JP2013157228A - 有機elデバイス、および有機elデバイスの製造方法 - Google Patents

有機elデバイス、および有機elデバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回路基板と表示基板との線膨張係数の差が大きい有機ELデバイスであっても、反りが少ない有機ELデバイスを提供することを目的とする。
【解決手段】基材(H)、面封止材、基材(L)、形状保持層をこの順で含み、前記基材(H)または基材(L)に有機EL素子が配置されている有機ELデバイスであって、前記基材(H)の線膨張係数よりも、前記基材(L)の線膨張係数の方が小さく、かつ前記基材(H)の線膨張係数と前記基材(L)の線膨張係数との差が5×10−6cm/cm/℃以上であり、前記形状保持層が軟化点110℃以上の熱可塑性ポリマーを含み、かつ前記形状保持層の線膨張係数と前記基材(H)の線膨張係数との差が160×10−6cm/cm/℃以下である、有機ELデバイスを提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機ELデバイスに、および有機ELデバイスの製造方法に関する。
有機ELデバイスは、視野角が広い、応答速度が速い、消費電力が低いなどの利点から、フラットパネルディスプレイとして期待されている。有機ELデバイスは、一方が透明な2枚の電極に挟み込まれた有機発光媒体層を有し、両電極から電流を注入することにより、有機発光媒体層が発光する。
2枚の電極とそれに挟まれた有機発光媒体層の総厚は、数百nm程度の薄膜であるため、有機ELデバイスの厚みは、基板の厚みと、有機EL素子を面封止する面封止材の厚みのみから形成することが可能である。このため、薄型・軽量化が期待される携帯電話等小型、薄型のディスプレイやバックライト部材、可撓性のあるプラスチックを基材としたフレキシブルディスプレイなどへの応用が期待されている。
しかしながら、有機ELデバイスを薄型化しようとすると、有機ELデバイスの反りが顕著になる。そこで、有機ELデバイスの反りを防止するために、有機ELデバイスの基板に、反り防止層やアンチカール層を、接着層を介してはり合わせることが提案されている(特許文献1および2参照)。
特開2003−317937号公報 特開2009−81123号公報
有機ELデバイスは、一対の基板(例えば、回路基板と表示基板)と、面封止材を有するが、回路基板の線膨張係数と表示基板の線膨張係数との差が大きいことがある。そのため、面封止材を熱硬化する工程で、基板間の膨張・収縮の程度の差と、前記封止材の硬化によって、素子に反りや歪みが発生する。本発明は、回路基板と表示基板との線膨張係数の差が大きい有機ELデバイスであっても、反りが少ない有機ELデバイスを提供することを目的とする。
すなわち本発明の第一は、以下に示す有機ELデバイスに関する。
[1]基材(H)、面封止材、基材(L)、形状保持層をこの順で含み、前記基材(H)または基材(L)に有機EL素子が配置されている有機ELデバイスであって、
前記基材(H)の線膨張係数よりも、前記基材(L)の線膨張係数の方が小さく、かつ前記基材(H)の線膨張係数と前記基材(L)の線膨張係数との差が5×10−6cm/cm/℃以上であり、
前記形状保持層が軟化点110℃以上の熱可塑性ポリマーを含み、かつ前記形状保持層の線膨張係数と前記基材(H)の線膨張係数との差が160×10−6cm/cm/℃以下である、有機ELデバイス。
[2]前記面封止材が熱硬化性樹脂組成物の硬化物であり、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化温度が50〜150℃である、[1]に記載の有機ELデバイス。
[3]前記面封止材が、エポキシ樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる1種類以上の樹脂の硬化物を含む、[1]または[2]に記載の有機ELデバイス。
[4]前記熱可塑性ポリマーが、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン(PP)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる群から選ばれる1種類以上の樹脂である、[1]〜[3]のいずれかに記載の有機ELデバイス。
[5]前記基材(H)の線膨張係数が20×10−6〜180×10−6cm/cm/℃である[1]〜[4]のいずれかに記載の有機ELデバイス。
[6]前記基材(H)が、アルミニウム、エステル(共)重合体、環状オレフィン(共)重合体、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体からなる群から選ばれる1種類以上のポリマーを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の有機ELデバイス。
[7]前記基材(L)の線膨張係数が1×10−6〜100×10−6cm/cm/℃である[1]〜[6]のいずれかに記載の有機ELデバイス。
[8]前記基材(L)が、ガラス、シリコン、エステル(共)重合体、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミドである、[1]〜[7]のいずれかに記載の有機ELデバイス。
本発明の第二は、以下に示す有機ELデバイスの製造方法に関する。
[9]基材(H)、熱硬化性樹脂組成物、基材(L)、形状保持層をこの順で含み、前記基材(H)または基材(L)上に有機EL素子が配置されている構造体を準備する第1の工程と、前記熱硬化性樹脂組成物を熱硬化する第2の工程とを含む、有機ELデバイスの製造方法であって、
前記基材(H)の線膨張係数よりも、前記基材(L)の線膨張係数の方が小さく、かつ前記基材(H)の線膨張係数と前記基材(L)の線膨張係数との差が5×10−6cm/cm/℃以上であり、前記形状保持層が軟化点110℃以上の熱可塑性ポリマーを含み、かつ前記形状保持層の線膨張係数と前記基材(H)の線膨張係数との差が160×10−6cm/cm/℃以下である、有機ELデバイスの製造方法。
本発明の第三は、以下に示す有機ELパネルに関する。
[10]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の有機ELデバイスを備える、有機ELパネル。
本発明の有機ELデバイスは、有機ELデバイスを構成する一対の基板の線膨張係数の差が一定以上であるにも係わらず、面封止剤を熱硬化させて有機EL素子を封止するときの有機ELデバイスの反りが抑制される。
従来の有機ELデバイスに反りが発生する様子を説明する図である。 本発明の有機ELデバイスの反りの発生を抑制するメカニズム説明する図である。
本発明の有機ELデバイスは、基材(H)と、有機EL素子と、前記有機EL素子を覆う熱硬化性樹脂硬化物である面封止材と、基材(L)と、形状保持層とを有する。
1.基材(H)について
基材(H)は、その表面に有機EL素子が配置され得る部材である。基材(H)は、透明であっても非透明であってもよいが、基材(H)を通して有機発光層からの光を取り出すときは透明である。
基材(H)の線膨張係数は、基材(L)の線膨張係数よりも大きくてもよく、具体的には基材(L)の線膨張係数よりも5×10−6cm/cm/℃以上大きくてもよい。
また、基材(H)の線膨張係数と、形状保持層との線膨張係数との差が、160×10−6cm/cm/℃以下、好ましくは100×10−6cm/cm/℃以下、50×10−6cm/cm/℃以下がさらに好ましい。基材(H)の線膨張係数と、形状保持層との線膨張係数とは、どちらが大きくても構わない。
基材(H)の線膨張係数は、20×10−6cm/cm/℃〜180×10−6cm/cm/℃であることが好ましい。基材(H)の線膨張係数の測定は、ASTM E−831に準拠され、例えばTMA法によって測定できる。基材(H)の線膨張係数は、25〜100℃の範囲における線膨張係数の平均値とする。
基材(H)の厚みは、5〜300μmであることが好ましい。また、基材(H)の引張弾性率は 10〜500MPaであることが好ましい。
基材(H)の具体的な材質は特に限定されないが、アルミニウム箔または有機ポリマーであることが好ましく;好ましい有機ポリマーの例には、エステル(共)重合体、環状オレフィン(共)重合体、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体からなる群から選ばれる1種類以上のポリマーが含まれる。なお本願でいう(共)重合体とは、ホモポリマーとコポリマーの両方を含む。具体的には、4−メチルー1−ペンテン(共)重合体とは、4−メチル−1−ペンテンのホモポリマーであるポリ4−メチル−1−ペンテンと、4−メチル−1−ペンテンと共重合可能な化合物、例えばα−オレフィンとの共重合体(コポリマー)の両方を含む。
2.有機EL素子について
有機EL素子の形状や材質は、通常、用いられる有機EL素子であればよく、特に限定されない。有機EL素子は基板(H)または基材(L)に配置されており、通常は、後述する電極層などを形成するため熱変形しにくい基材(L)上に配置される。;基板(L)側から、一方の電極層と、有機EL層と、他方の電極層とが積層され有機EL素子が形成される。一方の電極層は、例えばアノード透明電極層(ITOやIZOなどからなる)であり、他方の電極層は、例えばカソード反射電極層(アルミニウムや銀などからなる)である。電極層や有機EL層は、真空蒸着やスパッタ等により成膜されてもよい。
有機EL素子は、有機EL層以外の他の機能層を含んでいてもよく;他の機能層の例には、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層などが含まれる。有機EL素子は、トップエミッション型であっても、ボトムエミッション型であってもよい。
3.面封止材について
面封止材は、基材、通常は基材(L)に配置された有機EL素子を覆う部材であって、熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂組成物またはシリコーン樹脂組成物であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物であることがより好ましい。基板(L)を通して有機発光層からの光を取り出すときは、面封止材の透明性が高いことが求められる。
熱硬化性樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂組成物は、(A)高分子量のエポキシ樹脂と(B)硬化促進剤とを含む組成物や、(C)低分子量のエポキシ樹脂と(B)硬化促進剤とを含む組成物が好ましく、必要に応じて(D)シランカップリング剤、(E)溶剤、及びその他の成分を含むことができ、(A)高分子量のエポキシ樹脂と(C)低分子量のエポキシ樹脂を両方含む組成物も用いることができる。
(A)高分子量のエポキシ樹脂
熱硬化性樹脂組成物に含まれえる(A)高分子量のエポキシ樹脂とは、重量平均分子量が2×10〜1×10であるエポキシ樹脂であり、重量平均分子量は好ましくは3×10〜8×10、さらに好ましくは4×10〜6×10である。上記重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記条件で測定し得る。
装置:SHODEX製、GPC−101
展開溶媒:テトラヒドロフラン
標準ポリスチレン:VARIAN製PS−1(分子量580〜7,500,000)、VARIAN製PS−2(分子量580〜377,400)
(A)高分子量のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、エポキシ樹脂組成物の架橋密度等を考慮すると、500〜1×10g/eqとすることが好ましく、600〜9000g/eqとすることがより好ましい。
(A)高分子量のエポキシ樹脂の好ましい例としては、低い透湿度を実現可能であること等から、主鎖にビスフェノール骨格を含む樹脂が挙げられ、より好ましくはビスフェノールとエピクロロヒドリンとをモノマー成分として含む樹脂、さらに好ましくは、そのオリゴマーである。
(A)高分子量のエポキシ樹脂のモノマー成分の全てをビスフェノールとエピクロロヒドリンとしてもよいが;モノマー成分の一部をビスフェノールとエピクロロヒドリン以外の化合物(コモノマー成分)としてもよい。前記コモノマー成分の例には、2価以上の多価アルコール(例えば、2価のフェノールやグリコールなど)が含まれる。モノマー成分の一部をビスフェノールとエピクロロヒドリン以外の化合物(コモノマー成分)とすることで、分子量を所望の値に制御することができる。
(A)高分子量のエポキシ樹脂の好ましい例には、下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する樹脂が含まれる。
Figure 2013157228
一般式(1)において、Xは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、−S−または−SO−を表す。一般式(1)において、Xがメチレン基である構造単位はビスフェノールF型の構造単位であり;Xがイソプロピリデン基である構造単位はビスフェノールA型の構造単位である。nは、一般式(1)で表される構造単位の繰り返し数であり、2以上の整数である。
一般式(1)において、Pは置換基Rの置換数であり、0〜4の整数である。耐熱性や低透湿性の観点から、Pは0であることが好ましい。Rは、それぞれ独立して、炭素数が1〜5のアルキル基であり、メチル基であることが好ましい。
上記一般式(1)におけるXがメチレン基であるビスフェノールF型の繰り返し構造単位、及び上記一般式(1)におけるXがイソプロピリデン基であるビスフェノールA型の繰り返し構造単位を、一分子中に含むオリゴマーがさらに好ましい。オリゴマーが、ビスフェノールA型の繰り返し構造単位を含有することで、高分子量エポキシ樹脂組成物の粘度を高いものとし得る。一方で、オリゴマーがビスフェノールF型の繰り返し構造単位を含有することで、立体障害が小さくなる。これにより、複数のフェニレン基が配向し易くなり、エポキシ樹脂組成物の硬化物の透湿度を低いものとし得る。
上記オリゴマー一分子中に含まれるビスフェノールA型の繰り返し構造単位の個数(A)及びビスフェノールF型の繰り返し構造単位の個数(F)の総数に対する、一分子中に含まれるビスフェールF型の繰り返し構造単位の個数(F)の割合;{(F/A+F)×100}は、50%以上であることが好ましく、55%以上がより好ましい。ビスフェノールF型の繰り返し構造単位を多く含むことで、エポキシ樹脂組成物の硬化物の透湿度を低下させることができる。
(A)高分子量のエポキシ樹脂の含有量は、後述の(B)硬化促進剤、(C)低分子量のエポキシ樹脂、及び(D)シランカップリング剤の合計100質量部に対して100〜2000質量部とすることが好ましく、より好ましくは210〜2000質量部、さらに好ましくは250〜1200質量部である。(A)高分子量のエポキシ樹脂の含有比率が高すぎると、被熱圧着材に熱圧着する際の組成物の流動性が低くなるため、被熱圧着材との間に隙間が形成され易い。一方で、(A)高分子量のエポキシ樹脂の含有比率が低すぎると、それを含むエポキシ樹脂組成物の形状保持性が低いだけでなく、その硬化物の耐湿性が低くなる。
また、エポキシ樹脂組成物が、後述の(C)低分子量のエポキシ樹脂を含有する場合、(A)高分子量のエポキシ樹脂の含有量は、(C)低分子量のエポキシ樹脂100質量部に対して、100〜1500質量部であることが好ましく、より好ましくは120〜1200質量部である。(C)低分子量のエポキシ樹脂と(A)高分子量のエポキシ樹脂との含有比率を上記範囲にすることで、被熱圧着材に熱圧着する際の流動性を低下させることなく、エポキシ樹脂組成物の形状安定性を高め、低透湿度の硬化物を与えることができる。
(B)硬化促進剤
熱硬化性樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂組成物に含まれる硬化促進剤は、エポキシ樹脂の硬化を開始させるとともに、硬化を促進させる機能を有する。硬化促進剤の例には、イミダゾール化合物やアミン化合物、酸無水物が含まれる。イミダゾール化合物の例には、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが含まれ;アミン化合物の例には、トリスジメチルアミノメチルフェノールなどが含まれ。また酸無水物の例には、芳香族系の酸無水物は着色しているものが多いので、脂肪族系(芳香族系の水添物)の酸無水物が好ましい。封止剤に含まれる酸無水物の例には、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などが含まれる。透明性が高いのは脂肪族系の酸無水物であり、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸が用いられる。(B)硬化促進剤はルイス塩基化合物であってもよい。
(B)硬化促進剤の分子量は80〜800であることが好ましく、100〜500であることがより好ましく、120〜250であることがさらに好ましい。(B)硬化促進剤の分子量が80未満であると、揮発性が高くなり、エポキシ樹脂組成物を熱硬化させるときに、エポキシ樹脂組成物内で気泡が生じる可能性がある。一方、分子量が800超であると、エポキシ樹脂組成物を熱硬化する際にエポキシ樹脂組成物の流動性が低下する可能性があり、さらにエポキシ樹脂組成物内での硬化促進剤の拡散性が低下し、十分な硬化性が得られ難くなったりする。
(B)硬化促進剤の含有量は、(A)高分子量のエポキシ樹脂と後述の(C)低分子量のエポキシ樹脂の合計100質量部に対して、0.1〜100質量部であることが好ましい。特に、酸無水物を添加する場合は、硬化性などの観点から「酸無水物基/エポキシ基」の当量比が0.8〜1.2になるよに調整するのが好ましい。一方、硬化促進剤が、イミダゾール化合物やアミン化合物である場合は、(A)高分子量のエポキシ樹脂と後述の(C)低分子量のエポキシ樹脂の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲内にあると透明性がより高くなり好ましい。
(C)低分子量のエポキシ樹脂
熱硬化性樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂組成物は、(C)低分子量のエポキシ樹脂を含有することが好ましい。(C)低分子量のエポキシ樹脂とは、重量平均分子量が100〜1200であるエポキシ樹脂であり、好ましくは重量平均分子量が200〜1100である。重量平均分子量は、前述と同様に測定される。重量平均分子量が上記範囲である(C)低分子量のエポキシ樹脂をエポキシ樹脂組成物に配合することで、エポキシ樹脂組成物を熱硬化する際の、エポキシ樹脂組成物の流動性を高めることができ、被熱圧着材に対する密着性を高めることができる。
(C)低分子量のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、80〜300g/eqであることが好ましく、100〜200g/eqであることがより好ましい。エポキシ当量が上記範囲内である低分子量のエポキシ樹脂を配合されたエポキシ樹脂組成物の水素結合量を高まる。
(C)低分子量のエポキシ樹脂は、フェノール型エポキシ樹脂であることが好ましく、2価以上のフェノール型エポキシ化合物、またはフェノール誘導体とエピクロロヒドリンとをモノマー成分として含むオリゴマーであることがより好ましい。
2価以上のフェノール型エポキシ化合物の例には、ビスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物などが含まれる。ビスフェノール型エポキシ化合物の例には、一般式(2)で表される化合物が含まれる。下記一般式(2)におけるX、Rおよびpは、一般式(1)におけるX、RおよびPと同様である。
Figure 2013157228
フェノール誘導体とエピクロロヒドリンとをモノマー成分として含むオリゴマーのフェノール誘導体の例には、ビスフェノール、水素化ビスフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が含まれる。
(C)低分子量のエポキシ樹脂の好ましい例には、ビスフェノール型エポキシ化合物、またはビスフェノールとエピクロロヒドリンとをモノマー成分とするオリゴマーが含まれ、より好ましくは前記一般式(1)において、繰り返し数nが2〜4であるオリゴマーである。このようなオリゴマーは、高分子量のエポキシ樹脂との親和性が高い。(C)低分子量のエポキシ樹脂に含まれる繰り返し構造単位は、(A)高分子量のエポキシ樹脂に含まれる繰り返し構造単位と同じであっても、異なってもよい。
(C)低分子量のエポキシ樹脂の含有量は、(A)高分子量のエポキシ樹脂、(B)硬化促進剤、及び(D)シランカップリング剤の合計100質量部に対して1〜100質量部が好ましく、さらに好ましくは5〜50質量部である。(C)低分子量のエポキシ樹脂の含有比率を上記範囲とすることで、エポキシ樹脂組成物を熱硬化するときの組成物の流動性を高め、さらにエポキシ樹脂組成物の硬化性も良好とし得る。
(D)シランカップリング剤
熱硬化性樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂組成物にはシランカップリング剤が含まれていてもよい。シランカップリング剤は、1)エポキシ基を有するシランカップリング剤、または2)エポキシ基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤が好ましい。エポキシ基と反応するとは、エポキシ基と付加反応すること等をいう。シランカップリング剤を含むエポキシ樹脂組成物は、有機EL用の面封止剤としたときに、基板との密着性が高い。また、エポキシ基を有する、またはエポキシ基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤は、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂と反応する。したがって、上記シランカップリング剤は、シート状エポキシ組成物の硬化物中に低分子量成分が残らない、という点でも好ましい。
1)エポキシ基を有するシランカップリング剤は、グリシジル基等のエポキシ基を含むシランカップリング剤であり、その例には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが含まれる。
2)エポキシ基と反応可能な官能基には、1級アミノ基、2級アミノ基等のアミノ基;カルボキシル基等が含まれるほか、エポキシ基と反応可能な官能基に変換される基(例えば、メタクリロイル基、イソシアネート基など)も含まれる。このようなエポキシ基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤の例には、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン又は3−(4−メチルピペラジノ)プロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、およびγ−イソシアナトプロピルトリエトキシシランなどが含まれる。
その他のシランカップリング剤も含まれうる。その他のシランカップリング剤の例には、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが含まれる。これらのシランカップリング剤は、1種単独を用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の分子量は、80〜800であることが好ましい。シランカップリング剤の分子量が800を超えると、エポキシ樹脂組成物を熱圧着する際の流動性が低下し、密着性が低下することがある。
シランカップリング剤の含有量は、エポキシ樹脂組成物100質量部に対して、0.05〜30質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましく、0.3〜10質量部であることがさらに好ましい。
(E)溶剤
熱硬化性樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂組成物は、前述の(A)〜(D)成分を均一に混合する点などから、溶剤を含んでもよい。溶剤は、特に高分子量のエポキシ樹脂を均一に分散または溶解させる機能を有する。溶剤は、各種有機溶剤であってもよく、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;エーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコ−ルモノアルキルエーテル、エチレングリコ−ルジアルキルエーテル、プロピレングリコールまたはジアルキルエーテル等のエーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルフォルムアルデヒド等の非プロトン性極性溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が含まれる。特に、高分子量のエポキシ樹脂を溶解し易い点から、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤(ケト基を有する溶剤)がより好ましい。
(F)その他任意成分
熱硬化性樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂組成物は、発明の効果を損なわない範囲で、その他樹脂成分、充填剤、改質剤、安定剤などの任意成分をさらに含有することができる。他の樹脂成分の例には、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジェン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマーが含まれる。これらの1種単独を、または複数種の組み合わせを含有することができる。
充填剤の例には、ガラスビーズ、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子が含まれる。充填剤は、複数種の組み合わせであってもよい。
改質剤の例には、重合開始助剤、老化防止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤などが含まれる。これらは、複数種を組み合わせて使用してもよい。安定剤の例には、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤が含まれる。改質剤は、複数種の組み合わせであってもよい。
(熱硬化性樹脂組成物の硬化性)
熱硬化性樹脂組成物の硬化速度は、ある程度高いほうが好ましい。被熱圧着材と接着する際の作業性を高めるためである。速やかに硬化できるとは、例えば、加熱条件下(50〜100℃)において、120分以内に硬化することをいう。
熱硬化性樹脂組成物が硬化したかどうかは、前記樹脂組成物をホットプレート上で硬化させ、ゲル化したかどうかを指触にて確認して判断すればよい。また、樹脂組成物が硬化したかどうかはエポキシ基の転化率から求めてもよい。エポキシ基の転化率は、硬化反応させる前と硬化反応させた後の樹脂組成物のIRスペクトルをそれぞれ測定し、該IRスペクトルの、エポキシ基の減少率から求めることができる。樹脂組成物の硬化性は、硬化促進剤の含有量を調節することによって制御される。
熱硬化性樹脂組成物の硬化温度は、封止する有機EL素子が劣化しにくい温度であるならば特に限定されず、適宜、設定することができるか、通常は50〜150℃であり、60〜130℃の範囲に設定されることが多い。
本発明の有機ELデバイスの面封止材の面封止材の厚みは、特に限定されないが、例えば1〜100μmである。
面封止材の線膨張係数は、10〜200×10−6cm/cm/℃の範囲にあることが好ましい。前記範囲に線膨張係数があると、面封止剤の硬化物と基材が剥離しにくくなる。
本発明の有機ELデバイスの面封止材は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物である。典型的には、熱硬化性樹脂組成物を、基板(L)上に配置した有機EL素子を覆うようにして配置し、さらに基材(H)と形状保持層とを積層して得た積層体を、熱硬化性樹脂組成物の硬化温度で加熱して得る。硬化温度は、50〜100℃であることが好ましい。100℃超の温度で熱硬化性樹脂組成物を硬化させようとすると、作業性が悪くなるため隙間が形成され易くなったり、加熱により有機EL素子に悪影響を与えたりする。一方、50未満の温度で熱硬化性樹脂組成物を硬化させようとすると、硬化が不十分になる恐れがある。
4.基材(L)について
基材(L)は、有機ELデバイスにおいて、面封止材に積層された基材である。基材(L)の線膨張係数は、基材(H)の線膨張係数より低く、より具体的には基材(H)の線膨張係数よりも、5×10−6cm/cm/℃以上低い。基材(L)の線膨張係数は、1×10−6cm/cm/℃〜100×10−6cm/cm/℃の範囲にあることが好ましく、5×10−6cm/cm/℃〜30×10−6cm/cm/℃の範囲にあることがより好ましい。
基材(L)の具体的な材質は特に限定されないが、無機物質であることが好ましく、ガラス、シリコンなどの無機物質や、エステル共重合体(PET,PEN,PBTなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミドなどの樹脂が例示される。基材(L)の厚みは、有機ELデバイスの薄化や耐久性の観点から0.1〜1mmであることが好ましい。
5.形状保持層について
形状保持層は、基材(L)に積層された部材であり、形状保持層と基材(L)とは、粘着層または接着層を介して貼り付けられていてもよい。なお、形状保持層だけを、または形状保持層と粘着層または接着層を含むフィルムを、「形状保持フィルム」ともいう。
形状保持層の線膨張係数と、基材(H)の線膨張係数との差は、160×10−6cm/cm/℃以下であることが好ましい。前記範囲にあると、後述する反り抑制メカニズムにより、熱硬化により生じる有機ELデバイスの反りを抑制することができる。
形状保持層は、熱可塑性ポリマーを含有し;熱可塑性ポリマーの軟化点が、前述の熱硬化性樹脂の硬化温度以上であることが好ましく、通常は、110℃以上であることが好ましい。形状保持層に含まれる熱可塑性ポリマーの例には、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン(PP)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)などが含まれる。
形状保持層の厚みは、有機ELデバイスの薄化や形状保持層を基材(L)に貼り合わせる際の作業性の観点から、デバイスの反りや歪を抑制する観点から、100 〜 500μmであることが好ましい。
前記の通り、形状保持層と基材(L)とは、粘着層または接着層を介して貼り付けられていてもよい。接着層の例には、ポリビニルアルコール系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤などが含まれる。
有機ELデバイスの製造方法
本発明の有機ELデバイスの製造方法は、硬化して面封止材となる熱硬化性樹脂組成物や有機EL素子が配置されていない基材(L)の主面側に、前述の形状保持層を配置し、基材(H)、熱硬化性樹脂組成物、基材(L)、形状保持層をこの順で含み、前記基材(H)または基材(L)上に有機EL素子が配置されている構造体を準備した後に、前記構造体を加熱して面封止材となる熱硬化性樹脂組成物を硬化する工程を含む。
本発明の有機ELデバイスの製造方法では、硬化して面封止材となる熱硬化性樹脂組成物を硬化させる前に、有機EL素子が配置されていないか、または配置される予定がない基材(L)の主面側に、前述の形状保持層が配置されればよい。具体的には、以下の手法が考えられる。1)基材(L)に形状保持層を配置した後に、前記基板(L)に有機EL素子が配置する、2)有機EL素子が配置された後、基板(L)に形状保持層を配置する、3)有機EL素子が配置され、硬化して面封止材となる熱硬化性樹脂組成物で前記有機EL素子を覆った後に、基板(L)の有機EL素子が配置されていない主面側に形状保持層を配置する、4)有機EL素子が配置され、硬化して面封止材となる熱硬化性樹脂組成物で前記有機EL素子を覆った後に、さらに基材(H)を配置して、「基材(H)、面封止材となる熱硬化性樹脂組成物、有機EL素子、基材(L)の積層体」を作製してから、基材(L)に形状保持層を配置する。
この中でも、製造効率などの観点から、基材(L)に有機EL素子を形成する第1の工程と、前記有機EL素子を、硬化して面封止剤となる熱硬化性樹脂組成物で覆う第2の工程と、基材(H)を、基材(H)、前記有機EL素子を覆う前記熱硬化性樹脂組成物、有機EL素子、基材(L)の順になるように重ねる第3の工程と、基材(L)の有機EL素子が形成されていない主面側に形状保持層を有する形状保持フィルムを貼り合わせる第4の工程と、前記熱硬化性樹脂組成物を熱硬化する第5の工程と、を含む、有機ELデバイスの製造方法が好ましい。特に、基材(H)と熱硬化性樹脂組成物のシートをラミネートしてから、有機EL素子を覆う方法が好ましい。
本発明の有機ELデバイスの反り抑制について
本発明の有機ELデバイスは、基材(H)と基材(L)の線膨張係数の差が大きいにも係わらず、熱硬化性樹脂を熱硬化させて面封止材を形成するときに、有機ELデバイスに反りが発生することを抑制する。
この反り抑制メカニズムを、図1A〜Cと、図2A〜Cを参照して説明する。図1A〜Cは、基板(H)と、熱硬化性樹脂組成物層の硬化物からなる面封止材と、基板(L)とが積層された有機ELデバイスを製造するプロセスを示す図である。図2A〜Cは、基板(H)と、熱硬化性樹脂組成物層の硬化物からなる面封止材と、基板(L)と、粘着層または接着層と、形状保持層とが積層された有機ELデバイスを製造するプロセスを示す図である。なお図1A〜C、図2A〜Cには、有機EL素子が省略されている。
図1Aには、基板(H)と、未硬化の熱硬化性樹脂組成物層と、基板(L)とが積層された積層体が示される。また、基板(H)と基板(L)との間には、有機EL素子が配置されているが、図2Aには省略されている。未硬化の熱硬化性樹脂組成物層の厚みをD1とする。また、積層体の幅をL1とする。
図1Bは、図1Aに示された積層体を加熱して、未硬化の熱硬化性樹脂組成物層を硬化させる状態を示す図である。基材(H)の膨張率が大きいので、加熱中に基材(H)は膨張して、その幅がL2となる。一方で、基板(L)の膨張率は低いので、加熱中に基材(L)は膨張しにくく、その幅L1’は、L1から余り変化しない。また、熱硬化性樹脂組成物層の厚みはD2となり(D2<D1)、熱硬化性樹脂組成物層の側面の長さはD3となる(D1<D3)。
図1Cは、図1Bにおいて加熱された積層体を冷却した状態を示す図である。硬化された熱硬化性樹脂組成物は、その形状を維持しようとするため、基板(H)の中央部を凹部にして、積層体に反りが生じる。このようにして、従来の有機ELデバイスには反りが生じることがあった。
これに対して、図2Aには、基板(H)と、未硬化の熱硬化性樹脂組成物層と、基板(L)と、粘着層または接着層と、本発明の形状保持層とが積層された積層体が示される。また、基板(H)と基板(L)の間には、有機EL素子が配置されているが、図2Aには省略されている。未硬化の熱硬化性樹脂組成物層の厚みをD1とする。また、積層体の幅をL1とする。
図2Bは、図2Aに示された積層体を加熱して、未硬化の熱硬化性樹脂組成物層を硬化させる状態を示す図である。基材(H)の膨張率が大きいので、加熱中に基材(H)は膨張して、その幅がL2となる。同様に、形状保持層の膨張率は基板(H)の膨張率に近いため、加熱中に形状保持層も膨張して、その幅が拡大する。また、熱硬化性樹脂組成物層の厚みはD2となり(D2<D1)、熱硬化性樹脂組成物層の側面の長さD3となる(D1<D3)。一方で、基板(L)の膨張率は低いので、加熱中に基材(L)は膨張しにくく、その幅L1’は、L1から余り変化しない。
図2Cは、図2Bにおいて加熱された積層体を冷却した状態を示す図である。冷却により、基板(H)は収縮して、その幅がL2からL1に戻ろうとするため、基板(H)/シール材(硬化)/基板(L)の積層体は、基板(H)の中央部が凹部となるように反ろうとする応力Aが生じる。
一方で、冷却により、形状保持層も収縮して、その幅を縮めようとするため、基板(L)の中央部が凹部となるように反ろうとする応力Bが生じる。本発明は、応力Bによって、応力Aを相殺することを特徴とする。つまり、応力Bによって応力Aが相殺されると、硬化後の熱硬化性樹脂組成物層が変形して、厚さがD1にもどり、有機ELデバイスに反りが発生しなくなる。
本発明の有機ELデバイスは、有機ELパネルの一部材となりうる。有機ELパネルは、有機EL素子が配置された基板と;表示基板と対になる基板と;表示基板と対向基板との間に介在し、前記有機EL素子を封止する面封止材とを有する。面封止材が有機EL素子と封止基板との間に形成される空間に充填されているものを、面封止型の有機ELパネルという。
(合成例1)
形状保持層の原料として、プライムポリプロF107BV(プライムポリマー(株)製 ポリプロピレン)を準備した。粘着剤層の原料として、商品名 NOTIO PN3560(三井化学(株)製、MFR4g/10min(ASTM D1238準拠、測定温度230℃)を準備した。
共押粘着層の成形方法
形状保持層および粘着剤層の各原料を、フルフライト型のスクリューを備えた各押出機に投入し、溶融混練させた。形状保持層および粘着剤層の押出温度を230℃とし、2層の溶融樹脂を多層ダイ内で積層させて共押出し成形し、形状保持層および粘着剤層が順に積層された2層構造の積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの粘着剤層上に、セパレータ(東セロ(株)製 商品名SP−PET)をさらに積層した後、所定の幅にスリットして巻き取って、形状保持フィルムF4を製造した。
(合成例2)
<粘着層の合成方法>
重合反応機に脱イオン水150重量部、重合開始剤として4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド〔大塚化学(株)製、商品名:ACVA〕を0.5重量部、アクリル酸ブチル52.25重量部、メタクリル酸メチル25重量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル15重量部、メタクリル酸6重量部、アクリルアミド1重量部、水溶性コモノマーとしてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(エチレンオキサイドの付加モル数の平均値;約20)の硫酸エステルのアンモニウム塩のベンゼン環に重合性の1−プロペニル基を導入したもの〔第一工業製薬(株)製:商品名:アクアロンHS−20〕0.75重量部を添加し、攪拌下で70℃において9時間乳化重合を実施し、アクリル樹脂系水エマルジョンを得た。これを14重量%アンモニア水で中和し、固形分40重量%を含有する粘着剤ポリマーエマルジョン(粘着剤主剤)を得た。得られた粘着剤主剤エマルジョン100重量部(粘着剤ポリマー濃度:40重量%)を採取し、さらに14重量%アンモニア水を加えてpH9.3に調整した。次いで、アジリジン系架橋剤〔日本触媒化学工業(株)製、商品名:ケミタイトPZ−33〕4.0重量部、及びジエチレングリコールモノブチルエーテル5重量部を添加して粘着剤層を構成する粘着剤塗布液を得た。
<基材フィルムの製造方法>
ポリエステル系延伸フィルム[(株)東洋紡績製、商品名:東洋紡エステルフィルム 、銘柄:E7180、厚み:50μm]を選定し、その片表面に、低弾性率樹脂層として厚さ70μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル(株)製、銘柄:エバフレックスP−1905(EV460)フィルムを積層した。この際、これら多層フィルムの層間における接着力を高めるために、両層にコロナ放電処理を施し、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムの粘着剤層を形成する側の面にコロナ放電処理を施した。
<粘着層と基材フィルムの貼り合せ方法>
片表面にシリコーン処理(離型処理)が施された厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(剥離フィルム)の離型処理が施された側の面に、(合成例2)の粘着剤塗布液をダイコーターにより塗布し、乾燥し、厚み10μmの粘着剤層を形成した。これに、基材フィルムのコロナ処理が施された側の面を、それぞれドライラミネーターにより貼り合わせて押圧して、粘着剤層をそれぞれのコロナ処理が施された側の面に転写させた。転写後、60℃において48時間加熱した後、室温まで冷却することにより、形状保持フィルムF5を得た。
以下の組成のエポキシ樹脂ワニス(エポキシA)を用意した。フラスコに、0.8質量部のjER4005P(三菱化学社製)と、0.2質量部のYL983U(重量平均分子量398、三菱化学社製)と、0.43質量部のメチルエチルケトンを加え、室温で攪拌溶解した。この溶液に0.001質量部のKBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、分子量236、信越化学工業社製)と、0.01質量部のIBMI12(三菱化学社製)とを添加して室温で攪拌し、エポキシ樹脂組成物を調製した(固形分濃度70質量%)。
Figure 2013157228
調製したエポキシ樹脂組成物を、塗工機を用いて離型処理されたPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製ピューレックスA53、38μm)上に、乾燥厚みが40μmになるように塗工し、真空下40℃で2時間乾燥させ、室温(約25℃)において固形のシート状エポキシ樹脂組成物を得た。さらに、シート状エポキシ樹脂組成物上に、保護フィルムとして離型処理したPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製ピューレックスA31)を熱圧着し、封止用シートを得た。なお、保護フィルムは適宜剥がし、シート状エポキシ樹脂組成物表面を露出させて使用する。
ガラス基板(Matsunami 製カバーガラス、50×70mm、厚みNo.1(150μm))を基材(L)とした。シクロオレフィンポリマーシート(ゼオノアフィルムZF14、日本ゼオン製、100μm)の一方の面に、50nmのSiO膜をスパッタ製膜し基材(H)とした。SiO膜のスパッタ成膜は、スパッタ薄膜形成装置(ULVAC製,型式JSP−8000)に、SiOターゲットを配置して、プレスパッタ(条件:ガスAr(15sccm)、4.7×10−1 Pa、RF出力300W、時間120秒、常温)をしてから、さらにスパッタ成膜(条件:ガスAr(15sccm)、4.7×10−1 Pa、RF出力300W、時間2500秒、常温)した。
表2および表3に示される積層構造に合わせて、形状保持層/基材(L)としてのガラス基材(厚さ150μm)/シート状エポキシ樹脂組成物(厚さ40μm)/基材(H)を、この順で積層した積層体を得た。ここで基材(H)とシート状エポキシ樹脂組成物の接着力を上げるため、基材(H)のSiO膜を積層した側をシート状エポキシ樹脂組成物に貼り合せた。また、実施例4では形状保持フィルムとして形状保持フィルムF4を、実施例5では形状保持フィルムとして形状保持フィルムF5を用いた。積層体のサイズは、縦50mm×横70mmの直方体とした。なお、基材(L)と基材(H)に挟まれるシート状エポキシ樹脂組成物(厚さ40μm)が熱硬化したものが、本願でいう面封止材に対応する。
得られた積層体の厚さT1を測定した後、積層体を80℃で3時間加熱して、シート状エポキシ樹脂組成物を熱硬化した。その後、積層体を25℃まで冷却し、水平な板の上に積層体を載せた。前記水平な板の上面と積層体の角の距離を、4つの角それぞれについて測定し平均値T2を求めた。次に、T2からT1を引いて、反り量T3を算出した。
Figure 2013157228
Figure 2013157228
表2に示されるように、基板(H)と基板(L)との線膨張係数が大きいにも係わらず、形状保持層を設けることで、平均反り量が2mm以下に抑えられていることがわかる。そして、表3に示される比較例1のように形状保持層を有さないか、または比較例2のように形状保持層が熱硬化性樹脂の場合には、平均反り量が4mm以上になることがわかる。
本発明の有機ELデバイスは、反り量が抑制されているので有機EL素子の破壊が軽減され、更なる薄膜化も可能となる。

Claims (10)

  1. 基材(H)、面封止材、基材(L)、形状保持層をこの順で含み、前記基材(H)または基材(L)に有機EL素子が配置されている有機ELデバイスであって、
    前記基材(H)の線膨張係数よりも、前記基材(L)の線膨張係数の方が小さく、かつ前記基材(H)の線膨張係数と前記基材(L)の線膨張係数との差が5×10−6cm/cm/℃以上であり、
    前記形状保持層が軟化点110℃以上の熱可塑性ポリマーを含み、かつ前記形状保持層の線膨張係数と前記基材(H)の線膨張係数との差が160×10−6cm/cm/℃以下である、有機ELデバイス。
  2. 前記面封止材が熱硬化性樹脂組成物の硬化物であり、前記熱硬化性樹脂組成物の硬化温度が50〜150℃である、請求項1に記載の有機ELデバイス。
  3. 前記面封止材が、エポキシ樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる1種類以上の樹脂の硬化物を含む、請求項1または2に記載の有機ELデバイス。
  4. 前記熱可塑性ポリマーが、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン(PP)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)からなる群から選ばれる1種類以上の樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機ELデバイス。
  5. 前記基材(H)の線膨張係数が20×10−6〜180×10−6cm/cm/℃である請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機ELデバイス。
  6. 前記基材(H)が、アルミニウム、エステル(共)重合体、環状オレフィン(共)重合体、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体からなる群から選ばれる1種類以上のポリマーを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機ELデバイス。
  7. 前記基材(L)の線膨張係数が1×10−6〜100×10−6cm/cm/℃である請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機ELデバイス。
  8. 前記基材(L)が、ガラス、シリコン、エステル(共)重合体、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミドである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機ELデバイス。
  9. 基材(H)、熱硬化性樹脂組成物、基材(L)、形状保持層をこの順で含み、前記基材(H)または基材(L)上に有機EL素子が配置されている構造体を準備する第1の工程と、
    前記熱硬化性樹脂組成物を熱硬化する第2の工程と、
    を含む、有機ELデバイスの製造方法であって、
    前記基材(H)の線膨張係数よりも、前記基材(L)の線膨張係数の方が小さく、かつ前記基材(H)の線膨張係数と前記基材(L)の線膨張係数との差が5×10−6cm/cm/℃以上であり、前記形状保持層が軟化点110℃以上の熱可塑性ポリマーを含み、かつ前記形状保持層の線膨張係数と前記基材(H)の線膨張係数との差が160×10−6cm/cm/℃以下である、有機ELデバイスの製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機ELデバイスを備える、有機ELパネル。
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