JP2013048610A - 生物体処理装置および遺伝子処理装置、並びにそれを備える生物体育成システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、生物体を導入・排出する開口部を有するケーシング、および前記ケーシングの開口部を密閉可能な蓋、前記ケーシング内部に位置し生物体を保持・固定する固定部材、および前記ケーシング内に液体を給排する手段、を備える生物体処理装置であって、前記ケーシングは、開口部を蓋で密閉することで気密性を有し、前記固定部材は生物体を保持・固定した状態で反転可能である、生物体処理装置。
【選択図】図2
Description
そして、このように鉢を逆さにして懸濁液に浸したり取り出したりする作業は、主に手作業で行われる。このような遺伝子組変えを手作業で行う場合には非常に効率が悪く、また、植物を移動したり懸濁液に浸したりする際に、植物にストレスがかかり葉や茎が折れたり、雑菌が入ったりする恐れがあった。
加えて、遺伝子組換え処理では減圧処理が必要となる場合が多く、遺伝子組換えが可能な設備において気密性を保つことが難しいという問題があった。
本発明はこのような問題を解決し、生物体処理に適した生物体処理装置を提供することを課題とする。
を検討したところ、気密性を有する生物体処理装置中で生物体を保持・固定する固定部材を反転可能とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、生物体を導入・排出する開口部を有するケーシング、前記ケーシングの開口部を密閉可能な蓋、前記ケーシング内部に位置し生物体を保持・固定する固定部材、および前記ケーシング内に液体を給排する給排手段、を備える生物体処理装置であって、
前記ケーシングは、開口部を蓋で密閉することで気密性を有し、
前記固定部材は生物体を保持・固定した状態で反転可能である、生物体処理装置である。
前記固定部材は生物体を保持・固定した状態で反転可能であり、前記固定部材を反転させることで遺伝子導入処理を行う、遺伝子導入処理装置である。
生物体が、前記生物体育成空間と前記生物体処理装置または遺伝子導入処理装置との間を移送可能となる移送手段を備えた生物体育成システムである。
また、生物体育成装置を生物体処理装置に連結配置し、移送手段を備えた生物体育成システムとすることで、生物体処理装置と生物体育成装置との間での生物体の移送が容易となり、また、システム全体を自動化することも容易に達成可能となる。
開口部の大きさは特段限定されるものではなく、生物体を導入・排出できる大きさを適宜選択することができる。ケーシングの長手方向端部側面に位置する場合には、ケーシングの長手方向と直行する断面と同一の大きさでもよく、やや小さい大きさであってもよい。
成装置の接続をスムーズに行うことができることから、好ましい。また、ケーシングと生物体育成装置とを固定するために、両者にフランジ構造を備え、フランジにおいて固定することが好ましい。固定の手段としては、ボルト&ナットまたはクランプによる固定が好ましい。
また、生物体処理の種類によっては減圧下で行う場合もあり、そのような場合に対応可能とするため、ケーシングと蓋の固定において、金属材料等からなる補強版を併せて備えることもできる。
このようにケーシングを減圧下とすることで、その内部に配置される生物体が植物である場合、陰圧時に主に植物の葉内部の細胞間の空隙から空気が吸い出される。その陰圧を復圧する際に、懸濁液が細胞間の空隙が存在した部分に物理的に注入されることになり、目的の処理を植物に施すことができる。目的の処理が、アグロバクテリウムを用いた組み替え遺伝子導入の場合は、復圧時にアグロバクテリウムが懸濁液とともに植物の葉の内部に吸い込まれ、遺伝子導入が好ましく行われることになる。
えていてもよい。
ケーシング内部を減圧する過程に、ケーシング内部を観察することを目的に、透明なケーシングに観察窓を備えていてもよい。観察窓は、その設置部分における気密性を損なわない限りその形状等に制限はない。透明部分の材料は、通常ガラスまたは透明樹脂を用いることができる。
このように、固定部材が反転する際に生物体が固定部材に保持・固定するための手段については、公知の構造及び手段を用いることができる。具体的例を以下に挙げる。
加えて、固定部材は、ケーシングと脱着可能であることも好ましい。この場合には、固定部材ごとケーシングから取り出して、生物体の交換等を行うことができることから、生物体にストレスを掛けずに交換が可能となる。
の滑り止め加工を施すことが好ましい。このような態様とすることで、反転操作を安定的に行うことができ、かつ反転しすぎることによる、生物体処理液体の、不要な箇所への付着を防止することができる。また、ケーシングの側面部外側には、ケーシングを固定するための壁や柱を配置することで、このような固定部材を反転させるためのローラーの設置が容易となる。
一方反転可能な固定手段が反転する際に、ケーシングが追従せず、固定手段単独で反転する場合には、孔をケーシングの中央部よりも上部、及び下部に配置することが好ましい。この場合には、中央部よりも下部に配置した孔は、液体を充填する際には栓などにより塞がれている必要があり、液体を排出する際には栓を抜くことで、液体を排出することができる。
植物としては特段限定されないが、遺伝子組み替え用植物として一般的に用いられる被子植物、あるいは比較的面積の大きな葉を付ける植物に好ましく適用される。そのような植物の具体例としては、トウモロコシ属、イネ属、コムギ属、サトウキビ属等のイネ目イネ科、ウキクサ属等のオモダカ目サトイモ科、ラッカセイ属、インゲン属、シャクジソウ属、ルピナス属、ダイズ属、エンドウ属、ウマゴヤシ属等のマメ目マメ科、ナス属、トウガラシ属、タバコ属等のナス目ナス科、アキノノゲシ属、ベニバナ属、ステヴィア属等の
キク目キク科、ニンジン属等のセリ目セリ科、ワタ属等のアオイ目アオイ科、リンゴ属等のバラ目バラ科、アサ属等のイラクサ目アサ科、ハッカ属、シソ属等のシソ目シソ科、ミヤマナズナ属、シロイヌナズナ属、アブラナ属、ワサビ属、キバナスズシロ属等のフウチョウソウ目アブラナ科の植物等が挙げられる。
水耕栽培は、雑菌等を含みやすい培地を用いることがないので、相当程度無菌状態で栽培することができる。本処理装置は、その操作過程において外気に触れる機会を少なくすることができるので、無菌栽培の特長を損ないにくい点で有利である。
水耕栽培は、地下部が栽培養液内で露出した状態で栽培されることが多い。したがって、植物体を物理的に操作する際に、地下部を損傷させたり、地下部に過度のストレスが負荷されたりする恐れがある。特に減圧湿潤法における処理のように上下を反転させるような操作は、仮に非常に注意深く操作したとしても、植物体に過大なストレスが負荷され、生育に不利な影響を及ぼしたり、望まない二次代謝産物が産生される副作用の可能性が増したりして問題となっていた。しかし本発明の処理装置を用いれば、植物体の地下部に物理的な負荷を最小限にすることが可能となり、負荷ストレスを極めて低減させることができる。かつ、反転操作は合理的であるので、生産性の観点からも極めて有利である。
このような、植物の葉茎部に液体を接触させる処理としては、減圧下で液体を植物の葉茎部に浸漬させる方法、及び常圧下で液体を植物の葉茎部に浸漬させる方法に分けられる。減圧下で液体を植物の葉茎部に浸漬させる方法としては、減圧湿潤法(Infiltration)が挙げられる。
減圧湿潤法の具体的工程としては、まず植物体を一定程度生育させ、その植物体の地上部、特に葉の部分を、処理目的に応じて作成された液体に浸して減圧する。この工程において、植物体の地上部を構成する細胞組織の間隙に相当する部分から空気が除去される。次に減圧を解除して復圧する工程を行うが、ここで前記細胞組織の間隙を構成していた細胞壁の復元力によって、間隙が存在した部分に負圧を生じ、その空間に懸濁液が物理的に浸入する。液体が遺伝子組み換え用のアグロバクテリウムを含有する懸濁液組成物の場合は、該浸入時にアグロバクテリウムを前記間隙の存在した部分に浸入させることができる。
フィローラルディップ法は、Infiltration法と類似の方法であるが、減圧および復圧の操作をしない点が異なる。つまり大気圧下で植物体に懸濁液を浸漬させる方法である。
目的の減圧度に減圧する際は、大気圧から急激に減圧するのではなく、徐々にあるいは段階的に減圧するのが好ましい。例えば50〜300Torr/分程度の速度が通常用いられる。
また、所定の減圧度から復圧して大気圧に戻す際も、同様に徐々にあるいは段階的に復圧するのが好ましい。
の減圧度が好ましい。温度が25℃の場合、その好ましい減圧度は約25Torrである。減圧の圧力が高すぎる場合は、液体の浸潤が不十分になるため好ましくない。逆に圧力が低すぎる場合は、液体が沸点に達し、著しく蒸発して液体が減少し、浸潤が不十分になるためやはり好ましくない。
図2は、本発明の生物体処理装置において、矩形であるケーシング1の長手方向に垂直な面の断面図である。ケーシング1は生物体2が固定された固定部材4と両端で固定されている。そして、ケーシング1はガイドローラー11とも固定されており、ガイドローラー11はターニングローラー12の駆動により反転し、それに伴いケーシング1も反転し、ケーシング1に固定される固定部材4も反転することとなる。反転した状況の反転図を右側に示す。なお、反転図には液体が充填された状態を示しており、液面13が植物である生物体2の葉茎部21を浸すように充填される。
反転軸14は、図中2本存在するが、反転の際の安定性の観点から、複数の反転軸を用いることが好ましい。しかしながら、1本の反転軸により反転しても良く、その場合には反転軸の断面形状を矩形にすることで、固定部材4に容易に固定できる。
向と直行する態様を示している。反転軸14をこのような配置とし、固定部材を反転させることもできる。
図示していないが、生物体育成装置18の下部には、生物体育成装置の長手方向に液体肥料の流れが形成されており、該液体肥料に生物体の根部分を浸すことにより生物体に養分を供給し育成する。また、生物体育成空間に流れる液体肥料は、生物体育成装置18の外部に液体循環装置を備えることで、液体肥料を装置内で循環させることができる。この際、液体肥料の濃度を管理・調整することで、より生物体の育成に適切な液体肥料濃度とすることが可能となる。
また、生物体育成システムは、人工光源19を備えることが好ましい。人工光源により日夜問わず、植物体が光合成を行うことが可能となり、植物体の生育が加速される。
また、生物体育成装置と組み合わせて生物体育成システムとすることで、生物体の育成速度を向上させ、育成から遺伝子組換え処理までの一連の流れをオートメーション化することが可能となる。
2 植物体(生物体)
21 植物体葉茎部
22 植物体根部
3 蓋
4 固定部材
5、6 結合部材
7 液体供給口
8 液体排出口
9 排気口
91 リーク口
10 減圧装置
11 ガイドローラー
12 ターニングローラー
13 液面
14 反転軸
15 ガイドリング
16 移送ローラー
17 移送レール
18 生物体育成装置
19 人工照明
20 移送ガイド
Claims (17)
- 生物体を導入・排出する開口部を有するケーシング、前記ケーシングの開口部を密閉可能な蓋、前記ケーシング内部に位置し生物体を保持・固定する固定部材、および前記ケーシング内に液体を給排する給排手段、を備える生物体処理装置であって、
前記ケーシングは、開口部を蓋で密閉することで気密性を有し、
前記固定部材は生物体を保持・固定した状態で反転可能である、生物体処理装置。 - 前記気密性は25Torrの気圧下での気密性である請求項1に記載の生物体処理装置。
- 前記ケーシングは少なくともその一部が透明部材からなる請求項1または2に記載の生物体処理装置。
- 前記固定部材は、前記ケーシングと固定されず、前記ケーシングから独立して反転可能である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生物体処理装置。
- 前記固定部材は、前記ケーシングと固定され、前記ケーシングを反転させることで反転可能となる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生物体処理装置。
- 前記ケーシングは筒体であり、ケーシングの長手方向両端に前記開口部が対向して備えられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生物体処理装置。
- 前記固定部材は、生物体を保持するカップを有し、該カップは固定部材に脱着可能であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の生物体処理装置。
- 前記生物体が植物体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の生物体処理装置。
- 植物体の水耕栽培に用いられる請求項1〜8のいずれか1項に記載の生物体処理装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の生物体処理装置を用いて行う生物体処理方法であって、前記固定部材を反転させることで生物体をケーシング内の液体に接触させる工程、を含む生物体処理方法。
- 請求項10に記載の方法により処理された生物体。
- 生物体を導入・排出する開口部を有するケーシング、前記ケーシングの開口部を密閉可能な蓋、前記ケーシング内部に位置し生物体を保持・固定する固定部材、および前記ケーシング内に液体を給排する給排手段、を備える遺伝子導入処理装置であって、
前記固定部材は生物体を保持・固定した状態で反転可能である、遺伝子導入処理装置。 - 前記生物体が植物体であり、前記固定部材を反転させることで植物の葉茎部をケーシング内の液体に接触させることを特徴とする、請求項12に記載の遺伝子導入処理装置。
- 前記ケーシングは、開口部を蓋で密閉することで25Torrの気圧下での気密性を有する、請求項13に記載の遺伝子導入処理装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の生物体処理装置または請求項12〜14のいずれか1項に記載の遺伝子導入処理装置に、生物体を育成可能な空間を有する生物体育成装置が連結配置された生物体育成システムであって、
生物体が、前記生物体育成空間と前記生物体処理装置または遺伝子導入処理装置との間を移送可能となる移送手段を備えた生物体育成システム。 - 前記生物体育成装置は開口部を有し、該開口部は前記生物体処理装置または前記遺伝子導入処理装置の有する開口部と形状が同一である、請求項15に記載の生物体育成システム。
- 前記生物体育成装置に配置された生物体を照射する人工光源を備えた請求項15または16に記載の生物体育成システム。
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Citations (2)
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JPS52122545A (en) * | 1976-04-05 | 1977-10-14 | Hitachi Plant Eng & Constr Co | Tray moving type green house |
JPH07289104A (ja) * | 1994-03-02 | 1995-11-07 | Emushiki Suiko Kenkyusho:Kk | 回転式水耕栽培装置および無重力水耕栽培方法 |
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