JP2013020715A - 非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い電圧まで充電した場合でも酸素ガスの発生がなく、かつ、放電容量が大きく、特に、充電時の正極最大電位が4.4(vs.Li/Li)より低い場合でも放電容量が大きくなる正極活物質、その正極活物質を使用した非水電解質二次電池及び製造方法を提供する。
【解決手段】正極活物質がLi、並びにCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素で構成され、全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40で、かつ、正極の最大到達電位が4.5〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲の電位まで充電を行ったときに、酸素ガスが発生しない非水電解質二次電池。又、非水電解質二次電池の製造方法において、初期充放電における充電を、前記リチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスを発生させないで、かつ、正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)以上4.6V(vs.Li/Li)未満の範囲にある電位まで行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極活物質、その正極活物質を用いた非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法に関する。
従来、リチウム二次電池には、正極活物質として主にLiCoOが用いられている。しかし、LiCoOを正極活物質として用いたリチウム二次電池は、放電容量が120〜130mAh/g程度しかなく、充電状態における電池内での熱的安定性も劣るものであった。
そこで、リチウム二次電池用活物質として、LiCoOを他の化合物と固溶体を形成させた材料が知られている。即ち、リチウム二次電池用活物質として、LiCoO、LiNiO及びLiMnOをそれぞれ3つの成分として配置した三元系状態図上に示されるα−NaFeO型結晶構造を有する固溶体であるLi[Co1−2xNiMn]O(0<x≦1/2)が2001年に発表された。前記固溶体の一例であるLiNi1/2Mn1/2やLiCo1/3Ni1/3Mn1/3を活物質として用いたリチウム二次電池は、放電容量が150〜180mAh/gとLiCoOよりも優れ、充電状態における電池内での熱的安定性の点でもLiCoOより優れている。
しかし、放電容量がさらに大きいリチウム二次電池用活物質が求められていた。そこで、Li及び遷移金属元素(Co、Ni、Mnなど)で構成されたリチウム遷移金属複合酸化物について、リチウム過剰遷移金属複合酸化物とすることにより放電容量を大きくした活物質が開発された。ところが、このような活物質は、充電時に酸素ガスを発生するという問題があった(例えば、特許文献1、2、非特許文献1、2参照)。
特許文献1には、「充電区間の中にガスが発生するプラトー電位を有する電極活物質を前記プラトー電位以上まで充電する段階と;及び、ガスを除去する段階を含むことを特徴とする、電気化学素子の製造方法。」(請求項1)、「前記電極活物質は、プラトー電位が4.4〜4.8Vであることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の製造方法。」(請求項4)、「前記ガスは、酸素(O)ガスであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。」(請求項5)、「充電区間の中にガスが発生するプラトー電位を有する電極活物質を、前記プラトー電位以上まで充電した後、ガス除去を行うことを特徴とする、電気化学素子。」(請求項6)、「前記電極活物質は、プラトー電位が4.4〜4.8Vであることを特徴とする、請求項6に記載の電気化学素子。」(請求項7)、「前記プラトー電位以上まで充電し、ガスを除去した後、前記電極活物質の放電容量が3.0〜4.4Vの電圧範囲で100〜280mAh/g範囲になることを特徴とする、請求項8に記載の電気化学素子。」(請求項10)の発明が記載されている。
また、上記の電極活物質として、化学式1「XLi(Li1/32/3)O+YLiM'Oの固溶体 式中、M=4+の酸化数を有する金属から選択された1種以上の元素、M'=遷移金属から選択された1種以上の元素、0<X<1、0<Y<1、X+Y=1である。」(請求項2、請求項8、段落[0024])を使用した場合、「M'の酸化還元電位以上に充電される場合、Liが離脱されながら、酸化還元バランスを取るために酸素も離脱される。よって、電極活物質はプラトー電位を有することになる。」(段落[0025])、「上記の化学式1の化合物は、プラトー電位以上の充電電圧(4.4〜4.8V)に充電した後、ガス除去工程を行ってからも、充放電サイクルで電極活物質として安定的であるため、好ましい。」(段落[0026])、「好ましくは、MはMn、Sn、Ti金属から選択された1種以上の元素であり、M'はNi、Mn、Co、Cr金属から選択された1種以上の元素である。」(段落[0027])と記載されている。
さらに、特許文献1には、「本発明によりプラトー電位以上に1回以上充電した後、ガス除去工程を行う方式により電池を構成すれば、継続的にプラトー電位以上に充電しても、高容量の電池を構成すると共に、ガス発生による電池の問題点も解決できる。すなわち、プラトー電位以上に充電した後、以後のサイクルの充電からはガスが発生せず、プラトー区間はなくなる(図4参照)」。」(段落[0022])と記載され、また、実施例4として、Li(Li0.2Ni0.2Mn0.6)O(3/5[Li(Li1/3Mn2/3)O]+2/5[LiNi1/2Mn1/2]O)を正極活物質として使用(段落[0048])して、「1番目サイクルでは4.8Vまで充電し、2番目サイクルでは4.4Vまで充電した」(段落[0060])場合には、高容量の電池が得られること(図5参照)が示されている。しかし、比較例5や比較例6のように、プラトー電位以下である4.25V、4.4Vまで充電した場合には、酸素ガスが発生しないことが示唆されているものの、放電容量が低い電池しか得られないものである (段落[0056]、図1、段落[0057]、図2)から、プラトー電位以上の高い電圧まで充電した場合でも酸素ガスが発生しないような正極活物質が示されているとはいえない。
非特許文献1及び2には、Li[NiLi(1/3−2x/3)Mn(2/3−x/3)]Oを正極活物質として用いた場合、プラトー電位以上の充電電圧(4.5〜4.7V)において、酸素ガスの放出が起きることが示されている(非特許文献1のA818頁左欄4行〜右欄第2行、非特許文献2のA785左欄9行〜A788右欄4行)が、プラトー電位以上の高い電圧まで充電した場合に酸素ガスが発生しないことは示されていない。
特許文献2には、「集電体にリチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質層を設けた正極板と負極板とをセパレータを介して巻回または積層して電極群を構成し非水電解質とともにケースに封入してなる非水系二次電池であって、前記正極板に、Li/Li+基準で4.3V以下で充電する活物質と過充電時に酸素ガスを発生する物質を存在させたリチウムイオン二次電池。」(請求項1)、「前記過充電時に酸素ガスを発生する物質として、Li[(Ni0.5Mn0.5xCoy(Li1/3Mn1/3z]O2(ただし、x+y+z=1 z>0 )またはLiαNiβMnγO2(αが1.1以上でβ:γ=1:1)で示される活物質を用いた請求項1記載のリチウムイオン二次電池。」(請求項2)の発明が記載され、また、リチウム過剰遷移金属複合酸化物(実施例1〜3及び7:Li1.2Ni0.4Mn0.42、実施例4〜6:Li[(Ni0.5Mn0.51/12Co1/4(Li1/3Mn2/3)1/3]O2(x=5/12、y=1/4、z=1/3のとき))は、リチウム過剰でないリチウム遷移金属複合酸化物(比較例1:LiCoO2、比較例2:LiNi0.5Mn0.52、比較例3:Li(N1/3Mn1/3Co1/3)O2)と比較して、過充電時に酸素ガスが発生し易いこと(段落[0064])が記載され、特許文献2に記載された発明おいては、逆に、リチウム過剰遷移金属複合酸化物の上記のような性質を利用して、「過充電時にガス発生により、正極活物質層と集電体間、または、正極極板とセパレータ間、または、正極層内が離れるため、充電を遮断し、電解液の分解、正極活物質の分解、また、負極側へのLi析出による短絡を防ぐことができる」こと(段落[0010])が記載されている。
さらに、特許文献2には、「本発明のリチウムイオン二次電池では、過充電時に酸素ガスを発生する正極活物質として、リチウム過剰正極活物質Li[(Ni0.5Mn0.5xCoy(Li1/3Mn1/3z]O2(ただし、x+y+z=1 z>0 )またはLiαNiβMnγO2(αが1.1以上でβ:γ=1:1)で示される活物質を用いることが好ましい。上記活物質を用いれば、Li/Li+基準において4.5V程度で、酸素ガスの発生が起こることにより、正極と負極の極間を広げることが可能となる。」と記載されているから、4.5V以上まで充電したときに、酸素ガスが発生しない正極活物質は示されていない。
特許文献3には、充電時の正極の最大到達電位が4.3V(vs.Li/Li+)以下である充電方法が採用されるリチウム二次電池を製造するための製造方法が示され、正極活物質としてリチウム過剰遷移金属複合酸化物を使用したリチウム二次電池について、4.3V(vs.Li/Li+)を超え4.8V(vs.Li/Li+)以下の正極電位範囲に充電電気量に対して出現する電位変化が比較的平坦な領域に少なくとも至る充電を行う工程を含む製造方法を採用することにより、放電容量が大きく、特に4.3V以下の電位領域における放電容量が大きいリチウム二次電池が得られることが示されている(請求項10、段落[0062]〜[0065]、図9)が、正極電位範囲に充電電気量に対して出現する電位変化が比較的平坦な領域(プラトー電位)以上の高い電圧まで充電した場合でも、正極活物質から酸素ガスが発生しないことは示されていない。
また、特許文献3の実施例においては、溶液中でCo、Ni及びMnを含有する化合物を共沈させて前駆体を製造する工程におけるpHが11.5であり、リチウム遷移金属複合酸化物の焼成温度が1000℃である。
一方、正極活物質から発生する酸素ガスは、非水電解質二次電池(リチウム二次電池)の電解質を構成する溶媒の酸化、電池の加熱等の不具合を生じるため、過充電時や高温時に酸素ガス発生が抑制された非水電解質二次電池用正極(正極活物質)も開発されている(例えば、特許文献4及び5参照)。
特許文献4に記載された発明は、請求項1において、リチウム含有複合酸化物(リチウム遷移金属複合酸化物)の酸素ガスの発生のしにくさが「前記複合酸化物のガスクロマトグラフ質量分析測定における酸素発生ピークの極大値」で「330〜370℃の範囲」と規定され、「GC/MS測定において、正極合剤を室温から500℃まで10℃/分で昇温し、酸素発生挙動を観測した。ここで得られた酸素発生スペクトル(A)を図3に示す。図3から明らかなように、スペクトル(A)において、酸素発生ピークの極大値は、350℃より高温側に位置している。このことから、本発明の正極活物質は、電池電圧4.7Vの過充電領域において高温に暴露されても、酸素を発生しながら分解しにくい、極めて安定性に優れたものであることが判る。」(段落[0041])と記載されている。
しかし、特許文献4には、「一般式:LiCo1−x−yMgで表され、前記一般式に含まれる元素Mは、Al、Ti、Sr、Mn、NiおよびCaよりなる群から選択される少なくとも1種であり、前記一般式に含まれるx、yおよびzは、(イ)0≦z≦1.03、(ロ)0.005≦x≦0.1、および(ハ)0.001≦y≦0.03を満たす」正極活物質が具体的に記載されている(請求項2及び3)だけであり、過充電領域において酸素ガスを発生しないリチウム過剰遷移金属複合酸化物は示されていない。
特許文献5には、正極活物質に酸素貯蔵材を混合したり付着させたりすることにより、正極からの高温時等における酸素の放出を抑制することが示され(請求項1、段落[0005]、[0056])、「酸素貯蔵材としてCe酸化物又はCe−Zr酸化物を有する正極(サンプル1〜4)の酸素脱離ピーク温度はいずれも300℃以上であり、酸素貯蔵材を有しないサンプル5に対してピーク温度が大幅に上昇した。このことは、サンプル1〜4では、サンプル5に比べて、正極から酸素が放出される現象がより良く(より高い温度域に至るまで)抑制されていることを示している。」(段落[0057])と記載されているが、高温時等に酸素ガスが発生しない正極活物質(リチウム遷移金属複合酸化物)は示されていない。
特開2009−505367号公報 特開2008−226693号公報 特開2010−86690号公報 特開2004−220952号公報 特開2006−114256号公報
Journal of The Electrochemical Society,149(7)A815−A822(2002) Journal of The Electrochemical Society,149(6)A778−A791(2002)
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、高い電圧まで充電した場合でも、リチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスを発生することがなく、かつ、放電容量が大きく、特に、充電時の正極の最大到達電位が4.4(vs.Li/Li)より低くなるような、例えば、4.3V(vs.Li/Li)以下となるような充電方法を採用した場合でも放電容量が大きくなる正極活物質を提供すること、また、その正極活物質を使用した非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法を提供することを課題とする。
本発明においては、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
(1)リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用正極活物質において、前記リチウム遷移金属複合酸化物が、Li、並びにCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素で構成され、その全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40であり、かつ、正極の最大到達電位が4.5〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲にあるいずれかの電位までの充電を行ったときに、前記リチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスが発生しないことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
(2)リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用正極活物質において、前記リチウム遷移金属複合酸化物が、Li、並びにCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素で構成され、その全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40であり、かつ、正極の最大到達電位が4.55〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲にあるいずれかの電位までの充電を行ったときに、前記リチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスが発生しないことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
(3)前記充電が、初期充放電における充電であることを特徴とする前記(1)又は(2)の非水電解質二次電池用正極活物質。
(4)前記正極活物質が、充電区間の中にプラトー電位を有し、前記4.5〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲にあるいずれかの電位は、前記プラトー電位以上であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項の非水電解質二次電池用正極活物質。
(5)1000℃未満で焼成したことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項の非水電解質二次電池用正極活物質。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項の正極活物質を備えた非水電解質二次電池。
(7)使用時において、充電時の正極の最大到達電位が4.4V(vs.Li/Li)未満である充電方法が採用されることを特徴とする前記(6)の非水電解質二次電池。
(8)リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を使用し、初期充放電を含む工程を行うリチウム二次電池の製造方法において、前記リチウム遷移金属複合酸化物として、Li、並びにCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素で構成され、その全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40であるリチウム遷移金属複合酸化物を使用し、前記初期充放電における充電を、前記リチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスを発生させないで、かつ、正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)以上4.6V(vs.Li/Li)未満の範囲にあるいずれかの電位まで行うことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
(9)前記正極活物質が、充電区間の中にプラトー電位を有し、前記正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)以上4.6V(vs.Li/Li)未満の範囲にあるいずれかの電位は、前記プラトー電位以上であることを特徴とする前記(8)の非水電解質二次電池の製造方法。
本発明によれば、高い電圧で充電した場合でも酸素ガスを発生することがないリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を備えた放電容量が大きい非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明の一実施形態を示す図であって、角形リチウム二次電池の縦断面図である。 実施例における電池1の初期充放電工程時の電位挙動を示す図である。 実施例における電池2の初期充放電工程時の電位挙動を示す図である。 実施例における電池3の初期充放電工程時の電位挙動を示す図である。 実施例における電池4の初期充放電工程時の電位挙動を示す図である。
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を含むものであり、そのリチウム遷移金属複合酸化物は、Li、並びにCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素で構成され、その全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40である。
なお、非水電解質二次電池としては、リチウム二次電池が典型的なものであるから、以下においては、リチウム二次電池について説明する。
全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25よりも小さい、又は1.40よりも大きいと、放電容量が小さくなるので、放電容量が大きいリチウム二次電池を得るために、Li/Meは1.25〜1.40とする。Li/Meは1.250〜1.350が好ましい。
本発明の正極活物質として使用するリチウム遷移金属複合酸化物は、一般式LiCoNiMn(a+x+y+z=2)で表され、全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Me、すなわち、a/(x+y+z)が1.25〜1.40である。
また、全遷移金属元素Meに対するCoのモル比Co/Meが0.020よりも小さい、又は0.230よりも大きい場合、全遷移金属元素Meに対するMnのモル比Mn/Meが0.625よりも小さい、又は0.719よりも大きい場合には、放電容量が小さくなる傾向があるので、放電容量が大きいリチウム二次電池を得るためには、Co/Meを0.020〜0.230、すなわち、x/(x+y+z)を0.020〜0.230とすること、Mn/Me、すなわち、z/(x+y+z)を0.625〜0.719とすることが好ましい。
本発明の正極活物質は、正極の最大到達電位が4.5〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲にあるいずれかの電位までの充電を行ったときに、上述したリチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスが発生しないことを特徴とする。従来の正極活物質は、特許文献1、2、非特許文献1、2に示されるように、リチウム遷移金属複合酸化物がリチウム過剰遷移金属複合酸化物の場合、正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)程度で、この複合酸化物から酸素ガスが発生するものであるから、本発明の正極活物質は、従来の正極活物質とは全く異なるものであるといえる。本発明においては、後述する実施例のように、正極の最大到達電位が4.5V、4.55V、4.6V(vs.Li/Li)の各電位までの充電を行ったときに、前記リチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスが発生しないことを確認した。
本発明において、「酸素ガスが発生しない」とは、酸素ガスが実質的に発生しないことを意味し、具体的には、本発明の組成を有する正極活物質を含む密閉型電池を作製し、4.5〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲にあるいずれかの電位までの充電を行い、2.0V(vs.Li/Li)までの放電を行った後、電池を解体し、電池内から放出されたガスをガスクロマトグラフィーを用いて分析した場合に、酸素と窒素の体積比率が大気成分(O/(N+O)=0.21)と変わらないこと(測定誤差:±5%)、すなわち、酸素ガスの発生量が、検出限界以下であることを意味する。なお、電池の充放電は、常温(25℃)で行い、極端に加熱された状態で行うものではない。
上記のように、正極の最大到達電位が4.5〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲にあれば、いずれの電位まで充電を行っても酸素ガスを発生することはないが、この充電を、リチウム二次電池の製造工程において、初期化成(初期充放電)における充電として行う場合には、正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)を超え4.6V(vs.Li/Li)未満の範囲にあるいずれかの電位まで行うことが好ましく、4.55V、又は、これに近い電位とすることがより好ましい。
正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)以下では、4.3V(vs.Li/Li)以下の放電領域において放電可能な電気量が小さくなり、また、正極の最大到達電位を4.6V(vs.Li/Li)以上にすると、放電容量は大きくなるが、電解液の分解によるガスの発生する量が多くなり、電池の性能が低下するため好ましくない。
後述する実施例のように、初期充放電(初回充放電)における充電として、正極の最大到達電位が4.55V(vs.Li/Li)までの充電を行ったときに、酸素ガスを発生させることなく、リチウム二次電池を製造することができ、また、このようにして製造したリチウム二次電池は、使用時に、充電時の正極の最大到達電位が4.3V(vs.Li/Li)である充電方法を採用した場合に、大きな放電容量を得ることができる。
また、本発明における正極活物質は、充電区間の中にプラトー電位を有するものであり、4.5〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲にあるいずれかの電位は、プラトー電位以上である。ここで、プラトー電位とは、特許文献3の図9に示されているような「正極電位範囲に充電電気量に対して出現する電位変化が比較的平坦な領域」を意味し、特許文献1に記載されているプラトー電位と同様の意味である。
本発明は、全遷移金属元素Me(Co、Ni及びMn)に対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40であるリチウム遷移金属複合酸化物を含み、充電区間の中にプラトー電位を有する正極活物質を使用したリチウム二次電池の初期充放電(初回充放電)における充電を、プラトー電位以上で行った場合でも、リチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスが実質的に発生しないことを特徴とする。
本発明のリチウム遷移金属複合酸化物は、上記のような一般式で表されるものであり、本質的に、Li、Co、Ni及びMnからなる複合酸化物であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、少量のNa,Ca等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、Fe,Zn等の3d遷移金属に代表される遷移金属など他の金属を含有することを排除するものではない。
また、本発明のリチウム遷移金属複合酸化物は、本質的に、結晶構造が六方晶に帰属される。空間群としてはP312又はR3−mに帰属可能である。ここで、P312は、R3−mにおける3a、3b、6cサイトの原子位置を細分化した結晶構造モデルであり、R3−mにおける原子配置に秩序性が認められるときに該P312モデルが採用される。なお、「R3−m」は本来「R3m」の「3」の上にバー「−」を施して表記すべきものである。
次に、本発明のリチウム二次電池用活物質を製造する方法について説明する。
本発明のリチウム二次電池用活物質は、基本的に、活物質を構成する金属元素(Li,Mn,Co,Ni)を目的とする活物質(酸化物)の組成通りに含有する原料を調整し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を作製するにあたり、Li,Co,Ni,Mnのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめCo,Ni,Mnを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはCo,Niに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnなど)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。そこで、後述する実施例においては、「共沈法」を採用した。
共沈前駆体を作製するにあたって、Co,Ni,MnのうちMnは酸化されやすく、Co,Ni,Mnが2価の状態で均一に分布した共沈前駆体を作製することが容易ではないため、Co,Ni,Mnの原子レベルでの均一な混合は不十分なものとなりやすい。特に実施例の組成範囲においては、Mn比率がCo,Ni比率に比べて高いので、水溶液中の溶存酸素を除去することが特に重要である。溶存酸素を除去する方法としては、酸素を含まないガスをバブリングする方法が挙げられる。酸素を含まないガスとしては、限定されるものではないが、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素(CO)等を用いることができる。なかでも、後述する実施例のように、共沈炭酸塩前駆体を作製する場合には、酸素を含まないガスとして二酸化炭素を採用すると、炭酸塩がより生成しやすい環境が与えられるため、好ましい。
また、溶液中でCo、Ni及びMnを含有する化合物を共沈させて前駆体を製造する工程におけるpHを制御することが好ましい。前記共沈前駆体を共沈炭酸塩前駆体として作製しようとする場合には、pHを9.4以下とすることにより、タップ密度を1.25g/cc以上とすることができ、高率放電特性を向上させることができる。pHは、8.5〜9.4であることが好ましい。
前記共沈前駆体の作製は、MnとNiとCoとが均一に混合された化合物であることが好ましい。ただし前駆体は炭酸塩に限定されるものではなく、他にも水酸化物、クエン酸塩などの元素が原子レベルで均一に存在した難溶性塩であれば炭酸塩と同様に使用することができる。また、錯化剤を用いた晶析反応等を用いることによって、より嵩密度の大きな前駆体を作製することもできる。その際、Li源と混合・焼成することでより高密度の活物質を得ることができるので電極面積あたりのエネルギー密度を向上させることができる。
前記共沈前駆体の原料は、Mn化合物としては酸化マンガン、炭酸マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガン等を、Ni化合物としては、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル等を、Co化合物としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト等を一例として挙げることができる。
前記共沈前駆体の作製に用いる原料としては、アルカリ水溶液と沈殿反応を形成するものであればどのような形態のものでも使用することができるが、好ましくは溶解度の高い金属塩を用いるとよい。
本発明におけるリチウム二次電池用活物質は前記共沈前駆体とLi化合物とを混合した後、熱処理することで好適に作製することができる。Li化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム等を用いることで好適に製造することができる。
可逆容量の大きな活物質を得るにあたって、焼成温度の選択は極めて重要である。
焼成温度が高すぎると、得られた活物質が酸素放出反応を伴って崩壊すると共に、主相の六方晶に加えて単斜晶のLi[Li1/3Mn2/3]O型に規定される相が、固溶相としてではなく、分相して観察される傾向があり、このような材料は、活物質の可逆容量が大きく減少するので好ましくない。このような材料では、X線回折図上35°付近及び45°付近に不純物ピークが観察される。従って、焼成温度は、活物質の酸素放出反応の影響する温度未満とすることが重要である。活物質の酸素放出温度は、本発明に係る組成範囲においては、概ね1000℃以上であるが、活物質の組成によって酸素放出温度に若干の差があるので、あらかじめ活物質の酸素放出温度を確認しておくことが好ましい。特に試料に含まれるCo量が多いほど前駆体の酸素放出温度は低温側にシフトすることが確認されているので注意が必要である。活物質の酸素放出温度を確認する方法としては、焼成反応過程をシミュレートするために、共沈前駆体とLiCOを混合したものを熱重量分析(DTA−TG測定)に供してもよいが、この方法では測定機器の試料室に用いている白金が揮発したLi成分により腐食されて機器を痛めるおそれがあるので、あらかじめ500℃程度の焼成温度を採用してある程度結晶化を進行させた組成物を熱重量分析に供するのが良い。
一方、焼成温度が低すぎると、結晶化が十分に進まず、電極特性も大きく低下するので好ましくない。焼成温度は少なくとも800℃以上とすることが必要である。十分に結晶化させることは結晶粒界の抵抗を軽減し、円滑なリチウムイオン輸送を促すために重要である。結晶化の度合いの見極め方として走査型電子顕微鏡を用いた視覚的な観察が挙げられる。本発明の正極活物質について走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、試料合成温度が800℃以下ではナノオーダーの一次粒子から形成されているものであったが、さらに試料合成温度を上昇させることでサブミクロン程度まで結晶化するものであり、電極特性向上につながる大きな一次粒子を得られるものであった。
また、発明者らは、本発明活物質の回折ピークの半値幅を詳細に解析することで800℃までの温度で合成した試料においては格子内にひずみが残存しており、それ以上の温度で合成することでほとんどひずみを除去することができることを確認した。また、結晶子のサイズは合成温度が上昇するに比例して大きくなるものであった。よって、本発明活物質の組成においても、系内に格子のひずみがほとんどなく、かつ結晶子サイズが十分成長した粒子を志向することで良好な放電容量を得られるものであった。具体的には、格子定数に及ぼすひずみ量が2%以下、かつ結晶子サイズが100nm以上に成長しているような合成温度(焼成温度)を採用することが好ましいことがわかった。これらを電極として成型して充放電を行うことで膨張収縮による変化も見られるが、充放電過程においても結晶子サイズは50nm以上を保っていることが得られる効果として好ましい。即ち、焼成温度を上記した活物質の酸素放出温度にできるだけ近付けるように選択することにより、はじめて、可逆容量が顕著に大きい活物質を得ることができる。
上記のように、好ましい焼成温度は、活物質の酸素放出温度により異なるから、一概に焼成温度の好ましい範囲を設定することは難しいが、本発明においては、焼成温度を1000℃未満とすることが好ましく、800〜940℃とすることがより好ましい。1000℃未満で焼成することにより、BET比表面積が大きくなり、初期充放電効率が向上する。
本発明に係るリチウム二次電池に用いる非水電解質は、限定されるものではなく、一般にリチウム電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
非水電解質に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO4,LiBF4,LiAsF6,LiPF6,LiSCN,LiBr,LiI,Li2SO4,Li210Cl10,NaClO4,NaI,NaSCN,NaBr,KClO4,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCF3SO3,LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,LiN(CF3SO2)(C49SO2),LiC(CF3SO23,LiC(C25SO23,(CH34NBF4,(CH34NBr,(C254NClO4,(C254NI,(C374NBr,(n−C494NClO4,(n−C494NI,(C254N−maleate,(C254N−benzoate,(C254N−phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
さらに、LiBF4とLiN(C25SO22のようなパーフルオロアルキル基を有す
るリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、また、自己放電を抑制することができ、より望ましい。
また、非水電解質として常温溶融塩やイオン液体を用いてもよい。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5mol/lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/l〜2.5mol/lである。
負極材料としては、限定されるものではなく、リチウムイオンを析出あるいは吸蔵することのできる形態のものであればどれを選択してもよい。例えば、Li[Li1/3Ti5/3]Oに代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb,Sn系などの合金系材料リチウム金属、リチウム合金(リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化珪素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。
正極活物質の粉体および負極材料の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望ましい。特に、正極活物質の粉体は、非水電解質電池の高出力特性を向上する目的で10μm以下であることが望ましい。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
以上、正極及び負極の主要構成成分である正極活物質及び負極材料について詳述したが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して0.1重量%〜50重量%が好ましく、特に0.5重量%〜30重量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
正極及び負極は、前記主要構成成分(正極においては正極活物質、負極においては負極材料)、およびその他の材料を混練し合剤とし、N−メチルピロリドン,トルエン等の有機溶媒に混合させた後、得られた混合液を下記に詳述する集電体の上に塗布し、または圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
また、セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。
さらに、セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上するため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併用して加熱や紫外線(UV)を用いたり、電子線(EB)等の活性光線等を用いて架橋反応を行わせることが可能である。
リチウム二次電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
従来のリチウム二次電池においては、正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)以上に至る充電をして使用することが一般的に行われているが、本発明の活物質も、正極電位が4.5V(vs.Li/Li)付近に至って充放電が可能である。しかしながら、使用する非水電解質の種類によっては、充電時の正極電位が高すぎると、非水電解質が酸化分解され電池性能の低下を引き起こす虞がある。したがって、使用時において、充電時の正極の最大到達電位が4.3V(vs.Li/Li)以下となるような充電方法を採用しても、充分な放電容量が得られるリチウム二次電池が求められる場合がある。本発明の活物質を用いると、使用時において、充電時の正極の最大到達電位が4.4V(vs.Li/Li)より低くなるような、例えば、4.3V(vs.Li/Li)以下となるような充電方法を採用しても、197mAh/g以上という従来の正極活物質の容量を超える放電電気量を取り出すことが可能である。
本発明に係る正極活物質が、高い放電容量を備えたものとするためには、リチウム遷移金属複合酸化物を構成する遷移金属元素が層状岩塩型結晶構造の遷移金属サイト以外の部分に存在する割合が小さいものであることが好ましい。これは、焼成工程に供する前駆体において、Co,Ni,Mnといった遷移金属元素が十分に均一に分布していること、及び、活物質試料の結晶化を促すための適切な焼成工程の条件を選択することによって達成できる。焼成工程に供する前駆体中の遷移金属の分布が均一でない場合、十分な放電容量が得られないものとなる。この理由については必ずしも明らかではないが、焼成工程に供する前駆体中の遷移金属の分布が均一でない場合、得られるリチウム遷移金属複合酸化物は、層状岩塩型結晶構造の遷移金属サイト以外の部分、即ちリチウムサイトに遷移金属元素の一部が存在するものとなる、いわゆるカチオンミキシングが起こることに由来するものと本発明者らは推察している。同様の推察は焼成工程における結晶化過程においても適用でき、活物質試料の結晶化が不十分であると層状岩塩型結晶構造におけるカチオンミキシングが起こりやすくなる。前記遷移金属元素の分布の均一性が高いものは、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピークの強度比が大きいものとなる傾向がある。本発明において、X線回折測定による(003)面と(104)面の回折ピークの強度比は、I(003)/I(104)≧1.20であることが好ましく、I(003)/I(104)≧1.40であることがより好ましく、I(003)/I(104)≧1.50であることが特に好ましい。また、充放電を経た放電末の状態においてI(103)/I(104)>1であることが好ましい。前駆体の合成条件や合成手順が不適切である場合、前記ピーク強度比はより小さい値となり、しばしば1未満の値となる。
本願明細書に記載した合成条件及び合成手順を採用することにより、上記のような高性能の正極活物質を得ることができる。とりわけ、充電上限電位を4.4Vより低く設定した場合、例えば4.3Vといった充電上限電位を設定した場合でも高い放電容量を得ることができる非水電解質二次電池用正極活物質とすることができる。
(活物質の合成)
硫酸コバルト7水和物、硫酸ニッケル6水和物及び硫酸マンガン5水和物をCo、Ni及びMnのモル比が12.5:19.94:67.56となるよう秤量し、イオン交換水に溶解させることで2Mの硫酸塩水溶液を作製した。一方、15Lの反応槽を用意した。この反応層には、反応槽内部の液面が一定の高さを超えるとその排出口から溶液が排出されるように排出口が設けられている。また、反応槽内には、撹拌羽が備えられていると共に、攪拌時に上下方向の対流を生じさせるための円筒型の対流板が固定されている。前記反応槽に7Lのイオン交換水を入れ、COガスを30minバブリングさせることにより、前記イオン交換水中に前記COガスを十分溶解させた。なお、COガスバブリングは、硫酸塩水溶液を滴下し終わるまで継続した。次に、前記反応層を50℃に設定し、前記撹拌羽を1000rpmの回転速度で作動させた。前記反応槽中に2Lの硫酸塩水溶液を徐々に滴下した。滴下中、前記攪拌を継続した。また、反応槽中のpHを常時監視し、pHが8.6±0.2の範囲となるように、2Mの炭酸ナトリウム及び0.2Mのアンモニアが溶解している水溶液を加えた。前記硫酸塩水溶液を滴下している間、前記排出口から反応生成物を含む溶液一部が反応槽の外へ排出されるが、2Lの硫酸塩水溶液の全量を滴下し終わるまでの排出溶液は、反応槽内に戻さず、廃棄した。滴下終了後、反応生成物を含む溶液をから、吸引ろ過により共沈生成物を濾別し、付着したナトリウムイオンを除去するために、イオン交換水を用いて洗浄した。次に、大気雰囲気中、常圧下、オーブンで100℃にて乾燥させた。乾燥後、粒径を揃えるように、乳鉢で数分間粉砕した。このようにして、共沈炭酸塩前駆体の粉末を得た。
前記共沈炭酸塩前駆体に、炭酸リチウムを加え、Li:Me(Co,Ni,Mn)のモル比が1.3:1.0である混合粉体を調製した。ここで、炭酸リチウムは、Li量が化学量論比に対して3%過剰になるようにした。混合粉体を匣鉢に移し、焼成炉に設置した。焼成炉の温度を室温から900℃まで4hかけて昇温し、常圧下、900℃で10h焼成した。焼成炉の温度を常温に戻した後、焼成物を取り出し、粒径を揃える程度に乳鉢で粉砕した。上記のようにしてLi[Li1.13Co0.109Ni0.173Mn0.588]O(Li/Me比:1.30)を作製した。
(角形リチウム二次電池の作製)
図1は、本実施例に用いた角形リチウム二次電池の概略断面図である。この角形リチウム二次電池1は、アルミ箔集電体に正極活物質を含有する正極合剤層を有する正極板3と、銅箔集電体に負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極板4とがセパレータ5を介して巻回された扁平巻状電極群2と、電解質塩を含有した非水電解質とを備える発電要素を幅34mm高さ50mm厚み5.2mmの電池ケース6に収納してなるものである。
上記電池ケース6には、安全弁8を設けた電池蓋7がレーザー溶接によって取り付けられ、負極板4は負極リード11を介して負極端子9と接続され、正極板3は正極リード10を介して電池蓋と接続されている。
(正極板)
上記のようにして作製したLi[Li1.13Co0.109Ni0.173Mn0.588]Oを正極活物質として用いて、以下の手順で、角形リチウム二次電池を作製した。
N−メチルピロリドンを分散媒とし、前記正極活物質、アセチレンブラック(AB)及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)が質量比90:5:5の割合で混練分散されている正極ペーストを作製した。該正極ペーストを厚さ15μmのアルミニウム箔集電体の両方の面に塗布、乾燥した。次に、合剤充填密度が2.6g/ccとなるようにロールプレスすることによって正極板を作製した。
(負極板)
一方、イオン交換水を分散媒とし、負極活物質としてのグラファイト、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びスチレンブタジエンゴム(SBR)が質量比97:2:1の割合で混練分散されている負極ペーストを作製した。該負極ペーストを厚さ10μmの銅箔集電体の両方の面に塗布、乾燥した。次に、合剤充填密度が1.4g/ccとなるようにロールプレスすることによって負極板を作製した。
(電解液)
電解液として、エチレンカーボネート(EC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を体積比3:7で混合した混合溶媒に、濃度が1mol/lとなるようにLiPFを溶解させた溶液を用いた。
(セパレータ)
セパレータには、厚さ20μmのポリエチレン微多孔膜(旭化成製H6022)を用いた。
以上の手順にて作製された角形リチウム二次電池(電池1)を、以下の試験に供した。
(電池厚み測定)
作製後の角形リチウム二次電池の長側面の中心部を、長側面に対して垂直方向から(短側面側から水平方向に)ノギスで挟み込むようにして電池厚みを測定した。このときの測定値を「試験前の電池厚み(mm)」として記録した。
また、電池厚み測定については、下記放電容量試験後においても、上記と同じ要領で電池厚みを測定した。このときの測定値を「試験後の電池厚み(mm)」として記録した。
(放電容量試験)
まず、25℃にて、1サイクルの初期充放電(初回充放電)を実施した。ここで、充電は、電流0.2CA、電圧4.5Vの定電流定電圧充電とし、充電時間は8時間とし、放電は電流0.2CA、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。続いて、放電容量試験を行った。放電容量試験の条件は、充電電圧を4.2Vに変更したことを除いては前記初回充放電と同じ条件による1サイクルの充放電からなる。このときの放電電気量を「放電容量(mAh)」として記録した。
(ガス分析)
放電後の電池を流動パラフィン内において解体し、電池内から放出されたガスの全てを水上置換の要領で採取した。このガスを、カラムにMolecularSieve13XとPorapak Q(いずれもSPELCO製)を備えたガスクロマトグラフィー(HEWLETT PACKARD社製 HP5890シリーズII ガスクロマトグラフ)を用いてガス成分の分析を行った。
(電池2)
電池1と同じ手順で作製されたリチウム二次電池(電池2)を用いて、初回充放電における充電電圧を4.45Vにしたこと以外は電池1と同じように放電容量試験及びガス分析を実施した。
(電池3)
電池1と同じ手順で作製されたリチウム二次電池(電池3)を用いて、初回充放電における充電電圧を4.40Vにしたこと以外は電池1と同じように放電容量試験及びガス分析を実施した。
(電池4)
電池1と同じ手順で作製されたリチウム二次電池(電池4)を用いて、初回充放電における充電電圧を4.20Vにしたこと以外は電池1と同じように放電容量試験を実施した。
電池1、電池2、電池3及び電池4について、電池厚み測定の結果、放電容量試験の結果を表1に示す。
電池1、電池2及び電池3について、電池内のガス成分の分析結果を表2に示す。
表1及び表2から、以下のようなことが分かる。
電池1は、放電容量試験後に電池が膨れており、電池2及び電池3と比較してガス採取量(電池内のガス量に相当)が多いものの、酸素と窒素の体積比率(O/(N+O))は通常の大気成分と変化はなく、酸素が発生したとは考えられない。電池1では、COガス体積比率(CO/採取量)が増加していることから、電池膨れの原因は電解液の正極場酸化分解によるものと考えられる。
すなわち、電池電圧で4.50V〔正極電位で4.60V(vs.Li/Li)〕まで初期充放電(初回充放電)における充電を行っても、試験前と比較して酸素の体積比率に変化はなく、酸素ガスは発生していない。
電池の初回充放電における充電電圧を4.45V、4.40V〔正極電位で4.55V(vs.Li/Li)、4.50V(vs.Li/Li)〕にして試験を行った電池2、電池3では、4.50Vで充電した電池1よりも電池の膨れがなくなり、ガス採取量(電池内のガス量に相当)も減少した。また、酸素と窒素の比率(O/(N+O))に変化はなく、採取ガス中のCOガスの比率(CO/採取量)は正極電位の低下と連動するように減少している。
電池電圧で4.2V〔正極電位で4.3V(vs.Li/Li)〕充電時の放電容量については、正極の最大到達電位が4.60V(vs.Li/Li)、4.55V(vs.Li/Li)で初回充放電における充電を行った電池1、電池2では、同程度に大きいが、初回充放電における充電を4.50V(vs.Li/Li)で行った電池3ではやや小さくなり、さらに、4.30V(vs.Li/Li)で初回充放電における充電を行うと極めて小さくなる。したがって、本発明の正極活物質を使用し、初期充放電(初期化成)を含む工程を行ってリチウム二次電池を製造する場合、初期充放電における充電の正極の最大到達電位は4.5V以上とすることが好ましい。
電池1、電池2及び電池3の初期充放電工程時の電位挙動を示す図2〜図4からみて、本発明の正極活物質のプラトー電位は4.5V付近にあることが分かり、本発明の活物質は、充電区間の中にプラトー電位を有し、プラトー電位以上で酸素ガスが発生しないことが確認された。
しかし、充電時に酸素ガスが発生しない活物質を用いても、正極の最大到達電位が4.6V(vs.Li/Li)以上で初期充電を行うと、電解液の分解によるガスが発生する。
また、プラトー電位を経ない正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)未満で初期充電を行った場合には、電池電圧で4.2V〔正極電位で4.3V(vs.Li/Li)充電時の放電容量が小さいという問題がある。
したがって、充電時に酸素ガスが発生しない正極活物質を用いた場合であっても、正極の最大到達電位は4.5V(vs.Li/Li)以上4.6V(vs.Li/Li)未満とすることが好ましく、特に、4.55V(vs.Li/Li)程度とすることが最適な初期化成(初期充放電)条件であると考えられる。
1 リチウム二次電池 2 電極群 3 正極 4 負極
5 セパレータ 6 電池ケース 7 蓋 8 安全弁
9 負極端子 10 正極リード−11 負極リード
本発明の新規なリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を用いることにより、充電時に酸素ガスが発生しない、放電容量の大きい非水電解質二次電池を提供することができるので、この非水電解質二次電池は、ハイブリッド自動車用、電気自動車用のリチウム二次電池として有用である。

Claims (9)

  1. リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用正極活物質において、前記リチウム遷移金属複合酸化物が、Li、並びにCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素で構成され、その全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40であり、かつ、正極の最大到達電位が4.5〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲にあるいずれかの電位までの充電を行ったときに、前記リチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスが発生しないことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. リチウム遷移金属複合酸化物を含む非水電解質二次電池用正極活物質において、前記リチウム遷移金属複合酸化物が、Li、並びにCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素で構成され、その全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40であり、かつ、正極の最大到達電位が4.55〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲にあるいずれかの電位までの充電を行ったときに、前記リチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスが発生しないことを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 前記充電が、初期充放電における充電であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  4. 前記正極活物質が、充電区間の中にプラトー電位を有し、前記4.5〜4.6V(vs.Li/Li)の範囲にあるいずれかの電位は、前記プラトー電位以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  5. 1000℃未満で焼成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の正極活物質を備えた非水電解質二次電池。
  7. 使用時において、充電時の正極の最大到達電位が4.4V(vs.Li/Li)未満である充電方法が採用されることを特徴とする請求項6に記載の非水電解質二次電池。
  8. リチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質を使用し、初期充放電を含む工程を行うリチウム二次電池の製造方法において、前記リチウム遷移金属複合酸化物として、Li、並びにCo、Ni及びMnを含む遷移金属元素で構成され、その全遷移金属元素Meに対するLiのモル比Li/Meが1.25〜1.40であるリチウム遷移金属複合酸化物を使用し、前記初期充放電における充電を、前記リチウム遷移金属複合酸化物から酸素ガスを発生させないで、かつ、正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)以上4.6V(vs.Li/Li)未満の範囲にあるいずれかの電位まで行うことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
  9. 前記正極活物質が、充電区間の中にプラトー電位を有し、前記正極の最大到達電位が4.5V(vs.Li/Li)以上4.6V(vs.Li/Li)未満の範囲にあるいずれかの電位は、前記プラトー電位以上であることを特徴とする請求項8に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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