本発明は、以下の図を参照することでより完全に記載され、ここでは、本発明の実施形態が示される。しかしながら、本発明は、多くの代替の構成で実施することができ、また、本明細書で説明される実施形態に限定されるものと解釈されるべきでない。
従って、本発明は様々な変形や代替の構成を受け入れる余地があり、また、それらの特定の実施形態が図面の例示によって示され、また、その詳細が本明細書で説明される。しかしながら、開示される特定の構成に本発明が制限されることが意図されるものではなく、むしろ、本発明は、請求項によって定義される発明の精神及び範囲内に入る、あらゆる変形、等価構成、及び代替構成を含むことが理解されるべきである。図面の記載全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素を参照する。
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明を制限することが意図されるものではない。本明細書で使用されるように、別途明確に示すことがない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数形を含むように意図されるものである。更に、本明細書で使用される場合での用語「備える」、「備えている」、「含む」及び「含んでいる」の少なくとも1つは、記載される特徴群、整数値群、ステップ群、動作群、要素群、及び/又は、コンポーネント群の少なくとも1つの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴群、整数値、ステップ群、動作群、要素群及びコンポーネント群、及びまたは、それらの組み合わせの存在あるいは追加を除外するものではないことが理解されるであろう。また、1つの要素が他の要素に「応答する」あるいは「接続されている」ように参照される場合には、その要素が、他の要素と直接応答できるあるいは接続できる、あるいはそれらの間に介在する要素群が存在しても良い。これに対して、1つ要素が他の要素に「直接応答する」あるいは「直接接続されている」ように参照される場合には、それらの間に介在する要素群は存在しない。本明細書で使用されるように、用語「及び/又は(and/or)」は、関係する列挙される項目群の1つ以上の任意のものとすべての組み合わせを含み、また、「/」で略記する場合もある。
別途定義しない限り、本明細書で使用されるあらゆる用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明に属する当業者によって共通に理解される意味と同一の意味を有する。また、本明細書で使用される用語は、本明細書の内容とそれに関連する分野におけるそれらの意味と一致する意味を有するように解釈されるべきであり、また、本明細書で明確に適宜されない限り、理想的なあるいは過度に形式的な意味に解釈されることはないことが更に理解されるであろう。
第1、第2等の用語は、本明細書において、様々な要素を記載するために使用されるが、これらの要素がそれらの用語によって制限するべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、ある要素と別の要素とを区別するためだけに使用される。例えば、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、また、同様に、本開示の教示から逸脱することなく、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。いくつかの図面は、通信の主要な方向を示すために通信経路上に矢印を含んでいるが、この通信は、図示される方向とは逆方向で発生する場合もあることが理解されるべきである。
例示の実施形態は、以下では、ブロック図及び/又は、方法のフローチャート図、デバイス、システム、及び/又はコンピュータプログラムを参照して説明される。ブロック図のブロック及び/又はフローチャート図のブロック、及びブロック図のブロック及び/又はフローチャート図のブロックによるブロック群の組み合わせは、コンピュータプログラム命令群によって実現することができることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ及び/又は機器を製造するための他のプログラム可能データ処理装置に提供することができ、そうすることで、コンピュータのプロセッサ及び/又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行し、かつ、このコンピュータプログラム命令は、ブロック図及び/又はフローチャートのブロックあるいはブロック群で特定される機能群/動作群を実現するための、手段(機能)及び/又は構成を作成する。
これらのコンピュータプログラム命令群は、コンピュータ可読メモリに記憶することができ、このコンピュータ可読メモリは、コンピュータあるいは他のプログラム可能データ処理装置に特定の方法で機能することを指示することができ、そうすることで、コンピュータ可読メモリに記憶されているコンピュータプログラム命令群は、ブロック図及び/又はフローチャートのブロックあるいはブロック群で特定される機能群/動作群を実現する命令群を含む製品を製造する。
コンピュータプログラム命令群は、コンピュータあるいは他のプログラム可能データ処理装置にロードされて、コンピュータあるいは他のプログラム可能装置で実行される一連の動作ステップ群に、コンピュータで実現される処理を生成させることができ、そうすることで、コンピュータあるいは他のプログラム可能装置上で実行するコンピュータプログラム命令群は、ブロック図及び/又はフローチャートのブロックあるいはブロック群で特定される機能群/動作群を実現するためのステップ群を提供する。
従って、例示の実施形態は、ハードウェア及び/又はソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)で実現することができる。また、例示の実施形態は、コンピュータ使用可能あるいはコンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形態を採ることができる。コンピュータ使用可能あるいはコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システムによって使用するためのあるいは命令実行システムと接続して使用するための、その媒体内に埋め込まれているコンピュータ使用可能あるいはコンピュータ可読プログラムコードを有している。本明細書の内容では、コンピュータ使用可能あるいはコンピュータ可読媒体は任意の媒体とすることができ、この任意の媒体は、命令実行システム、装置あるいはデバイスによって使用するためのあるいは命令実行システム、装置あるいはデバイスに接続して使用するためのプログラムを含む、記憶、通信、搬送、あるいはトランスポートすることができる。
コンピュータ使用可能あるいはコンピュータ可読媒体は、例えば、制限するものではなく、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、あるいは半導体システム、装置、デバイスあるいは搬送媒体であっても良い。コンピュータ可読媒体のより特殊な例(非包括的なリスト)は、以下のものを含んでいる。:1つ以上の配線を有する電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、電気的消去リードオンリメモリ(EPROMあるいはフラッシュメモリ)、光ファイバ、及びポータブルコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD−ROM)がある。ここで、コンピュータ使用可能あるいはコンピュータ可読媒体は、紙媒体あるいはそれにプログラムが印刷されている別の適切な媒体とすることができる。これは、プログラムは、例えば、紙媒体あるいは他の媒体を光学的にスキャンすることで、電気的にキャプチャして、そして、コンパイルして、解釈して、あるいはそうでなければ、適切な方法で処理することができ、必要ならば、コンピュータメモリに記憶することができるからである。
本明細書で説明されるデータ処理システムの動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、高級プログラム言語、例えば、開発機器用の、Java、AJAX(非同期JavaScript)、C、及び/又はC++で記述することができる。加えて、例示の実施形態の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、他のプログラム言語、例えば、限定するものではない、インタープリタ型言語で記述することもできる。いくつかのモジュール群あるいはルーチン群は、パフォーマンス及び/又はメモリ使用を高めるために、アセンブリ言語あるいはマイクロコードでさえでも記述することができる。しかしながら、実施形態は、特定のプログラミング言語に制限されるものではない。任意のあるいはあらゆるプログラムモージュールの機能が、個別のハードウェアコンポーネント、1つ以上の特定用途集積回路(ASIC)、あるいはプログラム化デジタル信号プロセッサあるいはマイクロコントローラを使用して実現されても良いことが理解されるであろう。
いくつかの代替の実装、ブロックで示される機能群/動作群は、フローチャートで示される順序とは異なる順序で実行することができることに注意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されても良く、あるいは、介在する機能群/動作群に依存して、それらのブロックは時には逆の順序で実行されても良い。また、フローチャートの所与のブロックの機能は、フローチャートの複数のブロック及び/又は2つ以上のブロックの機能に分離されても良く、及び/又はブロック図は少なくとも部分的に統合されても良い。
例示及び説明のためだけの目的のために、本発明の様々な実施形態が、本明細書では、ポータブル電子デバイス、具体的には移動端末の環境で記載される。しかしながら、本発明は、このような実施形態に制限されるものではなく、また、本発明のいくつかの実施形態に従う動作を実行することができる任意のデバイスで一般的に実施できることが理解されるであろう。
上述のように、セキュアトランザクションは、典型的には、デバイス、例えば、ポータブル電子デバイスに一定のレベルのセキュリティを要求する。このポータブル電子デバイスは、通常、セキュア実行環境を提供するそのデバイス内で個別のハードウェアコンポーネントを有するように達成できる。つまり、セキュア実行環境を提供する従来の方法は、典型的には、「セキュア要素」が何らかの形の移動電話の物理的な部分であることを想定する。従来より、セキュア要素は、デバイスのハードウェアの一部、例えば、複数のアプリケーションを記憶することができるチップを指している。つまり、セキュア要素は、セキュアメモリカードに含めることができる、あるいは、本発明の範囲から逸脱しないデバイスにおける追加の埋込チップであっても良い。デバイスの小型化の要望が増すにつれて、追加のハードウェアコンポーネントを含めることは、製造業者の最大関心事項にはならない場合がある。
従って、本発明のいくつかの実施形態は、デバイスから遠隔(リモート)にある、例えば、ネットワーク化サーバ上に配置されているセキュア要素を提供する。このリモートセキュア要素サーバは、デバイス、例えば、ポータブル電子デバイスから、暗号化通信チャネルを使用してアクセスすることができる。いくつかの実施形態では、このデバイスは、セキュアトランザクションを確立するために、リモートセキュア要素サーバにアクセスするように構成されている仮想セキュア要素モジュールを含んでいる。換言すれば、本発明のいくつかの実施形態は、デバイスからリモートに記憶されているセキュア要素へアクセスするためのデバイス、システム、方法及びコンピュータプログラムを提供する。これによって、デバイスに追加のハードウェアコストを発生することなく、セキュアトランザクション、例えば、近距離無線通信(NFC)トランザクション、音楽に対するデジタル著作権管理(DRM)スキーム、ビデオ及び移動テレビに対して必要とされるセキュリティを提供する。これについては、図1から図3を通じて説明する。
図1を参照すると、本発明のいくつかの実施形態に従うシステム100は、デバイス、例えば、ポータブル電子デバイス190を含んでいて、これは、1つ以上のリモートセキュア要素サーバ170、170’に関連付けられている。本発明の実施形態は、本明細書において、ポータブル電子デバイスに関して具体的に説明されるが、本発明の実施形態はこの構成に限定されるものでないことが理解されるであろう。セキュアトランザクションを使用して通信することができる任意のデバイスが、本発明の範囲から逸脱することなく使用することができる。また、図1に示される本発明の実施形態は2つのリモートセキュア要素サーバ170、170’と、1つのポータブル電子デバイス190を含んでいるが、本発明の実施形態はこの構成に限定されるものではない。任意の数のこれらのデバイスあるいは追加のデバイスを、本発明の範囲から逸脱することなく含めることができる。
図1に示されるように、システム100のポータブル電子デバイス190は、1つ以上のリモートセキュア要素サーバ170、170’とポータブル電子デバイス190との間で無線接続150、150’を確立するように構成されている。無線接続150は、本発明の範囲から逸脱することのない任意のタイプの無線接続とすることができる。例えば、無線接続は、ウルトラワイドバンド(UWB)接続、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)接続あるいはWi−Fi接続とすることができる。
NFCは、規格に基づく(Ecma−640、ISO/IEC 18092)、短距離無線接続技術であり、これは、電子デバイス間で単純かつ安全な双方向の対話を実現し、典型的には数センチメートルの距離を介して、13.56MHz周波数範囲で動作する。NFCは、デバイス同士が互いに接触している場合に、あるいはデバイス同士が互いに数センチメートル範囲内に置かれる場合に、磁場誘導を使用してそのデバイス間で通信を可能にすることができる。例えば、NFCは、2つ以上のポータブル電子デバイスにデータ交換することを可能にするために使用することができる。手動の構成設定を実行する代わりに、デバイス間の接続を自動的に確立することができる(<0.1s)。NFC技術の基礎は、広く実現されているISO、ECMA及びETSI規格に従っている。送信範囲がそれなりに短いので、NFC実現可能トランザクションは、一定のセキュリティを提供する。また、デバイスの近接性は、ユーザに、プロセスを制御することの再確認を与えることができる。NFCは、様々なデバイス、例えば、移動電話で使用することができる。
特に、NFCは、ポータブル電子デバイス内で保持される非接触チケット及びカードに対して提供することができる。つまり、乗車チケットと信用クレジットカードとを別々に持ち運ぶ代わりに、顧客は、自身のNFC機能付ポータブル電子デバイス内にいくつかのカードを記憶することを選ぶことができる。アプリケーション、例えば、クレジットカードをNFC機能付ポータブル電子デバイスにセキュアに一旦提供すると、顧客は単に自身のポータブル電子デバイスを販売時点情報管理リーダにかざすことによって支払を行うことができる。更なる利便性のために、トランザクション履歴を容易に手元におけ、また、顧客は、自身の財布の収納空間を犠牲にすることなく、いくつかのロイヤルティプログラムを扱うことができる。
本明細書で使用されるように、用語「ポータブル電子デバイス」は、マルチラインディスプレイ付きあるいは無しのセルラー無線電話;セルラー無線電話にデータ処理機能、ファクシミリ機能及びデータ通信機能を組み込んでいるパーソナル通信システム(PCS)端末;無電電話、ページャ、インターネット/イントラネットアクセス、ウェブブラウザ、オーガナイザ、カレンダ及び/又は全方位位置決めシステム(GPS)受信機を含むパーソナルデジタルアシスタント;ゲーム機;音楽映像プレーヤ;及び、無線電話送受信機を含む一般的なラップトップ及び/又はパームトップポータブルコンピュータがある。本発明のいくつかの実施形態に従って動作することができる任意のポータブル電子デバイスを、本発明の範囲から逸脱することなく使用することができる。
図1に更に示されるように、ポータブル電子デバイスは、ポータブル電子デバイス190からのNFC通信を可能にするために、仮想セキュア要素モジュール192及びNFC非接触フロントエンド119を含んでいる。仮想セキュア要素モジュール192は、1つ以上のリモートセキュア要素サーバ170、170’と通信するように構成されている。仮想セキュア要素モジュール192は、セキュアトランザクション、例えば、NFCトランザクションに対して所定のレベルのセキュリティを提供するために、ポータブル電子デバイス190からのリモートセキュア要素サーバ170、170’へアクセスするように構成されている。図1に示されるように、リモートセキュア要素サーバ170、170’はネットワークサーバとすることができ、また、仮想セキュア要素モジュール192は所定のレベルのセキュリティを提供するために、暗号化通信チャネルを使用してポータブル電子デバイスからネットワークサーバへアクセスするように構成することができる。
図1に更に示されるように、リモートセキュア要素サーバ170、170’は、1つ以上のセキュア要素171、172、173及び174を含むことができる。セキュア要素171、172、173及び174は、例えば、上述のような支払及び発券業務アプリケーションの類を記憶することができる。従来のセキュア要素はハードウェア要素であり、これには、例えば、複数のアプリケーションを記憶することができるスマートカードチップがあり、これは、典型的には、デバイス内の有効空間を占めていた。従って、本発明のいくつかの実施形態は、ポータブル電子デバイス内の仮想セキュア要素モジュールを提供する。これは、リモートサーバ170、170’に記憶されているリモートセキュア要素171、172、173あるいは174にセキュアにアクセスするように構成されている。つまり、追加のハードウェア要素をデバイスから取り除くことができ、これによりデバイスをより小さくすることができる。2つ以上のセキュア要素171、172、173及び174へアクセスすることも有効な場合がある。例えば、NFC市場は、デバイス内のセキュア要素の物理的な配置と、使用される規格、例えば、Mifare、Felica及びその類に対するソリューションに関わる場合の***状態を被っている。つまり、ポータブル電子デバイス190によってアクセスすることができるリモートセキュア要素サーバ170、170’で2つ以上のセキュア要素171、172、173及び174を提供することは、いくつかのタイプのインフラストラクチャを用いてポータブル電子デバイス190を動作させることを可能にできる。
上述のように、本明細書で説明されるセキュアトランザクションは、NFCトランザクションに制限されるものではない。例えば、セキュアトランザクションは、本発明の範囲から逸脱することのない、NFCトランザクション、デジタル著作権管理トランザクション、移動テレビトランザクションあるいはその類を含むことができる。
図2に関して更に説明されるように、本発明のいくつかの実施形態では、ポータブル電子デバイス190は、仮想セキュア要素モジュール192と、セキュアトランザクション用のセキュア実行環境を提供するように構成されている少なくとも1つのハードウェアセキュア要素とを含んでいる。一実施形態では、ハードウェアセキュア要素は、ポータブル電子デバイス190内の既存のハードウェア要素、例えば、ポータブル電子デバイス19用の加入者アイデンティティモジュール(SIM)カードに統合することができる。
本発明のいくつかの実施形態は、更に、ハードウェアSIMカードの代わりに、ソフトウェア加入者アイデンティティモジュール(SIM)モジュールを含むことができる。これらの実施形態は、最新の傾向に応じてポータブル電子デバイスのサイズを更に縮小することを可能にすることができる。
図2を参照すると、本発明のいくつかの実施形態に従うポータブル電子デバイス290に関する詳細が説明される。図1のポータブル電子デバイス190は、本明細書で説明されるポータブル電子デバイス290の詳細を含んでいる場合がある。図2に示されるように、ポータブル電子デバイス290はポータブルハウジング200を含み、また、ディスプレイ214、マンマシーンインタフェース(MMI)216、スピーカ/マイク217、ウェブブラウザ218、トランシーバ212及びメモリ280、これらの要素の任意のものと通信することができるプロセッサ295を含んでいる。また、本発明の実施形態に従うポータブル電子デバイス290は、更に、仮想セキュア要素モジュール292、NFCトランザクションを実現するためのNFC非接触フロントエンド250、本発明のいくつかの実施形態に従うオプションのハードウェアセキュア要素252を含むことができ、これらもプロセッサ295と通信する。破線で囲まれるハードウェアセキュア要素252は、この回路がオプションであることを示している。2つ以上のハードウェアセキュア要素252をポータブル電子デバイス290に含めることができることが理解されるであろう。例えば、ハードウェアセキュア要素252は、本発明の範囲を逸脱することのない、セキュア要素を含むリムーバルSDカード、埋込セキュア要素、セキュア要素が組み込まれているSIMカードあるいはその類とすることができる。プロセッサ295は、任意の商用的に利用可能なマイクロプロセッサあるいはカスタムマイクロプロセッサとすることができる。
図2に示されるように、ポータブル電子デバイス290は、本発明のいくつかの実施形態に従う移動交換局(「MSC」)270に接続されている基地局トランシーバ260と通信する。トランシーバ212は、典型的には、トランスミッタ回路とレシーバ(受信機)回路とを含み、これらはそれぞれ発信する無線周波数信号を基地局トランシーバ(送受信機)260へ送信し、かつアンテナ205を介して基地局トランシーバ260から、例えば、音声及びデータ信号のような着信する無線周波数信号を受信する。アンテナ205は、本発明の範囲を逸脱することのない、埋込アンテナ、リトラクタブルアンテナあるいは当業者に知られている任意のアンテナとすることができる。ポータブル電子デバイス290と基地局トランシーバ260との間で送信される無線周波数信号はトラフィック信号と制御信号(例えば、着信呼に対するページング信号/メッセージ)の両方を含むことができ、これらは別のパーティあるいは宛先との通信を確立し、そして維持するために使用される。プロセッサ295は、ポータブル電子デバイスの様々な機能をサポートすることができ、これには、以下でも更に詳細に説明する本発明のいくつかの実施形態に従う上述のセキュアトランザクションの所定レベルのセキュリティを提供するために、リモートセキュア要素サーバ(図1の170、170’)へアクセスするように構成されている仮想セキュア要素モジュール292を含んでいる。
本発明のいくつかの実施形態では、トランシーバ212は短距離トランシーバであっても良いことが理解されるであろう。短距離トランシーバは、例えば、ブルートゥーストランシーバであっても良く、これは、相対的に短い距離で高速データ転送を可能にすることができる。本発明の実施形態に従うポータブル電子デバイス290は、本発明の範囲から逸脱することなく、無線トランシーバと短距離トランシーバ/トランスミッタを含むことができる。
本発明のいくつかの実施形態では、基地局トランシーバ260は無線トランシーバ(群)を含み、これは、セルラーネットワークの個々のセルを定義し、かつ無線リンクプロトコルを使用して、セル内のポータブル電子デバイス290と他のポータブル電子デバイスと通信する。図では1つの基地局トランシーバ260だけが示されているが、複数の基地局トランシーバが、無線通信ネットワークを定義するために、例えば、移動交換局270と他のデバイスと通じて接続することができることが理解されるであろう。
本発明は通信デバイスあるいはシステム、例えば、ポータブル電子デバイス290で実施されているが、本発明はこのようなデバイス及び/又はシステムに制限されるものではない。むしろ、本発明は、本発明のいくつかの実施形態に従って動作するように構成することができる任意の装置で実施することができる。
いくつかの実施形態では、仮想セキュア要素モジュール292は、セキュアトランザクションに対して所定レベルのセキュリティを提供するために、ポータブル電子デバイス290からリモートセキュア要素サーバ170、170’(図1)へアクセスするように構成されている。リモートセキュア要素サーバはネットワークサーバであっても良く、また、仮想セキュア要素モジュール292は所定レベルのセキュリティを提供するために、暗号化通信チャネルを使用してポータブル電子デバイス290からネットワークサーバへアクセスするように構成することができる。図1に関して説明されるように、2つ以上のリモートセキュア要素サーバが存在しても良く、また、仮想セキュア要素モジュールは、存在するリモートセキュア要素サーバ群のいくつかあるいはすべてへアクセスするように構成することができる。セキュアトランザクションは、本発明の範囲から逸脱することのない、NFCトランザクション、デジタル著作権管理トランザクションあるいは移動テレビトランザクションであっても良い。
図2に更に示されるように、ポータブル電子デバイスは、セキュアトランザクション用のセキュア実行環境を提供するように構成されている少なくとも1つのハードウェアセキュア要素252を更に含むことができる。上述のように、本発明の範囲から逸脱しないで、ポータブル電子デバイス内に2つ以上のハードウェアセキュア要素252を存在させることができる。例えば、ハードウェアセキュア要素252は、セキュア要素を含むリムーバルSDカード、埋込セキュア要素、セキュア要素が統合されているSIMカードあるいはその類であっても良い。いくつかの実施形態では、ハードウェアセキュア要素252は、ポータブル電子デバイスに対する加入者アイデンティティモジュール(SIM)カードに統合されていても良い。図2には示されていないが、本発明のいくつかの実施形態は、ハードウェアSIMカードに代えてあるいはそれに加えて、ソフトウェアSIMモジュールを含むことができる。
図3を参照すると、本発明の様々な実施形態に従う動作が説明される。図3に示されるように、ブロック300で、セキュアトランザクションを提供するための動作が、デバイスからのセキュリティトランザクションに対して所定レベルのセキュリティを提供するために、そのデバイスに配置される仮想セキュア要素モジュールからリモートセキュア要素サーバへアクセスすることによって開始する。リモートセキュア要素サーバはネットワークサーバとすることができ、また、アクセスすることには、更に、所定レベルのセキュリティを提供するために、暗号化通信チャネルを使用してネットワークサーバデバイスへアクセスすることを含んでいても良い。上述のように、2つ以上のセキュア要素サーバは、本発明の範囲から逸脱しないで、ポータブル電子デバイスによってアクセス可能にすることができる。セキュアトランザクションは、例えば、近距離無線通信(NFC)トランザクション、デジタル著作権管理トランザクション、あるいは移動テレビトランザクションを含むことができる。
セキュアトランザクションは、仮想セキュア要素モジュールとリモートセキュア要素とを使用して確立されても良い(ブロック320)。情報は、確立されたトランザクションを使用して通信されても良い(ブロック340)。通信される情報は、所定レベルのセキュリティを有していても良い。
図1から図3に関して説明されるように、従来のデバイスは、デバイスの有効空間を占める、ポータブル電子デバイス内のハードウェアセキュア要素を含んでいる。そこで、本発明のいくつかの実施形態に従えば、仮想セキュア要素モジュールがポータブル電子デバイスに提供され、これは、暗号化通信チャネルを使用してネットワークサーバ上のリモートセキュア要素にアクセスするように構成されている。つまり、ハードウェアセキュア要素をポータブル電子デバイスから除外することができ、これによって、ポータブル電子デバイスをより小さくすることを可能にする。
また、本発明のいくつかの実施形態は、ポータブル電子デバイスに対するハードウェアの影響を最小限にして、セキュアNFCサービス群の高速配備を実現することができる。また、2つ以上のセキュア要素へアクセスすることを可能にすることは、いくつかの種類のインフラストラクチャでポータブル電子デバイスを動作させることを可能にすることができる。
図面及び明細書では、本発明の例示の実施形態が開示されている。しかしながら、本発明の原理から実質的に逸脱しないで、これらの実施形態に多くの変形及び修正を行うことができる。従って、特定の用語が使用されているが、これらの用語は包括的かつ記述的な意味で使用されているだけであり、制限することを目的とするものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義される。