JP2013123494A - 情報解析装置、情報解析方法、制御プログラム、および、記録媒体 - Google Patents

情報解析装置、情報解析方法、制御プログラム、および、記録媒体 Download PDF

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豊 池田
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Abstract

【課題】生体音情報を客観的に精度良く解析し、解析結果を利用者が効率よく利用できるように提示する。
【解決手段】情報解析装置100は、生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割する波形分割部21Aと、複数の区分のそれぞれに対して波形特徴判定基準を適用して、当該複数の区分のそれぞれについての音波形の特徴を特定する波形特徴判定部30と、音波形の特徴に基づいて、生体音情報が属する音の種別を、区分ごとに判定する音種別判定部40と、を備えている。
【選択図】図38

Description

本発明は、聴診器によって採取された生体音情報を解析する情報解析装置、情報解析方法、制御プログラム、および、記録媒体に関するものである。
従来、生体(患者、被験者)から生体音(呼吸器系音、心音など)を採取し、その採取した生体音をデジタル信号(生体音情報)として記録可能な電子聴診器が普及している。電子聴診器によって生体音情報が電子的に記録されることにより、医師が患者に対して聴診器を使ってその場で診断を行うといった従来の診断形態とは異なる、多様な診断形態を実現することが可能になっている。例えば、患者および電子聴診器の操作者とは離れた場所にいる医師が、採取された生体音情報を受信して、遠隔地から診断を行うことが可能である。また、採取され記録された生体音情報を後日聞き直すことができるので、医師は、採取日の異なる生体音情報を聞き比べることが可能である。
つまり、聴診器により採取された生体音は、医師がその場で聴いて消えてしまう情報ではなく、電子カルテなどに生体音情報として記録し残しておくことが可能な、患者の重要な情報の1つとなった。こうした生体音情報は、医師によって、再生され聴取するのに利用されるだけでなく、装置による解析処理の対象にもなる。
例えば、特許文献1には、呼吸音データを解析する呼吸音データ処理装置が開示されている。呼吸音データ処理装置は、サンプル用データと、実際に取得された呼吸音データとに基づいて、副雑音の有無を検出する。
また、特許文献2には、肺音を収集して肺音の異常の有無を診断する肺音診断装置が開示されている。肺音診断装置は、病名が既知の基準データとの比較によって、肺音の異常の有無を判定する。
特開2005−066044号公報(2005年3月17日公開) 特開2007−190082号公報(2007年8月2日公開)
従来の診療方法によれば、その場で聴いて消えてしまう情報であった生体音は、以下のように利用されていた。すなわち、医師はその場で生体音を聴診し、自身が有する知識と経験に基づいて生体音から患者の状態を判断し、適切な治療を提供するというものである。つまり、専門の知識と経験を持つ医師の耳に頼る診療方法では、生体音は、その場で採取および聴取されるだけで十分であった。
しかし、上述したとおり、生体音情報が患者の情報の1つとして記録され、いつでも利用できるようになった近年では、その場で患者を診察(聴診)した医師以外のユーザによって、あらゆる診療シーンで生体音情報が利用されることが想定される。ユーザとは、医師以外にも、例えば、当該患者に関わる専門医師以外の医療従事者、また場合によっては、医学的な技能を持たない患者の関係者など、その生体音情報を利用するあらゆる人々を含む。
したがって、従来の医師の耳に頼る診療方法では、利用者は、生体音情報から必要な情報を得て、それを正しく理解することができないという問題がある。あるいは、医学的な知識を有する利用者であっても、生体音情報を聴取して必要な情報を得るには、正しい判断を行うために相応の時間をかけなければならないという問題がある。
特許文献1および2に記載された従来技術は、生体音情報を解析し、利用者を支援するものである。しかしながら、これら従来技術は、診断対象の音データを、予め蓄えられた見本の音データ(正常/異常学習データ、サンプル用データ、類似した基準データなど)と比較することによって、異常音または複雑音などの有無を判定する構成である。
よって、判定の精度は、予め見本のデータを蓄えてあるデータベースの情報量に左右されるため、判定の精度が安定しないという問題があった。
医師の耳に頼って行っていた従来の診療について、生体音情報を客観的に精度良く解析することによって利用者を支援し、生体音情報が利用者にとって意味のある情報として容易かつ効率的に利用されるように、情報を記録または供給できる解析装置が求められる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、聴診器によって採取された生体音情報を客観的に精度良くかつ効率よく解析することが可能な情報解析装置、情報解析方法、制御プログラム、および、記録媒体を実現することにある。
本発明に係る情報解析装置は、上記課題を解決するために、聴診器によって採取された生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割する波形分割手段と、上記波形分割手段によって分割された上記複数の区分のそれぞれに対して、音波形の特徴を特定するための基準を示した波形特徴判定基準を適用して、当該複数の区分のそれぞれについての音波形の特徴を特定する波形特徴判定手段と、上記波形特徴判定手段によって特定された、上記音波形の特徴に基づいて、上記生体音情報が属する音の種別を、上記区分ごとに判定する音種別判定手段と、を備えていることを特徴としている。
本発明に係る情報解析方法は、上記課題を解決するために、聴診器によって採取された生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割する波形分割ステップと、上記波形分割ステップにおいて分割された上記複数の区分のそれぞれに対して、音波形の特徴を特定するための基準を示した波形特徴判定基準を適用して、当該複数の区分のそれぞれについての音波形の特徴を特定する波形特徴判定ステップと、上記波形特徴判定ステップにおいて特定された、上記音波形の特徴に基づいて、上記生体音情報が属する音の種別を、上記区分ごとに判定する音種別判定ステップと、を含むことを特徴としている。
上記構成によれば、生体音情報に含まれる音波形に対して、波形特徴判定手段が、当該音波形に波形特徴判定基準を適用し、上記音波形の特徴を特定することができる。上記波形特徴判定基準は、音波形の特徴を特定(区分)するための基準を有しているので、波形特徴判定手段は、当該波形特徴判定基準にしたがうことによって、どのような音波形に対しても、常に、客観的な特徴の特定を実施することができる。
また、上記構成によれば、波形特徴判定手段は、波形分割手段が、聴診器によって採取された生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割し、それらの区分それぞれについての音波形の特徴を特定している。つまり、波形分割手段を備えることにより、波形特徴判定手段は、音波形全体としてではなく、時間軸上で区切られた音波形(細分化された音波形)の特徴を特定することができる。
音種別判定手段は、波形特徴判定手段による判定結果、すなわち、特定された音波形の特徴に応じて、上記生体音情報に含まれる音の種別を、波形分割手段で分割された区分ごとに判定することができる。すなわち、音種別判定手段は、波形特徴判定基準にしたがった客観的な音波形の特徴にしたがって、元の生体音情報に含まれる音波形のどの部分がどの音種別と相関が高いのかを精度よく判断することができる。
これにより、モデルの音波形との直接的な比較を行わずとも、波形特徴判定基準にしたがって生体音情報の音波形そのものを解析することにより、複数の区分のそれぞれに含まれる音波形が示す音の種別を特定することが可能となる。したがって、モデルの音波形データベースの完成度に左右されることなく、客観的な解析を精度良くかつ効率的に行うことができる。
なお、本発明に係る情報解析方法も、上記情報解析装置と同様の処理を行うゆえ、上記の効果を奏する。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記音種別判定手段が判定する音の種別は、生体が発する呼吸音に連続する雑音が含まれていることを示す「連続性雑音」、および、生体が発する呼吸音に断続する雑音が含まれていることを示す「断続性雑音」、の少なくともいずれか1つであることが好ましい。
上記構成によれば、情報解析装置は、聴診器によって採取された生体音情報(呼吸音)が、「連続性雑音」に属するのか否か、あるいは「断続性雑音」に属するのか否かをユーザに対して明らかにすることができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記音種別判定手段によって判定された、上記区分ごとの音の種別に基づいて、上記呼吸音が採取された生体の疾患部位を推定する疾患部位推定手段を備えていることが好ましい。
一般に、医師などの医療従事者は、生体のどのあたりでどのような呼吸音が聴こえるによって、生体が罹っている可能性がある疾患の程度あるいは疾患そのものを推測する。そのために、医療従事者は、その呼吸音の呼吸周期のどこで正常でない音(雑音)が聴こえているかを特定することにより、生体のどの箇所において疾患が発生しているかを判断している。つまり、聴診器が採取した生体音情報に含まれる音波形において、どの部分の音波形が示す音が正常でない音であるかを特定することにより、生体のどの箇所が疾患部位であるのかを推定することができれば、生体が罹っている可能性がある疾患の程度あるいは疾患そのものを推測することができる。
上記構成によれば、疾患部位推定手段が、音種別判定手段によって判定された区分ごとの音の種別に基づいて、呼吸音が採取された生体(聴診器が生体音情報に含まれる呼吸音(生体音)を採取した生体)の疾患部位を推定する。それゆえ、呼吸音としての生体音が有する呼吸周期を利用して、疾患部位を推定することができる。また、生体のどの箇所において疾患が発生しているのかを推定することができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記波形分割手段は、上記呼吸音を示す音波形の1周期のうち、吸気を示す音波形のうちの前半区分である「吸気の前半」区分と、後半区分である「吸気の後半」区分とに分割するとともに、呼気を示す音波形のうちの前半区分である「呼気の前半」区分と、後半区分である「呼気の後半」区分とに分割し、上記疾患部位推定手段は、上記音種別判定手段が、上記「吸気の前半」区分および上記「呼気の後半」区分の少なくとも一方に雑音が含まれていると判定した場合に、気道の分岐が進んでいない箇所を疾患部位と推定し、上記音種別判定手段が、上記「吸気の後半」区分および上記「呼気の前半」区分の少なくとも一方に雑音が含まれていると判定した場合に、気道の分岐が進んでいる箇所を疾患部位と推定することが好ましい。
上記構成によれば、呼吸周期のうち、いずれの区分において雑音が含まれているかによって、気道の分岐が進んでいない箇所に疾患が発生しているか、気道の分岐が進んでいる箇所に疾患が発生しているかを推定することができる。それゆえ、本発明の情報解析装置は、医療従事者が一般に行う疾患部位の判断と同様の推定を行い、その結果を、当該情報解析装置を利用するユーザに提供することができるとともに、疾患の程度あるいは疾患そのものの推定に利用することができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記疾患部位推定手段によって推定された上記疾患部位にしたがって、上記生体が罹っている可能性がある疾患の程度を推定する疾患程度推定手段を備えていることが好ましい。
上述のように、生体のどの箇所が疾患部位であるのかを推定することができれば、生体が罹っている可能性がある疾患の程度を推測することができる。
上記構成によれば、疾患程度推定手段が、上記疾患部位にしたがって、生体が罹っている可能性がある疾患の程度を推定するので、医療従事者が一般に行う疾患の程度の判断と同様の結果を、本発明の情報解析装置を利用するユーザに提供することを可能とする。それゆえ、当該ユーザは、当該情報解析装置による疾患の程度に基づいて、生体の健康状態を精度良く把握することができる。
特に、疾患の程度を推定することにより、上記情報処理装置を利用するユーザ(医療従事者など)は、その推定結果に基づいて、具体的な疾患の種別を判断することができる。すなわち、上記情報解析装置が具体的な疾患の種別の同定まで行わずとも、診療(診断)において必要となる判断材料のひとつを提供することができる。
また、一般に、気道の分岐が進んでいない箇所で雑音が聴こえた場合には、疾患の程度が軽く、気道の分岐が進んでいない箇所から気道の分岐が進んだ箇所までの全般にわたり雑音が聴こえる場合には、疾患の程度が重いと判断される。本発明の情報解析装置は、特に、呼吸周期のいずれの区分に雑音が含まれているかによって疾患部位を推定する場合には、疾患の程度、すなわち疾患の進行度合いを具体的に推定することができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置は、上記音種別判定手段によって判定された、上記区分ごとの音の種別にしたがって、上記呼吸音が採取された生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定する疾患種別推定手段を備えていることが好ましい。
上述のように、医療従事者は、生体のどのあたりでどのような呼吸音が聴こえるによって、生体が罹っている可能性がある疾患そのものを推測する。つまり、聴診器が採取した生体音情報に含まれる音波形において、どの部分の音波形が示す音がどのような音の種別であるかを特定することができれば、生体が罹っている可能性がある疾患を推測することができる。
上記構成によれば、疾患種別推定手段が、区分ごとの音の種別にしたがって、上記生体音を採取した生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定するので、医療従事者が一般に行う判断を本発明の情報解析装置において精度良く行うことができる。それゆえ、本発明の情報解析装置を利用するユーザは、医療に関する知識の有無に関わらず、生体の健康状態を精度良く把握することができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置は、上記疾患部位推定手段によって推定された上記疾患部位にしたがって、上記呼吸音が採取された生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定する疾患種別推定手段を備えていることが好ましい。
上述のように、生体のどの箇所が疾患部位であるのかを推定することができれば、生体が罹っている可能性がある疾患そのものを推測することができる。
上記構成によれば、疾患種別推定手段は、疾患部位推定手段によって推定された疾患部位にしたがって、生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定するので、医療従事者が一般に行う疾患の判断と同様の結果を、本発明の情報解析装置を利用するユーザに提供することを可能とする。それゆえ、当該ユーザは、当該情報解析装置による疾患の種別に基づいて、生体の健康状態を精度良く把握することができる。
特に、呼吸周期のいずれの区分に雑音が含まれているかによって疾患部位を推定する場合には、疾患の程度だけでなく、疾患の種別についても具体的に推定できる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記疾患種別推定手段は、(1)上記音種別判定手段によって、上記複数の区分のうちの少なくとも1つに含まれる音波形が示す音が、上記「連続性雑音」であると判定された場合に、上記疾患の種別を、「喘息」または「気管支狭窄」であると推定し、(2)上記音種別判定手段によって、上記複数の区分のうちの少なくとも1つに含まれる音波形が示す音が、上記「断続性雑音」であると判定された場合に、上記疾患の種別を、「肺炎」または「間質性肺炎」であると推定することが好ましい。
一般に、上記のように「連続性雑音」または「断続性雑音」が認められる場合には、生体が上記のいずれかの疾患に罹っている可能性があると考えられている。上記構成によれば、疾患種別推定手段は、生体音情報に含まれる音波形が示す音が、「連続性雑音」であるか「断続性雑音」であるかによって、上記のようにそれぞれの雑音から一般的に推定される疾患の種別を推定するので、精度良く生体が罹っている疾患の種別を推定することができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記波形分割手段は、上記呼吸音を示す音波形の1周期のうち、吸気を示す音波形のうちの前半区分である「吸気の前半」区分と、後半区分である「吸気の後半」区分とに分割するとともに、呼気を示す音波形のうちの前半区分である「呼気の前半」区分と、後半区分である「呼気の後半」区分とに分割し、
上記疾患種別推定手段は、(1)上記音種別判定手段によって、上記複数の区分のうちの全区分に含まれる音波形が示す音が、上記「連続性雑音」であると判定された場合には、上記疾患の種別を「喘息」と推定し、(2)上記音種別判定手段によって、上記「吸気の前半」区分および上記「呼気の後半」区分に含まれる音波形が示す音が、上記「連続性雑音」であると判定された場合には、上記疾患の種別を「気管支狭窄」と推定することが好ましい。
上述のように、一般に、「連続性雑音」が認められる場合には、生体が上記のいずれかの疾患に罹っている可能性があると考えられている。上記構成によれば、疾患種別推定手段は、波形分割手段によって分割された「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分において、上記のように「連続性雑音」が認められた場合に、生体が罹っている可能性がある疾患を「喘息」または「気管支狭窄」であると推定する。それゆえ、「連続性雑音」が認められた場合の生体が罹っている疾患の種別を、精度良くかつ具体的に推定することができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記波形分割手段は、上記呼吸音を示す音波形の1周期のうち、吸気を示す音波形のうちの前半区分である「吸気の前半」区分と、後半区分である「吸気の後半」区分とに分割するとともに、呼気を示す音波形のうちの前半区分である「呼気の前半」区分と、後半区分である「呼気の後半」区分とに分割し、上記疾患種別推定手段は、(1)上記音種別判定手段によって、上記複数の区分のうちの全区分に含まれる音波形が示す音が、上記「断続性雑音」であると判定された場合には、上記疾患の種別を「肺炎」と推定し、(2)上記音種別判定手段によって、上記「吸気の後半」区分および上記「呼気の前半」区分に含まれる音波形が示す音が、上記「断続性雑音」であると判定された場合には、上記疾患の種別を「間質性肺炎」と推定することが好ましい。
上述のように、一般に、「断続性雑音」が認められる場合には、生体が上記のいずれかの疾患に罹っている可能性があると考えられている。上記構成によれば、疾患種別推定手段は、波形分割手段によって分割された「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分において、上記のように「断続性雑音」が認められた場合に、生体が罹っている可能性がある疾患を「肺炎」または「間質性肺炎」であると推定する。それゆえ、「断続性雑音」が認められた場合の生体が罹っている疾患の種別を、精度良くかつ具体的に推定することができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記波形特徴判定手段は、包絡線に係る波形特徴判定基準にしたがって、上記複数の区分のそれぞれに含まれる音波形の包絡線が、一定以上の振幅値で一定期間以上連続するか否かを判定し、上記音種別判定手段は、上記包絡線が連続すると判定された場合に、当該判定された区分に含まれる音波形が示す音が、上記「連続性雑音」に属する可能性があると判定することが好ましい。
複数の区分のそれぞれに含まれる音波形の包絡線が、一定以上の振幅値で一定期間以上連続する場合には、正常な呼吸音以外に、連続的な雑音が鳴っていると考えられる。そのため、音種別判定手段は、上記音波形の包絡線の連続性に係る特徴に基づいて、包絡線が一定以上の振幅値で一定期間以上連続する場合には、そのような包絡線を持つ音波形が示す音を、「連続性雑音」に分類することができる。
これにより、情報解析装置は、包絡線に基づいて、上記音が「連続性雑音」に該当するか否かについて、区分ごとに判定することができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記波形特徴判定手段は、インパルスノイズ数に係る波形特徴判定基準にしたがって、上記複数の区分のそれぞれに含まれる音波形が、一定数以上のインパルスノイズを含むか否かを判定し、上記音種別判定手段は、上記音波形が一定数以上のインパルスノイズを含むと判定された場合に、当該判定された区分に含まれる音波形が示す音が、上記「断続性雑音」に属する可能性があると判定することが好ましい。
複数の区分のそれぞれに含まれる音波形に含まれるインパルスノイズ数が、一定数以上である場合には、正常な呼吸音以外に、瞬間的な雑音(破裂音)が多数鳴っていると考えられる。そのため、音種別判定手段は、破裂音の多発性(インパルスノイズ数)に係る特徴に基づいて、インパルスノイズ数が一定数以上含まれる音波形が示す音を、「断続性雑音」に分類することができる。
これにより、情報解析装置は、インパルスノイズ数に基づいて、上記音が「断続性雑音」に該当するか否かについて、区分ごとに判定することができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記波形特徴判定手段は、上記波形特徴判定基準にしたがって、上記複数の区分のそれぞれに含まれる音波形の包絡線の振幅平均値を超える連続する時間が200ms以上ある場合に、上記包絡線が連続すると判定することが好ましい。
これにより、包絡線に基づく「連続性雑音」の判定を、精度良く行うことができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記波形特徴判定手段は、上記波形特徴判定基準にしたがって、上記複数の区分のそれぞれに含まれる音波形が、インパルスノイズを1周期あたりに3個以上含む場合に、当該音波形が一定数以上のインパルスノイズを含むと判定することが好ましい。
これにより、インパルスノイズ数に基づく「断続性雑音」の判定を、精度良く行うことができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記疾患種別推定手段によって生成された、上記疾患の種別を示した疾患種別推定結果を、表示部に出力する結果出力手段を備えていることが好ましい。
上記構成によれば、結果出力手段は、疾患種別推定手段が上記のように判定した疾患の種別を示す疾患種別推定結果を、表示部に出力する。それゆえ、本発明の情報解析装置を利用するユーザは、一目で疾患の種別を把握することができるとともに、医療に関する知識の有無に関わらず、聴診器から聴こえる音に基づいて医療従事者が一般的に推測する疾患と同様の疾患を容易に認識することができる。
さらに、本発明に係る情報解析装置では、上記波形特徴判定基準は、上記複数の区分のそれぞれに含まれる音波形より導出された特徴量と比較する閾値と、該閾値によって定められた条件とを含み、上記波形特徴判定手段は、上記音波形の特徴量が上記条件に合致するか否かを判定することにより、上記音波形の特徴を上記区分ごとに特定することが好ましい。
上記波形特徴判定基準には、上記音の種別に関わりの深い特徴に基づいて、閾値(定量的な値)があらかじめ定義されている。波形特徴判定手段は、複数の区分のそれぞれに含まれる音波形から抽出された特徴量が、上記閾値によって定義された条件に合致するか否かを判定し、その判定結果を音種別判定手段に供給することができる。これにより、音種別判定手段は、上記判定結果に基づいて、上記生体音情報に含まれる音波形が示す音が、どの種別と相関が高いのかを、上記区分ごとに精度よく判断することができる。
なお、上記情報解析装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記情報解析装置をコンピュータにて実現させる情報解析装置の制御プログラム、および、それを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明に係る情報解析装置は、以上のように、聴診器によって採取された生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割する波形分割手段と、上記波形分割手段によって分割された上記複数の区分のそれぞれに対して、音波形の特徴を特定するための基準を示した波形特徴判定基準を適用して、当該複数の区分のそれぞれについての音波形の特徴を特定する波形特徴判定手段と、上記波形特徴判定手段によって特定された、上記音波形の特徴に基づいて、上記生体音情報が属する音の種別を、上記区分ごとに判定する音種別判定手段と、を備えている構成である。
本発明に係る情報解析方法は、以上のように、聴診器によって採取された生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割する波形分割ステップと、上記波形分割ステップにおいて分割された上記複数の区分のそれぞれに対して、音波形の特徴を特定するための基準を示した波形特徴判定基準を適用して、当該複数の区分のそれぞれについての音波形の特徴を特定する波形特徴判定ステップと、上記波形特徴判定ステップにおいて特定された、上記音波形の特徴に基づいて、上記生体音情報が属する音の種別を、上記区分ごとに判定する音種別判定ステップと、を含む方法である。
それゆえ、聴診器によって採取された生体音情報に対する客観的な解析を精度良くかつ効率的に行うことができる。
本発明の一実施形態における情報解析装置の要部構成を示す機能ブロック図である。 本発明の一実施形態における聴診システムの概要を示す図である。 情報解析装置の生体音取得部によって取得される生体音情報の一具体例を示す図であり、とりわけ、健常者の呼吸音を示す図である。 情報解析装置の生体音取得部によって取得される生体音情報の一具体例を示す図であり、とりわけ、肺炎患者の呼吸音を示す図である。 (a)および(b)は、情報解析装置の自己相関解析部が出力する自己相関関数の一具体例を示す図であり、とりわけ、(a)は、図3に示す呼吸音の波形を入力として、自己相関解析部が導出した自己相関関数を示す図であり、(b)は、他の呼吸音の波形を入力として、自己相関解析部が導出した自己相関関数の他の例を示す図である。 情報解析装置の自己相関解析部が出力する自己相関関数の一具体例を示す図であり、とりわけ、図4に示す呼吸音の波形を入力として、自己相関解析部が導出した自己相関関数を示す図である。 情報解析装置の周期性判定部が参照する波形特徴判定基準の一例と、周期性判定部が出力する波形特徴判定結果の一例とを示す図である。 情報解析装置のフーリエ変換部が出力するスペクトルの一具体例を示す図であり、とりわけ、図3に示す健常者の呼吸音をフーリエ変換して導出したスペクトルを示す図である。 情報解析装置の生体音取得部によって取得される生体音情報の他の具体例を示す図であり、とりわけ、喘息患者の呼吸音を示す図である。 情報解析装置のフーリエ変換部が出力するスペクトルの一具体例を示す図であり、とりわけ、図8に示す喘息患者の呼吸音をフーリエ変換して導出したスペクトルを示す図である。 情報解析装置のスペクトラム判定部が参照する波形特徴判定基準の一例と、スペクトラム判定部が出力する波形特徴判定結果の一例とを示す図である。 健常者の呼吸音を、情報解析装置の時間周波数解析部が短時間周波数解析を行って導出したスペクトログラムを示す図である。 呼吸音減弱が発生している呼吸音を、情報解析装置の時間周波数解析部が短時間周波数解析を行って導出したスペクトログラムを示す図である。 連続性雑音が発生している呼吸音を、情報解析装置の時間周波数解析部が短時間周波数解析を行って導出したスペクトログラムを示す図である。 断続性雑音が発生している呼吸音を、情報解析装置の時間周波数解析部が短時間周波数解析を行って導出したスペクトログラムを示す図である。 情報解析装置のスペクトログラム判定部が参照する波形特徴判定基準の一例と、スペクトログラム判定部が出力する波形特徴判定結果の一例とを示す図である。 情報解析装置の包絡線検波部が出力する、生体音波形の包絡線の一具体例を示す図である。 情報解析装置の包絡線判定部が参照する波形特徴判定基準の一例と、包絡線判定部が出力する波形特徴判定結果の一例とを示す図である。 (a)は、連続性の高い包絡線の一具体例を示す図であり、(b)は、連続性の低い包絡線の一具体例を示す図である。 情報解析装置のインパルスノイズ検出部が出力する、生体音波形においてインパルスノイズが特定されたインパルスノイズ検出結果の一具体例を示す図である。 情報解析装置のインパルスノイズ判定部が参照する波形特徴判定基準の一例と、インパルスノイズ判定部が出力する波形特徴判定結果の一例とを示す図である。 情報解析装置の波形特徴判定部によって出力された波形特徴判定結果を入力として、音種別判定部の正常呼吸音判定部が出力する音種別判定結果の一具体例を示す図である。 情報解析装置の波形特徴判定部によって出力された波形特徴判定結果を入力として、音種別判定部の呼吸音減弱判定部が出力する音種別判定結果の一具体例を示す図である。 情報解析装置の波形特徴判定部によって出力された波形特徴判定結果を入力として、音種別判定部の連続性雑音判定部が出力する音種別判定結果の一具体例を示す図である。 情報解析装置の波形特徴判定部によって出力された波形特徴判定結果を入力として、音種別判定部の断続性雑音判定部が出力する音種別判定結果の一具体例を示す図である。 情報解析装置の減弱レベル判定部が参照する減弱レベル判定基準の一例と、減弱レベル判定部が出力する減弱レベル判定結果の一例とを示す図である。 情報解析装置の連続性レベル判定部が参照する連続性レベル判定基準の一例と、連続性レベル判定部が出力する連続性レベル判定結果の一例とを示す図である。 情報解析装置の断続性レベル判定部が参照する断続性レベル判定基準の一例と、断続性レベル判定部が出力する断続性レベル判定結果の一例とを示す図である。 情報解析装置の結果出力部によって出力された、解析結果およびレベル判定結果を表示するための表示画面の具体例を示す図である。 本発明の一実施形態における情報解析装置による情報解析処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態における情報解析装置の要部構成を示す機能ブロック図である。 上記他の実施形態における情報解析装置の総合判定部が、患者から取得された呼吸器系音を所定の音種別に分類する際の種別体系を示す図である。 上記他の実施形態における情報解析装置による情報解析処理の流れを示すフローチャートである。 上記他の実施形態における情報解析装置による情報解析処理の流れを示すフローチャートである。 情報解析装置の減弱レベル判定部が実行する減弱レベル判定処理の流れを示すフローチャートである。 情報解析装置の連続性レベル判定部が実行する連続性レベル判定処理の流れを示すフローチャートである。 情報解析装置の断続性レベル判定部が実行する断続性レベル判定処理の流れを示すフローチャートである。 情報解析装置の結果出力部によって出力された、解析結果およびレベル判定結果を表示するための表示画面の他の具体例を示す図である。 本発明のさらに他の実施形態における情報解析装置の要部構成の一例を示す機能ブロック図である。 上記情報解析装置による情報解析処理の流れの一例を示すフローチャートである。 上記情報解析装置の包絡線判定部が参照する波形特徴判定基準と、包絡線判定部が出力する波形特徴判定結果と、当該波形特徴判定結果を入力として、連続性雑音判定部が出力する音種別判定結果との一具体例を示す図である。 上記情報解析装置のインパルスノイズ判定部が参照する波形特徴判定基準と、インパルスノイズ判定部が出力する波形特徴判定結果と、当該波形特徴判定結果を入力として、断続性雑音判定部が出力する音種別判定結果との一具体例を示す図である。 上記情報解析装置による情報解析処理の流れの別例を示すフローチャートである。 上記情報解析装置の波形分割部による波形分割処理の流れを示すフローチャートである。 上記情報解析装置の波形分割部が参照する周期性有無判定基準の一例と、波形分割部が出力する周期性有無判定結果の一例とを示す図である。 上記情報解析装置の波形分割部によって複数の区分に分割された生体音の一例であり、生体が喘息に罹っている可能性があるときの呼吸音の一例を示す図である。 生体の肺の概要を示す図である。 生体が気管支狭窄に罹っている可能性があるときの呼吸音の一例を示す図である。 生体が肺炎に罹っている可能性があるときの呼吸音の一例を示す図である。 生体が間質性肺炎に罹っている可能性があるときの呼吸音の一例を示す図である。 上記情報解析装置の連続性雑音判定部が出力する音種別判定結果を受けて、疾患部位推定部、疾患程度推定部および疾患種別推定部のそれぞれが出力する推定結果の一具体例を示す図である。 上記情報解析装置の断続性雑音判定部が出力する音種別判定結果を入力として、疾患部位推定部、疾患程度推定部および疾患種別推定部のそれぞれが出力する推定結果の一具体例を示す図である。 上記情報解析装置の結果出力部によって出力された、解析結果を表示するための表示画面のさらに他の具体例を示す図である。
≪実施形態1≫
本発明の情報解析装置に関する実施形態について、図1〜図30に基づいて説明すると以下の通りである。
以下で説明する実施形態では、一例として、本発明の情報解析装置を、聴診システムに導入した場合について説明する。聴診システムとは、ここでは、被験者の生体音を電子聴診器にて取得し、取得された電子データすなわち生体音情報を本発明の情報解析装置によって解析して、被験者の診療に利用することを可能にするシステムである。ここでは、電子聴診器によって診察を受ける被験者を患者と称する。本実施形態では被験者(患者)はヒトを想定しているが、ヒト以外のあらゆる生体を被験者(患者)とする聴診システムも本発明の範疇に入る。
なお、以下の説明では、本発明に係る情報解析装置が、一例として、患者の呼吸器系音(生体音)情報を解析して、肺疾患に係る患者の状態を判定するケースを例に挙げる。しかし、本発明の情報解析装置は、上述の例に限定されず、その他の生体音(心音、腹腔音、腸音、血流音、胎児心音など)情報を解析して、それぞれの部位に係る患者の状態を判定してもよい。
また、本発明の情報解析装置は、上述の例に限定されず、診療以外の目的で生体から生体音情報を取得し、利用することが可能な他のあらゆるシステムに導入し得るものである。
〔聴診システムの概要〕
図2は、本発明の実施形態における聴診システムの概要を示す図である。図2に示すとおり、聴診システム200は、少なくとも、操作者Uが患者Pの生体音を採取する(すなわち聴診する)ための電子聴診器3と、操作者Uが聴診時に使用する情報解析装置100とを含んで構築される。
操作者Uは、患者Pを診療する診療現場1に居合わせて、電子聴診器3をはじめとする各種機器を利用して、診療現場1にて患者Pの診療を行う。各種機器には、例えば、酸素飽和度計、心電計、血圧計、体温計、動脈硬化度計、血管健康度計などが含まれていてもよい。
情報解析装置100と電子聴診器3とは、無線または有線にて、互いに通信可能に接続されている。操作者Uは、情報解析装置100を操作して、患者Pの診療の際に必要となる情報、例えば、患者Pに関する情報(電子カルテなど)などを読み出し、参照することができる。また、操作者Uは、電子聴診器3から採取した生体音情報を情報解析装置100に保存することができる。
情報解析装置100は、操作者Uが保有している携帯性にすぐれた情報処理端末装置、または、診療現場1に設置されるデスクトップ型のパーソナルコンピュータ(PC)などによって実現される。図2に示す例では、一例として、本発明の情報解析装置100は、スマートフォンなどの多機能携帯通信端末によって実現されている。
操作者Uが、医師として専門的な知識、技能、および、権限を有している場合には、操作者Uは、電子聴診器3および情報解析装置100を用いて患者Pを診察して、病状について最終的な診断を下して治療にあたってもよい。このように、電子聴診器3と、情報解析装置100とを含む聴診システム200も本発明の範疇に入る。
あるいは、図2に示すとおり、聴診システム200は、診療現場1において、電子聴診器3および情報解析装置100を含み、遠隔地のサポートセンター2において、管理サーバ4を含んで構築されてもよい。この場合、情報解析装置100と管理サーバ4とは、インターネットなどの通信網5を介して互いに通信可能に接続されている。
具体的には、以下のとおりである。操作者Uは、医師ほどの高度な知識、技能および権限を有してはいないが、あるいは、専門外の診療であるが、専門の医師の指導の下に、電子聴診器3および情報解析装置100を操作して、診療現場1にて即時に、簡便な診察および治療を行う技能を持ち合わせている場合が考えられる。この場合、聴診システム200の診療現場1において、高度看護師(NP;Nurse Practitioner)またはその他の医療従事者である操作者Uによって操作される電子聴診器3および情報解析装置100が設けられる。そして、診療現場1から離れた場所にあるサポートセンター2において、当該聴診システム200において管理する各患者の電子カルテを管理する管理サーバ4が設けられる。サポートセンター2では、専門的な知識および技能を有する医師Dが駐在しており、図示しない情報処理端末装置または電話などの通信機器を用いて、操作者Uに対し指導を行い、操作者Uの診療を支援することができる。また、操作者Uが電子聴診器3を用いて患者Pから直接採取した生体音情報は、情報解析装置100を介して管理サーバ4に格納される。医師Dは、管理サーバ4にアクセスして、遠隔地にいる患者Pの生体音情報を取得し、診察および治療の指南を行うことができる。操作者Uは、医師Dの指導の下、簡便な処置を行ったり、診療現場1にて対応できない場合には、対応可能なその他の連携病院を紹介したりすることができる。
本実施形態では、スマートフォンで実現された情報解析装置100は、電子聴診器3から採取された生体音情報を解析し、その解析結果を自装置または管理サーバ4に出力する機能を有する。なお、生体音情報を解析する機能を有する本発明の情報解析装置100は、遠隔地にある管理サーバ4として実現されてもよい。
次に、この情報解析装置100の構成および動作について詳細に説明する。
〔情報解析装置のハードウェア構成〕
図1は、本実施形態における情報解析装置100の要部構成を示す機能ブロック図である。
情報解析装置100は、少なくとも、ハードウェア構成として、制御部10、入力部11、表示部12、記憶部13、および、通信部14を備えている。さらに、情報解析装置100は、スマートフォンとして本来備わっている機能を実現するために、図示しない、音声入力部、外部インターフェース、音声出力部、通話処理部、放送受像部(チューナ・復調部など)、GPSおよびセンサ(加速度センサ、傾きセンサなど)、撮像部など、スマートフォンが標準的に備えている各種部品を備えていてもよい。
なお、本実施形態では、情報解析装置100はスマートフォンであるので、ここでは、入力部11および表示部12は、一体に形成されタッチパネルを構成している。情報解析装置100が、PCなどで実現されている場合には、表示部12は、液晶表示モニタで、また、入力部11がキーボードおよびマウスなどで実現されていればよい。
入力部11は、ユーザが情報解析装置100を操作するための指示信号を、タッチパネルを介して入力するためのものである。入力部11は、指示体(指またはペンなど)の接触を受け付けるタッチ面と、指示体とタッチ面との間の接触/非接触(接近/非接近)、および、その接触(接近)位置を検知するためのタッチセンサとで構成されている。タッチセンサは、指示体とタッチ面との接触/非接触を検知できればどのようなセンサで実現されていてもかまわない。例えば、圧力センサ、静電容量センサ、光センサなどで実現される。
表示部12は、情報解析装置100が生体音情報を処理した結果を表示したり、ユーザが情報解析装置100を操作するための操作画面をGUI(Graphical User Interface)画面として表示したりするものである。表示部12は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)などの表示装置で実現される。
また、情報解析装置100は、入力部11の他に、ユーザが情報解析装置100に指示信号を直接入力するためのもの図示しない操作部を備えていてもよい。例えば、操作部は、ボタン、スイッチ、キー、ジョグダイアルなどの適宜の入力機構で実現される。操作部は、情報解析装置100の電源のオン/オフを行うスイッチなどである。
通信部14は、外部の装置(電子聴診器3、管理サーバ4など)と通信を行うものである。本実施形態では、通信部14は、まず、電子聴診器3と近距離通信するための近距離通信部を含む。近距離通信部は、電子聴診器3と無線通信を行って、電子聴診器3が採取した生体音がデジタル信号化された生体音情報を電子聴診器3から受信する。近距離通信部は、特に限定されないが、IrDA、IrSSなどの赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信、WiFi通信、非接触型ICカードのいずれかの無線通信手段を実現するものであってもよいし、これらの手段を複数実現するものであってもよい。
なお、通信部14は、通信網5(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)など)を介して遠隔地にある装置(管理サーバ4など)とデータ通信を行う遠隔地通信部を含んでいてもよい。遠隔地通信部は、例えば、情報解析装置100が行った生体音情報の解析の結果を通信網5を介して管理サーバ4に送信することができる。
情報解析装置100が、スマートフォンなどの携帯電話である場合には、通信部14は、携帯電話回線網を介して、音声通話データ、電子メールデータなどを、他の装置との間で送受信する機能を有していてもよい。
記憶部13は、(1)情報解析装置100の制御部10が実行する制御プログラム、(2)制御部10が実行するOSプログラム、(3)制御部10が、情報解析装置100が有する各種機能を実行するためのアプリケーションプログラム、および、(4)該アプリケーションプログラムを実行するときに読み出す各種データを記憶するものである。あるいは、(5)制御部10が各種機能を実行する過程で演算に使用するデータおよび演算結果等を記憶するものである。例えば、上記の(1)〜(4)のデータは、ROM(read only memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、HDD(Hard Disc Drive)などの不揮発性記憶装置に記憶される。例えば、上記の(5)のデータは、RAM(Random Access Memory)などの揮発性記憶装置に記憶される。どのデータをどの記憶装置に記憶するのかについては、情報解析装置100の使用目的、利便性、コスト、物理的な制約などから適宜決定される。例えば、採取された、患者Pの生体音情報は、一旦、RAMに記憶され、情報解析装置100の制御部10によって読み出される。制御部10による、生体音情報の解析の結果(および、必要に応じて、生体音情報)は、ROMなどの不揮発性記憶装置にて実現された記憶部13に保存される。
制御部10は、情報解析装置100が備える各部を統括制御するものである。制御部10は、例えば、CPU(central processing unit)などで実現され、情報解析装置100が備える機能は、制御部10としてのCPUが、ROMなどに記憶されているプログラムを、RAMなどに読み出して実行することで実現される。制御部10が実現する各種機能(特に、情報解析機能)については、別図を参照しながら、以下に詳述する。
〔情報解析装置の機能構成〕
図1に示すとおり、情報解析装置100の制御部10は、機能ブロックとして、生体音取得部20、生体音処理部21、生体音解析部22、および、結果出力部23を備えている構成である。
生体音取得部20は、通信部14が電子聴診器3から受信した患者Pの生体音情報を取得するものである。生体音取得部20は、受信された生体音情報を記憶部13に一旦記憶し、必要に応じて生体音情報を読み出して、下流の各部(生体音処理部21など)に供給する。
生体音処理部21は、生体音取得部20によって取得された生体音情報が示す音波形を処理して、音波形が有する波形特徴情報を抽出するものである。波形特徴情報とは、上記生体音情報に含まれる音波形を、当該音波形または音波形を構成する各音成分が有する様々な情報を指標にして、2次元またはそれ以上の次元のグラフにプロットしたものを示す。音成分が有する様々な情報とは、周波数、振幅値、発生時間などがあるが、これに限定されない。このように、生体音処理部21が生成した波形特徴情報によって、音波形の特徴を、様々な指標に基づいて、あらゆる観点から数値化して特徴量とし簡単に捉えることが可能になる。抽出された波形特徴情報および波形特徴情報から算出される特徴量は、生体音解析部22によって音波形を解析するのに利用される。
本実施形態では、生体音処理部21は、例えば、これには限定されないが、自己相関解析部211、フーリエ変換部212、時間周波数解析部213、包絡線検波部214、および、インパルスノイズ検出部215の少なくともいずれか1つで実現される。これらの生体音処理部21の各部が、それぞれの波形特徴情報を導出する。各部の詳細は後述する。
生体音解析部22は、生体音処理部21によって抽出された波形特徴情報に基づいて、その生体音を出した患者の状態を判定するものである。より具体的には、本実施形態では、生体音解析部22は、少なくとも、波形特徴判定部30および音種別判定部40を有する。生体音解析部22は、さらに、異常レベル判定部50を有することが好ましい。
波形特徴判定部30は、抽出された波形特徴情報が、波形特徴判定基準に合致するか否かを判定するものであり、この判定によって、上記波形特徴情報を有する音波形の特徴を区分し特定するものである。波形特徴判定部30は、1つの波形特徴情報について、複数の基準のそれぞれについて合致するか否かを判定してもよい。波形特徴判定部30は、1つの音波形から抽出された複数の波形特徴情報について、それぞれ、基準に合致するか否かを判定してもよい。波形特徴判定基準は、予め定義されて記憶部13に記憶されている。波形特徴判定部30は、記憶部13に記憶されている波形特徴判定基準を読み出して、抽出された波形特徴情報が基準を満たすのか否かを判定する。これにより、その波形特徴情報を有する音波形が、どのような特徴を有しているのかを明確に区分することができる。このようにして波形特徴判定部30によって特徴が区分された音波形の情報は、波形特徴判定結果として、音種別判定部40に対して出力される。波形特徴判定結果は、音種別判定部40によって、音波形の音の種別を判定するのに利用される。
本実施形態では、波形特徴判定部30は、例えば、これには限定されないが、周期性判定部31、スペクトラム判定部32、スペクトログラム判定部33、包絡線判定部34、および、インパルスノイズ判定部35の少なくともいずれか1つで実現される。各部の詳細は後述する。
音種別判定部40は、波形特徴判定部30が出力する波形特徴判定結果に応じて、当該音波形を有する生体音情報の、音の種別を判定するものである。音の種別とは、本実施形態では、患者から採取された生体音情報に含まれている音を医学的特徴に基づいて分類したものである。つまり、音種別判定部40は、採取された生体音情報の音の種別を決定することによって、生体音情報に含まれる音を医学的特徴に基づいて分類する手段である。
このように、波形特徴判定部30および音種別判定部40によって、患者の呼吸器系音がどのような音であるのかが、医学的特徴に基づいて分類される。したがって、生体音解析部22は、その種類の呼吸器系音を出している患者について、その患者の状態(病状)を判定することが可能となる。
特に、本実施形態では、情報解析装置100は、生体音として呼吸器系音を解析する装置である。したがって、音種別判定部40は、一例として、呼吸器系音を、医学的特徴に基づいて、以下の音種別に分類することができる。
例えば、音種別判定部40は、採取した生体音を「呼吸音(呼気に伴う音および吸気に伴う音)」と、「雑音(疾患に伴い発生する、呼気吸気以外の音)」とに分類してもよい。あるいは、音種別判定部40は、「呼吸音」を、さらに、「正常呼吸音」と「異常呼吸音」とに分類してもよい。また、音種別判定部40は、「異常呼吸音」を、さらに、「呼吸音減弱(消失)」、「呼吸音増強」、「呼気延長」、「気管支呼吸音化」および「気管狭窄音」に分類してもよい。また、音種別判定部40は、「雑音」を、さらに、「連続性雑音」、「断続性雑音」、「胸膜摩擦音」および「肺血管性雑音」に分類してもよい。さらに、音種別判定部40は、「連続性雑音」を「高音性連続性雑音」と、「低音性連続性雑音」とに分類してもよい。あるいは、音種別判定部40は、「断続性雑音」を「細かい断続性雑音」と、「荒い断続性雑音」とに分類してもよい。
もしくは、音種別判定部40は、「呼吸音」について、「正常呼吸音」であるのか、「正常呼吸音でない可能性がある」のかいずれであるのかを判定する、というように、ある音の種別にあてはまるか、あてはまらないかを2値で返す構成であってもよい。
なお、「呼吸音減弱」の発生機序は以下のとおりである。例えば、肺と胸壁との間に胸水などの障害物が貯留している場合が考えられる。肺で正常に発生した呼吸音が聴診器に届くまでの間に、障害物が存在すると、この障害物がいわばローパスフィルターの役目を果たして高周波成分をカットしてしまう。肺と胸壁との間に障害物があるケースは、胸水貯留、気胸、無気肺、肺気腫などの患者に多く見られる。したがって、本発明の情報解析装置100が、生体音を「呼吸音減弱」に分類することができれば、患者が罹っている疾患が胸水貯留、気胸、無気肺、肺気腫などであると、操作者Uおよび医師Dが判断するのに役立つ。
なお、「連続性雑音」の発生機序は以下のとおりである。気管の中で分泌物が貯留するせいで、呼気および吸気の気管を流れるときの気流が乱れる。そのために雑音が鳴る。そして、この雑音は、呼気および吸気が流れている間、ずっと鳴り続けることになる。この分泌物の貯留は、喘息、閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)、ならびに、気管・気管支狭窄などの患者に多く見られる。したがって、本発明の情報解析装置100が、生体音を「連続性雑音」に分類することができれば、患者が罹っている疾患が喘息、閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)、ならびに、気管・気管支狭窄などの疾患であると、操作者Uおよび医師Dが判断するのに役立つ。
また、気道が細い(気管の径が小さい)ところ、すなわち、肺の下部(または、気管の分岐が進んでいる深い箇所)で鳴る音の周波数は高くなる。この音を「高音性連続性雑音」に分類することができる。また、気道が太い(気管の径が大きい)ところ、すなわち、肺の上部(または、気管の分岐が進んでいない浅い箇所)で鳴る音の周波数は低くなる。この音を「低音性連続性雑音」に分類することができる。したがって、本発明の情報解析装置100が、生体音を「高音性連続性雑音」または「低音性連続性雑音」に分類することができれば、連続性雑音の異常が発生している肺の部位(上部か下部か)を操作者Uおよび医師Dが判断するのに役立つ。
なお、「断続性雑音」の発生機序は以下のとおりである。気管の中の液体分泌物が、気管に薄い液体の膜を張って、気道を閉鎖することがある。このような状態の気管内に呼気吸気が流れると、膜が破裂する音が鳴る。膜は、気管の所々に発生、その膜が破れるときにだけ瞬間的に破裂音が鳴る。この点で、「連続性雑音」とは明らかに種類の違う音が鳴る。上記液体分泌物の貯留は、肺炎患者に多く見られる。したがって、本発明の情報解析装置100が、生体音を「断続性雑音」に分類することができれば、患者が罹っている疾患が肺炎であると、操作者Uおよび医師Dが判断するのに役立つ。
なお、気道が細いところでは、径の小さい膜が張っており、このような膜はすぐに破れる。したがって、音が鳴る期間が比較的短い。このときに鳴る音を、「細かい断続性雑音」に分類することができる。また、気道が太いところでは、径の大きい膜が張っており、このような膜は、小さい膜に比べて破れるのに多少時間がかかる。したがって、音が鳴る期間が比較的長い。このときに鳴る音を、「荒い断続性雑音」に分類することができる。したがって、本発明の情報解析装置100が、生体音を「細かい断続性雑音」または「荒い断続性雑音」に分類することができれば、断続性雑音の異常が発生している肺の部位(上部か下部か)を操作者Uおよび医師Dが判断するのに役立つ。
本実施形態では、音種別判定部40は、例えば、これには限定されないが、正常呼吸音判定部41、呼吸音減弱判定部42、連続性雑音判定部43、および、断続性雑音判定部44の少なくともいずれか1つで実現される。各部の詳細は後述する。
音種別判定部40による音種別判定結果は、結果出力部23に供給されたり、記憶部13に記憶されたりする。
異常レベル判定部50は、特定の種別に分類された音波形について、その種別の程度の大きさ(レベル)を、抽出された波形特徴情報に基づいて、判定するものである。特に、異常レベル判定部50は、異常音の種別の異常の程度(重症度、進行度など)を判定する。
本実施形態では、異常レベル判定部50は、抽出された波形特徴情報が、基準に合致するか否かを判定することにより、レベル判定を行う。すなわち、異常レベル判定部50は、閾値が段階的に異なるレベル判定基準のそれぞれと抽出された波形特徴情報とを比較して、波形特徴情報がいずれのレベル判定基準に合致するのかに応じて、生体音の異常レベルを判定する。レベル判定基準は、予め定義されて記憶部13に記憶されている。
例えば、異常レベル判定部50は、異常の程度が比較的高い(重症の)生体音について、異常レベルを「高」と判定し、異常の程度が比較的低い(軽症の)生体音について、異常レベルを「低」と判定してもよい。さらに、異常レベル判定部50は、その間の程度であれば、生体音の異常レベルを「中」と判定してもよい。
本実施形態では、異常レベル判定部50は、例えば、これには限定されないが、減弱レベル判定部51、連続性レベル判定部52および断続性レベル判定部53の少なくともいずれか1つで実現される。各部の詳細は後述する。
異常レベル判定部50によるレベル判定結果は、結果出力部23に供給されたり、記憶部13に記憶されたりする。
結果出力部23は、音種別判定部40によって出力された音種別判定結果を、生体音情報を解析した解析結果として出力するものである。なお、制御部10が、異常レベル判定部50を含んで構成される場合には、結果出力部23は、異常レベル判定部50によって出力されたレベル判定結果を上記解析結果に含めて出力する。結果出力部23が出力した解析結果は、映像信号として表示部12に供給され、結果として、解析結果は、操作者Uが視認できるように表示部12に表示される。
上記構成によれば、生体音処理部21が、生体音情報を処理して音波形から波形特徴情報を抽出し、波形特徴判定部30が、その波形特徴情報がどのような判定基準に合致するのか(あるいは、合致しないのか)を判定する。音種別判定部40は、その波形特徴判定結果に応じて、音の種別を判定することができる。音種別判定部40が行った音種別判定結果は、解析結果として、表示部12に表示される。
上記判定基準において、音種別に関わりの深い医学的特徴に基づいて、閾値があらかじめ定義されている。したがって、抽出された波形特徴情報が、上記判定基準に合致するか否かによって、元の生体音情報がどの音種別と相関が高いのかを音種別判定部40が判断することができる。
これにより、モデルの音波形との直接的な比較を行わずとも、生体音情報の種別を特定することが可能となる。したがって、モデルの音波形データベースの完成度に左右されることなく、客観的な解析を精度良くかつ効率的に行い、解析結果を利用者に提示する情報解析装置を実現することができる。
上述した制御部10の各機能ブロックは、CPU(central processing unit)等が、ROM(read only memory)、NVRAM(non-Volatile random access memory)等で実現された記憶装置(記憶部13)に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現できる。
〔情報解析装置の機能構成−詳細〕
まず、生体音処理部21および波形特徴判定部30の各部について詳細に説明する。
(周期性判定機能)
図3および図4は、生体音取得部20によって取得される生体音情報の一具体例を示す図である。
図5の(a)および(b)、ならびに、図6は、自己相関解析部211が出力する自己相関関数の一具体例を示す図である。
生体音処理部21の自己相関解析部211は、生体音取得部20が取得した生体音情報に含まれる音波形を解析して、自己相関関数を導出するものである。
波形特徴判定部30の周期性判定部31は、自己相関解析部211によって出力された自己相関関数について、波形特徴判定基準を適用し、該自己相関関数を有する音波形の特徴(特に、周期性)を判定するものである。
健康な患者から測定された正常な生体音(呼吸音)の場合、呼吸が安定して行われるために、音波形を、吸気と呼気とを1周期とする周期信号と考えることができる。自己相関解析部211は、上記周期信号を解析する手段である。自己相関とは、ある信号v(t)とその信号自体を時間シフトした信号v(t+τ)との相関度を評価する指標であり、時間シフトτを変数とする関数R(τ)として、次式で表すことが可能である。
Figure 2013123494
自己相関解析部211は、導出した自己相関関数を波形特徴情報として、周期性判定部31に供給する。
図3は、健常者の呼吸音を示す図である。図5の(a)は、図3に示す呼吸音の波形を入力として、自己相関解析部211が導出した自己相関関数を示す図である。図5の(b)は、他の呼吸音の波形を入力として、自己相関解析部211が導出した自己相関関数の他の例を示す図である。なお、図5の(a)および(b)に示す例では、縦軸の自己相関は、最大振幅で規格化されている。
周期性判定部31は、図5の(a)に示す自己相関関数(波形特徴情報)が供給されると、当該自己相関関数が波形特徴判定基準に合致するか否かを判定する。
最初に、周期性判定部31は、自己相関関数に基づいて、音波形の周期性の強弱と、周期がある場合には、1周期の長さ(特徴量)とを判定する。
具体的には、周期性判定部31は、図5の(a)に示す自己相関関数から、約3秒間隔のピークを検出して、1周期が約3秒間の周期性を見出す。あるいは、周期性判定部31は、図5の(b)に示す自己相関関数から、約2秒間隔のピークを検出して、1周期が約2秒間の周期性を見出す。
ここで、周期性判定部31は、自己相関のピークとピーク以外の自己相関の比に応じて周期性の強さの度合いも判定してもよい(周期性が強いほど、ピークとそれ以外の比が大きくなる)。例えば、周期性判定部31は、自己相関関数における、包絡線のピーク振幅値の1/4における、当該ピーク幅(期間)が、呼吸周期の何%になるのかを判定してもよい。この値(特徴量)が小さいほど、周期性が強いことを意味する。
一方、図4は、肺炎患者の呼吸音を示す図である。図6は、図4に示す呼吸音の波形を入力として、自己相関解析部211が導出した自己相関関数を示す図である。なお、図6に示す例では、縦軸の自己相関は、最大振幅で規格化されている。
図6に示す例では、吸気音と呼気音とは別に雑音が発生しているために自己相関性が低く、音波形に強い周期性が見出せない。よって、周期性判定部31は、このような自己相関関数が入力された場合には、その音波形の周期性が弱いと判定することができる。
以上のとおり、自己相関解析部211が出力した自己相関関数を用いることにより、周期性判定部31は、診断対象となっている生体音の音波形について、周期性の強弱、および、さらに詳細には、どの程度強いのか(弱いのか)を評価することが可能である。
次に、周期性判定部31は、記憶部13に記憶されている、波形特徴判定基準を読み出して、上記自己相関関数に適用する。そして、自己相関関数の特徴(ここでは、周期性の強弱、および、周期の長さ)が上記波形特徴判定基準に合致するのか否かを判定する。これにより、周期性判定部31は、当該自己相関関数を有する音波形の周期性に係る特徴を特定することが可能となる。
図7は、周期性判定部31が参照する波形特徴判定基準の一例と、周期性判定部31が出力する波形特徴判定結果の一例とを示す図である。
本実施形態では、周期性判定部31は、図7に示す波形特徴判定基準にしたがって、「判定項目1」または「判定項目1’」を実行し、波形特徴判定結果を出力することができる。そして、周期性判定部31は、それぞれの判定項目について、波形特徴判定結果として、真または偽の2値を出力する。
しかし、図7に示す内容は、周期性判定部31の機能を説明するための一例であって、周期性判定部31の構成を限定する意図はない。また、図7に示す、波形特徴判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、周期性判定部31は、波形特徴判定結果を真偽の2値ではなく、より詳細な内容を伴って出力することもできる。
(判定項目1:周期性が強いか否かを判定する)
周期性判定部31は、図7に示す「判定項目1」を実行することにより、生体音波形の周期性強弱を判定することができる。「判定項目1」では、周期性判定部31は、“周期性が強い”を真、“周期性が弱い”を偽で返す。
本実施形態では、まず、周期性判定部31は、「判定項目1」における「判定項目1−1」を実行する。すなわち、自己相関関数の波形が、2〜5秒の間隔でピークを持つか否かを判定する。周期性判定部31は、2〜5秒ごとにピークが検出されれば真、ピークが検出されなければ偽を返す。
次に、周期性判定部31は、「判定項目1−2」を実行する。すなわち、自己相関関数の包絡線における、ピーク振幅値(縦軸)の1/4の振幅値にて、当該ピークの幅(横軸;時間)が呼吸周期の10%以下であるか否かを判定する。周期性判定部31は、ピーク幅が10%以下である場合(周期性が強い場合)に真、ピーク幅が10%より大きい場合(周期性が弱い場合)に偽を返す。
例えば、自己相関関数の周期が5秒であり、自己相関関数の包絡線にみられる、複数のピーク振幅値が平均0.8であるとする。この場合、周期性判定部31は、振幅値0.2における各包絡線ピークの幅が平均して0.5秒以下であれば、「判定項目1−2」を真と判定する。
最後に、周期性判定部31は、「判定項目1−1」および「判定項目1−2」の結果を統合して、「判定項目1」の波形特徴判定結果を出力する。図7に示す例では、周期性判定部31は、「判定項目1−1」が真、かつ、「判定項目1−2」が真のとき、「判定項目1」を「真(すなわち、周期性が強い)」と判定する。一方、それ以外、つまり、「判定項目1−1」および「判定項目1−2」の少なくとも一方が偽のとき、「判定項目1」を「偽(すなわち、周期性が弱い)」と判定する。
(判定項目1’:周期性が弱いか否かを判定する)
周期性判定部31は、「判定項目1’」を実行するときも、上述の「判定項目1」と同様に、「判定項目1−1」および「判定項目1−2」を実行する。ただし、「判定項目1’」では、「判定項目1−1」および「判定項目1−2」の結果を統合する方法が「判定項目1」と異なる。
図7に示す例では、周期性判定部31は、「判定項目1−1」および「判定項目1−2」の少なくとも一方が偽のとき、「判定項目1’」を「真(すなわち、周期性が弱い)」と判定する。一方、それ以外、つまり、「判定項目1−1」および「判定項目1−2」の両方が真のとき、「偽(周期性が強い)」と判定する。
周期性判定部31は、「判定項目1」または「判定項目1’」の真または偽の値を、波形特徴判定結果として、音種別判定部40に出力する。
(周波数成分分布に基づく特徴判定機能)
図9は、生体音取得部20によって取得される生体音情報の他の具体例を示す図である。
図8および図10は、フーリエ変換部212が出力するスペクトルの一具体例を示す図である。
生体音処理部21のフーリエ変換部212は、生体音取得部20が取得した生体音情報に含まれる音波形を解析して、スペクトルを導出するものである。
波形特徴判定部30のスペクトラム判定部32は、フーリエ変換部212によって出力されたスペクトルについて、波形特徴判定基準を適用し、該スペクトルの特徴(特に、周波数成分に関する特徴)を判定するものである。より具体的には、スペクトラム判定部32は、上記スペクトルに見られる周波数成分分布が、正常の傾向を示しているか否か、または、異常(雑音あり)の傾向を示しているか否かを判定する。
生体音は、直流(0Hz)に近い成分から1000Hz超の成分まで様々な周波数からなっている。そして、疾患の有無・疾患種別・疾患程度などによって、その周波数成分の情報は異なる。この周波数成分情報を扱うために、本実施形態では、フーリエ変換部212がフーリエ解析を行う。フーリエ変換部212は、音波形から導出したスペクトルを波形特徴情報として、スペクトラム判定部32に供給する。
図8は、図3に示す健常者の呼吸音をフーリエ変換部212がフーリエ変換して導出したスペクトルを示す図である。
図9は、喘息患者の呼吸音を示す図である。
図10は、図8に示す喘息患者の呼吸音をフーリエ変換部212がフーリエ変換して導出したスペクトルを示す図である。なお、図8および図10に示す例では、所定秒(例えば、20秒)間採取された生体音波形の音成分がフーリエ変換されたものである。
図8に示すとおり、例えば、健常者の呼吸音の場合、ほとんど(約80%以上)の信号成分は200Hz以下にあることが分かる。これに対し、喘息患者の呼吸音の場合、図10に示すとおり、300〜400Hzの帯域に多くの信号成分があることが分かる。これは、気道内にある狭窄部が気流を乱した結果、気道が高周波で振動している結果現れる症状である。以上のように、フーリエ変換部212によるフーリエ解析を用いることで、スペクトラム判定部32は、疾患(例えば、喘息の疑い)の有無を判定したり、雑音発生有無を判定したりすることが可能となる。
本実施形態では、スペクトラム判定部32は、記憶部13に記憶されている波形特徴判定基準を読み出して、上記スペクトラムに適用する。そして、当該スペクトラムが上記波形特徴判定基準に合致するのか否かを判定する。例えば、具体的には、スペクトラムから200Hz以下にある信号成分量が全信号成分量に対して占める割合などを特徴量として算出し、この特徴量を上記波形特徴判定基準に含まれた閾値と比較する。
これにより、スペクトラム判定部32は、当該スペクトラムを有する音波形の周波数成分に係る特徴を区分して特定することが可能となる。
図11は、スペクトラム判定部32が参照する波形特徴判定基準の一例と、スペクトラム判定部32が出力する波形特徴判定結果の一例とを示す図である。
本実施形態では、スペクトラム判定部32は、図11に示す波形特徴判定基準にしたがって、「判定項目2−A」または「判定項目2−B」のいずれかの判定を実行し、波形特徴判定結果を出力することができる。そして、スペクトラム判定部32は、それぞれの判定項目について、波形特徴判定結果として、真または偽の2値を出力する。
しかし、図11に示す内容は、スペクトラム判定部32の機能を説明するための一例であって、スペクトラム判定部32の構成を限定する意図はない。また、図11に示す、波形特徴判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、スペクトラム判定部32は、波形特徴判定結果を真偽の2値ではなく、より詳細な内容を伴って出力することもできる。
(判定項目2−A:周波数成分分布が正常傾向か否かを判定する)
スペクトラム判定部32は、図11に示す「判定項目2−A」を実行する。「判定項目2−A」では、スペクトラム判定部32は、スペクトラムにおいて、200Hz以下の周波数成分の和が、全成分の80%以上を占めるか否かを判定する。図8に示すとおり、200Hz以下の周波数成分の和が、全成分の80%以上を占める場合、スペクトラムは正常に近いと推定できる。「判定項目2−A」では、スペクトラム判定部32は、スペクトラムの200Hz以下の周波数成分の和が、全成分の80%以上を占める場合に真(正常に近い)、80%未満の場合に偽(正常ではない可能性がある)を、波形特徴判定結果として音種別判定部40に出力する。
(判定項目2−B:周波数成分分布が異常傾向か否かを判定する)
スペクトラム判定部32は、図11に示す「判定項目2−B」を実行する。「判定項目2−B」では、スペクトラム判定部32は、スペクトラムにおいて、200Hz以上の周波数成分の和が、全成分の30%以上を占めるか否かを判定する。図10に示すとおり、200Hz以上の周波数成分が多いと、それを異常の兆候と認めることができる。「判定項目2−B」では、スペクトラム判定部32は、スペクトラムの200Hz以上の周波数成分の和が、全成分の30%以上を占める場合に真(異常兆候あり)、30%未満の場合に偽(異常兆候なし)を、波形特徴判定結果として音種別判定部40に出力する。
(時間周波数成分に基づく特徴判定機能)
図12〜図15は、時間周波数解析部213が出力するスペクトログラムの一具体例を示す図である。
生体音処理部21の時間周波数解析部213は、生体音取得部20が取得した生体音情報に含まれる音波形を所定時間単位で解析して、スペクトログラムを導出するものである。
波形特徴判定部30のスペクトログラム判定部33は、時間周波数解析部213によって出力されたスペクトログラムについて、波形特徴判定基準を適用し、該スペクトログラムの特徴を判定するものである。具体的には、スペクトログラム判定部33は、周期性が認められる(あるいは認められない)周波数を特徴量として特定したり、周波数帯域別に周期性の強弱を判定したりするものである。
フーリエ変換部212が出力するスペクトラムは、縦軸に周波数成分量(強度)、横軸に周波数をとった2次元グラフである。スペクトラムからは、時間情報が欠けているため、周波数帯域ごとの周波数成分量について時間経過に伴う変化を観察することはできない。
これに対し、時間周波数解析部213が出力するスペクトログラムは、時間情報を加味した3次元グラフである。例えば、縦軸に周波数、横軸に時間をとった2次元のグラフに、周波数成分量を色で表現したものをプロットしてスペクトログラムが作成されてもよい。例えば、図12〜図15に示す例では、赤方向(凡例の最上段の色の方向)に色が近く、濃い点(領域)ほど成分量が多いことを表し、青方向(凡例の最下段の色の方向)に色が近く、濃い点(領域)ほど成分量が少ないことを表している。
時間周波数解析部213は、例えば、20秒間の音波形を所定秒(例えば、0.5秒)ごとに区切り、区切った0.5秒区間ごとにフーリエ変換をかけて、スペクトログラムを導出する。時間周波数解析部213は、音波形から導出したスペクトログラムを波形特徴情報として、スペクトログラム判定部33に供給する。
このようなスペクトログラムに基づけば、スペクトログラム判定部33は、時間の経過に伴う、周波数帯域ごとの成分量の変化を解析することができる。つまり、スペクトログラム判定部33は、周波数帯域ごとに周期性の有無(あるいは強弱)を判定することができる。
図12は、健常者の呼吸音を時間周波数解析部213が短時間周波数解析を行って導出したスペクトログラムを示す図である。
図13は、呼吸音減弱が発生している呼吸音を時間周波数解析部213が短時間周波数解析を行って導出したスペクトログラムを示す図である。
図14は、連続性雑音が発生している呼吸音を時間周波数解析部213が短時間周波数解析を行って導出したスペクトログラムを示す図である。
図15は、断続性雑音が発生している呼吸音を時間周波数解析部213が短時間周波数解析を行って導出したスペクトログラムを示す図である。
スペクトログラム判定部33は、図12のスペクトログラムを解析し、400Hz以上の帯域においても強い周期性が認められると認識する。つまり、スペクトログラム判定部33は、400Hz以上の帯域において、一定量以上の信号成分が発生しているタイミング(比較的色の濃い部分)が約3秒間隔で見られることを検知する。これにより、スペクトログラム判定部33は、図12のスペクトログラムが、「400Hz以上の帯域においても周期性が認められる」と判定することができる。
図13のスペクトログラムによれば、スペクトログラム判定部33は、該スペクトログラムが、「(400Hzでは周期性が認められない)200Hz以上300Hz未満の帯域においてようやく周期性が認められる(強まる)」と判定することができる。図12の正常呼吸音のスペクトログラムと比較して、図13に示す呼吸音減弱の異常兆候が見られるスペクトログラムにおいては、高周波域の信号成分が十分に観察されない。呼吸音減弱の異常兆候は、肺と胸壁との間に胸水が貯留している場合によく見られる。なぜなら、肺で正常に発生した呼吸音が聴診器に届くまでの間に、胸水が存在し、この胸水がいわばローパスフィルターの役目を果たして高周波成分をカットしてしまうからである。
なお、図14および図15のスペクトログラムによれば、いずれの周波数帯域においてもそもそも周期性が弱いあるいは認められない。スペクトログラム判定部33は、上記スペクトログラムを有する音波形の周期性に係る特徴を「周期性が弱い」と判定してもよい。ただし、周期性判定部31が、自己相関関数から周期性強弱を判断することが可能である。そのため、波形特徴判定部30が周期性判定部31を含む場合には、スペクトログラム判定部33は、必ずしも周期性強弱を判断しない。
本実施形態では、スペクトログラム判定部33は、記憶部13に記憶されている波形特徴判定基準を読み出して、上記スペクトログラムに適用する。そして、当該スペクトログラムが上記波形特徴判定基準に合致するのか否かを判定する。これにより、スペクトログラム判定部33は、当該スペクトログラムを有する音波形の時間周波数成分に係る特徴を特定することが可能となる。
図16は、スペクトログラム判定部33が参照する波形特徴判定基準の一例と、スペクトログラム判定部33が出力する波形特徴判定結果の一例とを示す図である。
本実施形態では、スペクトログラム判定部33は、図16に示す波形特徴判定基準にしたがって、「判定項目3−A」または「判定項目3−B」のいずれかの判定を実行し、波形特徴判定結果を出力することができる。そして、スペクトログラム判定部33は、それぞれの判定項目について、波形特徴判定結果として、真または偽の2値を出力する。
しかし、図16に示す内容は、スペクトログラム判定部33の機能を説明するための一例であって、スペクトログラム判定部33の構成を限定する意図はない。また、図16に示す、波形特徴判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、スペクトログラム判定部33は、波形特徴判定結果を真偽の2値ではなく、より詳細な内容を伴って出力することもできる。
(判定項目3−A:高周波数帯域において周期性が認められるか否かを判定する)
スペクトログラム判定部33は、図16に示す「判定項目3−A」を実行する。「判定項目3−A」では、スペクトログラム判定部33は、スペクトログラムの周波数400Hz(もしくはそれ以上)において、一定量以上の周波数成分(濃い部分)の周期性が認められるか否かを判定する。スペクトログラム判定部33は、400Hz以上の帯域で周期性が認められる場合に、「判定項目3−A」を真と判定し、周期性が認められない場合に偽を、波形特徴判定結果をとして音種別判定部40に出力する。
音種別判定部40は、波形特徴判定結果に基づいて、図12に示すとおり、400Hz以上の帯域で強い周期性が見られた(真の)場合には、正常に近いと判定することができる。一方、図13〜15に示すとおり、400Hz以上の帯域で周期性が弱いまたは認められない(偽の)場合には、異常(特に、呼吸音減弱、雑音など)の可能性があると判定することができる。
(判定項目3−B:低周波数帯域において認められた周期性が高周波数帯域において弱まるか否かを判定する)
スペクトログラム判定部33は、図16に示す「判定項目3−B」を実行する。「判定項目3−B」では、スペクトログラム判定部33は、スペクトログラムを、高周波帯域(スキャン開始点は、500〜400Hzくらいでよい)から低周波帯域へと移行するようにスキャンして、周期性が認められなくなった(または、弱まった)ときの周波数を特定する。そして、スペクトログラム判定部33は、周期性が認められるときの周波数が400Hz未満であれば、「判定項目3−B」を真、400Hz以上であれば偽と判定する。
ここで、偽、すなわち、400Hz以上で強い周期性が見られるということは、高周波数帯域において周期性が認められるということである。そのため、音種別判定部40は、「判定項目3−B」について偽の判定結果が出力された場合、生体音波形が呼吸音減弱である可能性は低いと判定することができる。一方、真、すなわち、強い周期性が見られるようになったときの周波数が400Hz未満であれば、低周波数帯域において見られた強い周期性が高周波数帯域において弱まる(あるいは認められなくなる)ということである。そのため、音種別判定部40は、「判定項目3−B」について真の判定結果が出力された場合、生体音波形が呼吸音減弱である可能性は高いと判定することができる。
なお、スペクトログラム判定部33は、スペクトログラムを低周波帯域(0Hz)から高周波帯域へと移行するようにスキャンする場合には、周期性が弱まって見られなくなったときの周波数を特定すればよい。そして、スペクトログラム判定部33は、周期性が弱まって見られなくなったときの周波数が400Hz未満であれば、「判定項目3−B」を真、400Hz以上であれば偽と判定する。
音種別判定部40は、波形特徴判定結果に基づいて、図13に示すとおり、周期性が弱まって見られなくなるのが400Hz未満であれば(「判定項目3−B」が真であれば)、周期性は強いが、減弱である可能性が高いと判定することができる。一方、図12に示すとおり、周期性が弱まって見られなくなるのが400Hz以上(例えば、900Hzなど)であれば、つまり、「判定項目3−B」が偽であれば、減弱である可能性は低く、正常と判定することができる。
なお、上述の例では、時間周波数解析部213は、固定の時間解像度、つまり、固定の秒数(0.5秒など)の区間ごとにフーリエ変換を行う構成であったが、時間周波数解析部213の構成はこれに限定されない。時間周波数解析部213は、ウェーブレット変換を行って、時間周波数成分分布を導出してもよい。ウェーブレット変換では、低周波に対する時間解像度と、高周波に対する時間解像度とを異ならせることができ、より詳細な時間周波数成分分布を得ることが可能である。
(包絡線に基づく特徴判定機能)
図17は、包絡線検波部214が出力する、生体音波形の包絡線の一具体例を示す図である。なお、図17に示す生体音波形は、図9に示す生体音情報の音波形の一部を拡大したものである。
生体音処理部21の包絡線検波部214は、生体音取得部20が取得した生体音情報に含まれる音波形の包絡線を検波して、出力するものである。
波形特徴判定部30の包絡線判定部34は、包絡線検波部214によって出力された音波形の包絡線を分析して、波形特徴判定基準を適用し、該包絡線に基づく音波形の特徴を判定するものである。
生体音情報に、生体音波形に200ms以上の連続的な雑音が存在すれば、喘息である可能性が高いと判断できる。なお、「連続性雑音」の発生機序について、先に説明したとおり、「連続性雑音」に相関する疾患には、喘息に限らず、閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎など)、ならびに、気管・気管支狭窄などの疾患も含まれる。以下では、説明を簡略化するために、一例として、喘息のみを記載していることを理解されたい。
これは、連続的な雑音が、喘息によって分泌物が貯留している気道を気流が通過するときに、乱流が連続的に生じることに起因して発生すると考えられているからである。
ここで、生体音波形を図17に示すとおり、6.6秒〜7秒の間で拡大して観察すると、通信技術におけるAM変調またはFM変調と同じように、生体音情報は、高周波信号として採取されることが分かる。このような場合には、200ms以上の連続的な雑音が存在するか否かを判断するためには、包絡線検波と呼ばれる技術を活用することが望ましい。包絡線検波部214が実行する包絡線検波とは、AM変調された信号の復調に使われている技術であり、高周波信号の包絡線を取り出す技術である。包絡線検波部214は、高周波信号である生体音波形から包絡線を検波して、これを包絡線判定部34に出力する。
包絡線判定部34は、包絡線検波部214によって検波された包絡線の波形を解析して、包絡線に基づいて音波形の特徴(例えば、連続する雑音の長さなど)を特徴量として特定することが可能となる。
図18は、包絡線判定部34が参照する波形特徴判定基準の一例と、包絡線判定部34が出力する波形特徴判定結果の一例とを示す図である。
図19の(a)は、連続性の高い包絡線の一具体例を示す図であり、図19の(b)は、連続性の低い包絡線の一具体例を示す図である。
本実施形態では、包絡線判定部34は、図18に示す波形特徴判定基準にしたがって、「判定項目4」を実行し、波形特徴判定結果を出力することができる。そして、包絡線判定部34は、上記判定項目について、波形特徴判定結果として、真または偽の2値を出力する。
しかし、図18に示す内容は、包絡線判定部34の機能を説明するための一例であって、包絡線判定部34の構成を限定する意図はない。また、図18に示す、波形特徴判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、包絡線判定部34は、波形特徴判定結果を真偽の2値ではなく、より詳細な内容を伴って出力することもできる。
(判定項目4:雑音の連続性が認められるか否か判定する)
包絡線判定部34は、図18に示す「判定項目4」を実行する。「判定項目4」では、包絡線判定部34は、音波形の包絡線について、音の連続性が認められるか否か判定する。
包絡線判定部34は、まず、「判定項目4−1」を実行する。「判定項目4−1」では、包絡線判定部34は、音波形の包絡線の振幅平均値を超える、連続する時間が200ms以上あるか否かを判定する。
例えば、図19の(a)に示す包絡線を例に挙げて説明する。上記包絡線の振幅平均値が、一点鎖線Avr1で示されている。この場合、包絡線判定部34は、振幅平均値Avr1を超える区間をZ1と特定する。区間Z1は、200ms以上続いている。よって、図19の(a)に示す包絡線について「判定項目4−1」を実行すると、包絡線判定部34は、「真(200ms以上ある)」を波形特徴判定結果として出力する。
次に、図19の(b)に示す包絡線を例に挙げて説明する。上記包絡線の振幅平均値が、一点鎖線Avr2で示されている。この場合、包絡線判定部34は、振幅平均値Avr2を超える区間をZ2、Z3およびZ4と特定する。区間Z2、Z3およびZ4は、いずれも200ms以上続かない。よって、図19の(b)に示す包絡線について「判定項目4」を実行すると、包絡線判定部34は、「偽(200ms以上ない)」を波形特徴判定結果として出力する。
次に、包絡線判定部34は、「判定項目4−2」を実行する。「判定項目4−2」では、包絡線判定部34は、呼吸1周期分(約2〜5秒間)の音波形において、該音波形の包絡線の振幅平均値を超える時間の合計が200ms以上であるか否かを判定する。例えば、包絡線判定部34は、呼吸1周期分の包絡線のうち、振幅平均値Avr2を超える区間の時間を合計する。図19の(b)に示す例では、包絡線判定部34は、区間Z2、Z3、Z4、および、次の区間・・・の時間を合計する。包絡線判定部34は、「判定項目4−2」にしたがえば、この合計時間が200ms以上であれば、「判定項目4−1」とは異なり、「真」を返す。
そして、包絡線判定部34は、「判定項目4−2」の波形特徴判定結果として、「真(200ms以上)」または「偽(200ms未満)」を出力する。
最後に、包絡線判定部34は、「判定項目4−1」および「判定項目4−2」の両方を総合して、「判定項目4」についての波形特徴判定結果を出力する。例えば、包絡線判定部34は、「判定項目4−1」および「判定項目4−2」の少なくともいずれか一方が「真」の場合に、包絡線に基づく「判定項目4」の波形特徴判定結果を「真;音の連続性が認められる」と出力してもよい。また、包絡線判定部34は、「判定項目4−1」および「判定項目4−2」の両方が「偽」の場合に、包絡線に基づく「判定項目4」の波形特徴判定結果を「偽;音の連続性が認められない」と出力してもよい。
音種別判定部40は、波形特徴判定結果に基づいて、「判定項目4」が「真」の場合には、雑音の連続性が高い、すなわち、連続性雑音である可能性がある、と判定することができる。一方、「偽」の場合には、雑音の連続性が低い、すなわち、連続性雑音でない可能性があると判定することができる。このように、包絡線判定部34が、「判定項目4−1」および「判定項目4−2」を両方統合して波形特徴判定結果を出力することにより、音種別判定部40は、より精度良く、音の連続性について種別の判定を実行することができる。
(インパルスノイズに基づく特徴判定機能)
図20は、インパルスノイズ検出部215が出力する、生体音波形においてインパルスノイズが特定されたインパルスノイズ検出結果の一具体例を示す図である。
生体音処理部21のインパルスノイズ検出部215は、生体音取得部20が取得した生体音情報の音波形に含まれるインパルスノイズを検出するものである。インパルスノイズ検出部215は、インパルスノイズを検出した結果を示すインパルスノイズ検出結果を、インパルスノイズ判定部35に供給する。
波形特徴判定部30のインパルスノイズ判定部35は、インパルスノイズ検出部215から供給されたインパルスノイズ検出結果に対して波形特徴判定基準を適用し、インパルスノイズの個数(特徴量)に基づく音波形の特徴を判定するものである。
上記インパルスノイズ検出結果は、図20に示すとおり、生体音波形におけるインパルスノイズが強調されてインパルスノイズ判定部35が認識できるようなデータ構造であってもよいし、単に、生体音波形に何個のインパルスノイズが検出されたのかを示す情報であってもよい。
インパルスノイズとは、瞬間的に発生する破裂音のことである。この破裂音は、液体膜が気道を閉鎖している場合に、気流が通過するとき、液体膜が破裂することに起因して発生する。よって、インパルスノイズが多数検出されるような呼吸音を発する患者は、液体膜によって気道が閉鎖される疾患(肺炎、喀痰貯留など)に罹っていると考えられる。
図21は、インパルスノイズ判定部35が参照する波形特徴判定基準の一例と、インパルスノイズ判定部35が出力する波形特徴判定結果の一例とを示す図である。
本実施形態では、インパルスノイズ判定部35は、図21に示す波形特徴判定基準にしたがって、「判定項目5」を実行し、波形特徴判定結果を出力することができる。そして、インパルスノイズ判定部35は、上記判定項目について、波形特徴判定結果として、真または偽の2値を出力する。
しかし、図21に示す内容は、インパルスノイズ判定部35の機能を説明するための一例であって、インパルスノイズ判定部35の構成を限定する意図はない。また、図21に示す、波形特徴判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、インパルスノイズ判定部35は、波形特徴判定結果を真偽の2値ではなく、より詳細な内容を伴って出力することもできる。
(判定項目5:雑音の断続性が認められるか否か判定する)
インパルスノイズ判定部35は、図21に示す「判定項目5」を実行する。「判定項目5」では、インパルスノイズ判定部35は、音波形に含まれるインパルスノイズの数が、1周期あたりに10個以上存在したか否かを判定する。
なお、インパルスノイズ判定部35は、生体音波形の全秒数あたりのインパルスノイズ数に基づいて、5秒間のインパルスノイズ数を1周期あたりのインパルスノイズ数として算出してもよい。上記構成によれば、周期性が弱い音波形についても1周期あたりのインパルスノイズ数を特定することができる。例えば、20秒間の生体音波形において強い周期性が見出されなかった場合、インパルスノイズ判定部35は、インパルスノイズ検出部215から、上記生体音波形に含まれた全インパルスノイズ数を取得する。例えば、全インパルスノイズ数が32個である場合、インパルスノイズ判定部35は、32個÷(20秒÷5秒)=8個を、1周期あたりのインパルスノイズ数として特定してもよい。
インパルスノイズ判定部35は、1周期あたりのインパルスノイズ数が10個以上ある場合に真、10個未満である場合に偽を、波形特徴判定結果として、音種別判定部40に対して出力する。
音種別判定部40は、波形特徴判定結果に基づいて、「判定項目5」が「真」の場合には、雑音の断続性が高いと判定することができる。一方、「偽」の場合には、雑音の断続性が低いと判定することができる。
次に、音種別判定部40の各部について詳細に説明する。
(正常呼吸音判定機能)
図22は、波形特徴判定部30によって出力された波形特徴判定結果を入力として、音種別判定部40の正常呼吸音判定部41が出力する音種別判定結果の一具体例を示す図である。
音種別判定部40の正常呼吸音判定部41は、生体音取得部20によって取得された生体音情報に含まれる生体音が、「正常呼吸音」に分類されるのか否かを判定するものである。より詳細には、本実施形態では、正常呼吸音判定部41は、生体音が「真:正常呼吸音である可能性がある」または「偽:正常呼吸音でない可能性がある」を表す2値の情報を音種別判定結果として出力する。出力された音種別判定結果は、結果出力部23に供給される。
図22に示すとおり、正常呼吸音判定部41は、真偽を判定するために、「判定項目1」、「判定項目2−A」および「判定項目3−A」の波形特徴判定結果を波形特徴判定部30から取得する。
より詳細には、正常呼吸音判定部41は、周期性の強弱を表す「判定項目1」の波形特徴判定結果を周期性判定部31から取得する。正常呼吸音判定部41は、周波数成分分布の正常性を表す「判定項目2−A」の波形特徴判定結果をスペクトラム判定部32から取得する。さらに、正常呼吸音判定部41は、高周波数帯域における周期性の有無(または強弱)を表す「判定項目3−A」の波形特徴判定結果をスペクトログラム判定部33から取得する。
以上の3つの判定項目について真偽を取得すると、真偽のパターンは、図22に示すとおり、パターン(ア)〜(ク)の8通りとなる。正常呼吸音判定部41は、8つのパターンごとに、正常呼吸音についての真偽を判定する。
本実施形態では、正常呼吸音判定部41は、図22に示すとおり、すべての判定項目が真である、パターン(ア)の場合のみ、「真:正常呼吸音である可能性がある」と判定する。3つの判定項目のうちの1つでも偽があれば、「偽:正常呼吸音でない可能性がある」と判定する。
すでに説明したとおり、「判定項目1」が「真」の生体音(呼吸器系音)は、“周期性が強い”と考えられ、「判定項目2−A」が「真」の生体音は、“周波数成分分布が正常に近い”と考えられ、「判定項目3−A」が「真」の生体音は、“高周波数帯域において周期性が認められる(または強い)”と考えられる。よって、本実施形態では、正常呼吸音判定部41は、これらがすべて真である生体音は、「真:正常呼吸音である可能性がある」と結論付ける。反対に、「判定項目1」が「偽」の生体音は、“周期性が弱い”と考えられ、「判定項目2−A」が「偽」の生体音は、“周波数成分分布が正常ではない”と考えられ、「判定項目3−A」が「偽」の生体音は、“高周波数帯域において周期性が認められない(または弱い)”と考えられる。よって、本実施形態では、正常呼吸音判定部41は、これらの判定項目のいずれか一つでも偽である生体音は、何らかの異常が認められる可能性があるので、「偽:正常呼吸音でない可能性がある」と結論付ける。
正常呼吸音判定部41が出力した音種別判定結果は、結果出力部23によって、表示部12に表示される。例えば、図29に示すとおり、正常呼吸音判定部41が、真を出力した場合には、結果出力部23は、「正常呼吸音である可能性があります。」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。一方、正常呼吸音判定部41が、偽を出力した場合には、結果出力部23は、「正常呼吸音でない可能性があります。」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。
これにより、聴診器によって採取された生体音情報に対して解析を行った結果(解析結果)を利用者に分かりやすく提示することが可能になる。
(呼吸音減弱判定機能)
図23は、波形特徴判定部30によって出力された波形特徴判定結果を入力として、音種別判定部40の呼吸音減弱判定部42が出力する音種別判定結果の一具体例を示す図である。
音種別判定部40の呼吸音減弱判定部42は、生体音取得部20によって取得された生体音情報に含まれる生体音が、「呼吸音減弱」に分類されるのか否かを判定するものである。より詳細には、本実施形態では、呼吸音減弱判定部42は、生体音が「真:呼吸音減弱である可能性がある」または「偽:呼吸音減弱でない可能性がある」を表す2値の情報を音種別判定結果として出力する。出力された音種別判定結果は、結果出力部23に供給される。
図23に示すとおり、呼吸音減弱判定部42は、真偽を判定するために、「判定項目1」、「判定項目2−A」および「判定項目3−B」の波形特徴判定結果を波形特徴判定部30から取得する。
より詳細には、呼吸音減弱判定部42は、周期性の強弱を表す「判定項目1」の波形特徴判定結果を周期性判定部31から取得する。呼吸音減弱判定部42は、周波数成分分布の正常性を表す「判定項目2−A」の波形特徴判定結果をスペクトラム判定部32から取得する。さらに、呼吸音減弱判定部42は、低周波数帯域において見られた強い周期性が高周波数帯域において弱まるか否かを表す「判定項目3−B」の波形特徴判定結果をスペクトログラム判定部33から取得する。
以上の3つの判定項目について真偽を取得すると、真偽のパターンは、図23に示すとおり、パターン(ア)〜(ク)の8通りとなる。呼吸音減弱判定部42は、8つのパターンごとに、呼吸音減弱についての真偽を判定する。
本実施形態では、呼吸音減弱判定部42は、図23に示すとおり、すべての判定項目が真である、パターン(ア)の場合のみ、「真:呼吸音減弱である可能性がある」と判定する。3つの判定項目のうちの1つでも偽があれば、「偽:呼吸音減弱でない可能性がある」と判定する。ここで、“呼吸音減弱でない”とは、呼吸音が正常であることを示唆する場合もあるし、呼吸音減弱以外の異常があることを示唆する場合もある。
すでに説明したとおり、「判定項目1」が「真」の生体音(呼吸器系音)は、“周期性が強い”と考えられ、「判定項目2−A」が「真」の生体音は、“周波数成分分布が正常に近い”と考えられ、「判定項目3−B」が「真」の生体音は、“低周波数帯域においては周期性が認められるのに、高周波数帯域において周期性が見られなくなっている(弱くなっている)”と考えられる。低周波数帯域においては周期性が認められるのに、高周波数帯域において周期性が認められなくなる(弱くなる)という特徴は、呼吸音減弱の典型的な兆候である。よって、本実施形態では、呼吸音減弱判定部42は、これらがすべて真である生体音は、「真:呼吸音減弱である可能性がある」と結論付ける。
反対に、「判定項目1」が「偽」の生体音は、“周期性が弱い”と考えられ、「判定項目2−A」が「偽」の生体音は、“周波数成分分布が正常ではない”と考えられ、「判定項目3−B」が「偽」の生体音は、“高周波数帯域においても周期性が見られる(強い)”と考えられる。よって、本実施形態では、呼吸音減弱判定部42は、これらの判定項目のいずれか一つでも偽である生体音は、呼吸音減弱の兆候とは異なる特徴が認められるので、「偽:呼吸音減弱でない可能性がある」と結論付ける。なお、呼吸音減弱の兆候とは異なる特徴が認められる原因は、呼吸音がそもそも正常であるか、呼吸音減弱以外の異常があるかのいずれかと考えられる。
呼吸音減弱判定部42が出力した音種別判定結果は、結果出力部23によって、表示部12に表示される。例えば、図29に示すとおり、呼吸音減弱判定部42が、真を出力した場合には、結果出力部23は、「呼吸音減弱である可能性があります。」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。一方、呼吸音減弱判定部42が、偽を出力した場合には、結果出力部23は、「呼吸音減弱でない可能性があります。」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。
これにより、聴診器によって採取された生体音情報に対して解析を行った結果(解析結果)を利用者に分かりやすく提示することが可能になる。
(連続性雑音判定機能)
図24は、波形特徴判定部30によって出力された波形特徴判定結果を入力として、音種別判定部40の連続性雑音判定部43が出力する音種別判定結果の一具体例を示す図である。
音種別判定部40の連続性雑音判定部43は、生体音取得部20によって取得された生体音情報に含まれる生体音が、「連続性雑音」に分類されるのか否かを判定するものである。より詳細には、本実施形態では、連続性雑音判定部43は、生体音が「真:連続性雑音である可能性がある」または「偽:連続性雑音でない可能性がある」を表す2値の情報を音種別判定結果として出力する。出力された音種別判定結果は、結果出力部23に供給される。
図24に示すとおり、連続性雑音判定部43は、真偽を判定するために、「判定項目1’」、「判定項目2−B」および「判定項目4」の波形特徴判定結果を波形特徴判定部30から取得する。
より詳細には、連続性雑音判定部43は、周期性が弱いか否かを表す「判定項目1’」の波形特徴判定結果を周期性判定部31から取得する。連続性雑音判定部43は、周波数成分分布の異常性を表す「判定項目2−B」の波形特徴判定結果をスペクトラム判定部32から取得する。さらに、連続性雑音判定部43は、雑音の連続性が認められるか否かを表す「判定項目4」の波形特徴判定結果を包絡線判定部34から取得する。
以上の3つの判定項目について真偽を取得すると、真偽のパターンは、図24に示すとおり、パターン(ア)〜(ク)の8通りとなる。連続性雑音判定部43は、8つのパターンごとに、連続性雑音についての真偽を判定する。
本実施形態では、連続性雑音判定部43は、図24に示すとおり、すべての判定項目が真である、パターン(ア)の場合のみ、「真:連続性雑音である可能性がある」と判定する。3つの判定項目のうちの1つでも偽があれば、「偽:連続性雑音でない可能性がある」と判定する。ここで、“連続性雑音でない”とは、呼吸音が正常であることを示唆する場合もあるし、連続性雑音以外の異常があることを示唆する場合もある。
すでに説明したとおり、「判定項目1’」が「真」の生体音(呼吸器系音)は、“周期性が弱い”と考えられ、「判定項目2−B」が「真」の生体音は、“周波数成分分布が異常に近い”と考えられ、「判定項目4」が「真」の生体音は、“雑音に連続性がある”と考えられる。雑音に連続性があるという特徴は、連続性雑音の典型的な兆候である。よって、本実施形態では、連続性雑音判定部43は、これらがすべて真である生体音は、「真:連続性雑音である可能性がある」と結論付ける。
反対に、「判定項目1’」が「偽」の生体音は、“周期性が強い”と考えられ、「判定項目2−B」が「偽」の生体音は、“周波数成分分布が異常ではない”と考えられ、「判定項目4」が「偽」の生体音は、“雑音に連続性が認められない”と考えられる。よって、本実施形態では、連続性雑音判定部43は、これらの判定項目のいずれか一つでも偽である生体音は、連続性雑音の兆候とは異なる特徴が認められるので、「偽:連続性雑音でない可能性がある」と結論付ける。なお、連続性雑音の兆候とは異なる特徴が認められる原因は、呼吸音がそもそも正常であるか、連続性雑音以外の異常があるかのいずれかと考えられる。
連続性雑音判定部43が出力した音種別判定結果は、結果出力部23によって、表示部12に表示される。例えば、図29に示すとおり、連続性雑音判定部43が、真を出力した場合には、結果出力部23は、「連続性雑音である可能性があります。」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。一方、連続性雑音判定部43が、偽を出力した場合には、結果出力部23は、「連続性雑音でない可能性があります。」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。
これにより、聴診器によって採取された生体音情報に対して解析を行った結果(解析結果)を利用者に分かりやすく提示することが可能になる。
(断続性雑音判定機能)
図25は、波形特徴判定部30によって出力された波形特徴判定結果を入力として、音種別判定部40の断続性雑音判定部44が出力する音種別判定結果の一具体例を示す図である。
音種別判定部40の断続性雑音判定部44は、生体音取得部20によって取得された生体音情報に含まれる生体音が、「断続性雑音」に分類されるのか否かを判定するものである。より詳細には、本実施形態では、断続性雑音判定部44は、生体音が「真:断続性雑音である可能性がある」または「偽:断続性雑音でない可能性がある」を表す2値の情報を音種別判定結果として出力する。出力された音種別判定結果は、結果出力部23に供給される。
図25に示すとおり、断続性雑音判定部44は、真偽を判定するために、「判定項目1’」、「判定項目2−B」および「判定項目5」の波形特徴判定結果を波形特徴判定部30から取得する。
より詳細には、断続性雑音判定部44は、周期性が弱いか否かを表す「判定項目1’」の波形特徴判定結果を周期性判定部31から取得する。断続性雑音判定部44は、周波数成分分布の異常性を表す「判定項目2−B」の波形特徴判定結果をスペクトラム判定部32から取得する。さらに、断続性雑音判定部44は、断続的な雑音が認められるか否かを表す「判定項目5」の波形特徴判定結果をインパルスノイズ判定部35から取得する。
以上の3つの判定項目について真偽を取得すると、真偽のパターンは、図25に示すとおり、パターン(ア)〜(ク)の8通りとなる。断続性雑音判定部44は、8つのパターンごとに、断続性雑音についての真偽を判定する。
本実施形態では、断続性雑音判定部44は、図25に示すとおり、すべての判定項目が真である、パターン(ア)の場合のみ、「真:断続性雑音である可能性がある」と判定する。3つの判定項目のうちの1つでも偽があれば、「偽:断続性雑音でない可能性がある」と判定する。ここで、“断続性雑音でない”とは、呼吸音が正常であることを示唆する場合もあるし、断続性雑音以外の異常があることを示唆する場合もある。
すでに説明したとおり、「判定項目1’」が「真」の生体音(呼吸器系音)は、“周期性が弱い”と考えられ、「判定項目2−B」が「真」の生体音は、“周波数成分分布が異常に近い”と考えられ、「判定項目5」が「真」の生体音は、“断続的な雑音が多く認められる”と考えられる。断続的な雑音(インパルスノイズ)が多く認められるという特徴は、断続性雑音の典型的な兆候である。よって、本実施形態では、断続性雑音判定部44は、これらがすべて真である生体音は、「真:断続性雑音である可能性がある」と結論付ける。
反対に、「判定項目1’」が「偽」の生体音は、“周期性が強い”と考えられ、「判定項目2−B」が「偽」の生体音は、“周波数成分分布が異常ではない”と考えられ、「判定項目5」が「偽」の生体音は、“インパルスノイズが多数認められない”と考えられる。よって、本実施形態では、断続性雑音判定部44は、これらの判定項目のいずれか一つでも偽である生体音は、断続性雑音の兆候とは異なる特徴が認められるので、「偽:断続性雑音でない可能性がある」と結論付ける。なお、断続性雑音の兆候とは異なる特徴が認められる原因は、呼吸音がそもそも正常であるか、断続性雑音以外の異常があるかのいずれかと考えられる。
断続性雑音判定部44が出力した音種別判定結果は、結果出力部23によって、表示部12に表示される。例えば、図29に示すとおり、断続性雑音判定部44が、真を出力した場合には、結果出力部23は、「断続性雑音である可能性があります。」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。一方、断続性雑音判定部44が、偽を出力した場合には、結果出力部23は、「断続性雑音でない可能性があります。」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。
これにより、聴診器によって採取された生体音情報に対して解析を行った結果(解析結果)を利用者に分かりやすく提示することが可能になる。
本実施形態では、図29では、結果出力部23が、音種別判定部40の各部の音種別判定結果をすべて表示する場合を例に挙げて説明したが、本発明の情報解析装置100の構成はこれに限定されない。例えば、正常呼吸音判定部41によって呼吸音が正常であると分類された場合であって、結果出力部23は、その他の異常音の判定結果がすべて偽(異常音でない)場合には、残りの音種別判定部40の各部の音種別判定結果を割愛して解析結果を表示してもよい。
反対に、正常呼吸音判定部41以外の、複数の異常音判定部(呼吸音減弱判定部42、連続性雑音判定部43、および、断続性雑音判定部44)が、呼吸音を異常と判定する場合が想定される。この場合には、結果出力部23は、正常呼吸音判定部41が呼吸音を正常と判定したか否かに拘らず、それぞれの異常音のときのメッセージ「○○音である可能性があります。」に加えて、「複数の疾患を併発している可能性があります。」という複数の異常用のメッセージを別途表示してもよい。例えば、「呼吸音減弱」であって、かつ、「連続性雑音」である場合には、結果出力部23は、「呼吸音減弱である可能性があります。」というメッセージと、「連続性雑音である可能性があります。」というメッセージとの両方を同時に表示するとともに、さらに、「複数の疾患を併発している可能性があります。」というメッセージを表示することができる。
(異常出現回数判定機能)
また、図29に示すとおり、音種別判定部40の各部は、生体音情報に含まれるすべての音波形の中から、その種別の異常が認められた頻度をカウントして、結果出力部23に出力する構成であってもよい。例えば、連続性雑音判定部43は、40秒間(呼吸の約10周期分)の生体音波形を解析し、図24に示す、判定パターン(ア)に合致する波形がいくつ検出されたのかをカウントすることができる。そして、連続性雑音判定部43は、10周期のうち、連続性雑音が検出された回数を、音種別判定結果とともに、結果出力部23に供給することができる。
次に、異常レベル判定部50の各部について詳細に説明する。本発明の情報解析装置100は、異常レベル判定部50を必ずしも備えていない。しかし、音種別判定部40が生体音を異常な音種別に分類した場合には、その異常の程度(レベル)を判定するための異常レベル判定部50を備えていることが好ましい。
(減弱レベル判定機能)
減弱レベル判定部51は、呼吸音減弱判定部42によって、生体音が「真:呼吸音減弱である可能性がある」と判定された場合に、当該生体音の音波形の減弱のレベルを判定するものである。
図26は、減弱レベル判定部51が参照する減弱レベル判定基準の一例と、減弱レベル判定部51が出力する減弱レベル判定結果の一例とを示す図である。
呼吸音減弱判定部42が「生体音は呼吸音減弱である可能性がある」と判定した場合に、減弱レベル判定部51は、減弱レベル判定を実行する。具体的には、減弱レベル判定部51は、記憶部13に記憶されている、図26に示す減弱レベル判定基準を読み出す。そして、読み出した基準を、時間周波数解析部213から出力された上記生体音のスペクトログラムに適用する。そして、上記音波形が、どの基準に合致するのかに応じて、上記生体音の減弱のレベルを判定する。本実施形態では、一例として、減弱レベル判定部51は、減弱レベル判定結果を、「低」、「中」および「高」の3段階で出力する。
「低」は、減弱の程度が比較的軽い生体音であることを意味し、「高」は、減弱の程度が比較的重い生体音であることを意味し、「中」はその間であることを意味する。高周波帯域の成分がより広い範囲でカットされているほど、減弱の程度は重いと考えることができる。
なお、図26に示す内容は、減弱レベル判定部51の機能を説明するための一例であって、減弱レベル判定部51の構成を限定する意図はない。また、図26に示す、減弱レベル判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、減弱レベル判定部51は、レベル判定結果を、低、中、高の3値ではなく、より詳細に多段階の数値を伴って出力することもできるし、単純に、低(軽症)、高(重症)の2値を出力することもできる。
図26に示すとおり、減弱レベル判定部51は、まず、スペクトログラムにおいて、周期性が認められる(強い)周波数帯域と、周期性が認められない(弱い)周波数帯域との境界の周波数を特定する。減弱レベル判定部51は、スペクトログラム判定部33と同様に、スペクトログラムをスキャンして上記境界を検出してもよいし、スペクトログラム判定部33がすでに上記境界を特定している場合には、その境界の周波数の値をスペクトログラム判定部33から取得してもよい。例えば、図13に示す例では、減弱レベル判定部51は、境界の周波数を、約330Hzであると特定する。
次に、減弱レベル判定部51は、図26に示す減弱レベル判定基準を読み出し、上記境界を持つスペクトログラムがいずれの基準に合致するのかを判定する。図13および図26に示す例にしたがえば、減弱レベル判定部51は、境界(強い周期性が認められた状態から、見られなくなった(周期性が弱まった)ときの周波数)は、300Hz以上400Hz以下の帯域であると判定する。
最後に、減弱レベル判定部51は、その判定結果に該当する減弱レベル「低」を減弱レベル判定結果として、結果出力部23に出力する。
減弱レベル判定部51が出力した減弱レベル判定結果は、結果出力部23によって、表示部12に表示される。例えば、図29のレベル判定結果を表示する領域に、「・減弱レベル: 低」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。
これにより、聴診器によって採取された生体音情報に対して解析を行った結果(解析結果)を利用者に分かりやすく提示することが可能になる。すなわち、生体音が正常な音か、異常な音かの結果を提示するだけでなく、異常な音である場合には、その異常の程度(異常レベル)を利用者に分かりやすく提示することが可能となる。
(連続性レベル判定機能)
連続性レベル判定部52は、連続性雑音判定部43によって、生体音が「真:連続性雑音である可能性がある」と判定された場合に、当該生体音の音波形の連続性のレベルを判定するものである。
図27は、連続性レベル判定部52が参照する連続性レベル判定基準の一例と、連続性レベル判定部52が出力する連続性レベル判定結果の一例とを示す図である。
連続性雑音判定部43が「生体音は連続性雑音である可能性がある」と判定した場合に、連続性レベル判定部52は、連続性レベル判定を実行する。具体的には、連続性レベル判定部52は、記憶部13に記憶されている、図27に示す連続性レベル判定基準を読み出す。そして、読み出した基準を、包絡線検波部214から出力された上記生体音の包絡線に適用する。そして、上記音波形が、どの基準に合致するのかに応じて、上記生体音の連続性のレベルを判定する。本実施形態では、一例として、連続性レベル判定部52は、連続性レベル判定結果を、「低」、「中」および「高」の3段階で出力する。
「低」は、連続性の程度が比較的軽い生体音であることを意味し、「高」は、連続性の程度が比較的重い生体音であることを意味し、「中」はその間であることを意味する。包絡線において振幅値が大きい波形が長く継続しているほど、連続性の程度は重いと考えることができる。
なお、図27に示す内容は、連続性レベル判定部52の機能を説明するための一例であって、連続性レベル判定部52の構成を限定する意図はない。また、図27に示す、連続性レベル判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、連続性レベル判定部52は、レベル判定結果を、低、中、高の3値ではなく、より詳細に多段階の数値を伴って出力することもできるし、単純に、低(軽症)、高(重症)の2値を出力することもできる。
図27に示すとおり、連続性レベル判定部52は、まず、検波された包絡線において、振幅平均値を超える、連続する区間(時間)が、どのくらいの長さかを特定する。連続性レベル判定部52は、包絡線判定部34と同様に、包絡線の振幅平均値を超える区間Zを特定するとともに、その区間Zの時間の長さを特定してもよい。あるいは、包絡線判定部34がすでに上記区間の時間の長さを特定している場合には、それを包絡線判定部34から取得してもよい。例えば、図19の(a)に示す例では、区間Z1の時間の長さを250msと特定する。また、例えば、図19の(b)に示す例のように、振幅平均値Avrを超える区間が、複数ある場合には、連続性レベル判定部52は、各区間2〜4の平均の時間の長さを1つ特定してもよい。あるいは、各区間2〜4の中で一番長い時間を1つ特定してもよい。
次に、連続性レベル判定部52は、図27に示す連続性レベル判定基準を読み出し、特定した上記時間の長さがいずれの基準に合致するのかを判定する。図19の(a)および図27に示す例にしたがえば、連続性レベル判定部52は、先ほど特定した時間の長さは、250msであるので、200ms以上600ms未満に該当すると判定する。
最後に、連続性レベル判定部52は、その判定結果に該当する連続性レベル「低」を連続性レベル判定結果として、結果出力部23に出力する。
連続性レベル判定部52が出力した連続性レベル判定結果は、結果出力部23によって、表示部12に表示される。例えば、図29に示すとおり、レベル判定結果を表示する領域に、「・連続性レベル: 低」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。
これにより、聴診器によって採取された生体音情報に対して解析を行った結果(解析結果)を利用者に分かりやすく提示することが可能になる。すなわち、生体音が正常な音か、異常な音かの結果を提示するだけでなく、異常な音である場合には、その異常の程度(異常レベル)を利用者に分かりやすく提示することが可能となる。
(断続性レベル判定機能)
断続性レベル判定部53は、断続性雑音判定部44によって、生体音が「真:断続性雑音である可能性がある」と判定された場合に、当該生体音の音波形の断続性のレベルを判定するものである。
図28は、断続性レベル判定部53が参照する断続性レベル判定基準の一例と、断続性レベル判定部53が出力する断続性レベル判定結果の一例とを示す図である。
断続性雑音判定部44が「生体音は断続性雑音である可能性がある」と判定した場合に、断続性レベル判定部53は、断続性レベル判定を実行する。具体的には、断続性レベル判定部53は、記憶部13に記憶されている、図28に示す断続性レベル判定基準を読み出す。そして、読み出した基準を、インパルスノイズ検出部215から出力された、上記生体音のインパルスノイズ検出結果に適用する。そして、上記音波形が、どの基準に合致するのかに応じて、上記生体音の断続性のレベルを判定する。本実施形態では、一例として、断続性レベル判定部53は、断続性レベル判定結果を、「低」、「中」および「高」の3段階で出力する。
「低」は、断続性の程度が比較的軽い生体音であることを意味し、「高」は、断続性の程度が比較的重い生体音であることを意味し、「中」はその間であることを意味する。インパルスノイズ検出結果において、インパルスノイズが多く検出されるほど、断続性の程度は重いと考えることができる。
なお、図28に示す内容は、断続性レベル判定部53の機能を説明するための一例であって、断続性レベル判定部53の構成を限定する意図はない。また、図28に示す、断続性レベル判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、断続性レベル判定部53は、レベル判定結果を、低、中、高の3値ではなく、より詳細に多段階の数値を伴って出力することもできるし、単純に、低(軽症)、高(重症)の2値を出力することもできる。
断続性レベル判定部53は、まず、インパルスノイズ検出結果において、インパルスノイズが1周期あたりに何個検出されたのかを特定する。断続性レベル判定部53は、インパルスノイズ判定部35と同様に、インパルスノイズ検出結果から、1周期あたりのインパルスノイズ数を特定してもよい。あるいは、インパルスノイズ判定部35がすでに1周期あたりのインパルスノイズ数を特定している場合には、それをインパルスノイズ判定部35から取得してもよい。
例えば、図20に示す例では、7.5秒〜8秒の0.5秒間にインパルスノイズが5個含まれており、1周期(約5秒とする)に換算すれば、50個のインパルスノイズが検出されることになる。そこで、断続性レベル判定部53は、この生体音の1周期あたりのインパルスノイズ数を50個と特定してもよい。
次に、断続性レベル判定部53は、図28に示す断続性レベル判定基準を読み出し、特定した上記インパルスノイズ数がいずれの基準に合致するのかを判定する。図20および図28に示す例にしたがえば、断続性レベル判定部53は、先ほど特定したインパルスノイズ数は、50個であるので、30個以上に該当すると判定する。
最後に、断続性レベル判定部53は、その判定結果に該当する断続性レベル「高」を断続性レベル判定結果として、結果出力部23に出力する。
断続性レベル判定部53が出力した断続性レベル判定結果は、結果出力部23によって、表示部12に表示される。例えば、図29のレベル判定結果を表示する領域に、「・断続性レベル: 高」などのメッセージを表示部12に表示すればよい。
これにより、聴診器によって採取された生体音情報に対して解析を行った結果(解析結果)を利用者に分かりやすく提示することが可能になる。すなわち、生体音が正常な音か、異常な音かの結果を提示するだけでなく、異常な音である場合には、その異常の程度(異常レベル)を利用者に分かりやすく提示することが可能となる。
〔情報解析処理のフロー〕
図30は、本実施形態における情報解析装置100の情報解析処理の流れを示すフローチャートである。
まず、生体音取得部20は、情報解析処理の対象となる生体音情報を、通信部14を介して電子聴診器3から取得する(S1)。
次に、生体音処理部21は、生体音取得部20によって取得された生体音情報に含まれる音波形を処理して、波形特徴情報を生成する(S2)。
S2において、生体音処理部21が波形特徴情報を生成することには、
自己相関解析部211が、音波形から自己相関関数(波形特徴情報)を導出すること、
フーリエ変換部212が、音波形からスペクトラム(波形特徴情報)を導出すること、
時間周波数解析部213が、音波形からペクトログラム(波形特徴情報)を導出すること、
包絡線検波部214が、音波形の包絡線(波形特徴情報)を検波すること、および、
インパルスノイズ検出部215が、音波形のインパルスノイズを特定して、インパルスノイズ検出結果(波形特徴情報)を出力すること、
などが含まれるが、これに限定されない。また、生体音処理部21は、上述のすべての波形特徴情報を生成する構成であってもよいし、一部を生成する構成であってもよい。
続いて、波形特徴判定部30は、生体音処理部21によって生成された波形特徴情報を解析して、音波形の特徴を判定し、その判定結果を反映した波形特徴判定結果を生成する(S3)。
S3において、波形特徴判定部30が波形特徴判定結果を生成することには、
周期性判定部31が、「判定項目1」または「判定項目1’」を実行して、生体音の周期性に係る特徴を判定すること、
スペクトラム判定部32が、「判定項目2−A」または「判定項目2−B」を実行して、生体音の周波数成分分布に係る特徴を判定すること、
スペクトログラム判定部33が、「判定項目3−A」または「判定項目3−B」を実行して、生体音の時間周波数成分分布における周期性に係る特徴を判定すること、
包絡線判定部34が、「判定項目4」を実行して、生体音に含まれる雑音の連続性に係る特徴を判定すること、および、
インパルスノイズ判定部35が、「判定項目5」を実行して、生体音に含まれる雑音の断続性に係る特徴を判定すること、
などが含まれるが、これに限定されない。また、波形特徴判定部30は、上述のすべての判定項目を実施してもよいし、一部の判定項目を実施してもよい。
例えば、包絡線判定部34によって実行される「判定項目4」の波形特徴判定結果が「真」であるという事実は、連続性雑音判定部43が、対象の呼吸音について「連続性雑音である可能性がある」と判定するに足る十分な根拠となる。
そこで、波形特徴判定部30の包絡線判定部34が、「判定項目4」を実行し、音種別判定部40の連続性雑音判定部43が、「判定項目4」の波形特徴判定結果だけを用いて、連続性雑音である可能性の有無を判定する構成も、本願発明の範疇に入る。
あるいは、例えば、インパルスノイズ判定部35によって実行される「判定項目5」の波形特徴判定結果が「真」であるという事実は、断続性雑音判定部44が、対象の呼吸音について「断続性雑音である可能性がある」と判定するに足る十分な根拠となる。
そこで、波形特徴判定部30のインパルスノイズ判定部35が、「判定項目5」を実行し、音種別判定部40の断続性雑音判定部44が、「判定項目5」の波形特徴判定結果だけを用いて、断続性雑音である可能性の有無を判定する構成も、本願発明の範疇に入る。
続いて、音種別判定部40は、波形特徴判定部30によって生成された波形特徴判定結果に基づいて、音波形の音の種別を判定し、その判定結果を反映した音種別判定結果を生成する(S4)。
S4において、音種別判定部40が音種別判定結果を生成することには、
正常呼吸音判定部41が、上記生体音が「正常呼吸音」である可能性があるか否かを判定すること、
呼吸音減弱判定部42が、上記生体音が「呼吸音減弱」である可能性があるか否かを判定すること、
連続性雑音判定部43が、上記生体音が「連続性雑音」である可能性があるか否かを判定すること、および、
断続性雑音判定部44が、上記生体音が「断続性雑音」である可能性があるか否かを判定すること、
などが含まれるが、これに限定されない。また、音種別判定部40は、上述のすべての音種別に係る判定を実施してもよいし、一部の種別についてのみ判定を実施してもよい。
ここで、生体音解析部22が異常レベル判定部50を備えていない場合、あるいは、音種別判定部40が、生体音の音種別を異常音に分類しなかった場合には(S5において1)、S6が実行され、情報解析装置100が一連の情報解析処理を終了する。すなわち、結果出力部23は、音種別判定部40から出力された音種別判定結果を表示部12に表示する(S6)。
例えば、S6において、結果出力部23は、図29に示すとおり、解析結果を表示するための領域に、音種別判定部40の各部が出力した音種別判定結果を表示する。
なお、音種別判定部40は、異常音(ここでは、呼吸音減弱、連続性雑音、および、断続性雑音)である可能性ありと判定した場合には、その異常音が、上記生体音に出現する頻度をカウントする構成であってもよい。そこで、結果出力部23は、解析結果を表示するための領域に、判定された異常音の出現頻度をさらに表示してもよい。
一方、さらに、生体音解析部22が異常レベル判定部50を備えている場合に、音種別判定部40が、生体音の音種別を異常音に分類した場合には(S5において2)、異常レベル判定部50は、異常レベル判定を実行する。異常レベル判定部50は、当該分類された音種別の異常の程度を判定し、異常レベル判定結果を生成する(S7)。
S7において、異常レベル判定部50が異常レベル判定結果を生成することには、
減弱レベル判定部51が、スペクトログラムに対して減弱レベル判定を行って、減弱レベル判定結果を生成すること、
連続性レベル判定部52が、包絡線に対して連続性レベル判定を行って、連続性レベル判定結果を生成すること、および、
断続性レベル判定部53が、インパルスノイズ検出結果に対して断続性レベル判定を行って、断続性レベル判定結果を生成すること、
などが含まれるが、これに限定されない。また、異常レベル判定部50は、上述のすべての異常音の音種別に係るレベル判定を実施してもよいし、一部の異常音種別についてのみレベル判定を実施してもよい。
最後に、結果出力部23は、音種別判定部40から出力された音種別判定結果、および、異常レベル判定部50から出力された異常レベル判定結果を表示部12に表示する(S8)。例えば、図29に示すとおり、異常音の種別ごとに、異常のレベルを表す「低」、「中」、「高」などの値を、異常レベル判定結果を表示するための領域に表示する。
なお、本実施形態では、正常呼吸音判定部41は、図22に示すとおり、波形特徴判定部30の各部が出力する「判定項目1」、「判定項目2−A」および「判定項目3−A」の波形特徴判定結果に基づいて呼吸音が正常であるか否かを判定する構成について説明した。しかし、本発明の正常呼吸音判定部41の構成はこれに限定されない。
例えば、音種別判定部40の呼吸音減弱判定部42、連続性雑音判定部43および断続性雑音判定部44のそれぞれが、
「呼吸音減弱」である可能性があるか否かを判定すること、
「連続性雑音」である可能性があるか否かを判定すること、および、
「断続性雑音」である可能性があるか否かを判定すること、
を実行し、対象の呼吸音が、いずれの異常音でもないと判定された場合に、正常呼吸音判定部41が、当該呼吸音を正常(の可能性がある)と判定してもよい。
≪実施形態2≫
本発明の情報解析装置に関する他の実施形態について、図31〜図37に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上述の実施形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
上述の実施形態1では、音種別判定部40は、分類したい音種別について、その音種別であるか否かを判定するための判定部をそれぞれ備える構成であった。
しかし、本発明の情報解析装置100の構成は、上記に限定されない。
音種別判定部40は、音種別ごとに判定部を備える代わりに、生体音のあらゆる特徴に基づいて、生体音が最終的に1つの音種別に分類されるように、総合的な判定を実行する総合判定部45を備えていてもよい。
複数の音種別ごとに判定部が設けられる構成では、複数の判定結果間で矛盾が生じる可能性がある。しかしながら、上記構成によれば、生体音は、必ず、1つの音種別に分類される。そのため、より理解しやすい判定結果を利用者に提示することが可能となる。
〔情報解析装置の機能構成〕
図31は、本実施形態における情報解析装置100の要部構成を示す機能ブロック図である。
図31に示す情報解析装置100において、図1に示す情報解析装置100と異なる点は、音種別判定部40が、正常呼吸音判定部41、呼吸音減弱判定部42、連続性雑音判定部43、および、断続性雑音判定部44を備えていない代わりに、総合判定部45を備えている点である。
総合判定部45は、波形特徴判定部30の各部が出力する波形特徴判定結果を総合的に用いて、対象となっている生体音の音種別を特定するものである。
上述した制御部10の各機能ブロック、特に、総合判定部45は、CPU(central processing unit)等が、ROM(read only memory)、NVRAM(non-Volatile random access memory)等で実現された記憶装置(記憶部13)に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現できる。
(総合判定機能)
図32は、本実施形態における総合判定部45が、患者Pから取得された呼吸器系音を所定の音種別に分類する際の種別体系を示す図である。図32に示すとおり、総合判定部45は、本実施形態では、「呼吸器系音」を、『正常呼吸音』、『呼吸音減弱』、『その他の異常音』、『高音性連続性雑音』、『低音性連続性雑音』、『細かい断続性雑音』、『荒い断続性雑音』、および、『その他の雑音』のいずれかの音種別に分類する。そして、特定した音種別を、総合判定結果として結果出力部23に出力する。
総合判定部45は、まず、患者Pから採取された「呼吸器系音」を、「呼吸音」と「雑音」とに分類する。総合判定部45は、この分類を、周期性判定部31によって出力された、図7の「判定項目1−1」および「判定項目1−2」の波形特徴判定結果に基づいて実施する。
総合判定部45は、「呼吸音」を、「呼吸音(正常または減弱)」と「その他の異常音」とに分類する。総合判定部45は、この分類を、スペクトラム判定部32によって出力された、図11の「判定項目2−A」の波形特徴判定結果に基づいて実施する。
総合判定部45は、「呼吸音(正常または減弱)」を、「正常呼吸音」と「呼吸音減弱」とに分類する。総合判定部45は、この分類を、スペクトログラム判定部33によって出力された、図16の「判定項目3−A」の波形特徴判定結果に基づいて実施する。
総合判定部45は、「雑音」を、「連続性雑音」と「連続性雑音以外の雑音」とに分類する。総合判定部45は、この分類を、包絡線判定部34によって出力された、図18の「判定項目4」の波形特徴判定結果に基づいて実施する。
総合判定部45は、「連続性雑音」を、「高音性連続性雑音」と「低音性連続性雑音」とに分類する。総合判定部45は、この分類を、スペクトラム判定部32によって出力された、図11の「判定項目2−B」の波形特徴判定結果に基づいて実施する。
総合判定部45は、「連続性雑音以外の雑音」を、「断続性雑音」と「その他の雑音」とに分類する。総合判定部45は、この分類を、インパルスノイズ判定部35によって出力された、図21の「判定項目5」の波形特徴判定結果に基づいて実施する。
総合判定部45は、「断続性雑音」を、「細かい断続性雑音」と「荒い断続性雑音」とに分類する。総合判定部45は、この分類を、スペクトラム判定部32によって出力された、図11の「判定項目2−B」の波形特徴判定結果に基づいて実施する。
〔情報解析処理のフロー〕
図33Aおよび図33Bは、本実施形態における情報解析装置100の情報解析処理の流れを示すフローチャートである。なお、本実施形態では、図30に示すS1およびS2は、図33AのS101に先行して実行済みであるものとする。
生体音処理部21による生体音の処理が完了すると、周期性判定部31は、「判定項目1−1」を実行する(S101)。すなわち、自己相関関数の波形が、2〜5秒の周期でピークを持つか否かを判定する。また、周期性判定部31は、「判定項目1−2」を実行する(S102)。すなわち、自己相関関数における、包絡線のピーク振幅値の1/4における、当該ピークの幅(期間)が呼吸周期の10%以下であるか否かを判定する。なお、周期性判定部31は、S101およびS102のいずれを先に実行してもよい。
「判定項目1−1」かつ「判定項目1−2」が真、すなわち、生体音の周期性が強ければ(S103においてYES)、総合判定部45は、上記生体音を「呼吸音(雑音なし)」に分類する(S104)。反対に、「判定項目1−1」および「判定項目1−2」の少なくともいずれか一方が偽、すなわち、生体音の周期性が弱ければ(S103においてNO)、総合判定部45は、上記生体音を「雑音(あり)」に分類する(S105)。
続いて、スペクトラム判定部32は、「呼吸音」に分類された上記生体音に対して、「判定項目2−A」を実行する(S106)。すなわち、200Hz以下の周波数成分の和が全体の80%以上を占めるか否かを判定する。
「判定項目2−A」が真、すなわち、生体音の周波数成分分布が正常に近ければ(S107においてYES)、総合判定部45は、上記生体音を「正常呼吸音および呼吸音減弱のいずれか」に分類する(S108)。反対に、「判定項目2−A」が偽、すなわち、生体音の周波数成分分布に異常の兆候があれば(S107においてNO)、総合判定部45は、上記生体音を『その他の異常音』に分類する(S109)。
続いて、スペクトログラム判定部33は、「正常呼吸音および呼吸音減弱のいずれか」に分類された上記生体音に対して、「判定項目3−A」を実行する(S110)。すなわち、400Hz(以上)で、周波数成分の周期性が認められるか否かを判定する。
「判定項目3−A」が真、すなわち、生体音において高周波帯域に呼吸音の周波数成分が認められる場合には(S111においてYES)、総合判定部45は、上記生体音を『正常呼吸音』に分類する(S112)。反対に、「判定項目3−A」が偽、すなわち、生体音の高周波帯域において呼吸音の周波数成分が認められない場合には(S111においてNO)、総合判定部45は、上記生体音を『呼吸音減弱』に分類する(S113)。さらに、生体音解析部22が減弱レベル判定部51を備えている場合には、減弱レベル判定部51が、上記生体音の減弱レベルを判定する(S114)。
一方、総合判定部45が、上記生体音を「雑音(あり)」に分類した場合、図33Bに示すとおり、包絡線判定部34は、「雑音」に分類された上記生体音に対して、「判定項目4」を実行する(S115)。すなわち、包絡線(雑音)に連続性が認められるか否かを判定する。
「判定項目4」が真、すなわち、生体音において雑音に連続性が認められる場合には(S116においてYES)、総合判定部45は、上記生体音を「連続性雑音」に分類する(S117)。
続いて、スペクトラム判定部32は、「連続性雑音」に分類された上記生体音に対して、「判定項目2−B」を実行する(S118)。すなわち、200Hz以上の周波数成分の和が、全体の30%以上を占めるか否かを判定する。
「判定項目2−B」が真、すなわち、高周波帯域の周波数成分が比較的多く認められる場合には(S119においてYES)、総合判定部45は、上記生体音を『高音性連続性雑音』に分類する(S120)。反対に、「判定項目2−B」が偽、すなわち、高周波帯域の周波数成分が多く認められない場合には(S119においてNO)、総合判定部45は、上記生体音を『低音性連続性雑音』に分類する(S121)。さらに、生体音解析部22が連続性レベル判定部52を備えている場合には、連続性レベル判定部52が、上記生体音の連続性レベルを判定する(S122)。
S116において、反対に、「判定項目4」が偽、すなわち、生体音において雑音に連続性が認められない場合には(S116においてNO)、総合判定部45は、上記生体音を「連続性雑音以外の雑音」に分類する(S123)。
続いて、インパルスノイズ判定部35は、「連続性雑音以外の雑音」に分類された上記生体音に対して、「判定項目5」を実行する(S124)。すなわち、インパルスノイズが、1周期の間に、10個以上あるか否かを判定する。
「判定項目5」が真、すなわち、生体音において雑音に断続性が認められる場合には(S125においてYES)、総合判定部45は、上記生体音を「断続性雑音」に分類する(S126)。反対に、「判定項目5」が偽、すなわち、生体音において雑音に断続性が認められない場合には(S125においてNO)、総合判定部45は、上記生体音を『その他の雑音』に分類する(S127)。
続いて、スペクトラム判定部32は、「断続性雑音」に分類された上記生体音に対して、「判定項目2−B」を実行する(S128)。すなわち、200Hz以上の周波数成分の和が、全体の30%以上を占めるか否かを判定する。
「判定項目2−B」が真、すなわち、高周波帯域の周波数成分が比較的多く認められる場合には(S129においてYES)、総合判定部45は、上記生体音を『細かい断続性雑音』に分類する(S130)。反対に、「判定項目2−B」が偽、すなわち、高周波帯域の周波数成分が多く認められない場合には(S129においてNO)、総合判定部45は、上記生体音を『荒い断続性雑音』に分類する(S131)。さらに、生体音解析部22が断続性レベル判定部53を備えている場合には、断続性レベル判定部53が、上記生体音の断続性レベルを判定する(S132)。
最後に、結果出力部23は、図33Aに示すとおり、総合判定部45が出力した、上記生体音を上述のいずれかの音種別に分類した総合判定結果を表示部12に表示する(S133)。さらに、異常レベル判定部50が異常レベル判定結果を出力した場合には、当該異常レベル判定結果を併せて表示部12に表示する。
〔レベル判定処理のフロー〕
次に、図34〜図36を参照しながら、異常レベル判定部50の各部が実行する異常レベル判定処理の流れを説明する。なお、図34〜図36に示す異常レベル判定部50の各部の処理の流れは、実施形態1および実施形態2に共通するものである。
図34は、減弱レベル判定部51が実行する減弱レベル判定処理の流れを示すフローチャートである。
図30のS7または図33AのS114において、減弱レベル判定処理が開始されると、まず、減弱レベル判定部51は、処理対象となっている生体音のスペクトログラムをスキャンして、周期性が強い(認められる)周波数帯域と周期性が弱い(認められない)周波数帯域との境界の周波数を特定する(S201)。そして、例えば、減弱レベル判定部51は、図26に示す減弱レベル判定基準を記憶部13から参照する。
ここで、上記境界の周波数が、300Hz以上400Hz以下に該当する場合には(S202においてYES)、減弱レベル判定部51は、減弱レベルを「低」と判定する(S203)。
一方、上記境界の周波数が、300Hz以上400Hz以下に該当しない場合には(S202においてNO)、減弱レベル判定部51は、さらに、上記境界の周波数が、200Hz以上300Hz未満に該当するか否かを判定する(S204)。そして、上記境界の周波数が、200Hz以上300Hz未満に該当する場合には(S204においてYES)、減弱レベル判定部51は、減弱レベルを「中」と判定する(S205)。
一方、上記境界の周波数が、200Hz以上300Hz未満に該当しない場合には(S204においてNO)、上記境界の周波数は、200Hz未満に該当することになる。この場合、減弱レベル判定部51は、減弱レベルを「高」と判定する(S206)。
減弱レベル判定部51が出力した減弱レベル判定結果は、結果出力部23に出力される。
図35は、連続性レベル判定部52が実行する連続性レベル判定処理の流れを示すフローチャートである。
図30のS7または図33BのS122において、連続性レベル判定処理が開始されると、まず、連続性レベル判定部52は、処理対象となっている生体音波形の包絡線における、振幅平均値を超える連続する時間を特定する(S301)。そして、例えば、連続性レベル判定部52は、図27に示す連続性レベル判定基準を記憶部13から参照する。
ここで、上記連続する時間が、200ms以上600ms未満に該当する場合には(S302においてYES)、連続性レベル判定部52は、連続性レベルを「低」と判定する(S303)。
一方、上記連続する時間が、200ms以上600ms未満に該当しない場合には(S302においてNO)、連続性レベル判定部52は、さらに、上記連続する時間が、600ms以上1000ms未満に該当するか否かを判定する(S304)。そして、上記連続する時間が、600ms以上1000ms未満に該当する場合には(S304においてYES)、連続性レベル判定部52は、連続性レベルを「中」と判定する(S305)。
一方、上記連続する時間が、600ms以上1000ms未満に該当しない場合には(S304においてNO)、上記連続する時間は、1000ms以上に該当することになる。この場合、連続性レベル判定部52は、連続性レベルを「高」と判定する(S306)。
連続性レベル判定部52が出力した連続性レベル判定結果は、結果出力部23に出力される。
なお、図35に示す例では、振幅平均値を超える連続する時間を指標にして、連続性レベルを求める構成について説明したが、連続性レベル判定部52の構成はこれに限定されない。例えば、連続性レベル判定部52は、1周期分あたりの包絡線の振幅平均値を超える合計時間を指標にして、連続性レベルを求める構成であってもよい。
図36は、断続性レベル判定部53が実行する断続性レベル判定処理の流れを示すフローチャートである。
図30のS7または図33BのS132において、断続性レベル判定処理が開始されると、まず、断続性レベル判定部53は、処理対象となっている生体音波形における、1周期あたりのインパルスノイズ数を特定する(S401)。そして、例えば、断続性レベル判定部53は、図28に示す断続性レベル判定基準を記憶部13から参照する。
ここで、上記インパルスノイズ数が、10個以上20個未満に該当する場合には(S402においてYES)、断続性レベル判定部53は、断続性レベルを「低」と判定する(S403)。
一方、上記インパルスノイズ数が、10個以上20個未満に該当しない場合には(S402においてNO)、断続性レベル判定部53は、さらに、上記インパルスノイズ数が、20個以上30個未満に該当するか否かを判定する(S404)。そして、上記インパルスノイズ数が、20個以上30個未満に該当する場合には(S404においてYES)、断続性レベル判定部53は、断続性レベルを「中」と判定する(S405)。
一方、上記インパルスノイズ数が、20個以上30個未満に該当しない場合には(S404においてNO)、上記インパルスノイズ数は、30個以上に該当することになる。この場合、断続性レベル判定部53は、断続性レベルを「高」と判定する(S406)。
断続性レベル判定部53が出力した断続性レベル判定結果は、結果出力部23に出力される。
〔結果出力機能〕
上述したとおり、結果出力部23は、総合判定部45が出力した、上記生体音を上述のいずれかの音種別に分類した総合判定結果を表示部12に表示する。例えば、図37に示すとおり、解析結果を表示する領域に、上記総合判定結果を表示する。図37には、総合判定部45が、生体音を『高音性連続性雑音』に分類したときの総合判定結果の例を示している。さらに、総合判定部45が、上記生体音の波形における異常の出現頻度をカウントしている場合には、結果出力部23は、総合判定部45から取得した出現頻度を併せて表示部12に表示してもよい。
さらに、異常レベル判定部50が異常レベル判定結果を出力した場合には、結果出力部23は、当該異常レベル判定結果を併せて表示部12に表示してもよい。図37に示す例では、生体音は、『高音性連続性雑音』に分類されている。したがって、結果出力部23は、連続性レベル判定部52が判定した連続性レベル判定結果を、レベル判定結果を表示する領域に表示する。
さらに、結果出力部23は、図29および図37に示すとおり「音を再生」ボタンを表示して、解析処理にかけた生体音を再生するための操作者Uからの指示を受け付けてもよい。
例えば、「音を再生」ボタンが操作者Uによってシングルタップされると、結果出力部23は、生体音取得部20が取得した生体音情報を再生し、音声信号を、図示しない音声出力部に出力してもよい。また、例えば、結果出力部23は、「音を再生」ボタンがダブルタップされた場合には、生体音の中の異常が出現する箇所から音が再生されるように上記音声出力部を制御してもよい。
さらに、結果出力部23は、「音と結果を保存」ボタンが操作者Uによってタップされると、上記生体音情報と、上記各判定結果と、必要な患者情報とを紐付けて、記憶部13に格納する。
さらに、結果出力部23は、「音と結果を保存」ボタンがタップされると、判定結果を紐づけた上記生体音情報を、外部装置の図示しないデータベースに保存してもよい。具体的には、結果出力部23は、通信部14を介して、生体音解析部22から受け取った諸々の判定結果を、採取された生体音情報ともに、外部の装置に送信してもよい。例えば、情報解析装置100の通信部14は、通信網5を介して、各判定結果および生体音情報を管理サーバ4に送信することができる。
これにより、管理サーバ4は、自装置の表示部に、図29または図37に示す判定結果を表示して、遠隔地にいる医師Dに、患者Pの生体音の判定結果を提示することが可能となる。また、管理サーバ4は、医師Dの操作にしたがって、医師Dが所望する生体音情報を再生し、医師Dに聞かせることが可能となる。
上記構成および方法によれば、生体音処理部21が、生体音情報を処理して音波形から波形特徴情報を抽出し、波形特徴判定部30が、その波形特徴情報がどのような判定基準に合致するのか(あるいは、合致しないのか)を判定する。総合判定部45は、その波形特徴判定結果に応じて、上記生体音の種別を特定することができる。具体的には、音の医学的特徴に基づいて予め定義された複数種類の種別の中から、可能性の高い1つの種類に上記生体音を分類することができる。
総合判定部45が行った総合判定結果は、解析結果として、表示部12に表示される。
上記判定基準においては、音種別に関わりの深い医学的特徴に基づいて、閾値があらかじめ定義されている。したがって、抽出された波形特徴情報が、上記判定基準に合致するか否かによって、元の生体音情報がどの音種別と相関が高いのか(あるいは、低いのか)を総合判定部45が判断することができる。
これにより、モデルの音波形との直接的な比較を行わずとも、生体音情報の種別を特定することが可能となる。したがって、モデルの音波形データベースの完成度に左右されることなく、客観的な解析を精度良くかつ効率的に行い、解析結果を利用者に提示する情報解析装置を実現することができる。
≪実施形態3≫
本発明の情報解析装置に関する他の実施形態について、図38〜図52に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上述の各実施形態にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を適宜省略する。
〔本実施形態の概要〕
上述の実施形態1および2では、生体音情報に含まれる音波形の全体に対して、波形特徴判定部30(波形特徴判定手段)および音種別判定部40(音種別判定手段)の処理が行われることにより、生体音情報が属する音の種別を判定し、判定された音の種別を表示部12に出力することにより、客観的な解析を精度良くかつ効率的に行い、解析結果を利用者への提示を実現している。
これに対し、本実施形態に係る情報解析装置100は、波形分割部21A(波形分割手段)が、生体音情報に含まれる音波形を、複数の区分に分割し、その区分ごとに、波形特徴判定部30および音種別判定部40の処理が行われる。それゆえ、複数の区分のそれぞれについての音の種別の判定が可能となるので、客観的な解析をより精度良くかつ効率的に行うことができる。
また、本実施形態に係る情報解析装置100では、疾患種別推定部60cは、上記の波形特徴判定部30による区分ごとの音の種別にしたがって、生体音を採取した生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定してもよい。この場合、医療従事者が一般に行う判断を精度良く行うことができる。また、この疾患種別推定結果を表示部12に表示することで、情報解析装置100を利用するユーザに、上記生体が罹っている可能性がある疾患を認識させることができる。
すなわち、本実施の形態に係る情報解析装置100は、波形分割部21Aが生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割し、それぞれの区分についての音の種別の判定を行う点に関し、実施形態1および2の情報解析装置100とは異なる。さらに、それぞれの区分についての音の種別の判定結果に基づいて、当該判定結果の元となった生体音を発した生体の健康状態を出力できる点に関しても、実施形態1および2の情報解析装置100とは異なる。
なお、例えば特許文献2では、複数の呼吸周期のそれぞれについて複数の区分に分割し、複数回のうちのほぼ全ての回の呼吸音の同一区分において異常がみられた場合に、取得した呼吸音には異常があると判定している。すなわち、複数回の呼吸周期のそれぞれの区分に対して異常の有無の判定を行って初めて、取得した呼吸音に異常があると判定できる。
一方、本実施の形態に係る情報解析装置100は、上述したように、1周期の音波形について複数の区分に分割し、それぞれの音の種別を判定している。すなわち、複数回の呼吸周期に対して分割を繰り返さなくても、呼吸音の1周期分に対して複数の区分に分割するだけで、当該区分に含まれる音波形が示す音が異常であるか否か(当該音が「連続性雑音」または「断続性雑音」であるか否か)を判定する。そして、複数の区分のそれぞれについての判定結果に基づいて、呼吸音全体としてどのような異常性を有しているのか(すなわち、当該呼吸音から推定される、生体が罹っている可能性がある疾患がどのようなものであるのか)を推定する。
つまり、情報解析装置100は、1回の呼吸音に対して、少なくとも、音波形の分割処理および音の種別の判定処理を行うだけで、その呼吸音に異常があるか否かを推定することができる。
さらに、本実施形態に係る情報解析装置100では、疾患部位推定部60a(疾患部位推定手段)が、音種別判定部40によって判定された上記区分ごとの音の種別に基づいて、生体音としての呼吸音が採取された生体の疾患部位を推定する。特に、1呼吸周期のうち、「吸気の前半」区分および「呼気の後半」区分の少なくとも一方に雑音が含まれている場合には、気道の分岐が進んでいない箇所を疾患部位と推定し、「吸気の後半」区分および「呼気の前半」区分の少なくとも一方に雑音が含まれている場合に、気道の分岐が進んでいる箇所を疾患部位と推定する。
そして、疾患程度推定部60b(疾患程度推定手段)および疾患種別推定部60c(疾患種別推定手段)は、この推定結果にしたがって、生体が罹っている可能性がある疾患の程度あるいは疾患の種別を推定するといった処理も行ってもよい。この場合、本実施形態の情報解析装置100は、呼吸音が有する呼吸周期における音波形の特徴が、疾患が発生している箇所と関係していることを利用して、疾患の程度あるいは疾患そのものを推定することとなる。
このような、複数の区分に対する疾患部位の推定、および、その疾患部位にしたがった疾患の程度あるいは疾患そのものの推定を行う点においても、実施形態1および2とは異なる。
なお、例えば特許文献2では、上述のように、複数の呼吸周期を利用して呼吸音の異常判定を行っている。しかし、当該文献に記載の技術は、上記のように、呼吸周期における音波形の特徴と疾患が発生している箇所との関係を利用したものではない。すなわち、呼吸周期を複数の区分に分割しているが、その区分ごとに何らの重み付け(例えば、「吸気の後半」に雑音がある場合に、気道の分岐が進んでいない箇所を疾患部位と推定するなどの処理)も行っていない。つまり、特許文献2の技術では、1呼吸周期を分割した区分と疾患が発生している箇所とが関連付けられて処理されないがゆえに、上記のように、「複数回」の呼吸周期を利用して、呼吸音の異常判定を行うことになる。それゆえ、本実施形態の情報解析装置100のように、1呼吸周期の区分に基づく疾患部位の推定などの処理を行うことはできない。
〔情報解析装置の機能構成〕
まず、図38を用いて、本実施の形態に係る情報解析装置100の要部構成の一例について説明する。図38は、本実施の形態に係る情報解析装置100の要部構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、以下では、生体音が、主として呼吸音であるものとして説明するが、これに限らず、例えば心音などであってもよい。
図38に示すように、情報解析装置100の制御部10は、少なくとも、生体音取得部20、生体音処理部21、生体音解析部22および結果出力部23(結果出力手段)を備えている。
(生体音取得部20)
生体音取得部20は、実施形態1で説明したとおり、通信部14が電子聴診器3から受信した患者Pの生体音情報を取得し、下流の各部(生体音処理部21など)に供給するものである。
(生体音処理部21)
生体音処理部21は、生体音取得部20によって取得された生体音情報に含まれる音波形を処理して、音波形が有する波形特徴情報を抽出するものであり、少なくとも、波形分割部21Aおよび呼吸音処理部21Bを備えている。
(波形分割部21A)
波形分割部21Aは、電子聴診器3によって採取された生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割し、当該音波形をどのように分割したかをについての分割処理結果を、波形分割情報として呼吸音処理部21Bに出力する。また、波形分割部21Aは、例えば呼吸音の1周期の開始および終了の位置を把握できるように、少なくとも、上述した自己相関解析部211を備えている。
波形分割情報は、例えば、取得した生体音情報に含まれる音波形について周期性が有り(周期性が強い場合だけでなく、弱い場合を含む)と判定された場合の、呼吸1周期に含まれる複数の区分のそれぞれについての開始時刻および終了時刻を含む情報である。なお、波形分割部21Aによる波形分割処理の具体的な説明は、図43を参照して後述する。
(呼吸音処理部21B)
呼吸音処理部21Bは、波形分割部21Aから出力された波形分割情報にしたがって、区分ごとに波形特徴情報を生成するものであり、例えば、上述したフーリエ変換部212、包絡線検波部214およびインパルスノイズ検出部215を備えている。
そして、生体音処理部21は、呼吸音処理部21Bによって区分ごとに生成された波形特徴情報を、生体音解析部22の波形特徴判定部30に出力する。
なお、フーリエ変換部212、包絡線検波部214およびインパルスノイズ検出部215のそれぞれの実質的な機能については実施形態1で説明したので、ここではその説明を省略する。
(生体音解析部22)
生体音解析部22は、生体音処理部21によって抽出された波形特徴情報に基づいて、その生体音を発した患者の状態を推定するものであり、波形特徴判定部30、音種別判定部40、疾患部位推定部60a、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cを少なくとも備えている。
(波形特徴判定部30)
波形特徴判定部30は、生体音処理部21から出力された波形特徴情報が、波形特徴判定基準に合致するか否かを判定するものであり、この判定によって、複数の区分のそれぞれに含まれる音波形の特徴を特定するものである。換言すれば、波形分割部21Aによって分割された複数の区分のそれぞれに対して、波形特徴判定基準を適用して、当該複数の区分のそれぞれについての音波形の特徴を特定するものである。波形特徴判定部30は、この特定を実現するために、例えば、スペクトラム判定部32、包絡線判定部34およびインパルスノイズ判定部35を備えている。
なお、フーリエ変換部212およびスペクトラム判定部32については、各区分に含まれる音波形が示す音のそれぞれが、「連続性雑音」または「断続性雑音」を判定するのに、必ずしも必要ではない。すなわち、上記音のそれぞれが、「連続性雑音」であるか否かを判定するためには、少なくとも、包絡線検波部214および包絡線判定部34を備えていればよい。また、上記音のそれぞれが、「断続性雑音」であるか否かを判定するためには、少なくとも、インパルスノイズ検出部215およびインパルスノイズ判定部35を備えていればよい。
また、波形特徴判定部30のスペクトラム判定部32、包絡線判定部34およびインパルスノイズ判定部35についても説明を省略する。ただし、包絡線判定部34およびインパルスノイズ判定部35のそれぞれが参照する波形特徴判定基準は、実施形態1で参照される波形判定基準と異なる。これらの波形特徴判定基準については、図40および図41を参照して後述する。
(音種別判定部40)
音種別判定部40は、波形特徴判定部30が出力する波形特徴判定結果に応じて、生体音情報に含まれる音波形が示す音の種別を、上記区分ごとに判定するものである。換言すれば、音種別判定部40は、波形特徴判定部30によって特定された、区分ごとの音波形の特徴に基づいて、生体音情報が属する音の種別を、当該区分ごとに判定するものである。そして、音種別判定部40は、区分ごとに音の種別を判定した結果である音種別判定結果を、疾患部位推定部60a、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cに出力する。
一般に、生体から採取した生体音(呼吸音)に、生体が発する呼吸音に断続する雑音が含まれていることを示す「連続性雑音」、および、生体が発する呼吸音に断続する雑音が含まれていることを示す「断続性雑音」が含まれている場合、当該生体の肺の内部(気道あるいは気管)に疾患がある可能性が高いと考えられる。そして、これらの雑音が、呼吸周期のいずれかの箇所で鳴っているのか、すなわち、気道の分岐が進んでいない箇所で鳴っているのか、気道の分岐が進んだ箇所で鳴っているのかまで判別(疾患部位を判別)することができれば、疾患の程度推定、あるいは「連続性雑音」または「断続性雑音」のそれぞれに特有の疾患について、詳細に推定することができる。
また、連続性雑音判定部43および断続性雑音判定部44によって、どの区分に雑音が含まれるのか否かを判定できれば、疾患部位推定部60aによって疾患部位を推定することができ、これにより疾患程度推定部60bによって疾患の程度(疾患の重症度、進行具合)を推定することができる。また、上記の疾患部位の推定により、疾患種別推定部60cによって疾患の種別を推定することができる。
これらの処理の詳細については、例えば図45、図46、図50および図51などを参照して後述する。
上記から、本実施の形態では、音種別判定部40は、採取した生体音(呼吸音)の区分ごとに、音の種別として、「連続性雑音」および「断続性雑音」の少なくともいずれか1つに分類できればよい。すなわち、音種別判定部40は、少なくとも、連続性雑音判定部43および断続性雑音判定部44のいずれかを備えていればよい。連続性雑音判定部43および断続性雑音判定部44によって、区分ごとに含まれる音波形が示す音が、さらにはどの区分の当該音が、上記のいずれかの雑音であるか否かが判定できれば、上記の推定を行うことができる。
なお、上記では、音種別判定部40は、音種別判定結果を、疾患部位推定部60a、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cの全てに出力しているが、これに限らず、これらの部材のいずれかの推定だけが行われる場合には、その部材のみに出力してもよい。また、疾患部位推定部60aによって推定された疾患部位にしたがって、疾患の程度および疾患の種別の推定が行われる場合には、疾患部位推定部60aにのみ、音種別判定結果を出力してもよい。
なお、連続性雑音判定部43および断続性雑音判定部44の実質的な機能は実施形態1で説明したので、その説明は省略する。
(疾患部位推定部60a)
疾患部位推定部60aは、音種別判定部40から出力された音種別判定結果にしたがって、当該判定結果の元となる生体音を提供した生体が罹っている可能性がある疾患の部位を推定する。換言すれば、疾患部位推定部60aは、音種別判定部40によって判定された、上記区分ごとの音の種別に基づいて、呼吸音が採取された生体(電子聴診器3が生体音情報に含まれる生体音を採取した生体)の疾患部位を推定するものである。これにより、呼吸音が有する呼吸周期を利用して、疾患部位を推定することができる。また、生体のどの箇所において疾患が発生しているのかを推定することができる。
そして、疾患部位推定部60aは、疾患部位を推定した結果である疾患部位推定結果を、結果出力部23に出力する。これにより、情報解析装置100を利用する医療従事者などに、疾患が発生している箇所を知らせることができる。
なお、推定された疾患部位にしたがって、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cによる推定が行われてもよく、その場合には、疾患部位推定結果を、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cにも出力する。また、推定された疾患部位にしたがって、いずれかの推定のみが行われる場合には、その推定を行う方の部材のみ(疾患程度推定部60bまたは疾患種別推定部60c)に出力してもよい。
また、具体的には、疾患部位推定部60aは、複数の区分のうち、後述する「吸気の後半」区分および「呼気の後半」区分の少なくとも一方に雑音が含まれていると判定した場合には、気道の分岐が進んでいない箇所を疾患部位と推定し、「吸気の後半」区分および「呼気の前半」区分の少なくとも一方に雑音が含まれていると判定した場合に、気道の分岐が進んでいる箇所を疾患部位と推定する。これにより、呼吸音が有する呼吸周期のいずれの区分に雑音が含まれているかによって、気道の分岐が進んでいない箇所に疾患が発生しているか、気道の分岐が進んでいる箇所に疾患が発生しているかを、確実に推定することができる。
(疾患程度推定部60b)
疾患程度推定部60bは、音種別判定部40から出力された音種別判定結果、あるいは疾患程度推定部60bから出力された疾患部位推定結果にしたがって、生体が罹っている可能性がある疾患の程度を推定する。これにより、医療従事者が一般に行う疾患の程度の判断と同様の結果を、情報解析装置100を利用するユーザに提供することを可能とする。当該ユーザは、当該情報解析装置100による疾患の程度に基づいて、生体の健康状態を精度良く把握することができる。
そして、疾患程度推定部60bは、疾患の程度を推定した結果である疾患程度推定結果を、結果出力部23に出力する。これにより、情報解析装置100を利用するユーザに、疾患の程度を知らせることができるので、当該ユーザが医療従事者でない者であっても(すなわち、医療に関する知識の有無に関わらず)、上記生体の健康状態を把握することができる。
なお、疾患程度推定部60bによって推定された疾患の程度にしたがって、疾患の種別の推定が行われる場合には、疾患程度推定結果を、疾患種別推定部60cにも出力してもよい。
さらに、疾患程度推定部60bは、疾患部位推定部60aから出力された疾患部位推定結果にしたがって、上記生体が罹っている可能性がある疾患の程度を推定してもよい。
(疾患種別推定部60c)
疾患種別推定部60cは、音種別判定部40から出力された音種別判定結果にしたがって、当該判定結果の元となる生体音を提供した生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定する。換言すれば、疾患種別推定部60cは、音種別判定部40によって推定された、上記区分ごとの音の種別にしたがって、呼吸音が採取された生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定するものである。これにより、医療従事者が一般に行う判断を情報解析装置100において精度良く行うことができる。
そして、疾患種別推定部60cは、疾患の種別を推定した結果である疾患種別推定結果を、結果出力部23に出力する。これにより、情報解析装置100を利用するユーザは、当該ユーザが医療従事者でない者であっても、生体の健康状態を精度良く把握することができる。
また、疾患種別推定部60cは、疾患部位推定部60aから出力された疾患部位推定結果にしたがって、上記生体が罹っている上記生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定してもよい。
(結果出力部23)
結果出力部23は、疾患部位推定部60a、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cの少なくともいずれかから出力された推定結果を、生体音情報を解析した解析結果として、表示部12に出力するものである。これにより、上述のように、これらの部材によって推定された疾患部位、疾患の程度および疾患の種別の少なくともいずれかを、情報解析装置100を利用するユーザに認識させることができる。
(その他)
なお、音種別判定部40は、「連続性雑音」および「断続性雑音」のいずれか一方だけの音種別判定結果を出力してもよく、この場合、当該雑音のいずれかについてのみ、複数の区分のそれぞれについての音の種別を判定する。すなわち、「連続性雑音」だけを判定する場合には、少なくとも、包絡線検波部214、包絡線判定部34および連続性雑音判定部43を備えていればよい。一方、「断続性雑音」だけを判定する場合には、少なくとも、インパルスノイズ検出部215、インパルスノイズ判定部35および断続性雑音判定部44を備えていればよい。この場合、疾患種別推定部60cによる疾患の種別推定は、「連続性雑音」に特有の疾患、または「断続性雑音」に特有の疾患についてのみ行われることとなる。一方、疾患部位推定部60aおよび疾患程度推定部60bは、「連続性雑音」および「断続性雑音」のいずれか一方だけを音種別判定結果として受信した場合であっても、上述した疾患部位の推定、および疾患の程度の推定を行うことができる。
また、複数の区分ごとについての音の種別が表示部12に出力されてもよく、この場合、疾患種別推定部60cを備えていなくてもよい。疾患種別推定部60cを備えていなくても、少なくとも、複数の区分のいずれで、「連続性雑音」または「断続性雑音」が見られるのかを、情報解析装置100を利用するユーザに認識させることができる。これは、情報解析装置100の処理負担を低減できるとともに、当該情報だけあれば、情報解析装置100を利用するユーザが、医療従事者や医療に関する知識をある程度有する者であれば、疾患の種別を判断することができる。
〔情報解析処理のフロー(音波形から疾患種別推定を行う場合の処理)〕
次に、図39を用いて、情報解析装置100における処理の流れの一例について説明する。図39は、情報解析装置100による情報解析処理の流れの一例を示すフローチャートである。この処理では、音種別判定部40から出力された音種別判定結果にしたがって、疾患種別推定部60cによって上記生体が罹っている可能性がある疾患の種別が推定される。
具体的には、図39に示すように、生体音取得部20は、情報解析処理の対象となる生体音情報を、通信部14を介して電子聴診器3から取得する(S501)。
次に、波形分割部21Aは、生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割し、その結果を示す波形分割情報を、呼吸音処理部21Bに出力する(S502)。S502での具体的な処理については、図43を参照して後述する。
次に、呼吸音処理部21Bは、ここでは、S502にて分割された区分のそれぞれについて、包絡線検波部214およびインパルスノイズ判定部35が、それぞれの処理を行う。そして、以下に示すように、包絡線およびインパルスノイズに係る処理が、それぞれ並列して行われた後(S503〜S508)、各区分それぞれについての音種別の判定(S509)、当該音種別の判定に基づく疾患種別の推定(S510)が行われる。
なお、図39に示す処理では、疾患種別の推定まで行っているが、各区分それぞれについての音の種別だけを結果出力部23に出力するのであれば、疾患種別推定部60c(加えて、疾患部位推定部60aおよび疾患程度推定部60b)は必ずしも必要な構成ではない。また、S503〜S508の処理に関し、上述のように、包絡線およびインパルスノイズに係る処理のいずれかのみが行われてもよく、また、両方の処理が行われる場合には、並列処理でなくても、いずれか一方の処理(例えば包絡線に係る処理)後に、もう一方の処理(例えばインパルスノイズに係る処理)を行う構成であってもよい。
(包絡線に係る処理から疾患種別の推定までの処理)
まず、包絡線に係る処理を行った後に、音種別の判定および疾患種別の推定が行われる場合について説明する。
包絡線検波部214が、まず、上記分割された区分のうちの最初の区分について、生体音情報に含まれる音波形の包絡線を検波する(S503)。包絡線判定部34は、包絡線検波部214から出力される波形特徴情報に基づいて、当該区分の音波形の包絡線を分析して、波形特徴判定基準を適用し、音波形の特徴を判定する(S504)。
そして、上記区分についての判定が全ての区分について終了したか否かを判定し(S505)、終了していないと判定した場合には(S505でNO)、次の区分の包絡線検波を行うことを示す処理開始指示を、包絡線検波部214に出力する。これを受けて、包絡線検波部214は、次の区分の包絡線の検波を行う。そして、全ての区分の判定が終了するまで、S503およびS504の処理が繰り返される。
一方、包絡線判定部34が全ての区分の判定が終了したと判定した場合には(S505でYES)、各区分それぞれの波形特徴判定結果を、音種別判定部40の連続性雑音判定部43に出力する。
上記の包絡線に係る判定が完了すると、音種別判定部40による、各区分それぞれに含まれる音波形が示す音の種別判定が行われる(S509)。包絡線に係る処理においては、その処理が完了した後、音種別判定部40の連続性雑音判定部43は、包絡線判定部34から出力された各区分それぞれの波形特徴判定結果にしたがって、各区分それぞれについての「連続性雑音」の有無を判定し、その結果を音種別判定結果として、疾患種別推定部60cに出力する。
ここで、図40を用いて、包絡線判定部34が参照する波形特徴判定基準と、包絡線判定部34が出力する波形特徴判定結果と、当該波形特徴判定結果を入力として、連続性雑音判定部43が出力する音種別判定結果の一具体例について説明する。図40は、当該波形特徴判定基準、波形特徴判定結果および音種別判定結果の一具体例を示す図である。
図40に示す内容は、包絡線判定部34の機能を説明するための一例であって、包絡線判定部34の構成を限定する意図はない。また、図40に示す、波形特徴判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、包絡線判定部34は、波形特徴判定結果を真偽の2値ではなく、より詳細な内容を伴って出力することもできる。
本実施形態では、包絡線判定部34は、各区分に含まれる音波形に対して、図40に示す波形特徴判定基準にしたがって「判定項目12」を実行し、波形特徴判定結果を出力する。「判定項目12」では、包絡線判定部34は、包絡線検波部214から出力された波形特徴情報としての包絡線の振幅平均値を超える、連続する時間が200ms以上あるか否かを判定する。そして、包絡線判定部34は、上記判定項目について、波形特徴判定結果として、真または偽の2値を出力する。
音種別判定部40は、波形特徴判定結果が「真」の場合には、包絡線に対して上記判定が実行された1区分の音波形が示す音について、雑音の連続性が高いと判定する。すなわち、この場合には、音種別判定部40は、「真:連続性雑音である可能性がある」を音種別判定結果として出力する。一方、波形特徴判定結果が「偽」の場合には、当該1区分の音波形が示す音について、雑音の連続性が低いと判定する。すなわち、この場合には、音種別判定部40は、「偽:連続性雑音でない可能性がある」を音種別判定結果として出力する。
そして、疾患種別推定部60cは、S509において判定された、呼吸1周期分の音種別判定結果(各区分それぞれの「連続性雑音」の有無の結果)にしたがって、当該処理の元となった生体音を提供した生体が罹っている可能性がある疾患の判定を行う(S510)。その判定結果は、結果出力部23の制御により、表示部12に表示される(S511)。
なお、連続性雑音判定部43は、図40に示す波形特徴判定基準にしたがって判定された波形特徴判定結果にしたがって、「連続性雑音」の有無を判定しているが、これに限られたものではない。
例えば、連続性雑音判定部43は、包絡線検波部214が検波した検波結果(波形特徴情報)に基づいて、区分ごとの包絡線の極大値および振幅密度(振幅値×各区分の長さ(時間))を、それぞれ設定された所定の閾値と比較する。この所定の閾値は、記憶部13に格納されており、医療従事者が一般に判断する「連続性雑音」が判定できる程度に設定されていればよい。そして、連続性雑音判定部43は、包絡線の極大値および振幅密度がともに所定の閾値を超えたと判定した音波形を有する区分について、その音波形が示す音を「連続性雑音」と判定してもよい。
例えば、図45に示す音波形の場合、包絡線の極大値が大きい箇所は、「吸気の前半」区分81Aの前半、「吸気の後半」区分82Aの前半、「呼気の前半」区分82Aの前半に存在する。また、4つの区分のうち、「呼気の前半」区分82Aの振幅密度が最も大きい。連続性雑音判定部43は、これらの極大値および振幅密度が、それぞれ所定の閾値よりも大きいと判定した場合、「呼気の前半」区分82Aに「連続性雑音」がある可能性が高いと判定する。
(インパルスノイズに係る処理から疾患種別の推定までの処理)
次に、インパルスノイズに係る処理を行った後に、音種別の判定および疾患種別の推定が行われる場合について説明する。
インパルスノイズ検出部215が、まず、上記分割された区分のうちの最初の区分について、生体音情報に含まれる音波形のインパルスノイズを検出する(S506)。インパルスノイズ判定部35は、インパルスノイズ検出部215から出力される波形特徴情報(インパルスノイズ結果)に対して波形特徴判定基準を適用し、音波形の特徴を判定する(S507)。そして、上記区分についての判定が全ての区分について終了したか否かを判定し(S508)、終了していなければ(S508でNO)、次の区分のインパルスノイズ検出を行うことを示す処理開始指示を、インパルスノイズ検出部215に出力する。これを受けて、インパルスノイズ検出部215は、次の区分のインパルスノイズの検出を行う。そして、全ての区分の判定が終了するまで、S506およびS507の処理が繰り返される。
一方、インパルスノイズ判定部35が全ての区分の判定が終了したと判定した場合には(S508でYES)、各区分それぞれについての波形特徴判定結果を、音種別判定部40の断続性雑音判定部44に出力する。
なお、S505およびS508における終了可否の判定は、例えば、波形分割部21Aから出力された波形分割情報に含まれる時刻のうち、最も遅い終了時刻を含む区分を判定したか否かによって行われる。
上記のインパルスノイズに係る判定が完了すると、音種別判定部40による、各区分それぞれに含まれる音波形が示す音の種別判定が行われる(S509)。インパルスノイズに係る処理においては、その処理が完了した後、音種別判定部40の断続性雑音判定部44は、インパルスノイズ判定部35から出力された各区分それぞれについての波形特徴判定結果にしたがって、各区分それぞれについての「断続性雑音」の有無を判定し、その結果を音種別判定結果として、疾患種別推定部60cに出力する。
ここで、図41を用いて、インパルスノイズ判定部35が参照する波形特徴判定基準と、インパルスノイズ判定部35が出力する波形特徴判定結果と、当該波形特徴判定結果を入力として、断続性雑音判定部44が出力する音種別判定結果の一具体例について説明する。図41は、当該波形特徴判定基準、波形特徴判定結果および音種別判定結果の一具体例を示す図である。
図41に示す内容は、インパルスノイズ判定部35の機能を説明するための一例であって、インパルスノイズ判定部35の構成を限定する意図はない。また、図41に示す、波形特徴判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、インパルスノイズ判定部35は、波形特徴判定結果を真偽の2値ではなく、より詳細な内容を伴って出力することもできる。
本実施形態では、インパルスノイズ判定部35は、各区分に含まれる音波形に対して、図41に示す波形特徴判定基準にしたがって「判定項目13」を実行し、波形特徴判定結果を出力する。「判定項目13」では、インパルスノイズ判定部35は、インパルスノイズ検出部215から出力された波形特徴情報としてのインパルスノイズ検出結果から、音波形に含まれるインパルスノイズの数が、1区分あたりに3個以上存在したか否かを判定する。そして、インパルスノイズ判定部35は、1区分あたりのインパルスノイズ数が3個以上ある場合に真、3個未満である場合に偽を、波形特徴判定結果として、音種別判定部40に対して出力する。
音種別判定部40は、波形特徴判定結果が「真」の場合には、当該1区分の音波形が示す音について、雑音の断続性が高いと判定する。すなわち、この場合には、音種別判定部40は、「真:断続性雑音である可能性がある」を音種別判定結果として出力する。一方、一方、波形特徴判定結果が「偽」の場合には、当該1区分の音波形が示す音について、雑音の断続性が低いと判定する。すなわち、音種別判定部40は、この場合には、「偽:断続性雑音でない可能性がある」を音種別判定結果として出力する。
そして、疾患種別推定部60cは、S509において判定された、呼吸1周期分の音種別判定結果(各区分それぞれの「断続性雑音」の有無の結果)にしたがって、当該処理の元となった生体音を提供した生体が罹っている可能性がある疾患の推定を行う(S510)。その推定結果は、結果出力部23を介して、表示部12に表示される(S511)。
以上の処理により、モデルの音波形データベースの完成度に左右されることなく、複数の区分のそれぞれに含まれる音波形の客観的な解析を、精度良くかつ効率的に行うことができる。また、客観的に解析された各区分の音波形に基づいて、生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定するので、医師が一般に行う判断を、情報解析装置100において精度良く行うことができる。さらに、その疾患推定の結果が表示部12に表示されるので、情報解析装置100を利用するユーザは、一目でその結果を把握することができる。
〔情報解析処理のフロー(疾患部位から疾患の程度推定を行う場合の処理)〕
次に、図42を用いて、情報解析装置100における処理の流れの別例について説明する。図42は、情報解析装置100による情報解析処理の流れの別例を示すフローチャートである。この処理では、音種別判定部40から出力された音種別判定結果にしたがって、疾患種別推定部60cによって、上記生体の疾患が発生している箇所を示す疾患部位が推定される。なお、図42のS501〜S509については、図39にて説明したので、ここではその説明を省略する。
図42に示す処理では、音種別判定部40が、各区分それぞれについての音種別の判定を行うと(S509)、その音種別判定結果を疾患部位推定部60aに出力する。疾患部位推定部60aは、その音種別判定結果に示される、1呼吸周期全体の音の種別に基づいて、疾患部位の推定を行い、その推定結果である疾患部位推定結果を、疾患程度推定部60bに出力する(S701)。疾患程度推定部60bは、その疾患部位推定結果に基づいて、疾患の程度を推定し、その推定結果である疾患程度推定結果を、結果出力部23に出力する(S702)。そして、結果出力部23が、その推定結果(すなわち、上記生体において発生している疾患の進行具合)を表示部12に表示させる(S703)。
以上の処理により、図39に示す処理と同様、複数の区分のそれぞれに含まれる音波形の客観的な解析を、精度良くかつ効率的に行うことができる。また、情報解析装置100を利用するユーザは、当該情報解析装置100による疾患の程度に基づいて、生体の健康状態を精度良く把握することができる。
なお、S701の処理において、疾患部位推定部60aが疾患種別推定部60cに疾患部位推定結果を出力し、疾患種別推定部60cは、その結果にしたがった疾患種別推定結果を結果出力部23に出力してもよい。この場合、表示部12には、当該疾患種別推定結果の表示が行われる。また、S702の処理後に、疾患種別推定部60cが、疾患程度推定部60bから出力された疾患程度推定結果にしたがった疾患種別推定結果を結果出力部23に出力し、その結果が表示部12に表示されてもよい。
(波形分割部21Aの処理)
次に、図43〜図46を用いて、波形分割部21Aの処理について説明する。図42は、波形分割部21Aによる波形分割処理の流れを示すフローチャートである。すなわち、図39および図42のS502における具体的な処理について説明する。ここでは、特に、呼吸音を4区分に分割する場合、より詳細には、吸気・呼気をそれぞれ2分割にする場合について説明する。
図43に示すように、波形分割部21Aは、生体音取得部20から生体音情報を取得すると、自己相関解析部211に、当該生体音情報に含まれる音波形を解析して、自己相関関数を導出させる(S601)。次に、波形分割部21Aは、自己相関解析部211によって導出された自己相関関数が、周期性有無判定基準に合致するか否かを判定する(S602)。この判定処理は、実施形態1で説明した周期性判定部31と同様の処理であるが、当該周期性判定部31が使用している波形特徴判定基準の代わりに、図43に示す周期性有無判定基準が使用される。
図43は、波形分割部21Aが参照する周期性有無判定基準の一例と、波形分割部21Aが出力する周期性有無判定結果の一例とを示す図である。
図43に示す内容は、波形分割部21Aの機能を説明するための一例であって、波形分割部21Aの構成を限定する意図はない。また、図43に示す、周期性有無判定基準において定義された閾値(“**_”および“_**”ではさまれた値)は、情報解析装置100の利用者(操作者Uなど)が任意に変更し、設定できる構成であってもよい。また、波形分割部21Aは、周期性有無判定結果を真偽の2値ではなく、より詳細な内容を伴って出力することもできる。
本実施形態では、波形分割部21Aは、生体音取得部20から取得した生体音に対して、図43に示す周期性有無判定基準にしたがって、「判定項目11」を実行し、周波数有無判定結果を出力する。波形分割部21Aは、まず、「判定項目11」における「判定項目11−1」を実行する。すなわち、自己相関関数の波形が、2〜5秒の間隔でピークを持つか否かを判定する。波形分割部21Aは、2〜5秒ごとにピークが検出されれば真、ピークが検出されなければ偽を返す。
次に、波形分割部21Aは、「判定項目11−2」を実行する。すなわち、自己相関関数の包絡線における、ピーク振幅値(縦軸)の1/4の振幅値にて、当該ピークの幅(横軸;時間)が呼吸周期の50%以下であるか否かを判定する。波形分割部21Aは、ピーク幅が50%以下である場合(弱い周期性も含めて、周期性が有る場合)に真、ピーク幅が50%より大きい場合(弱い周期性も無い場合)に偽を返す。
そして、波形分割部21Aは、「判定項目11−1」および「判定項目11−2」の少なくとも一方が偽のとき、「判定項目11」を「真(すなわち、“周期性なし”の疑いあり)」と判定する。一方、それ以外、つまり、「判定項目11−1」および「判定項目11−2」の両方が真のとき、「偽(疑いなし、周期性あり)」と判定する。
なお、本実施形態では、「判定項目11−2」において、ピーク幅の閾値を50%とし、実施形態1の10%(図7参照)よりも広い値をとっている。これは、「連続性雑音」および「断続性雑音」を判定する生体音(呼吸音)であっても、正常呼吸音ほど強い周期性は認められないが、弱い周期性を有しており、それらの雑音を含む呼吸音の全てを、本実施形態の音種別の判定対象(あるいは、疾患部位などの推定対象)としたいためである。
S602の判定において、波形分割部21Aは、「偽(周期性あり)」と判定した場合、すなわち、自己相関関数が周期性有無判定基準に合致したと判定した場合(S602でYES)、音波形に含まれる呼吸1周期分を特定する(S603)。一方、「真(周期性なし)」と判定した場合、すなわち、自己相関関数が周期性有無判定基準に合致しなかったと判定した場合(S602でNO)、本実施形態の音種別の判定対象および疾患部位などの推定対象ではないとして、波形分割処理を終了する。
例えば、その特定される1周期とは、図45に示す例で言えば、同図の「呼吸周期」に該当する部分である。波形分割部21Aは、この呼吸周期の開始時刻(同図では約5.6秒)と終了時刻(同図では約8秒)との間を1周期と特定する。
次に、波形分割部21Aは、S603で特定された1周期のうち、所定値よりも小さい振幅値が連続する期間を特定し、吸気に該当する音波形の区分である「吸気」区分と、呼気に該当する音波形の区分である「呼気」区分とを決定する(S604)。図45に示すように、呼吸音の正常・異常を問わず、「吸気」区分81と「呼気」区分82との間では、所定時間、その振幅値が小さくなる。波形分割部21Aは、「吸気」区分81と「呼気」区分82との間で所定時間だけ振幅値が小さくなることを利用して、当該「吸気」区分と「呼気」区分とを決定する。
一般に、吸気と呼気との境界は、その1周期の中央付近に存在する。それゆえ、波形分割部21Aは、1周期の中心時刻を中心として、例えば1周期の50%分の振幅値の大きさを調べるようにしてもよい。図45に示す音波形の場合、波形分割部21Aは、1周期(約5.6〜8秒の間)の中心時刻である約6.8秒を中心として、1周期の50%分の範囲、すなわち約6.1〜7.4秒の間の振幅の大きさを調べることになる。
波形分割部21Aは、1周期分の音波形を抽出し、上記振幅を調べる対象の区間の開始位置(図44の音波形の場合、約6.1秒の位置)から、所定値よりも振幅値が小さくなる時刻を探していく。そして、所定値よりも小さい振幅値が存在した時刻から、所定時間、当該所定値よりも小さい振幅値が連続しているか否かを判定する。
波形分割部21Aは、所定時間、当該振幅値が連続していなければ、所定値以上と判定した振幅値の時刻から、再度、所定値よりも小さくなる時刻を探していく。一方、所定時間、当該振幅値が連続していれば、その所定時間を満たした期間に吸気と呼気との境界が存在すると判定し、当該期間の中心時刻を当該境目と判定する。そして、その1周期の開始位置から当該境目の位置までを「吸気」区分、当該境目の位置から1周期の終了位置までを「呼気」区分と決定する。
なお、上記所定値、および所定時間は、吸気および呼気の境界を明確に判定できるように設定されていればよく、例えば、所定値0.4、所定期間0.15秒と設定されている。また、吸気および呼気の境界を判定する方法は、この方法に限られない。
一般に、呼吸をすると、横隔膜が下がり、胸部から腹部辺りまでが膨張・収縮する。つまり、肺は、呼気の期間には空気がはき出されることで収縮し、吸気の期間には空気が吸い込まれることで膨張する。したがって、被験者の呼吸に伴う体動は、呼吸によって肺が膨張・収縮を繰り返すことによって規則的な動きを示す。
そこで、加速度センサ(不図示)によって、生体の呼吸に伴う体動を検知し、検知した体動を体動情報として電気信号に変換する。このとき、電気信号にも規則的に呼気・吸気を示す特徴が現れることから、波形分割部21Aが、その規則的な特徴に基づいて、生体の呼気および吸気の期間を判定することも可能である。
図45の音波形の場合、波形分割部21Aは、約6.5〜6.7秒の間に、連続的に音波形の振幅値が小さい期間が存在すると判定し、この期間の中心時刻(約6.6秒)を呼気および吸気の境目と判定し、「吸気」区分81および「呼気」区分82を決定する。
次に、波形分割部21Aは、「吸気」区分および「呼気」区分のそれぞれを2分割にして、吸気の前半部分である「吸気の前半」区分、吸気の後半部分である「吸気の後半」区分、呼気の前半部分である「呼気の前半」区分、および、呼気の後半部分である「呼気の後半」区分のそれぞれを決定する(S605)。図45では、「81A」、「81B」、「82A」および「82B」が、それぞれ「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分に該当する。そして、これらの区分を示す情報(例えば、各区分の開始時刻および終了時刻)を波形分割情報として、呼吸音処理部21Bに出力する。
ここで、上記のように4区分に分割した場合の利点について説明する。しかし、上述したように、本実施形態では、1呼吸周期を複数の区分に分割して、それぞれの区分に含まれる音波形が示す音の種別を判定できればよく、以下の説明によって、本実施形態の波形分割処理が限定されるものではない。
図46は、生体の肺の概要を示す図である。実施形態1でも述べたように、気道が比較的太い(気管の径が大きい)ところ、すなわち、気管(気道)の分岐が進んでいない浅い箇所で鳴る音の周波数は低くなる。この気管の分岐が進んでいない箇所を「浅分岐箇所」71と称する。この「浅分岐箇所」71は、図46に示すように、主に、食道から最初に分岐した箇所から、1回程度分岐した箇所までを含むものである。例えば、「浅分岐箇所」71の気道壁の振動周波数は、低域(約200Hz以下)に存在する。
一方、気道が比較的細い(気管の径が小さい)ところ、すなわち、気管(気道)の分岐が進んでいる深い箇所で鳴る音の周波数は高くなる。この気管の分岐が進んでいる箇所を「深分岐箇所」72と称する。この「深分岐箇所」72は、図46に示すように、主に、上記1回程度分岐した箇所の、最初に分岐した方から見てさらに先の箇所、すなわち、肺胞に近い箇所を指す。例えば、「深分岐箇所」72の気道壁の振動周波数は、高域(約400Hz以上)に存在する。
一般に、「浅分岐箇所」71のみで「連続性雑音」が採取され、その音が、低域の振動周波数を有し、かつ単調である場合には、疾患の程度が軽症であると推定でき、また、「気管支狭窄」の可能性が高いと推定できる。また、「浅分岐箇所」71および「深分岐箇所」72の両方で「連続性雑音」が採取され、その音が、低域から高域までの振動周波数を有し、かつ複雑となる場合には、疾患の程度が重症であると推定でき、また、「喘息」の可能性が高いと推定できる。つまり、採取された呼吸音において、「浅分岐箇所」71および「深分岐箇所」72のいずれで雑音が鳴っているのかを判断できれば、呼吸音の採取対象である生体が罹っている可能性がある疾患の程度、およびその種別を特定することができる。
また、吸気は、「浅分岐箇所」71から「深分岐箇所」72へと流れ、呼気は、「深分岐箇所」72から「浅分岐箇所」71へと流れる。その吸気および呼気の流れから、「吸気の前半」区分および「呼気の後半」区分で鳴っている音は、「浅分岐箇所」71で鳴っている音と、「吸気の後半」区分および「呼気の前半」区分で鳴っている音は、「深分岐箇所」72で鳴っている音と判断できる。すなわち、図45の音波形の場合、「吸気の前半」区分81Aおよび「呼気の後半」区分82Bに含まれる音波形が示す音は、「浅分岐箇所」71で鳴っている音と、「吸気の後半」区分81Bおよび「呼気の前半」区分82Aに含まれる音波形が示す音は、「深分岐箇所」72で鳴っている音と判断できる。
つまり、呼吸の1周期を、「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分の4つの区分に分割することによって、「浅分岐箇所」71で疾患が発生しているのか、「深分岐箇所」72で疾患が発生しているのか、あるいはその両方の箇所で疾患が発生しているのかを判別することができる。つまり、1呼吸を吸気・呼気の前半・後半で評価することにより、疾患部位を推定することができる。
そして、本実施形態では、上述したように、疾患部位推定部60aは、「吸気の前半」区分および「呼気の後半」区分の少なくとも一方に雑音が含まれていると判定した場合に、「浅分岐箇所」を疾患部位と推定し、「吸気の後半」区分および「呼気の前半」区分の少なくとも一方に雑音が含まれていると判定した場合に、「深分岐箇所」を疾患部位と推定する。つまり、上記の一般的な疾患部位の判断を、疾患部位推定部60aによる処理により実現することができる。そして、この疾患部位の特定により、疾患程度推定部60bによる疾患の程度推定、および、疾患種別推定部60cによる疾患の種別推定が実現される。
また、上記4つの区分に分割し、それらの区分に含まれる音波形が示す音の種別を判定できれば、雑音の鳴り方(どの区分でどのような雑音が鳴っているのか)に応じて、疾患の程度および種別を推定することも可能である。
それゆえ、呼吸の1周期を上記4つの区分に分割することは、少なくとも疾患部位を推定する上で有益であり、さらには、疾患の程度および種別を推定する上で有益であるとも言える。また、少なくとも、1呼吸周期の「吸気」および「呼気」に分割することは、上記の疾患部位、疾患の程度および種別の推定において、意味のある分割であるということができる。
なお、上記では、「連続性雑音」を例として説明したが、「断続性雑音」の場合も同様、上記4つの区分に分割することは、疾患を特定する上で有益である。
〔疾患に罹っているときの音波形の例〕
ここで、生体が疾患に罹っているときの音波形の例について、図47〜図49を用いて説明する。図47は、生体が気管支狭窄に罹っている可能性があるときの呼吸音の一例を示す図である。図48は、生体が肺炎に罹っている可能性があるときの呼吸音の一例を示す図である。図49は、生体が間質性肺炎に罹っている可能性があるときの呼吸音の一例を示す図である。これらの図では、1呼吸周期分の音波形を示している。
ここで、上記図45に示す音波形は、喘息に罹っている可能性があるときの呼吸音の一例を示すものである。図45に示すように、喘息に罹っている可能性がある場合、呼吸周期全体にわたって、すなわち、4つの区分全てにわたって「連続性雑音」が生じていることがわかる。この場合、疾患部位推定部60aは、肺の全体において雑音が鳴っていることから、「浅分岐箇所」71および「深分岐箇所」72の両方が疾患部位であると推定する。そして、スペクトラム判定部32による周波数分布(スペクトラム)としては、低周波数領域(約200Hz)から高周波数領域(約400Hz)にわたってエネルギーが拡がったものが得られる。
また、図46に示すように、気管支狭窄に罹っている可能性がある場合、呼吸周期中の「吸気の前半」81Aおよび「呼気の後半」82Bにおいて「連続性雑音」が生じていることがわかる。この場合、疾患部位推定部60aは、気道の太い箇所で雑音が鳴っていることから、「浅分岐箇所」71が疾患部位であると推定する。そして、スペクトラム判定部32による周波数分布(スペクトラム)としては、低周波数領域(約200〜300Hz以下)にエネルギーが拡がったものが得られる。
また、図47に示すように、肺炎に罹っている可能性がある場合、呼吸周期全体にわたって、すなわち、4つの区分全てにわたって「断続性雑音」が生じていることがわかる。この場合、疾患部位推定部60aは、肺の全体において雑音が鳴っていることから、「浅分岐箇所」71および「深分岐箇所」72の両方が疾患部位であると推定する。そして、スペクトラム判定部32による周波数分布(スペクトラム)としては、比較的、「吸気の後半」81Bの振幅が大きいため、高周波数領域(300〜400Hz)周辺までエネルギーが広がったものが得られる。また、その周波数分布は、その他の区分にも「断続性雑音」があり、高周波数領域よりも低周波領域の割合の方が大きいものとなる。そのため、「浅分岐箇所」71の方が、疾患が発生している割合としては多くなる。
また、図48に示すように、間質性肺炎に罹っている可能性がある場合、呼吸周期中の「吸気の後半」81Bおよび「呼気の前半」82Aにおいて「断続性雑音」が生じていることがわかる。この場合、疾患部位推定部60aは、気道の細い箇所で雑音が鳴っていることから、「深分岐箇所」72が疾患部位であると推定する。そして、スペクトラム判定部32による周波数分布(スペクトラム)としては、上記2区分の音波形の振幅が大きいゆえ、肺炎よりも高周波数領域にエネルギーが拡がったものが得られる。すなわち、肺炎よりも、気道の細い箇所まで疾患が広がっている(すなわち、肺炎よりも、気道の細い箇所に疾患が発生していることが顕著である)ことがわかる。
疾患部位推定部60a、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cによる推定は、上記のような4つの区分において、どのように雑音が現れるのか、またどのような雑音が現れるのかに基づいて行われる。すなわち、図50および図51に示すように、疾患部位推定部60a、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cが、図45〜図48に示すような音波形から、疾患部位、疾患の程度および疾患の種別のそれぞれを推定可能なように、その推定結果が設定されている。
〔疾患部位、疾患の程度および疾患の種別推定〕
次に、図50および図51を用いて、疾患部位推定部60a、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cのそれぞれが出力する推定結果の一具体例について説明する。図50は、連続性雑音判定部43が出力する音種別判定結果を受けて、疾患部位推定部60a、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cのそれぞれが出力する推定結果の一具体例を示す図である。また、図51は、断続性雑音判定部44が出力する音種別判定結果を入力として、疾患部位推定部60a、疾患程度推定部60bおよび疾患種別推定部60cのそれぞれが出力する推定結果の一具体例を示す図である。
なお、図50および図51に示す音種別判定結果、疾患部位推定結果、疾患程度推定結果および疾患種別推定結果のそれぞれの対応関係はあくまで一例であって、例えば、1つの音種別判定結果に対して可能性がある疾患部位、または疾患の種別を複数対応付けることも可能である。
(疾患部位推定)
呼吸の1周期のうち、「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分で雑音が鳴っているのかによって、疾患部位を推定できる。図50および図51では、これらの雑音の鳴り方を示す音種別判定結果に、一般にその音の鳴り方に特有の疾患部位が対応付けられている。
図50および図51に示すように、音種別判定部40の連続性雑音判定部43が、「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分の全区分に含まれる音波形が示す音が、雑音の可能性があると判定した場合には、疾患部位推定部60aは、図50および図51の推定パターン(ア)に示すように、「深分岐箇所」および「浅分岐箇所」の両方が疾患部位であると推定し、疾患部位推定結果として出力する。
また、少なくとも「吸気の前半」区分および「呼気の後半」区分のいずれかにおいて、雑音の可能性があると判定された場合には、図50の推定パターン(イ)〜(エ)および図51の推定パターン(オ)〜(キ)に示すように、「浅分岐箇所」が疾患部位であると推定され、疾患部位推定結果として出力される。
一方、少なくとも「吸気の後半」区分および「呼気の前半」区分のいずれかにおいて、雑音の可能性があると判定された場合には、図50の推定パターン(オ)〜(キ)および図51の推定パターン(イ)〜(エ)に示すように、「深分岐箇所」が疾患部位であると推定され、疾患部位推定結果として出力される。
以上のように疾患部位を推定することにより、呼吸音に少なくとも雑音が認められた場合に、一般に医師等が聴診音から判断して得る、疾患部位の特定結果と同様の結果を、精度良くかつ具体的に推定することができる。
(疾患程度推定)
呼吸の1周期のうち、「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分で雑音が鳴っているのかによって、疾患の程度を推定できる。
図50および図51では、これらの雑音の鳴り方を示す音種別判定結果(あるいは疾患部位推定結果)に、一般にその音の鳴り方に特有の疾患の程度が対応付けられている。以下では、推定される疾患の程度を、音種別判定結果に対応付けて説明する。
図50および図51に示すように、音種別判定部40の連続性雑音判定部43が、「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分の全区分に含まれる音波形が示す音が、雑音の可能性があると判定した場合には、疾患程度推定部60bは、図50および図51の推定パターン(ア)に示すように、疾患の程度が「大」である、すなわち重症(疾患がかなり進行している)であると推定し、疾患程度推定結果として出力する。
また、少なくとも「吸気の前半」区分および「呼気の後半」区分のいずれかにおいて、雑音の可能性があると判定された場合には、図50の推定パターン(イ)〜(エ)および図51の推定パターン(オ)〜(キ)に示すように、疾患の程度が「小」である、すなわち軽症(疾患があまり進行していない)であると推定され、疾患程度推定結果として出力される。
一方、少なくとも「吸気の後半」区分および「呼気の前半」区分のいずれかにおいて、雑音の可能性があると判定された場合には、図50の推定パターン(オ)〜(キ)および図51の推定パターン(イ)〜(エ)に示すように、疾患の程度が「中」である、すなわち中症(疾患がある程度進行している)であると推定し、疾患程度推定結果として出力する。
以上のように疾患部位を推定することにより、呼吸音に少なくとも雑音が認められた場合に、一般に医師等が聴診音から判断して得る、疾患の程度の特定結果と同様の結果を、精度良くかつ具体的に推定することができる。
また、上述したように、その雑音の鳴っている区分から推定された疾患部位にしたがって、疾患の程度が推定されてもよい。
すなわち、図50および図51の推定パターン(ア)に示すように、疾患部位推定結果が「浅分岐箇所」および「深分岐箇所」の場合、疾患程度が「大」であると推定される。また、疾患部位推定結果が「浅分岐箇所」の場合、図50の推定パターン(イ)〜(エ)および図51の推定パターン(オ)〜(キ)に示すように、疾患程度が「小」と推定される。また、疾患部位推定結果が「深分岐箇所」の場合、図50の推定パターン(オ)〜(キ)および図51の推定パターン(イ)〜(エ)に示すように、疾患の程度が「中」であると推定される。
(疾患種別推定)
呼吸の1周期のうち、「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分でどのような雑音(「連続性雑音」または「断続性雑音」)が鳴っているのかによって、「連続性雑音」または「断続性雑音」に特有の疾患を推定できる。図50および図51では、これらの雑音の鳴り方を示す音種別判定結果(あるいは疾患部位推定結果、疾患程度推定結果)に、一般にその音の鳴り方に特有の疾患の種別が対応付けられている。以下では、推定される疾患の種別を、音種別判定結果に対応付けて説明する。
図50に示すように、音種別判定部40の連続性雑音判定部43が、「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分の全区分に含まれる音波形が示す音が、「連続性雑音」の可能性があると判定した場合には、疾患種別推定部60cは、推定パターン(ア)に示すように、生体が罹っている可能性がある疾患を「喘息」と判定する。そして、疾患種別推定結果として「喘息」を出力する。
また、「吸気の前半」区分および「呼気の後半」区分のみにおいて、「連続性雑音」の可能性があると判定した場合には、推定パターン(イ)に示すように、生体が罹っている可能性がある疾患を「気管支狭窄」と判定する。そして、疾患種別推定結果として「気管支狭窄」を出力する。
すなわち、疾患種別推定部60cは、上記複数の区分のうちの少なくとも1つに含まれる音波形が示す音が、上記「連続性雑音」であると判定された場合に、上記疾患の種別を、「喘息」または「気管支狭窄」であると判定している。
一方、図51に示すように、音種別判定部40の断続性雑音判定部44が、「吸気の前半」区分、「吸気の後半」区分、「呼気の前半」区分および「呼気の後半」区分の全区分に含まれる音波形が示す音が、「断続性雑音」の可能性があると判定した場合には、推定パターン(ア)に示すように、生体が罹っている可能性がある疾患を「肺炎」と推定する。そして、疾患種別推定結果として「肺炎」を出力する。
また、「吸気の後半」区分および「呼気の前半」区分のみにおいて、「断続性雑音」の可能性があると判定した場合には、推定パターン(イ)に示すように、生体が罹っている可能性がある疾患を「間質性肺炎」と判定する。そして、疾患種別推定結果として「間質性肺炎」を出力する。
すなわち、疾患種別推定部60cは、上記複数の区分のうちの少なくとも1つに含まれる音波形が示す音が、上記「断続性雑音」であると判定された場合に、上記疾患の種別を、「肺炎」または「間質性肺炎」であると推定している。
以上のように疾患推定することにより、「連続性雑音」または「断続性雑音」が認められた場合に、一般に医師等が聴診音から判断して得る、生体が罹っている可能性がある疾患の種別の特定結果と同様の結果を、精度良くかつ具体的に推定することができる。
また、上述したように、その雑音の鳴っている区分から推定された疾患部位、あるいは推定の程度にしたがって、疾患の種別が推定されてもよい。
すなわち、雑音が「連続性雑音」の場合には、図50の推定パターン(ア)に示すように、疾患部位推定結果が「浅分岐箇所」および「深分岐箇所」、または、疾患程度が「大」であると推定されている場合、「喘息」であると推定される。一方、同図の推定パターン(イ)に示すように、疾患部位推定結果が「浅分岐箇所」、または、疾患程度が「小」であると推定されている場合、「気管支狭窄」であると推定される。
また、雑音が「断続性雑音」の場合には、図51の推定パターン(ア)に示すように、疾患部位推定結果が「浅分岐箇所」および「深分岐箇所」、または、疾患程度が「大」であると推定されている場合、「肺炎」であると推定される。一方、同図の推定パターン(イ)に示すように、疾患部位推定結果が「深分岐箇所」、または、疾患程度が「中」であると推定されている場合、「間質性肺炎」であると推定される。
なお、本実施形態では、「連続性雑音」および「断続性雑音」のいずれか一方を利用して、上記疾患の判定を行ったが、これに限らず、「連続性雑音」および「断続性雑音」の両方から疾患の推定を行ってもよい。
〔結果出力〕
次に、図52を用いて、結果出力部23の出力結果、すなわち表示部12に表示される画像の一例について説明する。図52は、結果出力部23によって出力された、解析結果を表示するための表示画面の具体例を示す図である。
上述したように、結果出力部23は、疾患部位推定部60aが出力した疾患部位推定結果、疾患程度推定部60bが出力した疾患程度推定結果、および疾患種別推定部60cが出力した疾患種別推定結果を表示部12に表示する。
例えば、図52に示すとおり、解析結果を表示する領域に、上記疾患部位推定結果を表示する。図52には、疾患部位推定部60aによって、疾患部位が「深分岐箇所」である、すなわち「深分岐箇所」に疾患があると推定されたときの疾患部位推定結果の例を示している。
また、上記領域には、上記疾患程度推定結果も表示される。図52には、疾患程度推定部60bによって、疾患の程度が「大」である、すなわち疾患の深刻度が「大」であると推定されたときの疾患程度推定結果の例を示している。
また、上記領域には、上記疾患種別推定結果を表示する。図52には、疾患種別推定部60cが、生体が罹っている疾患の種別を「気管支狭窄」に分類したときの疾患種別推定結果の例を示している。
なお、図52では、結果出力部23が、上記の疾患部位推定結果、疾患程度推定結果、および疾患種別推定結果のすべてについて表示部12に表示させている様子を示しているが、これに限らず、これらの結果のうちのいずれか1つの結果のみを表示させてもよい。また、結果出力部23は、上記結果のうちの2つの結果を、表示部12に表示させてもよい。また、複数の結果が表示される場合には、それらの結果を順に表示させてもよい。
また、結果出力部23は、図52に示すとおり「音を再生」ボタンを表示して、解析処理にかけた生体音を再生するための操作者Uからの指示を受け付けてもよい。
例えば、「音を再生」ボタンが操作者Uによってシングルタップされると、結果出力部23は、生体音取得部20が取得した生体音情報を再生し、音声信号を、図示しない音声出力部に出力してもよい。また、例えば、結果出力部23は、「音を再生」ボタンがダブルタップされた場合には、生体音の中の異常が出現する箇所から音が再生されるように上記音声出力部を制御してもよい。
さらに、結果出力部23は、「音と結果を保存」ボタンが操作者Uによってタップされると、上記生体音情報と、上記各推定結果と、必要な患者情報とを紐付けて、記憶部13に格納する。
さらに、結果出力部23は、「音と結果を保存」ボタンがタップされると、判定結果を紐づけた上記生体音情報を、外部装置の図示しないデータベースに保存してもよい。具体的には、結果出力部23は、通信部14を介して、生体音解析部22から受け取った諸々の推定結果を、採取された生体音情報ともに、外部の装置に送信してもよい。例えば、情報解析装置100の通信部14は、通信網5を介して、各推定結果および生体音情報を管理サーバ4に送信することができる。
これにより、管理サーバ4は、自装置の表示部に、図52に示す推定結果を表示して、遠隔地にいる医師Dに、患者Pの生体音の推定結果を提示することが可能となる。また、管理サーバ4は、医師Dの操作にしたがって、医師Dが所望する生体音情報を再生し、医師Dに聞かせることが可能となる。
〔変形例〕
なお、図38に示すように、呼吸音処理部21Bおよび波形特徴判定部30にはそれぞれ、フーリエ変換部212およびスペクトラム判定部32を備えていてもよい。これらの実質的な機能は、実施形態1で説明したとおりである。この場合、波形特徴判定部30によって、各区分に含まれる音波形の周波数成分分布に基づく判定も行うことが可能となる。例えば、包絡線判定部34によって「連続性雑音」と判定されている場合に、音種別判定部40は、スペクトラム判定部32による判定を加味して、「高音性連続性雑音」と「低音性連続性雑音」との判定まで行うことが可能となる。
ただし、上述のように、本実施形態では、波形分割部21Aが音波形を複数の区分に分割しているので、例えば、「吸気の前半」区分および「呼気の後半」区分に含まれる音波形の音が「連続性雑音」であると判定された場合には、その「連続性雑音」は「高音性連続性雑音」を示すことがわかる。それゆえ、音種別判定部40は、周波数成分分布に基づく判定により、包絡線判定部34による判定結果が正しいかどうかを確認することができる。
また、インパルスノイズ判定部35によって「断続性雑音」と判定されている場合には、スペクトラム判定部32による判定を加味して、「細かい断続性雑音」と「荒い断続性雑音」との判定まで可能となる。この場合も、インパルスノイズ判定部35による各区分に対する判定によって、各区分のいずれで「断続性雑音」が鳴っているかがわかれば、その「断続性雑音」が「細かい断続性雑音」であるか「荒い断続性雑音」であるかを判定できる。それゆえ、この場合も、音種別判定部40は、周波数成分分布に基づく判定により、包絡線判定部34による判定結果が正しいかどうかを確認することができる。
≪変形例≫
上述の各実施形態では、本発明の聴診システム200において、呼吸音などの情報を解析する機能を、操作者Uが操作する端末装置としての情報解析装置100によって実現する場合について説明した。そして、上述の各実施形態では、聴診システム200において、情報解析装置100が、電子聴診器3とサポートセンター2の管理サーバ4と通信する構成であった。
しかし、本発明の聴診システム200の構成は、これに限定されない。聴診システム200において、本発明の情報解析装置100が行う呼吸音などの情報を解析する機能は、電子聴診器3、および/または、サポートセンター2の管理サーバ4に搭載されてもよい。この場合、電子聴診器3、および/または、管理サーバ4が、本発明の情報解析装置として機能する。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、上述の各実施形態では、本発明の情報解析装置100をスマートフォンに適用した例について説明したが、本発明の情報解析装置100は、種々の情報処理装置にて実現することが可能である。例えば、これには限定されないが、本発明の情報解析装置100は、パーソナルコンピュータ(PC)、デジタルテレビなどのAV機器、ノートパソコン、タブレットPC、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などに適用可能である。あるいは、情報解析装置100は、電子聴診器3に搭載されてもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
最後に、情報解析装置100の各ブロック、特に、生体音取得部20、生体音処理部21、生体音解析部22および結果出力部23、ならびに、生体音処理部21の各ブロックおよび生体音解析部22の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、情報解析装置100は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである情報解析装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記情報解析装置100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、情報解析装置100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(High Data Rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明の情報解析装置は、聴診器によって測定され、採取された生体音情報を情報処理して、当該生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割し、音の特徴に基づいて、当該音波形が示す音の種別を、当該区分ごとに判定することができる。よって、生体音情報を利用して、その生体音を発する生体の状態を把握するためのシステムにおいて幅広く用いることが可能である。特に、採取された生体音情報を利用して、患者の状態を把握し、診療を行う聴診システムに好適に用いられる。
1 診療現場
2 サポートセンター(遠隔地)
3 電子聴診器(聴診器)
4 管理サーバ
5 通信網
10 制御部
11 入力部
12 表示部
13 記憶部
14 通信部
20 生体音取得部(生体音取得手段)
21 生体音処理部(生体音処理手段)
22 生体音解析部(生体音解析手段)
23 結果出力部(結果出力手段)
30 波形特徴判定部(波形特徴判定手段)
31 周期性判定部(波形特徴判定手段/周期性判定手段)
32 スペクトラム判定部(波形特徴判定手段/周波数成分分布判定手段)
33 スペクトログラム判定部(波形特徴判定手段/周波数帯域別周期性判定手段)
34 包絡線判定部(波形特徴判定手段/包絡線判定手段)
35 インパルスノイズ判定部(波形特徴判定手段/インパルスノイズ判定手段)
40 音種別判定部(音種別判定手段)
41 正常呼吸音判定部(音種別判定手段/正常呼吸音判定手段)
42 呼吸音減弱判定部(音種別判定手段/呼吸音減弱判定手段)
43 連続性雑音判定部(音種別判定手段/連続性雑音判定手段)
44 断続性雑音判定部(音種別判定手段/断続性雑音判定手段)
45 総合判定部(音種別判定手段/総合判定手段)
50 異常レベル判定部(異常レベル判定手段)
51 減弱レベル判定部(異常レベル判定手段/減弱レベル判定手段)
52 連続性レベル判定部(異常レベル判定手段/連続性レベル判定手段)
53 断続性レベル判定部(異常レベル判定手段/断続性レベル判定手段)
60a 疾患部位推定部(疾患部位推定手段)
60b 疾患程度推定部(疾患程度推定手段)
60c 疾患種別推定部(疾患種別推定手段)
21A 波形分割部(波形分割手段)
21B 呼吸音処理部
100 情報解析装置
200 聴診システム
211 自己相関解析部(生体音処理手段)
212 フーリエ変換部(生体音処理手段)
213 時間周波数解析部(生体音処理手段)
214 包絡線検波部(生体音処理手段)
215 インパルスノイズ検出部(生体音処理手段)

Claims (19)

  1. 聴診器によって採取された生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割する波形分割手段と、
    上記波形分割手段によって分割された上記複数の区分のそれぞれに対して、音波形の特徴を特定するための基準を示した波形特徴判定基準を適用して、当該複数の区分のそれぞれについての音波形の特徴を特定する波形特徴判定手段と、
    上記波形特徴判定手段によって特定された、上記音波形の特徴に基づいて、上記生体音情報が属する音の種別を、上記区分ごとに判定する音種別判定手段と、を備えていることを特徴とする情報解析装置。
  2. 上記音種別判定手段が判定する音の種別は、
    生体が発する呼吸音に連続する雑音が含まれていることを示す「連続性雑音」、および、
    生体が発する呼吸音に断続する雑音が含まれていることを示す「断続性雑音」、
    の少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の情報解析装置。
  3. 上記音種別判定手段によって判定された、上記区分ごとの音の種別に基づいて、上記呼吸音が採取された生体の疾患部位を推定する疾患部位推定手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の情報解析装置。
  4. 上記波形分割手段は、上記呼吸音を示す音波形の1周期のうち、吸気を示す音波形のうちの前半区分である「吸気の前半」区分と、後半区分である「吸気の後半」区分とに分割するとともに、呼気を示す音波形のうちの前半区分である「呼気の前半」区分と、後半区分である「呼気の後半」区分とに分割し、
    上記疾患部位推定手段は、
    上記音種別判定手段が、上記「吸気の前半」区分および上記「呼気の後半」区分の少なくとも一方に雑音が含まれていると判定した場合に、気道の分岐が進んでいない箇所を疾患部位と推定し、
    上記音種別判定手段が、上記「吸気の後半」区分および上記「呼気の前半」区分の少なくとも一方に雑音が含まれていると判定した場合に、気道の分岐が進んでいる箇所を疾患部位と推定することを特徴とする請求項3に記載の情報解析装置。
  5. 上記疾患部位推定手段によって推定された上記疾患部位にしたがって、上記生体が罹っている可能性がある疾患の程度を推定する疾患程度推定手段を備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の情報解析装置。
  6. 上記音種別判定手段によって判定された、上記区分ごとの音の種別にしたがって、上記呼吸音が採取された生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定する疾患種別推定手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の情報解析装置。
  7. 上記疾患部位推定手段によって推定された上記疾患部位にしたがって、上記呼吸音が採取された生体が罹っている可能性がある疾患の種別を推定する疾患種別推定手段を備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の情報解析装置。
  8. 上記疾患種別推定手段は、
    (1)上記音種別判定手段によって、上記複数の区分のうちの少なくとも1つに含まれる音波形が示す音が、上記「連続性雑音」であると判定された場合に、上記疾患の種別を、「喘息」または「気管支狭窄」であると推定し、
    (2)上記音種別判定手段によって、上記複数の区分のうちの少なくとも1つに含まれる音波形が示す音が、上記「断続性雑音」であると判定された場合に、上記疾患の種別を、「肺炎」または「間質性肺炎」であると推定することを特徴とする請求項6または7に記載の情報解析装置。
  9. 上記波形分割手段は、上記呼吸音を示す音波形の1周期のうち、吸気を示す音波形のうちの前半区分である「吸気の前半」区分と、後半区分である「吸気の後半」区分とに分割するとともに、呼気を示す音波形のうちの前半区分である「呼気の前半」区分と、後半区分である「呼気の後半」区分とに分割し、
    上記疾患種別推定手段は、
    (1)上記音種別判定手段によって、上記複数の区分のうちの全区分に含まれる音波形が示す音が、上記「連続性雑音」であると判定された場合には、上記疾患の種別を「喘息」と推定し、
    (2)上記音種別判定手段によって、上記「吸気の前半」区分および上記「呼気の後半」区分に含まれる音波形が示す音が、上記「連続性雑音」であると判定された場合には、上記疾患の種別を「気管支狭窄」と推定することを特徴とする請求項8に記載の情報解析装置。
  10. 上記波形分割手段は、上記呼吸音を示す音波形の1周期のうち、吸気を示す音波形のうちの前半区分である「吸気の前半」区分と、後半区分である「吸気の後半」区分とに分割するとともに、呼気を示す音波形のうちの前半区分である「呼気の前半」区分と、後半区分である「呼気の後半」区分とに分割し、
    上記疾患種別推定手段は、
    (1)上記音種別判定手段によって、上記複数の区分のうちの全区分に含まれる音波形が示す音が、上記「断続性雑音」であると判定された場合には、上記疾患の種別を「肺炎」と推定し、
    (2)上記音種別判定手段によって、上記「吸気の後半」区分および上記「呼気の前半」区分に含まれる音波形が示す音が、上記「断続性雑音」であると判定された場合には、上記疾患の種別を「間質性肺炎」と推定することを特徴とする請求項8に記載の情報解析装置。
  11. 上記波形特徴判定手段は、
    包絡線に係る波形特徴判定基準にしたがって、上記複数の区分のそれぞれに含まれる音波形の包絡線が、一定以上の振幅値で一定期間以上連続するか否かを判定し、
    上記音種別判定手段は、
    上記包絡線が連続すると判定された場合に、当該判定された区分に含まれる音波形が示す音が、上記「連続性雑音」に属する可能性があると判定することを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載の情報解析装置。
  12. 上記波形特徴判定手段は、
    インパルスノイズ数に係る波形特徴判定基準にしたがって、上記複数の区分のそれぞれに含まれる音波形が、一定数以上のインパルスノイズを含むか否かを判定し、
    上記音種別判定手段は、
    上記音波形が一定数以上のインパルスノイズを含むと判定された場合に、当該判定された区分に含まれる音波形が示す音が、上記「断続性雑音」に属する可能性があると判定することを特徴とする請求項2から8のいずれか1項、または10に記載の情報解析装置。
  13. 上記波形特徴判定手段は、上記波形特徴判定基準にしたがって、
    上記複数の区分のそれぞれに含まれる音波形の包絡線の振幅平均値を超える連続する時間が200ms以上ある場合に、上記包絡線が連続すると判定することを特徴とする請求項11に記載の情報解析装置。
  14. 上記波形特徴判定手段は、上記波形特徴判定基準にしたがって、
    上記複数の区分のそれぞれに含まれる音波形が、インパルスノイズを1周期あたりに3個以上含む場合に、当該音波形が一定数以上のインパルスノイズを含むと判定することを特徴とする請求項12に記載の情報解析装置。
  15. 上記疾患種別推定手段によって生成された、上記疾患の種別を示した疾患種別推定結果を、表示部に出力する結果出力手段を備えていることを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の情報解析装置。
  16. 上記波形特徴判定基準は、上記複数の区分のそれぞれに含まれる音波形より導出された特徴量と比較する閾値と、該閾値によって定められた条件とを含み、
    上記波形特徴判定手段は、上記音波形の特徴量が上記条件に合致するか否かを判定することにより、上記音波形の特徴を上記区分ごとに特定することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の情報解析装置。
  17. 聴診器によって採取された生体音情報に含まれる音波形を複数の区分に分割する波形分割ステップと、
    上記波形分割ステップにおいて分割された上記複数の区分のそれぞれに対して、音波形の特徴を特定するための基準を示した波形特徴判定基準を適用して、当該複数の区分のそれぞれについての音波形の特徴を特定する波形特徴判定ステップと、
    上記波形特徴判定ステップにおいて特定された、上記音波形の特徴に基づいて、上記生体音情報が属する音の種別を、上記区分ごとに判定する音種別判定ステップと、を含むことを特徴とする情報解析方法。
  18. コンピュータを、請求項1から16までのいずれか1項に記載の情報解析装置の各手段として機能させるための制御プログラム。
  19. 請求項18に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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