JP2012524087A - 抗egfr物質とigf−1r特異的インヒビターとを使用する組合せ療法 - Google Patents

抗egfr物質とigf−1r特異的インヒビターとを使用する組合せ療法 Download PDF

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Abstract

IGF−1Rアンタゴニスト、例えばヒト化抗体と抗増殖薬との組合せを記載する。好ましい実施形態においては、本発明は、IGF−1R抗体と、EGFRインヒビターのクラスに属する抗増殖薬(これは好ましくはエルロチニブ(erlotinib)である)との組合せを記載する。本発明の組合せは、IGF1Rおよび/またはEGFR媒介性または依存性腫瘍を含む腫瘍の治療に有用である。

Description

本発明は、哺乳動物における抗腫瘍活性を増強するための方法および組成物に関する。より詳しくは、本発明は、ヒトIGF−1Rに特異的に結合する抗体と受容体チロシンキナーゼインヒビターとを含む組合せに関する。特に、本発明は、IGF−1R抗体とチロシンキナーゼインヒビター、特にエルロチニブ(erlotinib)との投与により、非小細胞肺癌および他の癌、例えば膵癌を治療するための組合せ療法(併用療法)に関する。該組合せ又は物質を含む方法および医薬組成物は、それぞれの単独の治療物質の使用に関して観察されるものより優れた腫瘍細胞増殖抑制を引き起こして、個々の成分の単独投与により見出されるものより有効な治療をもたらしうる。特定の態様はエルロチニブ耐性肺癌の治療を提供する。
肺癌は男性における癌による大多数の死亡の原因であり、女性における最も頻繁な癌死亡原因としての乳癌を追い越しつつある。肺癌患者に関する現在の予後は不良である。肺癌死関連死亡率は男性および女性の両方において1930年から10倍増加しており、これは主として喫煙の増加によるものであるが、ヒ素、アスベスト、クロマート、クロロメチルエーテル、ニッケル、多環式芳香族炭化水素および他の物質に対する暴露の増加によるものでもある。Scott,Lung Cancer:A Guide to Diagnosis and Treatment,Addicus Books(2000)およびAlbergら,Kaneら(編)Biology of Lung Cancer,pp.11−52,Marcel Dekker,Inc.(1998)を参照されたい。American Cancer Societyは、2004年に173,550を超える新たな肺癌の症例が生じると推定している。また、2004年に肺癌により推定160,440人が死亡するとしている(ACSウェブサイト:cancer with the extension org of the world wide web)。
肺癌は、肺に生じた原発腫瘍、または別の器官(例えば、腸または***)から広がった続発腫瘍から生じうる。12を超えるタイプの肺癌が存在するが、90%以上は、2つの範疇、すなわち、小細胞肺癌(SCLC)および非小細胞肺癌(NSCLC)に含まれる。Scott(前記)を参照されたい。70〜80%はNSCLCと診断される。「NSCLC」なる語は以下の細胞型を含む:類表皮癌細胞、腺癌細胞および大未分化癌細胞。肺癌の診断は、通常、組織の生検により確認される。
治療アプローチおよび自然史はこれらの2つの疾患で異なる。米国における肺癌の症例の大多数(80%)はNSCLCである。NSCLCおよびSCLCの両方に関する重要な臨床的および予後的因子の理解が過去20年間で進展したが、治療結果の改善は最低限度にとどまっている。
NSCLSは一般に以下の3つの型に分類される:扁平上皮癌、腺癌および大細胞癌。扁平上皮癌および腺癌は共に、気道を裏打ちする細胞から発生するが、腺癌は、粘液を産生する杯細胞から発生する。大細胞肺癌は、顕微鏡で見た場合に該細胞が大きく且つ円く見えるため、そのように命名されたのであり、一般に、比較的未分化であると考えられている。Yesner,Atlas of Lung Cancer,Lippincott−Raven(1998)を参照されたい。非小細胞癌は4つの病期に分類されうる。I期は、リンパ節に癌を伴わない、非常に限局した癌である。II期の癌は罹患肺の上部のリンパ節に広がっている。癌の病期は該癌の出発場所の近くに広がっている。これは胸壁、肺の被覆部(胸膜)、胸の中央部(縦隔)または他のリンパ節まででありうる。IV期の癌は身体の別の部分にまで広がっている。I期〜III期の癌は、通常、化学療法を伴って又は伴わずに、手術で治療される。IV期の癌は、通常、化学療法および/または緩和ケアで治療される。
幾つかの染色体異常および遺伝的異常が肺癌において観察されている。NSCLCにおいては、3p、9p、11p、15pおよび17p上で染色体異常が記載されており、染色体7、11、13および19上で染色体欠失が認められている。Skarin(編),Multimodality Treatment of Lung Cancer,Marcel Dekker,Inc.(2000);Gemmillら,pp.465−502,Kane(前掲);Bailey−Wilsonら,pp.53−98,Kane(前掲)を参照されたい。SCLCにおいては1p、3p、5q、6q、8q、13qおよび17p上に染色体異常が記載されている。また、SCLC腫瘍の90%以上およびNSCLC腫瘍の約50%で染色体3pの短腕の喪失も認められている。
幾つかの癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子が肺癌に関連づけられている。Mabry,pp.391−412,Kane(前掲)およびSclafaniら,pp.295−316,Kane(前掲)を参照されたい。SCLCおよびNSCLCのどちらにおいても、肺癌の50%以上でp53腫瘍抑制遺伝子が突然変異している。Yesner(前掲)を参照されたい。もう1つの腫瘍抑制遺伝子であるFHITは染色体3p上で見出され、喫煙により突然変異する(同誌;Skarin,前掲)。また、SCLCの95%以上およびNSCLCの約20〜60%は、もう1つの腫瘍抑制遺伝子である網膜芽細胞腫(Rb)タンパク質を有さないか又はその異常を有する。ras癌遺伝子(特にK−ras)はNSCLC検体の20〜30%において突然変異しており、c−erbB2癌遺伝子は2期NSCLC検体の18%および4期のNSCLC検体の60%において発現される。Van Houtte(前掲)を参照されたい。染色体9の領域、特に9p21の領域で見出される他の腫瘍抑制遺伝子は、p16.sup.INK4Aおよびpl5.sup.INK4Bを含む多数の癌細胞において欠失している。Bailey−Wilson(前掲);Sclafaniら(前掲)を参照されたい。これらの腫瘍抑制遺伝子は肺癌の発生病理にも関連づけられている。
また、多数の肺癌細胞は、肺癌細胞上で自己分泌またはパラ分泌様態で増殖因子を産生する。Siegfriedら,pp.317−336,Kane(前掲)、Moody,pp.337−370,Kane(前掲)およびHeasleyら,371−390,Kane(前掲)を参照されたい。多数のNSCLC腫瘍は上皮増殖因子(EGF)受容体を発現して、EGFに応答してNSCLC細胞が増殖するのを可能にする。インスリン様増殖因子(IGF−1)はNSCLC腫瘍の80%以上において上昇し、それは自己分泌増殖因子として機能すると考えられている。
肺癌の症例の大多数は喫煙に起因すると考えられるが、ほとんどの喫煙者は肺癌に罹患しない。肺癌に対する感受性はメンデル遺伝する可能性があり、したがって、遺伝する遺伝的成分を有しうる、と疫学的証拠は示唆している(Bailey−Wilson,前掲)。したがって、幾つかの遺伝子座における或る対立遺伝子変異体が肺癌に対する感受性に影響を及ぼしうると考えられる。
肺癌に対する現在の療法は非常に限られたものである。一般に、患者の選択肢は手術、放射線療法および化学療法を含む。
肺癌のほとんどの症例は化学療法および放射線療法によっては治癒できない。肺癌のタイプおよび病期に応じて、腫瘍を幾らかの周辺肺組織と共に除去するために手術が用いられうる。肺葉切除術は、肺の葉(断片)が除去されることを意味する。肺全体が除去される場合、該手術は肺切除術と称される。葉の一部だけの除去は区域切除術またはけつ状切除術として公知である。
実際、NSCLC患者の唯一の治療選択肢は、腫瘍が尚も限局している初期病期(IおよびII)の患者における局所療法(外科的切除または局所照射)である。しかし、診断時に、NSCLC患者の大多数は、進行した疾患を有し、これは手術だけでは治癒できない。進行期の疾患において、全身化学療法および/または照射は目的の応答および症状の一時的軽減をもたらすが、それらは生存における限られた改善をもたらすに過ぎない。切除不能な疾患を有する患者の余命の中央値は6〜12ヵ月である。IIIBおよびIV期のNSCLCの2年間の生存率はそれぞれ10.8および5.4%である。同様に、5年間の生存率は3.9および1.3%である。
癌が脳にまで広がった場合、脳転移の除去が有益かもしれない。これは頭蓋手術(頭蓋内の孔からの手術)を含む。
放射線療法には、幾つかの方法が存在する。外部ビーム放射線療法は、癌に集中して体外から発せられる放射線を使用する。このタイプの放射線療法は、原発肺癌または他の器官へのその転移を治療するために最も頻繁に用いられる。
また、手術中に見えない又は除去できない非常に小さな癌沈着を死滅させるための術後治療として放射線療法が用いられうる。放射線療法は、疼痛、出血、咀嚼困難および脳転移により引き起こされる問題のような肺癌の症状を一時的に軽減(緩和)するためにも用いられうる。
化学療法では、シスプラチンまたは関連薬カルボプラチンが、NSCLCの治療において最も頻繁に使用される化学療法剤である。パクリタキセル(paclitaxel)(タキソール(Taxol))、ドセタキセル(docetaxel)(タキソテレ(Taxotere))、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、ビノレルビン(vinorelbine)およびゲムシタビン(gemcitabine)を含む他の新規化合物がNSCLCの治療に利用可能である。これらの薬物は従来の化学療法剤(エトポシド(etoposide)、シスプラチン(cisplatin)およびカルボプラチン(carboplatin))と比べて改善されているが、全体的な治癒率は依然として低い。
上皮増殖因子受容体(EGFR)は、EGFR(ErbB1)、HER2/neu(ErbB2)、HER3(ErbB3)およびHER4(ErbB4)を含む密接に関連した増殖因子受容体チロシンキナーゼのファミリーのメンバーである。リガンド結合に際して、これらの受容体はホモ二量体またはヘテロ二量体を形成して、自己リン酸化ならびにそれに続く細胞内シグナリングカスケード、例えばホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)/Akt、MAPK/ErkおよびJak/Statシグナリング経路の活性化を招き、それらは細胞の増殖、生存およびトランスフォーメーションならびに治療抵抗性において主要な役割を果たしている。
EGFRの下流では、PI3K経路が細胞の生存および増殖の調節において決定的に重要な役割を果たしている。ErbB3受容体はPI3K経路の活性化において特有の役割を果たしている。ErbB3は弱いチロシンキナーゼ活性を有するか、またはチロシンキナーゼ活性を有さないが、EGFRとのヘテロ二量体形成に際して、それはチロシン残基上でリン酸化される。チロシン−リン酸化ErbB3はPI3Kに直接的に結合し、それを活性化する。PI3K/Aktシグナリングは、TKI感受性NSCLCにおいて、EGFRにより厳密に調節され、EGFR TKIは、それが増殖をも抑制するNSCLC細胞系においてのみ、PI3K/Akt経路をダウンレギュレーションすることを、研究は示している(Engelman,J.A.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102,3788−3793(2005))。
EGFRは非小細胞肺癌(NSCLC)の大多数で発現されるため、それは治療剤の開発のための魅力的な標的となっている。ゲフィチニブ(gefitinib)およびエルロチニブ(erlotinib)を含む小分子EGFRチロシンキナーゼインヒビター(TKI)がNSCLC患者に関する臨床治験において評価されている。どちらの物質も全NSCLC患者の10%〜20%において部分的な応答をもたらす。EGFRの突然変異および/または増幅を有する肺癌は、十中八九、EGFRインヒビターに応答して縮小する。EGFR遺伝子における体細胞突然変異の活性化がNSCLC患者において特定されている。これらの「機能獲得(gain−of−function)」突然変異は、対応受容体のチロシンキナーゼドメインのATP結合ポケットをコードする領域の周辺に密集している置換または短いインフレームの欠失もしくは挿入である。そのような癌においては、EGFRは決定的に重要な増殖および生存シグナリング経路の主要アクチベーターであり、したがってこれらの癌はEGFR活性に依存している。これらの中心的な増殖および生存シグナリング経路は、EGFRインヒビターにさらされると中断され、アポトーシスおよび/または細胞周期停止を引き起こす。
最近のデータは、細胞増殖、アポトーシス、血管新生および転移に関与するシグナリング経路を標的化する新規治療アプローチが研究中であることを示唆している。多数の潜在的標的経路のうち、上皮増殖因子(EGF)受容体(EGFR)シグナリング経路が最も詳細に研究されている。なぜなら、非小細胞肺癌(NSCLC)の40%〜80%を含む幾つかの充実性腫瘍においてEGFRの過剰発現が観察されているからである。前記のとおり、研究者は、上皮増殖因子受容体(EGFR)を妨げる物質を現在試験している。なぜEGFRかというと、1つには、非小細胞肺癌を含む多数のタイプの癌の表面上でそれが異常に高いレベルで発現されるからである。これらの実験的EGFRインヒビターの具体例としては、ゲフィチニブ(gefitinib)(イレッサ(Iressa(登録商標)))、セツキシマブ(cetuximab)(エルビツクス(Erbitux(登録商標)))およびエルロチニブ(erlotinib)(タルセバ(Tarceva(登録商標)))が挙げられる。
MAPKシグナリング経路における決定的に重要な下流シグナリング成分であるKRAS遺伝子における活性化突然変異によるエルロチニブ(erlotinib)またはEGFR抑制療法に対する耐性(抵抗性)が臨床において観察されている(Pao,W.ら,PLoS Med.2,e73(2005))。エルロチニブ療法に対する獲得耐性はEGFRエキソン20における二次突然変異(T790M)に臨床において関連づけられている。また、最近の研究は、ERB3をリン酸化してエルロチニブ療法に対する耐性を付与するRTKであるcMETを特定している。
しかし、EGFR TKIに対する全体的な応答率は限られたものであり、該薬物に対する耐性をもたらすメカニズムは十分には理解されていない。ゲフィチニブ(gefitinib)およびエルロチニブ(erlotinib)を含む小分子EGFRチロシンキナーゼインヒビター(TKI)はNSCLC患者に関して臨床治験において評価されている。どちらの物質も全NSCLC患者の10%〜20%において部分的な応答を示す。2004年に、研究者は、予め治療されたNSCLC患者を含む第II相治験で参加者の12%における腫瘍がエルロチニブでの治療に応答したと報告した。しかし、エルロチニブが患者の生存の延長に寄与したかどうかは不明であった。
2004年に、非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者を含む幾つかの第II相臨床治験は、標準的な化学療法とEGFRインヒビター(ゲフィチニブ(gefitinib)またはエルロチニブ(erlotinib))の投与とを受けた患者が、化学療法のみを受けた患者の場合と同様の結果を示したに過ぎないことを報告した。しかし、同じ年に、カナダの第III相治験の研究者は、もはや化学療法に応答しない癌を有するNSCLC患者が、プラセボを摂取した場合より約2ヶ月長く生存することに、エルロチニブが寄与したことを報告した。
エルロチニブ(erlotinib)は、患者が、全体として、より長く生存することに寄与しなかった。生存期間の中央値は、エルロチニブを摂取した患者では10.6ヶ月であったのに対して、プラセボ群では10.5ヶ月であった。また、どちらの患者群もほぼ同じ「進行時間」(癌が悪化するまでに要する時間)を示した:エルロチニブ群では5.1ヶ月、プラセボ群では4.9ヶ月。前記の抗癌化合物は当分野に多大な貢献をしているが、改良された抗癌医薬がこの技術分野において絶えず探索されている。
エルロチニブ(erlotinib)は細胞膜上でEGFR/IGF−IRヘテロ二量体形成を誘導して、IGF−IRならびにその下流メディエーターPI3K/Aktおよびp44/42 MAPKを介して生存シグナルを伝達して、EGFRおよび抗アポトーシス性サービビン(survivin)タンパク質のラパマイシン哺乳類標的(mTOR)媒介合成を刺激する、と研究者は仮定している。したがって、IGF−IRの不活性化、mTOR媒介タンパク質合成の抑制、またはサービビンタンパク質のノックダウンは、EGFRを過剰発現するNSCLC細胞を、エルロチニブ治療に対して感受性にする。Floriana Morgilloら,Cancer Research 66,10100−10111,2006年10月15日を参照されたい。
しかし、MAPKシグナリング経路における決定的に重要な下流シグナリング成分であるKras遺伝子における活性化突然変異によるエルロチニブ(erlotinib)またはEGFR抑制療法に対する耐性が臨床において観察されている(Pao,W.ら,PLoS Med.2,e73(2005))。また、エルロチニブ療法に対する獲得耐性はEGFRエキソン20における二次突然変異(T790M)に臨床において関連づけられている。また、最近の研究は、ERB3をリン酸化してエルロチニブ療法に対する耐性を付与するRTKであるcMETを特定している。
最近、IGF1Rシグナリング経路の活性化が、EGFR TKIであるゲフィチニブ(Gefitinib)に対する耐性の媒介に関連づけられた(Guix Mら,J Clin Invest.118(7):2609−2619(2008))。その著者は、ゲフィチニブ耐性(GR)ヒト扁平 上皮癌A431細胞を、漸増量の該インヒビターと共にA431細胞を長時間インキュベートすることにより、単離した。GR細胞においては、該インヒビターはEGFR、ErbB3およびErkのリン酸化レベルを減少させたが、Aktのリン酸化レベルは減少させなかった。この適応変化は、IRS−1のリン酸化およびPI3KとのIRS−1の相互作用のようなIGF−1受容体(IGF−1R)により媒介されるシグナリング事象の活性化を伴っていた。該著者は続いて、IGF−IRの抑制がPI3KとのIRS−1の会合を妨げること、ならびにIGF−IRの抑制が、ゲフィチニブがAktリン酸化を軽減し細胞増殖を抑制する能力を回復させることを示した(図1A)。他の研究者は、細胞における複数の受容体チロシンキナーゼ活性化がタルセバ(Tarceva)に対する薬物耐性に関与しうると仮定している。実際、EGFRおよびcMETの活性化がタルセバ耐性患者からの臨床サンプルにおいて観察されている。Biochemical and Biophysical Research Commnications,355(3):700−706(2007年4月)をも参照されたい。
インスリン様増殖因子(IGF)、例えばインスリン様増殖因子IおよびIIが、腫瘍細胞のような種々の細胞型に対する***促進活性の発現に関連づけられている。IGFはインスリンに構造的に類似しており、種々の疾患および損傷における治療手段として関連づけられている。インスリン様増殖因子I(IGF−I)は、8.4のpIを有する7649ダルトンのポリペプチドであり、血漿中を高濃度で循環し、ほとんどの組織において検出可能である(RinderknechtおよびHumbel,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,73:2365(1976);RinderknechtおよびHumbel,J.Biol.Chem.,253:2769(1978))。IGF−Iは細胞分化および細胞増殖を刺激し、持続的増殖のためにはほとんどの哺乳類細胞型に要求される。これらの細胞型には、とりわけ、ヒト二倍体繊維芽細胞、上皮細胞、平滑筋細胞、Tリンパ球、神経細胞、骨髄性細胞、軟骨細胞、骨芽細胞および骨髄幹細胞が含まれる。これらの増殖因子のそれぞれは、インスリン様増殖因子受容体1(IGF1R)と称される共通の受容体に結合することにより、その***促進効果を発現する(Sepp−Lorenzino,(1998)Breast Cancer Research and Treatment 47:235)。Klapperら,(1983)Endocrinol.112:2215およびRinderknechtら,(1978)Febs.Lett.89:283も参照されたい。IGF(IGF−1、IGF−2およびIGF変異体)の作用および活性に関する大量の文献が存在する。Van Wykら,Recent Prog.Horm.Res.,30:259(1974);Binoux,Ann.Endocrinol.,41:157(1980);ClemmonsおよびVan Wyk,Handbook Exp.Pharmacol.,57:161(1981);Baxter,Adv.Clin.Chem.,25:49(1986);米国特許第4,988,675号;WO 91/03253;WO 93/23071を参照されたい。
IGF系はIGF−1、IGF−2およびインスリンに対する膜結合受容体から構成される。1型IGF受容体(IGF−1R)は構造においてインスリン受容体(IR)に密接に関連しており、そのシグナリング経路の一部を共有しており(JonesおよびClemmons,Endocr.Rev.,16:3−34(1995);Ullrichら,Cell 61:203 212,1990)、構造的にインスリン受容体に類似している(Ullrichら,EMBO J.5:2503 2512,1986)。IGF−I受容体は以下の2つのタイプのサブユニットから構成される:アルファサブユニット(全体的に細胞外に存在しリガンド結合において機能する130 135kDのタンパク質)、およびベータサブユニット(膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを有する95kDの膜貫通タンパク質)。IGF−IRは、まず、単一鎖プロ受容体ポリペプチドとして合成され、これはグリコシル化、タンパク質分解および共有結合によりプロセッシングされて、2つのアルファサブユニットと2つのベータサブユニットとを含む460kDの成熟ヘテロ四量体へと合体する。該ベータサブユニットはリガンド活性化チロシンキナーゼ活性を有する。この活性は、該ベータサブユニットの自己リン酸化およびIGF−IR基質のリン酸化を含む、リガンド作用をもたらすシグナリング経路に関与する。
IGF−IRはIGF IおよびIGF IIにはナノモル濃度のアフィニティー(例えば、1×10〜9nMのKd)で結合するが、インスリンには100〜1000倍低いアフィニティーで結合しうる。代表的なナノモル濃度のアフィニティー値はFEBS Letters,vol.565,p.19−22(2004)(その内容の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に見出されうる。
インビトロおよびインビボでの腫瘍細胞の維持におけるIGF−Iおよび/またはIGF−IRの役割に関する相当な証拠が存在する。例えば、「高い正常」レベルのIGF−Iを有する個体は、「低い正常」範囲のIGF−Iレベルを有する個体と比較して増加した、一般的な癌のリスクを有する(Rosenら,Trends Endocrinol.Metab.10:136 41,1999)。種々のヒト腫瘍の増殖においてIGF−I/IGF−I受容体相互作用が果たす役割の総説としては、Macaulay,Br.J.Cancer,65:311 320,1992を参照されたい。IGF−1Rシグナリングは、正常細胞の増殖および発生において中心的な役割を果たしていることに加えて、腫瘍細胞の増殖、細胞トランスフォーメーションおよび腫瘍形成において決定的に重要な役割を果たすことにも関連づけられている。Baserga,Cancer Res.,55:249−252(1995)を参照されたい。総説としては、Khandwalaら,Endocr.Rev.21:215−244(2000);DaughadayおよびRotwein,Endocrine Rev.,10:68−91(1989)を参照されたい。最近のデータは、IGF−IRが多種多様な腫瘍および腫瘍系において発現され、IGFがIGF−IRへのその結合により腫瘍増殖を増幅するという結論を導いている。実際、該トランスフォーメーションにおいてIGF−IRにより果たされる主要な役割を明らかに示している決定的な発見は、IGF−IRをコードする遺伝子が不活性化されているR−細胞が、通常は該細胞をトランスフォームしうる種々の因子(例えば、ウシパピローマウイルスのE5タンパク質、EGFRの又はPDGFRの過剰発現、SV40のT抗原、活性化ras、あるいはこれらの2つの最後の因子の組合せ)によるトランスフォーメーションに対して完全に治療抵抗性であるという実証である(Sell C.ら,Proc.Natl.Acad.Sci,USA,90:11217−11221,1993;Sell C.ら,Mol.Cell.Biol.,14:3604−3612,1994;Morrione A.J.,Virol.,69:5300−5303,1995;Coppola D.ら,Mol.Cell.Biol.,14:4588−4595,1994;DeAngelis Tら,J.Cell.Physiol,164:214−221,1995)。この仮定を支持する他の重要な例は、IGF−1Rに対するアンチセンスRNAでの治療によるマウス癌細胞の転移表現型の喪失(Longら,Cancer Res.,55:1006−1009(1995))、ならびにIGF−1R抗体の添加によるヒトメラノーマ細胞運動性(Strackeら,J.Biol.Chem.,264:21554−21559(1989))の及びヒト乳癌細胞増殖のインビトロ抑制(Rohlikら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,149:276−281(1987))を含む。
発癌におけるIGF−IRの役割を支持する他の論拠は、該受容体に対するマウスモノクローナル抗体を使用した又はIGF−IRのネガティブドミナントを使用した研究によるものである。実際、IGF−IRに対するマウスモノクローナル抗体は培養内の多数の細胞系の増殖およびインビボでの腫瘍細胞の成長を抑制する(Arteaga C.ら,Cancer Res.,49:6237−6241,1989;Liら,Biochem.Biophys.Res.Com.,196:92−98,1993;Zia Fら,J.Cell.Biol.,24:269−275,1996;Scotlandi Kら,Cancer Res.,58:4127−4131,1998)。同様に、IGF−IRのネガティブドミナントは腫瘍増殖を抑制しうることが、Jiangら(Oncogene,18:6071−6077,1999)の研究において示されている。
IGF−IRレベルは肺の腫瘍において上昇する(Kaiserら,J.Cancer Res.Clin.Oncol.119:665 668,1993;Moodyら,Life Sciences 52:1161 1173,1993;Macauleyら,Cancer Res.,50:2511 2517,1990)。
前記のとおり、多数の治療剤は、第一線級の療法として、あるいは他の治療剤が第二線級および第三線級の治療剤として失敗に終わった場合に限り、組合せて使用(併用)されることが推奨される。多数の化合物が治療用の治験に現在付されているか、それを完了しているが、早期段階の及び進行または転移した肺癌を治療しうる追加的な治療用化合物が大いに必要とされている。
肺癌患者の5年生存率は依然として極めて不良であり(15)、より有効な治療法の必要性が強調されている。NSCLC、特にエルロチニブ(Erlotinib)耐性癌を治療するための有効な療法を開発するための試みは、これまでに報告されていない。この必要性を満たす新規組合せ治療剤または組合せ治療計画を本明細書中に記載する。
本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な説明および実施例(具体例)から明らかであろう。
発明の概括
本発明は、抗チロシンキナーゼインヒビターと、ヒトインスリン様増殖因子受容体1型(IGF−1R)に特異的に結合する抗体との組合せを投与することによる、哺乳動物(典型的にはヒト)における癌の治療のための改良された組合せ治療剤および方法を提供する。
本発明の1つの態様においては、該チロシンキナーゼインヒビターはエルロチニブ(Erlotinib)である。
本発明のもう1つの態様においては、該IGF−1R抗体は、抗IGF−1R抗体であるMK−0646である。
本発明の更にもう1つの態様においては、該組合せの投与は、チロシンキナーゼヒンヒビターの単独投与と比較して増強した治療効力をもたらす。
本発明の更にもう1つの態様においては、該チロシンキナーゼインヒビターは、典型的には、該IGF−1R抗体(MK−0646)の投与の前またはそれと同時に、経口投与される。
本発明のもう1つの態様においては、該抗IGF−R抗体は、該チロシンキナーゼインヒビターの投与の前、それと同時またはその後に投与されうる。該抗IGF−1R抗体は、非経口、例えば皮下、腫瘍内、静脈内、皮内、経口、経粘膜または直腸投与により投与されうる。特定の作用理論に束縛されるものではないが、抗IGF−1R抗体の投与によるIGF−1R媒介シグナリングカスケードの遮断は、天然IGF−1Rリガンドの該受容体への結合に伴う該シグナリングカスケードを負にモジュレーションすることにより、抗腫瘍免疫を増強すると考えられる。
更にもう1つの実施形態においては、本発明は、治療的有効量のIGF1Rインヒビターの1以上またはその医薬組成物を対象に投与することを含む、該対象における治療または予防方法を提供する。1つの実施形態においては、該IGF1Rインヒビターは、
Figure 2012524087
およびIGF1R(例えば、ヒトIGF1R)に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合性フラグメントからなる群から選択される。1つの実施形態においては、該抗体は、ダロツズマブ(Dalotuzumab)または本明細書において例えば後記「IGF1Rインヒビター」の節に記載されているいずれかの他のIGF1Rインヒビターを含む。1つの実施形態においては、IGF1Rインヒビターを1以上の他の抗癌化学療法物質(抗癌化学療法剤)またはその医薬組成物と組合せて投与する。
1つの実施形態においては、そのような他の抗癌化学療法物質は、テニポシド(teniposide)
Figure 2012524087
、シスプラチン(cisplatin)
Figure 2012524087
、カルボプラチン(carboplatin)
Figure 2012524087
、エトポシド(etoposide)
Figure 2012524087
、ドキソルビシン(doxorubicin)
Figure 2012524087
、そのいずれかのリポソーム製剤、例えばケリックス(Caelyx)または
ドキシル(Doxil(登録商標))、シクロホスファミド(cyclophosphamide)
Figure 2012524087
、13−シス−レチノイン酸
Figure 2012524087
、イフォスファミド(ifosfamide)
Figure 2012524087
ゲムシタビン(gemcitabine)
Figure 2012524087
、イリノテカン(irinotecan)
Figure 2012524087
、ビンクリスチン(vincristine)
Figure 2012524087
、ダクチノマイシン(dactinomycin)
Figure 2012524087
、メトトレキセート(methotrexate)
Figure 2012524087
および本明細書において例えば後記「他の化学療法物質」の節に記載されているいずれかの他の化学療法物質からなる群から選択されるメンバーである。1つの実施形態においては、本明細書に記載されている任意の抗IGF1R抗体の投与量は約1〜20mg/kg体重または40〜1000mg/mの範囲である。1つの実施形態においては、該IGF1Rインヒビターおよび前記の他の抗癌療法物質を同時に投与する。1つの実施形態においては、該IGF1Rインヒビターおよび前記の他の抗癌療法物質を非同時に投与する。1つの実施形態においては、該抗体はIgG定常領域を含む。1つの実施形態においては、該対象はヒト(例えば、小児)である。1つの実施形態においては、該IGF1Rインヒビターを抗癌治療手法と組合せて投与する。1つの実施形態においては、該抗癌治療手法は外科的腫瘍摘出術および/または抗癌放射線治療である。
本発明の1つの実施形態においては、該抗IGF1R抗体またはその抗原結合性フラグメントは、本明細書に記載されているとおり、1以上の2.12.1 fxCDR(例えば、3つの軽鎖CDRおよび/または3つの重鎖CDR)を含む。
本発明は更に、本明細書に記載されている説明に従い使用するためのEGFRインヒビターと抗IGF−1Rアンタゴニストとを含む組成物およびキットを提供する。
本明細書中で用いる「抗体」なる語は、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ、一本鎖、二重特異性およびヒト化または最適化抗体、ならびにFabフラグメント、例えば、IGF−1Rタンパク質に対する抗体の結合特異性を維持しているフラグメント、例えば、本発明の抗体により結合されるものと同じエピトープを発現するそのフラグメントを含む。
本発明の他の特徴および利点は、実施例および図面(その説明は後記に記載されている)を含む以下の説明において見出される。
発明の詳細な説明
精力的な研究の結果として、本発明者らは、抗IGF−1R抗体またはその医薬上許容される塩をチロシンキナーゼインヒビターと組合せて使用することにより、相乗的に優れた抗癌活性が得られうることを見出した。該IGF−1R抗体は、ダロツズマブ(dalotuzumab)、フィジツムマブ(figitumumab)、シクスツムマブ(cixutumumab)、SHC 717454、Roche R1507、EM 164またはAmgen AMG479の1つである。
本発明の広範な態様は哺乳動物における抗腫瘍応答の増強方法に関する。本発明は、非小細胞肺癌、乳癌、結腸直腸癌、軟部組織または骨肉腫および子宮内膜癌からなる群から選択される癌の治療において特に有用である。しかし、本発明は、種々の他の癌、例えば脳癌、頚脳(cervicocerebral)癌、食道癌、甲状腺癌、小細胞肺癌、肺癌、胃癌、胆嚢/胆道癌、肝癌、膵癌、卵巣癌、絨毛癌、子宮体癌、子宮頚癌、腎盤/尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、陰茎癌、精巣癌、胎児癌、ウィルムス癌、皮膚癌、悪性黒色腫、神経芽腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病およびホジキンリンパ腫の治療において有用であろう。より詳しくは、本発明は、チロシンキナーゼインヒビターと抗IGF−1R抗体とを含む組合せ、およびNSCLCを治療するための該組合せの投与方法に関する。
定義および一般的技術
本明細書中で言及されている参考研究、特許、特許出願および科学文献(GenBankデータベース配列へのアクセッション番号を含む)は当業者の知見を確定するものであり、それぞれが参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同等に、それらの全体を参照により本明細書に組み入れることとする。本明細書中で引用されているいずれかの参考文献と本明細書の具体的な教示との間の矛盾は、後者を優先して解決されるものとする。同様に、当技術分野で理解されている用語の定義と、本明細書において具体的に教示されている用語の定義との間の矛盾は、後者を優先して解決されるものとする。また、本明細書で用いられる術語は、専ら個々の実施形態を説明することを目的としたものであり、添付の特許請求の範囲のみにより限定される本発明の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる単数形は、文脈に明らかに矛盾しない限り、複数形指示物を含むことに注目する必要がある。したがって、例えば、「遺伝的改変」に対する言及は複数のそのような改変を含み、「プローブ」に対する言及は1以上のプローブおよび当業者に公知のその均等物に対する言及を含む、などである。
本明細書中に記載されている全ての刊行物を、該刊行物の引用対象である方法および/または材料を開示し記載するために、参照により本明細書に組み入れることとする。本明細書中に引用されている刊行物は、本出願の出願日の前のそれらの開示に関して引用されている。この場合、より早い優先日または先行する発明日に基づいて本発明者らが該刊行物に先行すると主張する権利がないと自認するものと解釈されるべきではない。さらに、実際の公開日は、示されているものとは異なる可能性があり、独立した証明を要する。
本明細書中で特に示されている場合を除き、本発明に関して用いられている科学技術用語は、当業者に一般に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈に矛盾する場合を除き、単数形の語は複数物を含むものとし、複数形の語は単数物を含むものとする。一般に、本明細書に記載されている細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学ならびにタンパク質および核酸化学およびハイブリダイゼーションに関して及びそれらの技術において用いられている用語体系は、当技術分野においてよく知られており一般に用いられているものである。特に示さない限り、本発明の方法および技術は、一般に、当技術分野でよく知られている通常の方法に従って行われ、また、本明細書の全体にわたって引用され記載されている種々の一般的およびより具体的な参考文献に記載されているとおりに行われる。例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)ならびにAusubelら,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)ならびにHarlowおよびLane Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)(それらを参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい。酵素反応および精製技術は、本明細書に記載されているとおり、または当技術分野において一般に行われているとおり、製造業者の説明に従って行われる。分析化学、合成有機化学および医薬化学に関して用いられている用語体系、ならびにそれらの実験手法および技術は、当技術分野においてよく知られており一般に用いられているものである。化学合成、化学分析、医薬の製造、製剤化(処方)および運搬ならびに患者の治療には、標準的な技術が用いられる。
以下の用語は、特に示さない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
本発明の目的においては、組織サンプルの「切片」は、組織サンプルの単一部分または断片、例えば、組織サンプルから切り出された組織または細胞の薄片を意味する。組織サンプルの複数の切片が、本発明に従い、採取され分析に付されうると理解される。
「癌」または「悪性疾患」は同義語として用いられ、制御されていない異常な細胞増殖、罹患細胞が局所的に又は血流およびリンパ系を介して他の身体部位へ広がる(すなわち、転移する)能力、ならびに幾つかの特徴的な構造的および/または分子的特徴のいずれかにより特徴づけられる幾つかの疾患のいずれかを意味する。「癌性」または「悪性細胞」は、特異的構造的特性を有し分化能を欠き浸潤し転移しうる細胞と理解される。癌の具体例としては、腎癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌および肝癌が挙げられる(DeVita,V.ら(編),2001,Cancer Principles And Practice Of Oncology,6.sup.th Ed.,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,Pa.を参照されたい;この参考文献の全体をあらゆる目的で参照により本明細書に組み入れることとする)。より詳しくは、実施例(具体例)は、本明細書に詳細に記載されている組合せ療法を用いるNSCLCの治療を詳細に記載しているが、「癌」なる語はそれに限定されない。それは、IGF−1R依存性でありEGFR依存性である全ての腫瘍を含む。このタイプの典型的な癌は、例えば膵癌を含む。
癌細胞の特徴の1つは、宿主により制御できない様態で増殖(成長)する傾向であるが、個々の癌細胞に関連した病態はいずれの形態をもとりうる。原発癌細胞(すなわち、悪性トランスフォーメーションの部位の近くから得られる細胞)は、十分に確立された病理学的技術、特に組織学的検査により、非癌細胞から容易に識別されうる。本明細書中で用いる癌細胞の定義は、原発癌細胞だけでなく、癌細胞祖先に由来する任意の細胞をも含む。これは転移癌細胞、ならびに癌細胞に由来するインビトロ培養および細胞系を含む。
細胞系−−「細胞系」または「細胞培養」は、インビトロで増殖または維持された、より高等な真核細胞を意味する。細胞の後代(子孫)は(形態学的に、遺伝子型において、または表現型において)親細胞と完全に同一でなくてもよいと理解される。「未培養(uncultured)」として記載されている細胞は、生きた生物から直接的に得られ、該生物から、限られた長さの時間にわたって(該細胞が実質的な複製を受けるのに十分な程度に長くはない時間またはそのような条件下)維持されている。
本出願において用いる疾患の「診断」は、例えば、IGF−1Rの発現に関連した又は該発現によりもたらされる病的過増殖性発癌障害の存在を診断または検出すること、該疾患の進行をモニターすること、およびIGF−1Rの発現に関連した障害の指標となる細胞またはサンプルを特定または検出することを含むと意図される。診断(する)、検出(する)、特定(する)などの語は本明細書においては互換的に用いられる。
本明細書中で用いる「病変」−−宿主細胞における癌細胞により引き起こされる「病変」は、該宿主の健常な生理的状態を損なうあらゆるものである。これは、癌細胞の異常または制御不能な増殖(成長)、転移、IGF−1R含有細胞の発現レベルの増加、または不適当なレベルの他の産物、その生理的環境に不適当な機能の発現、隣接細胞の正常機能の阻害、炎症または免疫応答の悪化または抑制、あるいは望ましくない化学物質または侵襲性生物の存在を含みうるが、これらに限定されるものではない。
個体または細胞の「治療(処理)」は、該個体または細胞の未治療(未処理)経過を改変するための任意のタイプの介入である。例えば、個体の治療は、該個体に存在する癌により引き起こされる病変を軽減または抑制するために行われうる。治療(処理)は、a)組成物または組合せ療法(治療用物質)、例えば、IGF−1R特異的mAbとチロシンキナーゼインヒビターとを含む医薬組成物の投与を含むが、これに限定されるものではない。「治療(処理)」なる語は、該生物において治療効果をもたらすこと、および少なくとも部分的には異常状態を軽減または阻止することを意味する。治療(処理)は、腫瘍の増殖(成長)の抑制、抑制された腫瘍増殖の維持、および寛解の誘導を含む。
「予防」なる語は、生物が異常状態に罹患する又は異常状態を発生する可能性を減少させることを意味する。
本明細書中で用いる「約」なる語は、許容されうる範囲内の、示されている値の近似値を意味する。好ましくは、該範囲は、示されている値の+/−5%である。
「または」なる語は、文脈に明らかに矛盾しない限り、本明細書においては「および/または」なる語を意味するものとして用いられ、「および/または」なる語と互換的に用いられる。
「IGF1R」、「IGFR1」、「インスリン様増殖因子受容体−I」および「インスリン様増殖因子受容体I型」なる語は当技術分野でよく知られている。IGF−1Rは任意の生物に由来しうるが、それは好ましくは動物に由来し、より好ましくは哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジまたはイヌ)に由来し、最も好ましくはヒトに由来する。典型的なヒトIGF−1R前駆体のヌクレオチドおよびアミノ酸配列はGenbank(例えば、Gene ID 3480またはNM000875)において入手可能である。該前駆体の切断(例えば、アミノ酸710と711との間におけるもの)はαサブユニットおよびβサブユニットを与え、これらは会合して成熟受容体を形成する。
「免疫グロブリン」は四量体分子である。天然に存在する免疫グロブリンにおいては、各四量体は、ポリペプチド鎖の、2つの同一ペアから構成され、各ペアは1つの「軽」鎖(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50 70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識をもたらす約100〜110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分はカッパおよびラムダ軽鎖として分類される。重鎖はミュー、デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンとして分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとしての、抗体のイソタイプを定める。軽鎖および重鎖においては、可変領域および定常領域は約12個以上のアミノ酸の「J」領域により連結されており、重鎖は約10個以上のアミノ酸の「D」領域をも含む。全般的には、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.編,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))(その全体をあらゆる目的で本明細書中に組み入れることとする)を参照されたい。各軽/重鎖ペアの可変領域は抗体結合部位を形成していて、完全な免疫グロブリンは2つの結合部位を有する。
「抗体」は、完全な免疫グロブリン、または特異的結合に関して完全抗体と競合するその抗原結合性部分を意味する。抗原結合性部分は、組換えDNA技術により、または完全抗体の酵素的もしくは化学的切断により製造されうる。抗原結合性部分には、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、dAbおよび相補性決定領域(CDR)フラグメント、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ジアボディ、および特異的結合をもたらすのに十分な、免疫グロブリンの少なくとも一部を含有するポリペプチドが含まれる。幾つかの抗IGF1R抗体が当技術分野で公知である(例えば、WO 03/100008;WO 2002/53596;WO 04/71529;WO 03/106621;US2003/235582;WO 04/83248;WO 03/59951;WO 04/87756またはWO 2005/16970を参照されたい)。他の小分子IGF1Rインヒビターも当技術分野で公知である。
本出願で用いる「抗IGF−1R抗体」なる語は、一括して、2003年12月16日付け出願の米国特許第7,241,444号(その全内容の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に開示されている抗IGF−1R抗体総称される。それにおいて特許請求されている種々のCDR、軽鎖および重鎖のアミノ酸配列ならびに該全抗体をコードするヌクレオチド配列も、それらの全体を参照により本明細書に組み入れることとする。同様に、出願第11/801,080号の開示も、その全体を参照により本明細書に組み入れることとする。
「患者」なる語はヒトおよび獣医対象を含む。
抗体− IGF−1R(h7C10)
本明細書中に詳細に記載されているとおり、本発明の態様の1つは、チロシンキナーゼインヒビター−EGFR、例えばエルロチニブ(erlotinib)、およびヒトインスリン様増殖因子1受容体(IGF−1R)−1に特異的に結合する抗体を癌患者に共投与することによる抗癌物質(抗癌剤)の抗腫瘍効力の改善方法に関する。
したがって、提示されている組合せ療法において使用されるIGF−1R抗体は、インスリン様増殖因子1受容体(IGF−1R)に特異的に結合するものである。該組合せ療法において使用される典型的な抗IGF−1R抗体およびその使用方法は米国特許第7,241,444号(‘444特許)(その内容の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。例えば、‘444特許の請求項1を参照されたい。「h7C10」または「MK−0646」は、IGF−1Rに結合するものとして及びIR/IGF−1ハイブリッド受容体に結合するものとして特徴づけられるヒト化抗体を示すために互換的に用いられる。そのような抗体は、好ましくは、例えば‘444特許に記載されている抗体を含み、ここで、該抗体はヒト化抗体またはそのフラグメントであり、軽鎖および/または重鎖を含み、ここで、該軽鎖および/または重鎖の骨格セグメントFR1〜FR4は、それぞれ、ヒト抗体軽鎖および/または重鎖の骨格セグメントFR1〜FR4に由来する。該ヒト化抗体は、配列番号1、2または3からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する非ヒト由来の少なくとも1以上の相補性決定領域を含む少なくとも1つの軽鎖と、配列番号4、5または6からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1以上の相補性決定領域を含む少なくとも1つの重鎖とを含みうる。該軽鎖は、配列番号7または8の1つにおいて記載されているアミノ酸配列の1以上、または配列番号7または8の配列に対して最適アライメント後に少なくとも80%の同一性を有する配列を含みうる。同様に、該重鎖は、配列番号9、10または11の1つにおいて記載されているアミノ酸配列の1以上、または配列番号9、10または11の配列に対して最適アライメント後に少なくとも80%の同一性を有する配列を含みうる。ある実施形態においては、該治療方法は、MK−0646により結合されるものと同じIGF−1R上のエピトープに結合する抗体を投与することを含む。
組換え抗体(IGF−1R特異的mAb)を発現させるための核酸分子は’444特許(その内容の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されている。
本明細書中で用いる「核酸」または「核酸分子」は一本鎖または二本鎖の任意のDNAまたはRNA分子を意味し、一本鎖の場合には、直鎖状または環状形態のその相補的配列の分子を含む。核酸分子を記載する場合、個々の核酸分子の配列または構造は、本明細書においては、配列を5’から3’への方向に示す通常の慣例に従って記載されうる。本発明の幾つかの実施形態においては、核酸は「単離」されている。この語は、DNAに適用される場合には、それが由来する生物の天然に存在するゲノムにおいてそれが直接的に隣接している配列から分離されたDNA分子に関して用いられる。例えば、「単離された核酸」は、ベクター(例えば、プラスミドまたはウイルスベクター)内に挿入された或いは原核もしくは真核細胞または宿主性物のゲノムDNA内に組込まれたDNA分子を含みうる。「単離された核酸」なる語は、RNAに適用される場合には、主として、前記の単離されたDNA分子によりコードされるRNA分子を意味する。あるいは、該用語は、それがその天然状態で(すなわち、細胞または組織において)会合している他の核酸から十分に分離されたRNA分子を意味しうる。単離された核酸(DNAまたはRNA)は更に、生物学的または合成的手段により直接的に製造され、その製造中に存在する他の成分から分離された分子を表しうる。
本発明の核酸はまた、本発明の核酸の断片を含む。「断片」は、好ましくは少なくとも約10核酸長、より好ましくは約40核酸、最も好ましくは約100核酸長の核酸配列を意味する。「断片」は、1以上の欠失、挿入または置換を含有する少なくとも約100個の連続的ヌクレオチドの伸長をも意味しうる。「断片」はまた、遺伝子のコード配列全体を意味することが可能であり、5’および3’非翻訳領域を含みうる。
本発明において使用される抗体には、モノクローナル抗体、合成抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(二重特性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scfv)(二重特異性scFvを含む)、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、および前記のいずれかのエピトープ結合性フラグメントが含まれるが、これらに限定されるものではない。特に、本発明において使用される抗体には、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、IGF−1Rに免疫特異的に結合するIGF−1R結合部位を含有する分子が含まれる。本発明において使用される免疫グロブリン分子は任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子でありうる。好ましくは、本発明において使用される抗体はIgG、より好ましくはIgG1である。
本発明において使用される抗体は任意の動物に由来しうる。好ましくは、該抗体はヒト化モノクローナル抗体である。あるいは、該抗体は、‘444特許において特許請求されている抗体の同じエピトープにそれが結合する限り、完全にヒトの抗体でありうる。本明細書中で用いる「ヒト」抗体には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が含まれ、ヒト免疫グロブリンライブラリーから単離された、またはヒト遺伝子から抗体を発現するマウスもしくは他の動物から単離された抗体が含まれる。
本発明において使用される抗体は単一特異性、二重特異性、三重特異性またはそれより多重特異性でありうる。多重特異性抗体はポリペプチドの種々のエピトープに免疫特異的に結合することが可能であり、あるいはポリペプチドおよび異種エピトープ(例えば、異種ポリペプチドまたは固体支持体)の両方に免疫特異的に結合しうる。例えば、国際公開番号WO 93/17715、WO 92/08802、WO 91/0036OおよびWO 92/05793;Tuttら,1991,J.Immunol 147:60−69;米国特許第4,474,893号、第4,714,681号、第4,925,648号、第5,573,920号および第5,601,819号;ならびにKostelnyら,1992,J.Immunol.148:1547−1553を参照されたい。
本発明において使用される抗体には、該抗体の誘導体が含まれる。本発明で用いられる方法と共に使用される抗体をコードするヌクレオチド配列内に突然変異を導入するためには、当業者に公知の標準的な技術、例えば、アミノ酸の置換をもたらす部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発が用いられうる。好ましくは、該誘導体は、元の分子と比較して、25個未満のアミノ酸の置換、20個未満のアミノ酸の置換、15個未満のアミノ酸の置換、10個未満のアミノ酸の置換、5個未満のアミノ酸の置換、4個未満のアミノ酸の置換、3個未満のアミノ酸の置換、または2個未満のアミノ酸の置換を含む。好ましい実施形態においては、該誘導体は、1以上の推定非必須アミノ酸残基に施された保存的アミノ酸置換を有する。「保存的アミノ酸置換」は、類似電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基でアミノ酸残基が置換されているものである。類似電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野で定められている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、無極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。あるいは、突然変異を、例えば飽和突然変異誘発により、コード配列の全部または一部に沿ってランダムに導入することが可能であり、得られた突然変異体を生物活性に関してスクリーニングして、活性を保有する突然変異体を特定することが可能である。突然変異誘発後、コード化タンパク質を発現させることが可能であり、該タンパク質の活性を測定することが可能である。
本発明において使用される抗体には、修飾された(すなわち、任意のタイプの分子の、該抗体への共有結合により修飾された)誘導体が含まれる。例えば、限定的なものではないが、該抗体誘導体には、例えばグリコシル化、アセチル化、PEG化(pegylation;ペジル化)、リン酸化、アミド化、公知の保護/遮蔽基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合などにより修飾された抗体が含まれる。特異的化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシン(tunicamycin)の存在下の合成など(これらに限定されるものではない)を含む任意の多数の化学修飾が公知技術により行われうる。また、該誘導体は1以上の非古典的アミノ酸を含みうる。
本発明はまた、当業者に公知のフレームワーク領域を含む、本発明において使用される抗体を提供する。ある実施形態においては、本発明において使用される組成物および方法において使用される抗体のフレームワーク領域の1以上、好ましくは、該フレームワーク領域の全ては、ヒトのものである。本発明において使用される或る他の実施形態においては、本発明において使用される抗体のフラグメント領域はヒト化されている。ある実施形態においては、本発明において使用される方法で使用される抗体は合成抗体、モノクローナル抗体、イントラボディ(intrabody)、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化キメラ抗体、ヒト化抗体、グリコシル化抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体または二重特異性抗体である。
ある実施形態においては、本発明において使用される抗体はIGF−1Rに対する高い結合アフィニティーを有する。
ある実施形態においては、本発明において使用される抗体は、約12時間以上、約1日以上、約3日以上、約6日以上、約10日以上、約15日以上、約20日以上、約25日以上、約30日以上、約35日以上、約40日以上、約45日以上、約2ヶ月以上、約3ヶ月以上、約4ヶ月以上、または5ヶ月以上の、対象、好ましくはヒトにおける半減期を有する。増加したインビボ半減期を有する抗体は、当業者に公知の技術により製造されうる。例えば、増加したインビボ半減期を有する抗体は、FcドメインとFcRn受容体との相互作用に関与することが確認されたアミノ酸残基を修飾(例えば、置換、欠失または付加)することにより製造されうる[例えば、WO 97/34631および米国特許出願第10/020,354(発明の名称“Molecules with Extended Half−Lives,Compositions and Uses Thereof”)(Johnsonらにより2001年12月12日付けで出願された);U.S.公開第2005/003700号および第2005/0064514号(それらの全体を参照により本明細書に組み入れることとする)を参照されたい]。そのような抗体は、当業者に公知の方法を用いて、例えば本明細書に記載されているイムノアッセイにより、抗原への結合活性およびインビボ効力に関して試験されうる。
さらに、増加したインビボ半減期を有する抗体は、重合体分子、例えば高分子量ポリエチレングリコール(PEG)を該抗体に結合させることにより製造されうる。PEGは、多官能性リンカーを使用して又は使用しないで、該抗体のNまたはC末端へのPEGの部位特異的コンジュゲート化により、あるいはリシン残基上の存在するイプシロン−アミノ基を介して、該抗体に結合されうる。生物活性の最低限度の喪失を引き起こす直鎖状または分枝状重合体誘導体化が用いられる。コンジュゲーションの度合は、該抗体へのPEG分子の適切なコンジュゲーションが確保されるように、SDS−PAGEおよび質量分析により厳密にモニターされる。未反応PEGは、例えばサイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィーにより、抗体−PEGコンジュゲートから分離されうる。PEG誘導体化抗体は、当業者に公知の方法を用いて、例えば本明細書に記載されているイムノアッセイにより、抗原への結合活性およびインビボ効力に関して試験されうる。
ある実施形態においては、本発明において使用される抗体は、IGF−1Rへの結合能を保有する、完全抗体の抗原結合性部分を含む。具体例には以下のものが含まれる:(i)Fabフラグメント、すなわち、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる1価フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメント、すなわち、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結された2つのFabフラグメントを含む2価フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Wardら,(1989)Nature 341:544−546);ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVLおよびVHは別々の遺伝子によりコードされているが、それらは、それらが単一タンパク質鎖(ここで、VLおよびVH領域はペアとなって1価分子を形成する)として産生されることを可能にする合成リンカーにより、組換え法を用いて連結されうる(一本鎖Fv(scFv)として公知である;例えば、Birdら(1988)Science 242:423−426;およびHustonら(1988)Proc.Natl.Acad Sci.USA 85:5879−5883を参照されたい)。そのような一本鎖抗体は「抗体」なる語に対する言及に含まれる。
IGF−1Rに対する抗体の製造方法はよく知られている。例えば、‘441特許を参照されたい。
抗体特異性に関するスクリーニング− 抗体の製造のための技術は前記に記載されている。所望により、ある生物学的特性を有する抗体を更に選択することが可能である。例えば、該抗体は、産生されたら、IGF−1Rに対するその結合アフィニティーに関してスクリーニングされうる。IGF−1Rに特異的に結合する抗体に関するスクリーニングは、マイクロタイタープレートがIGF−1Rでコーティングされた酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を用いて達成されうる。いくつかの実施形態においては、陽性反応性クローンからのIGF−1Rに結合する抗体を更に、ELISAに基づくアッセイにおける他のIGF−1Rアイソフォーム(例えば、IGF−1R)に対する反応性に関して、そのような他のIGF−1Rアイソフォームでコーティングされたマイクロタイタープレートを使用してスクリーニングすることが可能である。IGF−1Rの別のアイソフォームに反応性である抗体を産生するクローンを排除し、IGF−1Rのみに反応性である抗体を産生するクローンを更なる増殖および発生のために選択することが可能である。IGF−1Rに対する該抗体の反応性の確認は、例えばウエスタンブロットアッセイを用いて達成されうる。該ウエスタンブロットアッセイにおいては、卵巣癌、乳癌、腎癌、結腸直腸癌、肺癌、子宮内膜癌または脳癌細胞からのタンパク質および精製されたIGF−1Rおよび他のIGF−1RアイソフォームをSDS−PAGEゲル上で泳動させ、ついで膜上にブロッティングする。ついで該膜を推定抗IGF−1R抗体でプローブすることが可能である。IGF−1Rに対する反応性および別のインスリン様受容体アイソフォームに対する無反応性はIGF−1Rに対する反応性の特異性を証明するものである。
IGF−1Rまたはその誘導体を検出するための一般的方法− 本発明の抗体またはその結合性フラグメントを使用するIGF−1Rを検出するためのアッセイ法は特に限定されるものではない。被験流体中の抗原の量(例えば、IGF−1Rのレベル)に対応する抗体、抗原または抗体−抗原複合体の量が化学的または物理的手段により検出可能であり、既知量の該抗原を含有する標準溶液から作成された標準曲線から該抗原の量が算出されうる限り、任意のアッセイ法が用いられうる。本発明に含まれる代表的イムノアッセイには以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:米国特許第4,367,110号に記載されているもの(二重モノクローナル抗体サンドイッチアッセイ);Wideら,KirkhamおよびHunter編,Radioimmunoassay Methods,E.およびS.Livingstone,Edinburgh(1970)に記載されているもの;米国特許第4,452,901号に記載されているもの(ウエスタンブロット);Brownら,J.Biol.Chem.255:4980−4983(1980)に記載されているもの(標識リガンドの免疫沈降);およびBrooksら,Clin.Exp.Immunol.39:477(1980)に記載されているもの(免疫細胞化学);光学顕微鏡、フローサイトメトリーまたは蛍光測定検出と共に蛍光標識抗体を使用する免疫蛍光技術など。Immunoassays for the 80’s,A.Vollerら編,University Park,1981,Zola,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158(CRC Press,Inc.1987)も参照されたい。
(1)サンドイッチアッセイは、検出すべきタンパク質の別々の免疫原性部分またはエピトープにそれぞれが結合しうる2つの抗体の使用を含む。サンドイッチアッセイにおいては、該試験サンプルアナライトが、固体支持体上に固定化された第1抗体に結合し、ついで第2抗体が該アナライトに結合して、不溶性の3成分複合体を形成する。例えば、米国特許第4,376,110号を参照されたい。第2抗体自体が、検出可能部分で標識されることが可能であり(直接サンドイッチアッセイ)、あるいは検出可能部分で標識された抗免疫グロブリン抗体を使用して測定されることが可能である(間接サンドイッチアッセイ)。例えば、1つのタイプのサンドイッチアッセイはELISAアッセイであり、この場合、検出可能部分は酵素である。
該サンドイッチアッセイにおいては、本発明の固定化抗体を試験流体と反応させ(一次反応)、ついで本発明の抗体の標識形態と反応させ(二次反応)、該固定化担体上の該標識物質の活性を測定し、それにより該試験流体中のIGF−1Rレベルを定量することが可能である。該一次および二次反応は同時に又は或る時間間隔で行われうる。標識および固定化の方法は前記方法の変法により行われうる。該サンドイッチアッセイによるイムノアッセイにおいては、固定化または標識抗体のために使用される抗体は必ずしも1つの種からのものである必要はなく、2以上の種の抗体の混合物を使用して、測定感度などを向上させることが可能である。該サンドイッチアッセイによりIGF−1Rをアッセイする方法においては、例えば、該一次反応において使用される抗体がIGF−1RのC末端領域における部分ペプチドを認識する場合には、該二次反応において使用される抗体は、好ましくは、該C末端領域以外の部分ペプチド(すなわち、N末端領域)を認識するものである。該一次反応に使用される抗体がIGF−1RのN末端における部分ペプチドを認識する場合には、該二次反応において使用される抗体としては、好ましくは、N末端領域以外の部分ペプチド(すなわち、C末端領域)を認識する抗体が使用される。
IGF−1Rを検出するのに同様に有用でありうる他のタイプの「サンドイッチ」アッセイは、いわゆる「同時」および「リバース(逆)」アッセイである。同時アッセイは単一インキュベーション工程を含み、この場合、固体支持体に結合した抗体および標識抗体の両方を被験サンプルに同時に加える。該インキュベーションが完了した後、該固体支持体を洗浄して流体サンプルの残渣および未複合体化標識抗体を除去する。ついで、通常の「フォワード」サンドイッチアッセイの場合と同様に、該固体支持体に結合した標識抗体の存在を決定する。
「リバース」アッセイにおいては、まずは標識抗体の溶液を流体サンプルに加え、ついで、適当なインキュベーション時間の後に固体支持体に結合した未標識抗体を加えるという逐次的添加を行う。第2のインキュベーションの後、該固相を常法により洗浄して、それを被験サンプルの残渣および未反応標識抗体の溶液から取り出す。ついで、「同時」および「フォワード」アッセイの場合と同様に、固体支持体に結合した標識抗体の測定を行う。1つの実施形態においては、別々のエピトープに特異的な本発明の抗体の組合せを使用して、高感度な3部位免疫放射線アッセイを構築する。
このタイプのアッセイはまた、IGF−1R発現がどのような「サンプル」において生じうる場合であっても、IGF−1R発現を定量するために用いられうる。したがって、ある態様においては、該サンドイッチアッセイは、
(i)担体上に固定化されたIGF−1RのN末端領域における部分ペプチドと特異的に反応する抗体、C末端領域における部分ペプチドと特異的に反応する抗体の標識形態、および試験流体を反応させ、該標識の活性を測定することを含む、試験流体中のIGF−1Rの発現レベルを定量するための方法、または
(ii)担体上に固定化されたIGF−1RのC末端領域における部分ペプチドと特異的に反応する抗体、IGF−1Rの標識形態のN末端領域における部分ペプチドと特異的に反応する抗体、および試験流体を反応させ、該標識の活性を測定することを含む、試験流体中のIGF−1R発現を定量するための方法などを含む。
(2)競合結合アッセイは、限られた量の抗体との結合に関して試験サンプルアナライトと標識標準物が競合しうることに基づく。試験サンプル中のIGF−1Rタンパク質の量は、該抗体に結合した標準物の量に反比例する。結合した標準物の量の決定を促進するために、一般には、該抗体に結合した標準物およびアナライトが、未結合のままである標準物およびアナライトから簡便に分離されうるように、該競合の前または後に該抗体を不溶化する。
IGF−1R発現のレベルを定量するために、当業者は、本発明の抗体またはそのフラグメント、試験流体およびIGF−1Rの標識形態を組合せ及び/又は競合的に反応させ、該抗体またはそのフラグメントに結合した標識IGF−1Rの比を測定し、それにより該試験流体中のIGF−1Rを定量することが可能である。
(3)免疫測定アッセイ
免疫測定アッセイにおいては、試験流体中の抗原および固相抗原を、ある与えられた量の標識形態の本発明の抗体と競合的に反応させ、ついで固相を液相から分離する。あるいは試験流体中の抗原および過剰量の標識形態の本発明の抗体を反応させ、ついで固相抗原を加えて、未反応の標識形態の本発明の抗体を該固相に結合させ、ついで該固相を液相から分離する。ついで該相のいずれかの標識量を測定して、該試験流体中の抗原レベルを決定する。
典型的な及び好ましい免疫測定アッセイには、「フォワード」アッセイが含まれ、この場合、該固相に結合した抗体を、まず、被験サンプルと接触させて、二成分固相抗体−IGF1R複合体の形成により該サンプルからIGF−1Rを抽出する。適当なインキュベーション時間の後、固体支持体を洗浄して、未反応IGF−1R(存在する場合)を含む流体サンプルの残渣を除去し、ついで既知量の標識抗体(これは「レポーター分子」として機能する)を含有する溶液と接触させる。未標識抗体を介して固体支持体に結合したIGF−1Rと該標識抗体が複合体を形成するのを可能にする第2のインキュベーション時間の後、該固体支持体を再度洗浄して該未反応標識抗体を除去する。このタイプのフォワードサンドイッチアッセイは、IGF−1Rが存在するかどうかを決定するための単純な「イエス/ノー(有/無)」アッセイであることが可能であり、あるいは既知量のIGF−1Rを含有する標準サンプルに関して得られた尺度と標識抗体の尺度を比較することにより定量的にされうる。そのような「2部位」または「サンドイッチ」アッセイはWide(Radioimmune Assay Method,Kirkham編,Livingstone,Edinburgh,1970,pp.199−206)により記載されている。
(4)ネフェロメトリー
ネフェロメトリーにおいては、ゲル内または溶液中で抗原−抗体反応の結果として生じる不溶性沈降物の量を測定する。試験流体中の抗原の量が少なく、少量の該沈降物しか得られない場合であっても、レーザー散乱を用いるレーザーネフェロメトリーが好適に用いられうる。
標識剤を使用する前記アッセイ方法(1)〜(4)において使用されうる標識剤の具体例には、放射性同位体(例えば、125I、131I、3H、14C、32P、33P、35Sなど)、蛍光物質、例えばシアニン蛍光色素(例えば、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7)、フルオレスカミン、フルオレセインイソチオシアナートなど、酵素(例えば、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼなど)、発光物質(例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなど)、ビオチン、ランタニドなどが含まれる。また、抗体を標識剤に結合させるために、ビオチン−アビジン系も使用されうる。
抗原または抗体の固定化においては、物理的吸着が用いられうる。あるいは、タンパク質、酵素などの固定化に通常用いられる化学結合も用いられうる。該担体の具体例には、不溶性多糖、例えばアガロース、デキストラン、セルロースなど;合成樹脂、例えばポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコーンなど;またはガラスなどが含まれる。
もう1つの実施形態においては、本発明は、体液(例えば、血液、血清、血漿、喀痰など)中のIGF−1Rレベルの特定および測定により癌および腫瘍の診断を補助する。IGF−1Rが通常存在し、発癌性障害の発生が異常量の細胞表面受容体(IGF−1R)(例えば、正常と比べた場合の発現)により引き起こされる場合には、該アッセイは、生物学的サンプル中のIGF−1Rレベルを、同じ細胞型の正常非発癌性組織において予想される範囲と比較すべきである。したがって、対照被験者または当該被験者のベースラインと比較した場合の被験者におけるIGF−1R含有細胞の量またはIGF−1R発現レベルにおける統計的に有意な増加は、進行中の発癌性障害またはそのような障害のリスクの診断につながりうる要因となりうる。同様に、転移する可能性のある癌の指標となる高レベルのIGF−1Rの存在も検出されうる。本発明の抗体により認識される抗原(例えば、IGF−1R)を発現する癌の場合、抗原を検出しうることは早期診断をもたらし、それにより早期治療の可能性をもたらす。早期段階で診断することが困難な癌では早期検出が特に重要である
さらに、体液サンプル、例えば血液において検出され測定される抗原のレベルは、癌または腫瘍に対する治療(限定的なものではないが、手術、化学療法、放射線療法、本発明の治療方法およびそれらの組合せを含む)の経過をモニターするための手段を提供する。体液中の抗原のレベルを疾患の重症度と相関させることにより、そのような抗原のレベルを用いて、例えば原発腫瘍、癌および/もしくは転移の除去の成功を示し、ならびに/または他の療法の有効性を経時的にモニターすることが可能である。例えば、癌または腫瘍特異的抗原のレベルの経時的減少は患者における腫瘍負荷の軽減を示す。これとは対照的に、抗原のレベルの経時的な無変化または増加は療法の無効性または腫瘍もしくは癌の継続的な成長を示す。
検体中の該抗体の検出は、当技術分野で公知の技術、例えば免疫酵素技術、例えばイムノペルオキシダーゼ染色技術、またはアビジン−ビオチン技術、または免疫蛍光技術を用いて達成されうる(例えば、Cioccaら,1986,“Immunohistochemical Techniques Using Monoclonal Antibodies”,Meth.Enzymol.,121:562 79およびIntroduction to Immunology,Kimball編(2.sup.nd Ed),Macmillan Publishing Company,1986,pp.113 117を参照されたい)。当業者は、機能的かつ最適なアッセイ条件を通常の実験により決定することが可能である。
IGF−1Rを検出するための典型的なインビトロイムノアッセイは、IGF−1Rに選択的に結合しうる検出可能な様態で標識された本発明の抗IGF−1R抗体または抗原結合性フラグメントの存在下、生物学的サンプルをインキュベートし、サンプル中で結合した該標識フラグメントまたは抗体を検出することを含む。該抗体は、該細胞またはその一部に該抗体が結合したら該細胞またはその一部(例えば、過形成、異形成および/または癌性細胞から放出されたIGF−1Rまたはその断片)の検出を可能にするのに有効な標識に結合している。該生物学的サンプル中の細胞またはその一部の存在は該標識の検出により検出される。
該生物学的サンプルを、細胞、細胞粒子、膜または可溶性タンパク質を固定化しうる例えばニトロセルロースまたは他の固体支持体もしくはマトリックスのような固相支持体または担体と接触させ、該固相支持体または担体上に固定化することが可能である。ついで該支持体を適当なバッファーで洗浄し、ついで、検出可能な様態で標識された抗IGF−1R抗体で処理することが可能である。ついで該固相支持体をバッファーで再び洗浄して未結合抗体を除去することが可能である。ついで該固体支持体上の結合標識の量を通常の手段により検出することが可能である。したがって、本発明のもう1つの実施形態においては、固相支持体(例えば、本明細書に記載されているもの)に結合したモノクローナル抗体またはその結合性フラグメントを含む組成物を提供する。
「固相支持体」または「担体」は、ペプチド、抗原または抗体に結合しうる任意の支持体を意味する。よく知られた支持体または担体には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースおよび磁鉄鉱が含まれる。本発明の目的においては、該担体の性質は或る程度まで可溶性であるか又は不溶性でありうる。該支持体物質は、結合分子がIGF−1Rまたは抗IGF−1R抗体に結合しうる限り、実質的に全ての可能な構造的形状を有しうる。したがって、該支持体の形状は、ビーズの場合のような球状、または試験管の内部表面もしくは棒の外部表面の場合のような円筒状でありうる。あるいは該表面は平面状、例えばシート、培養皿、試験ストリップなどでありうる。好ましい支持体には、ポリスチレンビーズが含まれる。当業者は、抗体、ペプチドまたは抗原を結合させるための多数の他の適当な担体を知っており、あるいは通常の実験によりそれを確認することが可能である。
本発明に従うインビトロアッセイはまた、組換えIGF−1Rを発現する細胞から単離された膜、IGF−1Rのリガンド結合性セグメントを含む可溶性断片、または固相基体に結合した断片の使用を含む。これらのアッセイは結合性セグメントの突然変異および修飾またはリガンドの突然変異および修飾(例えば、リガンド類似体)の効果の診断的決定を可能にする。
インビボモデルにおける組合せ免疫療法の効力に関するアッセイ− 当技術分野でよく知られた技術を用いて、腫瘍変化後の種々の時点で腫瘍負荷を評価することが可能である。抗腫瘍応答をモニターし、組合せ免疫療法の効力を決定するためのアッセイは、後記で説明する。改良または増強された抗腫瘍応答は、該免疫療法の投与後間もなく(例えば、5〜10日以内に)、最も劇的に観察されうるが、場合によっては、IGF−1Rの発現レベル、該抗IGF−1R抗体の投与量および投与頻度ならびにチロシンキナーゼインヒビターであるエルロチニブ(Erlotinib)の投与の時機に対する該抗IGF−1R抗体の投与の相対的時機のような要因に応じて、該応答は遅延しうる。したがって、免疫療法後の抗腫瘍応答を十分に評価するために、組合せ療法の治療または投与後の種々の時点で採取された生物学的サンプルに関して、任意のよく知られたアッセイを行うことが可能である。
治療のモニター− 当業者は、本発明の組合せ治療の投与の際の治療結果および/または全身免疫応答をモニターするための手段を認識している。特に、治療結果は、腫瘍成長の低下および/または腫瘍退縮および/または腫瘍特異的マーカーのレベルをモニターすることにより評価されうる。治療に応答した腫瘍成長の低下または腫瘍退縮は、例えば腫瘍の数、腫瘍質量もしくはサイズまたは転移の軽減/予防を含む当業者に公知の幾つかのエンドポイントの1以上を用いてモニターされうる。
IGF−1Rインヒビター:
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはBMS−577098
Figure 2012524087
またはAEW−541
Figure 2012524087
または
Figure 2012524087
である。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはWO 03/48133に記載されているピリミジン誘導体のいずれか、例えば、コア構造:
Figure 2012524087
を含むものである。これらの物質を投与することによる、エルロチニブ(Erlotinib)耐性癌またはIGF−1Rにより引き起こされるものを治療または予防する方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはWO 03/35614に記載されているチロシンキナーゼインヒビターのいずれか、例えば、コア構造:
Figure 2012524087
を含むもの、例えば、
Figure 2012524087

Figure 2012524087
または
Figure 2012524087
である。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはWO 03/35615に記載されているチロシンキナーゼインヒビターのいずれか、例えば、コア構造:
Figure 2012524087
を含むものである。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはWO 03/35616に記載されているチロシンキナーゼインヒビターのいずれか、例えば、コア構造:
Figure 2012524087
を含むもの、例えば、
Figure 2012524087

Figure 2012524087

Figure 2012524087
または
Figure 2012524087
である。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはWO 03/35619に記載されているチロシンキナーゼインヒビターのいずれか、例えば、コア構造:
Figure 2012524087
を含むものである。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1Rインヒビターは、例えばVEGF−2R、Kit、FLT3および/またはPDGFRをも抑制する多重標的化キナーゼインヒビター、例えばSU−11248(例えば、リンゴ酸スニチニブ(sunitinib))またはBay43−9006(ソラフェニブ(sorafenib))である。これらの物質を投与することによる、エルロチニブ(Erlotinib)耐性癌またはIGF−1Rにより引き起こされるものを治療または予防する方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはWO 03/24967に記載されている化合物のいずれか、例えば、コア構造:
Figure 2012524087
を含むものである。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはWO 04/30625に記載されている化合物のいずれか、例えば、コア構造:
Figure 2012524087
を含むものである。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはWO 04/30627に記載されている化合物のいずれか、例えば、コア構造:
Figure 2012524087
を含むものである。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはWO 00/35455に記載されているヘテロアリール−アリール尿素のいずれか、例えば、コア構造:
Figure 2012524087
を含むものである。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1RインヒビターはWO 03/27246に記載されているペプチドのいずれかである。
本発明の1つの実施形態においては、IGF1Rインヒビターは
Figure 2012524087
またはPCT出願公開第WO 02/92599号に開示されているいずれかの4−アミノ−5−フェニル−7−シクロブチル−ピロロ[2,3−d]ピリミジン誘導体である。
他の化学療法物質
本発明の範囲は、本発明のIGF1Rインヒビターを他の化学療法物質(化学療法剤)と共に含む組成物、およびIGF1Rインヒビターを他の化学療法物質(例えば、他の抗癌化学療法物質または鎮吐薬)と共に投与することによる神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、横紋筋肉腫、小児癌または膵癌の治療方法を含む。他の化学療法物質は、それが投与される個体における有益な生理的応答を惹起する任意の物質を含み、例えば、この場合、該物質は、それが投与される対象における疾患の症状または原因を軽減または排除する。他の化学療法物質は、任意の抗癌化学療法物質を含む。抗癌療法物質は、例えば、それが投与される対象における癌の症状または原因を軽減または排除するいずれかの物質である。
本発明の1つの実施形態においては、エトポシド(etoposide)(VP−16;
Figure 2012524087
)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、ゲムシタビン(gemcitabine)
Figure 2012524087
と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、公開米国特許出願番号U.S.2004/0209878A1に開示されているいずれかの化合物(例えば、
Figure 2012524087
により表されるコア構造を含むもの)またはドキソルビシン(doxorubicin)
Figure 2012524087
、例えば、ケリックス(Caelyx)またはDoxil(登録商標)(ドキソルビシンHClリポソーム注射剤;Ortho Biotech Products L.P;Raritan,NJ)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。Doxil(登録商標)は、N−(カルボニル−メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミンナトリウム塩(MPEG−DSPE)、完全水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)およびコレステロールから構成されるSTEALTH(登録商標)リポソーム担体中にドキソルビシンを含む。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン
Figure 2012524087
と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、ビンクリスチン(vincristine)
Figure 2012524087
と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、テモゾロミド(temozolomide)
Figure 2012524087
;いずれかのCDKインヒビター、例えばZK−304709、セリシクリブ(Seliciclib)(R−ロスコビチン(roscovitine))
Figure 2012524087
;いずれかのMEKインヒビター、例えばPD0325901
Figure 2012524087
、AZD−6244;カペシタビン(capecitabine)(5’−デオキシ−5−フルオロ−N−[(ペンチルオキシ)カルボニル]−シチジン);またはL−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル]−二ナトリウム塩七水和物
Figure 2012524087
;ペメトレックスト(Pemetrexed)二ナトリウム七水和物と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、カンプトテシン(camptothecin)
Figure 2012524087
(Storkら,J.Am.Chem.Soc.93(16):4074−4075(1971);Beislerら,J.Med.Chem.14(11):1116−1117(1962))またはイチノテカン(irinotecan)
Figure 2012524087
(Camptosar(登録商標);Pharmacia&Upjohn Co.;Kalamazoo,MI)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、FOLFOX療法(オキサリプタチン(oxaliplatin)
Figure 2012524087
および注入用フルオロウラシル(fluorouracil)
Figure 2012524087
およびフォリン酸
Figure 2012524087
)(Chaoucheら,Am.J.Clin.Oncol.23(3):288−289(2000);de Gramontら,J.Clin.Oncol.18(16):2938−2947(2000))と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、抗エストロゲン物質、例えば
Figure 2012524087
(タモシキフェン(tamoxifen);AstraZeneca Pharmaceuticals LP;Wilmington,DEによりNolvadex(登録商標)として販売されている)または
Figure 2012524087
(クエン酸トレミフェン(toremifene);Shire US,Inc.;Florence,KYによりFareston(登録商標)として販売されている)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、アロマターゼインヒビター、例えば
Figure 2012524087
(アナストラゾール(anastrazole);AstraZeneca Pharmaceuticals LP;Wilmington,DEによりArimidex(登録商標)として販売されている)、
Figure 2012524087
(エキセメスタン(exemestane);Pharmacia Corporation;Kalamazoo,MIによりAromasin(登録商標)として販売されている)または
Figure 2012524087
(レトロゾール(letrozole);Novartis Pharmaceuticals Corporation;East Hanover,NJによりFemara(登録商標)として販売されている)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、エストロゲン、例えばDES(ジエチルスチルベストロール)、
Figure 2012524087
(エストラジオール;Warner Chilcott,Inc.;Rockaway,NJによりEstrol(登録商標)として販売されている)またはコンジュゲート化エストロゲン(Wyeth Pharmaceuticals Inc.;Philadelphia,PAによりPremarin(登録商標)として販売されている)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、抗血管新生物質、例えばベバシズマブ(bevacizumab)(Avastin(商標);Genentech;San Francisco,CA)、抗VEGFR−2抗体IMC−1C11、他のVEGFRインヒビター、例えばCHIR−258
Figure 2012524087
、WO2004/13145(例えば、コア構造式:
Figure 2012524087
を含むもの)、WO2004/09542(例えば、コア構造式:
Figure 2012524087
を含むもの)、WO00/71129(例えば、コア構造式:
Figure 2012524087
を含むもの)、WO2004/09601(例えば、コア構造式:
Figure 2012524087
を含むもの)、WO2004/01059(例えば、コア構造式:
Figure 2012524087
を含むもの)、WO01/29025(例えば、コア構造式:
Figure 2012524087
を含むもの)、WO02/32861(例えば、コア構造式:
Figure 2012524087
を含むもの)またはWO03/88900(例えば、コア構造式:
Figure 2012524087
を含むもの)に記載されているインヒビターのいずれか;3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノリン;バタラニブ(Vatalanib)
Figure 2012524087
;PTK/ZK;CPG−79787;ZK−222584)、AG−013736
Figure 2012524087
およびVEGFトラップ(AVE−0005)、VEGF受容体1および2の一部を含む可溶性おとり(デコイ)受容体と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、LHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)アゴニスト、例えば[D−Ser(Bu t )6,Azgly 10]の酢酸塩(pyro−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(Bu t)−Leu−Arg−Pro−Azgly−NH酢酸塩[C59841814・(C(ここで、x=1〜2.4)];
Figure 2012524087
(ゴセレリン(goserelin)アセタート;AstraZeneca UK Limited;Macclesfield,EnglandによりZoladex(登録商標)として販売されている)
Figure 2012524087
(リュープロリド(leuprolide)アセタート;Sanofi−Synthelabo Inc.;New York,NYによりEligard(登録商標)として販売されている)または
Figure 2012524087
(トリプトレリン(triptorelin)パモアート;Pharmacia Company,Kalamazoo,MIによりTrelstar(登録商標)として販売されている)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、黄体ホルモン物質、例えば
Figure 2012524087

(メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone)アセタート;Pharmacia&Upjohn Co.;Kalamazoo,MIによりProvera(登録商標)として販売されている)、
Figure 2012524087
(ヒドロキシプロゲステロン(hydroxyprogesterone)カプロアート;17−((1−オキソヘキシル)オキシ)プレグナ)−4−エン−3,20−ジオン)、メゲストロール(megestrol)アセタートまたはプロゲスチン(progestin)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、例えば
Figure 2012524087
(ラロキシフェン(raloxifene);Eli Lilly and Company;Indianapolis,INによりEvista(登録商標)として販売されている)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、抗アンドロゲン物質、例えば
Figure 2012524087
(ビカルタミド(bicalutamide);AstraZeneca Pharmaceuticals LP;Wilmington,DEによりCASODEX(登録商標)により販売されている);
Figure 2012524087
(フルタミド(flutamide);2−メチル−N−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド;Schering Corporation;Kenilworth,NJによりEulexin(登録商標)として販売されている);
Figure 2012524087
(ニルタミド(nilutamide);Aventis Pharmaceuticals Inc.;Kansas City,MOによりNilandron(登録商標)として販売されている)および
Figure 2012524087
(メゲストロール(Megestrol)アセタート;Bristol−Myers SquibbによりMegace(登録商標)として販売されている)(これらに限定されるものではない)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、EGF受容体またはHER2の作用に拮抗する1以上のインヒビター、例えば、CP−724714
Figure 2012524087
;TAK−165
Figure 2012524087
;HKI−272
Figure 2012524087
;OSI−774
Figure 2012524087
;エルロチニブ(Erlotinib),Hidalgoら,J.Clin.Oncol.19(13):3267−3279(2001)、ラパタニブ(Lapatanib)
Figure 2012524087
;GW2016;Rusnakら,Molecular Cancer Therapeutics 1:85−94(2001);N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メチルスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミン;PCT出願番号WO99/35146)、カネルチニブ(Canertinib)(CI−1033;
Figure 2012524087
;Erlichmanら,Cancer Res.61(2):739−48(2001);Smaillら,J.Med.Chem.43(7):1380−97(2000))、ABX−EGF抗体(Abgenix,Inc.;Freemont,CA;Yangら,Cancer Res.59(6):1236−43(1999);Yangら,Crit Rev Oncol Hematol.38(1):17−23(2001))、エルビツクス(erbitux)(米国特許第6,217,866号;IMC−C225,セツキシマブ(cetuximab);Imclone;New York,NY)、EKB−569
Figure 2012524087
(Wissnerら,J.Med.Chem.46(1):49−63(2003))、PKI−166
Figure 2012524087
(CGP−75166)、GW−572016、任意の抗EGFR抗体および任意の抗HER2抗体(これらに限定されるものではない)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、
Figure 2012524087
(ロナファルニブ(lonafarnib);Sarasar(商標);Schering−Plough;Kenilworth,NJ)と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。もう1つの実施形態においては、IGF1Rインヒビターと組合された以下のFPTインヒビターの1つを提供する。
Figure 2012524087
または
Figure 2012524087
これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
IGF1Rインヒビターと組合せて提供されうる他のFPTインヒビターには、以下のものが含まれる:BMS−214662
Figure 2012524087
(Huntら,J.Med.Chem.43(20):3587−95(2000);Danceyら,Curr.Pharm.Des.8:2259−2267(2002);(R)−7−シアノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)−3−(フェニルメチル)−4−(2−チエニルスルホニル)−1H−1,4−ベンゾジアゼピン))およびR155777(チピファルニブ(tipifarnib);Garnerら,Drug Metab.Dispos.30(7):823−30(2002);Danceyら,Curr.Pharm.Des.8:2259−2267(2002);(B)−6−[アミノ(4−クロロフェニル)(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−メチル]−4−(3−クロロフェニル)−1−メチル−2(1H)−キノリノン];
Figure 2012524087
(Zarnestra(商標)として販売されている;Johnson&Johnson;New Brunswick,NJ)。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、以下のものと組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。
Figure 2012524087
(アミフォスチン(Amifostine));
Figure 2012524087
(NVP−LAQ824;Atadjaら,Cancer Research 64:689−695(2004))、
Figure 2012524087
(スベロイルアナリド(suberoyl analide)ヒドロキサム酸)、
Figure 2012524087
(バルプロン酸(Valproic acid);Michaelisら,Mol.Pharmacol.65:520−527(2004))、
Figure 2012524087
(トリコスタチン(trichostatin)A)、
Figure 2012524087
(FK−228;Furumaiら,Cancer Research 62:4916−4921(2002))、
Figure 2012524087
(SU11248;Mendelら,Clin.Cancer Res.9(1):327−37(2003))、
Figure 2012524087
(BAY43−9006)、
Figure 2012524087
(KRN951)、
Figure 2012524087
(アミノグルテチミド(Aminoglutethimide));
Figure 2012524087
(アムサアクリン(Amsacrine));
Figure 2012524087
(アナグレリド(Anagrelide));
Figure 2012524087
(Anastrozole(アナストロゾール);AstraZeneca Pharmaceuticals LP;Wilmington,DEによりArimidexとして販売されている);アスパラギナーゼ;カルメット−ゲラン桿菌(BCG)ワクチン(Garridoら,Cytobios.90(360):47−65(1997));
Figure 2012524087
(ブレオマイシン);
Figure 2012524087
(ブセレリン(Buserelin));
Figure 2012524087
(ブスルファン(Busulfan);1,4−ブタンジオール ジメタンスルホナート;ESP Pharma,Inc.;Edison,New JerseyによりBusulfex(登録商標)として販売されている);
Figure 2012524087
(カルボプラチン(Carboplatin);Bristol−Myers Squibb;Princeton,NJによりParaplatin(登録商標)として販売されている);
Figure 2012524087
(カルムスチン(Carmustine));
Figure 2012524087
(クロラムブシル(Chlorambucil));
Figure 2012524087
(シスプラチン(Cisplatin));
Figure 2012524087
(クラドリビン(Cladribine));
Figure 2012524087
(クロドロナート(Clodronate));
Figure 2012524087
(シクロホスファミド(Cyclophosphamide));
Figure 2012524087
(シプロテロン(Cyproterone));
Figure 2012524087
(シタラビン(Cytarabine));
Figure 2012524087
(ダカルバジン(Dacarbazine));
Figure 2012524087
(ダクチノマイシン(Dactinomycin));
Figure 2012524087
(ダウノルビシン(Daunorubicin));
Figure 2012524087
(ジエチルシチルベストロール(Diethylstilbestrol));
Figure 2012524087
(エピルビシン(Epirubicin));
Figure 2012524087
(フルダラビン(Fludarabine));
Figure 2012524087
(フルドロコルチゾン(Fludrocortisone));
Figure 2012524087
(フルオキシメステロン(Fluoxymesterone));
Figure 2012524087
(フルタミド(Flutamide));
Figure 2012524087
(ヒドロキシ尿素(Hydroxyurea));
Figure 2012524087
(イダルビシン(Idarubicin));
Figure 2012524087
(イフォスファミド(Ifosfamide));
Figure 2012524087
(イマチニブ(Imatinib);Novartis Pharmaceuticals Corporation;East Hanover,NJによりGleevec(登録商標)として販売されている);
Figure 2012524087
(ロイコボリン(Leucovorin));
Figure 2012524087
(ロイプロリド(Leuprolide));
Figure 2012524087
(レバミゾール(Levamisole));
Figure 2012524087
(ロムスチン(Lomustine));
Figure 2012524087
(メクロルエタミン(Mechlorethamine));
Figure 2012524087
(メルファラン(Melphalan);Celgene Corporation;Warren,NJによりAlkeran(登録商標)として販売されている);
Figure 2012524087
(メルカプトプリン(Mercaptopurine));
Figure 2012524087
(メスナ(Mesna));
Figure 2012524087
(メトトレキセート(Methotrexate));
Figure 2012524087
(マイトマイシン(Mitomycin));
Figure 2012524087
(ミトタン(Mitotane));
Figure 2012524087
(ミトキサントロン(Mitoxantrone));
Figure 2012524087
(ニルタミド(Nilutamide));オクトレオチド(octreotide)(L−システインアミド,D−フェニルアラニル−L−システイニル−L−フェニルアラニル−D−トリプトフィル−L−リシル−L−トレオニル−N−[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)プロピル]−,環状(2 7)−ジスルフィド;[R R,R)];
Figure 2012524087
;Katzら,Clin Pharm.8(4):255−73(1989);Sandostatin LAR(登録商標)Depotとして販売されている;Novartis Pharm.Corp;E. Hanover,NJ);オキサリプラチン(oxaliplatin)
Figure 2012524087
;Sanofi−Synthelabo Inc.;New York,NYによりEloxatin(商標)として販売されている);
Figure 2012524087
(パミドロナート(Pamidronate);Novartis Pharmaceuticals Corporation;East Hanover,NJによりAredia(登録商標)として販売されている);
Figure 2012524087
(ペントスタチン(Pentostatin);Supergen;Dublin,CAによりNipent(登録商標)として販売されている);
Figure 2012524087
(プリカマイシン(Plicamycin));
Figure 2012524087
(ポルフィマー(Porfimer));Axcan Scandipharm Inc.;Birmingham,ALによりPhotofrin(登録商標)として販売されている);
Figure 2012524087
(プロカルバジン(Procarbazine));
Figure 2012524087
(ラルチトレックスト(Raltitrexed));リツキィマブ(Rituximab)(Genentech,Inc.;South San Francisco,CAによりRituxan(登録商標)として販売されている);
Figure 2012524087
(ストレプトゾシン(Streptozocin));
Figure 2012524087
(テニポシド(Teniposide));
Figure 2012524087
(テストステロン(Testosterone));
Figure 2012524087
(サリドマイド(Thalidomide));
Figure 2012524087
(チオグアニン(Thioguanine));
Figure 2012524087
(チオテパ(Thiotepa));
Figure 2012524087
(トレチノイン(Tretinoin));
Figure 2012524087
(ビンデシン(Vindesine))または13−シス−レチノイン酸
Figure 2012524087
。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、以下のいずれかの1以上と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する:フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン(estramustine)、アルトレタミン(altretamine)、フロクスウリジン(fioxuridine)、5−デオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン、デオキシコフォルマイシン(deoxycoformycin)、カルシトリオール(calcitriol)、バルルビシン(valrubicin)、ミトラマイシン(mithramycin)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビノレルビン(vinorelbine)、トポテカン(topotecan)、ラゾキシン(razoxin)、マリマスタット(marimastat)、COL−3、ネオバスタット(neovastat)、BMS−275291、スクアラミン(squalamine)、エンドスタチン(endostatin)、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンジオスタチン、ビタキシン(vitaxin)、ドロロキシフェン(droloxifene)、ヨードキシフェン(idoxyfene)、スピロノラクトン(spironolactone)、フィナステリド(finasteride)、シミチジン(cimitidine)、トラスツズマブ(trastuzumab)、デニロイキン(denileukin)、ジフチトックス(diftitox)、ゲフィチニブ(gefitinib)、ボルテジミブ(bortezimib)、パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、エピチロン(epithilone)B、BMS−247550(例えば、Leeら,Clin.Cancer Res.7:1429−1437(2001)を参照されたい)、BMS−310705、ドロロキシフェン(droloxifene)(3−ヒドロキシタモキシフェン)、4−ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン(pipendoxifene)、ERA−923、アルゾキシフェン(arzoxifene)、フルベストラント(fulvestrant)、アコルビフェン(acolbifene)、ラソフォキシフェン(lasofoxifene)(CP−336156)、ヨードキシフェン(idoxifene)、TSE−424、HMR−3339、ZK186619、トポテカン(topotecan)、PTK787/ZK 222584(Thomasら,Semin Oncol.30(3 Suppl 6):32−8(2003))、ヒト化抗VEGF抗体ベバシズマブ(Bevacizumab)、VX−745(Haddad,Curr Opin.Investig.Drugs 2(8):1070−6(2001))、PD 184352(Sebolt−Leopoldら,Nature Med.5:810−816(1999))、ラマパイシン(rapamycin)、CCI−779(Sehgalら,Med.Res.Rev.,14:1−22(1994);Elit,Curr.Opin.Investig.Drugs 3(8):1249−53(2002))、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646(Vlahosら,J.Biol.Chem.269(7):5241−5248(1994))、ウォルトマンニン(wortmannin)、BAY−43−9006(Wilhelmら,Curr.Pharm.Des.8:2255−2257(2002))、ZM336372、L−779,450、Lowingerら,Curr.Pharm Des.8:2269−2278(2002)に開示されている任意のRafインヒビター;フラボピリドール(flavopiridol)(L86−8275/HMR 1275;Senderowicz,Oncogene 19(56):6600−6606(2000))またはUCN−01(7−ヒドロキシ スタウロスポリン(staurosporine);Senderowicz,Oncogene 19(56):6600−6606(2000))。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明のもう1つの実施形態においては、スチリル置換ヘテロアリールEGFRインヒビターを開示している米国特許第5,656,655号、ビスモノおよび/または二環式アリールヘテロアリール炭素環式およびヘテロ炭素環式EGFRおよびPDGFRインヒビターを開示している米国特許第5,646,153号、EGFRを抑制する三環式ピリミジン化合物を開示している米国特許第5,679,683号、受容体チロシンキナーゼ抑制活性を有するキナゾリン誘導体を開示している米国特許第5,616,582号、EGFRを抑制する構造を有する化合物を開示しているFryら,Science 265 1093−1095(1994)(Fryらの図1を参照されたい)、EGFRを抑制するヘテロアリールエテンジイルまたはヘテロアリールエテンジイルアリール化合物を開示している米国特許第5,196,446号、EGFR、PDGFRおよびFGFRファミリーの受容体を抑制するPD166285[PD166285は6−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(4−(2−ジエチルアミノエトキシ)フェニルアミノ)−8−メチル−8H−ピリド(2,3−d)ピリミジン−7−オンとして特定されている]として特定された化合物を開示しているPanekら,Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 283:1433−1444 (1997)に記載されている化合物のいずれかの1以上と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本発明の1つの実施形態においては、以下のいずれかの1以上と組合されたIGF1Rインヒビターを提供する:PEG化(pegylated;ペジル化)または非PEG化インターフェロンアルファ−2a、PEG化または非PEG化インターフェロンアルファ−2b、PEG化または非PEG化インターフェロンアルファ−2c、PEG化または非PEG化インターフェロンアルファn−1、PEG化または非PEG化インターフェロンアルファn−3およびPEG化、非PEG化共通(コンセンサス)インターフェロンまたはアルブミン−インターフェロン−アルファ。これらの物質を投与することによる、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、神経芽細胞腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法は、本発明の範囲内である。
本明細書中で用いる「インターフェロンアルファ」なる語は、細胞増殖を抑制し免疫応答をモジュレーションする、高度に相同な種に特異的なタンパク質ファミリーを意味する。典型的な適当なインターフェロン−アルファには、組換えインターフェロンアルファ−2b、組換えインターフェロンアルファ−2a、組換えインターフェロンアルファ−2c、アルファ2インターフェロン、インターフェロンアルファ−n1(INS)、天然アルファインターフェロンの精製混合物、共通アルファインターフェロン、例えば、米国特許第4,897,471号および第4,695,623号(特にその実施例7、8または9)、またはインターフェロンアルファ−n3、天然アルファインターフェロンの混合物に記載されているものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
インターフェロンアルファ−2aはHoffmann−La Roche(Nutley,NJ)によりROFERON−A(登録商標)として販売されている。
インターフェロンアルファ−2bはSchering Corporation(Kenilworth,NJ)によりINTRON−A(登録商標)として販売されている。インターフェロンアルファ2bの製造は、例えば米国特許第4,530,901号に記載されている。
インターフェロンアルファ−n3は、Hemispherx Biopharma,Inc.(Philadelphia,PA)によりALFERON N INJECTION(登録商標)として販売されている天然インターフェロンの混合物である。
インターフェロンアルファ−n1(INS)は、Glaxo−Smith−Kline(Research Triangle Park,NC)によりWELLFERON(登録商標)として販売されている天然インターフェロンの混合物である。
共通インターフェロンは、Intermune,Inc.(Brisbane,CA)によりINFERGEN(登録商標)として販売されている。
インターフェロンアルファ−2cは、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical,Inc.(Ridgefield,CT)によりBEROFOR(登録商標)として販売されている。
天然インターフェロンの精製混合物は、Sumitomo;Tokyo,JapanによりSUMIFERON(登録商標)として販売されている。
本明細書中で用いる「PEG化インターフェロンアルファ」なる語は、インターフェロンアルファ、好ましくはインターフェロンアルファ−2aおよびアルファ−2bのポリエチレングリコール修飾コンジュゲートを意味する。好ましいポリエチレングリコール−インターフェロンアルファ−2bコンジュゲートはPEG12000−インターフェロンアルファ−2bである。本明細書中で用いる「12,000分子量ポリエチレングリコールコンジュゲート化インターフェロンアルファ」および「PEG12000−IFNアルファ」なる語は、12000の平均分子量を有するポリエチレングリコールとインターフェロンアルファ−2aまたは−2bアミノ基との間にウレタン連結を含有する国際出願番号WO 95/13090の方法により製造されるようなコンジュゲートを含む。PEG化インターフェロンアルファPEG12000−IFN−アルファ−2bはSchering−Plough Research Institute,Kenilworth,NJから入手可能である。
好ましいPEG 12000−インターフェロンアルファ−2bは、インターフェロンアルファ−2b分子内のリシン残基のイプシロンアミノ基にPEG重合体を結合させることにより製造されうる。単一のPEG12000分子はウレタン連結によりIFNアルファ−2b分子上の遊離アミノ基にコンジュゲート化されうる。このコンジュゲートは、結合しているPEG12000の分子量により特徴づけられる。PEG12000−IFNアルファ−2bコンジュゲートは、注射用の凍結乾燥粉末として製剤化されうる。
PEG化インターフェロンアルファ−2bはSchering Corporation(Kenilworth,NJ)によりPEG−INTRON(登録商標)として販売されている。
PEG化インターフェロン−アルファ−2aはHoffinann−La Roche(Nutley,NJ)によりPEGASYS(登録商標)として販売されている。
他のインターフェロンアルファコンジュゲートは、インターフェロンアルファを水溶性重合体に結合させることにより製造されうる。そのような重合体の非限定的な一覧は、他のポリアルキレンオキシドホモ重合体、例えばポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、その共重合体およびそのブロック共重合体を含む。ポリアルキレンオキシドに基づく重合体の代わりとして、有効に非抗原性である物質、例えばデキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、炭水化物に基づく重合体などが使用されうる。そのようなインターフェロンアルファ−重合体コンジュゲートは、例えば米国特許第4,766,106号、米国特許第4,917,888号、欧州特許出願第0 236 987号もしくは第0 593 868号または国際公開番号WO 95/13090に記載されている。
非経口投与に適したPEG化インターフェロンアルファの医薬組成物は、適当なバッファー、例えばTris−HCl、酢酸塩またはリン酸塩、例えば二塩基性リン酸ナトリウム/一塩基性リン酸ナトリウムバッファー、および医薬上許容される賦形剤(例えば、スクロース)、担体(例えば、ヒト血漿アルブミン)、等張化剤(例えば、NaCl)、保存剤(例えば、チメロソール、クレゾールまたはベンジルアルコール)および界面活性剤(例えば、トゥイーンまたはポリソルベート)で注射用無菌水において製剤化されうる。該PEG化インターフェロンアルファは2℃〜8℃の冷凍下で凍結乾燥粉末として保存されうる。還元(再構成)水溶液は、2℃〜8℃で保存された場合に安定であり、還元から24時間以内に使用される。例えば、米国特許第4,492,537号、第5,762,923号および第5,766,582号を参照されたい。また、該還元水溶液は、予め充填された多用量シリンジ(例えば、インスリンのような薬物の運搬に有用なもの)中で保存されうる。典型的な適当なシリンジには、ペン型シリンジに付属した予め充填されたバイアルを含む系、例えば、Novo Nordiskから入手可能なNOVOLET(登録商標)Novo Pen、またはSchering Corporation,Kenilworth,NJから入手可能なREDIPEN(登録商標)が含まれる。他のシリンジ系には、希釈剤および凍結乾燥PEG化インターフェロンアルファ粉末を別々の区画に含有するガラスカートリッジを含むペン型シリンジが含まれる。
本発明の範囲は、1以上の他の抗癌化学療法物質(例えば、本明細書に記載されているもの)と組合された、そして場合によっては(すなわち、存在していても存在していなくてもよい)1以上の鎮吐薬[パロノセトロン(palonosetron)(AloxiとしてMGI Pharmaにより販売されている)、アプレピタント(aprepitant)(EmendとしてMerck and Co.;Rahway,NJにより販売されている)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)(Benadryl(登録商標)としてPfizer;New York,NYにより販売されている)、ヒドロキシジン(hydroxyzine)(Atarax(登録商標)としてPfizer;New York,NYにより販売されている)、メトクロプラミド(metoclopramide)(Reglan(登録商標)としてAH Robins Co,;Richmond,VAにより販売されている)、ロラゼパム(lorazepam)(Ativan(登録商標)としてWyeth;Madison,NJにより販売されている)、アルプラゾラム(alprazolam)(Xanax(登録商標)としてPfizer;New York,NYにより販売されている)、ハロペリドール(haloperidol)(Haldol(登録商標)としてOrtho−McNeil;Raritan,NJにより販売されている)、ドロペリドール(droperidol)(Inapsine(登録商標))、ドロナビノール(dronabinol)(Marinol(登録商標)としてSolvay Pharmaceuticals,Inc.;Marietta,GAにより販売されている)、デキサメタゾン(dexamethasone)(Decadron(登録商標)としてMerck and Co.;Rahway,NJにより販売されている)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)(Medrol(登録商標)としてPfizer;New York,NYにより販売されている)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)(Compazine(登録商標)としてGlaxosmithkline;Research Triangle Park,NC)、グラニセトロン(granisetron)(Kytril(登録商標)としてHoffinann−La Roche Inc.;Nutley,NJにより販売されている)、オンダンセトロン(ondansetron)(Zofran(登録商標)としてGlaxosmithkline;Research Triangle Park,NCにより販売されている)、ドラセトロン(dolasetron)(Anzemet(登録商標)としてSanofi−Aventis;New York,NYにより販売されている)、トロピセトロン(tropisetron)(Navoban(登録商標)としてNovartfs;East Hanover,NJにより販売されている)を含むが、これらに限定されるものではない]と組合されたIGF1Rインヒビターを含む組成物をも含む。
鎮吐薬を含む組成物は、抗癌化学療法の一般的副作用である悪心の予防または治療に有用である。したがって、本発明はまた、場合によっては1以上の他の化学療法物質(例えば、本明細書に記載されているもの)と組合された、そして場合によっては1以上の鎮吐薬と組合されたIGF1Rインヒビターを投与することによる、対象における癌の治療または予防方法を含む。
本発明は更に、外科的腫瘍摘出術または抗癌放射線治療と組合せて、場合によってはもう1つの化学療法物質および/または鎮吐薬(例えば、前記のもの)と組合せてIGFR1抑制物質を投与することによる、任意の段階またはタイプの神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、骨肉腫、膵癌または任意の小児癌の治療または予防方法を含む。
エルロチニブ
本発明の広範な態様は、治療を受けるヒト患者に対する有意な副作用を伴うことなく癌を有効に治療する方法を提供する。本発明の治療の臨床的結果は幾分予想外のものである。なぜなら、抗IGFR−1R抗体とエルロチニブ(Erlotinib)とを含む該組合せ療法は、エルロチニブ耐性癌の治療において、より有効だと考えられるからである。また、該組合せ療法(MK−0646とエルロチニブとの組合せ)は、種々の癌において、エルロチニブ単独の場合より有効だと考えられる。他のチロシンキナーゼインヒビターもIGF−1R抗体と組合されうると理解される。あるいは、該組合せ療法は2以上のチロシンキナーゼインヒビターを含むことが可能であり、したがって、化学療法物質単独の場合と比較して有害な事象の付随的発生を有意に増加させない少なくとも2つの化学療法物質を含む化学療法カクテルと組合された抗IGF−1R抗体を含みうる。
受容体チロシンキナーゼは、上皮増殖因子のような増殖因子に対する細胞外結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびタンパク質内の特異的チロシン残基をリン酸化して細胞増殖に影響を及ぼすキナーゼとして機能する細胞内部分を有する、細胞膜にわたって広がる大きな酵素である。そのようなキナーゼは、しばしば、一般的なヒトの癌、例えば肺癌、乳癌、胃腸癌、例えば結腸、直腸または胃癌、白血病および卵巣、気管支または膵臓癌において、異常に発現されることが公知である。チロシンキナーゼ活性を有する上皮増殖因子受容体(EGFR)は、脳、肺、扁平上皮細胞、膀胱、胃、***、頭頚部、食道、婦人科および甲状腺腫瘍のような多数の癌において、突然変異および/過剰発現していることも示されている。
したがって、受容体チロシンキナーゼのインヒビターは哺乳類癌細胞の増殖の選択的インヒビターとして有用であると認識されている。例えば、チロシンキナーゼインヒビターであるエルブスタチン(erbstatin)は、上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR)を発現する移植ヒト乳癌の、胸腺欠損ヌードマウスにおける成長を選択的に低下させるが、EGF受容体を発現しない別の癌の成長には影響を及ぼさない。
スチレン誘導体のような種々の他の化合物もチロシンキナーゼ抑制特性を有することが示されている。最近、5つの欧州特許公開、すなわち、EP 0 566 226 A1、EP 0 602 851 A1、EP 0 635 507 A1、EP 0 635 498 A1およびEP 0 520 722A1は、あるキナゾリン誘導体が、それらのチロシンキナーゼ抑制特性から生じる抗癌特性を有することを開示している。また、PCT公開WO 92/20642はチロシンキナーゼインヒビターとしてビス−モノおよび二環式アリールおよびヘテロアリール化合物を開示している。
エルロチニブ(erlotinib)の製造および使用方法は、1996年5月28日付けで出願され現在はPfizer Inc.に譲渡されている米国特許第5,747,498号(その全内容を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載され特許請求されている。
投与量および投与経路
IGF−1R特異的抗体と化学療法物質とを含む本発明の組合せ療法は、公知方法、例えばボーラスもしくは或る時間にわたる連続的注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液嚢内、鞘内、経口、局所または吸入経路により、ヒト患者に投与される。該抗体の静脈内または皮下投与が好ましい。3つの異なる運搬アプローチが本発明による該抗体の運搬に有用であると予想される。通常の静脈内運搬が、おそらく、大多数の腫瘍に対する標準的な運搬技術であろう。しかし、卵巣、胆管、他の管などの腫瘍により例示される腹腔内の腫瘍のような幾つかの腫瘍に関しては、腫瘍において高用量の抗体を得、抗体のクリアランスを最小にするためには、腹腔内投与が有利であろう。同様に、ある充実性腫瘍は、局所潅流に適した脈管構造を有する。局所潅流は、腫瘍部位において高用量の該抗体が得られるのを可能にし、該抗体の短期クリアランスを最小にするであろう。
タンパク質または抗体の注入に基づくあらゆる療法の場合と同様に、安全性の懸念は、主として、(i)サイトカイン放出症候群、すなわち、低血圧、発熱、震え、悪寒、(ii)該物質に対する免疫原性応答の発生(すなわち、患者による該抗体療法に対するヒト抗体の発生、またはHAHAもしくはHACA応答)、および(iii)EGF受容体を発現する正常細胞(例えば、EGFRおよび/またはIGF−1Rを発現する肝細胞)に対する毒性に関するものである。これらの安全性の懸念のそれぞれをモニターするために、標準的な試験および追跡(フォローアップ)が行われるであろう。特に、肝臓に対する損傷が有ればそれを評価するために、臨床治験中に頻繁に肝機能がモニターされるであろう。
疾患の予防または治療のためには、抗体の適当な投与量は、前記のとおりの治療すべき疾患のタイプ、該疾患の重症度および経過、該抗体が予防目的で投与されるのか治療目的で投与されるのか、過去の療法、患者の臨床履歴および該抗体に対する応答、ならびに担当医師の判断に左右されるであろう。該抗体は、適切には、1回で又は一連の治療にわたって患者に投与される。組合せ療法計画においては、本発明の組成物は、治療的に有効な又は相乗作用をもたらす量で投与される。本明細書中で用いる治療的に有効な量(治療的有効量)は、抗IGF−1R抗体と1以上の他の療法物質(治療用物質)との共投与、または本発明の組成物の投与が、標的疾患または状態の軽減または抑制をもたらすような量である。治療的に相乗作用をもたらす量は、個々の疾患に関連した状態または症状を相乗的または有意に軽減または排除するのに必要な、抗IGF−1R抗体および1以上の他の療法物質(治療用物質)の量である。
広範な実施形態においては、本発明の治療は抗IGF−1R抗体と1以上の化学療法物質との組合せ投与を含む。該組合せ投与は、別々の製剤または単一の医薬製剤を使用する共投与、およびいずれかの順序での連続的投与を含み、ここで、好ましくは、両方(または全て)の活性物質がそれらの生物活性を同時に発現する期間が存在する。そのような化学療法物質に関する調製および投与スケジュールは、製造業者の説明に従って又は当業者により実験的に決定されるとおりに行われうる。化学療法に関する調製および投与スケジュールはChemotherapy Service,M.C.Perry編,Williams & Wilkins,Baltimore,Md.(1992)にも記載されている。該化学療法物質は該抗体の投与の前または後に投与されることが可能であり、あるいはそれと同時に投与されうる。本発明の治療組合せの臨床投与は、現在臨床において使用されているチロシンキナーゼインヒビター(TKI)[エルロチニブ(Erlotinib)およびゲフィチニブ(Gefitinib)]およびモノクローナル抗IGF−1R抗体で観察されるとおり、皮疹のような有害反応の度合により制限される可能性がある。
「治療的に有効な量」または「治療的に有効な投与量」なる語は、癌(例えば、非小細胞肺癌またはいずれかの他のエルロチニブまたはIGF−1R耐性癌)の徴候、症状および/もしくは臨床指数(例えば、腫瘍増殖)のいずれかの測定可能な改善ならびに/またはいずれかの度合の癌の進行もしくは転移の予防、遅延もしくは阻止を含む、投与者(例えば、研究者、医師または獣医)により求められている組織、系、対象または宿主の生物学的または医学的応答を惹起する本発明の組成物(例えば、IGF1Rインヒビター、例えば、抗IGF1R抗体)の量または投与量を意味する。
適当な投与量は医学的実施者に公知であり、もちろん、個々の病態、投与される組成物の特異的活性、および治療を受けている個々の患者に左右されるであろう。いくつかの場合には、所望の治療量を達成するために、反復投与、すなわち、個々のモニターまたは計量された用量の個々の投与の反復を行うことが必要である可能性があり、この場合、所望の1日量または効果が達成されるまで個々の投与を反復する。適当な投与量に関する更なる情報は後記実施例に記載されている。
例えば、1つの実施形態においては、いずれかの抗IGF1R抗体、例えば、ドルツズマブ(Dolutuzumab)または本明細書に記載されているいずれかの他の抗IGF1R抗体に対応する抗体または抗原結合性フラグメントの「治療的に有効な投与量」は、週1回で約40〜約1000mg/m(例えば、約50mg/m、60mg/m、70mg/m、80mg/m、90mg/m、100mg/m、約200mg/m、約300mg/m、約400mg/m、約500mg/m、約600mg/mまたは約700mg/m)または1〜20mg/kg体重(例えば、約1mg/kg体重、約2mg/kg体重、約3mg/kg体重、約4mg/kg体重、約5mg/kg体重、約6mg/kg体重、約7mg/kg体重、約8mg/kg体重、約9mg/kg体重、約10mg/kg体重、約11mg/kg体重、約12mg/kg体重、約13mg/kg体重、約14mg/kg体重、約15mg/kg体重、約16mg/kg体重、約17mg/kg体重、約18mg/kg体重、約19mg/kg体重、約20mg/kg体重)である。
投与計画は、最適な所望の応答(例えば、治療応答)が得られるように調節されうる。例えば、単一用量が投与可能であり、あるいは幾つかの分割量が経時的に投与可能であり、あるいは該用量は、治療状況の要求に適応するように比例的に減少または増加されうる。例えば、投与量は、患者の年齢、体重、身長、過去の病歴、現在の投薬ならびに交差反応、アレルギー、感受性および有害な副作用の可能性に応じて、当技術分野における通常の技量を有する実施者(例えば、医師または獣医)により決定または調節されうる。投与の容易化および投与量の均一性のためには、投与単位形の非経口組成物を製剤化することが特に有利である。
当技術分野における通常の技量を有する医師または獣医は、必要な該医薬組成物の有効量を容易に決定し処方することが可能である。例えば、医師または獣医は、所望の治療効果を達成するために要求されるレベルより低いレベルの、該医薬組成物において使用される本発明の抗体または抗原結合性フラグメントの用量から開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加することが可能であろう。本発明の抗体または組合せの、与えられた用量または治療計画の有効性は、例えば、対象において治療されている腫瘍が縮小または成長停止したかどうかを判定することにより決定されうる。腫瘍のサイズは、例えば、X線、磁気共鳴撮像(MRI)により、または外科的手法において視覚的に、容易に決定されうる。腫瘍細胞および増殖は、チミジンPETスキャンを使用することにより測定されうる(例えば、Wellsら,Clin.Oncol.8:7−14(1996)を参照されたい)。一般に、チミジンPETスキャンは、[2−11C]−チミジンのような放射能トレーサーの注射、およびそれに続く、患者の身体のPETスキャンを含む(Vander Borghtら,Gastroenterology 101:794−799,1991;Vander Borghtら,J.Radiat.Appl.Instrum.Part A,42:103−104(1991))。使用されうる他のトレーサーには、[18F]−FDG(18−フルオロデオキシグルコース)、[124I]IUdR(5−[124I]ヨード−2’−デオキシウリジン)、[76Br]BrdUrd(ブロモデオキシウリジン)、[18F]FLT(3’−デオキシ−3’フルオロチミジン)または[11C]FMAU(2’−フルオロ−5−メチル−1−β−D−アラビノフラノシルウラシル)が含まれる。
例えば、NSCLCの進行は種々の方法により医師または獣医によりモニターされることが可能であり、それに応じて投与計画が改変されうる。進行をモニターするための方法には、例えば、CTスキャン(例えば、腫瘍サイズをモニターするためのもの)、MRIスキャン(例えば、腫瘍サイズをモニターするためのもの)、胸部X線(例えば、腫瘍サイズをモニターするためのもの)、骨スキャン、骨髄生検、ホルモン試験、全血球試験(CBC)、尿または血液中のNSCLC腫瘍マーカーに関する試験が含まれる。
タイプおよび重症度に応じて、約1μg/kg〜50mg/kg(例えば、0.1〜20mg/kg)の抗体が、例えば1以上の別々の投与によるものであるか連続的注入によるものであるかにかかわらず、患者への投与のための初期候補投与量である。典型的な1日投与量は、前記の要因に応じて約1μg/kg〜約100mg/kgまたはそれ以上の範囲となりうるであろう。数日間以上にわたる反復投与の場合、条件に応じて、該治療は、疾患症状の所望の抑制が生じるまで続けられる。しかし、他の投与計画も有用でありうる。
1つの態様においては、本発明の抗体は毎週投与され、または2〜3週間ごとに、約5mg/kg〜約15mg/kgの範囲の用量で投与されうる。より好ましくは、そのような投与計画は、エルロチニブ(erlotinib)耐性癌、例えばNSCLCを治療するための化学療法計画と組合せて用いられる。いくつかの態様においては、該化学療法計画は通常の高用量の断続的投与を含む。いくつかの他の態様においては、該化学療法物質は、計画された中断を伴うことなく、より小さい及びより頻繁な用量を用いて投与される(「規則的(metronomic)化学療法」)。本発明の療法の進行は通常の技術およびアッセイにより容易にモニターされる。
1つの実施形態においては、投与手順は、エルロチニブ(erlotinib)(経口)をIGF−1R抗体と共に投与することを含み、エルロチニブは毎日投与され、一方、IGF−1R抗体(MK−0646)は毎週投与される。特に、MK−0646(IGF−1R mAb)は毎週10mg/kg(i.v.)の用量で投与され、一方、エルロチニブは毎日150mg投与される。
IGF−1R抗体に関する代替的投与計画は以下のとおりである:
(i)15mg/kg の負荷(ローディング)、およびそれに続く、毎週7.5mg/kg、
(ii)隔週で20mg/kg、
(iii)3週間ごとに30mg/kg。
非経口投与の場合、該抗体は、医薬上許容される非経口ビヒクルと組合された又は別々に提供された溶液、懸濁液、乳液(エマルション)または凍結乾燥粉末として製剤化されうる。そのようなビヒクルの具体例としては、水、食塩水(塩類液)、リンガー液、デキストロース溶液および1〜10% ヒト血清アルブミンが挙げられる。リポソームおよび非水性ビヒクル、例えば不揮発性油も使用されうる。該ビヒクルまたは凍結乾燥粉末は、等張性を維持する添加物(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性を維持する添加物(例えば、バッファーおよび保存剤)を含有しうる。該製剤は、公知の又は適当な技術により滅菌される。該組合せ療法の投与は疾患進行まで継続されうる。
本発明を一般的な観点から説明してきたが、以下の実施例においては本発明の実施形態を更に詳細に開示することとする。
製造品
本発明のもう1つの実施形態においては、前記の障害の治療に有用な要素を含有する製造品を提供する。該製造品は、容器、標識(ラベル)およびパッケージインサートを含む。適当な容器には、例えばボトル、バイアル、シリンジなどが含まれる。該容器は、種々の材料、例えばガラスまたはプラスチックから形成されうる。該容器は、該状態を治療するのに有効な組成物を含有し、無菌性の接近口(アクセスポート)を有しうる(例えば、該容器は、皮下注射針により刺し貫かれうる栓を有する静脈溶液バッグまたはバイアルでありうる)。該組成物中の少なくとも1つの活性物質は抗IGF−1R抗体である。該容器上の又はそれに添付された標識は、選択された状態を治療するために該組成物が使用されることを示す。該製造品は更に、医薬上許容されるバッファー、例えばリン酸緩衝食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を含む第2容器を含む。それは更に、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針およびシリンジを含む商業的な又は使用者の観点から望ましい他の要素を含みうる。また、該製造品は、例えば該抗IGF−1R抗体組成物およびEGFRインヒビター(例えば、エルロチニブ)組成物を患者に投与することを該組成物の使用者に説明することを含む使用説明を伴うパッケージインサートを含む。
本明細書中に挙げられている全ての刊行物を、例えば、ここに記載されている発明に関して用いられうる該刊行物中に記載されている構造および方法を記載し開示する目的で、参照により本明細書に組み入れることとする。前記および本明細書中の全体にわたって記載されている刊行物は、専ら、本出願の出願日の前のそれらの開示に関して記載されている。この場合、より早い発明に基づいて本発明者らがそのような開示に先行すると主張する権利がないと自認するものと解釈されるべきではない。
図1(A)は、EGF1RとIGF1Rとの間のクロストークを示す概要図である(どのような方法も要さない)。 図1(B)は、P−RTKアレイにより測定されたEGFRおよびIGF1R活性化の要約である(詳細な方法または細胞培養、細胞溶解、RTKアレイ法およびイメージ定量は本明細書中に記載されている)。 図1(C)は、P−RTKアレイからの代表的イメージであり、P−EGFRおよびP−IGF1Rに対応する位置が該イメージにおいて示されている(方法は図1Bと同じである)。
EGFRおよびIGFIRの活性化とMK−0646/エルロチニブの組合せの効力との間の相関性
要約:細胞における多受容体チロシンキナーゼの活性化はエルロチニブ(Erlotinib)に対する薬物耐性に関与しうるであろう。実際、エルロチニブ耐性患者からの臨床サンプルにおいてEGFRおよびcMETの活性化が観察されている。
方法:MK−0646/エルロチニブの組合せに応答する腫瘍を特定するために、肺癌細胞系のパネルにおける種々のRTKのリン酸化状態を評価した。図1に示されているとおり、10個の肺癌細胞系のパネルにわたる活性化EGFRおよびIGFIRのレベルを定量した。NCI−H2122およびNCI−H322Mにより表される細胞系のなかで、P−IGFIRおよびP−EGFRの両方を高レベルで示したものは非常に少数であったが、EGFR突然変異細胞系HCC827は、IGFRの活性化をほとんど又は全く伴わない高レベルのP−EGFRを示した。
簡潔に説明すると、全てのNSCLC細胞系をATCCから入手し、ATCCにより指定されているとおりに10% FBSを含有するDMEMまたはRPMI内で維持した。約200万個の細胞を10cmプレート内で培養し、タンパク質ライセートをサブコンフルエント培養から調製し、P−RTKアレイ(R&D bioscience)上に、該製造業者により記載されているとおりにブロットした。該アレイをHRP結合P−Tyr抗体でプローブし、ついでSuperSignal化学発光基質(Pierce)と共にインキュベートし、ついでブロットをKodak Biomax Light Filmに露出させた。該フィルムを走査し、適当なRTKスポット(二重)の位置を整列させ、強度を、デンシトメトリーを用いて決定し、定量した(Alpha Ease)。該膜上にスポットされた陽性対照(P−Tyrペプチド)(該膜の4つの隅における二重スポット)に対して正規化することにより、P−RTKの相対レベルを推定した。
MK−0646/エルロチニブによるPI3KおよびRAS−MAPKシグナリングの抑制
要約:PI3KおよびRAS−MAPK経路活性に対するこれらのRTKの抑制の効果を試験するために、該経路における中心的集合点のリン酸化状態を測定した。図2に示すとおり、EGFRとIGFIRとの組合せインヒビターは、両方の受容体を高レベルで発現するNCI−H2122およびNCI−H322M細胞系におけるP−S6RPおよびP−S6Kの実質的減少により測定した場合、PI3K経路の遮断において、より有効であった。P−EGFRおよびP−IGFIRの両方が低レベルの細胞系においては、PI3Kシグナリングのそのような相乗的抑制は観察できなかった(A427が一例として示されている)。他の細胞系において、同様の結果が得られた(データ非表示)。
方法:ウエスタンブロット分析のために、6ウェルプレート内で培養された細胞(〜0.3百万個)からの全タンパク質ライセートをデフォロリムス(Deforolimus)(10nM)もしくはMK−0646(10ng/ml)のいずれか又はそれらの組合せで4時間処理し、SDSゲルローディング色素(Invitrogen)において集めた。サンプルを、示されている全ての又はホスホ特異的な抗体で、ついで二次抗体(Cell Signaling Technology,CST)でウエスタンブロットし、ついでSuperSignal化学発光基質(Pierce)と共にインキュベートした。ついで該ブロットをKodak Biomax Light Filmに露出させた。ERK、p−ERK(Thr202/Tyr204)、AKTおよびp−AKT(Ser473)、IGF1RT S6KおよびP−S6K(T389)、IRS1およびP−IRS1(S302)ならびにアクチンに対する抗体をCSTから得た。
EGFRおよびIGF−1rシグナリングの両方を抑制する機能的効果
要約:EGFRおよびIGF−1Rシグナリングの両方を抑制する機能的効果を試験するために、接着(2D)および非接着(3D)条件下の増殖抑制を評価した。接着増殖条件下、MK−0646処理細胞系においては有意な増殖抑制は観察されなかった。これは従来の実験と一致している(データ非表示)。この組合せの効果を3D非接着条件下で試験するために、本発明者らは、超低接着プレートに基づく増殖アッセイを開発した。非接着条件下で増殖させた場合、10個中7個の系のみが測定可能な様態で増殖し、感受性評価のために使用した。NCI−H2122細胞は、非接着条件下、エルロチニブ/MK−0646の組合せに対する感受性の相当な増加を示した。一方、低レベルのP−IGFIRおよびEGFRを有するA427細胞は、2Dまたは3D増殖条件下、有意な増殖抑制を示さなかった。
方法:細胞(〜3×10)を接着または非接着(超低接着プレート;Corning)96ウェルプレート内に播いた。第1日に、細胞を、示されている濃度のエルロチニブまたはMK−0646またはそれらの組合せと共にインキュベートし、1組の細胞をDNA含量測定のために集めた(第1日)。該培地および薬物を3日ごとにゆっくり交換し、該アッセイの終了時に(示されているとおり)プレートを集め、Cyquantアッセイを該製造業者の説明のとおりに用いてDNA含量を測定した。第1日から該アッセイの終了時までのDNA含量の増加に基づいて、固有増殖を計算した。
前記の結果を証明するために、本発明者らはハイスループット軟寒天コロニー形成アッセイを利用した。蛍光生細胞色素(Lava Cell)を使用して足場非依存的増殖を定量した。MK−0646およびエルロチニブの組合せは、NCI−H2122およびA549の両方の細胞系の軟寒天コロニー形成を有意に抑制した(図4:対照と比較してP>0.0001)。H460細胞は、該組合せの存在下、増殖抑制の増加を示した。したがって、該インビトロ分析は、MK−0646およびエルロチニブの組合せに対して、より良好に応答する、10個中3個の細胞系(30%)を特定した。これは両方のRTK(EGFRおよびIGF1R)の活性化と相関している。
方法:96ウェルガラス底プレート(MatriCal)内で軟寒天アッセイを行った。0.8% アガロースで補足された同じ培養培地からなる下層の最上部に14% FBSおよび0.3%(w/v)SeaPlaqueアガロース(Lonza Rockland,Inc)で補足された100μlのRMPI 1640内に、3,000〜9,000細胞/ウェルの濃度で細胞を播いた。アガロースが固化した後で補足された100μlの培地内に化合物を加えた。細胞を7〜14日間インキュベートした後、LavaCell(Active Motif)で一晩染色した。Isocyte(商標)レーザースキャニングサイトメーターを使用してコロニーを定量した。足場非依存的増殖をMK−0646が単独で又は標準的なケア物質と共に抑制する能力を軟寒天コロニー形成アッセイにおいて評価した。P−RTKアッセイ(R&D biosciences)を該製造業者の説明のとおりに使用して、全タンパク質ライセートにおいてRTK状態を評価した。KRASにおける活性化突然変異は、公開されている癌ゲノムデータベース(Sanger)から特定された。
kRAS突然変異体肺腫瘍異種移植片モデルにおけるエルロチニブおよびMK−0646の効力の評価
前に、k−RAS突然変異体NCI−H2122異種移植片(インビトロでの高p−IGF1Rおよびp−EGF1R)からのインビボデータは、IGF1R受容体のダウンレギュレーションに相関する腫瘍増殖の良好な抑制を示した。MK−0646処理後にPI3K経路の抑制も観察された。この異種移植片モデルを使用して、本発明者らは、エルロチニブ耐性kRAS突然変異体患者集団において、エルロチニブと組合されたMK−0646の効果を評価した。図5に示すとおり、MK−0646(2mpk;週1回の投与)とエルロチニブ(50mpk)との組合せは腫瘍増殖の有意な抑制、そして更には該異種移植片の退縮を引き起こして、kRAS突然変異体肺腫瘍により特徴づけられる病態の治療に関するK−0646およびエルロチニブの組合せの根底にある論理的説明に関する更なる確証をもたらした。
方法:2.5×106 NCI−H2122ヒトNSCLC細胞を4〜6週齢のnu/nuマウス(Charles River Laboratories)の右脇腹に皮下注射した。腫瘍が〜300mm3(長さ0.5)のサイズに達したら、マウスを治療群にランダム化した。ビヒクル(20mL L−ヒスチジン、150mM NaCl、0.5% PS80 pH=6)を週1回、3週間にわたり(qwk×3)、または2mpkのMK−0646(mg/kg MK−0646 qwk)を腹腔内に、またはエルロチニブ(50mg/kg、経口ガバージュ)を毎日、またはMK−0646と組合せて3週間にわたって、マウス(n=8匹/群)に投与した。動物を秤量し、該研究中に週2回および終了時にノギスで計測することにより腫瘍体積を決定した。腫瘍重量を終了時に決定した。第21日に、動物をCO2窒息により犠死させた。最終投与の24時間後にマウスを犠死させた。犠死の時点で、組織サンプルを集め、加工した。
効力と全タンパク質レベルの減少との間の相関性
要約:標的関与の尺度として、IGF1Rの全レベルをウエスタンブロットELISAによりアッセイした(データ非表示)。該データは効力と全タンパク質レベルの減少との間の良好な相関性を示した。図6に示すとおり、各パネルにおいて、MK−0646は、ビヒクルまたはエルロチニブ単独処理と比較してIGF1Rの全レベルを減少させうる。これらのデータは、MK−0646の単独での又は他の標的化物質と組合された長期的な慢性的治療にわたる標的関与および効力に関する良好な生物マーカーとして、全IGF1Rレベルが機能しうることを示唆している。P−AKT、PS6KおよびPS6RPの減少により測定されるとおり、顕著なPI3K経路抑制が、該組合せで処理された腫瘍において観察された。RAS−MAPK経路も該組合せにより抑制された。これらのデータは、IGF1RおよびEGFRの組合せ抑制が、各物質が単独投与された場合と比較して増強した、抗腫瘍効力誘発性増殖因子シグナリングの抑制をもたらしたことを示唆している。図7を参照すると、別のKRAS突然変異体エルロチニブ不応性NSCLCモデルにおいても、エルロチニブおよびMK−0646の組合せによる同様の抗腫瘍効力が観察された。
方法:効力研究の終了時(示されている投与の4週間後)に異種移植片サンプルからの全タンパク質(500マイクログラム)を単離した。6個の独立した腫瘍からのサンプルを治療の容易さに関して分析した。既に記載されているとおりに、該タンパク質をウエスタンブロットし、可視化した(図2を参照されたい)。
配列表

Figure 2012524087

Figure 2012524087

Claims (22)

  1. チロシンキナーゼインヒビターとIGF−1Rインヒビターとを含む組合せ療法物質またはその医薬組成物の治療的に有効な量を対象に投与することを含む、対象における医学的状態の治療または予防方法であって、該組合せ療法物質の投与が、該患者を治療するのに十分な、EGFRインヒビターまたはIGF−1Rインヒビターの単独投与と比較して増強した治療効力をもたらす、方法。
  2. 該チロシンキナーゼインヒビターがエルロチニブ(Erlotinib)である、請求項1記載の方法。
  3. 該医学的状態がエルロチニブ(Erlotinib)耐性癌である、請求項1記載の方法。
  4. 該IGF−1Rインヒビターまたはその機能性フラグメントの1つが、ヒトIGF1Rに特異的に結合する抗体であり、該抗体が、非ヒト由来の少なくとも1つの重鎖相補性決定領域(CDR)と、非ヒト由来の少なくとも1つの軽鎖相補性決定領域(CDR)とを含み、IGF−1Rに結合する該抗体が、(a)IGF−1Rには結合するがIRには結合しない;(b)インスリン受容体とインスリン増殖因子受容体とを含むハイブリッド受容体(IR/IGF−1Rハイブリッド−R)には結合するがIR単独体には結合しない;(c)ヒトIGF−1RとIGF−1および/またはIGF−2との間の結合を抑制する;(d)該ハイブリッド−Rならびにその天然リガンド、好ましくは、本明細書においてIGF1および/またはIGF2と称されるリガンドおよび/またはインスリンに100nM未満の阻害定数および/またはIC50で結合する;(e)該IGF−1Rのチロシンキナーゼ活性を特異的に抑制する;(f)該ハイブリッド−Rのチロシンキナーゼ活性を特異的に抑制する;(g)該ハイブリッド−Rに対する10nM以下の結合アフィニティーを有する;(h)IGF−1Rの発現をダウンレギュレーションする;(i)ハイブリッド−Rの発現をダウンレギュレーションする;(j)インビボの腫瘍増殖を抑制することからなる群から選択される特性の少なくとも1つを有する、請求項1記載の方法。
  5. 該IGF−1r抗体が重鎖と軽鎖とを含み、該重鎖が、配列番号4、5または6からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのCDRを含み、該軽鎖が、配列番号1、2または3からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのCDRを含む、請求項4記載の方法。
  6. 該抗IGF−1R抗体が、ダロツズマブ(dalotuzumab)、フィジツムマブ(figitumumab)、シクスツムマブ(cixutumumab)、SHC 717454、ロッシエ(Roche)R1507およびアムジェン(Amgen)AMG479からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
  7. 該ヒト化抗体またはその機能性フラグメントの1つが、配列番号7もしくは8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖、または配列番号9、10もしくは11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項3記載の方法。
  8. 該抗IGF−1R抗体がダロツズマブ(dalotuzumab)である、請求項7記載の方法。
  9. 該チロシンキナーゼインヒビターがエルロチニブ(Erlotinib)であり、それを10mg〜400mgの用量で投与する、請求項1記載の方法。
  10. 該チロシンキナーゼインヒビターを毎週100〜300mg/kgの用量で投与する、請求項1記載の方法。
  11. 該チロシンキナーゼインヒビターと該IGF−1Rインヒビターとを含む該組合せ療法物質を以下のとおりに投与する:すなわち、チロシンキナーゼを約150mg/kgで投与し、該IGF−1Rインヒビターを毎週10mg/kgの用量で投与する、請求項1記載の方法。
  12. 該チロシンキナーゼインヒビターがエルロチニブ(Erlotinib)であり、それを週5回投与する、請求項11記載の方法。
  13. 該ダロツズマブ(dalotuzumab)を10mg/kgの用量で静脈内に投与する、請求項11記載の方法。
  14. 該ダロツズマブ(dalotuzumab)を週1回投与する、請求項11記載の方法。
  15. 該ダロツズマブ(dalotuzumab)を2週間に1回投与する、請求項11記載の方法。
  16. 該IGF1Rインヒビターを、1以上の他の化学療法物質またはその医薬組成物と組合せて投与する、請求項1記載の方法。
  17. 前記の他の化学療法物質が、テニポシド(teniposide)
    Figure 2012524087

    、シスプラチン(cisplatin)
    Figure 2012524087

    、カルボプラチン(carboplatin)
    Figure 2012524087

    、エトポシド(etoposide)
    Figure 2012524087

    、ドキソルビシン(doxorubicin)
    Figure 2012524087

    、そのいずれかのリポソーム製剤、シクロホスファミド(cyclophosphamide)
    Figure 2012524087

    、13−シス−レチノイン酸
    Figure 2012524087

    、イフォスファミド(ifosfamide)
    Figure 2012524087

    ゲムシタビン(gemcitabine)
    Figure 2012524087

    、イリノテカン(irinotecan)
    Figure 2012524087

    、ビンクリスチン(vincristine)
    Figure 2012524087

    、ダクチノマイシン(dactinomycin)
    Figure 2012524087

    、カルシトリオール(calcitriol)、およびメトトレキセート(methotrexate)
    Figure 2012524087

    からなる群から選択される1以上のメンバーである、請求項16記載の方法。
  18. 該IGF1Rインヒビターおよび前記の他の抗癌療法物質を同時に投与する、請求項17記載の方法。
  19. 該IGF1Rインヒビターおよび前記の他の抗癌療法物質を非同時に投与する、請求項17記載の方法。
  20. 該IGF1Rインヒビターを、抗癌治療手法と組合せて投与する、請求項17記載の方法。
  21. 該抗癌治療手法が外科的腫瘍摘出術および/または抗癌放射線治療である、請求項17記載の方法。
  22. 該IGF1Rインヒビターが、
    Figure 2012524087

    およびヒトIGF1Rに特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合性フラグメントからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
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