JP2013034435A - 茶葉抽出液の製造方法およびそれの生産管理方法 - Google Patents

茶葉抽出液の製造方法およびそれの生産管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来法では得られなかった紅茶葉等の茶葉の好ましい香味を、抽出により簡便で効率的に得る。
【解決手段】紅茶においてはオーソドクス製法またはセミオーソドクス製法による茶葉、ウーロン茶においては従来製法により揉捻され乾燥された茶葉であって香りとコク味成分を多く含み特定方向の長さが長いものを抽出用のフィルター袋に装填し、ティーバッグとする。それから、飲用にあたって、溶媒による抽出の直前に前記抽出用のフィルター袋に装填された状態のまま前記茶葉を、加圧装置14を用いて、前記装填時よりも長さが短くなるように破砕する。
【選択図】図1

Description

本発明は、抽出用のフィルター袋に紅茶葉(紅茶の茶葉)などの茶葉が装填されてなるティーバッグを用いた茶葉抽出液の製造方法およびそれの生産管理方法に関するものであり、更に詳細には、装填する茶葉の仕様、フィルター袋の材質を工夫し、抽出直前に茶葉を破砕することで、従来のティーバッグでは得ることが困難であった香りとコク味に優れた茶葉抽出液(茶葉飲料)を製造することができるものである。
従来、茶葉として、例えば紅茶葉についての1杯用ティーバッグについてみると、2g程度の細かな紅茶葉を、木材パルプなど植物性繊維を主原料とする紙素材による抽出用フィルター袋内に装填し、飲用時に150cc程度の熱湯に1〜2分程度浸漬して抽出し、茶葉抽出液としての紅茶液を得て、それを飲用するのが一般的である。
このような比較的短時間の浸漬時間でフィルター袋の中の紅茶葉から所望の濃度の紅茶液を得ることができるようにするために、装填する紅茶は以下のように抽出効率の高さが考慮された仕様のものが利用される。
ア)CTC(=Cut, Tear, and Crush)製法による紅茶、すなわち紅茶の生産時に、回転する金属ローラーカッターの間に紅茶葉を通すことにより、葉の細胞を破壊し、エキスを露出せしめて空気中の酸素による酸化発酵を促進したうえで細かくなった繊維質を含む紅茶葉と一体に乾燥させたもの。当製法による紅茶の表層にはエキスの乾燥されたものが付着しており、熱湯に浸漬すると速やかにエキスが熱湯内に浸出する。
イ)微小サイズ(長さが短いもの)の紅茶葉、すなわち古来から紅茶の製造方法として知られるオーソドクス製法でも5mm以下の細かい破片サイズが工程中に発生するが、それらBOPF(Broken Orange Pekoe Fanning)、ダストなどと呼称される粒系の小さなもの。さらに、近年は細かい破片サイズ紅茶葉の発生量を増やす工程としてローターベンと言われる圧力を加えながら紅茶葉を捻じ切る工程を揉捻工程後に入れることで細かいサイズの紅茶葉が量産され、この製法はセミオーソドクス製法とも呼ばれており、この製法で得られた5mm以下の細かい破片サイズが工程中に発生したBOPF,Dustなどと呼称される粒系の小さなもの。これらの微小サイズの紅茶葉は粒径が小さいため、紅茶葉を熱湯に浸漬すると速やかにエキスが熱湯内に浸出する。
ウ)オーソドクス製法で製造された粒径の大きな紅茶葉をフィルター袋に装填する前に約5mm未満に破砕したもの。
これらフィルター袋の中で短時間で抽出せしめる紅茶は、1−2分の浸漬でも飲用に適する渋味や濃度感が得られるが、香りとコク味においてはオーソドクス製法により製造され、OP(Orange Pekoe)などと呼称される約5mm以上の粒径の大きな紅茶葉を急須などで熱湯浸漬した紅茶液に劣る。
このようにオーソドクス製法により製造された粒径の大きな紅茶葉から香りとコク味がよく得られる理由としては、以下のことが挙げられる。
1.摘採された紅茶葉の中でも芯芽やそのすぐ下の1枚目あるいは2枚目の柔らかい葉の中心部分を主な構成要素としており、それらの部分は香りとコク味成分を多く含む。
2.紅茶葉の細胞を見るとその細胞膜が破壊されずに残っているものが多くあり、それら細胞膜に守られた細胞には香りとコク味成分が過度な酸化をされずに保たれている。
なお、このような香りとコク味成分が残っている紅茶としてはオーソドクス製法においてはOPなどの紅茶葉部分からの生産品だけでなく、茎部分からの生産品も挙げられる。さらにはセミオーソドクス製法においても製造時に微細な紅茶にならずに粒径が大きく保たれた紅茶葉や茎部分からの生産品が該当する。
一方、CTC製法は細胞を破壊することをその製法の特徴としており、また、オーソドクス製法で得られる粒径の小さい紅茶葉は香りとコク味成分の含有が少ない硬い生葉や葉の周縁部分がその主要構成物になっている。さらに、セミオーソドクス製法においては、その工程中のローターベンにより捻じ切られ発生した細かいサイズの紅茶は細胞の破壊度合いが粒径の大きい紅茶葉より格段に進んでいる。そして、オーソドクス製法で製造された粒径の大きな紅茶葉をフィルター袋に装填する前に約5mm未満に破砕したものにおいても、破砕により細胞の破壊が進んでいる。
このような従来のティーバッグでは得にくい香りとコク味を得るために、近年ではピラミッドバッグ、テトラパックなどと称される4面体の立体的な構造のフィルター袋などに粒径の大きな紅茶葉を装填したものが見られるようになった。
しかし、粒径の大きな紅茶葉は抽出効率が低いため、立体的な構造のフィルター袋を使用しても所望の香味を引き出すために3分程度の浸漬時間を必要とする場合もたびたびある。この比較的長時間の浸漬時間は、すぐに飲用したいという消費者の要求を満たさなかったり、紅茶葉抽出液温度の低下をもたらしたり、という不都合が見られる。
さらに、細胞内の香りとコク味は3分という時間でも紅茶葉抽出液に十分には移行しないことも観察されている。そして、これの解決方法として、ほとんどの細胞膜を破壊するような微小サイズへの破砕を行った後に短時間で抽出すると方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特表2010−508032号公報
しかし、このように破砕を行った紅茶葉は表面積が大きくなり香りとコク味成分が酸化などの影響で急速に損なわれる。そのため、実用的には真空包装などの脱酸素包装が必要とされるが、飲用1杯ずつのティーバッグを脱酸素包装する場合には多くの費用がかかり、複数杯分のティーバッグを一緒に脱酸素包装する場合には開封後の紅茶葉の酸化劣化が問題となる。
そこで、本発明者は各方面から検討の結果、
(i)フィルター袋に粒径の大きなオーソドクス製法またはセミオーソドクス製法の紅茶を装填しておき、飲用の直前にフィルター袋入りのまま紅茶葉を破砕したあと湯水や牛乳などの溶媒にて抽出することにより、好ましい香りとコク味を多く含む紅茶液が簡便に得られること、
(ii)所望の味と香りとコク味のバランスを得るためには装填する紅茶葉のサイズ(長さ)および破砕後の茶葉サイズ(長さ)を調整する必要があること、
(iii)破砕の際に破損されにくいフィルター袋の素材を選択すること、
(iv)より香りとコク味を得るために適切な部位および形状の紅茶葉を使用すること、
(v)破砕にあたっての器具(加圧装置)を用いれば、好ましい香りとコク味を多く含む紅茶葉抽出液を得る上で有利であり、さらに加圧面を立体構造としてその形状を調整することにより破砕度合いを調整して所望の香味を得る上で有利である、
といった数多くの新規有用知見・着想に基づいてなされたもので、紅茶の茶葉に限らず、各種茶葉に適用できる本発明をなしたものである。
本発明の目的は、従来法では得られなかった紅茶葉等の茶葉の好ましい香味を、抽出により簡便で効率的に得ることができるようにすることである。
請求項1の発明は、紅茶においてはオーソドクス製法またはセミオーソドクス製法による茶葉、ウーロン茶においては従来製法により揉捻され(その形状のまま)乾燥された茶葉であって香りとコク味成分を多く含み特定方向の長さが長いものを抽出用のフィルター袋に装填してティーバッグを形成し、飲用にあたって、溶媒による抽出の直前に、前記茶葉を前記フィルター袋に装填された状態のまま、前記装填時よりも長さが短くなるように圧力などの衝撃力を加えて破砕することを特徴とする。ここで、茶葉には、いわゆる葉の部分のほか、茎の部分も含む。また、特定方向は、茶葉の長さが最も長い方向である。
この場合、請求項2に記載のように、前記抽出用のフィルター袋は、樹脂素材を使用し、破れにくくかつ溶媒が通過しやすい袋状に形成されていることが望ましい。ここで、樹脂素材とは,樹脂のみ、あるいは樹脂を主成分とする素材である。
また、請求項3に記載のように、前記抽出用のフィルター袋に装填される茶葉は、前記特定方向の長さが3mm以上で、それを含む割合は重量比で20%以上であることが望ましい。
請求項4に記載のように、前記抽出用のフィルター袋に装填する茶葉は、香りとコク味成分を内包する茶葉の細胞がその細胞壁を保ったままで多数存在するものであり、香りとコク味成分を多く含む芯芽や生育途上の柔らかな生葉を主な構成原料としながら茶葉として加工される工程において細胞破壊が少なく仕上げられた茶葉、および/または香りとコク味成分を含む茎や葉脈などの厚肉の茶葉を含むものであることが望ましい。これは、オーソドクス製法またはセミオーソドクス製法であっても、芯芽や生育途上の柔らかな生葉ではない硬化した生葉から加工された茶葉は、香りとコク味成分が少なく、また、揉捻加工の圧力で多くの細胞壁が崩れた微細な破片になっていることが見られ、さらに、オーソドクス製法またはセミオーソドクス製法であっても、紅茶製造の発酵工程において、香りとコクの醸成のピークで発酵が止められず、色出しや生産管理のしやすさから発酵時間がたっぷり取られる加工工程が適用されることによって香りとコク味成分が少ない茶葉もあり、これら香りのコク味成分が少なく、細胞破壊が進んだ茶葉は使用を避けることが必要であるからである。
これらの場合には、請求項5に記載のように、前記抽出用のフィルター袋に装填された状態で茶葉を破砕するにあたっては、2つの板状部材を有し前記板状部材の少なくとも一方に格子状、線状あるいは点状の、複数の突出部が形成されている加圧装置を用い、前記抽出用のフィルターを挟んで茶葉を破砕する際に、前記加圧装置の板状部材で前記抽出用のフィルターを挟んで前記複数の突出部でもって衝撃力を加えることも可能である。ここで、複数の突出部は、板状部材に固定する場合だけでなく、それらの間隔(ピッチ)を調整可能に取り付け、突出部の間隔を変更することで、所望の破砕度合いあるいは粒度の茶葉を得ることができるようにすることもできるのはもちろんである。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の茶葉抽出液の製造方法により得られる茶葉抽出液を、飲料販売店において、消費者に販売する際の前記茶葉抽出液について一定の品質を確保する茶葉抽出液の生産管理方法であって、オーソドクス製法またはセミオーソドクス製法による茶葉であって香りとコク味成分を多く含み特定方向の長さが長いものを抽出用のフィルター袋に装填するように、前記茶葉の長さを管理しながらティーバッグを形成する工程と、前記抽出用のフィルター袋入り茶葉の破砕を管理する工程と、前記飲料販売店において茶葉抽出液を販売する際に所望の香味を得やすい破砕度合いになるように前記抽出用のフィルター袋内の茶葉に加える圧力を管理しながら破砕する工程と、前記破砕後の時間を管理しながら抽出を行う工程とを含むことを特徴とする。そして、この場合、請求項7に記載のように、前記茶葉の破砕には、破砕のための加圧面が形成された板状部材を有する加圧装置によって行われるもので、前記圧力の管理は、前記加圧面に形成される破砕のための加圧面の構造を管理することで行うことが望ましい。
このようにすれば、前記一連の工程を一貫して管理することで、飲料販売店において、一定の品質の茶葉抽出液(例えば紅茶)を消費者に提供させることが可能となる。
本発明は、香りとコク味成分を細胞内に含む茶葉(長さの長いもの)をフィルター袋に装填しておき、抽出の直前にフィルター袋に入ったまま茶葉を破砕するという工程を経ることにより、フィルター袋に装填されて以降破砕されるまでは茶葉内部の香りとコク味成分を、酸化を抑制しながら長期にわたり保存し、破砕以降すみやかにフィルター袋入りのままティーバッグとして抽出作業ができるという利便性のもとで茶葉内部の酸化されずに保たれてきた香りとコク味成分を取り出すことができる。
茶葉を破砕するのに用いる加圧装置の説明図である。
本発明の方法によって、茶葉抽出液、例えば紅茶葉の茶葉抽出液である紅茶を得る場合には、まず、セミオーソドクス製法またはオーソドクス製法により製造された紅茶葉であって香りとコク味成分を多く含み特定方向の長さが長いものを抽出用のフィルター袋(湯水などの溶媒を通しやすいフィルター袋)に装填してティーバッグを形成する。そして、飲用の際に、溶媒で抽出する直前には圧力などの衝撃力を加えてフィルター袋内部の紅茶葉を破砕する。溶媒による抽出方法は代表的には浸漬法が挙げられるが、湯水などの溶媒を一方向に通すようないわゆる濾過抽出などでもよい。
続いて、浸漬法を代表例として、本発明方法を説明する。
本発明においては、フィルター袋に紅茶葉を装填するのであるが、その際、後の破砕が可能な大きさの紅茶葉を装填することが必要である。このような破砕可能な紅茶葉を装填することで破砕した紅茶葉から香りとコク味が得られるものである。
このようにして、破砕可能な紅茶は長さが3mm以上、好ましくは5mm以上の、オーソドクス製法またはセミオーソドクス製法による紅茶葉または茎茶が使用される。破砕後の紅茶葉の長さ(サイズ)については、元の長さよりも小さくなればよく、求める香味のバランスや前提とする抽出方法にもよるが、破砕前の長さの1/2〜1/3程度の長さとすることが望ましい。最初に装填された破砕前の紅茶葉に比べてあまりに細かく破砕すると、微小な粉の発生が多くなって、それら粉が抽出液に混入し、紅茶(紅茶葉抽出液)の見栄えを損ねるという影響がある一方、あまりに破砕が粗ければ、破砕により香りとコク味を得るという本発明の効果が得られない。
また、破砕により紅茶葉の長さを短くするほど、渋味などがより短時間で抽出されやすくなる。求める香味がミルクティー用などの強い渋味を含むものであれば、長さは短めがよく、ストレートティー用などあまり強い渋味を求めないものであれば、長さは長めがよい。
抽出方法においては95度以上などの高温で1分程度の短時間抽出を前提とすれば、長さは短めがよく、高温で2分程度以上の長時間抽出を前提とすれば、長さは長めがよい。さらには70度程度の低温での長時間抽出や100度以上のいわゆるエスプレッソ抽出など、それぞれの前提とする抽出方法に合わせた破砕度合いで破砕すればよい。
いずれの破砕度合いにおいても、破砕後は破砕前よりも茶葉の長さが短くなるので、紅茶の香りとコク味が短時間で茶葉抽出液に移行しやすくなる。その点を考慮して、香りとコク味と渋味などの味のバランスが消費者の嗜好に適するように装填する紅茶葉と破砕度合いを調整することが必要である。
また、フィルター袋に紅茶葉を装填しティーバッグとして使用するので、フィルター袋は後に紅茶葉を破砕にあたって破損されない仕様とされなければならない。破砕方法にもよるが、木質パルプのみを使った紙フィルターなどは比較的低い圧力が部分的に加わった場合でも容易に破れる場合があるし、破損を避けるように紙の厚みを増すと抽出効率が低下する。一方、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂を素材に使用したフィルター袋とすれば破れにくくかつ湯水などの溶媒を通しやすくなる。このように樹脂製のフィルター袋に、オーソドクス製法またはセミオーソドクス製法による紅茶葉を装填することになるが、紅茶葉は破砕によって香りとコク味発現が促進される品質のものであることが好ましい。破砕によって香りとコク味発現が促進されるには、紅茶葉において香りとコク味成分を内包する茶の細胞がその壁を保ったまま存在し、飲用前の破砕によってその細胞壁が破られ香りとコク味成分が短時間で茶葉抽出液に移行できる状態になることが必要である。そのような品質の紅茶葉の産出地域としては、ファーストフラッシュ、セカンドフラッシュなどとして特有の香りとコク味を多く含むダージリン紅茶があり、さらにウバ、ヌワラエリヤ、ディンブラ、ルフナなどとしてそれぞれ特徴的な香りやコク味で知られるスリランカ産紅茶などがある。
紅茶葉の形状としては、香りとコク味成分を多く含む芯芽や生育途上の柔らかな生葉を主な構成原料としながら紅茶として加工される工程において細胞破壊が少ない、OPやPekoeと称される形状であることが望ましい。さらには香りとコク味成分を含む茎や葉脈などの厚肉の紅茶葉も破砕による細胞破壊で香りとコク味成分を取得できる紅茶として挙げられる。これら破砕によって香りとコク味発現が促進される品質の紅茶葉を単用してよいし、2種類以上を併用してもよい。また、破砕対象とならない紅茶葉、あるいは破砕による効果を得ようとしない紅茶葉、さらには紅茶以外の食品と併用してもよい。
オーソドクス製法またはセミオーソドクス製法であっても、芯芽や生育途上の柔らかな生葉ではない硬化した生葉から加工された茶葉は、香りとコク味成分が少なく、また、揉捻加工の圧力で多くの細胞壁が崩れた微細な破片になっていることが見られ、さらに、オーソドクス製法またはセミオーソドクス製法であっても、紅茶製造の発酵工程において、香りとコクの醸成のピークで発酵が止められず、色出しや生産管理のしやすさから発酵時間がたっぷり取られる加工工程が適用されることによって香りとコク味成分が少ない茶葉もあり、これら香りのコク味成分が少なく、細胞破壊が進んだ茶葉は使用を避けることが望ましい。
本発明においては、上記した方法でフィルター袋に装填された紅茶葉を、飲用の直前にフィルター袋の外から圧力等の衝撃力を加えることで紅茶葉を破砕し、長さを短くするものであるが、フィルター袋の外から単純に均一な圧力を加えた場合は得られる破砕後の紅茶葉の長さの管理が困難であり、その長さは、フィルター袋内での、紅茶葉の並び方や配置方向による影響を受けやすい。すなわち加圧面に対して平行に並んだ紅茶葉を破砕するために圧力を高めた場合には一気に破砕が進み、微小な粉が多く発生するという現象がみられる。所望の大きさに破砕するには、所定の間隔で圧力に強弱を加えて破砕することで効果が上がることが確認されている。
そこで、紅茶葉を破砕するにあたっては、2つの板状部材を有し前記板状部材の少なくとも一方に格子状、線状あるいは点状の、複数の突出部が、所定の間隔で加圧力に強弱を加えることができるように形成されている加圧装置を用い、前記抽出用のフィルターを挟んで茶葉を破砕する際に、前記加圧装置の板状部材で前記抽出用のフィルターを挟んで前記複数の突出部でもって衝撃力を加え、その複数の突出部(立体構造)が、フィルター袋を介して紅茶葉に作用して破砕せしめるようにすればよい。加圧は同じ板状部材あるいは板状部材を変えて複数回実施してもよい。なお、破砕方法および装置は、これに限らないのはもちろんである。
具体的に、各板状部材の加圧面にそれぞれ複数の線状の突出部を平行に有する立体構造が形成されている場合について説明する。例えば図1に示すように、扇形状の板状部材11と扇形状の板状部材12がヒンジ13を介して開閉可能に結合されたものであって、加圧装置14を用い、抽出用のティーバッグ15(フィルター袋15Aの中に茶葉15Bが装填されている)を挟んで茶葉15Bを破砕する際に、ティーバッグ15をヒンジ13側に接近せしめるとともに茶葉15Bがフィルター袋15A内でヒンジ13側に並ぶように振動を付与し、加圧装置14の板状部材11,12でティーバッグ15を挟んで前記立体構造(複数の突出部11a,12a)でもって茶葉15Bを加圧するようにすればよい。ここで、板状部材11,12としては、硬質ゴムや硬質樹脂、金属などからなる硬質板を用いればよく、それらを組み合わせて用いることも可能である。例えば図1に示す加圧装置14の場合には、一方の板状部材11は硬質樹脂製で、高さ1.5mmの線状の突出部11aが5mm間隔で設けられ、他方の板状部材12はステンレス製で、高さ1mmの線状の突出部が5mm間隔で設けられたものとしている。
また、嗜好品である紅茶には多くのバリエーションがあり、産地によればダージリン、ウバ、ヌワラエリヤ、ディンブラ、ルフナなど、生産季節によればファーストフラッシュ、セカンドフラッシュなど、さらに飲用用途によればミルクティー、ストレートティー、レモンティー、アイスティーなどがある。それら様々な可変要素のある素材を破砕して所望の品質の紅茶(抽出液)を得るには、破砕の度合いを管理できる適切な装置を使用し、その装置の性能を前提としてフィルター袋入り紅茶葉(ティーバッグ)を生産することが望ましく、さらには理想的なバランスの香味を引き出すための温度や浸漬時間といった抽出方法を用いることが望ましい。
事業モデルとして、これらティーバッグの生産から破砕、抽出サービスまでの一連を一貫して提供し管理することで従来にない香味に優れた紅茶を消費者に提供することが可能となる。それはレストランなどの業務用でもよく、家庭用でもよく、本発明に係るフィルター袋入り紅茶葉についての製造方法、破砕方法、抽出方法の態様について、一例を説明する。
一般的に香りとコク味を多く含み茶葉の長さが長めであるオーソドクス製法および/またはセミオーソドクス製法の紅茶葉、例えばダージリンファーストフラッシュOP、スリランカルフナOP1などの単品、またはこれらと破砕による効果を得ようとしていない紅茶葉、たとえばインドネシアCTCなどと、さらには紅茶葉以外の抽出素材の組み合わせたものを、フィルター袋内に装填してティーバッグとする。それから、飲用にあたっては抽出の直前に、フィルター袋に入ったまま、香りとコク味を多く含み茶葉長さが長めである紅茶葉を、必要な茶葉長さに破砕し、湯水などの溶媒で抽出して香りとコク味を多く含む紅茶(抽出液)を得ることができる。なお、フィルター袋としては、ポリエチレンなどの樹脂を主成分して破れにくくかつ溶媒が通過しやすい素材を使用する。
香りとコク味を多く含み長さが長めである紅茶葉は、セミオーソドクスおよび/またはオーソドクス製法による紅茶葉であって、茶葉の長さが3mm以上、好ましくは5mm以上であることを意味する。また、このように、香りとコク味を多く含み茶葉長さが長めである紅茶葉には、香りとコク味成分を内包する茶葉の細胞がその壁を保ったままで多数存在し、また形状としては、香りとコク味成分を多く含む芯芽や生育途上の柔らかな生葉を主な構成原料としながら紅茶として加工される工程において細胞破壊が少ない形状のものおよび/または香りとコク味成分を含む茎や葉脈などの厚肉の紅茶葉を使用する。
ティーバッグ内の紅茶葉(フィルター袋に装填された紅茶葉)を破砕するにあたっては、前述したように、2つの板状材を有し所望の大きさに効率よく破砕することができるようにそれらにより圧力を加えることができる加圧装置を用い、板状部材でフィルター袋を両側から挟んで加圧することで板状部材の突出部からの圧力がフィルター袋を介して紅茶葉に作用して、紅茶葉を所定の大きさに破砕することになる。つまり、このような加圧装置を、破砕の度合いを管理できる適切な装置として利用できる。
このようにして紅茶(茶葉抽出液)を得るにあたり、ティーバッグ(フィルター袋入り紅茶葉)の生産から、破砕、抽出サービスにいたる一連の工程を一貫して提供し、管理することで、従来にない香味に優れた紅茶を消費者に提供することができる。
このようにして得られた紅茶は、当初から長さの短い紅茶葉をフィルター袋に装填したティーバッグから得られた紅茶に比べて多くの香りとコク味成分を含む。また、当初から長さが長めの紅茶葉が装填されたティーバッグを、破砕工程なく、そのまま抽出して得られる紅茶に比べると、同一抽出条件においては香りとコク味と渋味などの味のバランスが異なる紅茶が得られ、さらには、破砕度合いと低温/高温などの抽出温度や時間といった抽出条件設定の組み合わせで、香りとコク味を引き出しながら渋味を抑制したり、短時間で香りとコク味も渋味も強く引き出すといったさまざまなバリエーションの紅茶を得ることができる。
さまざまなバリエーションの紅茶の一例(ダージリンセカンドフラッシュOP を2g装填した製品の場合)を示すと以下のとおりである。ここで、抽出温度が高、低、常温はそれぞれ95℃,80℃,20℃を意味する。

破砕度合 抽出温度 抽出時間 香り コク 適した飲用メニュー
粗い 高 2分 強 やや強 渋めで香りの強いストレート
細かい 高 1分 強 やや強 渋味が少なく香りの強いストレート
細かい 高 2分 強 強 茶葉の香りの強いミルクティー
細かい 低 3分 強 強 冷やして香りよく渋味が弱めの冷紅茶
微小 常温 2時間 やや強 中庸 氷を入れて渋味が弱い冷紅茶

このようにして得られた紅茶は、豊富な香りとコク味成分を含むことが特徴で、これまでのティーバッグでは得られなかった品質特性を示す。
また、抽出直前の破砕のための手間と時間が紅茶の鮮度管理の手段として消費者から認識されることにより、レストランなどの外食事業においては、従来は手抜きとして捉えられがちであったティーバッグという飲料の提供方法でありながら消費者の満足を得ることが可能となる。
このようにして得られた紅茶(茶葉抽出液)は、そのまま飲用することもできるが、加熱または冷却したり、甘味料、乳、果汁、その他の食品、食品添加物を加えたりして飲用できるのはもちろんである。
上記方法によれば、香りとコク味成分を細胞内に含む茶葉長さの長い紅茶葉をフィルター袋に装填してティーバッグとし、抽出の直前にティーバッグのまま紅茶葉を破砕するという工程を経ることにより、フィルター袋に装填されて以降破砕されるまでは紅茶葉内部の香りとコク味成分の酸化を抑制しながら長期にわたり保存し、破砕以降すみやかにティーバッグの状態のまま抽出作業ができるという利便性のもとで、紅茶葉内部の酸化されずに保たれてきた香りとコク味成分を取り出すという、画期的な技術といえる。
そして、上記の説明からも明らかなように、本発明は、フィルター袋に一般的な微小な紅茶葉を装填したティーバッグに比して香りとコク味に優れ、また、茶葉長さの長い紅茶葉を装填してそのまま抽出に供用するティーバッグに比しては、破砕による紅茶葉の細胞内の香りとコク味露出および粒径の差を起因とする抽出性能の違いを提供するものであり、これまでのティーバッグの概念を払拭するものである。
そしてさらに、嗜好品である紅茶のバリエーション、つまり(i)産地によればダージリン、ウバ、ヌワラエリヤ、ディンブラ、ルフナなど、(ii)生産季節によればファーストフラッシュ、セカンドフラッシュなど、さらに(iii)飲用用途によればミルクティー、ストレートティー、レモンティー、アイスティーなど、それら様々な可変要素のある素材を破砕して所望の品質の紅茶を得るに、破砕の度合いを管理できる適切な装置(例えば前述した加圧装置)を使用し、その装置の性能を前提としてフィルター袋入り紅茶を生産し、さらには理想的なバランスの香味を引き出すための破砕度合いや温度、浸漬時間といった抽出前の処理および抽出方法を用いることを事業モデルとし、製造者、飲用サービス提供者がフィルター袋入り紅茶の生産から破砕、抽出サービスまでの一連を一貫して提供し管理することで従来にない香味に優れた紅茶を消費者に提供する事業モデルが従って、製造者側、飲料サービス提供者側、消費者側、それぞれにメリットを与える画期的な技術といえる。
ところで、破砕前に特定方向の長さが長いものが含まれる割合(重量比)と、破砕後に前記特定長さの長いものが含まれる割合(重量比)との関係については、各種実験結果から、前記抽出用のフィルター袋に装填される茶葉は、前記特定方向の長さが長いものを含む割合は重量比で20%以上であればよいことが確認されている。例えば、
a.破砕前 90% → 破砕後 60%, 45%, 35%,20% など
b.破砕前 50% → 破砕後 35%, 23%, 15% など
c.破砕前 20% → 破砕後 10%, 6% など
d.破砕前 10% → 破砕後 4% など
となるが、このなかで、dのように破砕前に特定方向の長さの長いものの割合が10%程度と少ないもの(もともと細かい茶葉)は、今回のような圧力での破砕で細かくできる茶葉が少なく、破砕による香味効果はあまりないからである。よって、前述したように、前記抽出用のフィルター袋に装填される茶葉は、前記特定方向の長さが長いものを含む割合は重量比で20%以上であればよい、といえる。なお、前記関係については、次の実施例1,2により確認できる。実施例1では、上述のaのパターンであり、実施例2では、長さ3mmを基準とせず、5mmを基準とした場合である。
続いて、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ポリエチレンを主要構成要素とする不織布(大紀商事株式会社製)を用いて、短辺50mm、長辺60mmの封筒型に成型されたフィルター袋に、ダージリンファーストフラッシュOPを2g装填した。装填したダージリンファーストフラッシュOPにおいては3mm以上の長さの紅茶葉を含む割合が重量比で80%以上である。破砕の際には、加圧装置(幅0.5mmの硬質ゴムが3mm間隔で配置され格子状の立体構造を形成する板状部材2枚を有し、2枚の板状部材それぞれの立体構造(硬質ゴム部分)が合わさるように向かい合う)を用い、上記フィルター袋内の紅茶葉が袋内で均一に広がるよう振動を与えながら、一方の板状部材上に水平状態で設置し、その上に他方の板状部材を乗せてフィルター袋を挟んで圧迫して、袋内の紅茶葉を所定の長さに破砕した。
フィルター袋には破損は見られず、破砕された紅茶葉においては3mm以上の長さの割合が重量比で40%以下であった。
また、比較例としては以下のフィルター袋入り紅茶葉(ティーバッグ)を用いた。
ア)破砕を行わなかった上記ティーバッグ
イ)上記と同じ条件で破砕を行った後に10日間常温保管したティーバッグ
ウ)紅茶生産工場で上記ダージリンファーストフラッシュOPと同時に生産されながら細かいサイズ(長さが短い)として区分されたダージリンファーストフラッシュBOPを上記フィルター袋に2g装填したティーバッグ
これらを抽出実験した結果は次の通りである。なお、官能評価は、評点法による5段階絶対評価(1(弱い/悪い)〜5(強い/良い))を5回行い、平均値をスコアとした。

−パネルによる官能評価1−
条件:熱湯140ccで浸漬熱湯温度98℃浸清時間1分
抽出液温度55〜65℃にて所定の紅茶官能審査法にて香味を審査
本発明例 香り評価4.1 コク味評価4.1 渋味強度2.2
比較例ア) 香り評価2.9 コク味評価3.0 渋味強度2.1
比較例イ) 香り評価3.3 コク味評価3.6 渋味強度1.9
比較例ウ) 香り評価2.0 コク味評価3.2 渋味強度3.8

−パネルによる官能評価2−
条件:熱湯140ccにて浸漬熱湯温度98℃浸漬時間2分
抽出液温度55〜65℃にて所定の紅茶官能審査法にて香味を審査
本発明例 香り評価4.2 コク味評価4.3 渋味強度3.4
比較例ア) 香り評価3.6 コク味評価2.9 渋味強度3.2
比較例イ) 香り評価3.2 コク昧評価3.5 渋味強度3.6
比較例ウ) 香り評価1.9 コク味評価3.1 渋味強度4.3

−パネルによる官能評価3−
条件:熱湯140ccにて浸漬熱湯温度80℃浸漬時間2分
抽出液温度55〜65℃にて所定の紅茶官能審査法にて香味を審査
本発明例 香り評価3.2 コク味評価3.3 渋味強度1.9
比較例ア) 香り評価3.1 コク味評価2.8 渋味強度1.8
比較例イ) 香り評価1.6 コク昧評価2.2 渋味強度1.8
比較例ウ) 香り評価1.8 コク味評価3.1 渋味強度4.2

−パネルによる官能評価4−
条件:熱湯100ccにて浸漬熱湯温度98℃浸漬時間1.5分後に40ccの氷を加
抽出液温度10℃にて所定の紅茶官能審査法にて香味を審査
本発明例 香り評価3.9 コク味評価3.2 渋味強度2.8
比較例ア) 香り評価3.2 コク味評価2.4 渋味強度2.9
比較例イ) 香り評価3.2 コク昧評価2.5 渋味強度3.3
比較例ウ) 香り評価1.9 コク味評価3.0 渋味強度4.3

本実験の結果として特筆すべき点は、細かい紅茶を当初から装填していた比較例ウ)に比べて、茶葉長さの長い紅茶を装填したものは破砕の有無にかかわらず、総じて香りとコク味がよく、渋味は少ないということである。
しかしながら、破砕を行ってから10日間を経たものは香りとコク味が減少していることが観察されることから、この間に香りとコク味成分が酸化などにより劣化したものと推察され、破砕を飲用の直前に実施することで好ましい香りとコク味成分を有効に抽出できることが分かる。
さらには、破砕を行わず茶葉長さの長い紅茶を装填したまま抽出した比較例ア)との対比では、飲用の直前に破砕により、1分間〜1.5分間という短時間で多くの香りとコク味を引き出す一方、このように飲用の直前に破砕することにより98℃という高温の湯であれば1分間〜1.5分間という短時間の浸漬で渋味を抑制しながらも香りのよい抽出液を得られるため、この実施例の場合には、乳を入れないストレート紅茶や、冷やして飲用するアイス紅茶での飲用に特に適することが推察された。
以上のように、本発明においてダージリンファーストフラッシュという香りとコク味成分を多く含みながら渋味が強く出やすい紅茶葉を用いれば、抽出条件の設定次第で渋味が少ないながら香りとコク味が強いという従来のティーバッグ(フィルター袋入り紅茶)では得られなかった香味特徴を得られることが確認された。
ナイロンを主要構成物とする樹脂布(大紀商事株式会社製)を用いて、各辺が60mmの4面体に成型されたフィルター袋に、オーソドクス製法により生産されたスリランカルフナOP1を2g装填した。装填したスリランカルフナOP1においては5mm以上の長さの割合が重量比で80%以上であった。
破砕には、柵状に調理されたレモン果実から果汁を圧搾する卓上の調理装置を、加圧装置として用いた。すなわち、蝶つがい軸を中心に、金属製の板状部材と凹凸のある樹脂製の板状部材とが扇状に可動する調理装置(加圧装置)において、上記紅茶葉を装填した4面体のフィルター袋の一辺を蝶つがいの根元に接近せしめて設置したうえ、紅茶が袋内で蝶つがい軸の近く並ぶことを意図して振動を与えた。その後に、両板状部材を接近せしめてティーバッグを圧迫し、中の茶葉を破砕した。
フィルター袋には破損は見られず、破砕された紅茶葉においては5mm以上の長さの割合が重量比で40%以下であった。
また、比較例としては次のフィルター袋入り紅茶(ティーバッグ)を用いた。
ア)破砕を行わなかった上記ティーバッグ
イ)上記と同じ条件で破砕を行った後に10日間常温保管したティーバッグ
ウ)紅茶生産工場にて上記スリランカルフナOP1と同時に生産されながら細かいサイズ(長さが短い)として区分されたスリランカルフナBOPを上記フィルター袋に2g装填したティーバッグ
エ)CTC製法で生産されたアッサムCTCBOPを上記フィルター袋に2g装填したティーバッグ

−パネルによる官能評価5−
条件:牛乳140ccにて浸漬温度85℃浸漬時間2分
抽出液温度55−65℃にて所定の紅茶官能審査法にて香味を審査
本発明例 香り評価3.5 コク味強度3.0
比較例ア) 香り評価2.0 コク味強度2.0
比較例イ) 香り評価2.5 コク味強度3.0
比較例ウ) 香り評価2.0 コク味強度3.0
比較例エ) 香り評価1.5 コク味強度2.5

本実験の結果、破砕を行わず茶葉長さが長い紅茶を装填したまま抽出した比較例ア)は、細かい紅茶やCTC製法の紅茶を当初から装填していた比較例ウ)やエ)、破砕を行った本発明例や比較例イ)に比べてコク味が弱かった。
これは、紅茶葉の長さが長いために85℃で2分間という温度および抽出時間では有効な成分が十分に抽出できていないことによると推察される。これは香りの評価においても本発明例に比べた点数の低さとして現れており、本発明例では短時間でも香り成分が抽出できるという特徴が分かる。
このように、風味保持のためには沸騰させられない牛乳を溶媒として用い、その温度85℃という中高温状態で2分という短時間の浸漬でも、フィルター袋に装填された茶葉長さの長い紅茶を飲用の直前に破砕して浸漬することにより、紅茶の香りが強くコク味も強く感じられるミルクティーを得られた。つまり、この実施例の場合は牛乳を溶媒として抽出するいわゆるロイヤルミルクティーでの飲用に特に適することが推察された。
以上のように、本発明においてスリランカルフナという香りとコク味成分および牛乳によりコク味が引き出される成分を多く含む紅茶葉を用いれば、ティーバッグを牛乳に短時間浸漬するという簡便な方法であっても、香りとコク味が強いロイヤルミルクティーという従来のティーバッグでは得られなかった香味特徴を得られることが確認された。
前記実施の形態では、茶葉抽出液としては紅茶葉の抽出液について説明しているが、そのほか、半発酵茶(例えば、従来製法により揉捻され乾燥された茶葉を用いるウーロン茶)、日本茶などのその他の茶葉の抽出液についても同様に適用することができる。
前記実施の形態では、加圧装置14において、線状の、複数の突出部11a,12aを板状部材11,12に固定的に設ける場合だけでなく、周知の手段を用いて、それらの間隔(ピッチ)を調整可能に取り付け、突出部の間隔を変更できるようにして、所望の破砕度合いあるいは粒度の茶葉を得ることができるようにすることもできる。また、複数の突出部は、板状部材の少なくとも一方の形成されていればよいし、一方に突出部を、他方にそれに対応して凹部を設けるようにしてもよい。さらに、ヒンジを介して結合されている場合だけでなく、2つの板状部材がそれらの間隔を調整可能に取り付けられていればよい。これらの場合には、例えば、長さが短い茶葉を得る場合には突出部のピッチが短くなるように調整して、細かく破砕できるようにする一方、長さが長い茶葉を得る場合には突出部のピッチが長くなるように調整して、粗く破砕できるようにすればよい。
11,12 板状部材
11a,12a 線状の突出部
13 ヒンジ
14 加圧装置

Claims (7)

  1. 紅茶においてはオーソドクス製法またはセミオーソドクス製法による茶葉、ウーロン茶においては従来製法により揉捻され乾燥された茶葉であって香りとコク味成分を多く含み特定方向の長さが長いものを抽出用のフィルター袋に装填してティーバッグを形成し、
    飲用にあたって、溶媒による抽出の直前に、前記茶葉を、前記フィルター袋に装填された状態のまま前記装填時よりも長さが短くなるように圧力などの衝撃力を加えて破砕することを特徴とする茶葉抽出液の製造方法。
  2. 前記抽出用のフィルター袋は、樹脂素材を使用し、破れにくくかつ溶媒が通過しやすい袋状に形成されている請求項1記載の茶葉抽出液の製造方法。
  3. 前記抽出用のフィルター袋に装填される茶葉は、前記特定方向の長さが3mm以上で、それを含む割合は重量比で20%以上である請求項1または2記載の茶葉抽出液の製造方法。
  4. 前記抽出用のフィルター袋に装填する茶葉は、香りとコク味成分を内包する茶葉の細胞がその細胞壁を保ったままで多数存在するものであり、
    香りとコク味成分を多く含む芯芽や生育途上の柔らかな生葉を主な構成原料としながら茶葉として加工される工程において細胞破壊が少なく仕上げられた茶葉、および/または香りとコク味成分を含む茎や葉脈などの厚肉の茶葉を含むものである請求項1〜3のいずれか1つに記載の茶葉抽出液の製造方法。
  5. 前記抽出用のフィルター袋に装填された状態で茶葉を破砕するにあたっては、2つの板状部材を有し前記板状部材の少なくとも一方に格子状、線状あるいは点状の、複数の突出部が形成されている加圧装置を用い、
    前記抽出用のフィルターを挟んで茶葉を破砕する際に、前記加圧装置の板状部材で前記抽出用のフィルターを挟んで前記複数の突出部でもって衝撃力を加える請求項1〜4のいずれか1つに記載の茶葉抽出液の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の茶葉抽出液の製造方法により得られる茶葉抽出液を、飲料販売店において、消費者に販売する際の前記茶葉抽出液について一定の品質を確保する茶葉抽出液の生産管理方法であって、
    オーソドクス製法またはセミオーソドクス製法による茶葉であって香りとコク味成分を多く含み特定方向の長さが長いものを抽出用のフィルター袋に装填するように、前記茶葉の長さを管理しながらティーバッグを形成する工程と、
    前記抽出用のフィルター袋入り茶葉の破砕を管理する工程と、
    前記飲料販売店において茶葉抽出液を販売する際には、所望の香味を得やすい破砕度合いになるように、前記抽出用のフィルター袋内の茶葉に加える圧力を管理しながら破砕する工程と、
    前記破砕後の時間を管理しがら抽出を行う工程とを含むことを特徴とする茶葉抽出液の生産管理方法。
  7. 前記茶葉の破砕には、破砕のための加圧面が形成された板状部材を有する加圧装置によって行われるもので、
    前記圧力の管理は、前記加圧面に形成される破砕のための加圧面の構造を管理することで行う請求項6記載の茶葉抽出液の生産管理方法。
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