JP2013142637A - 方向計測装置、情報処理装置および方向計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 整数値バイアスを求めることなく、高速に精度よく装置の向いている方向および上下方向の位置を求める。
【解決手段】 方向計測装置20によれば、受信機21〜2nで受信された少なくとも2つの無線信号の波の位相を、位相判断部5がそれぞれ取得し、位相差計算部6が、当該少なくとも2つの無線信号の波の位相差を測定し、角度算出部7が、測定された位相差に基づいて方向を算出する。そして、それぞれの受信された無線信号の波との位相差の絶対値が0.5未満になるように、受信機21〜2nが配置されている。これにより、位相差を0.5未満とすることができ、整数値バイアスを考慮することなく、位相差を決定することができ、位相差に基づいた方向を決定することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】 方向計測装置20によれば、受信機21〜2nで受信された少なくとも2つの無線信号の波の位相を、位相判断部5がそれぞれ取得し、位相差計算部6が、当該少なくとも2つの無線信号の波の位相差を測定し、角度算出部7が、測定された位相差に基づいて方向を算出する。そして、それぞれの受信された無線信号の波との位相差の絶対値が0.5未満になるように、受信機21〜2nが配置されている。これにより、位相差を0.5未満とすることができ、整数値バイアスを考慮することなく、位相差を決定することができ、位相差に基づいた方向を決定することができる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、装置が向いている方向を計測する方向計測装置、情報処理装置および方向計測方法に関する。
方向を計測する手段としては、磁気を用いた方位磁針および電子コンパスが知られている。しかし、これらが指すのは磁北であって、真北ではない。さらに、周囲の磁気の変化に弱く、周りにある磁気を発する電子機器などによって、計測結果がくるってしまい、キャリブレーションが必要となってしまう。
真北を指し、周囲の磁気に影響を受けないものにはジャイロコンパスがあるが、非常に大型で、方向を正常に取得できるために起動から2−3時間ほどかかる。また、周囲の磁気に影響を受けず、真北を指し起動の早いものには特許文献1および2に見られるようにGPSコンパスがある。
GPSコンパスにおける方向計測手法は、基本的に図1のように受信機aと受信機bとで受信するGPS波の行路差dを測定することによって、受信機aおよびbがつくるベクトルabの向きを求める。
行路差は
行路差d=位相差Φ×搬送波の波長λ
で表すことができる。
行路差は
行路差d=位相差Φ×搬送波の波長λ
で表すことができる。
2台の受信機a、bにおいて行路差dはそれぞれの受信機で受信する波の搬送波位相から求めることができる。
GPS受信機i、衛星jでの時刻tにおける搬送波位相は、以下の式により表すことができる。
ここで、fは周波数、cは光速、ρj i(t)は、t秒間に進んだ波の数、Nj iは整数値バイアス、fσj(t)は衛星誤差、fσi(t)は、受信機誤差である。
ここで、fは周波数、cは光速、ρj i(t)は、t秒間に進んだ波の数、Nj iは整数値バイアス、fσj(t)は衛星誤差、fσi(t)は、受信機誤差である。
搬送波位相とは、整数値バイアス、衛星誤差、受信機誤差を含んだ衛星・受信機間における搬送波における波の数を示す。衛星誤差・受信機誤差は二重位相差を求めることで消去することができるが整数値バイアスを消去することはできない。
衛星の受信機で測定できるのは電波が到達した時の端数(とその後の積算値)であり、波1サイクル以下の端数だけである。衛星を出た搬送波の波が全部でいくつあるかはわからない。衛星から受信機に到達する電波の波のうち、端数(小数)部分だけ計測することはできるが、整数部分がいくらあるか、計測することは困難である。この計測困難な部分が整数値バイアスである。この整数値バイアスをどう求めるかが、GPSコンパスを発明する際の問題となる。この整数値バイアスを求めるための計算手法もあるが、非常に複雑で、計算で求めようとすると時間がかかってしまい、利用するまでに待機時間を要してしまう。
特許文献1では、待機時間をなくすために時間差を用い、前データと現データの差をとり整数値バイアスを消去している。しかし、方向を求める際にジャイロセンサが出力する角速度データを利用する必要がある。ジャイロセンサから求められる角速度は、センサで測定されるデータを積分することで求められる。そのため、主にセンサのドリフトが原因である測定誤差が、積分することによって時間経過とともに積算され、誤差がどんどん大きくなってしまうという問題がある。
特許文献2では測定されるGPSの搬送波を用いて、測定した行路差と、アンテナ間の基線ベクトルを変化させて計算で求めた行路差を比較し、測定値と計算値で最も誤差が小さい基線ベクトルから方向を求める。しかし、この手法では位相データの整数値バイアスがあるにもかかわらず、測定できる小数値しか見ていないため、正確な行路差が求められない。そのために測定値と計算値の差を、基線ベクトルを1度から360度まで1度ずつ変化させてみて、角度ごとに測定値と計算値の差を調べ、差が一番小さい時の角度を装置の方向として決定する。しかし1〜360度までひとつひとつ計算しなければならないため、該当特許ではxy平面での2次元で方向を求めているが、次元を1つ増やし3次元にすると(上下方向も求めるなど)膨大な計算量になってしまう。また、位相差から行路差が一意に決まらないことから、さまざまな方向の衛星信号から求める位相差(行路差)データ用いることになり、方向を求めるために必要な衛星台数が多くなる。
そこで、本発明においては、本発明は上記課題を解決するものであって、整数値バイアスを求めることなく、高速に精度よく装置の向いている方向を求めることができる方向計測装置、情報処理装置および方向計測方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明の方向計測装置は、無線信号の波を受信する少なくとも2つ以上の受信手段と、前記受信手段により受信された無線信号に基づいて、現在位置を測位する測位手段と、前記測位手段により測位された装置の現在位置に基づいて、方位角と仰角とを算出する算出手段と、前記受信手段により受信された無線信号の波の位相をそれぞれ取得する位相取得手段と、前記位相取得手段により取得された、2つの無線信号の波の位相差を測定する位相差測定手段と、前記測位手段により測位された現在位置からの方向を、前記位相差測定手段により測定された位相差に基づいて算出する方向算出手段と、を備え、前記2つ以上の受信手段は、一の受信手段により受信された波と、他の受信手段により受信された波との位相差の絶対値が0.5未満になるように配置されている。
また、本発明の方向計測方法は、一の受信手段により受信された波と、他の受信手段により受信された波との位相差の絶対値が0.5未満になるように配置されている複数の受信手段を備える方向計測装置における方向計測方法において、無線信号の波を受信する2つ以上の受信ステップと、前記受信ステップにより受信された無線信号に基づいて、現在位置を測位する測位ステップと、前記測位ステップにより測位された装置の現在位置に基づいて、方位角と仰角とを算出する算出ステップと、前記受信ステップにより受信された無線信号の波の位相をそれぞれ取得する位相取得ステップと、前記位相取得ステップにより取得された、2つの無線信号の波の位相差を測定する位相差測定ステップと、前記位相差測定ステップにより測定された位相差の絶対値が0.5未満の位相差に基づいて方方向を算出する方向算出ステップと、を備えている。
この発明によれば、無線信号に基づいて、現在位置を測位し、測位された装置の現在位置に基づいて、方位角と仰角とを算出する。そして、受信された少なくとも2つの無線信号の波の位相をそれぞれ取得し、当該少なくとも2つの無線信号の波の位相差を測定し、測定された位相差に基づいて、装置の現在位置からの方向を、を算出する。そして、それぞれの受信された無線信号の波との位相差の絶対値が0.5未満になるように、受信手段が配置されている。これにより、位相差の絶対値を0.5未満とすることができ、整数値バイアスを考慮することなく、位相差を決定することができ、位相差に基づいた方向を決定することができる。
また、本発明の方向計測装置は、前記受信手段は、少なくとも3つ配置されており、前記方向計測装置の傾きおよび動きの少なくとも一つを判断する状態判断手段と、前記状態判断手段により判断された傾きおよび動きの少なくとも一つに基づいて前記少なくとも3つの受信手段のうち、2つの受信手段の組合せを決定する決定手段と、を備え、前記方向算出手段は、前記決定手段により決定された受信手段により受信された無線信号の波に基づいて、前記方向計測装置の方向を算出する。
この発明によれば、受信手段は、少なくとも3つ配置されており、方向計測装置の傾きおよび動きの少なくとも一つの状態を判断し、判断された傾きおよび動きの少なくとも一つに基づいて少なくとも3つの受信手段のうち、2つの受信手段の組合せを決定する。そして、その組み合わせが決定された受信手段により受信された無線信号の波に基づいて、方向計測装置の方向を算出する。これにより、装置の状態に基づいた適切なアンテナの組合せを決定することができ、正確な方向を算出することができる。
また、本発明の方向計測装置は、前記少なくとも2つ以上の受信手段は、GPS衛星からの無線信号を受信するものであって、前記少なくとも2つ以上の受信手段は、前記GPS衛星からの無線信号の波長の2分の1以下の間隔で配置されている、ことを特徴とする。
この発明によれば、受信手段は、GPS衛星からの無線信号を受信することができ、そして、相互に無線信号の波長の2分の1以下の間隔で配置されていることから、位相差の絶対値を0.5未満にすることができる。よって、正確な方向を算出することができる。
また、本発明の情報処理装置は、上述方向計測装置と、コンテンツデータと現実空間における配置位置とを記憶するコンテンツ記憶手段と、前記方向計測装置において、算出された方向・位置に基づいた場所に、前記コンテンツ記憶手段に記憶されているコンテンツを、を表示する表示手段と、を備えている。
この発明によれば、方向計測装置において算出された方向・位置に基づいた場所に、記憶されているコンテンツを表示する。これにより、正確な方向・位置に基づいた場所に、コンテンツを表示することができ、正確な情報、すなわちコンテンツが合成された現実空間をユーザに対して提供することができる。
また、本発明の情報処理装置は、上記方向計測装置と、前記方向計測装置において計測された現在位置からの方向を表示する表示手段とを備えている。これにより、ユーザは現在位置からの方向を知ることができ、コンパスとして利用することができる。
本発明によれば、整数値バイアスを考慮することなく、受信された、少なくとも2つの無線信号の波の位相差を決定することができ、位相差に基づいた方向を決定することができる。
添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本発明は受信機間ベクトル(基線ベクトル)の向きを行路差(位相差)から求めるものである。本発明においては、受信機間ベクトル(基線ベクトル)は、装置の向きを示している。図2に、本実施形態における送信部1および方向計測装置20の機能構成を示すブロック図を示す。この送信部1は、送信機1〜1nを含んで構成されており、方向計測装置20は、受信部2(受信手段)、受信機位置算出部3(測位手段)、位置関係計算部4(算出手段)、位相判断部5(位相取得手段)、位相差計算部6(位相差測定手段)、角度算出部7(方向算出手段)、バーチャルカメラ動作部8、コンテンツ蓄積部9(コンテンツ記憶手段)、コンテンツ表示部10(合成手段、表示手段)、および状態判断部31(状態判断手段)で構成されている。
送信部1は、例えばGPS衛星であったり、無線基地局であり、空気中を伝わる波を発生させるものであり、GPS信号や、携帯電話の電波など無線で伝わる波を発生させるものであればなんでもよい。本実施形態では、送信部1は、GPS衛星の集合として説明する。
送信部1は、GPS信号を発信するGPS衛星の集合を表した部分であり、各GPS衛星である送信機11〜1nから構成されているものである。そして、各送信機11〜1nは、それぞれ送信機の位置情報が付加されているGPS信号を発信する。よって、各送信機11〜1nの位置は、方向計測装置20に常に把握されることになる。なお、各送信機11〜1nの位置が取得できるのであれば、なんでもよく、GPS衛星に限定するものではなく、また各送信機11〜1nは固定されたものであってもよい。
この各送信機11〜1nは、1台であってもよいし、精度をあげたり、受信部の位置を測定する際には複数台用いてもよい。特に、受信部2の位置(x,y,z)を測定する際には、求める受信機位置の次元+1台の送信機が必要である。
つぎに、方向計測装置20について説明する。受信部2は、送信部1(各送信機11〜1nのいずれか)から送られた波を受信するためのものである。最低2台必要であり、2台の受信機21、22は、受信する波(例えばGPS信号)の位相差の絶対値が0.5未満になるように配置される。図1を例にすると、行路差dは受信機21と受信機22との間の長さより長くなることはないため、簡単にするならば、受信機21と受信機22との受信機間距離は送信部1(各送信機11〜1nのいずれか)から発生される波の波長の1/2の長さ以下にしておけばよい。しかし、行路差dが波長の1/2以上になることがないのであれば、受信機間距離は波長の1/2より長くてもよい。行路差は受信機と送信機との位置関係によって決まるので、たとえば送信機が固定されていて、計算して行路差が波長の1/2以上にならないような範囲で受信機を動かすことがわかっている場合(受信機の可動範囲があらかじめ決まっている場合)である。
計測精度を向上もしくは測定結果の次元を増やすために、受信機21〜2nも送信部同様3台以上用いることができる。この場合、どの受信機21〜2nが受信する波も、少なくとも他1台の受信機がうける波との位相差の絶対値が0.5未満になるように配置される。例えば、GPS信号の場合、その波長は約19cmであるため、受信機21〜2nは、その半分の長さ以下の間隔をあけて配置される。この方向計測装置20は携帯端末に搭載することを想定していることから、受信部自体は可動であるが、各受信機間の位置関係は固定されている(受信機関の相対的な位置関係が同じであれば持ち運ぶことができる)。
受信機位置算出部3は、少なくとも1台の受信機(特にアンテナ部分)の位置(たとえば緯度・経度・海抜など)を求める部分である。このとき、求めるアンテナの位置は2次元でも3次元でもよく、求めたい次元+1台の送信機を利用する。1台のアンテナの位置を求める手法はGPS測位で用いられる単独測位であっても、あらかじめ位置のわかっている基準局を利用するDGPS測位であってもよく、公知の手法を用いることができる。
位置関係計算部4は、受信機位置算出部3から得られた受信機の位置情報と、送信機の位置情報とを元に、受信機21からみた送信機11の位置を計算する。受信機21からみた送信機11の方位角αおよび仰角βで表されることが望ましく、求める手法はGPS測位で用いられる手法など公知の手法を用いることができる。なお、一例として受信機21と、送信機11とを例に出したが、これに限るものではなく、受信機21〜2nのいずれを基準としても良い。また、送信機についても同様である。
位相判断部5は、受信部2で受信した各波の位相を求める。送信部1から送信される波の周波数が低く、送信波の位相を十分な精度で受信できれば、受信した波の位相の小数部分の値だけ見ればよい。もし、送信部1から送信される波の周波数が非常に高い場合は、干渉波を受信波にかけあわせてダウンコンバートするなどして波の位相を計測する。
位相差計算部6は、位相判断部5で求められた各受信機の位相の差を計算する部分である。求めるのは2台の受信機間の差であり、もし3台以上の受信機21、22、23・・・とあった場合は、その中から2台のペアを受信機21と受信機22、受信機22と受信機23、受信機23と受信機24とつくり、その2台の受信機間の位相差を計算する。そして、位相差計算部6は、この位相差に基づいて、行路差dを算出する。すなわち、位相差計算部6は、行路差d=波長×位相差を計算することにより、行路差dを算出する。
ここで、より具体的に位相差の算出方法について説明する。受信部2で受信することができる数値において、到達した時点での位相の小数部分の値だけは正確に検出することができるが、波の数(整数)は正確に検出することができない。たとえば、図3に説明するように、波受信時に受信機21で測定した波が送信機11から送られて2.3個目の波だったとすると、得られる位相の小数部分の値は0.3(cycle)となる。同時に受信機22で測定できた位相の小数部分の値が0.7(cycle)だとすると位相差(受信機21の位相の小数部分の値−受信機22の位相の小数部分の値)は−0.4(cycle)となる。
受信機22で受信した波が2.7個目の波であれば位相差は−0.4(cycle)でよいが、1.7個目の波であった場合、正しい位相差は0.6(cycle)である。しかし、1.7個目の波でも測定される位相差は−0.4(cycle)となってしまい、位相差からだけでは正しい行路差dが求められない。これが波の数の整数部分を正確に計算することができない(整数値バイアス)ことによる測定の問題である(位相だけでは図3におけるイ・ロ・ハの区別はつけられない)。
しかし、例えば、位相差が絶対値0.5以上にならないことが分かっていれば、受信機22で受信した波が2.7個目の波以外の波ではないことがわかり、行路差dを正確に求めることができる。
位相差について、その具体例を変えて説明する。図4は、受信機21と受信機22とにおいてGPS衛星から送信されるGPS信号の波を受信する様子を模式的に示した図である。
図4に示されるように、受信機21と受信機22とにおいてその波の位相差を求めることにより、行路差dを算出することができる。この行路差dは、受信機21で受信した波の位相と、受信機22で受信した波の位相との差であるが、図5に示されるように、どの時点での位相を用いるかが重要である。図5に示されるとおり、受信機21において受信した波の位相がxxx.3であり、受信機22において受信した波の位相がxxx.7である場合、それぞれの位相に基づいて位相差を求める。しかしながら、例えば、受信機21で受信した波の位相値が1.3であった場合、受信機22で受信した波の位相値が0.7、1.7、2.7のいずれかによって、位相差は異なる。すなわち、位相差0.6、−0.4、または−1.4のいずれかとなる。なお、上述xxxは、整数値であるが、正確に計測することが困難な部分を示している。
しかしながら、前提条件として位相差の絶対値が0.5未満であるということが与えられていれば、その位相差を簡単に決定することができる。すなわち、受信機21における位相差の絶対値が0.5未満となる位相であるものは、図6における(ロ)であることが分かる。
このように、位相差の絶対値が0.5未満であることがわかっていれば、波の整数値の部分を考えなくても、受信機21で取得できる位相の小数部分の値のみで正確に行路差dを求めることができる。つまり、衛星測位で問題となる整数値バイアスを考えなくてよいことになる。
本実施形態においては、受信機21を基準にした場合、当該受信機21において受信した位相に対して、受信機22で受信した位相は、どちら側にずれているか把握するために、位相差の絶対値が0.5未満にある位相を利用しようとするものである。
角度算出部7は、位置関係計算部4により計算された、受信機21から送信部1(各送信機11〜1nのいずれか)に対する方位角αおよび仰角β、ならびに位相差計算部6で求めた位相差に基づいて、受信機21と受信機22との基線ベクトルを算出し、装置の向いている方向を算出する部分である。この方向は初期値からの角度で表すことができ、真北は予め設定しておく。以下、詳細に説明する。
例えば、受信機21および受信機22として2台の受信機があった場合、xy平面上での方向を求める時、受信機21は座標系の原点に配置され、
(xa,ya,za)=(0,0,0) …(2)
となる。図7に示されるように、もう一台の受信機22(座標b)と受信機21(座標a:原点)との距離をLとし、y軸からの角度をθとすると、受信機22は
(xb,yb,zb)=(Lsinθ,Lcosθ,0)…(3)
と表すことができる。
(xa,ya,za)=(0,0,0) …(2)
となる。図7に示されるように、もう一台の受信機22(座標b)と受信機21(座標a:原点)との距離をLとし、y軸からの角度をθとすると、受信機22は
(xb,yb,zb)=(Lsinθ,Lcosθ,0)…(3)
と表すことができる。
また、図8に示されるように、位置関係計算部4により計算された、受信機21から送信部1(各送信機11〜1nのいずれか)に対する方位角α、仰角βを用い、送信部1は受信機から十分に遠い位置にあるとした場合、その時の方向余弦ベクトルSは、
S=(cosβ・sinα,cosβ・cosα,sinβ)…(4)
となる。
S=(cosβ・sinα,cosβ・cosα,sinβ)…(4)
となる。
行路差dは、基線ベクトル(受信機21と受信機22とのベクトル)と方向余弦ベクトルSとの内積であり、
d=cosβ(xb・sinα+yb・cosα)…(5)
で表すことができる。
d=cosβ(xb・sinα+yb・cosα)…(5)
で表すことができる。
実際に測定を行う際は、送信機誤差やアンテナ誤差を消去するため、二重位相差を求める。送信機11および12、利用した際の二重位相差は送信波の波長をλとすると
(d11−d12)/λ={cosβ11(xb・sinα11+yb・cosα11)−cosβ12(xb・sinα12+yb・cosα12)}/λ …(6)
となる。α、βは、位置関係計算部4により、衛星の信号から求められるため、測定された(d11−d12)より基線ベクトルのxbおよびybの値を求めることができる。なお、未知数が2つのため、式は2つ必要になる。そのため送信機(例えば送信機N13)をもう1台使い、d11−d13求める。送信機が計3台あれば、2次元平面上の方向を求めることができる。
(d11−d12)/λ={cosβ11(xb・sinα11+yb・cosα11)−cosβ12(xb・sinα12+yb・cosα12)}/λ …(6)
となる。α、βは、位置関係計算部4により、衛星の信号から求められるため、測定された(d11−d12)より基線ベクトルのxbおよびybの値を求めることができる。なお、未知数が2つのため、式は2つ必要になる。そのため送信機(例えば送信機N13)をもう1台使い、d11−d13求める。送信機が計3台あれば、2次元平面上の方向を求めることができる。
なお、式(3)におけるθは、同じ値なので、sin2θ+cos2θ=1の関係を用いてθを求めてもよい。
計算で方向を求めるのではなく、基線ベクトルを1〜360度変化させたときに得られる二重位相差の値をあらかじめ計算で求めておき、実際に測定で得られた値を参照することによって求めてもよい。この場合、整数値バイアスを含んでいない二重位相差が得られるため、1〜360度の計算値全部を参照しなくとも、得られた測定値と一致、もしくは測定値±誤差のある程度の値だけ調べればよい。
少なくとも受信機21、22どちらかの絶対位置(たとえば緯度・経度・海抜など)があらかじめわかっている場合、もしくは受信機位置算出部3で受信機の位置が正確に得られる場合には、それら位置を利用して、受信機1つの位置情報と送信部との位置情報および位相差計算部6で求められた位相差から2つの受信機がなす基線ベクトルを求めることもできる。
なお、求める方向の次元を1つ増やし3次元にするならば、未知数がxb,yb,zbと3つになるため、もう一台送信機を増やすことで解決できる。このように次元が1つ増えても3つの式を求めるだけでよい。
バーチャルカメラ動作部8は、受信機位置算出部3により算出された位置および角度算出部7により算出された角度(すなわち方向)を取得し、その位置および角度に基づいた、コンテンツ空間を撮影するバーチャルカメラ視点から見えるコンテンツを、コンテンツ蓄積部9から取得する部分である。
コンテンツ蓄積部9は、重畳表示すべきコンテンツを蓄積する部分であり、このコンテンツは、現実空間の位置・方向と対応づけて蓄積されている。方向測定装置20が特定の位置・方向を向いたら、その位置・方向に対応付けられたコンテンツが取得されるように蓄積されている。たとえば、コンテンツがビルに重畳するような看板の情報であった場合には、どちら向きにコンテンツが向いているか、どの面を正面にして配置しているのか、把握されており、その方向に基づいてコンテンツが配置可能に蓄積されている。
コンテンツ表示部10は、コンテンツ蓄積部9のコンテンツのうち、バーチャルカメラ動作部8で得られるバーチャルカメラ視点での映像を表示する部分である。例えば、コンテンツ表示部10は、図9に示されるように、光学式シースルー式HMD(Head Mounted Display)であって、ユーザはレンズを通して現実空間の景色等を見るとともに、レンズ内側にて、コンテンツが表示される。結果的に、ユーザは、景色にコンテンツが重畳されて表示されるように見ることができる。なお、携帯端末のように、ディスプレイと周囲の映像を撮影するカメラを有するデバイスを用いて、現実空間の映像をカメラで撮影し、取得した現実空間の映像にコンテンツを重畳してもよい。
状態判断部31は、方向計測装置20の状態を判断する部分である。例えば、状態判断部31は、ジャイロ、加速度センサなどを用いて、方向計測装置20の状態、すなわちどの方向にどの程度傾いているか判断する。なお、ユーザが方向計測装置20の状態を入力するようにしても良く、例えば後述する携帯端末100において、カメラを利用するアプリケーションを起動したり、またはカメラを用いるとの指定がなされた場合に、その状態は、自然と決定されるものである。すなわち、カメラが使えるような状態であることが予め設定されており、その設定した数値を利用しても良い。後述する携帯端末100においては、概ね垂直方向の状態に設定されたことになる。また、同様にジャイロ等により動きを判断し、その動きに基づいてその装置の状態である傾きを判断することもできる。
このように構成された方向計測装置20を、HMDであるメガネ型ディスプレイに適用した場合の、その概観図を図9に示す。図9に示されるとおり、メガネのつるの先端部分と、メガネのレンズとつるの結合部分とに、それぞれ受信機21および受信機22を配置する。このめがね型ディスプレイは、ユーザがメガネをかけたときに、レンズを通してみた実際の風景等に対して、そのレンズ内側にコンテンツを表示するためのディスプレイ(すなわちコンテンツ表示部10に相当)を形成することで、風景とコンテンツとを重畳させることができる。ここで、受信機21と受信機22との間は、波長の1/2以下の長さであることが好ましいとされる。GPS搬送波は、約19cmであるため、その間隔は約9.5cm以下であるとして、以下説明する。受信機間を9.5cmにした場合、GPS衛星を利用した場合における位相差の絶対値を0.5未満にすることができる。
つぎに、このように構成された方向計測装置20の処理について説明する。図10は、方向計測装置20の処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、送信機として4台のGPSq・r・s・tを用い、GPS搬送波(L1波:波長約19cm)を受信できる受信機2台を用いる。それぞれ受信機21および22とする。
まず、コンテンツ表示部10には光学式シースルーHMDを利用し、眼鏡型のHMDの上に受信機21、受信機22を9.5cm以下の間隔で予め配置しておく。なお、通常、受信機21および受信機22は、予め同一端末上において固定して配置されている。そして、受信機21および22それぞれでGPSの搬送波L1波が受信される(S701)。そして、受信機位置算出部3により、受信機21の絶対位置(緯度・経度・海抜等)が4つの衛星により求められる(S702)。
位置関係計算部4により、受信機21からみたGPSq・r・s・tの仰角β・方位角αが求められる(S703)。そして、位相判断部5により、受信された波形に周波数変換器において電波のかけ算が行われ、差の部分だけが取り出され(ダウンコンバートされる)、搬送波位相式が導きだされる(S704)。この場合、衛星誤差・アンテナ誤差は含んだままとなる。
つぎに、位相差計算部6により、GPSq・r・s・tそれぞれの波の受信機21および受信機22の位相差が求められる(S705)。この形態の場合、ステップS703で導き出された搬送波位相式には衛星誤差・アンテナ誤差が含まれているため、二重位相差を求める。
位相差計算部6により、求められたそれぞれの2重位相差を元にした行路差dの差から受信機21を基準にした受信機21と受信機22との間の基線ベクトルが求められる(S706)。方向を求めるには基線ベクトルの初期値(基準)がわかっていなければならない。そこで初期値は受信機21を座標(0,0,0)、受信機22を座標(0,9.5,0)として、真北・水平を定める。なお、この“9.5”は、9.5cmに基づいて定められたものであり、便宜上、1cmを座標軸の1単位とする。
ステップS702およびS706で得られた方向計測装置20の向いている、初期値からの方向および装置の絶対位置を、コンテンツ操作をするためにコンテンツを蓄積してあるコンテンツ蓄積部9に出力する。
コンテンツ蓄積部9内には現実空間におけるコンテンツの配置情報が構築されており、現実空間内の座標(Xv、Yv、Zv)に応じてテキストや画像のコンテンツが配置されている。バーチャルカメラ動作部8が、ステップS702およびS706で得られた装置の向いている方向および装置の絶対位置の情報に基づいて、コンテンツ蓄積部9からコンテンツを取得し、そのコンテンツをレンズ内側に形成されているコンテンツ表示部10が表示することにより、現実空間とコンテンツとの重畳表示を行うことができる。(S708)。
これにより、拡張現実(AR:AugmentedReality)を実現する際、周囲の照明環境(日照含む)や物体を見る角度が、ユーザからの見る位置によって違うため、カメラでの現実空間の物体を認識するのは難しいという問題がある。しかし、本手法を用いることで、現実空間の物体を認識する必要がなくなり、安定したAR世界の実現ができる。
本手法では位相差を求める際、2重位相差を用いたが、ある程度の誤差を許容する場合には1重位相差でもよい。それ以外にも、受信機と送信機の同期があらかじめとれている装置を利用したり、送信機から発生される波がダウンコンバートしなくても受信機で十分な精度で受信できる場合などは1重位相差でもよい。
また、二重位相差をから2次元で方向を求める手法の場合、送信機が2台しかない場合は、受信機をもう1台増やすことによって同様に基線ベクトルを求めることができる。この場合、少なくとも受信機21、もしくは受信機22との位相差の絶対値が0.5未満になるように受信機を配置する。これら受信機の位置関係は固定されており、変わらない。アンテナの数は、位相差の絶対値が0.5未満になるように配置されるベクトル数+1が求めたい方向の次元になればよい。
つぎに、このようにして導出した基線ベクトルを用いて端末位置および方向に基づいたコンテンツ表示についての応用例について説明する。
図11は、本実施形態の方向計測装置20を搭載した携帯端末100の概観図である。図11に示すとおり、この携帯端末100は、アンテナ101〜104、カメラ108、ディスプレイ110、およびCPU111を備えている情報処理装置である。この携帯端末100は、本実施形態では、直方体の形状をとっている。
このアンテナ101〜104は、GPS衛星からの信号を受信する部分であり、上述の実施形態における受信機21〜24に相当する部分である。アンテナ101を中心に、アンテナ102〜104が別々の方向に配置されておいる。図11(a)に示すとおり、アンテナ102は、ディスプレイ110を正面に見た場合、奥行方向の角に設置されており、カメラ108の撮影方向と平行な軸上に配置されている。また、アンテナ103は、ディスプレイの長手方向の角に配置されており、アンテナ104は、ディスプレイ110と同一平面状における、長手方向に対して直角方向の角に配置されている。上述したとおり、位相差の絶対値を0.5未満にするために、各アンテナ同士は相互に9.5cm以下であることが必要である。
なお、本実施形態では、携帯端末100を直方体の形状を取るものとしたため、上述の説明となったが、携帯端末のある特定の部分から別々の方向に対してアンテナが配置されていればよい。
カメラ108は、撮影データを取得する部分であり、ディスプレイ110に対する背面側に配置されている。方向計測装置20におけるバーチャルカメラ動作部8に相当するものである。
ディスプレイ110は、カメラ108により取得された撮影データを表示するとともに、携帯端末100において記憶しているコンテンツ若しくは外部ネットワークを介して取得したコンテンツを表示する部分である。これは方向計測装置20コンテンツ表示部10に相当するものである。
CPU111は、携帯端末100に内蔵されている制御部分であり、携帯電話として機能するための処理を実行するとともに、上述の位相判断部5、受信機位置算出部3、位置関係計算部4、位相差計算部6、および角度算出部7の各機能を実行するものである。
そのほか、この携帯端末100は、コンテンツ蓄積部9に相当するメモリ部を備えている。もしくはコンテンツ蓄積部9およびバーチャルカメラ動作部8は、NW上のコンテンツサーバに備えられていてもよい。NWを介したコンテンツサーバ上にコンテンツ蓄積部9およびバーチャルカメラ動作部8が存在する場合、携帯端末100から、求められた携帯端末100の位置・方向をコンテンツサーバ上のバーチャルカメラ動作部8に送信し、その位置・方向をもとにバーチャルカメラを操作し、コンテンツ蓄積部9からバーチャルカメラ視点でのコンテンツの映像を取得し、そのコンテンツ映像を携帯端末100に送信し、携帯端末100で表示する。
このように構成された携帯端末100の処理について説明する。図12は、アンテナ101〜104のいずれの組合せで受信した信号に基づいて、携帯端末100の位置および方向の検出するための処理を示すフローチャートである。
まず、ユーザ操作によりカメラ108が利用されるか否かの設定が行われる(S802)。これは、図示しない操作部に基づいて行われる。ここでカメラ利用と選択された場合、携帯端末100の背面に備えられているカメラ108を利用するものと判断される。なお、カメラの向きによってカメラ利用の可否を判断することができ、例えば、図13(a)に示されるように、携帯端末100を水平面に対してほぼ垂直に立てて、カメラで撮影することが可能な状態である場合には、すなわちX−Z平面にほぼ平行の状態である場合には、カメラ利用が選択されたと判断する。また、図13(b)に示されるようにX−Y平面にほぼ平行の状態であると判断する場合には、カメラ利用は選択されないと判断される。カメラを用いる場合としては、ARアプリケーションを起動したい場合があげられる。カメラの向きは、装置に搭載の加速度センサなどで、装置の方向や傾きを測定することにより、把握することができる。
カメラ利用であると判断されると、アンテナ101およびアンテナ102を利用してGPSからの信号の波が受信される(S802)。そして、CPU111により、このGPSかの信号の波に基づいて、携帯端末の位置及び方向が決定される(S803)。通信部(図示せず)により決定された位置および方向はコンテンツサーバに送信され、その位置および方向に基づいたコンテンツが受信される(S804)。そして、カメラ108において撮影した撮影データに、コンテンツサーバから送信されたコンテンツが重畳され、ディスプレイ110に表示される(S805)。
また、ユーザ操作により、または図13(b)に示されるような、X−Y平面にほぼ平行な状態に携帯端末100がある場合には、カメラ利用をしない、と判断され、アンテナ101およびアンテナ103を利用してGPSからの波が受信される(S806)。なお、携帯端末100の傾きに応じて、アンテナ101およびアンテナ104の組合せを利用しても良い。例えば、図14(a)に示されるように、ユーザが携帯端末100を縦方向に向けた場合(ディスプレイが縦長に見えるように使用した場合)には、アンテナ101およびアンテナ103が選択される。図14(b)に示されるように携帯端末100を横方向に向けた場合、アンテナ101および104が選択されることになる。また、平行か否かの判断には、ある程度の幅が有り、概ね平行な状態であることが判断さればよい。
さらに、地表に基づいて携帯端末100の位置を判断することに加えて、ユーザとの相対関係に基づいて携帯端末100の位置を判断することもできる。例えば、携帯端末100にユーザを撮影するカメラを備え、ユーザの顔の向きを判断することにより、ユーザとの相対的な関係を判断することもできる。よって、ユーザが横になって携帯端末100を操作した場合でも、顔との関係で携帯端末100の縦横の状態を判断することができ、その状態に応じたアンテナを選択することができる。また、顔を判断することなく、携帯端末100をもっている手の位置に基づいて、使用するアンテナ(受信機)を判断するようにしても良い。
そして、CPU111により、このGPSからの信号の波に基づいて、携帯端末の位置及び方向が決定される(S807)。通信部(図示せず)により決定された位置および方向はコンテンツサーバに送信され、その位置および方向に基づいたコンテンツが受信される(S808)。そして、予め携帯端末100において、コンテンツサーバから送信されたコンテンツがレンズを通してみた現実空間に、レンズ内側に構成されるディスプレイ110に重畳して表示される(S809)。
また、携帯端末100で地図の画像データをNWを介して受信し、その地図に位置座標と関連づけられた店の情報(コンテンツサーバ内に登録されている)を重畳することもできる。このNWを介して受信した地図の情報は、携帯端末を動かすと、そのときの携帯端末の位置に応じて更新される。また、コンテンツサーバ内の座標と、NWを介して受信したコンテンツの座標は調整しておくことが望ましい。また、地図の画像データと店の情報などのコンテンツの重畳処理は、携帯端末100上で行ってもよいし、NW上のコンテンツサーバで行ってもよい。
さらに、携帯端末100のディスプレイにおいて、計測された現在位置からの方向を、矢印などの画像や文字により表示するようにしてもよい。
以上により、アンテナ複数用いることで、ディスプレイを見るときの方向が利用シーンによって変わる携帯端末(例えば携帯電話)であっても、カメラの起動や携帯端末の傾きを検知し、利用するアンテナをその都度変えることで方向を求めることができ、ARアプリケーションを利用することができる。
つぎに、この応用例における携帯端末100の変形例について説明する。この変形例においては、4台の送信機を用いて、屋内でのナビゲーションシステムを構築した場合を想定したものである。この送信機は屋内の天井に予め設置された送信機であり、送信機からの信号には少なくとも、各送信機のID(どの送信機からの信号なのかを判断できるもの)、送信機が設置されている位置情報および送信波を発信した時刻が含まれている。送信波の周波数は任意のものを用いることができる。受信機として少なくとも2つのアンテナを備えており、少なくともアンテナ101と、アンテナ103若しくはアンテナ104とを備える必要がある。
この2つのアンテナが1つの装置の中に配置され、アンテナを備えた装置を、携帯できる大きさにできることが望ましい。この装置は、例えば携帯端末であってディスプレイを寝かせて、横長になるように持つことを想定している。
図15は、変形例における携帯端末100の処理を示すフローチャートである。それぞれのアンテナ101および104で送信機から発信される波が受信される(S901)。そして、アンテナ101の絶対位置(x、y、z)が、4つの送信機から発せられる波の情報を利用して求められる(S902)。つぎに、アンテナ101からみた送信機の仰角および方位角が求められる(S903)。
そして、アンテナ101および104において受信した波の位相が求められる(S904)。ここで、受信した波の周波数が高く、何も処理をしない状態での波で位相を求めることができない場合は、受信した波形に周波数変換器において電波のかけ算を行い、差の部分だけを取り出す(ダウンコンバートする)ことで位相が導き出される。
受信波の位相から2つのアンテナ101および104で受信した波の位相差が求められる(S905)。受信波の周波数が高く、受信波に別の波を掛け合わせた場合は、二重位相差を求める。そうでない場合は一重位相差でよい。
そして、求められた位相差を元にした行路差の差からアンテナ101を基準にしたアンテナ101−アンテナ104間の基線ベクトルが求められる(S906)。基線ベクトルに基づいて、アンテナ101から送信機に対する、方向を求めるには基線ベクトルの初期値(基準)がわかっていなければならない。そこで初期値はアンテナ101を(0,0,0)、アンテナ104を(0,L,0)として、この初期ベクトルを真北・水平とする。
そして、携帯端末100の向いている方向および装置の絶対位置は、コンテンツ操作をするためにコンテンツを記憶するコンテンツサーバに送信される(S907)。そして、コンテンツサーバにおいて、携帯端末100の方向および位置に基づいたコンテンツが取得され、当該コンテンツが表示部に表示される(S908)。なお、カメラを利用している場合には、その撮影データと合成処理がなされる。
なお、コンテンツサーバ内には3次元バーチャル空間が構築されており、バーチャル空間内の座標(Xv、Yv、Zv)に応じてテキストや画像のコンテンツが配置されている。ステップS902およびS904で得られた装置の向いている方向および装置の絶対位置の情報をバーチャル空間の座標に対応づけられている。
そして、現実空間の映像を取り込んだ携帯端末にそのまま表示することで、屋内であってもナビゲーションシステムを利用することができる。また、送信機から発信される波に各送信機のID、送信機の位置情報、および送信波を発信した時刻が含まれていれば、GPSでなくとも送信機として利用することができる。
送信機の位置が固定で動かない場合は、あらかじめ送信機のIDと位置を対応させてサーバなどに登録しておけば、送信機から位置情報を発信しなくても、IDがわかればサーバに問い合わせることで送信機の位置を取得することもできる。
上述携帯端末100において、カメラ108を配置する位置として、ディスプレイに対して背面に配置することのほか、図16に示されるとおり、携帯端末100の側面部分に備えても良い。一般的に携帯端末100を操作するときには、ディスプレイ面は、地面と平行である場合が多い。よって、ユーザが操作する向きに応じた位置、すなわち携帯端末100の上部側面部分にカメラを配置すると実用上有効であると考えられる。
つぎに、本実施形態の方向計測装置20およびこれを備えた携帯端末100の作用効果について説明する。本実施形態の方向計測装置20によれば、受信機位置算出部3は、送信機11〜1nからの無線信号に基づいて、自装置の現在位置を測位し、位置関係計算部4は、測位された装置の現在位置に基づいて、方位角と仰角とを算出する。
そして、受信機21〜2nで受信された少なくとも2つの無線信号の波の位相を、位相判断部5がそれぞれ取得し、位相差計算部6が、当該少なくとも2つの無線信号の波の位相差を測定し、角度算出部7が、前記位置関係計算部4により算出された方位角および仰角と、測定された位相差に基づいて、受信機位置算出部3において測位された現在位置からの方向を算出する。そして、それぞれの受信された無線信号の波との位相差の絶対値が0.5未満になるように、受信機21〜2nが配置されている。これにより、位相差の絶対値を0.5未満とすることができ、整数値バイアスを考慮することなく、位相差を決定することができ、位相差に基づいた方向を決定することができる。
また、本実施形態の方向計測装置20によれば、受信機21〜23の少なくとも3つ配置しており、状態判断部31は、方向計測装置20の状態を判断し、位相判断部5は、判断された状態に基づいて少なくとも3つの受信機21〜23のうち、2つの受信機の組合せを決定する。そして、位相差計算部6は、その組み合わせが決定された受信機により受信された無線信号の波に基づいて、位相差を算出し、角度算出部7は、方向計測装置の方向を算出する。これにより、装置の状態に基づいた適切なアンテナの組合せを決定することができ、正確な方向を算出することができる。
この方向計測装置20の受信機は、GPS衛星からの無線信号を受信することができるものであり、それぞれ9.5cm以下の間隔で配置されていると、GPS衛星を利用した方向の算出を精度良く行うことができる。
また、この方向計測装置20を備えた携帯端末100において、コンテンツ蓄積部9に記憶されているコンテンツを、角度算出部7により算出された方向に基づいた方向・位置で示される場所に、コンテンツ表示部10は表示する。これにより、正確な方向に基づいて。現実空間に対してコンテンツの表示処理を行うことができ、正確な情報、すなわちコンテンツが合成された現実空間をユーザに対して提供することができる。
また、携帯端末100のディスプレイにおいて、計測された現在位置からの方向を、矢印などの画像や文字により表示するようにしてもよい。これにより、携帯端末100をコンパスがわりにすることができる。
1…送信部、2…受信部、3…受信機位置算出部、4…位置関係計算部、5…位相判断部、6…位相差計算部、7…角度算出部、8…バーチャルカメラ動作部、11-1n…受信機、21-2n…受信機、31…状態判断部、9…コンテンツ蓄積部、10…コンテンツ表示部、100…携帯端末、101…アンテナ、102…アンテナ、103…アンテナ、104…アンテナ、108…カメラ、110…ディスプレイ。
Claims (6)
- 無線信号の波を受信する少なくとも2つ以上の受信手段と、
前記受信手段により受信された無線信号に基づいて、現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された装置の現在位置に基づいて、方位角と仰角とを算出する算出手段と、
前記受信手段により受信された無線信号の波の位相をそれぞれ取得する位相取得手段と、
前記位相取得手段により取得された、2つの無線信号の波の位相差を測定する位相差測定手段と、
前記測位手段により測位された現在位置からの方向を、前記算出手段により算出された方位角および仰角と、前記位相差測定手段により測定された位相差とに基づいて算出する方向算出手段と、を備え、
前記2つ以上の受信手段は、一の受信手段により受信された波と、他の受信手段により受信された波との位相差の絶対値が0.5未満になるように配置されている
ことを特徴とする方向計測装置。 - 前記受信手段は、少なくとも3つ配置されており、
前記方向計測装置の傾きおよび動きの少なくとも一つを判断する状態判断手段と、
前記状態判断手段により判断された傾きおよび動きの少なくとも一つに基づいて前記少なくとも3つの受信手段のうち、2つの受信手段の組合せを決定する決定手段と、
を備え、
前記方向算出手段は、前記決定手段により決定された受信手段により受信された無線信号の波に基づいて、前記方向計測装置の方向を算出することを特徴とする請求項1に記載の方向計測装置。 - 前記少なくとも2つ以上の受信手段は、GPS衛星からの無線信号を受信するものであって、
前記少なくとも2つ以上の受信手段は、前記GPS衛星からの無線信号の波長の2分の1以下の間隔で配置されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方向計測装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の方向計測装置と、
コンテンツと現実空間における配置位置とを記憶するコンテンツ記憶手段と、
前記方向計測装置において算出された方向および位置に基づいた場所に、前記コンテンツ記憶手段に記憶されているコンテンツを表示する表示手段と、
を備える情報処理装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の方向計測装置と、
前記方向計測装置において計測された現在位置からの方向を表示する表示手段と
を備える情報処理装置。 - 一の受信手段により受信された波と、他の受信手段により受信された波との位相差の絶対値が0.5未満になるように配置されている複数の受信手段を備える方向計測装置における方向計測方法において、
無線信号の波を受信する2つ以上の受信ステップと、
前記受信ステップにより受信された無線信号に基づいて、現在位置を測位する測位ステップと、
前記測位ステップにより測位された装置の現在位置に基づいて、方位角と仰角とを算出する算出ステップと、
前記受信ステップにより受信された無線信号の波の位相をそれぞれ取得する位相取得ステップと、
前記位相取得ステップにより取得された、2つの無線信号の波の位相差を測定する位相差測定ステップと、
前記測位ステップにより測位された現在位置からの方向を、前記算出手段により算出された方位角および仰角と、前記位相差測定ステップにより測定された位相差の絶対値が0.5未満の位相差とに基づいて算出する方向算出ステップと、を備え、
ことを特徴とする方向計測方法。
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