JP2013149425A - ハロゲンフリー難燃絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】高電圧での漏れ電流を低減できると共に鉄道車両に適した難燃性および耐熱性の要求特性を満たし、薄い絶縁層であっても高圧電流に対して十分な絶縁特性を有し、かつ環境負荷の低減に役立つハロゲンフリー難燃絶縁電線を提供する。
【解決手段】導体、該導体を被覆する第1絶縁層、及び該第1絶縁層を被覆する第2絶縁層を有するハロゲンフリー難燃絶縁電線であって、該導体断面積が0.5〜5.5mm、該第1絶縁層が、ポリエステル樹脂20〜50質量部、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜50質量部、及び、スチレン系エラストマー30〜60質量部を含有する樹脂成分100質量部に対して窒素系難燃剤を5〜70質量部含有する樹脂組成物からなり、該導体直径に対する該第1絶縁層と第2絶縁層との総厚が15〜65%で、該第1絶縁層と第2絶縁層の厚さの比が4:1〜5:2であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ハロゲンフリー難燃絶縁電線に関し、耐熱性、難燃性に優れ、絶縁層の厚さが比較的に薄く、車両用(特に鉄道車両)に好適に使用されるハロゲンフリー難燃絶縁電線に関する。
電車等のような車両に用いられる車両用電線は、600V、または、1500V等の高圧電力を供給する配線経路に使用される。従来の代表的な車両用電線では、スズメッキ軟銅可撓より線により形成される導体の周囲にセパレータを被覆し、その周囲に、所定の厚さの絶縁体を被覆している。車両用電線には、難燃性と、軽量化、省スペース化が求められている。
車両用に限らず、難燃性が求められる絶縁電線として、特許文献1には、シングルサイト型メタロセン触媒で重合された超低密度ポリエチレン、ハロゲン系難燃剤、及び亜鉛華を含有する難燃性樹脂組成物を絶縁層として用いた絶縁電線が開示されている。この絶縁層に用いる難燃性樹脂組成物の誘電率は3.3未満と低く、絶縁層の厚みを薄くしても高電圧電流の漏れ電流を低減できる。
一方、環境負荷の低減に対する要求に応えるために、ハロゲン元素を含まないハロゲンフリーの絶縁電線が求められている。絶縁電線にハロゲン元素が含まれると、使用後の絶縁電線を焼却処理する際に塩化水素等の有毒ガスが発生する可能性があるからである。
一般に、ハロゲンフリー電線の被覆材料としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂に水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物を配合して難燃化した樹脂組成物が使用されている。例えば、特許文献2には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)に、難燃剤として水酸化マグネシウムを配合した難燃性樹脂組成物を絶縁層として使用する絶縁電線が開示されている。しかし、難燃性評価の厳しい基準であるVW−1試験と称される垂直燃焼試験に合格させるためには、ポリオレフィン系樹脂中に多量の金属水酸化物を配合する必要がある。その結果、絶縁層の誘電率が高くなり、高電圧用途では漏れ電流が多くなる。また柔軟性が低下するという問題もある。
車両用絶縁電線の軽量化、省スペース化のため、電線の絶縁層の肉厚を薄くする要求が高まってきた。しかしながら、絶縁層の肉厚を例えば0.4mm以下と薄くし、かつ、金属水和物を配合すると、絶縁電線のカットスルー抵抗が大幅に低下するという問題がある。特許文献3には、カットスルー抵抗に優れ、かつ燃焼時に有毒な腐食性ガスを発生しない、薄肉難燃絶縁電線が開示されている。
特許第3279206号公報 特開2000−219814号公報 特開平11−219626号公報
上記のように、ノンハロゲン難燃剤として金属水酸化物を用いた難燃性樹脂組成物では、難燃性を満たすために金属水酸化物の配合量を増やすと誘電率が高くなり漏れ電流が多くなる。一方、誘電率を下げるために金属水酸化物の配合量を減らすと、難燃性を満たすことができない。
また、特許文献3に開示の薄肉難燃絶縁電線は、難燃性については、60℃傾斜難燃試験での評価では不十分であり、また、鉄道車両用に求められる、耐熱性についての評価が示されていない。
これらの事情に鑑み、本発明は、高電圧での漏れ電流を低減できると共に鉄道車両に適した難燃性および耐熱性の要求特性を満たし、薄い絶縁層であっても高圧電流に対して十分な絶縁特性を有し、かつ環境負荷の低減に役立つハロゲンフリー難燃絶縁電線を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記課題が下記の手段により解決されることを見出した。
(1)導体、該導体を被覆する第1絶縁層、及び該第1絶縁層を被覆する第2絶縁層を有するハロゲンフリー難燃絶縁電線であって、
前記導体の断面積が0.5〜5.5mmであり、
前記第1絶縁層が、ポリエステル樹脂20〜50質量部、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜50質量部、及び、スチレン系エラストマー30〜60質量部を含有する樹脂成分100質量部に対して窒素系難燃剤を5〜70質量部含有する樹脂組成物からなり、
前記導体直径に対する前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との総厚が15〜65%であり、
前記第1絶縁層と前記第2絶縁層の厚さの比が4:1〜5:2であることを特徴とする、ハロゲンフリー難燃絶縁電線。
(2)前記第1絶縁層を構成する樹脂組成物の樹脂成分が、ポリブチレンテレフタレート20〜30質量部、変性ポリフェニレンエーテル20〜30質量部、及び、スチレンエチレンブチレンスチレン共重合体45〜55質量部の比率で含有することを特徴とする、前記(1)記載のハロゲンフリー難燃絶縁電線。
本発明によれば、高電圧での漏れ電流を低減できると共に難燃性および耐熱性の要求特性を満たし、薄い絶縁層であっても高圧電流に対して十分な絶縁特性を有し、かつ環境負荷の低減に役立つハロゲンフリー難燃絶縁電線を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のハロゲンフリー難燃絶縁電線(以下単に、「絶縁電線」とも称する)は導体断面積が0.5mm〜5.5mmのサイズの電線である。機器内、機器間の信号伝送、給電等に使用される。その第1絶縁層を構成する樹脂組成物(以下単に、「第1の樹脂組成物」とも称する)は、ポリエステル樹脂20〜50質量部、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜50質量部、及び、スチレン系エラストマー30〜60質量部を含有する樹脂成分100質量部に対して窒素系難燃剤を5〜70質量部含有する。
第1の樹脂組成物は、上記の組成により、その誘電率を3.2以下とすることができる。3.2以下の低誘電率材料である上記第1の樹脂組成物を、導体に接する第1絶縁層(内層)部分に用いることにより、漏れ電流を効果的に低減することができる。
また第1の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂と窒素系難燃剤、ポリエステル樹脂の相乗効果によってある程度の難燃性も付与される。
ポリフェニレンエーテル系樹脂とスチレン系エラストマーを含有する樹脂組成物は、常温において弾性率が高く硬いポリフェニレンエーテル系樹脂を島に、伸びが大きく柔らかいスチレン系エラストマーを海とする海島構造を持つポリマーアロイであると推定される。ここにポリエステル樹脂を更に添加すると3成分のポリマーアロイとなる。ポリエステル樹脂は結晶性樹脂であり、ガラス転移温度以上の温度であっても適度な弾性率を保ち、柔軟性、伸張性を保持することができる。また、スチレン系エラストマーとの相溶性が比較的高く、スチレン系エラストマー中に均一に分散させることができれば全体として引張強さや引張強度が発現する。このような樹脂成分に窒素系難燃剤を含有させることで、柔軟性を発現できると共に誘電率が低く、かつある程度の難燃性を持たせることができる。
第1の樹脂組成物に用いるポリエステル樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂やPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂等が挙げられる。特にPBT樹脂は融点がポリフェニレンエーテルのガラス転移温度に近く、押出加工性が良い。また難燃性にも優れている。
第1の樹脂組成物に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂について説明する。
ポリフェニレンエーテルは、メタノールとフェノールを原料として合成される2,6−キシレノールを酸化重合させて得られるエンジニアリングプラスチックである。またポリフェニレンエーテルの成形加工性を向上させるため、ポリフェニレンエーテルにポリスチレンを溶融ブレンドした材料が変性ポリフェニレンエーテル樹脂として各種市販されている。本発明に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂としては、上記のポリフェニレンエーテル樹脂単体、及びポリスチレンを溶融ブレンドした変性ポリフェニレンエーテル樹脂のいずれも使用することができるが、変性ポリフェニレンエーテル樹脂が好ましい。また無水マレイン酸等のカルボン酸を導入したものを適宜ブレンドして使用することもできる。
このようなポリフェニレンエーテル系樹脂においては、ポリスチレンのブレンド比率に応じて加重たわみ温度が変化するが、荷重たわみ温度が95℃以上のものを使用すると電線被膜の引張特性が向上し、機械強度の大きい絶縁層が得られ、また熱変形特性が優れるため好ましい。なお荷重たわみ温度はISO75−1、2の方法により、荷重1.80MPaで測定した値とする。
ポリフェニレンエーテル系樹脂としてポリスチレンをブレンドしていないポリフェニレンエーテル樹脂も使用できる。この場合、低粘度のポリフェニレンエーテル樹脂を使用すると、機械的強度を保持しつつ押出加工時の樹脂圧を低減することができる。ポリフェニレンエーテル系樹脂の固有粘度としては0.1〜0.6dl/gが好ましく、更に好ましい範囲は0.3〜0.5dl/gである。
第1の樹脂組成物に使用するスチレン系エラストマーとしては、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)共重合体、スチレン・エチレンプロピレン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・エチレンプロピレン・スチレン共重合体、スチレン・ブチレン・スチレン共重合体等が挙げられ、これらの水素添加ポリマーや部分水素添加ポリマーを例示できる。また無水マレイン酸等のカルボン酸を導入したものを適宜ブレンドして使用することもできる。その中でも、スチレンエチレンブチレンスチレン共重合体が好ましい。
また、スチレンとゴム成分のブロック共重合エラストマーを使用すると、押出加工性が向上することに加え、引張破断伸びが向上し、また耐衝撃性が向上するなどの点で好ましい。またブロック共重合体として、水素化スチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体やスチレン・イソブチレン・スチレン系共重合体等のトリブロック型共重合体、及びスチレン・エチレン共重合体、スチレン・エチレンプロピレン等のジブロック型共重合体を使用することができ、スチレン系エラストマー中トリブロック成分が50質量%以上含まれていると、電線被膜の強度及び硬度が向上するため好ましい。
またスチレン系エラストマー中に含まれるスチレン含有量が20質量%以上のものが機械特性、難燃性の点から好適に使用できる。
更に、分子量の指標となるメルトフローレート(「MFR」と略記;JIS K 7210に従って、230℃×2.16kgfで測定)が0.8〜15g/10minの範囲であることが好ましい。メルトフローレートが0.8g/10min以上であれば押出加工性が向上し、また15g/10min以下であれば機械強度が向上するため好ましい。
さらに、スチレン系エラストマーの一部として、官能基を持つスチレン系エラストマーを含有することが好ましい。官能基を持つスチレン系エラストマーは相溶化剤として働き、ポリエステル樹脂とスチレン系エラストマーとが良好に混合し、密着力、高温特性、引張伸び特性を向上することができる。官能基としてはエポキシ基、オキサゾリン基、酸無水物基、カルボキシル基等が例示され、樹脂の種類に合わせて適宜選択できる。官能基を持つスチレン系エラストマーの含有量は樹脂成分100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、さらに好ましい範囲は1〜10重量部である。
第1の樹脂組成物の樹脂成分は、上記ポリエステル樹脂を20〜50質量部、ポリフェニレンエーテル系樹脂を20〜50質量部、スチレン系エラストマーを30〜60質量部含有する。ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量が50質量部を超えると押出加工性が低下し、また20重量部より少ないと機械的強度や難燃性が低下する。同様に、ポリエステル樹脂の含有量が50質量部を超えると押出加工性が低下し、20質量部より少ないと機械的強度や難燃性が低下する。ポリエステル樹脂のさらに好ましい含有量は、25質量部〜40質量部である。
第1の樹脂組成物の樹脂成分は、ポリブチレンテレフタレート20〜30質量部、変性ポリフェニレンエーテル20〜30質量部、及び、スチレンエチレンブチレンスチレン共重合体45〜55質量部の比率で含有することが好ましい。
さらに上記樹脂成分としては、本発明の趣旨を損なわない範囲で各種樹脂を混合することが可能である。
第1の樹脂組成物に使用する窒素系難燃剤としては、メラミン樹脂、メラミンシアヌレート等を例示できる。窒素系難燃剤は使用後に焼却処理してもハロゲン化水素等の有毒ガスが発生せず、環境負荷の低減を図ることができる。窒素系難燃剤としてメラミンシアヌレートを使用すると混合時の熱安定性や難燃性向上効果の面で好ましい。メラミンシアヌレートは、シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤で表面処理して使用することも可能である。
前記窒素系難燃剤の含有量は、第1の樹脂組成物の樹脂成分100質量部に対して5〜70質量部である。5質量部を下回ると絶縁電線の難燃性が不充分であり、また70質量部を超えると伸びや押出加工性が低下するからである。窒素系難燃剤の含有量は10〜40質量部がさらに好ましい。
さらに、第1の樹脂組成物には架橋助剤を含有することができる。架橋助剤を含有することで樹脂の可塑化効果が得られ、押出加工性が向上する。また電離放射線の照射時の架橋効率が高まる。架橋助剤としてはトリメチロールプロパントリメタクリレートやトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の分子内に複数の炭素−炭素二重結合を持つ多官能性モノマーが好ましく使用できる。また架橋助剤は常温で液体であることが好ましい。液体であるとポリフェニレンエーテル系樹脂やスチレン系エラストマーとの混合がしやすいからである。特に架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレートは、樹脂との相溶性が良好であり、容易に混合できる点で好ましい。トリメチロールプロパントリメタクリレートは、樹脂成分100質量部に対して0.1〜10質量部含有することが好ましい。
また難燃性を向上するために、リン系難燃剤を添加しても良い。リン系難燃剤としてはリン酸エステルが例示される。
本発明の絶縁電線は、前記第1絶縁層を被覆する第2絶縁層を有する。
第2絶縁層を構成する樹脂組成物(以下単に、「第2の樹脂組成物」とも称する)は、ハロゲン系難燃剤等を含まない、いわゆるハロゲン元素を含まず、前記第1絶縁層の機能を低下させないものであれば、特に限定されず、目的、用途に応じて適宜選択されてもよい。
その中でも1例として、外側の第2絶縁層には、難燃性を重視して、難燃効果の高い金属水酸化物を一定の割合で含有する樹脂組成物を用いる形態が挙げられる、この形態について、以下に説明する。
上記の難燃性を重視した第2絶縁層の場合、第2の樹脂組成物の誘電率は高くなるが、前述の通り、内層である第1絶縁層の誘電率を低くしていることで、絶縁電線自体の漏れ電流は低減できる。このような構成とすることで、高電圧での漏れ電流の低減と難燃性を両立できる。
上記の場合、第2の樹脂組成物に使用する樹脂成分としては、上記の第1の樹脂組成物に用いる樹脂の他、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、及び、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメリルメタクリレート共重合体等のエチレンαオレフィン共重合体等、任意の樹脂を使用することができる。特にエチレン酢酸ビニル共重合体は、樹脂組成物とした場合の押出性と柔軟性の観点から好ましく使用できる。
難燃剤として使用する金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等を例示できる。この中でも押出加工性の観点から、粒子径が0.1〜3μmの範囲にある水酸化マグネシウムが好ましい。
金属水酸化物の含有量は、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して150〜250質量部の範囲が好ましい。150質量部以上であれば絶縁電線の難燃性がより向上し、また250質量部以下であれば伸びや押出加工性がより向上する。さらに好ましい範囲は150質量部〜200質量部である。
本発明において、第1の樹脂組成物及び第2の樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、老化防止剤、滑剤、加工安定剤、着色剤、重金属不活性化材、発泡剤、多官能性モノマー等を適宜混合することができる。これらの材料を短軸押出型混合機、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等の既知の溶融混合機を用いて混合して樹脂組成物を作製する。
本発明の絶縁電線は、上記第1の樹脂組成物からなる第1絶縁層を導体に被覆し、上記第2の樹脂組成物からなる第2絶縁層を該第1絶縁層に被覆したものである。第1絶縁層及び第2絶縁層を形成するには、既知の押出成形機を用いることができる。製造工程を簡略化するためには、第1絶縁層と第2絶縁層を同時に押出被覆することが好ましい。
更に第1絶縁層及び第2絶縁層が電離放射線の照射により架橋されていると、耐熱性や機械的強度が向上する点で好ましい。電離放射線源としては、加速電子線やガンマ線、X線、α線、紫外線等が例示できるが、線源利用の簡便さや電離放射線の透過厚み、架橋処理の速度など工業的利用の観点から加速電子線が最も好ましく利用できる。
本発明の絶縁電線において、第1絶縁層及び第2絶縁層の厚みは、後述する導体直径に対して、第1絶縁層と前記第2絶縁層との総厚が15〜65%となる範囲である。導体径に対する絶縁層の厚さの比は、導体径の値により異なる。導体断面積が0.5mm(導体径約0.8mm)の場合は、導体径に対する絶縁層の総厚の比が65%程度となり、導体断面積が5.5mm(導体径約2.8mm)の場合は、導体径に対する絶縁層の総厚の比が15%程度となる。第1絶縁層と前記第2絶縁層との総厚が導体直径に対して小さ過ぎると高電圧での漏れ電流を十分に低減することができず、また十分に難燃性および耐熱性が得られない。また、第1絶縁層と前記第2絶縁層との総厚が導体直径に対して大き過ぎると、柔軟性が悪くなり、また、軽量化、省スペース化を目的とした絶縁層の薄層化のために、本発明の第1絶縁層に前期第1の樹脂組成物を使用するという、本発明の技術内容が無意味になる。
また本発明の絶縁電線において、第1絶縁層と第2絶縁層の厚さの比が4:1〜5:2である。第1絶縁層の厚さがこの比よりも小さくなれば、高電圧での漏れ電流を十分に低減することができない。また第1絶縁層の厚さがこの比よりも大きくなっても、これに伴う本発明の効果の向上が得られない。
本発明の絶縁電線において使用する導体としては、導電性に優れ、断面積が、鉄道車両用規格に相当する0.5〜5.5mmのものであれば、特に限定されず、一般的な銅線、アルミニウム線などが使用できる。
また、本発明の絶縁電線は、鉄道車両用に好適に使用することができる。鉄道車両用に好適に使用できる電線とは、鉄道車両に適した難燃性と耐熱性を有するものである。鉄道車両に適した難燃性とは、社団法人日本鉄道車両機械技術協会の鉄道車両用材料燃焼試験に合格し得る水準を意味する。また、150℃での加速老化試験に合格することが要求される。
次に発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
〔実施例1〕
(樹脂組成物1の作製)
二軸混合機(26mmφ、L/D=48)を使用し、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数200〜400rpmで溶融混合し、ストランド状に溶融押出し、次いで、溶融ストランドを冷却切断してペレットを作製した。配合例を表1に示す。
Figure 2013149425
上記表1中、数値は質量部を示す。
架橋助剤:トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)
老化防止剤:チバスペシャリティケミカルズ(株)製Irganox1010
滑剤:日本化成(株)製 スリパックスO
銅害防止剤:旭電化工業(株)製 アデカスタブCDA−1
(樹脂組成物2の作製)
下記表2に示す配合処方で各成分を混合した。直径12インチのオープンロール機を使用し、130〜160℃で混合した後、帯出しした試料をペレタイザを用いてペレット化した。
Figure 2013149425
上記表2中、数値は質量部を示す。
EVA1:酢酸ビニル量70%のエチレン酢酸ビニル共重合体
EVA2:酢酸ビニル量32%のエチレン酢酸ビニル共重合体
水酸化マグネシウム:平均粒径0.7μm、ステアリン酸表面処理
錫酸亜鉛:日本軽金属(株)社製、FlamtardH
クレー:白石カルシウム(株)社製、バーゲス#30
炭酸カルシウム:白石カルシウム(株)社製、白艶華CCR(ステアリン酸処理)
老化防止剤:チバスペシャリティケミカルズ(株)製Irganox1010
滑剤1:日本化成(株)製 スリパックスO
滑剤2:日本化成(株)製、スリパックスE
銅害防止剤:旭電化工業(株)製 アデカスタブCDA−1
(絶縁電線の作製)
導体には50本撚りの錫めっき銅線(外径1.47mm)を用いた。樹脂組成物1からなる第1の絶縁層(内層)の厚みは0.45mm、樹脂組成物2からなる第2の絶縁層(外層)の厚みは0.15mmとした。押出条件は、導体予熱60℃とし、シリンダーおよびダイスの温度は190〜200℃に設定し、ライン線速25m/minとした。また各絶縁電線には、照射量が120kGrayになるように加速電子線を照射した。
〔実施例2〕
導体を外径1.82mmに変えた以外は、実施例1と同様にして絶縁電線を作製した。
〔比較例〕
絶縁層樹脂組成物として、酢酸ビニル量15%のエチレン酢酸ビニル共重合体をベース樹脂としたものに、三酸化アンチモンおよび塩素系難燃剤と架橋剤とを適量添加したものを用いて単層の絶縁層とした以外は、実施例1、2と同様にして絶縁電線を作製した。但し、比較例1は導体外径が1.47mmであり絶縁被覆層は0.85mm、比較例2は導体外径が1.82mmであり絶縁被覆層の厚さは0.85mmである。
作製した上記の絶縁電線について以下の項目の評価を行った。評価結果を下記表3に示す。
(被覆層の評価:引張特性)
作製した電線から導体を抜き取り、被覆層の引張試験を行った。試験条件は引張速度=500mm/分、標線間距離=25mm、温度=23℃とし、引張強さ(抗張力)と引張破断伸びを各3点の試料で測定し、それらの平均値を求めた。引張強さ(抗張力)が7MPa以上かつ引張破断伸び350%以上のものを「合格」と判定した。
(被覆層の評価:老化後伸び残率及び抗張力残率)
150℃で96時間エージングしたサンプルに対して上記と同様の引張試験を行い、抗張力と引張破断伸びを測定し、オリジナルの数値を100として、伸び残率、抗張力残率を求めた。伸び残率70%以上、抗張力残率75%以上のものを「合格」と判定した。
(電線の評価:耐電圧)
導体の絶縁の間に2.2kVの直流電圧を1分間かけ、絶縁破壊のないのものを「合格」と判定した。
(電線の評価:加熱後変形)
120℃で30分間予熱した試料を、荷重2.45Nの重りをのせて120℃30分間置き、厚さを測定し、下記式にて減少率を求めた。
(加熱前の厚さ−加熱後の厚さ)/加熱前の厚さ
減少率が40%以下のものを「合格」と判定した。重りの先端部は直径9.5mmの平らな底面でありその縁はわずかに丸められたものとした。
(電線の評価:加熱巻き付け)
150℃で96時間エージングした電線を、その電線と同じ径のマンドレルに巻き付け、亀裂の有無を目視で観察した。亀裂のないものを「合格」と判定した。
(電線の評価:巻き付け加熱)
電線を、その電線と同じ径のマンドレルに巻き付け、150℃で96時間エージングし、亀裂の有無を目視で観察した。亀裂のないものを「合格」と判定した。
(電線の評価:低温巻き付け)
電線を−25℃の温度下に1時間置いた後、その電線と同じ径のマンドレルに巻き付け、亀裂の有無を目視で観察した。亀裂のないものを「合格」と判定した。
(電線の評価:鉄道車両材料燃焼試験)
社団法人日本鉄道車両機械技術協会にて鉄道車両用材料燃焼試験を行った。結果は「難燃性」であった。
(スクレープ摩耗試験)
ISO6722:2006の規定に基づいてスクレープ摩耗試験を実施した。導体が露出するまでのブレードの往復移動回数を表3に示す。
Figure 2013149425
実施例の電線は、比較例の電線に比べて絶縁層が薄く、小径であるにもかかわらず、比較例の電線と同等に、鉄道車両に適した難燃性及び耐熱性を有し、耐摩耗などの他の特性についても比較例の電線と同様またはそれ以上であった。特に、抗張力、加熱変形に優れている。
本発明の活用例としては、ハロゲンフリー難燃絶縁電線であり、耐熱性、難燃性に優れ、絶縁層の厚さが薄い電線であり、車両用(特に鉄道車両)に好適に活用される。

Claims (2)

  1. 導体、該導体を被覆する第1絶縁層、及び該第1絶縁層を被覆する第2絶縁層を有するハロゲンフリー難燃絶縁電線であって、
    前記導体の断面積が0.5〜5.5mmであり、
    前記第1絶縁層が、ポリエステル樹脂20〜50質量部、ポリフェニレンエーテル系樹脂20〜50質量部、及び、スチレン系エラストマー30〜60質量部を含有する樹脂成分100質量部に対して窒素系難燃剤を5〜70質量部含有する樹脂組成物からなり、
    前記導体直径に対する前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との総厚が15〜65%であり、
    前記第1絶縁層と前記第2絶縁層の厚さの比が4:1〜5:2であることを特徴とする、ハロゲンフリー難燃絶縁電線。
  2. 前記第1絶縁層を構成する樹脂組成物の樹脂成分が、ポリブチレンテレフタレート20〜30質量部、変性ポリフェニレンエーテル20〜30質量部、及び、スチレンエチレンブチレンスチレン共重合体45〜55質量部の比率で含有することを特徴とする、請求項1記載のハロゲンフリー難燃絶縁電線。
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