイッチング周期内でのオン時間の長さ(駆動信号S2のデューティ比))を制御しつつ(入力検出電圧Vidに基づくフィードフォワード制御、および出力検出電圧Vodに基づくフィードバック制御を行いつつ)、スイッチ5を周期的にオン・オフ(動作)させることにより、直流電圧Voの電圧値を定格電圧値(電子機器31において必要とされている電圧値(例えば、DC12V〜DC20Vの範囲内の特定の電圧値))に制御する。また、スイッチ制御部7は、接断スイッチ3cがオフ状態に移行して、入力検出電圧Vidの電圧値がグランド電位に移行したときには、これを検出して、スイッチ5への駆動信号S2の出力を停止する。
2次側整流部8は、一例として、整流回路および平滑回路(いずれも図示せず)を備えている。2次側整流部8では、この整流回路が、トランス4の2次巻線4bに誘起される交流電圧V2を整流して脈流電圧に変換し、この平滑回路が、この脈流電圧を直流電圧(出力直流電圧)Voに変換して出力電路Lo1,Lo2に出力する。
電流検出部9は、直流電圧Voの供給を受けて作動して、出力電路Lo1,Lo2に接続されている電子機器31に2次側整流部8から出力(供給)される直流電流Ioの電流値が予め規定された基準電流値(例えば、1mA程度の微小な電流値)Ioth以下であるか否かを検出する。また、電流検出部9は、直流電流Ioの電流値が基準電流値Ioth以下であることを検出したときには、その検出結果を示す検出信号Sdを間欠動作制御部12に出力する。具体的には、電流検出部9は、トランス4の2次巻線4bに誘起される交流電圧V2のデューティ比に基づいて直流電流Ioの電流値を検出する構成(直流電圧Voの電圧値が一定に制御されている状態では、交流電圧V2のデューティ比が高くなれば電子機器31側に供給される電力が増加(つまり、直流電流Ioが増加)し、デューティ比が低くなれば電子機器31側に供給される電力が低下(つまり、直流電流Ioが低下)することを利用する構成)を採用している。
なお、本例では、電流検出部9は、交流電圧V2のデューティ比を検出する構成のため、2次側整流部8の前段に接続(配設)されているが、図示はしないが、電流検出部9は、カレントトランスや電流検出抵抗を用いて直流電流Ioの電流値を検出する構成を採用することもでき、この構成を採用したときには、2次側整流部8の後段に配設されて、直流電流Ioの電流値を検出する。
2次側電圧検出部10は、図1に示すように、一例として、分圧抵抗10a,10bを備え、分圧抵抗10a,10bが直列に接続された状態で出力電路Lo1,Lo2間に接続されて構成されている。この構成により、2次側電圧検出部10は、直流電圧Voを分圧抵抗10a,10bで分圧して出力検出電圧Vodとしてフィードバック制御部11に出力する。
フィードバック制御部11は、一例として分圧抵抗回路を備えて構成されて、出力検出電圧Vodを入力すると共に、この出力検出電圧Vodの電圧値の変化に応じて電圧値が変化する新たな出力検出電圧Vod1を生成して、スイッチ制御部7に出力する。本例では、フィードバック制御部11は、この出力検出電圧Vod1をフォトカプラ21を介して、トランス4の2次側と電気的に絶縁した状態で、トランス4の1次側に配設されているスイッチ制御部7に出力する。
間欠動作制御部12は、一例として、トランジスタを用いた論理回路で構成されて、直流電圧Voの供給を受けて作動して、電流検出部9からの検出信号Sdの出力の有無および直流電圧Voの電圧値に基づいて、図3に示す間欠動作制御処理50を実行する。なお、間欠動作制御部12は、供給される作動用の電圧の電圧値が後述する下限しきい値Vth2よりも若干低い電圧値となるまで動作可能に構成されている。
この間欠動作制御処理50では、間欠動作制御部12は、トランス4の1次側(具体的には、各接断スイッチ3c,6b)に制御信号S1を出力することにより、スイッチ制御部7を含む直流電圧V1のすべての負荷を直流電圧V1から切り離す切り離し処理と、制御信号S1の出力を停止することによって直流電圧V1からの負荷の切り離しを解除する切り離し解除処理とを実行する。本例では、間欠動作制御部12は、この制御信号S1をフォトカプラ22を介して、トランス4の2次側と電気的に絶縁された状態で1次側(具体的には、各接断スイッチ3c,6b)に出力する。
具体的には、間欠動作制御部12は、間欠動作制御処理50において、出力電路Lo1,Lo2間に発生している直流電圧V3(直流電圧Voまたは後述の直流電圧Vbat)を検出しつつ、検出した直流電圧V3の電圧値(発明の理解を容易にするため、直流電圧V3の電圧値についても「直流電圧V3」と表記するものとする)と予め規定された上限しきい値Vth1(直流電圧Voの定格電圧値と同じか、または定格電圧値よりも若干低い電圧値)とを比較する電圧検出処理を実行する(ステップ51)。間欠動作制御部12は、直流電圧V3が上限しきい値Vth1以上となるまで(上限しきい値Vth1が上記の定格電圧値のときには、これに達するまで)この電圧検出処理を繰り返す。
間欠動作制御部12は、電圧検出処理において、直流電圧V3が上限しきい値Vth1以上となっていることを検出したときには、電流検出部9から検出信号Sdが出力されているか否かに基づいて、2次側整流部8から出力される直流電流Ioが基準電流値Ioth未満であるか否かを検出する電流検出処理を実行する(ステップ52)。間欠動作制御部12は、直流電流Ioが基準電流値Ioth以上のときには、ステップ51,52を繰り返す。
間欠動作制御部12は、電流検出処理において、直流電流Ioが基準電流値Ioth未満となっていることを検出したときには、上記の切り離し処理を実行する(ステップ53)。この切り離し処理では、間欠動作制御部12は、制御信号S1を出力することにより、各接断スイッチ3c,6bをオン状態からオフ状態に移行させて、直流電圧V1のすべての負荷(本例では、1次側電圧検出部3およびスイッチ制御部7)を直流電圧V1から切り離す。
間欠動作制御部12によってこの切り離し処理が実行されたときには、1次側電圧検出部3から出力されている入力検出電圧Vidの電圧値がグランド電位になる。このため、スイッチ制御部7は、入力検出電圧Vidの電圧値がグランド電位になったことを検出して、スイッチ5への駆動信号S2の出力を停止する。これによってスイッチ5のオン・オフ動作(スイッチング動作)も停止するのに伴い、トランス4の2次巻線4bにおける交流電圧V2の誘起が停止して、直流電圧Voの電圧値が定格電圧値から低下する。また、トランス4の補助巻線4cにおける交流電圧の誘起も停止して、作動電圧供給部6からスイッチ制御部7への作動電圧Vopの供給も停止することから、スイッチ制御部7も動作を停止する。このため、スイッチ制御部7を含む直流電圧V1のすべての負荷の直流電圧V1からの切り離しにより、トランス4の1次側での消費電流が極めて少ない状態(本例では、すべての負荷が切り離されるため、ほぼゼロの状態)になる(つまり、消費電力がほぼゼロになる)と共に、トランス4の2次側での消費電力(直流電圧Voの供給を受けて作動する電流検出部9、フィードバック制御部11および間欠動作制御部12での消費電力)も低下する。
間欠動作制御部12は、切り離し処理の実行の後、直流電圧V3を検出しつつ、検出した直流電圧V3と予め規定された下限しきい値Vth2(上限しきい値Vth1よりも低い電圧)とを比較する電圧検出処理を実行する(ステップ54)。間欠動作制御部12は、直流電圧V3が下限しきい値Vth2に低下するまで、この電圧検出処理を繰り返す。
間欠動作制御部12は、ステップ54での電圧検出処理において、直流電圧V3が下限しきい値Vth2以下となっていることを検出したときには、上記の切り離し解除処理を実行して(ステップ55)、ステップ51に移行する。この切り離し解除処理では、間欠動作制御部12は、制御信号S1の出力を停止することにより、各接断スイッチ3c,6bをオフ状態からオン状態に移行させて、直流電圧V1のすべての負荷(スイッチ制御部7および1次側電圧検出部3)の直流電圧V1からの切り離しを解除する。これにより、作動電圧供給部6が、トランス4の1次巻線4aに供給される直流電圧V1に基づく作動電圧Vopの生成と、生成した作動電圧Vopのスイッチ制御部7への供給とを開始する。このため、スイッチ制御部7が、起動する(動作を開始する)と共に、1次側電圧検出部3から出力されている入力検出電圧Vidの電圧値がグランド電位よりも高い電圧値になることから、これを検出してスイッチ5への駆動信号S2の出力を開始する。これにより、スイッチ5が周期的なオン・オフ動作(スイッチング動作)を開始するため、トランス4の2次巻線4bに交流電圧V2が誘起される。この結果、2次側整流部8から出力される直流電圧Voの電圧値が定格電圧値に向けて上昇する。
次に、スイッチング電源装置1の動作について、スイッチング電源装置1を用いて電子機器31に直流電圧Voを供給する図2に示す電子機器システム41を例に挙げて、電子機器システム41の動作と併せて説明する。
まず、電子機器31の構成について説明する。電子機器31は、電子機器の本体回路32、DC/DCコンバータ33、充電回路34、バッテリ35、ダイオード36および接断スイッチ37を備えている。この場合、本体回路32は、電子機器31に本来の動作(電子機器31がパソコンであるときには処理動作 測定機器であるときには測定動作、記録機器であるときには記録動作)を実行させるための回路である。また、本体回路32は、DC/DCコンバータ33および充電回路34に対する制御(作動状態または停止状態に移行させる制御)、並びに接断スイッチ37に対する制御(オン状態またはオフ状態に移行させる制御)についても実行する。
DC/DCコンバータ33は、本体回路32によって作動状態に移行させられている場合において、スイッチング電源装置1から出力電路Lo1,Lo2を介して直流電圧Voが供給されているとき、または後述するように互いに直列接続されたダイオード36および接断スイッチ37を介してバッテリ35から直流電圧Vbatが供給されているときには、この供給されている直流電圧(直流電圧Voまたは直流電圧Vbat)に基づいて作動して、この直流電圧から所定の電圧値の直流電圧Vo1を生成して本体回路32に出力する。一方、DC/DCコンバータ33は、本体回路32によって停止状態に移行させられているときには、直流電圧Vo1の生成動作を停止する。
充電回路34は、本体回路32によって作動状態に移行させられている場合において、スイッチング電源装置1から出力電路Lo1,Lo2を介して直流電圧Voの供給を受けているときには、直流電圧Voに基づいて作動して、直流電圧Voから直流電圧Vbatを生成すると共に、この直流電圧Vbatでバッテリ35を充電する。この場合、上記した上限しきい値Vth1は、この直流電圧Vbatよりも高い電圧値に規定され、上記した下限しきい値Vth2は、この直流電圧Vbatよりも低い電圧値に規定されている。一方、充電回路34は、本体回路32によって停止状態に移行させられているときには、バッテリ35に対する充電動作を停止する。
ダイオード36および接断スイッチ37は、互いに直列に接続されて、バッテリ35のプラス端子と一方の出力電路Lo1との間に、ダイオード36のアノード端子に対してカソード端子が出力電路Lo1側に位置する状態で接続されている。接断スイッチ37は、本体回路32によって制御されてオン状態に移行させられたときに、バッテリ35からの直流電圧Vbatをダイオード36を介してDC/DCコンバータ33に制御電圧として供給する。なお、スイッチング電源装置1が電子機器31に接続されているときには、この直流電圧Vbatは出力電路Lo1にも供給される。
次いで、電子機器システム41の動作について説明する。
スイッチング電源装置1に電子機器31が接続されて、スイッチング電源装置1に商用交流電圧Vacが供給されている状態において、電子機器31が動作を開始したときには、本体回路32は、電子機器31に本来の動作を実行させるための動作モード(通常モード)で動作を開始する。この通常モードでは、本体回路32は、接断スイッチ37をオフ状態に移行させる。また、本体回路32は、DC/DCコンバータ33を作動させて、スイッチング電源装置1から供給されている直流電圧Voに基づいて本体回路32のための直流電圧を生成させる。また、本体回路32は、充電回路34を作動させて、この直流電圧Voに基づいて直流電圧Vbatを生成させると共に、この直流電圧Vbatでバッテリ35を充電させる。このため、電子機器31での消費電力が大きくなることから、起動したスイッチング電源装置1から電子機器31に対して、基準電流値Iothを常に超える電流値で直流電流Ioの供給が開始される。
なお、電子機器31の本体回路32は、動作を開始したときに、上記のように接断スイッチ37をオフ状態に移行させるため、出力電路Lo1,Lo2への電子機器31からの直流電圧Vbatの供給は行われない。
このため、スイッチング電源装置1では、動作の開始当初において、直流電圧Vo、つまり出力電路Lo1,Lo2間の直流電圧V3は上限しきい値Vth1未満であることから、間欠動作制御部12は、制御信号S1の出力を停止しており、各接断スイッチ3c,6bはオン状態となっている。したがって、1次側電圧検出部3は、直流電圧V1を検出して、入力検出電圧Vid(グランド電位よりも高い電圧値)をスイッチ制御部7に出力する。また、作動電圧供給部6は、補助巻線4cに誘起される交流電圧が十分でない動作開始当初においては、トランス4の1次巻線4a、抵抗6aおよびオン状態の接断スイッチ6bを介して、直流電圧V1に基づく作動電圧Vopをスイッチ制御部7に供給する。これにより、スイッチ制御部7が起動する。また、フィードバック制御部11は、2次側電圧検出部10から出力される出力検出電圧Vodを入力すると共に、新たな出力検出電圧Vod1をフォトカプラ21を介してスイッチ制御部7に出力する。
起動状態に移行したスイッチ制御部7は、1次側電圧検出部3から出力されている入力検出電圧Vidの電圧値がグランド電位よりも高い電圧値になっていることから、これを検出してスイッチ5への駆動信号S2の出力を開始する。この際に、スイッチ制御部7は、入力検出電圧Vidおよび出力検出電圧Vod1に基づいて、スイッチ5のオン期間を制御しつつ、スイッチ5を周期的にオン・オフさせる動作を開始する(スイッチ5が作動状態に移行する)。このようにしてスイッチ制御部7が起動した後は、補助巻線4cに十分な交流電圧が誘起されるため、作動電圧供給部6は、この交流電圧に基づいて補助整流部6cで生成される作動電圧Vopをスイッチ制御部7に供給して、スイッチ制御部7の作動状態を維持させる。
これにより、図4において実線で示すように、スイッチ制御部7は、直流電圧Voを短時間に定格電圧値まで上昇させ、その後は、定格電圧値に制御する。これにより、出力電路Lo1,Lo2間の直流電圧V3も定格電圧値まで上昇して、定格電圧値に維持される。また、直流電流Ioは、電子機器31において必要とされる電流値まで上昇する。したがって、電子機器31は、スイッチング電源装置1から電力(直流電圧Voおよび直流電流Io)の供給を受けて、通常モードでの動作を続行する。
その後、電子機器31が通常モードから待機モード(本来の動作を停止して、消費電力の極めて少ない状態になるモード)に移行したときには、電子機器31では、本体回路32が、DC/DCコンバータ33および充電回路34の動作を停止させる。これにより、図4において実線で示すように、直流電圧Vo(直流電圧V3)の電圧値がほぼ定格電圧値に維持されている状態において、スイッチング電源装置1から電子機器31に供給される直流電流Ioが急激に低下して、その電流値が基準電流値Iothを下回る。
このため、スイッチング電源装置1では、電流検出部9が、直流電流Ioの電流値が基準電流値Iothを下回ったことを検出して検出信号Sdの出力を開始する。間欠動作制御部12は、図3に示す間欠動作制御処理50を実行しており、直流電圧V3が直流電圧Voのほぼ定格電圧値の状態(つまり、電圧3が上限しきい値Vth1以上の状態)であるときに、電流検出部9からのこの検出信号Sdの出力を検出する(つまり、直流電流Ioが基準電流値Iothを下回っていることを検出する)ため、図3におけるステップ51,52の実行後、切り離し処理を実行して、制御信号S1の出力を開始する(ステップ53)。これにより、各接断スイッチ3c,6bがオン状態からオフ状態に移行させられて、直流電圧V1のすべての負荷(1次側電圧検出部3およびスイッチ制御部7)が直流電圧V1から切り離される。
間欠動作制御部12による切り離し処理の実行により、接断スイッチ3cがオフ状態に移行して、入力検出電圧Vidの電圧値がグランド電位に移行する。このため、これを検出したスイッチ制御部7は、スイッチ5への駆動信号S2の出力を停止する。これにより、スイッチ5がオン・オフ動作を停止する。したがって、図4において実線で示すように、直流電圧V3の電圧値が定格電圧値から低下し始める。
この場合、このまま直流電圧V3が低下し続けて、破線で示すように下限しきい値Vth2に低下したとき(下限しきい値Vth2に達したとき)には、間欠動作制御部12は、図3に示すステップ54の実行後、ステップ55の切り離し解除処理を実行することにより、制御信号S1の出力を停止する。このため、各接断スイッチ3c,6bがオフ状態からオン状態に移行させられて、直流電圧V1のすべての負荷(1次側電圧検出部3およびスイッチ制御部7)の直流電圧V1からの切り離しが解除される。これにより、1次側電圧検出部3およびスイッチ制御部7が、動作を再開する(スイッチ5を周期的にオン・オフさせる動作が再開される)ため、図4において破線で示すように、直流電圧Voは、定格電圧値に向けて短時間のうちに急激に上昇させられる。しかしながら、電子機器31は待機モードにあり、消費電力が極めて少ない状態となっていることから、直流電流Ioの電流値は、基準電流値Iothを下回る状態に維持されている。このため、間欠動作制御部12は、図3に示すステップ51,52を実行しつつ、直流電圧Voが上限しきい値Vth1に達した時点で、ステップ53の切り離し処理を実行して、制御信号S1の出力を開始する。
このようにして、出力電路Lo1,Lo2に現れる電圧に対して、電子機器31側から何らの制御(具体的には、直流電圧Vbatの供給)が行われないときには、スイッチング電源装置1は、図3に示すステップ51〜ステップ55が間欠動作制御部12によって繰り返し実行されることにより、図4において破線で示すように、スイッチ5を周期的にオン・オフ動作させる制御を短時間だけ実行する動作と、このオン・オフ動作の一連の周期(スイッチング周波数が20kHzの場合には50μs)よりも長い期間(例えば、数秒)だけスイッチ5を連続してオフ状態に制御する動作とを繰り返す間欠スイッチング動作(つまり、スイッチ5に周期的なオン・オフ動作を間欠的に実行させる間欠スイッチング(発振)動作)を実行する。
一方、この電子機器31では、待機モードに移行したときには、本体回路32が、接断スイッチ37をオフ状態からオン状態にすることで、バッテリ35に充電されている直流電圧Vbatを、ダイオード36を介して出力電路Lo1,Lo2に出力(供給)可能な状態に移行させる。このため、スイッチング電源装置1の2次側整流部8から出力電路Lo1,Lo2に供給されている直流電圧Voの電圧値が低下したとしても、直流電圧Voの電圧値が直流電圧Vbatの電圧値を下回るときには、直流電圧Vbatが電子機器31側から出力電路Lo1,Lo2に供給される。このため、間欠動作制御部12において検出している出力電路Lo1,Lo2間の直流電圧V3は、直流電圧Vbatの電圧値(下限しきい値Vth2よりも高い電圧値)に維持される。
これにより、間欠動作制御処理50において、間欠動作制御部12は、ステップ53の切り離し処理の実行後に、ステップ54の処理を継続して実行して、ステップ55(切り離し解除処理)に移行しないため、直流電圧V1の負荷となる1次側電圧検出部3およびスイッチ制御部7が直流電圧V1から切り離された状態が維持されることで、スイッチング電源装置1による上記の間欠スイッチング動作の実行が回避される。このため、スイッチング電源装置1は、1次側電圧検出部3およびスイッチ制御部7での直流電圧V1の消費が全く行われない状態(つまり、商用交流電圧Vacの消費が極めて少ない状態)に維持される。
また、2次側電圧検出部10を構成する各分圧抵抗10a,10bの抵抗値、および間欠動作制御部12における出力電路Lo1,Lo2間の電圧を検出する回路の入力インピーダンスを予め大きな値に規定しておくことにより、電子機器31から供給される直流電圧Vbatの消費についても極めて少ない状態に維持することが可能である。したがって、スイッチング電源装置1は、電子機器31が待機モードに移行したときには、電子機器31側から出力電路Lo1,Lo2を介して直流電圧Vbatの供給を受けることにより、スイッチング電源装置1全体としての消費電力が極めて少ない待機モードに移行する。
その後、電子機器31が待機モードから通常モードでの動作に移行したときには、電子機器31の本体回路32は、上記した動作の開始時と同様にして、接断スイッチ37をオン状態からオフ状態に移行させることで、出力電路Lo1,Lo2への直流電圧Vbatの出力を停止させる。これにより、出力電路Lo1,Lo2間の電圧が直流電圧Vbatを下回って下限しきい値Vth2に低下するため、スイッチング電源装置1では、間欠動作制御部12が、間欠動作制御処理50におけるステップ54の処理を終了して、ステップ55(切り離し処理)を実行することにより、制御信号S1の出力を停止する。これにより、直流電圧V1の負荷(1次側電圧検出部3およびスイッチ制御部7)の切り離しが解除される。
したがって、1次側電圧検出部3およびスイッチ制御部7が動作を開始し、スイッチ制御部7によるスイッチ5に対するオン・オフ動作も再開されるため、図4において実線で示すように、スイッチ制御部7は、直流電圧Voを下限しきい値Vth2から定格電圧値に向けて短時間のうちに急激に上昇させる。この場合、直流電圧Vo(直流電圧V3)が上限しきい値Vth1に達したとしても、電子機器31が通常モードで動作していて、消費電力が多い状態となっていることから、同図において実線で示すように、直流電流Ioの電流値は基準電流値Iothを上回る状態となっている。このため、間欠動作制御部12は、間欠動作制御処理50におけるステップ52からステップ53への移行は実行せずに、ステップ51,52を繰り返す。このため、間欠動作制御部12から制御信号S1が出力されないため、スイッチング電源装置1は、商用交流電圧Vacに基づいて直流電圧Voを連続的に生成して電子機器31に供給する。
このように、このスイッチング電源装置1、およびスイッチング電源装置1と電子機器31とを備えた電子機器システム41では、間欠動作制御部12が、出力電路Lo1,Lo2間の直流電圧V3の電圧値が上限しきい値Vth1以上の状態において電流検出部9から検出信号Sdが出力されたとき(直流電流Ioが基準電流値Ioth以下のとき)に、スイッチ制御部7を含む直流電圧V1についてのすべての負荷を直流電圧V1から切り離す切り離し処理、および直流電圧V1からの切り離しによってスイッチ制御部7の動作およびスイッチ5の周期的なオン・オフ動作が停止するのに伴い低下する直流電圧V3の電圧値が下限しきい値Vth2に低下したときに直流電圧V1からの上記の切り離しを解除する切り離し解除処理を繰り返し実行することで スイッチ5に対して周期的なオン・オフ動作(スイッチング動作)を間欠的に実行させる。
したがって、このスイッチング電源装置1および電子機器システム41によれば、電子機器31が通常モードから待機モードに移行して、スイッチング電源装置1から出力電路Lo1,Lo2を介して電子機器31に供給される直流電流Ioの電流値が大きく低下したときに、出力電路Lo1,Lo2に下限しきい値Vth2を超える直流電圧Vbatを出力するという簡易な構成を電子機器31が採用するだけで、電子機器31が待機モードのときのスイッチング電源装置1での間欠動作(間欠スイッチング動作)を停止することができる結果、スイッチング電源装置1での消費電力を極めて少ない状態に維持することができる。つまり、スイッチング電源装置1から直流電圧Voの供給を受ける電子機器31の構成の複雑化を回避しつつ、電子機器31が待機モードに移行した際におけるスイッチング電源装置1での消費電力を大幅に低減することができる。また、スイッチング電源装置1の間欠動作を制御するための電子機器31側の構成が簡易であるため、電子機器31においてこの構成を採用することが容易になることから、スイッチング電源装置1の汎用性を高めることもできる。
なお、上記のスイッチング電源装置1では、間欠動作制御部12が、出力電路Lo1,Lo2間の電圧を直接入力して検出する構成を採用しているが、2次側電圧検出部10からの出力検出電圧Vodを用いる構成を採用することもできる。また、上記のスイッチング電源装置1では、間欠動作制御部12による切り離し処理において、直流電圧V1から切り離される構成要素は1次側電圧検出部3および抵抗6aだけであるが、スイッチング電源装置1の1次側の構成として上記以外の種々の構成を採用することができる。この場合には、採用した構成において直流電圧V1の負荷となる構成要素に対して、接断スイッチを配置して、制御信号S1で制御することで、電子機器31が待機モードに移行した際におけるスイッチング電源装置1での消費電力を大幅に低減することができる。
また、上記のスイッチング電源装置1では、切り離し処理において、直流電圧V1の負荷となる構成要素を直流電路Ld1,Ld2からすべて切り離す好ましい構成を採用しているが、例えば、抵抗値が極めて大きいために、消費する電力も極めて少ない負荷については、直流電路Ld1,Ld2からの切り離しを行わない構成を採用することもできる。