JP2013052592A - 杉間伐材を利用した防腐木製塀及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】杉間伐材の有効利用という観点と、杉の水分を吸収しやすい性質に着目し、長期間に渡って高い防腐効果を維持できる木製塀及びその製造方法を提供する。
【解決手段】杉間伐材切断工程と連結穴穿設工程と割り溝形成工程と必要に応じて布基礎結合用穿設工程とを含む第一工程と、該第一工程を経て形成された塀部材を、治具上に列接配置し前記連結穴に連結部材を貫通挿入して強固に締結して塀部の全体構成を形成する第二工程と、該第二工程で得られたパネル状の塀部を防腐剤加圧注入処理して防腐処理を施す第三工程とからなる木製塀の製造方法及びこれを利用して製造される木製塀とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、防腐処理がなされた木製塀及びその製造方法に関し、詳しくは、防腐処理後に切断等の加工を行わないようにして、非防腐処理部を表面に露出させず、且つ、連結面に防腐剤の浸透を促進させる溝部を設けること等により、長期間に渡って防腐効果を維持できる木製塀及びその製造方法に関するものである。
間伐は、森林の成長過程において、密集化する立木を間引くことにより樹木の光合成促進を図り、悪い苗を淘汰して良い苗を選別することで建築材料等としての価値を高める目的がある。また、林床に太陽光線が届くようにして下草の生育しやすい環境を作り、土壌の流出を防いで土砂災害を防止するなど、人の生活環境を安定させる効果もある。従って、森林の間伐や除伐は、森林管理上極めて重要な保育作業といえ、さらに、間伐材や間伐材を使用した製品が大量に流通すれば、森林の整備も進むとともに、二酸化炭素の発生も抑制可能となるため、間伐材の消費拡大に向けた動きを本格化させ、積極的な間伐材の利用推進を図る必要がある。
しかし、我が国の木材の流通に目を向けると、高度経済成長期以降は海外から安い木材が大量に入ってくるようになったことや、プラスチックやビニール製品等の非木製製品が増えてきたため、国産木材の需要は減る一方であり、特に間伐材のように細く弱い木材は利用価値が低く、特に杉の間伐材となると他の樹木と比較して柔らかいことから、建築構造体の材料としての利用は極めて少ないといえる。
和風家屋の敷地を囲む塀においては、日本古来からの伝統的建造物ともいえる木製塀が用いられることも多い。木製屏は無機質な金属塀やコンクリート塀と異なり、有機質特有の温かさや柔らかさ、或いは高級感といった感性に訴える造形美や、天然の木目や年輪はデザイン性に優れると共に、これらの質感から生ずる美観を創出させやすいという特徴がある。
しかし、木製塀は腐りやすく耐久性に乏しいという欠点がある。従来の木製塀では防腐剤を直接塗布したり、長時間防腐剤に浸漬したりして対応していたが、これらの処理によって得られる防腐期間は数年と短いため、数年毎に防腐剤を再塗布する等のメンテナンスが必要となってしまう理由等から、現在ではコンクリートブロック塀へとその主流が変わりつつある。腐りやすいことは木の需要縮小の大きな原因の一つであるといえる。
現在では防腐剤加圧注入処理技術が進んでおり、係る技術を更に応用して、これらの問題を解決できる技術提案が望まれている状況といえる。
上記問題に鑑み、近年種々の技術が提案されている。例えば、支柱、胴縁、パネル及び支柱の頂部用蓋からなり、上記支柱間に上下平行に取り付けられた胴縁間にパネルを取り付ける構成のフェンスにおいて、支柱の下端部に中空構造の脚部を設けたことを特徴とするプラスチック製フェンスや(特許文献1参照)、FRP製の支柱及び胴縁からなる枠体とPET製の網を有する合成樹脂製フェンス(特許文献2参照)がる。しかし、係る技術は、素材をプラスチックとしているため、住宅等の敷地を囲む塀に使用したのでは、重厚感等の質感が問題となってしまう。
また、木製支柱の、地中部及び地上地際部即ち支柱脚部を、地中や根巻コンクリート及び地面や水中の地中部に設置するとき、支柱脚部を固形の底付保護材で包囲し、木製支柱と固形の底付保護材の間に空隙を設け、この空隙に防腐剤を注入し、その頂部をコーキング材で塞ぐことを特徴とする木製支柱の保護防腐朽工法及びこれを用いた木造構築物がある(特許文献3参照)。しかしながら、係る特許発明は、防腐剤の自然環境への悪影響を防止した木製支柱の内芯部に防腐剤を含浸させて耐腐朽効果を高めるものであり、塀部の防腐性を向上させることができない。
また、下端を地中に埋設して所定の間隔に立てられる支柱と、それら各支柱の間に架設される横架材とにより構成される木柵において、前記横架材はインサイジング加工により形成されるピット群を有して内部に防腐剤が含浸される木柵であって、支柱が唐松材で、横架材が杉材から成る木柵の技術が提案されている(特許文献4)。しかいながら、係る技術では、その表裏両面にインサイジング加工による数多のピット群を全長に亙って一面に刻設するため、歯車の歯先などで意図的に形成される点状または筋状の巨視的な窪み孔群が形成され、その一つ一つは深さ及び長さが2〜5mmもあるため、外観の美観を損なうという問題がある。
特開平8−296348号広報 特開平9−279910号公報 特許第3704537号広報 特開平11−350800号公報
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、敷地を囲む木製塀において、杉間伐材の有効利用という観点と、杉の水分を吸収しやすい性質に着目し、長期間に渡って高い防腐効果を維持できる木製塀及びその製造方法の提供を目的とするものである。
前記目的を達成するため、本発明は、杉の間伐材を利用した木製塀の製造方法において、略正方形状の断面に製材された杉間伐材を所定の長さに切断し、塀部を構成する複数の塀部材を得る工程と、該塀部材同士を連結するための連結穴を該塀部材の結合面間に少なくとも2箇所以上穿設する工程と、該塀部材全長に渡り、防腐剤の浸透性を向上させるとともに、千割れを誘発させるための割り溝を、少なくとも結合面に一組以上を形成する工程と、塀部を立設する基礎部が布基礎である場合には、所定の位置に配置される塀部材の一端に差込用丸鋼を挿入するための穴を穿設する工程と、を含む第一工程と、該第一工程を経て形成された塀部材を、結合面同士が向かい合うように治具上に列接配置し、前記連結穴に連結部材を貫通挿入して、該連結部の両端に設けられる締結部により強固に締結して塀部の全体構成を形成する第二工程と、前記第二工程で得られたパネル状の塀部を、防腐剤加圧注入処理して防腐処理を施す第三工程と、からなる構成の杉の間伐材を利用した木製塀の製造方法とした。
また、本発明は、前記第三工程において使用される防腐剤が、銅化合物とアゾール化合物で有害な重金属を含まないタナリスCY(商品名)であることを特徴とする前記の杉の間伐材を利用した木製塀の製造方法とすることもできる。
また、本発明は、前記いずれかの製造方法によって製造される木製塀と、該木製塀を土地上に立設するための基礎部とから成り、前記基礎部が布基礎式であって、該布基礎と該木製塀とが、差込用丸鋼を介して立設されることを特徴とする構成の杉の間伐材を利用した木製塀とした。
また、本発明は、前記いずれかの製造方法によって製造される木製塀と、該木製塀を立設するための基礎部とから成り、該基礎部が堀立式であって、前記木製塀を構成する所定箇所の塀部材が、コンクリート打設分の突き出し長さを有していることを特徴とする構成の杉の間伐材を利用した木製塀とすることもできる
なお、本書面において、縦方向とは、塀部材の長手方向をいい、これに垂直な方向を横方向というものとする。また、上方とは、施工される地上面に対して上向きの方向を意味するものとする。
本発明に係る木製塀及びその製造方法によれば、従来利用率の低い杉間伐材の有効利用が図られるとともに、間伐材が森林から排出されることで、光合成を促進させることができ、これによって財価の高い木材の育成と、下草の育成による土砂の流出災害など、森林における種々の問題可決を図ることができるという優れた効果を奏する。
また、京都議定書の発効により、日本政府がCO2削減目標の約2/3を森林吸収に決めた事で、現在、盛んに森林整備(間伐)が行われているが、荒廃した人工林から搬出される丸太のほとんどが細長く、利用価値の無い小径木であることから搬出しても採算が合わないことで、搬出せずに放置している現状にある。しかし、本発明に係る木製塀及びその製造方法によれば、小径間伐材の利用技術は、間伐材の残材を遺さないことで、環境改善の為だけの未利用間伐「伐り捨て間伐」を本来の利用間伐に戻すことに貢献し、残木を残さない事で森林吸収を増やすという有利な効果を発揮する。
また、本発明に係る木製塀及びその製造方法によれば、木を腐らせずに保存するため、CO2の固定化を図ることができるという優れた効果を発揮すると共に、前記の通り間伐後の残木の放置を防止できるので、残木が腐りことで保湿効果ガスやメタンガスの発生の原因を作らないという、2つの環境効果を有するという優れた効果を発揮する。
また、本発明に係る木製塀及びその製造方法によれば、積石造のブロック塀や石塀と異なり、地震時にも崩落せず安全性が高いという優れた効果を奏する。
また、杉材は堅木と違い柔らかいことから屋外製品には向いていないとされ、防腐処理をしないで屋外利用をすると、早ければ3年程度で腐食を開始してしまう。また、仮に腐りにくい心材を用いたとしても4年程度の耐朽年数しかない。しかし、本発明に係る木製塀及びその製造方法によれば、杉間伐材の水分を吸収しやすいという特性を利用するとともに、割り溝を設けたことで防腐剤をより深く浸透させることができ、従来のものよりも、その防腐効果の長期化が図られている。具体的には、約17年前(平成6年)に杉の間伐材に、ヒ素やクロムなどの有害金属を含まない銅系の水溶性薬剤である、銅-アゾール系(CuAz)に属する木材用防腐・防蟻剤タナリス(登録商標)CY等を加圧式防腐処理方法(JIS-A9002)により防腐処理して制作した遮音壁(東北自動車道大谷パーキングでの使用例)では、変色はしたものの現在でも朽ちたところは見当たらないという実績があるなお、この遮音壁では割り溝を有していない。従って、係る防音壁よりも「割り溝」が設けられている本願発明では、より内部まで防腐剤が浸透するので、係る防音壁の施工例と比較して、より長期の防腐効果を発揮することが予想できる。
また、本発明に係る木製塀及びその製造方法によれば、割り溝が結合面から中心に向けて塀部材に設けられているため、結合面から意図的に千割れを誘発させることで、塀部の表裏面に千割れを生じさせず、長期に渡る美観性と、人が触れたときに怪我をしない安全性を有するとういう優れた効果を奏する。
また、本発明に係る木製塀及びその製造方法によれば、使用する塀部材が略正方形状の断面を有する角材であるため、板材を用いた塀と比べ燃えにくく、表面が炭化すればそれ以上は燃えないため、防火壁としての機能も高いという優れた効果を奏する。また、平板状の板材では経年変化による反り返り等の歪が生じやすいが、本願発明では塀部材の断面が略正方形状であることと、連結穴に連結部材を貫通挿入して、該連結部の両端に設けられる締結部により強固に締結して塀部の全体が構成されるため、塀部が反り難いというすぐれた効果を奏する。
また、本発明に係る木製塀及びその製造方法によれば、コンクリート塀に比べて太陽光の反射が少ないため、照り返しによる温度上昇を抑制する効果も発揮する。
また、本発明に係る木製塀及びその製造方法によれば、コンクリート塀のような無機的な冷たい感じではなく、杉間伐材の年輪がそのまま現れるので、自然が生み出した有機的な模様により、これを目にする人に柔らかさや温もりといった癒し効果を与え、また、乾燥時や水を含んだ状態、或いは経年変化によって様々な表情を見せてくれるという優れた効果を奏する。
本発明に係る木製塀の製造方法工程を示す工程図である。 本発明に係る塀部材の構成を示す説明斜視図である。 本発明に係る木製塀の第一実施例の構成を示す説明図である。 本発明に係る木製塀の第二実施例の構成を示す説明図である。
本発明は、杉の間伐材を利用することで杉材の特性を生かしていること、割り溝22を結合面23に設けて防腐剤の浸透性や塀部10表面に千割れが生じないように防止したこと、及び組み立て後に防腐剤を加圧注入しその後に加工を施さないこととしたことを最大の特徴とする。以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。但し、実施例で示す寸法はあくまでも実施に最良と考えられるものであって、これらの寸法に限定されるものではなく、本発明の創作の要部と考えられる技術的思想の範囲内において変更できるものである。
図1は、本発明に係る木製塀の製造方法の工程を示す工程図であり、図2は、本発明に係る塀部材20の構成を示す説明斜視図である。なお、図2(a)は第一実施例に係る塀部材の構成を示す説明斜視図であり、図2(b)は第二実施例に係る塀部材の構成を示す説明斜視図である。
第一工程では、杉間伐材切断工程と、連結穴穿設工程と、割り溝形成工程と、必要に応じて布基礎結合用穿設工程とを含む工程であり、特に各工程の順序を特定する必要はない。
杉間伐材切断工程は、一辺が60mm〜120mm程度の範囲内であって、より好ましくは90mmを一辺とする断面形状が略正方形状である杉間伐材を所定の長さに切断する。切断する長さは基礎の方式、塀の高さ等から設計上求める。例えば、塀の高さが基礎から1500mmで、一枚のパネルの幅990mmとする場合であれば、布基礎60では11本全て1500mmとなり、堀立基礎では一枚のパネルの両側及び中心の塀部材20は、捨てコンクリートS打設面から土枠Dの高さ(例えば450mm)となる突出部26を加えた1950mmとなり、残り8本の塀部材20は1500mmとなる。
連結穴穿設工程は、塀部材20同士を連結するための連結穴21を塀部材20の結合面23同士を結合させるために、少なくとも2箇所以上穿設する工程であり、連結穴21の数は塀部10の高さに応じて決定する。例えば、塀部10の高さが1000mm以下のように低い場合で掘立基礎仕様では塀部材20の両端から50mm程度内側の二か所に設ける。これとは異なり、塀部10の高さが1500mm程度になるようであれば、その中間付近にも設け三か所とする。穴径は、例えば、連結部材30に用いられる鋼線が8mmであれば8.2mmから8.5mm程度のドリル等を用いて穿設する。なお、布基礎70を使用する場合は塀部材20の底部に差込用丸鋼が挿入されるので、これを避ける位置となることは言うまでもない。
割り溝形成工程は、塀部材20の全長に渡って所定の溝を成型する工程であり、該割り溝22は、防腐剤の浸透性を向上させるとともに、千割れを誘発させるための溝であり、少なくとも結合面23に一組以上を形成する。具体的には、例えば溝の厚みを丸鋸の一般的な厚みである1mm〜2mm程度とし、深さは塀部材20の太さに応じ、例えば、断面の一辺が90mmの略正方形状の杉間伐材を製材した角材であれば、深さを10mm〜20mmとする。図2の図面上では該割り溝22を結合面23に垂直方向に設けているが、千割れは中心方向に走る傾向があるため、可能であれば割り溝22を中心方向に向けて設けることがより望ましい。係る溝の存在により、防腐剤の浸透を促進し、結合面23から意図的に千割れを誘発させることで塀部10の表裏面24に千割れを生じさせないようにし、長期に渡る美観性と人が触れたときに怪我をしない安全性を図っている。該溝は、例えば、ガイドされる丸鋸やテーブルソーなどで刃の突き出し量を調整して行う。
布基礎結合用穿設工程は、塀部10を立設する基礎部Kが布基礎60である場合に、所定の位置に配置される塀部材20の一端に差込用丸鋼50を挿入するための差込用丸鋼挿入穴25を穿設する工程であり、一枚のパネルの幅990mmとする場合であれば、塀部材20の11本のうち、パネルの両側及び中心の塀部材20の端部に差込用丸鋼50を挿入するための穴を穿設する。具体的には、例えば、該差込用丸鋼50が直径50mmで塀部材20の挿入長さが300mmであれば、下穴から加工していき、最終的には50mmの挿入穴径とする。交差を±0として締まり嵌めにより差込用丸鋼50を圧入可能とする穴を穿設する。
第二工程は、前記第一工程を経て形成された塀部材20を、結合面23同士が向かい合うように治具上に列接配置する治具配置工程から、連結穴21に連結部材30を貫通挿入して複数の塀部材20を連結する連結部材貫通工程を経て、連結部材30の両端に設けられる締結部31により強固に締結する締結工程により、塀部10の全体構成が形成される工程である。例えば、塀部材20の一辺が90mmの略正方形状で、11本並べると、パネル幅が990mmとなる。
なお、表面仕上げ、角部の面取り、及び締結後の段差除去等の必要な加工は、係る第二工程までに仕上げるものとし、次の第三工程以降に研磨や研削等を行わないものとする。杉間伐材の場合、第三工程で行なわれる加圧浸透により、表面や溝から約10mm程度のバリア層を構成できるが、表面等を削れば、その分だけ耐腐期間が短くなるからである。
第三工程は、前記第二工程で得られたパネル状の塀部10を、防腐剤加圧注入処理装置40により防腐剤を加圧注入処理する工程である。防腐剤には、焼却しても焼却灰中に有害な金属が残留することがなく、通常の木材と同様に処分できる安全なものを用いる。請求項2に記載の製造方法では、銅化合物とアゾール化合物で有害な重金属を含まないタナリスCY(登録商標)を用いることを具体的に特定している。係る防腐剤によれば、VOC(揮発性有機化合物:Volatile Organic Compounds)関連で規制されているクロルピリホス、ホルムアルデヒドを使用しておらず、また、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、アセトアルデヒドも使用していないため、塀に直接人の肌が触れても悪影響はなく、動物や植物が触れても悪影響のない安全な防腐剤である。該防腐剤は、河川整備の構造物としても使用されている実績などもあり、廃棄に際しても素材と同様に焼却処分できる優れた処理薬剤である。なお、タナリスCY(登録商標)を用いると、やや緑色に着色されるが、杉の雰囲気を害するものではなく、寧ろ、防腐剤の浸透状態が目視にて確認できるというメリットもある。請求項1に記載の木製塀の製造方法では、係る防腐剤に限定されることなく、例えば、杉の木色をそのまま生かしたいのであれば、無着色で素材と風合いが変わらない、ヤシ油を原料とするアルキルアンモニウム化合物(AAC)のグループの抗菌剤のひとつであるDDAC(ジデシルジメチルアンモニウムクロライド)を使用薬剤として選択してもよい。具体的には、例えば、アゾール化合物とネオニコチノイド化合物のペンタキュア(登録商標)ECO30や、同DDAC系のペンタキュア(登録商標)ニューBMなどである。
防腐剤加圧注入処理は、AQ認定工場で行いJISK4相当の処理を行う。杉材を含水率が30%以下に成るまで自然乾燥させた材料を、薬品を多量に深く侵潤するために、減圧(0.08MPa以上)をしてから加圧(1.3〜1.4MPa)、その後木の表面付いた過剰な薬品を排除する為に再び減圧(0.08MPa以上)をする工程で、注薬品の注入を行う。薬品の注入量は1m当たり200kg以上侵潤するまで加圧する。該加圧2時間程度である。
図3は、本発明に係る木製塀1の第一実施例の構成を示す説明図であり、図3(a)は本発明に係る木製塀の製造方法により制作された布基礎仕様の木製塀1の全体構成を示し、図3(b)は基礎部Kとなる布基礎60に木製塀1が立設される場合の正面図、図3(c)は基礎部Kとなる布基礎60によ木製塀1が立設される場合の側面図である。
第一実施例は、本発明に係る木製塀の製造方法により制作された木製塀1を布基礎60に立設する構成である。請求項3に係る木製塀1では、所定の塀部材20に差込用丸鋼挿入穴25が穿設されているので、該差込用丸鋼挿入穴25に差込用丸鋼50を圧入する。締まり嵌めとなる寸法公差にした場合は圧入し、隙間嵌めとした場合は接着剤を使用するが、この場合はノンホルムアルデヒド仕様等の環境対応接着剤を用いる。
そして、布基礎60の差込用丸鋼50を挿入する穴部に無収縮モルタルを先詰めしておき、これに木製塀1から突出した差込用丸鋼50を差込んで木製塀1を立設する構成である。
図4は、本発明に係る木製塀1の第二実施例の構成を示す説明図であり、図4(a)は本発明に係る木製塀1の製造方法により制作された木製塀1を、基礎部Kとなる掘立基礎70に立設させる場合の全体構成を示しており、図4(b)は掘立基礎70により木製塀1が立設される場合の正面図、図4(c)は基礎部Kとなる布基礎70により立設される場合の側面図である。
第二実施例は、掘立基礎70に本発明に係る木製塀の製造方法により製造された木製塀1を立設する構成である。請求項4に係る木製塀1では、所定の塀部材20が土枠Dに応じた長さ分だけ突出している突出部26を有しているので、捨てコンクリートS打ちされた土枠Dに該突出部26を挿入し、建て入り調整後にコンクリートを土枠D内に打設し立設する。
1 木製塀
10 塀部
20 塀部材
21 連結穴
22 割り溝
23 結合面
24 表裏面
25 差込用丸鋼挿入穴
26 突出部
30 連結部材
31 締結部
40 防腐剤加圧注入処理装置
50 差込用丸鋼
60 布基礎
70 掘立基礎
K 基礎部
S 捨てコンクリート
D 土枠

Claims (4)

  1. 杉の間伐材を利用した木製塀の製造方法において、
    略正方形状の断面に製材された杉間伐材を所定の長さに切断し、塀部を構成する複数の塀部材を得る工程と、
    該塀部材同士を連結するための連結穴を該塀部材の結合面間に少なくとも2箇所以上穿設する工程と、
    該塀部材全長に渡り、防腐剤の浸透性を向上させるとともに、千割れを誘発させるための割り溝を、少なくとも結合面に一組以上を形成する工程と、
    塀部を立設する基礎部が布基礎である場合には、所定の位置に配置される塀部材の一端に差込用丸鋼を挿入するための穴を穿設する工程と、
    を含む第一工程と、
    該第一工程を経て形成された塀部材を、結合面同士が向かい合うように治具上に列接配置し、前記連結穴に連結部材を貫通挿入して、該連結部の両端に設けられる締結部により強固に締結して塀部の全体構成を形成する第二工程と、
    前記第二工程で得られたパネル状の塀部を、防腐剤加圧注入処理して防腐処理を施す第三工程と、
    からなることを特徴とする杉の間伐材を利用した木製塀の製造方法。
  2. 前記第三工程において使用される防腐剤が、銅化合物とアゾール化合物で有害な重金属を含まないタナリスCY(商品名)であることを特徴とする請求項1に記載の杉の間伐材を利用した木製塀の製造方法。
  3. 前記請求項1又は請求項2のいずれかに記載の製造方法によって製造される木製塀と、該木製塀を土地上に立設するための基礎部とから成り、前記基礎部が布基礎式であって、該布基礎と該木製塀とが、差込用丸鋼を介して立設されることを特徴とする杉の間伐材を利用した木製塀。
  4. 前記請求項1又は請求項2のいずれかに記載の製造方法によって製造される木製塀と、該木製塀を立設するための基礎部とから成り、該基礎部が堀立式であって、前記木製塀を構成する所定箇所の塀部材が、コンクリート打設分の突き出し長さを有していることを特徴とする杉の間伐材を利用した木製塀。
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