JP2013063049A - カテキン類の苦味抑制剤の評価又は選択方法 - Google Patents

カテキン類の苦味抑制剤の評価又は選択方法 Download PDF

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【課題】カテキン類に応答する苦味受容体を利用したカテキン類の苦味抑制剤を評価又は選択する方法の提供。
【解決手段】カテキン類の苦味抑制剤を評価又は選択する方法であって、
TAS2R14及びTAS2R40からなる群より選択される苦味受容体のいずれか1以上にカテキン類および試験物質を添加する工程;
当該試験物質およびカテキン類に対する当該受容体の応答を測定する工程;
試験物質を添加せず当該カテキン類のみを添加する工程;
当該カテキン類のみに対する当該受容体の応答を測定する工程;及び
試験物質及びカテキン類に対する当該受容体の応答と当該カテキン類のみに対する応答を比較し、試験物質及びカテキン類に対する応答が、当該カテキン類のみに対する応答よりも減少していれば、当該試験物質をカテキン類による苦味抑制剤として評価又は選択する工程、
を含む、方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、カテキン類由来の苦味を抑制する苦味抑制剤の評価又は選択方法に関する。
カテキンはガンや高血圧、動脈硬化などの生活習慣病改善に効果があることや風邪の予防、虫歯に対する殺菌効果を有することから注目され(非特許文献1及び2)、多くの飲料に配合されている。また、その生理効果を有効に発現させるために、より簡便に大量のカテキン類を摂取すべく、飲料にカテキン類を高濃度配合する技術が望まれている。
一方で、カテキン類は苦味を呈するため、その使用量が制限されるなどの課題があった。そのため、カテキンの苦味をコントロールすることは、より幅広い分野において、カテキンの利用価値を上げるために重要である。
ヒトにおける苦味の認識は、主に舌の味蕾における味細胞の膜表面に発現している苦味受容体である、Taste type 2 receptor(TAS2R)と結合することから始まる。TAS2Rは、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の一種であり、人では26種、ラットでは40種が同定されている。TAS2Rは、リガンドが結合することにより、Gαiに分類されるガストデューシン(gustducin)と共役し、細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こすことでシグナルを伝達することが知られている(非特許文献3)。いくつかのTAS2Rに関しては、リガンドとなる苦味物質が特定されている(非特許文献4)。
受容体の活性を個別に観察する方法としては、特定の苦味受容体が発現しているマウスやラットなどの非ヒト動物の胃腸管系細胞(非特許文献5、6)を用いた方法や目的の苦味物質に対するヒトの苦味受容体を培養細胞に機能的に発現させる方法などがある(特許文献1)。ヒトの苦味抑制のためには、ヒトの苦味受容体を用いる方法がより好ましい。
苦味受容体活性を検出する方法としては、活性化Gタンパク量に結合するGTPγSの量を測定するGTPγS結合アッセイ(非特許文献7)やGタンパク質を標識抗体を用い可視化するトリプシン消化アッセイ(非特許文献8)、TAS2R受容体の下流に位置するホスホリパーゼC(PLC)の活性やそれらから産生されるジアシルグリセロールやイノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)の測定、ホスホジエステラーゼ(PDE)活性測定等が知られており、主にカルシウムイメージング法が用いられている(非特許文献9、10)。
カテキンの苦味を抑制する素材の開発には、上記ヒトの苦味受容体を培養細胞に機能的に発現させ、受容体の活性を個別に観察する方法を利用できると期待されるが、そのためにはカテキンに対するヒトの苦味受容体を同定しなければならない。しかしながら、ヒトの苦味受容体のカテキンに対する応答性についてほとんど報告がない。これまでに、ヒトの苦味受容体の1つ、TAS2R39が一部のカテキン種に対し応答することが報告されているが(非特許文献11)、TAS2R39以外にカテキン類に応答性を示す苦味受容体が存在するかどうかは明らかではない。
特表2010−508041号公報
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本発明は、カテキン類に応答する苦味受容体を利用したカテキン類の苦味抑制剤を評価又は選択する方法に関する。
本発明者らは、カテキン類に応答する苦味受容体を新たに特定することに成功した。そして、当該受容体のカテキン類に対する応答性がヒトにおける苦味官能評価とよく相関し、当該受容体の活動を抑制する物質が、カテキン類の苦味を抑制する苦味抑制剤として評価又はスクリーニングできることを見出した。
すなわち、本願発明は、以下を提供する。
(1)カテキン類の苦味抑制剤を評価又は選択する方法であって、
TAS2R14及びTAS2R40からなる群より選択される苦味受容体のいずれか1種以上にカテキン類および試験物質を添加する工程;
当該試験物質及びカテキン類に対する当該受容体の応答を測定する工程;
試験物質を添加せず当該カテキン類のみを添加する工程;
当該カテキン類のみに対する当該受容体の応答を測定する工程;及び
試験物質及びカテキン類に対する当該受容体の応答と当該カテキン類のみに対する応答を比較し、試験物質及びカテキン類に対する応答が、当該カテキン類のみに対する応答よりも減少していれば、当該試験物質をカテキン類による苦味抑制剤として評価又は選択する工程、
を含む、方法。
(2)前記苦味受容体が、天然に苦味受容体を発現する細胞上又は苦味受容体を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞上の苦味受容体である(1)記載の方法。
本発明によれば、主観的な官能評価に頼ることなく、簡易に且つ客観的に、カテキン類の苦味を抑制する物質の評価又は選択を行うことができ、ハイスループットスクリーニングを行うことも可能となる。
EGCgに対するTAS2R14、TAS2R40の応答を示すグラフ。 TAS2R14発現細胞におけるカテキン応答性と官能評価との相関性を示すグラフ。 β−シクロデキストリン(β-CD)によるTAS2R14発現細胞のEGCg応答抑制活性を示すグラフ。
後述の実施例に示すように、カテキン類に応答するヒトの苦味受容体として、新たにTAS2R14及びTAS2R40が同定された。そして、当該受容体のカテキン類に対する応答性がヒトにおける苦味官能評価とよく相関する。この結果は、当該受容体を発現させたヒトの培養細胞の応答抑制活性を測定することにより、カテキン類に基づく苦味を抑制する素材を簡易に評価又は選択できることを意味する。
本発明のカテキン類の苦味抑制剤の選択方法は、TAS2R14及びTAS2R40からなる群より選択される苦味受容体のいずれか1種以上に試験物質およびカテキン類を添加する工程;当該試験物質およびカテキン類に対する当該受容体の応答を測定する工程;試験物質を添加せず当該カテキン類のみを添加する工程;当該カテキン類のみに対する当該受容体の応答を測定する工程及び、試験物質及びカテキン類に対する当該受容体の応答と当該カテキン類のみに対する応答を比較し、試験物質及びカテキン類に対する応答が、当該カテキン類のみに対する応答よりも減少していれば、当該試験物質をカテキン類による苦味抑制剤として評価又は選択する工程、を含むものである。
本発明において、カテキン類の苦味抑制剤とは、カテキン類により生ずる苦味を低減し得る物質を意味する。すなわち、カテキン類と共に摂取した場合に当該カテキン類による苦味を低減する物質を云う。
本発明において、使用される苦味受容体はTAS2R14及びTAS2R40からなる選択される1種以上であり、これらはカテキン類に応答する苦味受容体(カテキン受容体)である。また、本発明において選択される物質は、カテキン類による苦味を抑制する物質である。
尚、本発明において、カテキン類としては、例えばカテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)等の非エピ体カテキン類、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)等のエピ体カテキン類が挙げられる。このうち、エピガロカテキンガレート(EGCg)が好ましい。
TAS2R14及びTAS2R40は、ヒト味細胞で発現している苦味受容体であり、それぞれ、GenBankに GI:12965181、GI:28882032として登録されている。TAS2R14は、配列番号1で示される遺伝子配列を有する遺伝子にコードされる、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。TAS2R40は、配列番号3で示される遺伝子配列を有する遺伝子にコードされる、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。また、上記TAS2R14及びTAS2R40のアミノ酸配列に対して、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、カテキン類に対する応答性を有するポリペプチドは、本発明のカテキン受容体と同等に扱われる。
本発明の方法においては、当該苦味受容体のうちのいずれか1つを単独で使用してもよく、又は複数を組み合わせて使用してもよい。
なお、アミノ酸配列の配列同一性は、リップマン−パーソン法(Lipman-Pearson法;Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(Ver.5.1.1;ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行なうことにより算出される。
本発明の方法において、上記苦味受容体は、受容体の機能を失わない限り、任意の形態で使用され得る。例えば、苦味受容体は、生体から単離された苦味受容器若しくは味細胞等の天然に苦味受容体を発現する組織や細胞、又はそれらの培養物;当該苦味受容体を担持した味細胞の膜;当該苦味受容体を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞又はその培養物;当該組換え細胞の膜;及び、当該苦味受容体を有する人工脂質二重膜、等の形態で使用され得る。これらの形態は全て、本発明で使用される苦味受容体の範囲に含まれる。
好ましい態様においては、味細胞等の天然に苦味受容体を発現する細胞、苦味受容体を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞、又はその培養物が本発明の方法において使用される。
当該組換え細胞は、苦味受容体をコードする遺伝子を組み込んだベクターを用いて細胞を形質転換することで作製することができる。好適には、培養細胞に発現させた苦味受容体の応答性を向上するために、キメラGタンパク質をコードする遺伝子組み込んだベクターを、苦味受容体をコードする遺伝子を組み込んだベクターとともに遺伝子導入する。
上記組換え細胞の作製に使用できるキメラGタンパク質としては、例えば、ヒトGα16(配列番号5)のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号1〜330のアミノ酸とヒトgustducin(配列番号6)のアミノ酸配列におけるアミノ酸番号310〜354のアミノ酸からなる、組換え細胞に発現させた苦味受容体の応答性を向上するポリペプチドG16gust44(Ueda T,et al.,J Neurosci,23,7376-7380(2003))が挙げられる。ヒトGα16はGenBankにGI: 156104883、ヒトGustducinはGI: 156139155として登録されている。キメラGタンパク質は、組換え細胞に発現させた苦味受容体の応答性を向上するポリペプチドであれば特に限定はされず、G16gust44の他には、例えば、配列番号7で示される塩基配列からなるDNAによってコードされ、配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するG16gust36等が使用できる(実施例2参照)。
本発明の方法においては、試験物質およびカテキン類の添加に続いて、当該試験物質に対する苦味受容体の活性が測定される。測定は、苦味受容体の活性を測定する方法として当該分野で知られている任意の方法、例えば、細胞内カルシウム量測定法によって行えばよい。例えば、G16gustを発現させたHEK293T細胞において苦味受容体は、苦味物質によって活性化されると、G16gustと共役してPLCβ2を活性化することで、細胞内カルシウム量を増加させることが知られている(Ueda T,et al.,J Neurosci,23,7376-7380(2003))。従って、苦味物質添加後の細胞内カルシウム量を指標にすることで、苦味受容体の活性を測定することができる。カルシウム量を測定する方法としては、カルシウム感受性色素等を用いた蛍光強度測定が挙げられる。この方法は、試験物質と、カルシウム感受性色素を導入したTAS2R14発現細胞またはTAS2R40細胞とを一定期間接触させたときの蛍光強度(細胞内カルシウム濃度)の変化により、目的物質の検索を行うものである。
なお、カルシウム感受性色素としては、例えば、Fura-2、Fluo-3、Fluo-4等が挙げられる。
次いで、測定された苦味受容体の活性に基づいて試験物質を評価し、カテキン類による受容体活性を抑制した試験物質を、カテキン類に対する苦味抑制物質として評価又は選択する。
試験物質の評価は、例えば、有意差の有無に基づいて行われる。試験物質の非存在下に対して試験物質の存在下で、カテキン類に対する活性の抑制が確認できれば、その試験物質はカテキン類に対する苦味抑制物質と判定(評価)され得る。好ましくは、50%以上のEGCg細胞応答抑制率を示した試験物質を苦味抑制物質とすることができる。
なお、本発明において、「選択」には、上記の評価に基づいて苦味抑制物質をスクリーニングすることが包含される。
上記本発明の方法において、苦味受容体に添加される試験物質は、カテキン類による苦味抑制剤として使用することを所望する物質であれば、特に制限されない。試験物質は、天然に存在する物質であっても、化学的又は生物学的方法等で人工的に合成した物質であってもよく、また新規化合物であっても、組成物若しくは混合物であってもよい。例えば、核酸、糖質、脂質、タンパク質、ペプチド、有機低分子化合物、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、固相合成やファージディスプレイ法により作製されたランダムペプチドライブラリー、あるいは微生物、動植物、海洋生物等由来の天然成分等が挙げられる。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1 ヒト苦味受容体遺伝子のクローニング
TAS2R14およびTAS2R40はGenBankに登録されている配列情報を基に、ヒトゲノムDNA(human genomic DNA female (Cat. No. G152A; Promega)を鋳型としたPCR法によりクローニングした。PCR法により増幅した各遺伝子をpENTRTM/D-TOPOベクター(invitrogen)にマニュアルに従って組込み、pENTRベクター上に存在するNot I、Asc Iサイトを利用して、pME18Sベクター上のFlag-Rhoタグ配列の下流に組み込んだNot I、Asc Iサイトへと組換えた。
実施例2 G16gust36キメラ遺伝子の作製
ヒトGα16とヒトGustducinをヒト舌(26歳の健常者由来; Bio Chain)のcDNAを鋳型としたPCR法によりクローニングした。既報(Ueda T,et al.,J.Neurosci,23,7376-7380(2003))に従い、Gα16(配列番号5)のアミノ酸配列のC鎖末端側の36アミノ酸をGustducin(配列番号6)のアミノ酸配列のアミノ酸番号318〜354のアミノ酸に置換させたキメラGタンパク質をコードする遺伝子(配列番号7)を作製するため、結合部位に相当するプライマーを設計し、PCRによりキメラ遺伝子の増幅を行った。その後、増幅した遺伝子をpENTRTM/D-TOPOベクター(invitrogen)に製造メーカーの使用説明書に従って組み込み、さらに、pcDNA3.2/V5-DESTベクター(invitrogen)へ組み換えた。
実施例3 TAS2R14及びTAS2R40のEGCgに対する応答評価
1)苦味受容体発現細胞の作製
TAS2R14及びTAS2R40をそれぞれ発現させたHEK293T細胞は次のように作製した。表1に示す組成の反応液を調製しクリーンベンチ内で20分静置した後、96ウェルプレート(Becton Dickinson)の各ウェルに添加した。次いで、HEK293T(1.5×105細胞/cm2)を100μlずつ各ウェルに播種し、37℃、5%CO2を保持したインキュベータ内で24〜26時間培養した。
HEK293T細胞は、理化学研究所バイオリソースセンターより入手することが可能である。
Figure 2013063049
2)細胞内カルシウム濃度変化の測定
HEK293T細胞に発現させた苦味受容体は、G16gust36と共役しPLCβ2を活性化することで、細胞内カルシウム量を増加させる。本研究での苦味応答測定には、細胞内カルシウム量の変化を細胞内カルシウム感受性蛍光指示薬であるFluo-4にて蛍光値としてモニターするカルシウムイメージング法を用いた。
上記1)で作製した培養物から、培地を取り除き、表2のように調製した細胞内カルシウム感受性蛍光指示薬を含むQuencher溶液(Calcium Kit; 同仁化学)を各ウェルへ添加した。
Figure 2013063049
細胞をCO2インキュベータ内で37℃で1時間培養し、Fluo-4を細胞内へ取り込ませた。1時間後、ハイスループット蛍光プレートリーダー(FDSS3000;浜松ホトニクス)を用いて励起波長480nmにおける検出波長510nmの蛍光強度を2秒ごとに4分間の測定を行った。測定開始から60秒後に、カテキン溶液またはカテキン溶液に試験物質を混合させた溶液を50μl添加し、蛍光強度を測定することにより細胞内カルシウム濃度変化を検出した。測定は37℃で行った。解析は測定開始時の蛍光強度を1としたときの蛍光強度比を算出し、さらにカテキン添加時の蛍光強度比を0として行った。
各ウェルにおけるEGCgに対する応答強度は、以下の式にて算出した。
(数1)
EGCg応答=(EGCg添加後のTAS2R発現細胞における最大蛍光強度比)−(mock発現細胞における最大蛍光強度比)
最大蛍光強度比はEGCg添加後1分間(測定開始60〜120秒間)の蛍光強度比の最大値とし、データは4ウェルの平均値で示した。
結果を図1に示す。TAS2R14、TAS2R40は、それぞれEGCgに強く応答を示した。このことから、苦味受容体TAS2R14又はTAS2R40を用いてカテキン類に対する苦味抑制物質の選択が可能であることが示された。
実施例4 TAS2R14発現細胞におけるカテキン応答性と官能評価との相関性
TAS2R14発現細胞における各種カテキンの細胞応答は上述の実施例3と同様な方法にて測定した。
ヒト官能評価は、8種のカテキン(カテキン(C)、エピカテキン(EC)、ガロカテキン(GC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレート(Cg)、エピカテキンガレート(ECg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピガロカテキンガレート(EGCg))の苦味スコアをパネラー5名により評価した。硫酸キニーネを表3のような苦味強度の異なる10段階に調製し、各種カテキン(評価濃度:2 mM)の苦味強度と同等の苦味強度を示す硫酸キニーネの苦味スコアを、そのカテキンの苦味スコアと判定し、5名の平均値を求めた。評価は試験サンプル5 mlを口に含む方法で行った。
Figure 2013063049
図2に示すように、TAS2R14発現細胞の各種カテキンに対する応答と苦味スコアとの間に相関関係が認められたことから、TAS2R14発現細胞のカテキンに対する応答はヒトの苦味を反映することが示唆された。
実施例5 既存苦味抑制物質β−シクロデキストリン(β-CD)によるTAS2R14発現細胞のEGCg応答抑制活性の検討
上述の実施例3と同様な方法にて測定した。なお、β-CDは最終濃度:0.5質量%で混合した。
<EGCgに対する苦味抑制率の算出方法>
各ウェルにおけるEGCgに対する応答強度は、以下の通りに算出した。
(数2)
EGCg応答=(EGCg添加後のTAS2R発現細胞における最大蛍光強度比)−(mock発現細胞における最大蛍光強度比)
最大蛍光強度比はEGCg添加後1分間(測定開始60〜120秒間)の蛍光強度比の最大値とした。
β-CDによるEGCg応答抑制効果(苦味抑制率)は、
(数3)
苦味抑制率(%)=[1−[(β-CD存在下のEGCg応答)
/(β-CD非存在下EGCg応答)]]×100
とし、データは4ウェルの平均値で示した。
結果を図3に示す。カテキンの苦味を抑制することが知られているβ-CDの添加により、TAS2R14発現細胞のEGCg応答は抑制され、苦味抑制率は87%であった。このことから、TAS2R14発現細胞を用いることで、カテキンの苦味抑制作用を有する素材を探索し得ることが示された。
従来のカテキン類に対する苦味抑制剤開発過程では、官能試験等によって膨大な数の物質の苦味抑制効果を1つ1つ確認して苦味抑制物質を選択していかなければならず、苦味抑制剤開発までに多くの時間とコストが必要であった。本発明の方法によれば、カテキン類に応答する苦味受容体の活動に基づいて苦味抑制物質を選択することが可能であり、苦味抑制剤の開発の効率が大きく向上する。

Claims (2)

  1. カテキン類の苦味抑制剤を評価又は選択する方法であって、
    TAS2R14及びTAS2R40からなる群より選択される苦味受容体のいずれか1以上にカテキン類および試験物質を添加する工程;
    当該試験物質およびカテキン類に対する当該受容体の応答を測定する工程;
    試験物質を添加せず当該カテキン類のみを添加する工程;
    当該カテキン類のみに対する当該受容体の応答を測定する工程;及び
    試験物質及びカテキン類に対する当該受容体の応答と当該カテキン類のみに対する応答を比較し、試験物質及びカテキン類に対する応答が、当該カテキン類のみに対する応答よりも減少していれば、当該試験物質をカテキン類による苦味抑制剤として評価又は選択する工程、
    を含む、方法。
  2. 前記苦味受容体が、天然に苦味受容体を発現する細胞上又は苦味受容体を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞上の苦味受容体である請求項1記載の方法。
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