JP2013025929A - 印刷用凸版及びそれを用いた電子回路パターン、並びに有機el素子の製造方法 - Google Patents

印刷用凸版及びそれを用いた電子回路パターン、並びに有機el素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】印刷不良を防ぎ、版表面に付着する異物を無くし、高精細パターンを高精度で印刷できる印刷用凸版およびそれを用いた有機ELディスプレイ用素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基材の一方の面上に接着層、耐溶剤層、凸パターン層及び保護層を順次積層してなる印刷用凸版であって、印刷実行時に前記保護層を剥離して用いることを特徴とする印刷用凸版である。すなわち、フォトリソ法で形成した凸パターン層に前記保護層を積層することにより、現像工程後から印刷で版を使用開始するまでの間に付着する異物や衝撃による凸パターンのダメージが保護できる効果をもたらす。
【選択図】図1

Description

本発明は、高精細パターンを印刷法により作製するための印刷用凸版、およびそれを用いて電子回路パターンや有機EL素子などを作製する製造方法に関する。
近年、高精細加工技術を用いた電子デバイスの開発が急速な進化を遂げている。このような電子デバイスは、次世代のエレクトロニクス分野、バイオテクノロジ分野、オプトロニクス分野などの発展へ貢献することが期待される。
有機EL素子は、2つの対向する電極の間に有機発光材料からなる有機発光層を形成し、有機発光層に電流を流すことで発光させるものであるが、効率良く発光させるには発光層の膜厚が重要であり、100nm程度の薄膜にする必要がある。さらに、これをディスプレイ化するには高精細にパターニングする必要がある。
有機発光材料には、低分子材料と高分子材料があり、一般に低分子材料は抵抗加熱蒸着法等により薄膜形成し、このときに微細パターンのマスクを用いてパターニングするが、この方法では基板が大型化すればするほどパターニング精度が出にくいという問題がある。
そこで、最近では有機発光材料に高分子材料を用い、有機発光材料を溶剤に溶かして塗工液にし、これをウェットコーティング法で薄膜形成する方法が試みられるようになっている。薄膜形成するためのウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、突出コート法、ディップコート法等があるが、高精細にパターニングしたり、RGB3色に塗り分けしたりするためには、これらのウェットコーティング法では難しく、塗り分けパターニングを得意とする印刷法による薄膜形成が最も有効であると考えられる。
さらに、各種印刷法の中でも、有機EL素子やディスプレイでは、基板としてガラス基板を用いることが多いため、グラビア印刷法等のように金属製の印刷版等の硬い版を用いる方法は不向きであり、弾性を有するゴム版を用いたオフセット印刷法や、ゴムやその他の樹脂を主成分とした感光性樹脂版を用いる凸版印刷法が適正である。実際に、これらの印刷法の試みとして、オフセット印刷による方法(たとえば、特許文献1参照)、凸版印刷による方法(たとえば、特許文献2参照)などが提唱されている。
有機EL素子における有機発光層のパターンは、テレビ用途の大型ディスプレイの場合、たとえば、対角40インチのワイドディスプレイでは、ライン幅が100μm、画素ピッチが500μmとなる。
また、携帯電話などの小型ディスプレイの場合、たとえば、対角2インチで主流のQVGA(320×240画素)では、画素ピッチは120μm、各色要素のサブピクセルの幅は40μmとなる。このような高精細なディスプレイの素子を凸版印刷法により形成しようとした場合、5μm以下という非常に高い印刷パターンの精度が要求される。
しかし、たとえば、上記QVGAの画素サイズのディスプレイを製作するためには、サブピクセル当たり約40μmピッチのラインとスペースが必要となる。そのため、製版直後の版表面の印刷パターンに異物が付着すると、パターンの欠陥が生じ、隣り合う有機発光層が混ざり、混色などの印刷不良や転写不良を発生させてしまう。さらに、一般的な製
版方法では現像後に乾燥と後露光工程を行うので、異物が付着する可能性が高くなる。
このような高精度が要求される精細パターンの印刷用凸版では、従来の商用での印刷用凸版の製版方法では問題にならなかった異物サイズでも問題になるケースが出てきた。
このような版の印刷パターン精度、転写不良等といった印刷不良の問題は、精細なパターン形成を必要とするエレクトロニクス部材、たとえば、カラーフィルタ、回路基材、薄膜トランジスタ、マイクロレンズ、バイオチップ等においても同様である。
特開2001−093668号公報 特開2001−155858号公報
有機ELディスプレイを始めとしたエレクトロニクス部材のように、凸版印刷方式を用いて高品質で高精細パターンを形成するために用いる凸版では、版表面のパターン上のどんなに小さな異物でも印刷不良や転写不良を引き起こす可能性がある。
そこで、本発明は、印刷不良を防ぎ、版表面に付着する異物を無くし、高精細パターンを高精度で印刷できる印刷用凸版およびそれを用いた有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、基材の一方の面上に接着層、耐溶剤層、凸パターン層及び保護層を順次積層してなる印刷用凸版であって、印刷実行時に前記保護層を剥離して用いることを特徴とする印刷用凸版である。すなわち、フォトリソ法で形成した凸パターン層に前記保護層を積層することにより、現像工程後から印刷で版を使用開始するまでの間に付着する異物や衝撃による凸パターンのダメージが保護できる効果をもたらす。
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記保護層がポリビニルアルコール樹脂からなり、膜厚が5μm以上20μm以下で、且つ、下地層である前記凸パターン層より面積が狭いことを特徴とする請求項1記載の印刷用凸版である。すなわち、ポリビニルアルコール樹脂は水溶性で下地層の凸パターン層に塗布し易く、また印刷時の剥離に対しても粘着性が極めて少なく容易であり、その膜厚が5μm以上20μm以下であれば異物などによる傷付きを保護することができる。
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記凸パターン層の層厚が20μm以上100μm以下で、感光性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用凸版である。すなわち、感光性樹脂組成物を用いることにより、フォトリソ法が利用でき容易にパターン形成が可能である。また凸パターン層の層厚が20μm以上100μm以下の範囲であれば、被印刷基材や被印刷基材上にあるパターンを傷つけることなく、また凸版自体の力学的な変形や破壊の発生を防ぐことができる。
また、本発明の請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかに記載の印刷用凸版を用いる印刷工程からなることを特徴とする電子回路パターンの製造方法である。すなわち、上記印刷用凸版を用いることにより、高精細なパターン形成が可能となり、前記電子回路パターンを形成することできる。
また、本発明の請求項5に係る発明は、請求項1から3のいずれかに記載の印刷用凸版を用いる印刷工程からなることを特徴とする有機EL素子の製造方法である。
本発明によれば、印刷不良を防ぎ、版表面に付着する異物を限りなく減らし、高精細パターンを高精度で印刷できる印刷用凸版およびそれを用いた有機EL素子の製造方法を提供できる。
本発明の実施の形態に係る印刷用凸版の版基材の構成を模式的に示す説明図。 本発明の実施の形態に係る印刷用凸版の構成を模式的に示す説明図。 本発明の実施の形態に係る印刷物製造装置の構成を概略的に示す摸式図。 本発明の実施の形態に係る有機EL素子一発光単位の構成を模式的に示す縦 断側面図。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明にかかる印刷物は、ディスプレイの表示画面を構成するエレクトロニクス部材として好適に利用できる。エレクトロニクス部材としては、たとえば、有機EL素子、薄膜トランジスタを例示することができる。また、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係る印刷用凸版の版基材の構成を模式的に示すもので、図1(a)は前記印刷用凸版の製版(凸パターン形成)前の版基材の構成の断面概略図であり、図1(b)は前記印刷用凸版41の断面概略図を示す。図1(a)に示すように、本実施の形態に係る印刷用凸版の版基材30は、基材1の一方の面に接着層2、耐溶剤層3、感光性樹脂層4を順次積層した構成からなる。そして図1(b)に示す本発明の印刷用凸版41は、感光性樹脂層をフォトリソ法によりパターン形成(感光性樹脂層4´)して得られる。
前記基材1としては、金属や樹脂フィルムを用いることができる。金属を用いることにより、基材1全体が塗工液中の溶剤に対し膨潤することがないため、寸法安定性の良い版として好適に用いることができる。使用される金属としては、Fe、Ni、Cu、Znなどをあげることができる。また、ステンレスといったこれら金属の合金であってもよい。樹脂フィルムを用いる場合は、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムを挙げることができる。
前記接着層2は、耐溶剤層3と基材1との接着性を高めることを目的とした層であるため、耐水性で金属との接着性が良い樹脂材であれば特に限定されないが、これらの条件を満たす樹脂としてエポキシ系、ポリエステルウレタン系の熱硬化性樹脂が好ましい。
前記耐溶剤層3は、接着層2を保護することを目的とした層であるため、耐溶剤性と接着性の両方を持ち合わせた樹脂材であれば特に限定されないが、これらの条件を満たす樹脂として、接着層2の樹脂材に感光性樹脂層4の主成分と同一のものを添加樹脂が好ましい。耐溶剤性を持ちつつ感光性樹脂層4との界面の相溶性が向上して接着性を高めることができる。
前記感光性樹脂層4は、使用するインキに対する耐溶剤性があればよく、ニトリルゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴムなどのゴムの他に、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコールなどの合成樹脂やそれらの共重合体、セルロースなどの天然高分子などや、フッ素系エラストマーやポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ六フッ化ビニリデンやそれらの共重合体といったフッ素系樹脂から1種類以上を選択することができるが、加工の容易さといった点から、感光性樹脂を用いることが望ましい。
塗工液として有機溶剤を用いている場合には、水現像タイプの感光性樹脂が有機溶剤への耐性も高く好適である。水現像タイプの感光性樹脂としては公知のもので構わないが、たとえば、親水性のポリマと不飽和結合を含むモノマと光重合開始材を構成要素とするタイプが挙げられる。このタイプでは親水性ポリマとしてポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体を用いることができる。
また、不飽和結合を含むモノマとしては、たとえば、ビニル結合を有するメタクリレート類を用いることができ、光重合開始剤としては、たとえば、芳香族カルボニル化合物を用いることができる。中でも、印刷適性の面からポリアミド系の水現像タイプの感光性樹脂が適している。
また、感光性樹脂層4の厚みは20μm以上100μm以下であることが好ましい。厚みが20μm未満の場合、被印刷基材がガラスや金属といった硬度の高い素材のときに、被印刷基材や被印刷基材上にあるパターンが傷つくことがある。また、厚みが100μmを超える場合、基材1と感光性樹脂層4の界面近傍または感光性樹脂層4において力学的な変形や破壊が発生し、また溶剤による感光性樹脂層4の膨潤の度合いが大きくなってしまう。
図2は本発明の実施の形態に係る印刷用凸版の構成を模式的に示す説明図である。図2(a)はフォトリソ法により凸パターンを形成した直後に、保護層5を設けた印刷用凸版の断面概略図を示す。また、図2(b)は、保護層5が前記版基材30上の凸パターン化された感光性樹脂層4´領域に設けられる平面概略図を示している。保護層5が凸パターン化される前の感光性樹脂層4の全面ではなく、それよりも狭い面積の凸パターン化された感光性樹脂層4´領域に設けることにより、印刷機の版胴に安定して装着することができ、また、凸パターンに異物が付着することや凸パターンに傷をつけることを回避するに十分な面積を確保できる。
前記保護層5は、紫外領域の波長の透過率が高い素材であれば特に限定されないが、ポリビニルアルコールであることが望ましい。またポリビニルアルコール以外でもこれらの条件を満たす素材として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリプロピレン、二トロセルロース、フッ素ポリマなどがあげられるが剥離することで感光済樹脂層にダメージを与えないためにも、フィルムタイプではなく、液状かつ版上で塗工できる粘度であることが望ましい。
この保護層5は、現像工程後から印刷で版を使用開始するまでの間で発生し、付着する異物や衝撃による凸パターンのダメージ保護を目的としているため、印刷時に版を使用する際は当該保護層5を除去して使用する。現像後であれば、塗工に関しては後露光工程前でも露光で硬化してしまい印刷時に除去できない状態で凸パターン上に残らなければよいものとする。また、保護層を除去した際に凸パターンの剥がれや凸パターン上に粘着剤等の異物を発生させないためにも、保護層5に使用する素材中には粘着剤を使用していないことが望ましく、塗工可能であるものを選択する。この観点からポリビニルアルコールであることが望ましい。それは、水溶性で取扱いも容易かつ比較的安価で生産コスト面の点
でも優れている。また、塗工が比較的容易という点でも優位性があると考えられる。前記のポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリプロピレン、二トロセルロース、フッ素ポリマであるとこの点で、酸やアルカリを必要とするため、ポリビニルアルコールよりは簡便性の点や管理の点で劣る。用いるポリビニルアルコールとしてはけん化度の著しく低いものや著しく高いものであると水溶性を有さないものを除き、一般的に水溶性なものを用いることができる。
また保護層の膜厚は5μm以上20μm以下が好ましい。5μm以下の場合は、異物などによる傷付きを保護することができず、また、20μm以上では凸パターンを十分保護することができるがコスト高となる。
本発明の実施の形態に係る印刷用凸版の作成方法としては、フォトマスクを用いて樹脂版材の感光性樹脂層をパターン露光し樹脂を硬化させ、未硬化部分の樹脂を洗い流し現像する。現像後に乾燥、後露光を行い、所定パターンのレリーフを形成するフォトリソグラフィ法や、レーザーアブレーションや切削加工で形成するといった、公知の方法を用いることができるが、その方法の容易さから、感光性樹脂によるフォトリソグラフィ法を用いることが望ましい。
また、本発明の実施の形態に係る印刷用凸版の作成方法では、現像工程後にポリビニルアルコールを塗工し、後露光工程を行う。ポリビニルアルコールの塗工方式はパターン外周をマスキングした後にスピンコート法、スプレー法、また直接塗工としてダイコート法、といった塗工法を用いることが望ましい。
次に、本発明の実施の形態に係る印刷用凸版を用いた印刷物の製造方法について説明する。
図3は、本発明の実施の形態に係る印刷用凸版を用いた印刷物製造装置の構成を概略的に示すものである。たとえば、図3のように、インキ補充装置46から凸版へのインキング装置であるアニロックスロール43へ塗工液47の補充を行い、アニロックスロール43に補充された塗工液47のうち余剰なものはドクタ装置により除去する。
なお、インキ補充装置46には、滴下型の補充装置の他に、ファウンテンロールやスリットコータ、ダイコータ、キャップコータなどのコータやそれらを組み合わせたものなどを用いることもできる。ドクタ装置には、ドクターロールの他にドクターブレードを用いることもできる。
ドクタ装置により余剰な塗工液が除去された後、本件における印刷用凸版41へのインキングを行う。円筒状のシリンダ42の側面部分に取付けられた状態の印刷用凸版41へインキングされた塗工液47は、被印刷基材45へ印刷される。なお、被印刷基材45の材質は問わないが、たとえば、紙、プラスチックフィルム、ガラス、金属等を挙げることができる。被印刷基材45へ印刷された塗工液47は必要に応じて乾燥することにより印刷物を形成する。
次に、本発明によってパターン形成した印刷用凸版を用いた印刷物の製造方法の一例として、有機EL素子の製造方法について説明する。なお、本発明はこれに限るものではない。図4は有機EL素子の断面概要図を示す。なお、有機EL素子の駆動方法としては、パッシブマトリックス方式とアクティブマトリックス方式があるが、本発明に係る印刷用凸版を用いる製造方法では、パッシブマトリックス方式およびアクティブマトリックス方式のどちらにも適用可能である。
パッシブマトリックス方式とはストライプ状の電極を直交させるように対向させ、その交点を発光させる方式であるのに対し、アクティブマトリックス方式は画素毎にトランジスタを形成した、いわゆる薄膜トランジスタ(TFT)基板を用いることにより、画素毎に独立して発光する方式である。
図4に示すように、本発明の有機EL素子は、基板60の上に、陽極としてストライプ状に第一電極59を有している。隔壁58は第一電極間に設けられ、第一電極端部のバリ等よるショートを防ぐことを目的として第一電極端部を覆うことが好ましい。
そして、本発明の有機EL素子は、第一電極59上であって、隔壁58で区画された領域(発光領域L、画素部)に有機発光層及び発光補助層からなる有機EL層を有している。電極間に挟まれる有機EL層は、有機発光層単独から構成されたものであってもよいし、有機発光層と発光補助層との積層構造から構成されたものでもよい。発光補助層としては正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層が挙げられる。図4では発光補助層である正孔輸送層55と有機発光層(51、52、53)との積層構造からなる構成を示している。第一電極59上に正孔輸送層55が設けられ、正孔輸送層55上に赤色(R)有機発光層51、緑色(G)有機発光層52、青色(B)有機発光層53がそれぞれ設けられている。
次に、有機発光媒体層上に陽極である第一電極59と対向するように陰極として第二電極54が配置される。パッシブマトリックス方式の場合、ストライプ状を有する第一電極と直交する形で第二電極はストライプ状に設けられる。アクティブマトリックス方式の場合、第二電極は、有機EL素子全面に形成される。更に、図示していないが、環境中の水分、酸素の第一電極、有機発光層、発光補助層、第二電極への侵入を防ぐために有効画素全面に対してガラスキャップ等による封止体が設けられ、接着剤を介して基板と貼りあわされる。
本発明の有機EL素子は、少なくとも基板と、当該基板に支持されたパターン状の第一電極と、有機発光層と、第二電極を具備する。本発明の有機EL素子は、図4とは逆に、第一電極を陰極、第二電極を陽極とする構造であっても良い。また、ガラスキャップ等の封止体の代わりに有機発光媒体層や電極を外部の酸素や水分の浸入から保護するためにパッシベーション層や外部応力から保護する保護層、あるいはその両方の機能備えた封止基材を備えてもよい。
次に、有機EL素子の製造方法を説明する。
本発明にかかる基板としては、絶縁性を有する基板であればいかなる基板も使用することができる。この基板側から光を取り出すボトムエミッション方式の有機EL素子とする場合には、基板として透明なものを使用する必要がある。
例えば、基板としてはガラス基板や石英基板が使用できる。また、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムやシートであっても良い。これら、プラスチックフィルムやシートに、有機発光媒体層への水分の侵入を防ぐことを目的として、金属酸化物薄膜、金属弗化物薄膜、金属窒化物薄膜、金属酸窒化膜薄膜、あるいは高分子樹脂膜を積層したものを基板として利用してもよい。
また、これらの基板は、あらかじめ加熱処理を行うことにより、基板内部や表面に吸着した水分を極力低減することがより好ましい。また、基板上に積層される材料に応じて、
密着性を向上させるために、超音波洗浄処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理などの表面処理を施してから使用することが好ましい。
また、これらに薄膜トランジスタ(TFT)を形成して、アクティブマトリックス方式の有機EL素子用の基板とすることが可能である。
また、隔壁形成材料が感光性材料の場合、形成材料溶液をスリットコート法やスピンコート法により全面コーティングしたあと、露光、現像といったフォトリソ法によりパターニングがおこなわれる。スピンコート法の場合、隔壁の高さは、スピンコートするときの回転数等の条件でコントロールできるが、1回のコーティングでは限界の高さがあり、それ以上高くするときは複数回スピンコートを繰り返す手法を用いる。
感光性材料を用いてフォトリソ法により隔壁を形成する場合、その形状は露光条件や現像条件により制御可能である。例えば、ネガ型の感光性樹脂を塗布し、露光・現像した後、ポストベークして、隔壁を得るときに、隔壁端部の形状を順テーパー形状としたい場合には、この現像条件である現像液の種類、濃度、温度、あるいは現像時間を制御すればよい。現像条件を穏やかなものとすれば、隔壁端部は順テーパー形状となり、現像条件を過酷にすれば、隔壁端部は逆テーパー形状となる。
また、隔壁形成材料がSiO2、TiO2の場合、スパッタリング法、CVD法といった乾式成膜法で形成可能である。この場合、隔壁のパターニングはマスクやフォトリソ法により行うことができる。
次に、有機発光層及び発光補助層からなる有機EL層を形成する。電極間に挟まれる有機EL層としては、有機発光層単独から構成されたものでもよいし、有機発光層と正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層といった発光を補助するための発光補助層との積層構造としてもよい。なお、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層は必要に応じて適宜選択される。
そして、本発明は有機発光層や正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層といった発光補助層からなる有機EL層のうち少なくとも1層を、有機EL層材料を溶媒に溶解、または分散させたインキを用い、基材上に樹脂からなる凸部パターンを有する樹脂凸版を印刷版とした凸版印刷法により前記第一電極の上方に印刷して形成する際に適用することができる。以降、本発明において、有機発光材料を溶媒に溶解、または分散させた有機発光インキを用いた場合について示す。
有機発光層は電流を流すことにより発光する層である。有機発光層の形成する有機発光材料としては、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノー8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス[8−(パラ−トシル)アミノキノリン]亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレンなどの低分子系発光材料が使用できる。
また、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポリフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等、Ir錯体等の燐光性発光体などの低分子系発光材料を、高分子中に分散させたものが使用できる。高分子としてはポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等が使用できる。
また、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PPP)やポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニルレン]ジブロマイドなどのPPP誘導体、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEHPPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)、ポリスピロフルオレンなどの高分子発光材料であってもよい。PPV前駆体、PPP前駆体などの高分子前駆体が挙げられる。また、その他既存の発光材料を用いることもできる。
正孔輸送層を形成する正孔輸送材料としては、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物などの高分子正孔輸送材料、チオフェンオリゴマー材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
また、電子輸送層を形成する電子輸送材料としては、2−(4−ビフィニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)1,3,4−オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体やビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物等を用いることができる。
有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メチル−(t−ブチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ペンチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,3,5−トリ−イソプロピルベンゼン等を単独又は混合して用いることができる。また、有機発光インキには、必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
正孔輸送材料、電子輸送材料を溶解または分散させる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、水等の単独またはこれらの混合溶剤などが挙げられる。特に、正孔輸送材料をインキ化する場合には水またはアルコール類が好適である。
有機発光層や発光補助層は湿式成膜法により形成される。なお、これらの層が積層構造から構成される場合には、その各層の全てを湿式成膜法により形成する必要はない。湿式
成膜法としては、スピンコート法、ダイコート法、ディップコート法、吐出コート法、プレコート法ロールコート法、バーコート法等の塗布法と、凸版印刷法、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法が挙げられる。特に、RGB三色の有機発光層をパターン形成する場合、印刷法によって画素部に選択的に形成することができ、カラー表示のできる有機EL素子を製造することが可能となる。有機発光媒体層の膜厚は、単層又は積層により形成する場合においても1000nm以下であり、好ましくは50nm〜150nmである。
繰り返しになるが、本発明は有機発光インキを用い凸版印刷法により有機発光層形成する場合だけでなく、正孔輸送インキや電子輸送インキを用い凸版印刷法により正孔輸送層や電子輸送層といった発光補助層を形成する場合にも使用することができる。
次に、第二電極を形成する。第二電極を陰極とした場合その材料としては電子注入効率の高い物質を用いる。具体的にはMg、Al、Yb等の金属単体を用いたり、発光媒体と接する界面にLiや酸化Li、LiF等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いる。または電子注入効率と安定性を両立させるため、低仕事関数なLi、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb等の金属1種以上と、安定なAg、Al、Cu等の金属元素との合金系が用いられる。具体的にはMgAg、AlLi,CuLi等の合金が使用できる。また、トップエミッション方式の有機EL素子とする場合は、陰極は透明性を有する必要があり、例えば、これら金属とITO等の透明導電層の組み合わせによる透明化が可能となる。
第二電極の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の乾式成膜法を用いることができる。また、第二電極をパターンとする必要がある場合には、マスク等によりパターニングすることができる。第二電極の厚さは10nm〜1000nmが好ましい。なお、本発明では第一の電極を陰極、第二の電極を陽極とすることも可能である。
有機EL素子としては電極間に有機発光層を挟み、電流を流すことで発光させることが可能であるが、有機発光材料や発光補助層形成材料、電極形成材料の一部は大気中の水分や酸素によって容易に劣化してしまうため通常は外部と遮断するための封止体を設ける。
封止体は、例えば第一電極、有機発光層、発光補助層、第二電極が形成された基板に対して、凹部を有するガラスキャップ、金属キャップを用いて、第一電極、有機発光媒体層、第二電極上空に凹部があたるようにして、その周辺部についてキャップと基板を接着剤を介して接着させることにより封止がおこなわれる。
また、封止体は、例えば第一電極、有機発光層、発光補助層、第二電極が形成された基板に対して、封止材上に樹脂層を設け、該樹脂層により封止材と基板を貼りあわせることによりおこなうことも可能である。
このとき封止材としては、水分や酸素の透過性が低い基材である必要がある。また、材料の一例として、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックス、無アルカリガラス、アルカリガラス等のガラス、石英、アルミニウムやステンレスなどの金属箔、耐湿性フィルムなどを挙げることができる。耐湿性フィルムの例として、プラスチック基材の両面にSiOxをCVD法で形成したフィルムや、透過性の小さいフィルムと吸水性のあるフィルムまたは吸水剤を塗布した重合体フィルムなどがあり、耐湿性フィルムの水蒸気透過率は、10-6g/m2/day以下であることが好ましい。
樹脂層としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂などからなる光硬
化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、2液硬化型接着性樹脂や、エチレンエチルアクリレート(EA)ポリマー等のアクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等のビニル系樹脂、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレンの酸変性物などの熱可塑性接着性樹脂を挙げることができる。樹脂層を封止材の上に形成する方法の一例として、溶剤溶液法、押出ラミ法、溶融・ホットメルト法、カレンダー法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、真空ラミネート法、熱ロールラミネート法などを挙げることができる。必要に応じて吸湿性や吸酸素性を有する材料を含有させることもできる。封止材上に形成する樹脂層の厚みは、封止する有機EL素子の大きさや形状により任意に決定されるが、5〜500μm程度が望ましい。
第一電極、有機発光層、発光補助層、第二電極が形成された基板と封止体の貼り合わせは封止室でおこなわれる。封止体を、封止材と樹脂層の2層構造とし、樹脂層に熱可塑性樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着のみ行うことが好ましい。熱硬化型接着樹脂を使用した場合は、加熱したロールで圧着した後、さらに硬化温度で加熱硬化を行うことが好ましい。光硬化性接着樹脂を使用した場合は、ロールで圧着した後、さらに光を照射することで硬化を行うことができる。なお、ここでは封止材上に樹脂層を形成したが、基板上に樹脂層を形成して封止材と貼りあわせることも可能である。
封止体を用いて封止を行う前やその代わりに、例えばパッシベーション膜として、CVD法を用いて、窒化珪素膜を150nm成膜するなど、無機薄膜による封止体とすることも可能であり、また、これらを組み合わせることも可能である。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
[実施例1]
<発光層形成用塗工液の調製>
ポリ(パラフェニレンビニレン)誘導体からなる発光材料をキシレンに塗工液濃度が1.0重量%となるように溶解させ、発光層形成用塗工液を調製した。
<被印刷基板の作製>
150mm角、厚さ0.4mmのガラス基材上に表面抵抗率が15ΩのITOを成膜した基材(ジオマテック社製)に、スピンコータを用いて正孔輸送層としてポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)を100nm膜厚で成膜した。さらに、この成膜されたPEDOT/PSS薄膜を減圧下100℃で1時間乾燥することで、被印刷基材を作製した。
<印刷用凸版の作製>
基材として0.3mm厚のスチール材を用い、ポリアミド系樹脂を主成分とする0.03mm厚の感光性樹脂層と、感光性樹脂層と基材の中間に形成される0.03mm厚のエポキシ樹脂の接着層と、0.03mm厚のエポキシ樹脂に10%のポリアミド系樹脂成分を含む熱硬化性樹脂層から構成される凸版印刷用の版基材を用意した。この版基材にネガパターンが形成されているフォトマスクを介して露光し、水現像を行い、ポリビニルアルコールをスリットコーターで中央100mm角の感光性樹脂層部上面のみ塗工後、後露光することで所望のパターンを有する印刷用凸版を作製した。凸パターンは中央80mm角に線幅が30μm、スペースが120μmの150μmピッチで独立パターンとした。
<印刷用凸版のキシレン液中パーティクル測定>
実施例1で作成した版にキシレン溶剤をかけ流し、液を採取して、リオン社製KS―40BFの液中パーティクルカウンタを用いて液中パーティクル測定を実施した。この測定により、版に付着していた異物(パーティクル)の大きさや数を知ることができる。
<有機EL素子の作製>
有機EL素子の作製は、凸版印刷法により行った。凸版印刷機のシリンダに市販されているtesa社製のクッションテープを巻きつけてから、実施例1で作製した印刷用凸版を固定した。固定後、純水により版表面を十分に洗い流し、版表面にあるポリビニルアルコールを除去した。実施例1で調製した発光層形成用塗工液を用いて被印刷基材に対し印刷を行った。この基板を真空乾燥して残留溶媒を除去した後、真空蒸着法によりCaを10nm成膜し、さらに、その上にAgを300nm成膜した。Ca、Agからなる陰極は、マスクを用いてITOパターンと直交するように形成した。最後にガラスキャップを用い封止を行い、有機EL素子を作製した。
[比較例1]
<印刷用凸版の作製>
基材として0.3mm厚のスチール材を用い、ポリアミド系樹脂を主成分とする0.03mm厚の感光性樹脂層と、感光性樹脂層と基材の中間に形成される0.01mm厚のエポキシ樹脂の接着層と、0.03mm厚のエポキシ樹脂に10%のポリアミド系樹脂成分を含む硬化性樹脂層から構成される凸版印刷用の版基材を作製した。この版基材にネガパターンが形成されているフォトマスクを介して露光し、水現像して凸パターンを有する印刷用凸版を作製した。なお、凸パターンは中央80mm角に線幅が30μm、スペースが120μmの150μmピッチの独立パターンとした。
<印刷用凸版のキシレン液中パーティクル測定>
実施例1と同様の方法でキシレン液中パーティクル測定を実施した。
<有機EL素子の作製>
この比較例1で作製した印刷用凸版を用いて、実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。なお、実施例1の条件と同等にするため、版表面にポリビニルアルコールは無いが、純水で版表面をかけ流し、除去してから印刷を実施した。
<印刷用凸版及び有機EL素子の評価>
実施例1および比較例1で作製した印刷用凸版と、それを用いて作製した有機EL素子について以下の方法にて評価した。その結果を表1に示す。また、液中の異物に関しては発光インク中では正確な測定が困難な為、キシレン液中に存在する異物(パーティクル)の測定を行った。その結果を表2に示す。なお、パーティクルの測定には、リオン社製(KS−40BF)を用いた。
(印刷用凸版の評価)
・外観検査〜凸パターンの形状を目視検査。異常なしを○、異常ありを×と判定。
・印刷欠け検査〜印刷用凸版を用いて印刷し、その印刷パターンの形状を目視検査。
印刷欠けが確認できないレベルを○、確認できるレベルを×と判定。
(有機EL素子の評価)
・発光ムラ〜パネルを発光させた時の発光ムラを目視検査し、異常なしを○、ムラが確
認されたレベルを×と判定。
<比較結果>
上記表1から明らかなように、保護層有り版は保護層剥離後の外観検査結果、印刷テス
ト結果において良好な結果が得られた。逆に、保護層無し版では製版から版胴への巻き付けまでに付着した異物や版胴巻き付け時のハンドリングでのダメージによる凸パターンの欠陥が確認され、印刷物での印刷欠けや発光ムラが顕著に確認された。異物が発光パネル上に検出され、版上異物が転写されたことが確認できた。なお、異物に関しては、版表面に埋め込まれる形、もしくは純水のかけ流しでは落としきれなく、版上で比較的乾燥している状態の付着異物と推察できる。これが印刷での印刷欠けの要因になることも確認している。
また、上記表2から明らかなように、液中パーティクル測定でも顕著な差が見られた。保護層有り版に見られたパーティクルは感光性樹脂中に存在する樹脂片であることも確認している。このことからも本結果は外乱由来の異物や傷に敏感かつ精密な被印刷物を作成する際は、有効であることがいえる。
本発明の印刷用凸版は、高精細で印刷欠けや発光ムラをなくした均一性の高い印刷が可能となるため、有機EL素子や電子ペーパ、薄膜トランジスタなどのエレクトロニクス部材で高精細かつ均一性が要求されるものに有用である。
1・・・・・基材、
2・・・・・接着層
3・・・・・耐溶剤層
4・・・・・感光性樹脂層
4’ ・・・ 感光済樹脂層
5・・・・・保護層
30・・・・版基材
41・・・・印刷用凸版
42・・・・版胴
43・・・・アニロックスロール
44・・・・定盤
45・・・・基板
46・・・・インキチャンバー
47・・・・通液部
51・・・・有機発光層
52・・・・有機発光層
53・・・・有機発光層
54・・・・第二電極層
55・・・・正孔輸送層
56・・・・樹脂層
57・・・・封止材
58・・・・隔壁
59・・・・第一電極
60・・・・基板

Claims (5)

  1. 基材の一方の面上に接着層、耐溶剤層、凸パターン層及び保護層を順次積層してなる印刷用凸版であって、印刷実行時に前記保護層を剥離して用いることを特徴とする印刷用凸版。
  2. 前記保護層がポリビニルアルコール樹脂からなり、膜厚が5μm以上20μm以下で、且つ、下地層である前記凸パターン層より面積が狭いことを特徴とする請求項1記載の印刷用凸版。
  3. 前記凸パターン層の層厚が20μm以上100μm以下で、感光性樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用凸版。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の印刷用凸版を用いる印刷工程からなることを特徴とする電子回路パターンの製造方法。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の印刷用凸版を用いる印刷工程からなることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015100953A (ja) * 2013-11-22 2015-06-04 凸版印刷株式会社 印刷用凸版及び印刷物の製造方法
JP2015104810A (ja) * 2013-11-28 2015-06-08 凸版印刷株式会社 板状樹脂積層体の印刷版、板状樹脂積層体の印刷版を用いた印刷装置

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