JP2012235041A - 正極電極およびリチウムイオンキャパシタ - Google Patents

正極電極およびリチウムイオンキャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】蓄電デバイスに用いた場合において、当該蓄電デバイスを高エネルギー密度および高容量のものとすることのできる正極電極を提供すること、また、高エネルギー密度および高容量のリチウムイオンキャパシタを提供すること。
【解決手段】正極電極は、BET比表面積が2400m2 /g以上であって3000m2 /g以下であり、電極密度が0.41〜0.49g/cm3 である正極活物質層を有することを特徴とする。リチウムイオンキャパシタは、上記の正極電極を有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、正極電極およびリチウムイオンキャパシタに関し、更に詳しくは、リチウムイオンキャパシタの正極電極として好適な正極電極、および当該正極電極を備えたリチウムイオンキャパシタに関する。
近年、高エネルギー密度および高出力特性を必要とする用途に対応する蓄電デバイスとして、リチウムイオンキャパシタが注目されている。
そして、リチウムイオンキャパシタにおいては、更なる高性能化が要求されていることから、高性能化を図るための種々の提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)
具体的に、特許文献1には、高エネルギー密度および高出力密度を得ることを目的として、正極電極を構成する正極活物質として、細孔半径1〜40Åの細孔容積が全細孔容積の80%以上であり、かつ全細孔容積が0.4〜1.5cc/gである活性炭粒子を用いることが提案されている。
しかしながら、このような活性炭粒子を正極活物質として用いた正極電極を備えたリチウムイオンキャパシタにおいては、十分な高エネルギー密度化および高容量化を図ることができない、という問題がある。
その理由は、リチウムイオンキャパシタの正極電極は、例えば正極活物質を含有する正極活物質層が集電体上に形成されてなる構成を有し、正極活物質層が正極活物質、結着剤および必要に応じて用いられる導電剤および増粘剤などの添加剤が水性媒体中または有機溶媒中に分散されてなるスラリーを集電体上に塗布する手法によって形成されるものであることから、その製造過程において、正極活物質を構成する活性炭粒子の表面細孔が、結着剤および必要に応じて用いられる増粘剤などの添加剤が入り込むことによって被覆あるいは閉塞され、得られる正極活物質層における活性炭粒子に係る細孔容量が小さくなってしまうからである。
なお、電気二重層キャパシタ用の電極を製造するためのスラリーを調製する過程において、活物質層の耐剥離性を向上させることを目的として、活物質を構成する活性炭などの多孔質体の表面細孔に結着剤が入り込むことを抑制するための手法が提案されているが(特許文献2参照)、高容量化を図ることについては検討がなされていない。
一方、電気二重層キャパシタにおいては、高容量および高容量保持率を得ることを目的として、電極を構成する活物質として、異なるBTE比表面積を有する2種類の活性炭を組み合わせて用いることが提案されている(特許文献3)。
特開2006−286923号公報 特許第3511943号 特開2005−243933号公報
而して、本発明者らは、リチウムイオンキャパシタにおいて、電極を構成する活物質として、比表面積の大きな活性炭のみを用いることによっては高容量化が図れるものの、正極電極における正極活物質層が嵩高いものとなることに伴ってエネルギー密度が小さくなり、一方、比表面積の小さな活性炭のみを用いることによっては高エネルギー密度化は図れるものの、容量が小さいものとなってしまうことに鑑み、正極電極を構成する正極活物質として、異なるBTE比表面積を有する2種類の活性炭を組み合わせて用いることを検討したが、その結果、単に2種類の活性炭を組み合わせて用いることによっては、更なる高性能化に応じるべく十分な高エネルギー密度化および高容量化を図ることができないことが明らかとなった。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、蓄電デバイスに用いた場合において、当該蓄電デバイスを高エネルギー密度および高容量のものとすることのできる正極電極を提供することにある。
本発明の他の目的は、高エネルギー密度および高容量のリチウムイオンキャパシタを提供することにある。
本発明の正極電極は、BET比表面積が2400m2 /g以上であって3000m2 /g以下であり、電極密度が0.41〜0.49g/cm3 である正極活物質層を有することを特徴とする。
本発明の正極電極においては、前記正極活物質層は、BET比表面積が2500m2 /gを超え3200m2 /g以下である第1正極活物質と、BET比表面積が1500m2 /g以上であって2000m/g以下である第2正極活物質とを含有してなることが好ましい。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、上記の正極電極を有することを特徴とする。
本発明の正極電極によれば、正極活物質層が、特定のBET比表面積を有すると共に特定の密度を有するものであることから、蓄電デバイスの正極電極として用いた場合において、当該蓄電デバイスに高エネルギー密度および高容量が得られる。
このような本発明の正極電極は、リチウムイオンキャパシタに適用した場合において、その効果が顕著となる。
本発明の正極電極においては、正極活物質層を構成する正極活物質として、ぞれぞれ特定のBET比表面積を有する2種類の正極活物質を組み合わせて用いることにより、大きなBET比表面積を有する第1正極活物質の作用によって高容量化が図られると共に、小さなBET比表面積を有する第2正極活物質の作用によって高密度化が図られ、しかも、正極活物質層を、正極活物質、結着剤および必要に応じて導電剤および増粘剤などの添加剤が水性媒体中または有機溶媒中に分散されてなるスラリーから形成する過程において、特に大きなBET比表面積を有する正極活物質の表面細孔内に、結着剤および必要に添加される増粘剤などの添加剤が入り込みにくくなり、また、スラリーの調製工程を制御することによって正極活物質の表面細孔内への結着剤などの侵入を抑制することが可能となり、その結果、正極活物質層における表面細孔が結着剤などによって被覆あるいは閉塞されることに起因する、当該正極活物質の細孔容量の減少が抑制されることから、正極活物質層を所望のBET比表面積および密度を有するものとすることができる。
本発明のリチウムイオンキャパシタによれば、本発明の正極電極が用いられていることから、高エネルギー密度および高容量が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の正極電極は、正極活物質が結着剤によって結着された状態の正極活物質層を有するものであり、当該正極活物質層が、BET比表面積が2400m/g以上であって3000m/g以下であり、電極密度が0.41〜0.49g/cm3 であることを特徴とするものである。
この本発明の正極電極は、リチウムイオンキャパシタの正極電極として好適に用いられ、例えば集電体上における一方の表面あるいは両方の表面に正極活物質層が積層されてなる構成を有する、大容量のリチウムイオンキャパシタに適した構造のものである。
ここに、本明細書中において、「正極電極」とは、放電の際に電流が流れ出る側の電極をいう。
以下において、本発明の正極電極をリチウムイオンキャパシタの正極電極として用いる場合について説明する。
本発明の正極電極において、正極活物質層のBET比表面積は、2400m/g以上であって3000m/g以下であることが必要とされるが、好ましくは2500〜3000m/gであり、更に好ましくは2600〜3000m/gである。
正極活物質層のBET比表面積が過小である場合には、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、リチウムイオンキャパシタの容量が小さくなって内部抵抗が大きくなる。一方、正極活物質層のBET比表面積が過大である場合には、電極密度が小さくなり、それに起因して、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、リチウムイオンキャパシタのエネルギー密度が小さくなる。また、結着剤による正極活物質層の結着状態が不十分なものとなることに起因して電極強度が小さくなり、リチウムイオンキャパシタの製造工程上に困難が生じる。
本発明の正極電極における正極活物質層のBET比表面積は、例えばメノウ乳鉢を用いて正極活物質層を十分に粉砕、具体的には、得られる粉砕体の径が100μm以下となる程度に粉砕することによって得られる正極活物質層粉砕体を減圧条件下において乾燥処理したものをBET比表面積測定試料とし、BET比表面積測定試料0.2gを用いて比表面測定装置(具体的には、例えば「BELSORP−miniII」(日本ベル株式会社製))によって測定される値である。
本発明の正極電極において、正極活物質層の密度は、0.41〜0.49g/cm3 であることが必要とされる。
正極活物質層の電極密度が過小である場合には、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、リチウムイオンキャパシタのエネルギー密度が小さくなる。一方、正極活物質層の電極密度が過大である場合には、正極活物質層が空隙率の小さいものとなり、リチウムイオンキャパシタへの適用に際しては、正極活物質層内部に電解液が浸透しにくくなることに伴ってリチウムイオンの移動が難しくなって電子の受け渡しが難しくなることに起因してリチウムイオンキャパシタの内部抵抗が大きくなり、また容量保持率が小さくなるおそれがある。
本発明の正極電極における正極活物質層の電極密度は、乾燥状態の正極活物質層の質量と外形体積とに基づき、正極活物質層の質量を当該正極活物質層の外形体積によって除することによって得られる値である。
ここに、「正極活物質層の外形体積」とは、正極活物質層の縦寸法、横寸法および厚み寸法を測定し、その測定値に基づいて算出される体積である。
本発明の正極電極における正極活物質層を構成する正極活物質は、例えばテトラフルオロボレートのようなリチウムイオンおよび/またはアニオンを可逆的に担持できる物質である。
正極活物質層を構成する正極活物質の好ましい具体例としては、活性炭、および芳香族系縮合ポリマーの熱処理物である、例えば、ポリアセン系物質(以下、「PAS」ともいう。)が挙げられる。
正極活物質層を構成する正極活物質として用いられる活性炭においては、その平均粒子径D50(50%体積累積径)が2〜12μmであることが好ましく、特に好ましくは2〜8μmである。
平均粒子径D50が過小である場合には、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、リチウムイオンキャパシタの容量保持率が小さくなるおそれがある。その理由は、正極電極における正極活物質層の電極密度が過剰に大きくなることに伴って活性炭粒子間における空隙率が小さくなり、それに起因して電解液の枯渇が生じやすくなるためと推察される。一方、平均粒子径D50が過大である場合には、正極活物質層を形成するために必要とされる電極密度を得ることができないことから正極電極を成形することが困難となり、また、たとえ正極電極を成形できたとしても、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、リチウムイオンキャパシタのエネルギー密度が小さくなるおそれがある。
ここに、活性炭の平均粒子径D50(50%体積累積径)は、例えばX線マイクロトラック法によって測定される。
また、正極活物質層を構成する正極活物質として用いられる活性炭は、例えば活性炭原料を焼成することによって炭化処理した後、賦活処理し、更に粉砕処理をすることによって得られるものである。
前記活性炭原料としては、例えばフェノール樹脂、石油ピッチ、石油コークス、ヤシガラおよび石炭系コークスなどが用いられる。これらのうちでは、比表面積を大きくすることができることから、フェノール樹脂、石炭系コークスが好ましい。
また、前記賦活処理としては、アルカリ賦活処理および水蒸気賦活処理が好ましい。このアルカリ賦活処理に用いられるアルカリ活性化剤としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の塩類または水酸化物が好適に用いられ、特に水酸化カリウムが好ましい。
また、前記粉砕処理は、例えばボールミルなどの既知の粉砕機を用いることによって行われる。この粉砕処理によって得られる粉砕体の平均粒子径D50(50%体積累積径)はレーザー回折式マイクロトラック法によって測定される。
本発明の正極電極において、正極活物質層を構成する正極活物質としては、正極活物質層のBET比表面積を所望の範囲に調整するために、2種類以上の物質を組み合わせて用いることが好ましく、特に、BET比表面積が2500m/gを超え3200m/g以下である第1正極活物質と、BET比表面積が1500m/g以上であって2000m/g以下である第2正極活物質とを含む2種以上の物質を組み合わせて用いることが好ましい。
正極活物質層を構成する第1正極活物質において、そのBET比表面積は、2500m/gを超え3200m/g以下であることが必要とされるが、好ましくは2600〜3200m/gであり、更に好ましくは2800〜3200m/gである。
第1正極活物質のBET比表面積が過小である場合には、正極活物質層のBET比表面積が小さくなり、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、リチウムイオンキャパシタの容量が小さくなって内部抵抗が高くなる傾向がある。一方、第1正極活物質のBET比表面積が過大である場合には、嵩密度が非常に大きくなり、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、セル体積当たりのエネルギー密度が小さくなり、しかもセルにおいて必要とされる電解液の量が通常よりも多くなるためにセル質量当たりのエネルギー密度も小さくなるおそれがある。なお、BET比表面積が3200m/gを超える正極活物質は、その製造が困難なものであって現実的なものではない。
正極活物質層を構成する第2正極活物質において、そのBET比表面積は、1500m/g以上であって2000m/g以下であることが必要とされるが、好ましくは1700〜2000m/gであり、更に好ましくは1800〜2000m/gである。
第2正極活物質のBET比表面積が過小である場合には、正極活物質層のBET比表面積が小さくなり、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、リチウムイオンキャパシタの容量が小さくなって内部抵抗が高くなる傾向がある。一方、第2正極活物質のBET比表面積が過大である場合には、嵩密度が大きくなり、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、十分なエネルギー密度が得られなくなるおそれがある。
また、正極活物質層を構成する正極活物質における第1正極活物質の含有割合が80〜95質量%であり、第2正極活物質の含有割合が5〜20質量%であることが好ましい。
第1正極活物質の含有割合が過小である場合、すなわち第2正極活物質の含有割合が過大であるには、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、十分な容量が得られなくなるおそれがある。一方、第1正極活物質の含有割合が過大である場合、すなわち第2正極活物質の含有割合が過小であるには、正極活物質層の電極密度が著しく小さくなり、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、十分なエネルギー密度が得られなくなるおそれがある。
具体的に、本発明の正極電極における正極活物質層を構成する第1正極活物質および第2正極活物質としては、活性炭を用いることが好ましい。
すなわち、正極活物質層を構成する正極活物質としては、BET比表面積が2500m/gを超え3200m/g以下である活性炭よりなる第1正極活物質と、BET比表面積が1500m/g以上であって2000m/g以下である活性炭よりなる第2正極活物質とを組み合わせて用いることが好ましい。
第1正極活物質を構成する活性炭においては、平均細孔径が10nm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.5nmより大きく10nm以下である。
第1正極活物質を構成する活性炭の平均細孔径が上記の範囲内ある場合には、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、良好な放電特性が得られる。
ここに、活性炭の平均細孔径は、測定対象体としての活性炭0.2gを減圧条件下において乾燥処理したものを測定試料とし、比表面測定装置(具体的には、例えば「BELSORP−miniII」(日本ベル株式会社製))を用いて吸着等温線を求め、BET法によって得られる比表面積および全細孔容積に基づいて、活性炭に形成された細孔の形状をシリンダー状と仮定し、下記数式(1)によって算出される値である。
数式(1):
平均細孔径=(4×全細孔容量(cm3 /g)/比表面積(m2 /g))×1000
また、第1正極活物質を構成する活性炭においては、嵩密度(タップ密度)が0.3g/cm3 以下であることが好ましい。
第1正極活物質を構成する活性炭の嵩密度(タップ密度)が過大である場合には、正極活物質層の吸液量が著しく小さくなり、それに起因して、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、内部抵抗が大きくなるおそれがある。
ここに、嵩密度(タップ密度)の測定方法は、タップデンサー(具体的には、例えば「KYT−4000」(セイシン企業(株)製)を用い、シリンダー容積200ml、タッピング距離50mm、タッピング回数2000回の測定条件で測定される。
また、第2正極活物質を構成する第2活性炭においては、平均細孔径が第1正極活物質を構成する活性炭の平均細孔径よりも小さく、具体的には5nm以下であることが好ましく、特に好ましくは2nm未満である。
第1正極活物質を構成する活性炭の平均細孔径が上記の範囲内にある場合には、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、良好な放電特性が得られる。
また、第2正極活物質を構成する活性炭においては、嵩密度(タップ密度)が0.3g/cm3 以上であることが好ましい。
第2正極活物質を構成する活性炭の嵩密度(タップ密度)が過小である場合には、形成される正極活物質層に所望の電極密度が得られなくなるおそれがある。
おそれがある。
以上のような第1正極活物質を構成する活性炭および第2の正極活物質を構成する活性炭において、BET比表面積、平均細孔径および嵩密度(タップ密度)は、例えば活性炭原料の種類および賦活処理の種類などによって調整することができ、特に賦活処理としては、アルカリ賦活処理または水蒸気賦活処理が選択される。
本発明における特定正極活物質層を構成する結着剤としては、例えばスチレン・ブタジエンゴム(SBR)等のゴム系バインダー、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の炭化水素樹脂、アクリル系重合体など耐酸化性および電解液に対する耐溶解性を有する高分子物質を好適に用いることができる。
なお、後述する正極電極の製造方法において、正極活物質層を形成するために前記の高分子物質よりなる結着剤を用いず、正極活物質と、例えばカルボキシメチルセルロースなどの増粘剤として用いられる、耐酸化性を有さない高分子物質のみを用いた場合には、得られる正極電極は、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、キャパシタセル中において増粘剤が電解液を構成する非プロトン性有機溶媒を吸収して膨潤することに起因して正極活物質層の集電体に対する結着力が不足し、集電体からの正極活物質層の剥落が生じることとなる。
また、本発明の正極電極においては、正極活物質層は、正極活物質が結着剤によって結着された状態のものであれば、結着剤によって結着された状態の正極活物質が存在する層部分と共に、例えばカーボンなどよりなる導電層などの正極活物質の存在しない層部分とを有するものであってもよい。
正極活物質層を構成する導電層の厚みは、正極活物質層全体の厚みに対して5〜20%であることが好ましい。具体的には、通常、1〜20μmであることが好ましい。
また、本発明の正極電極における正極活物質層の厚みは、30〜350μmであることが好ましい。
本発明の正極電極における集電体としては、例えばエキスパンドメタルのように表裏面を貫通する貫通孔を備えたものであれば、一般にリチウム系電池に用いられる種々の材質のものを用いることができる。
具体的な材質としては、例えばアルミニウム、ステンレスなどが挙げられる。
集電体に備えられた貫通孔の形態、数などは特に限定されず、リチウムイオンが集電体に遮断されることなく電極の表裏間を移動できるよう設計されていればよい。
また、正極電極における集電体は、その厚みが特に限定されるものではないが、通常、1〜50μmであればよく、5〜40μmが好ましく、10〜40μmが特に好ましい。
本発明の正極電極は、例えば、正極活物質、結着剤、および必要に応じて使用される導電剤および増粘剤などの添加剤を、水性媒体中に分散させることによってスラリーを調製し、得られたスラリーを、必要に応じて予め導電層などの形成された集電体に塗布する方法や、調製したスラリーを予めシート状に成形し、これを好ましくは導電性接着剤を使用して集電体に貼り付ける方法などを挙げることができる。
本発明の正極電極を製造するための製造過程においては、正極活物質として、第1正極活物質と第2正極活物質とを含む2種以上の物質を組み合わせて用いる場合には、スラリーを調製する過程にて、正極活物質を含有する分散液に結着剤を添加する、具体的には、正極活物質を含有する正極活物質分散液と、結着剤を含有する結着剤分散液とを別々に調製し、正極活物質分散液に対して結着剤分散液を添加することが好ましい。
ここに、正極活物質分散液には、正極活物質と共に、結着剤以外の物質(具体的には、使用される導電剤および増粘剤などの添加剤)が含有されていてもよい。
このように、正極活物質を含有する分散液に結着剤を添加することにより、第1正極活物質と第2正極活物質とを組み合わせて用いることによって得られる正極活物質層を所望のBTE比表面積を有し、かつ所望の電極密度を有するものとすることができる、すなわち特定正極活物質層を得ることができる。
また、正極物質分散液に増粘剤が含有される場合においては、正極活物質を含有する分散液(但し、増粘剤は含有されていない)に増粘剤を添加してもよく、また、増粘剤を含有する分散液に正極活物質を添加してもよいが、正極活物質を含有する分散液(但し、増粘剤は含有されていない)に増粘剤を添加することが好ましい。正極活物質を含有する分散液に増粘剤を添加することにより、正極活物質の表面細孔内に結着剤および必要に応じて添加される増粘剤などの添加剤が侵入することを十分に抑制することができ、その結果、リチウムイオンキャパシタへの適用に際して、リチウムイオンキャパシタへの適用した際におけるに際して、より一層の高容量化および内部抵抗の低減化を図ることができる。
また、増粘剤を含有する分散液に正極活物質を添加する場合においては、増粘剤を含有する分散液とは別個に正極活物質を含有する分散液を調製し、その正極活物質を含有する分散液を、増粘剤を含有する分散液に添加することが好ましい。
結着剤の使用量は、正極活物質の電気伝導度、形成すべき正極電極の形状などによっても異なるが、正極活物質100質量%に対して1〜15質量%であることが好ましい。
正極電極を形成するために必要に応じて使用される導電剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、グラファイト、金属粉末などが挙げられる。
導電剤の使用量は、正極活物質の電気伝導度、形成すべき正極電極の形状などによっても異なるが、正極活物質100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましい。
正極電極を形成するために必要に応じて使用される増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)およびポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。
増粘剤の使用量は、スラリー全体100質量%において1〜10質量%であることが好ましい。
以上のような本発明の正極電極によれば、正極活物質層が、特定のBET比表面積を有すると共に特定の電極密度を有するものであることから、リチウムイオンキャパシタに用いた場合において、当該リチウムイオンキャパシタに高エネルギー密度および高容量が得られる。
本発明の正極電極においては、正極活物質層を構成する正極活物質として、ぞれぞれ特定のBET比表面積を有する2種類の正極活物質(第1正極活物質および第2正極活物質)を組み合わせて用いることにより、大きなBET比表面積を有する第1正極活物質の作用によって高容量化が図られると共に、小さなBET比表面積を有する第2正極活物質の作用によって高密度化が図られ、しかも、正極活物質層を、正極活物質、結着剤および必要に応じて導電剤および増粘剤などの添加剤が水性媒体中または有機溶媒中に分散されてなるスラリーから形成する過程において、特に大きなBET比表面積を有する第1正極活物質の表面細孔内に、結着剤および必要に添加される増粘剤などの添加剤が入り込みにくくなり、また、スラリーを調製工程を制御することによって正極活物質の表面細孔内への結着剤などの侵入を抑制することが可能となり、その結果、正極活物質層における表面細孔が結着剤などによって被覆あるいは閉塞されることに起因する、当該正極活物質の細孔容量の減少が抑制されることから、正極活物質層が所望のBET比表面積および電極密度を有するものとすることができる。
本発明の正極電極は、リチウムイオンキャパシタに適用した場合において、その効果が顕著となることから、リチウムイオンキャパシタの正極電極として用いることが好ましいが、リチウムイオンキャパシタ以外の蓄電デバイスに適用することもできる。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、正極電極として本発明の正極電極が備えられてなることを特徴とするものである。
この本発明のリチウムイオンキャパシタは、基本的に、本発明の正極電極および負極電極、並びにリチウムイオンを移送可能な電解質を含有する電解液を備え、リチウムイオンの移動を伴うものであって、当該正極電極が、表裏面を貫通する貫通孔を備えた集電体を備え、正極活物質としてリチウムイオンおよび/またはアニオンを可逆的に担持可能な物質を含有し、また、当該負極電極が、表裏面を貫通する貫通孔を備えた集電体を備え、負極活物質としてリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質を含有し、負極電極にリチウムが電気化学的にドーピングされたキャパシタセルよりなるものである。
ここに、本明細書中において、「負極電極」とは放電の際に電流が流れ込む側の電極をいう。なお、「正極電極」とは、前述のように放電の際に電流が流れ出る側の電極である。
このキャパシタセルにおけるリチウムイオンのドーピングは、負極電極および正極電極を構成する活物質の種類などを考慮し、このような不具合を生じない量とすることが好ましい。
また、本発明のリチウムイオンキャパシタを構成するキャパシタセルは、特に、負極活物質の単位質量当たりの静電容量が正極活物質の単位質量当たりの静電容量の3倍以上であり、かつ、正極活物質の質量が負極活物質の質量よりも大きく、1.1〜10倍であるものとされることが好ましい。
このようなキャパシタセルによれば、高電圧かつ大容量が達成される。また、正極電極の単位質量当たりの静電容量に対して極めて大きな単位質量当たりの静電容量を有する負極電極を用いたキャパシタセルによれば、高電圧が達成されると同時に、設計上負極電極の電位の変化量を維持したまま負極活物質の質量を減らすことが可能となって正極活物質の充填量を多くすることができるので、当該キャパシタセルが静電容量および容量の大きなものとされる。
ここに、正極活物質の質量が負極活物質の質量の1.1倍未満である場合には、正極電極の容量と負極電極の容量との差が小さくなり、また正極活物質の質量が負極活物質の質量の10倍を超える場合には、キャパシタセルの容量が小さくなるおそれがあると共に、正極電極と負極電極との厚みの差が過剰に大きくなってキャパシタセルの構造上好ましくない。
なお、本発明において、静電容量および容量は、次のように定義される。
キャパシタセルの静電容量とは、当該キャパシタセルの単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)を示す(単位:F)。
また、キャパシタセルの単位質量当たりの静電容量とは、キャパシタセルの静電容量に対する正極活物質と負極活物質の合計質量の除で示されるものである(単位:F/g)。
また、正極電極または負極電極の静電容量とは、正極電極あるいは負極電極の単位電圧当たりキャパシタセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)を示す(単位:F)。
また、正極電極あるいは負極電極の単位質量当たりの静電容量とは、正極電極あるいは負極電極の静電容量を正極あるいは負極活物質の質量の除で示されるものである(単位:F/g)。
さらに、キャパシタセルの容量とは、キャパシタセルの放電開始電圧と放電終了電圧との差、すなわち電圧変化量とキャパシタセルの静電容量の積である(単位:C)。
なお、1.0Cは1秒間に1.0Aの電流が流れたときの電荷量であるので、本明細書においては換算してmAhと表示する。
また、正極電極の容量とは、放電開始時の正極電極の電位と放電終了時の正極電極の電位の差(正極電極の電位変化量)と正極電極の静電容量の積である(単位:CまたはmAh)。同様に、負極電極の容量とは放電開始時の負極電極の電位と放電終了時の負極電極の電位の差(負極電極の電位変化量)と負極電極の静電容量の積である(単位:CまたはmAh)。
これらキャパシタセルの容量と、正極電極の容量および負極電極の容量は一致する。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおいて、負極電極にリチウムをドーピングさせる手段は特に限定されず、例えば、リチウムイオンを供給可能な、金属リチウムなどのリチウムイオン供給源をリチウム極としてキャパシタセル内に配置する方法などを挙げることができる。リチウム極は負極電極に物理的に接触(短絡)させた状態で配置させてもよく、電気化学的にドーピングできる位置に配置させてもよい。
リチウムイオンを電気化学的にドーピングさせる場合は、正極電極および負極電極を構成する集電体が貫通孔を備えるものであるために、キャパシタセルが捲回型セルや積層型セルとして構成されたものであっても、リチウム極を最外周または最外側のキャパシタセルの一部、具体的には例えば1つの正極電極または負極電極に対向する位置にのみ設ければ、電気化学的にすべての負極電極に、スムーズかつ均一にリチウムイオンをドーピングさせることができる。
リチウム極としては、例えば、導電性多孔体からなる集電体上にリチウムイオン供給源が形成されたものを用いることができる。リチウム極の集電体となる導電性多孔体としては、ステンレスメッシュなどのリチウムイオン供給源と反応しない金属多孔体を使用することができる。
また、リチウムイオン供給源から電気化学的にドーピングする場合、リチウムイオン供給源とは、リチウム金属やリチウム−アルミニウム合金などのように、少なくともリチウムを含有し、リチウムイオンを供給することのできる物質をいう。
リチウムイオン供給源の量(リチウム金属などの質量)は、所定の負極電極の容量が得られる量であればよい。
本発明のリチウムイオンキャパシタを構成する負極電極は、例えば集電体上における一方の表面あるいは両方の表面に、負極活物質が結着剤によって結着された状態の負極活物質層が積層されてなる構成を有するものである。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおいて、負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に担持できる物質である。
負極活物質の好ましい具体例としては、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)などの炭素材料、または、芳香族系縮合ポリマーの熱処理物である、例えば、ポリアセン系物質(PAS)等が好ましい。
負極電極の負極活物質層を構成する結着剤としては、前述の正極電極の正極活物質層を構成する結着剤と同様のものを挙げることができる。
また、負極電極における負極活物質層の厚みは、20〜250μmであることが好ましい。
集電体としては、前述の正極電極を構成する集電体と同様に、例えばエキスパンドメタルのように表裏面を貫通する貫通孔を備えたものであれば、一般にリチウム系電池に用いられる種々の材質のものを用いることができる。
具体的な材質としては、例えばステンレス、銅、ニッケルなどが挙げられる。
集電体に備えられた貫通孔の形態、数などは特に限定されず、リチウムイオンが集電体に遮断されることなく電極の表裏間を移動できるよう設計されていればよい。
また、負極電極における集電体は、その厚みが特に限定されるものではないが、通常、1〜50μmであればよく、5〜40μmが好ましく、10〜40μmが特に好ましい。
本発明のリチウムイオンキャパシタを構成する負極電極は、負極活物質および結着剤、並びに必要に応じて使用される導電剤から製造される。
具体的には、例えば負極活物質、結着剤、および必要に応じて使用される導電剤および増粘剤などの添加剤を、水系媒体中に分散させてスラリーとし、当該スラリーを集電体に塗布する方法や、上記のスラリーを予めシート状に成形し、これを好ましくは導電性接着剤を使用して集電体に貼り付ける方法などを挙げることができる。
負極を形成するための結着剤の使用量は、前述の正極電極を形成するための結着剤の使用量と同様の範囲とすることができる。
負極を形成するために必要に応じて使用される導電剤としては、前述の正極電極を形成するために必要に応じて使用される導電剤と同様のものを挙げることができ、その使用量も同様の範囲とすることができる。
負極を形成するために必要に応じて使用される増粘剤としては、前述の正極電極を形成するために必要に応じて使用される増粘剤と同様のものを挙げることができ、その使用量も同様の範囲とすることができる。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおいては、電解液として、非プロトン性有機溶媒電解質溶液(非プロトン性有機溶媒によるリチウム塩の電解質溶液)が用いられる。
本発明における電解液を構成する非プロトン性有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホランなどが挙げられる。
これは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明における電解液を構成する電解質は、リチウムイオンを生成しうる電解質であればよく、種々のものを用いることができる。
前記電解質の具体例としては、例えばLiClO4 、LiAsF6 、LiBF4 、LiPF6 、LiN(C2 5 SO2 2 、LiN(CF3 SO2 2などが挙げられる。
電解液としての非プロトン性有機溶媒電解質溶液中における電解質の濃度は、低い内部抵抗が得られることから、少なくとも0.1モル/l以上であることが好ましい。
ここに、電解液を構成する非プロトン性有機溶媒電解質溶液は、十分に脱水された状態の電解質と非プロトン性有機溶媒とを混合することによって得られるものである。
本発明に係るリチウムイオンキャパシタの構造としては、特に、帯状の正極電極と負極電極とをセパレータを介して捲回させる捲回型セル、板状の正極電極と負極電極とをセパレータを介して各3層以上積層された積層型セル、あるいは、板状の正極電極と負極電極とをセパレータを介した各3層以上積層物を外装フィルム内に封入したフィルム型セルなどの大容量のキャパシタセルに適した構造が挙げられる。
これらのキャパシタセルの構造は、国際公開WO00/07255号公報、国際公開WO03/003395号公報、特開2004−266091号公報などにより既知であり、本発明のキャパシタセルも係る既存のセルと同様の構成とすることができる。
本発明のリチウムイオンキャパシタによれば、本発明の正極電極が用いられていることから、高エネルギー密度および高容量が得られる。
このような本発明のリチウムイオンキャパシタは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの駆動用電源または補助用電源として極めて有効なものである。また、電気自転車、電気車椅子などの駆動用電源、ソーラーエネルギー発電機、風力発電機などのエネルギー蓄電装置、あるいは過程用電気器具の蓄電源などとして好適に用いることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(負極スラリーの調製例1)
先ず、厚さ0.5mmの熱硬化性フェノール樹脂成形板を電気炉中に入れ、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/時間で1100℃まで昇温し、温度1100℃で2時間保持することによって熱処理することにより、ハードカーボンを合成した。得られたハードカーボンをディスクミルを用いて平均粒子径3μmまで粉砕することにより、ハードカーボン粉体を得た。
次に、得られたハードカーボン粉体92質量部に対し、アセチレンブラック粉体6質量部、水溶性アクリレート系共重合体バインダー5質量部、カルボキシメチルセルロース4質量部、イオン交換水200質量部を加えて混合撹拌機にて充分混合することにより負極スラリー(以下、「負極スラリー(1)」ともいう。)を得た。
(正極スラリーの調製例1)
先ず、第1正極活物質としてのBET比表面積2900m2 /g、平均細孔径1.1nm、嵩密度(タップ密度)0.23g/cm3 、平均粒子径(平均粒子径D50)4μmの市販の活性炭粉末73.6質量部、第2正極活物質としてのBET比表面積1800m2 /g、平均細孔径0.8nm、嵩密度(タップ密度)0.58g/cm3 、平均粒子径D504μmの市販の活性炭粉末18.4質量部、導電剤としてのアセチレンブラック粉体6質量部、およびイオン交換水120質量部を2軸遊星撹拌機を用いて混合することにより、正極活物質と導電剤とが分散されてなる分散液を得た。
次いで、得られた分散液に、イオン交換水36質量部に溶解させた、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース4質量部を添加し、2軸遊星撹拌機を用いて混合した後、イオン交換水44質量部および水溶性アクリル系共重合体バインダー6質量部を添加し、2軸遊星撹拌機を用いて混合することにより、正極スラリー(以下、「正極スラリー(1)」ともいう。)を得た。
以下、この正極スラリーの調製方法を「調製法A」と称する。
(正極スラリーの調製例2)
正極スラリーの調製例1において、第1正極活物質としてのBET比表面積2900m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.23g/cm3 の市販の活性炭粉末82.8質量部、第2正極活物質としてのBET比表面積1800m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.58g/cm3の市販の活性炭粉末9.2質量部を用いたこと以外は当該正極スラリーの調製例1と同様にして正極スラリー(以下、「正極スラリー(2)」ともいう。)を得た。
(正極スラリーの調製例3)
正極スラリーの調製例1において、第1正極活物質としてのBET比表面積3200m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.22g/cm3の市販の活性炭粉末82.8質量部、第2正極活物質としてのBET比表面積1750m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.59g/cm3の市販の活性炭粉末9.2質量部を用いたこと以外は当該正極スラリーの調製例1と同様にして正極スラリー(以下、「正極スラリー(3)」ともいう。)を得た。
(正極スラリーの調製例4)
先ず、イオン交換水196質量部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース4質量部を2軸遊星撹拌機を用いて混合した後、導電剤としてのアセチレンブラック粉体6質量部を添加し、2軸遊星撹拌機を用いて混合することにより、増粘剤と導電剤とが分散されてなる分散液を得た。
次いで、得られた分散液に、第1正極活物質としてのBET比表面積3200m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.22g/cm3 の市販の活性炭粉末82.8質量部、第2正極活物質としてのBET比表面積1750m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.59g/cm3の市販の活性炭粉末9.2質量部を添加し、2軸遊星撹拌機を用いて混合した後、イオン交換水4質量部および水溶性アクリル系共重合体バインダー6質量部を添加し、2軸遊星撹拌機を用いて混合することにより、正極スラリー(正極スラリー(4))を得た。
以下、この正極スラリーの調製方法を、「調製法B」と称する。
(正極スラリーの調製例5)
正極スラリーの調製例1において、第1正極活物質としてのBET比表面積2700m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.23g/cm3の市販の活性炭粉末87.4質量部、第2正極活物質としてのBET比表面積1950m2 /gの市販の活性炭粉末4.6質量部を用いたこと以外は当該正極スラリーの調製例1と同様にして正極スラリー(以下、「正極スラリー(5)」ともいう。)を得た。
(正極スラリーの調製例6(比較用正極スラリーの調製))
正極電極の製造例1において、正極活物質として、BET比表面積2150m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.28g/cm3の市販の活性炭粉末92.0質量部を用いたこと以外は当該正極スラリーの調製例1と同様にして正極スラリー(以下、「正極スラリー(6)」ともいう。)を得た。
(正極スラリーの調製例7(比較用正極スラリーの調製))
正極スラリーの調製例1において、正極活物質として、BET比表面積2900m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.23g/cm3の市販の活性炭粉末73.6質量部と、比表面積2150m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.28g/cm3の市販の活性炭粉末18.4質量部を用いたこと以外は当該正極スラリーの調製例1と同様にして正極スラリー(以下、「正極スラリー(7)」ともいう。)を得た。
(正極スラリーの調製例8(比較用正極スラリーの調製))
正極スラリーの調製例1において、正極活物質として、BET比表面積2900m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.23g/cm3の市販の活性炭粉末92.0質量部を用いたこと以外は当該正極スラリーの調製例1と同様にして正極スラリー(以下、「正極スラリー(8)」ともいう。)を得た。
(正極スラリーの調製例9(比較用正極スラリーの調製))
正極スラリーの調製例1において、正極活物質として、BET比表面積1800m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.58g/cm3の市販の活性炭粉末92.0質量部を用いたこと以外は当該正極スラリーの調製例1と同様にして正極スラリー(以下、「正極スラリー(9)」ともいう。)を得た。
(正極スラリーの調製例10(比較用正極スラリーの調製))
正極スラリーの調製例1において、正極活物質として、BET比表面積3400m2 /g、嵩密度(タップ密度)0.23g/cm3の市販の活性炭粉末92.0質量部を用いたこと以外は当該正極スラリーの調製例1と同様にして正極スラリー(以下、「正極スラリー(10)」ともいう。)を得た。
(負極電極テストサンプルの作製例1)
先ず、集電体として厚さ35μm、気孔率50%の銅製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)を用意し、その銅製エキスパンドメタルの両面に、ロールコーターを用いて、負極スラリー(1)を塗工した後、プレス処理することによって集電体上に負極活物質層を形成することにより、負極電極シート(以下、「負極テストサンプル(1)」ともいう。)を作製した。
得られた負極テストサンプル(1)を用いることにより、後述のリチウムイオンキャパシタの製造例によってリチウムイオンキャパシタを作製した。
(正極電極テストサンプルの作製例1〜10)
先ず、集電体として厚さ35μm、気孔率50%のアルミニウム製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)を用意し、そのアルミニウム製エキスパンドメタルの両面に非水系カーボン系導電塗料「EB−815」(日本アチソン株式会社製)をスプレー方式によってコーティングし、乾燥処理することにより、集電体上に厚み5μmの導電層を形成した。導電層が形成された集電体においては、銅製エキスパンドメタルの貫通孔が導電層によって略閉塞された状態とされていた。
次いで、導電層の形成された集電体の両面に、ロールコーターを用いて、各々、正極スラリー(1)〜正極スラリー(10)を塗工した後、プレス処理することによって集電体に形成された導電層上に正極スラリーよりなる層(以下、「正極スラリー層」ともいう。)を形成することにより、集電体上に導電層と正極スラリー層との積層体よりなる正極活物質層を有する正極電極シート(以下、各々、「正極テストサンプル(1)」〜「正極テストサンプル(10)」ともいう。)を作製した。
得られた正極テストサンプル(1)〜正極テストサンプル(10)を用いることにより、後述のリチウムイオンキャパシタの製造例によってリチウムイオンキャパシタを作製し、また、下記の手法によって正極活物質層のBET比表面積および電極密度を測定した。結果を表1に示す。
正極テストサンプル(10)については、正極活物質に対する結着剤量が不十分であるために正極活物質層を形成することができなかったことから、この正極テストサンプル(10)における正極活物質層のBET比表面積および電極密度を測定することはできなかった。
(正極電極における正極活物質層の比表面積の測定方法)
先ず、正極テストサンプル(1)〜正極テストサンプル(10)の各々の正極活物質層を削り取り、その削取物をメノウ乳鉢を用い、得られる粉砕体の径が100μm以下となる程度まで粉砕することにより、正極活物質層の構成成分(具体的には、正極スラリー層の構成成分である正極活物質、結着剤、導電剤、増粘剤および導電層)の混合物よりなる粉砕体を得る。
次いで、得られた粉砕体0.2gを採取して試料管に仕込み、温度200℃の条件で24時間かけて減圧乾燥処理した後、その減圧乾燥処理した粉砕体のBET比表面積を、比表面積測定装置「BELSORP−miniII」(日本ベル株式会社製)を用いて測定する。
(正極電極における正極活物質層の電極密度の測定)
正極テストサンプル(1)〜正極テストサンプル(10)の各々から40mm×60mmの縦横寸法の電極密度測定用試料を切り出し、その電極密度測定用試料の質量と外形体積とを測定し、その測定値に基づいて正極活物質層の質量および当該正極活物質層の外形体積とを算出し、得られた正極活物質層の質量値および正極活物質層の外形体積値に基づいて、質量値を外形体積値によって除することにより、電極密度を算出する。
〔実施例1:リチウムイオンキャパシタの製造例1〕
(負極容量評価サンプルの作製)
集電体として厚さ18μmの銅箔を用意し、その銅箔の片面に、負極スラリー(1)を、7mg/cm2 (固形分換算)の塗工条件で塗工した後、乾燥処理およびプレス処理を行うことにより、負極電極(以下、「負極容量評価サンプル(1)」ともいう。)を作製した。
(負極電極の単位質量当たりの静電容量の測定)
先ず、負極容量評価サンプル(1)から1.5cm×2.0cm(面積3.0cm2 )の寸法の静電容量測定用試料を切り出し、静電容量測定用の負極電極とした。その負極電極の対極として、1.5cm×2.0cm(面積3.0cm2 )の寸法を有する、厚み200μmの金属リチウムと用意すると共に、セパレータとして厚み50μmのポリエチレン製不織布を用意し、正極電極の両面にセパレータを介して対極を配置し、また参照極として金属リチウム、電解液としてLiPF6 が濃度1モル/lで溶解されてなるプロピレンカーボネート溶液が用いられてなる構成の模擬セルを作製した。
次いで、得られた模擬セルに対して充填電流1mAで負極活物質質量に対して400mAh/g分のリチウムイオンを充電した後、充電電流1mAの条件でセル電圧(キャパシタの電圧)が1.5Vとなるまで充電を行った。その後、放電開始1分間後の負極電極の電位から、セル電圧(キャパシタの電圧)が0.2V変化する間の放電時間に基づいて負極電極の単位質量当たりの静電容量を求めたところ、661F/gであった。
(正極容量評価サンプルの作製)
集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を用意してカーボン系導電塗料をコーティングすることによって厚み5μmの導電層を形成し、そのカーボン系導電塗料をコーティングした厚さ30μmのアルミニウム箔の片面に、正極スラリー(1)を、7mg/cm2 (固形分換算)の塗工条件で塗工した後、乾燥処理およびプレス処理を行うことにより、静電容量測定用の正極電極サンプル(以下、「正極容量評価サンプル(1)」ともいう。)を作製した。
(正極電極の単位質量当たりの静電容量の測定)
先ず、正極容量評価サンプル(1)から1.5cm×2.0cm(面積3.0cm2 )の寸法の静電容量測定用試料を切り出し、静電容量測定用の正極電極とした。その正極電極の対極として、1.5cm×2.0cm(面積3.0cm2 )の寸法を有する、厚み200μmの金属リチウムと用意すると共に、セパレータとして厚み50μmのポリエチレン製不織布を用意し、正極電極の両面にセパレータを介して対極を配置し、また参照極として金属リチウム、電解液としてLiPF6 が濃度1モル/lで溶解されてなるプロピレンカーボネート溶液が用いられてなる構成の模擬セルを作製した。
次いで、得られた模擬セルについて、充電電流1mAの条件でセル電圧が3.6Vとなるまで充電し、その後定電圧充電を、総充電時間が1時間となるまで行った。その後、放電電流1mAの条件でセル電圧(キャパシタの電圧)が2.5Vとなるまで放電を行った。この放電中におけるセル電圧(キャパシタの電圧)が3.5V〜2.5Vの間の放電時間に基づいて単位質量当たりの静電容量を求めたところ、92F/gであった。
〈電極積層体の作製〉
先ず、負極テストサンプル(1)をカットすることにより、6.0cm×7.5cm(面積45cm2 )の寸法を有する電極本体と当該電極本体に連続する端子接続部とを備えた負極電極を11枚作製した。また、正極テストサンプル(1)をカットすることにより、5.8cm×7.3cm(面積42.34cm2 )の寸法を有する電極本体と当該電極本体に連続する端子接続部とを備えた正極電極を10枚作製した。
次いで、10枚の正極電極と、11枚の負極電極とを、厚み35μmのセルロース/レーヨン混合不織布をセパレータとして用い、正極電極における端子溶接部と、負極電極における端子溶接部とがそれぞれ反対側となり、また、正極電極における正極活物質層と負極電極における負極活物質層との対向面が20層となる共に、最下部およびその内側の正極電極と負極電極との間(以下、「最下部内側正負極間」ともいう。)には各2枚のセパレータを配置し、最上部および最下部内側正負極間以外の正極電極と負極電極との間には各1枚のセパレータを配置した状態で積層し、4辺をテープ止めした。その後、得られた積層体を構成する10枚の正極電極における端子溶接部および11枚の負極電極における端子溶接部の各々を、50mm×50mmの寸法を有する、厚さ0.2mmのアルミニウム製正極端子および50mm×50mmの寸法を有する、厚さ0.2mmの銅製負極端子に超音波溶接することにより、電極積層体を作製した。
得られた電極積層体において、正極活物質質量は負極活物質質量の1.4倍であった。
〈リチウムイオンキャパシタの作製〉
先ず、リチウム極として、6.0cm×7.5cm(面積45cm2 )の寸法を有する、厚み80μmのリチウム金属箔(200mAh/g相当)が、厚み80μmの銅メッシュよりなるリチウム極集電体に圧着されてなる構成のものを2枚用意した。その2枚のリチウム極を、電極積層体の最上部および最下部の各々に、最外側に位置する負極電極と完全に対向するようにして各1枚配置し、各リチウム極におけるリチウム極集電体の端子溶接部を銅製負極端子に抵抗溶接することにより、三極積層ユニットを作製した。
次いで、得られた三極積層ユニットに適合した寸法を有する矩形状の外装フィルムを2枚用意し、その2枚の外装フィルムのうちの6.5mm深絞りした一方の外装フィルムの中央部に三極積層ユニットを配置し、この三極積層ユニットに他方の外装フィルムを重ね合わせることによって当該三極積層ユニットを外装フィルムによって覆い三辺を融着した後、電解液(エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートおよびプロピレンカーボネートを質量比で3:4:1とした混合溶媒に、LiPF6 を濃度1モル/lで溶解した溶液)を三極積層ユニットに真空含浸させた。その後、残り一辺を融着することにより、フィルム型リチウムキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(1)」ともいう。)を4個作製した。
なお、得られたリチウムイオンキャパシタの内部に配置されたリチウム金属は負極活物質質量当たり400mAh/g相当である。
〈リチウムイオンキャパシタの初期評価〉
作製した4個のリチウムイオンキャパシタ(1)を作製してから20日間放置した後、そのうちの1個のリチウムイオンキャパシタ(1)を分解したところ、リチウム極に係るリチウム金属箔が消失していることが確認された。このことから、作製してから20日間経過後には、負極電極に対して、負極電極の単位質量当たりの静電容量が1021F/g以上となる所期の量のリチウムイオンが負極電極にドーピング(予備充電)されたと判断される。
〈リチウムイオンキャパシタの初期容量およびエネルギー密度の測定〉
3個のリチウムイオンキャパシタ(1)の各々に対し、1.5Aの定電流によってセル電圧(キャパシタの電圧)が3.8Vになるまで充電し、その後、3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を1時間行った。次いで、150mAの定電流によってセル電圧(キャパシタの電圧)が2.2Vになるまで放電した。この操作を1サイクルとして繰り返して行い、10サイクル目の放電におけるキャパシタの容量(初期容量)、エネルギー密度を測定し、3個のリチウムイオンキャパシタ(1)についての平均値を算出した。結果を下記表1に示す。
〈リチウムイオンキャパシタの内部抵抗の測定〉
「ACミリオームハイテスタ3560」(日置電機社製)を用い、3個のリチウムイオンキャパシタ(1)の各々について、温度25℃の環境条件下における1KHzの交流内部抵抗を測定し、3個のリチウムイオンキャパシタ(1)についての平均値を算出した。結果を下記表1に示す。
〔実施例2:リチウムイオンキャパシタの製造例2〕
リチウムイオンキャパシタの製造例1において、電極積層体の作製にて、正極テストサンプル(1)に代えて正極テストサンプル(2)を用いたこと以外は当該リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(2)」ともいう。)4個を得た。
得られたリチウムイオンキャパシタ(2)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によってリチウムイオンキャパシタの初期評価を行ったところ、作製してから20日間経過後には、負極電極に対して、負極電極の単位質量当たりの静電容量が1021F/g以上となる所期の量のリチウムイオンが負極電極にドーピング(予備充電)されたと判断された。
また、リチウムイオンキャパシタ(2)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によって初期容量、エネルギー密度および内部抵抗を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例3:リチウムイオンキャパシタの製造例3〕
リチウムイオンキャパシタの製造例1において、電極積層体の作製にて、正極テストサンプル(1)に代えて正極テストサンプル(3)を用いたこと以外は当該リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(3)」ともいう。)4個を得た。
得られたリチウムイオンキャパシタ(3)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によってリチウムイオンキャパシタの初期評価を行ったところ、作製してから20日間経過後には、負極電極に対して、負極電極の単位質量当たりの静電容量が1021F/g以上となる所期の量のリチウムイオンが負極電極にドーピング(予備充電)されたと判断された。
また、リチウムイオンキャパシタ(3)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によって初期容量、エネルギー密度および内部抵抗を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例4:リチウムイオンキャパシタの製造例4〕
リチウムイオンキャパシタの製造例1において、電極積層体の作製にて、正極テストサンプル(1)に代えて正極テストサンプル(4)を用いたこと以外は当該リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(4)」ともいう。)4個を得た。
得られたリチウムイオンキャパシタ(4)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によってリチウムイオンキャパシタの初期評価を行ったところ、作製してから20日間経過後には、負極電極に対して、負極電極の単位質量当たりの静電容量が1021F/g以上となる所期の量のリチウムイオンが負極電極にドーピング(予備充電)されたと判断された。
また、リチウムイオンキャパシタ(4)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によって初期容量、エネルギー密度および内部抵抗を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例5:リチウムイオンキャパシタの製造例5〕
リチウムイオンキャパシタの製造例1において、電極積層体の作製にて、正極テストサンプル(1)に代えて正極テストサンプル(5)を用いたこと以外は当該リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「リチウムイオンキャパシタ(5)」ともいう。)4個を得た。
得られたリチウムイオンキャパシタ(5)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によってリチウムイオンキャパシタの初期評価を行ったところ、作製してから20日間経過後には、負極電極に対して、負極電極の単位質量当たりの静電容量が1021F/g以上となる所期の量のリチウムイオンが負極電極にドーピング(予備充電)されたと判断された。
また、リチウムイオンキャパシタ(5)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によって初期容量、エネルギー密度および内部抵抗を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例1:比較用リチウムイオンキャパシタの製造例1〕
リチウムイオンキャパシタの製造例1において、電極積層体の作製にて、正極テストサンプル(1)に代えて正極テストサンプル(6)を用いたこと以外は当該リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「比較用リチウムイオンキャパシタ(1)」ともいう。)4個を得た。
得られた比較用リチウムイオンキャパシタ(1)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によってリチウムイオンキャパシタの初期評価を行ったところ、作製してから20日間経過後には、負極電極に対して、負極電極の単位質量当たりの静電容量が1021F/g以上となる所期の量のリチウムイオンが負極電極にドーピング(予備充電)されたと判断された。
また、比較用リチウムイオンキャパシタ(1)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によって初期容量、エネルギー密度および内部抵抗を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例2:比較用リチウムイオンキャパシタの製造例2〕
リチウムイオンキャパシタの製造例1において、電極積層体の作製にて、正極テストサンプル(1)に代えて正極テストサンプル(7)を用いたこと以外は当該リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「比較用リチウムイオンキャパシタ(2)」ともいう。)4個を得た。
得られた比較用リチウムイオンキャパシタ(2)について、リチウムイオンキャパシタの製造例2と同様の手法によってリチウムイオンキャパシタの初期評価を行ったところ、作製してから20日間経過後には、負極電極に対して、負極電極の単位質量当たりの静電容量が1021F/g以上となる所期の量のリチウムイオンが負極電極にドーピング(予備充電)されたと判断された。
また、比較用リチウムイオンキャパシタ(2)について、リチウムイオンキャパシタの製造例2と同様の手法によって初期容量、エネルギー密度および内部抵抗を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例3:比較用リチウムイオンキャパシタの製造例3〕
リチウムイオンキャパシタの製造例1において、電極積層体の作製にて、正極テストサンプル(1)に代えて正極テストサンプル(8)を用いたこと以外は当該リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「比較用リチウムイオンキャパシタ(3)」ともいう。)4個を得た。
得られた比較用リチウムイオンキャパシタ(3)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によってリチウムイオンキャパシタの初期評価を行ったところ、作製してから20日間経過後には、負極電極に対して、負極電極の単位質量当たりの静電容量が1021F/g以上となる所期の量のリチウムイオンが負極電極にドーピング(予備充電)されたと判断された。
また、比較用リチウムイオンキャパシタ(3)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によって初期容量、エネルギー密度および内部抵抗を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例4:比較用リチウムイオンキャパシタの製造例4〕
リチウムイオンキャパシタの製造例1において、電極積層体の作製にて、正極テストサンプル(1)に代えて正極テストサンプル(9)を用いたこと以外は当該リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタ(以下、「比較用リチウムイオンキャパシタ(4)」ともいう。)4個を得た。
得られた比較用リチウムイオンキャパシタ(4)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によってリチウムイオンキャパシタの初期評価を行ったところ、作製してから20日間経過後には、負極電極に対して、負極電極の単位質量当たりの静電容量が1021F/g以上となる所期の量のリチウムイオンが負極電極にドーピング(予備充電)されたと判断された。
また、比較用リチウムイオンキャパシタ(4)について、リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様の手法によって初期容量、エネルギー密度および内部抵抗を測定した。結果を表1に示す。
〔比較例5:比較用リチウムイオンキャパシタの製造例5〕
リチウムイオンキャパシタの製造例1において、電極積層体の作製にて、正極電極テストサンプル(1)に代えて正極テストサンプル(10)を用いたこと以外は当該リチウムイオンキャパシタの製造例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタを作製しようとしたところ、正極テストサンプル(10)は正極活物質に対する結着剤量が不十分であるために正極活物質層が形成できておらず、よって形成電極積層体を形成することができなかったことから、正極テストサンプル(10)よりなる正極電極をリチウムイオンキャパシタに適用した場合の特性(リチウムイオンキャパシタにおける初期容量、エネルギー密度および内部抵抗)を測定することはできなかった。
表1において、「高比表面積正極活物質」とは、正極電極の製造例においては、第1正極活物質(BET比表面積が2500m/g以上であって3200m/g以下である正極活物質)を示し、また、比較用正極電極の製造例においては、2種類の正極活物質が用いられている場合にはBET比表面積が大きい方の正極活物質を示し、用いられている正極活物質が1種類のみである場合にはBET比表面積が2000m/g以上である正極活物質を示す。また、「高比表面積正極活物質」に係る「含有割合」とは、正極活物質層を構成する正極活物質の合計100質量%に対する割合(質量)を示す。
また、「低比表面積正極活物質」とは、正極電極の製造例においては、第2正極活物質(BET比表面積が1500m/g以上であって2000m/g以下である正極活物質)を示し、また、比較用正極電極の製造例においては、2種類の正極活物質が用いられている場合にはBET比表面積が小さい方の正極活物質を示し、用いられている正極活物質が1種類のみである場合にはBET比表面積が2000m/g未満である正極活物質を示す。また、「低比表面積正極活物質」に係る「含有割合」とは、正極活物質層を構成する正極活物質の合計100質量%に対する割合(質量)を示す。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜実施例5に係るリチウムイオンキャパシタは、高セル容量であってエネルギー密度の大きいものであることが確認された。
一方、比較例1に係るリチウムイオンキャパシタにおいては、正極電極がBET比表面積が小さく、電極密度が大きいものであることから、容量およびエネルギー密度が小さく、内部抵抗が大きくなった。
比較例2に係るリチウムイオンキャパシタは、電極密度が小さいものであることから、エネルギー密度が小さくなった。
また、比較例2においては、正極電極の正極活物質層を形成するための正極活物質として、2種類の活性炭を用いたものの、比表面積の小さい方の活性炭のBET比表面積が大きいものであったことから、得られた正極活物質層はBET比表面積が大きくなったが電極密度が小さくなり、その結果、リチウムイオンキャパシタにおいて、容量は大きくなったものの、エネルギー密度が小さくなった。
比較例3に係るリチウムイオンキャパシタは、電極密度が小さいものであることから、エネルギー密度が小さいものとなった。
また、比較例3においては、正極電極の正極活物質層を形成するための正極活物質として、第1正極活物質に係る比表面積の大きい活性炭のみを用いたことから、得られた正極活物質のBET比表面積は大きくなったが電極密度が小さくなり、その結果、リチウムイオンキャパシタにおいて、容量は大きくなったものの、エネルギー密度が小さく、内部抵抗が大きくなった。
比較例4に係るリチウムイオンキャパシタは、正極電極がBET比表面積が小さく、電極密度が大きいものであることから、容量およびエネルギー密度が小さくなった。
また、比較例4においては、正極電極の正極活物質層を形成するための正極活物質として、第2正極活物質に係る比表面積の小さい活性炭のみを用いたことから、得られた正極活物質がBET比表面積が小さくて電極密度が大きいものとなり、その結果、リチウムイオンキャパシタにおいて、内部抵抗は小さくなったものの、容量およびエネルギー密度が小さくなった。

Claims (3)

  1. BET比表面積が2400m2 /g以上であって3000m2 /g以下であり、電極密度が0.41〜0.49g/cm3 である正極活物質層を有することを特徴とする正極電極。
  2. 前記正極活物質層は、BET比表面積が2500m2 /gを超え3200m2 /g以下である第1正極活物質と、BET比表面積が1500m2 /g以上であって2000m/g以下である第2正極活物質とを含有してなることを特徴とする請求項1に記載の正極電極。
  3. 請求項1または請求項2に記載の正極電極を有することを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
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