JP2013003417A - シフト機構および光学機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】像振れ補正装置等に用いられるシフト機構において十分な小型化を実現する。
【解決手段】シフト機構は、ベース部材101と、該ベース部材に対して第1の方向に移動可能な可動部材103と、第1の方向に直交する第2の方向において可動部材のベース部材に対する位置決めを行う支持部材104と、ベース部材および可動部材のうち一方の部材に設けられた磁石部材105と、ベース部材および可動部材のうち他方の部材に設けられ、第2の方向において磁石部材との間に磁気吸引力を作用させる強磁性部材106とを有する。磁石部材は、第2の方向に向かって開口する空間部を有し、支持部材は、該空間部内に設けられている。
【選択図】図4
【解決手段】シフト機構は、ベース部材101と、該ベース部材に対して第1の方向に移動可能な可動部材103と、第1の方向に直交する第2の方向において可動部材のベース部材に対する位置決めを行う支持部材104と、ベース部材および可動部材のうち一方の部材に設けられた磁石部材105と、ベース部材および可動部材のうち他方の部材に設けられ、第2の方向において磁石部材との間に磁気吸引力を作用させる強磁性部材106とを有する。磁石部材は、第2の方向に向かって開口する空間部を有し、支持部材は、該空間部内に設けられている。
【選択図】図4
Description
本発明は、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、交換レンズ、双眼鏡、望遠鏡およびフィールドスコープ等の光学機器に好適なシフト機構に関する。
手振れ等のカメラ振れに起因した画像の劣化を防止するため、カメラ振れに応じて防振レンズを光軸に直交する方向に移動(シフト)させる像振れ補正装置(防振装置)を搭載した光学機器が知られている。
特許文献1には、補正レンズを保持して光軸に直交する方向にシフトするシフト部材をばねの付勢力によってベース部材に押し付け、シフト部材を光軸方向にて支持して該シフト部材の光軸方向での位置決めを行う像振れ補正装置が開示されている。この装置では、シフト部材とベース部材との間に転動可能なボールが配置されている。そして、上記ばねの付勢力によってシフト部材とベース部材との間にボールを挟み込むことで、シフト部材の光軸方向での位置決めを行いつつ、アクチュエータによるシフト部材のスムーズな(低駆動負荷での)シフトを可能としている。
また、特許文献2には、シフト部材にヨークを保持させる一方、ベース部材に駆動用磁石を保持させ、駆動用磁石とヨークとの間の磁気的吸引作用によってシフト部材をベース部材に押し付ける像振れ補正装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1にて開示された装置では、シフト部材をシフトさせたときにばねに該シフト部材をシフト中心に戻そうとする力が発生するため、そのばね力によってアクチュエータによるシフト部材の駆動負荷が大きくなる。これにより、アクチュエータの大型化や消費電力の増加を招く。また、転動するボールの転動可能範囲以外にばねの配置スペースを設ける必要があり、装置の小型化が難しい。
一方、特許文献2にて開示された装置では、吸引力を発生させる磁石を、光軸回りにおけるボールの転動可能範囲の位相とは異なる位相に配置しており、この結果、装置の小型化が困難となる。
本発明は、像振れ補正装置等に用いられ、可動部材をシフト可能に支持する機構として十分な小型化を実現することができるようにしたシフト機構およびこれを備えた光学機器を提供する。
本発明の一側面としてのシフト機構は、ベース部材と、該ベース部材に対して第1の方向に移動可能な可動部材と、第1の方向に直交する第2の方向において可動部材のベース部材に対する位置決めを行う支持部材と、ベース部材および可動部材のうち一方の部材に設けられた磁石部材と、ベース部材および可動部材のうち他方の部材に設けられ、第2の方向において磁石部材との間に磁気吸引力を作用させる強磁性部材とを有する。磁石部材は、第2の方向に向かって開口する空間部を有し、支持部材は、該空間部内に設けられていることを特徴とする。
なお、上記シフト機構を有する光学機器も、本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、可動部材を支持するための支持部材を磁石部材の空間部内に設けたので、ばねの付勢力により可動部材をベース部材に対して押し付ける構成や磁石とボールとを異なる位相に配置した構成に比べて、小型化を実現することができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例1である光学機器としてのレンズ装置を示しており、該レンズ装置は像振れ補正装置(防振装置)を搭載している。なお、本発明の実施例には、図示はしないが、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、交換レンズ、双眼鏡、望遠鏡およびフィールドスコープ等の各種光学機器が含まれる。
図1において、10はレンズ装置である。11,12は振れ検出センサであり、手振れ等によるレンズ装置10の振れを検出して該振れに応じた信号(振れ信号)を出力する。振れ検出センサ11は縦振れ(ピッチ振れ)を検出し、振れ検出センサ12は横振れ(ヨー振れ)を検出する。振れ検出センサ11,12としては、例えば角速度センサが用いられる。
100は像振れ補正装置である。13は補正レンズ(光学素子)であり、光軸に直交する方向に移動(シフト)することで、光軸をそれに直交する方向に変位させる。補正レンズ13は、後述するシフト鏡筒によって保持されている。
14,15は位置センサであり、補正レンズ13(シフト鏡筒)の位置を検出して位置検出信号を出力する。位置センサ14は、ヨー方向における補正レンズ13の位置を検出し、位置センサ15はピッチ方向における補正レンズ13の位置を検出する。また、位置センサ14,15としては、補正レンズ13の駆動負荷を低減するために非接触タイプのセンサを用いることが望ましい。本実施例では、補正レンズ13(シフト鏡筒)に固定された赤外発光ダイオード(IRED)と、該IREDから射出された赤外光を検出する半導***置検出素子(PSD)とにより構成される光学式センサを用いている。位置センサ14,15としては、他に、マグネットの磁束の変化により位置を検出する磁気式センサ、静電容量の変化により位置を検出するセンサおよび電気抵抗の変化により位置を検出するセンサ等を用いてもよい。
16は振れ補正回路であり、振れ検出センサ11,12からの振れ信号と位置センサ14,15からの位置検出信号とに基づいて補正レンズ13の位置を制御する。具体的には、各振れ検出センサからの振れ信号(角速度信号)を積分してレンズ装置10の振れ変位を求め、各位置センサからの位置検出信号により検出される補正レンズ13の位置が該振れ変位に対応する目標位置に向かうように補正レンズ13の位置を制御する。これにより、レンズ装置10の振れに起因する像振れが低減(補正)される。
なお、本実施例では、位置センサ14,15を用いて補正レンズ13の位置を閉ループ制御する場合について説明したが、位置センサを用いずに補正レンズ13の位置を開ループ制御してもよい。
次に、図2から図5を用いて、像振れ補正装置100におけるシフト機構の構成について説明する。図2には、像振れ補正装置100のシフト機構を分解して示している。図3は組み立て後の像振れ補正装置100を示しており、(A)は(C)に示す光軸に直交する断面を矢印A側(後側)から見た図、(B)は(A)と同じ断面を矢印B側(前側)から見た図である。
像振れ補正装置100は、ベース部材である地板101と、図1に示した補正レンズ13に相当する補正レンズ102と、可動部材であるシフト鏡筒103と、支持部材である3つのボール104と、磁石部材である3つの付勢マグネット105とを有する。また、該装置100は、強磁性部材としての3つのシフト鏡筒側ボール受け106と、第1の磁石側強磁性部材としての地板側ボール受け107とを有する。さらに、該装置100は、前側ヨーク108と、ヨー駆動マグネット109,110と、ピッチ駆動マグネット111,112と、ヨーコイル113と、ピッチコイル114と、ガイドバー115とを有する。
地板101と、地板側ボール受け107と、付勢マグネット105と、前側ヨーク108と、ヨー駆動マグネット109,110と、ピッチ駆動マグネット111,112とにより地板ユニット(ベースユニット)が構成される。なお、後述するように地板101とこれに固定される地板側ボール受け107とをまとめてベース部材とみなしてもよい。
また、補正レンズ102、シフト鏡筒103、シフト鏡筒側ボール受け106、ヨーコイル113およびピッチコイル114によって、シフトユニット(可動ユニット)が構成される。
また、ヨー駆動マグネット109,110、ヨーコイル113、地板側ボール受け107および前側ヨーク108によって、ヨー電磁アクチュエータが構成される。さらに、ピッチ駆動マグネット111,112、ピッチコイル114、地板側ボール受け107および前側ヨーク108によって、ピッチ電磁アクチュエータが構成される。
地板101は、図1に示したレンズ装置10の内部にて固定される。地板101の中央には光を通過させるための開口部が形成されている。補正レンズ102は、レンズ装置10内に配置された他の複数のレンズとともに不図示の撮影光学系を構成する。補正レンズ102はシフト鏡筒103により保持され、該シフト鏡筒103とともに光軸に直交する方向(第1の方向:以下、ピッチ方向およびヨー方向という)にシフトすることで、前述したように光軸を同方向に変位させる。これにより、撮影光学系が形成する光学像をピッチ方向およびヨー方向に移動させることができ、レンズ装置10の振れによる光学像の変位を打ち消すように補正レンズ102をシフトさせることで、像振れを低減(補正)する。
なお、本実施例では、像振れ補正のために光学素子である補正レンズ102をシフトさせる場合について説明するが、光学像を光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子をその受光面に平行な方向にシフトさせるようにしてもよい。
シフト鏡筒103は、後述する構造によって、地板101に対してピッチ方向およびヨー方向にシフト可能(移動可能)に支持されている。
3つのボール104は、シフト鏡筒103と地板101との間であって光軸回りの3箇所にピッチ方向およびヨー方向に転動可能に配置されている。これらボール104は、光軸が延びる方向(第2の方向:以下、光軸方向という)において地板101に対してシフト鏡筒103を支持している。言い換えれば、ボール104は、地板101に対してシフト鏡筒103をピッチ方向およびヨー方向にガイドしながら、地板101に対するシフト鏡筒103の光軸方向での位置決めを行う。ボール104は、ステンレスやセラミックス等の非磁性材料であって硬く耐摩耗性の高い材料によって形成されており、変形が少ないために転がり抵抗が小さい。ボール104は、シフト鏡筒103および地板101に直接は接触せず、後述するシフト鏡筒側ボール受け106と地板側ボール受け107に接触する。
3つの付勢マグネット105は、地板側ボール受け107における光軸回りの3箇所に固定され、3つのシフト鏡筒側ボール受け106との間に磁気吸引力を発生させる。地板側ボール受け107は地板101に固定されるので、地板101と一体とみなすことができる。このため、地板側ボール受け107は、地板101とともに、「ベース部材および可動部材のうち一方の部材」に相当する。
各付勢マグネット105は、その内側に光軸方向に向かって開口した空間部を有する。上述した3つのボール104はそれぞれ、3つの付勢マグネット105の空間部内に配置されている。
本実施例では、付勢マグネット105は円筒形状を有し、その内周面(空間部に面する壁面)は、ボール104が当接することによってボール104の転動範囲の外縁を決める(すなわち、転動範囲を制限する)。ボール104はシフト鏡筒側ボール受け106および地板側ボール受け107に対して滑ることなく転動するため、ボール104の中心はシフトユニットのシフト量の半分だけ動く。したがって、付勢マグネット105の内径(空間部の直径)は、ボール104の直径にシフトユニットの最大シフト量を加えた寸法(実際にはそれよりも若干大きい寸法)を有する。
3つのシフト鏡筒側ボール受け106はそれぞれ、シフト鏡筒103における3つの付勢マグネット105と対向する位置に固定される。シフト鏡筒103は、「ベース部材および可動部材のうち他方の部材」に相当する。ボール105をセラミックス等の硬度の高い材料で作った場合、ボール105が樹脂製のシフト鏡筒103や地板101に直接接触すると、シフト鏡筒103や地板101におけるボール105との接触面が摩耗してしまう。これを防ぐために、シフト鏡筒側ボール受け106と後述する地板側ボール受け107とによってボール104の接触を受けている。
シフト鏡筒側ボール受け106は、マルテンサイト系ステンレス等の耐摩耗性に優れた強磁性材料により形成されている。シフト鏡筒側ボール受け106を強磁性材料により形成することで、付勢マグネット105との間に磁気吸引力を作用させることができる。さらに、シフト鏡筒側ボール受け106を耐摩耗性に優れた材料により形成することで、ボール104との接触(当接)による摩耗がほとんど生じず、長期間の使用に耐えうる。
なお、シフト鏡筒側ボール受け106に磁石材料により形成して着磁することでも、付勢マグネット105との間に磁気吸引力を作用させることができる。
地板側ボール受け107は、地板101に固定される。この地板側ボール受け107には、3つの付勢マグネット105が固定される。地板側ボール受け107も、シフト鏡筒側ボール受け106と同様に、マルテンサイト系ステンレス等の耐摩耗性に優れた強磁性材料により形成されている。地板側ボール受け107を強磁性材料により形成することで、付勢マグネット105により形成される磁気回路の磁気抵抗を減少させることができる。この結果、付勢マグネット105とシフト鏡筒側ボール受け106との間に作用する磁気吸引力をより大きくすることができる。また、地板側ボール受け107を耐摩耗性に優れた材料により形成することで、ボール104との接触(当接)による摩耗がほとんど生じず、長期間の使用に耐えうる。
また、地板側ボール受け107には、ヨー駆動マグネット109とピッチ駆動マグネット111が固定されており、地板側ボール受け107はヨー電磁アクチュエータおよびピッチ電磁アクチュエータのヨーク部も兼ねている。
前側ヨーク108には、ヨー駆動マグネット110とピッチ駆動マグネット112が固定されており、該前側ヨーク108は、ヨー電磁アクチュエータおよびピッチ電磁アクチュエータのヨークとして機能する。前側ヨーク108は、シフト鏡筒103よりも前側に、シフト鏡筒103に対して所定の距離をあけて配置され、ビスにより地板101に固定される。
ヨー駆動マグネット109,110の間にはヨーコイル113が配置されている。ヨーコイル113に通電すると、ヨー駆動マグネット109,110が発生させている磁界によりヨーコイル113にローレンツ力が作用する。そして、該ローレンツ力が推力となってヨーコイル113とこれを保持するシフト鏡筒103とがヨー方向(図2中のY方向)にシフトする。また、ピッチ駆動マグネット111,112の間にはピッチコイル114が配置されている。ピッチコイル114に通電すると、ピッチ駆動マグネット111,112が発生させている磁界によりピッチコイル114にローレンツ力が作用する。そして、該ローレンツ力が推力となってピッチコイル114とこれを保持するシフト鏡筒103とがピッチ方向(図2中のX方向)にシフトする。
なお、本実施例ではシフト鏡筒103をシフトさせるアクチュエータとして電磁アクチュエータを用いているが、他の種類のアクチュエータを用いることもできる。例えば、ステッピングモータとリードスクリューを組み合わせたアクチュエータや、圧電素子を利用した振動型モータや、静電力を利用した静電アクチュエータを用いることができる。
ただし、本実施例のように電磁アクチュエータを用いる場合は、該電磁アクチュエータのヨークを付勢マグネット105のヨークとしても利用することができるので、部品数の増加を招かずに付勢マグネット105の磁束を効率的に利用することができる。
ガイドバー115は、シフト鏡筒103が地板101に対して光軸に直交する面内で回転することを阻止するための部材である。ガイドバー115は、地板101によってピッチ方向にのみ移動可能に保持され、かつシフト鏡筒103をヨー方向にのみシフト可能に保持している。このようなガイドバー115により、シフト鏡筒103は地板101に対してピッチ方向およびヨー方向の並進移動のみが可能となり、回転することはなくなる。
このようにシフトユニットは、3つのボール105のそれぞれと1点で接触しながら光軸に直交する方向に転動可能に支持されている。このとき、前述したように付勢マグネット105(および地板側ボール受け107)とシフト鏡筒側ボール受け106との間には磁気吸引力が作用する。これにより、シフトユニットは地板101との間に3つのボール104を常に挟持し、これによりシフトユニットの光軸方向での位置が正確に決まる。
次に、付勢マグネット105の形状その他の特徴について、図4を用いて説明する。図4には、像振れ補正装置100における付勢マグネット105の周辺を、光軸に平行でボール104の中心を通る面で切断した断面を示している。
付勢マグネット105は、その着磁によってシフト鏡筒側ボール受け106との間に磁気吸引力を発生する。本実施例では、付勢マグネット105のうち一方(地板側)の端面がN極に、他方(シフト鏡筒側)の端面がS極になるように着磁されている。これにより、付勢マグネット105→地板側ボール受け107→空気→シフト鏡筒側ボール受け106→付勢マグネット105という磁路ループが形成される。この結果、シフトユニット(シフト鏡筒側ボール受け106)と地板101(地板側ボール受け107)との間に磁気吸引力が作用する。
シフト鏡筒側ボール受け106の面積は、シフトユニットがピッチ方向およびヨー方向にシフトしたときに付勢マグネット105に対向する範囲よりも十分に大きい。これにより、付勢マグネット105とシフト鏡筒側ボール受け106との間に常に光軸方向にのみ磁気吸引力が作用し、ピッチおよびヨー方向には磁気吸引力が作用しない。したがって、前述した電磁アクチュエータによるシフトユニットの駆動負荷を低減することができ、電磁アクチュエータの小型化、ひいては像振れ補正装置100全体の小型化を実現できる。
ただし、シフト鏡筒側ボール受け106の面積を、シフトユニットがピッチ方向およびヨー方向にシフトしたときに付勢マグネット105に対向する範囲よりも小さくして、シフトユニットに光軸中心に向かう向心力を作用させてもよい。シフトユニットがシフトしてシフト鏡筒側ボール受け106が付勢マグネット105に対向しない位置に移動すると、光軸方向への吸引力以外に、シフト鏡筒側ボール受け106を付勢マグネット105に対向する位置に戻そうとする向心方向への分力が発生する。これにより、電磁アクチュエータの駆動負荷はある程度増加するものの、この向心力をシフトユニットの中心位置保持や回転防止に利用することもできる。
また、付勢マグネット105の着磁の仕方(着磁パターン)は、図4に示したものに限らず、付勢マグネット105とシフト鏡筒側ボール受け105との間に光軸方向での磁気吸引力を発生させることができればどのようなものでもよい。設計条件やコストに応じて適切な着磁パターンを採用すればよい。
図5には、図4に示した着磁パターンとは異なる着磁パターンの例を示している。図5の(A)には、像振れ補正装置100における付勢マグネット105の周辺を光軸に平行でボール105の中心を通る面で切断したときの断面を示している。(B)には、付勢マグネット105の着磁パターンを光軸方向から見て示している。図5に示すように、付勢マグネット105をその径方向(光軸に直交する方向)にN極とS極が形成されるように着磁しても、該付勢マグネット105とシフト鏡筒側ボール受け106との間に光軸方向での磁気吸引力を発生させることができる。
また、本実施例では、付勢マグネット105を円筒形状に形成しているが、これにより一定の半径を有する範囲内に効率良く付勢マグネット105を配置することができ、しかも製造コストを低くすることができる。しかし、付勢マグネット105の形状は、角筒形状等、円筒形状以外の形状でもよく、その内側に光軸方向(シフト鏡筒側)に向かって開口してボール104を配置可能な空間部を有していればよい。
例えば、図5の(C)に示すように、付勢マグネット105を、円筒の周壁部の一部を除去してスリットを形成し、光軸方向から見てC字状の形状を有するように形成してもよい。スリットの幅dは、ボール105の直径Dよりも狭くすることで、付勢マグネット105をボール104の転動範囲を制限する部材として利用することができる。スリットは、他の部品との干渉を避けたり、付勢マグネット105の位置決めをしたり、付勢マグネット105を地板101に接着するための接着剤の溜まり部を設けたりするために設けられる。
次に、本実施例の効果について説明する。第1に、付勢マグネット105の空間部内にボール105を配置することにより、少ないスペースで、ボール104の転動範囲を確保しつつ付勢マグネット105を配置することができる。
シフトユニットの地板101に対する光軸方向の位置決めに必要な磁気吸引力を発生させるためには、付勢マグネット105がシフト鏡筒側ボール受け106と対向する面積をある程度大きく確保する必要がある。本実施例では、ボール104の転動範囲を確保しつつデッドスペースを生じさせずに、付勢マグネット105を大径化することができ、付勢マグネット105がシフト鏡筒側ボール受け106と対向する面積を大きくしながら装置の大型化を回避することができる。
第2に、ボール104を付勢マグネット105の空間部内に配置することで、部品点数を増やさずにボール105の脱落を防止でき、像振れ補正装置100の組み立て作業性を改善したり衝撃が加わったときの故障を回避したりすることができる。
第3に、本実施例では、ボール104との接触面の耐久性を向上させるのに必要なボール受け部材106,107を強磁性材料により作ることで、付勢マグネット105から発生する磁束の磁路を形成するヨーク部材としても用いている。これにより、部品点数を増やすことなくシフトユニットと地板101との間に十分な磁気吸引力を発生させることができる。
第4に、本実施例では、支持部材としてシフトユニットのシフトに伴って該シフトユニットと地板101に対して転動するボール104を用いている。これにより、シフトユニットのシフトに際して発生する摩擦(つまりは電磁アクチュエータの駆動負荷)を低減し、電磁アクチュエータの小型化を図ることができる。
第5に、従来のように付勢マグネットとボールを離して、すなわち光軸回りにおける互いに異なる位相に配置すると、振動や衝撃が加わってシフト鏡筒が地板に対して傾いた場合に、付勢マグネットとシフト鏡筒側ボール受けとが接触してしまうおそれがある。そして、付勢マグネットとシフト鏡筒側ボール受けは一度接触してしまうと吸引力が増加して元の状態に復帰しにくくなってしまう。これに対し、本実施例では、付勢マグネット105の内側に配置されたボール104に対応した位置にシフト鏡筒側ボール受け106が配置されている。このため、シフト鏡筒103が地板101に対して傾いても付勢マグネット105とシフト鏡筒側ボール受け106とが接触することはない。
第6に、本実施例では、付勢マグネット105とシフト鏡筒側ボール受け106との位置関係を高精度に決めることができる。これにより、磁気吸引力のばらつきを抑制することができる。
付勢マグネットの大型化を招かずに必要な磁気吸引力を発生させるには、付勢マグネットとシフト鏡筒側ボール受けとの間の距離を小さくすればよい。しかし、付勢マグネットが発生する磁気吸引力は距離の逆二乗に比例して大きくなる(磁気単極子の場合)ため、距離が小さくなるほど距離の誤差に対する力の変動が大きくなる。磁気吸引力が所定値よりも小さいと、振動や衝撃を受けた際にシフトユニットが地板101に対して浮いてしまう。また、磁気吸引力が所定値よりも大きいと、ボール104の耐久性が低下する。このため、付勢マグネット105とシフト鏡筒側ボール受け106との距離を正確に決める必要がある。
この点、本実施例によれば、付勢マグネット105とシフト鏡筒側ボール受け106との間の距離は、(ボール104の直径−付勢マグネット105の高さ)となり、2つの部品の公差のみで決まる。しかも、ボール104は球形状を有するため、他の部品に対して精度良く製造することができ、その寸法公差は、付勢マグネット105の寸法公差に比べて非常に小さい。このため、付勢マグネット105とシフト鏡筒側ボール受け106との間の距離の公差は実質的に付勢マグネット105の寸法誤差のみとなり、精度良く距離を決められる。この結果、付勢マグネット105の大型化を招かずに必要な磁気吸引力を発生させることができる。
第7に、電磁アクチュエータのヨーク部である地板側ボール受け107と付勢マグネット105とを接触させて固定することにより、部品点数を増やさずに付勢マグネット105の磁気抵抗を低減させることができる。これにより、付勢マグネットの大型化を招かずに必要な磁気吸引力を発生させることができる。
なお、本実施例では、電磁アクチュエータのヨーク部を、付勢マグネット105を固定する地板側ボール受け107として用いる場合について説明した。しかし、電磁アクチュエータのヨーク部を、付勢マグネット105によって吸引される強磁性部材として用いることもできる。この場合は、付勢マグネット105は、シフト鏡筒側ボール受け106に固定すればよい。
次に、図6を用いて本発明の実施例2について説明する。図6には、像振れ補正装置100における付勢マグネット105の周辺を光軸に平行でボール105の中心を通る面で切断したときの断面を示している。本実施例において、実施例1と共通する構成要素については、実施例1と同符号を付して説明を省略する。
本実施例では、ボール204が、実施例1と異なり、マルテンサイト系ステンレス等の強磁性材料により形成されている。これにより、付勢マグネット105→地板側ボール受け107→ボール204→シフト鏡筒側ボール受け106→付勢マグネット105という磁路ループが形成され、空気を磁路ループに含む実施例1に比べて磁気回路の抵抗を小さくすることができる。したがって、実施例1よりも小さな付勢マグネット105を用いて必要な磁気吸引力を発生することができる。
次に、図7を用いて本発明の実施例3について説明する。図7には、像振れ補正装置100における付勢マグネット105の周辺を光軸に平行でボール105の中心を通る面で切断したときの断面を示している。本実施例において、実施例1と共通する構成要素については、実施例1と同符号を付して説明を省略する。
本実施例では、実施例1と同様に地板101および地板側ボール受け107でベースユニットを構成する。一方、シフト鏡筒303と、付勢マグネット305と、シフト鏡筒側ボール受け306と、第2の磁石側強磁性部材である補助ヨーク316とでシフトユニットを構成している。
シフト鏡筒303には、円筒形状のマグネット保持部3031が形成されている。マグネット保持部3031は、その内周に付勢マグネット305と補助ヨーク316を収容する。補助ヨーク316は、強磁性材料により円筒形状に形成され、付勢マグネット305の外周に配置されている。
また、シフト鏡筒303におけるベースユニット側とは反対側の面には、付勢マグネット305と補助ヨーク316が収容されたマグネット保持部3031を覆うようにシフト鏡筒側ボール受け306が固定されている。付勢マグネット305の内側の空間部には、実施例1と同じボール104が配置されており、該ボール104はシフト鏡筒側ボール受け306に接触している。また、付勢マグネット305の空間部のベースユニット側開口(光軸方向に向かう開口)から突出したボール104は、地板側ボール受け107に接触している。
実施例1では、シフトユニットの重量の軽減を目的の1つとして、付勢マグネット105を地板ユニット(地板側ボール受け107)に固定した。しかし、シフトユニットのシフト可能範囲において付勢マグネットの磁気吸引力の一部(分力)がシフトユニットの向心力として作用することを確実に回避する必要がある場合には、付勢マグネットとシフト鏡筒側ボール受けとが常に対向しなければならない。つまり、シフト鏡筒側ボール受けのサイズは、付勢マグネットの外径とシフトユニットの最大シフト量との合計だけ必要となる。これにより、シフト鏡筒側ボール受けの大型化およびこれに伴うシフトユニットの重量増加を招く。
本実施例では、付勢マグネット305をシフトユニット側に固定しており、シフト鏡筒側ボール受け306と付勢マグネット305との位置関係は不変である。本実施例において付勢マグネット305による向心力の発生を抑えるには、シフト可能範囲内において付勢マグネット305と地板側ボール受け107とを常に対向させればよく、シフト鏡筒側ボール受け306の大型化および重量増加を回避できる。
シフトユニットの最大シフト量が大きく、かつ付勢マグネットに求められる磁力が小さいときは、本実施例のようにシフトユニット側に付勢マグネットを固定した方が有利である。逆に、シフトユニットの最大シフト量が小さく、かつ付勢マグネットに求められる磁力が大きいときには実施例1のように地板ユニット側に付勢マグネットを固定した方がよい。
また、本実施例のように補助ヨーク316を設けることで、付勢マグネット305→シフト鏡筒側ボール受け306→補助ヨーク316→地板側ボール受け107→付勢マグネット305という磁路ループが形成され、磁気回路の抵抗を小さくすることができる。したがって、小さな付勢マグネット305を用いて必要な磁気吸引力を発生することができる。
さらに、本実施例のようにシフト鏡筒303にマグネット保持部3031を設けることにより、付勢マグネット305の脱落を機械的に防止することができ、装置が衝撃力を受けたとき等に異常の発生を防止することができる。
次に、図8を用いて本発明の実施例4について説明する。図8には、像振れ補正装置100における付勢マグネット105の周辺を光軸に平行な面で切断したときの断面を示している。本実施例において、実施例1と共通する構成要素については、実施例1と同符号を付して説明を省略する。
本実施例では、地板101および付勢マグネット105により地板ユニットを構成し、シフト鏡筒403と、支持部材としての支持突起404と、強磁性部材としての強磁性リング406とでシフトユニットを構成している。支持突起404は、シフト鏡筒403に一体的に設けられており、付勢マグネット105の内側の空間部内に延びて(配置されて)いる。付勢マグネット105の空間部の内径は、シフトユニットのシフトに伴って移動する支持突起404に干渉しない寸法に設定されている。
支持突起404における地板ユニット側の端部は球面形状に形成され、地板101における付勢マグネット105の空間部に面した部分に対して1点で接触して滑らかに摺動することができる。
支持突起404は、実施例1から3のボールと同様に、光軸回りの3箇所に設けられている。これにより、シフトユニットの光軸方向での地板101に対する位置決めを安定的に行うことができる。
強磁性リング406は、強磁性材料により円環形状に形成されている。強磁性リング406は、その中央の開口部を支持突起404が貫通するようにシフト鏡筒403に固定されている。強磁性リング406の直径は、付勢マグネット105の外径とシフトユニットの最大シフト量との合計以上に設定されており、シフトユニットのシフト可能範囲において常に所定の間隔をあけて付勢マグネット105と対向している。これにより、シフトユニットと地板ユニットとの間には常に光軸方向における磁気吸引力が作用する。
本実施例では、地板側の支持突起受けを設けていないが、これにより付勢マグネット105の磁気効率が低下するが、部品点数を減少させることができる。
本実施例では、支持部材として、実施例1〜3で用いたボールに代えてシフト鏡筒403に一体的に設けた支持突起404を用いている。こりにより、ボールを用いる場合に比べてシフトユニットのシフトに伴う摩擦は増加するが、部品点数を削減や組み立て性の向上を図ることができる。
なお、本実施例では、地板ユニット(ベース部材および可動部材のうち一方の部材)に付勢マグネットを設け、シフトユニット(ベース部材および可動部材のうち他方の部材)に強磁性リングを設けた。しかし、この関係を逆にして、シフトユニット(一方の部材)に付勢マグネットを設け、地板ユニット(他方の部材)に強磁性リングを設けてもよい。また、支持突起404を、地板101に一体的に形成してもよい。
さらに、上記各実施例では、像振れ補正装置のシフト機構について説明したが、本発明は、像振れ補正装置以外の装置であってベース部材に対して可動部材を移動させる装置(例えば、ステージ装置)のシフト機構にも適用することができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
像振れ補正装置の小型化等に有効なシフト機構を提供することができる。
101 地板
102 補正レンズ
103 シフト鏡筒
104,204 ボール
105,305 付勢マグネット
106,306 シフト鏡筒側ボール受け
102 補正レンズ
103 シフト鏡筒
104,204 ボール
105,305 付勢マグネット
106,306 シフト鏡筒側ボール受け
Claims (9)
- ベース部材と、
該ベース部材に対して第1の方向に移動可能な可動部材と、
前記第1の方向に直交する第2の方向において前記可動部材の前記ベース部材に対する位置決めを行う支持部材と、
前記ベース部材および前記可動部材のうち一方の部材に設けられた磁石部材と、
前記ベース部材および前記可動部材のうち他方の部材に設けられ、前記第2の方向において前記磁石部材との間に磁気吸引力を作用させる強磁性部材とを有し、
前記磁石部材は、前記第2の方向に向かって開口する空間部を有し、
前記支持部材は、前記空間部内に設けられていることを特徴とするシフト機構。 - 前記強磁性部材は、前記第2の方向において前記支持部材の当接を受けることを特徴とする請求項1に記載のシフト機構。
- 前記支持部材は、前記可動部材の移動に伴って前記空間部内において前記第1の方向に転動可能なボールであり、
前記磁石部材は、前記第1の方向において前記ボールと当接することで該ボールの転動範囲を制限することを特徴とする請求項1または2に記載のシフト機構。 - 前記一方の部材に、前記第2の方向において前記ボールの当接を受ける第1の磁石側強磁性部材を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシフト機構。
- 前記磁石部材の外周に配置された第2の磁石側強磁性部材を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシフト機構。
- 前記支持部材が、強磁性材料により形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のシフト機構。
- 前記可動部材を前記ベース部材に対して前記第1の方向に移動させる電磁アクチュエータを有し、
前記他方の部材に設けられた前記強磁性部材は、前記電磁アクチュエータのヨーク部を兼ねていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のシフト機構。 - 前記可動部材は、光学素子または撮像素子を保持し、
前記第1の方向は、前記光学素子の光軸方向に直交する方向または前記撮像素子の受光面に平行な方向であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のシフト機構像。 - 請求項8に記載のシフト機構を備えたことを特徴とする光学機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011135896A JP2013003417A (ja) | 2011-06-20 | 2011-06-20 | シフト機構および光学機器 |
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JP2011135896A JP2013003417A (ja) | 2011-06-20 | 2011-06-20 | シフト機構および光学機器 |
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JP2011135896A Withdrawn JP2013003417A (ja) | 2011-06-20 | 2011-06-20 | シフト機構および光学機器 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014115406A (ja) * | 2012-12-07 | 2014-06-26 | Nidec Copal Corp | レンズ駆動装置 |
CN115225783A (zh) * | 2021-09-23 | 2022-10-21 | 新思考电机有限公司 | 图像传感器驱动装置、照相机装置及电子设备 |
-
2011
- 2011-06-20 JP JP2011135896A patent/JP2013003417A/ja not_active Withdrawn
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