JP2013125598A - フィルム状異方導電性接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 重合性(メタ)アクリル系硬化型のフィルム状異方導電性接着剤において、接着強度、接続信頼性を改善したフィルム状異方導電性接着剤を提供する。
【解決手段】 (A)フィルム形成性樹脂、(B)重合性(メタ)アクリル系化合物、(C)熱可塑性エラストマー、(D)重合開始剤、及び(E)導電性粒子を含むフィルム状導電性接着剤。(C)熱可塑性エラストマーはポリアミド系熱可塑性エラストマーであることが好ましく、樹脂全量に対する含有率は、2〜40質量%であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 (A)フィルム形成性樹脂、(B)重合性(メタ)アクリル系化合物、(C)熱可塑性エラストマー、(D)重合開始剤、及び(E)導電性粒子を含むフィルム状導電性接着剤。(C)熱可塑性エラストマーはポリアミド系熱可塑性エラストマーであることが好ましく、樹脂全量に対する含有率は、2〜40質量%であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、LCDのガラスパネルとフレキシブルプリント配線板(FPC)のような回路基板同士の接合等に使用されるフィルム状異方導電性接着剤に関し、特に重合性(メタ)アクリル系化合物を用いた低温速硬化型のフィルム状異方導電性接着剤に関する。
LCDのガラスパネルとフレキシブルプリント配線板(FPC)のような回路基板同士の電気的接続を保持しつつ、接合させる接着剤として、絶縁性の樹脂組成物中に導電性粒子が分散されたフィルム状異方導電性接着剤が用いられる。例えば、図1に示すように、電極1a、1a…が所定間隔をあけて並置されたLCDガラスパネル1と、電極2a、2aが所定間隔をあけて並置されたフレキシブルプリント配線板(FPC)2との間に、フィルム状異方導電性接着剤3を載置し、押圧ツール5(クッション材4を介在させてもよい)で、加熱、加圧すると、接着剤中の樹脂が流動し、各回路基板1,2上に形成された電極間の隙間(1a,1a間、2a,2a間)に埋入されると同時に、導電性粒子の一部が対峙する電極間(1a−2a間)に噛みこまれて電気的接続が達成される。従って、フィルム状異方導電性接着剤は、加熱加圧により各回路基板上の電極間(1aと2a間)間隙に流入できる流動性と、接合体において、相対峙する接続された電極間(1aと2a間)の電気的接続を保持するという接続信頼性及び接着強度が求められる。
このような異方導電性フィルムとしては、従来から、耐熱性、耐湿性、絶縁性の点から、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤を組合せた樹脂組成物が用いられている。
近年、低コスト化、高生産性の観点から、低温速硬化の接着剤組成物が求められるようになり、このような要求に応える接着性樹脂組成物として、ラジカル重合性を有するアクリレート誘導体や(メタ)アクリレート誘導体と、ラジカル重合開始剤とを組合せた、ラジカル重合硬化型接着剤が注目されている。このようなラジカル硬化型接着剤は、反応活性種であるラジカルが反応性に富むため、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤の組合せと比べて、低温で且つ短時間で硬化可能である。
ところが、(メタ)アクリレート誘導体を用いた重合硬化タイプの接着剤組成物は、エポキシ樹脂を用いた接着剤組成物と比べて、硬化収縮が一般に大きい。このため、接着剤硬化部分において、空隙が発生しやすく、結果として、エポキシ樹脂タイプの接着剤を用いた接合体と比べて接着強度が低く、また接続抵抗が高く、接続信頼性に劣ることが知られている。
このような理由から、(メタ)アクリレート誘導体を用いたラジカル硬化型接着剤において、接着強度を改善する検討が進められている。
例えば、特開2010−111847号公報(特許文献1)では、リン酸基を有するビニル化合物を含有させることが提案されており、特開2011−37953号公報(特許文献2)では、さらに、ラジカル重合性化合物として、特殊な構造を有するアクリレート誘導体を使用することを提案している。
特開2011−32491号公報(特許文献3)では、導電性粒子含有層が絶縁性接着層に積層された2層構造の異方導電性フィルムについてであるが、絶縁性接着剤層及び導電性粒子含有層のそれぞれにチオール化合物を含有することが提案されている。
また、特開2010−106261号公報(特許文献4)では、応力緩和剤として、ポリブタジエン粒子を含有させること、さらにはラジカル重合性化合物としてジシクロペンタニル(メタ)アクリルモノマー及びウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのいずれかを含有させることが提案されている。
さらに、特開2006−190644号公報(特許文献5)では、2種類の重合性アクリレート系化合物を使用し、フィルム形成用の樹脂として、シラン基含有樹脂を使用し、カルボキシル基又はエポキシ基を有するゴムを有機反応型シランと反応させて得られるゴム(段落番号0021−0022)を配合したフィルム用導電性接着剤が提案されている。
さらに、特開2006−8978号公報(特許文献6)では、架橋性ゴム状樹脂(実施例では、EPDM、ブチルゴムを使用)を添加することが提案されている。
以上のように、重合性(メタ)アクリル系化合物、フィルム形成性樹脂、他の配合成分について、種々の提案がなされているものの、未だ満足できるものはない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、重合性(メタ)アクリル系硬化型のフィルム状異方導電性接着剤において、接着強度、接続信頼性を改善したフィルム状異方導電性接着剤を提供することにある。
本発明者らは、重合性(メタ)アクリル系硬化型フィルム状異方導電性接着剤を用いた場合の接着強度の向上にあたり、フィルム形成性樹脂、重合性(メタ)アクリル系化合物以外の成分に注目して、検討した。硬化収縮による接着強度の低下抑制のためには、応力緩和剤となる高分子成分を添加することが有効であると考え、さらに検討をすすめ、本発明を完成した。
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、(A)フィルム形成性樹脂、(B)重合性(メタ)アクリル系化合物、(C)熱可塑性エラストマー、(D)重合開始剤、及び(E)導電性粒子を含む。
前記(C)熱可塑性エラストマーは、ポリアミド系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。また、前記(C)熱可塑性エラストマーの樹脂全量に対する含有率は、2〜40質量%であることが好ましい。
前記(B)重合性アクリル系化合物は、エポキシアクリレート及びウレタンアクリレートを含有することが好ましい。また、前記(A)フィルム形成性樹脂は、フェノキシ樹脂であることが好ましい。
なお、本明細書で、アクリル、メタクリルを特に区別しない場合、「(メタ)アクリル」と称し、同様に、アクリレート、メタクリレートを特に区別しない場合「(メタ)アクリレート」と、アクリロイル、メタクリロイルを特に区別しない場合「(メタ)アクリロイル」と称する。
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、重合による硬化収縮の緩和として、熱可塑性エラストマーを使用しているので、重合性(メタ)アクリル系化合物を用いることによる、低温速硬化性を損なうことなく、接着強度、接続信頼性の向上を図ることができる。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、今回、開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
〔フィルム状異方導電性接着剤〕
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、(A)フィルム形成性樹脂、(B)重合性(メタ)アクリレート系化合物、(C)熱可塑性エラストマー、(D)重合開始剤、及び(E)導電性粒子を含有する接着剤組成物をフィルム状に成形したものである。
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、(A)フィルム形成性樹脂、(B)重合性(メタ)アクリレート系化合物、(C)熱可塑性エラストマー、(D)重合開始剤、及び(E)導電性粒子を含有する接着剤組成物をフィルム状に成形したものである。
〔接着剤組成物〕
はじめに、本発明のフィルム状異方導電性接着剤の原料となる接着剤組成物について説明する。
(A)フィルム形成性樹脂
本発明で用いられるフィルム形成性樹脂とは、室温の状態では、フィルム状態を保持し、重合反応温度では、重合性(メタ)アクリレート系化合物が分散できるように、軟化流動性を有する熱可塑性樹脂であり、耐熱性、絶縁性の観点から、高分子量のエポキシ樹脂に該当するフェノキシ樹脂が好ましく用いられる。
はじめに、本発明のフィルム状異方導電性接着剤の原料となる接着剤組成物について説明する。
(A)フィルム形成性樹脂
本発明で用いられるフィルム形成性樹脂とは、室温の状態では、フィルム状態を保持し、重合反応温度では、重合性(メタ)アクリレート系化合物が分散できるように、軟化流動性を有する熱可塑性樹脂であり、耐熱性、絶縁性の観点から、高分子量のエポキシ樹脂に該当するフェノキシ樹脂が好ましく用いられる。
フェノキシ樹脂とは、高分子量のエポキシ樹脂に該当し、重合度(n)が100程度以上のものをいう。本発明に用いられるフェノキシ樹脂は、GPCにより測定される重量平均分子量が3万以上のもの、好ましくは4万以上のもの、より好ましくは45000以上である。このような高分子量のエポキシ樹脂に該当するフェノキシ樹脂は、通常、軟化点80〜150℃程度であり、常温で固体である。熱可塑性樹脂として挙動することから、フィルム形成性がよい。
本発明で使用するフェノキシ樹脂の種類は特に限定しない。例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の共重合体型フェノキシ樹脂、その蒸留品、ナフタレン型フェノキシ樹脂、ノボラック型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂、シクロペンタジエン型フェノキシ樹脂などを用いることができる。これらのうち、フィルム形成性、耐熱性の点から、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂が好ましく用いられる。
フェノキシ樹脂は、樹脂全量の20〜60質量%含有することが好ましく、より好ましくは、25〜50質量%である。20質量%未満では、組成物全体としての固形性を保持することが困難になり、フィルム状異方導電性接着剤を作製することが困難になる傾向にある。ここで、樹脂全量とは、得られる硬化物において樹脂として存在している成分の合計量をいい、(A)フィルム形成性樹脂、(B)重合性(メタ)アクリル系化合物、(C)熱可塑性エラストマー、(D)重合開始剤、さらに後述する他の樹脂(F)を含む場合には、他の樹脂を加えた合計量をいう(以下、同様である)。
(B)重合性(メタ)アクリル系化合物
重合性(メタ)アクリル系化合物とは、後述する重合開始剤により、ラジカル重合を開始して、硬化する(メタ)アクリル系化合物であり、(メタ)アクリロイル基を1個以上、好ましくは2個以上有するモノマー又はオリゴマーで、(メタ)アクリレート系モノマーの他、エポキシ樹脂、ウレタン、ポリオールなどの分子鎖末端を(メタ)アクリロイル基で修飾した化合物などが挙げられる。
重合性(メタ)アクリル系化合物とは、後述する重合開始剤により、ラジカル重合を開始して、硬化する(メタ)アクリル系化合物であり、(メタ)アクリロイル基を1個以上、好ましくは2個以上有するモノマー又はオリゴマーで、(メタ)アクリレート系モノマーの他、エポキシ樹脂、ウレタン、ポリオールなどの分子鎖末端を(メタ)アクリロイル基で修飾した化合物などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル系モノマーとしては、具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソペンチル、メタクリル酸イソペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−n−オクチル、アクリル酸イソノニル、メタクリル酸イソノニル、アクリル酸−n−デシル、メタクリル酸−n−デシル、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸イソデシル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキルエステル;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基置換(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド含有アクリル系モノマー、アクリロニトリル等のシアノ基含有アクリル系モノマーなどが挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種以上混合して用いてもよい。
また、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するオリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等のオリゴマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性2官能(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性3官能(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンアクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルのグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンアクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルのグリシジル基に(メタ)アクリル酸を付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテルのグリシジル基にエチレングリコールやプロピレングリコールを付加させた化合物に(メタ)アクリロイルオキシ基を導入した化合物が挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種以上混合して用いてもよい。さらに、これらのオリゴマーは、それぞれ、上記(メタ)アクリル系モノマーと混合して用いてもよい。
以上のような重合性(メタ)アクリル系化合物は、加熱により(D)重合開始剤から発生するラジカルの作用により、ラジカル重合を開始し、硬化する。また、得られる重合物は、一般に、アセトン、ケトン、アルコールといった汎用溶剤に溶解するので、接合不良等の不良品を再利用する際の、溶剤拭き取り容易性(リペア性)にも優れている。
接着剤組成物における重合性(メタ)アクリル系化合物は、樹脂全量に対して、20〜50質量%とすることが好ましく、より好ましくは30〜50質量%である。
(C)熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーとは、加熱により軟化して流動性を示し、常温ではゴム状弾性体として挙動できるものである。熱可塑性エラストマーは、高温になるほど、溶融粘度が下がる傾向にあるので、加熱加圧により開始した重合性(メタ)アクリル系化合物の重合反応進行により接着剤組成物の流動性が低下していく中、溶融流動して、対向電極間のギャップ(図1中の1a、2a間)縮小に寄与することができる。そして、重合性(メタ)アクリル系化合物の硬化収縮による接着界面や接着剤内部に発生する残留応力を緩和するとともに、硬化後は、そのゴム状弾性に基づき、接合部において変形等により生じる応力緩和材として作用できるので、接着強度の増大に寄与できる。また、溶剤に可溶であることから、アクリル系樹脂のふき取り容易性を損なわずに済む。
熱可塑性エラストマーとは、加熱により軟化して流動性を示し、常温ではゴム状弾性体として挙動できるものである。熱可塑性エラストマーは、高温になるほど、溶融粘度が下がる傾向にあるので、加熱加圧により開始した重合性(メタ)アクリル系化合物の重合反応進行により接着剤組成物の流動性が低下していく中、溶融流動して、対向電極間のギャップ(図1中の1a、2a間)縮小に寄与することができる。そして、重合性(メタ)アクリル系化合物の硬化収縮による接着界面や接着剤内部に発生する残留応力を緩和するとともに、硬化後は、そのゴム状弾性に基づき、接合部において変形等により生じる応力緩和材として作用できるので、接着強度の増大に寄与できる。また、溶剤に可溶であることから、アクリル系樹脂のふき取り容易性を損なわずに済む。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーの分子構造は特に限定せず、トリブロック共重合型、テトラブロック共重合型、マルチブロック共重合型、星型ブロック共重合型などいずれであってもよい。
本発明で用いられる熱可塑性エラストマーの分子構造は特に限定せず、トリブロック共重合型、テトラブロック共重合型、マルチブロック共重合型、星型ブロック共重合型などいずれであってもよい。
これらのうち、フェノキシ樹脂、アクリレート樹脂との相溶性、被着体であるフレキシブルプリント配線板に用いられるポリイミドに対する接着性、アルコール系、ケトン系溶剤に対する溶解性に優れているという点から、ポリアミド系エラストマーが好ましく用いられる。
ポリアミド系エラストマーとは、ナイロンをハードセグメントとし、ポリエステル及び/又はポリオールをソフトセグメントとするブロックコポリマーで、その種類は特に限定しないが、重合脂肪酸ベースのポリアミドをハードセグメントとし、ポリエーテルエステル及びポリエステルをソフトセグメントとするポリアミド系エラストマーが好ましく用いられる。このようなポリアミド系エラストマーは、熱可塑性であることから、フィルム状異方導電性接着剤の加熱において、早期に溶融流動できるので、加熱温度200℃未満としても、同一基板上の電極間間隙に流入できる流動性、加圧により対向する電極間距離を狭小化できる柔軟性を有する。また、比重が1.0〜1.2程度であり、フィルム形成性樹脂として好ましく用いられるフェノキシ樹脂の比重と同程度であることから、分離しにくく、樹脂組成物中に、均質的に分散されやすい。
熱可塑性エラストマーは、接着剤組成物中の樹脂全量の2〜40質量%含有することが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。熱可塑性エラストマーの含有率が高くなりすぎると、接合部の耐熱性、ひいては接続信頼性の低下の原因となり、含有率が少なすぎると、接着強度の増大効果が得られにくくなる。
(D)重合開始剤
(B)重合性(メタ)アクリル系化合物のラジカル重合を開始させる化合物であり、通常、過酸化物やアゾ化合物等の、活性化エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物を用いることができるが、低温速硬化性、貯蔵安定性の観点から、70〜110℃(好ましくは80〜100℃)で分解して、ラジカルを発生する有機過酸化物が好ましく用いられる。
(B)重合性(メタ)アクリル系化合物のラジカル重合を開始させる化合物であり、通常、過酸化物やアゾ化合物等の、活性化エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物を用いることができるが、低温速硬化性、貯蔵安定性の観点から、70〜110℃(好ましくは80〜100℃)で分解して、ラジカルを発生する有機過酸化物が好ましく用いられる。
重合開始剤として用いられる有機過酸化物としては、分子内に−O−O−結合を有する化合物で、加熱により開裂して、遊離ラジカルを生成するものであればよい。具体的には、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシカーボネートなどが挙げられる。例えば、具体的には、ジイソブチリル パーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチル パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジラウロイル パーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、t−ブチル パーオキシピバレート、t−ヘキシル パーオキシピバレート、t−ブチル パーオキシネオヘプタノエート、t−ブチル パーオキシネオデカノエート、t−ヘキシル パーオキシネオデカノエート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチル パーオキシネオデカノエート、ジ−sec−ブチル パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル パーオキシジカーボネート、クミル パーオキシネオデカノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイル パーオキサイド、t−ヘキシル パーオキシベンゾエート、t−ブチル パーオキシベンゾエート等を挙げることができる。これらは、2種以上を併用することができる。これらのうち、特に、パーオキシエステルが好ましく用いられる。
有機過酸化物系硬化剤は、使用する熱硬化型アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、熱可塑性エラストマーの種類、配合量により異なるが、重合性(メタ)アクリル系化合物100質量部に対して、1〜20質量部含有することが好ましい。
(E)導電性粒子
導電性粒子としては、導電性を有する粒子であればよく、例えば、半田粒子、ニッケル粒子、金メッキニッケル粉、銅粉末、銀粉末、ナノサイズの金属結晶、金属の表面を他の金属で被覆した粒子等の金属粒子;スチレン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の樹脂粒子に金、ニッケル、銀、銅、半田などの導電性薄膜で被覆した粒子等が使用できる。このような導電性粒子の粒径は特に限定しないが、通常、平均粒径0.1〜5μmである。
導電性粒子としては、導電性を有する粒子であればよく、例えば、半田粒子、ニッケル粒子、金メッキニッケル粉、銅粉末、銀粉末、ナノサイズの金属結晶、金属の表面を他の金属で被覆した粒子等の金属粒子;スチレン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等の樹脂粒子に金、ニッケル、銀、銅、半田などの導電性薄膜で被覆した粒子等が使用できる。このような導電性粒子の粒径は特に限定しないが、通常、平均粒径0.1〜5μmである。
これらのうち、導電性粒子を所定方向(本発明においてはフィルムの厚み方向)に配向させやすいという点から、磁性を有する粒子が好ましく用いられる。また、導電性粒子を厚み方向に配向させやすいという観点から、アスペクト比5以上の導電性粒子が好ましく用いられる。具体的には、微細な金属粒が直鎖状につながった形状、あるいは、針状粒子が好ましく、より好ましくは粒径(短径)0.05〜0.3μmの直鎖状又は針状粒子が用いられる。このような導電性粒子は、フィルム成形の際に磁場の作用により、厚み方向に配向させることができる。
導電性粒子の含有量は、用途により異なるが、回路基板の接合に用いられる異方導電性接着剤では、同一面上に並置された隣接する電極間間隙を導通させるには不十分な量で、且つ相対する電極間を導通させることができる量であり、具体的には、導電性接着剤の全体積に対して、0.01〜10体積%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜1体積%、さらに好ましくは0.01〜0.5体積%である。
(F)その他の添加剤
本発明のフィルム状異方性導電性接着剤には、上記成分の他、必要に応じて、補強材、充填剤、カップリング剤、硬化促進剤、難燃化剤などを含有してもよい。
本発明のフィルム状異方性導電性接着剤には、上記成分の他、必要に応じて、補強材、充填剤、カップリング剤、硬化促進剤、難燃化剤などを含有してもよい。
また、本発明の接着剤組成物の低温速硬化性を損なわない範囲内であれば、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等の他の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂などを、必要に応じて適宜含有してもよい。
〔フィルム状異方導電性接着剤の製造〕
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、以上のような成分を含有する接着剤用組成物をフィルム状に成形したものである。フィルム状異方導電性接着剤の製造方法は特に限定しないが、通常、以下のような方法で製造される。
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、以上のような成分を含有する接着剤用組成物をフィルム状に成形したものである。フィルム状異方導電性接着剤の製造方法は特に限定しないが、通常、以下のような方法で製造される。
上記(A)(B)(C)(D)(E)、さらに必要に応じて(F)成分を所定量配合し、溶剤に溶解して、接着剤溶液を調製する。溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、芳香族炭化水素などが挙げられる。また、フィルム状異方導電性接着剤が、導電性粒子として針状粒子(例えばアスペクト比5以上の導電性粒子)を用いている場合、乾燥中に、導電性粒子が厚み方向に配向できるような揮発速度を有する溶剤が好ましく用いられる。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、セロソルブアセテート等のエステル系が好ましく用いられる。
前記接着剤溶液の固形分率としては、特に限定しないが、40〜70質量%であることが好ましい。
前記接着剤溶液の固形分率としては、特に限定しないが、40〜70質量%であることが好ましい。
調製した接着剤溶液を、基材フィルム上に塗工、流延、加熱乾燥してフィルム状とする。
フィルム状異方導電性接着剤を製造するための乾燥温度は、使用する有機溶剤により異なるが、ラジカル重合開始剤の分解開始温度より低い温度を選択することが好ましく、通常、60〜80℃程度である。なお、ラジカル重合開始剤の分解開始温度は、10℃/minの昇温速度でDSC測定を実施した際の発熱開始温度で定義される。
フィルム状異方導電性接着剤を製造するための乾燥温度は、使用する有機溶剤により異なるが、ラジカル重合開始剤の分解開始温度より低い温度を選択することが好ましく、通常、60〜80℃程度である。なお、ラジカル重合開始剤の分解開始温度は、10℃/minの昇温速度でDSC測定を実施した際の発熱開始温度で定義される。
フィルム状異方導電性接着剤が、(D)成分として、磁性を有する粒子又はアスペクト比5以上の導電性粒子を含有する場合、加熱乾燥前または同時に、磁場を通過させて、導電性粒子を厚み方向に整列させておくことが好ましい。
フィルム状異方導電性接着剤の厚みは、特に限定しないが、通常10〜50μmであり、好ましくは15〜40μmである。
フィルム状異方導電性接着剤の厚みは、特に限定しないが、通常10〜50μmであり、好ましくは15〜40μmである。
〔回路基板接合体の製造方法〕
次に本発明のフィルム状異方導電性接着剤を用いて、回路基板同士を接続することについて説明する。
次に本発明のフィルム状異方導電性接着剤を用いて、回路基板同士を接続することについて説明する。
具体的には、図1に示すように、複数の電極が並置された2つの回路基板を、前記電極が対向するように向かい合わせ、前記回路基板の間に、上記本発明のフィルム状異方導電性接着剤を介在させ、以下に示す条件で加熱加圧する。
加熱加圧方法は、特に限定しないが、通常、所定温度に加熱したプレス機、押圧部材等の加圧ツールを用いて行う。被着体となる回路基板と加圧ツールとの間には、適宜クッション材を介在させてもよい。
加熱温度は、重合性(メタ)アクリル系化合物が重合できる温度であり、より好ましくはフィルム形成性樹脂、熱可塑性エラストマーが十分に軟化流動できる温度である。従って、使用する重合性(メタ)アクリル系化合物の種類、開始剤の種類、フィルム形成性樹脂、熱可塑性エラストマーの種類、含有量など、組成物の配合組成により異なるが、通常、130〜180℃、好ましくは140〜170℃である。
ここで、加熱温度とは、フィルム状異方導電性接着剤が到達すべき温度であり、例えば、細径の熱電対をフィルム状異方導電性接着剤中に埋め込み、ガラスパネル1とフレキシブルプリント配線板2の間に挟み込んで実測することにより測定される。
加圧圧力は、1〜7MPa、好ましくは1〜5MPaである。加圧時間は、加熱温度、接着性樹脂組成物の組成により適宜決められるが、生産性の観点からは短いほど好ましい。通常、15秒以下、好ましくは10秒以下である。本発明のフィルム状異方導電性接着剤によれば、熱硬化型樹脂としてエポキシ樹脂を用いるフィルム状異方導電性接着剤と比べて、低温速硬化という要求を満足することが容易となる。
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、加熱加圧により軟化溶融して、同一平面上の電極間間隙に流入するとともに、接合しようとする電極間距離は1μm以下にまで狭められて硬化する。特に熱可塑性エラストマーは、融点が低いので、加熱初期から軟化溶融して、加圧による電極間距離の狭小化に寄与し、さらに高温では液状となることにより、硬化反応の進行により粘度が上昇していても樹脂の流動、電極間距離の狭小化に寄与でき、ひいては接着強度の向上に役立つ。
得られた接合体は、接着強度、接続性、高温高湿度保存後であっても、接続信頼性を保持できる。特に、接合体においては、エラストマー性により、応力緩和に働くことができるので、接続信頼性が高い。
さらに、接合不良を生じた場合に、硬化物を加熱して剥がした後に被着体上に残存する接着剤を、ケトン系、アルコール系といった汎用溶剤で容易にふき取ることが可能である。
さらに、接合不良を生じた場合に、硬化物を加熱して剥がした後に被着体上に残存する接着剤を、ケトン系、アルコール系といった汎用溶剤で容易にふき取ることが可能である。
本発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
〔評価測定方法〕
(1)接着強度(N/cm)
後述する実施例で作製した接合体について、引張試験機(島津製作所株式会社製、商品名オートグラフAGS−500G)を使用して、ガラスエポキシ基板の表面に対して、90°の方向から、フレキシブルプリント配線板を剥離し、フレキシブルプリント配線板と接着剤の界面のピール強度(N/cm)を測定することにより、接着力を測定した。
(1)接着強度(N/cm)
後述する実施例で作製した接合体について、引張試験機(島津製作所株式会社製、商品名オートグラフAGS−500G)を使用して、ガラスエポキシ基板の表面に対して、90°の方向から、フレキシブルプリント配線板を剥離し、フレキシブルプリント配線板と接着剤の界面のピール強度(N/cm)を測定することにより、接着力を測定した。
(2)リペア性(ふき取り容易性)
作製した接合体を、170℃に加熱した状態で、ガラスエポキシ基板からフレキシブルプリント配線板を剥離し、ガラスエポキシ基板の銅電極上に残存している接着剤を、アセトンを浸漬させた綿棒でふき取り、ガラスエポキシ基板の銅電極上に残存している接着剤を除去した。
ガラスエポキシ基板の銅電極上に残存する接着剤を、全て除去できた場合をリペア性良好として「○」、10分間綿棒で擦過しても接着剤が残存しているものをリペア性不良として「×」と評価した。
作製した接合体を、170℃に加熱した状態で、ガラスエポキシ基板からフレキシブルプリント配線板を剥離し、ガラスエポキシ基板の銅電極上に残存している接着剤を、アセトンを浸漬させた綿棒でふき取り、ガラスエポキシ基板の銅電極上に残存している接着剤を除去した。
ガラスエポキシ基板の銅電極上に残存する接着剤を、全て除去できた場合をリペア性良好として「○」、10分間綿棒で擦過しても接着剤が残存しているものをリペア性不良として「×」と評価した。
(3)初期接続抵抗(Ω)
作製した接合体において、接続された40電極のデイジーパターンの抵抗値を四端子法により求め、その値を40で除することで、1か所当たりの接続抵抗値を算出した。
作製した接合体において、接続された40電極のデイジーパターンの抵抗値を四端子法により求め、その値を40で除することで、1か所当たりの接続抵抗値を算出した。
(4)耐熱・耐湿性
作製した接合体を、85℃、85%Rhに設定した高温・高湿槽内に投入し、500時間経過後に取り出して、(3)の方法により接続抵抗値を求めた。
作製した接合体を、85℃、85%Rhに設定した高温・高湿槽内に投入し、500時間経過後に取り出して、(3)の方法により接続抵抗値を求めた。
〔フィルム状異方導電性接着剤の製造及び評価〕
No.1−3:
フィルム形成性樹脂として、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート1256、重量平均分子量5万、)、熱硬化型アクリル系樹脂として、新中村化学製のNKオリゴEA−1020(ビスフェノールA型エポキシアクリレートオリゴマー)及び新中村化学製のNKオリゴU−2PPA(ウレタンアクリレートオリゴマーと2−ヒドロキシプロピルアクリレートの混合物である)を使用し、硬化開始剤としてパーオキシエステル(日油製の「パーオクタO」、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2‐エチルヘキサノエートの商品名)を使用し、熱可塑性エラストマーとして、ポリアミドエラストマー(富士化成製TPAE826)を、表1に示す割合(質量部)で配合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びイソホロンの混合溶剤に溶解して、固形分50質量%である接着剤溶液を得た。
No.1−3:
フィルム形成性樹脂として、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート1256、重量平均分子量5万、)、熱硬化型アクリル系樹脂として、新中村化学製のNKオリゴEA−1020(ビスフェノールA型エポキシアクリレートオリゴマー)及び新中村化学製のNKオリゴU−2PPA(ウレタンアクリレートオリゴマーと2−ヒドロキシプロピルアクリレートの混合物である)を使用し、硬化開始剤としてパーオキシエステル(日油製の「パーオクタO」、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2‐エチルヘキサノエートの商品名)を使用し、熱可塑性エラストマーとして、ポリアミドエラストマー(富士化成製TPAE826)を、表1に示す割合(質量部)で配合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びイソホロンの混合溶剤に溶解して、固形分50質量%である接着剤溶液を得た。
この接着剤溶液に、溶剤を除いた成分に対して、0.05体積%となるように、直鎖状ニッケル粒子を均一に分散して、導電性接着剤組成物を調製した。
上記で調製した接着剤組成物を、離型処理したPETフィルム上に塗布し、磁束密度100mTの磁場中で、70℃、40分間で、乾燥固化させることにより、膜厚方向に直鎖状Ni粒子が配向した、厚み35μmのフィルム状導電性接着剤を作製した。
金メッキが施された銅電極(幅100μm、高さ18μm)が100μm間隔で100個配列されたフレキシブルプリント配線板と、金メッキが施された銅電極(幅100μm、高さ35μm)が100μm間隔で100個配列されたガラスエポキシ基板とを用意した。
このフレキシブルプリント配線板とガラスエポキシ基板との間に、作製した接着剤フィルムを挟み、150℃に加熱しながら、3MPaの圧力で10秒間加圧して接着させ、フレキシブルプリント配線板とガラスエポキシ基板との接合体を得た。
このフレキシブルプリント配線板とガラスエポキシ基板との間に、作製した接着剤フィルムを挟み、150℃に加熱しながら、3MPaの圧力で10秒間加圧して接着させ、フレキシブルプリント配線板とガラスエポキシ基板との接合体を得た。
この接合体を用いて、上記測定評価方法に基づき、接着強度、リペア性、接続信頼性、耐熱・耐湿性を評価した。結果を表1に示す。
No.4:
熱可塑性エラストマーを配合しなかった以外は、No.1と同様にしてフィルム状異方導電性接着剤を作製し、当該フィルム状異方導電性接着剤を用いて接合体を得た。
熱可塑性エラストマーを配合しなかった以外は、No.1と同様にしてフィルム状異方導電性接着剤を作製し、当該フィルム状異方導電性接着剤を用いて接合体を得た。
No.5
熱可塑性エラストマーに代えて、アクリルゴム(ナガセケムテックス社製の「テイサンレジンWS023」)を用いた以外は、No.1と同様にしてフィルム状異方導電性接着剤を作製し、当該フィルム状異方導電性接着剤を用いて接合体を得た。
熱可塑性エラストマーに代えて、アクリルゴム(ナガセケムテックス社製の「テイサンレジンWS023」)を用いた以外は、No.1と同様にしてフィルム状異方導電性接着剤を作製し、当該フィルム状異方導電性接着剤を用いて接合体を得た。
No.1−3とNo.4との比較から、熱可塑性エラストマーを含有しないNo.4では、接着強度が低く、初期接続性、耐熱耐湿性も劣ることがわかる。
No.4とNo.5との比較から、アクリルゴムを含有させることにより、初期接続性を改善できものの、耐熱耐湿性については、配合していないNo.4よりも劣っていたことがわかる。さらに、接着強度については、アクリルゴムを配合した方が、エラストマー成分が配合されていないNo.4よりも劣っていた。
No.4とNo.5との比較から、アクリルゴムを含有させることにより、初期接続性を改善できものの、耐熱耐湿性については、配合していないNo.4よりも劣っていたことがわかる。さらに、接着強度については、アクリルゴムを配合した方が、エラストマー成分が配合されていないNo.4よりも劣っていた。
No.1−3から、樹脂全量に対して、熱可塑性エラストマーを5〜30質量%含有することにより、高接着強度、初期接続性、耐熱耐湿性のいずれも満足できることがわかる。なお、No.1−3の比較から、接着強度については、熱可塑性エラストマーの含有率が高いほど、高くなる傾向にあるが、接続信頼性については、熱可塑性エラストマー含有率が多くなりすぎると、低下する傾向にあると思われる。
本発明のフィルム状異方導電性接着剤は、低温速硬化が可能な重合性(メタ)アクリル系化合物を用いており、しかも得られる接合体は、リペア性を損なうことなく、接着強度、接続信頼性が改善されているので、接合作業現場の省エネルギー実現に有用である。
Claims (5)
- (A)フィルム形成性樹脂、(B)重合性(メタ)アクリル系化合物、(C)熱可塑性エラストマー、(D)重合開始剤、及び(E)導電性粒子を含むフィルム状異方導電性接着剤。
- 前記(C)熱可塑性エラストマーは、ポリアミド系熱可塑性エラストマーである請求項1に記載のフィルム状異方導電性接着剤。
- 前記(C)熱可塑性エラストマーの樹脂全量に対する含有率は、2〜40質量%である請求項1又は2に記載のフィルム状異方導電性接着剤。
- 前記(B)重合性アクリル系化合物は、エポキシアクリレート及びウレタンアクリレートを含有する請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム状異方導電性接着剤。
- 前記(A)フィルム形成性樹脂は、フェノキシ樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム状異方導電性接着剤。
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-
2011
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