JP2013127959A - 二次電池負極用水系バインダー液、およびこれを用いてなる二次電池負極用水系ペースト、二次電池負極、二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む二次電池負極用活物質に適用した際に、活物質と集電体との接着性に優れ、充放電を繰り返しても厚み変化が少ない負極を製造することができるバインダー液であって、水系であるバインダー液を提供する。
【解決手段】ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質を有する二次電池負極を形成するためのバインダー液であり、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、架橋剤(B)と、水性媒体とを含有し、(B)の含有量が、(A)100質量部に対して、10〜100質量部であることを特徴とする二次電池負極用水系バインダー液。
【選択図】なし
【解決手段】ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質を有する二次電池負極を形成するためのバインダー液であり、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、架橋剤(B)と、水性媒体とを含有し、(B)の含有量が、(A)100質量部に対して、10〜100質量部であることを特徴とする二次電池負極用水系バインダー液。
【選択図】なし
Description
本発明は、二次電池負極用水系バインダー液、さらにはこのバインダー液を用いてなるペースト、負極および二次電池に関するものである。
近年、携帯電話やデジタルカメラなどの携帯電子機器の小型軽量化や高機能化の要求に伴い、高性能電池の開発が積極的に進められており、エネルギー密度の高い二次電池の需要が大きく伸びている。特に、リチウムイオン電池は、携帯電話やノートパソコンなどの用途に加え、電気自動車用途への展開も進められ、その利用範囲は非常に拡大している。
リチウムイオン電池は、正極と負極との間にセパレーターが配置された構成の電極を電解液(リチウムイオンポリマー電池の場合は、液状電解液の代わりにゲル状もしくは全固体型の電解質)と共に容器内に収納した構造を有するものである。
リチウムイオン電池の電極は、活物質と、必要に応じて主に炭素材料からなる導電材とが、バインダーを用いてアルミニウム箔や銅箔などの金属集電体上に層形成されたものである。正極用活物質としては、コバルト酸リチウムなどの遷移金属を含むリチウム複合酸化物などが用いられ、負極用活物質としては、炭素材料などが主に用いられる。そして、このようなリチウムイオン電池の電極は、通常、活物質に、バインダーや必要に応じて導電材を添加し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒の存在下で混練・調製した電極ペーストを、金属集電体上にドクターブレードなどにより塗布し、乾燥することによって得られる。ここでバインダーは、活物質と導電材、さらにこれらと金属集電体とを接着するために用いられる。
従来、二次電池電極用のバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂などの主にフッ素系樹脂が用いられ、これをNMPに溶解した溶液が多く使用されている。
しかしながら、PVDFをバインダーとして使用した場合、活物質間や導電材との接着性に劣り、また、活物質および導電材と金属集電体との界面の接着性にも劣るため、極板の裁断工程や捲回工程などの製造工程時に活物質や導電材の一部が金属集電体から剥離・脱落し、微少短絡や電池容量のばらつきを生じる原因となっていた。
さらに、PVDFは電解液に対する耐膨潤性に劣るため、充放電を繰り返すことによってバインダーが電解液中で膨潤し、活物質と導電材との間や、活物質および導電材と金属集電体との間の接触抵抗が増大したり、活物質および導電材の一部が金属集電体から剥離したりすることがあり、電池特性に劣り、さらには安全上の問題があった。
また、PVDFを溶解させる溶媒として用いられているNMPは、電極ペーストを金属集電体上に塗布・乾燥する際に蒸発するため、これを安全に回収する必要がある。また昨今の環境関連の法規制によって、加工場によっては環境に影響を及ぼす可能性のある有機溶媒を使用できないところも多くなっている。
しかしながら、PVDFをバインダーとして使用した場合、活物質間や導電材との接着性に劣り、また、活物質および導電材と金属集電体との界面の接着性にも劣るため、極板の裁断工程や捲回工程などの製造工程時に活物質や導電材の一部が金属集電体から剥離・脱落し、微少短絡や電池容量のばらつきを生じる原因となっていた。
さらに、PVDFは電解液に対する耐膨潤性に劣るため、充放電を繰り返すことによってバインダーが電解液中で膨潤し、活物質と導電材との間や、活物質および導電材と金属集電体との間の接触抵抗が増大したり、活物質および導電材の一部が金属集電体から剥離したりすることがあり、電池特性に劣り、さらには安全上の問題があった。
また、PVDFを溶解させる溶媒として用いられているNMPは、電極ペーストを金属集電体上に塗布・乾燥する際に蒸発するため、これを安全に回収する必要がある。また昨今の環境関連の法規制によって、加工場によっては環境に影響を及ぼす可能性のある有機溶媒を使用できないところも多くなっている。
また近年リチウムイオン二次電池の負極活物質として、炭素材料の理論容量を大きく超える充放電容量を持つ負極活物質の開発が進められている。例えば、ケイ素やスズなどリチウムと合金化可能な金属を含む材料が期待されている。
しかし、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む材料などを二次電池負極用活物質に用いる場合、充放電時のリチウムの吸蔵・放出に伴う体積変化が大きいため、これらの活物質と集電体との接着状態を良好に維持することが難しい。これらの活物質はリチウムの挿入、脱離に伴い、充放電サイクル中に膨張、収縮を繰り返す。そのような膨張、収縮により、活物質粒子が微粉化したり、集電体から脱離したりしてしまう。活物質の微粉化、脱離により、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が非常に劣化する。
これらの問題に対して、二次電池電極用バインダーに関して以下のような技術が開示されている。
すなわち、特許文献1では、バインダー樹脂としてアルコキシシリル基含有樹脂を用いる二次電池用負極が提案されている。特許文献1に記載のように、活物質と、それを結着させるバインダー樹脂との組み合わせについて各種検討されているが、まだサイクル性能向上の余地がある。そのため、よりサイクル性能の優れたリチウムイオン二次電池用負極が今も求められている。
すなわち、特許文献1では、バインダー樹脂としてアルコキシシリル基含有樹脂を用いる二次電池用負極が提案されている。特許文献1に記載のように、活物質と、それを結着させるバインダー樹脂との組み合わせについて各種検討されているが、まだサイクル性能向上の余地がある。そのため、よりサイクル性能の優れたリチウムイオン二次電池用負極が今も求められている。
特許文献2では、バインダー樹脂としてポリイミド樹脂を用いる二次電池用負極が提案されている。しかし、ポリイミド樹脂をNMPに溶解して使用しており、乾燥する際に蒸発する有機溶媒を回収することが依然として必要であった。
本発明は、上記課題を解決するものであり、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む二次電池負極用活物質に適用した際に、活物質と集電体との接着性に優れ、充放電を繰り返しても厚み変化が少ない負極を製造することができるバインダー液であって、水系であるバインダー液を提供することを目的とするものである。さらには、このバインダー液を用いたペースト、負極および二次電池を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題について検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質を有する二次電池負極を形成するためのバインダー液であり、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、架橋剤(B)と、水性媒体とを含有し、(B)の含有量が、(A)100質量部に対して、10〜100質量部であることを特徴とする二次電池負極用水系バインダー液。
(2)ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質を有する二次電池負極を形成するためのバインダー液であり、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、水性媒体とを含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が放射線照射により架橋されていることを特徴とする二次電池負極用水系バインダー液。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン成分を50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(a)および/またはプロピレン成分と1−ブテン成分の少なくとも一つを50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(b)であることを特徴とする(1)または(2)記載の二次電池負極用水系バインダー液。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸成分が、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の二次電池負極用水系バインダー液。(5)架橋剤(B)が、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物またはイソシアネート化合物であることを特徴とする(1)または(3)または(4)記載の二次電池負極用水系バインダー液。
(6)放射線照射の線源がγ線であり、照射量が1〜100kGyであることを特徴とする(2)〜(4)のいずれかに記載の二次電池負極用水系バインダー液。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の二次電池負極用水系バインダー液と、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質とを含有する二次電池負極用水系ペースト。
(8)上記(7)記載の二次電池負極用水系ペーストを用いて形成された二次電池負極。
(9)上記(8)記載の二次電池負極を用いて形成された二次電池。
(1)ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質を有する二次電池負極を形成するためのバインダー液であり、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、架橋剤(B)と、水性媒体とを含有し、(B)の含有量が、(A)100質量部に対して、10〜100質量部であることを特徴とする二次電池負極用水系バインダー液。
(2)ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質を有する二次電池負極を形成するためのバインダー液であり、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、水性媒体とを含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が放射線照射により架橋されていることを特徴とする二次電池負極用水系バインダー液。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン成分を50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(a)および/またはプロピレン成分と1−ブテン成分の少なくとも一つを50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(b)であることを特徴とする(1)または(2)記載の二次電池負極用水系バインダー液。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸成分が、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の二次電池負極用水系バインダー液。(5)架橋剤(B)が、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物またはイソシアネート化合物であることを特徴とする(1)または(3)または(4)記載の二次電池負極用水系バインダー液。
(6)放射線照射の線源がγ線であり、照射量が1〜100kGyであることを特徴とする(2)〜(4)のいずれかに記載の二次電池負極用水系バインダー液。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の二次電池負極用水系バインダー液と、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質とを含有する二次電池負極用水系ペースト。
(8)上記(7)記載の二次電池負極用水系ペーストを用いて形成された二次電池負極。
(9)上記(8)記載の二次電池負極を用いて形成された二次電池。
本発明の二次電池負極用水系バインダー液は、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質と集電体との接着性に優れる。このバインダー液と、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質とを用いて形成された二次電池負極は、充放電を繰り返しても電極の厚み変化が少ないため、接着性と導電性を維持することができ、したがって、サイクル特性に優れた二次電池を得ることが可能となる。また本発明の二次電池負極用水系バインダー液は、水性媒体を媒体として使用するため、電極製造時に有機溶媒が蒸発するなどの有機溶媒の問題を解消することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の二次電池負極用水系バインダー液は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、架橋剤(B)および水性媒体を含有するものであり、架橋剤(B)の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、10〜100質量部である。
本発明の二次電池負極用水系バインダー液は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、架橋剤(B)および水性媒体を含有するものであり、架橋剤(B)の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、10〜100質量部である。
本発明において酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、樹脂の分散化、および電解液に対する耐性を満足させる点から、不飽和カルボン酸成分の含有量が0.1〜10質量%であることが必要であり、0.3〜8質量%であることが好ましく、0.5〜6質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることがさらに好ましい。
不飽和カルボン酸成分の含有量が0.1質量%未満では、活物質および導電材と金属集電体との接着性が低下する場合があり、また後述するように樹脂を水性媒体中に分散させる場合には、その分散化が困難になりやすい。不飽和カルボン酸成分の含有量が10質量%を超えると電解液に対する耐性が低下する場合がある。
不飽和カルボン酸成分としては、不飽和カルボン酸や、その無水物が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などのほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドなどが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中に、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、熱減成法などにより共重合されていれば特にその形態は限定されない。
なお、樹脂中に導入された酸無水物は、樹脂の乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、後述する水性媒体中では、その一部、または全部が開環してカルボン酸、あるいはその塩の構造をとる場合がある。
不飽和カルボン酸成分の含有量が0.1質量%未満では、活物質および導電材と金属集電体との接着性が低下する場合があり、また後述するように樹脂を水性媒体中に分散させる場合には、その分散化が困難になりやすい。不飽和カルボン酸成分の含有量が10質量%を超えると電解液に対する耐性が低下する場合がある。
不飽和カルボン酸成分としては、不飽和カルボン酸や、その無水物が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などのほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドなどが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中に、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、熱減成法などにより共重合されていれば特にその形態は限定されない。
なお、樹脂中に導入された酸無水物は、樹脂の乾燥状態では隣接カルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成しているが、後述する水性媒体中では、その一部、または全部が開環してカルボン酸、あるいはその塩の構造をとる場合がある。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、樹脂の分散化、および電解液に対する耐性の観点から、炭素数2〜6の不飽和炭化水素成分を50〜98質量%含有することが好ましく、60〜98質量%含有することがより好ましく、70〜98質量%含有することがさらに好ましく、75〜95質量%含有することが最も好ましい。
炭素数2〜6の不飽和炭化水素成分の含有量が50質量%未満では電解液に対する耐性が低下する場合があり、98質量%を超えると、相対的に不飽和カルボン酸成分の含有量が低下してしまうため、樹脂の水性化が困難になる場合がある。
炭素数2〜6の不飽和炭化水素成分の含有量が50質量%未満では電解液に対する耐性が低下する場合があり、98質量%を超えると、相対的に不飽和カルボン酸成分の含有量が低下してしまうため、樹脂の水性化が困難になる場合がある。
炭素数2〜6の不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどのアルケン類や、ブタジエンやイソプレンなどのジエン類が挙げられ、樹脂の製造のし易さ、水性化のし易さ、および電解液に対する耐性などの点から、エチレン、プロピレンまたはブテン成分(1−ブテン、イソブテンなど)であることが好ましく、これらを併用することもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、エチレン成分を50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(a)、または、プロピレン成分と1−ブテン成分の少なくとも一つを50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(b)であることが好ましく、酸変性ポリオレフィン樹脂(a)、(b)を併用することもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(b)としては、プロピレン成分と1−ブテン成分以外に、さらにエチレン成分を1.5〜45質量%含有していることが好ましく、2〜30質量%含有していることがより好ましい。エチレン成分を含有することで樹脂の柔軟性が増し、水性化しやすくなる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中に含まれる共重合成分として、本発明の効果を損なわない範囲内で、以下のような成分を含有していてもよい。すなわち、このような成分としては、例えば、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのアルケン類やジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル類、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビニリデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄など、およびこれらの混合物が挙げられる。
このような成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えると、バインダーとした際に上記したような本発明の効果を奏することが困難となりやすい。
このような成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の20質量%以下であることが好ましい。20質量%を超えると、バインダーとした際に上記したような本発明の効果を奏することが困難となりやすい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(a)の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、またはエチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体が最も好ましい。このような樹脂は、レクスパールEAAシリーズ(日本ポリエチレン社)、プリマコール(ダウ・ケミカル日本社)、ニュクレルシリーズ(三井・デュポンポリケミカル社)、ボンダインシリーズ(アルケマ社)、レクスパールETシリーズ(日本ポリエチレン社)などとして市販されている。
酸変性ポリオレフィン樹脂(b)の具体例としては、例えば、レクスタック(REXTAC)(アメリカのレキセン(Rexene)社)、ベストプラスト408、ベストプラスト708(ドイツのヒュルス(Huls)社)、ウベタックAPAO(宇部レキセン社)などを用い、これらの市販樹脂に前記の方法で不飽和カルボン酸成分を導入したポリオレフィン樹脂や、ユーメックスシリーズ(三洋化成社)などが挙げられる。上記の市販樹脂のうち、ベストプラスト408、ベストプラスト708、ユーメックスシリーズを用いることが好ましい。
なお、不飽和カルボン酸成分と炭素数2〜6の不飽和炭化水素成分が本発明の構成成分比率となるように、2種以上の任意のポリオレフィン樹脂を混合して酸変性ポリオレフィン樹脂(A)としてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分子量は特に限定されないが、質量平均分子量は10,000以上であることが好ましく、10,000〜150,000であることがより好ましく、12,000〜120,000であることがさらに好ましく、15,000〜100,000であることが特に好ましく、20,000〜90,000であることが最も好ましい。質量平均分子量が10,000未満の場合は、電極がもろくなり、活物質同士の接着性、活物質と集電体の接着性が低下するおそれがある。質量平均分子量が150,000を超える場合は、樹脂の水性化が困難になる傾向がある。なお、樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
本発明のバインダー液は、架橋剤(B)を含有するかまたは、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が放射線照射により架橋されていることが必要である。このようなバインダー液を用いることで、充放電サイクルに伴う活物質の膨張、収縮を抑制することができる。
バインダー液における架橋剤(B)の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、10〜100質量部であることが必要であり、15〜80質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがより好ましく、30〜50質量部であることが特に好ましい。架橋剤(B)の含有量が10質量部未満の場合には、充放電サイクルに伴う活物質の膨張、収縮の抑制が発現しなくなる傾向にあり、100質量部を超える場合には、バインダー液から得られる塗膜は、電解液により膨潤しやすくなる傾向にあり、また得られる電極は、接着性や柔軟性が低下したり、バインダー液の安定性が悪化したりする傾向にある。
本発明において、架橋剤(B)としては、自己架橋性を有する架橋剤や、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する架橋剤が挙げられる。具体的には、イソシアネート化合物、メラニン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、アジピン酸ジヒドラジド化合物などが挙げられ、その中でも、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物を使用することが好ましい。
オキサゾリン基含有化合物としては、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを含有するオキサゾリン化合物が好ましい化合物として挙げられる。
カルボジイミド化合物としては、1分子中に2個以上のカルボジイミド基を有する、水溶性および/または水分散性多官能カルボジイミド樹脂が好ましい化合物として挙げられる。
イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートが含有するイソシアネート化合物が好ましい化合物として挙げられる。中でも、非ブロック型の多官能イソシアネート化合物、すなわち、非ブロック型のイソシアネート基を1分子中に2個以上含有する化合物が好ましい。ここで「非ブロック型」とは、イソシアネート基がラクタム系やオキシム系の化合物(いわゆるブロック剤)でブロック(「保護」あるいは「マスク」ということもある。)されていないことを示す。
本発明に使用可能な架橋剤(B)のうち、市販のオキサゾリン基含有化合物としては、日本触媒社製エポクロスシリーズが挙げられる。具体的には、水溶性タイプのWS−500、WS−700、エマルションタイプのK−1010E、K−1020E、K−1030E、K−2010E、K−2020E、K−2030Eなどが挙げられる。
市販のカルボジイミド化合物としては、本発明に適した水系のものとしては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。具体的には、水溶性タイプのV−02、SV−02、エマルションタイプのE−01、E−03Aなどが挙げられる。
市販のイソシアネート化合物としては、BASF社製のバソナート(BASONAT)PLR8878、バソナートHW−100など、住友バイエルウレタン社製のバイヒジュール(Bayhydur)3100、バイヒジュールVPLS2150/1、SBUイソシアネートL801、デスモジュール(Desmodur)N3400、デスモジュールVPLS2102、デスモジュールVPLS2025/1、SBUイソシアネート0772、デスモジュールDNなど、武田薬品工業社製のタケネートWD720、タケネートWD725、タケネートWD730など、旭化成工業社製のデュラネートWB40−100、デュラネートWB40−80D、デュラネートWX−1741など、日本ポリウレタン社製のコロネートシリーズなどが挙げられる。
市販のカルボジイミド化合物としては、本発明に適した水系のものとしては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライトシリーズが挙げられる。具体的には、水溶性タイプのV−02、SV−02、エマルションタイプのE−01、E−03Aなどが挙げられる。
市販のイソシアネート化合物としては、BASF社製のバソナート(BASONAT)PLR8878、バソナートHW−100など、住友バイエルウレタン社製のバイヒジュール(Bayhydur)3100、バイヒジュールVPLS2150/1、SBUイソシアネートL801、デスモジュール(Desmodur)N3400、デスモジュールVPLS2102、デスモジュールVPLS2025/1、SBUイソシアネート0772、デスモジュールDNなど、武田薬品工業社製のタケネートWD720、タケネートWD725、タケネートWD730など、旭化成工業社製のデュラネートWB40−100、デュラネートWB40−80D、デュラネートWX−1741など、日本ポリウレタン社製のコロネートシリーズなどが挙げられる。
また、本発明のバインダー液は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)に架橋剤(B)を添加する代わりに、放射線を照射して得られる架橋された酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を用いてもよい。
この場合、使用する放射線の線源としては、α線、β(電子)線、γ線、X線、紫外線などを使用することができる。そのうち、コバルト60からのβ(電子)線、γ線、X線が好ましく、中でもγ線照射処理が最も好ましい。これらの放射線は、1種を単独で照射してもよいし、または、2種を同時に照射してもよく、さらには一定期間をおいて、1種以上の放射線を照射してもよい。
放射線を酸変性ポリオレフィン樹脂(A)に照射して架橋する方法としては、後述する酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体に、放射線を照射する方法が挙げられる。放射線を酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体に照射する際には、容器に入れた水性分散体を放射線源付近に配置する。このとき、照射中に、射源もしくは容器の位置を変えるか、または、水性分散体を攪拌するかのいずれかによって、実質的に均一に照射することが好ましい。
放射線の線量は特に限定されないが、1〜100kGyが好ましく、10〜75kGyがより好ましく、25〜50kGyがさらに好ましい。放射量が1kGy未満の場合や、100kGyを超える場合には、充放電サイクルに伴う活物質の膨張、収縮の抑制が発現しなくなったり、低下したりする傾向にある。また放射量が100kGyを超えると、得られる電極の柔軟性が低下する傾向にあり、電極接着性が低下し、バインダーとしての接着力が不十分となる。
本発明のバインダー液は、水性媒体を含有することが必要である。バインダー液の媒体は、作業者や作業環境への安全性の観点から、水を主成分とすることが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂(A)や架橋剤(B)の水性化、溶解、乾燥負荷低減などの目的のために、媒体には、水以外に有機溶剤が含まれていても差し支えない。有機溶剤が媒体全量に占める量は5質量%以下が好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。媒体には、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)などを水性化する際に添加される水溶性の塩基性化合物を含む場合もある。
本発明のバインダー液において、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)とを合わせた固形分濃度が、1〜50質量%であることが好ましく、3〜40質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。(A)と(B)を合わせた固形分濃度が50質量%を超えると、バインダー液の著しい粘度増加あるいは固化により取扱い性が低下する傾向がある。一方、固形分濃度が1質量%未満ではバインダー液の著しい粘度低下により取扱い性が低下する傾向がある。
上記したように、本発明のバインダー液は、水性媒体として水を用いることが好ましく、バインダー液は水性分散体であることが好ましい。水性分散体中では、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)が均一に混合・分散されていることが好ましい。このような水性分散体を得るには、例えば、それぞれあらかじめ調製された酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の液状物と架橋剤(B)の液状物とを混合する方法や、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)の各原料樹脂を混合し、水や溶媒とともに加熱・攪拌を行って水性分散体を得る方法が挙げられる。中でも、前者の方がより好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を水性媒体に分散する方法は、特に限定されないが、例えば、加圧下、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、塩基性化合物および水性媒体を密閉容器中で加熱、攪拌することで分散する方法を用いることができる。酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性媒体は、水を主成分とする媒体であり、水溶性の有機溶剤や塩基性化合物を含有していてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性媒体への分散化の際に塩基性化合物を添加することにより、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を水性媒体中に均一に分散させることができ、分散安定性に優れたバインダー液を得ることができる。
塩基性化合物としては、アンモニア、有機アミン化合物などのアミン類などが挙げられる。有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N、N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどを挙げることができる。中でもトリエチルアミン、N、N−ジメチルエタノールアミンを用いることが好ましい。
塩基性化合物としては、アンモニア、有機アミン化合物などのアミン類などが挙げられる。有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N、N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどを挙げることができる。中でもトリエチルアミン、N、N−ジメチルエタノールアミンを用いることが好ましい。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体中の塩基性化合物の含有量は、樹脂固形分に対して0.01〜100質量%であることが好ましく、中でも0.05〜40質量%であることが好ましく、0.1〜15質量%であることがより好ましい。塩基性化合物の含有量が0.01質量%未満では、塩基性化合物を添加する効果に乏しく、分散安定性に優れた水性分散体を得ることが困難となりやすい。一方、塩基性化合物の含有量が100質量%を超えると、バインダーの着色やゲル化が生じやすくなる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性媒体への分散化の際に有機溶剤を添加することにより、分散化を促進し、分散粒子径を小さくすることができる。使用する有機溶剤量は、水性媒体中の50質量%以下であることが好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%であることがさらに好ましく、3〜35質量%であることが特に好ましい。有機溶剤量が50質量%を超える場合には、使用する有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下してしまう場合がある。
有機溶剤としては、良好な水性分散体を得るという点から、20℃における水に対する溶解性が10g/L以上のものが好ましく用いられる。さらに好ましくは20g/L以上、特に好ましくは50g/L以上である。
有機溶剤としては、除去し易い点から常圧時の沸点が250℃未満のものが好ましく、50℃以上かつ185℃未満のものが特に好ましい。沸点が250℃以上の有機溶剤は樹脂塗膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、材料間の密着性を悪化させる場合がある。使用される有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルなどのエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリンなどが挙げられる。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
上記の有機溶剤の中でも、樹脂の水性化促進に効果が高いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、これらの中でも水酸基を分子内に1つ有する有機溶剤がより好ましく、少量の添加で樹脂を水性化できる点からn−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールアルキルエーテル類がさらに好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分散化の際に上記の有機溶剤を用いた場合には、分散化の後に、その一部を、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって系外へ留去させ、有機溶剤量の低減を図ることができる。ストリッピングにより、水性分散体中の有機溶剤含有量は、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすれば、環境上好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、親水化処理して使用することができる。親水処理としては、例えば、スルホン化処理、フッ素ガス処理、グラフト重合処理、又は放電処理などを挙げることができ、これら1種類以上の親水化処理を実施することができる。スルホン化処理としては、特に限定するものではないが、例えば、発煙硫酸、硫酸、クロロ硫酸、又は塩化スルフリルなどの溶液中に浸漬する処理、SO3ガスと接触させる処理、あるいは、SOガス及び/又はSO2ガス存在下で放電を作用させる処理を挙げることができる。これらの中でも、発煙硫酸によるスルホン化処理は、反応性が高く、比較的容易にスルホン化することができるため好適である。この場合、主としてスルホン酸基が導入される。
上記のようにして調製される酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、塩基性化合物、水性媒体を含有するものであり、不揮発性水性分散化助剤を含有しないことが好ましい。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体には、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で、さらに他の重合体の水性分散体を添加してもよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの水性分散体、およびこれらの混合物が挙げられる。
本発明の二次電池負極用水系ペーストは、本発明のバインダー液と、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含むリチウムイオン電池負極活物質と、必要に応じて導電材とを含有する。このような負極活物質は単位体積あたりの充放電容量が大きく、電池の大容量化に有用である。一方でこれら活物質を用いた場合、充放電による電極活物質層の体積変化は従来の黒鉛系活物質を用いた場合の5倍程度となるため、バインダーにはより高い接着性が求められている。これら負極活物質や導電材は、それぞれ2種以上含有してもよい。
ケイ素原子を含む負極活物質としては、例えば、(1)シリコン微粒子、(2)スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンまたはクロムと、ケイ素との合金、(3)ホウ素、窒素、酸素または炭素と、ケイ素との化合物や、これらにさらに(2)に例示した金属を有するものなどが挙げられる。ケイ素の合金あるいは化合物の一例としては、SiB4、SiB6、Mg2Si、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、CoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2、TaSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2、SiC、Si3N4、Si2N2O、SiOv(0<v≦2)あるいはLiSiOなどが挙げられる。
スズ原子を含む負極活物質としては、例えば、(1)ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンまたはクロムと、スズとの合金、(2)酸素または炭素とスズとの化合物や、これらにさらに(1)に例示した金属を有するものなどが挙げられる。スズの合金あるいは化合物の一例としては、SnOw(0<w≦2)、SnSiO3、LiSnOあるいはMg2Snなどが挙げられる。
ゲルマニウム原子を含む負極活物質としては、ケイ素やスズとゲルマニウムとの合金などが挙げられる。
負極活物質の平均粒径は0.1〜10μmが好ましい。また、負極活物質の表面には、シランカップリング剤などによる表面処理が施されていてもよい。
導電材としては、炭素材または金属もしくはその化合物を用いることができる。炭素材としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、グラファイト、炭素繊維などを挙げることができ、金属もしくはその化合物としては、ニッケル、コバルト、チタン、酸化コバルト、酸化チタンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
二次電池負極用水系ペーストにおける酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)の含有量((A)と(B)の合計の含有量)は、0.01〜8質量%であることが好ましい。8質量%を超えると、得られる電極における電気抵抗値が高くなる傾向がある。また0.01質量%未満であると、活物質と導電材および金属集電体との十分な接着性を得ることが困難となりやすい。
また、二次電池負極用水系ペーストに、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)以外に、水溶性ポリマーを添加してもよい。水溶性ポリマーの具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸またはアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸またはマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸などが例示される。
中でも、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体が効果的である。これらのセルロース類は、金属集電体、活物質、導電材料の各材料間の濡れ性を向上させる。
水溶性ポリマーの配合量としては、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、架橋剤(B)、活物質、導電材の計100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましく、0.01〜1.5質量部がさらに好ましい。
中でも、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体が効果的である。これらのセルロース類は、金属集電体、活物質、導電材料の各材料間の濡れ性を向上させる。
水溶性ポリマーの配合量としては、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、架橋剤(B)、活物質、導電材の計100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましく、0.01〜1.5質量部がさらに好ましい。
本発明において二次電池負極用水系ペーストを製造する条件や方法は特に限定されず、二次電池負極用水系バインダー液と、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質と、必要に応じて導電材とを、常温もしくは適当に制御された温度で混合した後、機械的分散処理、超音波分散処理などが使用できる。混合順序については特に限定されない。また、必要に応じて上述した他成分や溶媒などを添加することもできる。
本発明の二次電池負極は、本発明の二次電池負極用水系バインダー液を用いて形成することができ、例えば上記のようにして製造した二次電池負極用水系ペーストを集電体上に塗布・乾燥することにより、二次電池負極を形成することができる。
集電体としては、導電性を有する物質であればよく、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅などが挙げられる。集電体の厚みに特に制限はないが、通常5〜50μmの薄膜が用いられる。
ペーストを集電体上に塗布する方法としては、例えばドクターブレードを用いる方法が挙げられ、水性媒体を除去する方法としては、例えば60〜150℃、好ましくは70〜130℃で5〜120分間乾燥し、さらに例えば120℃で12時間減圧乾燥する方法が挙げられる。塗布、乾燥後の電極の厚みは30〜150μmが好ましい。電極の厚みや密度を制御するために、例えばロールプレス機によってプレスすることが好ましい。
集電体としては、導電性を有する物質であればよく、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅などが挙げられる。集電体の厚みに特に制限はないが、通常5〜50μmの薄膜が用いられる。
ペーストを集電体上に塗布する方法としては、例えばドクターブレードを用いる方法が挙げられ、水性媒体を除去する方法としては、例えば60〜150℃、好ましくは70〜130℃で5〜120分間乾燥し、さらに例えば120℃で12時間減圧乾燥する方法が挙げられる。塗布、乾燥後の電極の厚みは30〜150μmが好ましい。電極の厚みや密度を制御するために、例えばロールプレス機によってプレスすることが好ましい。
本発明の二次電池は、本発明の二次電池負極を用いて形成されたものであり、例えば、上記のようにして製造した二次電池負極を、二次電池正極、セパレーターおよび電解液とともに常法に従って容器に封入することにより二次電池を形成することができる。
二次電池を構成する正極の活物質としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムなどが挙げられ、セパレーターとしては、ポリエチレン微多孔膜、ポリプロピレン微多孔膜、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維などが挙げられ、電解液としては、エチレンカーボネートやジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどの非水溶媒を1種類および2種類以上混合した混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウムなどの支持電解塩が添加されたものが挙げられる。また、セパレーターに代えて固体電解質あるいはゲル電解質を用いてもよい。電解質としては、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、イオン性液体、硫酸水溶液、水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。電解質を溶解させる溶媒(電解液溶媒)も、一般的に電解液溶媒として用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;スルホラン類;アセトニトリルなどのニトリル類;イオン性液体などが挙げられ、これらは単独または二種以上の混合溶媒として使用することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
なお、後述する各種の特性は、以下の方法によって測定または評価した。
なお、後述する各種の特性は、以下の方法によって測定または評価した。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸含有量
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の酸価をJIS K5407に記載の方法に準じて測定し、その値から、(A)の不飽和カルボン酸含有量を求めた。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の酸価をJIS K5407に記載の方法に準じて測定し、その値から、(A)の不飽和カルボン酸含有量を求めた。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の樹脂の構成
オルトジクロロベンゼン(d4)中で、120℃にて1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。
オルトジクロロベンゼン(d4)中で、120℃にて1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分子量
GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはTSK−GEL)を用いて、試料をテトラヒドロフランに溶解して40℃下で測定した。このとき、ポリスチレン標準試料で作成した検量線から質量平均分子量を求めた。なお、試料がテトラヒドロフランに溶解し難い場合は、オルトジクロロベンゼンを用いた。
GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはTSK−GEL)を用いて、試料をテトラヒドロフランに溶解して40℃下で測定した。このとき、ポリスチレン標準試料で作成した検量線から質量平均分子量を求めた。なお、試料がテトラヒドロフランに溶解し難い場合は、オルトジクロロベンゼンを用いた。
(4)塗膜硬度評価
二次電池負極用水系バインダー液を銅箔に乾燥後の塗膜厚みが3μmになるようにメイヤーバーでコートし、150℃で90秒間乾燥した。バインダー液塗布面に対して鉛筆引っかき試験を行うことで、塗膜硬度を評価した。なお、鉛筆の硬度は濃度記号の9Hが最も硬く、6Bが最も柔らかいものとし、濃度記号が互いに隣り合う二つの鉛筆について、塗膜のすり傷が2回以上と2回未満となる一組を求め、2回未満となる鉛筆の濃度記号を塗膜硬度値とした。
二次電池負極用水系バインダー液を銅箔に乾燥後の塗膜厚みが3μmになるようにメイヤーバーでコートし、150℃で90秒間乾燥した。バインダー液塗布面に対して鉛筆引っかき試験を行うことで、塗膜硬度を評価した。なお、鉛筆の硬度は濃度記号の9Hが最も硬く、6Bが最も柔らかいものとし、濃度記号が互いに隣り合う二つの鉛筆について、塗膜のすり傷が2回以上と2回未満となる一組を求め、2回未満となる鉛筆の濃度記号を塗膜硬度値とした。
(5)電解液膨潤性評価
二次電池負極用水系バインダー液をPTFEフィルム上に滴下後、90℃で3時間熱風乾燥し、さらに120℃で2時間真空乾燥することで、バインダー液塗膜を得た。得られた塗膜を、複数の塗膜片(5mm×5mm)に裁断したのち、合計の重量が1gになる量の塗膜片を、炭酸ジエチル/炭酸エチレン/炭酸エチルメチル=1/1/1(体積比)の混合溶媒10gに浸漬して、密閉容器中、50℃で2週間インキュベートした。塗膜の電解液膨潤率は次式のようにして計算し、塗膜の電解液膨潤性を評価した。
塗膜の電解液膨潤率[%]=((電解液浸漬後の塗膜片の合計重量[g]−電解液浸漬前の塗膜片の合計重量[g])/電解液浸漬前の塗膜片の合計重量[g])×100
二次電池負極用水系バインダー液をPTFEフィルム上に滴下後、90℃で3時間熱風乾燥し、さらに120℃で2時間真空乾燥することで、バインダー液塗膜を得た。得られた塗膜を、複数の塗膜片(5mm×5mm)に裁断したのち、合計の重量が1gになる量の塗膜片を、炭酸ジエチル/炭酸エチレン/炭酸エチルメチル=1/1/1(体積比)の混合溶媒10gに浸漬して、密閉容器中、50℃で2週間インキュベートした。塗膜の電解液膨潤率は次式のようにして計算し、塗膜の電解液膨潤性を評価した。
塗膜の電解液膨潤率[%]=((電解液浸漬後の塗膜片の合計重量[g]−電解液浸漬前の塗膜片の合計重量[g])/電解液浸漬前の塗膜片の合計重量[g])×100
(6)電極接着強度
銅箔上に二次電池負極用水系ペーストを塗布して形成した二次電池負極から、幅2.5cm、長さ10cmの試験サンプルを切り出し、銅箔側を十分な厚みを有する鋼板に両面テープで貼り合わせた。試験サンプルの活物質層にセロハンテープ(ニチバン社製、CT−18、18mm幅)を貼り付け、その一辺から180°の方向に50mm/分の速度で引き剥がしたときの応力を測定した。なお測定は各サンプル3回実施し、その平均値を接着強度とした。
銅箔上に二次電池負極用水系ペーストを塗布して形成した二次電池負極から、幅2.5cm、長さ10cmの試験サンプルを切り出し、銅箔側を十分な厚みを有する鋼板に両面テープで貼り合わせた。試験サンプルの活物質層にセロハンテープ(ニチバン社製、CT−18、18mm幅)を貼り付け、その一辺から180°の方向に50mm/分の速度で引き剥がしたときの応力を測定した。なお測定は各サンプル3回実施し、その平均値を接着強度とした。
(7)電極柔軟性
上記(6)によって得られた電極について、幅1cm、長さ5cmの短冊状に裁断した後、活物質層側を外側(銅箔側を内側)になるように屈曲(折り曲げ)し、折り曲げ部の活物質層の状態を下記のように評価した。
◎:クラックなし
○:表層から僅かに粉落ちあり
△:クラックあり
×:活物質層が剥離
上記(6)によって得られた電極について、幅1cm、長さ5cmの短冊状に裁断した後、活物質層側を外側(銅箔側を内側)になるように屈曲(折り曲げ)し、折り曲げ部の活物質層の状態を下記のように評価した。
◎:クラックなし
○:表層から僅かに粉落ちあり
△:クラックあり
×:活物質層が剥離
(8)サイクル特性
二次電池負極とコバルト酸リチウム電極と組み合わせて作製したコイン型電池を使用して、充放電試験を行った。50℃環境下、1C−4.1V定電流定電圧充電後、1C−2.5V定電流放電を繰り返し行うことにより、サイクル特性の評価を行った。1サイクル目の放電容量を100%とし、100サイクル後の放電容量を求め、放電容量の維持率をサイクル特性として算出した。
二次電池負極とコバルト酸リチウム電極と組み合わせて作製したコイン型電池を使用して、充放電試験を行った。50℃環境下、1C−4.1V定電流定電圧充電後、1C−2.5V定電流放電を繰り返し行うことにより、サイクル特性の評価を行った。1サイクル目の放電容量を100%とし、100サイクル後の放電容量を求め、放電容量の維持率をサイクル特性として算出した。
(9)活物質層の厚み変化
上記(8)と同様方法で2つのコイン型電池を評価した。ただし、1つのコイン型電池は100サイクル目の充電後に電池を解体して負極を取り出した。電極表面に付着した電解液をキムワイプで拭き取り、活物質層の厚みを測定した。また、もう1つのコイン型電池は100サイクル目の放電後に電池を解体して負極を取り出した。電極表面に付着した電解液をキムワイプで拭き取り、活物質層の厚みを測定した。充電前の活物質層の厚みと比較することで、充放電に伴う負極活物質の厚み変化を評価した。
上記(8)と同様方法で2つのコイン型電池を評価した。ただし、1つのコイン型電池は100サイクル目の充電後に電池を解体して負極を取り出した。電極表面に付着した電解液をキムワイプで拭き取り、活物質層の厚みを測定した。また、もう1つのコイン型電池は100サイクル目の放電後に電池を解体して負極を取り出した。電極表面に付着した電解液をキムワイプで拭き取り、活物質層の厚みを測定した。充電前の活物質層の厚みと比較することで、充放電に伴う負極活物質の厚み変化を評価した。
参考例1
<酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−1」の製造>
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂(a)として60.0gのボンダインTX−8030(アルケマ社製)、48.0gのイソプロパノール、塩基性化合物として3.9gのN,N−ジメチルエタノールアミンおよび188.1gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、乳白色の均一な分散体(固形分濃度20質量%)を得た。
前記分散体290g、蒸留水80gを1Lのナスフラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約87gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体「E−1」(固形分濃度20質量%)を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−1」の製造>
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂(a)として60.0gのボンダインTX−8030(アルケマ社製)、48.0gのイソプロパノール、塩基性化合物として3.9gのN,N−ジメチルエタノールアミンおよび188.1gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却し、乳白色の均一な分散体(固形分濃度20質量%)を得た。
前記分散体290g、蒸留水80gを1Lのナスフラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約87gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体「E−1」(固形分濃度20質量%)を得た。
参考例2
<酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−2」の製造>
撹拌機とヒーターを備えた密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(b)として、ユーメックス1001(三洋化成社製)を90g、塩基性化合物としてN,N−ジメチルエタノールアミンを8g、有機溶剤テトラヒドロフランを240g、蒸留水を260g仕込み、密閉した後、300rpmで撹拌しながら130℃(内温)まで加熱した。撹拌下、130℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り60℃まで自然冷却し、乳白色の均一な分散体(固形分濃度15質量%)を得た。
前記分散体290g、蒸留水40gを1Lのナスフラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約160gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体「E−2」(固形分濃度25質量%)を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−2」の製造>
撹拌機とヒーターを備えた密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、酸変性ポリオレフィン樹脂(b)として、ユーメックス1001(三洋化成社製)を90g、塩基性化合物としてN,N−ジメチルエタノールアミンを8g、有機溶剤テトラヒドロフランを240g、蒸留水を260g仕込み、密閉した後、300rpmで撹拌しながら130℃(内温)まで加熱した。撹拌下、130℃で1時間保持した後、ヒーターの電源を切り60℃まで自然冷却し、乳白色の均一な分散体(固形分濃度15質量%)を得た。
前記分散体290g、蒸留水40gを1Lのナスフラスコに入れ、エバポレーターに設置し、60℃で減圧することにより水性媒体を留去した。約160gの水性媒体を留去したところで、加熱を終了し、常圧に戻して室温まで冷却した。冷却後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体「E−2」(固形分濃度25質量%)を得た。
参考例3
<酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−3」の製造>
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)280gを、4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた。その後、系内温度を170℃に保って、撹拌下、不飽和カルボン酸としての無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてのジクミルパーオキサイド6.0gとをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂(b)「P−1」を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂(b)として、「P−1」を用いた以外は、参考例2と同様の方法で、乳白色の均一な水性分散体「E−3」(固形分濃度25質量%)を得た。
<酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−3」の製造>
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3質量%)280gを、4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた。その後、系内温度を170℃に保って、撹拌下、不飽和カルボン酸としての無水マレイン酸32.0gとラジカル発生剤としてのジクミルパーオキサイド6.0gとをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂(b)「P−1」を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂(b)として、「P−1」を用いた以外は、参考例2と同様の方法で、乳白色の均一な水性分散体「E−3」(固形分濃度25質量%)を得た。
上記水性分散体「E−1」〜「E−3」の製造に使用した酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の組成、分子量を表1に示す。
架橋剤として、下記のものを使用した。
K−1:日本触媒社製エポクロスWS−700(2−イソプロペニル−2−オキサゾリン含有オキサゾリン化合物水性溶液、固形分濃度40質量%)
K−2:日清紡ケミカル社製カルボジライトE−01(水分散性多官能カルボジイミド樹脂、固形分濃度40質量%)
K−3:BASF社製バソナートHW−100(非ブロック型の多官能イソシアネート化合物、イソシアネート含有率約17%)を水で希釈し、固形分濃度が10質量%の溶液を使用した。
K−1:日本触媒社製エポクロスWS−700(2−イソプロペニル−2−オキサゾリン含有オキサゾリン化合物水性溶液、固形分濃度40質量%)
K−2:日清紡ケミカル社製カルボジライトE−01(水分散性多官能カルボジイミド樹脂、固形分濃度40質量%)
K−3:BASF社製バソナートHW−100(非ブロック型の多官能イソシアネート化合物、イソシアネート含有率約17%)を水で希釈し、固形分濃度が10質量%の溶液を使用した。
実施例1
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−1」と、架橋剤「K−1」とを用い、酸変性ポリオレフィン樹脂(固形分)100質量部に、架橋剤(固形分)10質量部となるように配合し、室温で5分間、混合攪拌し、二次電池負極用水系バインダー液「T−1」を得た。得られた二次電池負極用水系バインダー液の塗膜硬度や電解液膨潤性の評価結果を表2に示す。
また、負極活物質として金属シリコン微細粉末(茂原希少金属社製)と、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製、セロゲンBSH−6)水溶液と、二次電池負極用水系バインダー液として「T−1」を用い、それぞれの固形分濃度が、91質量%、4質量%、1質量%、4質量%になるように配合し、さらに、ペーストの固形分濃度が45質量%になるように蒸留水で希釈した後、十分に混練することによって二次電池負極用水系ペーストを調製した。
集電体として厚さ18μmの銅箔を用い、得られたペーストを銅箔の片面に、乾燥後の厚さが約100μmになるようフィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分熱風乾燥させた後、さらに水分を除去するために120℃で15時間真空乾燥して、銅箔上に活物質層を形成して二次電池負極を調製した。
上記調製方法で得られた二次電池負極を用い、面積が2cm2の円形になるように切断し、銅箔上に形成した活物質層をプレスにて電極厚みが60μmに、電極密度が1.4g/cm3となるように成形し、コバルト酸リチウム電極と組み合わせるとともに、両極の間にポリプロピレンメンブレンセパレーター(セルガード社製、セルガード#2400)を挟んでコイン型電池を作製した。得られた負極、電池の特性値と評価結果を表2に示す。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−1」と、架橋剤「K−1」とを用い、酸変性ポリオレフィン樹脂(固形分)100質量部に、架橋剤(固形分)10質量部となるように配合し、室温で5分間、混合攪拌し、二次電池負極用水系バインダー液「T−1」を得た。得られた二次電池負極用水系バインダー液の塗膜硬度や電解液膨潤性の評価結果を表2に示す。
また、負極活物質として金属シリコン微細粉末(茂原希少金属社製)と、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)と、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)(第一工業製薬社製、セロゲンBSH−6)水溶液と、二次電池負極用水系バインダー液として「T−1」を用い、それぞれの固形分濃度が、91質量%、4質量%、1質量%、4質量%になるように配合し、さらに、ペーストの固形分濃度が45質量%になるように蒸留水で希釈した後、十分に混練することによって二次電池負極用水系ペーストを調製した。
集電体として厚さ18μmの銅箔を用い、得られたペーストを銅箔の片面に、乾燥後の厚さが約100μmになるようフィルムアプリケーターを用いて塗布し、80℃で30分熱風乾燥させた後、さらに水分を除去するために120℃で15時間真空乾燥して、銅箔上に活物質層を形成して二次電池負極を調製した。
上記調製方法で得られた二次電池負極を用い、面積が2cm2の円形になるように切断し、銅箔上に形成した活物質層をプレスにて電極厚みが60μmに、電極密度が1.4g/cm3となるように成形し、コバルト酸リチウム電極と組み合わせるとともに、両極の間にポリプロピレンメンブレンセパレーター(セルガード社製、セルガード#2400)を挟んでコイン型電池を作製した。得られた負極、電池の特性値と評価結果を表2に示す。
実施例2〜28、比較例1〜9
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体の種類、架橋剤の種類、その固形分の含有量、放射線照射の線源、及び照射量を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例2〜28、比較例4〜9において、二次電池負極用水系バインダー液「T−2」〜「T−34」を得た。また、比較例1〜3では、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−1」〜「E−3」を、二次電池負極用水系バインダー液として用いた。得られた二次電池負極用水系バインダー液の塗膜硬度や電解液膨潤性の評価結果を表2に示す。
また、得られた二次電池負極用水系バインダー液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で二次電池負極用水系ペースト、二次電池負極、コイン型電池を作製した。得られた負極、電池の特性値と評価結果を表2に示す。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体の種類、架橋剤の種類、その固形分の含有量、放射線照射の線源、及び照射量を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例2〜28、比較例4〜9において、二次電池負極用水系バインダー液「T−2」〜「T−34」を得た。また、比較例1〜3では、酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体「E−1」〜「E−3」を、二次電池負極用水系バインダー液として用いた。得られた二次電池負極用水系バインダー液の塗膜硬度や電解液膨潤性の評価結果を表2に示す。
また、得られた二次電池負極用水系バインダー液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で二次電池負極用水系ペースト、二次電池負極、コイン型電池を作製した。得られた負極、電池の特性値と評価結果を表2に示す。
比較例10
二次電池負極用バインダーとして、PVDF樹脂のNMP溶液(クレハ社製、KF−L#9210)「T−35」を用いた。塗膜硬度や電解液膨潤性の評価結果を表2に示す。
また、このバインダー液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で二次電池負極用ペースト、二次電池負極、コイン型電池を作製した。得られた負極、電池の特性値と評価結果を表2に示す。
二次電池負極用バインダーとして、PVDF樹脂のNMP溶液(クレハ社製、KF−L#9210)「T−35」を用いた。塗膜硬度や電解液膨潤性の評価結果を表2に示す。
また、このバインダー液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で二次電池負極用ペースト、二次電池負極、コイン型電池を作製した。得られた負極、電池の特性値と評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1〜28で得られた二次電池負極用水系バインダー液は、特定量の架橋剤(B)を含有するか、または放射線照射により架橋された酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を含むため、このバインダー液を塗布してなる塗膜は、塗膜硬度が高く、またこのバインダー液を含有するペーストから形成された二次電池負極は、活物質層と銅箔との接着強度が高いものであった。また、得られた二次電池は、充放電サイクルに伴う負極の膨張・収縮が小さいものであり、結果として、良好なサイクル特性を示した。
一方、比較例1〜6で得られた二次電池負極は、活物質層と銅箔との接着強度が高いものであったが、使用したバインダー液は、架橋剤(B)の含有量が少ない、または放射線照射により架橋された酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を含有しないものであったため、得られた二次電池は、充放電サイクルに伴う負極の膨張・収縮が大きく、結果として、サイクル特性が劣るものであった。
また、比較例7〜9では、使用したバインダー液は、架橋剤(B)の含有量が多いものであったため、このバインダー液から得られる塗膜は、電解液により膨潤しやすいものであり、また得られた二次電池負極は、活物質層と銅箔との接着強度が低く、柔軟性も低いものであった。得られた二次電池は、充放電サイクルに伴う負極の膨張・収縮が大きく、サイクル特性が劣るものであった。
また、比較例10では、バインダー液を構成する樹脂として、PVDF樹脂を使用したため、このバインダー液から得られる塗膜は、電解液により膨潤しやすいものであった。また得られた二次電池負極は、活物質層と銅箔との接着強度が低いものであった。得られた二次電池は、充放電サイクルに伴う負極の膨張・収縮が大きく、サイクル特性が劣るものであった。
一方、比較例1〜6で得られた二次電池負極は、活物質層と銅箔との接着強度が高いものであったが、使用したバインダー液は、架橋剤(B)の含有量が少ない、または放射線照射により架橋された酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を含有しないものであったため、得られた二次電池は、充放電サイクルに伴う負極の膨張・収縮が大きく、結果として、サイクル特性が劣るものであった。
また、比較例7〜9では、使用したバインダー液は、架橋剤(B)の含有量が多いものであったため、このバインダー液から得られる塗膜は、電解液により膨潤しやすいものであり、また得られた二次電池負極は、活物質層と銅箔との接着強度が低く、柔軟性も低いものであった。得られた二次電池は、充放電サイクルに伴う負極の膨張・収縮が大きく、サイクル特性が劣るものであった。
また、比較例10では、バインダー液を構成する樹脂として、PVDF樹脂を使用したため、このバインダー液から得られる塗膜は、電解液により膨潤しやすいものであった。また得られた二次電池負極は、活物質層と銅箔との接着強度が低いものであった。得られた二次電池は、充放電サイクルに伴う負極の膨張・収縮が大きく、サイクル特性が劣るものであった。
Claims (9)
- ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質を有する二次電池負極を形成するためのバインダー液であり、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、架橋剤(B)と、水性媒体とを含有し、(B)の含有量が、(A)100質量部に対して、10〜100質量部であることを特徴とする二次電池負極用水系バインダー液。
- ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質を有する二次電池負極を形成するためのバインダー液であり、不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、水性媒体とを含有し、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が放射線照射により架橋されていることを特徴とする二次電池負極用水系バインダー液。
- 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が、エチレン成分を50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(a)および/またはプロピレン成分と1−ブテン成分の少なくとも一つを50〜98質量%含有する酸変性ポリオレフィン樹脂(b)であることを特徴とする請求項1または2記載の二次電池負極用水系バインダー液。
- 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の不飽和カルボン酸成分が、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池負極用水系バインダー液。
- 架橋剤(B)が、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物またはイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1または3または4記載の二次電池負極用水系バインダー液。
- 放射線照射の線源がγ線であり、照射量が1〜100kGyであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の二次電池負極用水系バインダー液。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の二次電池負極用水系バインダー液と、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質とを含有する二次電池負極用水系ペースト。
- 請求項7記載の二次電池負極用水系ペーストを用いて形成された二次電池負極。
- 請求項8記載の二次電池負極を用いて形成された二次電池。
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