JP2013010056A - 重金属イオン吸着材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造時のエネルギー負荷、コスト負荷を低廉に抑え、かつ酸性溶液中でも安定して重金属イオンを吸着させる吸着材を提供する。
【解決手段】 本発明に係る吸着材は、結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体を含むものであることを特徴とする。このような結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体は、界面活性剤を鋳型として、40℃〜70℃の温度条件下で合成することができ、また、焼成処理を必要としない。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明に係る吸着材は、結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体を含むものであることを特徴とする。このような結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体は、界面活性剤を鋳型として、40℃〜70℃の温度条件下で合成することができ、また、焼成処理を必要としない。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液体中の重金属イオンを吸着除去するための新規な吸着材およびその製造方法に関する。
環境中に放出された重金属イオンは、生態系に大きな弊害をもたらすことが知られており、除去技術の開発が求められている。一方で、燃料電池や触媒、メッキにおいて使用されている希少金属の枯渇に伴い、希少金属の回収技術の開発も重要な課題とされている。
上記重金属イオンの除去に、現在最も汎用的に使用されているのがイオン交換樹脂であり、その素材の多くは有機材料(高分子)である(特許文献1)。また、フラックス法や溶融塩法で合成された無機材料で構成された、イオン吸着材も存在する(特許文献2〜4)。また、有機物を吸着又は除去する吸着材として、結晶性多孔質酸化チタンと界面活性剤とを混合した複合体を用いた例も存在する(特許文献5)。
しかし、一般に、ゾル・ゲル反応により製造される酸化物系無機イオン吸着材は、非晶質の材料や、高純度セラミックを低温で合成するため、酸に対する安定性が悪く、汎用的な手法としては広がっていない。また、フラックス法や、溶融塩法により製造する方法は、高温での溶融・反応、その後の冷却工程が必要となり、製造過程でのエネルギー負荷、コスト負荷が大きいという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、低温で合成することで、エネルギー負荷、コスト負荷を抑えることが可能であり、かつ酸性溶液中での高い安定性を有する重金属イオン吸着材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る吸着材は、界面活性剤と酸化チタン塩とのゾル・ゲル反応により得られる多孔質酸化チタンと界面活性剤との複合体から構成される吸着材であって、前記多孔質酸化チタン中に前記界面活性剤が、内包される構造であることを特徴とするものである。
結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体は、例えば、酸性のチタン塩と、カチオン性界面活性剤とを40℃〜70℃の酸性溶液中で攪拌混合し、前記混合された複合体を濾過し、濾物を洗浄後、20時間〜28時間の間乾燥させることにより製造することができる。
結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体は、例えば、酸性のチタン塩と、カチオン性界面活性剤とを40℃〜70℃の酸性溶液中で攪拌混合し、前記混合された複合体を濾過し、濾物を洗浄後、20時間〜28時間の間乾燥させることにより製造することができる。
本発明に係る製造方法によれば、40℃〜70℃という従来技術よりも低い温度条件下で行うことが可能なため、焼成処理等が不要となり、従来の方法に比べ、エネルギー負荷、コスト負荷を抑えることが可能になる点で優位である。また、本発明により製造された吸着材は、アルカリ性、中性、酸性のいずれの溶液中でも使用することが可能である。
本発明に係る吸着材は、結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体から構成され、調製段階で酸化チタンが結晶化していることから、酸性溶液中における高い安定性を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(吸着材の構成)
本発明に係る吸着材は、結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体を含むものである。このような結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体は、界面活性剤を鋳型として、多孔質金属酸化物を製造する際の中間的材料として得ることができる。
本発明に係る吸着材は、結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体を含むものである。このような結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体は、界面活性剤を鋳型として、多孔質金属酸化物を製造する際の中間的材料として得ることができる。
結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体は、例えば、酸性のチタン塩と、カチオン性界面活性剤とを液体中で攪拌混合し、結晶性の酸化チタンを生成させることにより製造することができる。
カチオン性界面活性剤は、結晶性の酸化チタンを生成させる際の鋳型となるものである。カチオン性界面活性剤を水に溶解すると、所定の形状のミセルを形成する。この状態で酸性のチタン塩を加えると、チタン塩が水和チタン酸に変化し、この水和チタン酸が、カチオン性界面活性剤のミセルが提供する局所的な塩基場と反応して、水酸化チタンに変化する。水酸化チタンの生成後、ミセルの表面で重縮合反応が進行して、酸化チタンが生成し、それに伴い、ヘキサゴナル状の規則的な配列が構成される。そして最終的には、結晶性酸化チタンの細孔内部にカチオン性界面活性剤が充填された状態の結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤の複合体が得られる。
カチオン性界面活性剤としては、水中で配列して、結晶性酸化チタンを得る際の鋳型となる性質を有するものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、アンモニウムに結合する4つの置換基のうち1つの置換基のみが長鎖で他が短鎖の四級アンモニウム塩が挙げられる。より好ましくは、モノ長鎖脂肪族四級アンモニウム塩であり、特に好ましくは、長鎖アルキル基の炭素数が10〜20であるモノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩である。この長鎖アルキル基の炭素数は12〜18であることが好ましい。また、長鎖アルキル基以外の基については、特に限定はないが、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
特に好ましいカチオン性界面活性剤としては、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。また、そのアニオンとしては、特に限定はなく、塩素イオン、臭素イオン、水酸化イオン等が用いられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
特に好ましい酸化チタン塩としては、硫酸塩、オキシ硫酸塩、オキシ塩化物、リン酸塩、酢酸塩、硝酸塩等が挙げられる。具体的には、硫酸チタン、酸化硫酸チタン、四硝酸チタン等が挙げられる。
(吸着材の製造方法)
本発明に係る、結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体の製造方法を以下に詳細に説明する。
本発明に係る、結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体の製造方法を以下に詳細に説明する。
まず、所定量のカチオン性界面活性剤を水に溶解させ、水溶液を調製する。カチオン性界面活性剤の濃度は、30〜240mMであることが好ましく、50〜180mMであることがより好ましい。
次に、調製した水溶液に、所定量のチタン塩を添加する。チタン塩の添加量は、上記カチオン性界面活性剤1モルに対して10〜100モルであることが好ましく、30〜70モルであることがより好ましく、40〜60モルであることがさらに好ましい。添加量を上記範囲内にすることにより、界面活性剤を鋳型にして、酸化チタンの生成反応を効率良く進行させることが可能になる。
チタン塩を添加した後、所定温度で所定時間、混合攪拌することが好ましい。これによって酸化チタンの生成反応をより効率良く進行させることが可能になる。
混合温度は、使用するカチオン性界面活性剤の種類によって異なるが、10〜80℃であることが好ましく、40〜70℃であることがより好ましく、60℃近傍がさらに好ましい。液温が低すぎると生成する酸化チタンの結晶性が低くなる傾向にあり、液温が高すぎるとカチオン性界面活性剤が規則的に配列せず、ヘキサゴナル構造の規則性が低下するおそれがある。
混合時間は、特に限定されるものではないが、通常は5〜120時間であり、10〜80時間であることが好ましく、15〜60時間であることがより好ましく、20〜40時間であることがさらに好ましい。混合時間が短すぎると、生成する酸化チタンの結晶性が低下する傾向にあり、混合時間が長すぎると結晶性は上がるが、細孔の配列規則性が低下し、ヘキサゴナル構造が消失する場合がある。また、混合時間が長すぎると、アナターゼ型の酸化チタンのみならず、ルチル型の酸化チタンも形成される傾向にある。
反応液のpHは、チタン塩の濃度にも依存するが、pH0.5〜4の酸性領域であることが好ましい。
酸化チタンの生成反応の終了後は、生成した結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体を濾過により分離し、水やアルコールを用いて洗浄し、乾燥させる。このときの乾燥温度は、100〜150℃であることが好ましく、110〜140℃であることがより好ましい。乾燥時間は、20〜28時間であることが好ましく、23〜25時間であることがより好ましい。
この結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体は、一般には粒子の状態で得ることができる。この粒子の直径は特に限定はないが、製造の容易さ、表面積の増大等の点で、20〜500nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましい。
また、この複合体中の酸化チタンは、結晶構造を有する酸化チタンで構成される。結晶構造はアナターゼ型及びルチル型のいずれでもよいが、アナターゼ型であることが好ましい。なお、酸化チタンは、粒子全体が結晶構造を有していることが好ましいが、必ずしもすべてが結晶構造になっている必要はなく、非晶質の構造部分があってもよい。
また、酸化チタンの細孔の直径は、通常は2〜50nmであり、7〜15nmであることが好ましい。細孔の直径と細孔の壁膜の厚さとの比は、特に限定されるものではないが、2:1〜50:1であることが好ましく、7:1〜15:1であることがより好ましい。膜壁の厚さは、0.5〜5nmであることが好ましく、0.8〜1.5nmであることがより好ましい。このような範囲とすることにより、比表面積を効率的に増大させることが可能となる。
(実施例1)
カチオン性界面活性剤として、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C16TAB)(アルドリッチ社製)を用い、酸性のチタン塩として酸化硫酸チタン(アルドリッチ社製)を用いて、以下のようにして結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体を製造した。
カチオン性界面活性剤として、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C16TAB)(アルドリッチ社製)を用い、酸性のチタン塩として酸化硫酸チタン(アルドリッチ社製)を用いて、以下のようにして結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤との複合体を製造した。
まず、水にC16TABを添加し、60mMのC16TAB水溶液を得た。このC16TAB(25mL)に3Mの酸化硫酸チタン水溶液(25mL)を添加し、60℃で24時間、加熱攪拌した。次いで、反応が終了した溶液を吸引濾過し、得られた生成物を水で洗浄し、120℃で24時間乾燥させた。得られた生成物を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、ヘキサゴナル構造を有する結晶性酸化チタンとC16TABとの複合体が確認された。
図2および図3は、得られた結晶性酸化チタンとC16TABとの複合体の粒子を長手方向の端面、および長手方向から見た微細構造を透過型電子顕微鏡(TEM)(JEOL、JEM−2010)で観察した結果を示す。
(比較例1)
カチオン性界面活性剤として、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C16TAB)(アルドリッチ社製)を用い、金属アルコキシドとして、テトラエトキシシラン(TEOS)(アルドリッチ社製)を用い、開始剤として、水酸化ナトリウムを用いて、以下のようにして多孔質酸化ケイ素とカチオン性界面活性剤との複合体を製造した。
カチオン性界面活性剤として、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(C16TAB)(アルドリッチ社製)を用い、金属アルコキシドとして、テトラエトキシシラン(TEOS)(アルドリッチ社製)を用い、開始剤として、水酸化ナトリウムを用いて、以下のようにして多孔質酸化ケイ素とカチオン性界面活性剤との複合体を製造した。
まず、水(480mL)に、C16TAB(1g)と、濃度が2Mの水酸化ナトリウム水溶液(3.5mL)とを添加し、水溶液を得た。この水溶液を60℃で攪拌した後、TEOS(5mL)を添加し、さらに60℃で2時間攪拌した。次いで、反応が終了した溶液を吸引濾過し、得られた生成物を水で洗浄し、120℃で24時間乾燥させた。得られた生成物を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、ヘキサゴナル構造を有する多孔質酸化ケイ素とC16TABの複合体が確認された。
(比較例2)
本件発明に係る吸着材の効果を確認するため、市販のイオン交換樹脂として、Amberlite−IR120を用意した。これは−SO3Hを官能基に有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体であり、イオン交換樹脂として一般的に使用されているものである。
本件発明に係る吸着材の効果を確認するため、市販のイオン交換樹脂として、Amberlite−IR120を用意した。これは−SO3Hを官能基に有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体であり、イオン交換樹脂として一般的に使用されているものである。
(比較例3)
本件発明に係る吸着材の効果を確認するため、市販の酸化チタン粉末として、P−25を用意した。
本件発明に係る吸着材の効果を確認するため、市販の酸化チタン粉末として、P−25を用意した。
(比較例4)
本件発明に係る吸着材の効果を確認するため、多孔質なケイ酸化合物からなる一般的な吸着材として、市販のシリカゲル粉末(富士シリシア化学社製)を用意した。
本件発明に係る吸着材の効果を確認するため、多孔質なケイ酸化合物からなる一般的な吸着材として、市販のシリカゲル粉末(富士シリシア化学社製)を用意した。
(比表面積、平均細孔径の測定実験)
上記実施例1、および上記比較例1および比較例3、比較例4で用意された吸着材について、自動比表面積/細孔分布測定器(BELSORP−mini II;日本ベル社製)を用いて、BET比表面積および平均細孔径を測定した。算出には、窒素吸脱着等温線を用い、測定にあたり、120℃、6時間の前処理を行った。
上記実施例1、および上記比較例1および比較例3、比較例4で用意された吸着材について、自動比表面積/細孔分布測定器(BELSORP−mini II;日本ベル社製)を用いて、BET比表面積および平均細孔径を測定した。算出には、窒素吸脱着等温線を用い、測定にあたり、120℃、6時間の前処理を行った。
上記比表面積の測定実験の測定結果を表1に示す。実施例1による結晶性酸化チタンとC16TABとの複合体の比表面積が他の試料と比較して著しく小さく、一方で、シリカゲル粉末の比表面積が著しく大きいことが認められる。
上記平均細孔径の測定実験の測定結果を表2に示す。実施例1による結晶性酸化チタンとC16TABとの複合体の平均細孔径が、複合体でない多孔質金属酸化物の平均細孔径より小さいことが認められる。
(細孔構造、結晶型・結晶子サイズの測定実験)
上記実施例1、で得られた吸着材について、X線回折装置(RIGAKU RINT−2200V PC)を用いて、細孔構造、結晶型、結晶子サイズの測定を行った。測定に用いたX線の波長は、l=0.1542nmである。細孔構造は、低角側(2θ=0-10°)のXRDパターンから、hkl=(100)、(110)、(200)面の面間隔d100、d110、d200をBraggの式を用いて算出した。結晶型は、広角側(2θ=20−60°)のXRDパターンより同定した。結晶子サイズ(D)は、(101)面(2θ≒25°)の回折ピークをSherrerの式を用いて算出した。
上記実施例1、で得られた吸着材について、X線回折装置(RIGAKU RINT−2200V PC)を用いて、細孔構造、結晶型、結晶子サイズの測定を行った。測定に用いたX線の波長は、l=0.1542nmである。細孔構造は、低角側(2θ=0-10°)のXRDパターンから、hkl=(100)、(110)、(200)面の面間隔d100、d110、d200をBraggの式を用いて算出した。結晶型は、広角側(2θ=20−60°)のXRDパターンより同定した。結晶子サイズ(D)は、(101)面(2θ≒25°)の回折ピークをSherrerの式を用いて算出した。
図4は、実施例1で得られた吸着材についての、低角側のXRDパターンを示す。横軸は、入射角を表し、縦軸は、回折強度を示す。上記方法により、算出した面間隔は、d00=3.97、d110=2.31、d200=2.04であり、その比はおよそ、d100:d110:d200=1:1/√3:1/2となった。
図5は、実施例1で得られた吸着材についての、広角側のXRDパターンを示す。横軸は、入射角を表し、縦軸は、回折強度を示す。また、図中の縦線はデータベースより取得したアナターゼチタニアのXRDパターンを示す。上記方法により、算出した結晶子サイズは、D=7.67nmとなった。
(吸着能の評価実験)
上記実施例1で製造された吸着材および比較例1〜4で用意された吸着材との吸着能について、以下のようにして比較した。
まず、濃度が50mgL−1の硝酸銅水溶液(20mL)に、上記実施例又は比較例で用意された吸着材を10mg添加し、マグネチックスターラーで6時間攪拌した。次いで、以下に記載する呈色試薬溶液(BCOD溶液)(30mL)、エタノール(12mL)と、アンモニア水(pH8〜9)と、超純水とを、溶液の合計が100mLとなるように添加した後、マグネチックスターラーで20分間攪拌した。
上記実施例1で製造された吸着材および比較例1〜4で用意された吸着材との吸着能について、以下のようにして比較した。
まず、濃度が50mgL−1の硝酸銅水溶液(20mL)に、上記実施例又は比較例で用意された吸着材を10mg添加し、マグネチックスターラーで6時間攪拌した。次いで、以下に記載する呈色試薬溶液(BCOD溶液)(30mL)、エタノール(12mL)と、アンモニア水(pH8〜9)と、超純水とを、溶液の合計が100mLとなるように添加した後、マグネチックスターラーで20分間攪拌した。
呈色試薬溶液の製造方法は次のとおりである。まず、エタノール(50mL)に、Dycyclohexanoneoxalyldihydrazone(BCOD)(0.4g)を溶解させる。次に、上記溶液に、総容積が500mLとなるように水を加えて所定濃度のBCOD溶液を製造する。
呈色試薬溶液が添加された溶液は、Cu2+とBCODとの錯体形成によって、青色に呈色する。
上記方法で混合された溶液を所定時間静置し、その後、3500rpmの速度で20分間遠心分離を行った。その後、紫外可視分光光度計を用いて上清の600nmの波長における吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線を基に硝酸銅の濃度を算出した。
図6は、実施例1および比較例1〜4で用意された吸着材について、600nmの波長における吸光度を測定した結果を示す。図中の横軸は、波長を表し、縦軸は、吸収強度を表す。
図7は、吸着材添加後6時間経過後の溶液中残存Cu2+濃度を示す。図中の縦軸が、溶液中のCu2+の残存濃度を表す。図中のサンプル名(A)は、吸着材を添加していない硝酸銅溶液についての結果である。図中のサンプル名(B)は、比較例2で用意された、Amberlite−IR120についての結果である。図中のサンプル名(C)は、実施例1で製造された、結晶性酸化チタンとC16TABとの複合体についての結果である。図中のサンプル名(D)は、比較例3で用意された、チタン粉末P25についての結果である。図中のサンプル名(E)は、比較例1で製造された、多孔質酸化ケイ素とカチオン性界面活性剤との複合体についての結果である。図中のサンプル名(F)は、比較例4で用意された、シリカゲルについての結果である。吸着材添加前の溶液(A)と比較した、Cu2+濃度の減少量は、添加された吸着材の吸着能の高さと対応しており、各試料のCu2+残存濃度が低いほど、添加された吸着材の吸着能が高いことを示している。
吸着能の評価実験結果から、サンプル(B)、およびサンプル(C)の吸着材の吸着能が特に高いことが認められた。
上記実験結果は、吸着材として、結晶性酸化チタンとカチオン性界面活性剤の複合体が、Cu2+イオンを吸着するのに有効であること、多孔質酸化チタン単体では顕著な吸着能がなく、結晶性酸化チタンが界面活性剤と反応した状態であることが寄与していることを示している。
本件出願に係る複合体が、重金属イオンの吸着能を持つ原因については、TiO2ネットワーク中のSO4 2−が、重金属イオンの吸着サイトとして機能しているためと考えられる。また、この吸着サイトは、イオン交換能を持つ可能性もあると考えられる。
1 カチオン性界面活性剤
2 結晶性酸化チタン
2 結晶性酸化チタン
Claims (3)
- 液体中に含まれる金属イオンを吸着するための吸着材であって、
前記吸着材は、結晶性の多孔質金属酸化物と界面活性剤との複合体から構成され、
前記多孔質金属酸化物中に前記界面活性剤が、内包される構造であることを特徴とする吸着材。 - 前記多孔質金属酸化物が多孔質酸化チタンであり、前記界面活性剤がカチオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の吸着材。
- 液体中に含まれる金属イオンを吸着するための吸着材の製造方法であって、
酸性のチタン塩と、カチオン性界面活性剤とを、温度が40℃〜70℃の酸性溶液中で攪拌混合する工程と、
前記攪拌混合された液体を濾過する工程と、
前記濾過された濾物を20時間〜28時間の間乾燥させる工程と、
を備えることを特徴とする吸着材の製造方法。
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