JP2013131290A - 膜電極複合体およびこれを用いた燃料電池 - Google Patents

膜電極複合体およびこれを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】温度上昇に伴うアノード触媒層への燃料供給量増大の抑制あるいは温度上昇に伴う電解質膜からの水分蒸発の抑制またはこれらの双方を達成することができ、もって過度の温度上昇や熱暴走を引き起こすことなく、発電特性に優れる膜電極複合体およびこれを用いた燃料電池を提供する。
【解決手段】アノード触媒層102、電解質膜101およびカソード触媒層103をこの順で含む積層体上に、温度上昇により物質透過性が減少する温度応答性層110を備える膜電極複合体およびこれを用いた燃料電池である。温度応答性層110は、相転移温度を境に含水率が変化する温度応答性材料112を含有する多孔質層111からなることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜電極複合体に関し、より詳しくは、温度上昇により物質透過性が減少する温度応答性層を備える膜電極複合体に関する。また本発明は、当該膜電極複合体を用いた燃料電池に関する。
燃料電池は、ユーザが1回燃料補充することで電子機器を従来よりも長く利用できる長時間駆動の点や、ユーザが外出先で電池を使い切ってしまっても、電池の充電を待たずに燃料を購入し補充することで直ぐに電子機器が利用できる利便性の点から、情報化社会を支える携帯用電子機器の新規電源として実用化の期待が高まっている。
燃料電池は、発電により温度が上昇する傾向にある。燃料電池の温度が過度に上昇すると、電解質膜の水分蒸発に伴い、電解質膜中の水分が不足し、その結果、燃料電池の抵抗が増加し、十分な電流を取り出すことができなくなる。
電解質膜の水分不足を防止するための手段として、たとえば、特許文献1(特開2008−288045号公報)には、燃料電池の電解質膜として、イオン伝導性を有する成分からなるセグメント(A)と、外部刺激によって溶解度、形状、あるいは体積が可逆的に変化する成分からなるセグメント(B)を有する高分子の膜からなるイオン伝導膜を用いることが記載されている。セグメント(B)は、たとえば、温度変化により親水性/疎水性が可逆的に変化する成分であり、電池反応による内部発熱によって膜温度が相転移温度以上に達した場合、セグメント(B)は保有していた水を排出し、その結果、イオン伝導性を示すセグメント(A)が保湿されることが記載されている。
ところで、ポンプやファン等の外部動力を利用した補機を用いることなく、燃料および空気をそれぞれアノード極、カソード極に供給する、いわゆるパッシブ型燃料電池は、非常に小さな小型燃料電池の実現の可能性を有することから、携帯電子機器への搭載用途として近年期待が高まっているが、特にこのようなパッシブ式燃料電池においては、発電により消費される燃料量に対して、アノード極に供給される燃料量が多い場合、燃料が電解質膜中を透過し、カソード極側で燃焼を起こす燃料のクロスオーバーが起こり、電池温度が過度に上昇する。電池温度の過度の上昇は、アノード極への燃料供給量および電解質膜の燃料透過量の増大を引き起こし、これにより、電池温度の上昇に拍車がかかるため、熱暴走を起こす危険性がある。とりわけ、この熱暴走の問題は、燃料を気化させ、ガス状態の燃料をアノード極に供給するパッシブ式燃料電池において顕著である。
このような熱暴走もまた、電解質膜中の水分蒸発を生じさせる要因となり、燃料電池の抵抗を増加させ、十分な電流を取り出すことができなくなる。また、熱暴走により、発電により消費される燃料量がクロスオーバーする燃料量と比較して少なくなるため、燃料利用効率が下がり、電池体積の増大を招く。
電池温度上昇に伴う燃料のクロスオーバー増加を防止するための手段として、たとえば特許文献2(特開2006−85955号公報)には、触媒電極と固体高分子電解質膜との間にプロトン伝導性を有し、かつ、温度上昇による収縮を伴って可逆的に体積変化する材料を含む中間層を配置すること、および、当該中間層により、固体高分子電解質膜を透過する液体燃料の量が増加する傾向が見られる高温度領域において、水分や燃料の移動が遮断され、液体燃料の浪費を抑制できることが記載されている。
特開2008−288045号公報 特開2006−85955号公報
上記特許文献1および2に開示されるように、電解質膜の水分不足や燃料のクロスオーバーを防止するための手段として、外部刺激応答性の材料をアノード触媒層、電解質膜およびカソード触媒層からなる積層体(狭義の膜電極複合体)内で用いる場合、外部刺激により外部刺激応答性材料の膨潤/収縮が起こることで応力が生じ、該積層体が破壊されてしまうという問題があった。さらに、外部刺激応答性の材料を該積層体内で用いる場合、積層体の内部で起こる化学反応や物質移動、電子・イオンの移動を妨げ、発電特性が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、温度上昇に伴うアノード触媒層への燃料供給量増大の抑制あるいは温度上昇に伴う電解質膜からの水分蒸発の抑制またはこれらの双方を達成することができ、もって過度の温度上昇や熱暴走を引き起こすことなく、発電特性に優れる膜電極複合体およびこれを用いた燃料電池を提供することにある。
本発明は、アノード触媒層、電解質膜およびカソード触媒層をこの順で含む積層体上に、温度上昇により物質透過性が減少する温度応答性層を備える膜電極複合体を提供する。本発明の膜電極複合体は、好ましくは、アノード触媒層またはカソード触媒層の少なくともいずれか一方の触媒層上に温度応答性層を備えるものである。
温度応答性層は、相転移温度を境に含水率が変化する温度応答性材料を含有する多孔質層からなることが好ましい。たとえば、温度応答性材料は、多孔質層の細孔内に保持される。温度応答性材料は、多孔質層の細孔壁に化学結合されていてもよい。
本発明の膜電極複合体の1つの好ましい実施形態において、温度応答性材料は、温度応答性層の面方向に関して濃度分布を有する。また、他の好ましい実施形態において、温度応答性材料は、温度応答性層の膜厚方向に関して濃度分布を有する。
温度応答性材料としては、上部臨界共溶温度(UCST)型の相転移挙動を示す材料または下部臨界共溶温度(LCST)型の相転移挙動を示す材料を好ましく用いることができる。
温度応答性材料の相転移温度は、アノード触媒層に供給される燃料の沸点より5℃以上低いことが好ましい。また、多孔質層は、非温度応答性材料(温度応答性を示さない材料)からなることが好ましい。
本発明の膜電極複合体は、アノード触媒層上に積層されるアノードガス拡散層、およびカソード触媒層上に積層されるカソードガス拡散層を備えていてもよい。この場合、本発明の膜電極複合体は、アノードガス拡散層および/またはカソードガス拡散層として温度応答性層を備えることができる。
また本発明は、上記本発明に係る膜電極複合体と、膜電極複合体のアノード触媒層側に積層されるアノード集電体と、膜電極複合体のカソード触媒層側に積層されるカソード集電体と、膜電極複合体のアノード触媒層側に設けられる燃料供給部とを備える燃料電池を提供する。本発明の燃料電池は、好ましくは直接アルコール型燃料電池であり、より好ましくは直接メタノール型燃料電池である。
本発明によれば、温度上昇に伴うアノード触媒層への燃料供給量増大の抑制あるいは温度上昇に伴う電解質膜からの水分蒸発の抑制またはこれらの双方を達成することができ、もって過度の温度上昇や熱暴走を引き起こすことなく、発電特性に優れる膜電極複合体および燃料電池を提供することができる。本発明の膜電極複合体を含む燃料電池は、各種電子機器、とりわけ、携帯用電子機器への応用を目的とした小型燃料電池、特に携帯用電子機器搭載型の小型燃料電池して好適である。
本発明の膜電極複合体の一例を模式的に示す断面図である。 LCST型の相転移挙動を示す高分子による物質透過性制御を説明する模式図である。 UCST型の相転移挙動を示す高分子による物質透過性制御を説明する模式図である。 本発明の膜電極複合体の他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の燃料電池の一例を模式的に示す断面図である。 実施例3で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。 実施例4で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。 実施例5で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。 実施例6および7で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。 実施例8で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。 実施例9で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。 実施例10で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。 比較例1で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。 実施例1、2、4、比較例2および3で作製した温度応答性層の膜厚方向における位置と、多孔質層に保持された温度応答性層の充填率との関係を示す図である。 実施例1〜5および比較例2〜3で作製した温度応答性層のメタノール透過率の温度依存性を示す図である。
以下、本発明の膜電極複合体および燃料電池を実施の形態を示して詳細に説明する。
<膜電極複合体>
図1は、本発明の膜電極複合体の一例を模式的に示す断面図である。図1に示される膜電極複合体は、アノード触媒層102、電解質膜101およびカソード触媒層103をこの順で含む積層体;アノード触媒層102に接して積層されるアノードガス拡散層104;カソード触媒層103に接して積層されるカソードガス拡散層105;ならびに、アノードガス拡散層104およびカソードガス拡散層105のそれぞれに接して積層される2つの温度応答性層110からなる。以下、本実施形態の膜電極複合体を構成する各層について詳細に説明する。
(1)温度応答性層
本実施形態の膜電極複合体は、アノード触媒層102側およびカソード触媒層103側に積層された2つの温度応答性層110を備えるものである。温度応答性層110は、温度上昇に伴い、物質透過性が減少する性質を有する層である。温度応答性層110の物質透過性は、所定温度を境に好ましくは可逆的に、かつ不連続的に変化する。ここでいう「物質」とは、当該膜電極複合体を燃料電池に適用したときに温度応答性層を介して移動し得る物質を意味しており、具体的には、燃料電池の燃料(以下、単に燃料という)および/または水である。たとえば、膜電極複合体が直接アルコール型燃料電池に適用される場合、燃料は、アルコールまたはアルコール水溶液である。
温度応答性層110の物質透過性が可逆的に変化することは、膜電極複合体を含む燃料電池の連続稼動の点において有利である。つまり、一度、燃料電池の温度が過度に上昇した場合でも、その後、燃料電池の温度さえ低下すれば、温度応答性層の物質透過性が回復(増加)し、燃料電池の温度が過度に上昇する前と同じように、燃料電池を動作させることができる。また、温度応答性層110の物質透過性が不連続的に(「不連続的に」とは、所定温度を境に物質透過性が劇的に変化することを意味している)変化することは、所定温度以上になると、燃料または水の透過性が著しく減少するため、所望の効果が信頼性良く、かつ効果的に得られる点で有利である。
本実施形態の膜電極複合体によれば、温度応答性層110を備えることにより、下記のような効果を得ることができる。すなわち、アノードガス拡散層104の外側に温度応答性層110を配置することにより、膜電極複合体の温度上昇に伴うアノード触媒層102への燃料透過量の増大を抑制することができる。燃料透過量の増大が抑制されることにより、熱暴走を抑制することができ、その結果、温度上昇に伴う電解質膜101からの水分蒸発を抑制することができる。また、燃料透過量の増大が抑制されることにより、燃料の利用効率が向上するため、燃料電池とした際の電池体積、および、燃料貯蔵槽の体積を低減させることが可能となる。さらに、熱暴走を抑制できることにより、安全性が増すことに加え、膜電極複合体およびこれを用いた燃料電池の不可逆的な熱的劣化を防ぐことができるため、その信頼性を向上させることができる。さらに、電解質膜101からの水分蒸発を抑制することができるため、膜電極複合体を用いた燃料電池の抵抗増加とそれに伴う発電効率の低下を防ぐことができる。このこともまた、電池体積の低減に寄与する。
一方、カソードガス拡散層105の外側に温度応答性層110を配置することにより、膜電極複合体の温度上昇に伴う電解質膜101からの水分蒸発を抑制することができる。水分蒸発を抑制することができるため、膜電極複合体を用いた燃料電池の抵抗増加とそれに伴う発電効率の低下を防ぐことができる。このこともまた、電池体積の低減に寄与する。
本実施形態のように、本発明において温度応答性層は、アノード触媒層、電解質膜およびカソード触媒層からなる積層体(狭義の膜電極複合体)の外側(外部)に配置される。温度応答性層を該積層体の外側(外部)に配置することにより、温度応答性層の物質透過性変化に伴う体積変化が生じても、該積層体が構造的に破壊されることを防ぐことができるため、信頼性の高い膜電極複合体および燃料電池を実現できる。また、温度応答性層を該積層体の外側(外部)に配置することにより、該積層体の内部で起こる化学反応や物質移動、電子・イオンの移動を妨げることが無いため、高い発電特性を実現することができる。
温度応答性層の厚みは、50〜500μmであることが好ましい。厚みが薄すぎる場合は、機械的強度が劣り、破れが生じるなど信頼性が低下するおそれがある。一方、温度応答性層の厚みが厚すぎると、膜電極複合体を適用した燃料電池の体積が大きくなる。
本実施形態における温度応答性層110は、温度応答性材料112を含んでなり、より具体的には、温度応答性材料112を含有する多孔質層111からなる。温度応答性材料とは、後で詳述するように、相転移温度などの所定温度を境に含水率が変化する材料である。温度応答性層110は、図1に模式的に示されるように、多孔質層111の細孔内に温度応答性材料112が保持されたものであることが好ましい。
〔a〕多孔質層
温度応答性層110を構成する多孔質層111は、温度応答性を有していてもよいが、温度応答性材料112の含水率の変化に伴う体積変化が生じても、温度応答性層110の寸法変化を抑制できることから、非温度応答性材料(温度応答性を有しない材料)からなることが好ましい。非温度応答性材料とは、具体的には、温度変化によって、含水率、体積、親疎水性などの物性が不連続的(「不連続的に」とは、相転移温度等を境にこれらの物性値が劇的に変化することを意味している)に変化することの無い材料のことを示す。
多孔質層111としては、たとえば、四フッ化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン等のポリオレフィンなどからなる樹脂多孔質膜を好適に用いることができる。樹脂多孔質膜の具体例を挙げれば、たとえば、いずれも商品名で、四フッ化ポリエチレン樹脂多孔膜である「TEMISH」(日東電工(株)製)、ポリエチレン樹脂多孔膜である「サンマップ」(日東電工(株)社製)、ポリオレフィン樹脂多孔膜である「ハイポア」(旭化成(株)製)などである。
また、カーボンペーパー、カーボンクロス等のガス拡散層として一般に用いられている多孔質膜や、発泡金属、多孔性セラミックスなどの無機多孔質膜を用いることもできる。ガス拡散層として一般に用いられている多孔質膜を多孔質層111として用いると、熱伝導度が高いため、温度応答性層110の物質透過性の応答速度がより向上し、熱暴走等がより生じにくい、安全性のより高い膜電極複合体および燃料電池を実現することができる。
一方、上記樹脂多孔質膜のなかでは、四フッ化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂膜を用いることが好ましい。フッ素系樹脂からなる多孔質層は、撥水性を有するため、液体燃料として用いることができるアルコール水溶液(たとえばメタノール水溶液)や水の透過および凝縮を防ぐ一方、気体の透過を妨げない。そのため、フッ素系樹脂からなる多孔質層を用いた温度応答性層をカソード極側に設けた場合、発電により生成した水により多孔質層の細孔が閉塞することがなく、空気供給を妨げることがないため、安定した発電を実現することができる。また、フッ素系樹脂からなる多孔質層を用いた温度応答性層をアノード極側に設けた場合、液体燃料であるアルコール水溶液自体は透過せず、気化により生成したアルコール蒸気(たとえばメタノール蒸気)および水蒸気が透過するため、アノード触媒層102への燃料供給量を抑制することができ、高濃度燃料(たとえばアルコール濃度が高いアルコール水溶液)を使用することが可能となる。
多孔質層111の細孔構造は特に制限されるものではないが、温度応答性材料との複合化が容易であることから、平均細孔径が50nm以上の細孔を多数有する構造が好ましい。平均細孔径がたとえば50nm未満である場合には、細孔が小さすぎ、多孔質層の細孔内に温度応答性材料を浸透させることや、保持させることが困難になる。また、多孔質層111の細孔構造は、多孔質層中に細孔が網目状に分布した構造(細孔同士が三次元的に連通した構造)であってもよいし、膜厚方向に貫通する多数の細孔を有するものであってもよい。多孔質層111の気孔率は、70〜95%であることが好ましい。気孔率が70%未満の場合、温度応答性層110の物質透過量が極端に小さくなり、多量の空気および燃料を必要とする高電流密度にて発電を行なった場合、安定した発電を行なうことができないおそれがある。また、気孔率が95%を超える場合、多孔質層の強度が低下し、温度応答性材料の含水率の変化に伴う体積変化が生じた場合、温度応答性層の寸法変化を抑制できないことがある。なお、上記平均細孔径および気孔率は、水銀圧入法による細孔分布測定によって測定される値である。
また、多孔質層111は、平均細孔径および膜厚がより大きい第1の多孔質層と、平均細孔径および膜厚がより小さい第2の多孔質層とからなる複合層であってもよい。このような複合層からなる多孔質層111を用いた温度応答性層110は、第1の多孔質層によって物質透過性を大幅に損なうことなく、機械的強度を十分に保つことができるため、膜電極複合体および燃料電池の信頼性を向上させることができる。
〔b〕温度応答性材料
温度応答性材料112は、相転移温度等の所定温度を境に含水率が変化する材料である。所定温度を境に含水率が変化する材料の好ましい例は、所定温度を境に含水率が変化し、それに伴い、体積が変化する材料;所定温度を境に含水率が変化し、それに伴い、親水性から疎水性に変化する、または疎水性から親水性に変化する等の物性が変化する材料である。これらの材料は、好ましくは、その体積または物性が可逆的に、かつ不連続的(「不連続的に」とは、相転移温度等を境にこれらの物性値が劇的に変化することを意味している)に変化する。
温度応答性材料112としては、上記のような温度応答性を示す高分子を好ましく用いることができる。このような高分子としては、相転移温度以上で脱水和し、相転移温度未満で水和する下部臨界共溶温度(LCST)型の相転移挙動を示すタイプと、相転移温度以下で脱水和し、相転移温度を超える温度で水和する上部臨界共溶温度(UCST)型の相転移挙動を示すタイプとがある。このような温度応答性高分子を温度応答性材料に利用する場合、相転移温度前後の体積変化を物質透過性制御に利用することも可能であるし、相転移温度前後の親水性/疎水性変化を物質透過性制御に利用することも可能である。
LCST型の相転移挙動を示す高分子(以下、LCST型高分子という)は、温度上昇に伴い、相転移温度を境に水和状態から脱水和状態、すなわち、親水性から疎水性に変化(含水率が低下)するため、これを温度応答性材料112として用いることにより、図2に示されるように、親水性である水および、メタノールまたはメタノール水溶液等の燃料の相転移後における透過を、相転移前と比べて抑制することができる。図2(a)は、膜電極複合体の温度が相転移温度未満であって、水またはメタノール10の透過が温度応答性材料112である親水性のLCST型高分子112aによって抑制されていない状態を模式的に示しており、図2(b)は、膜電極複合体の温度が相転移温度以上であって、水またはメタノール10の透過が疎水性に変化したLCST型高分子112aによって抑制された状態を模式的に示している。このように、LCST型高分子112aを温度応答性材料112として用いることで、相転移温度以上において、温度応答性層110の物質透過性を低下させることが可能となる。
LCST型高分子112aを多孔質層111の細孔内に保持させることにより温度応答性層110を形成する場合、相転移温度以上において物質透過量が十分に抑制されるよう、LCST型高分子112aの細孔内への充填量を十分高くすることが肝要である。すなわち、LCST型高分子112aは、相転移温度以上になると、水和状態から脱水和状態へと変化するが、それに伴い高分子の収縮が起こる。相転移温度未満で高分子が膨潤しているときには、多孔質層111の細孔がLCST型高分子112aにより塞がれていても、相転移温度以上となり高分子が収縮することで、閉塞していた細孔が開くと、物質透過量が逆に増加してしまう場合があるためである。
LCST型高分子112aとしては、たとえば、ポリ−N−ビニルイソブチルアミド、ポリ−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のポリ(N置換アクリルアミド)誘導体;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合体、ポリエチレンオキシドなどのポリエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;および、これら高分子化合物を主成分とするコポリマーやポリマーブレンドなどが挙げられる。
LCST型高分子112aの相転移温度は、高分子の種類、共重合比などにより制御することができる。たとえば、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミドは30.9℃、ポリ−N−イソプロピルメタクリルアミドは44℃、ポリ−N−エチルメタクリルアミドは50℃、ポリ−N−シクロプロピルメタクリルアミドは59℃、ポリ−N−エチルアクリルアミドは72℃の相転移温度を示す。また、N−イソプロピルアクリルアミドとジメチルアクリルアミドとの共重合体の相転移温度は、たとえばジメチルアクリルアミドのモル分率が6.4%の場合、34℃であり、モル分率が17.2%の場合、41℃である。
LCST型高分子112a(他の温度応答性材料を用いる場合についても同様である)の相転移温度は、膜電極複合体を用いた燃料電池の動作温度や使用される燃料の種類に応じて適切に選択される必要があり、たとえば、LCST型高分子112aの相転移温度は、アノード触媒層に供給される燃料の沸点より5℃以上低いことが好ましい。燃料の沸点と相転移温度との差が5℃未満である場合には、燃料電池の温度がかなり高くなり、燃料および水の蒸発量が急激に増加する状態に達しないと、燃料や水の透過が抑制されないため、電解質膜からの水分蒸発を十分に抑制できず、発電効率の低下を効果的に抑制できない場合がある。
次に、UCST型の相転移挙動を示す高分子(以下、UCST型高分子という)について説明する。UCST型高分子は、温度上昇に伴い、相転移温度を境に脱水和状態から水和状態、すなわち、疎水性から親水性に変化(含水率が上昇)する温度応答性材料である。UCST型高分子を温度応答性材料112として用いる場合には、脱水和状態から水和状態へ変化する際の体積変化を利用することで、物質透過性を制御することができる。すなわち、図3に示されるように、UCST型高分子の体積膨張により、水および、メタノールまたはメタノール水溶液等の燃料の相転移後における透過を、相転移前と比べて抑制することができる。図3(a)は、膜電極複合体の温度が相転移温度以下であって、UCST型高分子112bが脱水和状態で収縮しているために、UCST型高分子112bが保持された多孔質層111の細孔が開いており、水またはメタノール10の透過がUCST型高分子112bによって抑制されていない状態を模式的に示しており、図3(b)は、膜電極複合体の温度が相転移温度を超え、UCST型高分子112bが水和状態となり膨潤するために上記細孔が閉塞し、水またはメタノール10の透過がUCST型高分子112bによって抑制された状態を模式的に示している。このように、UCST型高分子112bを温度応答性材料112として用いる場合には、UCST型高分子112bの膨潤による細孔の閉塞により、温度応答性層110の物質透過性を低下させることが可能となる。
UCST型高分子を利用した温度応答性層は、多孔質層の細孔の開閉により水または燃料の透過量を制御するため、LCST型高分子の親水性/疎水性の変化を利用した温度応答性層と比較して、相転移温度前後における透過量の変化量が大きい傾向にある。したがって、UCST型高分子を利用した温度応答性層は、膜電極複合体および燃料電池の温度をある一定温度以上に上げたくない場合に特に有効であり、膜電極複合体および燃料電池の温度変動をより小さくできる点において特に有利である。
UCST型高分子112bを多孔質層111の細孔内に保持させることにより温度応答性層110を形成する場合、相転移温度以下の時の物質透過量が、相転移温度を超える時の物質透過量を上回るように、UCST型高分子112bの細孔内への充填量を十分小さくしておくことが肝要である。すなわち、UCST型高分子112bは、相転移温度以下になると、水和状態から脱水和状態へと変化するが、それに伴い高分子の収縮が起こる。相転移温度以下で高分子が収縮している時も、多孔質層111の細孔がUCST型高分子112bによって塞がれていると、相転移温度前後で、多孔質層111の細孔の開閉が起こらないため、相転移温度を超えても物質透過量を減少させることができず、また、相転移温度を超えると、UCST型高分子112bはは疎水性から親水性へと変化するため、物質透過量が逆に増加してしまう場合もあり得る。
UCST型高分子112bとしては、たとえば、直鎖ポリエチレンイミン、スルホベタインポリマー、アクリルアミドとN−アセチルアクリルアミドとの共重合体などがある。直鎖ポリエチレンイミンの相転移温度は59.5℃である。UCST型高分子112bの相転移温度は、高分子の種類、共重合比などにより制御することができる。
UCST型高分子112bの相転移温度は、LCST型高分子112aと同様、アノード触媒層に供給される燃料の沸点より5℃以上低いことが好ましい。燃料の沸点と相転移温度との差が5℃未満である場合には、燃料電池の温度がかなり高くなり、燃料および水の蒸発量が急激に増加する状態に達しないと、燃料や水の透過が抑制されないため、電解質膜からの水分蒸発を十分に抑制できず、発電効率の低下を効果的に抑制できない場合がある。
なお、UCST型高分子112bの相転移温度前後の親水性/疎水性変化を物質透過性制御に利用することも可能である。すなわち、UCST型高分子112bは、温度上昇に伴い、相転移温度を境に脱水和状態から水和状態、すなわち、疎水性から親水性に変化するため、疎水性の燃料を用いる場合には、相転移温度を境にその燃料の透過性を低下させることができる。疎水性の燃料としては、たとえばジメチルエーテルが挙げられる。
〔c〕温度応答性層の作製
図1に示されるような、多孔質層111の細孔内に温度応答性材料112が保持された温度応答性層110は、多孔質層111の細孔内に温度応答性材料112を含浸させることによって得ることができる。含浸方法は特に制限されず、たとえば多孔質層111を、温度応答性材料112を含む溶液に浸漬する方法が挙げられる。また、温度応答性材料112は、多孔質層111の細孔壁に化学結合されていてもよく、たとえば、温度応答性材料112は、多孔質層111の細孔壁にグラフトされることができる。多孔質層111の細孔壁に温度応答性材料112をグラフトする方法としては、多孔質層111にプラズマや放射線を照射することで、細孔表面にラジカルを生成させ、温度応答性材材料112を形成するモノマー成分を含有する溶液に浸漬して、重合を進める方法などがある。
ここで、温度応答性材料112は、温度応答性層110の面方向に関して、均一もしくは略均一に分布されていてもよく、あるいは、当該面方向に関して濃度分布を有していてもよい。温度応答性材料112が温度応答性層110の面方向に関して濃度分布を有する場合とは、たとえば、多孔質層111が有する細孔のすべてに温度応答性材料112が充填されているのではなく、一部の細孔に温度応答性材料112が充填されている場合が挙げられる。温度応答性材料112が充填される細孔の割合を調整することによって、温度応答性層110の最小物質透過量(温度応答性材料112が最大の物質透過抑制機能を発揮したときの温度応答性層110の物質透過量)を制御することができる。すなわち、温度応答性材料112が充填される細孔の割合を小さくすることにより、温度応答性層110の最小物質透過量を大きくすることができる。たとえば、最小物質透過量を比較的高いレベルに調整した膜電極複合体を用いた燃料電池は、多量の空気および燃料を必要とする高電流密度での発電を行なう場合に有利であり、このような場合においても安定した発電を行なうことができる。
また、温度応答性材料112は、温度応答性層110の膜厚方向に関して、均一もしくは略均一に分布されていてもよく、あるいは、膜厚方向に関して濃度分布を有していてもよい。膜厚方向に関して、均一もしくは略均一に分布されているとは、膜厚方向に関して、温度応答性材料112の充填密度が同じかまたは略同じであることを意味する。温度応答性材料112が温度応答性層110の膜厚方向に関して濃度分布を有する場合とは、たとえば、細孔内における温度応答性層110の膜厚方向の一部と他の一部とで、温度応答性材料112の充填密度が異なる場合を挙げることができる。温度応答性層110の膜厚方向に関する温度応答性材料112の濃度分布を調整することによっても、温度応答性層110の最小物質透過量を制御することができる。すなわち、温度応答性材料112の充填密度が比較的低い部分を多くすることにより、温度応答性層110の最小物質透過量を大きくすることができる。
(2)電解質膜
電解質膜101は、アノード触媒層102とカソード触媒層103との間でイオンを伝達する機能と、アノード触媒層102とカソード触媒層103との電気的絶縁性を保ち、短絡を防止する機能を有する。電解質膜101の材質は、イオン伝導性を有し、かつ電気的絶縁性を有する材質であれば特に限定されず、高分子膜、無機膜またはコンポジット膜を用いることができる。高分子膜としては、たとえば、パーフルオロスルホン酸系電解質膜である、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成社製)、フレミオン(登録商標、旭硝子社製)、アンモニウム塩誘導体基を有するフッ素系イオン交換膜などが挙げられる。また、スチレン系グラフト重合体、トリフルオロスチレン誘導体共重合体、スルホン化ポリアリーレンエーテル、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、ホスホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリフォスファゼン、ポリビニルピリジン、アンモニウム塩誘導体基を有するビニルベンゼンポリマー、クロロメチルスチレンとビニルベンゼンとの共重合体をアミノ化したもの、ポリオルトフェニレンジアミンなどの炭化水素系電解質膜なども挙げられる。
無機膜としては、たとえばリン酸ガラス、硫酸水素セシウム、ポリタングストリン酸、ポリリン酸アンモニウムなどからなる膜が挙げられる。コンポジット膜としては、タングステン酸、硫酸水素セシウム、ポリタングストリン酸等の無機物とポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、パーフルオロスルホン酸等の有機物とのコンポジット膜などが挙げられる。
電解質膜101の膜厚はたとえば1〜200μmである。また、電解質膜101のEW値(イオン官能基1モルあたりの乾燥重量)は、800〜1100程度であることが好ましい。EW値が小さいほど、イオン移動に伴う電解質膜の抵抗が小さくなり高い出力を得ることができるが、実用上は電解質膜の寸法安定性や強度の問題から、極端に小さくすることは困難である。
(3)アノード触媒層およびカソード触媒層
電解質膜101の一方の表面に積層されるアノード触媒層102および他方の表面に積層されるカソード触媒層103には、少なくとも触媒と電解質とを有する多孔質層からなる触媒層が設けられる。アノード触媒層102の触媒は、燃料を酸化し、電子を生成するという機能を、カソード触媒層103の触媒は、空気中の酸素を還元し、電子を消費するという機能を有する。アノード触媒層102、カソード触媒層103に含まれる電解質は、上述の酸化還元反応に関与するイオンを電解質膜101を介して、アノード触媒層とカソード触媒層との間で伝達する機能を有する。
アノード触媒層102およびカソード触媒層103の触媒は、カーボンやチタン等の導電体の表面に担持されていてもよく、なかでも、水酸基やカルボキシル基等の親水性の官能基を有するカーボンやチタン等の導電体の表面に担持されていることが好ましい。これにより、アノード触媒層102およびカソード触媒層103の保水性を向上させることができる。また、アノード触媒層102およびカソード触媒層103の電解質は、電解質膜101のEW値よりも小さなEW値を有する材料からなることが好ましく、具体的には、電解質膜101と同質材料であるが、EW値が400〜800である電解質材料が好ましい。このような電解質材料を用いることによっても、アノード触媒層102およびカソード触媒層103の保水性を向上させることができる。アノード触媒層102およびカソード触媒層103の保水性の向上により、イオン移動に伴う電解質膜101の抵抗やアノード触媒層102およびカソード触媒層103における電位分布を改善することができる。また、EW値の低い電解質は同時に燃料の透過性も高いことから、EW値の低い電解質を用いることにより、アノード触媒層102に均一に燃料を供給することができる。
(4)アノードガス拡散層およびカソードガス拡散層
本実施形態の膜電極複合体は、アノード触媒層102の表面に積層されるアノードガス拡散層104およびカソード触媒層103の表面に積層されるカソードガス拡散層105を備える。アノードガス拡散層104およびカソードガス拡散層105はそれぞれ、アノード触媒層102、カソード触媒層103に供給される燃料および空気を面内において拡散させる機能を有するとともに、アノード触媒層102、カソード触媒層103と電子の授受を行なう機能を有する。
アノードガス拡散層104およびカソードガス拡散層105としては、比抵抗が小さく、電圧の低下が抑制されることから、カーボン材料;導電性高分子;Au、Pt、Pd等の貴金属;Ti、Ta、W、Nb、Ni、Al、Cu、Ag、Zn等の遷移金属;これらの金属の窒化物または炭化物等;ならびに、ステンレスに代表されるこれらの金属を含有する合金などからなる多孔質材料を用いることが好ましい。Cu、Ag、Zn等の、酸性雰囲気下で耐腐食性に乏しい金属を用いる場合には、Au、Pt、Pdなどの耐腐食性を有する貴金属、導電性高分子、導電性窒化物、導電性炭化物、導電性酸化物等により表面処理(皮膜形成)を行なってもよい。より具体的には、アノードガス拡散層104およびカソードガス拡散層105として、たとえば、上記貴金属、遷移金属または合金からなる発泡金属、金属織物および金属焼結体;ならびに、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボン粒子を含有するエポキシ樹脂膜などを好適に用いることができる。
以上、好ましい実施形態の1つとして図1に示される膜電極複合体について詳細に説明したが、本発明の膜電極複合体は、図1に示される実施形態に限定されるものではない。たとえば、本発明の膜電極複合体は、アノード極側またはカソード極側のみに温度応答性層を備えていてもよい。アノード極側のみに温度応答性層を備える場合であっても、膜電極複合体の温度上昇に伴うアノード触媒層への燃料透過量の増大を抑制することができ、熱暴走の抑制、電解質膜からの水分蒸発の抑制、燃料電池とした際の電池体積の低減、膜電極複合体およびこれを用いた燃料電池の信頼性向上、膜電極複合体を用いた燃料電池における発電効率の低下抑制などの効果を得ることができる。また、カソード極側のみに温度応答性層を備える場合であっても、膜電極複合体の温度上昇に伴う電解質膜からの水分蒸発の抑制、膜電極複合体を用いた燃料電池における発電効率の低下抑制、燃料電池とした際の電池体積の低減などの効果を得ることができる。
また、本発明の膜電極複合体は、必ずしもアノードガス拡散層およびカソードガス拡散層を備える必要はなく、これらを省略することができる場合がある。この場合、温度応答性層は、アノード触媒層および/またはカソード触媒層の表面上に積層することができる。あるいはまた、本発明の膜電極複合体は、図4に示されるように、アノードガス拡散層および/またはカソードガス拡散層として温度応答性層を備えていてもよい。すなわち、この場合の温度応答性層は、アノードガス拡散層および/またはカソードガス拡散層の機能を兼ね備えたものである。このようなアノードガス拡散層および/またはカソードガス拡散層を兼ねた温度応答性層は、アノード触媒層および/またはカソード触媒層の表面上に積層される。ガス拡散層を省略し、ガス拡散層を兼ねた温度応答性層を用いることにより、膜電極複合体を用いた燃料電池の体積を低減することが可能となる。なお、アノード集電体およびカソード集電体を設ける場合には、温度応答性層は、これら集電体上に積層することもできる。
ガス拡散層を兼ねた温度応答性層は、多孔質層111として、カーボンペーパー、カーボンクロス等のガス拡散層として一般に用いられている多孔質膜を使用することにより得られる。ガス拡散層を兼ねた温度応答性層を用いる場合においては、ガス拡散層としての機能(ガス拡散能および触媒層への物質供給能)をできるだけ阻害しないよう、多孔質層の細孔内に保持される温度応答性材料の充填量を適切に調整することが好ましい。
また、温度応答性層は、温度応答性材料を含有する多孔質層からなるものに限定されず、たとえば、温度応答性材料のみから構成されていてもよく、あるいは、非温度応答性の網目構造ポリマーと該ポリマーの網目構造内に保持された温度応答性材料からなるものであってもよい。温度応答性材料のみから構成される温度応答性層を用いる場合には、温度応答性高分子の相転移温度前後の親水性/疎水性変化を物質透過性制御に利用することが好ましい。上記の網目構造ポリマーと温度応答性材料とからなる温度応答性層は、該網目構造ポリマーを、温度応答性材料を形成するモノマー成分を含有する溶液に浸漬して、重合を進める方法により得ることができる。かかる温度応答性層は、相互侵入網目構造を有しており、温度変化により温度応答性材料が膨潤・収縮を起こしても、温度応答性を有さない網目構造ポリマーにより、温度応答性層の寸法変化が抑制される。網目構造ポリマーとしては、たとえば、架橋されたポリメタクリル酸メチル、架橋されたポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。
<燃料電池>
本発明の燃料電池は、上記膜電極複合体を発電部として備えるものであり、好ましくは電子の集電および電気的配線を可能にするためのアノード集電体およびカソード集電体、ならびに、アノード触媒層側に設けられる、アノード触媒層に燃料を供給するための燃料供給部をさらに備える。図5は、本発明の燃料電池の一例を模式的に示す断面図である。図5に示される燃料電池は、アノード触媒層102、電解質膜101およびカソード触媒層103をこの順で含む積層体;アノード触媒層102に接して積層されるアノードガス拡散層104;カソード触媒層103に接して積層されるカソードガス拡散層105;アノードガス拡散層104に接して積層されるアノード集電体106;カソードガス拡散層105に接して積層されるカソード集電体107;アノード集電体106に接して積層される温度応答性層110;アノード集電体106上に配置されるアノード筺体130;カソード集電体107上に積層されるカソード筺体140;ならびに、アノード極およびカソード極の端面を封止するガスケット120からなる。
(1)アノード集電体およびカソード集電体
アノード集電体106、カソード集電体107はそれぞれ、アノード極(たとえばアノードガス拡散層)上、カソード極(たとえばカソードガス拡散層)上に積層され、アノード極、カソード極における電子を集電する機能と、電気的配線を行なう機能とを有する。これらの集電体の材質は、比抵抗が小さく、面方向に電流を取り出しても電圧の低下が抑制されることから、金属であることが好ましく、なかでも、電子伝導性を有し、酸性雰囲気下で耐腐食性を有する金属であることがより好ましい。このような金属としては、Au、Pt、Pd等の貴金属;Ti、Ta、W、Nb、Ni、Al、Cu、Ag、Zn等の遷移金属;およびこれらの金属の窒化物または炭化物等;ならびに、ステンレスに代表されるこれらの金属を含有する合金などが挙げられる。Cu、Ag、Zn等の、酸性雰囲気下で耐腐食性に乏しい金属を用いる場合には、Au、Pt、Pdなどの耐腐食性を有する貴金属、導電性高分子、導電性窒化物、導電性炭化物、導電性酸化物等により表面処理(皮膜形成)を行なってもよい。なお、アノードガス拡散層およびカソードガス拡散層が、たとえば金属等からなり、導電性が比較的高い場合には、アノード集電体およびカソード集電体は省略されてもよい。
より具体的には、アノード集電体106は、燃料をアノード触媒層102へ誘導するための厚み方向に貫通する貫通孔を複数備える、上記金属材料などからなるメッシュ形状またはパンチングメタル形状を有する平板であることができる。この貫通孔は、アノード触媒層102で生成する排ガス(二酸化炭素ガス等)をアノード筺体130側へ誘導するための排出孔としても機能する。同様に、カソード集電体107は、燃料電池外部の空気をカソード触媒層103に供給するための厚み方向に貫通する貫通孔を複数備える、上記金属材料などからなるメッシュ形状またはパンチングメタル形状を有する平板であることができる。
(2)アノード筺体
アノード筺体130は、アノード極側に設けられる、アノード触媒層102に燃料を供給するための燃料供給部を構成する部材であり、図5に示される燃料電池において、アノード筺体130は、燃料を保持あるいは流通させるための燃料供給室131を構成する凹部を備える部材である。該凹部がアノード集電体106に対向するようにアノード筺体130をアノード集電体106上に積層することにより、燃料供給室131が形成される。
アノード筺体130は、プラスチック材料または金属材料を用いて、燃料供給室131の内部空間を構成する凹部を有するように適宜の形状に成形することによって作製することができる。プラスチック材料としては、たとえば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などを挙げることができる。金属材料としては、たとえば、チタン、アルミニウム等のほか、ステンレス、マグネシウム合金等の合金材料を用いることができる。
アノード筺体130から構成される燃料供給部からアノード触媒層102への燃料の供給方法は特に制限されず、たとえば、燃料供給室131を燃料貯蔵槽として機能させ、燃料供給室131内に保持された液体燃料を、温度応答性層110を介して液体状態のまま、あるいはガス状態でアノード触媒層102に供給する方法が挙げられる。また、燃料供給室131に接続された別途の燃料貯蔵槽を設けておき、この燃料貯蔵槽内に保持された液体燃料を燃料供給室131に導き、ついで上記と同様にしてアノード触媒層102に供給する方法であってもよい。この場合、燃料供給室131は、アノード触媒層102の全面に燃料を行き渡らせるための流路として機能することができる。また、燃料供給部は、燃料貯蔵槽から燃料供給室131内まで延びる、液体燃料に対して毛細管作用を示す材料からなる燃料輸送部材をさらに有していてもよい。この場合、燃料貯蔵槽内に保持された液体燃料は、燃料輸送部材の燃料貯蔵槽側端部から燃料輸送部材内を浸透していき燃料供給室131内まで到達した後、典型的には、燃料輸送部材からガス状態でアノード触媒層102に供給される。燃料輸送部材は、温度応答性層に接していてもよいし、接していなくてもよい。
燃料輸送部材を構成する毛細管作用を示す材料としては、アクリル系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、セルロースなどの高分子材料(プラスチック材料)および、ステンレス、チタン、タングステン、ニッケル、アルミニウム、スチールなどの金属材料からなる不規則な細孔を有する多孔質体が挙げられる。多孔質体としては、上記材料からなる不織布、発泡体、焼結体などを挙げることができる。好適な材料の例を挙げれば、ステンレス、チタン、タングステン、ニッケル、アルミニウム、スチールなどの金属材料からなる金属多孔質体、とりわけ、該金属材料を繊維状に加工し、不織布とした金属繊維不織布、およびこれを焼結し、必要に応じて圧延してなる金属繊維不織布焼結体である。
(3)カソード筺体
カソード筺体140は、燃料電池が直接露出することを防止するための部材である。カソード筺体140は省略できる場合もある。カソード筺体140には、通常、空気をカソード触媒層103に導入するための1または2以上の開口が形成される。カソード筺体140は、プラスチック材料または金属材料を用い、適宜の形状に成形することによって作製することができる。プラスチック材料、金属材料としては、アノード筺体130について述べたものと同様のものを用いることができる。
本発明の燃料電池によれば、上記した膜電極複合体を備えるものであるため、温度上昇に伴うアノード触媒層への燃料透過量の増大の抑制、熱暴走の抑制、電解質膜からの水分蒸発の抑制、電池体積の低減、燃料電池の信頼性向上、発電効率の低下抑制などの効果を得ることができる。
本発明の燃料電池は、固体高分子型燃料電池、直接アルコール型燃料電池などとして適用することができ、特に直接アルコール型燃料電池(とりわけ、直接メタノール型燃料電池)として好適である。本発明の燃料電池において使用することのできる液体燃料としては、たとえば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジメトキシメタンなどのアセタール類;ギ酸などのカルボン酸類;ギ酸メチルなどのエステル類;ジメチルエーテルなどのエーテル類;ならびにこれらの水溶液を挙げることができる。液体燃料は1種に限定されず、2種以上の混合物であってもよい。コストの低さや体積あたりのエネルギー密度の高さ、発電効率の高さなどの点から、メタノール水溶液または純メタノールが好ましく用いられる。また、本発明の燃料電池は、ポンプやファン等の外部動力を利用した補機を用いることなく、燃料および空気をそれぞれアノード極、カソード極に供給するパッシブ型燃料電池であってもよい。かかる場合においても、本発明によれば、温度応答性層により、燃料のクロスオーバーおよびこれによって生じ得る過度の温度上昇および熱暴走を効果的に防止することができる。
本発明の燃料電池は、電子機器、特には、携帯電話、電子手帳、ノート型パソコンに代表される携帯機器などの小型電子機器用の電源として好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
以下の手順で膜電極複合体し、図5に示される燃料電池を作製した。
(1)膜電極複合体の作製
Pt−Ru担持カーボンブラック(田中貴金属工業社製「TEC66E50」)、ナフィオン(登録商標)溶液(シグマアルドリッチ社製「Nafion(登録商標)5重量%溶液、製品番号527084」)、および、イソプロピルアルコールを超音波ホモジェナイザーを用いて混合し、得られた混合液を、電解質膜としてのプロトン型のナフィオン117膜(シグマアルドリッチ社製、製品番号274674)の一方の面に、スプレーにより塗布、乾燥し、アノード触媒層を形成した。また、Pt担持カーボンブラック(田中貴金属工業社製「TEC10E50E」)、ナフィオン溶液(シグマアルドリッチ社製「Nafion 5重量%溶液、製品番号527084」)、および、イソプロピルアルコールを超音波ホモジェナイザーを用いて混合し、得られた混合液を、上記ナフィオン117膜のアノード触媒層とは反対側の面に、スプレーにより塗布、乾燥し、カソード触媒層を形成し、触媒で被覆された電解質膜(Catalyst Coated Membrane)を得た。
次に、ガス拡散層(SGL社製「GDL35BC」)をアノード触媒層、カソード触媒層の上にそれぞれ配置し、130℃で3分間ホットプレスすることにより、アノードガス拡散層およびカソードガス拡散層を接合した。
次に、多孔質層(日東電工(株)製「テミッシュ〔TEMISH(登録商標)〕 NTF1121」、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質フィルム、気孔率90%)に、放射線を照射した後、2−ビニル−2−オキサゾリンをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させたモノマー溶液(濃度10重量%)に浸漬することで、多孔質層の細孔壁にポリエチルオキサゾリンをグラフト重合した。ついで、塩酸で加水分解することで、多孔質層の細孔壁に、直鎖ポリエチレンイミン(温度応答性材料)がグラフトされた温度応答性層を得た。グラフト重合による重量増加は、5.5%であった(重量増加は室温で測定、以下同様)。
次に、アノードガス拡散層上に、表面に金メッキを施したステンレス板からなり、燃料を通過させるための直径1mmの貫通孔をハニカム状に多数設けたアノード集電体を、カソードガス拡散層上に、表面に金メッキを施したステンレス板からなり、空気を通過させるための直径1mmの貫通孔をハニカム状に多数設けたカソード集電体を配置した後、上記で得られた温度応答性層をアノード集電体上に配置し、温度応答性層を備える膜電極複合体を得た。
(2)燃料電池の作製
上記で得られた膜電極複合体のアノード集電体上に、燃料保持のための燃料供給室を形成する凹部を有する、アクリル樹脂からなるアノード筐体を配置するとともに、カソード集電体上に、空気供給用の複数の開口を有する、アクリル樹脂からなるカソード筐体を配置し、さらに、電解質膜とアノード筐体およびアノード集電体との間、ならびに電解質膜とカソード筐体およびカソード集電体との間に、燃料および空気の漏洩防止の為、シリコーンラバーからなるガスケットを配置し、アノード筐体とカソード筐体とをボルト締結することにより燃料電池を得た。
<実施例2>
多孔質層(日東電工(株)製「テミッシュ〔TEMISH(登録商標)〕 NTF1121」、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質フィルム、気孔率90%)に、プラズマを照射した後、N−イソプロピルメタクリルアミドを水70重量%−メタノール30重量%の混合溶媒に溶解させたモノマー溶液(濃度10重量%)に浸漬することで、多孔質層の細孔壁にポリ−N−イソプロピルメタクリルアミド(温度応答性材料)がグラフトされた温度応答性層を得た。グラフト重合による重量増加は、11.1%であった。この温度応答性層を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例1と同様にして燃料電池を得た。
<実施例3>
N−イソプロピルメタクリルアミドおよびアゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)を水70重量%−メタノール30重量%の混合溶媒に溶解させたモノマー溶液(濃度10重量%)を調製した。次に、多孔質層(日東電工(株)製「テミッシュ〔TEMISH(登録商標)〕 NTF1121」、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質フィルム、気孔率90%)の両面をその表面が50%だけ露出するように格子状にパターン化したマスク(ポリフェニレンサルファイド製)で被覆し、両端をクリップで留めた後、上記モノマー溶液中に浸漬し、紫外線を照射することにより、多孔質層の面内において、ポリ−N−イソプロピルメタクリルアミド(温度応答性材料)が充填された細孔からなる領域Aと、充填されていない細孔からなる領域Bとが格子状に配置されており、領域Aの面積の割合が多孔質層表面の50%である温度応答性層を得た。ポリ−N−イソプロピルメタクリルアミドの充填による重量増加は、6%であった。この温度応答性層を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例1と同様にして燃料電池を得た。図6は、実施例3で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。図6は、図5と類似するが、温度応答性材料112が充填されている細孔からなる領域と充填されていない領域とが交互に配置されている点において図5と異なる。
<実施例4>
多孔質層(日東電工(株)製「テミッシュ〔TEMISH(登録商標)〕 NTF1121」、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質フィルム、気孔率90%)に、プラズマを照射した後、N−イソプロピルメタクリルアミドをメタノール溶媒に溶解させたモノマー溶液(濃度10重量%)に浸漬することで、多孔質層の細孔壁にポリ−N−イソプロピルメタクリルアミド(温度応答性材料)がグラフトされた温度応答性層を得た。グラフト重合による重量増加は、7%であった。この温度応答性層を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例1と同様にして燃料電池を得た。図7は、実施例4で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。図7は、図5と類似するが、温度応答性層の膜厚方向に関して、温度応答性材料が濃度分布を有する点において図5と異なる。モノマー溶液を作製する際に用いる溶媒をメタノール/水の混合溶媒ではなく、メタノールとすることで、重合反応速度が早まる。この時、モノマー溶液が細孔に浸透したとたんに重合反応が進むため、多孔質層の表面近くの細孔のみで重合が進行し、多孔質層の細孔内部では、ポリマー濃度が相対的に低くなる。
<実施例5>
ガス拡散層(SGL社製「GDL35BC」、気孔率80%)に、放射線を照射した後、2−ビニル−2−オキサゾリンをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させたモノマー溶液(濃度10重量%)に浸漬することで、ガス拡散層の細孔壁にポリエチルオキサゾリンをグラフト重合した。ついで、塩酸で加水分解することで、ガス拡散層の細孔壁に、直鎖ポリエチレンイミン(温度応答性材料)がグラフトされた温度応答性層を得た。グラフト重合による重量増加は、12.5%であった。この温度応答性層を、実施例1におけるアノードガス拡散層として用い、アノード集電体上には温度応答性層を積層しなかったこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例1と同様にして燃料電池を得た。図8は、実施例5で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。
<実施例6>
実施例1と同様の方法で作製した温度応答性層をアノード集電体上に配置する代わりに、カソード集電体上に配置したこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例1と同様にして燃料電池を得た。図9は、実施例6で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。
<実施例7>
実施例2と同様の方法で作製した温度応答性層を用いたこと以外は、実施例6と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例6と同様にして燃料電池を得た。
<実施例8>
実施例3と同様の方法で作製した温度応答性層を用いたこと以外は、実施例6と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例6と同様にして燃料電池を得た。図10は、実施例8で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。
<実施例9>
実施例4と同様の方法で作製した温度応答性層を用いたこと以外は、実施例6と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例6と同様にして燃料電池を得た。図11は、実施例9で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。
<実施例10>
実施例1と同様の方法で作製した温度応答性層をアノード集電体上およびカソード集電体上に配置したこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例1と同様にして燃料電池を得た。図12は、実施例10で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。
<比較例1>
アノード集電体上に温度応答性層を配置しなかったこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例1と同様にして燃料電池を得た。図13は、比較例1で作製した燃料電池を模式的に示す断面図である。
<比較例2>
モノマー溶液における2−ビニル−2−オキサゾリンの濃度を15重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして温度応答性層を得た。グラフト重合による重量増加は、11%であった。この温度応答性層を用いたこと以外は、実施例1と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例1と同様にして燃料電池を得た。
<比較例3>
モノマー溶液におけるN−イソプロピルメタクリルアミドの濃度を5重量%としたこと以外は、実施例2と同様にして温度応答性層を得た。グラフト重合による重量増加は、5.5%であった。この温度応答性層を用いたこと以外は、実施例2と同様にして膜電極複合体を作製し、実施例2と同様にして燃料電池を得た。
実施例および比較例で作製した温度応答性層および燃料電池について下記の評価を行なった。
(1)温度応答性層における温度応答性材料の充填量
図14は、顕微赤外分光測定により求めた、実施例1、2、4、比較例2および3で作製した温度応答性層の膜厚方向における位置と、多孔質層に保持された温度応答性層の充填率との関係を示す図である。多孔質層の全ての細孔が密度1g/cm3の材料で完全に充填されたと仮定した場合、これを、「膜厚方向の全ての位置で温度応答性材料の充填率が100%」とし、各温度応答性層の温度応答性材料の充填率を求めた。図14において、膜厚方向における位置が0%とは、温度応答性層の2つの表面のうち、膜電極複合体に隣り合う第一の表面を意味し、100%とは、温度応答性層の第一の表面とは反対側の第二の表面を意味する。実施例2および比較例2では、膜厚方向の全ての位置で、温度応答性材料の充填率が約100%となった。実施例1および比較例3では、膜厚方向の全ての位置で、温度応答性材料の充填率が約50%となった。実施例4では、温度応答性層の表面に近い部分では、温度応答性材料の充填率が約80%だったが、層の中心部分における温度応答性材料の充填率は約15%だった。
(2)温度応答性層の燃料透過性
図15は、パーベーパレーション法により測定した、実施例1〜5および比較例2〜3で作製した温度応答性層のメタノール透過率の温度依存性を示す図である。メタノール透過率(%)は、多孔質層(日東電工(株)製「テミッシュ〔TEMISH(登録商標)〕 NTF1121」、ポリテトラフルオロエチレンからなる多孔質フィルム、気孔率90%)の各温度におけるメタノール透過量を100としたときの相対値を示している。実施例1〜5の温度応答性層では、温度上昇に伴い、約40℃(実施例3では約30℃)を境にメタノール透過性が急激に低下することが確認された。一方、比較例2および3の温度応答性層では、温度上昇に伴い、約40℃を境にメタノール透過性が急激に上昇した。また、実施例2〜4を比較した場合、温度への応答性は類似しているが、各温度におけるメタノール透過性は、実施例3>実施例4>実施例2の順となった。さらに、実施例2〜4の温度応答性層と比較して、実施例1および5の温度応答性層は、低温から高温への温度変化に伴う、メタノール透過性の変化量が大きかった。なお、ここでは、温度応答性層のメタノール透過性を評価したが、水分透過性についても同様の傾向を示すことが十分に推定される。
(3)燃料電池の発電特性
〔A〕アノード極側に温度応答性層を備える燃料電池
アノード極側のみに温度応答性層を備える実施例1〜5および比較例2〜3、ならびに温度応答性層を有しない比較例1の燃料電池について発電試験を行なった。発電試験は、燃料電池を室温、空気雰囲気中に配置し、5Mメタノール水溶液を燃料供給室に注入し、温度応答性層を介してアノード触媒層に該燃料を供給するとともに、自然対流により空気をカソード触媒層に供給するパッシブ方式で行なった。印加電圧を0.2Vとして、燃料電池の稼動開始から1時間後の燃料電池の抵抗値、燃料電池温度および電流密度を測定した。また、稼動開始から1時間後の燃料電池温度を基準とした場合の、稼動開始1時間後から稼動開始2時間半後までの期間の燃料電池温度の変動を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2013131290
比較例1〜3では、稼動開始から1時間後の燃料電池温度が60℃以上に上昇し、抵抗値も1.0Ωcm2を超えるのに対して、実施例1〜5では、燃料電池温度を60℃未満に保つことができ、抵抗値も1.0Ωcm2以下に保つことができた。これは、高温領域でメタノール透過性が低下する温度応答性層をアノード極側に設けたことで、温度上昇に伴うメタノールクロスオーバーの増加を防止することができ、燃料電池温度の上昇と、それに伴う水分の蒸発を抑制することができたためであると考えられる。また、実施例1〜5では、比較例1〜3と比較して得られる電流密度が大きくなったが、これは、比較例1〜3と比較して、燃料電池の抵抗値を低く抑えることができたためであると考えられる。
また、実施例2〜4を比較した場合、1時間後の燃料電池温度は41〜44℃と同等であるが、得られる電流密度に違いがあった。この差異は、使用した温度応答性層のメタノール透過性の違いに起因すると考えられ、メタノール透過性が相対的に大きい温度応答性層を使用した場合において、得られる電流密度が大きい。また、実施例1および5は、実施例2〜4と比較して、稼動開始1時間後から稼動開始2時間半後までの期間の燃料電池温度の変動が小さい。この差異は、実施例1および5において、メタノール透過性の変化量がより大きい温度応答性層を使用したことによるものと考えられる。
〔B〕カソード極側に温度応答性層を備える燃料電池
カソード極側のみに温度応答性層を備える実施例6〜9、および、温度応答性層を有しない比較例1の燃料電池について発電試験を行なった。発電試験は、燃料電池を室温、空気雰囲気中に配置し、3Mメタノール水溶液を燃料供給室に注入し、温度応答性層を介してアノード触媒層に該燃料を供給するとともに、自然対流により空気をカソード触媒層に供給するパッシブ方式で行なった。印加電流を25mA/cm2として、燃料電池の稼動開始から1時間後の燃料電池の抵抗値、燃料電池温度および電圧値を測定した。また、この定電流測定の直後に、印加電圧を0.2Vに設定し、5分後の電流密度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2013131290
比較例1では、燃料電池の抵抗値が0.8Ωcm2を超えるのに対して、実施例6〜9では、燃料電池の抵抗値を0.8Ωcm2以下に保つことができた。これは、メタノールクロスオーバーや発電の結果、燃料電池温度が上昇した場合であっても、温度上昇に伴い水分の透過性が低下する温度応答性層をカソード極側に設けたことで、温度上昇に伴う燃料電池からの水分の散逸を抑制することができたためであると考えられる。実施例6〜9では、比較例1と比較して得られる電圧値が大きくなったが、これは、実施例6〜9では、比較例1と比較して燃料電池の抵抗値を低く抑えることができたためであると考えられる。
また、実施例6〜9を比較した場合、得られる電流密度に違いがあった。この差異は、使用した温度応答性層の物質透過性の違いに起因すると考えられ、物質透過性が相対的に大きい温度応答性層を使用した場合において、得られる電流密度が大きい。温度応答性層をカソード極側に配置することで、水分の散逸を抑制することができるものの、物質透過性が小さい温度応答性層をカソード極側に配置した場合には、水分の透過とともに、発電反応に必要な空気の供給まで抑制される。そのため、温度応答性層の物質透過性が低い場合には、得られる電流密度が小さくなったものと推察される。
〔C〕アノード極側およびカソード極側に温度応答性層を備える燃料電池
アノード極側およびカソード極側の両方に温度応答性層を備える実施例10の燃料電池について発電試験を行なった。発電試験は、燃料電池を室温、空気雰囲気中に配置し、5Mメタノール水溶液を燃料供給室に注入し、温度応答性層を介してアノード触媒層に該燃料を供給するとともに、自然対流により空気をカソード触媒層に供給するパッシブ方式で行なった。印加電圧を0.2Vとして、燃料電池の稼動開始から1時間後の燃料電池の抵抗値、燃料電池温度および電流密度を測定した。また、稼動開始から1時間後の燃料電池温度を基準とした場合の、稼動開始1時間後から稼動開始2時間半後までの期間の燃料電池温度の変動を測定した。結果を上記の表1に示す。
比較例1では、稼動開始から1時間後の燃料電池温度が60℃以上に上昇し、抵抗値も1.0Ωcm2を超えるのに対して、実施例10では、燃料電池温度を約60℃未満に保つことができ、抵抗値も1.0Ωcm2以下に保つことができた。これは、高温領域でメタノール透過性が低下する温度応答性層をアノード極側に設けたことで、温度上昇に伴うメタノールクロスオーバーの増加を防止することができ、燃料電池温度の上昇と、それに伴う水分の蒸発を抑制することができたためであると考えられる。また、実施例10では、比較例1と比較して得られる電流密度が大きくなったが、これは、比較例1と比較して、燃料電池の抵抗値を低く抑えることができたためであると考えられる。また、実施例1と実施例10とを比較した場合、実施例10は、より低い抵抗値、および、より高い電流密度を示した。これは、実施例10では、カソード極側にも温度応答性層を配置したため、燃料電池の温度上昇に伴う燃料電池からの水分散逸を防ぐことができたためであると考えられる。
10 水またはメタノール、101 電解質膜、102 アノード触媒層、103 カソード触媒層、104 アノードガス拡散層、105 カソードガス拡散層、106 アノード集電体、107 カソード集電体、110 温度応答性層、111 多孔質層、112 温度応答性材料、112a LCST型高分子、112b UCST型高分子、120 ガスケット、130 アノード筺体、131 燃料供給室、140 カソード筺体。

Claims (15)

  1. アノード触媒層、電解質膜およびカソード触媒層をこの順で含む積層体上に、温度上昇により物質透過性が減少する温度応答性層を備える膜電極複合体。
  2. 前記アノード触媒層または前記カソード触媒層の少なくともいずれか一方の触媒層上に、前記温度応答性層を備える、請求項1に記載の膜電極複合体。
  3. 前記温度応答性層は、相転移温度を境に含水率が変化する温度応答性材料を含有する多孔質層からなる、請求項1または2に記載の膜電極複合体。
  4. 前記温度応答性層は、前記多孔質層と、前記多孔質層の細孔内に保持された前記温度応答性材料とからなる、請求項3に記載の膜電極複合体。
  5. 前記温度応答性材料は、前記多孔質層の細孔壁に化学結合されている、請求項4に記載の膜電極複合体。
  6. 前記温度応答性材料は、前記温度応答性層の面方向に関して濃度分布を有する、請求項3〜5のいずれかに記載の膜電極複合体。
  7. 前記温度応答性材料は、前記温度応答性層の膜厚方向に関して濃度分布を有する、請求項3〜5のいずれかに記載の膜電極複合体。
  8. 前記温度応答性材料は、上部臨界共溶温度型の相転移挙動を示す材料である、請求項3〜7のいずれかに記載の膜電極複合体。
  9. 前記温度応答性材料は、下部臨界共溶温度型の相転移挙動を示す材料である、請求項3〜7のいずれかに記載の膜電極複合体。
  10. 前記温度応答性材料の相転移温度は、アノード触媒層に供給される燃料の沸点より5℃以上低い、請求項3〜9のいずれかに記載の膜電極複合体。
  11. 前記多孔質層は、非温度応答性材料からなる、請求項3〜10のいずれかに記載の膜電極複合体。
  12. 前記アノード触媒層上に積層されるアノードガス拡散層、および前記カソード触媒層上に積層されるカソードガス拡散層を備える、請求項1〜11のいずれかに記載の膜電極複合体。
  13. 前記アノードガス拡散層および/または前記カソードガス拡散層として前記温度応答性層を備える、請求項12に記載の膜電極複合体。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の膜電極複合体と、
    前記膜電極複合体の前記アノード触媒層側に積層されるアノード集電体と、
    前記膜電極複合体の前記カソード触媒層側に積層されるカソード集電体と、
    前記膜電極複合体の前記アノード触媒層側に設けられる燃料供給部と、
    を備える燃料電池。
  15. 直接メタノール型燃料電池である、請求項14に記載の燃料電池。
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