JP2012506436A - 代謝型グルタミン酸受容体の調節による内耳の疾病の処置および/または予防 - Google Patents

代謝型グルタミン酸受容体の調節による内耳の疾病の処置および/または予防 Download PDF

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Abstract

本明細書には、代謝性グルタミン酸受容体のモジュレータを、それを必要とする患者に投与することによって内耳の疾病を処置および/または予防するための組成物および方法が記載される。
【選択図】 図1

Description

本出願は、2008年10月22日出願の米国仮特許出願第61/107,615号の利益を主張するものであり、これら全ては、引用により本明細書に組み込まれる。
本明細書には、代謝型グルタミン酸受容体のモジュレータを、それを必要とする患者に投与することによって内耳の疾病を処置および/または予防するための組成物および方法が記載される。
騒音性難聴、加齢による難聴(例えば、老人性難聴)、耳鳴およびその他のものを含むいくつかの内耳の疾病がある。老人性難聴は、個人が年をとるにつれて、ほとんどの個人に次第に起こる聴力の喪失である。65〜75歳の成人の30−35パーセントは、難聴である。75歳以上の人々の40−50パーセントは、難聴である。
老人性難聴に関係する喪失は、通常、高音域の音に対する方が大きい。例えば、ある人には近くでの鳥の囀り、または電話が鳴っている音を聞くことが難しい。しかし、同じ人が、轟音を立てて通りを下るトラック低音域の音をはっきり聞くことができることもある。
老人性難聴の原因はたくさんある。老人性難聴は、最も一般的には、人が年を取るにつれて、彼または彼女の内耳の変化から生じるが、老人性難聴はまた、中耳の変化に、または脳に繋がる神経経路に沿った複雑な変化に起因して生じる。老人性難聴は、最もしばしば両耳で起こり、両耳に等しく悪影響を与える。喪失のプロセスは緩やかであるので、老人性難聴となっている人々は、自分たちの聴力が低下していることに気がつかないことがある。
老人性難聴になると、音は、しばしばあまり明瞭でなくなり音量が小さくなる。このことは、聞き取りや話の理解が困難になることの一因となる。老人性難聴の個体は、以下のいくつかを経験する:他人の話し方が、もぐもぐ言う、または早口で不明瞭に思われる。「s」や「th」のような高音域の音が、聞こえにくく、そして別々に言いにくい。特に、背景雑音がある場合に、会話が理解しにくい。女性の声の高音より、男性の声の方がより聴きやすい。特定の音が、煩わしく、または過度に大きく思われる。耳鳴(片耳、または両耳での、響き渡る音(ringing)、ゴーという音(roaring)、またはシューシューという音(hissing))も起こる。
現在、老人性難聴の処置の選択肢としては、仮定される基礎となる原因、例えば、高血圧の処置;補聴器または蝸牛移植;電話アンプのような補聴援助デバイス;および耳垢の除去など、が挙げられる。臨床的に証明された難聴のための治療法はない。
本明細書には、内耳における異常なグルタミン酸作動性シグナル伝達に関連するまたはそれによって特徴づけられる、内耳の疾病を予防および/または処置するための組成物および方法が記載される。異常なグルタミン酸作動性シグナル伝達は、アンタゴニスト、半アゴニスト、 逆アゴニスト、中性または競合的アンタゴニスト、アロステリックアンタゴニスト、および/またはオルソステリックアンタゴニストを含む、代謝型グルタミン酸受容体のモジュレータの使用によって予防または処置される。特定の実施形態において、内耳の疾病は、過剰なグルタミン酸放出および/または興奮毒性によって特徴づけられる。そのような疾病のための組成物および方法は、代謝型グルタミン酸受容体のためのアンタゴニスト(またはそれらの使用)を含む。特定の実施形態において、内耳の疾病は、不充分なグルタミン酸放出によって特徴づけられる。そのような疾病のための組成物および方法は、代謝型グルタミン酸受容体のためのアゴニスト(またはそれらの使用)を含む。
過剰なグルタミン酸放出および/または興奮毒性に関係する、またはそれによって特徴づけられる疾病の例としては、老人性難聴、耳鳴、および騒音性難聴が挙げられる。特定の実施形態において、そのような疾病を処置する際に使用するための組成物としては、少なくとも1つの代謝型グルタミン酸受容体のモジュレータが挙げられ、およびその方法は、代謝型グルタミン酸受容体のモジュレータを含む治療上有効な量の医薬組成物をヒトに投与する工程を含む。1つの実施形態において、モジュレータは、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的である。さらなる実施形態において、モジュレータは、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRのアンタゴニストから選択される。
特定の実施形態において、不充分なグルタミン酸放出に関連する疾病を処置する際に使用するための組成物は、少なくとも1つの代謝型グルタミン酸受容体のモジュレータを含み、およびその方法は、代謝型グルタミン酸受容体のモジュレータを含む治療上有効な量の医薬組成物をヒトに投与する工程を含む。1つの実施形態において、モジュレータは、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的である。さらなる実施形態において、モジュレータは、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRのアゴニストから選択される。
1つの実施形態において、加齢が関係する難聴 (老人性難聴)または騒音性難聴のような、内耳における異常なグルタミン酸作動性シグナル伝達が関連する、内耳の疾病を処置および/または予防するためのグループIのmGluRのモジュレータを含む医薬組成物を調製する方法が開示される。モジュレータは、グループIのmGluRのアンタゴニスト、半アゴニスト、逆アゴニスト、中性または競合的アンタゴニスト、 アロステリックアンタゴニスト、および/またはオルソステリックアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、局所送達、経口送達またはポンプ送達のために、または正円窓送達または卵円窓送達によって、随意に調製される。
別の実施形態において、医薬組成物は、内耳における異常なグルタミン酸作動性シグナル伝達に関連する、またはそれによって特徴づけられる内耳の疾病を処置または予防するためのものであり:そのような組成物は、即時放出組成物、徐放(sustained release)または制御放出組成物、およびそれらの組み合わせを含む。さらに、組成物は、治療量のグループIのmGluRモジュレータを、必要としている患者の内耳(内耳の蝸牛部分を含む)に提供する。さらに、組成物は、随意に耳の中へ投与され、内耳の正円窓膜上またはその近くへ投与することを含む。そのような組成物は、グループIのmGluRの選択的アゴニストまたはアンタゴニストのような、グループIのmGluRのモジュレータを含む。
引用による組み込み
本明細書において言及される全ての出版物、特許、および特許出願は、あたかも各個別の出版物、特許、および特許出願が引用によって組み込まれると具体的及び個別に示されているかのように、同じ程度まで引用によって本明細書に組み込まれる。
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲において特に明らかにされる。本発明の特徴と利点のよりよい理解は、本発明の原理を利用している、説明的な実施形態、およびその添付図面を説明する後述の詳細な説明を参照することによって、得られる。
図1は、耳の解剖学を図示する。
騒音性難聴、 加齢に誘発された難聴(例えば、老人性難聴)、耳鳴およびその他のものを含む、過剰なグルタミン酸放出およびまたは興奮毒性に関連する内耳の疾病を処置および/または予防するためのより安全で、かつより効果的な薬理的な治療法を開発するという重要でかつ未だ対処されていない必要性がある。さらに、不充分なグルタミン酸放出に関連する内耳の疾病を処置および/または予防するためのより安全で、かつより効果的な薬理的な治療法を開発するという重要でかつ未だ対処されていない必要性がある。
耳の解剖学
図1において示されるように、外耳は、器官の外側部分であり、耳介(pinna, auricle)、耳道(外耳道)および鼓膜(tympanic menbrane、ear drumとしても知られている)の外側に面する部分から成る。頭部の側面に見える外耳の肉質部分である耳介は、音波を集め、音波を耳道に向かわせる。従って、外耳の機能は、一部には、音波を集め、鼓膜および中耳に向かわせることである。
中耳は、鼓膜の後ろの空気で満たされた空洞であり、鼓室腔と呼ばれる。鼓膜(tympanic membrane、ear drumとしても知られている)は、外耳を中耳から分ける薄い膜である。中耳は、側頭骨内にあり、この空間内に3つの耳骨(耳小骨):ツチ骨、キヌタ骨およびアブミ骨を含む。耳小骨は、鼓室腔の空間を横切ってブリッジを形成する小さな靭帯を介して共に繋がっている。ツチ骨は、一端で鼓膜に結合しており、他端でキヌタ骨に結合しており、次いで、アブミ骨に結合している。アブミ骨は、卵円窓に結合しており、2つの卵円窓の1つは、鼓室腔内に位置している。輪状靱帯として知られる線維組織層は、アブミ骨を卵円窓に接続している。外耳からの音波は、まず、鼓膜を振動させる。この振動が、耳小骨および卵円窓を通って蝸牛に伝わり、内耳における流体にこの動きを伝える。従って、耳小骨は、鼓膜と、流体に満たされた内耳の卵円窓の間を機械的に結合するように配置されており、音は、さらなる処理のために、内耳に伝えられ変換される。耳小骨、鼓膜または卵円窓が硬化するか、硬直するか、または移動できなくなると、難聴、例えば、耳硬化症、またはアブミ骨の硬直を引き起こす。
鼓室腔は、耳管を介して咽喉にも繋がっている。耳管は、外気と中耳の空洞との圧力を等しくする能力を付与する。正円窓は、内耳の要素であるが、鼓室腔内にも繋がっており、内耳の蝸牛に向かって開口している。正円窓は、膜によって覆われており、これは、3つの層:外層または粘液層、中間層または線維層、および内側の膜から成っており、これは、蝸牛の流体に直接繋がっている。従って、正円窓は、内側の膜を介して、内耳と直接繋がっている。
正円窓膜は、3つの層:中耳に向かっている外側の上皮層、結合組織のコア部、および内耳を覆う内側の上皮層からなる。密着結合が、外側の上皮層の表面近くに存在する。結合組織のコア部には、血管およびリンパ管が点在する。内側の上皮は、アモルファスを含む大きな細胞外液腔を含む。動物研究によると、正円窓膜は、吸収能力を有する半透膜のように働くことが示されている。
卵円窓および正円窓における動きは、相互連絡され、すなわち、アブミ骨が、鼓膜から卵円窓へ動きを伝え、内耳の流体に対して内側に動くと、正円窓は、これに対応して外に押し出され、蝸牛の流体から離れる。正円窓のこの動きによって、蝸牛内の流体が動くことが可能となり、次いで、蝸牛の内側の有毛細胞が移動し、聴覚シグナルが変換されることが可能となる。正円窓膜が硬化し、硬直すると、蝸牛の流体が移動できなくなるため、難聴を引き起こす。近年の研究は、正円窓に医療用変換器を移植することに注目が集まっており、これは、卵円窓を通る正常な伝導経路を迂回させ、増幅させたインプットを蝸牛空間に与える。
聴覚のシグナル伝達は、内耳で起こる。流体で満たされた内耳(auris internaまたはinner ear)は、蝸牛器および前庭器の2つの主要な要素から成る。内耳は、部分的に、頭蓋骨の側頭骨にある入り組んだ一連の経路である骨迷路(osseous labyrinthまたはbony-labyrinth)内に位置している。前庭の器官は、平衡感覚の器官であり、三半規管と、前庭とから成る。この三半規管は、空間の3つの直交面に沿った頭部の動きを、流体の動きと、膨大部稜と呼ばれる三半規管の感覚器官によるその後のシグナル処理とによって検出することができるように、互いに対して配列されている。膨大部稜は、有毛細胞と支持細胞とを備えており、クプラと呼ばれる半円型のゼラチン状の塊によって覆われている。有毛細胞の毛は、クプラに包埋されている。三半規管は、動的平衡、回転または角運動の平衡状態を検知する。
頭を迅速に回転させると、三半規管は頭と共に動くが、膜状の三半規管に配される内リンパ液は、静止したままである傾向にある。内リンパ液は、クプラに逆らって押し出され、片側に傾く。クプラが傾くと、クプラが、膨大部稜の有毛細胞のいくつかの毛を曲げ、これが、知覚インパルスの引き金となる。それぞれの半規管は、異なる面に位置しているため、それぞれの半規管の対応する膨大部稜は、頭部の同じ動きに対して異なる応答をする。これにより、インパルスの寄せ集めが作られ、これが、内耳神経の前庭枝にある中枢神経系に伝わる。中枢神経系は、この情報を解釈し、平衡を維持するのに適切な反応を開始する。中枢神経系の中で、重要なのは小脳であり、平衡および均衡の感覚を媒介する。
前庭は、内耳の中心部分であり、静的平衡と、または重力に対する頭部の位置とを確認する、有毛細胞を有する機械受容器を備えている。静的平衡は、頭部が動いていないか、または直線上を動いているときに役割を果たす。前庭の膜状迷路は、2つの嚢状の構造、卵形嚢および球形嚢、に分かれる。それぞれの構造体は、同様に、嚢斑と呼ばれる小さな構造体を含み、これは、静的平衡の維持に関与している。嚢斑は、感覚有毛細胞から成り、感覚有毛細胞は、嚢斑を覆うゼラチン状の塊(クプラと似たもの)に包埋されている。耳石と呼ばれる炭酸カルシウムの粒は、ゼラチン状の層表面に包埋されている。
頭部が直立位置にある場合、毛は、斑に沿って真っ直ぐになっている。頭部が傾くと、ゼラチン状の塊および耳石が、これに対応して傾き、斑の有毛細胞のいくつかの毛を曲げる。この曲げ動作によって、中枢神経系に対してシグナルインパルスが開始され、これが、内耳神経の前庭枝を介して伝わり、平衡を維持するために、適切な筋肉に対して運動インパルスを順に中継する。
蝸牛は、聴覚に関連する、内耳の部分である。蝸牛は、先が細くなった管状の構造であり、カタツムリに似た形状に巻かれている。蝸牛の内側は、3つの領域に分かれており、卵円膜および基底膜の位置によってさらに規定されている。卵円膜の上の位置は、前庭階であり、卵円窓から蝸牛頂部に延びており、カリウム濃度が低く、ナトリウム濃度が高い水溶液である外リンパ液を含有する。基底膜は、鼓室階の領域を規定しており、蝸牛頂部から正円窓に延びており、これも外リンパを含有している。基底膜は、数千の硬い繊維を含有しており、この繊維は、正円窓から蝸牛頂部に向かって、徐々に長くなっている。音によって活性化されると、基底膜の線維が振動する。前庭階と鼓室階との間に蝸牛管があり、この蝸牛管は、蝸牛頂部で、閉じた嚢として終わる。蝸牛管は、内リンパ液を含有しており、この内リンパ液は、脳脊髄液と似ており、カリウムが多い。
聴覚器官であるコルチ器官は、基底膜上にあり、蝸牛管の方へ上方に向かって延びている。コルチ器官は、有毛細胞を含有しており、この有毛細胞は、自由表面から延びる毛状突起を有しており、蓋膜と呼ばれるゼラチン状表面と接触している。有毛細胞には軸索が存在しないが、内耳神経の蝸牛枝を形成する感覚神経線維に囲まれている(脳神経VIII)。
上論のように、楕円形の窓としても知られる卵円窓は、鼓膜から振動する音波を中継するために、アブミ骨と連絡している。卵円窓に伝わった振動は、外リンパと前庭階/鼓室階とを介して、流体で満たされた蝸牛の内圧を高め、これによって、次いで、正円窓上の膜を応答して膨らませる。卵円窓の内側が加圧されること/正円窓が外側に膨らむことが協働することによって、蝸牛の内圧を変えることなく、蝸牛内の流体を動かすことができる。しかし、振動が、外リンパを介して前庭階へと伝わると、前庭膜で対応する振幅が作られる。これらの対応する振幅は、蝸牛管の内リンパを介して伝わり、基底膜へと伝わる。基底膜が振幅するか、または上下に動くと、コルチ器官が、それに伴って動く。次いで、コルチ器官の有毛細胞受容体が、蓋膜に逆らって動き、蓋膜で機械的な変形が起こる。この機械的な変形によって、神経インパルスが開始し、内耳神経を経て中枢神経系に伝わり、受け取った音波は、後で中枢神経系によって処理されるシグナルへと機械的に変換される。
興奮毒性
興奮毒性は、グルタミン酸および/または同様の物質による、神経および/または有毛細胞の死、又は損傷を指す。
グルタミン酸は、中枢神経系で最も大量にある興奮性の神経伝達物質である。シナプス前細胞は、刺激に対してグルタミン酸を放出する。グルタミン酸は、シナプスを横切ってめぐり、シナプス後細胞に位置する受容体に結合し、これらの神経細胞を活性化させる。グルタミン酸受容体は、NMDA、AMPAおよびカイニン酸受容体を含んでいる。グルタミン酸輸送体は、シナプスから細胞外のグルタミン酸を除去する役目を課されている。特定の事象(例えば、虚血または脳卒中)は、輸送体を損傷しかねない。このことはシナプス内に蓄積する過剰なグルタミン酸を生じさせる。シナプス内の過剰なグルタミン酸は、グルタミン酸受容体の過剰な活性化を生じさせる。
AMPA受容体は、グルタミン酸とAMPAの双方の結合によって活性化される。AMPA受容体の特定のイソフォームの活性化は、ニューロンの原形質膜に位置しているイオンチャンネルの開放を生じさせる。チャンネルが開くと、Na+とCa2+イオンがニューロンへと流れ、K+イオンがニューロンの外へと流れる。
NMDA受容体は、グルタミン酸とNMDAとの双方が結合することによって活性化される。NMDA受容体の活性化は、ニューロンの原形質膜に位置しているイオンチャンネルの開放を生じさせる。しかし、これらのチャンネルはMg2+イオンによってブロックされる。AMPA受容体の活性化は、イオンチャンネルからシナプスへのMg2+イオンの排出という結果を生じる。イオンチャンネルが開き、Mg2+イオンがイオンチャンネルから排出されると、Na+とCa2+イオンがニューロンへと流れ、K+イオンがニューロンの外へと流れる。
興奮毒性は、NMDA受容体とAMPA受容体とが、過剰な量のリガンド、例えば、異常な量のグルタミン酸によって、過剰に活性化されたときに生じる。これらの受容体の過剰な活性化は、それらの制御下でイオンチャンネルの過剰な開放を起こす。このことは、異常に高いレベルのCa2+とNa+とがニューロンに入ることを可能にする。ニューロンへのこれらのレベルのCa2+およびNa+の流入によって、ニューロンは、よりしばしば興奮することとなる。この増加した興奮によって、遊離基と炎症性の化合物との迅速な蓄積が起こる。遊離基は、細胞内の貯蔵エネルギーを使い果たし、ミトコンドリアを損傷する。更に、過剰レベルのCa2+とNa+イオンは、過剰レベルの酵素(ホスホリパーゼ、エンドヌクレアーゼ、プロテアーゼを含むが、これに限定されない)を活性化する。これらの酵素の過剰な活性は、細胞骨格、原形質膜、ミトコンドリア、ニューロンのDNAに損傷を与えるという結果を生じる。そのような損傷は、しばしばアポトーシス遺伝子の活性化を生じさせる。更に、多種多様な前アポトーシス遺伝子および抗アポトーシスの伝子の転写は、Ca2+ レベルによって制御される。過剰なCa2+は、しばしば、前アポトーシス遺伝子のアップレギュレーション、および抗アポトーシス遺伝子のダウンレギュレーションを結果として生じる。
耳鳴
耳鳴は、任意の外部の刺激がない時の音の知覚である。耳鳴は、継続的に、又は、散発的に、一方又は両方の耳で生じ、ほとんどの場合、響き渡る音として記載される。ほとんどの場合、他の疾患の診断症状として用いられる。2つのタイプの耳鳴:他覚的および自覚的なもの、がある。前者は、他のヒトに聞こえる体内で作成された音である。後者は、影響を受けた個人にのみ聞こえる。研究によると、5000万以上の米国人がある種の耳鳴を経験していると、見積もられている。これらの5000万の内、約1200万のヒトが、激しい耳鳴を経験している。特定の例において、耳鳴は、NMDA受容体の異常活性によって生じた興奮毒性が原因で生じる。
老人性難聴
4つの異なるタイプの老人性難聴がある:感覚性老人性難聴は、高い周波数および高い調子の音を聴く能力の突然の喪失を引き起こす。神経性老人性難聴は、会話を理解する能力を低下させる。ストリアル(Strial)または代謝型老人性難聴は、比較的に均一な難聴を引き起こす。蝸牛伝音導性老人性難聴は、高い周波数の音を聴く能力が次第に喪われることによって特徴づけられる。
老人性難聴の原因
感音性聴力喪失は、内耳または聴神経の障害によって引き起こされる。老人性難聴は、通常、感音性の聴覚障害である。それは、一般的に、内耳におけるゆっくりした変化によって引き起こされる。毎日の交通騒音または建設作業、騒々しいオフィス、雑音を生み出す設備、および大音量の音楽に繰り返して曝されることの蓄積の影響は、感音性聴力喪失を引き起こし得る。感音性聴力喪失は、最も頻繁に有毛細胞(内耳内の感覚受容器)の喪失が原因である。これは、老化、様々な健康状態、およびいくつかの医薬品(アスピリンおよび特定の抗生物質)の副作用のみでなく、遺伝的要因の結果として起こり得る。
老人性難聴は、心臓病、高血圧、糖尿病が原因である脈管の(血管に関連する)疾病、または他の循環系の問題による、耳への血液供給における変化によって引き起こされることもある。その喪失は、軽度、中等度、または重度であることがある。
ときどき、老人性難聴は、伝音性聴覚障害であり、音の感度の喪失が外耳および/または中耳の異常によって引き起こされることを意味する。そのような異常は、鼓膜(tympanic membrane , eardrum)の機能低下、または鼓膜から内耳へ音波を伝える中耳の3つの耳小骨の機能低下を含むことがある。
グルタミン酸およびグルタミン酸受容体
L-グルタミン酸[L-Glu]は、哺乳動物の中枢神経系における主要な興奮性アミノ酸神経伝達物質である。それは、グルタミン酸受容体(iGluR)と代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)の両方を活性化する。前者は、イオンチャンネルに結合し、典型的には、迅早な興奮性神経伝達を媒介する。
iGluRsと対照的に、mGluRsは、二次情報伝達物質の経路を介して神経細胞の興奮性およびシナプスの作用を調節するように機能する。Gタンパク質結合受容体である。今日まで、mGluRsの8つのサブタイプが同定されており、それらは、その配列の類似性、二次情報伝達物質の結合および薬理学に基づいて3つのグループに分類されることができる。グループI(mGluRlおよび mGluR5)は、Gqに結合し、ホスホリパーゼCを活性化し、低いμM濃度で3,5-ジオキシフェニルグリシン(DHPG)によって選択的に活性化される。対照的に、グループII(mGluR2およびmGluR3)およびグループIII(mGluR4、6、7、8)は、Gi/Goを介してアデニル酸シクラーゼにネガティブ結合(negatively couple)し、刺激されたcAMPの形成を阻害する。グループIIのmGluRは、(2S,l’S,2’S)-2-(ジカルボキシシクロプロピル)グリシン(DCG-IV)によって選択的に活性化され得、一方、グループIIIのmGluRは、合成アゴニストL-アミノ-4-ホスホノ酪酸(L-AP4)および内在性リガンドL-セリン-O-リン酸塩(L-SOP)によって選択的に活性化される。
内耳の疾病の予防または処置
グルタミン酸は、聴覚系における重要な神経伝達物質でもあり、シグナルを感覚性内毛細胞(IHC)から求心性聴神経線維に伝える。騒音性難聴、加齢に誘発された難聴および耳鳴を含むいくつかの内耳の疾患は、IHC-聴神経裂における過剰なグルタミン酸の放出および興奮毒性による神経細胞の損傷に関連してきた。従って、グルタミン酸作動性神経伝達のモジュレータは、蝸牛における聴覚機能を直接調節するのに有用であり、過剰なグルタミン酸放出に関連する内耳疾患のための処置手段である。シナプス前ニューロンは、刺激時にグルタミン酸を放出する。グルタミン酸は、シナプス中をめぐり、シナプス後ニューロンに位置する受容体に結合し、これらのニューロンを活性化させる。グルタミン酸受容体は、NMDA、AMPAおよびカイニン酸受容体を含む。
蝸牛におけるグルタミン酸作動性神経伝達は、イオンチャンネル型(NMDAおよびAMPA)か代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)のいずれかに対するアゴニストまたはアンタゴニストによって調節される。よって、本明細書に記載されるように、(mGluR1およびmGluR5のような)グループIのmGluRのモジュレータは、内耳疾患の処置および/または予防に有用である。本明細書に開示のグループIのmGluRのモジュレータは、1つのグループIのmGluRイソフォームに対して選択的であるか、またはmGluR1とmGluR5の両方に等しい作用かまたは同様な作用で影響を与える。CNSと蝸牛の両方において、グループIのmGluRは、通常、シナプス後受容体として扱われ、NMDA-およびAMPA-媒介性反応に影響を与えることによって、グルタミン酸へのシナプス後末端の反応を調節する。グループIのmGluRのアゴニストは、CNSでのNMDA-およびAMPA-媒介性反応を増大させ、一方、アンタゴニストはこれらの反応を減少させる。従って、グループIのmGluRに対するアンタゴニストは、過剰なグルタミン酸神経伝達の環境において有益であり、過剰なグルタミン酸放出および興奮毒性に関連する内耳疾患の処置手段である。
いくつかの実施形態において、mGluRグループIアゴニストは、ACPD((1S,3R)‐1‐アミノシクロペンタン‐1,3‐ジカルボン酸);tADA(トランス‐アゼチジン‐2,4‐ジカルボン酸);CHPG((RS)‐2‐クロロ‐5‐ヒドロキシフェニルグリシン);(RS)‐3‐ヒドロキシフェニルグリシン;(S)‐3‐ヒドロキシフェニルグリシン;RS‐3,5‐DHPG((RS)‐3,5‐ジヒドロキシフェニルグリシン);S‐3,5‐DHPG((S)‐3,5‐ジヒドロキシフェニルグリシン);(±)‐トランス‐ACPD((±)‐1‐アミノシクロペンタン‐トランス‐1,3‐ジカルボン酸);L‐CCG((2S,1’S,2’S)‐2‐(カルボキシシクロプロピル)グリシン);L‐3’‐F2CCG‐I((2S,1’S,2’S)‐2‐(2’‐カルボキシ‐3’,3’‐ジフルオロシクロプロピル)グリシン);L‐グルタミン酸;MNI‐ケージド‐L‐グルタメート((S)‐a‐アミノ‐2,3‐ジヒドロ‐4‐メトキシ‐7‐ニトロ‐d‐オキソ‐1H‐インドール‐1‐ペンタン酸);L‐キスカル酸;S‐スルホ‐L‐システインナトリウム塩;CHPG((RS)‐2‐クロロ‐5‐ヒドロキシフェニルグリシン);UPF596((S)‐(+)‐2‐(3’‐カルボキシビシクロ[1.1.1]ペンチル)‐グリシン);L‐システインスルフィン酸;またはそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態において、mGluRグループI アンタゴニストは、AIDA1‐アミノインダン(aminoindan)‐1,5‐ジカルボン酸);ACDPP(3‐アミノ‐6‐クロロ‐5‐ジメチルアミノ‐N‐2‐ピリジニルピラジンカルボキサミドヒドロクロリド;DL‐AP3(DL‐2‐アミノ‐3‐ホスホノプロピオン酸); BAY‐36‐7620((3aS,6aS)‐ヘキサヒドロ‐5‐メチレン‐6a‐(2‐ナフタレニルメチル)‐1H‐シクロペンタ[c]フラン‐1‐オン);Fenobam;4CPG((S)4‐カルボキシフェニルグリシン);(S)‐4C3HPG((S)‐4‐カルボキシ‐3‐ヒドロキシフェニルグリシン);CPCCOEt(7‐ヒドロキシイミノシクロプロパン[b]クロメン(chromen)‐1a‐カルボン酸エチルエステル);LY367385((S)‐(+)‐a‐アミノ‐4‐カルボキシ‐2‐メチルベンゼン酢酸);LY456236ヒドロクロリド(6‐メトキシ‐N‐(4‐メトキシフェニル)キナゾリン(quinazolin)‐4‐アミン,MPMQヒドロクロリド);3‐MATIDA(a‐アミノ‐5‐カルボキシ‐3‐メチル‐2‐チオフェン酢酸);MCPG(α‐メチル‐4‐カルボキシフェニルグリシン);MPEP(2‐メチル‐6‐(フェニルエチニル)‐ピリジン);(MTEP)3‐[(2‐メチル‐1,3‐チアゾル(thiazol)‐4‐イル)エチニル]‐ピリジン;PHCCC(N‐フェニル‐7‐(ヒドロキシイミノ)シクロプロパ[b]クロメン(chromen)‐1a‐カルボキサミド;SIB1757(6‐メチル‐2‐(フェニルアゾ)‐3‐ピリジノール;SIB1893(2‐メチル‐6‐(2‐フェニルエテニル)ピリジン; YM298198ヒドロクロリド(6‐アミノ‐N‐シクロヘキシルN,3‐ジメチルチアゾロ[3,2‐a]ベンズイミダゾール‐2‐カルボキサミドヒドロクロリド);(YM‐193167(6‐アミノ‐N‐シクロヘキシル‐N,3‐ジメチルチアゾロ[3,2‐a]ベンズイミダゾール‐2‐カルボキサミド);(NPS2390(キノキサリン‐2‐カルボン酸アダマンタン‐1‐イルアミド);3‐(5‐(ピリジン‐2‐イル)‐2H‐テトラゾル‐2‐イル)ベンゾニトリル;3‐[3‐フルオロ‐5‐(5‐ピリジン‐2‐イル‐2H‐テトラゾル‐2‐イル)フェニル]‐4‐メチルピリジン;3‐フルオロ‐5‐(5‐ピリジン‐2‐イル‐2H‐テトラゾル‐2‐イル)ベンゾニトリル;N‐シクロヘキシル6‐{[(2‐メトキシエチル)(メチル)アミノ]メチル}‐N‐メチルチアゾロ[3,2‐a]ベンズイミダゾール‐2‐カルボキサミド(YM‐202074);デスメチル‐YM298198(6‐アミノ‐N‐シクロヘキシル3‐メチルチアゾロ[3,2‐a]ベンズイミダゾール‐2‐カルボキサミドヒドロクロリド);MPEPヒドロクロリド(2‐メチル‐6‐(フェニルエチニル)ピリジンヒドロクロリド);(S)‐MCPG((S)‐a‐メチル‐4‐カルボキシフェニルグリシン);(RS)‐MCPG((RS)‐a‐メチル‐4‐カルボキシフェニルグリシン);E4CPG((RS)‐a‐エチル‐4‐カルボキシフェニルグリシン);ヘキシルホモイボテン酸(a‐アミノ‐4‐ヘキシル‐2,3‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐5‐イソキサゾールプロパン酸;ヘキシルHIBO);(S)‐ヘキシルホモイボテン酸((S)‐a‐アミノ‐4‐ヘキシル‐2,3‐ジヒドロ‐3‐オキソ‐5‐イソキサゾールプロパン酸;(S)‐ヘキシルHIBO);EMQMCM(3‐エチル‐2‐メチル‐キノリン‐6‐イル)‐(4‐メトキシ‐シクロヘキシル)‐メタノンメタンスルホン酸);JNJ16259685;R214127(1‐(3,4‐ジヒドロ‐2H‐ピラノ[2,3‐b]キノリン‐7‐イル)‐2‐フェニル‐1‐エタノン);(S)‐3‐カルボキシ‐4‐ヒドロキシフェニルグリシン((S)‐3C4HPG);抗‐mGlu5遮断ペプチド([K]‐SSPKYDTLIIRDYTQSSSSL);DFB(3,3’‐ジフルオロベンズアルダジン);DMeOB([(3‐メトキシフェニル)メチレン]ヒドラゾン‐3‐メトキシベンズアルデヒド);抗‐mGlu5(([K]‐SSPKYDTLIIRDYTQSSSSL);またはそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態において、グループIのmGluRのモジュレータは、S‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐{3‐[3‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐[1,2,4]オキサジアゾル(oxadiazol)‐5‐イル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(ADX47273);4‐[1‐(2‐フルオロピリジン‐3‐イル)‐5‐メチル‐1H‐1,2,3‐トリアゾル‐4‐イル]‐N‐イソプロピル‐N‐メチル‐3,6‐ジヒドロピリジン‐1(2H)‐カルボキサミド(FTIDC); 6‐(3‐メトキシ‐4‐(ピリジン‐2‐イル)フェニル)イミダゾール[2,1‐b]チアゾール;2‐(2‐メトキシ‐4‐(4‐(ピリジン‐2‐イル)オキサゾル‐2‐イル)フェニル)アセトニトリル;2‐(4‐(ベンゾ[d]オキサゾル‐2‐イル)‐2‐メトキシフェニル)アセトニトリル; 2‐(4‐(2,3‐ジヒドロ‐1H‐インデン‐2‐イルアミノ)4a,5,6,7,8,8a‐ヘキサヒドロキナゾリン‐2イルチオ)エタノール;またはそれらの組み合わせである。
特定の例において、グループIIおよびIIIのmGlu受容体のモジュレータは、cAMPの形成を妨げまたは減少させることによって、シナプス後電位を減少または阻害する。特定の例において、これは、神経伝達物質、特にグルタミン酸の放出の減少を引き起こす。いくつかの例において、 グループIIおよびIIIのmGlu受容体は、シナプス前性に局在化し、グループIIまたはグループIIIのmGlu受容体のアゴニズムが、興奮毒性を減少させる。
GRM7は、mGlu7 受容体、グループIII受容体をコードする遺伝子である。特定の例において、mGlu7のアゴニズムは、グルタミン酸のシナプス濃度の減少をもたらす。これは、グルタミン酸の興奮毒性を緩和する。
いくつかの実施形態において、グループIIのmGlu受容体を調節する薬剤は、グループIIのmGlu 受容体アゴニストである。いくつかの実施形態において、グループIIのmGlu 受容体アゴニストは、LY389795((‐)‐2‐チア‐4‐アミノビシクロ‐ヘキサン‐4,6‐ジカルボキシレート);LY379268((‐)‐2‐オキサ‐4‐アミノビシクロ‐ヘキサン‐4,6‐ジカルボキシレート);LY354740((+)‐2‐アミノビシクロ‐ヘキサン‐2,6ジカルボキシレート);DCG‐IV((2S,2’R,3’R)‐2‐(2’,3’‐ジカルボキシシクロプロピル)グリシン);2R,4R‐APDC(2R,4R‐4‐アミノピロリジン‐2,4‐ジカルボキシレート),(S)‐3C4HPG((S)‐3‐カルボキシ‐4‐ヒドロキシフェニルグリシン);(S)‐4C3HPG((S)‐4‐カルボキシ‐3‐ヒドロキシフェニルグリシン);L‐CCG‐I((2S,1’S,2’S)‐2‐(カルボキシシクロプロピル)グリシン);および/またはそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態において、グループIIIのmGlu受容体は、mGlu7である。いくつかの実施形態において、グループIIIのmGlu 受容体を調節する薬剤は、グループIIIのmGlu 受容体アゴニストである。いくつかの実施形態において、グループIIIのmGlu 受容体アゴニストは、ACPT‐I((1S,3R,4S)‐1‐アミノシクロペンタン‐1,3,4‐トリカルボン酸);L‐AP4(L‐(+)‐2‐アミノ‐4‐ホスホノ酪酸);(S)‐3,4‐DCPG((S)‐3,4‐ジカルボキシフェニルグリシン);(RS)‐3,4‐DCPG((RS)‐3,4‐ジカルボキシフェニルグリシン);(RS)‐4‐ホスホノフェニルグリシン((RS)PPG);AMN082(,N’‐ビス(ジフェニルメチル)‐1,2‐エタンジアミンジヒドロクロリド);DCG‐IV((2S,2’R,3’R)‐2‐(2’,3’‐ジカルボキシシクロプロピル)グリシン);および/またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、mGlu7のアゴニストは、AMN082である。いくつかの実施形態において、mGlu受容体モジュレータは、3,5‐ジメチルピロール‐2,4‐ジカルボン酸2‐プロピルエステル4‐(1,2,2‐トリメチル‐プロピル)エステル(3,5‐ジメチルPPP);3,3’‐ジフルオロベンズアルダジン(DFB),3,3’‐ジメトキシ(dimlethoxy)ベンズアルダジン(DMeOB),3,3’‐ジクロロベンズアルダジン(DCB)、およびMol.Pharmacol.2003,64,731‐740に開示された他のmGluR5アロステリックモジュレータ;(E)‐6‐メチル‐2‐(フェニルジアゼニル)ピリジン‐3‐オール(SIB1757);(E)‐2‐メチル‐6‐スチリルピリジン(SIB1893);2‐メチル‐6‐(フェニルエチニル)ピリジン(MPEP),2‐メチル‐4‐((6‐メチルピリジン‐2‐イル)エチニル)チアゾール(MTEP);7‐(ヒドロキシイミノ)シクロプロパ[b]クロメン(chromen)‐1α‐カルボキシレートエチルエステル(CPCCOEt),N‐シクロヘキシル‐3‐メチルベンゾ[d]チアゾロ[3,2‐a]イミダゾール‐2‐カルボキサミド(YM‐298198),トリシロロ[3.3.3.1]ノナニルキノキサリン‐2‐カルボキサミド(NPS2390);6‐メトキシ‐N‐(4‐メトキシフェニル)キナゾリン(quinazolin)‐4‐アミン(LY456239);WO2004/058754およびWO2005/009987に開示されたmGluR1アンタゴニスト;2‐(4‐(2,3‐ジヒドロ‐1H‐インデン‐2‐イルアミノ)‐5,6,7,8‐テトラヒドロキナゾリン(quinazolin)‐2‐イルチオ)エタノール;3‐(5‐(ピリジン‐2‐イル)‐2H‐テトラゾル‐2‐イル)ベンゾニトリル,2‐(2‐メトキシ‐4‐(4‐(ピリジン‐2‐イル)オキサゾル(oxazol)‐2‐イル)フェニル)アセトニトリル;2‐(4‐(ベンゾ[d]オキサゾル(oxazol)‐2‐イル)‐2‐メトキシフェニル)アセトニトリル;6‐(3‐メトキシ‐4‐(ピリジン‐2‐イル)フェニル)イミダゾ[2,1‐b]チアゾール;および/またはそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態において、mGluRのモジュレータは、mGluRの正のアロステリックモジュレータである。mGluRの正のアロステリックモジュレータの例としては、S‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐{3‐[3‐(4‐フルオロ‐フェニル)‐[1,2,4]オキサジアゾル‐5‐イル]‐ピペリジン‐1‐イル}‐メタノン(ADX47273)、ADX71149(Addex Partner)、Knoflach et al. PNAS 2001, 98, 13402に記載の化合物(そこに記載のmGluRの正のアロステリックモジュレータは、本明細書に引用によって組み込まれる)などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、mGluRのモジュレータは、mGluRの負のアロステリックモジュレータである。mGluRの負のアロステリックモジュレータとしては、フェノバム、Kew, Pharmacology & Therapeutics, 104, 233‐244に記載の化合物、Marino et al. Current Opinion in Pharmacology, 6, 98‐102に記載の化合物(それらに記載の負のアロステリックモジュレータは、引用によって本明細書に組み込まれる)などが挙げられるが、これらに限定されない。
CNSにおいて代謝型グルタミン酸受容体のモジュレータ、特にグループIのmGluRは、シナプス可塑性に影響を及ぼすことが示されており、よって、潜在的に記憶および他の重要なCNS機能に影響を及ぼす。グループIのmGluRの脳透過性モジュレータの全身的投与は、内耳疾患の処置のためのそれらの有用性を限定する副作用を潜在的に引き起こす可能性がある。本明細書に記載の特定の実施形態において、グループIのmGluRモジュレータは、例えば、正円窓膜上への持続放出(extended release)製剤の送達によって、蝸牛に直接投与される。特定の実施形態において、そのような製剤を使用すると、限界までの(marginal)全身性の、およびCNS曝露をもたらす。
用語「アゴニスト」は、特定の受容体に結合し、細胞内で反応を誘発する薬剤を指す。アゴニストは、同じ受容体に結合する内在性リガンドの作用を模倣する。
用語「アンタゴニスト」は、別の分子の作用または受容体部位の活性を減少、阻害、または妨げる薬剤を指す。アンタゴニストは、競合性アンタゴニスト、非競合性アンタゴニスト、不競合性アンタゴニスト、半アゴニスト、または逆アゴニストを含むが、これらに限定されない。
競合性アンタゴニストは、内因性リガンド又はアゴニストと同じ結合部位(活性部位)で受容体に可逆的に結合するが、受容体を活性化しない。
非競合性アンタゴニスト(アロステリックアンタゴニストとしても知られている)は、アゴニストから明確に分離された結合部位に結合し、他の結合部位を経由してその受容体に作用を及ぼす。非競合性アンタゴニストは、結合のためにアゴニストと競合しない。結合したアンタゴニストは、その受容体のアゴニストの親和性を低下し、又はアゴニストの結合後に受容体活性化に必要となる、受容体の立体構造的な変化を妨げることもある。
不競合性アンタゴニストは、分離アロステリック結合部位に結合できる前に、アゴニストによる受容体活性化を必要とするという点で、非競合性アンタゴニストと異なる。
半アゴニストは、所定の受容体において、最大受容体占有後に誘発する機能的反応の大きさが異なり得る薬として定義される。半アゴニストはアゴニストであるが、半アゴニストが、受容体占有に対して完全アゴニストと競合し、完全アゴニスト単独で観察される受容体活性化の純減を生じさせるので、完全アゴニストと同時投与されると、競合性アゴニストとして作用し得る。
逆アゴニストは、アンタゴニストと類似の作用を有し得るが、別のセットの下流の生体反応の原因となる。内因性または基本活性を示す構造的に活性な受容体は、逆アゴニストを備えることがあり、逆アゴニストは、古典的アンタゴニストなどの結合アゴニストの作用を遮断するだけでなく、受容体の基本活性も阻害する。
医薬組成物および投与経路
患者への化合物の送達は、経口的に、静脈内に、皮下に、腹腔内に、筋肉内に、直腸内にまたは局所的に、随意になされる。特定の実施形態において、全身投与による治療上有効な量は、望まれない副作用を誘発するかもしれないので、患者への化合物の送達は、内耳への局所的な投与によってなされる。いくつかの実施形態において、グループIのmGluR受容体モジュレータを含む医薬組成物の治療上有効な量は、苦しむ個体の異常な活性を示すmGluR受容体の部位に達することができる。
内耳への化合物の投与は、様々な送達技術によって随意になされる。これらは、デバイスまたは薬物担体の使用を含み、意図した形式で正円窓または卵円窓の膜へ化合物を輸送および/または送達し、そこで化合物は、内耳へ拡散し、活性的に注入される。例としては、オトウィック(otowick)(例えば、Silversteinによる米国特許第6,120,484号)、正円窓カテーテル (米国特許第 5,421,818号;第5,474,529号;第5,476,446号;第6,045,528号;全てArenbergによる、またはLenarzによる第6,377,849号およびその分割出願2002/0082554を参照)、または様々なタイプのゲル剤、フォーム、フィブリンまたは他の薬物担体であり、これらは、正円窓窩または卵円窓上に配され、徐放のための化合物を充填される(例えば、 ManningによるWO 97/38698; Silverstein et al. 1999 Otolaryagology‐Head and Neck Surgery 120:649‐655; Balough et al. 1998 Otolaryngology‐Head and Neck Surgery 119:427‐431を参照)。それらは、蝸牛管または蝸牛の任意の他の部分へ挿入されたデバイスの使用をさらに含む(例えば、Kuzrnaによる米国特許第6,309,410号を参照)。化合物は、経鼓膜注入によって内耳に随意に投与され、内耳またはその一部は、化合物の溶液または他の担体によって充填される(例えば、Hoffer et al. 2003 Otolaryagologic Clinics of North America 36:353-358を参照)。
内耳への投与は、正円窓膜を介する拡散により、これは、中耳の空間から比較的容易にアクセス可能であり、内耳を無傷のままにしておくことができ、よって蝸牛内の流体の漏れによる任意の潜在的な問題を避けることができる。
化合物は、そのような製剤が安定している(すなわち、体温で許容できない量までの分解を受けない)という条件のもとで、中耳‐内耳の膜を介する送達に適合する様々な製剤の何れかで随意に提供される。化合物は、例えば、固形剤、半固形剤、ゲル剤、液剤、懸濁剤、 エマルジョン剤、浸透投与製剤、 拡散投与製剤、浸食(erodible)製剤など、中耳‐内耳の膜構造を介する薬剤の送達および拡散に適する任意の形態で随意に提供される。1つの実施形態において、製剤は、内耳の正円窓窩に挿入されたカテーテルと連結された埋め込み型ポンプ、例えば、浸透圧ポンプ、を使用した送達に適切である。
製薬グレードの有機または無機の担体、賦形剤および/または希釈剤は、製剤内に随意に含まれる。製剤は、生理的なpH値におけるリン酸ナトリウムのような緩衝液、生理学的食塩水、またはその両方(すなわち、リン酸塩緩衝食塩水)を随意に含む。適切な賦形剤は、適切な組成物を提供するために、デキストロース、グリセロール、アルコール(例えば、エタノール)など、およびそれらの1つ以上のものと、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、有機物などの組み合わせを含む。さらに、所望ならば、組成物は、疎水性または水性の界面活性剤、分散剤、湿潤剤または乳化剤、等張剤、pH緩衝剤、溶解促進剤、安定化剤、保存剤および医薬品の製剤において使用される他の典型的な補助添加剤を随意に含む。特定の実施形態において、化合物は、溶剤、懸濁剤、および/または沈殿剤としての製剤で提供される。
特定の実施形態において、開示の医薬組成物内に含まれる化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で提供される。そのような塩の例としては、限定されないが、有機酸(例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、ホルマル(formaric)酸、酒石酸、ステアリン酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、またはパモ酸(pamoic acid)と共に形成されたもの、無機酸(例えば、無機塩酸(hydrochloridic acid)、硝酸、二リン酸、硫酸、またはリン酸)と共に形成されたもの、およびポリマー酸(例えば、タンニン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはf乳酸‐グリコール酸のコポリマー)と共に形成されたものを含む。
任意の投与経路のための医薬組成物は、治療上有効な量の(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータを含み、必要ならば、無機または有機の、固体または液体の薬学的に許容可能な担体を含む。内耳への局所的投与に適した医薬組成物は、水溶液または懸濁液を含み、これらは、例えば、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータ単独または担体と共に含まれる凍結乾燥された製剤の場合、使用前に調製される。それらは、ゲル剤をさらに含み、それは、生分解性または非生分解性、水性または非水性、または微粒子ベースである。そのようなゲルの例としては、ポロクサマー、ヒアルロン酸塩、キシログルカン、キトサン、ポリエステル、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)またはそれらのコポリマーPLGA、スクロースアセテートイソブチレート、およびグリセロールモノオレートが挙げられるが、これらに限定されない。腸内の非経口投与に適した医薬組成物としては、上記のような錠剤またはゼラチンカプセルまたは水溶液または懸濁液が挙げられる。
医薬組成物は、随意に無菌化され、および/または、アジュバント、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、浸透圧を調節するための塩および/または緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、薬理学的に活性な物質をさらに含む。それらは、薬学の分野で周知の方法の何れか、例えば、従来の混合、造粒、コンフェクショニング(confectioning)、溶解または凍結乾燥、の方法によって調製され、約0.01〜100%、または約0.1〜50%(100%まで凍結乾燥される)の活性成分を含む。
特定の実施形態において、医薬組成物は、局所適用のために調製される。耳の投与に適切なビヒクルは、有機物または無機物であり、これらは、薬学的に許容可能であり、(mGluR1 および/または mGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータと反応せず、それは、例えば、生理食塩水、アルコール、植物油、ベンジルアルコール、アルキレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリントリアセテート、ゼラチン、ラクトースまたはデンプンのような炭水化物、マグネシウム、ステアリン酸塩、タルクおよびペトロラタムである。示される調剤は、無菌化され、および/または滑沢剤のような補助物質、チメロサール(thimersal)のような保存剤(例えば、50%で)、安定化剤および/または湿潤剤、乳化剤、浸透圧を左右するための塩、緩衝物質、着色剤、および/または芳香族化物質を含む。
随意に、医薬組成物は、1以上の他の活性成分も含み、これは、抗生物質、例えば、フルオロキノロン、抗炎症剤、例えば、ステロイド、コルチゾン、鎮痛剤、アンチピリン、ベンゾカイン、プロカインなどのような他の生理活性物質を含む。1つの実施形態において、医薬組成物は、グループIのmGluRのモジュレータと、米国特許出願2007/0015272で開示のNMDA受容体アンタゴニストのようなiGluRモジュレータの組み合わせを含み、これは、D-2-アミノ-5-ホスホノ吉草酸(D-AP5)、ジゾシルピン(MK 801)、7-クロロカイヌレナート(7-CK)およびガサイクリジン(GK-11)を含むが、これらに限定されない。
局所的投与のための組成物は、薬学的に許容可能な他の成分を随意に含み、例えば、耳へ投与された時、体循環へまたは中枢神経系への送達を高めない局所的賦形剤が選択される。例えば、局所的賦形剤は、実質的な閉塞特性を有さず、これによって、粘膜を介する体循環への経皮伝送が促進される。このような閉塞性賦形剤としては、炭化水素基剤、親水ワセリンおよび脱水ラノリン(例えば、Aquaphor)のような無水の吸水性基剤、およびラノリンおよびコールドクリーム油中水型乳化基剤が挙げられる。代わりに、実質的に非閉塞性であるビヒクルが使用され、通常、水中油型乳化基剤(クリーム剤または親水軟膏)、および、ポリエチレングリコール-ベースのビヒクルおよびメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、KYゲル)のような様々な薬剤でゲル化された水溶液のような水溶性基剤のような水溶性のものが挙げられる。
適切な局所的賦形剤およびビヒクルは、Remington's Pharmaceutical Sciences, Vol. 18, Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)、特にChapter 87のような情報源に見出される。例えば、生理活性物質は、薬剤の浸透を高める促進剤と組み合わされる。
医薬組成物は、過剰なグルタミン酸放出および/または興奮毒性によって特徴付けられた内耳の疾病の発生前に、または過剰なグルタミン酸放出および/または興奮毒性によって特徴付けられた内耳の疾病が診断された後に、随意に投与される。特定の実施形態において、投与される量は、投与の方法、治療の継続期間、処置される被験体の健康状態、過剰なグルタミン酸放出および/または興奮毒性によって特徴付けられた内耳の疾病の重症度、および使用される特定の化合物の効能、年齢、体重、一般的な全身健康状態、性別、食事、投与の時間および投与経路、排出の割合および薬物の組み合わせに依存して変化し、最終的には主治医によって決定される。
治療上有効な量は、過剰なグルタミン酸放出および/または興奮毒性によって特徴付けられた個体が苦しむ内耳の疾病を抑えまたは減らすのに有効な量である。上述のように、治療上有効な用量は、処置のための特定のmGluR受容体モジュレータの選択およびその投与の方法に依存して変化し得る。例えば、耳の正円窓膜または卵円窓へ局所的に投与される同じ医薬組成物の用量より高い用量の静脈内に投与されるmGluR1またはmGluR5受容体モジュレータが必要とされる。更に、より低い用量のmGluR1またはmGluR5受容体モジュレータが必要とされ、mGluR1またはmGluR5受容体モジュレータは、より高い親和性でmGluR1またはmGluR5受容体に結合し、より低い親和性でmGluR1またはmGluR5受容体モジュレータと結合する。その結果、この説明的な例において、mGluR1またはmGluR5受容体に対するより高い結合親和性を有するmGluR1またはmGluR5受容体モジュレータがより好ましい。
治療の継続期間も、過剰なグルタミン酸放出および/または興奮毒性によって特徴付けられた内耳の疾病の特定の形態(例えば、急性、亜急性の、または慢性のものに対して処置が望まれるのか)に依存して変化する。いくつかの実施形態において、参考のために、過剰なグルタミン酸放出および/または興奮毒性によって特徴付けられた内耳の疾病が、一度治療が終わったら再発しない時は、より短い治療の継続期間で充分である。いくつかの他の実施形態において、短い治療の後に、過剰なグルタミン酸放出および/または興奮毒性によって特徴付けられた内耳の疾病が持続する個体に対しては、より長い治療の継続期間が利用される。
実施例 医薬製剤:制御放出製剤
本明細書には、内耳の標的へ送達するための少なくとも1つの治療薬剤を含む制御放出製剤が開示される。本明細書に記載の制御放出製剤は、治療効果が得られるように適切な時間に作用の部位に適切な量の薬物を送達する。一般に、制御放出薬物製剤は、体内での放出部位および放出時間に関し、薬物の放出に対して制御を付与する。本明細書で論じられるように、制御放出とは、即時放出、 遅延放出、持続放出およびパルス状放出を指す。多くの利点が、制御放出によって得られる。第1に、医薬品の制御放出により、投薬回数が減り、これにより、繰り返し処置が最小限になる。第2に、制御放出型処置によって、薬物の利用がより効果的になり、残渣として残る化合物が減る。第3に、制御放出は、疾患部位に送達デバイスまたは製剤を配置することによって、局所的な薬物送達の可能性を与える。さらに、制御放出は、単一の投与ユニットを用いることによって、それぞれ固有の放出プロフィールを有する2つ以上の異なる薬物を投与し、放出する機会を与え、または同じ薬物を異なる速度または異なる継続期間で放出させる機会を与える。
制御放出:徐放
徐放の選択肢としては、ゲル製剤が挙げられ、粘膜接着剤,浸透促進剤、生体接着剤、酸化防止剤、界面活性剤、緩衝剤、希釈剤、塩および保存剤のような成分を含む。粘度の考慮が潜在的にシリンジ/注射針の送達システムの使用を限定する程度まで、熱可逆性ゲル剤または投与後粘度促進オプションが考えられ、同様に、ポンプ、微量注入デバイスなどを含む代替的な送達システムが考えられる。
ゲル製剤
ゲル(ときに、ゼリーとも呼ばれる)は、種々の様式で規定される。例えば、米国薬局方は、ゲルを、液体がしみこんだ小さな無機粒子または大きな有機分子で構成されているいずれかの懸濁物から成る半固体系、として定義している。ゲル剤は、さらに単相のまたは2相の系から成り得る。単相ゲルは、分散した高分子と液体との間に明らかな境界が存在しない様式で、液体全体に均一に分布する有機高分子から成る。単相のゲル剤は、通常、合成高分子 (例えば、カルボマー)から、または天然ゴム(例えば、トラガント)から調製される。いくつかの実施形態において単相ゲルは、一般的に水系であるが、アルコールおよび油を用いても作成される。二相ゲルは、小さな別個の粒子の網目構造からなる。
ゲル剤は、疎水性または親水性としても分類され得る。疎水性ゲルの基剤は、通常、ポリエチレンを含む流動パラフィン、またはコロイド状シリカまたはアルミニウムまたは亜鉛系石ケンでゲル化された脂肪油から成る。対照的に、疎水性ゲルの基剤は、通常、水、グリセロール、または適切なゲル化剤(例えば、トラガント、デンプン、セルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、およびケイ酸アルミニウムマグネシウム)でゲル化させたプロピレングリコールから成る。
特定の実施形態において、ゲル製剤のレオロジーは、擬塑性、プラスチック、チキソトロピック、またはダイラタントである。
本明細書には、増粘安定剤の使用を必要としないゲル製剤が提供される。このようなゲル製剤には、少なくとも1つの薬学的に許容可能な緩衝液が組み込まれている。1つの形態において、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータを含むゲル製剤は、薬学的に許容可能な緩衝液を含む。別の実施形態において、薬学的に許容可能な賦形剤または担体は、ゲル化剤である。
いくつかの実施形態において、有用な製剤は、1以上のpH調節剤または緩衝剤も含む。適切なpH調整剤または緩衝剤は、酢酸塩、炭酸水素塩、塩化アンモニウム、クエン酸塩、リン酸塩、それらの薬学的に許容可能な塩、およびそれらの組み合わせまたは混合物を含むが、これらに限定されない。そのようなpH調整剤および緩衝液は、組成物のpHを約3から約9までの間のpHに保持するために必要とされる量で含まれ、1つの実施形態において、約6から約7までの間のpHであり、さらに別の実施形態において約6.5のpHである。さらなる実施形態において、pHは、6と8の間であり、さらなる実施形態において、7と8の間であり、さらに別の実施形態において、pHは約7.3である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、または少なくとも約6ヶ月の任意の期間にわたってpHに関して安定である。他の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、少なくとも約1週間にわたって、pHに関して安定である。また、本明細書には、少なくとも約1ヶ月にわたって、pHに関して安定な製剤も記載される。
本明細書には、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータおよび増粘安定剤が記載される。適切な増粘安定剤としては、ほんの一例として、ゲル化剤および懸濁化剤が挙げられる。1つの実施形態において、増粘安定製剤は、薬学的に許容可能な緩衝液を含まない。別の実施形態において、増粘安定製剤は、薬学的に許容可能な緩衝液を含む。
1つの実施形態において、薬学的に許容可能な増粘安定製剤は、少なくとも1つのゲル化剤を含む。1つの実施形態において、医薬製剤は、少なくとも1つの(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータを含む増粘安定製剤であり、その化合物は、ゲル化剤1グラム当たり約0.005mg〜約5mgの濃度で使用される。別の実施形態において、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータは、ゲル化剤1グラム当たり約1mg〜約5mgの濃度で使用される。別の実施形態において、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータは、ゲル化剤1グラム当たり約0.005mg〜約0.05mgの濃度で使用される。別の実施形態において、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータは、ゲル化剤1グラム当たり約0.05mg〜約0.5mgの濃度で使用される。別の実施形態において、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータは、ゲル化剤1グラム当たり約 0.5 mg〜約 5 mgの濃度で使用される。別の実施形態において、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータは、ゲル化剤1グラム当たり約0.1mg〜約5mgの濃度で使用される。
ゲル製剤の調剤での使用に適切なゲル化剤としては、限定されないが、セルロース、セルロース誘導体、セルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース)、グアーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸)、ケイ酸塩、デンプン、トラガント、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、パラフィン、ペトロラタムおよびそれらの任意の組み合わせまたは混合物が挙げられる。いくつかの他の実施形態において、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel(登録商標))がゲル化剤として使用される。特定の実施形態において、本明細書に記載の増粘安定剤は、本明細書に提示のゲル製剤のためのゲル化剤としても使用される。
1つの実施形態において、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータが、薬学的に許容可能な増粘安定製剤中にあり、その製剤は、少なくとも1つの懸濁化剤を含む。
懸濁化剤は、ほんの一例として、ポリビニルピロリドン(例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30)、 ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(S630)、ポリエチレングリコール(例えば、約300〜約6000、または約3350〜約4000、または約7000〜約5400の分子量を有し得るポリエチレングリコール)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースアセテートステアレート、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゴム(例えば、トラガカントゴムおよびアカシアゴム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタン)、砂糖、セルロース(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシレート化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシレート化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどのような化合物を含む。いくつかの実施形態において、有用な水性懸濁液は、懸濁剤として1以上のポリマーも含む。有益なポリマーとしては、セルロース酸 ポリマーのような水溶性高分子、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および架橋されたカルボキシル基含有ポリマーのような非水溶性ポリマーが挙げられる。
いくつかの実施形態において、製剤は、希釈剤、他の薬剤または医薬品、担体、保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤のようなアジュバント、溶解促進剤、および塩を含む。いくつかの実施形態において、希釈剤、担体、 アジュバントは、薬学的に許容可能な増粘安定製剤を形成する際に有用である。いくつかの実施形態において、増粘安定製剤は、安定化剤を含む。別の実施形態において、製剤は、可溶化剤を含む。さらなる実施形態において、製剤は、消泡剤を含む。さらなる実施形態において、製剤は、酸化防止剤を含む。さらなる他の実施形態において、製剤は、分散剤を含む。1つの実施形態において、製剤は、界面活性剤を含む。さらなる別の実施形態において、製剤は、湿潤剤を含む。
特定の実施形態において、製剤は、シクロデキストリンを代替的に含む。シクロデキストリンは、6、7、または8のグルコピラノース単位を含む環状オリゴ糖であり、それぞれα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、又はγ-シクロデキストリンと呼ばれている。シクロデキストリンは、医薬製剤において特に有益であることが見出されている。シクロデキストリンの例は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)を含むβ-シクロデキストリンである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、化合物の分解に関して、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、または少なくとも約6ヶ月の何れかの期間にわたって安定している。他の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、少なくとも約1週間の期間にわたって化合物分解に対して安定的である。本明細書には、少なくとも約1ヶ月の期間にわたって化合物分解に対して安定な製剤も記載される。
以下に提示されるのは、制御放出賦形剤の例である。
本明細書に開示の製剤は、少なくとも1つの(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータおよび/または、限定されないが例えば酸化防止剤を含む賦形剤、αリポ酸、カルシウム、ホスホマイシンまたは鉄キレート剤に加えて、特定の治療剤または賦形剤、希釈剤または担体の使用から生じるかもしれない可能性のある耳毒性の影響を中和するために、オトプロテクタント(otoprotectant)剤を代替的に包含する。
浸透促進剤
別の実施形態において、製剤は、1以上の浸透促進剤をさらに含む。生体膜への浸透は、浸透促進剤の存在によって促進され得る。浸透促進剤は、生体膜を介して同時投与された物質の輸送を容易にする化学成分である。浸透促進剤は、化学構造に従って分類され得る。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテル、ラウレス-9、ドデシル硫酸ナトリウム、 スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル (PLE)、Tween80、ノニルフェノキシエチレン(NP-POE)、ポリソルベートなどのようなイオン性および非イオン性の両方の界面活性剤が、浸透促進剤として作用する。胆汁酸塩(例えば、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、ナトリウムタウロジヒドロフシジエート、ナトリウムグリコジヒドロフシジエートなど)、脂肪酸および誘導体(例えば、オレイン酸、カプリル酸、モノ-およびジ-グリセリド、ラウリン酸、アシルコリン、カプリル酸、アシルカルニチン、カプリン酸ナトリウムなど)、キレート剤(例えば、EDTA、クエン酸、サリチラートなど)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、デシルメチルスルホキシドなど)、およびアルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロパンジオールなど)も浸透促進剤として作用する。
制御放出:動力学
1つの実施形態において、本明細書に開示の製剤は、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータの即時放出を更に提供する。特定の実施形態において、少なくとも1つの、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータの製剤からの拡散が、直ちに、または1分以内に、または5分以内に、または10分以内に、または15分以内に、または30分以内に、または60分以内に、または90分以内に起こる。他の実施形態において、治療上有効な量の少なくとも1つの(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータは、直ちに、または1 分以内に、 または5分以内に、 または10分以内に、または15分以内に、または30分以内に、または60分以内に、または90 分以内に、製剤から放出される。特定の実施形態において、製剤は、少なくとも1つの、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータの即時放出を提供するゲル製剤を含む。
1つの実施形態において、製剤は、少なくとも1つの、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータの持続放出製剤を提供する。特定の実施形態において、少なくとも1つの、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータの製剤からの拡散は、15分、または30分、または1時間、または4時間、または6 時間、または12時間、または18時間、または1日、または2日、または3日、または4日、または5日、または6日、または7日、または10日、または12日、または14日、または18日、または21日、または25日、または30日、または45日、または2ヶ月、または3ヶ月、または4ヶ月、または5ヶ月、または6ヶ月、または9ヶ月、または1年を超える期間にわたって起こる。他の実施形態において、少なくとも1つの(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータの治療上有効な量は、15分、または30分、または1時間、または4 時間、または6時間、または12時間、または18時間、または1日、または2日、または3日、または4日、または5日、または6日、または7日、または10日、または12日、または14日、または18日、または21日、または25日、または30日、または45日、または2ヶ月、または3ヶ月、または4ヶ月、または5ヶ月、または6ヶ月、または9ヶ月、または1年を超える期間の間、製剤から放出される。
他の実施形態において、製剤は、即時放出と持続放出の両方の(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータの製剤を提供する。さらに他の実施形態において、製剤は、0.25:1の比率、または0.5:1の比率、または1:1の比率、または1:2の比率、または1:3、または1:4の比率、または1:5の比率、または1:7の比率、または1:10の比率、または1:15の比率、または1:20の比率の即時放出と持続放出の製剤を含む。さらなる実施形態において、製剤は、第1の(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータ即時放出と第2の活性医薬成分の持続放出を提供する。さらに他の実施形態において、製剤は、少なくとも2つの活性な医薬成分の即時放出と持続放出を提供する。いくつかの実施形態において、製剤は、0.25:1の比率、または0.5:1の比率、または1:1の比率、または1:2の比率、または1:3、または1:4の比率、または1:5の比率、または1:7の比率、または1:10の比率、または1:15の比率、または1:20の比率の第1の活性薬剤と第2の活性薬剤の即時放出と持続放出の製剤をそれぞれ提供する。
特定の実施形態において、製剤は、全身性の曝露なく、治療上有効な量の少なくとも1つの、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータを疾患の部位に提供する。さらなる実施形態において、製剤は、検知可能な全身性の曝露なく、治療上有効な量の少なくとも1つの、(mGluR1および/またはmGluR5のような)グループIのmGluRに特異的なモジュレータを疾患部位に提供する。
用量の選択
治療薬の中耳内注入は、鼓膜の後ろから中耳または内耳に注入するという技術である。この技術の最近の成功(Schuknecht, Laryngoscope (1956) 66, 859-870)に関わらず、いくつかの問題点(challenge)が残されている。正円窓膜へのアクセス、内耳への薬物吸収の部位が問題となり得る(challenging)。1つの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、経鼓膜注入によって正円窓膜上へ直接投与される。別の実施形態において、本明細書に記載の製剤は、内耳への鼓膜を介さないアプローチによって正円窓膜上へ投与される。さらなる実施形態において、本明細書に記載の製剤は、窓稜の変化を含む正円窓膜への外科的アプローチを介して正円窓膜上に投与される。
本明細書に記載の化合物を含む組成物は、予防的および/または治療的な処置のために投与される。治療的な適用において、組成物は、既に疾患、疾病または障害に苦しむ患者に、疾患、障害または疾病の症状を治す、または少なくとも部分的に止めるのに充分な量で投与される。この使用に対する効果的な量は、疾患、障害又は疾病の重症度及び経過、以前の治療、患者の健康状態及び薬物に対する反応及び処置する医師の判断による。
患者の疾病が改善しない場合、専門医の判断に基づいて、化合物の投与は、患者の疾患若しくは疾病の症状又は状態を改善するため、又はさもなければ、それらを制御し若しくは制限するために、長期にわたり、すなわち、患者の生命が続く間を含む、延長された時間の間、投与される。
患者の状態が改善した場合、医者の判断に基づいて、化合物の投与は、継続的になされ;代わりに、投与される薬物の用量は、一時的に減らされまたは一時的に特定の時間の間中止される(すなわち、「休薬期間」)。休薬期間の長さは、2日から1年の間で変化させることができ、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、および365日を含む。休薬期間の間の用量の減少は、10%〜100%までであり、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む。
いったん患者の症状が改善すると、必要ならば、維持量が投与される。引き続いて、症状の作用として、改善した疾患、障害又は疾病が維持される量まで、投与の用量若しくは頻度、またはその両方を減らすことができる。しかし、患者は、いかなる症状の再発によっても長期的に間欠的処置を要求することができる。
そのような量に対応する与えられる薬剤の量は、特定の化合物、疾患の症状およびその重症度のような要因に依存して変化し、例えば、投与されている特定の薬剤、投与経路、処置されている疾病、および処置されている被験体または宿主のようなケースを取り囲む特定の環境に従って決定される。いくつかの実施形態において、成人ヒトの処置のために利用される用量は、1投与当たり0.02−50mg、または1投与当たり1−15mgの範囲である。所望の容量は、一回量で、または同時に(または短期間にわたって)、または適切な間隔で投与される分割量として都合よく提示される。
いくつかの実施形態において、最初の投与は、特定の製剤であり、その次の投与は、異なる製剤または活性な医薬成分である。
製品のキットおよび他の物品
本開示はまた、哺乳動物における疾患若しくは障害の症状を、防止、処置、又は改善するためのキットも提供する。そのようなキットは、通常、本明細書で開示される、少なくとも1つまたはそれ以上の薬学的に許容可能なゲルを基礎とする組成物、およびキットを使用するための説明書を含む。本開示はまた、ヒトが罹患し、罹患する虞があり、若しくは内耳の障害を引き起こす危険があるような、哺乳動物における疾患、機能障害もしくは障害の症状を処置したり、和らげたり、減らしたり、又は改善したりするための製薬剤の製造に関して、1つ又はそれ以上の製剤の使用を熟慮する。
いくつかの実施形態において、キットは、例えば、バイアル、チューブ及びそれらの類似物等の1以上の容器を収容するよう区分化されたキャリア、パッケージ、又は容器を備え、容器の夫々は、本明細書に記載される方法において使用される別々の要素の一つを含む。適切な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、及び試験管を含む。他の実施形態において、容器は、例えばガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成される。
本明細書において提供される製造品は、パッケージ材料を含む。医薬製品を包装する場合に使用されるパッケージ材料が、本明細書中で示される。例えば、米国特許第5,323,907号、米国特許第5,052,558号、及び米国特許第5,033,252号を参照。医薬パッケージ材料の例としては、ブリスター包装、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ボトル及び選択された製剤及び投与及び処置の所望の方法に適した任意のパッケージ材料が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で提供される化合物及び組成物のたくさんの製剤は、治療薬の内耳への徐放投与により利益を受ける任意の疾患、障害、又は疾病に対する多様な処置として考慮される。
いくつかの実施形態において、キットは、一般的には1以上の追加のコンテナを備え、その夫々のコンテナは、本明細書に記載される製剤の使用のための商業上及び利用上から望ましい1以上の様々な材料(例えば、任意に濃縮された形態での試薬、および/またはデバイス)を備える。このような材料の非限定的な例としては、緩衝剤、希釈剤、フィルタ、針、シリンジ、キャリア、パケージ、容器、バイアルおよび/または内容を列挙するラベルおよび/または使用説明書、及び使用説明書を備える添付文書が挙げられるが、これらに限定されない。一般的には、1組の説明書もまた含まれている。
さらなる実施形態において、ラベルは、コンテナ上にあり又はコンテナに付随する。さらなる実施形態において、ラベルを形づくる文字、数字、又は他の表示が、容器自体のコンテナ中に貼り付けられ、成形されるか、刻まれている場合は、ラベルは容器上に取付けられる。ラベルが、コンテナを同様に保持する貯蔵所又はキャリアに存在する場合、ラベルはコンテナに付随する。他の実施形態において、ラベルは、内容物が特定の治療用途に用いられるべきものであるということを示すために用いられる。さらなる別の実施形態において、ラベルは、同様に、本明細書に記載の方法などのように、内容物の使用に関しての方向性を示すものでもある。
特定の実施形態において、医薬組成物は、本明細書で提供される化合物を含む1以上の単位剤形を含む、パックまたはディスペンサーデバイスで与えられる。別の実施形態において、パックは、例えば、ブリスター包装などの金属またはプラスチックホイルを含む。さらなる実施形態において、パックまたはディスペンサーデバイスには、投与の説明書が添付してある。さらなる実施形態において、パックまたはディスペンサーには、医薬品の製造、使用、または、販売を規制する政府機関によって規定された形態の容器に付随する通知書が添付してあり、この通知書は、ヒトまたは動物の投与に関する薬物の形態についての、政府機関の承認を反映するものである。別の実施形態において、このような通知書は、例えば、処方薬または承認された生成物の挿入に関する、米国食品医薬品局により承認されたラベルである。さらなる別の実施形態において、適合する医薬担体で処方された、本明細書で提供される化合物を含む組成物は、同様に、示された疾病の処置のために、調製され、適切な容器に配され、ラベル付けされる。
実施例
実施例1 −ゲル4-[1-(2-フルオロピリジン-3-イル)-5-メチル-1H-1,2,3-トリアゾル(triazol)-4-イル]-N-イソプロピル-N-メチル-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキサミド(FTIDC)製剤の調製
酢酸の5 ml溶液を、約 4.0のpHまで滴定する。キトサンを加え、約5.5のpHにする。それから、FTIDCをキトサン溶液中で溶解する。この溶液を、ろ過によって殺菌する。また、グリセロリン酸二ナトリウムの5mlの水溶液を準備し、殺菌する。2つの溶液を混合し、2時間以内に37℃で、所望のゲルが形成される。
実施例 2 −ゲル4-[1-(2-フルオロピリジン-3-イル)-5-メチル-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル]-N-イソプロピル-N-メチル-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキサミド(FTIDC)製剤の正円窓膜上への適用
実施例1に従って製剤を調製し、26−27ゲージのルアーロックの使い捨て注射針が付属した5 mlのシリコン化ガラスシリンジへと充填する。ゲル4-[1-(2-フルオロピリジン-3-イル)-5-メチル-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル]-N-イソプロピル-N-メチル-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキサミド製剤を、鼓膜に局所的に適用し、中耳窩への視覚化を可能にするために小さな切開を作る。注射針の先端を正円窓膜を介した場所へ導き、ゲルFTIDC製剤を、正円窓膜上に直接適用する。
実施例 3 −早期発症の年齢に関係する聴覚障害DBA-マウスモデルにおけるFTIDCの評価
DBAマウスに、誕生後2、4または8 週で、実施例1のFTIDC製剤を正円窓膜上に直接投与する。各動物の各耳へのクリック刺激に対する聴性脳幹反応閾値(ABR)のための聴力閾値を、最初に測定し、実験手順の間およびその後に1週間ベースで測定する。動物を、加温パッド上の単層の聴覚ブース(acoustic booth)(Industrial Acoustic Co、 Bronx、 NY、 USA)内に入れる。皮下電極(Astro-Med、Inc. Crass Instrument Division、 WestWaewick、 RI、 USA)を、頭頂(探査電極)、乳様突起(基準)、及び後肢(接地)に挿入する。クリック刺激(0.1ミリ秒)をコンピュータで起こし、外側の聴覚道に配置するため、耳鏡に取り付けられたBeyer DT 48、200オームスピーカーへ送達する。記録されたABRは、電池式のプリアンプにより増幅されるとともにデジタル化され、刺激、記録、平均機能のコンピュータ制御を与える、Tucker-Davis Technologies ABR記録システム(Tucker Davis Technology、 Gainesville、 FL、 USA)へ入力される。続いて、減少する振幅刺激が動物に対する5-dB段階において表され、記録された刺激固定活性(stimulus-locked activity)は平均化され(n=512)、表示される。応答の無い場合の視覚的に検知可能な記録と、明確に認識可能な応答と、の間の刺激レベルとして、閾値を定義する。
実施例 4 − 耳鳴の患者におけるFTIDCの臨床試験
研究の目的
本研究の第一の目的は、苦しむ患者の耳鳴の症状を緩和することにおいて、プラセボと比較したFTIDCの安全性および効果を評価することである。
研究設計
これは、耳鳴の処置においてFTIDCをプラセボと比較した、第3相の、多施設の、二重盲検の、無作為化された、プラセボコントロールの、2群対照(two-arm)研究である。約250の被験体を本研究に登録し、2つの処理グループの1つへと無作為化する(1:1)。各グループは、制御放出ゲルにおいて送達される300mgのFTIDCまたは制御放出プラセボ製剤を受ける。FTIDCの放出は、14日間わたってなされる;投与経路は、経鼓膜注入である。
主要な評価項目
投与2時間後の(または、投与前の基線に対する任意の他の時間ポイントでの)測定時の知覚される耳鳴の大きさの変化を測定するための視覚的アナログスケール(VAS)
包含基準
患者は、以下の基準のいずれかを満たすならば、包含され得る。
・持続的な、主観的な、片側または両側の耳鳴を有する男性または女性の被験体
・進んでアルコール摂取を制限される被験体
・***を控えるかまたは育児制限に同意する出産の可能性のある女性
・出産の可能性のない女性
除外基準
患者は、以下の基準を満たす場合、除外され得る。
・断続性または拍動性の耳鳴
・病理的レベルの不安または抑うつを有する被験体
・オーディオグラムの欠損がない、または正常な聴覚を有するの被験体
・リドカイン注入試験に反応しないか、または前注入値で大きな変動を示した被験体
・薬物のPKに干渉し得る任意の外科的状態または健康状態にあること
・肝障害を有する、または肝不全の病歴を有する被験体
・腎障害を有する被験体
・HIV、C型肝炎またはB型肝炎に対して陽性である被験体
・研究所での、 ECGでの、または外診での異常な発見があった被験体
・甲状腺機能正常でない被験体
・肝疾患、心臓疾患、腎疾患、神経性疾患、脳血管性の、代謝性疾患または肺疾患の病歴を有する被験体
・心筋梗塞になったことのある被験体
・発作性疾患の病歴を有する被験体
・癌の病歴を有する被験体
・ドラッグの経験または他のアレルギーのある被験体
・薬物使用に対して陽性である、および/または薬物乱用または依存の経験のある被験体
・特定のタイムフレームで向精神薬または抗うつ薬を服用したことのある被験体
・肝臓の酵素と干渉することが知られている薬物療法または食物(例えば、グレープフルーツまたはグレープフルーツジュース)
・最近治験薬を使用したことのある被験体、または最近治験に参加したことのある被験体
・妊娠テストが陽性の女性
・研究の最後の研究薬の投与に続く次の4週間以内に妊娠することを意図している女性の被験体または子供の父親になろうと意図している男性の被験体
・先の1ケ月以内に1単位の血液またはそれ以上を献血したことのある被験体、または研究の終了の1ケ月以内に献血しようと意図している被験体
実施例 5 −必要としている患者への投与
65歳の男性は、両耳で高い周波数(2000Hzを超える)の中等度の聴力の喪失(50デシベルの閾値)を含む、老人性難聴の症状を示す。その男性は、リン酸塩緩衝食塩水内に10μg/mlのFTIDCを含み、さらに0.25%のカルボキシビニル水の膨潤可能なゲル化剤、カーボポール934Pを含む局所的な耳の製剤を毎日2回片耳当たり2滴剤(すなわち1投与あたり片耳あたり約1μgのFTIDC)を投与される。14日後、患者をオージオロジストによって試験する。閾値は、右耳35デシベルおよび左耳40デシベルまで下がる。
72歳の女性は、中程度に高周波(1000Hzを超える)の聴力の喪失(右耳40デシベルの閾値および左耳35デシベルの閾値)を含む、老人性難聴の症状を示す。女性は、1回投与当たりFTIDC2μgを含む経口製剤を、1日当たり4回投与される。持続放出カプセルは、10重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標);Dow Chemical Company、U.S.A)のマトリックス、および50重量%のコーンスターチフィラーを包含する。14日後、閾値は、右耳35デシベルおよび左耳25デシベルまで下がる。
82歳の男性は、500から2000Hzを超える領域まで(in the 500 to above 2000 Hz ranze)聴力の喪失を含む、老人性難聴を示す。その男性は、蝸牛送達のために改変されたAlset(登録商標)浸透圧ポンプを移植される;例えば、Richardson,R.T., Noushi,F., O'Leary,S. Inner ear therapy for neural preservation. AUDIOLOGY AND NEURO-OTOLOGY 2006; 11(6): 343-356を参照。ポンプには、FTIDCを含む水性の無菌溶液が供給される。ポンプは、10μg/時間のモジュレータの用量を送達する。10日後、聴力は、両耳で改善する。
本明細書には本発明の好ましい実施形態が示され記載されたが、このような実施形態は、一例としてのみ提供されていることは当業者には明らかである。多くの改変、変更、代替が本発明から外れることなく当業者にすぐに思いつき得る。本明細書に記載された発明の実施形態に対して様々な改変が本発明を実施する際に行われ得ることを理解されたい。以下のクレームは発明が及ぶ範囲を定義し、これらのクレームとこれらの均等物が及ぶ範囲内の方法と構造とが、クレームによってカバーされることが意図される。

Claims (17)

  1. 内耳の異常なグルタミン酸作動性シグナル伝達に関連するか、またはそれによって特徴付けられる内耳の疾病を処置および/または予防するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、前記疾病を処置および/または予防するのに充分な量のグループIのmGluRのモジュレータを含むことを特徴とする医薬組成物。
  2. 前記組成物は、ゲル製剤であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記組成物は、蝸牛上の正円窓膜に、またはその近くへ投与される制御放出製剤であることを特徴とする、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 前記制御放出製剤は、徐放製剤であることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 前記制御放出製剤は、即時放出製剤であることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
  6. 前記制御放出製剤は、即時放出製剤と徐放製剤との組み合わせであることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
  7. 前記グルタミン酸作動性シグナル伝達は、過剰な活性および/または興奮毒性であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 前記グルタミン酸作動性シグナル伝達は、不充分な活性であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  9. 前記内耳の疾病は、興奮毒性、老人性難聴、耳鳴、および騒音性難聴から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  10. 前記モジュレータは、内耳に局所的に投与されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  11. 前記モジュレータは、mGluR1アンタゴニストであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  12. 前記モジュレータは、mGluR5アンタゴニストであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  13. 前記モジュレータは、mGluR5アゴニストであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  14. 前記モジュレータは、mGluR1アゴニストであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  15. 前記モジュレータは、ACPD ((1S,3R)-1-アミノシクロペンタン-1,3-ジカルボン酸); tADA (トランス-アゼチジン-2,4-ジカルボン酸); CHPG ((RS)-2-クロロ-5-ヒドロキシフェニルグリシン); (RS)-3-ヒドロキシフェニルグリシン; (S)-3-ヒドロキシフェニルグリシン; RS-3,5-DHPG ((RS)-3,5-ジヒドロキシフェニルグリシン); S-3,5-DHPG ((S)-3,5-ジヒドロキシフェニルグリシン); (±)-トランス-ACPD ((±)-1-アミノシクロペンタン-トランス-1,3-ジカルボン酸); L-CCG ((2S,1’S,2’S)-2-(カルボキシシクロプロピル)グリシン); L-3’-F2CCG-I ((2S,1’S,2’S)-2-(2’-カルボキシ3’,3’-ジフルオロシクロプロピル)グリシン); L-グルタミン酸; MNI-ケージド-L-グルタメート ((S)-a-アミノ-2,3-ジヒドロ-4-メトキシ-7-ニトロ-d-オキソ-1H-インドール-1-ペンタン酸); L-キスカル酸; S-スルホ-L-システインナトリウム塩; CHPG ((RS)-2-クロロ-5-ヒドロキシフェニルグリシン); UPF 596 ((S)-(+)-2-(3’-カルボキシビシクロ[1.1.1]ペンチル)-グリシン); L-システインスルフィン酸; またはそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  16. 前記モジュレータは、AIDA (1-アミノインダン-1,5-ジカルボン酸); ACDPP (3-アミノ-6-クロロ-5-ジメチルアミノ-N-2-ピリジニルピラジンカルボキサミドヒドロクロリド; DL-AP3 (DL-2-アミノ-3-ホスホノプロピオン酸); BAY-36-7620 ((3aS,6aS)-ヘキサヒドロ-5-メチレン-6a-(2-ナフタレニルメチル)-1H-シクロペンタ[c]フラン-1-オン); Fenobam; 4 CPG ((S)4-カルボキシフェニルグリシン); (S)-4C3HPG ((S)-4-カルボキシ3-ヒドロキシフェニルグリシン); CPCCOEt (7-ヒドロキシイミノシクロプロパン [b]クロメン-1a-カルボン酸エチルエステル); LY 367385 ((S)-(+)-a-アミノ-4-カルボキシ2-メチルベンゼン酢酸); LY 456236 ヒドロクロリド (6-メトキシ-N-(4-メトキシフェニル) キナゾリン-4-アミン, MPMQヒドロクロリド); 3-MATIDA (a-アミノ-5-カルボキシ3-メチル-2-チオフェン酢酸); MCPG (α-メチル-4-カルボキシフェニルグリシン); MPEP (2-メチル-6-(フェニルエチニル)-ピリジン); (MTEP) 3-[(2-メチル-1,3-チアゾル-4-イル)エチニル]-ピリジン; PHCCC (N-フェニル-7-(ヒドロキシイミノ)シクロプロパ[b]クロメン-1a-カルボキサミド; SIB 1757 (6-メチル-2-(フェニルアゾ)-3-ピリジノール; SIB 1893 (2-メチル-6-(2-フェニルエテニル)ピリジン; YM 298198 ヒドロクロリド (6-アミノ-N-シクロヘキシル-N,3-ジメチルチアゾロ[3,2-a]ベンズイミダゾール-2-カルボキサミドヒドロクロリド); (YM-193167 (6-アミノ-N-シクロヘキシル-N,3-ジメチルチアゾロ[3,2-a]ベンズイミダゾール-2-カルボキサミド); (NPS 2390 (キノキサリン-2-カルボン酸アダマンタン-1-イルアミド); 3-(5-(ピリジン-2-イル)-2H-テトラゾル-2-イル)ベンゾニトリル; 3-[3-フルオロ-5-(5-ピリジン-2-イル-2H-テトラゾル-2-イル)フェニル]-4-メチルピリジン; 3-フルオロ-5-(5-ピリジン-2-イル-2H-テトラゾル-2-イル)ベンゾニトリル; N-シクロヘキシル-6-{[(2-メトキシエチル)(メチル)アミノ]メチル}-N-メチルチアゾロ[3,2-a]ベンズイミダゾール-2-カルボキサミド(YM-202074); デスメチル-YM298198 (6-アミノ-N-シクロヘキシル-3-メチルチアゾロ[3,2-a]ベンズイミダゾール-2-カルボキサミドヒドロクロリド); MPEPヒドロクロリド(2-メチル-6-(フェニルエチニル)ピリジンヒドロクロリド); (S)-MCPG ((S)-a-メチル-4-カルボキシフェニルグリシン); (RS)-MCPG ((RS)-a-メチル-4-カルボキシフェニルグリシン); E4CPG ((RS)-a-エチル-4-カルボキシフェニルグリシン); ヘキシルホモイボテン酸 (a-アミノ-4-ヘキシル-2,3-ジヒドロ-3-オキソ-5-イソキサゾールプロパン酸; ヘキシルHIBO); (S)-ヘキシルホモイボテン酸 ((S)-a-アミノ-4-ヘキシル-2,3-ジヒドロ-3-オキソ-5-イソキサゾールプロパン酸; (S)-ヘキシルHIBO); EMQMCM (3-エチル-2-メチル-キノリン-6-イル)-(4-メトキシ-シクロヘキシル)-メタノンメタンスルホン酸); JNJ 16259685; R214127 (1-(3,4-ジヒドロ-2H-ピラノ[2,3-b]キノリン-7-イル)-2-フェニル-1-エタノン); (S)-3-カルボキシ4-ヒドロキシフェニルグリシン ((S)-3C4HPG); 抗-mGlu5遮断ペプチド ([K]-SSPKYDTLIIRDYTQSSSSL); DFB (3,3’-ジフルオロベンズアルダジン); DMeOB ([(3-メトキシフェニル)メチレン]ヒドラゾン-3-メトキシベンズアルデヒド); 抗-mGlu5 (([K]-SSPKYDTLIIRDYTQSSSSL);またはそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  17. 前記モジュレータは、S-(4-フルオロ-フェニル)-{3-[3-(4-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾル-5-イル]-ピペリジン-1-イル}-メタノン (ADX47273) (正のアロステリックモジュレーター); 4-[1-(2-フルオロピリジン-3-イル)-5-メチル-1H-1,2,3-トリアゾル-4-イル]-N-イソプロピル-N-メチル-3,6-ジヒドロピリジン-1(2H)-カルボキサミド (FTIDC); 6-(3-メトキシ-4-(ピリジン-2-イル)フェニル)イミダゾール[2,1-b]チアゾール; 2-(2-メトキシ-4-(4-(ピリジン-2-イル)オキサゾル-2-イル)フェニル)アセトニトリル; 2-(4-(ベンゾ[d]オキサゾル-2-イル)-2-メトキシフェニル)アセトニトリル; 2-(4-(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イルアミノ)4a,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロキナゾリン-2イルチオ)エタノール;またはそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
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