JP2013098485A - 希土類磁石の製造装置と製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼結体〜配向磁石の製造過程で受ける熱エネルギーを低減でき、結晶粒の粗大化を抑制し、製造効率を向上できる希土類磁石の製造装置と製造方法を提供する。
【解決手段】断面積が相対的に大きな第1の中空4aと相対的に小さな第2の中空4bが連通する中空を具備するダイ4と、第1の中空内で移動自在な第1のパンチ2と、第2の中空内で移動自在な第2のパンチ3と、第1、第2のパンチ2,3を相互に接近させ、もしくは離間させる主駆動部5,6と、第1、第2のパンチ2,3に対してダイ4を相対的に移動させる副駆動部7と、を少なくとも備え、ダイ4と、第1、第2のパンチ2,3にて形成されたキャビティC内に希土類磁石材料となる粉末pが充填されるようになっており、第1、第2のパンチ2,3の移動制御とダイ4の移動制御、および加熱制御によって希土類磁石を製造する製造装置10である。
【選択図】図1
【解決手段】断面積が相対的に大きな第1の中空4aと相対的に小さな第2の中空4bが連通する中空を具備するダイ4と、第1の中空内で移動自在な第1のパンチ2と、第2の中空内で移動自在な第2のパンチ3と、第1、第2のパンチ2,3を相互に接近させ、もしくは離間させる主駆動部5,6と、第1、第2のパンチ2,3に対してダイ4を相対的に移動させる副駆動部7と、を少なくとも備え、ダイ4と、第1、第2のパンチ2,3にて形成されたキャビティC内に希土類磁石材料となる粉末pが充填されるようになっており、第1、第2のパンチ2,3の移動制御とダイ4の移動制御、および加熱制御によって希土類磁石を製造する製造装置10である。
【選択図】図1
Description
本発明は、希土類磁石の製造装置と製造方法に関するものである。
ランタノイド等の希土類元素を用いた希土類磁石は永久磁石とも称され、その用途は、ハードディスクやMRIを構成するモータのほか、ハイブリッド車や電気自動車等の駆動用モータなどに用いられている。
この希土類磁石の磁石性能の指標として残留磁化(残留磁束密度)と保磁力を挙げることができるが、モータの小型化や高電流密度化による発熱量の増大に対し、使用される希土類磁石にも耐熱性に対する要求は一層高まっており、高温使用下で磁石の保磁力を如何に保持できるかが当該技術分野での重要な研究課題の一つとなっている。車両駆動用モータに多用される希土類磁石の一つであるNd-Fe-B系磁石を取り挙げると、結晶粒の微細化を図ることやNd量の多い組成合金を用いること、保磁力性能の高いDy、Tbといった重希土類元素を添加することなどによってその保磁力を増大させる試みがおこなわれている。
希土類磁石の製造方法を特許文献1に開示の製造方法を参照して概説すると、たとえばNd-Fe-B系の金属溶湯を急冷凝固して得られた微粉末を加圧成形しながら成形体とし、さらに焼結して焼結体を製造し、この焼結体に磁気的異方性を付与するべく熱間塑性加工を施して配向磁石を製造する。
上記するように、希土類磁石はまず焼結体を製造し、次いでこの焼結体に熱間塑性加工を施して配向磁石を成形するという工程を経るものであるが、これまでの製造方法においては、焼結体製造用の装置にて加圧成形と焼結をおこなって焼結体を製造し、次いでこの焼結体を装置から取り出し、取り出された焼結体を配向磁石製造用の別の装置に移して熱間塑性加工をおこない、配向磁石を製造している。
すなわち、焼結体を製造し、次いで配向磁石を製造する過程で加熱を2回に分けて実施することから、配向磁石ができる過程で付与される熱エネルギーの積算が大きくなってしまい、これが配向磁石を構成する結晶粒を粗大化させる要因となり、保磁力低下の原因となり得るという課題を有していた。
また、焼結体製造後に別途の配向磁石製造用の装置へこれを搬送して焼結体を設置するハンドリング手間や、このハンドリングによって製造効率が低下するといった課題も有している。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、希土類磁石の製造に当たり、焼結体の製造から熱間塑性加工による配向磁石の製造の過程でこれらが別途の製造装置でおこなわれることによって齎される熱エネルギーの積算増大に起因する結晶粒の粗大化の問題を解消することができ、別途の製造装置間で焼結体を搬送して設置するハンドリング手間やこれに起因する製造効率低下の問題も解消することのできる希土類磁石の製造装置と製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による希土類磁石の製造装置は、断面積が相対的に大きな第1の中空と相対的に小さな第2の中空が連通する中空を具備するダイと、第1の中空内でダイと摺動して移動自在な第1のパンチと、第2の中空内でダイと摺動して移動自在な第2のパンチと、第1、第2のパンチを相互に接近させ、もしくは離間させる主駆動部と、第1、第2のパンチに対してダイを相対的に移動させる副駆動部と、を少なくとも備え、ダイと、第1、第2のパンチにて形成されたキャビティ内に希土類磁石材料となる粉末が充填されるようになっており、第1、第2のパンチの移動制御とダイの移動制御、および加熱制御によって希土類磁石を製造するものである。
本発明の希土類磁石の製造装置は、一つの製造装置のみで、かつ一度の加熱制御(ワンヒート)で焼結体から配向磁石までの製造を連続的におこなうことのできる装置であり、このことにより、製造される希土類磁石に齎される熱エネルギーを可及的に少なくして結晶粒の粗大化を抑制しながら、焼結体と配向磁石の製造をそれぞれ別途の装置で製造する際のハンドリング手間やこれに起因する製造効率低下の問題を効果的に解消することのできる装置である。
この製造装置では、最終製品である希土類磁石が製造される過程の中間製品である焼結体、次いで磁気的異方性が付与された配向磁石までが製造されることになるが、本明細書では希土類磁石の製造装置と規定している。
製造装置を構成するダイと2つのパンチ(第1、第2のパンチ)は、それぞれが固有の駆動部にて移動自在な構成となっており、パンチに対してダイを、あるいはダイに対してパンチを相対的に移動させることができ、さらには、主駆動部と副駆動部を同期駆動させることでいずれか一方のパンチとダイを同期して移動制御できるようになっている。
たとえば液体急冷にて製作された微細な結晶粒である急冷薄帯(急冷リボン)からなる粉末をダイとパンチで形成されたキャビティ内に充填し、キャビティ内を所定温度まで加熱制御しながら主駆動部を作動して第1、第2のパンチを相互に接近させ、キャビティ内の粉末を加圧し、焼結して焼結体が得られる。
本発明の製造装置を構成するダイは変断面の中空を有しており、相対的に断面の大きな第1の中空内を相対的に断面の大きな第1のパンチが摺動し、他方で、相対的に断面の小さな第2の中空内を相対的に断面の小さな第2のパンチが摺動するようになっている。たとえば、相対的に断面の小さな第2の中空内で焼結体が製造された後に、副駆動部を作動させてパンチに対してダイを相対的に移動させる等することにより、焼結体を相対的に大きな第1の中空に移動させることができる。
第1の中空内に移動された焼結体に対し、高温雰囲気下で第1のパンチでこれを加圧することにより、焼結体を熱間塑性加工することができる。
なお、主駆動部と副駆動部は相互に平行な軸方向にピストンが駆動する油圧シリンダ、エアシリンダ等から構成することができる。
このように、変断面の中空を有するダイと断面積の異なる2つのパンチを使用し、パンチとダイをそれぞれ固有の駆動部にて駆動させるという新規の構成を備えた製造装置により、ワンヒートプロセスにて焼結体から配向磁石までを連続的に製造することができる。
また、本発明の製造装置の好ましい実施の形態として、主駆動部は、第1、第2のパンチをそれぞれ移動させる第1、第2の主駆動部からなり、第2の中空から構成されるキャビティ内に前記粉末が充填された後に以下の制御が実行される、(1)主駆動部を作動して第1、第2のパンチを相互に近接させ、充填された粉末を第2の中空内で加圧するとともに加熱して焼結体を製造する、(2)副駆動部を作動してダイを第1、第2のパンチに対して相対的に移動させて焼結体を第1の中空に臨ませるとともに、第2のパンチの第1の中空に臨む面と中空の断面変化位置を面一、もしくは第2のパンチの端面が第1の中空内に突出するように位置合わせする、(3)少なくとも第1の主駆動部を作動させ、第1のパンチを押し込んで焼結体をさらに加圧して第1の中空内で熱間塑性加工をおこなって希土類磁石となる配向磁石を製造する実施の形態を挙げることができる。
この実施の形態は主駆動部が2つの駆動部からなり、2つのパンチがそれぞれ固有の駆動部にて駆動するものである。
第1のパンチを駆動する第1の主駆動部、第2のパンチを駆動する第2の主駆動部、およびダイを駆動する副駆動部がいずれも平行な軸方向で駆動するように構成される。
さらに、本発明の製造装置のより好ましい実施の形態として、第1、第2のパンチとダイがチャンバー内に収容され、該チャンバー内が不活性ガス雰囲気下に調整される実施の形態を挙げることができる。
この形態の製造装置を使用することにより、焼結体〜配向磁石の製造に亘る全工程でこれらが大気曝露されないことから、大気曝露によって焼結体等が酸化するといった不具合は生じ得ない。
なお、このチャンバーはグローブボックス付きのチャンバーであってもよいし、ロボットハンド付きのチャンバーであってもよい。
また、本発明は希土類磁石の製造方法にも及ぶものであり、この製造方法は、断面積が相対的に大きな第1の中空と相対的に小さな第2の中空が連通する中空を具備するダイと、ダイと摺動してダイの中空内で移動自在な第1、第2のパンチと、からなる製造装置を使用して、製造装置のキャビティ内で希土類磁石を製造する製造方法であって、第2の中空で構成されるキャビティ内に希土類磁石材料となる粉末を充填し、第1、第2のパンチを相互に近接させて充填された粉末を加圧するとともに加熱して焼結体を製造する第1のステップ、第1、第2のパンチで焼結体を保持したまま、パンチとダイを相対的に移動させて焼結体を第1の中空で構成されるキャビティ内へ移動させ、第1、第2のパンチを相互に接近させて焼結体をさらに加圧して熱間塑性加工をおこない、希土類磁石となる配向磁石を製造する第2のステップからなるものである。
焼結体や配向磁石を製造する際に、ダイに対してパンチを移動させたり、パンチに対してダイを移動させながら、さらに、キャビティ内を所定温度まで加熱した後にその温度を維持するというワンヒート制御により、焼結体から配向磁石までを連続的に製造することができる。
なお、前記第1のステップと第2のステップを不活性ガス雰囲気下でおこなうことが好ましいことは既述の通りである。
以上の説明から理解できるように、本発明の希土類磁石の製造装置によれば、変断面の中空を有するダイと断面積の異なる2つのパンチを使用し、パンチとダイをそれぞれ固有の駆動部にて駆動させることにより、ワンヒートプロセスにて焼結体から配向磁石までを連続的に製造することができ、このことによって、製造される希土類磁石に齎される熱エネルギーを可及的に少なくして結晶粒の粗大化を抑制しながら、焼結体〜配向磁石までの製造効率を格段に向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の希土類磁石の製造装置と製造方法の実施の形態を説明する。
(希土類磁石の製造装置)
図1は本発明の希土類磁石の製造装置の一実施の形態の模式図である。同図で示す製造装置10は、チャンバー1と、このチャンバー1内に収容されるダイ4と第1、第2のパンチ2,3と、第1、第2のパンチ2,3およびダイ4をそれぞれ移動させる第1の主駆動部5、第2の主駆動部6、副駆動部7と、から大略構成されている。
図1は本発明の希土類磁石の製造装置の一実施の形態の模式図である。同図で示す製造装置10は、チャンバー1と、このチャンバー1内に収容されるダイ4と第1、第2のパンチ2,3と、第1、第2のパンチ2,3およびダイ4をそれぞれ移動させる第1の主駆動部5、第2の主駆動部6、副駆動部7と、から大略構成されている。
チャンバー1内には、アルゴンガス等の不活性ガスを提供する不図示の不活性ガス提供部とチャンバー内を真空引きする不図示の吸引部が設けてあり、焼結体から配向磁石の製造に際し、吸引部と不活性ガス提供部をともに作動させてチャンバー1内を所望の不活性ガス雰囲気に形成できるようになっている。
ダイ4は変断面の中空を有し、断面積が相対的に大きな第1の中空4aと、相対的に小さな第2の中空4bが連通して中空の全体(キャビティC)が構成される。そして、第1の中空4a内において該中空4aと同断面の第1のパンチ2が配され、第1の主駆動部5が作動することで第1のパンチ2が第1の中空4a内を摺動するようになっており(X1方向)、第2の中空4b内において該中空4bと同断面の第2のパンチ3が配され、第2の主駆動部6が作動することで第2のパンチ3が第2の中空4b内を摺動する(X2方向)ようになっている。
さらに、ダイ4には副駆動部7が取り付けられており、副駆動部7が作動することによって第1、第2のパンチ2,3に対してダイ4が相対的に移動できる(X3方向)ようになっている。
第1、第2の主駆動部5,6および副駆動部7はともに油圧シリンダ、もしくはエアシリンダから構成されており、副駆動部7はリング状の立体形状を成し、その内側に第1の主駆動部5が配設されている。また、第1、第2の主駆動部5,6および副駆動部7の駆動方向は、相互に平行となるように各シリンダの駆動軸が規定されている。
なお、図示するチャンバー1はグローブボックス付きのチャンバーであるのが好ましく、焼結体の製造から配向磁石の製造、さらに配向磁石の取り出しまでの全ての工程の全自動化を図る場合には、チャンバー1の内外にロボットハンドが取り付けられた形態を適用することができる。
また、第1、第2の主駆動部5,6および副駆動部7の駆動制御(いずれか一方もしくは2つ以上の駆動部の駆動のタイミング、駆動速度など)、パンチ2,3を通電加熱することによるキャビティC内の温度制御(所望温度となるまでの加熱時間、所望温度を所望時間維持した後の加熱のOFF制御など)は、不図示の制御部、中央演算処理装置(CPU)、ROM,RAMやこれらを繋ぐバスなどが内蔵されたコンピュータで実行されるようになっている。
図示する製造装置10は、ダイ4と第1、第2のパンチ2,3で形成されたキャビティC内で希土類磁石用の焼結体、次いで配向磁石を製造する際に主として用いられるものであるが、それ以外の製品製造に供されることを何等排除するものではない。
次に、図示する製造装置10を使用して希土類磁石を製造する方法、より具体的には、希土類磁石となる焼結体、ついで配向磁石を製造する方法を以下で説明する。
(希土類磁石の製造方法)
図2はキャビティ内の温度と製造品の変形量の関係を示す図であり、図3〜図5はその順で、製造方法の第1、第2のステップを説明するフロー図となっている。
図2はキャビティ内の温度と製造品の変形量の関係を示す図であり、図3〜図5はその順で、製造方法の第1、第2のステップを説明するフロー図となっている。
図2において、実線グラフY1は温度に関するグラフであり、一点鎖線グラフY2は製造品(焼結体や配向磁石)の変形量に関するグラフである。同図で示すように、図示する製造方法においては、キャビティC内の温度を時間t1で温度T1となるまで比例勾配で温度上昇するように第1、第2のパンチ2,3を通電加熱制御し、この温度T1の状態を時間t2まで維持した後に加熱をOFF制御してチャンバー内(もしくは配向磁石)をクーリングする。
同図におけるポイントQ1は粉末成形体が製造された時点を示しており、ポイントQ2は加圧焼結が完了した時点を示しており、ポイントQ3は配向磁石が製造された時点を示している。そして、ポイントQ2までの製造過程を図3a,bに、ポイントQ2から熱間塑性加工をおこなう前までの製造過程を図4a,bに、ポイントQ3時点の製造装置10の状態を図5にそれぞれ示している。
図3aで示すように、まず、第1の主駆動部5を移動させて第1のパンチ2の端面を第1の中空4aの端面4a1(断面変化位置)に当接するまで押し込み、第2の中空4bで構成されるキャビティC内に希土類磁石用の粉末pを充填する。
ここで、この粉末pは、たとえば50kPa以下に減圧したArガス雰囲気の不図示の炉中で、単ロールによるメルトスピニング法により、合金インゴットを高周波溶解し、希土類磁石を与える組成の溶湯を銅ロールに噴射して急冷薄帯(急冷リボン)を製作し、これを粗粉砕して製造されたものである。
キャビティC内に粉末pが充填されたら、第1、第2のパンチ2,3を通電加熱してキャビティC内を高温雰囲気としながら、第2の主駆動部6を作動させて第2のパンチ3が第1のパンチ2に近接するように摺動させ(X2方向)、充填粉末pを成形し、続いて加圧焼結して、図3bで示すように第2の中空4b内に焼結体S1を形成する(製造方法の第1のステップ)。
この焼結体S1は、Nd-Fe-B系の主相と、主相の周りにあるNd-X合金(X:金属元素)の粒界相からなる焼結体である。ここで、粒界相を構成するNd-X合金は、Ndと、Co、Fe、Ga等のうちの少なくとも1種以上の合金からなり、たとえば、Nd-Co、Nd-Fe、Nd-Ga、Nd-Co-Fe、Nd-Co-Fe-Gaのうちのいずれか一種、もしくはこれらの二種以上が混在したものであって、Ndリッチな状態となっている。
また、焼結体S1は、結晶粒(主相)間を粒界相が充満する等方性の結晶組織を呈している。
図2に戻り、ポイントQ1は粉末が成形された段階を示しており、充填粉末pが圧縮されて当初の体積からδ1変形している。さらに、ポイントQ2はこの粉末成形体を加圧焼結した段階を示しており、粉末成形体が加圧焼結によって収縮し、当初の体積からδ2変形している。
次に、この焼結体S1に異方性を与えるべく、これに熱間塑性加工を施して異方性の結晶粒を有する結晶組織の配向磁石を製造する。
この配向磁石の製造に際し、キャビティC内における焼結体S1の移動をおこなう。
図4a,bはその順に、焼結体S1の移動態様を模擬したものである。この焼結体S1のキャビティC内における移動は、第1、第2のパンチ2,3による焼結体S1の把持姿勢を維持しながら、これらに対してダイ4を相対的に移動させることによってキャビティC内における焼結体S1の移動をおこなう。
すなわち、図4aで示すように、副駆動部7を作動させてダイ4を第2のパンチ3側に移動させ(X3方向)、最終的には図4bで示すように第2のパンチ3の端面3aが第1の中空4aの端面4a1(断面変化位置)と面一となる位置まで、あるいは第2のパンチ3の端面が端面4a1のさらに下方となる位置までダイ4を移動させることにより、第2の中空4b内で製造された焼結体S1が第1の中空4a内に移動する。
次に、図5で示すように、第1の中空4a内で第1のパンチ2を摺動させて(X1方向)焼結体S1を押し込み、熱間塑性加工をおこなうことにより、異方性の結晶粒を有する結晶組織の配向磁石S2が製造される。
図2に戻り、ポイントQ3はこの配向磁石S2が製造された段階を示しており、当初の充填粉末状態からδ3まで変形してなる配向磁石S2が得られる。
なお、熱間塑性加工による加工度(圧縮率)が大きい場合、たとえば圧縮率が10%程度以上の場合を、熱間強加工もしくは単に強加工と称することができる。
図2で示す制御形態の一例を示すと、10℃/sの温度上昇勾配でT1=700℃(時間t1)まで昇温させ、昇温後100MPaで充填粉末を成形し(ポイントQ1)、さらに加圧・焼結してこれを3分間維持して(時間t2)焼結体を製造し(ポイントQ2)、副駆動部を作動してダイを10mm移動させ、歪み速度1/sで圧縮率80%程度(圧縮率=変形後高さ/初期高さ)で加圧して配向磁石を製造する(ポイントQ3)。最後に、配向磁石に窒素ガスを吹き付けてガス冷却する。
図示する希土類磁石の製造装置、およびこれを用いた製造方法により、ワンヒートプロセスにて焼結体S1から配向磁石S2までを連続的に製造することができ、このことによって、製造される希土類磁石に齎される熱エネルギーを可及的に少なくして結晶粒の粗大化を抑制することができる。また、一つの装置で焼結体〜配向磁石までを連続的に製造できることから、製造効率を格段に向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…チャンバー、2…第1のパンチ、3…第2のパンチ、4…ダイ、4a…第1の中空、4b…第2の中空、5…第1の主駆動部、6…第2の主駆動部、7…副駆動部、10…製造装置、p…粉末、S1…焼結体、S2…配向磁石
Claims (5)
- 断面積が相対的に大きな第1の中空と相対的に小さな第2の中空が連通する中空を具備するダイと、
第1の中空内でダイと摺動して移動自在な第1のパンチと、第2の中空内でダイと摺動して移動自在な第2のパンチと、
第1、第2のパンチを相互に接近させ、もしくは離間させる主駆動部と、
第1、第2のパンチに対してダイを相対的に移動させる副駆動部と、を少なくとも備え、
ダイと、第1、第2のパンチにて形成されたキャビティ内に希土類磁石材料となる粉末が充填されるようになっており、第1、第2のパンチの移動制御とダイの移動制御、および加熱制御によって希土類磁石を製造する希土類磁石の製造装置。 - 主駆動部は、第1、第2のパンチをそれぞれ移動させる第1、第2の主駆動部からなり、第2の中空から構成されるキャビティ内に前記粉末が充填された後に以下の制御が実行される、
(1)主駆動部を作動して第1、第2のパンチを相互に近接させ、充填された粉末を第2の中空内で加圧するとともに加熱して焼結体を製造する、
(2)副駆動部を作動してダイを第1、第2のパンチに対して相対的に移動させて焼結体を第1の中空に臨ませるとともに、第2のパンチの第1の中空に臨む面と中空の断面変化位置を面一、もしくは第2のパンチの端面が第1の中空内に突出するように位置合わせする、
(3)少なくとも第1の主駆動部を作動させ、第1のパンチを押し込んで焼結体をさらに加圧して第1の中空内で熱間塑性加工をおこなって希土類磁石となる配向磁石を製造する、請求項1に記載の希土類磁石の製造装置。 - 第1、第2のパンチとダイがチャンバー内に収容され、該チャンバー内が不活性ガス雰囲気下に調整される請求項1または2に記載の希土類磁石の製造装置。
- 断面積が相対的に大きな第1の中空と相対的に小さな第2の中空が連通する中空を具備するダイと、ダイと摺動してダイの中空内で移動自在な第1、第2のパンチと、からなる製造装置を使用して、製造装置のキャビティ内で希土類磁石を製造する製造方法であって、
第2の中空で構成されるキャビティ内に希土類磁石材料となる粉末を充填し、第1、第2のパンチを相互に近接させて充填された粉末を加圧するとともに加熱して焼結体を製造する第1のステップ、
第1、第2のパンチで焼結体を保持したまま、パンチとダイを相対的に移動させて焼結体を第1の中空で構成されるキャビティ内へ移動させ、第1、第2のパンチを相互に接近させて焼結体をさらに加圧して熱間塑性加工をおこない、希土類磁石となる配向磁石を製造する第2のステップからなる希土類磁石の製造方法。 - 前記第1のステップと第2のステップを不活性ガス雰囲気下でおこなう請求項4に記載の希土類磁石の製造方法。
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