JP2013025900A - 電子デバイス用基板、及び、これを用いた有機led素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部への光取り出し効率が高く、生産性の高い電子デバイス用基板およびこれを用いた有機LED素子を提供することを目的とする
【解決手段】透光性基板と、前記透光性基板上に少なくとも1つ設けられており、その高さが5μm以上100μm未満である凸状構造物と、前記透光性基板、および、前記凸状構造物を覆う被覆層と、前記被覆層上に設けられた透光性電極層とが積層され、前記被覆層の屈折率は、前記透光性基板、および、前記凸状構造物の屈折率よりも高いことを特徴とする電子デバイス用基板、および、これを用いた有機LED素子を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子などの電子デバイス用基板、及び、これを用いた有機LED素子に関する。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機LED素子、無機EL素子など、新規発光デバイスの研究、開発が進められている。中でも、有機LED素子(Organic Light Emitting Diode)は次世代の発光素子の一つとして着目されている。これは、有機層を電極間に挟んだ構造を有しており、発光のメカニズムとしては、まず、電極間に電圧を印加することによって、それぞれの電極から正孔、電子を注入し、次いでこれらが有機層内で結合し、有機層内の発光材料を励起状態にする。その後、発光材料が励起状態から基底状態に至る過程で発生する光を取り出すものである。具体的な用途としては、ディスプレイやバックライト、照明などが挙げられる。
しかしながら、有機LED素子においては、素子自体の発光効率は向上しているものの、素子から外部に光を取り出す際に、光路上にある各部材の界面等で光が反射されるなどして、外部への光取り出し効率が低下するため、その改善が求められていた。
例えば、特許文献1には、ガラス板の透明導電膜が形成される側の表面に凹凸面を形成し、係る凹凸面上にガラス板よりも高い屈折率を有するガラス焼成膜と、透明導電膜を形成した有機EL素子用ガラス基板が記載されている。係る有機EL素子用ガラス基板においては、ガラス板表面に形成した凹凸を有する界面で有機EL素子からの光を散乱させ、外部への光取り出し効率を高めようとするものである。
特開2010−198797号公報
しかしながら、前述の特許文献1における、ガラス板表面に形成した凹凸面の表面粗さは0.05〜2μmであり、ガラス板表面にわずかに散乱が起こる程度の緩やかな傾斜を設けているに過ぎない。このため、外部への光取り出し効率は十分に高められていなかった。
また、特許文献1においては、ガラス板表面に凹凸面を形成するために、サンドブラスト法等でガラス板表面の一部を研削、除去するものであり、加工に時間を要するため、生産性にも問題があった。
本発明は上記従来技術が有する問題に鑑み、外部への光取り出し効率が高く、生産性の高い電子デバイス用基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明は、透光性基板と、前記透光性基板上に少なくとも1つ設けられており、その高さが5μm以上100μm未満である凸状構造物と、前記透光性基板、および、前記凸状構造物を覆う被覆層と、前記被覆層上に設けられた透光性電極層とが積層され、前記被覆層の屈折率は、前記透光性基板、および、前記凸状構造物の屈折率よりも高いことを特徴とする電子デバイス用基板を提供する。
本発明は、透光性基板、凸状構造物、被覆層、透光性電極層が積層された電子デバイス用基板に関するものである。本発明の電子デバイス用基板においては、透光性基板上に5μm以上100μm未満の凸状構造物が配置されているため、被覆層と凸状構造物との界面部分に高低差の大きな凹凸部が形成される。このため、係る界面部分で全反射する光が低減し、透光性基板内に進入できる光量が増加するため、外部への光取り出し効率を高めることが可能となる。また、前記凹凸部は透光性基板上に凸状構造物を配置した構成であるため容易に製造することができ、生産性を高めることが可能となる。
本発明に係る第1の実施形態の説明図 本発明に係る第1の実施形態における凸状構造物と被覆層の界面部分の説明図 本発明に係る第1の実施形態の変形例についての説明図 本発明に係る第1の実施形態の変形例についての説明図 本発明に係る第1の実施形態の変形例についての説明図 本発明に係る第2の実施形態についての説明図 本発明に係る第2の実施形態の変形例についての説明図 本発明に係る実施例におけるシミュレーションモデルの説明図
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[第1の実施形態]
本発明に係る電子デバイス用基板について、図1を用いて説明を行う。
図1の上図は、本発明に係る電子デバイス用基板の上面図であり、凸状構造物の配置が明らかになるよう、図中に凸状構造物も示している(図3〜図7も同様に示した)。また、下図はA−A´断面図を示したものである。下図に示すように、本発明の電子用デバイス基板は図中最上部から順に、透光性電極層1、被覆層2、凸状構造物3、透光性基板4が積層されたものである。なお、本発明の電子デバイス用基板を例えば有機LED素子に使用する場合には、図中の透光性電極層上にさらに、有機層(発光層)、電極が積層される。この場合、発光層からの光は透光性電極層1から透光性基板4まで各部材を通り、透光性基板4の下面から取り出される。
そして、被覆層2の屈折率nは、凸状構造物3の屈折率n、透光性基板4の屈折率nよりも高くなるように、すなわち、n<n、n<nの関係を満たすように構成されている。
ここで、光は屈折率が高い物質から屈折率の低い物質へ進む場合、その入射角が臨界角よりも大きいと入射光が境界面を透過せずに全反射する。このため、図2(A)に示すように、凸状構造物3がなく被覆層2と透光性基板4とが直接接している部分のみの場合、臨界角より大きな入射角B1の光A1はC1に示すようにその界面部分で全反射することとなる。これに対して、本発明のように所定の高さを有する凸状構造物3を透光性基板4上に配置している場合、図2(B)に示すように、水平面に対して上記光A1と同じ角度を有する光A2は、凸状構造物3との界面部分でみると、その入射角B2は臨界角以下となっており、全反射することなく透光性基板4に進入できる。このため、凸状構造物3を透光性基板4上の少なくとも一部に配置することによって、係る入射角の光も取り出すことが可能になり、光取り出し効率を向上させることができる。なお、水平面に対する入射角が臨界角よりも大きい光と比べて、量は少ないものの、水平面に対する入射角が臨界角未満の光も存在する。これらの光は、凸状構造物3を介すると逆に界面部分で全反射してしまう場合もあり、凸状構造物3を介さず透光性基板4に直接入射したほうが進入しやすくなる。このため、被覆層2の一部は透光性基板4と直接接触するように配置することが好ましい。
そして、臨界角はスネルの法則により導くことができ、具体的には以下の式で表される。
θ=sin−1(n/n
式中、θが臨界角、n、nが屈折率(n>n)を表わしている。上記式によれば、屈折率nとnとの差が小さくなると、臨界角は90度に近づくため、全反射が起こりにくくなる。従って、隣接する層間の屈折率の差が小さくなるように配置することにより全反射を更に抑制できる。このため、透光性電極層1の屈折率nと上記した各部材の屈折率n〜nとが、n<nかつn−0.2≦n≦n+0.2かつn−0.2≦n≦n+0.2の関係を満たすように構成されていることがより好ましい。また、n<nかつn−0.1≦n≦n+0.1かつn−0.1≦n≦n+0.1の関係を満たすことが特に好ましい。
なお、本発明においては、上記のように被覆層2と凸状構造物3との界面での全反射はその形状が与える効果により他の界面部分に比べて起こりにくくなっている。従って、両者の間の屈折率差が大きくても、光取り出し効率はあまり低下しない。このため、透光性電極層1と被覆層2との間、凸状構造物3と透光性基板4との間の屈折率差が無いように、または、小さくなるように材料を選択することが特に好ましい。
各部材の詳細について以下に説明する。
(透光性電極層1)
透光性電極層としては、これに隣接する発光層からの光を外部に取り出す必要があるため、80%以上の透光性が要求される。また、多くの正孔を注入するため、仕事関数が高いものが要求される。具体的にはITO(Indium Tin Oxide)、SnO、ZnO、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(ZnO−Al:アルミニウムをドープした亜鉛酸化物)、GZO(ZnO−Ga:ガリウムがドープされた亜鉛酸化物)、NbドープTiO、TaドープTiOなどの材料が用いられる。透光性電極層の厚さは、100nm以上であることが好ましい。
透光性電極層の形成方法について、材料としてITOを用いた場合を例に説明する。まず、ITOをスパッタや蒸着等によって、被覆層を形成した後の透光性基板全体に均一性良く成膜する。次いで、成膜したITO膜について、フォトリソグラフィー及びエッチングによりITOパターンを形成する。これにより得られたITOパターンが透光性電極層となる。なお、フォトリソグラフィーの際に、レジストとして、例えばフェノールノボラック樹脂を使用することができる。また、エッチングはウェットエッチング、ドライエッチングいずれでも良いが、例えば、塩酸と硝酸の混合水溶液を用いて行うことができる。さらに、レジスト剥離剤としては、例えばモノエタノールアミンを使用することができる。
(被覆層2)
被覆層としては、光透過率が高く、さらに、上記のように、凸状構造物、透光性基板よりも高屈折率な材料(ベース材)が用いられる。具体的なベース材としては、ガラス、結晶化ガラス、透光性樹脂、透光性セラミックスが挙げられる。ガラスの材料としては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどの無機ガラスがある。ガラス組成については所望の屈折率を有する材料であれば特に限定されるものではない。ただし、ベース材用の高屈折率のガラスのため、ネットワークフォーマとして、P、SiO、B、GeO、およびTeOのうちの一種類または二種類以上の成分を選定しても良い。また、高屈折率成分として、TiO、Nb、WO、Bi、La、Gd、Y、ZrO、ZnO、BaO、PbO、およびSbのうちの一種類または二種類以上の成分を選定しても良い。さらに、ガラスの特性を調整するため、アルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物、フッ化物などを、屈折率に影響を及ぼさない範囲で、添加しても良い。
従って、ベース材を構成するガラス系としては、例えば、B−ZnO−La系、P−B−R'O−R"O−TiO−Nb−WO−Bi系、TeO−ZnO系、B−Bi系、SiO−Bi系、SiO−ZnO系、B−ZnO系、P−ZnO系などが挙げられる。ここで、R'はアルカリ金属元素、R"はアルカリ土類金属元素を示す。なお、以上の材料系は、一例に過ぎず、上記条件を満たすような構成であれば、使用材料は、特に限られない。
ベース材に、着色剤を添加することにより、発光の色味を変化させることもできる。着色剤としては、遷移金属酸化物、希土類金属酸化物、および金属コロイドなどを、単独でまたは組み合わせて使うことができる。
被覆層は、凸状構造物によって形成された凹凸部を覆い、その表面を平坦化するものである。すなわち、透光性基板、凸状構造物を覆うように設けられ、両部材と接触している。このため、その厚さは凸状構造物の高さに応じて決まり、限定されるものではないが、その厚さは10μm以上150μm以下であることが好ましく、15μm以上100μm以下であることがより好ましい。係る被覆層を形成する手段としては、ゾル−ゲル法、蒸着法、スパッタ法など公知の各種成膜手段を採用できる。しかし、被覆層は、上記したような厚さを有する膜を大面積に均一且つ迅速に形成することが好ましいため、特にフリットペースト法により製造することが好ましい。フリットペースト法の具体的な手順としては、まず、ベース材である粒径が1〜10μmのガラス粉末を樹脂、溶剤、フィラー、界面活性剤等の添加剤等と混合し、均一に分散させることによってフリットペースト化する。その後、作製したフリットペーストを塗布、印刷などにより、凸状構造物を形成した透光性基板上に配置し、所望の温度で焼成することで被覆層を形成する。
樹脂は、スクリーン印刷後、塗膜中のガラス粉末、フィラーを支持するために用いられる。具体例としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル樹脂、酢酸ビニル、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ロジン樹脂などが用いられる。主剤として用いられるのは、エチルセルロースとニトロセルロースがある。なお、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ロジン樹脂は塗膜強度向上の為の添加として用いられる。焼成時の脱バインダ温度は、エチルセルロースで350℃から400℃、ニトロセルロースで200℃から300℃である。
溶剤は、樹脂を溶解しかつ印刷に必要な粘度を調整するために用いられる。溶剤は沸点200℃から230℃のものが望ましい。粘度、固形分比、乾燥速度調整のためブレンドして用いる。具体例としては、スクリーン印刷時のペーストの乾燥適合性からエーテル系溶剤(ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、酢酸ブチルセロソルブ)、アルコール系溶剤(α−テルピネオール、パインオイル、ダワノール)、エステル系溶剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)、フタル酸エステル系溶剤(DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート))がある。主に用いられているのは、α−テルピネオールや2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)である。なお、DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート)は、可塑剤としても機能する。
また、添加剤として、粘度調整、フリット分散促進の為、界面活性剤を使用しても良い。フリット表面改質の為、シランカップリング剤を使用しても良い。
なお、本実施の形態においては、被覆層の数を1層としたが、複数層設けることもできる。
(凸状構造物3)
凸状構造物は、透光性基板上に、その一部を覆うように少なくとも1つ設けられている。凸状構造物の高さは、透光性基板表面から5μm以上100μm未満になるように構成されている。これは、5μmよりも低いと光の外部取り出し効率を十分高めることができず、100μm以上としても光の外部取り出し効率には効果がないためである。また、100μm以上とした場合、これにあわせて被覆層も厚くなるため、製造コストが上がるという点でも好ましくない。なお、上記範囲を充足するものであれば、異なる高さの凸状構造物を混在させることもできる。
ここで、凸状構造物の形状は限定されるものではなく、例えば、三角柱、円錐、三角錐、半球等、各種形状を取りうる。ただし、傾斜角度が5度以上45度未満の傾斜面を有することが好ましく、10度以上40度以下の傾斜面を有することが特に好ましい。係る範囲の傾斜面を有することによって、光取り出し効率をより高めることができるため好ましい。なおここでいう傾斜角度とは、透光性基板の表面との間で作る角度の事を意味している。
そして、構造中に曲面を有する形態は、その面内で傾斜角度が連続的に変化し、上記した範囲の傾斜角度の面を有することができるので、凸状構造物として好ましく使用できる。
具体的には、凸状構造物としては半球形状であることが特に好ましい。ここでいう球とは、真球、扁球等各種球形状を含むものである。そして、ここでいう半球とは、2分の1球そのもののみに限定されるものではなく、3分の1球形状等、各種球の一部からなる形状を含むものである。
また、凸状構造物を配置する個数についても限定されるものではないが、複数個設けた方が光取り出し効率が高くなるため好ましい。複数設ける場合にはランダム、または規則的に透光性基板4上に配置することとなる。具体的には、図1に示すように三角柱形状のものを並列に配置したり、図3のように一部を重複させて井桁形状になるように配置することもできる。さらに、図4に示すように半球形状のものを交互に規則的に配置したり、図5に示すように曲面(球面)を有するものをランダムに配置することもできる。
なお、同一基板上に設ける凸状構造物の形状については1種類の形状に限定されるものではなく、例えば半球形状のものと三角柱形状のものを同時に設けるなど、異なる形状の凸状構造物を同時に配置することもできる。
凸状構造物は、光透過率が高く、被覆層よりも屈折率が低い材料(ベース材料)が用いられる。具体的なベース材料としては、被覆層と同様にガラス、結晶化ガラス、透光性樹脂、透光性セラミックス等が使用でき、これらの材料の中から屈折率が所定の関係を満たすように選択される。ガラスの材料としては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどの無機ガラスがある。ガラス組成については所望の屈折率を有する材料であれば特に限定されるものではない。
凸状構造物についても、上記のような高さのある構造を大面積に均一且つ迅速に形成するために、フリットペースト法により形成することが好ましい。被覆層の場合と同様に、原料を混合してフリットペーストを作製する。次いで、所望の範囲に塗布、印刷によってフリットペーストを透光性基板上に配置し、所望の温度で焼成することによって凸状構造物3を形成することができる。形状はおもにペースト塗布量と焼成温度・時間によって制御される。
(透光性基板4)
透光性基板としては、可視光に対する透過率が高い材料が用いられる。透過率の高い材料として具体的には、ガラス基板やプラスチック基板が挙げられる。ガラス基板の材料としては、アルカリガラス、無アルカリガラス又は石英ガラスなどの無機ガラスがある。
またプラスチック基板の材料としては、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、ならびにポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有ポリマーが挙げられる。
透光性基板の厚さは、デバイスを保護するため、十分な強度をもつように選択されていれば足りる。具体的には例えばガラスを用いた場合、0.1mm〜2.0mmが好ましい。ただし、薄すぎると強度が落ちること、厚すぎるとデバイスの大きさや重量により使用場所が限定されることから、0.5mm〜1.0mmであることが特に好ましい。
なお、凸状構造物、被覆層をガラスフリットで作製する場合、歪みの問題等が生じる場合がある。このため、透光性基板の熱膨張係数は50×10−7/℃以上が好ましい。更に好ましくは70×10−7/℃以上であり、より好ましくは80×10−7/℃以上である。また、これに合わせて、凸状構造物、被覆層としては、100〜300℃における平均熱膨張係数が60〜110×10−7/℃であり、かつガラス転移温度が400℃以上550℃以下であることが好ましい。
また、透光性基板の凸状構造物または被覆層を設ける側の表面に1層以上からなるバリア層を形成することもできる。これは、透光性基板としてアルカリ成分を含有するガラス基板を用いた場合に、ガラス基板中のアルカリ成分が拡散し、凸状構造物や、被覆層内の散乱物質等の特性に影響を与えことを防止するためである。バリア層としては、酸化珪素膜や窒化珪素膜、酸化インジウム膜等のように酸素、珪素の少なくともどちらか一方を含む薄膜が好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態を、図6を用いて説明する。図6に示すように、本実施形態は第1の実施形態において凸状構造物3内部に散乱物質5を備えたものである。この点について以下に説明する。
散乱物質としては、気泡、析出結晶、ベース材とは異なる材料粒子、分相ガラスを挙げることができる。ここで、気泡とは、空気もしくはガスがベース材中に分散して存在しているものをいう。また、粒子とは固体の小さな物質をいい、例えばフィラーやセラミックスやガラスがある。また、分相ガラスとは、2種類以上のガラス層により構成されるガラスをいう。
散乱物質の具体的な添加方法について以下に説明する。
まず、散乱物質として気泡を用いた場合を説明する。凸状構造物をフリットペースト法により形成する際、その焼成条件を調整することによって、その凸状構造物内に気泡からなる散乱物質を含有させることができる。具体的には、基板上に配置したガラス粒子を加熱していくと、まず、ガラスの粒子同士が融着し始める。ガラス粒子同士が融着すると、ガラス粒子間に存在した隙間はガラスが軟化することで変形し、ガラス中に閉空間を形成する。更に温度を上げていくとガラスの軟化、流動が進み、前記閉空間は球形の気泡となる。また、隙間によるものだけではなく、加熱中に発生したガスも気泡となってガラス中に存在することがある。ガラスの粘度は、軟化温度で107.6ポアズ程度と高いため、気泡の大きさが数μm以下であれば浮上せず凸状構造物内に留まる。なお、ガラス最表面では、ガラスが軟化しているため、ガラス粒子の隙間に起因する凹みは平滑化されていく。従って、小さな気泡を発生させるように材料組成を調整するとともに、焼成条件を選択することによって、凸状構造物表面の平滑性、凸状構造物内の散乱物質の分布の程度を調整することができる。
次に、散乱物質として析出結晶を用いた場合を説明する。これは、凸状構造物を作製する際に結晶化しやすいガラスを原料として用いることによって、凸状構造物内部に結晶を析出させる方法である。このときの結晶のサイズが0.1μm以上であれば、散乱物質として機能することができる。このため、焼成条件を適切に選択することによって、構造物表面での結晶の析出を抑制しつつも、その内部に結晶を析出させることが可能となる。具体的にはガラス転移温度よりも60℃〜100℃程度高い温度で焼成することが考えられる。温度が高すぎる場合には、凸状構造物の最表面でも結晶が析出してしまい、最表面の平滑性が損なわれてしまうため好ましくない。従って、焼成温度はガラス転移温度よりも60〜80℃高くすることがより好ましく、60〜70℃とすることが更に好ましい。このような手法により、ガラス相中に、気泡や析出結晶を散乱物質として存在させつつも、凸状構造物の最表面ではそれらの発生を抑制することができる。
また、ベース材とは異なる材料粒子等を散乱物質として用いる場合には、凸状構造物の原料中にこれらの材料を予め添加し、形成することによって、散乱物質を有する凸状構造物を形成することができる。材料としては、目的とする散乱の程度等に応じて、所定の粒径、屈折率を有するものであれば足り、限定されるものではない。例えば、酸化物、酸窒化物、窒化物、硫化物、酸硫化物、ハロゲン化物、アルミン酸塩化物、ハロリン酸塩化物などの無機蛍光体粉末等、あるいはガラス粉末を散乱物質として好ましく使用できる。
散乱物質は図7に示すように、被覆層内部に含有させることもできる。ただし、透光性電極層と接している被覆層中に添加する場合、その表面からは散乱物質が突出していることは好ましくない。つまり、散乱物質は、被覆層内部に存在し、かつ透光性電極層と接する被覆層の表面には存在しないことが好ましい。これは、被覆層表面から散乱物質が突出していると、その上面に透光性電極層を形成した時に電極間の短絡を生じる恐れがあるためである。また、被覆層表面が平滑でないと、平坦な透光性電極層が作製することができないためでもある。
さらに、いずれに添加する場合でも、散乱物質は、ベース材の屈折率との差(Δn)が、少なくとも発光層の発光スペクトル範囲における一部分において0.05以上になるように選択することが好ましい。特に、十分な散乱特性を得るために、屈折率の差(Δn)は、発光スペクトル範囲全域(430nm〜650nm)若しくは可視光の波長範囲全域(360nm〜830nm)に亘って0.05以上であることがより好ましい。また、散乱物質の粒径は0.05μm以上3μm以下であることが好ましい。粒径が0.05μm未満であると散乱の波長依存性が大きくなり、色味の制御が難しくなる。粒径が3μmより大きいと散乱の効果が弱くなるとともに、被覆層表面を平滑にすることが難しくなる。また、散乱物質の濃度は50体積%以下であることが好ましい。50体積%より多いと、被覆層表面を平滑にすることが難しくなる。
ここでは、凸状構造物内部、または、被覆層内部に散乱物質を含む場合について説明してきたが、散乱物質は、凸状構造物内部、および、被覆層内部に同時に含むこともできる。
以上、実施の形態を挙げながら本発明の構成について説明を行った。
本発明の電子デバイス用基板は、透光性電極層上にさらに発光層、電極を配置することにより、有機LED素子、無機EL素子等の発光素子とすることができる。これら、本発明の電子デバイス用基板を用いた発光素子は、発光層からの光取り出し効率が高く、輝度の高いデバイスとすることが可能となる。また、生産性が高いため、コストを低減することも可能となる。
以下に具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、凸状構造物3の高さと光取り出し効率の関係についてシミュレーションを行った。
具体的には、図8に示したモデルを用いてシミュレーションを行った。図8の上図はシミュレーションに用いたモデルの断面図を示しており、モデルに用いた有機LED素子は透光性基板4上に、凸状構造物3、被覆層2、透光性電極層1、有機層(発光層)6、反射電極7を備えている。
そして、図8下図に凸状構造物3の斜視図を示す。この図にあるように、凸状構造物3は底面が二等辺三角形の三角柱であり、これを側面の一つが透光性基板と接するようにして、並列に複数個配置している。ここで、隣り合う三角柱は一定間隔をおいて配置されており、その部分において被覆層2が透光性基板4に接触している。
本実施例においては、各凸状構造物3の高さaを変化させた際の光取り出し効率の変化をシミュレーションした。なお、各凸状構造物3の幅、すなわち、図8下図中のbは200μmに固定しているため、斜面の角度cも高さaに合わせて変化することとなる。隣り合う三角柱同士の間隔、すなわち、図8下図中のdは10μmとした。
ここで、凸状構造物3と透光性基板4の屈折率は1.54とした。被覆層2の屈折率は2.00とし、凸状構造物3の上端から15μm上までの領域を埋めて平坦化するものとした。さらに、透光性電極層1の屈折率は2.00とし、有機層(発光層)の屈折率は2.00とした。計算は、有機層からの発光波長を550nmとし、光束1000lmを10万本の光線に分割して行った。
結果を表1に示す。なお、表1中には、参照例として高さが0μm、1.75μm、3.49μm、100μmの場合も併せて示した。なお、表中の「光取り出し効率(%)」とは、有機層からの発光のうち外部へ取り出すことのできる光の割合を%で示したものである。これは、表2、表3においても同様である。
Figure 2013025900
これによれば、参照例として示した0μm、1.75μm、3.49μmの場合、光取り出し効率が25%程度に過ぎず、高さを変化させても、光取り出し効率にはほとんど変化がみられない。これに対して、8.75μm〜83.91μmでは、高さの増加に伴い光取り出し効率が向上することが分かる。ただし、参照例として示すように、高さを100μmにすると、光取り出し効率は低下する。以上のように、凸状構造物の高さを本発明の範囲内にすることにより、高い光取り出し効率が得られる。
実施例2においては、被覆層2内部に粒径0.4μm、屈折率が1.7の散乱物質を濃度が0.4vol%になるように添加した点以外は、実施例1と同様の条件でシミュレーションを行った。結果を表2に示す。ここでも参照例として、高さを100μmとした場合も併せて示す。
Figure 2013025900
これによると被覆層2内に散乱物質を添加することによって、光取り出し効率を更に高めることが可能であることが分かる。また、凸状構造物の高さと光取り出し効率の関係についても、実施例1と同様の傾向を示すことがわかる。従って、この場合も凸状構造物の高さを本発明の範囲内にすることによって、高い光取り出し効率が得られることが分かる。
本実施例においては、被覆層2内部に粒径が1μm、屈折率が1.95の散乱物質を濃度が42vol%になるように添加した点以外は、実施例1と同様にシミュレーションを行った。結果を表3に示す。ここでも参照例として高さを100μmとした場合も併せて示す。
Figure 2013025900
本実施例においては、散乱物質の添加量を実施例2の場合よりも更に増やしたものであり、光取り出し効率が更に向上していることが分かる。また、凸状構造物の高さと光取り出し効率の関係についても、実施例1、2と同様の傾向を示した。つまり、この結果からも凸状構造物の高さを本発明の範囲内にすることによって、高い光取り出し効率が得られることが分かる。
1 透光性電極層
2 被覆層
3 凸状構造物
4 透光性基板
5 散乱物質

Claims (4)

  1. 透光性基板と、
    前記透光性基板上に少なくとも1つ設けられており、その高さが5μm以上100μm未満である凸状構造物と、
    前記透光性基板、および、前記凸状構造物を覆う被覆層と、
    前記被覆層上に設けられた透光性電極層とが積層され、
    前記被覆層の屈折率は、前記透光性基板、および、前記凸状構造物の屈折率よりも高いことを特徴とする電子デバイス用基板。
  2. 前記凸状構造物内部、および/または、前記被覆層内部に散乱物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス用基板。
  3. 前記凸状構造物、および/または、前記被覆層がフリットペースト法によって作製されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子デバイス用基板。
  4. 請求項1乃至3いずれか1項に記載の電子デバイス用基板を用いたことを特徴とする有機LED素子。
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