JP2013134932A - 有機発光素子封止体 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光色のばらつきを解消して歩留まりの向上を図るとともに防湿性能を高めて発光機能の低下を抑えた有機発光素子封止体を提供する。
【解決手段】有機発光素子12がフィルム状の封止材14,16で封止されており、封止材14,16の少なくとも一部に用いられる透明フィルム16aの表面に、可視光により励起されて発光する無機蛍光体がフッ素含有樹脂に分散された無機蛍光体層22が設けられた有機発光素子封止体10とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機発光素子封止体に関し、さらに詳しくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機発光素子、有機EL素子)に好適な有機発光素子封止体に関するものである。
有機発光素子を用いた発光装置は、液晶ディスプレイや携帯電話の表示画面などに用いられている。有機発光素子は、一対の電極層と一対の電極層間に配置された有機発光層とを有する積層体で構成されている。有機発光層は、真空蒸着法などにより有機発光材料から成膜される。
従来、例えば照明用途などで白色発光を実現する場合には、互いに異なる色に発光する複数の有機発光材料を組み合わせて用いることが行われていた。しかしながら、複数の有機発光材料を成膜する場合には、その成膜プロセスは容易ではなく、成膜プロセス時に蒸着レートが外れると発光スペクトルの各成分比が異なってしまい、発光色度のばらつきが生じてしまうことがあった。
そこで特許文献1では、有機発光層の発光色を青色一色にし、有機EL素子の透明基板上に無機蛍光体層を形成して、有機発光層から放射される青色光と無機蛍光体層に含有された蛍光体の発光色との混色で白色発光を実現するようにしている。
特開2008−270205号公報
有機発光素子を用いた発光装置は、有機発光材料の成膜プロセスや有機発光素子の封止プロセスなど、種々の要因から発光色にばらつきが生じることがある。製品間で発光色にばらつきが生じると、歩留まり悪化の原因となる。
また、有機発光素子の封止プロセスで用いる封止材がフィルムである場合には、光が出力される部分には透明フィルムが用いられ、防湿性能が低いという問題がある。有機発光素子の陰極層の材料には水分に弱い材料が用いられているため、封止構造内に水分が侵入することによって有機発光素子の発光機能が低下する。これによっても発光色が変化するおそれがある。
本発明が解決しようとする課題は、発光色のばらつきを解消して歩留まりの向上を図るとともに防湿性能を高めて発光機能の低下を抑えた有機発光素子封止体を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る有機発光素子封止体は、一対の電極層と該一対の電極層間に配置された有機発光層とを有する積層体からなる有機発光素子がフィルム状の封止材で封止された有機発光素子封止体において、前記封止材の少なくとも一部に用いられる透明フィルムの表面に、可視光により励起されて発光する無機蛍光体がフッ素含有樹脂に分散された無機蛍光体層が形成されていることを要旨とするものである。
本発明に係る有機発光素子封止体においては、フッ素含有樹脂が、フッ素を含有するモノマーおよびフッ素を含有しないモノマーの共重合体よりなることが好ましい。この場合、フッ素を含有するモノマーが、パーフルオロアルキル基とパーフルオロポリエーテル基のいずれか一方を少なくとも有する(メタ)アクリレート系モノマー、および/または、パーフルオロアルキル基とパーフルオロポリエーテル基のいずれか一方を少なくとも有するビニル系モノマーであることが好ましい。また、フッ素を含有しないモノマーが、(メタ)アクリレート系モノマー、ビニル系モノマー、スチレン系モノマー、およびオレフィン系モノマーから選択された1種または2種以上のモノマーであることが好ましい。そして、フッ素を含有するモノマーとフッ素を含有しないモノマーの共重合比率が、フッ素を含有するモノマー/フッ素を含有しないモノマー(質量比)で、50/50〜95/5の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る有機発光素子封止体によれば、光が出力される部分となる透明フィルムの表面に、可視光により励起されて発光する無機蛍光体を含む無機蛍光体層が形成されているので、有機発光層から放射される発光色を無機蛍光体の発光色で変換した色を有機発光素子封止体の発光色とすることができる。すなわち、無機蛍光体層によって有機発光層の発光色を調整することができるため、これにより発光色のばらつきが解消される。そして、この無機蛍光体はフッ素含有樹脂に分散されており、透明フィルムの表面にフッ素含有樹脂が含まれる無機蛍光体層が形成されているので、水分の進入経路となりやすい透明フィルムから水分が侵入するのを抑えられる。これにより、防湿性能が高められて発光機能の低下が抑えられる。また、この無機蛍光体層にフッ素含有樹脂が含まれているので、無機蛍光体層は耐候性に優れる。これにより、無機蛍光体層の変色が抑えられ、これによる発光色の変化も抑えられる。
この際、フッ素含有樹脂がフッ素を含有するモノマーおよびフッ素を含有しないモノマーの共重合体よりなると、無機蛍光体層の透明フィルムへの密着性がより高められる。これにより、防湿性能がさらに高められる。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子封止体の断面図である。 発光色度の色度点変換を説明する模式図である。 本発明の他の形態に係る有機発光素子封止体の断面図である。
以下に、本発明に係る有機発光素子封止体について詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る有機発光素子封止体の断面図であり、有機発光素子封止体の内部構造を示した図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る有機発光素子封止体10は、有機発光素子12がフィルム状の封止材で封止されたものからなる。有機半導体素子12は、フィルム基材12dの上に、陽極層12a、有機半導体層12b、陰極層12cがこの順に積層された積層体からなる。有機発光素子封止体10は、薄い形状で構成され、フレキシブル性にも優れる。また、軽量・柔軟であるため、衝撃に強く、耐衝撃性の面でガラス品では用いられなかった用途にも適用することができる。
有機発光素子12のフィルム基材12dには、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマーなどの樹脂材料が好ましく用いられる。フィルム基材12dには、これらの樹脂材料のうちの1種のみ、あるいは2種以上が用いられる。フィルム基材12dの厚さは、例えば、3〜1000μmの範囲内、10〜500μmの範囲内、あるいは、10〜300μmの範囲内などに設定されていれば良い。
有機発光素子12の陰極層12cには、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金組成物、導電性化合物、または、これらの混合物などが好ましく用いられる。このような材料としては、Al、Ti、In、Na、K、Ca、Mg、Ba、Li、Cs、Rbおよび希土類金属などの金属、Na−K合金、Mg−Ag合金、Mg−Cu合金、Al−Ca合金、およびAl−Li合金などの合金組成物が挙げられる。
有機発光素子12の陰極層12cは、真空蒸着法、スパッタリング法、スピンコート法、キャスト法、LB法、パイロゾル法、スプレー法などの各種成膜方法により形成することができる。陰極層12cの厚さは、0.1〜1000nmの範囲内、あるいは1〜300nmなどに設定されていれば良い。また、陰極層12cの抵抗としては、1〜150Ω/sq.の範囲内、あるいは10〜40Ω/sq.などに設定されていれば良い。
有機発光素子12の有機発光層12bには、有機発光材料を含む材料が用いられる。有機発光材料の他には、必要に応じて、電荷輸送性(正孔輸送性、電子輸送性、両性輸送性)を有する有機材料(ホスト材料)が含まれる。有機発光層12bは、有機発光材料から形成されるか、電荷輸送性(正孔輸送性、電子輸送性、または、両性輸送性)を示す有機材料(ホスト材料)に少量の有機発光材料(ドーパント材料)が添加された材料から形成される。有機発光層12bに用いる有機発光材料の選択により発光色が設定される。
有機発光層14を有機発光材料から形成する場合、有機発光材料としては、成膜性に優れ、膜の安定性に優れた材料が用いられる。このような有機発光材料としては、具体的には、例えば、Alq3(トリス−(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)に代表される金属錯体、ポリフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ポリフルオレン誘導体などが挙げられる。この際、発光色を調節するために、蛍光色素などの単独では安定な薄膜を形成し難い有機発光材料を少量添加することもできる。蛍光色素としては、クマリン、DCM誘導体、キナクリドン、ペリレン、ルブレンなどを挙げることができる。
有機発光層14をホスト材料とともに有機発光材料で形成する場合にも、有機発光材料としては、上述する有機発光材料を用いることができる。この場合、有機発光層14における有機発光材料の量が相対的に少なくなることから、蛍光色素などを用いること好ましい。蛍光色素には、上述する蛍光色素を用いることができる。ホスト材料としては、上記Alq3 、TPD(トリフェニルジアミン)、電子輸送性のオキサジアゾール誘導体(PBD)、ポリカーボネート系共重合体、ポリビニルカルバゾールなどを挙げることができる。
有機発光層14の厚さは、実用的な発光輝度を得るなどの観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは300nm以下であると良い。また、有機発光層14の厚さは、実用的な発光輝度を得るなどの観点から、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上であると良い。
陰極層12cと有機発光層12bとの間には、電子輸送性を向上させるなどの目的で、電子輸送層が設けられても良い。電子輸送層には、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンピリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、スチルベン誘導体などの電子輸送性材料や、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)などのアルミキノリノール錯体などを好ましく用いることができる。
また、陰極層12cと有機半導体層12bとの間、あるいは陰極層12cと電子輸送層との間には、電子注入性を向上させるなどの目的で、電子注入層が設けられても良い。電子注入層には、電子注入性を向上させる材料が好適に用いられる。このような材料としては、アルカリ土類金属、アルカリ金属、フタロシアニン系有機化合物(有機化合物には有機金属錯体も含まれる。)を挙げることができる。電子注入材料として好適なアルカリ土類金属としては、Mg、Ca、Sr、Baなどを挙げることができる。電子注入材料として好適なアルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Csなどを挙げることができる。電子注入材料として好適なフタロシアニン系有機化合物としては、フッ素化フタロシアニン、中心金属としてCuやZnなどの金属を有するフッ素化フタロシアニンなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2以上を組み合わせて用いても良い。これらのうちでは、取り扱い性に優れるなどの観点から、Mg、Ca、Sr、Baが好ましい。
有機発光素子12の陽極層12aには、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、導電性化合物、または、これらの混合物などが好ましく用いられる。また、陽極層12aは、有機発光層12bから放射された光が透過されるので、良好な透明性を有する材料が好ましく用いられる。このような材料としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)などが挙げられる。陽極層12aは、これらの材料のうちの1種のみ、あるいは2種以上により形成される。
有機発光素子12の陽極層12aは、陰極層12cと同様、真空蒸着法、スパッタリング法、スピンコート法、キャスト法、LB法、パイロゾル法、スプレー法などの各種成膜方法により形成することができる。陽極層12aの厚さは、10〜5000nmの範囲内、あるいは50〜300nmなどに設定されていれば良い。また、陽極層12aの抵抗としては、7〜1000Ω/sq.の範囲内、あるいは10〜200Ω/sq.などに設定されていれば良い。
陽極層12aと有機発光層12bとの間には、正孔輸送性を向上させるなどの目的で、正孔輸送層が設けられても良い。正孔輸送層には、フタロシアニン、ポリアニリン、オリゴチオフェン、ベンジシン誘導体、トリフェニルアミン、ピラゾリン誘導体、トリフェニレン誘導体などの有機材料を用いることができる。
また、陽極層12aと有機半導体層12bとの間、あるいは陽極層12aと正孔輸送層との間には、正孔注入性を向上させるなどの目的で、正孔注入層が設けられても良い。正孔注入層には、正孔注入性を向上させる材料が好適に用いられる。このような材料としては、水溶性のPEDOT:PSS(ポリスチレンスルフォン酸ドープポリエチレンジオキシチオフェン)、Co酸化物、Cu酸化物、Mo酸化物、Ni酸化物、アミン系有機化合物、ヒドラゾン系有機化合物、スチルベン系有機化合物、スターバスト系有機化合物(これらの有機化合物には有機金属錯体も含まれる。)を挙げることができる。正孔注入材料として好適な金属酸化物としては、Co、CuO、MoO(xは整数)、NiO(xは整数)などを挙げることができる。正孔注入材料として好適な有機化合物としては、4,4’−ビス[N−ナフチル−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、銅フタロシアニン(CuPc)などを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2以上を組み合わせて用いても良い。
有機発光素子12を封止する封止材にはフィルムが用いられる。封止材は、有機発光素子12の陰極層12c側を覆っている下側フィルム14と有機発光素子12の陽極層12a側を覆っている上側フィルム16とで構成される。有機発光素子12は、下側フィルム14と上側フィルム16とにより挟み込まれており、下側フィルム14および上側フィルム16は、有機発光素子12を内包した状態で、ホットメルト接着剤などのシール材18によってその周縁部で接合されている。上側フィルム16は、透明フィルム16aと透明フィルム16aを支持する支持フィルム16bとにより構成されている。透明フィルム16aと支持フィルム16bとの間は、ホットメルト接着剤などのシール材20によって接合されている。透明フィルム16aは、陽極層12aの上側に配置されており、有機発光層12bから放射された光が透過されて出力される光出力部となる。このため、良好な透明性を有する材料が好ましく用いられる。
透明フィルム16aの透明基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、二軸延伸ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエーテルスルホン、透明ポリイミド、有機無機ハイブリッド材などの樹脂フィルムを好ましく用いることができる。これらのうち、表面平滑性、耐熱性、製造コスト等の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートをより好ましく用いることができる。また、耐熱性の面からは、有機無機ハイブリッド材を好ましく用いることができる。透明フィルム16aの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば3〜1000μmの範囲、10〜500μmの範囲、あるいは、10〜300μmの範囲などに設定することができる。
透明フィルム16aは、上記透明基材のみで構成されていても良いし、透明基材表面の少なくとも一方に水分の透過を低減させるバリア性の透明薄膜が設けられていても良い。バリア性の透明薄膜の材料としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどを挙げることができる。
有機無機ハイブリッド材は、有機系材料と無機系材料の複合材料であり、有機系モノマーと無機系モノマーの複合体や、有機系ポリマーと無機系ポリマーの複合体などを挙げることができる。また、材料種でいえば、ケイ素系材料を挙げることができる。ケイ素系材料としては、ポリシロキサンとシリコーン樹脂の複合体を挙げることができる。有機無機ハイブリッド材の具体的なものとしては、日本合成社製「DLX・MKS」や新日鐵化学社製「シルプラス」などを挙げることができる。
光出力部となる透明フィルム16aの外側面には、無機蛍光体を含む無機蛍光体層22が設けられている。この無機蛍光体は、可視光(波長が360〜830nmの範囲にある光)により励起されて発光する蛍光体である。より具体的には、可視光により励起されて黄色から橙色の範囲の色に発光する蛍光体である。このような無機蛍光体としては、RE(Al,Ga)12:Ceで表されるYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体などが挙げられる。但し、REは、Y、GdおよびLaから選択された1種または2種以上の元素である。
有機発光層12bから放射された光により、無機蛍光体層22中の無機蛍光体は励起されて発光する。光出力部となる透明フィルム16aからは、有機発光層12bの発光色と無機蛍光体の発光色の混色の光が放射される。つまり、有機発光層12bから放射される発光色を無機蛍光体の発光色で変換された色が有機発光素子封止体10の発光色となる。
有機発光素子封止体10は、有機発光層12bなどの成膜プロセスや封止材14,16による封止プロセスなどの影響で(例えば封止材であるフィルムの色度のばらつきなどの影響で)、製品によって発光色にばらつきが生じ得る。発光色のばらつきは、無機蛍光体層22で色度変換を行うことにより解消できる。
図2には、CIE色度座標を示す。座標Aは緑色の領域にある色度点であり、座標Bは赤色の領域にある色度点であり、座標Cは青色の領域にある色度点であり、座標Dは黄色〜橙色の領域にある色度点である。YAG蛍光体などの黄色から橙色の範囲の色に発光する蛍光体は、例えば座標Dに示す発光色よりなる。
有機発光素子12の発光色が緑色である場合において、A−D間で発光色にばらつきがある場合には、無機蛍光体層22により発光色のばらつきを解消することができる。有機発光素子12の発光色が赤色や青色である場合も同様である。また、有機発光素子12の発光色が緑色である場合には、無機蛍光体層22によりA−Dラインに沿って色度変換が行われ、有機発光素子封止体10の発光色を黄色などに変換することができる。同様に、有機発光素子12の発光色が赤色である場合には橙色などに、有機発光素子12の発光色が青色である場合には白色などに、それぞれ変換することができる。また、色度変換を利用すれば、有機発光素子封止体10の発光色を種々の色にすることができるので、発光色の異なる製品ラインナップの構築も可能である。
このような色度変換は、用いる無機蛍光体の発光色や、無機蛍光体の平均粒子径、無機蛍光体の無機蛍光体層22への配合量、無機蛍光体層22の厚さなどで調整することが可能である。
無機蛍光体の平均粒子径としては、取り扱い性、透明性などの観点から、5〜50μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは10〜30μmの範囲内である。無機蛍光体の平均粒子径は、レーザー光回折法などによる粒度分布測定装置を用いて累積重量平均値D50(またはメジアン経)として求めることができる。また、無機蛍光体の無機蛍光体層22への配合量としては、無機蛍光体の発光輝度、透明性などの観点から、3〜30phr(フッ素含有樹脂100質量部に対し、無機蛍光体が3〜30質量部)の範囲内であることが好ましい。より好ましくは5〜20phr、さらに好ましくは5〜15phrの範囲内である。また、無機蛍光体層22の厚さとしては、発光輝度、透明性、防湿性などの観点から、25〜200μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは50〜150μmの範囲内、さらに好ましくは50〜100μmの範囲内、特に好ましくは50〜90μmの範囲内である。
光出力部となる透明フィルム16aには、光出力部としての透明性が求められる。このため、例えば防湿性に優れる金属が積層された構成にすることができない。ガラスよりも数百〜数万倍、防湿性に劣るフィルム材は、防湿性が確保されにくい。すなわち、透明フィルム16aは、フィルムで構成されるが故、光出力部であると同時に、水分の主な侵入経路になりやすい。有機発光素子12の陰極層12bの材料には水分に弱い材料が用いられているため、封止構造内に水分が侵入し、陰極層12bの材料に水分が接触することによって、有機発光素子の発光機能が低下するおそれがある。
無機蛍光体層22は、無機蛍光体に加え、疎水性を有するフッ素含有樹脂を含む材料によって形成されている。疎水性のフッ素含有樹脂によって透明フィルム16aから封止構造内に水分が侵入するのを抑えられる。すなわち、フッ素含有樹脂を含む無機蛍光体層22により有機発光素子封止体10の防湿性能が高められて水分による有機発光素子12の発光機能の低下が抑えられる。
また、このフッ素含有樹脂を含む無機蛍光体層22は、耐候性にも優れる。このため、無機蛍光体がシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などに分散される場合と比較して、無機蛍光体層22の変色が抑えられる。これにより、無機蛍光体の分散媒となる樹脂の変色による発光色の変化が抑えられる。
フッ素含有樹脂は、溶剤によってインク化された状態で用いられる。無機蛍光体層22は、無機蛍光体層22を形成する材料を塗工した後、乾燥させることにより形成される。無機蛍光体はフッ素含有樹脂により分散される。乾燥後には、用いた溶剤のほとんどは除かれる。
フッ素含有樹脂は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などと比較して、反応性を持つ樹脂ではないので、溶剤を用いた低粘度の塗料として塗工により薄膜を形成するのに適している。適切な溶剤を用いれば、上記する厚さのように透明性を確保できる薄膜でかつ均一性に優れる膜を形成することができる。また、適切な溶剤を用いれば、乾燥時間も短く(10分程度)、乾燥に伴う加熱も必要ない。さらに、塗工後に硬化させるものではないので、硬化に伴う色度の変化がなく、色度調整を行うための無機蛍光体のバインダーとして優れている。
一方、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂は反応性を持つ樹脂であり、ポットライフがある。また、塗工後に適切に硬化させるためには、溶剤を用いた低粘度の塗料としにくいため、高粘度の塗料となり、本発明のような薄膜の成膜用バインダーとしては用いにくい。シリコーン樹脂は特に高粘度である。塗工によって薄膜にしようとすれば、均一な膜厚にすることが難しい。また、シリコーン樹脂は自然乾燥の速度が遅く(24時間程度)、乾燥に伴う加熱が必要である。さらに、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂は、塗工後に硬化させるものなので、硬化に伴う色度の変化があり、目的とする色度からずれるおそれがある。目的とする色度を出しにくい面がある。
フッ素含有樹脂は、フッ素を含有するモノマーおよびフッ素を含有しないモノマーの共重合体よりなることが好ましい。無機蛍光体層22の透明フィルム16aへの密着性がより高められるため、防湿性能がさらに高められる。
フッ素を含有するモノマーとしては、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、フルオロポリエーテル基、パーフルオロポリエーテル基のいずれか1種または2種以上のフッ素含有基と炭素−炭素二重結合を有するモノマーを挙げることができる。具体的には、エステル基が上記フッ素含有基である(メタ)アクリレートモノマーや、上記フッ素含有基を有するビニルモノマーなどを挙げることができる。(メタ)アクリレートモノマーの具体的な例としては、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロポリエーテル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。また、ビニルモノマーの具体的な例としては、トリフルオロメチルビニル、パーフルオロエチルビニル、パーフルオロエチルエーテルビニルなどを挙げることができる。フッ素含有基の炭素数としては、1〜12の範囲内であることが好ましい。分子量が比較的小さいので粘度が低く抑えられ、無機蛍光体層22を形成する材料の塗工性に優れる(厚膜化しやすい)。
フッ素を含有しないモノマーとしては、炭素−炭素二重結合を有するモノマーを挙げることができる。具体的には、(メタ)アクリレートモノマー、ビニルモノマー、スチレンモノマー、オレフィンモノマーなどを挙げることができる。(メタ)アクリレートモノマーの具体的な例としては、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。ビニルモノマーの具体的な例としては、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどを挙げることができる。スチレンモノマーの具体的な例としては、スチレンなどを挙げることができる。オレフィンモノマーの具体的な例としては、エチレン、プロピレンなどを挙げることができる。
フッ素含有樹脂におけるフッ素を含有するモノマーとフッ素を含有しないモノマーの割合(共重合比率)としては、フッ素を含有するモノマー/フッ素を含有しないモノマー(質量比)で、50/50〜95/5の範囲内であることが好ましい。より好ましくは60/40〜90/10の範囲内、さらに好ましくは60/40〜85/15の範囲内である。フッ素を含有しないモノマーの割合が5質量%以上であれば、フッ素含有樹脂を含む無機蛍光体層22と透明フィルム16aの密着性が特に良好である。また、無機蛍光体層22の破壊強度が高く、無機蛍光体層22の機能が維持されやすい。フッ素を含有するモノマーの割合が50質量%以上であれば、防湿性能が特に良好である。また、フッ素含有樹脂をインク化するための溶剤への溶解性に優れるため、均一な厚さで均質な無機蛍光体層22を塗工形成しやすい。そして、上記の共重合比率が60/40〜85/15の範囲内であると、防湿性能が特に高い。これは、フッ素を含有するモノマーの疎水性による防湿効果と、フッ素を含有しないモノマーによる透明フィルム16aへの密着性向上効果が調和されるためである。
フッ素含有樹脂をインク化するための溶剤としては、不燃性のフッ素系溶剤を好適なものとして挙げることができる。フッ素含有樹脂の溶解性に優れるとともに、フッ素系溶剤には引火点がないことから、配合することによってインクの難燃性を向上させることができる。フッ素系溶剤としては、具体的には、ハイドロフルオロエーテル、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルカン、ハイドロフルオロポリエーテル、ハイドロフルオロカーボンなどを挙げることができる。
フッ素系溶剤の含有量としては、フッ素含有樹脂とフッ素系溶剤の合計量を100質量%とした場合において20〜92質量%の範囲内であることが好ましい。フッ素系溶剤の含有量が20質量%以上であれば、インクの難燃性に優れる。フッ素系溶剤の含有量が92質量%以下であれば、無機蛍光体層22を厚膜化しやすい。フッ素系溶剤の含有量としては、より好ましくは40〜90質量%の範囲内である。
また、フッ素系溶剤は、沸点が55℃以上であることが好ましい。より好ましくは60℃以上である。沸点が55℃以上であれば、乾燥速度が速くなりすぎないので、無機蛍光体層22を平滑にしやすい。
光出力部となる透明フィルム16aに対し、下側フィルム14および支持フィルム16bは光出力部ではないため、透明性が要求されない。よって、防湿性に優れる金属が積層された不透明フィルムによって構成されている。
下側フィルム14および支持フィルム16bとしては、アルミニウムなどの防湿性に優れる金属をポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、二軸延伸ポリプロピレン等のポリオレフィンなどの樹脂フィルムに積層したものなどを挙げることができる。なお、下側フィルム14および支持フィルム16bの樹脂フィルムは、透明フィルム16aの透明基材と同じ材質のものであっても良いし、異なる材質のものであっても良いが、好ましくは同じ材質のものである。下側フィルム14および支持フィルム16bの厚さは、透明フィルム16aの厚さと同等の厚さであれば良い。
上記実施形態の有機発光素子封止体10では、上側フィルム16の一部が光出力部となる透明フィルム16aで構成されているが、本発明に係る有機発光素子封止体では、例えば図3に示す有機発光素子封止体30のように、上側フィルム16の全体が光出力部となる透明フィルム16aで構成され、その透明フィルム16aの外側面全体に無機蛍光体層22が形成された構成であっても良い。
また、上記実施形態の有機発光素子封止体10では、透明フィルム16aの外側面のみに無機蛍光体層22が形成されているが、場合によっては、透明フィルム16aの内側面のみ、あるいは、透明フィルム16aの外側面と内側面の両方に無機蛍光体層22が形成されていても良い。透明フィルム16aの外側面のみに無機蛍光体層22が形成される場合には、外側面全体に形成されていても良いが、図1に示すように外側面のうちの外側に現れている部分(シール材22に覆われていない部分)のみに無機蛍光体層22が形成される場合には、封止材14,16による封止後に無機蛍光体層22を形成することができるため、封止後に、透明フィルム16aによる色度のずれまでを見た上で無機蛍光体層22によって色度調整を行うことができる(製品として製造された段階で色度調整を行うことができる)点で好ましい。
以上、本発明に係る有機発光素子封止体は、種々の表示装置に適用可能である。例えば、電車のドアの上やタクシーの車内、ビルのエレベータ内、エントランス・ホール、コンビニエンス・ストアのレジ前などに置かれるいわゆるサイネージ(表示体)や、自動車のドアミラーに取り付けられる薄型ランプ、屋内外に設置される看板用の照明あるいはデジタル看板などを挙げることができる。耐候性や防湿性に優れることから、自動車のドアミラーに取り付けられる薄型ランプや、屋外に設置される看板用の照明あるいはデジタル看板などには特に有利である。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例1〜4)
<無機蛍光体層形成材料の調製>
無機蛍光体とフッ素含有樹脂と溶剤としてのハイドロフルオロエーテルを混合(フッ素含有樹脂濃度8質量%)することにより、無機蛍光体層形成材料を調製した。
<有機発光素子の作製>
市販のIZOフィルム(基材:PEN、ジオマテック社製)のIZO膜上に、PEDOT:PSS水溶液(ヘレウス社製)をスピンコート法により60nm厚で成膜し、140℃のホットプレート上で30分乾燥させて、正孔注入層を形成した。次いで、正孔注入層上に、ポリマー材料(住友化学製)をスピンコート法により20nm厚で成膜し、160℃のホットプレート上で30分乾燥させて、正孔輸送層を形成した。次いで、正孔輸送層上に、ポリフルオレン系材料(住友化学製)をスピンコート法により80nm厚で成膜し、140℃のホットプレート上で10分乾燥させて、有機発光層を形成した。次いで、有機発光層上に、電子注入層としてCaを真空蒸着法により35nm厚で形成し、さらに電子注入層上に、陰極層としてAlを真空蒸着法により200nm厚で形成した。以上により、有機発光素子を作製した。正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層の形成は、酸素濃度0.01ppm、水分濃度が露点で−88℃以下の窒素雰囲気のグローブボックス中で行った。電子注入層、陰極層の形成は、真空度2.0×10−4Pa以下の真空蒸着装置を用いて行った。
<有機発光素子封止体の作製>
上側フィルムには透明樹脂フィルム(構成:PENフィルム/SiO薄膜/接着剤/PENフィルム、三菱樹脂社製「VDC3BA」、厚さ100μm)を用い、下側フィルムにはエンシュー化成社製「ALPET」を用い、作製した有機発光素子の透明陽極層を上にして上側フィルムと下側フィルムとにより有機発光素子を挟み込み、有機発光素子を内包した状態でホットメルト接着剤(アイオノマー)によってその周縁部で接合した。次いで、上側フィルムの外側面にバーコートにて無機蛍光体層形成材料を塗工し、乾燥させて、厚さ100μmの無機蛍光体層を形成した。これにより、有機発光素子封止体を作製した。以上の操作は、引き続きグローブボックス中で行った。
(比較例1〜2)
フッ素含有樹脂に代えてシリコーン樹脂またはエポキシ樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして無機蛍光体層形成材料を調製し、これを用いて有機発光素子封止体を作製した。
(実施例5〜9)
フッ素含有樹脂の共重合比率を変更した以外は実施例1と同様にして、無機蛍光体層形成材料を調製し、これを用いて有機発光素子封止体を作製した。
フッ素含有モノマー:トリフルオロエチルメタアクリレート
フッ素非含有モノマー:メチルメタアクリレート
(実施例10〜14)
無機蛍光体層形成材料の調製において、無機蛍光体の配合量を変更した以外は実施例1と同様にして、無機蛍光体層形成材料を調製し、これを用いて有機発光素子封止体を作製した。
(実施例15〜19)
無機蛍光体層形成材料の調製において無機蛍光体の平均粒子径を変更し、無機蛍光体層の形成において無機蛍光体の厚さを変更した以外は実施例1と同様にして、有機発光素子封止体を作製した。
<フッ素含有樹脂>
・フッ素/非フッ素 共重合体<1>[フッ素含有モノマー:パーフルオロデシルエチルメタアクリレート、フッ素非含有モノマー:メチルメタアクリレート、共重合比率(質量比)=70:30]
・フッ素/非フッ素 共重合体<2>[フッ素含有モノマー:パーフルオロポリエーテルメタアクリレート、フッ素非含有モノマー:イソボニルメタアクリレート、共重合比率(質量比)=85:15]
・フッ素/非フッ素 共重合体<3>[フッ素含有モノマー:トリフルオロエチルメタアクリレート、フッ素非含有モノマー:メチルメタアクリレート、共重合比率(質量比)=70:30]
・フッ素/非フッ素 共重合体<4>[フッ素含有モノマー:トリフルオロメチルビニル、フッ素非含有モノマー:塩化ビニル、共重合比率(質量比)=75:25]
<無機蛍光体>
・YAG蛍光体、平均粒子径5μm,15μmの2種類
<光透過性評価>
有機発光素子を発光させて、上側フィルムから放出される光の輝度を、コニカミノルタ製輝度計「LS−110」にて評価した。YAG蛍光体塗工前の輝度を100%とし、YAG蛍光体塗工後の輝度が90%以上(100%を超えるものも含む)の場合を「◎」、YAG蛍光体塗工後の輝度が80%以上90%未満を「○」、YAG蛍光体塗工後の輝度が70%以上80%未満を「△」、YAG蛍光体塗工後の輝度が70%未満の場合を「×」とした。
<色度変化の評価>
有機発光素子を発光させて、上側フィルムから放出される光の色度点を、コニカミノルタ製輝度計「LS−110」にて評価した。YAG蛍光体塗工前の色度点を100とし、YAG蛍光体塗工後の色度点が、x値の絶対値変化0.03以上かつy値の絶対値変化0.05以上の場合を「◎」、x値の絶対値変化が0.02以上0.03未満またはy値の絶対値変化が0.04以上0.05未満の場合を「○」、x値の絶対値変化が0.02以上0.03未満かつy値の絶対値変化が0.04以上0.05未満の場合を「△」、x値の絶対値変化が0.02未満かつy値の絶対値変化が0.04未満の場合を「×」とした。なお、「◎」の条件は、人間の視認度で十分に判別可能である色度点の変化である。
<分散性の評価>
無機蛍光体層形成材料の調製において、無機蛍光体粒子が凝集した場合を「×」、無機蛍光体粒子が凝集しなかった場合を「◎」とした。
<防湿性評価>
作製した有機発光素子封止体を60℃×90%RHに設定した湿熱槽中に100時間保管した後、有機発光素子を発光させて、非発光部(ダークスポット)の発現レベルを調べた。ダークスポットは、有機発光素子を発光させた状態で、表面の2700×3600μmの範囲における拡大写真を、マイクロスコープ(キーエンス社製「VHX−200」)を用いて撮影し、これをモノクロ化(二値化)して、ダークスポット部分の比率(面積割合)を算出することにより定量化した。非発光部(ダークスポット)の発現レベルの基準は、無機蛍光体層を形成していない透明樹脂フィルムを用いて形成した有機発光素子封止体の発現レベルとした。基準よりも発現レベルが80%以上改善された場合を「◎」、基準よりも発現レベルが50%以上80%未満の範囲で改善された場合を「○」、基準よりも発現レベルが20%以上50%未満の範囲で改善された場合を「△」、基準よりも発現レベルの改善が20%未満であった場合を効果なし「×」とした。
<皮膜外観の評価>
100倍のマイクロスコープ(キーエンス社製「VHX−200」)にて皮膜外観観察を行った。無機蛍光体層の塗工によっても透明樹脂フィルムの外観に変化が見られなかった場合を「◎」、無機蛍光体層の塗工により透明樹脂フィルムの表面に無機蛍光体の凝集による異物が確認されたが1カ所のみであった場合を「○」、異物が確認された場所が2カ所以上であった場合を「△」とした。
<溶剤への溶解性の評価>
無機蛍光体層形成材料の調製において、攪拌によりフッ素含有樹脂が溶剤に容易に溶解した場合を「◎」、「◎」評価の場合よりも攪拌時間が2倍以上かかった場合を「△」とした。
Figure 2013134932
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表1から、比較例1、2は、無機蛍光体を分散させるバインダー樹脂がシリコーン樹脂あるいはエポキシ樹脂であるため、防湿性に劣っている。これに対し、実施例1〜4では、無機蛍光体を分散させるバインダー樹脂がフッ素含有樹脂であるため、防湿性に優れる。また、透明性と色度調整性能にも優れることが確認できた。
そして、表2から、フッ素含有モノマーとフッ素非含有モノマーの共重合比率が、フッ素含有モノマー/フッ素非含有モノマー(質量比)で60/40〜85/15の範囲内であると、特に防湿性に優れることが確認できた。また、表3から、無機蛍光体の配合量がバインダー樹脂100質量部に対して5〜15質量部であると、透明性(光透過性)と色度調整性能を高度に両立できることが確認できた。また、表4から、無機蛍光体層の厚さが50〜100μmであると、透明性(光透過性)と色度調整性能を高度に両立できることが確認できた。
以上、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能なものである。
10 有機発光素子封止体
12 有機発光素子
14 下側フィルム(封止体)
16 上側フィルム(封止体)
22 無機蛍光体層

Claims (5)

  1. 一対の電極層と該一対の電極層間に配置された有機発光層とを有する積層体からなる有機発光素子がフィルム状の封止材で封止された有機発光素子封止体において、
    前記封止材の少なくとも一部に用いられる透明フィルムの表面に、可視光により励起されて発光する無機蛍光体がフッ素含有樹脂に分散された無機蛍光体層が形成されていることを特徴とする有機発光素子封止体。
  2. 前記フッ素含有樹脂が、フッ素を含有するモノマーおよびフッ素を含有しないモノマーの共重合体よりなることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子封止体。
  3. 前記フッ素を含有するモノマーが、パーフルオロアルキル基とパーフルオロポリエーテル基のいずれか一方を少なくとも有する(メタ)アクリレート系モノマー、および/または、パーフルオロアルキル基とパーフルオロポリエーテル基のいずれか一方を少なくとも有するビニル系モノマーであることを特徴とする請求項2に記載の有機発光素子封止体。
  4. 前記フッ素を含有しないモノマーが、(メタ)アクリレート系モノマー、ビニル系モノマー、スチレン系モノマー、およびオレフィン系モノマーから選択された1種または2種以上のモノマーであることを特徴とする請求項2または3に記載の有機発光素子封止体。
  5. 前記フッ素を含有するモノマーと前記フッ素を含有しないモノマーの共重合比率が、フッ素を含有するモノマー/フッ素を含有しないモノマー(質量比)で、50/50〜95/5の範囲内であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の有機発光素子封止体。
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