JP2013142192A - 金型製造方法、金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】所要の凹凸パターンが転写された製品を作成するための金型を電鋳により製造する場合において、鋳型からの離型性を良好としつつパターン転写精度の低下の防止を図る方法を提供する。
【解決手段】所要の凹凸パターンが形成された鋳型に対して無電解めっき用の触媒をドライプロセス(例えばスパッタリング法など)により成膜した上で、該触媒を用いた無電解めっき処理により第1導電膜を成膜する。さらに、該第1導電膜を成膜した鋳型に対して電鋳を行い、該電鋳後、鋳型からの離型を行って上記凹凸パターンが転写された金型を得る。
【選択図】図1
【解決手段】所要の凹凸パターンが形成された鋳型に対して無電解めっき用の触媒をドライプロセス(例えばスパッタリング法など)により成膜した上で、該触媒を用いた無電解めっき処理により第1導電膜を成膜する。さらに、該第1導電膜を成膜した鋳型に対して電鋳を行い、該電鋳後、鋳型からの離型を行って上記凹凸パターンが転写された金型を得る。
【選択図】図1
Description
本技術は、所要の凹凸パターンが形成された鋳型に対して電鋳を行って上記凹凸パターンが転写された金型を得る金型製造方法に関する。また、上記凹凸パターンが転写された金型に関する。
例えば光ディスク記録媒体やモスアイ(Moth Eye:蛾の眼)基板等、微細な凹凸構造を有する製品の量産にあたっては、いわゆるナノインプリントなどとして知られるように、金型を用いたパターン転写技術が広く用いられている。例えば、上記金型に紫外線硬化樹脂や熱可塑性樹脂を流し込み硬化処理を施し、硬化後材料を上記金型から剥離することで微細凹凸パターンが転写された製品を得るというものである。
このとき、上記金型については、その元となる原盤に対する電鋳を行って製造するようにされている。
具体的に、上記金型の製造にあたっては、先ずは微細凹凸パターンを形成した原盤を作成する。例えば原盤材料としてはSi(シリコン)、SiO2(石英)、Al2O3(サファイア)などが用いられ、このような原盤材料に対して例えば電子ビームやレーザビームによる露光処理とエッチング処理を行って微細な凹凸パターンが形成された原盤を得る。
具体的に、上記金型の製造にあたっては、先ずは微細凹凸パターンを形成した原盤を作成する。例えば原盤材料としてはSi(シリコン)、SiO2(石英)、Al2O3(サファイア)などが用いられ、このような原盤材料に対して例えば電子ビームやレーザビームによる露光処理とエッチング処理を行って微細な凹凸パターンが形成された原盤を得る。
上記金型は、このように作成した原盤に対して直接的に電鋳を行って作成しても良いが、一般に原盤はその価格が高価とされるため、原盤に対する直接的な電鋳は避けられる傾向にある。従って多くの場合、原盤上の形成パターンをさらに転写した転写原盤を作成し、該転写原盤に対する電鋳を行って上記金型を得るようにされている。
このとき、上記転写原盤の作成は、前述した金型から製品へのパターン転写と同様にナノインプリント技術を用いて行われ、従って該転写原盤としては紫外線硬化樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂材料で構成される。
このとき、上記転写原盤の作成は、前述した金型から製品へのパターン転写と同様にナノインプリント技術を用いて行われ、従って該転写原盤としては紫外線硬化樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂材料で構成される。
ここで、上記原盤又は転写原盤を鋳型として用いた電鋳により上記金型を作成するにあたっては、それら鋳型上に電鋳用の導電膜を成膜するということが行われる。
この導電膜については、例えばスパッタリングのようなドライプロセス、或いは無電解めっき処理のようなウェット処理による成膜が一般に行われている。
この導電膜については、例えばスパッタリングのようなドライプロセス、或いは無電解めっき処理のようなウェット処理による成膜が一般に行われている。
上記導電膜を成膜した鋳型を、例えばニッケルめっき液などのめっき液中で電鋳し、上記導電膜上に金属材料を折出する。そして電鋳後、鋳型からの離型を行うことで、鋳型に形成された凹凸パターンが転写された金型を得ることができる。
ところで、近年においては、製品に形成すべき凹凸パターンに関してナノオーダー程度の微細化が要請され、またアスペクト比についても2以上に高めることが要請されている。
このような近年の事情の下では、鋳型上の微細パターンに対して上記導電膜を精度よく形成し、その後の電鋳でパターン形状を劣化させること無く離形することが非常に困難となってきている。
以下、その具体的な理由について上記導電膜の成膜手法ごとに場合を分けて説明する。
このような近年の事情の下では、鋳型上の微細パターンに対して上記導電膜を精度よく形成し、その後の電鋳でパターン形状を劣化させること無く離形することが非常に困難となってきている。
以下、その具体的な理由について上記導電膜の成膜手法ごとに場合を分けて説明する。
[電鋳に必要な導電膜をスパッタリング法により形成した場合]
導電膜をドライプロセス、特にスパッタリング法により成膜する手法を採った場合には、導電膜の形成材料である例えばNi(ニッケル)やAg(銀)、酸化タングステン等の鋳型に対する密着が非常に強固となる。このため、電鋳後の鋳型からの離型性が悪く、鋳型の素材の一部が金型側に一部転写(付着)されるなどして、パターン転写精度が悪化するものである。
また、導電膜が鋳型に対して強密着に成膜されていると、電鋳後の離型処理において鋳型と金型とが擦れ合うことで金型の表面の一部が捲れ上がり、この点でもパターン転写精度の悪化を招くことになる。
導電膜をドライプロセス、特にスパッタリング法により成膜する手法を採った場合には、導電膜の形成材料である例えばNi(ニッケル)やAg(銀)、酸化タングステン等の鋳型に対する密着が非常に強固となる。このため、電鋳後の鋳型からの離型性が悪く、鋳型の素材の一部が金型側に一部転写(付着)されるなどして、パターン転写精度が悪化するものである。
また、導電膜が鋳型に対して強密着に成膜されていると、電鋳後の離型処理において鋳型と金型とが擦れ合うことで金型の表面の一部が捲れ上がり、この点でもパターン転写精度の悪化を招くことになる。
[電鋳に必要な導電膜を無電解めっき法により形成した場合]
無電解めっきによる成膜は、ドライプロセスによる成膜と比較して低密着な成膜となる。従って離型性の面ではドライプロセスとの比較で優位となる。
ここで、一般に無電解めっきを行う場合、その前処理として、鋳型の表面(パターン形成面)に対しPd(パラジウム)等の触媒を吸着させ、その触媒上で酸化還元反応により無電解めっき膜を形成することになる。
具体的に上記前処理としては、界面活性剤により上記パターン形成面を親水性とした後に、触媒形成用材料(例えば塩化パラジウムの保護コロイド)を吸着させ、アクセレータ等の酸処理により保護コロイドの一部を除去して触媒を活性化させる。無電解めっき法では、このように吸着させた触媒の表面でめっき液中の還元剤が酸化されるときに放出される電子を利用してめっき被膜が生成される。
無電解めっきによる成膜は、ドライプロセスによる成膜と比較して低密着な成膜となる。従って離型性の面ではドライプロセスとの比較で優位となる。
ここで、一般に無電解めっきを行う場合、その前処理として、鋳型の表面(パターン形成面)に対しPd(パラジウム)等の触媒を吸着させ、その触媒上で酸化還元反応により無電解めっき膜を形成することになる。
具体的に上記前処理としては、界面活性剤により上記パターン形成面を親水性とした後に、触媒形成用材料(例えば塩化パラジウムの保護コロイド)を吸着させ、アクセレータ等の酸処理により保護コロイドの一部を除去して触媒を活性化させる。無電解めっき法では、このように吸着させた触媒の表面でめっき液中の還元剤が酸化されるときに放出される電子を利用してめっき被膜が生成される。
しかしながら、鋳型として原盤そのものを用いる場合、すなわち前述したシリコンや石英などの無機材料による原盤に対する電鋳用導電膜の形成を行う場合には、上記の前処理の手法(つまりウェット処理)では、触媒を殆ど吸着させることができない。
原盤に対しシランなどのカップリング剤を塗布したりジンケート処理を施して触媒を吸着させることも考えられる(例えば上記特許文献1を参照)が、その場合には無電解めっき膜の密着力が小さすぎて簡単に剥がれ落ちてしまう虞がある。
原盤に対しシランなどのカップリング剤を塗布したりジンケート処理を施して触媒を吸着させることも考えられる(例えば上記特許文献1を参照)が、その場合には無電解めっき膜の密着力が小さすぎて簡単に剥がれ落ちてしまう虞がある。
また、鋳型として前述の転写原盤(樹脂製原盤)を用いる場合、該転写原盤としてはナノオーダーによる微細パターンを原盤から精度よく転写するために、その表面にフッ素系の離型剤が塗られていたり、或いは樹脂自体の成分(骨格)中にフッ素が混入していることが多い。
このようにフッ素成分が含有されることで、この場合の鋳型としては固体の表面自由エネルギーが過大となるため、鋳型表面の親水化が困難であり、従って触媒を吸着させることが非常に困難となる。
このようにフッ素成分が含有されることで、この場合の鋳型としては固体の表面自由エネルギーが過大となるため、鋳型表面の親水化が困難であり、従って触媒を吸着させることが非常に困難となる。
また、無電解めっき法は離型性の高い膜を形成できるというメリットはあるが、その処理が前処理も含めウェット処理で行われ、薬品塗布と水洗が8回以上行われるため、鋳型表面に対する触媒の吸着量が不均一となり易い。
触媒の吸着が不均一であると、無電解めっき膜としてもその成膜状態が不均一となり、結果、外観むらが発生する。すなわち、パターン転写精度の低下を招くものである。
触媒の吸着が不均一であると、無電解めっき膜としてもその成膜状態が不均一となり、結果、外観むらが発生する。すなわち、パターン転写精度の低下を招くものである。
本技術は上記のような問題点に鑑み為されたものであり、所要の凹凸パターンが転写された製品を作成するための金型を電鋳により製造する場合において、鋳型からの離型性を良好としつつパターン転写精度の低下防止を図ることをその課題とする。
上記課題の解決のため、本技術では金型製造方法として以下を提案する。
すなわち、本技術の金型製造方法は、所要の凹凸パターンが形成された鋳型の上記凹凸パターンの形成面側に対して、無電解めっきの触媒として機能し得る触媒材料をドライプロセスにより成膜する触媒成膜工程を有する。
また、上記触媒材料を触媒として無電解めっき処理を行って上記鋳型に対し第1導電膜を成膜する無電解めっき工程を有する。
また、上記無電解めっき工程により上記第1導電膜が成膜された上記鋳型に基づく電鋳処理を行って金属材料を折出する電鋳工程を有する。
また、上記鋳型上に形成された金属材料を剥離して上記凹凸パターンが転写された金型を得る離型工程を有するものである。
すなわち、本技術の金型製造方法は、所要の凹凸パターンが形成された鋳型の上記凹凸パターンの形成面側に対して、無電解めっきの触媒として機能し得る触媒材料をドライプロセスにより成膜する触媒成膜工程を有する。
また、上記触媒材料を触媒として無電解めっき処理を行って上記鋳型に対し第1導電膜を成膜する無電解めっき工程を有する。
また、上記無電解めっき工程により上記第1導電膜が成膜された上記鋳型に基づく電鋳処理を行って金属材料を折出する電鋳工程を有する。
また、上記鋳型上に形成された金属材料を剥離して上記凹凸パターンが転写された金型を得る離型工程を有するものである。
上記のように本技術では、所要の凹凸パターンが形成された鋳型に対して無電解めっき用の触媒をドライプロセス(例えばスパッタリング法など)により成膜した上で、該触媒を用いた無電解めっき処理により第1導電膜を成膜するものとしている。そして、該第1導電膜を成膜した鋳型に対して電鋳を行い、該電鋳後、鋳型からの離型を行って上記凹凸パターンが転写された金型を得るものとしている。
無電解めっきの触媒をドライプロセスにより成膜しているので、該触媒を鋳型(パターン形成面)に対して確実且つ均一に吸着できる。また一方で、触媒の成膜は低密着に行うものとすれば、離型時に鋳型の一部が剥がれ金型側に付着(転写)されてしまうといった事態の発生を効果的に防止できる。また本技術では無電解めっき法を採用しているので離型性は良好となる。
これらの結果、上記本技術によれば、鋳型からの離型性を良好なものとしつつ、触媒の不均一吸着に伴う無電解めっき膜の成膜むらに起因したパターン転写精度の低下を効果的に防止できる。
無電解めっきの触媒をドライプロセスにより成膜しているので、該触媒を鋳型(パターン形成面)に対して確実且つ均一に吸着できる。また一方で、触媒の成膜は低密着に行うものとすれば、離型時に鋳型の一部が剥がれ金型側に付着(転写)されてしまうといった事態の発生を効果的に防止できる。また本技術では無電解めっき法を採用しているので離型性は良好となる。
これらの結果、上記本技術によれば、鋳型からの離型性を良好なものとしつつ、触媒の不均一吸着に伴う無電解めっき膜の成膜むらに起因したパターン転写精度の低下を効果的に防止できる。
上記のように本技術によれば、所要の凹凸パターンが転写された製品を作成するための金型を電鋳により製造する場合において、鋳型からの離型性を良好としつつパターン転写精度の低下防止を図ることができる。
以下、本技術に係る実施の形態について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
<1.実施の形態としての金型製造方法>
<2.具体的な実施例>
<3.変形例>
なお、説明は以下の順序で行う。
<1.実施の形態としての金型製造方法>
<2.具体的な実施例>
<3.変形例>
<1.実施の形態としての金型製造方法>
先ず、実施の形態で製造する金型についての前提事項について説明しておく。
実施の形態で製造する金型は、例えばサブミクロンオーダーやナノメートルオーダー程度の微細な凹凸パターンが形成された光学製品を製造するための金型となる。
具体的に、この場合に想定する光学製品としては、モスアイ(Moth Eye:蛾の眼)構造を有する製品や光記録媒体等を挙げることができる。
先ず、実施の形態で製造する金型についての前提事項について説明しておく。
実施の形態で製造する金型は、例えばサブミクロンオーダーやナノメートルオーダー程度の微細な凹凸パターンが形成された光学製品を製造するための金型となる。
具体的に、この場合に想定する光学製品としては、モスアイ(Moth Eye:蛾の眼)構造を有する製品や光記録媒体等を挙げることができる。
モスアイ構造を有する光学製品の例としては、LED(Light Emitting Diode)の光取り出し部や太陽電池の光取り込み部、或いは無反射フィルム等を挙げることができる。
なお、光記録媒体とは、光の照射により情報の記録/再生が行われる記録媒体を総称したものである。
なお、光記録媒体とは、光の照射により情報の記録/再生が行われる記録媒体を総称したものである。
実施の形態で製造する金型は、これらの光学製品をナノインプリント技術を用いて作成するための金型として用いられる。例えば、上記金型に対し紫外線硬化樹脂や熱可塑性樹脂を流し込み硬化処理を施し、硬化後材料を上記金型から剥離(離型)することで微細凹凸パターンが転写された光学製品を得る。
このような金型は、そのマスターとなる原盤を鋳型として電鋳を行うことで製造できる。
前述もしたように、上記原盤の材料としてはSi(シリコン)、SiO2(石英)、Al2O3(サファイア)などが用いられる。
このような無機材料による原盤に対して例えば電子ビームやレーザビームによる露光処理とエッチング処理を行って微細な凹凸パターンが形成された原盤を得る。
前述もしたように、上記原盤の材料としてはSi(シリコン)、SiO2(石英)、Al2O3(サファイア)などが用いられる。
このような無機材料による原盤に対して例えば電子ビームやレーザビームによる露光処理とエッチング処理を行って微細な凹凸パターンが形成された原盤を得る。
ここで、上記のように製造される原盤自体は一般にその価格が高価とされるため、該原盤を鋳型として直接的に電鋳を行うことは避けられる傾向にあり、多くの場合、原盤上の形成パターンをさらに転写した転写原盤を作成し、該転写原盤を鋳型とした電鋳を行って上記金型を得るということが行われている。
この転写原盤の作成は、上述した金型から光学製品へのパターン転写と同様にナノインプリント技術を用いて行われ、従って該転写原盤としては紫外線硬化樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂材料で構成されることになる。
なお、上記ではパターン転写にあたり液状の樹脂を用いる場合を例示したが、フィルム状の紫外線硬化樹脂や熱可塑性樹脂を原盤に押し当てた状態で硬化処理を施すことによってもパターン転写を実現できる。このとき、フィルム状の樹脂材料としては例えばPET(PolyEthylene Terephthalate)樹脂等を用いることができる。
この転写原盤の作成は、上述した金型から光学製品へのパターン転写と同様にナノインプリント技術を用いて行われ、従って該転写原盤としては紫外線硬化樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂材料で構成されることになる。
なお、上記ではパターン転写にあたり液状の樹脂を用いる場合を例示したが、フィルム状の紫外線硬化樹脂や熱可塑性樹脂を原盤に押し当てた状態で硬化処理を施すことによってもパターン転写を実現できる。このとき、フィルム状の樹脂材料としては例えばPET(PolyEthylene Terephthalate)樹脂等を用いることができる。
以上の前提を踏まえ、実施の形態としての金型製造方法について説明する。
図1は、実施の形態の金型製造方法の具体的手順についての説明図である。
実施の形態の金型製造方法は、大別して1)無電解めっき用の触媒成膜工程、2)無電解めっき法による第1導電膜成膜工程、3)第2導電膜成膜工程、4)電鋳工程、5)離型工程に分けることができる。
図1は、実施の形態の金型製造方法の具体的手順についての説明図である。
実施の形態の金型製造方法は、大別して1)無電解めっき用の触媒成膜工程、2)無電解めっき法による第1導電膜成膜工程、3)第2導電膜成膜工程、4)電鋳工程、5)離型工程に分けることができる。
図1Aは、1)の触媒成膜工程について示している。
先ず、無電解めっき用の触媒2としては、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)等を挙げることができる。本例では触媒2としてPdを用いる場合を例示するが、触媒2としては無電解めっきの触媒となり得る材料であれば何れを選定するかは特に問わない。
先ず、無電解めっき用の触媒2としては、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)等を挙げることができる。本例では触媒2としてPdを用いる場合を例示するが、触媒2としては無電解めっきの触媒となり得る材料であれば何れを選定するかは特に問わない。
触媒成膜工程では、上述した原盤又は転写原盤としての鋳型1に対し、触媒2としてのPdをドライプロセスにより成膜する。具体的には、鋳型1の表面(凹凸パターンの形成面)に対し、スパッタリング法や真空蒸着法などといったドライプロセスにより触媒2を所定以下の密着度で成膜する。
このとき、触媒2の密着度は、スパッタリングや蒸着で用いる直流又は交流電源出力、及びガス圧の設定により調整できる。具体的に、該密着度については、上記直流又は交流電源出力を低くし、また上記ガス圧を高めることによって低下させることができる。
このとき、触媒2の密着度は、スパッタリングや蒸着で用いる直流又は交流電源出力、及びガス圧の設定により調整できる。具体的に、該密着度については、上記直流又は交流電源出力を低くし、また上記ガス圧を高めることによって低下させることができる。
図1Bは、2)の第1導電膜成膜工程について示している。
2)の第1導電膜成膜工程では、鋳型1に成膜された触媒2を用いた無電解めっき処理を行うことで、電鋳工程で必要とされる第1導電膜3を成膜する。
ここで、無電解めっきにより成膜する第1導電膜3は、メインの導電膜となる。このように無電解めっきで成膜した第1導電膜3をメインの導電膜とするのは、無電解めっき層は比較的低密着とされるため電鋳後の離型時に鋳型1側との離型性を高くすることができ、転写精度の向上が図られるためである。
2)の第1導電膜成膜工程では、鋳型1に成膜された触媒2を用いた無電解めっき処理を行うことで、電鋳工程で必要とされる第1導電膜3を成膜する。
ここで、無電解めっきにより成膜する第1導電膜3は、メインの導電膜となる。このように無電解めっきで成膜した第1導電膜3をメインの導電膜とするのは、無電解めっき層は比較的低密着とされるため電鋳後の離型時に鋳型1側との離型性を高くすることができ、転写精度の向上が図られるためである。
なお確認のため述べておくと、無電解めっき法は、電気めっき法のように通電を必要としないため、樹脂材料やセラミックスのような不導体にもめっきが可能であるという利点を有する。
第1導電膜3の材料としては、Ni、Cu、Co(コバルト)、Cr(クロム)、Ag、Au(金)、酸化タングステン等を挙げることができる。本例において、第1導電膜3は無電解ニッケルめっき液を用いて行う。従ってこの場合、第1導電膜3はニッケルを主成分とした材料で構成されることになる。
図1Cは、3)の第2導電膜成膜工程について示している。
該第2導電膜成膜工程では、無電解めっきにより成膜した第1導電膜3上に対し、第2導電膜4をドライプロセスにより成膜する。
ここで、第2導電膜4の材料としては、無電解めっきにより成膜された第1導電膜3と同材料を用いることが望ましい。本例の場合、無電解めっきで成膜された第1導電膜3はNiP(ニッケル-リン合金)とされ、これに応じ第2導電膜成膜工程では、第2導電膜4としてNiPを成膜する。
また、第2導電膜4は、無電解めっきで成膜された第1導電膜3の破損を防ぐため、所定以下の密着度で成膜する。
なお、第2導電膜4を成膜することの意義については後述する。
該第2導電膜成膜工程では、無電解めっきにより成膜した第1導電膜3上に対し、第2導電膜4をドライプロセスにより成膜する。
ここで、第2導電膜4の材料としては、無電解めっきにより成膜された第1導電膜3と同材料を用いることが望ましい。本例の場合、無電解めっきで成膜された第1導電膜3はNiP(ニッケル-リン合金)とされ、これに応じ第2導電膜成膜工程では、第2導電膜4としてNiPを成膜する。
また、第2導電膜4は、無電解めっきで成膜された第1導電膜3の破損を防ぐため、所定以下の密着度で成膜する。
なお、第2導電膜4を成膜することの意義については後述する。
図1Dは、4)の電鋳工程について示している。
該電鋳工程では、上記の各工程によって導電膜が成膜された鋳型1に対する電鋳(浴式電気めっき)を行う。
この電鋳工程で成膜するめっき5aの材料としては、Ni、Cu、Cr、Fe(鉄)、NiCu(ニッケル-銅合金)、NiFe(ニッケル-鉄合金)、NiCo(ニッケル-コバルト合金)、NiW(ニッケル-タングステン合金)等を挙げることができる。本例では、Niを主成分とする導電膜を成膜するので、これに対応しニッケルめっき液を用いた電鋳を行う。
該電鋳工程では、上記の各工程によって導電膜が成膜された鋳型1に対する電鋳(浴式電気めっき)を行う。
この電鋳工程で成膜するめっき5aの材料としては、Ni、Cu、Cr、Fe(鉄)、NiCu(ニッケル-銅合金)、NiFe(ニッケル-鉄合金)、NiCo(ニッケル-コバルト合金)、NiW(ニッケル-タングステン合金)等を挙げることができる。本例では、Niを主成分とする導電膜を成膜するので、これに対応しニッケルめっき液を用いた電鋳を行う。
電鋳工程により所定厚のめっき5aを成膜した後は、図1Eに示す離型工程を行う。すなわち、上記の各工程により形成した膜全体を鋳型1より剥離することで、該鋳型1の表面に形成された凹凸パターンが転写された金型5を得るものである。
ここで、上記により説明した触媒成膜工程において触媒2をドライプロセスにより成膜するものとしているのは、触媒2を均一に鋳型1表面に吸着させることができるためである。
通常、無電解めっきの前処理はウェット処理であるため、触媒2の吸着むら、不均一性が起こり易く、無電解めっき膜が成長した際に外観が汚くなる。これに対し、触媒2をスパッタリングや真空蒸着等のドライプロセスにより成膜する本実施の形態によれば、触媒2を均一に吸着させることができ、結果、無電解めっき膜の成膜むらの防止を図ることができる。
通常、無電解めっきの前処理はウェット処理であるため、触媒2の吸着むら、不均一性が起こり易く、無電解めっき膜が成長した際に外観が汚くなる。これに対し、触媒2をスパッタリングや真空蒸着等のドライプロセスにより成膜する本実施の形態によれば、触媒2を均一に吸着させることができ、結果、無電解めっき膜の成膜むらの防止を図ることができる。
また、ドライプロセスによれば、鋳型1がシリコン等の無機材料で構成される場合(つまり原盤そのものの場合)、及び表面自由エネルギーの大となる材料で構成されている場合(つまりフッ素混入が想定される転写原盤に対し電鋳を行うとした場合)の何れであっても、触媒2を確実に吸着させることができる。また、アスペクト比の高い凹凸パターン形状でも、パターン底面まで確実に触媒2を吸着させることができる。
また一方で、この場合のドライプロセスによる成膜は上述のように低密着に行うので、離型時に鋳型1の一部が剥がれ金型5側に付着してしまうといった事態の発生を効果的に防止できる。つまりこの点で、ドライプロセスで直接的に導電膜の成膜を行う従来において生じていたパターン転写精度の低下を効果的に防止できる。
さらに本実施の形態では、メインとなる導電膜(第1導電膜3)は無電解めっき(ウェット処理)により成膜するものとしているので、比較的低密着の導電膜を成膜でき、離型性を向上できる。
また、本実施の形態では、第1導電膜3上に対してドライプロセスにより第2導電膜4を成膜するものとしているが、該第2導電膜4は、比較的低密着に盛られた第1導電膜3を適度に押さえつける(支持する)べく成膜されるものである。このため、該第2導電膜4の成膜により、電鋳のための電流が流されめっき皮膜が成長する電鋳初期時において、低密着力の無電解ニッケル膜(第1導電膜3)が電気的な負荷や熱、めっき応力によって鋳型1側から剥がれ落ちてしまうことを効果的に防止できる。
但し、第2導電膜4はドライプロセスで成膜するので、これを高密着に成膜してしまうと低密着に盛られた第1導電膜3が破損してしまう虞がある。そのため、第2導電膜4は低密着に成膜するものである。
また、第1導電膜3のみでなく第2導電膜4をさらに成膜することによっては、電鋳時の導電性を向上させることができる。
電鋳時の導電性を確保するにあたっては、無電解めっきで生成する第1導電膜3の厚さを大とすればよいが、低密着の第1導電膜3の厚さを大としてしまうと応力により第1導電膜3が剥がれ落ち易くなってしまい、結果として第1導電膜3の厚さは大とすることができない。
そこで、第1導電膜3に加えて第2導電膜4を成膜することで、第1導電膜3を単体で成膜する場合よりも導電性を向上させているものである。
電鋳時の導電性を確保するにあたっては、無電解めっきで生成する第1導電膜3の厚さを大とすればよいが、低密着の第1導電膜3の厚さを大としてしまうと応力により第1導電膜3が剥がれ落ち易くなってしまい、結果として第1導電膜3の厚さは大とすることができない。
そこで、第1導電膜3に加えて第2導電膜4を成膜することで、第1導電膜3を単体で成膜する場合よりも導電性を向上させているものである。
また、本例では、第2導電膜4の材料は無電解めっきにより折出される第1導電膜3と同材料を用いものとしているが、このことで、離型時に金型5が鋳型1の表面以外の部分から剥離されて、パターン転写精度が悪化してしまうことを防止できる。
具体的に、第2導電膜4が第1導電膜3と同材料で構成されていれば、それらの間の結合性が良好となるため、離型時においてこれらの間が剥離されてしまうことを効果的に防止できる。
また同時に、本例では電鋳工程にてNi膜を成膜するので、その場合に対応して第2導電膜4としてNiPを成膜するものとすれば、めっき5aとの間の結合性についても良好とでき、結果、離型時に第2導電膜4とめっき5aとの間が剥離されてしまうことも同時に防止できる。
具体的に、第2導電膜4が第1導電膜3と同材料で構成されていれば、それらの間の結合性が良好となるため、離型時においてこれらの間が剥離されてしまうことを効果的に防止できる。
また同時に、本例では電鋳工程にてNi膜を成膜するので、その場合に対応して第2導電膜4としてNiPを成膜するものとすれば、めっき5aとの間の結合性についても良好とでき、結果、離型時に第2導電膜4とめっき5aとの間が剥離されてしまうことも同時に防止できる。
上記のように本実施の形態の金型製造方法によれば、無電解めっきの触媒2をドライプロセスにより成膜しているので、触媒2を鋳型1(パターン形成面)に対して確実且つ均一に吸着させることができる。また一方で、触媒2の成膜は低密着に行うので、離型時に鋳型1の一部が剥がれて金型5側に付着してしまうことを効果的に防止できる。また本実施の形態では導電膜の成膜に無電解めっき法を採用しているので、離型性は良好なものとできる。
これらの結果、本実施の形態の金型製造方法によれば、鋳型1からの離型性を良好なものとしつつ、パターン転写精度の低下を効果的に防止することができる。
また、本実施の形態によれば、無電解めっきの前処理工程が不要となるため、該前処理の薬品塗布やそれに関わる装置が不要となり、その分安価に金型5を製造できる。
また、無電解めっきの前処理工程が不要となることで、導電膜の成膜時間が短縮され、金型5の製造効率の向上が図られる。
また、無電解めっきの前処理工程が不要となることで、導電膜の成膜時間が短縮され、金型5の製造効率の向上が図られる。
本実施の形態の金型製造方法によれば、シリコンや石英、サファイア、金属、紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂、PETフィルム、フッ素樹脂など、マスターとなる原盤(鋳型1)の素材に関係なく、安定的かつ均一かつ安価かつ短時間に離形性の優れた導電膜を形成することができ、高品質の電鋳金型を製造することができる。
<2.具体的な実施例>
以下、具体的な実施例について説明する。
先ず、1)の触媒成膜工程として、鋳型1の表面に触媒2としてのパラジウムを成膜装置(スパッタリング装置や蒸着装置)を用いて低密着となる条件で成膜する。
具体的に本例では、成膜方法としてスパッタリング法を採用する。成膜条件は以下の通りである。
ターゲット: 純パラジウム(3N)、1mmt
直流又は交流電源出力(ターゲット単位面積当たり):400〜700mW/cm2
放電ガス:アルゴン
ガス圧力:1.0〜1.5Pa
膜厚:2〜20nm
以下、具体的な実施例について説明する。
先ず、1)の触媒成膜工程として、鋳型1の表面に触媒2としてのパラジウムを成膜装置(スパッタリング装置や蒸着装置)を用いて低密着となる条件で成膜する。
具体的に本例では、成膜方法としてスパッタリング法を採用する。成膜条件は以下の通りである。
ターゲット: 純パラジウム(3N)、1mmt
直流又は交流電源出力(ターゲット単位面積当たり):400〜700mW/cm2
放電ガス:アルゴン
ガス圧力:1.0〜1.5Pa
膜厚:2〜20nm
続いて、2)の第1導電膜成膜工程では、触媒2が成膜された鋳型1を無電解ニッケルめっき槽に浸漬して、無電解めっき法により第1導電膜3を成膜する。成膜条件は以下の通りである。
無電解ニッケルめっき液:KLP-1(上村工業(株)社製)
還元剤:次亜リン酸塩
液温度:60℃
浸漬時間:30〜90sec
無電解ニッケルめっき液:KLP-1(上村工業(株)社製)
還元剤:次亜リン酸塩
液温度:60℃
浸漬時間:30〜90sec
続いて、3)の第2導電膜成膜工程として、NiP膜をドライプロセスにより成膜する。具体的には、無電解めっきにより成膜した第1導電膜3上に、NiPを成膜装置(スパッタリング装置や蒸着装置)を用いて低密着となる条件で成膜する。本例では第2導電膜成膜工程としてもスパッタリング法を採用する。成膜条件は、
ターゲット:ニッケル-リン合金(3N)
P濃度:5wt%、2mmt
直流又は交流電源出力:400〜700mW/cm2
放電ガス:アルゴン
ガス圧力:1.0〜1.5Pa
膜厚:2〜20nm
である。
なお、本例では第1導電膜成膜工程にて還元剤として次亜リン酸塩を用いたことから、第1導電膜3はNiPで構成(P含有量:3〜15%程度)されることになる。従って第2導電膜成膜工程では、NiPとして同様にP含有量=3〜15%程度の材料を用いることが望ましい。
ターゲット:ニッケル-リン合金(3N)
P濃度:5wt%、2mmt
直流又は交流電源出力:400〜700mW/cm2
放電ガス:アルゴン
ガス圧力:1.0〜1.5Pa
膜厚:2〜20nm
である。
なお、本例では第1導電膜成膜工程にて還元剤として次亜リン酸塩を用いたことから、第1導電膜3はNiPで構成(P含有量:3〜15%程度)されることになる。従って第2導電膜成膜工程では、NiPとして同様にP含有量=3〜15%程度の材料を用いることが望ましい。
第2導電膜成膜工程により第2導電膜4を成膜した後は、4)の電鋳工程を以下の条件により行う。
めっき液:高純度スルファミン酸Ni液(日本化学産業社製)
スルファミン酸Ni濃度:500〜600g/L、pH=3.5〜4.5
液温度:45〜50℃
電流密度:10〜30A/dm2
電鋳時間:1〜2時間
めっき厚:290μm
めっき液:高純度スルファミン酸Ni液(日本化学産業社製)
スルファミン酸Ni濃度:500〜600g/L、pH=3.5〜4.5
液温度:45〜50℃
電流密度:10〜30A/dm2
電鋳時間:1〜2時間
めっき厚:290μm
電鋳後、5)の離形工程として、上記の各工程により形成した膜全体を鋳型1より剥離する。これにより、鋳型1の表面に形成された凹凸パターンが転写された金型5が得られる。
なお、上記では2)の第1導電膜成膜工程にて無電解めっき液中の還元剤として次亜リン酸塩を用い、これに応じ第2導電膜成膜工程では第2導電膜4としてNiPを成膜するものとしたが、第1導電膜成膜工程における還元剤としては水素化ホウ素化合物やヒドラジンを用いることができ、それらの場合、第1導電膜3はそれぞれNiB(B含有量=数%程度)、NiN(N含有量=2%程度)で構成されることとなる。従って第2導電膜成膜工程では、これらの場合に対応しては、それぞれNiB、NiNを成膜することが望ましい。
図2は、パターン転写精度を確認するための実験結果(電子顕微鏡による観察結果)について示している。
図2Bが上記実施例で作成した金型5について観察結果を示しており、図2Aは比較として従来手法により作成した金型についての観察結果を示している。
なおこれら図2A、図2Bは、金型上のパターン転写面の一部を真上から観察した画像となる。
図2Bが上記実施例で作成した金型5について観察結果を示しており、図2Aは比較として従来手法により作成した金型についての観察結果を示している。
なおこれら図2A、図2Bは、金型上のパターン転写面の一部を真上から観察した画像となる。
図2Aを参照すると、従来手法で作成した金型では離型不良によりパターンの一部が破損していることが確認できる。これに対し、図2Bに示す本例の金型では、パターンの破損は確認されない。
これらの対比より、本例で作成された金型5の方が、従来手法で作成された金型よりもパターン転写精度が高いことが分かる。
これらの対比より、本例で作成された金型5の方が、従来手法で作成された金型よりもパターン転写精度が高いことが分かる。
<3.変形例>
以上、本技術に係る実施の形態について説明したが、本技術はこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えば、ドライプロセスで成膜される触媒2及び第2導電膜4の各成膜条件については先に例示したものに限定されるべきものではない。
触媒2については、離型時に鋳型1の一部が剥がれて金型5側に付着されてしまわないように低密着に成膜が行われればよいものである。
また、第2導電膜4については、無電解めっきにより成膜された第1導電膜3を破損しない程度の低密着度により成膜すればよいものである。
以上、本技術に係る実施の形態について説明したが、本技術はこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えば、ドライプロセスで成膜される触媒2及び第2導電膜4の各成膜条件については先に例示したものに限定されるべきものではない。
触媒2については、離型時に鋳型1の一部が剥がれて金型5側に付着されてしまわないように低密着に成膜が行われればよいものである。
また、第2導電膜4については、無電解めっきにより成膜された第1導電膜3を破損しない程度の低密着度により成膜すればよいものである。
また、これまでの説明では、電鋳用導電膜として第1導電膜3と共に第2導電膜4を成膜するものとしたが、第2導電膜4の成膜は必須ではなく、従って第2導電膜成膜工程は省略することも可能である。
また、本技術は以下に示す構成を採ることもできる。
(1)
所要の凹凸パターンが形成された鋳型の上記凹凸パターンの形成面側に対して、無電解めっきの触媒として機能し得る触媒材料をドライプロセスにより成膜する触媒成膜工程と、
上記触媒材料を触媒として無電解めっき処理を行って上記鋳型に対し第1導電膜を成膜する無電解めっき工程と、
上記無電解めっき工程により上記第1導電膜が成膜された上記鋳型に基づく電鋳処理を行って金属材料を折出する電鋳工程と、
上記鋳型上に形成された金属材料を剥離して上記凹凸パターンが転写された金型を得る離型工程と
を有する金型製造方法。
(2)
上記触媒成膜工程は、
上記離型工程による離型時に上記鋳型の一部が剥がれて上記金型側に付着しない程度の低密着度により上記触媒材料を成膜する
上記(1)に記載の金型製造方法。
(3)
上記無電解めっき工程により成膜された上記第1導電膜に対して、該第1導電膜と同元素を主成分とする第2導電膜をドライプロセスにより成膜する第2導電膜成膜工程をさらに有し、
上記電鋳工程は、
上記第2導電膜成膜工程により上記第2導電膜が成膜された上記鋳型に対する電鋳処理を行う
上記(1)又は(2)何れかに記載の金型製造方法。
(4)
上記第2導電膜成膜工程では、
上記無電解めっきにより成膜された上記第1導電膜が破損しない程度の低密着度により上記第2導電膜を成膜する
上記(3)に記載の金型製造方法。
(5)
上記触媒成膜工程は、上記触媒材料としてPdを成膜する
上記(1)乃至(4)何れかに記載の金型製造方法。
(6)
上記無電解めっき工程は、無電解Niめっき液により上記第1導電膜を形成する
上記(5)に記載の金型製造方法。
(7)
上記電鋳工程は上記金属材料としてNiを折出する上記(6)に記載の金型製造方法。
(8)
上記第2導電膜成膜工程は、上記第2導電膜としてNiPを成膜する
上記(7)に記載の金型製造方法。
(9)
上記触媒成膜工程は、
上記ドライプロセスで使用するターゲットの単位面積当たりの直流又は交流電源出力が400〜700mW/cm2、放電ガスのガス圧力が1.0〜1.5Paの条件により上記触媒材料を成膜する
上記(2)に記載の金型製造方法。
(10)
上記第2導電膜成膜工程は、
上記ドライプロセスで使用するターゲットの単位面積当たりの直流又は交流電源出力が400〜700mW/cm2、放電ガスのガス圧力が1.0〜1.5Paの条件により上記第2導電膜を成膜する
上記(4)に記載の金型製造方法。
(11)
上記鋳型がSi、SiO2、Al2O3の何れかで構成される上記(1)乃至(10)何れかに記載の金型製造方法。
(12)
上記鋳型が樹脂材料で構成される上記(1)乃至(10)に記載の金型製造方法。
(13)
上記金型が紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂の何れかで構成される上記(12)に記載の金型製造方法。
(1)
所要の凹凸パターンが形成された鋳型の上記凹凸パターンの形成面側に対して、無電解めっきの触媒として機能し得る触媒材料をドライプロセスにより成膜する触媒成膜工程と、
上記触媒材料を触媒として無電解めっき処理を行って上記鋳型に対し第1導電膜を成膜する無電解めっき工程と、
上記無電解めっき工程により上記第1導電膜が成膜された上記鋳型に基づく電鋳処理を行って金属材料を折出する電鋳工程と、
上記鋳型上に形成された金属材料を剥離して上記凹凸パターンが転写された金型を得る離型工程と
を有する金型製造方法。
(2)
上記触媒成膜工程は、
上記離型工程による離型時に上記鋳型の一部が剥がれて上記金型側に付着しない程度の低密着度により上記触媒材料を成膜する
上記(1)に記載の金型製造方法。
(3)
上記無電解めっき工程により成膜された上記第1導電膜に対して、該第1導電膜と同元素を主成分とする第2導電膜をドライプロセスにより成膜する第2導電膜成膜工程をさらに有し、
上記電鋳工程は、
上記第2導電膜成膜工程により上記第2導電膜が成膜された上記鋳型に対する電鋳処理を行う
上記(1)又は(2)何れかに記載の金型製造方法。
(4)
上記第2導電膜成膜工程では、
上記無電解めっきにより成膜された上記第1導電膜が破損しない程度の低密着度により上記第2導電膜を成膜する
上記(3)に記載の金型製造方法。
(5)
上記触媒成膜工程は、上記触媒材料としてPdを成膜する
上記(1)乃至(4)何れかに記載の金型製造方法。
(6)
上記無電解めっき工程は、無電解Niめっき液により上記第1導電膜を形成する
上記(5)に記載の金型製造方法。
(7)
上記電鋳工程は上記金属材料としてNiを折出する上記(6)に記載の金型製造方法。
(8)
上記第2導電膜成膜工程は、上記第2導電膜としてNiPを成膜する
上記(7)に記載の金型製造方法。
(9)
上記触媒成膜工程は、
上記ドライプロセスで使用するターゲットの単位面積当たりの直流又は交流電源出力が400〜700mW/cm2、放電ガスのガス圧力が1.0〜1.5Paの条件により上記触媒材料を成膜する
上記(2)に記載の金型製造方法。
(10)
上記第2導電膜成膜工程は、
上記ドライプロセスで使用するターゲットの単位面積当たりの直流又は交流電源出力が400〜700mW/cm2、放電ガスのガス圧力が1.0〜1.5Paの条件により上記第2導電膜を成膜する
上記(4)に記載の金型製造方法。
(11)
上記鋳型がSi、SiO2、Al2O3の何れかで構成される上記(1)乃至(10)何れかに記載の金型製造方法。
(12)
上記鋳型が樹脂材料で構成される上記(1)乃至(10)に記載の金型製造方法。
(13)
上記金型が紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂の何れかで構成される上記(12)に記載の金型製造方法。
1 鋳型、2 触媒、3 第1導電膜、4 第2導電膜、5 金型、5a めっき
Claims (14)
- 所要の凹凸パターンが形成された鋳型の上記凹凸パターンの形成面側に対して、無電解めっきの触媒として機能し得る触媒材料をドライプロセスにより成膜する触媒成膜工程と、
上記触媒材料を触媒として無電解めっき処理を行って上記鋳型に対し第1導電膜を成膜する無電解めっき工程と、
上記無電解めっき工程により上記第1導電膜が成膜された上記鋳型に基づく電鋳処理を行って金属材料を折出する電鋳工程と、
上記鋳型上に形成された金属材料を剥離して上記凹凸パターンが転写された金型を得る離型工程と
を有する金型製造方法。 - 上記触媒成膜工程は、
上記離型工程による離型時に上記鋳型の一部が剥がれて上記金型側に付着しない程度の低密着度により上記触媒材料を成膜する
請求項1に記載の金型製造方法。 - 上記無電解めっき工程により成膜された上記第1導電膜に対して、該第1導電膜と同元素を主成分とする第2導電膜をドライプロセスにより成膜する第2導電膜成膜工程をさらに有し、
上記電鋳工程は、
上記第2導電膜成膜工程により上記第2導電膜が成膜された上記鋳型に対する電鋳処理を行う
請求項1に記載の金型製造方法。 - 上記第2導電膜成膜工程では、
上記無電解めっきにより成膜された上記第1導電膜が破損しない程度の低密着度により上記第2導電膜を成膜する
請求項3に記載の金型製造方法。 - 上記触媒成膜工程は、上記触媒材料としてPdを成膜する
請求項1に記載の金型製造方法。 - 上記無電解めっき工程は、無電解Niめっき液により上記第1導電膜を形成する
請求項1に記載の金型製造方法。 - 上記電鋳工程は上記金属材料としてNiを折出する請求項6に記載の金型製造方法。
- 上記第2導電膜成膜工程は、上記第2導電膜としてNiPを成膜する
請求項7に記載の金型製造方法。 - 上記触媒成膜工程は、
上記ドライプロセスで使用するターゲットの単位面積当たりの直流又は交流電源出力が400〜700mW/cm2、放電ガスのガス圧力が1.0〜1.5Paの条件により上記触媒材料を成膜する
請求項2に記載の金型製造方法。 - 上記第2導電膜成膜工程は、
上記ドライプロセスで使用するターゲットの単位面積当たりの直流又は交流電源出力が400〜700mW/cm2、放電ガスのガス圧力が1.0〜1.5Paの条件により上記第2導電膜を成膜する
請求項4に記載の金型製造方法。 - 上記鋳型がSi、SiO2、Al2O3の何れかで構成される請求項1に記載の金型製造方法。
- 上記鋳型が樹脂材料で構成される請求項1に記載の金型製造方法。
- 上記金型が紫外線硬化樹脂、熱可塑性樹脂の何れかで構成される請求項12に記載の金型製造方法。
- 所要の凹凸パターンが形成された鋳型の上記凹凸パターンの形成面側に対して、無電解めっきの触媒として機能し得る触媒材料をドライプロセスにより成膜する触媒成膜工程と、
上記触媒材料を触媒として無電解めっき処理を行って上記鋳型に対し第1導電膜を成膜する無電解めっき工程と、
上記無電解めっき工程により上記第1導電膜が成膜された上記鋳型に基づく電鋳処理を行って金属材料を折出する電鋳工程と、
上記鋳型上に形成された金属材料を剥離して上記凹凸パターンが転写された金型を得る離型工程と
を経て製造された金型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012004346A JP2013142192A (ja) | 2012-01-12 | 2012-01-12 | 金型製造方法、金型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012004346A JP2013142192A (ja) | 2012-01-12 | 2012-01-12 | 金型製造方法、金型 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2013142192A true JP2013142192A (ja) | 2013-07-22 |
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ID=49038932
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012004346A Pending JP2013142192A (ja) | 2012-01-12 | 2012-01-12 | 金型製造方法、金型 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2013142192A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20190133234A (ko) | 2017-03-29 | 2019-12-02 | 가부시기가이샤야스나가 | 금형 |
-
2012
- 2012-01-12 JP JP2012004346A patent/JP2013142192A/ja active Pending
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KR20190133234A (ko) | 2017-03-29 | 2019-12-02 | 가부시기가이샤야스나가 | 금형 |
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