JP2012248531A - 導電性微粒子及びそれを用いた異方性導電材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気的接続に供した際に、初期の接続抵抗値が低いだけでなく、経時的な抵抗値の上昇も抑制され、長期にわたり良好な接続信頼性を維持しうる導電性微粒子を提供する。
【解決手段】本発明の導電性微粒子は、樹脂粒子からなる基材と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、前記樹脂粒子の平均粒子径が12.5μm〜50μmであり、圧縮荷重値49mNを負荷した後の圧縮変形回復率が5〜65%であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、比較的粒子径の大きい導電性微粒子に関するものであり、特に、経時的な抵抗値の上昇を抑制し、長期にわたり良好な接続信頼性を維持しうる導電性微粒子に関する。
従来、電子機器の組み立てにおいて、対向する多数の電極や配線間の電気的接続を行うために、異方性導電材料による接続方式が採用されている。異方性導電材料は、導電性微粒子をバインダー樹脂等に混合した材料であり、例えば異方性導電ペースト(ACP)、異方性導電フィルム(ACF)、異方性導電インク、異方性導電シート等がある。ここで異方性導電材料に用いられる導電性微粒子としては、金属粒子や基材とする樹脂粒子の表面を導電性金属層で被覆したものが使用されている。
ところで、近年、電子機器の小型化、高機能化が益々進展している。それに伴い、電子機器に搭載される電子部品の小型化、高密度実装化が進んでおり、接続抵抗に伴う発熱(ジュール熱)の低減の観点から、接続抵抗値が低く、しかも抵抗値が低く維持された異方導電接続が要求される。
異方導電接続に用いられる導電性微粒子としては、圧縮変形性に優れるという理由から、一般に、樹脂粒子を芯材とし該芯材の表面にニッケルなどの導電層が形成されたものが使用され、用途に応じて粒子径が異なる種々の粒子が用いられる。さらに接続安定性の点で優れた異方性導電材料とするためには、柔軟性が高く回復率の高い粒子が求められてきた。
例えば、電極間を接続した場合に接続抵抗を低く接続信頼性を高くできる導電性粒子の提供を目的として、所定のアクリル系モノマーからなる樹脂粒子および該樹脂粒子とその表面を被覆する導電層からなる導電性粒子が開示されている(特許文献1)。特許文献1では、樹脂粒子の好適な形態として圧縮変形回復率が80%以上であること、実施例では平均粒子径5μm程度で圧縮変形回復率が80%以上の樹脂粒子が開示されている。
また、柔軟性および圧縮変形後の回復性の高められた重合体粒子の提供を目的として、所定の組成からなり10%圧縮弾性率が0.5〜2.2GPa、圧縮変形後の回復率が70〜100%である重合体粒子が提案されている(特許文献2)。特許文献2では、発明の効果の一つとして、平均粒子径が10〜200μmの範囲でありCV値が10%以下の範囲とした場合、例えば液晶表示装置スペーサ、EL表示装置スペーサ、タッチパネル用スペーサ、各種基板の基板間の距離を均一に保持するためのスペーサ、導電性粒子のコア材等として、柔軟性及び圧縮変形後の回復性を十分に発揮させることができることが記載されており(段落0052)、さらに実施例においては、平均粒子径39.4μm、圧縮変形回復率が88.8%の重合体粒子が開示されている。
さらに、柔軟性と変形回復性とを有し、温度変化等により電気回路の電極間の接続部に発生する応力を緩和し、高い接続信頼性を持つ導電性微粒子及び接続構造体を提供することを目的として、粒子径の10%が変位したときの圧縮弾性率が100〜1000MPa、圧縮変形回復率が80〜100%かつ粒子径が50μm以上である基材微粒子を用いた導電性微粒子が提案されている(特許文献3)。特許文献3の実施例においては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート50重量%とジビニルベンゼン50重量%とを用い懸濁重合により得られた、平均粒子径が100μmで粒子径の10%が変位したときの圧縮弾性率が500MPa、圧縮変形回復率が95%である基材微粒子に導電層を形成してなる導電性微粒子が開示されている。
特開2010−159328号公報 特開2010−90213号公報 特開2005−294044号公報
しかしながら、従来のように例えば80%以上の高い圧縮変形回復率を有する樹脂粒子を基材とした導電性微粒子を電気的接続に供した場合、実装直後の初期の接続抵抗値は充分に低くなっていても、経時的に抵抗値が上昇することがあり、長期にわたり接続信頼性を維持できない場合があった。
そこで、本発明は、電気的接続に供した際に、初期の接続抵抗値が低いだけでなく、経時的な抵抗値の上昇も抑制され、長期にわたり良好な接続信頼性を維持しうる導電性微粒子と、これを用いた異方性導電材料を提供することを目的とする。
本発明者は、圧縮弾性特性(特に圧縮変形回復率)と接続抵抗値の経時安定性の関係に関し詳細に検討した結果、回復率と抵抗値の経時安定性との間には粒子径依存性があり、抵抗値の経時安定性を維持するうえで適正な回復率の範囲は、粒子径によって異なることを知見した。つまり、異方性導電材料に通常用いられる導電性微粒子のように粒子径が小さい(例えば12.5μm未満)ときには、圧縮変形回復率を高く(例えば65%以上)すれば抵抗値の経時安定性が高くなるが、粒子径が大きいときには、逆に、圧縮変形回復率を小さくすることが、抵抗値の経時安定性の点で重要であることを知見した。
すなわち、本発明に係る導電性微粒子は、樹脂粒子からなる基材と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、前記樹脂粒子の平均粒子径が12.5μm〜50μmであり、圧縮荷重値49mNを負荷した後の圧縮変形回復率が5〜65%である、ことを特徴とする。かかる本発明の導電性微粒子においては、前記樹脂粒子の直径が20%変位したときの圧縮弾性率(20%K値)が1000N/mm2以上、14000N/mm2以下であることが好ましい。
本発明に係る異方性導電材料は、上記本発明の導電性微粒子がバインダー樹脂に分散してなることを特徴とする。
本発明によれば、基材とする樹脂粒子の圧縮変形回復率が粒子径に応じて設定された適正な範囲に制御されているので、電気的接続に供した際に、初期の接続抵抗値が低いだけでなく、経時的な抵抗値の上昇も抑制され、長期にわたり良好な接続信頼性を維持することが可能になる。かかる導電性微粒子は、粒子径が比較的大きいので、例えばタッチパネルやLEDなどに用いる半導体実装における電気接続に好適に利用できる。
本発明の導電性微粒子は、基材としての樹脂粒子と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とから構成される。
1.樹脂粒子(基材)
前記樹脂粒子の平均粒子径は、個数基準の平均分散粒子径で、12.5μm以上、好ましくは13μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは17μm以上であり、50μm以下、好ましくは45μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは35μm以下である。樹脂粒子(基材)の平均粒子径が前記範囲内であれば、タッチパネル用、LED用などに用いる半導体実装において、電極や配線の電気接続に対して、好適に使用できる。
前記樹脂粒子の粒子径の個数基準の変動係数(CV値)は、10.0%以下であることが好ましく、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、一層好ましくは4.0%以下、特に好ましくは3.0%以下である。このように粒子径の変動係数が小さい樹脂粒子は、単に一次粒子径の大きさが揃っているだけでなく、一次粒子径の単一分散性が極めて高い。そのため、このような樹脂粒子を基材として用いることにより、粒子径が揃っており、かつ凝集が抑制された導電性微粒子が得られる。前記樹脂粒子のCV値の下限は、通常0.5%以上である。なお、本発明においては、変動係数を上述のように比較的低い範囲に制御したとしても、粒子径が大きいので、粒子間の粒子径の差そのものは大きくなる。粒子径の差が大きくなると、CV値を小さくするだけでは、接続後の抵抗値は経時的に上昇しやすくなる。したがって、CV値を小さくするときでも、本発明のように圧縮変形回復率を65%以下にすることが重要である。
なお、本発明でいう樹脂粒子の個数基準の平均粒子径や粒子径の変動係数は、コールターカウンターにより測定した値であり、測定方法については実施例において後述する。
前記樹脂粒子は、圧縮荷重値49mNを負荷した後の圧縮変形回復率(本明細書では単に「回復率」と称することもある)が5〜65%であることが重要である。これにより、適度な反発性を保持することとなり、接続初期の抵抗値を十分に低くできるとともに、接続後の経時的な抵抗値の上昇を効率よく抑制することが可能になる。圧縮変形回復率は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上である。一方、上限は、50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下である。樹脂粒子の回復率が5%未満であると、該樹脂粒子を基材とする導電性微粒子を異方導電材料に用いた場合、接続状態での反発力が小さすぎて、使用環境における僅かな温度変化等によって接続間距離が変動した場合に追随できず、その結果、抵抗値が上昇することになる。一方、樹脂粒子の回復率が65%を超えると、該樹脂粒子を基材とする導電性微粒子を異方導電材料に用いた場合、接続抵抗値が徐々に上昇する。この原因は明らかではないが、以下のように考えられる。すなわち、粒子径には必ずばらつきがあり、たとえ変動係数を小さく制御したとしても、粒子径が大きい(例えば平均粒子径が12.5μm以上の)樹脂粒子は、微細な(例えば平均粒子径が12.5μm未満の)樹脂粒子に比べ、粒子径の差そのものは大きくなる。このように粒子径の差が大きく、かつ回復率が65%を超えるような反発力の大きい樹脂粒子であると、接続後に徐々に接続間距離が変化して、接続不充分な部分が生じ易くなるのではないか、と考えられる。
特に、前記樹脂粒子の回復率が30%以上65%以下であると、回復率が比較的高く、実装時のバインダー排除性が高くなるため、初期抵抗値が低く抑えられる。一方、前記樹脂粒子の回復率が5%以上30%未満であると、回復率が30%以上65%以下である粒子よりも初期抵抗値は高くなるものの、実装後の経時変化が少ないため、抵抗値上昇が抑えられる。
なお本発明において圧縮変形回復率は、例えば、公知の微小圧縮試験機(例えば、島津製作所製「MCT−W500」など)を用いて粒子の中心方向へ荷重をかけていく圧縮試験において、まず一定の荷重負荷速度で最大荷重まで圧縮したときの変位量を最大変位量L1として求め、次いで、上記荷重負荷速度と同程度の除荷重負荷速度で最小荷重まで荷重を減らしていったときの最大荷重から最小荷重までの間の変位量を回復変位量L2として求め、下記式に基づき算出される値である。具体的には、後述する実施例に記載のように荷重負荷速度(除荷重負荷速度)を2.23mN/秒程度とし、最大荷重を49mN程度、最小荷重を0.49mN程度として測定することができる。
圧縮変形回復率(%)=(L2/L1)×100
前記樹脂粒子は、その直径を20%変位させたときの圧縮弾性率(20%K値)が1,000N/mm2以上、14,000N/mm2以下であることが好ましい。樹脂粒子の20%K値が14,000N/mm2を超えると、粒子の変形量を大きくするためには接続時の圧力を高くする必要があるため、低圧接続では接続面積が不充分となり、接続初期の抵抗値が高くなる虞がある。逆に、樹脂粒子の20%K値が1,000N/mm2未満であると、接続時にバインダーの排除能が低下するため接続初期の抵抗値が高くなる虞がある。20%K値を上述した範囲とすることにより、低圧接続でも初期抵抗値が十分に低い接続が可能となり、膜厚の薄いガラスや樹脂フィルムなどを被接続媒体とする場合にも良好に接続することができる。樹脂粒子の20%K値は、好ましくは10,000N/mm2以下、より好ましくは8,000N/mm2以下、さらに好ましくは6,000N/mm2以下、最も好ましくは4,000N/mm2以下であり、好ましくは1,500N/mm2以上、より好ましくは2,000N/mm2以上である。
前記樹脂粒子の20%K値は、公知の微小圧縮試験機を用いた圧縮試験にて測定することができ、例えば、公知の微小圧縮試験機(例えば、島津製作所製「MCT−W500」など)を用い、室温で粒子の中心方向へ荷重負荷速度19.37mN/secで荷重をかける圧縮試験において、粒子の直径が20%変位するまで粒子を変形させたときの圧縮荷重(N)と圧縮変位(mm)を測定し、下記式に基づき求めることができる。
Figure 2012248531
(ここで、E:圧縮弾性率(N/mm2)、F:圧縮荷重(N)、S:圧縮変位(mm)、R:粒子の半径(mm)である。)
なお、本発明において樹脂粒子の20%K値は、実際の接続における影響を見積もる上で重要な指標である。なぜなら、本発明における樹脂粒子は平均粒子径が12.5μm以上であるが、このような大きな粒子径においては、粒子径分布の一般的な尺度である粒子径の変動係数がたとえ小さくても、粒子間の粒径の差は大きくなる。そのため、電気的接続に供する際には、接続状態において粒子径の分布による影響が小さくなるよう、少なくとも20%程度の変形が必要とされる。したがって、実際の接続における影響を見積もる上では、樹脂粒子を20%変形させたときの状態を見るのが有用であると考えられる。
前記樹脂粒子はまた、その直径を10%変位させたときの圧縮弾性率(10%K値)が2000N/mm2以上、15000N/mm2以下であることが、低い初期抵抗値を実現し易い点で好ましい。樹脂粒子の10%K値は、より好ましくは3000N/mm2以上、さらに好ましくは3500N/mm2以上、一層好ましくは4000N/mm2以上であり、より好ましくは10000N/mm2以下、さらに好ましくは8000N/mm2以下である。なお、樹脂粒子の10%K値は、上述した20%K値と同様にして求めることができる。
前記樹脂粒子においては、低圧接続に適した導電性微粒子とする上で、前記20%K値に対する前記10%K値の比(10%K値/20%K値)が1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.6以上、さらに好ましくは1.7以上である。また前記20%K値に対する前記10%K値の比の上限は、特に限定されないが、通常3.0以下であり、好ましくは、2.5以下である。
前記樹脂粒子はまた、圧縮試験において、粒子が破壊するまで、もしくは粒子の直径が50%変位するまで粒子を変形させても粒子が破壊しない場合には圧縮変位が粒子径の50%になるまで、粒子を変位させ、各変位量における圧縮弾性率の値(K値)を縦軸に、変位量を横軸にプロットしたときに、K値が極小となる値(K値極小値)が、100N/mm2以上、2800N/mm2以下であることが好ましい。K値極小値がこの範囲であると、電極などの被接続体に対して大きい接触面積を確保し易くなる。樹脂粒子のK値極小値は、好ましくは2600N/mm2以下、より好ましくは2400N/mm2以下、さらに好ましくは2200N/mm2以下、最も好ましくは2000N/mm2以下であり、好ましくは500N/mm2以上、より好ましくは1000N/mm2以上である。
なお、各変位量における圧縮弾性率の各値(K値)は、上述した20%K値、10%K値と同様の圧縮試験を行い、圧縮荷重(N)と圧縮変位(mm)の測定結果より算出することができる。
前記樹脂粒子はまた、上述したようにK値極小値を測定した際に求められる該K値極小値を示すときの変位量(K値極小値での直径に対する変位量)を用い、下記式
K値極小値を示す圧縮率(%)=[K値極小値での直径に対する変位量の平均値(μm)/個数平均粒子径(μm)]×100
により算出される、K値極小値を示す圧縮率(粒子の直径に対する変位量の割合(%))が10%以上、50%以下であることが、電極などの被接続体に対して大きい接触面積を確保し易くなる点で好ましい。K値極小値を示す圧縮率は、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは35%以下である。
以下、前記樹脂粒子の構成成分について説明する。まず前記樹脂粒子は、例えばビニル重合体のような有機材料のみから構成される粒子であってもよいし、例えばビニル重合体とポリシロキサン骨格とを含む材料(複合化材料など)のような有機無機複合材料で構成される粒子であってもよい。例えば、ビニル重合体を含む材料で構成された樹脂粒子は、ビニル基が重合して形成された有機系骨格を有し、加圧接続時の弾性変形に優れる。一方、ポリシロキサン骨格を含む材料で構成された樹脂粒子は、加圧接続時において被接続体に対する接触圧に優れる。そのため、ポリシロキサン骨格とビニル重合体を複合化した材料で構成された樹脂粒子は、弾性変形性及び接触圧に優れ、得られる導電性微粒子の接続信頼性がより優れたものとなる。
前記樹脂粒子を構成する単量体成分としては、有機系骨格を形成するにはビニル系単量体を用い、ポリシロキサン骨格を形成するにはシラン系単量体を用いればよい。ここで、ビニル系単量体はビニル系架橋性単量体とビニル系非架橋性単量体とに分けられ、シラン系単量体はシラン系架橋性単量体とシラン系非架橋性単量体とに分けられる。
前記ビニル系架橋性単量体とは、ビニル基を有し架橋構造を形成しうるものであり、具体的には、1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体(単量体(1))、または、1分子中に一個のビニル基とビニル基以外の官能基(カルボキシル基、ヒドロキシ基等のプロトン性水素含有基、アルコキシ基等の末端官能基等)を有する単量体(単量体(2))が挙げられる。ただし、単量体(2)の場合、ビニル系架橋性単量体として架橋構造を形成させるには、当該単量体(2)が有するカルボキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基等の反応(結合)相手となる基が他の単量体に存在することが必要となる。
なお、本発明において「ビニル基」とは、炭素−炭素二重結合のみならず、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基のような重合性炭素−炭素二重結合を有する置換基も含むものとする。また、本明細書において「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」は、「アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」や「アクリル及び/又はメタクリル」を各々示すものとする。
前記ビニル系架橋性単量体のうち前記単量体(1)の例として、例えば、アリル(メタ)アクリレート等のアリル(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族炭化水素系架橋剤(好ましくはジビニルベンゼン等のスチレン系多官能モノマー);N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等のヘテロ原子含有架橋剤;等が挙げられる。これらの中でも、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート類(多官能(メタ)アクリレート)やスチレン系多官能モノマーが好ましく、多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。前記多官能(メタ)アクリレートの中でも、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート類が好ましく、さらにその中でも、1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するジ(メタ)アクリレートが好ましく、さらに、アルカンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
前記スチレン系多官能モノマーの中では、ジビニルベンゼンのように1分子中に2個のビニル基を有する単量体が好ましい。単量体(1)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル系架橋性単量体のうち前記単量体(2)の例としては、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類、p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシ基含有スチレン類等のヒドロキシ基を有する単量体;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート類、p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類等のアルコキシ基を有する単量体;等が挙げられる。単量体(2)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル系非架橋性単量体としては、1分子中に1個のビニル基を有する単量体(単量体(3))か、もしくは前記単量体(2)が有するビニル基以外の官能基と反応する基を有する他の単量体が単量体成分に存在しない場合の単量体(2)が挙げられる。
前記ビニル系非架橋性単量体のうち前記単量体(3)の例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート類;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン類、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のハロゲン基含有スチレン類等のスチレン系単官能モノマー;等が挙げられる。これらの中でも、メタアクリレート系単官能モノマーを用いることが好ましく、メチルメタクリレートがより好ましい。単量体(3)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル重合体としては、構成成分として、前記ビニル系架橋性単量体(1)を含む態様が好ましく、中でも前記ビニル系非架橋性単量体(3)と前記ビニル系架橋性単量体(1)とを含む態様が好ましい。具体的には、構成成分として、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体を含む態様が好ましく、さらに、1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体と1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体とを含む態様が好ましい。
前記ポリシロキサン骨格は、シラン系単量体を加水分解し縮合反応によりシロキサン結合を生じさせることで形成され、特にシラン系単量体としてシラン系架橋性単量体を用いると、架橋構造を形成し得る。シラン系架橋性単量体により形成される架橋構造としては、有機重合体骨格(例えば、ビニル系重合体骨格)と有機重合体骨格とを架橋するもの(第一の形態);ポリシロキサン骨格とポリシロキサン骨格とを架橋するもの(第二の形態);有機重合体骨格とポリシロキサン骨格とを架橋するもの(第三の形態);が挙げられる。
第一の形態を形成し得るシラン系架橋性単量体としては、例えば、ジメチルジビニルシラン、メチルトリビニルシラン、テトラビニルシラン等が挙げられる。第二の形態を形成し得るシラン系架橋性単量体としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性シラン系単量体;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性シラン系単量体等が挙げられる。第三の形態を形成し得るシラン系架橋性単量体としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するもの;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のビニル基を有するもの;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するもの;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するもの;が挙げられる。これらのシラン系架橋性単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シラン系非架橋性単量体として、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルキルシラン等の2官能性シラン系単量体;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルシラン等の1官能性シラン系単量体等が挙げられる。これらのシラン系非架橋性単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に前記ポリシロキサン骨格は、ラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合(例えば、(メタ)アクリロイル基等のビニル基)を有する重合性ポリシロキサン由来の骨格であることが好ましい。つまり、ポリシロキサン骨格は、構成成分として、少なくとも前記第三の形態の架橋構造を形成し得るシラン系架橋性単量体(好ましくは(メタ)アクリロイル基を有するもの、より好ましくは3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン)を加水分解及び縮合することにより形成されたポリシロキサン骨格であることが好ましい。
さらに前記樹脂粒子は、上述した有機材料、有機無機複合材料のほかに、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン系のビニル重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリアミド;ポリイミド;フェノールホルムアルデヒド樹脂;メラミンホルムアルデヒド樹脂;メラミンベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂;尿素ホルムアルデヒド樹脂;シリコーン樹脂等で構成されていてもよい。
前記樹脂粒子の回復率が上述した範囲となるよう制御するには、例えば、前記樹脂粒子を構成する単量体成分が、単量体成分総量100質量%中、上述した架橋性単量体(前記ビニル系架橋性単量体および前記シラン系架橋性単量体)を5質量%以上60質量%以下含有するとともに、単量体成分総量100質量%中、芳香環を有しない単量体を5質量%以上含有するものとすることが好ましい。単量体成分総量100質量%に対する架橋性単量体の割合は10質量%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは15質量%以上であり、55質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは48質量%以下、一層より好ましくは42質量%以下である。単量体成分総量100質量%に対する芳香環を有しない単量体の割合は10質量%以上であることがより好ましい。芳香環を有しない単量体が5質量%未満であると(換言すれば芳香環を有する単量体が95質量%以上を占めると)、10%K値/20%K値の比が低くなり、接触面積を有効に大きくできないといった虞がある。
なお、芳香環を有しない単量体は、上述した単量体成分のうち、芳香環を有しないものであれば、ビニル系単量体であってもよいし、シラン系単量体であってもよい。また芳香環を有しない単量体は架橋性であってもよいし、非架橋性であってもよいが、好ましくは架橋性であるのがよい。
さらに、前記樹脂粒子の圧縮変形回復率を上述した範囲により確実に制御するためには、前記架橋性単量体として、下記特定架橋性単量体(a)または下記特定架橋性単量体(b)(以下、単に「特定架橋性単量体」と称することもある)の少なくとも1種を含むことが好ましい。
特定架橋性単量体(a):1分子中に2個のビニル基を有し、且つこの両ビニル基の炭素−炭素二重結合(C=C)間に、14個以下の原子が連なってなる主鎖部を有する鎖状単位が介在しているビニル系架橋性単量体。
特定架橋性単量体(b):1分子中に1個のビニル基と、2個の縮合性基が結合したケイ素原子とを有し、且つこのビニル基の炭素−炭素二重結合(C=C)とケイ素原子(Si)との間に、14個以下の原子が連なってなる主鎖部を有する鎖状単位が介在しているシラン系架橋性単量体。
かかる特定架橋性単量体は、ビニル基などの架橋点と架橋点との間の原子数(架橋点間原子数ともいう)が14個以下であるものであり、この架橋点間原子数が14個を超えると、樹脂粒子が軟らかくなりすぎ、20%K値が小さくなりすぎる傾向がある。特定架橋性単量体において、架橋点間原子数(すなわち、連なって主鎖部を構成する原子の数)は、好ましくは12個以下であり、その下限は4個以上が好ましく、6個以上がより好ましい。なお、連なって主鎖部を構成する原子の数には、炭素−炭素二重結合(C=C)自身の炭素原子およびケイ素原子自身はカウントしないものとする。
なお、14個以下の原子が連なってなる主鎖部には、他の分岐鎖が結合していてもよく(換言すれば、環は形成されない)、好ましくは、主鎖部は炭素原子および/または酸素原子が連なって構成されたものである。
前記特定架橋性単量体(a)としては、上述したビニル系架橋性単量体のうち前記単量体(1)として例示したジ(メタ)アクリレート類が好ましく、その中でも、アルカンジオールジ(メタ)アクリレート(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート等)や、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等)が好ましく、特にアルカンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。好ましい具体例としては、架橋点間原子数が6個であるエチレングリコールジ(メタ)アクリレートや、架橋点間原子数が14個である1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記特定架橋性単量体(b)としては、上述したシラン系架橋性単量体のうち前記第三の形態を形成し得るシラン系架橋性単量体として例示した3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランや3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランの如き、3−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシランが好ましく挙げられる。
したがって、樹脂粒子を構成する単量体成分の好ましい形態としては、単量体成分総量100質量%中、架橋性単量体を5質量%以上60質量%以下含有し、該架橋性単量体が前記特定架橋性単量体(a)および/または前記特定架橋性単量体(b)を必須として含み、少なくとも単量体成分の全てが芳香環を有する単量体であることはなく、芳香環を有する単量体は、含有していても単量体成分総量100質量%中、95質量%未満である形態である。
さらに、前記樹脂粒子が無機質粒子に由来するポリシロキサン骨格を有する(有機無機複合材料の)場合に、樹脂粒子の圧縮変形回復率を上述した範囲により確実に制御するためには、樹脂粒子におけるケイ素含有量は樹脂粒子100質量%に対するSi換算量で表して、20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、一層好ましくは6質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。ケイ素含有量が20質量%を超えると、樹脂粒子の回復率が高くなり過ぎて、接続信頼性が低下する虞がある。なお、前記ケイ素含有量は、樹脂粒子を空気などの酸化性雰囲気中、1000℃で焼成したときの灰分質量(これをSiO量とする)からSi分に相当する質量を算出し、該Si量を焼成処理に供した樹脂粒子の質量で除すことにより求めることができる。灰分質量からSi分に相当する質量を算出するには、灰分質量に0.4672(Si原子量/SiO式量)を乗じることによって求めることができる。
前記樹脂粒子(基材)の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、回転楕円体状、金平糖状、薄板状、針状、まゆ状等のいずれでも良いが、球状が好ましく、特に真球状が好ましい。
2.導電性微粒子
本発明の導電性微粒子は、前記基材(樹脂粒子)表面に少なくとも一層の導電性金属層が形成されている。導電性金属層を構成する金属としては特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、コバルト、インジウム及びニッケル−リン、ニッケル−ホウ素等の金属や金属化合物、及び、これらの合金等が挙げられる。これらの中でも、金、ニッケル、パラジウム、銀、銅、錫が導電性に優れた導電性微粒子となることから好ましい。また、安価な点で、ニッケル、ニッケル合金(Ni−Au、Ni−Pd、Ni−Pd−Au、Ni−Ag、Ni−P、Ni−B、Ni−Zn、Ni−Sn、Ni−W、Ni−Co、Ni−W、Ni−Ti);銅、銅合金(CuとFe、Co、Ni、Zn、Sn、In、Ga、Tl、Zr、W、Mo、Rh、Ru、Ir、Ag、Au、Bi、Al、Mn、Mg、P、Bからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素との合金、好ましくはAg、Ni、Sn、Znとの合金);銀、銀合金(AgとFe、Co、Ni、Zn、Sn、In、Ga、Tl、Zr、W、Mo、Rh、Ru、Ir、Au、Bi、Al、Mn、Mg、P、Bからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素との合金、好ましくはAg−Ni、Ag−Sn、Ag−Zn);錫、錫合金(たとえばSn−Ag、Sn−Cu、Sn−Cu−Ag、Sn−Zn、Sn−Sb、Sn−Bi−Ag、Sn−Bi−In、Sn−Au、Sn−Pb等)等が好ましい。中でもニッケル、ニッケル合金が好ましい。また、導電性金属層は、単層でもよいし複層であってもよく、複層の場合には、例えば、ニッケル−金、ニッケル−パラジウム、ニッケル−パラジウム−金、ニッケル−銀等の組合せが好ましく挙げられる。
前記導電性金属層の厚さは、0.010μm以上が好ましく、より好ましくは0.030μm以上、さらに好ましくは0.050μm以上であり、0.30μm以下が好ましく、より好ましくは0.25μm以下、さらに好ましくは0.20μm以下、一層好ましくは、0.15μm以下である。基材とする樹脂粒子が微細な粒子径である本発明の導電性微粒子においては、導電性金属層の厚さが上記範囲内であれば、導電性微粒子を異方性導電材料として用いる際に、安定した電気的接続が維持できる。
なお、前記導電性金属層は、樹脂粒子表面の少なくとも一部を被覆していればよいが、導電性金属層の表面には、実質的な割れや、導電性金属層が形成されていない面が存在しないことが好ましい。ここで、「実質的な割れや、導電性金属層が形成されていない面」とは、電子顕微鏡(倍率1000倍)を用いて任意の10000個の導電性微粒子の表面を観察したときに、導電性金属層の割れ、および、樹脂粒子表面の露出が、実質的に目視で観察されないことを意味する。
本発明の導電性微粒子の個数平均粒子径は、13.5μm以上が好ましく、より好ましくは14μm以上、さらに好ましくは15μm以上、特に好ましくは16μm以上であり、51μm以下が好ましく、より好ましくは46μm以下、さらに好ましくは41μm以下、さらに好ましくは36μm以下である。個数平均粒子径がこの範囲内であれば、微細化、狭小化された電極や配線の電気接続に対して、好適に使用できる。
なお、導電性微粒子の個数平均粒子径としては、フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて求めた、3000個の粒子の個数基準の平均粒子径を採用することが好ましい。
本発明の導電性微粒子は、圧縮荷重値49mNを負荷した後の圧縮変形回復率が5〜65%であることが好ましい。これにより、適度な反発性を保持することとなり、接続初期の抵抗値を十分に低くできるとともに、接続後の経時的な抵抗値の上昇を効率よく抑制することが可能になる。圧縮変形回復率は、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。一方、上限は、50%以下が好ましく、より好ましくは40%以下である。
本発明の導電性微粒子は、その直径を20%変位させたときの圧縮弾性率(20%K値)が1,000N/mm2以上、15,000N/mm2以下であることが好ましい。導電性微粒子の20%K値が15,000N/mm2を超えると、粒子の変形量を大きくするためには接続時の圧力を高くする必要があるため、低圧接続では接続面積が不充分となり、接続初期の抵抗値が高くなり易い。逆に、樹脂粒子の20%K値が1,000N/mm2未満であると、接続時にバインダーの排除能が低下するため接続初期の抵抗値が高くなる虞がある。20%K値を上述した範囲とすることにより、低圧接続でも初期抵抗値が低い接続が可能となり、膜厚の薄いガラスや樹脂フィルムなどの被接続媒体に対しても低抵抗の接続が可能となる。
本発明の導電性微粒子は、その直径を20%変位させたときの圧縮弾性率(導電性微粒子の20%K値)は、好ましくは11,000N/mm2以下、より好ましくは9,000N/mm2以下、さらに好ましくは7,000N/mm2以下、最も好ましくは5,000N/mm2以下であり、好ましくは1,500N/mm2以上、より好ましくは2,000N/mm2以上である。
また本発明の導電性微粒子は、その直径を10%変位させたときの圧縮弾性率(導電性微粒子の10%K値)の、上述した導電性微粒子の20%K値に対する比(導電性微粒子の10%K値/導電性微粒子の20%K値)が1.5以上であることが好ましい。1.5以上であることにより、低圧接続に適した導電性微粒子となり、さらに被接続体に対する接触面積を有効に大きくすることができるといった効果も得られる。上記比は、より好ましくは1.6以上、さらに好ましくは1.7以上であり、その上限は特に限定されないが、通常3.0以下であり、好ましくは、2.5以下である。
なお、導電性微粒子の圧縮変形回復率、20%K値、10%K値は、樹脂粒子の回復率、20%K値、10%K値と同様にして測定することができる。
本発明の導電性微粒子は、表面の少なくとも一部に絶縁性樹脂層を有することもできる。つまり、前記導電性金属層の表面にさらに絶縁性樹脂層を設けた態様であってもよい。このように表面の導電性金属層にさらに絶縁性樹脂層が積層されていると、高密度回路の形成時や端子接続時などに生じやすい横導通を防ぐことができる。
前記絶縁性樹脂層としては、導電性微粒子の粒子間における絶縁性が確保でき、一定の圧力及び/又は加熱により容易にその絶縁性樹脂層が崩壊あるいは剥離するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン類;ポリメチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート重合体および共重合体;ポリスチレン;等の熱可塑性樹脂やその架橋物;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂(メラミン樹脂等)等の熱硬化性樹脂;ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂およびこれらの混合物;等が挙げられる。但し、基材粒子に比べて絶縁性樹脂層が硬過ぎる場合には、絶縁性樹脂層の破壊よりも先に基材粒子自体が破壊してしまうおそれがある。したがって、絶縁性樹脂層には、未架橋または比較的架橋度の低い樹脂を用いることが好ましい。
前記絶縁性樹脂層は、単層であっても、複数の層からなるものであってもよい。例えば、単一又は複数の皮膜状の層が形成されていてもよいし、絶縁性を有する粒状、球状、塊状、鱗片状その他の形状の粒子を導電性金属層の表面に付着させた層であってもよいし、さらには、導電性金属層の表面を化学修飾することにより形成された層であってもよく、または、これらが組み合わされたものであってもよい。絶縁性樹脂層の厚さは0.01μm〜1μmが好ましく、より好ましくは0.02μm以上、0.5μm以下、さらに好ましくは0.03μm以上、0.4μm以下である。絶縁性樹脂層の厚さが前記範囲内であれば、導電性粒子による導通特性を良好に維持しつつ、粒子間の電気絶縁性が良好となる。
3.製造方法
まず基材とする前記樹脂粒子の製造方法について説明する。
樹脂粒子の製造方法としては、特に制限はなく、上述の単量体成分を重合するものであれば、特に限定されないが、乳化重合、懸濁重合、分散重合、シード重合、ゾルゲルシード重合法等が挙げられる。樹脂粒子の粒子径を上述した所定の範囲にするには、例えば、シード重合法により樹脂粒子を合成した後、分級する方法等が好ましく採用される。樹脂粒子の合成にシード重合法を採用することにより、粒度分布の小さい樹脂粒子が得られる。さらに、合成後の樹脂粒子を分級し粗粒子を除去することにより、平均粒子径を所望の範囲に調整することができる。
前記シード重合法は、シード粒子調製工程、シード粒子に単量体成分を吸収させる吸収工程、シード粒子に吸収させた単量体成分を重合反応させる重合工程を経て樹脂粒子を得る方法である。各工程における手法や条件等は、公知のシード重合法の手法を適宜採用すればよく特に制限されないが、例えば以下の手法等が好ましく採用される。なお、樹脂粒子を構成するための好適な単量体成分である特定架橋性単量体((a)、(b))は、シード粒子を構成する成分として、および/または、シード粒子に吸収させる単量体成分として、前述した好適な組成範囲で使用されることが好ましい。
前記シード粒子調製工程において、有機材料のみから構成される樹脂粒子を合成する場合には、前記ビニル系単量体を用いて、ソープフリー乳化重合、分散重合等の方法でシード粒子を調製すればよい。この場合、前記ビニル系単量体としてスチレン等のスチレン系単官能モノマーを用いることが好ましい。他方、有機材料とポリシロキサン骨格を有する材料から構成される粒子を合成する場合には、前記シラン系単量体を用いて、水を含む溶媒(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、(シクロ)パラフィン類、芳香族炭化水素類等の有機溶剤と水との混合溶媒)中で加水分解して縮重合させる方法でシード粒子(ポリシロキサン粒子)を調製すればよい。この場合、前記シラン系単量体として、ラジカル重合性基を有するシラン系架橋性単量体を用いて重合性ポリシロキサン粒子とすることが好ましい。またシラン系単量体として上述した特定架橋性単量体(b)を用いることが好ましい。加水分解し、縮重合させるにあたっては、触媒として、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の塩基性触媒を好ましく用いることができ、さらに必要に応じて、アニオン性、カチオン性、非イオン性の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の高分子分散剤を併用することができる。
前記吸収工程においてシード粒子に単量体成分を吸収させる方法としては、特に制限はなく、例えば、予めシード粒子を溶媒中に分散させたシード粒子分散液に単量体成分を加えてもよいし、単量体成分を含む溶媒中にシード粒子を加えてもよいが、特に、前者の手法において、重合または加水分解、縮合により得られた反応液をそのままシード粒子分散液とすることが、工程の簡略化、生産性の観点から好ましい。単量体成分は、それ単独で添加してもよいし、溶媒に溶解させた溶液として添加してもよいが、シード粒子に効率よく吸収させるうえでは、乳化剤を用いて予め水又は水性媒体(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類等の水溶性有機溶剤またはこれらと水との混合溶媒)に乳化、分散させて乳化液としておき添加することが好ましい。吸収させる単量体成分として少なくとも上述した特定架橋性単量体(a)を用いることが好ましい。
前記単量体成分を乳化剤で乳化分散させる際には、乳化剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン性界面活性剤が、シード粒子が単量体成分を吸収した後のシード粒子の分散状態を安定化させることもできる点で好ましく用いられる。また、乳化分散の際に用いる水又は水性媒体の量は、通常、単量体成分の質量に対して0.3倍以上10倍以下である。
吸収工程において、単量体成分がシード粒子に吸収されたかどうかの判断については、例えば、単量体成分を加える前及び吸収段階終了後に、顕微鏡により粒子を観察し、単量体成分の吸収により粒子径が大きくなっていることを確認することで容易に判断できる。なお、本発明における樹脂粒子を得るためには、下記式で示される吸収倍率は、特に限定されるものではないが、1.0倍以上、50倍以下であることが好ましい。
吸収倍率=(吸収させる単量体成分の総質量)/(シード粒子の質量)
前記重合工程において採用する重合方法は、特に限定されず、例えば、ラジカル重合開始剤(例えば、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等)を用いる方法など公知の方法を用いることができる。ラジカル重合を行う際の反応温度は40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上であり、100℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下である。反応温度が低すぎると、重合度が十分に上がらず複合粒子の機械的特性が不充分となる傾向があり、一方、反応温度が高すぎると、重合中に粒子間の凝集が起こりやすくなる傾向がある。なお、ラジカル重合を行う際の反応時間は、用いる重合開始剤の種類に応じて適宜変更すればよいが、通常、5分以上が好ましく、より好ましくは10分以上であり、600分以下が好ましく、より好ましくは300分以下である。反応時間が短すぎると、重合度が十分に上がらない場合があり、反応時間が長すぎると、粒子間で凝集が起こり易くなる傾向がある。このような重合工程において、なお、シード粒子が重合性ポリシロキサン粒子である場合、該重合工程において、吸収させた単量体成分と重合性ポリシロキサン骨格が有するラジカル重合性基とが重合し、ポリシロキサン骨格とビニル重合体とが複合化する。
上記のようにして合成した樹脂粒子は、所定の粒子径となるように分級に供することが好ましい。分級方法は特に限定されず、例えば、電成ふるい等によるふるい分け;メンブランフィルター、プリーツフィルター、セラミック膜フィルター等のフィルターを使用した濾過;質量差及び流体抵抗差の相互作用によって分級する公知の装置(粒子の落下速度等の重力差が原理である重力分級機、自由渦又は半自由渦による遠心力と空気抗力の釣り合いを原理とする(半)自由渦遠心分級、回転する分級羽根(ローター)によってつくられる回転流によって生じる遠心力と空気による抗力の釣り合いを原理とする回転羽根付き遠心分級)を用いた分級;等が挙げられる。これらの中でも、分級精度と生産性の観点から電成ふるいを用いた分級が好ましい。
合成後、必要に応じて分級された樹脂粒子は、通常、乾燥され、場合によっては焼成に付される。乾燥温度は特に限定されないが、通常50℃〜250℃の範囲である。
以上のようにして樹脂粒子は、平均粒子径や粒子径の変動係数等について上述した範囲を満足するよう調製される。
次に、以上のようにして得られた樹脂粒子(基材)に導電性金属層を形成し、必要に応じてさらに絶縁性樹脂層を形成することにより、導電性微粒子が得られる。
導電性金属層の形成方法および絶縁性樹脂層の形成方法は特に限定されないが、例えば導電性金属層は、基材表面に無電解メッキ法、電解メッキ法等によってメッキを施す方法;基材表面に真空蒸着、イオンプレーティング、イオンスパッタリング等の物理的蒸着方法により導電性金属層を形成する方法;等により形成できる。これらの中でも特に無電解メッキ法が、大掛かりな装置を必要とせず容易に導電性金属層を形成できる点で好ましい。
4.異方性導電材料
本発明の異方性導電材料は、上記本発明の導電性微粒子がバインダー樹脂に分散してなる。異方性導電材料の形態は特に限定されず、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インクなど様々な形態が挙げられる。これらの異方性導電材料を相対向する基材同士や電極端子間に設けることにより、良好な電気的接続が可能になる。なお、本発明の導電性微粒子を用いた異方性導電材料には、液晶表示素子用導通材料(導通スペーサーおよびその組成物)も含まれる。異方性導電材料の好適な用途としてはタッチパネルの入力用、LED用などが挙げられ、特にLEDの実装用に好適に用いられる。
前記バインダー樹脂としては、絶縁性の樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などの熱可塑性樹脂;グリシジル基を有するモノマーやオリゴマーおよびイソシアネートなどの硬化剤との反応により硬化する硬化性樹脂組成物;光や熱により硬化する硬化性樹脂組成物;等が挙げられる。
なお、本発明の異方性導電材料は、前記バインダー樹脂中に本発明の導電性微粒子を分散させ、所望の形態とすることで得られるが、例えば、バインダー樹脂と導電性微粒子とを別々に使用し、接続しようとする基材間や電極端子間に導電性微粒子をバインダー樹脂とともに存在させることによって接続してもかまわない。
本発明の異方性導電材料において、導電性微粒子の含有量は、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば、異方性導電材料の全量に対して1体積%以上が好ましく、より好ましくは2体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上であり、50体積%以下が好ましく、より好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下である。導電性微粒子の含有量が少なすぎると、充分な電気的導通が得られ難い場合があり、一方、導電性微粒子の含有量が多すぎると、導電性微粒子同士が接触してしまい、異方性導電材料としての機能が発揮され難い場合がある。
本発明の異方性導電材料におけるフィルム膜厚、ペーストや接着剤の塗工膜厚、印刷膜厚等については、使用する本発明の導電性微粒子の粒子径と、接続すべき電極の仕様とを考慮し、接続すべき電極間に導電性微粒子が狭持され、且つ接続すべき電極が形成された接合基板同士の空隙がバインダー樹脂層により充分に満たされるように、適宜設定することが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
1.物性測定方法
各種物性の測定は以下の方法で行った。
<シード粒子および樹脂粒子の平均粒子径・変動係数(CV値)>
樹脂粒子の場合には、樹脂粒子0.1部に、乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1%水溶液20部を加え、超音波で10分間分散させた分散液を測定試料とし、シード粒子の場合には、加水分解、縮合反応で得られた分散液をポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1%水溶液により希釈したものを測定試料として、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「コールターマルチサイザーIII型」)により30000個の粒子の粒子径(μm)を測定し、個数基準の平均分散粒子径を求めた。また樹脂粒子については、平均分散粒子径とともに個数基準での粒子径の標準偏差をも求め、下記式に従って粒子径の変動係数(CV値)を算出した。
粒子の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/平均分散粒子径)
<導電性金属層の膜厚>
フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、基材粒子(樹脂粒子)3000個の個数平均粒子径X(μm)および導電性微粒子3000個の個数平均粒子径Y(μm)を測定した。なお、測定は、粒子0.25部に、乳化剤であるポリオキシエチレンオレイルエーテル(「エマルゲン(登録商標)430」花王株式会社製)の1.4%水溶液17.5部を加え、超音波で10分間分散させた後に行なった。そして、下記式に従って導電性金属層の膜厚を算出した。
導電性金属層膜厚(μm)=(Y−X)/2
<樹脂粒子の10%K値、20%K値>
微小圧縮試験機(島津製作所社製「MCT−W500」)を用いて、室温(25℃)において、試料台(材質:SKS材平板)上に散布した粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用いて、「標準表面検出」モードで、粒子の中心方向へ一定の負荷速度(19.37mN/秒)で荷重をかけ、圧縮変位が粒子径の10%になったときの荷重値(mN)とそのときの変位量(μm)、および圧縮変位が粒子径の20%となったときの荷重(mN)とそのときの変位量(μm)を測定した。なお、測定は各試料について、異なる10個の粒子に対して行い、平均した値を測定値とした。そして、得られた荷重値(mN)を圧縮荷重(N)に換算し、得られた変位量(μm)を圧縮変位(mm)に換算し、樹脂粒子の平均粒子径(μm)から粒子の半径(mm)を算出し、これらを用いて下記式に基づき算出した。
Figure 2012248531
(ここで、E:圧縮弾性率(N/mm2)、F:圧縮荷重(N)、S:圧縮変位(mm)、R:粒子の半径(mm)である。)
また、得られた10%K値、20%K値より、比率(10%K値/20%K値)を算出した。
<樹脂粒子のK値極小値、K値極小値を示す圧縮率>
樹脂粒子の10%K値、20%K値の測定と同様の圧縮試験において、粒子が破壊するまで、もしくは粒子の直径が50%変位するまで粒子を変形させても粒子が破壊しない場合には圧縮変位が粒子径の50%になるまで、粒子を変位させ、各変位量における圧縮弾性率の値(K値)を縦軸に、変位量を横軸にプロットしたときに、K値が極小となる値(すなわちK値極小値;N/mm)と、K値極小値を示すときの変位量(すなわちK値極小値での直径に対する変位量;μm)を求めた。なお、測定は各試料について、異なる10個の粒子に対して行い、K値極小値、K値極小値での直径に対する変位量ともに、それぞれ平均した値をその試料の測定値とした。そして、K値極小値での直径に対する変位量(μm)を用い、下記式に基づきK値極小値を示す圧縮率(%)を算出した。
K値極小値を示す圧縮率(%)=[K値極小値での直径に対する変位量の平均値(μm)/個数平均粒子径(μm)]×100
なお、各変位量における圧縮弾性率の値(K値)は、10%K値、20%K値と同様にして求めた。
<樹脂粒子の圧縮変形回復率>
微小圧縮試験機(島津製作所社製「MCT−W500」)を用いて、室温(25℃)において、試料台(材質:SKS材平板)上に散布した粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用い、「軟質表面検出」モードで、粒子の中心方向へ一定の負荷速度(2.23mN/秒)で最大荷重(49mN)まで圧縮し、そのときの変位量(μm)を測定し、これを最大変位量L1とした。次いで、一定の除負荷速度(2.23mN/秒)で最小荷重(0.49mN)まで荷重を減らしていったときの最大荷重から最小荷重までの間の変位量(μm)を測定し、これを回復変位量L2とした。なお、測定は各試料について、異なる10個の粒子に対して行い、平均した値を測定値とした。
圧縮変形回復率(%)=(L2/L1)×100
2.導電性微粒子の製造
2−1.基材(樹脂粒子)の作製
(製造例1)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水250部と、25%アンモニア水0.5部を入れ、攪拌下、滴下口から、単量体成分(シード形成モノマー)として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン40部、及びメタノール150部を添加し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を行って、メタクリロイル基を有する重合性ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製した。このポリシロキサン粒子の個数基準の平均粒子径は10.00μmであった。
次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製「ハイテノール(登録商標)NF−08」)の20%水溶液5.0部をイオン交換水200部に溶解した溶液に、単量体成分(吸収モノマー)としてメチルメタクリレート140部およびエチレングリコールジメタクリレート60部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)5部とを溶解した溶液を加え、乳化分散させて単量体成分(吸収モノマー)の乳化液を調製した。乳化分散の開始から2時間後、得られた乳化液を、ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液中に添加して、さらに攪拌を行った。乳化液の添加から1時間後、混合液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、ポリシロキサン粒子が吸収モノマーを吸収して肥大化していることが確認された。
次いで、ポリビニルアルコールの10%水溶液50.0部を加え、窒素雰囲気下で反応液を65℃まで昇温させて、65℃で3時間保持し、単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下120℃で2時間真空乾燥し、樹脂粒子(1)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
(製造例2)
製造例1において、吸収モノマーの使用量をメチルメタクリレート180部、エチレングリコールジメタクリレート20部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(2)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
(製造例3)
製造例2において、ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製するにあたり、イオン交換水の使用量を350部に、メタノールの使用量を210部に変更したこと以外は、製造例2と同様にして、メタクリロイル基を有する重合性ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製した。このポリシロキサン粒子の個数基準の平均粒子径は7.46μmであった。さらに製造例2と同様にしてシード粒子への吸収モノマーの吸収およびラジカル重合を行うことによって、樹脂粒子(3)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
(製造例4)
製造例1において、吸収モノマーの種類と使用量をメチルメタクリレート200部に変更するとともに、乾燥を窒素雰囲気下80℃で12時間真空乾燥することにより行ったこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(4)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
(製造例5)
製造例1において、吸収モノマーの種類と使用量をメチルメタクリレート180部およびテトラエチレングリコールジメタクリレート20部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(5)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
(製造例6)
製造例1において、吸収モノマーの種類と使用量をメチルメタクリレート180部および1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート20部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(6)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
(製造例7)
製造例1において、ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製するにあたり、イオン交換水の使用量を450部に、メタノールの使用量を270部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、メタクリロイル基を有する重合性ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製した。このポリシロキサン粒子の個数基準の平均粒子径は6.70μmであった。さらに、吸収モノマーの種類と使用量をメチルメタクリレート540部およびエチレングリコールジメタクリレート60部に変更したこと以外は、製造例1と同様にしてシード粒子への吸収モノマーの吸収およびラジカル重合を行うことによって、樹脂粒子(7)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
(製造例8)
製造例7において、吸収モノマーの種類と使用量をメチルメタクリレート900部およびエチレングリコールジメタクリレート300部に変更したこと以外は、製造例7と同様にして、樹脂粒子(8)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
以上の製造例1〜8で得られた樹脂粒子(1)〜(8)におけるケイ素含有量を測定した結果、Si換算値で表して、いずれの樹脂粒子も3質量%以下であった。なお、ケイ素含有量は、樹脂粒子1gを空気雰囲気下で1000℃で焼成したときの灰分質量(これをSiO量とする)からSi分に相当する質量を算出し、該Si量を焼成処理に供した樹脂粒子の質量で除すことにより求めた。灰分質量からSi分に相当する質量は、灰分質量に0.4672(Si原子量/SiO式量)を乗じることによって求めた。
(製造例9)
製造例1において、吸収モノマーの種類と使用量をエチレングリコールジメタクリレート200部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(9)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表2に示すとおりであった。
(製造例10)
製造例1において、吸収モノマーの種類と使用量をメチルメタクリレート50部、エチレングリコールジメタクリレート50部および新日鐡化学社製「DVB960」(ジビニルベンゼン96%、ビニル系非架橋性単量体(エチルビニルベンゼン等)4%含有品)100部とに変更したこと以外は、製造例1と同様にして、樹脂粒子(10)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表2に示すとおりであった。
(製造例11)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水300部と、25%アンモニア水0.3部を入れ、攪拌下、滴下口から、単量体成分(シード形成モノマー)としてフェニルトリメトキシシラン30部、及びメタノール60部を添加し、フェニルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を行って、ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製した。このポリシロキサン粒子の個数基準の平均粒子径は8.20μmであった。
次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製「ハイテノール(登録商標)NF−08」)の20%水溶液21部をイオン交換水900部に溶解した溶液に、単量体成分(吸収モノマー)として新日鐡化学社製「DVB960」(ジビニルベンゼン96%、ビニル系非架橋性単量体(エチルビニルベンゼン等)4%含有品)900部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)9部とを溶解した溶液を加え、乳化分散させて単量体成分(吸収モノマー)の乳化液を調製した。乳化分散の開始から2時間後、得られた乳化液を、ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液中に添加して、さらに攪拌を行った。乳化液の添加から80時間後、混合液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、ポリシロキサン粒子が吸収モノマーを吸収して肥大化していることが確認された。
次いで、ポリビニルアルコールの10%水溶液372.0部を加え、窒素雰囲気下で反応液を65℃まで昇温させて、65℃で3時間保持し、単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下120℃で2時間真空乾燥し、樹脂粒子(11)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表2に示すとおりであった。
(製造例12)
製造例1において、ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製するにあたり、イオン交換水の使用量を400部に、メタノールの使用量を320部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、メタクリロイル基を有する重合性ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製した。このポリシロキサン粒子の個数基準の平均粒子径は5.18μmであった。さらに、吸収モノマーの種類と使用量を新日鐡化学社製「DVB960」(ジビニルベンゼン96%、ビニル系非架橋性単量体(エチルビニルベンゼン等)4%含有品)200部に変更したこと以外は、製造例1と同様にしてシード粒子への吸収モノマーの吸収およびラジカル重合を行うことによって、樹脂粒子(12)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表2に示すとおりであった。
(製造例13)
製造例1において、ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製するにあたり、イオン交換水の使用量を480部に、メタノールの使用量を300部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして、メタクリロイル基を有する重合性ポリシロキサン粒子(シード粒子)の分散液を調製した。このポリシロキサン粒子の個数基準の平均粒子径は6.30μmであった。さらに、吸収モノマーの種類と使用量をn−ブチルメタクリレート720部およびエチレングリコールジメタクリレート80部に変更したこと以外は、製造例1と同様にしてシード粒子への吸収モノマーの吸収およびラジカル重合を行うことによって、樹脂粒子(13)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
(製造例14)
製造例13において、吸収モノマーの種類と使用量をn−ブチルメタクリレート720部およびトリエチレングリコールジメタクリレート80部に変更したこと以外は、製造例13と同様にして、樹脂粒子(14)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
(製造例15)
製造例13において、吸収モノマーの種類と使用量をn−ブチルメタクリレート720部およびトリプロピレングリコールジメタクリレート80部に変更したこと以外は、製造例13と同様にして、樹脂粒子(15)を得た。得られた樹脂粒子の平均粒子径、CV値、10%K値、20%K値、10%K値/20%K値、圧縮変形回復率、K値極小値、K値極小値を示す圧縮率は表1に示すとおりであった。
以上の製造例13〜15で得られた樹脂粒子(13)〜(15)におけるケイ素含有量を測定した結果、Si換算値で表して、いずれの樹脂粒子も3質量%以下であった。なお、ケイ素含有量の測定は樹脂粒子(1)〜(8)と同様にして行った。
2−2.導電性微粒子の作製(導電性金属層の形成)
(実施例1)
基材とする樹脂粒子(1)に、水酸化ナトリウムによるエッチング処理を施した後、二塩化スズ溶液に接触させることによりセンシタイジングし、次いで二塩化パラジウム溶液に浸漬させることによりアクチベーティングする方法(センシタイジング−アクチベーション法)によって、パラジウム核を形成させた。次に、パラジウム核を形成させた樹脂粒子2部をイオン交換水400部に添加し、超音波分散処理を行った後、得られた樹脂粒子懸濁液を70℃の温浴で加温した。このように懸濁液を加温した状態で、別途70℃に加温した無電解めっき液(日本カニゼン(株)製「シューマー(登録商標)S680」)300部を加えることにより、無電解ニッケルめっき反応を生じさせた。水素ガスの発生が終了したことを確認した後、固液分離を行い、イオン交換水、メタノールの順で洗浄し、100℃で2時間真空乾燥して、ニッケルめっきを施した粒子を得た。次いで、得られたニッケルめっき粒子を、シアン化金カリウムを含有する置換金めっき液に加え、ニッケル層表面にさらに金めっきを施すことにより、導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子における導電性金属層の膜厚は表1に示すとおりであった。
(実施例2〜11、比較例1〜3および参考例1)
基材として表1に示す樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を作製した。得られた導電性微粒子における導電性金属層の膜厚は表1および表2に示すとおりであった。
3.異方性導電材料の作製と評価
実施例、比較例および参考例で得られた導電性微粒子を用い、下記の方法で異方性導電材料(異方性導電ペースト)を作製し、その性能を下記の方法で評価した。評価結果は表1および表2に示す。
すなわち、三本ロールを用いて、導電性微粒子1部に、バインダー樹脂としてのエポキシ樹脂(三菱化学製「JER828」)100部と、硬化剤(三新化学社製「サンエイド(登録商標)SI−150」)2部と、トルエン100部とを用いて10分間攪拌して分散させ、導電性ペーストを得た。
得られた異方性導電ペーストを、抵抗測定用の線を有した全面アルミ蒸着ガラス基板と100μmピッチに銅パターンを形成したポリイミドフィルム基板との間に挟みこみ、5MPa、150℃の圧着条件で熱圧着するとともに、バインダー樹脂を硬化させることによって接続構造体を得た。
そして、得られた接続構造体について電極間の初期抵抗値Aを測定し、初期抵抗値Aが3Ω以下の場合を接続抵抗が「◎」、3Ωを超え4Ω以下の場合を接続抵抗が「○」、4Ωを超え5Ω以下の場合を接続抵抗が「△」、5Ωを超える場合を接続抵抗が「×」、と評価した。
また、得られた接続構造体を85℃、85%RHの雰囲気下に500時間放置した後、上記初期抵抗値Aと同様に、500時間放置後の抵抗値Bを測定し、下記式に基づき算出した抵抗値上昇率(%)が1%以下の場合を経時抵抗安定性が「◎」、1%を超え3%以下の場合を「○」、3%を超える場合を「×」、と評価した。
抵抗値上昇率(%)=[(B−A)/A]×100
Figure 2012248531
Figure 2012248531
表1、表2に示すように、実施例1〜11では、比較例1〜3より回復率が低く実装後の状態において経時的な構造変化が少ないため、抵抗値上昇が低く抑えられていることがわかる。実施例1〜11の中でも実施例1は、回復率が高く実装時のバインダー排除性が高くなるため、さらに初期抵抗値が低く抑えられていることがわかる。実施例2〜11は、実施例1と比べて回復率が低いため、初期抵抗値は高くなるものの、実装後の経時変化が少ないため、抵抗値上昇が抑えられている。なお実施例11は、樹脂粒子の20%K値が1000N/mm2未満であるので、樹脂粒子の20%K値が1000N/mm2以上である他の実施例に比べると、特に初期抵抗値が高くなっている。
一方、平均粒子径が12.5μm以上でありながら、回復率が65%を超える樹脂粒子を基材とする比較例1〜3の導電性微粒子は、初期抵抗値には問題がないものの、実装後に経時的に抵抗値が上昇してしまうことがわかる。なお、平均粒子径が12.5μm未満の樹脂粒子を基材とする参考例1の導電性微粒子は、回復率が65%を超えるものであるが、粒子径が小さいので、抵抗値の経時的上昇は抑えられている。
本発明の導電性微粒子は、例えば、異方性導電ペースト、異方性導電フィルム、異方性導電接着剤、異方性導電インク等の異方性導電材料に好適に用いられる。特に、本発明の導電性微粒子は、粒子径が比較的大きいものであるので、例えばLED実装用の異方性導電ペーストなどに有用である。

Claims (3)

  1. 樹脂粒子からなる基材と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、
    前記樹脂粒子の平均粒子径が12.5μm〜50μmであり、圧縮荷重値49mNを負荷した後の圧縮変形回復率が5〜65%であることを特徴とする導電性微粒子。
  2. 前記樹脂粒子の直径が20%変位したときの圧縮弾性率(20%K値)が1000N/mm2以上、14000N/mm2以下である請求項1に記載の導電性微粒子。
  3. 請求項1または2に記載の導電性微粒子がバインダー樹脂に分散してなることを特徴とする異方性導電材料。
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