JP2013144736A - セルロース複合体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 有機溶媒を使用せず安全であり、かつ少ない工程で適用可能な、高い強度と柔軟性と熱寸法安定性を備えたバクテリアセルロース複合体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 酢酸菌により製造されたバクテリアセルロースに、第二物質としての水溶性高分子を添加して、セルロース複合体を製造する。具体的には、溶液中に懸濁し、微細繊維形態を有するバクテリアセルロースと水溶性高分子を溶液中に懸濁させた状態で、両者を複合することで製造できる。
【選択図】なし
【解決手段】 酢酸菌により製造されたバクテリアセルロースに、第二物質としての水溶性高分子を添加して、セルロース複合体を製造する。具体的には、溶液中に懸濁し、微細繊維形態を有するバクテリアセルロースと水溶性高分子を溶液中に懸濁させた状態で、両者を複合することで製造できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、高い強度、可塑性、耐熱性、および金属の吸着能を有するバクテリアセルロースの複合体に関する。詳しくは、バクテリアセルロースと水溶性高分子とから構成されるセルロース複合体と、その製造方法に関する。
セルロースは、地球上で最も豊富な天然高分子物質であり、今日の我々の生活において、多くの方面で利用されている有用な生物資源である。現在、利用されているセルロースの大部分は、植物セルロース由来のものである。一方、これとは異なり、酢酸菌が製造するバクテリアセルロース(非特許文献1)(以下、BCと略記する。)が近年、有用な新素材として着目されている。
本願発明のBCは、酢酸菌が製造する超微細な繊維状のセルロース分子鎖の束からなるセルロースミクロフィブリル(以下、CMFと略記する。)から構成される。即ち、超微細な繊維状のミクロフィブリル状態を有するCMF懸濁水溶液と水溶性高分子水溶液とを複合してなるセルロース複合体が本発明の対象物質である。
一般的な広葉樹パルプ由来の微細なセルロース繊維は繊維径が30μmであるのに対し、BCのミクロフィブリルの繊維径は、0.1μm程度と極めて微細であり、植物由来のセルロース繊維と比較して、非常に細い繊維径繊維から構成されるという特徴を有する。具体的には、酢酸菌であるアセトバクター・キシリナスが産生するBCの繊維径は、植物性由来のセルロースと比較して1/100以下と非常に細いことに加えて、それらが緻密に絡み合うことで高いヤング率のBCシート膜がつくられ、工業利用法が検討されている(非特許文献3)。
BCは、植物セルロースと違ってリグニンやヘミセルロースなどの夾雑物を全く含まず、酢酸菌培養により製造できるBCは純度の高いことが特徴である。BCは植物セルロースと異なり精製の必要がないため産業上の利用価値は高い。また、BCは、生体適合性が高く、保水性に優れているため、人工皮膚基材や、美容パック・食品素材などに利用されるため、各種産業分野から新素材として注目されている。
BCを製造するために用いる代表的な酢酸菌としては、食酢を醸造する際に用いられるアセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)が例示できる。酢酸菌の一般的な特徴としては、酢酸菌培養条件でpHが5.0以下でも問題なく培養可能であるが、好適な範囲は5.4から6.3である。アセトバクター・キシリナスはグルコースなどの糖類を発酵してセルロース繊維であるBCを合成する。
BCは、産業用素材として利用する試みが古くから行われている。例えば、合成繊維の表面を架橋したBCで被覆することにより、繊維の肌触りを改善する報告がある(特許文献1)。また、セルロースの紙にBCを配合することでその強度を上げ高機能性の紙を製造しようとする報告がある(特許文献2)。さらには、BCを特定培地中で培養し、ゲル膜状に生成させ、これを洗浄、乾燥することで、不織布状の内部構造を有し、高い強度とヤング率を持つシートを製造するという発明が公開されている(非特許文献2)。こうしたBCを含有する高力学強度シートをスピーカーの振動板として利用する報告もある(特許文献3)。
さらに加えて、BCに、主鎖が柔軟な高分子を混合した高分子組成物からなる繊維についても報告(特許文献4)、あるいはバクテリアセルロースゲル中に含まれる水分を有機溶媒に置換させることで、高強度のシート状構造物を得る方法に関する発明が公開されている(特許文献5)。セルロースと絹を1-butyl-3-methylimidazolium chlorideで溶解し、凝固作用を与えることで調整できる絹フィブロイン(以下、SFと略記する。)とセルロースとからなるブレンド膜についての報告がある(非特許文献3)。
ポリ乳酸に水溶性高分子のポリビニルアルコールで表面処理したCMFを含有する樹脂複合材料の製造方法についての報告がある(特許文献6)。特許文献6によると、CMFとポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する。)を水中で混合してCMFをPVAで被覆し、それにポリ乳酸を溶解してなるクロロフォルム溶液に浸漬することで製造できる。CMFはポリ乳酸中に重量比で1-99%含有できるとしており、曲げ弾性率、曲げ強度に優れた特性持つ素材ができるとされている。
化学と生物 Vol32(6),367(1994)
繊維学会誌 Vol52(3),108-115(1996)
Carbohydrate Polymers 86 (2011) 462-468
BCの強度やヤング率は非常に高い反面、切断時の伸びが極めて低いという力学特性に関し改善すべき課題があった。さらに、この素材は、曲げやせん断に対して非常に弱く、熱可塑性を示さないためBCは、上記のスピーカーコーンの振動板のような音響分野以外の利用は限られており、セルロースの主要な用途である応用分野ではBCに伸度や柔軟性を付与したBC複合新素材の技術開発が強く求められてきた。
BCに第二物質を添加(複合ともいう)させてなるセルロース複合体に関しては混合工程に先だち繊維径が0.1μm程度という超微細な繊維状態を持つBCを特定の溶媒で溶解させBCが有するミクロフィブリルの形態を一旦溶解させる必要があった(非特許文献3)。その場合、製造されたセルロース複合体中に、溶解時に使用した溶媒が完全に除去されず極微量残留する可能性があり、バイオ材料として用いる場合には、生体に害を及ぼすという課題があった。また、セルロース複合体の特性を改善するために可塑剤をBCと併用してセルロース複合体を製造する場合もあり、BCを最終製品として利用するには、これらの可塑剤の除去工程も追加する必要があった。このため、セルロース複合体を製造するための工程が繁雑となってしまうという課題があった。
本発明は、上記課題に対応するためになされたものであり、環境や生体に影響の少ない安全な物質のみを使用し、かつ繁雑でない簡素化された工程でセルロース複合体を製造することが可能で、高い強度を保持しながら、優れた柔軟性や成形性を有するセルロース複合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
即ち本発明は、バクテリア由来のセルロースミクロフィブリルと、水溶性高分子とから構成されることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記水溶性高分子は、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記水溶性高分子は、ケン化度が99mol%以上のポリビニルアルコールであることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記水溶性高分子は、絹フィブロインであることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記水溶性高分子は、2種以上の水溶性高分子が混合されてなる水溶性高分子であることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記水溶性高分子は、前記複合体に重量組成比で20wt%以上30wt%以下含まれていることを特徴とする。
また、別の本発明は、バクテリアセルロースと水溶性高分子の複合体の製造方法であって、バクテリアセルロースを水溶液に添加し、回転数400rpm以下の速度で20分以上撹拌することで、微細繊維形態を維持しつつ分散させるBC懸濁液調製工程と、水溶性高分子を水溶液に添加し、100℃以上の温度で溶解させる水溶性高分子水溶液調製工程と、前記BC懸濁液調製工程で得られたBC懸濁液と、前記水溶性高分子水溶液調製工程で得られた水溶性高分子水溶液を、攪拌混合する混合工程と、を備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記混合工程で得られた混合液の水分を蒸発させる蒸発工程と、をさらに備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記混合工程で得られた混合液を-10℃以下で凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程で凍結された混合液を解凍する解凍工程と、をさらに備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記凍結工程と前記解凍工程とを複数回繰り返すこと、を特徴とする。
また、別の本発明は、生理活性物質を添加する生理活性物質添加工程と、をさらに備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、形態が膜状、塊状、ゲル状、繊維状、粉末状であること、を特徴とする。
また、別の本発明は、バクテリアセルロースを水溶液に添加し、回転数400rpm以下の速度で20分以上撹拌することで、微細繊維形態を維持しつつ分散させるBC懸濁液調製工程と、水溶性高分子を水溶液に添加し、100℃以上の温度で溶解させる水溶性高分子水溶液調製工程と、前記BC懸濁液調製工程で得られたBC懸濁液と、前記水溶性高分子水溶液調製工程で得られた水溶性高分子水溶液を、攪拌混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合液を-10℃以下で凍結させる凍結工程と、前記凍結工程で凍結された混合液を解凍する解凍工程と、を備える製造工程によって製造されることを特徴とする。
また、別の本発明は、バクテリア由来のセルロースミクロフィブリルと、水溶性高分子とから構成されることを特徴とする金属イオン吸着材料である。
また、別の本発明は、前記水溶性高分子は、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記水溶性高分子は、ケン化度が99mol%以上のポリビニルアルコールであることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記水溶性高分子は、絹フィブロインであることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記水溶性高分子は、2種以上の水溶性高分子が混合されてなる水溶性高分子であることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記水溶性高分子は、前記複合体に重量組成比で20wt%以上30wt%以下含まれていることを特徴とする。
また、別の本発明は、バクテリアセルロースと水溶性高分子の複合体の製造方法であって、バクテリアセルロースを水溶液に添加し、回転数400rpm以下の速度で20分以上撹拌することで、微細繊維形態を維持しつつ分散させるBC懸濁液調製工程と、水溶性高分子を水溶液に添加し、100℃以上の温度で溶解させる水溶性高分子水溶液調製工程と、前記BC懸濁液調製工程で得られたBC懸濁液と、前記水溶性高分子水溶液調製工程で得られた水溶性高分子水溶液を、攪拌混合する混合工程と、を備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記混合工程で得られた混合液の水分を蒸発させる蒸発工程と、をさらに備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記混合工程で得られた混合液を-10℃以下で凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程で凍結された混合液を解凍する解凍工程と、をさらに備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、前記凍結工程と前記解凍工程とを複数回繰り返すこと、を特徴とする。
また、別の本発明は、生理活性物質を添加する生理活性物質添加工程と、をさらに備えることを特徴とする。
また、別の本発明は、形態が膜状、塊状、ゲル状、繊維状、粉末状であること、を特徴とする。
また、別の本発明は、バクテリアセルロースを水溶液に添加し、回転数400rpm以下の速度で20分以上撹拌することで、微細繊維形態を維持しつつ分散させるBC懸濁液調製工程と、水溶性高分子を水溶液に添加し、100℃以上の温度で溶解させる水溶性高分子水溶液調製工程と、前記BC懸濁液調製工程で得られたBC懸濁液と、前記水溶性高分子水溶液調製工程で得られた水溶性高分子水溶液を、攪拌混合する混合工程と、前記混合工程で得られた混合液を-10℃以下で凍結させる凍結工程と、前記凍結工程で凍結された混合液を解凍する解凍工程と、を備える製造工程によって製造されることを特徴とする。
また、別の本発明は、バクテリア由来のセルロースミクロフィブリルと、水溶性高分子とから構成されることを特徴とする金属イオン吸着材料である。
本発明に係るセルロース複合体は、機械的特性が改善できるセルロース複合体であって、ミクロフィブリルの形態と状態とを残存したBCと水溶性高分子とが混合されてなるセルロース複合体である。
本発明に係るセルロース複合体において、第二物質として用いる水溶性高分子は、特に制限はないが、PVA、ポリビニルポロリドン(PVP)、あるいはSFが好適に適用できる。PVAを使用する場合には、ケン化度が高い程好ましく用いられる。またPVAのタクティシティ(Tacticity)はシンジオ、アタクチック、イソタクチックのいずれであってもよいが、経済性、および使用の容易さからアタクチックPVAが好ましく用いられる。
PVAのタクティシティの説明を以下にする。ビニルポリマーで主鎖の繰り返し単位中に水酸基およびアセチル基等の側基が1個である場合、この側基の並び方、すなわち側鎖の配列の仕方を高分子の立体規則性という。側基が同じ側にある場合を「イソタクチック」、交互にある場合を「シンジオタクチック」、また規則性がない場合を「アタクチック」と呼ぶ。「シンジオタクチック」および「イソタクチック」PVAは、化学合成により作製することが可能であるが、製造に手間と経験が必要となるため高価であり、結晶性やゲル化能が高いため、混合や取り扱いが困難である。このため、本発明に係るセルロース複合体の第二物質としてPVAを用いる場合には、PVAは「アタクチック」であることが好ましい。
PVAは簡便には市販の試料を用いることができるが、産業的には次のようにして合成できる。ポリ酢酸ビニルの酢酸基、すなわちアセチル基に対して、アルカリ処理することで、脱アセチル化した量をモル表示したものが、ケン化度(mol%)である。ケン化度100mol%、すなわち完全ケン化(脱アセチル化)のPVAは、結晶性が高く、常温での水への溶解性が低く、難溶であるため、高温・高圧など溶解条件を工夫する必要がある。また、ケン化度が低いと、アセチル基の特性により、疎水性となる。
PVAの諸特性と本発明に係るセルロース複合体の性質との関係は次のとおりである。即ち、分子量が高いと、溶解度が減少するが分子量の高いPVAからなるセルロース複合体の強度は増加する傾向があり、ケン化度が高いPVAからなるセルロース複合体は水に対する溶解度が減少する傾向がある。
本発明に係るセルロース複合体を製造するには、第二物質として、PVA、PVP、あるいはカイコに由来するSFを適用することも可能である。SFに関する詳細な説明を次に説明する。SFは、家蚕または野蚕由来の絹糸から調整できる。家蚕生糸を炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液で煮沸し、絹糸表面にある膠状の接着物質、セリシンを除去して調製できるSF繊維を臭化リチウム、塩化カルシウム等の濃厚な中性塩で溶解し、セルロース製の透析膜で十分透析することにより純粋なSF水溶液を調製できる。天然生体高分子であるSFは、手術用縫合絹糸の例からも明らかなように、生体組織との生体適合性が良く、優れた生体適合性を持つ。
上記のように、SF繊維を溶解するには、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、臭化リチウムなど一般に知られた中性塩が利用できる。絹糸の溶解性を高め、かつ絹糸の分子量が大幅に低下することがない未変性状態に近いSFを製造するためには、溶解性の高いリチウムイオンを含む中性塩である臭化リチウムなどが特に好ましく用いられる。
家蚕繭糸の代わりに柞蚕あるいは天蚕等から得られる野蚕繭糸を用いることもできる。すなわち、野蚕繭糸重量に対して50倍量の0.1%過酸化ナトリウム水溶液に野蚕繭糸を浸漬し、98℃で1時間処理してセリシンを予め除去しておく必要がある。セリシンを除去した野蚕SF繊維をチオシアン酸リチウム等の溶解性の高い中性塩で溶解し、さらにセルロース製透析膜にいれて純水で透析することで野蚕SF水溶液が調製でき、本発明に関わる第二水溶性高分子の水溶液として利用することができる。
本発明に係るBCと水溶性高分子とが混合(複合ともいう)してなるセルロース複合体は、上記のとおり、微細繊維であるBCのCMFの状態を維持させながら水溶性高分子と一定割合で混合されているセルロース複合体である。この水溶性の高分子と複合してなるセルロース複合体は、単一成分からなるBCと比較して、柔軟性、透明性および柔軟性の機能の増強が可能となり、曲げやせん断の応力に対する十分な耐久性を備えた材料が製造できるという点で優れている。また、従来公知の高分子を含むBCに比べて、本発明のセルロース複合体は、生体に悪影響をおよぼす物質が含まれず、生体に悪影響を与える成分が残留することがない機能性新素材であるという点において優位である。
さらには、微細な繊維状態を有するBCを溶解するため有機溶媒を使用する従来法に対して、本発明では、BCを懸濁した水溶液と水溶性高分子水溶液を複合したセルロース複合水溶液を用いるため、製造上環境に負荷がかからない状態で試料の製造が可能であり、製造後、試料から生体あるいは環境に害を及ぼさない化合物が出ることも、試料から有害物質を除去する必要もない。
本発明に係るセルロース複合体の製造に利用できるBCは、酢酸菌により生産されたセルロースであれば異なる属の酢酸菌の属が違った微生物であってもその種類に制限はなく、いずれも適用可能である。利用する利用する水溶性高分子としてはPVAあるいはPVP、あるいは後述するSFが例示できる。それらの中で、PVAは身近な水溶性高分子であり分子構造が単純な高分子であるため最も好ましく利用できる。
本発明に係るセルロース複合体において、セルロースの製造に用いる酢酸菌の種類は特に制限はないが、Acetobacter科の一種でありナタデココ生産菌であるグルコンアセトバクターキシリナス(Gluconacetobacter xylinus)のほか、Acetobacter属、Acidomonas属、Asaia属、Gluconacetobacter属、Gluconobacter属、Kozakia属、Rhodopila属などが好ましく適用できる。また、アセトバクター以外にも公知のセルロース生産菌としてアエロバクター属、アグロバクテリウム属、アクロモバクター属、アゾトバクター属、アルカリゲネス属、サルシナ属、シュードモナス属、ズーグレア属、リゾビウム属等、並びにそれらを変異処理することにより創製される各種変異株が同様に適用できる。
本発明に係るセルロース複合体において、第二物質としてPVAを使用することでセルロース複合体の強度を増加させることが可能である。特に、PVAのケン化度が99mol%以上のPVAを使用すると製造できるセルロース複合体の力学物性すなわち優れた弾性率、破断強度を特異的に向上させることができる。
本発明に係るセルロース複合体の製造方法において、BCの第二物質として用いる水溶性高分子がPVAであれば、使用できるPVA濃度は1〜15wt%、特に好ましくは、1〜7wt%濃度である。1%以下であるとPVA水溶液濃度が低く試料量が多くなるため蒸発に時間がかかり好ましくはなく、PVA濃度が10%以上であるとPVA水溶液を製造する際、粉末状態のPVAを入れたガラス封管に封入し、かつ加熱してもPVAがゲル状態となってしまい均一な水溶液状態とならないためBC懸濁水溶液と均一に複合し難いという問題が生ずる。
セルロース複合体ゲルの製造方法において、第二物質として用いる水溶性高分子がPVAの場合、PVA水溶液濃度は高いほど、強固なゲルが得られ、通常8〜15%が望ましく、その結果、セルロース複合体には顕著な強度の向上が特異的に見られる。
水溶性高分子がSFである場合、水溶液濃度は0.5%〜10%が好ましく利用できる。特に好ましい濃度は0.7〜5%である。0.7%以下であるとセルロース複合体を製造するためには多量なSF水溶液量を要するため効率的ではないし、10%以上であるとSF水溶液を保存する過程で凝固して使用に不向きとなるため、BCと複合する水溶性高分子としては適さない。
本発明に係るセルロース複合体は、水溶性高分子のPVAがセルロース複合体重量の20〜30%含むと高い強度を有するという特異的な機械的機能を有し、水を含んだゲル状態においても優れた圧縮強度特性を持つ。こうした優れたセルロース複合体の機械的特性を活かして、様々な産業用素材として好適に利用が可能である。また、本発明に係るセルロース複合体は、特にSFを水溶性高分子として用いると水溶液に含まれる鉛や、カドミウム、亜鉛等の環境汚染物質を吸着するという特異的な機能を発揮し、所望により一旦金属を吸着したセルロース複合体に有機酸を接触することで金属が試料から離脱し、セルロース複合体の再利用が可能となる。
また、本発明に係るセルロース複合体は、ゲル状のセルロース複合体(以下、セルロース複合体ゲルと略記する。)を製造する場合、水溶性高分子を完全に溶解させ均一な水溶性高分子水溶液を製造する工程と、BCを水溶液に分散させるBC懸濁水溶液の製造工程と、前記水溶性高分子水溶液と、前記BC懸濁水溶液を攪拌混合する混合工程と、混合工程後の混合液を-10℃以下で凍結させる凍結工程に加えて、5℃以上、好ましくは20℃付近で解凍する解凍工程とを複数回経ることで製造できる。凍結と解凍との工程を繰り返すと繰り返し数を増やすことでセルロース複合体ゲルの強度は増加する。また、上記混合液を蒸発させる工程を経ることで、膜状のセルロース複合体(以下、セルロース複合体膜と略記する。)を製造できる。また、第二物質としてSFを使用し、かつ上記工程に凍結工程と解凍工程とを更に経ることによって、粉末状のセルロース複合体(以下、セルロース複合体粉末と略記する。)を製造できる。また、上記蒸発工程や、凍結工程、混合工程において工夫をすることによって、塊状、繊維状のセルロース複合体を製造することも可能である。
本発明に係るセルロース複合体は、製造工程において、有害物質を用いず、また使用する過程でも有害物質が出ないため、生体に対しても環境に対しても安全性の素材である。セルロース複合体ゲルは、圧縮に対して強い抵抗性を示すため、応用するには理想的なゲルであり、生理活性物質や医薬品の徐放担体として利用することができる。
なお、本発明に係るセルロース複合体は、水に溶解する金属イオンの吸着材としても利用できる。工業用水に含有する金属イオンを効率的に除去できるので環境保全、環境保護のための素材として利活用できる。
現在、大気あるいは排水などに大量に排出された重金属について、環境保全や環境浄化の視点から重金属の吸着除去技術に注目が集まっている。例えば、特開2011-092864、特開2011-056349、特開2005-255737、特開2004-041874、特開2003-334439に挙げられるように、重金属の吸着材はこれまで多く研究、報告がなされてきた。上記発明における原料は、枯渇試料ともいうべき石油化学製品が主に使用されており、いずれも生分解機能を持たないため、環境負荷を軽減するという意味では解決すべき課題を含んでいる。本発明に用いるBCは、化石等の枯渇原料を用いないエコ素材であり、かつ、生分解性を有するという点で、上記技術に対しても優位である。また、本発明に係るセルロース複合体を金属イオンの吸着材として使用した場合、金属の吸着後に、塩酸、クエン酸、硝酸、酢酸等の有機酸に接触させることでセルロース複合体から金属イオンが脱離するという特性があるため、吸着した金属を回収することが可能である。このため、吸着材の再利用が可能であり、その点でも優れた作用を有している。
本発明に係るセルロース複合体は、様々な産業分野での利用が可能であり、例えば、乳化剤や食感改良剤として食品に添加する利用方法が考えられる。また、本発明に係るセルロース複合体は、生体適合性に優れているため、医療分野では人工血管や医療用軟膏、ろ過膜として有望であり、複合素材としてのプラスチック代替品として広範に利用が可能である。
本発明に係るセルロース複合体およびその製造方法によれば、BCに水溶性高分子が複合することで、煩雑な工程を経ずに高強度かつ高い柔軟性を有するセルロース複合体が製造でき、かつ、製造されたセルロース複合体は、安全な物質のみを使用しているため、環境汚染のおそれがなく、生体や環境に対して害を及ぼすことがないセルロース複合体を提供することが可能になる。
本発明を実施するための形態について、以下に実施例および比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
<実施例1>
(BCサンプルの調製)
酢酸菌であり、Gluconacetobacter nataicolaと同定されたGluconacetobacter属の酢酸菌を培養することでBCを製造した。なお、当該酢酸菌を培養する際の炭素源としては異性化糖(ブドウ糖と果糖を主成分とする液状糖)を95mL/L使用した。培地の栄養分を補うためにリン酸カリウムを1.0g/L、リン酸アンモニウムを3.4g/L、硫酸マグネシウムを0.26g/L添加した。また、コーンスティープリカーを6mL/L、乳酸を10mL/L、醸造関連の工場内で出る醸造残渣としてワインの蒸留残渣を119mL/L、醸造酢泡ろ過液を53mL/LをpH調整や栄養分調整として培地に用いた。調整した培地は6L容量のステンレスバットに入れ、スクリーニングしたBC生産菌を植菌し、28℃にて静置培養を14日間行った。培養の際、一定のpHとBx(糖度)条件下では、無菌条件下でなくても効率的にBCを生産することが可能である。酢酸菌の培養において、酢酸菌は好気性のため静置培養では酸素を利用し易い培養液の表面にBCからなるゲル状の膜を生成する。かくして、得られたBCゲルを2%NaOH水溶液にて煮沸洗浄を行い、ゲルに着色した黄色の汚れが落ちるまで煮沸洗浄を繰り返し、BCゲルの着色を脱色させた。その後、洗浄水を洗い流し、洗浄水のpHが7.0付近になるまで上記の作業を繰り返した。洗浄後に電動石臼でBC懸濁水溶液を細かく挽き均一となるよう、かつ、斑が出ないように繰り返し、細かく挽いたBC繊維を布等で搾り、得られたBC繊維の含水率を測定しながら固形分2.0%になるように清水を加えて調整する。このようにして調整したBC懸濁溶液をビニル容器に入れ、容器をパウチして10分ほど煮沸殺菌を行い、これを固形分2.0%のBC試料とした。
(BCサンプルの調製)
酢酸菌であり、Gluconacetobacter nataicolaと同定されたGluconacetobacter属の酢酸菌を培養することでBCを製造した。なお、当該酢酸菌を培養する際の炭素源としては異性化糖(ブドウ糖と果糖を主成分とする液状糖)を95mL/L使用した。培地の栄養分を補うためにリン酸カリウムを1.0g/L、リン酸アンモニウムを3.4g/L、硫酸マグネシウムを0.26g/L添加した。また、コーンスティープリカーを6mL/L、乳酸を10mL/L、醸造関連の工場内で出る醸造残渣としてワインの蒸留残渣を119mL/L、醸造酢泡ろ過液を53mL/LをpH調整や栄養分調整として培地に用いた。調整した培地は6L容量のステンレスバットに入れ、スクリーニングしたBC生産菌を植菌し、28℃にて静置培養を14日間行った。培養の際、一定のpHとBx(糖度)条件下では、無菌条件下でなくても効率的にBCを生産することが可能である。酢酸菌の培養において、酢酸菌は好気性のため静置培養では酸素を利用し易い培養液の表面にBCからなるゲル状の膜を生成する。かくして、得られたBCゲルを2%NaOH水溶液にて煮沸洗浄を行い、ゲルに着色した黄色の汚れが落ちるまで煮沸洗浄を繰り返し、BCゲルの着色を脱色させた。その後、洗浄水を洗い流し、洗浄水のpHが7.0付近になるまで上記の作業を繰り返した。洗浄後に電動石臼でBC懸濁水溶液を細かく挽き均一となるよう、かつ、斑が出ないように繰り返し、細かく挽いたBC繊維を布等で搾り、得られたBC繊維の含水率を測定しながら固形分2.0%になるように清水を加えて調整する。このようにして調整したBC懸濁溶液をビニル容器に入れ、容器をパウチして10分ほど煮沸殺菌を行い、これを固形分2.0%のBC試料とした。
(BC懸濁水溶液の調製)
酢酸菌を培養する過程において培地表面で生成するBCゲルの濃度は2wt%である。2wt%のBCゲルの重量と等量の蒸留水を加え200mL容量のガラス製ビーカーに入れ、マグネットスターラー(東京理化器械株式会社製、EYELA MAGNETIC STIRRER RCN-7D)を用いて室温で回転数350rpmで30分間撹拌させ、1wt%の均一濃度のBC懸濁液を調製した。
酢酸菌を培養する過程において培地表面で生成するBCゲルの濃度は2wt%である。2wt%のBCゲルの重量と等量の蒸留水を加え200mL容量のガラス製ビーカーに入れ、マグネットスターラー(東京理化器械株式会社製、EYELA MAGNETIC STIRRER RCN-7D)を用いて室温で回転数350rpmで30分間撹拌させ、1wt%の均一濃度のBC懸濁液を調製した。
(PVA水溶液の調製)
本実施例で使用したPVAは、以下に示すように重合度、分子量、ケン化度が異なるアタクチックPVAである。用いた主要なPVAの特性一覧を表1に示す。
本実施例で使用したPVAは、以下に示すように重合度、分子量、ケン化度が異なるアタクチックPVAである。用いた主要なPVAの特性一覧を表1に示す。
粉末状のPVAと水とをガラス製試験管に入れ、軽く振りながら懸濁させた。ガスバーナーでガラス管の口を溶融し封管した。アルミブロック恒温槽(東京理化器械株式会社製, EYELA DRYTHERMO BATH MG-2100) でPVAを封入したガラス製試験管室温から120℃まで30-60分間かけて昇温加熱し、120℃で約60分間温度を保持することで完全に溶解したPVA水溶液を調製した。こうして調製できるPVA水溶液の濃度は、所望に応じて制御できるが、PVAの濃度が高くなりすぎるとPVAがゲル化してしまい、均一なPVA水溶液を製造することは困難となる。PVA水溶液を当該手法で製造する場合の上限は15wt%程度である。タクティシティがシンジオタクチックであるPVAと、イソタクチックのPVAを用いて水溶液を製造する際、ジンジオタクチックPVAは、アタクチックのPVAと比較して、溶解性が若干低く水中で凝集し易い。またシンジオタクチックPVA水溶液を製造する際、室温でゲル化してしまい、均一な水溶液を製造することができ難いため金属板のヒートブロック装置に取り付け十分に加熱することが望ましく、攪拌機により攪拌を十分にする必要がある。
(BC懸濁液とPVA水溶液との混合)
1wt%のPVA水溶液と1wt%のBC懸濁水溶液とを所望の濃度となるように適宜秤量し、50mL容量の遠沈管(Becton Dickinson Labware製、商品名 FALCON BLUE MAXのポリプロピレン コニカル・チューブ)に入れ、浸とう攪拌機(東京理化器械株式会社製、EYELA CUTE MIXER CM-1000)に取り付け回転速度1500rpmで30分間振動させ、PVA水溶液とBC懸濁液とが均一となるように十分に撹拌した。続いて、ポリスチレン製の角型シャーレー(15mm x 85mm x 65mm)底に均一濃度となったPVA水溶液とBC懸濁液の混合水溶液を拡げ室温で2昼夜以上静置して試料水分を蒸発させた。これによりPVAとBCからなるセルロース複合体膜を製造した。
1wt%のPVA水溶液と1wt%のBC懸濁水溶液とを所望の濃度となるように適宜秤量し、50mL容量の遠沈管(Becton Dickinson Labware製、商品名 FALCON BLUE MAXのポリプロピレン コニカル・チューブ)に入れ、浸とう攪拌機(東京理化器械株式会社製、EYELA CUTE MIXER CM-1000)に取り付け回転速度1500rpmで30分間振動させ、PVA水溶液とBC懸濁液とが均一となるように十分に撹拌した。続いて、ポリスチレン製の角型シャーレー(15mm x 85mm x 65mm)底に均一濃度となったPVA水溶液とBC懸濁液の混合水溶液を拡げ室温で2昼夜以上静置して試料水分を蒸発させた。これによりPVAとBCからなるセルロース複合体膜を製造した。
<実施例2>
(2wt%のBCと1wt%のPVAと複合してなるセルロース複合体膜の機械的特性の評価実験)
使用したPVAは、表1記載のPVA-5、PVA-6、PVA-7である。最終製品であるセルロース複合体膜重量に対してBCとPVAとが所定の組成比となるように、2wt%BC懸濁水溶液と1wt%のPVA水溶液とを適宜複合しセルロース複合水溶液を調製した後、その水溶液をポリスチレン容器底面に拡げて乾燥固化することでセルロース複合体膜を製造した。具体的には、6.25gの蒸留水に6.25gの2wt%BC懸濁水溶液をビーカーに入れ30分間撹拌しBC懸濁水溶液が均一となるよう機械的な振動を加えてBC水溶液(濃度1%)を調製した。PVAのケン化度が100mol%で分子量が異なるPVAを水に溶解しで調整したPVA(表1記載のPVA-7(ユニチカ株式会社製)の水溶液は、蒸留水12.4mLとPVA0.125gを試験管に入れ封管した後、ヒートブロック(東京理化器械株式会社製EYELA DRYTHERMO BATH MG-2100)を用いて、120℃で30分加熱することでPVA水溶液(濃度1%)を調製した。かくして製造できる1wt%のBCと1wt%のPVAを水溶液状態で混合してセルロース複合水溶液を調整し、ポリスチレン製の基質表面に拡げて乾燥固化することでセルロース複合体膜を製造した。セルロース複合体膜の弾性率、破断強度および破断伸度を測定した。測定項目のうち、弾性率、破断強度、破断伸度は、引張圧縮試験機(島津製作所製、モデルEZ-S)を用いて測定した。測定条件:試料長は10mm、引張り速度は10mm/minであった。測定値は繰り返し数5回の平均値とした。得られた結果を表2に示す。
(2wt%のBCと1wt%のPVAと複合してなるセルロース複合体膜の機械的特性の評価実験)
使用したPVAは、表1記載のPVA-5、PVA-6、PVA-7である。最終製品であるセルロース複合体膜重量に対してBCとPVAとが所定の組成比となるように、2wt%BC懸濁水溶液と1wt%のPVA水溶液とを適宜複合しセルロース複合水溶液を調製した後、その水溶液をポリスチレン容器底面に拡げて乾燥固化することでセルロース複合体膜を製造した。具体的には、6.25gの蒸留水に6.25gの2wt%BC懸濁水溶液をビーカーに入れ30分間撹拌しBC懸濁水溶液が均一となるよう機械的な振動を加えてBC水溶液(濃度1%)を調製した。PVAのケン化度が100mol%で分子量が異なるPVAを水に溶解しで調整したPVA(表1記載のPVA-7(ユニチカ株式会社製)の水溶液は、蒸留水12.4mLとPVA0.125gを試験管に入れ封管した後、ヒートブロック(東京理化器械株式会社製EYELA DRYTHERMO BATH MG-2100)を用いて、120℃で30分加熱することでPVA水溶液(濃度1%)を調製した。かくして製造できる1wt%のBCと1wt%のPVAを水溶液状態で混合してセルロース複合水溶液を調整し、ポリスチレン製の基質表面に拡げて乾燥固化することでセルロース複合体膜を製造した。セルロース複合体膜の弾性率、破断強度および破断伸度を測定した。測定項目のうち、弾性率、破断強度、破断伸度は、引張圧縮試験機(島津製作所製、モデルEZ-S)を用いて測定した。測定条件:試料長は10mm、引張り速度は10mm/minであった。測定値は繰り返し数5回の平均値とした。得られた結果を表2に示す。
上記の表によると、BCと重合度、ケン化度が同一のPVAを使用する場合、BCとPVAとの組成比が75:25のセルロース複合体膜の弾性率、強度、伸度は、75:25以外の組成比からなるセルロース複合体膜よりも大きな値を示した。なお、本実験により得られた重合度12000、ケン化度100mol%についてのデータにおいて作成した近似曲線によると、セルロース複合体膜が11%以上の伸びが得られるセルロース複合体膜は、含有するPVAの組成比が12%から34%である。また、セルロース複合体膜が11.5%以上の伸度を持つためには、セルロース複合体に含まれるPVAの組成比は、21%から26%である必要がある。以上のことから、実用可能なセルロース複合体膜を得るためには、PVAの組成比は20%から30%程度が好適であることが認められる。
<実施例3>
(BCとPVAとを用いて製造したセルロース複合体膜の機械的特性の評価実験)
表1記載のPVA-1を用いてセルロース複合体膜を製造した。1wt%のBC懸濁水溶液とPVA-1の水溶液について、異なる濃度で製造したセルロース複合体膜の機械的特性を評価する実験を行った。試料の濃度以外の製造条件等は実施例2と同様である。実験結果を表3に示す。
(BCとPVAとを用いて製造したセルロース複合体膜の機械的特性の評価実験)
表1記載のPVA-1を用いてセルロース複合体膜を製造した。1wt%のBC懸濁水溶液とPVA-1の水溶液について、異なる濃度で製造したセルロース複合体膜の機械的特性を評価する実験を行った。試料の濃度以外の製造条件等は実施例2と同様である。実験結果を表3に示す。
表2で確認されたのと同様、BCとPVAとの組成比が75:25のセルロース複合体膜の弾性率、強度、伸度は、それ以外の組成比のセルロース複合体膜よりも特異的に大きな値を持つことがわかった。
<実施例4>
(BCとPVAと複合してなるセルロース複合体膜の機械的特性と透明度)
PVA表1記載の重合度、1730、ケン化度99.5mol%のPVA-1水溶液と、BC懸濁水溶液とを用い、実施例2と同様にしてセルロース複合体膜を製造した。すなわち、セルロース複合体膜は、1%のPVAと1%BC懸濁水溶液とが異なる組成比で製造し、スチレン製のシャーレーに流し込み、室温で放置して水分を蒸発させてセルロース複合体膜を製造した。製造したセルロース複合体膜の熱機械的特性を測定した。得られた結果を表4に示す。なお、表中で、透明性を示す記号は、+が透明を示し、±がやや不透明を示し、-が白濁もしくは不透明を示す。また、柔軟性を示す記号は、+が柔軟性があることを示し、-が柔軟性はあるものの少し硬い状態を示す。
(BCとPVAと複合してなるセルロース複合体膜の機械的特性と透明度)
PVA表1記載の重合度、1730、ケン化度99.5mol%のPVA-1水溶液と、BC懸濁水溶液とを用い、実施例2と同様にしてセルロース複合体膜を製造した。すなわち、セルロース複合体膜は、1%のPVAと1%BC懸濁水溶液とが異なる組成比で製造し、スチレン製のシャーレーに流し込み、室温で放置して水分を蒸発させてセルロース複合体膜を製造した。製造したセルロース複合体膜の熱機械的特性を測定した。得られた結果を表4に示す。なお、表中で、透明性を示す記号は、+が透明を示し、±がやや不透明を示し、-が白濁もしくは不透明を示す。また、柔軟性を示す記号は、+が柔軟性があることを示し、-が柔軟性はあるものの少し硬い状態を示す。
上記表において、例えば1%PVA、1%BC欄の2行下欄にある25、75とは、1%PVAと1%BCとの組成比が25:75で作成したセルロース複合体水溶液を乾燥固化してなるセルロース複合体膜であり、PVAとBCはセルロース複合体膜の重量でそれぞれ25%、75%含まれることを意味する。表4の結果から、セルロース複合体膜に含まれるPVA量が多いとセルロース複合体膜の柔軟性が増加することが認められる。しかし、PVA量が増してもセルロース複合体膜の透明度の変化は認められない。
<実施例5>
(異なるケン化度のPVA水溶液からなるセルロース複合体膜の機械的特性)
実施例2と同様の方法を用い、分子量がほぼ同一でケン化度が異なるPVA(表1記載のPVA-1、PVA-2、PVA-3、PVA-4)とBC懸濁液とを複合しセルロース複合体膜を製造した。製造したセルロース複合体膜の弾性率、破断強度、破断伸度を実施例2と同様にして評価した。得られた結果を表5に示す。
(異なるケン化度のPVA水溶液からなるセルロース複合体膜の機械的特性)
実施例2と同様の方法を用い、分子量がほぼ同一でケン化度が異なるPVA(表1記載のPVA-1、PVA-2、PVA-3、PVA-4)とBC懸濁液とを複合しセルロース複合体膜を製造した。製造したセルロース複合体膜の弾性率、破断強度、破断伸度を実施例2と同様にして評価した。得られた結果を表5に示す。
表5から、ケン化度が99.5mol%のPVAからなるセルロース複合体膜の弾性率、破断強度及び伸度は、ケン化度が96.5、91、88mol%のPVA(表1記載のPVA-2、PVA-3、PVA-4)からなるセルロース複合体膜の弾性率、破断強度及び伸度より最も低い値となることが認められる。すなわち、BCとPVAとの組成比が同一であっても高いケン化度のPVAを用いることでセルロース複合体膜の弾性率、破断強度ならびに破断伸度は低下すること、逆に、低いケン化度のPVA(PVA-4)を用いるとセルロース複合体膜の弾性率、破断強度及び伸度が高い値を示すこと、すなわち丈夫なセルロース複合体膜となることが認められる。
<実施例6>
(異なるケン化度のPVA水溶液からなるセルロース複合体膜の透明度)
実施例5で使用した、異なるケン化度のPVA(表1記載のPVA-1、PVA-2、PVA-3、PVA-4)の水溶液とBC懸濁水溶液とを最終製品であるセルロース複合体膜の重量比にして50:50で複合して製造できるセルロース複合体膜を手で触れて強靱度を、目視で透明度を評価した。得られた結果を表6に示す。ただし、表中で、強靭度を示す記号は、+が強く強靱性があることを示し、-が脆いことを示す。また、透明度を示す記号の意味は、実施例4と同様である。
(異なるケン化度のPVA水溶液からなるセルロース複合体膜の透明度)
実施例5で使用した、異なるケン化度のPVA(表1記載のPVA-1、PVA-2、PVA-3、PVA-4)の水溶液とBC懸濁水溶液とを最終製品であるセルロース複合体膜の重量比にして50:50で複合して製造できるセルロース複合体膜を手で触れて強靱度を、目視で透明度を評価した。得られた結果を表6に示す。ただし、表中で、強靭度を示す記号は、+が強く強靱性があることを示し、-が脆いことを示す。また、透明度を示す記号の意味は、実施例4と同様である。
表から次のことが分かる。異なるケン化度、分子量のPVA水溶液と、BC懸濁液を複合してなるいずれのセルロース複合体膜もやや不透明である。ケン化度が99.5mol%では、セルロース複合体膜は手で引っ張っても弾力性があり破れないが、ケン化度が96.5mol%以下のPVAを使用するとセルロース複合体膜は脆くて手で僅か引っ張っても破れ易い。この実施例から丈夫なセルロース複合体膜を製造するには、ケン化度が99.5mol%以上のPVAを用いることが有利であることが確認できる。
<実施例7>
(SF水溶液からなるセルロース複合体膜の機械的特性)
6gのSF繊維(家蚕由来)を60℃の8M臭化リチウム素溶液に浸漬し30分加熱し、繊維を完全に溶解させた後、セルロース透析膜に入れて蒸留水と3日間透析置換して濃度2.8wt%のSF水溶液を調整した。製造できるセルロース複合体膜の重量に対してSFとBCとが所定の複合率となるよう、濃度2.8wt%のSF水溶液に濃度1.1wt%BC溶液を加え、ガラス棒で丁寧に静かに複合水溶液を撹拌した後、複合水溶液をポリスチレン容器に拡げて室温で試料水溶液が蒸発するのを待ち、セルロース複合体膜を製造した。セルロース複合体膜の透明度と柔軟度を調べた。得られた結果を下記記載の表7に示す。なお、透明度と柔軟性を示す記号の意味については、実施例4と同様である。
(SF水溶液からなるセルロース複合体膜の機械的特性)
6gのSF繊維(家蚕由来)を60℃の8M臭化リチウム素溶液に浸漬し30分加熱し、繊維を完全に溶解させた後、セルロース透析膜に入れて蒸留水と3日間透析置換して濃度2.8wt%のSF水溶液を調整した。製造できるセルロース複合体膜の重量に対してSFとBCとが所定の複合率となるよう、濃度2.8wt%のSF水溶液に濃度1.1wt%BC溶液を加え、ガラス棒で丁寧に静かに複合水溶液を撹拌した後、複合水溶液をポリスチレン容器に拡げて室温で試料水溶液が蒸発するのを待ち、セルロース複合体膜を製造した。セルロース複合体膜の透明度と柔軟度を調べた。得られた結果を下記記載の表7に示す。なお、透明度と柔軟性を示す記号の意味については、実施例4と同様である。
表7から、BCとSFとからなるセルロース複合体膜の透明度と柔軟度は、SF含量が多いほど優れた値となることが認められる。BCとSFとからなるセルロース複合体水溶液を凍結乾燥することで粉末状のセルロース複合体粉末が製造できた。なお、実施例2と同様に試料の機械的測定を行ったところ、セルロース複合体膜の重量でBC含有量が75%、SF含有量が25%でなるセルロース複合体膜の弾性率、強度、伸度の各特性値が最大となった。なお、家蚕の絹繊維の代わりに、野蚕(柞蚕、天蚕)の絹繊維を使用しても表7と同様の結果が得られた。
<実施例8>
(水溶性高分子としてPVAを用いて製造したセルロース複合体膜の熱的挙動)
表1記載のPVA-1を使用し、前述の実施例と同様の方法で製造したBC複合体膜の示差走査型熱量測定(DSC)測定を行い、試料の融点と融解に伴う吸熱量を測定した。得られた結果を表8に示す。なお、測定は次のようにして行った。示差熱量計(理学電機株式会社製DSC 8230)を用い、測定条件は、試料重量2.0mg、昇温速度10℃/分である。測定雰囲気は空気中であった。
(水溶性高分子としてPVAを用いて製造したセルロース複合体膜の熱的挙動)
表1記載のPVA-1を使用し、前述の実施例と同様の方法で製造したBC複合体膜の示差走査型熱量測定(DSC)測定を行い、試料の融点と融解に伴う吸熱量を測定した。得られた結果を表8に示す。なお、測定は次のようにして行った。示差熱量計(理学電機株式会社製DSC 8230)を用い、測定条件は、試料重量2.0mg、昇温速度10℃/分である。測定雰囲気は空気中であった。
表8は、BCとPVAとからなるセルロース複合体膜の熱量と融点を纏めたものである。表において、融点とは、PVAが融解する温度であり、熱量はPVAが融解する際に要する吸熱量である。表8で「-」とはセルロース複合体膜のDSC測定を行ってもDSC曲線にPVAの融解挙動が明瞭に観察されず、融解による融点やそれに伴う融解熱量が測定できないことを意味する。セルロース複合体膜は、含有するPVAがセルロース複合体膜重量の50wt%以下であるとPVAの融解に伴う熱挙動は観察できないことが分かる。セルロース複合体膜の重量に対してPVA含量が50wt%以上になるとPVAの融解に伴う吸熱反応が明瞭に出現するようになり、PVA含量が増加するにつれてPVAの融解に伴う吸熱量が増加する。表中、PVA単独からなる試料膜では融点が229℃であるが、PVAとBCと複合すると、PVAの熱的な分子運動性が複合相手のBCの分子運動により加速することを示唆する。すなわち、BCとPVAには分子相互作用が存在することを意味する。
<実施例9>
(水溶性高分子としてSFを用いたセルロース複合体膜の製造実験)
水溶性高分子として家蚕由来のSFを用い、BC懸濁水溶液と複合させてセルロース複合体膜を製造した。すなわち、SF繊維を6g秤量し、60℃に加熱した8M臭化リチウム素溶液に浸漬した。その後、30分間加熱して繊維を完全に溶解させた後、セルロース透析膜に入れて蒸留水と3日間透析置換して濃度2.8wt%のSF水溶液を調整した。これを、上記実施例と同様の方法で製造したBC水溶液と混合し、その後蒸発させることで、家蚕由来のSFを用いたセルロース複合体膜を製造した。同様の方法で、家蚕の代わりに野蚕(柞蚕、天蚕)由来のSFを用いてもセルロース複合体膜が製造できた。
(水溶性高分子としてSFを用いたセルロース複合体膜の製造実験)
水溶性高分子として家蚕由来のSFを用い、BC懸濁水溶液と複合させてセルロース複合体膜を製造した。すなわち、SF繊維を6g秤量し、60℃に加熱した8M臭化リチウム素溶液に浸漬した。その後、30分間加熱して繊維を完全に溶解させた後、セルロース透析膜に入れて蒸留水と3日間透析置換して濃度2.8wt%のSF水溶液を調整した。これを、上記実施例と同様の方法で製造したBC水溶液と混合し、その後蒸発させることで、家蚕由来のSFを用いたセルロース複合体膜を製造した。同様の方法で、家蚕の代わりに野蚕(柞蚕、天蚕)由来のSFを用いてもセルロース複合体膜が製造できた。
<実施例10>
(BCとSFとからなるセルロース複合体膜への金属吸着実験)
家蚕由来のSF水溶液を用い、BC懸濁水溶液と複合させてBCとSFとからなるセルロース複合体膜を製造した。その後、BCとSFとからなるセルロース複合体膜への鉛イオンの吸着能を以下の通り評価した。実験は、次の方法で行った。1.被検査用のセルロース複合体膜を1.3mMの硝酸鉛水溶液に5時間浸漬する。硝酸鉛水溶液のpHは、希薄硝酸と1:1アンモニアを用いて、二価の鉛の化合物である硝酸鉛を溶解した水溶液のpHを5に調整する。2.機械的に揺り動かす浸透機で浸透させながら被検試料への鉛イオンの吸着が均一となるように室温で20時間振り動かして浸漬処理する。3.試料を三角フラスコへ移す。4.三角フラスコ中の試料に硝酸を加え、その後105℃に加熱処理して、試料を加水分解する。5.三角フラスコ中の水溶液を遠沈管に移し、希釈後、ICPにより測定を行い、鉛濃度を測定する。この際、上記1項記載の硝酸鉛水溶液の代わりに硝酸カドミウム四水和物水溶液を使用して同様の実験を行うとICPによりカドミウム濃度が測定できる。6.測定された濃度を、処理前の水溶液の濃度と比較することで試料の吸着能を評価する。なお、実験には、BCとSFの混合割合が100:0から0:100まで6段階に割合を変化させた試料を使用した。試料に吸着した金属イオン量を測定した。得られた結果を表9に示す。
(BCとSFとからなるセルロース複合体膜への金属吸着実験)
家蚕由来のSF水溶液を用い、BC懸濁水溶液と複合させてBCとSFとからなるセルロース複合体膜を製造した。その後、BCとSFとからなるセルロース複合体膜への鉛イオンの吸着能を以下の通り評価した。実験は、次の方法で行った。1.被検査用のセルロース複合体膜を1.3mMの硝酸鉛水溶液に5時間浸漬する。硝酸鉛水溶液のpHは、希薄硝酸と1:1アンモニアを用いて、二価の鉛の化合物である硝酸鉛を溶解した水溶液のpHを5に調整する。2.機械的に揺り動かす浸透機で浸透させながら被検試料への鉛イオンの吸着が均一となるように室温で20時間振り動かして浸漬処理する。3.試料を三角フラスコへ移す。4.三角フラスコ中の試料に硝酸を加え、その後105℃に加熱処理して、試料を加水分解する。5.三角フラスコ中の水溶液を遠沈管に移し、希釈後、ICPにより測定を行い、鉛濃度を測定する。この際、上記1項記載の硝酸鉛水溶液の代わりに硝酸カドミウム四水和物水溶液を使用して同様の実験を行うとICPによりカドミウム濃度が測定できる。6.測定された濃度を、処理前の水溶液の濃度と比較することで試料の吸着能を評価する。なお、実験には、BCとSFの混合割合が100:0から0:100まで6段階に割合を変化させた試料を使用した。試料に吸着した金属イオン量を測定した。得られた結果を表9に示す。
表10の吸着量において、3.23E(-3)とは、3.23 X 10-3を意味する。表10は、水溶性高分子にSFを用いたセルロース複合体膜の鉛の吸着能を測定した結果を示す。表から、セルロース複合体膜におけるBCの組成比が増加するに従って、鉛の吸着能が減少していることが認められる。これは、BC単独の膜への鉛の吸着量は極微量であるが、SFの含有量が増えるにつれて鉛の吸着量が増加していること、すなわち鉛の吸着量はセルロース複合体膜に含まれるSFに依存することが明かとなった。なお、上記記載の硝酸鉛の代わりに硝酸カドミウム四水和物水溶液に浸漬したセルロース複合体膜へのカドミウム吸着量も表10と同様の吸着挙動を示した。実施例10と同様の方法で、家蚕の代わりに野蚕(柞蚕、天蚕)由来のSFを用いてもセルロース複合体膜が製造できる。
上記記載の通り、セルロース複合体膜を1.3mMの硝酸鉛水溶液に5時間浸漬して鉛を吸着させた後、pH3.0の酢酸水溶液に室温度で1時間接触させることでセルロース複合体膜に吸着した鉛がすべて脱離(脱着)した。なおこの所見は、鉛だけではなくカドミウムについても同様であった。金属イオンを吸着した被検試料にpHが3の酢酸、塩酸、硫酸等の有機酸を接触することで金属イオンだけが脱離し、セルロース複合体膜は再利用することが可能であった。
<実施例11>
(セルロース複合体膜の寸法熱安定性の評価実験)
実施例3に記載の方法で、表1に示したPVA-6を使用し、BCとのセルロース複合体膜を製造した。セルロース複合体膜が昇温加熱過程において何度で試料が収縮、または伸長するかの熱機械的特性(熱寸法安定性)をTMA装置で測定した。TMA測定装置を用い、200℃以上で試料が収縮し始める温度を測定することで各試料の昇温過程における寸法安定性を測定した。TMA測定装置は、リガク(株)製 CN-8361型を用い、試料膜の幅、0.5mm x 15mmm、昇温速度10℃/分であった。測定雰囲気は空気中であった。得られた結果を表10に示す。
(セルロース複合体膜の寸法熱安定性の評価実験)
実施例3に記載の方法で、表1に示したPVA-6を使用し、BCとのセルロース複合体膜を製造した。セルロース複合体膜が昇温加熱過程において何度で試料が収縮、または伸長するかの熱機械的特性(熱寸法安定性)をTMA装置で測定した。TMA測定装置を用い、200℃以上で試料が収縮し始める温度を測定することで各試料の昇温過程における寸法安定性を測定した。TMA測定装置は、リガク(株)製 CN-8361型を用い、試料膜の幅、0.5mm x 15mmm、昇温速度10℃/分であった。測定雰囲気は空気中であった。得られた結果を表10に示す。
表10から、200℃以上のTMA曲線で試料が収縮し始める収縮開始温度は、セルロース複合体膜に含まれるPVAの含量が増えると複合試料の法安定性に係わる試料の収縮開始温度が低下していることが認められる。ただし、セルロース複合体膜重量に対してPVAが25%含むと、その収縮開始温度が特異的に高温側に移行し最高温度の350℃となり、試料の寸法定性が特異的に向上していることが認められた。これは、セルロース複合体膜の重量に対してPVAが25%含有するとBCとPVAとの分子間で分子の凝集性が特異的に向上していることを示している。
<実施例12>
(セルロース複合体ゲルの製造およびゲル強度の評価)
本発明のセルロース複合体は、ゲルの状態においても産業上付加価値の高い利用が可能である。そこで、次のようにしてセルロース複合体ゲルの製造実験を行った。実験は、実施例1に記載のとおり、BC懸濁水溶液とPVA(表1記載のPVA-1)水溶液とを複合して製造できるセルロース複合体水溶液を-20℃、1昼夜放置して凍結し、続いて室温で1時間かけて解凍する。これを1サイクルとして10サイクル繰り返すことでセルロース複合体ゲルが製造できた。ゲルの製造実験には、BCとPVAの混合割合を0:100、25:75、50:50、75:25、100:0と変えることにより5種類の試料を使用した。その後、BCとPVAとからなるセルロース複合体ゲルの硬さを調べた。セルロース複合体ゲルの強度は親指と人差し指との間に試料ゲルを挟み擦り合わせたときのゲルの形状変化等を観察したものである。得られた結果が表11である。
(セルロース複合体ゲルの製造およびゲル強度の評価)
本発明のセルロース複合体は、ゲルの状態においても産業上付加価値の高い利用が可能である。そこで、次のようにしてセルロース複合体ゲルの製造実験を行った。実験は、実施例1に記載のとおり、BC懸濁水溶液とPVA(表1記載のPVA-1)水溶液とを複合して製造できるセルロース複合体水溶液を-20℃、1昼夜放置して凍結し、続いて室温で1時間かけて解凍する。これを1サイクルとして10サイクル繰り返すことでセルロース複合体ゲルが製造できた。ゲルの製造実験には、BCとPVAの混合割合を0:100、25:75、50:50、75:25、100:0と変えることにより5種類の試料を使用した。その後、BCとPVAとからなるセルロース複合体ゲルの硬さを調べた。セルロース複合体ゲルの強度は親指と人差し指との間に試料ゲルを挟み擦り合わせたときのゲルの形状変化等を観察したものである。得られた結果が表11である。
表からセルロース複合体ゲルに含まれるPVAの組成比が大きいとセルロース複合体ゲルは硬くなることが確かめられた。このうちBC:PVAの組成比が、0:100、25:75、50:50の試料では、手で触れてもゲル状形態は崩れることは無かった。しかし、組成比が75:25、100:0の試料については、手で触れると形が崩れる程度の弱い強度を有していることが認められた。また、使用するPVAの濃度が1wt%の試料では、いずれの場合であっても、実用的に優れた強度のゲルを得るには至らなかった。また、実用的に優れた強度のゲルを得るにはPVAの濃度が高いことが有利であること、セルロース複合体ゲルを製造する際には、PVAの濃度が2wt%以上、5wt%以下の範囲内にあるものを使用することが好ましいことが認められた。
セルロース複合体ゲルの重量で50%以上のPVAを含むとき、セルロース複合体ゲルの強度は高くなった。逆にセルロース複合体に含まれるPVAが50%以下であるとセルロース複合体ゲルのゲル強度が弱く、触れることができる程度の堅さを示すに過ぎなかった。
<実施例13>
(セルロース複合体ゲルの製造およびゲル強度、伸度等の測定)
実施例12で記載した方法で製造したセルロース複合体ゲルを使用し、圧縮実験は次のようにして行った。用いたPVAは表1記載のPVA-8である。BCとPVAとからなるセルロース複合体ゲルを作成し、その圧縮特性を調べた。株式会社島津製作所EZ−S引張圧縮試験機を用い、試料ホルダーに取り付けたゲル(5mm四方、厚さ5mm)に円形状(φ5mm)の試料圧縮用冶具を用いて一定速度10mm/min、10秒間で圧縮した。その際に生ずる圧縮歪みと圧縮応力を測定することにより圧縮強度を求めた。また初期の圧縮時の応力−歪み曲線の勾配から圧縮時におけるヤング率を求めた。BCの含量を変えて製造したセルロース複合体ゲルの圧縮特性を測定した。得られた結果を表12に示す。
(セルロース複合体ゲルの製造およびゲル強度、伸度等の測定)
実施例12で記載した方法で製造したセルロース複合体ゲルを使用し、圧縮実験は次のようにして行った。用いたPVAは表1記載のPVA-8である。BCとPVAとからなるセルロース複合体ゲルを作成し、その圧縮特性を調べた。株式会社島津製作所EZ−S引張圧縮試験機を用い、試料ホルダーに取り付けたゲル(5mm四方、厚さ5mm)に円形状(φ5mm)の試料圧縮用冶具を用いて一定速度10mm/min、10秒間で圧縮した。その際に生ずる圧縮歪みと圧縮応力を測定することにより圧縮強度を求めた。また初期の圧縮時の応力−歪み曲線の勾配から圧縮時におけるヤング率を求めた。BCの含量を変えて製造したセルロース複合体ゲルの圧縮特性を測定した。得られた結果を表12に示す。
上記表中、重合度1720、ケン化度99.34mol%のPVAは表1記載のPVA-8に対応する。また、1%BC/PVAとは1%BC懸濁水溶液と1%PVAとを所定の組成比で複合したセルロース複合体ゲルを意味する。表12から、優れた圧縮強度を示すセルロース複合体ゲルは、セルロース複合体ゲルの重量に対してPVAを25wt%含むことにより製造できる。さらに、PVAのケン化度を変えて同様の実験を行ったところ、セルロース複合体ゲルの強度はPVAのケン化度により多大な影響を受け、ケン化度88mol%の10wt%のPVAをBCと複合してもゲルの圧縮強度が増加しないのに対して、ケン化度99.5mol%の10wt%のPVAを使用することでなるセルロース複合体ゲルは優れた圧縮強度を示しヤング率、圧縮強度を示した。
表12から、優れた強度の複合体ゲルとしては、セルロース複合体ゲルの重量に対してPVAを25wt%含むことが好ましい。各試料の圧縮強度およびヤング率に関してPVA含量の減少と共に低くなっており、また圧縮強度についても同様な傾向があることが分かる。BCと複合するPVAの濃度は1〜2%であってもセルロース複合体ゲルの値にはあまり変化が認められず、PVA濃度1〜2%を使用して製造するセルロース複合体ゲルは、ゲル化強度が低く、柔らかいため、薬物徐放性材料には適しない。このように、PVA濃度が1〜2%から製造したセルロース複合体ゲルのヤング率は低い値を示し、抵抗力が小さくても圧縮時できるソフトがゲルとなってしまう。しかし、PVA濃度が3%以上、かつセルロース複合体ゲルにPVAが多く含むように製造するとセルロース複合体ゲルは十分に実用性に富むゲルであった。セルロース複合体ゲルを圧縮する際のヤング率は、PVA濃度が高い程、セルロース複合体ゲルに含まれる PVA含量が多い程、ヤング率が高くなり、セルロース複合体ゲルが硬くなり、その結果、圧縮時に抵抗を示す硬いゲルとなることが分かり、生理活性物質あるいは医薬品の徐放基材としてセルロース複合体ゲルが有効に利用できる。
<実施例14>
(医薬品を含み2種の水溶性高分子を含むセルロース複合体ゲル)
産業上、所望されるゲルに求められる重要な機能は圧縮時の堅さである。そこで、セルロース複合体ゲルの機能を評価するため、圧縮実験により圧縮時の堅さを評価した。実験には、引張圧縮試験機(株式会社島津製作所社製、EZ-S型装置)を用いて、ホルダーに取り付けた試料に、円筒状の治具を固定し、10mm/minの速度で、10秒間圧縮した。その際、生じる圧縮歪みと圧縮応力を測定し、ここから圧縮強度を求めた。また、初期の圧縮時の応力―歪み曲線の勾配から、圧縮時におけるヤング率を求めた。
(医薬品を含み2種の水溶性高分子を含むセルロース複合体ゲル)
産業上、所望されるゲルに求められる重要な機能は圧縮時の堅さである。そこで、セルロース複合体ゲルの機能を評価するため、圧縮実験により圧縮時の堅さを評価した。実験には、引張圧縮試験機(株式会社島津製作所社製、EZ-S型装置)を用いて、ホルダーに取り付けた試料に、円筒状の治具を固定し、10mm/minの速度で、10秒間圧縮した。その際、生じる圧縮歪みと圧縮応力を測定し、ここから圧縮強度を求めた。また、初期の圧縮時の応力―歪み曲線の勾配から、圧縮時におけるヤング率を求めた。
1.1wt%BC懸濁液にSFと表1記載のPVA-1、あるいはBC懸濁液にSFと表1記載のPVA-4を加え、しかる後に生理活性物質であるアセチルサルチル酸(以下、Aと略記する。)、あるいはインドメタシン(以下、Iと略記する。)を複合させることで、生理活性物質を含むセルロース複合体ゲルを製造した。BC懸濁液にPVA-1とSFを複合しAを含むセルロース複合体ゲルをSF-PVA-1A、BC懸濁液にPVA-1とSFを複合してIを含むセルロース複合体ゲルをSF-PVA-1Iと略記する。
BC懸濁液と表1記載のPVA-1とSFを用いて実施例7に記載の方法に準拠してBC懸濁水溶液と水溶性高分子水溶液を複合した。家蚕に由来するSF繊維を溶解して濃度7wt%のSF水溶液を調製した。4mLの10wt%のPVA-1あるいはPVA-4水溶液に、5mLの7wt%のSF水溶液を複合してPVAとSFとの複合水溶液を調整した。これらのPVAとSFの複合水溶液に生理活性物質であるAあるいはIをそれぞれ0.5mg添加した後、23mLの1.1wt%のBC懸濁液を加えて製造できるBC懸濁液、PVA、SFを含む複合水溶液を-30℃の冷凍庫に入れ凍結したのち、室温で解凍する操作を10回繰り返してゲル化させた。生理活性物質を含むセルロース複合体ゲルを一旦-30℃で凍結し、室温で解凍する工程を2回繰り返すとSF-PVA-1A、およびSF-PVA-1Iの試料表面はゲル化した。しかし、SF-PVA-4AおよびSF-PVA-4Iはゲル化することはなかった。凍結乾燥を10回繰り返して製造できるPVAとSFとからなるセルロース複合体ゲルの機械的特性を測定した。測定機器、測定条件等は実施例2と同様である。得られた結果を表13に示す。
表は、AあるいはIを含むセルロース複合体ゲルの圧縮実験の結果を示す。上記表中、PVA-1ゲルには、重合度1730、ケン化度99.5mol%のPVAは表1記載のPVA-1を用いた。また、上記表中、PVA-4ゲルに使用したPVAは、重合度1850、ケン化度88mol%のPVAは表1記載のPVA-4に対応する。表から、セルロース複合体ゲルの製造にPVA-1を用いることでセルロース複合体ゲルのヤング率が高くなること、即ち、圧縮時に高い抵抗を示す硬いゲルとなることが認められる。この場合に、PVAの濃度は2wt%以上の場合に、実用的な値を示すことが認められる。また、PVAのケン化度が88mol%のPVA-4を用いるとセルロース複合体ゲルのヤング率が低下し、柔らかいセルロース複合体ゲルとなることが分かる。なお、実施例14と同様の方法で、家蚕の代わりに野蚕(柞蚕、天蚕)由来のSFを用いて製造できるセルロース複合体膜についても表13と同様の測定結果が得られた。
<比較例1>
ゲル状態のナタデココは(発売:フジッコ株式会社、ホワイトピーチ(ナタデココ))を用いてナタデココの圧縮特性を調べた。圧縮特性値は一辺が10mmの試料の立方体ナテデココを2度測定した。一回目および二回目に測定した圧縮特性値をそれぞれ1、2とした。
ナタデココの圧縮特性の測定は、実施例13に記載した方法で行った。但し、円形状の試料圧縮用治具のサイズはφ20mmであった。得られた結果を表14に示す。
ゲル状態のナタデココは(発売:フジッコ株式会社、ホワイトピーチ(ナタデココ))を用いてナタデココの圧縮特性を調べた。圧縮特性値は一辺が10mmの試料の立方体ナテデココを2度測定した。一回目および二回目に測定した圧縮特性値をそれぞれ1、2とした。
ナタデココの圧縮特性の測定は、実施例13に記載した方法で行った。但し、円形状の試料圧縮用治具のサイズはφ20mmであった。得られた結果を表14に示す。
圧縮時におけるナタデココの圧縮特性におけるヤング率、圧縮強度、圧縮歪みはそれぞれ約300KPa、約30kPa、約30%であった。ところで、SFとBCとからなり実施例14によると、SFを含むセルロース複合体ゲルのヤング率、圧縮強度の値は、比較例1のナタデココのヤング率、圧縮強度に比べて、300倍、300-500倍以上も大きな値を示した。このことは本実施例に係るセルロースとSFとからなるセルロース複合体ゲルが優れた圧縮特性を示すことであり、産業材料としての有用性を示唆するものである。
Claims (14)
- バクテリア由来のセルロースミクロフィブリルと、水溶性高分子とから構成されることを特徴とするバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体。
- 前記水溶性高分子は、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載のバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体。
- 前記水溶性高分子は、ケン化度が99mol%以上のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項2記載のバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体。
- 前記水溶性高分子は、絹フィブロインであることを特徴とする請求項1記載のバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体。
- 前記水溶性高分子は、2種以上の水溶性高分子が複合されてなる水溶性高分子であることを特徴とする請求項1記載のバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体。
- 前記水溶性高分子は、前記複合体に重量組成比で20wt%以上30wt%以下含まれていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体。
- バクテリアセルロースと水溶性高分子の複合体の製造方法であって、
バクテリアセルロースを水溶液に添加し、回転数400rpm以下の速度で20分以上撹拌することで、微細繊維形態を維持しつつ分散させるBC懸濁液調製工程と、
水溶性高分子を水溶液に添加し、100℃以上の温度で溶解させる水溶性高分子水溶液調製工程と、
前記BC懸濁液調製工程で得られたBC懸濁液と、前記水溶性高分子水溶液調製工程で得られた水溶性高分子水溶液を、攪拌混合する混合工程と、
を備えることを特徴とするバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体の製造方法。 - 前記混合工程で得られた混合液の水分を蒸発させる蒸発工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項7記載のバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体の製造方法。 - 前記混合工程で得られた混合液を-10℃以下で凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程で凍結された混合液を解凍する解凍工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項7記載のバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体の製造方法。 - 前記凍結工程と前記解凍工程とを複数回繰り返すことを特徴とする請求項9記載のバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体の製造方法。
- 生理活性物質を添加する生理活性物質添加工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項9または10記載のバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体の製造方法。 - 形態が膜状、塊状、ゲル状、繊維状、粉末状であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載のバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体。
- バクテリアセルロースを水溶液に添加し、回転数400rpm以下の速度で20分以上撹拌することで、微細繊維形態を維持しつつ分散させるBC懸濁液調製工程と、
水溶性高分子を水溶液に添加し、100℃以上の温度で溶解させる水溶性高分子水溶液調製工程と、
前記BC懸濁液調製工程で得られたBC懸濁液と、前記水溶性高分子水溶液調製工程で得られた水溶性高分子水溶液を、攪拌混合する混合工程と、
前記混合工程で得られた混合液を-10℃以下で凍結させる凍結工程と、
前記凍結工程で凍結された混合液を解凍する解凍工程と、
を備える製造工程によって製造されることを特徴とするバクテリアセルロースと水溶性高分子のセルロース複合体。 - バクテリア由来のセルロースミクロフィブリルと、水溶性高分子とから構成されることを特徴とする金属イオン吸着材料。
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-
2012
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