JP2013071939A - 硬化性樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及び硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化時の割れやクラックがなく、かつ表面硬度の高い硬化物を与え得る硬化性樹脂組成物、及び、光学材料等の各種用途に有用な硬化物を提供する。
【解決手段】ポリシロキサン化合物及びビニル系化合物を含む硬化性樹脂組成物であって、該ビニル系化合物は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含み、該硬化性樹脂組成物の固形分中の重合性二重結合濃度は、3.0mmol/g以下である硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物及び硬化物に関する。より詳しくは、光学材料、成型材料、機械部品、電気・電子部品、自動車部品、土木建築材料等の各種用途の原料として有用な硬化性樹脂組成物、及び、これを硬化して得られる硬化物に関する。
熱や活性エネルギー線によって硬化しうる硬化性樹脂組成物は、例えば、光学材料、成型材料、機械部品、電気・電子部品、自動車部品、土木建築材料等の他、塗料や接着剤の材料等の各種用途への適用が種々検討されており、各用途において要求される特性に優れた硬化性樹脂組成物の開発がなされている。このような硬化性樹脂組成物は、透明性を発現させることもできることから、撮像装置等における光学レンズ用材料としても有用である。光学分野では、例えば、デジタルカメラモジュールが携帯電話等に搭載される等、小型化・低コスト化が求められており、撮像レンズの材料として従来の無機ガラスに代わって樹脂レンズの採用が進んでいる。また、近年では、車載用カメラ、監視カメラ、表示素子(LED等)等の屋外でも使用できる用途への適用も検討されている。
硬化性樹脂組成物としては、従来、主成分として、反応性の高い多官能(メタ)アクリレート化合物が使用されている。この化合物を用いて得た硬化物は、充分な硬度を有するが、その一方で脆く、また、硬化収縮率が高いために硬化時に割れやクラック等が発生しやすい。そのため、例えば、樹脂レンズ等の成型体や厚膜品の製造には適していなかった。そこで、充分な硬度を有し、しかも耐熱性や光学特性に優れる硬化物として、特定のメタロキサン成分と有機樹脂成分とを含む硬化成形体が開示されている(特許文献1参照)。
国際公開第2011/034138号公報
上記のように、種々の硬化性樹脂組成物が検討されている。しかしながら、硬化時の割れやクラックの発生をより一層抑制でき、より充分な硬度を有する硬化物を与えることができる硬化性樹脂組成物を得るための工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、硬化時の割れやクラックがなく、かつ表面硬度の高い硬化物を与え得る硬化性樹脂組成物、及び、光学材料等の各種用途に有用な硬化物を提供することを目的とする。
本発明者は、硬化性樹脂組成物について種々検討するうち、ビニル系化合物にポリシロキサン化合物を配合した組成とすると、その硬化時の収縮が緩和され、硬化時の割れやクラックの発生がある程度抑制されることに着目した。そして、ビニル系化合物をウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むものとすると、硬化物の耐久性(耐光性や耐熱性、耐湿性)や透明性、機械的強度が優れたものとなることを見いだし、更に、硬化性樹脂組成物の重合性二重結合濃度を特定すると、硬化時の割れやクラックの発生がより一層抑制されることを見いだした。また、このようなビニル系化合物とポリシロキサン化合物とを含む樹脂組成物は、硬化物の表面硬度を制御でき、例えば、過酷な使用環境である屋外使用用途にも好適に適用できるほどに表面硬度が高い、すなわち耐磨耗性に優れる硬化物を与えることができるうえ、成形加工性(加工性、成形性とも称す)にも優れたものであり、金型成型体の他、例えば膜厚10μm以上の膜等の硬化物を成形性よく与えることができることも見いだした。更に、このような樹脂組成物は、特に光学材料に好適に適用でき、中でも、レンズ用途に要求される屈折率やアッベ数を制御することができるため、レンズ用途に好ましく使用されることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、ポリシロキサン化合物及びビニル系化合物を含む硬化性樹脂組成物であって、該ビニル系化合物は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含み、該硬化性樹脂組成物の固形分中の重合性二重結合濃度は、3.0mmol/g以下である硬化性樹脂組成物である。
本発明はまた、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物でもある。
以下に本発明を詳述する。なお、以下において段落に分けて記載される本発明の好ましい形態の2つ又は3つ以上を組み合わせたものも本発明の好ましい形態である。
<硬化性樹脂組成物>
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、樹脂組成物とも称す)は、ポリシロキサン化合物とビニル系化合物とを含むが、これらを必須成分とする限り、更に他の成分を含むものであってもよい。各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記硬化性樹脂組成物において、ポリシロキサン化合物とビニル系化合物との配合質量比としては特に限定されないが、例えば、ポリシロキサン化合物とビニル系化合物との総量100質量%に対し、ビニル系化合物の割合が50質量%以下となるように設定することが好適である。この範囲内であれば、耐熱性が高く、すなわち着色しにくく、かつ充分な硬度を有する硬化物を成形性よく得ることができる。上記ビニル系化合物の割合としてより好ましくは40質量%以下である。また、上記ビニル系化合物の割合の下限として好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上である。
上記硬化性樹脂組成物は、その固形分中の重合性二重結合濃度が3.0mmol/g以下となるものである。3.0mmol/gを超える場合は、硬化時に割れが生じるおそれがある。好ましくは3.0mmol/g未満、より好ましくは2.97mmol/g以下、更に好ましくは2.95mmol/g以下である。また、硬化物の硬度を充分に高めるために、0.4mmol/g以上であることが好適である。より好ましくは0.8mmol/g以上、更に好ましくは1.5mmol/g以上である。
重合性二重結合濃度とは、硬化性樹脂組成物の固形分1gに含有される、ビニル系化合物に由来する重合性二重結合の濃度〔単位:mmol(ミリモル)/g〕を意味し、仕込み原料組成から計算して求めることができる。
上記硬化性樹脂組成物はまた、成形性(加工し易さ、金型転写性)を向上させるため、成形(硬化)温度において成形体(硬化物)が示す貯蔵弾性率:G’(ジープライム)が5メガパスカル以上であることが好適である。より好ましくは15メガパスカル以上であり、更に好ましくは20メガパスカル以上である。
貯蔵弾性率:G’は、樹脂組成物を試料として成形(硬化)温度まで昇温する過程における動的粘弾性測定(DMA)(測定モード:ずりモード)を行うことにより求めることができる。
上記硬化性樹脂組成物中のシロキサン結合の量としては、最終的に得られる硬化物100質量%中のSi含有量に換算して、5質量%以上であることが好ましい。より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは12質量%以上である。また、22質量%以下であることが好ましく、より好ましくは18質量%以下である。
−ポリシロキサン化合物−
上記硬化性樹脂組成物において、ポリシロキサン化合物とは、1分子中に、シロキサン結合(Si−O−Si結合)を有するポリマーである。すなわち、シロキサン結合を含む構造単位(シロキサン単位と称す)を少なくとも有するポリマーである。
上記ポリシロキサン化合物は、通常、シロキサン結合を構成するケイ素(Si)原子1個につき0〜3個の有機基が結合してなる構造を有するが、中でも、Si原子1個につき1〜3個の有機基が結合してなる構造を有するものが好適である。すなわち、R−Si結合(Rは、有機基を表す。)を有するものが好ましい。
このような形態において、Rは有機基を表すが、置換されていてもよい炭化水素基であることが好適である。炭化水素基は、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)構造であってもよいし、環状構造であってもよい。また、不飽和結合を有する基であってもよいし、不飽和結合を有しない基、すなわち飽和炭化水素基であってもよい。
上記炭化水素基として具体的には、例えば、アルキル基、アリール基又はアラルキル基が好ましく、これらのうち2種以上を有するものであってもよい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルへキシル基、n−オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基、ビシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;鎖状アルキル基の水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基で置換されてなる基;シクロアルキル基の水素原子の一部又は全部が、鎖状アルキル基で置換されてなる基;等が挙げられる。
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等の他、これらの水素原子の一部又は全部がアルキル基等で置換されてなる基(例えば、メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基(キシリレン基)、ジエチルフェニル基等)等が挙げられる。
上記アラルキル基としては、ベンジル基等の他、これらの水素原子の一部又は全部がアルキル基等で置換されてなる基(例えば、メチルベンジル基等)等が挙げられる。
上記炭化水素基の炭素数は、1以上であればよいが、2以上であることが好適である。これによって、ビニル系化合物との相溶性が向上され、均質に混ざるために、低吸湿性により優れる硬化物を得ることができ、また、レンズ用途等に要求されるような高い透明性をも有する硬化物を得ることができる。より好ましくは3以上である。また、硬化物の硬度を充分なものとする観点から、20以下が好ましく、より好ましくは10以下である。なお、特に好ましくはメルカプト基を有する炭化水素基であり、最も好ましくは、炭素数3で、メルカプト基を有する炭化水素基である。
なお、上記炭化水素基が置換基として炭素を含む基を有する場合、その置換基の炭素数も含めた総炭素数として、上記範囲にあることが好適である。
上記炭化水素基の中でも、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、特に、芳香環を含まない脂肪族炭化水素基であることが好適である。これにより、耐光性や耐熱着色性に優れる硬化物を得ることが可能になる。
上記炭化水素基はまた、置換基を有していてもよい。置換基としては特に限定されず、例えば、メルカプト基、ハロゲン元素、アルコキシ基、水酸基、スルホン酸基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基、シアノ基、アゾ基、エステル基(エステル結合)、エーテル基(エーテル結合)等が挙げられる。ただし、上記炭化水素基は、アミノ基、水酸基、カルボキシル基及びエステル基(エステル結合)を有しないことが好適である。すなわち、親水性が高い基や加水分解性基を有しないことが好ましく、これによって、低吸湿性により優れる硬化物を得ることが可能になる。
上記ポリシロキサン化合物として好ましくは、該ポリシロキサン化合物に含まれる全Si原子100質量%に対し、50質量%以上のSi原子が、炭素数3以上の脂肪族炭化水素基と結合した構造を有する形態である。なお、ここでの脂肪族炭化水素基は置換されていてもよい。すなわち、上記ポリシロキサン化合物が、該ポリシロキサン化合物に含まれる全Si原子100質量%に対し、50質量%以上のSi原子が、R’−Si結合(R’は、置換されていてもよい炭素数3以上の脂肪族炭化水素基を表す。)を構成する構造を有する形態であることが好適である。中でも、R’−Si結合を構成するSi原子が、全Si原子100質量%に対して60質量%以上であることがより好ましい。また、R’は、上述したように、芳香環を有しない脂肪族炭化水素基であることが好ましく、また、アミノ基、水酸基、カルボキシル基及びエステル基(エステル結合)を有しない脂肪族炭化水素基であることも好適である。
上記ポリシロキサン化合物の分子構造は特に限定されないが、通常、鎖状構造(直鎖状、分岐状)、ラダー状構造、環状構造、かご状構造及び粒子状構造が例示される。中でも、ビニル系化合物との相溶性が高い観点から、鎖状、ラダー状、かご状が好ましい。更に、相溶性が高く、光学的な透明性や機械特性がより高い硬化物が得られる観点から、鎖状、ラダー状がより好ましく、特に好ましくはラダー状である。特にラダー状のポリシロキサン化合物を用いると、他の構造のものを用いる場合に比べて、少量の添加で離型性、光学特性(透明性、アッベ数・屈折率等)の制御性、機械的特性を更に向上することができる。すなわち、(1)硬化後の成形金型から硬化物(成型体)を容易に離型することができる(離型性に優れる)、(2)硬化性樹脂組成物の透明性、アッベ数・屈折率を厳密に制御することができる(制御性に優れる)、(3)硬化物の透明性、アッベ数・屈折率を厳密に制御することができる(制御性に優れる)、(4)硬化物の機械的特性に優れる(弾性率、破壊強度が高い)、等といった添加効果を発揮することができる。
また上記ポリシロキサン化合物は、常温で液状であってもよいし、固体状のものであってもよい。
上記ポリシロキサン化合物の重量平均分子量としては、3000以上が好ましく、また、3万以下であることが好ましい。3000未満であると、得られる硬化物が脆くなりやすく、取り扱い性が充分とはならないおそれがある。3万を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、成形性や取り扱い性が充分とはならず、また、ビニル系化合物等の樹脂成分との相溶性がより充分なものとはならないおそれがある。より好ましくは4000以上、更に好ましくは5000以上であり、また、より好ましくは25000以下、更に好ましくは20000以下である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の分子量である。
重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ−N 4.6150を2本、溶離液:テトラヒドロフラン、標準サンプル:TSKポリスチレンスタンダード)により測定することができる。
上記ポリシロキサン化合物としてはまた、求められる物性によっては、1分子中にメルカプト基を含有するものであることが好適である。すなわち、上記ポリシロキサン化合物は、メルカプト基含有ポリシロキサン化合物であることが好適である。このようなメルカプト基含有ポリシロキサン化合物は、ビニル系化合物との相溶性に優れ、しかもメルカプト基がビニル基(例えば(メタ)アクリロイル基等)と反応し得ることから、これを用いることによって、均質で透明性の高い硬化物を得ることができ、光学材料等の用途に特に好適なものとなる。
なお、メルカプト基含有ポリシロキサン化合物とは、1分子中に、メルカプト基(SH基)及びシロキサン結合(Si−O−Si結合)を有するポリマーである。すなわち、メルカプト基及びシロキサン結合を含む構造単位(メルカプト基含有シロキサン単位と称す)を少なくとも有するポリマーである。
上記メルカプト基含有シロキサン単位の含有割合は、適用される用途にもよるが、メルカプト基含有ポリシロキサン化合物を構成するシロキサン単位総量100モル%に対し、例えば、40モル%以上であることが好適である。これによって、ビニル系化合物との相溶性がより充分となって、透明性や均質性により優れる硬化物を得ることができ、また、樹脂組成物の成形加工性がより充分なものとなる。より好ましくは50モル%以上である。また、上限は100モル%であるが、表面硬度がより高い硬化物を得るためには、90モル%以下であることが好ましく、より好ましくは80モル%以下である。
なお、メルカプト基含有シロキサン単位の含有割合(モル%)は、原料たるシラン化合物の総量100モル%に対する、メルカプト基含有シラン化合物の含有割合(モル%)で求めることができる。
また上記メルカプト基含有シロキサン単位は、ビニル系化合物に対する相溶性により優れる点から、メルカプト基が炭化水素鎖を介してケイ素原子に結合してなる形態であることが好ましい。炭化水素鎖としては、鎖状飽和炭化水素鎖(アルキレン鎖)が好ましく、中でも直鎖状の飽和炭化水素鎖が好ましい。また、炭化水素鎖としては、炭素原子数1〜10の炭化水素鎖が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6の炭化水素鎖、更に好ましくは炭素数2〜4の炭化水素鎖、特に好ましくは炭素数3の炭化水素鎖である。炭化水素鎖が鎖状飽和炭化水素鎖である場合、直鎖状飽和炭化水素鎖である場合についても、好ましい炭素原子数は同様である。
上記樹脂組成物におけるポリシロキサン化合物は、例えば、シラン化合物を加水分解し、脱水縮合して得ることができる。加水分解及び脱水縮合方法については、特に限定されず、通常の手法で行うことができる。
上記シラン化合物は、メルカプト基を有するシラン化合物(メルカプト基含有シラン化合物と称す)を含むものであってもよいし、メルカプト基を含まないシラン化合物(その他のシラン化合物とも称す)のみからなるものであってもよいが、上述したように、より均質で透明な硬化物を得るためには、メルカプト基含有シラン化合物を含むものであることが好適である。この場合、上記シラン化合物は、メルカプト基含有シラン化合物のみからなるものであってもよいし、他のシラン化合物を含むものであってもよい。すなわち、上記メルカプト基含有ポリシロキサン化合物は、メルカプト基含有シラン化合物とその他のシラン化合物との共(加水分解)縮合物であってもよい。共(加水分解)縮合物である場合、原料に含まれるメルカプト基含有シラン化合物の含有割合は、シラン化合物の総量100モル%に対し、40モル%以上であることが好適である。より好ましくは50モル%以上である。また、上限は100モル%であるが、90モル%以下であることが好ましく、より好ましくは80モル%以下である。
上記メルカプト基含有シラン化合物は、分子中に少なくとも1個以上のメルカプト基を有するシラン化合物であり、例えば、下記一般式(1):
(R−Si−(OR (1)
(式中、Rは、同一又は異なって、炭化水素基を表し、置換基を有していてもよい。Rは、同一又は異なって、炭化水素基を表し、置換基を有していてもよい。但し、m個のR及びn個のRのうち少なくとも1つは、メルカプト基を含む基である。m及びnは、Siと結合する各々の基の数を表し、各々、0〜4の数である。但し、m+n=4である。)で表される化合物が好適である。
上記一般式(1)において、Rは、同一又は異なって、炭化水素基を表すが、中でもアルキル基、アリール基又はアラルキル基が好ましく、これらのうち2種以上を有するものであってもよい。また、炭素数は1〜20であることが好ましい。より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6である。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルへキシル基、n−オクチル基、ラウリル基、ステアリル基等の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへキシル基、ビシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;鎖状アルキル基の水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基で置換されてなる基;シクロアルキル基の水素原子の一部又は全部が、鎖状アルキル基で置換されてなる基;等が挙げられる。
上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等の他、これらの水素原子の一部又は全部がアルキル基等で置換されてなる基(例えば、メチルフェニル基(トルイル基)、ジメチルフェニル基(キシリレン基)、ジエチルフェニル基等)等が挙げられる。
上記アラルキル基としては、ベンジル基等の他、これらの水素原子の一部又は全部がアルキル基等で置換されてなる基(例えば、メチルベンジル基等)等が挙げられる。
上記Rの中でも、アルキル基が好ましく、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が好適である。これによって硬化収縮をより低減することが可能になる。
上記Rは、置換基を有するものであってもよい。また、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)構造であってもよいし、環状構造であってもよい。
上記一般式(1)において、Rは、炭化水素基を表すが、アルキル基、アリール基又はアラルキル基が好ましく、これらのうち2種以上を有するものであってもよい。また、炭素数は1〜20であることが好適である。より好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜3である。
上記アルキル基、アリール基及びアラルキル基の具体例については、Rについて上述したものと同様である。
上記Rの中でも、アルキル基(すなわち、RO基がアルコキシ基である形態)が好ましく、中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基が好適である。これによって、硬化収縮をより低減することが可能になる。より好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基(すなわち、RO基がメトキシ基又はエトキシ基である形態)である。
上記Rは、置換基を有するものであってもよい。また、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)構造であってもよいし、環状構造であってもよい。
上記一般式(1)中、m及びnは、各々、0〜4の数である(但し、m+n=4)が、ビニル系化合物との相溶性の観点から、nが1、2又は3であることが好適である。nとしてより好ましくは、2又は3である。なお、nが2又は3であって、かつRがアルキル基である形態、すなわち、上記一般式(1)で表される化合物が、メルカプト基含有ジアルコキシシラン化合物又はメルカプト基含有トリアルコキシシラン化合物である形態が更に好ましい。また、表面硬度の高い硬化物、例えば、後述する鉛筆硬度が6H以上の硬化物を得ようとする場合には、メルカプト基含有トリアルコキシシラン化合物を用いることが好適である。
上記一般式(1)中、m個のR及びn個のRのうち少なくとも1つは、メルカプト基を含む基であるが、Rの少なくとも1つがメルカプト基を有する基であることが好ましい。より好ましくは、Rの少なくとも1つが、末端にメルカプト基を有するアルキル基であることである。また、上記一般式(1)で表される化合物が有するメルカプト基は、1分子中に1〜2個であることが好適である。より好ましくは1個である。
なお、Rがメルカプト基を有する基である場合、当該メルカプト基を有するRにおいて、炭化水素基を構成する炭素原子数は1〜10であることが好ましく、より好ましい炭素原子数は1〜6であり、更に好ましい炭素原子数は2〜4であり、特に好ましい炭素原子数3である。また、メルカプト基を有するRにおいて、炭化水素基は、鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)であることが好ましく、直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)であることがより好ましい。炭化水素基がアルキル基である場合についても好ましい炭素原子数は同様である。すなわちメルカプト基を有するRとしては、メルカプトプロピル基が特に好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物として特に好ましくは、3−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジアルコキシシランである。これらの化合物におけるアルコキシ基は、上述した一般式(1)中のROと同様であり、炭素数1〜5のアルコキシ基であることが好適である。より好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。
上記その他のシラン化合物としては、メルカプト基を含まないシラン化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、下記のシラン化合物等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。
メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類;
ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類;
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類;
N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類。
これらの中でも、アルコキシシラン類が好適であるが、当該化合物が有するアルコキシシラン基の数は、1〜4個のいずれであってもよい。すなわち、テトラアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物、モノアルコキシシラン化合物のいずれであってもよいが、ビニル系化合物との相溶性の観点から、トリアルコキシシラン化合物、及び、ジアルコキシシラン化合物が好適である。また、上述したアルコキシシラン類の中でも、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが、安価で工業的入手性に優れるうえ、立体的に、共縮合物のメルカプト基の効果を損ないにくい点から、好適である。なお、表面硬度の高い硬化物、例えば、後述する鉛筆硬度が6H以上の硬化物を得ようとする場合には、トリアルコキシシラン化合物を用いることが好適である。
−ビニル系化合物−
上記硬化性樹脂組成物において、ビニル系化合物とは、1分子中に不飽和二重結合を1個以上含む化合物であり、ラジカル重合性の化合物であることが好ましい。また上記ビニル系化合物は、モノマー又はオリゴマーであることが好適である。
このようなビニル系化合物として、本発明ではウレタン(メタ)アクリレート化合物を必須とするが、これにより、硬化物の耐久性(耐光性や耐熱性、耐湿性)や透明性、機械的強度を充分なものとすることができる。
=ウレタン(メタ)アクリレート化合物=
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物とは、分子内にウレタン基(−O−C(=O)−N(H)−)及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。このような化合物において、1分子中の(メタ)アクリロイル基の数は1個以上であればよいが、表面硬度により優れる硬化物を得ようとする場合には、2個以上であること、すなわち多官能化合物であることが好ましい。より好ましくは、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する、3官能以上の化合物である。
なお、本明細書中、(メタ)アクリレート化合物とは、メタクリレート化合物(メタクリロイル基を有する化合物)及びアクリレート化合物(アクリロイル基を有する化合物)の総称であるが、アクリレート化合物の方が反応性が高く硬化性に優れるため、より好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物として好ましくは、脂肪族炭化水素基(R)とウレタン結合とを有するウレタン骨格(−O−C(=O)−N(H)−R−)を、主鎖に有し、かつ少なくとも1つの分子末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。このような構造を有するものであると、得られる硬化物が透明性や耐久性等により優れるものとなる。中でも、1分子中にウレタン骨格を2個以上有する、すなわちポリウレタン骨格を有するものがより好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物はまた、主鎖又は側鎖に、エステル骨格(−O−C(=O)−R−)、エーテル骨格(−O−R−)及びカーボネート骨格(−O−C(=O)−O−R−)からなる群より選択される少なくとも1種を更に有する化合物であってもよい。中でも、これらの骨格のうちいずれかを2個以上有する、すなわちポリエステル骨格、ポリエーテル骨格又はポリカーボネート骨格を有する化合物が好適である。上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物が、主鎖にエステル骨格、エーテル骨格又はカーボネート骨格、特に、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格又はポリカーボネート骨格を含むものであると、機械的性質、耐磨耗性が良好であることから、硬化物を露出して使用する形態の用途に好適であり、また耐熱劣化性、耐化学薬品性が良好であることから屋外で使用する用途にも好適である。このような用途としては、例えば、車載用カメラ、監視カメラ、表示素子(LED等)の樹脂レンズ等が挙げられる。
なお、本明細書中、エーテル骨格は、オキシアルキレン基からなるオキシアルキレン骨格(−RO−)を含むものとする。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物はまた、成形体の耐光性や耐熱性を害しない範囲で芳香環を構造中に含んでいてもよい。例えば、上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物の総量を100質量%とすると、当該化合物の総量中に、芳香環の質量割合が20質量%以下となる範囲で含むことが好ましい。より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0質量%、すなわち芳香環を含まないことである。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、重量平均分子量が500以上、10万以下であるものが好適である。重量平均分子量がこの範囲内にあるウレタン(メタ)アクリレート化合物を用いることで、硬化物の硬度がより充分となり、また硬化時の割れがより充分に抑制される一方で、樹脂組成物の粘度がより適切なものとなり、成形性よく硬化物を得ることが可能になる。上記重量平均分子量としてより好ましくは、500以上、5000以下である。
重量平均分子量は、ポリスチレン換算の分子量であり、ゲル透過クロマトグラフィー(カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ−N 4.6150を2本、溶離液:テトラヒドロフラン、標準サンプル:TSKポリスチレンスタンダード)により測定することができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物としてはまた、(メタ)アクリル当量が100以上のものが好適である。また、上限は1000以下であることが好適である。(メタ)アクリル当量がこの範囲にあるウレタン(メタ)アクリレート化合物を用いることで、硬化物の硬度がより充分となり、また硬化時の割れがより充分に抑制される一方で、樹脂組成物の粘度がより適切なものとなり、成形性よく硬化物を得ることが可能になる。上記(メタ)アクリル当量としてより好ましくは、200以上、500以下である。
(メタ)アクリル当量は、含有(メタ)アクリロイル基1モル当たりの(メタ)アクリル系化合物の分子量で定義される。上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリル当量は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量をウレタン(メタ)アクリレート化合物1分子(モル)あたりの(メタ)アクリルの個数(モル数)で割ることにより求めることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとの反応生成物として得ることができる。なお、この反応は、通常用いられる反応条件を採用することができる。
上記ポリオールとしては、脂肪族ポリエステルポリオール、脂肪族ポリエーテルポリオール、脂肪族ポリカーボネートジオールが挙げられる。ポリオールとして脂肪族ポリエステルポリオールを用いると、構造中にウレタン骨格とエステル骨格とを有するウレタン(メタ)アクリレート化合物が得られる。同様に、ポリオールとして脂肪族ポリエーテルポリオールを用いると、構造中にウレタン骨格とエーテル骨格とを有するウレタン(メタ)アクリレート化合物が得られ、ポリオールとして脂肪族ポリカーボネートジオールを用いると、構造中にウレタン骨格とカーボネート骨格とを有するウレタン(メタ)アクリレート化合物が得られる。
上記脂肪族ポリエステルポリオールの製造方法は特に限定されず、例えば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸若しくは脂肪族ジカルボン酸クロライドとを重縮合反応させても、ジオール又はジカルボン酸をエステル化して、エステル交換反応させてもよい。この反応は、通常用いられる反応条件を採用することができる。
上記脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のアルキレングリコール類の1種又は2種以上を用いることが好ましい。
上記脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸等の1種又は2種以上を用いることが好ましい。
上記脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合等のポリアルキレンオキシド類の1種又は2種以上を用いることができる。
上記脂肪族ポリカーボネートジオールは、例えば、低分子カーボネート化合物と脂肪族ジオールとのエステル交換反応で得ることができる。
上記低分子カーボネート化合物としては、炭酸ジメチルを用いることができる。
上記脂肪族ジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコール等の脂肪族炭化水素ジオール類の1種又は2種以上を用いることができる。
上記ジイソシアネートとしては、直鎖式又は環式の脂肪族ジイソシアネートを用いることができる。代表的なものとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば、EBECRYL230、270、9260、8296(ダイセルサイテック社製);CN9893、9788、983、980、981、991、9006、9010、9178(サートマー社製);UF−8001G(共栄社製);UV−7640B、7550B、6100B、3310B、3200B、3000B、3700B、3520TL、3210EA、1700B(日本合成化学社製);UN−904、908(根上工業社製);等が挙げられる。
本明細書中、製造又は販売会社名が示された化合物等は商品名を表すものとする。
=他のビニル系化合物=
上記樹脂組成物はまた、上述したウレタン(メタ)アクリレート化合物以外のビニル系化合物(すなわち、ウレタン骨格を有しないビニル系化合物)を、1種又は2種以上含んでいてもよい。このようなビニル系化合物を「他のビニル系化合物」とも称す。
なお、上記硬化性樹脂組成物に含まれるビニル系化合物の総量(ウレタン(メタ)アクリレート化合物及び他のビニル系化合物の合計量)100質量%に対する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有割合は、50質量%以上であることが好適である。より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%、すなわち他のビニル系化合物を含まないことである。
上記他のビニル系化合物としては、1分子中に重合性不飽和二重結合を2個以上含む、多官能ビニル系化合物が好ましい。より好ましくは多官能(メタ)アクリレート化合物である。また、1分子中に含まれる重合性不飽和二重結合の個数は、2個以上が好ましく、より好ましくは3個以上であり、また、10個以下が好ましい。
上記他のビニル系化合物の重量平均分子量は、例えば、100以上、1万以下であることが好適である。重量平均分子量が100以上であると、硬化時の収縮がより低減され、クラックフリーの硬化物を与えることがより可能になる。また、重量平均分子量が1万以下であると、樹脂組成物の成形性(加工し易さ、金型転写性)がより向上される。上記重量平均分子量としてより好ましくは、200以上、8000以下であり、更に好ましくは250以上、5000以下である。
上記他のビニル系化合物としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物;スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等)等の芳香族ビニル化合物;等が挙げられる。これらの中でも、耐光性や硬度等に優れる点から、(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物(但し、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を除く。)が好ましく、例えば、脂肪族(メタ)アクリレート化合物及び/又は芳香族(メタ)アクリレート化合物が好適である。
上記脂肪族(メタ)アクリレート化合物とは、主鎖に脂肪族炭化水素基を有し、かつ少なくとも1つの分子末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する化合物であればよく、例えば、脂肪族(メタ)アクリレート系オリゴマーや、脂肪族(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられる。
上記脂肪族(メタ)アクリレート系オリゴマーとして具体的には、例えば、主鎖に、エステル骨格、エーテル骨格及び/又はカーボネート骨格を有し、かつ少なくとも1つの分子末端又は側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する化合物;(メタ)アクリレート系モノマー(好ましくは、後述する脂肪族(メタ)アクリレート系モノマー)の(共)重合体からなる(メタ)アクリレート系(共)重合体骨格を有するオリゴマー;等が挙げられる。
上記脂肪族(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、炭素数4以上の脂肪族鎖状炭化水素基を有するモノマー;脂肪族環状構造を有するモノマー;複素環構造を有するモノマー;ネオペンチル構造及び/又はアルキレングリコール構造(オキシアルキレン鎖)を有するモノマー;1分子内に(メタ)アクリロイル基とその他の極性基(但し、ウレタン基を除く。)とを有するモノマー;等が好ましい。
上記その他の極性基は、極性を有する基(結合)であれば特に限定されないが、酸素原子を有する極性基であることが好ましい。酸素原子を有する極性基としては、ヒドロキシル基、エステル基(結合)、エーテル基(結合)、カーボネート基(結合)及びこれらの極性基を有する官能基等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基及びヒドロキシル基を有する官能基が好適である。なお、(メタ)アクリロキシアルキル基のように、構造中に(メタ)アクリロイル基を含む極性基も、上記その他の極性基に含めることとする。
−その他の含有成分−
上記樹脂組成物はまた、重合開始剤を含むことが好適である。
上記重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。
上記ラジカル重合開始剤としては、ラジカルを発生して上記重合を開始させることができる化合物であれば特に限定されず、例えば、下記化合物等が挙げられる。
1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1,1’−アゾビス−1−シクロヘプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’アゾビス−2−メチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤類;
過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ラウロイル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーイソノナノエート、t−アミルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシベンゾエート等の過酸化物系開始剤類;
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアルキルフェノン系開始剤類;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系開始剤類;
ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等のチタノセン系開始剤類;
1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系開始剤類等。
上記重合開始剤の含有量としては、重合系(硬化系)、用いる重合開始剤やビニル系化合物の種類等によって適宜選択すればよい。例えば、ラジカル重合開始剤を用いる場合、ラジカル重合開始剤の含有量は、ビニル系化合物の総量100重量部に対し、0.01重量部以上とすることが好ましい。硬化を充分に行うことができ、また硬化時間を短縮することができるためである。より好ましくは0.1重量部以上、更に好ましくは0.2重量部以上である。また、上限は10重量部以下とすることが好ましい。10重量部を超えるとラジカル重合開始剤の残渣による硬化物の光学特性低下が発生する場合があるためである。より好ましくは5重量部以下、更に好ましくは3重量部以下、特に好ましくは2重量部以下である。
上記樹脂組成物はまた、樹脂組成物の粘度調整等を目的として、必要に応じて溶媒を含むことができる。
上記溶媒としては、特に制限されず、通常使用される有機溶媒であればよいが、上述したビニル系化合物を溶解するものが好適である。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の炭化水素類;ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、(ジ)エチレングリコールメチルエーテル、(ジ)エチレングリコールエチルエーテル、(ジ)エチレングリコールアセテート、(ジ)エチレングリコールジアセテート、(ジ)エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール及びその誘導体(エーテル、エステル)類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;等が好ましい。
なお、溶媒は、樹脂組成物を重合して硬化物とする際に硬化物中の気泡の原因となることがあり、また、多量に用いると、樹脂組成物の粘性が低くなりすぎて硬化物の膜厚や形状の制御性をより充分なものとすることができないこともある。したがって、溶媒を用いる場合、その含有量は、上記樹脂組成物の総量100質量%に対して30質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更により好ましくは5質量%以下、一層好ましくは1質量%以下である。特に好ましくは0.1質量%以下であり、最も好ましくは0質量%、すなわち溶媒を使用しないことである。
上記樹脂組成物は更に、上述した成分の他に、本発明の作用効果を損なわない限り、例えば、多官能チオール化合物、無機微粒子、反応性希釈剤、不飽和結合を有さない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)、光増感剤等の1種又は2種以上を含有していてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物の製法は特に限定されない。例えば、ポリシロキサン化合物とウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むビニル化合物とを、該硬化性樹脂組成物の固形分中の重合性二重結合濃度が3.0mmol/g以下となるような混合比で混合することにより製造することができる。また、重合開始剤を混合することが好ましい。溶媒成分等のその他の含有成分は必要に応じて添加混合すればよい。例えば、ポリシロキサン化合物を溶媒成分に添加し均一になるまで攪拌した後、得られた混合物に、ビニル化合物、重合開始剤を順次添加し均一になるまで混合することにより、硬化性樹脂組成物を得ることができる。必要に応じて脱泡処理や異物除去のための濾過等を行えばよい。
<硬化物>
本発明はまた、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物でもある。
上記硬化物は、上述した硬化性樹脂組成物から得られることに起因して、割れやクラック等がなく、高硬度で、かつ透明性が高く、機械的特性や光学特性等を充分に発揮できるものである。このような硬化物は、金型成型体(金型成形体とも称す)であることが好ましいが、フィルムやシート等の膜形状や、ペレット形状のものであってもよい。
なお、本発明では、厚膜の硬化物を好適に実現することもできる。例えば、膜形状の硬化物(硬化被膜)の膜厚(厚み)は、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは15μm以上、更に好ましくは20μm以上、特に好ましくは21μm以上である。また、5000μm以下であることが好ましく、より好ましくは2000μm以下である。
上記樹脂組成物の硬化方法(重合方法)としては、熱硬化や光硬化(活性エネルギー線照射による硬化)等の種々の方法を好適に用いることができるが、熱硬化としては30〜400℃程度の温度範囲で硬化することが好ましく、光硬化は照射光量が積算光量10〜10000mJ/cmの範囲で硬化することが好ましい。
上記樹脂組成物の硬化方法として具体的には、例えば、上記樹脂組成物を基材上に塗布し、重合(硬化)反応させた後、硬化物を該基材から剥離する方法や、上記樹脂組成物を金型に注型して硬化させた後、硬化物を離型する方法(金型成形法)等が挙げられ、目的とする硬化物の形状等に応じて適宜選択することができる。例えば、膜形状の硬化物(シート状硬化物等)を得る場合は、膜形状に容易に成形できる点で、塗布による成形方法を採用することが好ましい。使用される基材としては、例えば、PET等の高分子フィルムが挙げられる。また、金型成型体を得る場合は、金型成形法を採用すればよい。
また硬化は1段階で行ってもよいし、1次硬化(予備硬化)、2次硬化(本硬化)のように2段階で行ってもよい。例えば、レンズ等のように金型成形を必要とする場合においては、脱型操作を必要とするが、脱型操作の前に1次硬化を行い、脱型操作後に2次硬化を行うといった硬化・成形方法(以下、2段階硬化法とも称す。)が好ましく採用される。
上記2段階硬化法としては、1次硬化に相当する第1工程として、樹脂組成物を80〜200℃で熱硬化させる工程又は光硬化させる工程と、2次硬化に相当する第2工程として、該第1工程で得た硬化物を、200℃を超え、500℃以下で熱硬化させる工程とを含む方法を採用することが好ましい。なお、通常の成型(成形)工程で行われる他の工程を更に含んでもよい。
上記第1工程において、熱硬化を行う場合には、硬化温度を80〜200℃とすることが好ましい。より好ましくは100℃以上であり、また、より好ましくは160℃以下である。
上記熱硬化工程における硬化時間は、例えば、10分以内であることが好ましく、より好ましくは5分以内、更に好ましくは3分以内である。また、好ましくは10秒以上、より好ましくは30秒以上である。
上記熱硬化工程はまた、空気中及び/又は窒素等の不活性ガス雰囲気の減圧下、加圧下のいずれの雰囲気下でも行うことができる。また、硬化温度80〜200℃の範囲内で、硬化温度を段階的に変化させてもよい。例えば、生産性向上等の観点から、樹脂組成物を型内で所定の温度・時間で保持した後、型から取り出して空気中及び/又は窒素等の不活性ガス雰囲気内に静置して熱処理することも可能である。また、光硬化(活性エネルギー線照射による硬化)を組み合わせてもよい。
また上記第1工程において、光硬化(活性エネルギー線照射による硬化)を行う場合、活性エネルギー線としては、ラジカル、カチオン等の活性種を生成させることができるものであればよい。例えば、紫外線、可視光線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線、マイクロ波、高周波、赤外線、レーザー光線等が好適であり、活性種を発生させる化合物の吸収波長を考慮して適宜選択すればよい。中でも、容易に取り扱うことができる点から、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線が好ましい。これらの波長範囲の中でも、特に、254nm、308nm、313nm、365nmの波長の光が硬化に有効である。
なお、上記活性エネルギー線照射による硬化工程は、空気中及び/又は不活性ガス中、減圧下、加圧下のいずれの雰囲気下でも行うことができる。
上記波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の光発生源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光等が好適である。
上記活性エネルギー線照射の照射時間、すなわち活性エネルギー線による硬化工程における硬化時間は、活性エネルギー線の種類や照射量等によって適宜設定すればよい。例えば、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線の照射時間は、0.1マイクロ秒〜30分が好ましく、より好ましくは0.1ミリ秒〜10分である。
上記第1工程としてはまた、金属、セラミック、ガラス、樹脂製等の型(金型と称す)を用いた硬化工程であることが好適である。金型を用いた硬化工程とは、例えば、射出成型法、圧縮成型法、注型成型法、サンドイッチ成型法等の金型成型法で通常行われる硬化工程であればよいが、第1工程がこのような金型を用いた硬化工程であれば、耐磨耗性、低収縮性、寸法精度及び金型転写性等の各種物性に優れ、かつ着色がなく透明な成形体(硬化物)を容易に製造できる。
上記第1工程が金型を用いた硬化工程である場合には、第1工程の後であって、かつ第2工程の前に、脱型工程を行うことが好適である。脱型工程を含む形態、すなわち第1工程で得た硬化物を金型から取り出し、取り出した硬化物を次の第2工程に供する形態とすることによって、高価な金型を有効に回転(リサイクル)でき、かつ金型の寿命を長くすることができるため、低コストで成形体を得ることが可能になる。
この場合、上記樹脂組成物を硬化剤及び必要に応じて他の成分を含む1液組成物とし、目的とする成形体の形状に合わせた金型内に該1液組成物を充填(射出・塗出等)して硬化させ、その後、硬化物を金型から取り出す方法が好適に用いられる。
上記2段階硬化法において、第2工程では、上記第1工程で得た硬化物(好ましくは、脱型工程によって金型から取り出した硬化物)を、150℃を超え、500℃以下で熱硬化させることが好ましい。より好ましくは200℃以上、更に好ましくは220℃以上、特に好ましくは250℃以上、最も好ましくは270℃以上である。また、より好ましくは、400℃以下である。
上記第2工程における硬化時間は、得られる成形体の硬化率が充分となる時間とすればよく特に限定されないが、製造効率を考慮すると、例えば、30分〜30時間とすることが好適である。より好ましくは1〜10時間である。
上記第2工程はまた、空気中及び/又は窒素等の不活性ガス雰囲気のいずれの雰囲気下でも行うことができる。中でも特に、酸素濃度が低い雰囲気下で上記第2工程を行うことが好ましい。例えば、酸素濃度が10体積%以下である不活性ガス雰囲気下で行うことが好適である。より好ましくは3体積%以下、更に好ましくは1体積%以下、特に好ましくは0.5体積%以下、最も好ましくは0.3体積%以下である。また、硬化温度150℃を超え、500℃以下の温度範囲内で、硬化温度を段階的に変化させてもよい。
上記2段階硬化法で得られる硬化物の強度としては、金型から取り出して形状を保てる程度の強度であればよく、例えば、1kgf/cm以上の力で押し出したときの形状変化の割合が10%以下の圧縮強度であることが好ましい。形状変化の割合としては、より好ましくは1%以下であり、更に好ましくは0.1%以下であり、特に好ましくは0.01%以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、屈折率が1.40〜1.65であることが好ましい。屈折率がこのような範囲にあると、上記硬化物を光学レンズ等に好適に用いることができる。上記硬化物の屈折率としてより好ましくは、1.45以上であり、更に好ましくは1.47以上であり、特に好ましくは1.50以上である。一方、上限は、より好ましくは、1.60以下である。
屈折率は、屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて測定することができる。
上記硬化物はまた、アッベ数が45以上であることが好ましい。これにより、光の波長分散が小さくなり、解像度があがり、光学特性に優れたものとすることができる。45未満であると、例えば、にじみがみられるおそれがあり、充分な光学特性を発揮せず、光学レンズに好適な材料とはならないおそれがある。上記アッベ数として、より好ましくは46以上、更に好ましくは47以上である。また、アッベ数の上限は特に限定されないが、好ましくは55以下である。
アッベ数は、屈折率計(アタゴ社製、DR−M2)を用いて測定することができる。
上記硬化物はまた、鉛筆硬度が4H以上であることが好適である。このように表面硬度が高い、すなわち耐磨耗性に優れる硬化物であることで、より過酷な使用環境である屋外使用用途にも好適に適用することができる。上記鉛筆硬度として、より好ましくは5H以上、更に好ましくは6H以上、一層好ましくは7H以上、特に好ましくは9H以上である。レンズ用途、特に撮像レンズ用途においては上記硬度であることが好ましい。
鉛筆硬度は、鉛筆引っかき硬度試験機(安田精機製作所製)を用い、JIS−K5600−5−4(1999年制定)に準拠し、荷重を1000gとして測定することができる。
上記硬化物はまた、表面硬度が高い硬化物であるためには、硬化物中のシロキサン結合の量が、硬化物100質量%中のSi含有量に換算して、5質量%以上であることが好ましい。より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは12質量%以上である。また、硬化物中のシロキサン結合の量が多すぎると、硬化物の強度がより充分とはならないおそれがあるため、好ましい上限は22質量%以下であり、より好ましくは18質量%以下である。
本発明の硬化物は、割れやクラック等がなく、高硬度で、かつ透明性が高く、機械的特性や光学特性等を充分に発揮できるものである。また、上記樹脂組成物が成形加工性に優れることに起因して、上記硬化物は金型転写性に優れるものであり、高精度で微細形状に加工することも可能である。このような硬化物は、例えば、電気・電子部材、光学部材、成型部材、機械部品、自動車部品、土木建築材料等の他、塗料や接着剤の材料等の各種用途に有用なものである。中でも、光学部材に好適に用いることができ、特に、透明性や均質性が要求される光学レンズ用途、中でも撮像レンズ用途に極めて有用である。このように、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を用いてなる光学レンズもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記光学レンズとしては、例えば、眼鏡レンズ;(デジタル)カメラ、携帯電話用カメラや車載用カメラ、監視用カメラ等のカメラ用撮像レンズ;光ビーム集光レンズ(光ピックアップ用レンズ)、LED用レンズ等の光拡散用レンズ;等が挙げられる。中でも、カメラ用撮像レンズ、光ビーム集光レンズ及び光拡散用レンズが好ましく、より好ましくはカメラ用撮像レンズである。カメラ用撮像レンズの中でも、携帯電話用カメラ用撮像レンズ及びデジタルカメラ用撮像レンズ等の撮像レンズが好ましい。また、微小光学レンズであることが好適である。
なお、上記硬化物が光学部材である場合には、上記硬化性樹脂組成物は、光学部材の用途に応じて適宜その他の成分を含んでいてもよい。具体的には、UV吸収剤、IRカット剤、反応性希釈剤、顔料、洗料、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、光安定剤、重合禁止剤、消泡剤等が好適である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述のような構成であるので、硬化時の割れやクラックがなく、高硬度、かつ透明性が高い硬化物を成形性よく与えることができるものである。したがって、このような硬化性樹脂組成物を用いれば、屋外使用用途や物理的接触のある用途にも好適に適用できる程度に高いレベルの耐磨耗性等を有し、かつ透明性、寸法制度及び金型転写性等に優れ、光学部材等の各種用途に有用な硬化物(成形体)を得ることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
なお、下記製造例で得た樹脂組成物の重合性二重結合濃度は、各樹脂組成物の固形分総量に対する、用いたビニル系化合物由来の(メタ)アクリロイル基の濃度に相当するが、これは、仕込み原料組成から計算した。
合成例1
ポリシロキサン(1)の合成(メルカプト基含有シロキサン単位/その他の構成単位=100%/0%(モル比))
ガスインレット、冷却管、温度計、攪拌棒付きの四つ口1Lセパラブルフラスコに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン900g、ギ酸63.3gを仕込み、窒素置換を行った。油浴で50℃に保温し、攪拌しながら60分かけて水165.2gを添加した。反応液を加熱して、加水分解で生じたメタノールを留去するとともに縮合を行った。内温が150℃になるまで加熱し、更に1kPaまで減圧して揮発成分を留去した。反応液を40℃まで冷却して、ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン(1)と称す)616.78gを取得した。
合成例2
ポリシロキサン(2)の合成(メルカプト基含有シロキサン単位/その他の構成単位=75%/25%(モル比))
ガスインレット、冷却管、温度計、攪拌棒付きの四つ口1Lセパラブルフラスコに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン726g、メチルトリメトキシシラン167.64g、ギ酸68.06gを仕込み、窒素置換を行った。油浴で50℃に保温し、攪拌しながら60分かけて水177.62gを添加した。反応液を加熱して、加水分解で生じたメタノールを留去するとともに縮合を行った。内温が150℃になるまで加熱し、更に1kPaまで減圧して揮発成分を留去した。反応液を40℃まで冷却して、ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン(2)と称す)586.05gを取得した。
合成例3
ポリシロキサン(3)の合成(メルカプト基含有シロキサン単位/その他の構成単位=60%/40%(モル比))
ガスインレット、冷却管、温度計、攪拌棒付きの四つ口500mLセパラブルフラスコに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン270g、メチルトリメトキシシラン125g、ギ酸31.66gを仕込み、窒素置換を行った。油浴で50℃に保温し、攪拌しながら60分かけて水82.63gを添加した。反応液を加熱して、加水分解で生じたメタノールを留去するとともに縮合を行った。内温が150℃になるまで加熱し、更に1kPaまで減圧して揮発成分を留去した。反応液を40℃まで冷却して、メルカプト基含有ポリシロキサン化合物(ポリシロキサン(3)と称す)586.05gを取得した。
製造例1(樹脂組成物(1))
合成例1で取得したポリシロキサン(1)65部に、Q−1301(和光純薬工業社製)0.005部、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(昭和電工社製)0.5部の混合物を添加し、均一になるまで混合した。ここに、ビニル系化合物として、アートレジンUN−904(根上工業社製)35部を添加し、均一になるまで混合した。更に、パーヘキシルI(日油社製)を0.3部添加し、均一になるまで混合した。このようにして樹脂組成物(1)を得た。得られた樹脂組成物(1)について、固形分中の重合性二重結合濃度を計算した。結果を表2に示す。
製造例2〜26(樹脂組成物(2)〜(26))、比較製造例1〜2(比較樹脂組成物(C1)〜(C2))
製造例1で用いたポリシロキサン化合物及びビニル系化合物に代えて、表2〜4に示すポリシロキサン化合物及びビニル系化合物を、表2〜4に示す量にて用いたこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂組成物(2)〜(26)及び比較樹脂組成物(C1)〜(C2)を各々得た。得られた各樹脂組成物について、固形分中の重合性二重結合濃度を計算した。
各製造例で使用したビニル系化合物の詳細を表1に示す。なお、表1では、製造例で使用されていないものの、本発明で用いることが好適なビニル系化合物の一部も併記した(但し、本発明のビニル系化合物は表1に記載の化合物のみに限定されるものではない。)。
Figure 2013071939
実施例1
(第1工程)
製造例1で得た樹脂組成物(1)を、1mmのギャップを形成したSUS304(日本テストパネル社製、表面800番仕上げ)の金属板2枚にはさみ、注型成型した。表1に示す温度で2分加熱し硬化させた後、脱型した(この工程で得た硬化物を1次硬化物と称す)。
(第2工程)
第1工程後の硬化体(1次硬化物)を、N雰囲気下(特に断りのない限り、0.0〜0.3体積%の酸素濃度で実施した。)、約15℃/分で昇温して、表1に示す最高到達温度で180分加熱処理を行い、その後、約1℃/分で50℃まで降温した(この工程で得た硬化物を2次硬化物と称す。)。
実施例2、3、8、10〜12、19〜26
製造例1で得た樹脂組成物(1)に代えて、製造例2〜3、8、10〜12、19〜26で得た樹脂組成物(2)、(3)、(8)、(10)〜(12)、(19)〜(26)を各々用いたこと以外は、実施例1と同様にして硬化処理を行った。なお、第1工程での硬化温度、及び、第2工程での硬化温度(最高到達温度)を表2〜3に示す。
実施例4〜7、9、13〜18、比較例1〜2
製造例1で得た樹脂組成物(1)に代えて、製造例4〜7、9、13〜18で得た樹脂組成物(4)〜(7)、(9)、(13)〜(18)、比較樹脂組成物(C1)〜(C2)の各々用いたこと以外は、実施例1と同様にして、第1工程の硬化処理のみを行った。硬化温度を表2〜4に示す。
下記評価方法に従って、各実施例及び比較例で得た1次硬化物の割れの有無を評価した。また、実施例の一部については、2次硬化物の鉛筆硬度(表面硬度)も評価した。結果を表2〜4に示す。
<割れの有無>
目視で割れの有無を評価した。割れが確認された場合は「×」とし、割れが確認されなかった場合は「○」とした。
<鉛筆硬度(表面硬度)>
鉛筆引っかき硬度試験機(安田精機製作所製)を用いてJIS−K5600−5−4(1999年制定)に準拠して測定した。なお、荷重は1000gであった。
Figure 2013071939
Figure 2013071939
Figure 2013071939
表2〜4中、「SH/Me」とは、メルカプト基含有シロキサン単位/メチル基含有シロキサン単位(CHがSi原子に直接結合したシロキサン単位)の比(モル比)を表す。
上記実施例及び比較例の結果から、固形分中の重合性二重結合濃度が3.0mmol/g以下となる樹脂組成物(2)〜(26)はいずれも、硬化中に割れが生じなかったのに対し、固形分中の重合性二重結合濃度が3.0mmol/gを超える比較樹脂組成物(C1)〜(C2)では割れが生じたことが確認された。また、2次硬化物の鉛筆硬度を評価した結果から、本願の樹脂組成物を硬化して得た硬化物が表面硬度に優れることが分かった。なお、表には示していないが、実施例1〜26で得た硬化物は、いずれも透明である(目視による判定)ことが確認された。

Claims (3)

  1. ポリシロキサン化合物及びビニル系化合物を含む硬化性樹脂組成物であって、
    該ビニル系化合物は、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含み、
    該硬化性樹脂組成物の固形分中の重合性二重結合濃度は、3.0mmol/g以下であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記ポリシロキサン化合物は、メルカプト基含有ポリシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
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