JP2013108083A - 官能化ポリマー、それを含むゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム状リビングポリマーの末端基を官能化して、カーボンブラック及び/又はシリカなどの充填剤に対するそれらの親和性を改良するための低コストの手段、該官能化エラストマーを含むゴム組成物、及び該ゴム組成物を含む空気入りタイヤの提供。
【解決手段】リビングアニオン性エラストマー性ポリマーと;式I:

[R、R及びRの少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり、−S−Zはスルフィド基またはチオカーボネート基を構成する。]の重合停止剤との反応生成物を含む官能化エラストマー。
【選択図】図1

Description

本発明は、官能化ポリマー、それを含むゴム組成物及び空気入りタイヤに関する。
周期表のI及びII族の金属は、モノマーからポリマーへの重合を開始するのに一般に使用されている。例えば、リチウム、バリウム、マグネシウム、ナトリウム、及びカリウムは、そのような重合にしばしば利用される金属である。この種の開始剤系は、立体規則ポリマーの製造に使用できるので商業的に重要である。例えば、リチウム開始剤は、イソプレンから合成イソプレンゴムへのアニオン重合を開始したり、又は1,3−ブタジエンから所望の微細構造を有するポリブタジエンゴムへの重合を開始するのに利用できる。
そのような重合で形成されたポリマーは、重合開始に使用された金属をそれらのポリマー鎖の成長末端に有しており、リビングポリマーと呼ばれたりもする。それらがリビングポリマーと呼ばれるのは、末端金属開始剤を含有するそれらのポリマー鎖が、すべての利用可能なモノマーが使い果たされるまで成長し続ける又は生き続けるからである。そのような金属開始剤を利用して製造されたポリマーは、通常本質的に線形の構造を有し、通常相当量の枝分れは含有しない。
リビング重合技術によって製造されたゴム状ポリマーは、典型的には、硫黄、促進剤、劣化防止剤、充填剤、例えばカーボンブラック、シリカ又はデンプン、及びその他の所望のゴム薬品と配合された後、加硫又は硬化されて有用な物品、例えばタイヤ又はパワートランスミッションベルトの形になる。そのような硬化ゴムの物理的性質は、充填剤がゴム全体に均一に分散されている程度に依存することが確立されている。これは、すなわち、充填剤が特定のゴム状ポリマーに対して有する親和性のレベルと関連する。このことは、そのようなゴム組成物を利用して製造されるゴム物品の物理的特性を改良するのに実際的に重要となりうる。例えば、タイヤの転がり抵抗及び牽引特性は、それに利用されているゴム状ポリマーに対するカーボンブラック及び/又はシリカの親和性を改良することによって改良できる。従って、所定のゴム状ポリマーの、カーボンブラック及びシリカなどの充填剤に対する親和性を改良することが非常に望ましいであろう。
タイヤトレッド配合物において、充填剤とゴム状ポリマー間の良好な相互作用は低いヒステリシスをもたらし、その結果、そのようなゴム配合物を用いて製造されたタイヤは低い転がり抵抗を有する。60℃における低いtanデルタ値は低いヒステリシスの指標であり、その結果、60℃における低いtanデルタ値を有するそのようなゴム配合物を利用して製造されたタイヤは、通常低い転がり抵抗を示す。タイヤトレッド配合物中の充填剤とゴム状ポリマー間の良好な相互作用は、典型的には0℃における高いtanデルタ値ももたらす。これは良好な牽引特性の指標である。
ゴムとカーボンブラック間の相互作用は、カーボンブラック表面上の酸素含有官能基とゴムとの間の物理吸収(physical absorption)(ファンデルワールス力)及び化学吸着(chemisorption)の組合せによるものである(D.Rivin,J.Aron,及びA.Medalia,Rubber Chem.& Technol.41,330(1968)並びにA.Gessler,W.Hess,及びA Medalia,Plast.Rubber Process,3,141(1968)参照)。ポリマー−充填剤相互作用の改良によるヒステリシス損の低減に関する様々なその他の化学変性技術も、特に溶液重合によって製造されたスチレン−ブタジエンゴム(S−SBR)に関し、報告されている。これらの技術の一つにおいて、溶液ゴム鎖末端はアミノベンゾフェノンで変性される。これは、ポリマーとカーボンブラック表面上の酸素含有基との間の相互作用を非常に改良する(永田伸夫,日本ゴム協会誌,62,630(1989)参照)。アニオン溶液ポリマーのスズカップリングは、別のよく使用される鎖末端変性法で、おそらくはカーボンブラック表面上のキノン基との反応の増大を通じてポリマー−充填剤相互作用を補助している。この相互作用の効果はカーボンブラック粒子間の凝集を削減することで、それが分散の改良につながり、最終的にヒステリシスを低減する。
D.Rivin,J.Aron,及びA.Medalia,Rubber Chem.& Technol.41,330(1968) A.Gessler,W.Hess,及びA Medalia,Plast.Rubber Process,3,141(1968) 永田伸夫,日本ゴム協会誌,62,630(1989)
主題発明は、ゴム状リビングポリマーの末端基を官能化して、カーボンブラック及び/又はシリカなどの充填剤に対するそれらの親和性を改良するための低コストの手段を提供する。そのような官能化ポリマーは、改良されたポリマー/充填剤相互作用が望ましいタイヤ及びその他のゴム製品の製造に有益に使用できる。タイヤトレッドコンパウンドにおいて、これは低いポリマーヒステリシスをもたらすことができ、ひいては低レベルのタイヤ転がり抵抗を提供することができる。
本発明は、さらに詳しくは、リビングアニオン性エラストマー性ポリマーと;式I:
[式中、R、R及びRは、独立に、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであるが、ただしR、R及びRの少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり;RはC1〜C8アルキルであり;Siはケイ素であり;Sは硫黄であり;そしてZは、R又は式II:
であり、ここでRは、アルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルである]
の重合停止剤との反応生成物を含む官能化エラストマーに向けられる。
本発明はさらに、該官能化エラストマーを含むゴム組成物、及び該ゴム組成物を含む空気入りタイヤにも向けられる。
図1は、シランカップリング剤ありのノンプロダクティブサンプルのG’及びtanデルタ対歪を示す。 図2は、シランなしのノンプロダクティブサンプルのG’及びtanデルタ対歪を示す。 図3は、シランカップリング剤ありのプロダクティブバッチについて、7%歪で得られた硬化曲線を示す。 図4は、シランカップリング剤ありのプロダクティブサンプルのG’及びtanデルタ対歪を示す。 図5は、シランカップリング剤なしのプロダクティブバッチについて、7%歪で得られた硬化曲線を示す。 図6は、シランカップリング剤なしのプロダクティブサンプルのG’及びtanデルタ対歪を示す。
リビングアニオン性エラストマー性ポリマーと;式I:
[式中、R、R及びRは、独立に、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであるが、ただしR、R及びRの少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり;RはC1〜C8アルキルであり;Siはケイ素であり;Sは硫黄であり;そしてZは、R又は式II:
であり、ここでRは、アルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルである]
の重合停止剤との反応生成物を含む官能化エラストマーを開示する。
さらに、該官能化エラストマーを含むゴム組成物、及び該ゴム組成物を含む空気入りタイヤも開示する。
主題発明は、ゴム状リビングポリマーの末端基官能化により、カーボンブラック及び/又はシリカなどの充填剤に対するそれらの親和性を改良するための手段を提供する。本発明の方法は、周期表のI又はII族の金属で終端されたあらゆるリビングポリマーの官能化に使用できる。これらのポリマーは当業者に周知の技術を利用して製造できる。本発明に従って式Iの停止剤で官能化できる金属終端ゴム状ポリマーは、一般構造式P−M(式中、Pはポリマー鎖を表し、MはI又はII族の金属を表す)を有する一官能性開始剤を利用して製造できる。そのような金属終端ポリマーの合成に利用される金属開始剤は多官能性有機金属化合物であってもよい。例えば、二官能性有機金属化合物がそのような重合を開始するのに利用できる。そのような二官能性有機金属化合物を開始剤として利用すると、一般構造式M−P−M(式中、Pはポリマー鎖を表し、MはI又はII族の金属を表す)を有するポリマーの形成がもたらされる。両鎖末端がI又はII族の金属で終端されているそのようなポリマーも式Iの停止剤と反応でき、それらの鎖末端の両方を官能化することができる。ポリマー鎖の両端を式Iの停止剤で官能化できるように二官能性開始剤を利用することは、カーボンブラック及びシリカなどの充填剤との相互作用をさらに改良できると考えられる。
本発明に従って官能化されるリビングゴム状ポリマーの合成に使用される重合の開始に使用される開始剤は、典型的には、バリウム、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群から選ばれる。リチウム及びマグネシウムは、そのような金属終端ポリマー(リビングポリマー)の合成に最も一般的に利用される金属である。通常、リチウム開始剤がより好適である。
有機リチウム化合物はそのような重合に利用するための好適な開始剤である。開始剤として利用される有機リチウム化合物は通常有機モノリチウム化合物である。開始剤として好適な有機リチウム化合物は、式:R−Li(式中、Rは1〜約20個の炭素原子を含有するヒドロカルビルラジカルを表す)によって表すことができる一官能性化合物である。一般的に、そのような一官能性有機リチウム化合物は、1〜約10個の炭素原子を含有する。いくつかの好適な代表例は、ブチルリチウム、secブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、n−オクチルリチウム、tertオクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、1−ナフチルリチウム、4−ブチルフェニルリチウム、p−トリルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4−ブチルシクロヘキシルリチウム、及び4−シクロヘキシルブチルリチウムである。sec−ブチルリチウムが非常に好適な有機リチウム開始剤である。2ミクロン未満の平均粒径を有する超微粉リチウムも、本発明に従って式Iの停止剤で官能化できるリビングゴム状ポリマー合成のための開始剤として使用できる。米国特許第4,048,420号(引用によってその全文を本明細書に援用する)に、微粉リチウムを開始剤として利用するリチウム終端リビングポリマーの合成が記載されている。リチウムアミドもリビングポリジエンゴムの合成における開始剤として使用できる(米国特許第4,935,471号参照。その教示は、リビングゴム状ポリマーの合成の開始剤として使用できるリチウムアミドに関し、引用によって本明細書に援用する)。
利用される有機リチウム開始剤の量は、合成されるゴム状ポリマーに所望される分子量のほか、使用される正確な重合温度によっても変動する。所望分子量のポリマーを製造するのに必要とされる有機リチウム化合物の正確な量は、当業者であれば容易に求めることができる。しかしながら、通則として、0.01〜1phm(100重量部のモノマーあたりの部)の有機リチウム開始剤が利用されるであろう。ほとんどの場合、0.01〜0.1phmの有機リチウム開始剤が利用され、0.025〜0.07phmの有機リチウム開始剤を利用するのが好適である。
炭素炭素二重結合を含有する多くの種類の不飽和モノマーが、そのような金属触媒を用いてポリマーに重合できる。エラストマー性又はゴム状ポリマーは、このタイプの金属開始剤系を利用してジエンモノマーを重合することによって合成できる。合成ゴム状ポリマーに重合できるジエンモノマーは、共役ジオレフィン又は非共役ジオレフィンのいずれでもよい。4〜8個の炭素原子を含有する共役ジオレフィンモノマーが一般的には好適である。ビニル置換芳香族モノマーも、一つ又は複数のジエンモノマーと共重合させてゴム状ポリマー、例えばスチレン−ブタジエンゴム(SBR)にすることができる。ゴム状ポリマーに重合できる共役ジエンモノマーのいくつかの代表例は、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、及び4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンなどである。ゴム状ポリマーの合成に利用できるビニル置換芳香族モノマーのいくつかの代表例は、スチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、3,5−ジエチルスチレン、4−プロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−ドデシルスチレン、3−メチル−5−ノルマル−ヘキシルスチレン、4−フェニルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、3,5−ジフェニルスチレン、2,3,4,5−テトラエチルスチレン、3−エチル−1−ビニルナフタレン、6−イソプロピル−1−ビニルナフタレン、6−シクロヘキシル−1−ビニルナフタレン、7−ドデシル−2−ビニルナフタレン、α−メチルスチレンなどである。
本発明に従って式Iの停止剤で官能化される金属終端ゴム状ポリマーは、一般的に、飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又はエーテルなどの不活性有機溶媒を利用する溶液重合によって製造される。そのような溶液重合に使用される溶媒は、通常1分子あたり約4〜約10個の炭素原子を含有し、重合条件下で液体である。適切な有機溶媒のいくつかの代表例は、ペンタン、イソオクタン、シクロヘキサン、ノルマル−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラヒドロフランなどで、これらを単独で又は混合して使用する。例えば、溶媒は異なるヘキサン異性体の混合物であってよい。そのような溶液重合はポリマーセメント(高粘性ポリマー溶液)の形成をもたらす。
本発明の実施に利用される金属終端リビングゴム状ポリマーは、実質的に任意の分子量であってよい。しかしながら、リビングゴム状ポリマーの数平均分子量は、典型的には約50,000〜約500,000の範囲内であろう。そのようなリビングゴム状ポリマーは、100,000〜250,000の範囲内の数平均分子量を有するのがさらに典型的である。
金属終端リビングゴム状ポリマーは、単に化学量論量の式Iの停止剤をゴム状ポリマーの溶液(リビングポリマーのゴム状セメント)に添加することによって官能化することができる。言い換えれば、リビングゴム状ポリマーの末端金属基1モルあたり約1モルの式Iの停止剤を添加する。そのようなポリマーの金属末端基のモル数は、開始剤に利用された金属のモル数であると推定される。当然ながら、化学量論量より多い式Iの停止剤を添加することも可能である。しかしながら、より多い量の利用は最終のポリマー性質に有益でない。それでも、多くの場合、少なくとも化学量論量が実際に使用されることを確実にするため又は官能化反応の化学量論を制御するために、わずかに過剰の式Iの停止剤を利用するのが望ましいであろう。ほとんどの場合、処理されるリビングポリマー中の金属末端基1モルあたり約0.8〜約1.1モルの式Iの停止剤が利用される。万一、ゴム状ポリマーの金属終端鎖末端のすべてを官能化することが所望でない場合、当然ながら、より少量の式Iの停止剤を利用することもできる。
式Iの停止剤は、金属終端リビングゴム状ポリマーと非常に広い温度範囲にわたって反応する。実践的理由から、そのようなリビングゴム状ポリマーの官能化は通常0℃〜150℃の範囲内の温度で実施される。反応速度を増大するために、ほとんどの場合、20℃〜100℃の範囲内の温度を利用するのが好適で、50℃〜80℃の範囲内の温度が最も好適である。キャッピング反応は非常に迅速で、通常0.5〜4時間の範囲内のごく短い反応時間しか必要としない。しかしながら、場合によっては、最大変換を確実にするために約24時間までの反応時間を使用することもある。
官能化反応の完了後、残存しているリビングポリジエン鎖があれば、それを“止める(kill)”のが通常望ましいであろう。これは、メタノール又はエタノールなどのアルコールを官能化反応の完了後にポリマーセメントに添加し、式Iの停止剤との反応によって消費されなかった何らかのリビングポリマーを除去することによって達成できる。その後、末端基官能化ポリジエンゴムは、標準技術を用いて溶液から回収できる。
官能化ポリマーは配合されてゴム組成物にすることができる。
ゴム組成物は、所望により、官能化ポリマーの他にオレフィン性不飽和を含有する一つ又は複数のゴム又はエラストマーを含んでいてもよい。“オレフィン性不飽和を含有するゴム又はエラストマー”又は“ジエン系エラストマー”という語句は、天然ゴム及びその各種未加工形及び再生形、並びに各種合成ゴムのどちらも含むものとする。本発明の記載において、“ゴム”及び“エラストマー”という用語は、別段の規定のない限り互換的に使用されうる。“ゴム組成物”、“配合ゴム”及び“ゴムコンパウンド”という用語は、各種成分及び材料とブレンド又は混合されているゴムのことを言うのに互換的に使用され、そのような用語はゴム混合又はゴム配合分野の当業者には周知である。代表的な合成ポリマーは、ブタジエン及びその同族体及び誘導体、例えばメチルブタジエン、ジメチルブタジエン及びペンタジエンのホモ重合生成物、並びにブタジエン又はその同族体もしくは誘導体とその他の不飽和モノマーとから形成されるようなコポリマーである。後者に含まれるものとしては、アセチレン、例えばビニルアセチレン;オレフィン、例えばイソブチレン(イソプレンと共重合してブチルゴムを形成する);ビニル化合物、例えばアクリル酸、アクリロニトリル(ブタジエンと重合してNBRを形成する)、メタクリル酸及びスチレン(後者の化合物はブタジエンと重合してSBRを形成する)のほか、ビニルエステル及び各種不飽和アルデヒド、ケトン及びエーテル、例えばアクロレイン、メチルイソプロペニルケトン及びビニルエチルエーテルなどが挙げられる。合成ゴムの具体例は、ネオプレン(ポリクロロプレン)、ポリブタジエン(シス−1,4−ポリブタジエンを含む)、ポリイソプレン(シス−1,4−ポリイソプレンを含む)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、例えばクロロブチルゴム又はブロモブチルゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、1,3−ブタジエン又はイソプレンとスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレートなどのモノマーとのコポリマー、並びにエチレン/プロピレンターポリマー(エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)としても知られる)、特にエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンターポリマーなどである。使用できるゴムの追加例は、アルコキシ−シリル末端官能化溶液重合ポリマー(SBR、PBR、IBR及びSIBR)、ケイ素結合及びスズ結合星状枝分れポリマーなどである。好適なゴム又はエラストマーはポリイソプレン(天然又は合成)、ポリブタジエン及びSBRである。
一側面において、少なくとも一つの追加ゴムは、好ましくはジエン系ゴムの少なくとも二つである。例えば、シス1,4−ポリイソプレンゴム(天然又は合成、ただし天然が好適)、3,4−ポリイソプレンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、乳化重合及び溶液重合由来スチレン/ブタジエンゴム、シス1,4−ポリブタジエンゴム及び乳化重合調製ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーなどの二つ以上のゴムの組合せが好適である。
本発明の一側面において、約20〜約28パーセントの結合スチレンという比較的従来的なスチレン含有量を有する乳化重合由来スチレン/ブタジエン(E−SBR)が使用されうる。又は用途によっては、比較的高い結合スチレン含有量、すなわち約30〜約45パーセントの結合スチレン含有量を有するE−SBRである。
乳化重合調製E−SBRとは、スチレンと1,3−ブタジエンが水性エマルジョンとして共重合されることを意味する。そのようなことは当業者には周知である。結合スチレン含有量は、例えば、約5〜約50パーセントの間で変動しうる。一側面において、E−SBRは、アクリロニトリルも含有してE−SBARとしてターポリマーゴムを形成することもできる。その場合、ターポリマー中に例えば約2〜約30重量パーセントの量の結合アクリロニトリルが含有される。
約2〜約40重量パーセントの結合アクリロニトリルをコポリマー中に含有する乳化重合調製スチレン/ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーゴムも、本発明で使用するためのジエン系ゴムとして想定されている。
溶液重合調製SBR(S−SBR)は、典型的には、約5〜約50、好ましくは約9〜約36パーセントの範囲の結合スチレン含有量を有する。S−SBRは、例えば、有機炭化水素溶媒の存在下、有機リチウム触媒作用によって都合よく調製できる。
一態様において、シス1,4−ポリブタジエンゴム(BR)が使用されうる。そのようなBRは、例えば、1,3−ブタジエンの有機溶液重合によって調製できる。BRは、例えば、少なくとも90パーセントのシス1,4−含有量を有することによって都合よく特徴付けできる。
シス1,4−ポリイソプレン及びシス1,4−ポリイソプレン天然ゴムは、ゴム分野の当業者には周知である。
本明細書中で使用されている、従来の慣例による用語“phr”は、“100重量部のゴム、又はエラストマーあたりの各材料の重量部”を意味する。
ゴム組成物は70phrまでのプロセス油も含みうる。プロセス油は、典型的にはエラストマーを増量するために使用される増量油(extending oil)としてゴム組成物中に含まれていてもよい。プロセス油は、ゴム配合中に直接オイルを添加することによってゴム組成物中に含めることもできる。使用されるプロセス油は、エラストマー中に存在する増量油及び配合中に添加されるプロセス油の両方を含みうる。適切なプロセス油は、当該技術分野で知られている各種油、例えば芳香族油、パラフィン系油、ナフテン系油、植物油、及び低PCA油、例えばMES、TDAE、SRAE及び重ナフテン系油などである。適切な低PCA油は、IP346法による測定で多環芳香族含有量が3重量パーセント未満のものなどである。IP346法の手順は、英国石油学会(Institute of Petroleum)出版のStandard Methods for Analysis & Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts、2003年、第62版に見ることができる。
ゴム組成物は約10〜約150phrのシリカを含みうる。別の態様では、20〜80phrのシリカが使用されうる。
ゴムコンパウンドに使用できる一般的に用いられるケイ質顔料は、従来型の焼成(pyrogenic)及び沈降ケイ質顔料(シリカ)を含む。一態様においては沈降シリカが使用される。本発明で使用される従来型ケイ質顔料は、例えば、ケイ酸ナトリウムなどの可溶性ケイ酸塩の酸性化によって得られるような沈降シリカである。
そのような従来型シリカは、例えば、窒素ガスを用いて測定されたBET表面積を有することによって特徴付けされうる。一態様において、BET表面積は、1グラムあたり約40〜約600平方メートルの範囲でありうる。別の態様において、BET表面積は、1グラムあたり約80〜約300平方メートルの範囲でありうる。表面積を測定するBET法は、Journal of the American Chemical Society、第60巻、304ページ(1930)に記載されている。
従来型シリカは、約100〜約400、あるいは約150〜約300のジブチルフタレート(DBP)吸収値を有することによって特徴付けすることもできる。
従来型シリカは、電子顕微鏡による測定で例えば0.01〜0.05ミクロンの範囲の平均極限粒径を有すると予想されうるが、シリカ粒子は、さらに小さい、又はおそらくは大きいサイズであってもよい。
様々な市販シリカが使用できる。例えば、本明細書において、ほんの例として及び制限なしに挙げると、PPG Industries社から商標Hi−Sil、規格210、243などで市販されているシリカ;Rhodia社から例えば規格Z1165MP及びZ165GRで入手できるシリカ;及びDegussa AG社から例えば規格VN2及びVN3で入手できるシリカなどである。
一般的に使用されるカーボンブラックが従来型充填剤として10〜150phrの範囲の量で使用できる。別の態様では20〜80phrのカーボンブラックが使用できる。そのようなカーボンブラックの代表例は、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N242、N293、N299、N315、N326、N330、N332、N339、N343、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N683、N754、N762、N765、N774、N787、N907、N908、N990及びN991などである。これらのカーボンブラックは、9〜145g/kgの範囲のヨウ素吸収及び34〜150cm/100gの範囲のDBP数を有している。
他の充填剤もゴム組成物に使用できる。例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの粒状充填剤、米国特許第6,242,534号;6,207,757号;6,133,364号;6,372,857号;5,395,891号;又は6,127,488号(これらに限定されない)に開示されているような架橋粒状ポリマーゲル、及び米国特許第5,672,639号(これに限定されない)に開示されているような可塑化デンプン複合充填剤などであるが、これらに限定されない。そのようなその他の充填剤は1〜30phrの範囲の量で使用されうる。
一態様において、ゴム組成物は従来型の硫黄含有有機ケイ素化合物を含有しうる。一態様において、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’−ビス(トリメトキシ又はトリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドである。一態様において、硫黄含有有機ケイ素化合物は、3,3’−ビス(トリトリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド及び/又は3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。
別の態様において、適切な硫黄含有有機ケイ素化合物は、米国特許第6,608,125号に開示されている化合物を含む。一態様において、硫黄含有有機ケイ素化合物は、Momentive Performance Materials社からNXT(登録商標)として市販されている3−(オクタノイルチオ)−1−プロピルトリエトキシシラン、CH(CHC(=O)−S−CHCHCHSi(OCHCHを含む。
別の態様において、適切な硫黄含有有機ケイ素化合物は、米国特許公開第2003/0130535号に開示されているものを含む。一態様において、硫黄含有有機ケイ素化合物はDegussa社製Si−363である。
ゴム組成物中の硫黄含有有機ケイ素化合物の量は、使用されるその他の添加剤の量によって変動する。一般的に言えば、該化合物の量は0.5〜20phrの範囲であろう。一態様において、その量は1〜10phrの範囲であろう。
当業者であれば、ゴム組成物は、ゴム配合分野で一般的に知られている方法によって配合されるであろうことは容易に分かるはずである。例えば、様々な硫黄加硫可能成分ゴムを、一般的に使用されている様々な添加剤材料、例えば、硫黄供与体、硬化補助剤、例えば活性化剤及び遅延剤及び加工添加剤、例えばオイル、粘着付与樹脂を含む樹脂及び可塑剤、充填剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤及びオゾン劣化防止剤及びしゃく解剤などと混合する。当業者には分かる通り、硫黄加硫可能(sulfur vulcanizable)材料及び硫黄加硫(sulfur-vulcanized)材料(ゴム)の意図する使用に応じて、上記添加剤は選択され、従来量で一般的に使用される。硫黄供与体の代表例は、元素硫黄(遊離硫黄)、アミンジスルフィド、ポリマー性ポリスルフィド及び硫黄オレフィン付加物などである。一態様において、硫黄加硫剤は元素硫黄である。硫黄加硫剤は、0.5〜8phrの範囲、あるいは1.5〜6phrの範囲の量で使用されうる。粘着付与樹脂の典型的な量は、使用される場合、約0.5〜約10phr、通常約1〜約5phrを含む。加工助剤の典型的な量は約1〜約50phrを含む。抗酸化剤の典型的な量は約1〜約5phrを含む。代表的抗酸化剤は、例えばジフェニル−p−フェニレンジアミン及びその他、例えばThe Vanderbilt Rubber Handbook(1978),344〜346ページに開示されているものであろう。オゾン劣化防止剤の典型的な量は約1〜約5phrを含む。脂肪酸の典型的な量は、使用される場合、ステアリン酸などでありうるが、約0.5〜約3phrを含む。酸化亜鉛の典型的な量は約2〜約5phrを含む。ワックスの典型的な量は約1〜約5phrを含む。微晶質ワックスが使用されることが多い。しゃく解剤の典型的な量は約0.1〜約1phrを含む。典型的なしゃく解剤は、例えば、ペンタクロロチオフェノール及びジベンズアミドジフェニルジスルフィドであろう。
促進剤は、加硫に要する時間及び/又は温度を制御するため、及び加硫物の性質を改良するために使用される。一態様において、単一促進剤系、すなわち一次促進剤が使用されうる。一次促進剤(一つ又は複数)は、約0.5〜約4、あるいは約0.8〜約1.5phrの範囲の総量で使用されうる。別の態様では、活性化及び加硫物の性質を改良するために、一次及び二次促進剤の組合せが使用されうる。その場合、二次促進剤は少量、例えば約0.05〜約3phr使用される。これらの促進剤の組合せは、最終性質に対して相乗効果をもたらすことが期待され、いずれかの促進剤を単独で使用して製造されたものよりも多少良好である。さらに、標準的な加工温度には影響されないが、通常の加硫温度で満足のいく硬化をもたらす遅延作用促進剤を使用することもできる。加硫遅延剤も使用できる。本発明に使用されうる適切なタイプの促進剤は、アミン、ジスルフィド、グアニジン、チオウレア、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、ジチオカルバメート及びキサンテートである。一態様において、一次促進剤はスルフェンアミドである。二次促進剤を使用する場合、二次促進剤は、グアニジン、ジチオカルバメート又はチウラム化合物であろう。
ゴム組成物の混合は、ゴム混合分野の当業者に公知の方法によって達成できる。例えば、成分は典型的には少なくとも二つの段階、すなわち、少なくとも一つのノンプロダクティブ段階とそれに続くプロダクティブ混合段階で混合される。硫黄加硫剤を含む最終硬化剤は典型的には最終段階で混合される。この段階は従来、“プロダクティブ”混合段階と呼ばれ、そこでは混合が典型的にはその前のノンプロダクティブ混合段階(一つ又は複数)の混合温度より低い温度、又は極限温度で行われる。“ノンプロダクティブ”及び“プロダクティブ”混合段階という用語は、ゴム混合分野の当業者には周知である。ゴム組成物は、熱機械的混合ステップに付してもよい。熱機械的混合ステップは、一般的に、ミキサー又は押出機内での機械的作業を含み、140℃〜190℃のゴム温度を生ずるために適切な時間実施される。熱機械的作業の適切な時間は、運転条件、並びに成分の体積及び性質に応じて変動する。例えば、熱機械的作業は1〜20分であろう。
当該ゴム組成物は、タイヤの様々なゴム部品に組み込むことができる。例えば、ゴム部品は、トレッド(トレッドキャップ及びトレッドベースを含む)、サイドウォール、アペックス、チェーファー、サイドウォールインサート、ワイヤコート又はインナーライナーでありうる。一態様において、該部品はトレッドである
本発明の空気入りタイヤは、レース用タイヤ、乗用車用タイヤ、航空機用タイヤ、農業用、土工機械用、オフロード用、トラック用タイヤなどでありうる。一態様において、タイヤは乗用車又はトラック用タイヤである。タイヤはラジアルでもバイアスでもよい。
本発明の空気入りタイヤの加硫は、一般的に約100℃〜200℃の範囲の従来温度で実施される。一態様において、加硫は約110℃〜180℃の範囲の温度で実施される。成形機又は金型内での加熱、過熱蒸気又は熱風での加熱といった通常の加硫プロセスのいずれも使用できる。そのようなタイヤは、当業者に知られている及び容易に明らかな様々な方法によって構築、成形(shaped)、成型(molded)及び硬化できる。
本発明を以下の実施例によって例示するが、下記実施例は単に例示を目的としたものであって、本発明の範囲又はそれを実施しうる様式の制限と見なされてはならない。特に明記しない限り、部及びパーセンテージは重量によって示されている。
実施例1.
S−ベンジルS’−トリメトキシシリルプロピルトリチオカーボネートの合成:
50mLの無水メタノール中3−(メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(30ミリモル)の撹拌溶液に、ナトリウムメトキシドのメタノール中溶液(メタノール中25重量%、30ミリモル)を窒素下で滴加した。30分間の撹拌後、二硫化炭素(40ミリモル)を該溶液に滴加し、混合物を周囲温度で3時間撹拌した。黄色溶液に臭化ベンジル(30ミリモル)を加え、混合物を窒素下で3.5時間撹拌した。混合物を濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、ろ過し、減圧下で濃縮し、そしてシュレンクライン(Schlenk line)で一晩乾燥させた。合成化合物の純度はH−NMR(400MHz)によって特徴付けした。
実施例2.
S−ベンジルS’−トリエトキシシリルプロピルトリチオカーボネートの合成:
50mLの無水エタノール中3−(メルカプトプロピル)トリエトキシシラン(30ミリモル)の撹拌溶液に、ナトリウムエトキシドのエタノール中溶液(エタノール中21重量%、30ミリモル)を窒素下で滴加した。30分間の撹拌後、二硫化炭素(40ミリモル)を該溶液に滴加し、混合物を周囲温度で3時間撹拌した。黄色溶液に臭化ベンジル(30ミリモル)を加え、混合物を窒素下で3.5時間撹拌した。混合物を濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、ろ過し、減圧下で濃縮し、そしてシュレンクラインで一晩乾燥させた。合成化合物の純度はH−NMR(400MHz)によって特徴付けした。
実施例3.
シラン,トリメトキシ[3−(フェニルメチル)チオ]プロピル]の合成:
50mLの無水メタノール中3−(メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(30ミリモル)の撹拌溶液に、ナトリウムメトキシドのメタノール中溶液(メタノール中25重量%、30ミリモル)を窒素下で滴加した。30分間の撹拌後、臭化ベンジル(30ミリモル)を該溶液に滴加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、ろ過し、減圧下で濃縮し、そしてシュレンクラインで一晩乾燥させた。合成化合物はH−NMR(400MHz)によって特徴付けした。
実施例4.
シラン,トリエトキシ[3−(フェニルメチル)チオ]プロピル]の合成:
50mLの無水エタノール中3−(メルカプトプロピル)トリエトキシシラン(30ミリモル)の撹拌溶液に、ナトリウムエトキシドのエタノール中溶液(エタノール中21重量%、30ミリモル)を窒素下で滴加した。30分間の撹拌後、臭化ベンジル(30ミリモル)を該溶液に滴加し、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、ジクロロメタンで希釈し、ろ過し、減圧下で濃縮し、そしてシュレンクラインで一晩乾燥させた。合成化合物はH−NMR(400MHz)によって特徴付けした。
実施例5.
スチレンとブタジエンの共重合
重合は1ガロンの反応器内65℃で実施された。スチレンとブタジエンのモノマープレミックスを反応器に装入し、次いで変性剤(TMEDA、5.7ミリモル)及び開始剤(n−ブチルリチウム、1.6ミリモル)を加えた。変換率が98%を超えたら、重合をイソプロパノール又は官能性停止剤(S−ベンジルS’−トリエトキシシリルプロピルトリチオカーボネート及びシラン,トリエトキシ[3−(フェニルメチル)チオ]プロピル])で停止させた。
得られたポリマーを、異なる技術、例えば分子量の決定についてはSEC、Tgの決定についてはDSC、シス、トランス、スチレン及びビニル含有量の決定についてはIR、及びムーニー粘度を用いて特徴付けした(結果を表1に示す)。
Styron社から市販されているスルファニルシラン官能化溶液重合スチレン−ブタジエンゴム。
溶液重合スチレン−ブタジエンゴム。
実施例2のS−ベンジルS’−トリエトキシシリルプロピルトリチオカーボネートで停止させた溶液重合スチレン−ブタジエン。
実施例4のシラン,トリエトキシ[3−(フェニルメチル)チオ]プロピル]で停止させた溶液重合スチレン−ブタジエン。
実施例6.
混合の研究及びコンパウンドの試験:
実施例3の官能化SBR並びに対照(非官能化SBR)及び比較のチオール/シラン官能化SBRを、バンバリー(Banbury)(登録商標)ローターを備えた3ピース75mL CW ブラベンダー(Brabender)(登録商標)ミキサー中で、シリカ及びオイルと混合した。
SBRサンプルを表2に示すように三段階の混合手順で添加剤と混合した。すべての量は100重量部のエラストマーあたりの重量部(phr)で示されている。全成分をシリカに混ぜ込んだ。第一のノンプロダクティブ混合段階で、コンパウンドは出発温度として140℃を用い、60rpmで4分間混合された。第二のノンプロダクティブ混合段階の前に全コンパウンドを圧縮成形機で1分間プレスした。第二のノンプロダクティブステップでは、混合条件は第一のノンプロダクティブステップと同一で、混合時間は3分間であった。プロダクティブ混合は、60℃の出発温度及び60rpm、混合時間3分間を用いて実施された。
ビス(トリエトキシプロピルシリル)ジスルフィド
コンパウンドのシリカ相互作用について、Alpha Technology社のRPA2000(登録商標)を用いて試験した。グリーン(未硬化)コンパウンドをまず160℃に加熱し、1Hz及び0.48%歪を用いてトルクの増加を時間の関数としてモニターし、充填剤の“凝集(flocculation)”速度を決定した。その後、コンパウンドを40℃に冷却し、1Hzを用いて歪掃引(strain sweep)を実施し、ペイン効果(Payne effect)、すなわちG’、G”及びtanデルタの歪依存性を決定した。硬化は160℃で7%歪を用いて実施した。最初に硬化コンパウンドの動的性質を、サンプルを160℃で30分間、静的硬化を模すために可能な限り低い歪で硬化することによって測定した。このサンプルを冷却後、グリーンコンパウンドで示された様式で試験した。
実施例7.
本実施例では、第一のノンプロダクティブ混合ステップにおけるシランの添加を示す。コンパウンドの混合は実施例6に従って実施し、第一のノンプロダクティブ混合段階でシランカップリング剤を添加した後、第二のノンプロダクティブステップを続けた。この実施例ではプロダクティブ混合ステップは実施しなかった。
図1に、RPAにて160℃低歪でのサンプルの30分間の熱処理後、ノンプロダクティブコンパウンドに対して40℃で実施された歪掃引の結果を示す。図1に示されているように、非官能化対照サンプル2及びチオエーテル官能化ポリマーサンプル4のG’及びtanデルタは、最も高い歪依存性を示している。比較ポリマーサンプル1及びトリチオカーボネート官能化ポリマーサンプル3は、低減された歪依存性を示している。これは、充填剤−充填剤相互作用が小さい又は充填剤ポリマー相互作用が大きいことを示す。
低振幅(0.48%歪)モジュラス(LAM)及び高振幅(100%歪)モジュラス(HAM)の比率はペイン効果の尺度で、表3に各種サンプルの結果を示す。LAM/HAM比が高いほどポリマー−充填剤相互作用は小さい。表3から分かるように、非官能化対照ポリマーサンプル2は最も高いLAM/HAM値を示し、ポリマー−充填剤相互作用が最小であることを示しているが、サンプル1及びトリチオカーボネート官能化ポリマーサンプル3は最も低いLAM/HAM比を示している。
実施例8.
本実施例では、シラン添加なしのノンプロダクティブ混合を示す。コンパウンドの混合は実施例6に従って実施し、第一のノンプロダクティブ混合段階の後に第二のノンプロダクティブステップを続けた。この実施例ではプロダクティブ混合ステップは実施しなかった。
図2に、RPAにて160℃低歪でのサンプルの30分間の熱処理後、ノンプロダクティブコンパウンドに対して40℃で実施された歪掃引の結果を示す。この場合、ポリマー鎖末端と充填剤間の相互作用だけを評価するために、カップリング剤は加えなかった。本例では、実施例7でカップリング剤を使用した場合に得られた結果と同様、対照サンプル2及びチオエーテル官能化ポリマーサンプル4のG’及びtanデルタは最も高い歪依存性を示している。比較サンプル1及びトリチオカーボネート官能化ポリマーサンプル3は、低減された歪依存性を示している。
低振幅(0.48%歪)及び高振幅(100%歪)モジュラスの比率を表4に示す。シランカップリング剤を使用しない場合、ペイン効果は、実施例7でシランカップリング剤を使用した場合に観察されたペイン効果と比べて増強されている。対照サンプル2及びチオエーテル官能化ポリマーサンプル4は最も高いLAM/HAM値、すなわち相対的に高いペイン効果を示している。比較サンプル1及びトリチオカーボネート官能化ポリマーサンプル3は最も低いペイン効果を示し、良好なポリマー−充填剤相互作用を示している。良好なポリマー−充填剤相互作用の結果、比較及びトリチオカーボネート官能化ポリマーのtanデルタは、非官能化対照及びチオエーテル官能化ポリマーより低い。
実施例9.
本実施例では、プロダクティブバッチにおけるシランの添加を示す。コンパウンドの混合は実施例6に従って実施し、第一のノンプロダクティブ混合段階の後に第二のノンプロダクティブステップ、最後にプロダクティブ混合ステップを続けた。シランカップリング剤の添加は第一のノンプロダクティブ混合段階で実施した。
シランカップリング剤を用い、7%歪で得られた硬化曲線を図3に示す。硬化パラメーターの最大トルクS’max及びトルク変化デルタS’を表5に示す。
歪掃引は別々のRPA運転で実施した。これらの運転で、サンプルは、静的硬化を模すため及び充填剤−充填剤又は充填剤−ポリマー相互作用を変化させないために、可能な限り低い歪(0.28%)を用いて160℃で30分間硬化された。歪掃引硬化は40℃で得た。これを図4に示す。
低振幅(0.48%歪)及び高振幅(100%歪)モジュラスの比率を表6に示す。硬化コンパウンドに対して実施された歪掃引によれば、比較サンプル1及びトリチオカーボネート官能化ポリマーサンプル3は、非官能化対照ポリマーサンプル2より低減されたペイン効果、従って改良されたポリマー充填剤相互作用を示している。
実施例10.
本実施例では、シラン添加なしのプロダクティブコンパウンドの混合を示す。コンパウンドの混合は実施例6に従って実施し、第一のノンプロダクティブ混合段階の後に第二のノンプロダクティブステップ及びプロダクティブステップを続けた。シランカップリング剤は添加しなかった。
シランカップリング剤なしの7%歪におけるプロダクティブサンプルの硬化曲線を図5に示す。硬化パラメーターの最大トルクS’max及びトルク変化デルタS’を表7に示す。
歪掃引は別々のRPA運転で実施した。これらの運転で、サンプルは、静的硬化を模すため及び充填剤−充填剤又は充填剤−ポリマー相互作用を変化させないために、可能な限り低い歪(0.28%)を用いて160℃で30分間硬化された。低振幅(0.48%歪)及び高振幅(100%歪)モジュラスの比率を表8に示す。歪掃引曲線は40℃で得た。これを図6に示す。
硬化コンパウンドに対して実施された歪掃引によれば、トリチオカーボネート官能化ポリマーサンプル3は、非官能化ポリマー対照サンプル2と比べて低減されたペイン効果、従って改良されたポリマー充填剤相互作用を示している。さらに、比較サンプル1及びトリチオカーボネート官能化ポリマーサンプル3のtanデルタ値は、非官能化対照サンプル2及びチオエーテル官能化ポリマーサンプル4と比べて低い。
考察
上に示したように、比較サンプル1及びトリチオカーボネート官能化ポリマーサンプル3はいずれも、非官能化対照サンプル2及びチオエーテル官能化ポリマーサンプル4と比べて低減されたペイン効果及び低いtanデルタ値を示している。何らかの理論に束縛されたくはないが、これは、以下の考察に示すように、これらのポリマー中に存在する末端基の違いによって説明できるであろう。
比較サンプル1では、ポリマーは、US2008/0287601に記載されているようなシロキシ及び硫黄シラン基を基にした末端停止剤を用いて終端されている。シロキシ及び硫黄−シラン基の両方を持つポリマー鎖では、シロキシ基はシリカ表面との共有結合性相互作用を提供するのに役立ち、シランで保護された硫黄はポリマー鎖間の相互作用を提供するのに役立つ。硫黄−シラン基は、混合中に切断の可能性を有するため、活性チオール基の生成をもたらし、これが架橋に役立ちうる。比較サンプル1は、より良好な加工性の達成に役立ちうる追加のカップリング剤を用いてカップリングされている。
トリチオカーボネート官能化ポリマーサンプル3は、シロキシ及びトリチオカーボネート基を基にした末端停止剤を用いて終端されている。比較ポリマーサンプル1と同様、シロキシ基はシリカとの共有結合性相互作用を提供するのに役立ち、トリチオカーボネート基はポリマー鎖間の良好な相互作用を達成するのに役立つ。シロキシ官能化トリチオカーボネートが末端停止剤として使用されると、活性ポリマー鎖はアルコキシ基の求核置換を通じて末端基に結合される可能性があるほか、ポリマー鎖はチオカルボニル結合にも結合できる。シロキシ基に結合されたポリマー鎖はポリマー鎖と充填剤間の良好な相互作用の達成に役立ち、一方、末端停止剤の第二の官能基は、この場合(トリチオカーボネートから生じた)チオールであるが、架橋を通じてポリマー鎖の相互作用に役立つ。トリチオカーボネート基は混合中におそらく切断されてチオール基になり、このようにして生じたチオール基がポリマー鎖の良好な架橋に役立つ。シロキシトリチオカーボネート末端停止剤を使用すると、何らかの追加的カップリング剤を添加せずともポリマー鎖間のカップリングを達成することも可能である。なぜならば、シロキシ及びトリチオカーボネート基を基にした末端停止剤は、二つの異なる方法でリビングアニオン性ポリマーと相互作用できるからである。一つの方法は、シロキシトリチオカーボネート上に存在するエトキシド基のポリマー鎖による置換であり、第二の方法はアニオン性ポリマー鎖とチオカルボニル基との反応である。
チオエーテル官能化ポリマーサンプル4は、混合中に生成するチオール基を有することの、ペイン効果の低減における利益を観察するために合成された。チオエーテル基は安定なので、活性チオール基を生成することができない。チオエーテル官能化ポリマーは、シリカと共有結合的に相互作用できるシロキシ基を持つ。しかしながら、トリチオカーボネート官能化ポリマーサンプル3と異なり、追加の相互作用が存在しない。従って、チオエーテル官能化ポリマーは、比較及びトリチオカーボネート官能化ポリマーより高いペイン効果を有する。
非官能化ポリマーサンプル2は、シリカとの相互作用における官能化対非官能化の挙動の違いを観察するために対照として合成された。非官能化ポリマーサンプル2は、すべての場合で最も高いペイン効果を示した。つまり、シリカと相互作用できる官能基がないためにシリカとの相互作用が最も低いことを意味する。しかしながら、カップリング剤を使用するとペイン効果の低減が観察されるが、シラン性カップリング剤を用いたトリチオカーボネート官能化ポリマーで観察されるそれと比較した場合、依然として高い。
主題発明を例示する目的で一定の代表的態様及び詳細を示してきたが、主題発明の範囲から逸脱することなく、その中で多様な変更及び修正が可能であることは当業者には明らかであろう。
[発明の態様]
1.リビングアニオン性エラストマー性ポリマーと;式I:
[式中、R、R及びRは、独立に、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであるが、ただしR、R及びRの少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり;RはC1〜C8アルキルであり;Siはケイ素であり;Sは硫黄であり;そしてZは、R又は式II:
であり、ここでRは、アルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルである]
の重合停止剤との反応生成物を含む官能化エラストマー。
2.R、R及びRがそれぞれC1〜C8アルコキシである、1記載の官能化エラストマー。
3.Zが式IIである、1記載の官能化エラストマー。
4.Zが、アルキル、アリール、アルキルアリール、又はアリールアルキルである、1記載の官能化エラストマー。
5.リビングアニオン性エラストマーが、少なくとも一つのジエンモノマー及び所望により少なくとも一つのビニル芳香族モノマーから誘導されている、1記載の官能化エラストマー。
6.リビングアニオン性エラストマーが、イソプレン及びブタジエンの少なくとも一つ、及び所望によりスチレンから誘導されている、1記載の官能化エラストマー。
7.リビングアニオン性エラストマーがブタジエン及びスチレンから誘導されている、1記載の官能化エラストマー。
8.式Iの重合停止剤が、構造:
[式中、Etはエチルである]
を有する、1記載の官能化エラストマー。
9.1記載の官能化エラストマーを含むゴム組成物。
10.さらにシリカを含む、9記載のゴム組成物。
11.9記載のゴム組成物を含む空気入りタイヤ。

Claims (11)

  1. リビングアニオン性エラストマー性ポリマーと;式I:
    [式中、R、R及びRは、独立に、C1〜C8アルキル又はC1〜C8アルコキシであるが、ただしR、R及びRの少なくとも二つはC1〜C8アルコキシであり;RはC1〜C8アルキルであり;Siはケイ素であり;Sは硫黄であり;そしてZは、R又は式II:
    であり、ここでRは、アルキル、アリール、アルキルアリール又はアリールアルキルである]
    の重合停止剤との反応生成物であることを特徴とする官能化エラストマー。
  2. 、R及びRがそれぞれC1〜C8アルコキシであることを特徴とする、請求項1に記載の官能化エラストマー。
  3. Zが式IIであることを特徴とする、請求項1に記載の官能化エラストマー。
  4. Zが、アルキル、アリール、アルキルアリール、又はアリールアルキルであることを特徴とする、請求項1に記載の官能化エラストマー。
  5. リビングアニオン性エラストマーが、少なくとも一つのジエンモノマー及び所望により少なくとも一つのビニル芳香族モノマーから誘導されていることを特徴とする、請求項1に記載の官能化エラストマー。
  6. リビングアニオン性エラストマーが、イソプレン及びブタジエンの少なくとも一つ、及び所望によりスチレンから誘導されていることを特徴とする、請求項1に記載の官能化エラストマー。
  7. リビングアニオン性エラストマーがブタジエン及びスチレンから誘導されていることを特徴とする、請求項1に記載の官能化エラストマー。
  8. 式Iの重合停止剤が、構造:
    [式中、Etはエチルである]
    を有することを特徴とする、請求項1に記載の官能化エラストマー。
  9. 請求項1に記載の官能化エラストマーであることを特徴とするゴム組成物。
  10. さらにシリカを含むことを特徴とする、請求項9に記載のゴム組成物。
  11. 請求項9に記載のゴム組成物を特徴とする空気入りタイヤ。
JP2012256003A 2011-11-22 2012-11-22 官能化ポリマー、それを含むゴム組成物及び空気入りタイヤ Active JP6161264B2 (ja)

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