JP2013145357A - 赤外線反射フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、可視光領域において高い透過性を有し且つ赤外光領域において高い反射性を有する赤外線反射フィルムに関する。
赤外線反射フィルムは、主に、放射される太陽光の熱影響を抑制するために用いられる。例えば、建物や自動車等の窓ガラスに赤外線反射フィルムを貼ることで、窓ガラスを通って室内に入射される赤外線(特に近赤外線)を遮蔽し、室内の温度上昇を抑制し、これにより、冷房の消費電力を抑制して省エネルギー化を図ることができる。
赤外線の反射には、金属や金属酸化物の積層構造による赤外線反射層が用いられる。しかしながら、金属や金属酸化物は耐擦傷性が低い。そのため、赤外線反射フィルムでは、赤外線反射層の上に保護層を設けるのが一般的である。例えば、特許文献1には、ポリアクリロニトリル(PAN)を保護層の材料として用いることが開示されている。ポリアクリロニトリルのような高分子は、赤外線の吸収率が低く、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽できることから、冬期や室外の温度が低下する様な夜間での断熱効果による省エネルギー化も図ることができる。
ポリアクリロニトリルのような高分子を保護層の材料として用いる場合、保護層は、まず、高分子を溶剤に溶解させて溶液を調製し、この溶液を赤外線反射層の上に塗布し、次いで、溶液を乾燥させる(溶剤を揮発させる)、という手順で形成される。
ところで、この種の赤外線反射フィルムは、保護層が表側となるように建物や自動車等の窓ガラスに貼られる。従って、保護層の表面には、時間が経過するほどに汚れ等が付着していく。汚れ等を除去するためには、保護層の表面を例えば洗浄液を用いて清掃すればよい。しかしながら、洗浄液には各種の有機溶剤が含まれていることが多い。そして、洗浄液に含まれる少なくとも一部の有機溶剤が保護層に含まれる高分子を可溶な溶剤である場合、洗浄時に保護層が溶出し、耐擦傷性の低い赤外線反射層が露出してしまう、という問題が生じる。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、耐溶剤性に優れた赤外線反射フィルムを提供することを課題とする。
本発明に係る赤外線反射フィルムは、
基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムであって、
保護層は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子同士が架橋構造を有する層であり、
該架橋構造は、該高分子に対して5〜35重量%添加された(メタ)アクリレート系のラジカル重合型モノマーとそれぞれの高分子とが結合している構造である。
基材の一方の面に反射層及び保護層を順に積層した赤外線反射フィルムであって、
保護層は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子同士が架橋構造を有する層であり、
該架橋構造は、該高分子に対して5〜35重量%添加された(メタ)アクリレート系のラジカル重合型モノマーとそれぞれの高分子とが結合している構造である。
ここで、本発明に係る赤外線反射フィルムの一態様として、前記架橋構造は、前記保護層への電子線の照射により形成される、ようにすることができる。
また、本発明に係る赤外線反射フィルムの他態様として、前記保護層側表面の垂直放射率が0.20以下である、ようにすることができる。
本発明によれば、耐溶剤性に優れた赤外線反射フィルムを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る赤外線反射フィルムについて説明する。なお、本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、従来の赤外線反射フィルムが持つ遮熱特性(近赤外線の反射特性)に加え、断熱特性(遠赤外線の反射特性)を併せ持つ赤外線反射フィルムである。
本実施形態に係る赤外線反射フィルムは、図1に示す如く、基材1の一方の面1aに、反射層2及び保護層3をその順に積層し、他方の面1bに粘着層4を設けた層構造となっている。
基材1は、ポリエステル系フィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンメチレンテレフタレート、あるいはこれらを2種以上組み合わせた混合樹脂からなるフィルムが用いられる。なお、これらの中で、性能面から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく、特に2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好適である。
反射層2は、基材1の表面(一方の面)1aに蒸着により形成される蒸着層である。該蒸着層の形成方法としては、例えば、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)がある。ここで、真空蒸着においては、真空中で抵抗加熱、電子ビーム加熱、レーザ光加熱、アーク放電等の方法で蒸着物質を加熱蒸発させることで、基材1上に反射層2が形成される。また、スパッタリングにおいては、アルゴン等の不活性ガスが存在する真空中で、グロー放電等により加速されたAr+等の陽イオンをターゲット(蒸着物質)に撃突させて蒸着物質をスパッタ蒸発させることで、基材1上に反射層2が形成される。イオンプレーティングは、真空蒸着とスパッタリングとを組み合わせた形態の蒸着法である。この方法では、真空中において、加熱により放出された蒸発原子を、電界中でイオン化と加速を行い、高エネルギー状態で基材1上に付着させることで、反射層2が形成される。
反射層2は、半透明金属層2aを一対の金属酸化物層2b,2cで挟み込んだ複層構造となっており、上記蒸着層の形成方法を用い、まず、基材1の表面(一方の面)1aに金属酸化物層2bを蒸着し、次に、金属酸化物層2b上に半透明金属層2aを蒸着し、最後に、半透明金属層2a上に金属酸化物層2cを蒸着して形成される。半透明金属層2aは、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銀合金(MgAg、Ag−Pd−Cu合金(APC)、AgCu、AgAuCu、AgPd、AgAu等)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg等)、あるいはこれらを2種又は2層以上組み合わせた金属材料が用いられる。金属酸化物層2b,2cは、反射層2に透明性を付与し、半透明金属層2aの劣化を防止するためのものであり、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムチタン(IT)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化ガリウム亜鉛(GZO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化ガリウムインジウム(IGO)等の酸化物が用いられる。
保護層3は、下記化学式Iの繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位を含む高分子を含む層である。化学式I中のR1として、Hやメチル基を用いることができる。また、化学式I中のR2〜R5として、H、炭素数が1〜4のアルキル基又はアルケニル基を用いることができる。ちなみに、繰り返し単位A、B及びCで構成され、R1〜R5としてHを用いたものは、水素化ニトリルゴム(HNBR)である。
これらの高分子を得るためのモノマー成分としては、例えば、化学式IIで示すようなアクリロニトリル(繰り返し単位D)及びその誘導体、炭素数が4のアルキル(繰り返し単位E)及びその誘導体、並びに、ブタジエン(繰り返し単位F1又はF2)及びそれらの誘導体の共重合体等が挙げられる。ここで、R6は、H又はメチル基、R7〜R18は、H又は炭素数が1〜4のアルキル基を示す。なお、F1,F2のそれぞれは、ブタジエンが重合する繰り返し単位を示しており、F1がメインの繰り返し単位となっている。また、これらの高分子は、化学式IIのアクリロニトリル(繰り返し単位D)及びその誘導体、1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)及びその誘導体の共重合体であるニトリルゴムや、ニトリルゴム中に含まれる二重結合の一部又は全部が水素化された水素化ニトリルゴムであってもよい。
上記共重合体を部分的に切り出した化学式IIIを用いて、アクリロニトリル、ブタジエン及びアルキルが重合された共重合体と、それぞれの繰り返し単位A、B及びCとの関係を説明する。化学式IIIは、保護層3に用いられる高分子鎖の一部を切り出しており、1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)、アクリロニトリル(繰り返し単位D)、及び1,3−ブタジエン(繰り返し単位F1)が順に結合されている。なお、化学式IIIはR7,R11〜R14がHの結合例を示している。化学式IIIは、左側のブタジエンにはアクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合された側が結合しており、アクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合していない側に右側のブタジエンが形成されている。この様な結合例においては、1個の繰り返し単位A、1個の繰り返し単位B、及び2個の繰り返し単位Cが含まれている。この中で、繰り返し単位Aは左側のブタジエンの右側の炭素原子とアクリロニトリルのシアノ基(−CN)とが結合した炭素原子を含んでおり、繰り返し単位Bはアクリロニトリルのシアノ基(−CN)が結合していない炭素原子と右側のブタジエンの左側の炭素原子とを含んだ組合せである。そして、左側のブタジエンの一番左側の炭素原子と、右側のブタジエンの一番右側の炭素原子は、結合する分子の種類により繰り返し単位Aまたは繰り返し単位Bの一部の炭素原子となる。
かかる保護層3は、上述した高分子を架橋剤とともに溶剤に溶解させて溶液を調製し、この溶液を反射層2の上に塗布し、次いで、溶液を乾燥させる(溶剤を揮発させる)、という手順で形成される。溶剤は、上述した高分子を可溶な溶剤であり、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、塩化メチレン(ジクロロメタン)等の溶剤が用いられる。なお、メチルエチルケトンや塩化メチレンは、低沸点の溶剤(メチルエチルケトンは79.5℃、塩化メチレンは40℃)である。従って、これらの溶剤を用いると、低い乾燥温度で溶剤を揮発させることができるため、基材1(や反射層2)が熱ダメージを受けることはない。
保護層3の厚さは、下限値としては、1μm以上である。好ましくは、3μm以上である。また、上限値としては、20μm以下である。好ましくは、15μm以下である。より好ましくは、10μm以下である。保護層3の厚さが小さいと、赤外線の反射特性は高くなるものの、耐擦傷性が損なわれ、保護層3としての機能を十分に発揮することができない。保護層3の厚さが大きいと、赤外線反射フィルムの断熱特性が悪くなる。保護層3の厚さが上記範囲内であれば、赤外線の吸収が小さく且つ反射層2を適切に保護することができる保護層3が得られる。
なお、垂直放射率とは、JIS R3106で規定される通り、垂直放射率(εn)=1−分光反射率(ρn)で表わされる。分光反射率ρnは、常温の熱放射の波長域5〜50μmで測定される。5〜50μmの波長域は遠赤外線領域であり、遠赤外線の波長域の反射率が高くなるほど、垂直放射率は小さくなる。
また、化学式I中のkとlとmの比率は、k:l:m=5〜50重量%:25〜85重量%:0〜60重量%(但し、kとlとmの合計は100重量%)となるのが好ましい。より好ましくは、k:l:m=15〜40重量%:55〜85重量%:0〜20重量%(但し、kとlとmの合計は100重量%)である。さらに好ましくは、k:l:m=25〜40重量%:55〜75重量%:0〜10重量%(但し、kとlとmの合計は100重量%)である。
ところで、保護層3に良好な耐溶剤性を付与する観点から、保護層3は、高分子同士の架橋構造を有する。高分子同士を架橋させることにより、保護層3の耐溶剤性が向上するため、高分子を可溶な溶剤が保護層3に接触した場合であっても、保護層3が溶出するのを防止することができる。
高分子同士に架橋構造を付与する手段としては、溶液を乾燥させた後に、電子線を照射することが挙げられる。また、高分子を溶剤に溶解させる際に、あるいは、高分子を溶剤に溶解させた後に、ラジカル重合型モノマー等の多官能モノマーといった架橋剤を添加することが好ましい。多官能モノマーを添加すると、多官能モノマーに含まれる官能基がそれぞれの高分子鎖と反応(結合)することにより、高分子同士が(多官能モノマーを介して)架橋されやすくなる。従って、電子線の積算照射線量を(50kGy程度に)引き下げても高分子同士の十分な架橋を得ることができる。そのため、電子線の積算照射線量を低照射線量で済ませることができる。また、電子線の積算照射線量が低下することで、高分子や基材1の黄変をさらに抑制することができ、しかも、生産性を向上させることができる。
電子線の積算照射線量は、下限値としては、30kGy以上である。また、上限値としては、600kGy以下である。好ましくは、400kGy以下である。より好ましくは、200kGy以下である。なお、積算照射線量とは、電子線を1回照射する場合であれば、その照射線量をいい、電子線を複数回照射する場合であれば、その照射線量の合計をいう。電子線の1回の照射線量は、300kGy以下であるのが好ましい。電子線の積算照射線量が上記範囲内であれば、高分子同士の十分な架橋を得ることができる。また、電子線の積算照射線量が上記範囲内であれば、電子線の照射によって発生する高分子や基材1の黄変を最小限に抑えることができ、着色の少ない赤外線反射フィルムを得ることができる。なお、これら電子線の照射条件は、加速電圧が150kVでの照射条件である。
以上の構成からなる本実施形態に係る赤外線反射フィルムによれば、反射層2上の層構造の厚み、即ち、保護層3の厚みを少なくすることで、(反射層2を基準とした)保護層3側表面の垂直放射率が小さくなっている。また、特に、遠赤外線を吸収しにくく、透過しやすいニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、完全水素化ニトリルゴムなどを保護層3に用いれば、それによっても垂直放射率は小さくなる。これにより、遠赤外線は、保護層3に入射されても保護層3に吸収されにくく、反射層2に到達し、その結果、反射層2で反射されやすくなる。従って、本実施形態に係る赤外線反射フィルムを窓ガラス等の透光性部材に室内側から貼っておくことで、室内から透光性部材を通って外に出射される遠赤外線を遮蔽することができ、これにより、冬季や室内の温度が低下する夜間での断熱効果が期待できる。本実施形態に係る赤外線反射フィルムでは、その目的のために、保護層3側表面の垂直放射率が0.20以下に設定される。より好ましくは、垂直放射率が0.15以下である。
また、本実施形態に係る赤外線反射フィルムによれば、可視光線透過率(JIS A5759参照)を高くすることで、透光性部材の透光性が阻害されることはない。本実施形態に係る赤外線反射フィルムでは、その目的のために、可視光線透過率が50%以上に設定される。
また、近赤外線は、(粘着層4及び)基材1に入射されても(粘着層4及び)基材1に吸収されにくく、反射層2に到達し、その結果、反射層2で反射されやすくなる。従って、本実施形態に係る赤外線反射フィルムを窓ガラス等の透光性部材に室内側から貼っておくことで、窓ガラス等の透光性部材を通って室内に入射される近赤外線を遮蔽することができ、これにより、従来の赤外線反射フィルムと同様、夏季での遮熱効果が期待できる。本実施形態に係る赤外線反射フィルムでは、その目的のために、(反射層2を基準とした)基材1側表面から光を入射させたときの日射透過率(JIS A5759参照)が60%以下に設定される。
そして、本実施形態に係る赤外線反射フィルムによれば、上述の如く、保護層3に良好な耐溶剤性が付与されている。即ち、保護層3における高分子同士を架橋することで、保護層3の耐溶剤性が向上している。これにより、高分子を可溶な溶剤が保護層3に接触した場合であっても、保護層3が溶出するのを防止することができ、そのため、赤外線反射層が露出することによって耐擦傷性が低下するのを防止することができる。本実施形態に係る赤外線反射フィルムでは、その目的のために、メチルエチルケトンに対する溶解性試験後のゲル分率が65%以上に設定される。但し、好ましくは、70%以上である。より好ましくは、75%以上である。さらにより好ましくは、80%以上である。これらは後述する各種の実施例の試験結果によって明らかにされる。
ここで、本発明者らは、本実施形態に係る赤外線反射フィルムを作製し(実施例)、併せて、比較用の赤外線反射フィルムを作製し(比較例)、それらに対して耐溶剤性試験を行った。また、本発明者らは、それらの垂直放射率を測定した。
実施例、比較例ともに作製方法は次のとおりである。厚みが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製 商品名「ダイアホイル T602E50」)を基材1として用いた。この基材1の一方の面1aにDCマグネトロンスパッタ法により反射層2を形成した。詳しくは、DCマグネトロンスパッタ法を用い、基材1の一方の面1aに酸化インジウム錫からなる金属酸化物層2bを35nmの厚みで形成し、その上にAg−Pd−Cu合金からなる半透明金属層2aを18nmの厚みで形成し、その上に酸化インジウム錫からなる金属酸化物層2cを35nmの厚みで形成し、これを反射層2とした。そして、この反射層2の上に塗工法により保護層3を形成した。なお、保護層3の詳細な形成条件は、それぞれ実施例、比較例の説明において詳述する。
耐溶剤性試験は、次のとおりである。まず、保護層100mgをテフロン(登録商標)膜で包んだものを用意した。それをメチルエチルケトンの溶剤に浸漬させた。浸漬期間は1週間とした。その後、110℃で2時間乾燥させた。そして、乾燥後、それぞれの重量を測定し、溶剤浸漬前後の重量変化からゲル分率を算出した。算出式は次のとおりである。
ゲル分率(%) = (溶剤浸漬後の重量(g)/溶剤浸漬前の重量(g)) × 100
ゲル分率(%) = (溶剤浸漬後の重量(g)/溶剤浸漬前の重量(g)) × 100
垂直放射率の測定方法は、次のとおりである。角度可変反射アクセサリを装着したフーリエ変換型赤外分光(FT−IR)装置(Varian社製)を用いて、波長5ミクロン〜25ミクロンの赤外光の正反射率を測定し、JIS R 3106−2008(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)に準じて求めた。
なお、保護層2の厚みは、ダイヤルゲージ(株式会社ニコン製 製品名「DIGIMICRO STAND MS−11C」)を用いて測定した。
<実施例1>
水素化ニトリルゴム(ランクセス社製 商品名「テルバン5065」〔k:33.3、l:63、m:3.7、R1〜R5:H〕)10重量%とメチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製)90重量%を混合し、撹拌溶解を80℃の温度で5時間行い、水素化ニトリルゴムをメチルエチルケトンの溶剤に溶解させ、溶液を調製した。そして、この溶液に(メタ)アクリレート系モノマー(トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA):アクリル系の3官能モノマー)(大阪有機化学工業株式会社製 商品名「ビスコート♯295」)を水素化ニトリルゴムの固形分に対して5重量%添加した。
そして、この溶液を反射層2の上にアプリケーターを用いて塗布し、空気循環式の乾燥オーブンに入れ、100℃で5分間乾燥を行った。これにより、厚さが5μmの保護層3を形成した。
その後、電子線照射装置(岩崎電気株式会社製 製品名「EC250/30/20mA」)を用いて保護層3の表面側から電子線を照射し、実施例1に係る赤外線反射フィルムを得た。電子線の照射条件は、ライン速度を3m/min、加速電圧を150kV、積算照射線量を50kGyとした。
水素化ニトリルゴム(ランクセス社製 商品名「テルバン5065」〔k:33.3、l:63、m:3.7、R1〜R5:H〕)10重量%とメチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製)90重量%を混合し、撹拌溶解を80℃の温度で5時間行い、水素化ニトリルゴムをメチルエチルケトンの溶剤に溶解させ、溶液を調製した。そして、この溶液に(メタ)アクリレート系モノマー(トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA):アクリル系の3官能モノマー)(大阪有機化学工業株式会社製 商品名「ビスコート♯295」)を水素化ニトリルゴムの固形分に対して5重量%添加した。
そして、この溶液を反射層2の上にアプリケーターを用いて塗布し、空気循環式の乾燥オーブンに入れ、100℃で5分間乾燥を行った。これにより、厚さが5μmの保護層3を形成した。
その後、電子線照射装置(岩崎電気株式会社製 製品名「EC250/30/20mA」)を用いて保護層3の表面側から電子線を照射し、実施例1に係る赤外線反射フィルムを得た。電子線の照射条件は、ライン速度を3m/min、加速電圧を150kV、積算照射線量を50kGyとした。
<実施例2>
アクリレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して10重量%とした点以外は、実施例1と同じである。
アクリレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して10重量%とした点以外は、実施例1と同じである。
<実施例3>
アクリレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して20重量%とした点以外は、実施例1と同じである。
アクリレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して20重量%とした点以外は、実施例1と同じである。
<実施例4>
アクリレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して30重量%とした点以外は、実施例1と同じである。
アクリレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して30重量%とした点以外は、実施例1と同じである。
<比較例1>
アクリレート系モノマーの代わりに、ブタジエン系モノマー(日本曹達株式会社製 商品名「B−1000」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
アクリレート系モノマーの代わりに、ブタジエン系モノマー(日本曹達株式会社製 商品名「B−1000」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
<比較例2>
ブタジエン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して10重量%とした点以外は、比較例1と同じである。
ブタジエン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して10重量%とした点以外は、比較例1と同じである。
<比較例3>
ブタジエン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して20重量%とした点以外は、比較例1と同じである。
ブタジエン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して20重量%とした点以外は、比較例1と同じである。
<比較例4>
アクリレート系モノマーの代わりに、シアヌレート系モノマー(エボニック デグサ ジャパン株式会社製 商品名「TAICROS(登録商標)」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
アクリレート系モノマーの代わりに、シアヌレート系モノマー(エボニック デグサ ジャパン株式会社製 商品名「TAICROS(登録商標)」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
<比較例5>
シアヌレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して10重量%とした点以外は、比較例4と同じである。
シアヌレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して10重量%とした点以外は、比較例4と同じである。
<比較例6>
シアヌレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して20重量%とした点以外は、比較例4と同じである。
シアヌレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して20重量%とした点以外は、比較例4と同じである。
<比較例7>
アクリレート系モノマーの代わりに、アリルアミン系モノマー(和光純薬工業株式会社製 商品名「トリアリルアミン」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
アクリレート系モノマーの代わりに、アリルアミン系モノマー(和光純薬工業株式会社製 商品名「トリアリルアミン」)を用いた点以外は、実施例1と同じである。
<比較例8>
アリルアミン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して10重量%とした点以外は、比較例7と同じである。
アリルアミン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して10重量%とした点以外は、比較例7と同じである。
<比較例9>
アリルアミン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して20重量%とした点以外は、比較例7と同じである。
アリルアミン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して20重量%とした点以外は、比較例7と同じである。
<比較例10>
モノマーを添加しない点以外は、実施例1と同じである。
モノマーを添加しない点以外は、実施例1と同じである。
<比較例11>
モノマーを添加しない点、及び、電子線を照射しない点以外は、実施例1と同じである。
モノマーを添加しない点、及び、電子線を照射しない点以外は、実施例1と同じである。
<比較例12>
アクリレート系モノマーの代わりに、カチオン重合系モノマーであるグリシジルエーテル系モノマー(三菱樹脂株式会社製 商品名「エピコート828」)を用いた点、その添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して10重量%とした点以外は、実施例1と同じである。
アクリレート系モノマーの代わりに、カチオン重合系モノマーであるグリシジルエーテル系モノマー(三菱樹脂株式会社製 商品名「エピコート828」)を用いた点、その添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して10重量%とした点以外は、実施例1と同じである。
<比較例13>
アクリレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して40重量%とした点以外は、実施例1と同じである。
アクリレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して40重量%とした点以外は、実施例1と同じである。
<比較例14>
ブタジエン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して30重量%とした点以外は、比較例1と同じである。
ブタジエン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して30重量%とした点以外は、比較例1と同じである。
<比較例15>
シアヌレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して30重量%とした点以外は、比較例4と同じである。
シアヌレート系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して30重量%とした点以外は、比較例4と同じである。
<比較例16>
アリルアミン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して30重量%とした点以外は、比較例7と同じである。
アリルアミン系モノマーの添加量を水素化ニトリルゴムの固形分に対して30重量%とした点以外は、比較例7と同じである。
これによれば、(メタ)アクリレート系モノマーを添加した実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び比較例13は、耐溶剤性が付与されており、それ以外の架橋剤を添加する場合及び架橋剤を添加しない場合は、耐溶剤性が付与されないことがわかった。なお、電子線を照射しない場合(比較例11)は、高分子同士に架橋構造が付与されないか、付与されるにしても架橋構造が十分でないことがより理解できる。
しかしながら、添加剤が(メタ)アクリレート系モノマーであれば、それだけでいいわけではない。(メタ)アクリレート系モノマーの添加量が多くなれば(比較例13)、赤外線反射フィルムの(反射層2を基準とした)保護層3側表面の垂直放射率が悪化する(垂直放射率が0.20を超える。)。そのため、赤外線反射フィルムにおける赤外線の反射特性が低下し、赤外線反射フィルムの断熱特性が悪くなる。
以上から、(メタ)アクリレート系モノマーの添加量は、高分子に対して5〜35重量%の範囲内であることが好ましい、ということがわかった。また、より好ましくは、高分子に対して5〜25重量%であることがわかった。
しかしながら、添加剤が(メタ)アクリレート系モノマーであれば、それだけでいいわけではない。(メタ)アクリレート系モノマーの添加量が多くなれば(比較例13)、赤外線反射フィルムの(反射層2を基準とした)保護層3側表面の垂直放射率が悪化する(垂直放射率が0.20を超える。)。そのため、赤外線反射フィルムにおける赤外線の反射特性が低下し、赤外線反射フィルムの断熱特性が悪くなる。
以上から、(メタ)アクリレート系モノマーの添加量は、高分子に対して5〜35重量%の範囲内であることが好ましい、ということがわかった。また、より好ましくは、高分子に対して5〜25重量%であることがわかった。
なお、本発明に係る赤外線反射フィルムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、繰り返し単位A、B及びCのうち、少なくともいずれか二つ以上の繰り返し単位からなる高分子について説明した。しかしながら、これに限定されるものではない。これら繰り返し単位以外の他の繰り返し単位についても、保護層に必要な特性を損なわない範囲で含ませることができる。他の繰り返し単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは、高分子全体に対する割合が10重量%以下であるのが好ましい。
また、上記実施形態においては、反射層2を蒸着により形成した。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、反射性フィルムを用いる等、反射層を基材とは別に用意し、反射性フィルムを基材に貼着することにより反射層を形成してもよい。
また、上記実施形態に係る赤外線反射フィルムは、遮熱特性と断熱特性とを併せ持つ赤外線反射フィルムである。しかしながら、これに限定されるものではない。本発明に係る赤外線反射フィルムは、従来の遮熱特性のみを持つ赤外線反射フィルムにも適用できることは言うまでもない。
1…基材、1a…一方の面、1b…他方の面、2…反射層、2a…半透明金属層、2b,2c…金属酸化物層、3…保護層、4…粘着層
Claims (3)
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