JP2013083633A - 蛍光粒子を用いたサイロキシン免疫アッセイ - Google Patents

蛍光粒子を用いたサイロキシン免疫アッセイ Download PDF

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Abstract

【課題】サイロキシンの高感度な免疫学的測定方法において、温度変化によるシグナル変化率を低減させることを可能とするようなサイロキシンの免疫測定のための基板及び方法を提供すること。
【解決手段】サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体が固定化されており、
固定化された結合体におけるアルブミンに対する、サイロキシン又はその誘導体の分子数比が、8以上12以下である、サイロキシン免疫測定用の基板。
【選択図】なし

Description

本発明は、蛍光粒子を用いてサイロキシンを免疫測定するための基板及び方法に関する。
従来、タンパク質、酵素、無機化合物等を定量する、高感度かつ容易な測定法として蛍光検出法が広く用いられている。この蛍光検出法は、特定波長の光により励起されて蛍光を発する検出対象物質(被検物質)を含むと考えられる試料に上記特定波長の励起光を照射し、そのとき蛍光を検出することによって被検物質の存在を確認する方法である。また、被検物質が蛍光体ではない場合、蛍光色素で標識されて被検物質と特異的に結合する物質を試料に接触させ、その後上記と同様にして蛍光を検出することにより、この結合即ち被検物質の存在を確認することも広くなされている。
このような蛍光検出法において、検出の感度を向上させるため、プラズモン共鳴による電場増強の効果を利用する方法が知られている。かかる方法では、プラズモン共鳴を生じさせるため、透明な支持体上の所定領域に金属層を設けたセンサチップを用意し、支持体と金属膜との界面に対して支持体の金属層形成面と反対の面側から、全反射角以上の所定の角度で励起光を入射させる。かかる励起光の照射により金属層に表面プラズモンが発生する。かかる表面プラズモンの発生による電場増強作用によって、蛍光を増強させることによりシグナル/ノイズ比(S/N比)が向上することとなる。表面プラズモン励起による蛍光検出法(以下、「SPF法」とする)は、落射励起による蛍光検出法(以下、「落射蛍光法」とする)と比較して、信号増強度が約10倍得られ、高感度に測定することができる。
例えば、特許文献1に記載の被検物質の量を求める光信号検出方法では、誘電体プレートの一面の所定領域に設けられた金属層を備えたセンサ部を有するセンサチップを用意し、センサチップのセンサ部に試料を接触させる。かかる接触により、試料に含有される被検物質の量に応じた量の光応答性標識物質が付与された結合物質がセンサ部に結合する。次いで、所定領域に対して励起光を照射し、金属層上に生じた電場増強場内に生じる光応答性標識物質からの光を検出することにより、被検物質の量を求められる。また、この方法において、光応答性標識物質として、複数の光応答物質が、光応答物質から生じる光を透過する光透過材料により、光応答物質が金属層に近接した場合に生じる金属消光を防止するように、包含されてなるものを用いることも可能である。
サイロキシン(T4:チロキシンとも称する)は、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの一種である。一般に、サイロキシンは、全身の細胞に作用して細胞の代謝率を上昇させる働きを有する。甲状腺ホルモンとしては、サイロキシン(T4)のほか、トリヨードチロニン(T3)が知られるが、血中を循環する甲状腺ホルモンのほとんどはサイロキシン(T4)である。このサイロキシンを測定する方法として、従来から、操作が簡便である、酵素免疫測定法が知られている。例えば、特許文献2には、サイロキシン量を測定する競合法を用いた酵素免疫測定方法が開示されており、酵素反応時間を短縮する目的で、磁性ミクロビーズを用いた酵素免疫測定法が示されている。また、特許文献3には、遊離甲状腺ホルモンとして遊離サイロキシンを測定する酵素免疫測定方法及び試薬が開示されており、血液中のアルブミンの影響を抑える目的で、特定の標識酵素を使用する酵素免疫測定方法、および試薬が示されている。
特開2010−190880号公報 特開平7−146293号公報 特開平6−94709号公報
上記の通り、サイロキシンを免疫学的に測定する方法は従来より存在するが、酵素反応の温度依存性が大きいことから、反応時に温度管理を厳密に行う必要があった。本発明は、サイロキシンの高感度な免疫学的測定方法において、温度変化によるシグナル変化率を低減させることを可能とするようなサイロキシンの簡便な免疫測定方法、および免疫測定に使用する基板、を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、サイロキシン又はサイロキシン誘導体とアルブミンとを一定の割合で結合させた結合体を固定化した基板を使用し、この基板に対して、抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子と、被検物質であるサイロキシンとを接触させることによって、抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子に対して、基板上のサイロキシン(サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体中のサイロキシン)と被検物質であるサイロキシンとを競合的に結合させ、これにより基板に結合した抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子に基づく蛍光を測定することによって、サイロキシンの免疫学的測定において温度変化によるシグナル変化率を低減できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
本発明によれば、サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体が固定化されており、固定化された結合体におけるアルブミンに対する、サイロキシン又はその誘導体の分子数比が、8以上12以下である、サイロキシン免疫測定用基板が提供される。さらに本発明によれば、サイロキシン又はその誘導体/アルブミン比が8以上12以下であるサイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体が提供される。
さらに本発明によれば、(1)サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体が固定化されており、固定化された結合体におけるアルブミンに対する、サイロキシン又はその誘導体の分子数比が、8以上12以下である、サイロキシン免疫測定用基板に、サイロキシンを含む被検試料及び抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子を接触させる工程、及び(2)基板に結合した抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子に基づく蛍光を測定する工程、を含む、被検試料中のサイロキシンを測定する方法が提供される。 さらに本発明によれば、サイロキシン又はその誘導体/アルブミン比が8以上12以下であるサイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体が提供される。
好ましくは、アルブミンが牛血清アルブミンである。
好ましくは、工程(2)において、表面プラズモン蛍光測定または落射蛍光測定により蛍光を測定する。
本発明によれば、サイロキシンの免疫学的測定において温度変化によるシグナル変化率を低減することが可能である。
図1は、本発明の実施例において、表2で示した、温度変化によるシグナル変化率と、T4−BSAの標識率との関係を示したものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は、サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体が固定化されており、固定化された結合体におけるアルブミンに対する、サイロキシン又はその誘導体の分子数比が、8以上12以下である、サイロキシン免疫測定用基板、並びに上記基板にサイロキシンを含む被検試料及び抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子を接触させる工程、及び(2)基板に結合した抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子に基づく蛍光を測定する工程を含む、被検試料中のサイロキシンを測定する方法に関する。
(サイロキシン(T4))
サイロキシンは以下の構造を有する化合物である(以下本発明では、サイロキシンを、T4と略記する場合がある)。
Figure 2013083633
また、サイロキシンの誘導体としては、サイロキシンのカルボキシル基又はアミノ基などを適当な官能基で修飾した化合物を挙げることができる。サイロキシン(T4)の誘導体の具体例としては、例えば、サイロキシンのカルボキシル基をエステル化した化合物を挙げることができる。また、サイロキシンのアミノ基には必要に応じ、当該アミノ基と反応する末端とは反対側の末端にカルボキシル基を有するリンカーが結合していてもよい。サイロキシンのカルボキシル基をエステル化したサイロキシン誘導体の具体例の構造を以下に示す。
Figure 2013083633
(アルブミン)
本発明で用いるアルブミンの種類は特に限定されないが、例えば、動物(ウシ、ヒトなど)に由来するアルブミン、好ましくは動物(ウシ、ヒトなど)に由来する血清アルブミン、特に好ましくは牛血清アルブミン(本発明では、BSAと略記する場合がある)を使用することができる。
(アルブミンと、サイロキシン又はその誘導体との結合体)
本発明は、アルブミンに対する、サイロキシン又はその誘導体の分子数比が、8以上12以下である、サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体が固定化されているサイロキシン免疫測定用の基板である。本発明の結合体におけるアルブミンに対する、サイロキシン又はその誘導体の分子数比は8以上12以下であり、好ましくは9以上12以下であり、より好ましくは9以上11以下であり、最も好ましくは9以上10以下である。
アルブミンに対する、サイロキシン又はその誘導体の分子数比とは、分子数(モル数)の比を意味し、アルブミン(BSA等)1分子に対して結合しているサイロキシン (T4)又はその誘導体の分子の数を意味する(以下、サイロキシン又はその誘導体/アルブミン比と略す)。サイロキシン又はその誘導体/アルブミン比は、例えば、MALDI−TOF−MSにより決定することができ、具体的な測定手順は以下の通りである。サンプルを0.1質量%TFA(トリフルオロ酢酸): ACN(アセトニトリル)=2/1に溶解し、1mg/mLに調整する。マトリックス(SA;シナピン酸)4μLとサンプル1μLを混ぜて、金プレートに、1μl×4点着する。その後、サンプルを自然乾燥する。MALDI−TOF−MS装置(Applied Bio Systems社品 Voyager)に金プレートを挿入し、測定する。1スポットごとに積算900ショットでデータを取得(N=4)する。サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体に対応するピークの、ピーク強度の最大の値の50%以上の強度を有する部分の面積の重心から垂直に降ろした位置をサイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体の分子量と見なして、N=4の平均値をとり、(サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体の分子量−native アルブミンの分子量)/T4誘導体の分子量(アルブミンがBSAの場合、906-18 = 888)で個数を計算する。
本発明のサイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体としては、サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとが直接結合しているものでもよいし、適当なリンカーを介して結合しているものでもよい。例えば、以下の実施例に示すように、カルボキシル基を有するサイロキシン誘導体を製造し、このカルボキシル基を1-エチル-3-(3-ジメチルア
ミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)とN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)などを用いて活性化し、アルブミンのアミノ基と結合させることにより、サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体を調製することができる。
本発明の結合体におけるサイロキシン又はその誘導体/アルブミン比は、サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合反応の反応条件(サイロキシンとアルブミンの使用量など)を調整することにより調節することができる。上記の調整は、文献(Bioconjugate Chem., 1994, 4, 419-424)を参考に行うことができる。
サイロキシン又はその誘導体/アルブミン比が大きくなると、水などの溶媒に対する溶解度が低下することが知られており、本発明においては、実際に、サイロキシン又はその誘導体/アルブミン比が12より大きくなると、溶解性の低下が確認されている。その場合においては、免疫測定の精度の低下が懸念される。一方、サイロキシン又はその誘導体/アルブミン比が8未満である場合には、温度変化によるシグナル変化率が増大して免疫測定の性能が悪くなり、本発明の効果を達成することができない。
(基板)
本発明では、上記したサイロキシン又はその誘導体/アルブミン比が8以上12以下であるサイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体を、基板に固定化することによって、サイロキシン免疫測定用基板を提供する。基板の種類としては、後述する蛍光分析を行うことができるものであれば特に限定されず任意の素材の基板を使用することができる。サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体は、緩衝液に溶解させて、基板上に点着して、一定時間放置した後、上清を吸引し、乾燥させるなどの方法で基板に結合させることが可能である。
後述する表面プラズモン蛍光検出法(SPF法)を行う場合における基板としては、表面に金属膜を有する基板を使用することが好ましい。金属膜を構成する金属としては、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、0.1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に1nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上、10nm以下であるのが好ましい。
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
金属膜は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む。本発明で使用することができる基板としては例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的な光学ガラスの一種であるBK7(ホウ珪酸ガラス)等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。本発明においては、金属膜上に、サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体を固定化する態様が好ましい。
SPF検出のための基板の一例として、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を基体とした基板に金膜を蒸着した基板を挙げることができる。
さらに本発明によれば、上記した本発明のサイロキシン免疫測定用基板に、サイロキシンを含む被検試料及び抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子を接触させ、次いで基板のサイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体に結合した抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子に基づく蛍光を測定することによって、被検試料中のサイロキシンを測定することができる。
(蛍光粒子)
本発明で用いる蛍光粒子としては、免疫反応に通常用いられ得る蛍光で着色された粒子を使用することができ、例えば、蛍光ポリスチレンビーズなどの蛍光高分子粒子、蛍光ガラスビーズ等の蛍光ガラス粒子を用いることができる。蛍光粒子の材質の具体例としては、スチレン、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどのモノマーを用いた高分子または、2つ以上のモノマーを用いた共重合体などの合成高分子粉末があり、これらを均一に懸濁させたラテックスが好ましい。また、その他の有機高分子粉末や無機物質粉末、微生物、血球や細胞膜片、リポソームなどが挙げられる。
ラテックス粒子を使用する場合、ラテックスの材質の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニルアクリレートなどが挙げられる。ラテックスとしては、単量体としてスチレンを少なくとも含む共重合体が好ましく、スチレンと、アクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が特に好ましい。ラテックスの作成方法は特に限定されず、任意の重合方法により作成することができる。但し、抗体標識の際に界面活性化剤が存在すると抗体固定化が困難となるため、ラテックスの作製には、無乳化剤乳化重合、即ち界面活性剤などの乳化剤を用いない乳化重合が好ましい。
重合により得られたラテックス自体が蛍光性である場合には、そのまま蛍光ラテックス粒子として使用することができる。重合により得られたラテックスが非蛍光性の場合には、ラテックスに蛍光物質(蛍光色素など)を添加することによって、蛍光ラテックス粒子を作製することができる。即ち、蛍光ラテックス粒子は、水および水溶性有機溶剤を含むラテックス粒子の溶液に蛍光色素を添加して攪拌することなどにより製造できる。
蛍光粒子の平均粒径は、粒子の材質や被検物質を定量する濃度範囲、測定機器などによって異なるが、0.001〜10μm(より好ましくは0.001〜1μm)の範囲が好ましい。蛍光色素を含有したリポゾ−ムやマイクロカプセル等も蛍光粒子として使用することができる。蛍光発色は、紫外光等を吸収して励起し、基底状態に戻る際に放出されるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、黄緑(励起波長505nm/放出波長515nm、以下同じ)、青(350〜356nm/415〜440nm)、赤(535〜580nm/575〜605nm)、オレンジ(540nm/560nm)、レッド・オレンジ(565nm/580nm)、クリムゾン(625nm/645nm)、ダークレッド(660nm/680nm)などの蛍光発色が用いられ得る。これらの蛍光を発する蛍光粒子は、例えば、Invitrogen社から入手可能であり、同社においてFluoSpheres(登録商標)の商品名で市販されている。
(平均粒径の測定方法)
本発明に用いられる蛍光粒子の平均粒径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。粒度分布の測定法としては、光学顕微鏡法、共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、原子間力顕微鏡法、静的光散乱法、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法、超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。
粒径範囲及び測定の容易さから、本発明においては動的光散乱法を好ましく用いることができる。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられ、本発明においては、25℃の測定温度で測定したメジアン径(d=50)の値として求める。
(抗サイロキシン抗体)
本発明では、サイロキシン結合物質を蛍光粒子に結合させてサイロキシンの標識に使用することができる。サイロキシン結合物質としては、抗サイロキシン抗体を好ましく使用することができる。蛍光粒子に結合させる抗サイロキシン抗体としては、サイロキシンに対して特異性を有する抗体を使用すればよい。抗サイロキシン抗体は、例えば、サイロキシンによって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、サイロキシンによって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]などを用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。さらに、その抗体がキメラ抗体などの場合のように、修飾を加えられたものでもよいし、また市販の抗体でも、動物血清や培養上清から公知の方法により調製した抗体でも使用可能である。
抗体は、その動物種やサブクラス等によらず使用できる。例えば、本発明に用いることが可能な抗体は、マウス、ラット、ハムスター、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ニワトリなど免疫反応が起こり得る生物に由来する抗体、具体的には、マウスIgG、マウスIgM、ラットIgG、ラットIgM、ハムスターIgG、IgMウサギIgG、ウサギIgM、ヤギIgG、ヤギIgM、ヒツジIgG、ヒツジIgM、ウシIgG、ウシIgM、トリIgY等であり、ポリクローナルもしくはモノクローナルの両方に適用可能である。断片化抗体は、少なくとも1つの抗原結合部位を持つ、完全型抗体から導かれた分子であり、具体的にはFab、F(ab')2等である。これらの断片化抗体は、酵素あるいは化学的処理によって、もしくは遺伝子工学的手法を用いて得られる分子である。
抗体や抗原などの結合性物質を粒子に固定化する方法は、例えば、特開2000−206115号公報やモレキュラープローブ社FluoSpheres(登録商標)ポリスチレンマイクロスフィアF8813に添付のプロトコールなどに記載されており、免疫凝集反応用試薬を調製する公知の方法がいずれも使用可能である。また、結合性物質として抗体を粒子に固定化する原理として、物理吸着及び共有結合による化学結合のいずれの原理も採用可能である。抗体を粒子に固定させた後に抗体が被覆されていない粒子表面を覆うブロッキング剤として、公知の物質、例えば、BSA(ウシ血清アルブミン)やスキムミルク、カゼイン、大豆由来成分、魚由来成分、ポリエチレングリコールなどや、これらの物質やこれらと性質が同じである物質を含む市販の免疫反応用ブロッキング剤などが使用可能である。これらのブロッキング剤は、必要に応じて熱や酸・アルカリ等により部分変性などの前処理を施すことも可能である。
抗体を粒子に固定化する具体的な方法を、以下に例示する。粒子の固形分濃度が0.1質量%から10質量%になるよう分散させた液に、0.01〜20mg/mLの濃度に調整した抗体溶液を添加して、混合する。温度4〜50℃の条件下で5分間から48時間撹拌を継続する。次いで遠心分離その他の方法により粒子と溶液を分離して、溶液に含まれている、粒子に結合しなかった抗体を十分に除去する。その後、粒子を緩衝液にて洗浄する操作を0〜10回繰り返す。粒子と抗体とを混合して、粒子に抗体を結合させる操作を実施した後に、抗原抗体反応に関与しない成分、好ましくはタンパク質、より好ましくはBSA(ウシ血清アルブミン)、ブロックエース、スキムミルク及びカゼインなどのブロッキング剤を使用して粒子表面の抗体が結合していない部分を保護することが望ましい。
抗原や抗体等を粒子に固定化する際に、安定化剤を必要に応じて添加可能である。安定化剤とは、ショ糖や多糖類などの合成あるいは天然高分子など、抗原や抗体を安定化するものであれば特に制限されず、Immunoassay Stabilizer(ABI社)などの市販のものも使用可能である
(測定方法)
本発明の測定方法は、サイロキシンの存在の有無の検出やサイロキシンの量の測定(すなわち、定量)などを含む、最も広い概念として解釈される。本発明の測定方法の具体的な実施態様としては競合法が挙げられる。
本発明による競合法では、先ず、サイロキシン/アルブミン比が8以上12以下であるサイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体が固定化されているサイロキシン免疫測定用基板に、サイロキシンを含む被検試料及び抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子を接触させる。その被検試料中にサイロキシンが存在しない場合には、抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子と、基板上のサイロキシン(即ち、サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体中のサイロキシン)とにより、基板上で抗原抗体反応が起こる。一方、被検試料中にサイロキシンが存在する場合には、被検試料中のサイロキシンと抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子との間で抗原抗体反応が起こり、抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子と、基板上のサイロキシン(即ち、サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体中のサイロキシン)との間の抗原抗体反応は阻害される。上記の反応が終了した後、上記の基板上のアルブミンに結合しなかった抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子を除去する。次いで基板上の免疫複合体(即ち、抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子と、基板上のサイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体中のサイロキシンとの複合体)の形成の度合いを蛍光強度として検出することにより、被検試料中のサイロキシン濃度などを測定することができる。
(蛍光の検出方法)
本発明における蛍光の検出方法としては、特に限定されないが、例えば、蛍光強度を検出することができる機器、具体的には、マイクロプレートリーダー、又は表面プラズモン励起による蛍光検出(SPF)を行うためのバイオセンサーなどを用いて蛍光強度を検出することができる。表面プラズモン励起による蛍光検出法(SPF法)は、落射励起による蛍光検出法(以下、「落射蛍光法」という。)よりも高感度に測定することができる。
上記の表面プラズモン蛍光(SPF)バイオセンサーとしては、例えば、特開2008−249361号公報に記載されているような、所定波長の励起光を透過させる材料から形成された光導波路と、この光導波路の一表面に形成された金属膜と、光ビームを発生させる光源と、前記光ビームを光導波路に通し、該光導波路と金属膜との界面に対して表面プラズモンを発生させる入射角で入射させる光学系と、該表面プラズモンによって増強されたエバネッセント波によって励起されたことによって発生する蛍光を検出する蛍光検出手段とを備えたセンサーを用いることができる。
(被検物質量の測定方法)
本発明における表面プラズモン励起による蛍光検出(SPF)での被検物質の定量方法の一例としては、数分〜数時間後に抗原抗体反応が終了した後、前記免疫複合体の形成の度合いを蛍光強度として検出することにより、蛍光強度と被検物質の濃度の関係から、被検物質の濃度を定量することができる。また、以下の方法により被検物質を定量することができる。具体的には、各濃度既知の被検物質を含む試料を準備し、蛍光を検出する部位を流下させつつ、蛍光検出部位からの蛍光信号を異なる複数の時刻で測定する。この複数の測定結果から、各被検物質濃度において、蛍光量の時間変化(傾き)を求める。この時間変化をY軸、被検物質濃度をX軸としてプロットし、最小二乗法等の適宜ふさわしいフィッティング方法を用いて、蛍光量の時間変化に対する被検物質濃度の検量線を取得する。光信号システムとしては、被検物質ごとに別途測定した検量線に基づき、目的とする被検試料の被検物質量を特定することができる。
本発明の蛍光粒子を用いた表面プラズモン蛍光(SPF)検出系は、基板上の金属薄膜上に固定化された被検物質の量に依存した蛍光物質からの蛍光を検出するアッセイ方法であり、溶液中での反応の進行により、光学的な透明度の変化を、例えば濁度として検出する、いわゆるラテックス凝集法とは異なる方法である。ラテックス凝集法では、ラテックス試薬中の抗体感作ラテックスと検体中の抗原が、抗体反応により結合し、凝集する。この凝集塊は時間と共に増大し、この凝集塊に近赤外光を照射して得られた単位時間当たりの吸光度変化から、抗原濃度を定量化する方式が、ラテックス凝集法である。本発明では、ラテックス凝集法に比べて、非常に簡便な被検物質の検出方法を提供できる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
1.サイロキシン−牛血清アルブミン(T4−BSA)結合体−1の粉末の調製
1−1.T4誘導体の合成
以下、スキーム1に示すように、T4誘導体1からT4誘導体2を合成した。
Thyroxine(サイロキシン:T4、Sigma社製、)を準備し、米国特許公報第4040907号に記載の合成法に従って、T4誘導体1を合成した。得られたT4誘導体1の270mgをジメチルホルムアミド(DMF:和光純薬社製)に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。その後、WSC(同仁化学社製)285mg、NHS(和光純薬社製)174mgを加え、室温で2時間攪拌し、T4誘導体2を合成した。
Figure 2013083633
1−2.T4−BSA結合体−1の溶液
次に、下記スキーム2に示すように、1−1.で得られたT4誘導体2と、牛血清アルブミン(BSA)との結合体(T4−BSA)を調製した。
牛血清アルブミン(BSA、和光純薬社製)500mgを準備して100mLの20mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、上記1−1.で合成したT4誘導体2をDMF溶液に溶解し、BSAが溶解したリン酸緩衝液中に添加し10分間攪拌した。その後、室温で12時間静置し、T4誘導体2と牛血清アルブミンを反応させた。反応終了後、遠心分離(3,300g、30 min、4℃)により白色の析出物を沈降させて除去し、上清液を回収した。回収した上清液を孔径0.22μmのフィルターで濾過し、T4−BSA結合体−1を含有する溶液を得た。
Figure 2013083633
1−3.透析によるT4−BSA結合体−1の精製
透析膜チューブ(品名:SnakeSkin Pleated Dialysis Tubing, 10,000 MWCO, 22 mm×35フィート乾燥直径;プロダクト#:68100;Thermo Scientific社製)を用いて、1−2.で得られたT4−BSA結合体−1溶液の透析を行った。
5Lビーカーに0.1質量%トリフルオロ酢酸(TFA、和光純薬社製)を含有するイオン交換水(HO)及びアセトニトリル(AR)(1:1)の混合溶媒5Lを準備した。テックジャム社製リール式pH試験紙(カタログ番号:商品コードNO:KN3138095)を用いて混合溶媒のpHを測定したところ1であった。透析膜チューブに密封したT4−BSA結合体−1の溶液を、この混合溶媒に投入し、室温でゆっくりと攪拌した。
1−4.凍結乾燥によるT4−BSA結合体−1白色固体の収集
2日間、透析を行った後、透析チューブ内の水溶液を回収した。回収した水溶液を、500mLのナス型フラスコへ注いで、液体窒素を用いて凍結乾燥を行い、本発明のT4とアルブミンとの結合体として、T4−BSA結合体−1の白色固体約400mgを得た。
1−5.T4−BSA(T4−牛血清アルブミン)結合体−2〜8の粉末の調製
1−1.におけるT4−BSA結合体−1の調製において、T4とBSAの質量を変更すること以外は全て同じ調製方法を用いて、T4−BSA結合体−2〜8の粉末の調製を行った。
1−6.T4−BSA結合体のBSAに対するT4の標識率(T4/BSA比)の分析
BSA一分子当たりに結合しているT4分子の数を、T4/BSA比として測定した。
測定は、MALDI−TOF−MS(以下、MSと表示する)測定により行った。マトリックスとしてシナピン酸(シグマアルドリッチ社製)を用いた。0.1質量%TFAを含む水及びアセトニトリルの(1:1)の混合液に、シナピン酸を10mg/mLの濃度で溶解してマトリックス溶液を調製した。このマトリックス溶液とT4−BSA水溶液(精製水)とを、1:1(各5μL)で混合し、マイクロチューブ中でピペットを用いて十分混合した。その後、MSの基盤プレート上に、混合液を5μL滴下し、室温で自然乾燥させ、MS測定を行った。測定モードは、liner mode、positive modeで行い、質量検出の分子量として60,000〜100,000で測定した。得られた、T4−BSA結合体−1〜8のBSAに対するT4の標識率をT4/BSA比として表1に示した。
Figure 2013083633
2.蛍光粒子を用いたT4の免疫測定
1.で調製した結合体1から結合体8を使用して、T4の免疫測定を以下の通り行った。
2−1.T4−BSA結合体のクエン酸緩衝液の溶液の調製
1.で調製した結合体1〜8それぞれ150μgを、50mM濃度のクエン酸緩衝液1mL(pH 5.2, 150 mM NaCl)に添加して溶解させ、クエン酸緩衝液の溶液を得た。BSAに対するT4の標識率が高くなると、クエン酸緩衝液への溶解性が低下し、信頼性のある溶液が調整できなくなる。T4/BSA比が16である結合体8はクエン酸緩衝液への溶解性が大きく劣ることがわかり、以降の評価に使用することができなかった。
2−2.抗T4抗体で標識した蛍光粒子の調製
抗T4抗体で標識した蛍光粒子(粒径260nm)を、以下の通り調製した。
固形分濃度が2質量%の蛍光ラテックス粒子水溶液(Invitrogen社製品)250μLに、50mMのMES(2−モルホリノエタノスルホン酸、同仁化学研究所社製)緩衝液(pH6.0)を250μL加え、5mg/mLの抗T4モノクローナル抗体(自社株品)を100μL添加し、室温で15分間攪拌した。その後、10mg/mLのWSC水溶液を5μL加え、室温で2時間撹拌した。2mol/LのGlycine(和光純薬社製)水溶液を25μL添加し、30分間撹拌した後、遠心分離(15,000rpm、4℃、15分)にて、蛍光ラテックス粒子を沈降させた。上清液を取り除き、PBS(Phosphate Buffered Saline リン酸緩衝生理食塩水;和光純薬社製)溶液(pH7.4)を500μL加え、超音波洗浄機により蛍光ラテックス粒子を再分散させた。さらに遠心分離(15,000rpm、4℃、15分)を行い、上清液を除いた後、1質量%BSAを含むPBS (pH7.4)溶液500μLを加え、蛍光ラテックス粒子を再分散させることで、抗T4抗体結合蛍光ラテックス粒子の1質量%溶液を得た。
2−3.T4−BSA結合体固定基板の製造
ポリメチルメタクリレート(PMMA)の基体(三菱レイヨン(株)社製、アクリペットVH)を準備し、蒸着法により、厚さ50nmの金膜を片面に蒸着し7mmの幅に裁断して、同じ基板を7枚作製した。この基板の金蒸着面上に、1.で調製したT4−BSA結合体1〜7のクエン酸緩衝液による溶液を点着して乾燥させ、T4−BSA結合体を固定化した基板1〜7を作製した。
2−4.基板の洗浄、ブロッキング
このように調製した基板1〜7をセンサチップの流路に取り付ける前に、Tween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート、和光純薬社製)を0.05質量%の濃度で含むPBS溶液(pH7.4))を予め調製し、この溶液300μLを用いて3回繰り返し洗浄した。洗浄終了後、金蒸着膜上のT4−BSA結合体の未吸着部分のブロッキングを行うため、1質量%カゼイン(Thermo Scientific社製)を含むPBS溶液(pH7.4)を300μL添加し、1時間、室温で静置した。上記の洗浄用溶液で洗浄後、安定化剤としてImmunoassay Stabilizer(ABI社製)300μLを添加し、室温で30分間放置し、溶液を除去して乾燥機を用いて水分を完全に取り除いた。
2−5.センサチップの作製
特開2010−190880号公報の第2の実施形態の構成となるように、作製した7種類の基板を流路に封入し、流路型センサチップを作製した。
3−1.測定
1.3μg/dLのサイロキシンを血清中に含む被検試料と、作製した抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子を予め混合し、27℃、30℃、33℃の各温度条件で点着を行い、センサチップの測定エリア上を流速10μL/minとなるようにポンプ吸引を行いながら流下させた。フロー時間10分での蛍光量をシグナル値として取得し、30℃のシグナル値で規格化し、温度に対してプロットする。その3点から最小二乗法により得られる直線の傾きをシグナル変化率(%/℃)と定義する。T4標識率(T4/BSA)に対するそれぞれの%/℃の値を表2に示した。また、横軸にT4/BSA比、縦軸にシグナル変化率(%/℃)とした結果を図1に示した。
Figure 2013083633
表2に示した結果からわかるように、本発明のアルブミンに対するサイロキシン(T4)の比が8以上12以下であるT4とBSAの結合体を使用することにより、T4の免疫学的測定において温度変化によるシグナル変化率を低減できることが確認された。

Claims (7)

  1. サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体が固定化されており、
    固定化された結合体におけるアルブミンに対する、サイロキシン又はその誘導体の分子数比が、8以上12以下である、
    サイロキシン免疫測定用の基板。
  2. アルブミンが牛血清アルブミンである、請求項1に記載のサイロキシン免疫測定用の基板。
  3. サイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体が固定化されており、
    固定化された結合体におけるアルブミンに対する、サイロキシン又はその誘導体の分子数比が、8以上12以下である、サイロキシン免疫測定用の基板に、
    (1)サイロキシンを含む被検試料及び抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子を接触させる工程、及び
    (2)基板に結合した抗サイロキシン抗体標識蛍光粒子に基づく蛍光を測定する工程、
    を含む、被検試料中のサイロキシンを測定する方法。
  4. アルブミンが牛血清アルブミンである、請求項3に記載の方法。
  5. 工程(2)において、表面プラズモン励起による蛍光測定または落射励起による蛍光測定により蛍光を測定する、請求項3又は4に記載の方法。
  6. アルブミンに対する、サイロキシン又はその誘導体の分子数比が、8以上12以下であるサイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体。
  7. アルブミンが牛血清アルブミンである、請求項6に記載のサイロキシン又はその誘導体とアルブミンとの結合体。
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