以下、本発明にかかるヒートポンプシステムの実施形態について、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
<構成>
−全体−
図1は、本発明の第1実施形態にかかるヒートポンプシステム1の概略構成図である。ヒートポンプシステム1は、蒸気圧縮式のヒートポンプサイクルを利用して水媒体を加熱する運転等を行うことが可能な装置である。
ヒートポンプシステム1は、主として、熱源ユニット2と、2基の第1利用ユニット4a、4bと、1基の第2利用ユニット10aと、吐出冷媒連絡管12と、液冷媒連絡管13と、ガス冷媒連絡管14と、2基の貯湯ユニット8a、8bと、2基の温水暖房ユニット9a、9bと、水媒体連絡管15a、15bと、水媒体連絡管16a、16bとを備えており、熱源ユニット2と第1利用ユニット4a、4bと第2利用ユニット10aとが冷媒連絡管12、13、14を介して接続されることによって、熱源側冷媒回路20を構成し、第1利用ユニット4a、4bと貯湯ユニット8a、8bと温水暖房ユニット9a、9bとが水媒体連絡管15a、15b、16a、16bを介して接続されることによって、水媒体回路80a、80bを構成している。熱源側冷媒回路20には、HFC系冷媒の一種であるHFC−410Aが熱源側冷媒として封入されており、また、HFC系冷媒に対して相溶性を有するエステル系又はエーテル系の冷凍機油が熱源側圧縮機21(後述)の潤滑のために封入されている。また、水媒体回路80a、80bには、水媒体としての水が循環するようになっている。
なお、第1実施形態の2基の第1利用ユニット4a、4bとそれに接続されたユニットのグループ、すなわち、第1利用ユニット4aと貯湯ユニット8aと温水暖房ユニット9aとの組からなるグループ(aを含む符号が付されたグループ)と、第1利用ユニット4bと貯湯ユニット8bと温水暖房ユニット9bとの組からなるグループ(bを含む符号が付されたグループ)とは、同一の構成であり、かつ、互いに並列に冷媒連絡管12、13、14に接続されている。
−熱源ユニット−
熱源ユニット2は、屋外に設置されており、冷媒連絡管12、13、14を介して利用ユニット4a、4b、10aに接続されており、熱源側冷媒回路20の一部を構成している。
熱源ユニット2は、主として、熱源側圧縮機21と、油分離機構22と、熱源側切換機構23と、熱源側熱交換器24と、熱源側膨張機構25と、吸入戻し管26と、過冷却器27と、熱源側アキュムレータ28と、液側閉鎖弁29と、ガス側閉鎖弁30と、吐出側閉鎖弁31とを有している。
熱源側圧縮機21は、熱源側冷媒を圧縮する機構であり、ここでは、ケーシング(図示せず)内に収容されたロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が、同じくケーシング内に収容された熱源側圧縮機モータ21aによって駆動される密閉式圧縮機が採用されている。この熱源側圧縮機21のケーシング内には、圧縮要素において圧縮された後の熱源側冷媒が充満する高圧空間(図示せず)が形成されており、この高圧空間には、冷凍機油が溜められている。熱源側圧縮機モータ21aは、インバータ装置(図示せず)によって、その回転数(すなわち、運転周波数)を可変でき、これにより、熱源側圧縮機21の容量制御が可能になっている。
油分離機構22は、熱源側圧縮機21から吐出された熱源側冷媒中に含まれる冷凍機油を分離して熱源側圧縮機の吸入に戻すための機構であり、主として、熱源側圧縮機21の熱源側吐出管21bに設けられた油分離器22aと、油分離器22aと熱源側圧縮機21の熱源側吸入管21cとを接続する油戻し管22bとを有している。油分離器22aは、熱源側圧縮機21から吐出された熱源側冷媒中に含まれる冷凍機油を分離する機器である。油戻し管22bは、キャピラリチューブを有しており、油分離器22aにおいて熱源側冷媒から分離された冷凍機油を熱源側圧縮機21の熱源側吸入管21cに戻す冷媒管である。
熱源側切換機構23は、熱源側熱交換器24を熱源側冷媒の放熱器として機能させる熱源側放熱運転状態と熱源側熱交換器24を熱源側冷媒の蒸発器として機能させる熱源側蒸発運転状態とを切り換え可能な四路切換弁であり、熱源側吐出管21bと、熱源側吸入管21cと、熱源側熱交換器24のガス側に接続された第1熱源側ガス冷媒管23aと、ガス側閉鎖弁30に接続された第2熱源側ガス冷媒管23bとに接続されている。そして、熱源側切換機構23は、熱源側吐出管21bと第1熱源側ガス冷媒管23aとを連通させるとともに、第2熱源側ガス冷媒管23bと熱源側吸入管21cとを連通(熱源側放熱運転状態に対応、図1の熱源側切換機構23の実線を参照)したり、熱源側吐出管21bと第2熱源側ガス冷媒管23bとを連通させるとともに、第1熱源側ガス冷媒管23aと熱源側吸入管21cとを連通(熱源側蒸発運転状態に対応、図1の熱源側切換機構23の破線を参照)する切り換えを行うことが可能である。尚、熱源側切換機構23は、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上述と同様の熱源側冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
熱源側熱交換器24は、熱源側冷媒と室外空気との熱交換を行うことで熱源側冷媒の放熱器又は蒸発器として機能する熱交換器であり、その液側に熱源側液冷媒管24aが接続されており、そのガス側に第1熱源側ガス冷媒管23aが接続されている。この熱源側熱交換器24において熱源側冷媒と熱交換を行う室外空気は、熱源側ファンモータ32aによって駆動される熱源側ファン32によって供給されるようになっている。
熱源側膨張弁25は、熱源側熱交換器24を流れる熱源側冷媒の減圧等を行う電動膨張弁であり、熱源側液冷媒管24aに設けられている。
吸入戻し管26は、熱源側液冷媒管24aを流れる熱源側冷媒の一部を分岐して熱源側圧縮機21の吸入に戻す冷媒管であり、ここでは、その一端が熱源側液冷媒管24aに接続されており、その他端が熱源側吸入管21cに接続されている。そして、吸入戻し管26には、開度制御が可能な吸入戻し膨張弁26aが設けられている。この吸入戻し膨張弁26aは、電動膨張弁からなる。
過冷却器27は、熱源側液冷媒管24aを流れる熱源側冷媒と吸入戻し管26を流れる熱源側冷媒(より具体的には、吸入戻し膨張弁26aによって減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。
熱源側アキュムレータ28は、熱源側吸入管21cに設けられており、熱源側冷媒回路20を循環する熱源側冷媒を熱源側吸入管21cから熱源側圧縮機21に吸入される前に一時的に溜めるための容器である。
液側閉鎖弁29は、熱源側液冷媒管24aと液冷媒連絡管13との接続部に設けられた弁である。ガス側閉鎖弁30は、第2熱源側ガス冷媒管23bとガス冷媒連絡管14との接続部に設けられた弁である。吐出側閉鎖弁31は、熱源側吐出管21bから分岐された熱源側吐出分岐管21dとガス冷媒連絡管14との接続部に設けられた弁である。
また、熱源ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、熱源ユニット2には、熱源側圧縮機21の吸入における熱源側冷媒の圧力である熱源側吸入圧力Ps1を検出する熱源側吸入圧力センサ33と、熱源側圧縮機21の吐出における熱源側冷媒の圧力である熱源側吐出圧力Pd1を検出する熱源側吐出圧力センサ34と、熱源側熱交換器24の液側における熱源側冷媒の温度である熱源側熱交換器温度Thxを検出する熱源側熱交温度センサ35と、外気温度Toを検出する外気温度センサ36とが設けられている。
−吐出冷媒連絡管−
吐出冷媒連絡管12は、吐出側閉鎖弁31を介して熱源側吐出分岐管21dに接続されており、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態及び熱源側蒸発運転状態のいずれにおいても熱源側圧縮機21の吐出から熱源ユニット2外に熱源側冷媒を導出することが可能な冷媒管である。
−液冷媒連絡管−
液冷媒連絡管13は、液側閉鎖弁29を介して熱源側液冷媒管24aに接続されており、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態において熱源側冷媒の放熱器として機能する熱源側熱交換器24の出口から熱源ユニット2外に熱源側冷媒を導出することが可能で、かつ、熱源側切換機構23が熱源側蒸発運転状態において熱源ユニット2外から熱源側冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器24の入口に熱源側冷媒を導入することが可能な冷媒管である。
−ガス冷媒連絡管−
ガス冷媒連絡管14は、ガス側閉鎖弁30を介して第2熱源側ガス冷媒管23bに接続されており、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態において熱源ユニット2外から熱源側圧縮機21の吸入に熱源側冷媒を導入することが可能で、かつ、熱源側切換機構23が熱源側蒸発運転状態において熱源側圧縮機21の吐出から熱源ユニット2外に熱源側冷媒を導出することが可能な冷媒管である。
−第1利用ユニット−
第1利用ユニット4a、4bは、屋内に設置されており、冷媒連絡管12、13を介して熱源ユニット2及び第2利用ユニット10aに接続されるとともに第1利用ユニット4a、4b同士も互いに接続されており、熱源側冷媒回路20の一部を構成している。また、第1利用ユニット4a、4bは、水媒体連絡管15a、15b、16a、16b、15b、16bを介して貯湯ユニット8a、8b及び温水暖房ユニット9a、9bに接続されており、水媒体回路80a、80bの一部を構成している。
第1利用ユニット4a、4bは、主として、第1利用側熱交換器41a、41bと、第1利用側流量調節弁42a、42bと、循環ポンプ43a、43bとを有している。
第1利用側熱交換器41a、41bは、熱源側冷媒と水媒体との熱交換を行うことで熱源側冷媒の放熱器として機能する熱交換器であり、その熱源側冷媒が流れる流路の液側には、第1利用側液冷媒管45a、45bが接続されており、その熱源側冷媒が流れる流路のガス側には、第1利用側吐出冷媒管46a、46bが接続されており、その水媒体が流れる流路の入口側には、第1利用側水入口管47a、47bが接続されており、その水媒体が流れる流路の出口側には、第1利用側水出口管48a、48bが接続されている。第1利用側液冷媒管45a、45bには、液冷媒連絡管13が接続されており、第1利用側吐出冷媒管46a、46bには、吐出冷媒連絡管12が接続されており、第1利用側水入口管47a、47bには、水媒体連絡管15a、15bが接続されており、第1利用側水出口管48a、48bには、水媒体連絡管16a、16bが接続されている。
第1利用側流量調節弁42a、42bは、開度制御を行うことで第1利用側熱交換器41a、41bを流れる熱源側冷媒の流量を可変することが可能な電動膨張弁であり、第1利用側液冷媒管45a、45bに設けられている。
第1利用側吐出冷媒管46a、46bには、吐出冷媒連絡管12から第1利用側熱交換器41a、41bへ向かう熱源側冷媒の流れを許容し、第1利用側熱交換器41a、41bから吐出冷媒連絡管12へ向かう熱源側冷媒の流れを禁止する第1利用側吐出逆止弁49a、49bが設けられている。
循環ポンプ43a、43bは、水媒体の昇圧を行う機構であり、ここでは、遠心式や容積式のポンプ要素(図示せず)が循環ポンプモータ44a、44bによって駆動されるポンプが採用されている。循環ポンプ43a、43bは、第1利用側水出口管48a、48bに設けられている。循環ポンプモータ44a、44bは、インバータ装置(図示せず)によって、その回転数(すなわち、運転周波数)を可変でき、これにより、循環ポンプ43a、43bの容量制御が可能になっている。
これにより、第1利用ユニット4a、4bは、第1利用側熱交換器41a、41bを吐出冷媒連絡管12から導入される熱源側冷媒の放熱器として機能させることで、第1利用側熱交換器41a、41bにおいて放熱した熱源側冷媒を液冷媒連絡管13に導出し、第1利用側熱交換器41a、41bにおける熱源側冷媒の放熱によって水媒体を加熱する給湯運転を行うことが可能になっている。
また、第1利用ユニット4a、4bには、各種のセンサが設けられている。具体的には、第1利用ユニット4a、4bには、第1利用側熱交換器41a、41bの液側における熱源側冷媒の温度である第1利用側冷媒温度Tsc1を検出する第1利用側熱交温度センサ50a、50bと、第1利用側熱交換器41a、41bの入口における水媒体の温度である水媒体入口温度Twrを検出する水媒体出口温度センサ51a、51bと、第1利用側熱交換器41a、41bの出口における水媒体の温度である水媒体出口温度Twlを検出する水媒体出口温度センサ52a、52bとが設けられている。
−貯湯ユニット−
貯湯ユニット8a、8bは、屋内に設置されており、水媒体連絡管15a、15b、16a、16bを介して第1利用ユニット4a、4bに接続されており、水媒体回路80a、80bの一部を構成している。
貯湯ユニット8a、8bは、主として、貯湯タンク81a、81bと、熱交換コイル82a、82bとを有している。
貯湯タンク81a、81bは、給湯に供される水媒体としての水を溜める容器であり、その上部には、蛇口やシャワー等に温水となった水媒体を送るための給湯管83a、83bが接続されており、その下部には、給湯管83a、83bによって消費された水媒体の補充を行うための給水管84a、84bが接続されている。
熱交換コイル82a、82bは、貯湯タンク81a、81b内に設けられており、水媒体回路80a、80bを循環する水媒体と貯湯タンク81a、81b内の水媒体との熱交換を行うことで貯湯タンク81a、81b内の水媒体の加熱器として機能する熱交換器であり、その入口には、水媒体連絡管16a、16bが接続されており、その出口には、水媒体連絡管15a、15bが接続されている。
これにより、貯湯ユニット8a、8bは、第1利用ユニット4a、4bにおいて加熱された水媒体回路80a、80bを循環する水媒体によって貯湯タンク81a、81b内の水媒体を加熱して温水として溜めることが可能になっている。尚、ここでは、貯湯ユニット8a、8bとして、第1利用ユニット4a、4bにおいて加熱された水媒体との熱交換によって加熱された水媒体を貯湯タンクに溜める型式の貯湯ユニットを採用しているが、第1利用ユニット4a、4bにおいて加熱された水媒体を貯湯タンクに溜める型式の貯湯ユニットを採用してもよい。
また、貯湯ユニット8a、8bには、各種のセンサが設けられている。具体的には、貯湯ユニット8a、8bには、貯湯タンク81a、81bに溜められる水媒体の温度である貯湯温度Twhを検出するための貯湯温度センサ85aが設けられている。
−温水暖房ユニット−
温水暖房ユニット9a、9bは、屋内に設置されており、水媒体連絡管15a、15b、16a、16bを介して第1利用ユニット4a、4bに接続されており、水媒体回路80a、80bの一部を構成している。
温水暖房ユニット9a、9bは、主として、熱交換パネル91a、91bを有しており、ラジエータや床暖房パネル等を構成している。
熱交換パネル91a、91bは、ラジエータの場合には、室内の壁際等に設けられ、床暖房パネルの場合には、室内の床下等に設けられており、水媒体回路80a、80bを循環する水媒体の放熱器として機能する熱交換器であり、その入口には、水媒体連絡管16a、16bが接続されており、その出口には、水媒体連絡管15a、15bが接続されている。
−水媒体連絡管−
水媒体連絡管15a、15bは、貯湯ユニット8a、8bの熱交換コイル82a、82bの出口及び温水暖房ユニット9a、9bの熱交換パネル91a、91bの出口に接続されている。水媒体連絡管16a、16bは、貯湯ユニット8a、8bの熱交換コイル82a、82bの入口及び温水暖房ユニット9a、9bの熱交換パネル91a、91bの入口に接続されている。水媒体連絡管16a、16bには、水媒体回路80a、80bを循環する水媒体を貯湯ユニット8a、8b及び温水暖房ユニット9a、9bの両方、又は、貯湯ユニット8a、8b及び温水暖房ユニット9a、9bのいずれか一方に供給するかの切り換えを行うことが可能な水媒体側切換機構161a、161bが設けられている。この水媒体側切換機構161a、161bは、三方弁からなる。
−第2利用ユニット−
第2利用ユニット10aは、屋内に設置されており、冷媒連絡管13、14を介して熱源ユニット2に接続されており、熱源側冷媒回路20の一部を構成している。
第2利用ユニット10aは、主として、第2利用側熱交換器101aと第2利用側流量調節弁102aとを有している。
第2利用側熱交換器101aは、熱源側冷媒と空気媒体としての室内空気との熱交換を行うことで熱源側冷媒の放熱器又は蒸発器として機能する熱交換器であり、その液側に第2利用側液冷媒管103aが接続されており、そのガス側に第2利用側ガス冷媒管104aが接続されている。第2利用側液冷媒管103aには、液冷媒連絡管13が接続されており、第2利用側ガス冷媒管104aには、ガス冷媒連絡管14が接続されている。この第2利用側熱交換器101aにおいて熱源側冷媒と熱交換を行う空気媒体は、利用側ファンモータ106aによって駆動される利用側ファン105aによって供給されるようになっている。
第2利用側流量調節弁102aは、開度制御を行うことで第2利用側熱交換器101aを流れる熱源側冷媒の流量を可変することが可能な電動膨張弁であり、第2利用側液冷媒管103aに設けられている。
これにより、第2利用ユニット10aは、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態において、第2利用側熱交換器101aを液冷媒連絡管13から導入される熱源側冷媒の蒸発器として機能させることで、第2利用側熱交換器101aにおいて蒸発した熱源側冷媒をガス冷媒連絡管14に導出し、第2利用側熱交換器101aにおける熱源側冷媒の蒸発によって空気媒体を冷却する冷房運転を行うことが可能になっており、熱源側切換機構23が熱源側蒸発運転状態において第2利用側熱交換器101aがガス冷媒連絡管14から導入される熱源側冷媒の放熱器として機能して、第2利用側熱交換器101aにおいて放熱した熱源側冷媒を液冷媒連絡管13に導出し、第2利用側熱交換器101aにおける熱源側冷媒の放熱によって空気媒体を加熱する暖房運転を行うことが可能になっている。
また、第2利用ユニット10aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、第2利用ユニット10aには、室内温度Trを検出する室内温度センサ107aが設けられている。
<動作>
次に、ヒートポンプシステム1の動作について説明する。
ヒートポンプシステム1の運転モードとしては、第1利用ユニット4a、4bの給湯運転(すなわち、貯湯ユニット8a、8b及び/又は温水暖房ユニット9a、9bの運転)のみを行う給湯運転モードと、第2利用ユニット10aの冷房運転のみを行う冷房運転モードと、第2利用ユニット10aの暖房運転のみを行う暖房運転モードと、第1利用ユニット4a、4bの給湯運転を行うとともに第2利用ユニット10aの暖房運転を行う給湯暖房運転モードと、第1利用ユニット4a、4bの給湯運転を行うとともに第2利用ユニット10aの冷房運転を行う給湯冷房運転モードとがある。
以下、ヒートポンプシステム1の5つの運転モードにおける動作について説明する。
−給湯運転モード−
第1利用ユニット4a、4bの給湯運転のみを行う場合には、熱源側冷媒回路20においては、熱源側切換機構23が熱源側蒸発運転状態(図1の熱源側切換機構23の破線で示された状態)に切り換えられ、吸入戻し膨張弁26a及び第2利用側流量調節弁102aが閉止された状態になる。また、水媒体回路80a、80bにおいては、水媒体切換機構161a、161bが貯湯ユニット8a、8b及び/又は温水暖房ユニット9a、9bに水媒体を供給する状態に切り換えられる。
このような状態の熱源側冷媒回路20において、冷凍サイクルにおける低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、熱源側圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に、熱源側吐出管21bに吐出される。熱源側吐出管21bに吐出された高圧の熱源側冷媒は、油分離器22aにおいて冷凍機油が分離される。油分離器22aにおいて熱源側冷媒から分離された冷凍機油は、油戻し管22bを通じて、熱源側吸入管21cに戻される。冷凍機油が分離された高圧の熱源側冷媒は、熱源側吐出分岐管21d及び吐出側閉鎖弁31を通じて、熱源ユニット2から吐出冷媒連絡管12に送られる。
吐出冷媒連絡管12に送られた高圧の熱源側冷媒は、第1利用ユニット4a、4bに送られる。第1利用ユニット4a、4bに送られた高圧の熱源側冷媒は、第1利用側吐出冷媒管46a、46b及び第1利用側吐出逆止弁49a、49bを通じて、第1利用側熱交換器41a、41bに送られる。第1利用側熱交換器41a、41bに送られた高圧の熱源側冷媒は、第1利用側熱交換器41a、41bにおいて、循環ポンプ43a、43bによって水媒体回路80a、80bを循環する水媒体と熱交換を行って放熱する。第1利用側熱交換器41a、41bにおいて放熱した高圧の熱源側冷媒は、第1利用側流量調節弁42a、42b及び第1利用側液冷媒管45a、45bを通じて、第1利用ユニット4a、4bから液冷媒連絡管13に送られる。
液冷媒連絡管13に送られた熱源側冷媒は、熱源ユニット2に送られる。熱源ユニット2に送られた熱源側冷媒は、液側閉鎖弁29を通じて、過冷却器27に送られる。過冷却器27に送られた熱源側冷媒は、吸入戻し管26に熱源側冷媒が流れていないため、熱交換を行うことなく、熱源側膨張弁25に送られる。熱源側膨張弁25に送られた熱源側冷媒は、熱源側膨張弁25において減圧されて、低圧の気液二相状態になり、熱源側液冷媒管24aを通じて、熱源側熱交換器24に送られる。熱源側熱交換器24に送られた低圧の冷媒は、熱源側熱交換器24において、熱源側ファン32によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発する。熱源側熱交換器24において蒸発した低圧の熱源側冷媒は、第1熱源側ガス冷媒管23a及び熱源側切換機構23を通じて、熱源側アキュムレータ28に送られる。熱源側アキュムレータ28に送られた低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、再び、熱源側圧縮機21に吸入される。
一方、水媒体回路80a、80bにおいては、第1利用側熱交換器41a、41bにおける熱源側冷媒の放熱によって水媒体回路80a、80bを循環する水媒体が加熱される。第1利用側熱交換器41a、41bにおいて加熱された水媒体は、第1利用側水出口管48a、48bを通じて、循環ポンプ43a、43bに吸入され、昇圧された後に、第1利用ユニット4a、4bから水媒体連絡管16a、16bに送られる。水媒体連絡管16a、16bに送られた水媒体は、水媒体側切換機構161a、161bを通じて、貯湯ユニット8a、8b及び/又は温水暖房ユニット9a、9bに送られる。貯湯ユニット8a、8bに送られた水媒体は、熱交換コイル82a、82bにおいて貯湯タンク81a、81b内の水媒体と熱交換を行って放熱し、これにより、貯湯タンク81a、81b内の水媒体を加熱する。温水暖房ユニット9a、9bに送られた水媒体は、熱交換パネル91a、91bにおいて放熱し、これにより、室内の壁際等を加熱したり室内の床を加熱する。
このようにして、第1利用ユニット4a、4bの給湯運転のみを行う給湯運転モードにおける動作が行われる。
なお、第1利用ユニット4a、4bのいずれか一方の給湯運転を停止し、他方のみを給湯運転する場合には、給湯運転を停止する側の第1利用ユニット4a、4bの第1利用側流量調節弁42a、42bを閉止すればよい。また、後述の給湯暖房運転および給湯冷房運転の場合も同様である。
−冷房運転モード−
第2利用ユニット10aの冷房運転のみを行う場合には、熱源側冷媒回路20においては、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態(図1の熱源側切換機構23の実線で示された状態)に切り換えられ、第1利用側流量調節弁42a、42bが閉止された状態になる。
このような状態の熱源側冷媒回路20において、冷凍サイクルにおける低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、熱源側圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に、熱源側吐出管21bに吐出される。熱源側吐出管21bに吐出された高圧の熱源側冷媒は、油分離器22aにおいて冷凍機油が分離される。油分離器22aにおいて熱源側冷媒から分離された冷凍機油は、油戻し管22bを通じて、熱源側吸入管21cに戻される。冷凍機油が分離された高圧の熱源側冷媒は、熱源側切換機構23及び第1熱源側ガス冷媒管23aを通じて、熱源側熱交換器24に送られる。熱源側熱交換器24に送られた高圧の熱源側冷媒は、熱源側熱交換器24において、熱源側ファン32によって供給される室外空気と熱交換を行って放熱する。熱源側熱交換器において放熱した高圧の熱源側冷媒は、熱源側膨張弁25を通じて、過冷却器27に送られる。過冷却器27に送られた熱源側冷媒は、熱源側液冷媒管24aから吸入戻し管26に分岐された熱源側冷媒と熱交換を行って過冷却状態になるように冷却される。吸入戻し管26を流れる熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cに戻される。過冷却器27において冷却された熱源側冷媒は、熱源側液冷媒管24a及び液側閉鎖弁29を通じて、熱源ユニット2から液冷媒連絡管13に送られる。
液冷媒連絡管13に送られた高圧の熱源側冷媒は、第2利用ユニット10aに送られる。第2利用ユニット10aに送られた高圧の熱源側冷媒は、第2利用側流量調節弁102aに送られる。第2利用側流量調節弁102aに送られた高圧の熱源側冷媒は、第2利用側流量調節弁102aにおいて減圧されて、低圧の気液二相状態になり、第2利用側液冷媒管103aを通じて、第2利用側熱交換器101aに送られる。第2利用側熱交換器101aに送られた低圧の熱源側冷媒は、第2利用側熱交換器101aにおいて、利用側ファン105aによって供給される空気媒体と熱交換を行って蒸発し、これにより、室内の冷房を行う。第2利用側熱交換器101aにおいて蒸発した低圧の熱源側冷媒は、第2利用側ガス冷媒管104aを通じて、第2利用ユニット10aからガス冷媒連絡管14に送られる。
ガス冷媒連絡管14に送られた低圧の熱源側冷媒は、熱源ユニット2に送られる。熱源ユニット2に送られた低圧の熱源側冷媒は、ガス側閉鎖弁30、第2熱源側ガス冷媒管23b及び熱源側切換機構23を通じて、熱源側アキュムレータ28に送られる。熱源側アキュムレータ28に送られた低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、再び、熱源側圧縮機21に吸入される。
このようにして、第2利用ユニット10aの冷房運転のみを行う冷房運転モードにおける動作が行われる。
−暖房運転モード−
第2利用ユニット10aの暖房運転のみを行う場合には、熱源側冷媒回路20においては、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態(図1の熱源側切換機構23の破線で示された状態)に切り換えられ、吸入戻し膨張弁26a及び第1利用側流量調節弁42a、42bが閉止された状態になる。
このような状態の熱源側冷媒回路20において、冷凍サイクルにおける低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、熱源側圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に、熱源側吐出管21bに吐出される。熱源側吐出管21bに吐出された高圧の熱源側冷媒は、油分離器22aにおいて冷凍機油が分離される。油分離器22aにおいて熱源側冷媒から分離された冷凍機油は、油戻し管22bを通じて、熱源側吸入管21cに戻される。冷凍機油が分離された高圧の熱源側冷媒は、熱源側切換機構23、第2熱源側ガス冷媒管23b及びガス側閉鎖弁30を通じて、熱源ユニット2からガス冷媒連絡管14に送られる。
ガス冷媒連絡管14に送られた高圧の熱源側冷媒は、第2利用ユニット10aに送られる。第2利用ユニット10aに送られた高圧の熱源側冷媒は、第2利用側ガス冷媒管104aを通じて、第2利用側熱交換器101aに送られる。第2利用側熱交換器101aに送られた高圧の熱源側冷媒は、第2利用側熱交換器101aにおいて、利用側ファン105aによって供給される空気媒体と熱交換を行って放熱し、これにより、室内の暖房を行う。第2利用側熱交換器101aにおいて放熱した高圧の熱源側冷媒は、第2利用側流量調節弁102a及び第2利用側液冷媒管103aを通じて、第2利用ユニット10aから液冷媒連絡管13に送られる。
液冷媒連絡管13に送られた熱源側冷媒は、熱源ユニット2に送られる。熱源ユニット2に送られた熱源側冷媒は、液側閉鎖弁29を通じて、過冷却器27に送られる。過冷却器27に送られた熱源側冷媒は、吸入戻し管26に熱源側冷媒が流れていないため、熱交換を行うことなく、熱源側膨張弁25に送られる。熱源側膨張弁25に送られた熱源側冷媒は、熱源側膨張弁25において減圧されて、低圧の気液二相状態になり、熱源側液冷媒管24aを通じて、熱源側熱交換器24に送られる。熱源側熱交換器24に送られた低圧の冷媒は、熱源側熱交換器24において、熱源側ファン32によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発する。熱源側熱交換器24において蒸発した低圧の熱源側冷媒は、第1熱源側ガス冷媒管23a及び熱源側切換機構23を通じて、熱源側アキュムレータ28に送られる。熱源側アキュムレータ28に送られた低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、再び、熱源側圧縮機21に吸入される。
このようにして、第2利用ユニット10aの暖房運転のみを行う暖房運転モードにおける動作が行われる。
−給湯暖房運転モード−
第1利用ユニット4a、4bの給湯運転を行うとともに第2利用ユニット10aの暖房運転を行う場合には、熱源側冷媒回路20においては、熱源側切換機構23が熱源側蒸発運転状態(図1の熱源側切換機構23の破線で示された状態)に切り換えられ、吸入戻し膨張弁26aが閉止された状態になる。また、水媒体回路80a、80bにおいては、水媒体切換機構161a、161bが貯湯ユニット8a、8b及び/又は温水暖房ユニット9a、9bに水媒体を供給する状態に切り換えられる。
このような状態の熱源側冷媒回路20において、冷凍サイクルにおける低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、熱源側圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に、熱源側吐出管21bに吐出される。熱源側吐出管21bに吐出された高圧の熱源側冷媒は、油分離器22aにおいて冷凍機油が分離される。油分離器22aにおいて熱源側冷媒から分離された冷凍機油は、油戻し管22bを通じて、熱源側吸入管21cに戻される。冷凍機油が分離された高圧の熱源側冷媒は、その一部が、熱源側吐出分岐管21d及び吐出側閉鎖弁31を通じて、熱源ユニット2から吐出冷媒連絡管12に送られ、その残りが、熱源側切換機構23、第2熱源側ガス冷媒管23b及びガス側閉鎖弁30を通じて、熱源ユニット2からガス冷媒連絡管14に送られる。
ガス冷媒連絡管14に送られた高圧の熱源側冷媒は、第2利用ユニット10aに送られる。第2利用ユニット10aに送られた高圧の熱源側冷媒は、第2利用側ガス冷媒管104aを通じて、第2利用側熱交換器101aに送られる。第2利用側熱交換器101aに送られた高圧の熱源側冷媒は、第2利用側熱交換器101aにおいて、利用側ファン105aによって供給される空気媒体と熱交換を行って放熱し、これにより、室内の暖房を行う。第2利用側熱交換器101aにおいて放熱した高圧の熱源側冷媒は、第2利用側流量調節弁102a及び第2利用側液冷媒管103aを通じて、第2利用ユニット10aから液冷媒連絡管13に送られる。
吐出冷媒連絡管12に送られた高圧の熱源側冷媒は、第1利用ユニット4a、4bに送られる。第1利用ユニット4a、4bに送られた高圧の熱源側冷媒は、第1利用側吐出冷媒管46a、46b及び第1利用側吐出逆止弁49a、49bを通じて、第1利用側熱交換器41a、41bに送られる。第1利用側熱交換器41a、41bに送られた高圧の熱源側冷媒は、第1利用側熱交換器41a、41bにおいて、循環ポンプ43a、43bによって水媒体回路80a、80bを循環する水媒体と熱交換を行って放熱する。第1利用側熱交換器41a、41bにおいて放熱した高圧の熱源側冷媒は、第1利用側流量調節弁42a、42b及び第1利用側液冷媒管45a、45bを通じて、第1利用ユニット4a、4bから液冷媒連絡管13に送られる。
第2利用ユニット10a及び第1利用ユニット4a、4bから液冷媒連絡管13に送られた熱源側冷媒は、液冷媒連絡管13において合流して、熱源ユニット2に送られる。熱源ユニット2に送られた熱源側冷媒は、液側閉鎖弁29を通じて、過冷却器27に送られる。過冷却器27に送られた熱源側冷媒は、吸入戻し管26に熱源側冷媒が流れていないため、熱交換を行うことなく、熱源側膨張弁25に送られる。熱源側膨張弁25に送られた熱源側冷媒は、熱源側膨張弁25において減圧されて、低圧の気液二相状態になり、熱源側液冷媒管24aを通じて、熱源側熱交換器24に送られる。熱源側熱交換器24に送られた低圧の冷媒は、熱源側熱交換器24において、熱源側ファン32によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発する。熱源側熱交換器24において蒸発した低圧の熱源側冷媒は、第1熱源側ガス冷媒管23a及び熱源側切換機構23を通じて、熱源側アキュムレータ28に送られる。熱源側アキュムレータ28に送られた低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、再び、熱源側圧縮機21に吸入される。
一方、水媒体回路80a、80bにおいては、第1利用側熱交換器41a、41bにおける熱源側冷媒の放熱によって水媒体回路80a、80bを循環する水媒体が加熱される。第1利用側熱交換器41a、41bにおいて加熱された水媒体は、第1利用側水出口管48a、48bを通じて、循環ポンプ43a、43bに吸入され、昇圧された後に、第1利用ユニット4a、4bから水媒体連絡管16a、16bに送られる。水媒体連絡管16a、16bに送られた水媒体は、水媒体側切換機構161a、161bを通じて、貯湯ユニット8a、8b及び/又は温水暖房ユニット9a、9bに送られる。貯湯ユニット8a、8bに送られた水媒体は、熱交換コイル82a、82bにおいて貯湯タンク81a、81b内の水媒体と熱交換を行って放熱し、これにより、貯湯タンク81a、81b内の水媒体を加熱する。温水暖房ユニット9a、9bに送られた水媒体は、熱交換パネル91a、91bにおいて放熱し、これにより、室内の壁際等を加熱したり室内の床を加熱する。
このようにして、第1利用ユニット4a、4bの給湯運転を行うとともに第2利用ユニット10aの暖房運転を行う給湯暖房運転モードにおける動作が行われる。
−給湯冷房運転モード−
第1利用ユニット4a、4bの給湯運転を行うとともに第2利用ユニット10aの冷房運転を行う場合には、熱源側冷媒回路20においては、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態(図1の熱源側切換機構23の実線で示された状態)に切り換えられる。また、水媒体回路80a、80bにおいては、水媒体切換機構161a、161bが貯湯ユニット8a、8bに水媒体を供給する状態に切り換えられる。
このような状態の熱源側冷媒回路20において、冷凍サイクルにおける低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、熱源側圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮された後に、熱源側吐出管21bに吐出される。熱源側吐出管21bに吐出された高圧の熱源側冷媒は、油分離器22aにおいて冷凍機油が分離される。油分離器22aにおいて熱源側冷媒から分離された冷凍機油は、油戻し管22bを通じて、熱源側吸入管21cに戻される。冷凍機油が分離された高圧の熱源側冷媒は、その一部が、熱源側吐出分岐管21d及び吐出側閉鎖弁31を通じて、熱源ユニット2から吐出冷媒連絡管12に送られ、その残りが、熱源側切換機構23及び第1熱源側ガス冷媒管23aを通じて、熱源側熱交換器24に送られる。熱源側熱交換器24に送られた高圧の熱源側冷媒は、熱源側熱交換器24において、熱源側ファン32によって供給される室外空気と熱交換を行って放熱する。熱源側熱交換器において放熱した高圧の熱源側冷媒は、熱源側膨張弁25を通じて、過冷却器27に送られる。過冷却器27に送られた熱源側冷媒は、熱源側液冷媒管24aから吸入戻し管26に分岐された熱源側冷媒と熱交換を行って過冷却状態になるように冷却される。吸入戻し管26を流れる熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cに戻される。過冷却器27において冷却された熱源側冷媒は、熱源側液冷媒管24a及び液側閉鎖弁29を通じて、熱源ユニット2から液冷媒連絡管13に送られる。
吐出冷媒連絡管12に送られた高圧の熱源側冷媒は、第1利用ユニット4a、4bに送られる。第1利用ユニット4a、4bに送られた高圧の熱源側冷媒は、第1利用側吐出冷媒管46a、46b及び第1利用側吐出逆止弁49a、49bを通じて、第1利用側熱交換器41a、41bに送られる。第1利用側熱交換器41a、41bに送られた高圧の熱源側冷媒は、第1利用側熱交換器41a、41bにおいて、循環ポンプ43a、43bによって水媒体回路80a、80bを循環する水媒体と熱交換を行って放熱する。第1利用側熱交換器41a、41bにおいて放熱した高圧の熱源側冷媒は、第1利用側流量調節弁42a、42b及び第1利用側液冷媒管45a、45bを通じて、第1利用ユニット4a、4bから液冷媒連絡管13に送られる。
熱源ユニット2及び第1利用ユニット4a、4bから液冷媒連絡管13に送られた熱源側冷媒は、液冷媒連絡管13において合流して、第2利用ユニット10aに送られる。第2利用ユニット10aに送られた熱源側冷媒は、第2利用側流量調節弁102aに送られる。第2利用側流量調節弁102aに送られた熱源側冷媒は、第2利用側流量調節弁102aにおいて減圧されて、低圧の気液二相状態になり、第2利用側液冷媒管103aを通じて、第2利用側熱交換器101aに送られる。第2利用側熱交換器101aに送られた低圧の熱源側冷媒は、第2利用側熱交換器101aにおいて、利用側ファン105aによって供給される空気媒体と熱交換を行って蒸発し、これにより、室内の冷房を行う。第2利用側熱交換器101aにおいて蒸発した低圧の熱源側冷媒は、第2利用側ガス冷媒管104aを通じて、第2利用ユニット10aからガス冷媒連絡管14に送られる。
ガス冷媒連絡管14に送られた低圧の熱源側冷媒は、熱源ユニット2に送られる。熱源ユニット2に送られた低圧の熱源側冷媒は、ガス側閉鎖弁30、第2熱源側ガス冷媒管23b及び熱源側切換機構23を通じて、熱源側アキュムレータ28に送られる。熱源側アキュムレータ28に送られた低圧の熱源側冷媒は、熱源側吸入管21cを通じて、再び、熱源側圧縮機21に吸入される。
一方、水媒体回路80a、80bにおいては、第1利用側熱交換器41a、41bにおける熱源側冷媒の放熱によって水媒体回路80a、80bを循環する水媒体が加熱される。第1利用側熱交換器41a、41bにおいて加熱された水媒体は、第1利用側水出口管48a、48bを通じて、循環ポンプ43a、43bに吸入され、昇圧された後に、第1利用ユニット4a、4bから水媒体連絡管16a、16bに送られる。水媒体連絡管16a、16bに送られた水媒体は、水媒体側切換機構161a、161bを通じて、貯湯ユニット8a、8bに送られる。貯湯ユニット8a、8bに送られた水媒体は、熱交換コイル82a、82bにおいて貯湯タンク81a、81b内の水媒体と熱交換を行って放熱し、これにより、貯湯タンク81a、81b内の水媒体を加熱する。
このようにして、第1利用ユニット4a、4bの給湯運転を行うとともに第2利用ユニット10aの冷房運転を行う給湯冷房運転モードにおける動作が行われる。
<ヒートポンプシステム1の最適冷媒制御>
実施形態のヒートポンプシステム1は、図2に示されるフローチャートのように、最適冷媒制御を行う。冷媒制御は、制御コンピュータCtによるヒートポンプシステム1の各ユニット2、4a、4b、10aの制御によって実行される。
まず基本的に、制御コンピュータCtは、熱源側圧縮機21の運転容量を、熱源側圧縮機21の熱源側吐出圧力Pd1又はそれに等価な状態量が第1目標値Aとなるように制御する。熱源側吐出圧力Pd1は、熱源側吐出圧力センサ34によって検出される。
そして、まず図2のステップS1において、各第1利用ユニット4a、4bの第1利用側熱交換器41a、41bの出口における水媒体の温度である水媒体出口温度Twlを測定する。
ついで、ステップS2において、制御コンピュータCtは、個々の第1利用ユニット4a、4bについて、測定された水媒体出口温度Twlに基づいて、第1目標値Aと同次元の状態量である等価目標値B(例えば吐出圧力と同じ状態量など)を求める。
ついで、ステップS3において、制御コンピュータCtは、ステップS2において求めた複数の等価目標値Bのうち、最大のBに基づいて等価の第1目標値Aを求める。
ついで、ステップS4において、制御コンピュータCtは、ステップS3で求めた等価の第1目標値Aに基づいて、熱源側圧縮機21の回転周波数の制御をする。
それとともに、ステップS5において、制御コンピュータCtは、個々の第1利用ユニット4a、4bについて、過冷却度設定値ΔTcを変更することによって、冷媒流量の補正制御、具体的には、第1利用側流量調節弁42a、42bの制御を行う。
以上のような制御をすることにより、用途の異なる複数の第1利用ユニット4a、4bおよび第2利用ユニット10aを単一の熱源ユニット2に接続し運転するヒートポンプシステム1において、各第1利用ユニット4a、4bに冷媒を最適に供給することができる。
−水媒体回路を循環する水媒体の流量制御−
次に、上述の給湯運転、給湯暖房運転及び給湯冷房運転における水媒体回路80a、80bを循環する水媒体の流量制御について説明する。
このヒートポンプシステム1では、第1利用側熱交換器41a、41bの出口における水媒体の温度(すなわち、水媒体出口温度Twl)と第1利用側熱交換器41a、41bの入口における水媒体の温度(すなわち、水媒体入口温度Twr)との温度差(すなわち、Twl−Twr)である水媒体出入口温度差ΔTwが所定の目標水媒体出入口温度差ΔTwsになるように循環ポンプ43a、43bの容量制御が行われる。より具体的には、水媒体出入口温度差ΔTwが目標水媒体出入口温度差ΔTwsよりも大きい場合には、水媒体回路80a、80bを循環する水媒体の流量が少ないものと判定して、循環ポンプモータ44a、44bの回転数(すなわち、運転周波数)を大きくすることで循環ポンプ43a、43bの運転容量が大きくなるように制御し、水媒体出入口温度差ΔTwが目標水媒体出入口温度差ΔTwsよりも小さい場合には、水媒体回路80a、80bを循環する水媒体の流量が多いものと判定して、循環ポンプモータ44a、44bの回転数(すなわち、運転周波数)を小さくすることで循環ポンプ43a、43bの運転容量が小さくなるように制御する。これにより、水媒体回路80a、80bを循環する水媒体の流量が適切に制御されるようになっている。尚、目標水媒体出入口温度差ΔTwsは、第1利用側熱交換器41a、41bの熱交換能力の設計条件等を考慮して設定されている。
<第1実施形態の特徴>
(1)
第1実施形態のヒートポンプシステム1は、上述のように、熱源側圧縮機21と、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器24とを有する熱源ユニット2と、熱源ユニット2に接続されており、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器41a、41b、101aを有する複数の利用ユニット4a、4b、10aとを備えている。
しかも、ヒートポンプシステム1は、熱源側圧縮機21の吐出圧又はそれに等価な状態量が第1目標値Aとなるように、熱源側圧縮機21の運転容量を制御する。そして、第1目標値Aは、各々の第1利用ユニット4a、4bにおいて要求される利用温度に等価な水系媒体の温度に関連する第1等価目標値Bに基づいて決定される。
以上のような制御をすることにより、用途の異なる複数の第1利用ユニット4a、4bおよび第2利用ユニット10aを単一の熱源ユニット2に接続し運転するヒートポンプシステム1において、各第1利用ユニット4a、4bに冷媒を最適に供給することができる。
(2)
すなわち、第1実施形態のヒートポンプシステム1は、熱源機に床暖房等の温水循環式暖房や給湯を行う為の温水加熱ユニットとして第1利用ユニット4a、4bが接続され、これら温水加熱ユニットが要求に応じ複数台並列にマルチ接続可能なシステムにおいて最適に各温水加熱ユニットに冷媒を供給することが可能である。
ここで、床暖房等の温水循環式暖房や給湯を行う為の温水加熱機器においては、一般的に、供給する出口側水温を保証し、その温度となるように、通常、機器の制御を行っている。温水の用途が異なる場合、当然その出口温度は異なる。例えば床暖房においては、約35℃、低温度パネルヒータにおいては約45℃、給湯においては約40℃〜60℃となる。この様な用途の異なる複数の温水加熱器を単一熱源に接続し運転するヒートポンプシステム1においては、どの様に各第1利用ユニット4a、4bに冷媒を供給するのかが技術的課題である。
そこで、第1実施形態のヒートポンプシステム1では、各々の第1利用ユニット4a、4bにおいて要求される利用温度に等価な等価目標値Bに基づいて決定される等価の第1目標値Aを用いて熱源側圧縮機21の運転容量を制御することにより、この技術的課題を解決している。
(3)
また、第1実施形態のヒートポンプシステム1では、複数の利用ユニット4a、4bは、各利用側熱交換器41a、41bにおける冷媒の放熱によって水系媒体を加熱することが可能な第1利用ユニット4a、4bを複数含んでいる。等価目標値は、各第1利用ユニット4a、4bにおいて要求される利用温度に等価な水系媒体の温度に基づく第1等価目標値Bである。第1目標値Aは、各第1利用ユニット4a、4bの等価目標値Bの中で最も大きい値に基づいて決定される。したがって、すべての第1利用ユニット4a、4bに最適な冷媒制御を行うことが可能である。
(4)
また、第1実施形態のヒートポンプシステム1では、第1利用ユニット4a、4bのうち、第1目標値Aが第1等価目標値Bよりも大きくなる第1利用ユニット4a、4bのうちのいずれ一方については、第1目標値Aと第1等価目標値Bとの差分に基づく補正値を用いて、冷媒流量制御手段である第1利用側流量調節弁42a、42bの制御を行う。これにより、すべての第1利用ユニット4a、4bに最適な冷媒制御を行うことが可能である。
(5)
また、第1実施形態のヒートポンプシステム1では、第1利用側流量調節弁42a、42bの制御は、過冷却度設定値を変更することによって行うので、第1利用ユニット4a、4bの利用側熱交換器41a、41bにおける過冷却度を一定になるように制御でき、その結果、すべての第1利用ユニット4a、4bに最適な冷媒制御を行うことが可能である。
<第1実施形態の変形例>
(A)
上記の第1実施形態のヒートポンプシステム1では、第1利用ユニット4a、4bとして、第1利用側熱交換器41a、41bにより熱源側冷媒回路20の冷媒と水媒体回路80a、80bの水との間で直接熱交換を行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱源側冷媒回路20と水媒体回路80a、80bとの間に別の冷媒回路を介在させてカスケード式のヒートポンプシステムを構成してもよい。この場合も、上記実施形態の運転制御を行うことにより、以上のような制御をすることにより、用途の異なる複数の第1利用ユニット4a、4bおよび第2利用ユニット10aを単一の熱源ユニット2に接続し運転するヒートポンプシステム1において、各第1利用ユニット4a、4bに冷媒を最適に供給することができる。
(第2実施形態)
<構成>
−全体−
図3は、本発明の第2実施形態にかかるヒートポンプシステム201の概略構成図である。第2実施形態のヒートポンプシステム201は、上記の第1実施形態のヒートポンプシステム1と同様に、蒸気圧縮式のヒートポンプサイクルを利用して水媒体を加熱する運転等を行うことが可能な装置である。
ただし、第2実施形態のヒートポンプシステム201は、1基の第1利用ユニット4aと2基の第2利用ユニット10a、10bを有する点で、上記の第1実施形態のヒートポンプシステム1と異なる。
すなわち、ヒートポンプシステム201は、主として、熱源ユニット2と、1基の第1利用ユニット4aと、2基の第2利用ユニット10a、10bと、吐出冷媒連絡管12と、液冷媒連絡管13と、ガス冷媒連絡管14と、貯湯ユニット8aと、温水暖房ユニット9aと、水媒体連絡管15a、15bと、水媒体連絡管16a、16bとを備えており、熱源ユニット2と第1利用ユニット4aと第2利用ユニット10a、10bとが冷媒連絡管12、13、14を介して接続されることによって、熱源側冷媒回路20を構成し、第1利用ユニット4aと貯湯ユニット8aと温水暖房ユニット9aとが水媒体連絡管15a、16aを介して接続されることによって、水媒体回路80aを構成している。熱源側冷媒回路20には、HFC系冷媒の一種であるHFC−410Aが熱源側冷媒として封入されており、また、HFC系冷媒に対して相溶性を有するエステル系又はエーテル系の冷凍機油が熱源側圧縮機22(後述)の潤滑のために封入されている。また、水媒体回路80aには、水媒体としての水が循環するようになっている。
なお、第2実施形態の第2利用ユニット10aは、第2利用ユニット10bと同一の構成であり、かつ、互いに並列に冷媒連絡管13、14に接続される。
−第2利用ユニット−
第2利用ユニット10a、10bは、屋内に設置されており、冷媒連絡管13、14を介して熱源ユニット2に接続されるとともに第2利用ユニット10a、10b同士も互いに接続されており、熱源側冷媒回路20の一部を構成している。
第2利用ユニット10a、10bは、主として、第2利用側熱交換器101a、101bと第2利用側流量調節弁102a、102bとを有している。
第2利用側熱交換器101a、101bは、熱源側冷媒と空気媒体としての室内空気との熱交換を行うことで熱源側冷媒の放熱器又は蒸発器として機能する熱交換器であり、その液側に第2利用側液冷媒管103a、103bが接続されており、そのガス側に第2利用側ガス冷媒管104a、104bが接続されている。第2利用側液冷媒管103a、103bには、液冷媒連絡管13が接続されており、第2利用側ガス冷媒管104a、104bには、ガス冷媒連絡管14が接続されている。この第2利用側熱交換器101a、101bにおいて熱源側冷媒と熱交換を行う空気媒体は、利用側ファンモータ106a、106bによって駆動される利用側ファン105a、105bによって供給されるようになっている。
第2利用側流量調節弁102a、102bは、開度制御を行うことで第2利用側熱交換器101a、101bを流れる熱源側冷媒の流量を可変することが可能な電動膨張弁であり、第2利用側液冷媒管103a、103bに設けられている。
これにより、第2利用ユニット10a、10bは、熱源側切換機構23が熱源側放熱運転状態において、第2利用側熱交換器101a、101bを液冷媒連絡管13から導入される熱源側冷媒の蒸発器として機能させることで、第2利用側熱交換器101a、101bにおいて蒸発した熱源側冷媒をガス冷媒連絡管14に導出し、第2利用側熱交換器101a、101bにおける熱源側冷媒の蒸発によって空気媒体を冷却する冷房運転を行うことが可能になっており、熱源側切換機構23が熱源側蒸発運転状態において第2利用側熱交換器101a、101bがガス冷媒連絡管14から導入される熱源側冷媒の放熱器として機能して、第2利用側熱交換器101a、101bにおいて放熱した熱源側冷媒を液冷媒連絡管13に導出し、第2利用側熱交換器101a、101bにおける熱源側冷媒の放熱によって空気媒体を加熱する暖房運転を行うことが可能になっている。
また、第2利用ユニット10a、10bには、各種のセンサが設けられている。具体的には、第2利用ユニット10a、10bには、室内温度Trを検出する室内温度センサ107a、107bが設けられている。
第2実施形態のヒートポンプシステム201も、第1実施形態のヒートポンプシステム201と同様に、給湯運転モード、冷房運転モード、暖房運転モード、給湯暖房運転モード、給湯冷房運転モードが可能である。
なお、第2利用ユニット10a、10bのいずれか一方の冷房または暖房運転を停止し、他方のみを冷房または暖房運転する場合には、冷房または暖房運転を停止する側の第1利用ユニット10a、10bの第1利用側流量調節弁102a、102bを閉止すればよい。また、後述の給湯暖房運転および給湯冷房運転の場合も同様である。
<ヒートポンプシステム201の最適冷媒制御>
第2実施形態のヒートポンプシステム201は、図4に示されるフローチャートのように、最適冷媒制御を行う。冷媒制御は、制御コンピュータCtによるヒートポンプシステム1の各ユニット2、4a、10a、10bの制御によって実行される。
まず基本的に、制御コンピュータCtは、熱源側圧縮機21の運転容量を、熱源側圧縮機21の熱源側吐出圧力Pd1又はそれに等価な状態量が第1目標値Aとなるように制御する。熱源側吐出圧力Pd1は、熱源側吐出圧力センサ34によって検出される。
そして、まず図4のステップS21において、第1利用ユニット4aの第1利用側熱交換器41aの出口における水媒体の温度である水媒体出口温度Twlを測定する。
ついで、図4のステップS22において、各第2利用ユニット10a、10bの室内温度Trを測定する。室内温度Trは、室内温度センサ107a、107bによって検出される。
ついで、ステップS23において、制御コンピュータCtは、第1利用ユニット4aについて、測定された水媒体出口温度Twlに基づいて、第1目標値Aと同次元の状態量である等価目標値B(例えば吐出圧力と同じ状態量など)を求める。また、制御コンピュータCtは、個々の第2利用ユニット10a、10bについて、測定された室内温度Trに基づいて、それぞれの等価目標値Cを求める。等価目標値Cも、第1目標値Aと同次元の状態量である。
ついで、ステップS24において、制御コンピュータCtは、ステップS23において求めた複数の等価目標値B、Cのうち、最大のB、Cに基づいて、等価の第1目標値Aを求める。
ついで、ステップS25において、制御コンピュータCtは、ステップS24で求めた等価の第1目標値Aに基づいて、熱源側圧縮機21の回転周波数の制御をする。
そして、ステップS26において、制御コンピュータCtは、個々の第2利用ユニット10a、10bについて、過冷却度設定値ΔTcを変更することによって、冷媒流量の補正制御、具体的には、第2利用側流量調節弁102a、102bの制御を行う。
そして、ステップS27において、制御コンピュータCtは、個々の第2利用ユニット10a、10bについて、風量を調整する。例えば、第1目標値Aが第2等価目標値Cよりも大きくなる場合には、第2利用ユニット10a、10bのファン風量が小さくなるように制御し、風量によって能力の抑制(セーブ)を行う。
以上のような制御をすることにより、用途の異なる複数の第1利用ユニット4aおよび第2利用ユニット10a、10bを単一の熱源ユニット2に接続し運転するヒートポンプシステムにおいて、第1利用ユニット4aおよび第2利用ユニット10a、10bに冷媒を最適に供給することができる。
<第2実施形態の特徴>
(1)
第2実施形態のヒートポンプシステム201は、上述のように、熱源側圧縮機21と、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器24とを有する熱源ユニット2と、熱源ユニット2に接続されており、冷媒の放熱器として機能する利用側熱交換器41a、101a、101bを有する複数の利用ユニット4a、10a、10bとを備えている。
しかも、ヒートポンプシステム201は、熱源側圧縮機21の吐出圧又はそれに等価な状態量が第1目標値Aとなるように、熱源側圧縮機21の運転容量を制御する。そして、第1目標値Aは、第1利用ユニット4a、4bにおいて要求される利用温度に等価な第1等価目標値B、および各々の第2利用ユニット10a、10bにおいて要求される室内温度Trに等価な第2等価目標値Cに基づいて決定される。
以上のような制御をすることにより、用途の異なる複数の第1利用ユニット4aおよび第2利用ユニット10a、10bを単一の熱源ユニット2に接続し運転するヒートポンプシステムにおいて、各利用ユニットに冷媒を最適に供給することができる。
(2)
また、実施形態のヒートポンプシステム201では、複数の利用ユニット4a、4b、10aは、利用側熱交換器41aにおける冷媒の放熱によって水系媒体を加熱することが可能な第1利用ユニット4aと、利用側熱交換器101a、101bにおける冷媒の放熱によって空気系媒体を加熱することが可能な複数の第2利用ユニット10a、10bとを含んでいる。そして、等価目標値は、第1利用ユニット4aにおいて要求される利用温度に等価な水系媒体の温度に関連する第1等価目標値Bと、複数の第2利用ユニット10a、10bにおいて要求される利用温度に等価な空気系媒体の温度に関連する第2等価目標値Cとを含んでいる。さらに、第1目標値Aは、各利用ユニットの第1等価目標値Bおよび第2等価目標値Cの中で最も大きい値に基づいて決定される。
これにより、すべての利用ユニット、すなわち、第1利用ユニット4a、および第2利用ユニット10a、10bに最適な冷媒制御を行うことが可能である。
(3)
この様な用途の異なる複数の利用ユニット4a、10a、10bを単一熱源に接続し運転する第2実施携帯のヒートポンプシステム201においては、どの様に各利用ユニット4a、10a、10bに冷媒を供給するのかが技術的課題である。本発明はこれを解決する手段である。要求温度よりも高い温度にしなければ能力が不足する問題がある。一方、要求温度よりも高すぎる場合、能力が過多となり機器の発停を招く。これを解決する為に各第2利用ユニット10a、10bの要求される室内温度の中でもっとも高いものを目標とする圧力とし、能力過多になるものについては冷媒流量弁102a、102bで能力を抑制する。
(4)
ただし、空調ユニットである第2利用ユニット10a、10bにおいては利用側熱交換器101a、10bが大きい為、この場合熱交換器に冷媒が溜まりこむ問題がある。
そこで、第2実施形態のヒートポンプシステム201では、上記図4のステップS27のように、第1目標値Aが第2等価目標値Cよりも大きくなる場合には、第2利用ユニット10a、10bのファン風量が小さくなるように制御する。風量によって能力のセーブを行うことが可能であり、第2利用ユニット10a、10bにおける冷媒溜まりを効果的に防止できる。
<第2実施形態の変形例>
(A)
第1実施形態の場合と同様に、第2実施形態のヒートポンプシステム201においても、熱源側冷媒回路20と水媒体回路80aとの間に別の冷媒回路を介在させてカスケード式のヒートポンプシステムを構成してもよい。この場合も、上記実施形態の運転制御を行うことにより、以上のような制御をすることにより、用途の異なる複数の第1利用ユニット4a、第2利用ユニット10a、10bを単一の熱源ユニット2に接続し運転するヒートポンプシステム1において、第1利用ユニット4aおよび第2利用ユニット10a、10bに冷媒を最適に供給することができる。