JP2012248811A - 記憶素子及び記憶装置 - Google Patents

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徹哉 浅山
Kazuaki Yamane
一陽 山根
Hiroyuki Uchida
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Abstract

【課題】書き込み電流(反転電流)および熱安定性のばらつきを抑制し、安定して動作する、信頼性の高い記憶素子の提供。
【解決手段】記憶素子は、情報を磁性体の面内磁化状態により保持する記憶層と、該記憶層に記憶された情報の基準となる磁化を有する磁化固定層と、記憶層と磁化固定層の間に設けられる非磁性体による中間層とを有する。
そして記憶層、中間層、磁化固定層を有する層構造の積層方向に流れる電流に伴って発生するスピントルク磁化反転を利用して上記記憶層の磁化を反転させることにより情報の記憶を行うとともに記憶層の困難軸方向の異方性磁界が、垂直方向の異方性磁界よりも小さくなっている。
【選択図】図3

Description

本開示は、複数の磁性層を有し、スピントルク磁化反転を利用して記録を行う記憶素子及び記憶装置に関する。
特開2003−17782号公報 米国特許第6256223号明細書 特開2008−227388号公報
PHYs. Rev. B,54.9353(1996) J. Magn. Mat.,159,L1(1996)
モバイル端末から大容量サーバに至るまで、各種情報機器の飛躍的な発展に伴い、これを構成するメモリやロジックなどの素子においても高集積化、高速化、低消費電力化など、さらなる高性能化が追求されている。特に半導体不揮発性メモリの進歩は著しく、大容量ファイルメモリとしてのフラッシュメモリは、ハードディスクドライブを駆逐する勢いで普及が進んでいる。一方、コードストレージ用さらにはワーキングメモリへの展開を睨み、現在一般に用いられているNORフラッシュメモリ、DRAMなどを置き換えるべくFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、MRAM(Magnetic Random Access Memory)、PCRAM(Phase-Change Random Access Memory)などの開発が進められている。これらのうち一部はすでに実用化されている。
なかでもMRAMは、磁性体の磁化方向によりデータ記憶を行うために高速かつほぼ無限(1015回以上)の書換えが可能であり、すでに産業オートメーションや航空機などの分野で使用されている。MRAMはその高速動作と信頼性から、今後コードストレージやワーキングメモリへの展開が期待されているものの、現実には低消費電力化、大容量化が困難であるという問題を有している。
これはMRAMの記録原理、すなわち配線から発生する電流磁界により磁化を反転させるという方式に起因する本質的な問題である。
この問題の一つの解答として、電流磁界によらない記録、すなわち磁化反転方式が検討されている。なかでもスピントルク磁化反転に関する研究は活発である(たとえば、特許文献1、2、3、非特許文献1、2参照)。
スピントルク磁化反転の記憶素子は、MRAMと同じくMTJ(Magnetic Tunnel Junction)により構成されている場合が多い。この構成は、ある方向に固定された磁性層を通過するスピン偏極電子が、他の自由な(方向を固定されない)磁性層に進入する際にその磁性層にトルクを与えること(これをスピントランスファトルクとも呼ぶ)を利用したもので、あるしきい値以上の電流を流せば自由磁性層が反転する。0/1の書換えは電流の極性を変えることにより行う。
この反転のための電流の絶対値は0.1μm程度のスケールの素子で1mA以下である。 しかもこの電流値が素子体積に比例して減少するため、スケーリングが可能である。さらに、MRAMで必要であった記録用電流磁界発生用のワード線が不要であるため、セル構造が単純になるという利点もある。
以下、スピントルク磁化反転を利用したMRAMを、ST−MRAM(Spin Torque-Magnetic Random Access Memory)と呼ぶ。スピントルク磁化反転は、またスピン注入磁化反転と呼ばれることもある。高速かつ書換え回数がほぼ無限大であるというMRAMの利点を保ったまま、低消費電力化、大容量化を可能とする不揮発メモリとして、ST−MRAMに大きな期待が寄せられている。
ところでMRAMの場合は、記憶素子とは別に書き込み配線(ワード線やビット線)を設けて、書き込み配線に電流を流して発生する電流磁界により、情報の書き込み(記録)を行っている。そのため、書き込み配線に、書き込みに必要となる電流量を充分に流すことができる。
一方、ST−MRAMにおいては、記憶素子に流す電流(反転電流)によりスピントルク磁化反転を行い、記憶層の磁化の向きを反転させる必要がある。この場合、記憶素子に流れる電流は、選択トランジスタに流すことが可能な電流(選択トランジスタの飽和電流)の大きさに制限される。また一方で、ST−MRAMは不揮発メモリであるから、電流によって書き込まれた情報を安定に記憶する必要がある。つまり、記憶層の磁化の熱揺らぎに対する安定性(熱安定性)を確保する必要がある。
一般的に、記憶層の加工は、スパッタリング技術などを用いて薄膜を成膜した後に、フォトリソグラフィー技術でレジストをパターニングし、イオンミリングや反応性イオンエッチングなどでエッチングを行うことによってなされる。この際、パターニング形状にばらつきなどがあるために、できあがる記憶層の形状にも、MTJごとにばらつきが生ずる。このため、記憶層の形状ばらつきによって、熱安定性および書き込み電流(反転電流)にもばらつきが生じてしまうという問題がある。
そこで本開示においては、書き込み電流(反転電流)および熱安定性のばらつきを抑制し、安定して動作する、信頼性の高い記憶素子、並びにこの記憶素子を有する記憶装置を提供することを目的とする。
本開示の記憶素子は、情報を磁性体の面内磁化状態により保持する記憶層と、上記記憶層に記憶された情報の基準となる磁化を有する磁化固定層と、上記記憶層と上記磁化固定層の間に設けられる非磁性体による中間層とを有し、
上記記憶層、上記中間層、上記磁化固定層を有する層構造の積層方向に流れる電流に伴って発生するスピントルク磁化反転を利用して上記記憶層の磁化を反転させることにより情報の記憶を行うとともに上記記憶層の困難軸方向の異方性磁界が、垂直方向の異方性磁界よりも小さい。
本開示の記憶装置は、情報を磁性体の面内磁化状態により保持する記憶素子と、互いに交差する2種類の配線とを備え、上記記憶素子は、情報を磁性体の面内磁化状態により保持する記憶層と、上記記憶層に記憶された情報の基準となる磁化を有する磁化固定層と、上記記憶層と上記磁化固定層の間に設けられる非磁性体による中間層とを有し、
上記記憶層、上記中間層、上記磁化固定層を有する層構造の積層方向に流れる電流に伴って発生するスピントルク磁化反転を利用して上記記憶層の磁化を反転させることにより情報の記憶を行うとともに上記記憶層の困難軸方向の異方性磁界が、垂直方向の異方性磁界よりも小さい構成とされ、上記2種類の配線の間に上記記憶素子が配置され、
上記2種類の配線を通じて、上記記憶素子に上記積層方向の電流が流れ、これに伴ってスピントルク磁化反転が起こる。
このような本開示では、記憶素子は、記憶層の困難軸方向の異方性磁界が、垂直方向の異方性磁界よりも小さい構造となるが、記憶層の形状がばらついたとしても、書き込み電流(反転電流)および熱安定性のばらつきを抑制することができる。
本開示によれば、書き込み電流(反転電流)および熱安定性のばらつきを抑制することができ、情報保持能力である熱安定性を充分に確保して、特性バランスに優れた記憶素子を構成することができる。
これにより、安定して動作する、信頼性の高いメモリを実現することができる。
また、書き込み電流(反転電流)を低減して、記憶素子に書き込みを行う際の消費電力を低減することが可能になる。
従って、記憶装置全体の消費電力を低減することが可能になる。
実施の形態の記憶装置の概略構成の斜視図である。 実施の形態の記憶装置の断面図である。 実施の形態の記憶素子の層構造を示す断面図である。 反転電流と垂直磁気異方性エネルギーの関係を示した図である。 反転電流と垂直磁気異方性エネルギーの関係を示した図(拡大図)である。 熱安定性の指標と垂直磁気異方性エネルギーの関係を示した図である。 (熱安定性の指標)/(反転電流)と垂直磁気異方性エネルギーの関係を示した図である。 熱安定性の指標の変動と垂直磁気異方性エネルギーの関係を示した図である。 反転電流の変動と垂直磁気異方性エネルギーの関係を示した図である。
以下、本開示の実施の形態を次の順序で説明する。
<1.実施の形態の記憶装置の構成>
<2.実施の形態の記憶素子の概要>
<3.実施の形態の具体的構成>
<4.実施の形態に関するシミュレーション結果>
<1.実施の形態の記憶装置の構成>

まず、本開示の実施の形態となる記憶装置の構成について説明する。
実施の形態の記憶装置の模式図を、図1及び図2に示す。図1は斜視図、図2は断面図である。
図1に示すように、実施の形態の記憶装置は、互いに直交する2種類のアドレス配線(例えばワード線とビット線)の交点付近に、磁化状態で情報を保持することができるST−RAMによる記憶素子3が配置されて成る。
即ち、シリコン基板等の半導体基体10の素子分離層2により分離された部分に、各記憶装置を選択するための選択用トランジスタを構成する、ドレイン領域8、ソース領域7、並びにゲート電極1が、それぞれ形成されている。このうち、ゲート電極1は、図中前後方向に延びる一方のアドレス配線(ワード線)を兼ねている。
ドレイン領域8は、図1中左右の選択用トランジスタに共通して形成されており、このドレイン領域8には、配線9が接続されている。
そして、ソース領域7と、上方に配置された、図1中左右方向に延びるビット線6との間に、スピントルク磁化反転により磁化の向きが反転する記憶層17を有する記憶素子3が配置されている。この記憶素子3は、例えば磁気トンネル接合素子(MTJ素子)により構成される。
図2に示すように、記憶素子3は2つの磁性層15、17を有する。この2層の磁性層15、17のうち、一方の磁性層を磁化M15の向きが固定された磁化固定層15として、他方の磁性層を磁化M17の向きが変化する磁化自由層即ち記憶層17とする。
また、記憶素子3は、ビット線6と、ソース領域7とに、それぞれ上下のコンタクト層4を介して接続されている。
これにより、2種類のアドレス配線1、6を通じて、記憶素子3に上下方向の電流を流して、スピントルク磁化反転により記憶層17の磁化M17の向きを反転させることができる。
このような記憶装置では、選択トランジスタの飽和電流以下の電流で書き込みを行う必要があり、トランジスタの飽和電流は微細化に伴って低下することが知られているため、記憶装置の微細化のためには、スピントランスファの効率を改善して、記憶素子3に流す電流を低減させる必要がある。
また、読み出し信号を大きくするためには、大きな磁気抵抗変化率を確保する必要があり、そのためには上述のようなMTJ構造を採用すること、すなわち2層の磁性層15、17の間に中間層16をトンネル絶縁層(トンネルバリア層)とした記憶素子3の構成にすることが効果的である。
このように中間層16としてトンネル絶縁層を用いた場合には、トンネル絶縁層が絶縁破壊することを防ぐために、記憶素子3に流す電流量に制限が生じる。すなわち記憶素子3の繰り返し書き込みに対する信頼性の確保の観点からも、スピントルク磁化反転に必要な電流を抑制しなくてはならない。
スピントルク磁化反転に必要な電流は、また、反転電流、記録電流などと呼ばれることがある。
また一方で、記憶装置は不揮発メモリであるから、電流によって書き込まれた情報を安定に記憶する必要がある。つまり、記憶層17の磁化の熱揺らぎに対する安定性(熱安定性)を確保する必要がある。
記憶層17の熱安定性が確保されていないと、反転した磁化の向きが、熱(動作環境における温度)により再反転する場合があり、書き込みエラーとなってしまう。
本記憶装置における記憶素子3は、従来のMRAMと比較して、スケーリングにおいて有利、すなわち体積を小さくすることは可能であるが、体積が小さくなることは、他の特性が同一であるならば、熱安定性を低下させる方向にある。
ST−MRAMの大容量化を進めた場合、記憶素子3の体積は一層小さくなるので、熱安定性の確保は重要な課題となる。
そのため、ST−MRAMにおける記憶素子3において、熱安定性は非常に重要な特性であり、体積を減少させてもこの熱安定性が確保されるように設計する必要がある。
<2.実施の形態の記憶素子の概要>

つぎに本開示の実施の形態となる記憶素子の概要について説明する。
本開示の実施の形態は、前述したスピントルク磁化反転により、記憶素子3の記憶層17の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うものである。
記憶層17は、強磁性層を含む磁性体により構成され、情報を磁性体の磁化状態(磁化の向き)により保持するものである。
記憶素子3は、例えば図3に一例を示す層構造とされ、少なくとも2つの強磁性体層としての記憶層17、磁化固定層15を備え、またその2つの磁性層の間の中間層16を備える。
記憶層17は、膜面内方向の磁化を有し、情報に対応して磁化の向きが変化される。
磁化固定層15は、記憶層17に記憶された情報の基準となる膜面内方向の磁化を有する。
中間層16は、非磁性体であって、記憶層17と磁化固定層15の間に設けられる。
そして記憶層17、中間層16、磁化固定層15を有する層構造の積層方向にスピン偏極した電子を注入することにより、記憶層17の磁化の向きが変化して、記憶層17に対して情報の記録が行われる。
スピントルク磁化反転を行う場合には、記憶素子3に直接電流を流して情報の書き込み(記録)を行うことから、書き込みを行う記憶素子3を選択するために、記憶素子3を選択トランジスタと接続して記憶装置を構成する。
この場合、記憶素子3に流れる電流は、選択トランジスタで流すことが可能な電流(選択トランジスタの飽和電流)の大きさによって制限される。
さらに、選択トランジスタの飽和電流値を考慮して、記憶層17と磁化固定層15との間の非磁性の中間層16として、絶縁体から成るトンネル絶縁層を用いて磁気トンネル接合(MTJ)素子を構成する。
トンネル絶縁層を用いて磁気トンネル接合(MTJ)素子を構成することにより、非磁性導電層を用いて巨大磁気抵抗効果(GMR)素子を構成した場合と比較して、磁気抵抗変化率(MR比)を大きくすることができる。
そして、特に、このトンネル絶縁層としての中間層16の材料として、酸化マグネシウム(MgO)を用いることにより、磁気抵抗変化率(MR比)を大きくすることができる。
また、一般に、スピントランスファの効率はMR比に依存し、MR比が大きいほど、スピントランスファの効率が向上し、磁化反転電流密度を低減することができる。
従って、トンネル絶縁層の材料として酸化マグネシウムを用い、同時に上記の記憶層17を用いることにより、スピントルク磁化反転による書き込み閾値電流(反転電流)を低減することができ、少ない電流で情報の書き込み(記録)を行うことができる。また、読み出し信号強度を大きくすることができる。
これにより、MR比(TMR比)を確保して、スピントルク磁化反転による書き込み閾値電流(反転電流)を低減することができ、少ない電流で情報の書き込み(記録)を行うことができる。また、読み出し信号強度を大きくすることができる。
このようにトンネル絶縁層を酸化マグネシウム(MgO)膜により形成する場合には、MgO膜が結晶化していて、001方向に結晶配向性を維持していることがより望ましい。
なお、本実施の形態において、記憶層17と磁化固定層15との間の中間層16(トンネル絶縁層)は、酸化マグネシウムから成る構成とする他にも、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、SiO2、Bi23、MgF2、CaF、SrTiO2、AlLaO3、Al−N−O等の各種の絶縁体、誘電体、半導体を用いて構成することもできる。
トンネル絶縁層の面積抵抗値は、スピントルク磁化反転により記憶層17の磁化の向きを反転させるために必要な電流密度を得る観点から、数十Ωμm2程度以下に制御する必要がある。
そして、MgO膜から成るトンネル絶縁層では、面積抵抗値を上述の範囲とするために、MgO膜の膜厚を1.5nm以下に設定する必要がある。
また、記憶層17の磁化の向きを安定させるために、記憶層17のパターニング形状は長方形や楕円形などのように、膜面内において、一つの方向の長さをそれに直交する方向の長さよりも長くする。
そして、記憶層17の磁化の向きを、小さい電流で容易に反転できるように、記憶素子3を小さくすることが望ましい。
従って、好ましくは、記憶素子3の面積を0.01μm2以下とする。
また、本開示の実施の形態としての記憶層17は、CoとFeの少なくとも一方を含む磁性層とすることができ、Co、Fe以外の元素を添加することも可能である。
記憶素子3のその他の構成は、スピントルク磁化反転により情報を記録する記憶素子3の従来公知の構成と同様とすることができる。
磁化固定層15は、強磁性層のみにより、或いは反強磁性層と強磁性層の反強磁性結合を利用することにより、その磁化の向きが固定された構成とすることが出来る。
また、磁化固定層15は、単層の強磁性層から成る構成、或いは複数層の強磁性層を非磁性層を介して積層した積層フェリピン構造とすることが出来る。
積層フェリピン構造の磁化固定層15を構成する強磁性層の材料としては、Co、CoFe、CoFeB等を用いることができる。また、非磁性層の材料としては、Ru、Re、Ir、Os等を用いることができる。
反強磁性層の材料としては、FeMn合金、PtMn合金、PtCrMn合金、NiMn合金、IrMn合金、NiO、Fe23等の磁性体を挙げることができる。
また、これらの磁性体に、Ag、Cu、Au、Al、Si、Bi、Ta、B、C、O、N、Pd、Pt、Zr、Hf、Ir、W、Mo、Nb等の非磁性元素を添加して、磁気特性を調整したり、その他の結晶構造や結晶性や物質の安定性等の各種物性を調整したりすることができる。
また、記憶素子3の膜構成は、記憶層17が磁化固定層15の下側に配置される構成でも問題ない。この場合は、上記導電性酸化物キャップ層18が果たす役割は、導電性酸化物下地層により担われることになる。
<3.実施の形態の具体的構成>

続いて、本開示の実施の形態の具体的構成について説明する。
記憶装置の構成は先に図1で述べたとおり、直交する2種類のアドレス配線1,6(例えばワード線とビット線)の交点付近に、磁化状態で情報を保持することができる記憶素子3が配置されるものである。
そして2種類のアドレス配線1、6を通じて、記憶素子3に上下方向の電流を流して、スピントルク磁化反転により記憶層17の磁化の向きを反転させることができる。
図3は記憶素子3の詳細構造を表している。
図3に示すように、記憶素子3は、スピントルク磁化反転により磁化M17の向きが反転する記憶層17に対して、下層に磁化固定層15を設けている。
ST−MRAMにおいては、記憶層17の面内方向の磁化M17と磁化固定層15の面内方向の磁化M15の相対的な角度によって情報の0、1を規定している。
記憶層17と磁化固定層15との間には、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)となる中間層16が設けられ、記憶層17と磁化固定層15とにより、MTJ素子が構成されている。
また、磁化固定層15の下には下地層14が形成されている。
記憶層17の上(つまり記憶層17に隣接し、中間層16と反対側)にはキャップ層18が形成されている。
本実施の形態では、記憶層17はCoとFeの少なくとも一方を含む磁性層であることを特徴とする。
さらに、本実施の形態において、中間層16を、酸化マグネシウム層とした場合には、磁気抵抗変化率(MR比)を高くすることができる。
このようにMR比を高くすることによって、スピン注入の効率を向上して、記憶層17の磁化M17の向きを反転させるために必要な電流密度を低減することができる。
本実施の形態の記憶素子3は、下地層14からキャップ層18までを真空装置内で連続的に形成して、その後エッチング等の加工により記憶素子3のパターンを形成することにより、製造することができる。上述したように、このパターンは、長方形や楕円形などの、いわゆるアスペクト比が1よりも大きい形状とされる。
本実施の形態における記憶層17は、垂直磁気異方性を有する磁性材料を用いる。ここで、「垂直」とは、記憶層表面の法線方向である。
垂直磁気異方性を有する磁性材料には希土類-遷移金属合金(TbCoFeなど)、金属多層膜(Co/Pd多層膜など)、規則合金(FePtなど)、酸化物と磁性金属の間の界面異方性の利用(Co/MgOなど)等いくつかの種類がある。
記憶層17の形状は、面内方向の長さスケール(数十nm)に対して、膜厚方向の長さスケール(数nm)が小さいために、膜厚方向の反磁界が強く働き、結果として、垂直磁気異方性を弱める方向に働く。そのために、垂直磁気異方性が垂直方向の反磁界よりも小さい領域においては、平衡状態における磁化の向きは面内方向となる。さらに、記憶層17はアスペクト比が1よりも大きい形状にパターニングされるので、最終的な磁化方向は、面内方向のうち、長軸方向となる。この長軸方向は容易軸とも呼ばれる。一方、短軸方向は困難軸とも呼ばれる。
反磁界は、記憶層17の形状で決まる反磁界係数で規定される。たとえば、記憶層17の形状が210nm×70nmの楕円形で、膜厚が3nmの場合、反磁界係数(Nx,Ny,Nz)は、Nx=0.0147、Ny=0.0689、Nz=0.9163となる。ここで、Nxが容易軸成分、Nyが困難軸成分、Nzは垂直方向成分である。このとき、反磁界は、記憶層17の磁化(Mx、My、Mz)に応じて、(MxNx,MyNy,MzNz)となる。
一方、記憶層17の磁性体が垂直磁気異方性を持つ場合、実効的な反磁界は補正を受ける。垂直磁気異方性の大きさを定める垂直磁気異方性エネルギーをKとするとき、垂直方向の実効的な反磁界係数は、Nz−hkとなる。ここで、hkは無次元化した垂直磁気異方性エネルギーであり、次の式で表すことができる。
hk=2K/μ0Ms2

μ0は真空の透磁率、Msは記憶層17の飽和磁化である。このように、垂直磁気異方性がある場合には、垂直方向の実効的な反磁界が減少することが分かる。後で詳述するように、垂直方向の実効的な反磁界が減少すると、書き込み電流(反転電流)も同時に減少する。
このため、本開示の実施の形態では、書き込み電流(反転電流)を減少させるために、記憶層17は、垂直磁気異方性を有する磁性材料で構成される。
そして、記憶層17の困難軸方向の異方性磁界を垂直方向の異方性磁界よりも小さくする。これにより、書き込み電流(反転電流)および熱安定性のばらつきを抑制する。
ところで、反磁界が書き込み電流(反転電流)や熱安定性に影響を及ぼすために、記憶層17の形状ばらつきに伴う反磁界係数のばらつきが、書き込み電流(反転電流)や熱安定性にも影響を及ばす。たとえば、書き込み電流(反転電流)が素子ごとにばらついた場合、最大の書き込み電流(反転電流)においても書き込みができなければならないが、ばらつきが大きくなるほど、より大きな選択トランジスタが必要になる。これはメモリの容量を小さくし、あるいは消費電力が増大するという問題を引き起こす。
また、熱安定性が素子ごとにばらついた場合には、素子の熱安定性が低下することから、記憶素子3の信頼性を損ねることにつながる。
上記の構成により、安定して動作する、信頼性の高いメモリを実現することができる。
また、書き込み電流(反転電流)を低減して、記憶素子に書き込みを行う際の消費電力を低減することが可能になる。
従って、記憶装置全体の消費電力を低減することが可能になる。
<4.実施の形態に関するシミュレーション結果>

ここで、本実施の形態の記憶素子3の構成において、記憶層17の困難軸方向の異方性磁界を垂直方向の異方性磁界よりも小さくすることにより、書き込み電流(反転電流)および熱安定性のばらつきを抑制することができることを確かめるために、マクロスピンモデルを用いて、具体的に記憶層17の諸特性パラメータが、熱安定性の指標Δや書き込み電流(反転電流)Ic0に及ぼす影響を調べた。
スピントンラスファー磁化反転の理論によれば、書き込み電流(反転電流)Ic0は以下の式で与えられる。
Figure 2012248811

ここで、Iは記憶層17に流す電流、μBはボーア磁子、Msは記憶層17の飽和磁化、Vは記憶層17の体積、eは電子の電荷、ηはスピン偏極率、tは反転に要する時間、θは電流印加開始時における記憶層17の磁化と磁化固定層15の磁化の相対角度である。
一方、スピントンラスファー磁化反転における磁化運動は、ランダウ・リフシッツ・ギルバート(LLG)方程式を数値的に解くことによって求まる。
そこで、さまざまな電流Iに対する反転時間tをLLG方程式の数値シミュレーションで計算し、上述のIc0の式でフィッティングすることによって、Ic0を求めることができる。
図4には垂直異方性エネルギーの変化させたときのIc0の一例をプロットした。丸印がフィッティングで求まったIc0であり、実線は近似直線である。図5は図4の拡大図である。
垂直磁気異方性が大きくなるほど、Ic0が減少することが分かる。また、hk=0.85付近でIc0のhk依存性が変化していることが分かる。いろいろな検討を重ねた結果、実線の近似直線は、以下のように表せることが分かった。
Figure 2012248811

ここで、上記式中の「エイチバー」は換算プランク定数、αはダンピング定数である。
同様にΔの垂直異方性エネルギー依存性を求めた。Ic0の場合と異なり、Δは厳密な式が求まり、以下の式となる。
Figure 2012248811

ここで、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度である。図6にΔの垂直異方性エネルギー依存性をプロットした。ここでも、hk=0.85付近でΔのhk依存性が変化していることが分かる。
ST−MRAMにおいては、上述したようにΔが大きく、Ic0が小さいことが望ましい。そこで、Δ/Ic0の垂直異方性エネルギー依存性を図7にプロットした。この値が大きいほど、ST−MRAMとして望ましい特性となる。依存性を見ると、さきほどから依存性が変化するhk=0.85付近で最大値となることが分かる。つまり、これまでの議論によればhk=0.85付近を用いることで、ST−MRAMの特性を向上させることができる。
ところが、実際には記憶層17の形状は素子ごとにばらつくために、Ic0およびΔの式にあらわれていた反磁界係数(Nx,Ny,Nz)も素子ごとにばらつく。そのために、形状ばらつきを考慮に入れた上で、どの程度の垂直異方性エネルギーを用いることが妥当であるかを検討する必要がある。
そこで、記憶層17の形状をばらつかせた上で、ΔおよびIc0の計算を行った。これは記憶層17のパターニングで形状がばらつくことを想定している。ここでは、基準となる記憶層17の形状を容易軸長210nm、困難軸長70nmの楕円形、膜厚3nmとし、形状のばらつきを±5nmとした。
具体的には、容易軸長は205nm、210nm、215nm、困難軸長は65nm、70nm、75nmとし、マトリックス状に組み合わせることで9種類の形状で計算を行った。
図8にそれぞれの形状におけるΔを基準値のΔで割った変動(ばらつき)の結果を示す。
また、図9にそれぞれの形状におけるIc0を基準値のIc0で割った変動(ばらつき)の結果を示す。
図8、図9において、垂直磁気異方性がある値以上になると、急激にばらつきが増加していることが分かる。前述したように、ΔおよびIc0のばらつきが大きくなると、ST−MRAMとしての信頼性が低下するために、垂直磁気異方性にはある上限値があることが理解される。そして、詳細に検討したところ、記憶層17の飽和磁化や形状などによらず、垂直磁気異方性がこの上限値を超えないためには、Nz−hk>Nyでなければならないことが分かった。
つぎに、上式に変換を施して、観測可能な値に変換する。まず両辺からNxを引き、その後にMsをかける。すると、Ms(Nz−hk−Nx)>Ms(Ny−Nx)となる。このように変換すると両辺の値はそれぞれ、垂直方向の異方性磁界(Hk_垂直)と困難軸方向の異方性磁界(Hk_困難軸)となっていることが分かる。
すなわち、記憶層17として望ましい領域は、Hk_垂直>Hk_困難軸となる領域である。
異方性磁界について、簡単に説明する。外部磁界を印加したときに、外部磁界が小さいうちは、磁化の向きは完全に外部磁界の向きを向いているわけではない。これは形状などによる異方性があるためである。外部磁界を大きくしていくと、徐々に磁化の向きが外部磁界の向きに近づいていく。最終的にある磁界の大きさにおいて、磁化の向きが完全に外部磁界の向きに一致する。このときの磁界の大きさを異方性磁界と呼ぶ。
外部磁界の向きに応じて、垂直方向の異方性磁界と困難軸方向の異方性磁界とがある。
そして、本開示においては、記憶層17の困難軸方向の異方性磁界を垂直方向の異方性磁界よりも小さくすることで、ΔおよびIc0のばらつきを抑制する。なお、この条件を満たす範囲においては、垂直磁気異方性が大きいほうが、上述したようにΔ/Ic0の値が大きくなるので望ましい。
以上、実施の形態について説明してきたが、本開示では、上述の実施の形態で示した記憶素子3の膜構成に限らず、様々な膜構成を採用することが可能である。
例えば実施の形態では、磁化固定層15をCoFeBとしたが、実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
また、実施の形態では、単一の下地、キャップ材料、記憶素子形状しか示していないが、
それらに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
また実施の形態では、磁化固定層15は単層であったが、2層の強磁性層と非磁性層から成る積層フェリピン構造を用いても良い。また、さらに、積層フェリピン構造膜に反強磁性膜を付与した構造でもよい。
また、記憶素子の膜構成は、記憶層が磁化固定層の上側に配置される構成でも、下側に配置される構成でも全く問題はない。
1 ゲート電極、2 素子分離層、3 記憶素子、4 コンタクト層、6 ビット線、7 ソース領域、8 ドレイン領域、9 配線、10 半導体基体、14 下地層、15 磁化固定層、16 中間層、17 記憶層、18 キャップ層

Claims (2)

  1. 情報を磁性体の面内磁化状態により保持する記憶層と、
    上記記憶層に記憶された情報の基準となる磁化を有する磁化固定層と、
    上記記憶層と上記磁化固定層の間に設けられる非磁性体による中間層とを有し、
    上記記憶層、上記中間層、上記磁化固定層を有する層構造の積層方向に流れる電流に伴って発生するスピントルク磁化反転を利用して上記記憶層の磁化を反転させることにより情報の記憶を行うとともに上記記憶層の困難軸方向の異方性磁界が、垂直方向の異方性磁界よりも小さい記憶素子。
  2. 情報を磁性体の面内磁化状態により保持する記憶素子と、互いに交差する2種類の配線とを備え、
    上記記憶素子は、情報を磁性体の面内磁化状態により保持する記憶層と、上記記憶層に記憶された情報の基準となる磁化を有する磁化固定層と、上記記憶層と上記磁化固定層の間に設けられる非磁性体による中間層とを有し、
    上記記憶層、上記中間層、上記磁化固定層を有する層構造の積層方向に流れる電流に伴って発生するスピントルク磁化反転を利用して上記記憶層の磁化を反転させることにより情報の記憶を行うとともに上記記憶層の困難軸方向の異方性磁界が、垂直方向の異方性磁界よりも小さい構成とされ、
    上記2種類の配線の間に上記記憶素子が配置され、
    上記2種類の配線を通じて、上記記憶素子に上記積層方向の電流が流れ、これに伴ってスピントルク磁化反転が起こる記憶装置。
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