JP2012220304A - 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法及び絶縁劣化診断装置 - Google Patents

電力ケーブルの絶縁劣化診断方法及び絶縁劣化診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電力ケーブルの絶縁体内の残留電荷を感度よく検出できる電力ケーブルの絶縁劣化診断方法を提供する。
【解決手段】電力ケーブルの絶縁体に対して交流電圧を課電し、この交流課電をゼロクロス点で終了させることにより、当該ゼロクロス点の直前の最終半波電圧で絶縁体内に電荷を蓄積させる(第1工程)。このとき、最終半波電圧の周波数を所定の周波数から0Hzまで低下させることにより、課電する交流電圧を滑らかに減衰させて0Vに収束させる。その後、交流電圧を課電することにより絶縁体内に蓄積された残留電荷を放出させ、このときに検出回路に現れる直流成分を絶縁体の劣化を示す劣化信号として検出する(第2工程)。
【選択図】図3

Description

本発明は、電力ケーブルの絶縁劣化診断方法及び絶縁劣化診断装置に関し、特に、水トリーによる電力ケーブルの絶縁劣化を残留電荷法により診断する技術に関する。
架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(以下、CVケーブル)等のゴム・プラスチック絶縁ケーブル(以下、電力ケーブル)の耐電圧寿命特性を決定する主要な絶縁劣化現象の一つとして、水トリー劣化がある。水トリー劣化とは、水が存在する環境下で長期間にわたって電力ケーブルを使用したときに、絶縁体中の異物やボイド、半導電層の突起等の電界集中部に微少な水ボイドの集合体が樹枝状に形成されて、これが電界方向に進展する現象である。
水トリーは、その成長とともに電力ケーブルの絶縁性能を低下させ、最終的には運転中における絶縁破壊事故の原因となる。このため、電力ケーブルの絶縁劣化診断においては、水トリー劣化を非破壊で信頼性高く検出することが重要な課題になっている。
この水トリー劣化を非破壊で検出する有効な手法として、直流課電又は交流課電により電力ケーブルの絶縁体内に電荷を残留させ、この残留電荷を劣化信号として検出する残留電荷法が提案されている(例えば特許文献1〜3)。
図1は、残留電荷法の原理を模式的に示す図である。なお、図1では、電力ケーブルの構造を簡略化し、一部を扇形で示し、内部半導電層、外部半導電層、及びビニルシースについては図示を省略している。
残留電荷法では、図1(a)に示すように、まず電力ケーブルの絶縁体に直流電圧を課電する。絶縁体中に水トリーが発生している場合、水トリーの発生部(以下、水トリー劣化部)と健全部との界面に空間電荷が蓄積され、同時に導体と遮蔽層に電荷が現れる。
次に、図1(b)に示すように、導体と遮蔽層間を短絡して接地する。導体と遮蔽層の間を短絡して接地すると、導体及び遮蔽層上の電荷は直ちに消滅する。一方、絶縁体内(特に水トリー劣化部)に蓄積された電荷はすぐには消滅せず、長時間残留する。水トリー劣化の進行度合いが大きいほど、絶縁体内に残留する電荷の量が多くなる。
そして、図1(c)に示すように、電力ケーブルの絶縁体に交流電圧を課電し、このとき検出回路に現れる直流成分を検出器により検出する。電荷が残留している絶縁体に交流電圧を課電すると、拘束されていた電荷の移動・消滅が促進されるため、水トリー劣化に起因する残留電荷を短時間で検出することができる。水トリー劣化の進行度合いに応じて検出される直流成分(残留電荷)が変化するので、これに基づいて電力ケーブルの絶縁劣化診断を行うことができる。
残留電荷法により電力ケーブルの絶縁劣化診断を行う場合、図1に示すように、直流課電によって絶縁体内に電荷を蓄積させることができる。しかし、近年は、ガス絶縁開閉装置(C−GIS:Cubicle type Gas Insulated Switchgear)等の縮小機器に接続されたケーブル線路が増加しており、直流課電を行うことが困難なケースが増加している。例えば、C−GISにおいては、直流課電により帯電した金属異物がスペーサに付着して放電起点となることで絶縁体にダメージを及ぼすなど、直流課電による影響を懸念する報告がなされている。
かかる問題を解消するために、特許文献2、3では、残留電荷法を適用するに際し、直流課電を用いずに、交流課電により電力ケーブルの絶縁体内に電荷を蓄積させるようにしている。特許文献2には、交流課電をゼロクロス付近で遮断し、遮断直前の半波電圧(以下、最終半波電圧)により水トリー劣化部に電荷を蓄積させる技術が開示されている。また、特許文献3には、交流電圧を半波整流して課電することにより水トリー劣化部に電荷を蓄積させる技術が開示されている。
特許第3184712号公報(特開平8−62280号公報) 特許第4383393号公報(特開2007−40861号公報) 特開2007−271542号公報
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、ゼロクロス付近で交流課電を遮断するときにオーバーシュートが発生する可能性がある(特許文献2の図2参照)。このオーバーシュートが発生すると、最終半波電圧で蓄積された残留電荷が放出されるため、オーバーシュートの大きさ次第では検出感度が低下する虞がある。また、オーバーシュートの大きさは、測定対象となる電力ケーブルの静電容量によって変化するため、オーバーシュートを抑制するには測定対象に応じた電圧波形で課電する必要があり、これには高度な波形制御技術が要求される。
また、特許文献3に記載の技術では、交流電圧を半波整流するための整流器が必要となる。また、電力ケーブルは容量性負荷であり、整流器によって半波整流された電圧波形をそのまま利用して課電すると平滑化されてしまうため、低負荷器を設けて調整しなければならない。したがって、絶縁劣化診断装置の構成が複雑化してしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、電力ケーブルの絶縁体内の残留電荷を感度よく検出でき、再現性の高い絶縁劣化診断を実現可能な電力ケーブルの絶縁劣化診断方法及び絶縁劣化診断装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電力ケーブルの絶縁劣化診断方法は、電力ケーブルの絶縁体に対して交流電圧を課電し、この交流課電をゼロクロス点で終了させることにより、当該ゼロクロス点の直前の最終半波電圧で前記絶縁体内に電荷を蓄積させる第1工程と、
前記絶縁体に対して交流電圧を課電することにより前記絶縁体内に蓄積された残留電荷を放出させ、このときに検出回路に現れる直流成分を前記絶縁体の劣化を示す劣化信号として検出する第2工程と、を有する絶縁劣化診断方法であって、
前記第1工程における前記最終半波電圧の課電時に、当該最終半波電圧の周波数を所定の周波数から0Hzまで低下させることを特徴とする。
本発明に係る絶縁劣化診断装置は、電力ケーブルの絶縁体に対して交流電圧を課電し、この交流課電をゼロクロス点で終了させることにより、当該ゼロクロス点の直前の最終半波電圧で前記絶縁体内に電荷を蓄積させる第1工程と、
前記絶縁体に対して交流電圧を課電することにより前記絶縁体内に蓄積された残留電荷を放出させ、このときに検出回路に現れる直流成分を前記絶縁体の劣化を示す劣化信号として検出する第2工程と、を有する絶縁劣化診断方法に用いられる絶縁劣化診断装置であって、
前記第1工程及び前記第2工程で交流電圧を課電する際に、任意の電圧波形を生成する信号発生器と、
前記信号発生器から入力された交流電圧を増幅して出力する電力増幅器と、
前記電力増幅器から入力された交流電圧を増幅して電力ケーブルを課電するトランスと、
前記第2工程における交流電圧の課電により放出される電力ケーブルの残留電荷を測定する検出器と、を備え、
前記信号発生器が、前記第1工程における前記最終半波電圧の課電時に、当該最終半波電圧の周波数が所定の周波数から0Hzまで低下する電圧波形を生成することを特徴とする。
ここで、「交流課電を終了させる」とは、交流電圧の周波数を0Hz、又は交流電圧値(交流電圧を規定するための設定値、例えばピーク電圧値)を0Vにすることにより、実質的に交流課電を終了させることである。また、「最終半波電圧」とは、交流課電の終了となるゼロクロス点から一つ前のゼロクロス点までにおける電圧のことであり、電圧の極性は正負のいずれであってもよい。
本発明によれば、最終半波電圧の周波数を0Hzまで低下させることにより、交流課電をゼロクロス付近で遮断した直後に生じやすいオーバーシュートが効果的に抑制され、最終半波電圧によって絶縁体内に電荷が蓄積される。したがって、オーバーシュートによる電荷の放出が抑制され、残留電荷の検出感度が良好となるので、再現性の高い絶縁劣化診断が可能となる。また、本発明を実現するに際して、半波整流器や低負荷器等の特別な装置は必要ないので、絶縁劣化診断装置の装置構成が複雑になる虞もない。
残留電荷法の原理を模式的に示す図である。 電力ケーブルの絶縁劣化診断に用いられる絶縁劣化診断装置の概略構成を示す図である。 第1の実施の形態において電荷蓄積のために行われる交流課電の電圧波形を示す図である。 電荷直読短時間昇降法による残留電荷の測定について示す図である。 第2の実施の形態において電荷蓄積のために行われる交流課電の電圧波形を示す図である。 第2の実施の形態の変形例において電荷蓄積のために行われる交流課電の電圧波形を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図2は、電力ケーブルの絶縁劣化診断に用いられる絶縁劣化診断装置の一例を示す図である。図2に示す絶縁劣化診断装置1は、CVケーブル等の電力ケーブル20を測定対象として、残留電荷法により絶縁体の劣化を診断するものである。一般に、電力ケーブル20は、銅、アルミ等からなる導体を中心として、内部半導電層、絶縁体(CVケーブルの場合は架橋ポリエチレン)、外部半導電層、金属遮蔽層、ビニルシースが順に同心円上に形成された構造を有している。
図2に示すように、絶縁劣化診断装置1は、信号発生器11、電力増幅器12、トランス13、及び検出器14を備えて構成される。測定対象となる電力ケーブル20の導体がスイッチ15を介してトランス13の二次側に接続され、金属遮蔽層が検出器14を介して接地される。
信号発生器11は、任意の電圧波形を生成可能な、いわゆるファンクションジェネレータであり、電力ケーブル20の絶縁体に電荷を蓄積させるための交流課電時、及び蓄積された電荷を放出させて残留電荷を検出するための交流課電時に、所定の交流電圧を出力する。信号発生器11は、所定の期間における交流電圧値又は周波数を連続的に変化させることができる。信号発生器11において、例えば交流電圧値、周波数、時間を設定することで、測定対象となる電力ケーブル20に対して所望の電圧波形で交流課電を行うことができる。信号発生器11から出力された交流電圧は、電力増幅器12に入力される。
電力増幅器12は、入力された交流電圧を増幅して出力する。電力増幅器12から出力された交流電圧は、トランス13の一次側に入力される。電力増幅器12は、例えば、数V程度の交流電圧を、200V程度にまで増幅する。
トランス13は、一次側に入力された交流電圧を昇圧して、二次側から出力する。トランス13の二次側から出力された交流電圧により、電力ケーブル20の絶縁体が課電される。トランス13は、例えば、200V程度の交流電圧を、20kV程度にまで昇圧する。
検出器14は、一端が電力ケーブル20の金属遮蔽層に接続され、他端が接地されている。検出器14は、電力ケーブル20の絶縁体に蓄積された電荷が放出されるときの直流成分を検出する。この直流成分に基づいて電力ケーブル20の絶縁劣化診断が行われる。
なお、絶縁劣化診断装置1は、電力ケーブル20の絶縁体に対して任意の電圧波形で課電できる構成であれば、その他の構成は特に制限されない。例えば、検出器14の一端を信号発生器11に接続し、他端を接地するようにしてもよい(特許文献3の図1参照)。
図2に示す絶縁劣化診断装置1を用いて電力ケーブル20の絶縁劣化診断を行う場合、まず、電力ケーブル20の絶縁体に対して交流電圧を課電し、この交流課電をゼロクロス点で終了させることにより、絶縁体内に電荷を蓄積させる(第1工程)。ゼロクロス点で交流課電を終了させると、終了直前の最終半波電圧で絶縁体内に電荷が蓄積されることになる。
そして、電力ケーブル20の絶縁体に対して交流電圧を課電することにより絶縁体内に蓄積された残留電荷を放出させ、このときに検出回路に現れる直流成分を絶縁体の劣化を示す劣化信号として検出する(第2工程)。この劣化信号に基づいて、絶縁体の劣化の程度(水トリー劣化の進行度合い)が診断される。
第1の実施の形態では、第1工程において、図3に示す電圧波形の交流電圧を電力ケーブル20の絶縁体に対して課電する。すなわち、タイミングt0までは、交流電圧値が一定(V=V0)であるとともに、周波数が一定(f=f0、例えば商用周波数50Hz)である交流電圧を電力ケーブル20の絶縁体に対して課電する。例えば、測定対象となる電力ケーブル20が6.6kV級CVケーブルである場合、トランス13の二次側から出力される交流電圧のピーク電圧値が5.4kV(実効値:3.8kV)となるように、信号発生器11の交流電圧値を設定する。
そして、タイミングt0〜t2の区間、すなわち最終半波電圧での交流課電時に、交流電圧の周波数fを、タイミングt0までの周波数f0から0Hzまで徐々に低下させる。これにより、最終半波電圧の周期は最終半波電圧以前の交流電圧の周期より長くなる。また、交流電圧の周波数fをタイミングt0〜t2の間で周波数f0から0Hzまで徐々に低下させることで、連続的に滑らかに減衰する最終半波電圧の波形が形成され、電力ケーブル20の絶縁体に課電される。図3では、タイミングt2で周波数fが0Hzとなり、交流課電が終了することになる。
なお、最終半波電圧の周波数の初期値はf0以外の値であってもよい。ただし、周波数変更によるノイズの発生の懸念を抑えるため、最終半波電圧の周波数の初期値は直前までの周波数f0と一致させるのが望ましい。
図3に示す電圧波形は、例えば信号発生器11において、表1に示すように時間、周波数、交流電圧値を設定することにより、容易に生成される。このとき、最終半波電圧の課電時間(交流電圧の減衰時間)t0〜t2を適切に設定することにより、オーバーシュートの発生を効果的に抑制することができる。本発明者等が行った実験では、最終半波電圧の課電時間t0〜t2が最終半波電圧以前の交流電圧の1周期程度となるようにして、交流電圧の周波数fを0Hzまで低下させることでオーバーシュートの発生を防止することができた。
Figure 2012220304
なお、最終半波電圧の課電時間t0〜t2を適切に設定するためには、電力ケーブル20の絶縁体に対して課電する交流電圧の波形状態(特に最終半波電圧の波形状態)を、予めオシロスコープにより確認し、所望の電圧波形(オーバーシュートが発生しない電圧波形)となる設定を取得しておけばよい。
このように、第1の実施の形態では、第1工程において、最終半波の周波数fを、所定の周波数(例えば当該最終半波電圧以前の周波数f0)から0Hzまで徐々に低下させる(可変周波数制御)。
これにより、交流課電をゼロクロス点で終了させた直後に生じやすいオーバーシュートが効果的に抑制され、最終半波電圧によって絶縁体内に電荷が蓄積される。したがって、オーバーシュートによる電荷の放出が抑制され、残留電荷の検出感度が良好となるので、再現性の高い絶縁劣化診断が可能となる。また、絶縁劣化診断装置1に、半波整流器や低負荷器等の特別な装置を設ける必要はないので、装置構成が複雑になる虞もない。
なお、最終半波電圧の波形が、課電終了(図3におけるタイミングt2)まで連続的に滑らかに減衰する波形となるような制御であれば、周波数fを徐々に低下させるための制御パターン(周波数fの低下率など)は特に制限されない。具体的には、最終半波電圧の波形が、周波数fが0Hzとなる点において微分可能で、かつ微分係数が“0”である滑らかな曲線形状となるように制御パターンが設定されていればよい。
最終半波電圧の波形が、交流課電をゼロクロス付近で遮断するような微分不可能な波形(不連続な波形)である場合にはオーバーシュートが発生しやすいが、上述したような滑らかな曲線形状であれば、オーバーシュートの発生を効果的に防止できる。
ところで、第2工程における残留電荷の測定では、交流電圧の課電時に検出回路に現れる直流成分(残留電荷の増加分)を検出器14で検出することになるが、検出される直流成分には、水トリー劣化に起因する残留電荷(真の残留電荷)だけでなく、水トリー劣化に起因しない残留電荷の成分(誤差成分)が含まれている。そこで、第2工程における残留電荷の測定では、特開平11−148959号公報に開示されている方法(電荷直読短時間昇降法)を適用するのが望ましい。後述する第2の実施の形態及びその変形例においても同様である。
すなわち、第2工程において、図4に示すように、短時間で昇降圧する交流電圧、具体的には、水トリー劣化に起因しない残留電荷(誤差成分)の応答時間より短い時間で、瞬時値が0Vから所定のピーク値まで上昇した後、電圧を保持せず直ちに0Vまで降下する交流電圧を、電力ケーブル20の絶縁体に対して3回繰り返して課電し、それぞれの交流課電時に検出される残留電荷の増加分を測定する。そして、1回目の交流課電による残留電荷の増加分をΔQ1、2回目の交流課電による残留電荷の増加分をΔQ2、3回目の交流課電による残留電荷の増加分をΔQ3としたとき、Q0=ΔQ1−ΔQ2×(ΔQ2/ΔQ3)で算出されるQ0を絶縁劣化の判定量(劣化信号)として用いる。
水トリー劣化に起因する残留電荷は、交流電圧に対する応答が早い(数秒で完了する)という特性を有しているので、1回目の交流課電時の残留電荷の増加分ΔQ1にのみ含まれる。一方、2回目及び3回目の交流課電時の残留電荷の増加分ΔQ2、ΔQ3は誤差成分とみなすことができる。
したがって、1回目の残留電荷の増加分ΔQ1を、2回目及び3回目の残留電荷の増加分ΔQ2、ΔQ3(誤差成分のみ)で補正することにより、真の残留電荷が選択的に抽出される。つまり、上述した方法では、誤差成分を含まない真の劣化信号を検出することができるので、信頼性の高い絶縁劣化診断が実現される。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、最終半波電圧の周波数だけを制御することにより電荷蓄積時の交流電圧を減衰させているが、第2の実施の形態では、最終半波電圧の周波数と交流電圧値の両方を制御することにより電荷蓄積時の交流電圧を減衰させる。
具体的には、第2の実施の形態では、第1工程において、図5に示す電圧波形の交流電圧を電力ケーブル20の絶縁体に対して課電する。すなわち、タイミングt0までは、交流電圧値が一定(V=V0)であるとともに、周波数が一定(f=f0、例えば商用周波数50Hz)である交流電圧を電力ケーブル20の絶縁体に対して課電する。例えば、測定対象となる電力ケーブル20が6.6kV級CVケーブルである場合、トランス13の二次側から出力される交流電圧のピーク電圧値が5.4kV(実効値:3.8kV)となるように、信号発生器11の交流電圧値を設定する。かかる交流課電は第1の実施の形態と同様である。
そして、タイミングt0〜t2の区間、すなわち最終半波電圧での交流課電時に、交流電圧の周波数fをタイミングt0までの周波数f0から0Hzまで徐々に低下させるとともに、交流電圧値Vをタイミングt0までの交流電圧値V0から0Vまで徐々に減少させる。これにより、第1の実施形態よりも、さらに波形の傾斜等、細かな最終半波電圧の波形制御が可能になり、より連続的に滑らかに減衰する交流電圧が電力ケーブル20の絶縁体に課電される。図5では、タイミングt2で周波数fが0Hz、交流電圧値Vが0Vとなり、交流課電が終了することになる。
なお、最終半波電圧の周波数の初期値はf0以外の値であってもよい。ただし、周波数変更によるノイズ発生の懸念を抑えるため、最終半波電圧の周波数の初期値は直前までの周波数f0と一致させるのが望ましい。また、最終半波電圧の交流電圧値の初期値もV0以外の値であってもよい。
図5に示す電圧波形は、例えば信号発生器11において、表2に示すように時間、周波数、交流電圧値を設定することにより、容易に生成される。このとき、最終半波電圧の課電時間(交流電圧の減衰時間)t0〜t2を適切に設定することにより、オーバーシュートの発生を効果的に抑制することができる。本発明者等が行った実験では、最終半波電圧の課電時間t0〜t2が最終半波以前の交流電圧の1周期程度となるようにして、交流電圧の周波数fを0Hzまで低下させるとともに、交流電圧値Vを0Vまで減少させることで、オーバーシュートの発生を防止することができた。
Figure 2012220304
[第2の実施の形態の変形例]
第2の実施の形態では、最終半波電圧の交流電圧値Vの初期値をタイミングt0までの交流電圧値V0とし、V0から0Vまで徐々に低下させるため、タイミングt1における最終半波電圧のピーク値(絶対値)Vpが初期の交流電圧値V0よりも小さくなる(図5参照)。つまり、第1の実施の形態と比較して、蓄積される電荷量が減少する虞がある。
そこで、蓄積させる電荷量を増やし、残留電荷の検出感度を向上させる場合には、本変形例のように最終半波電圧の交流電圧値及び周波数を制御する。
本変形例では、図6に示す電圧波形の交流電圧を電力ケーブル20の絶縁体に対して課電する。すなわち、タイミングt1における最終半波電圧のピーク値VpがV0と一致するように、最終半波電圧の交流電圧値Vの初期値を、タイミングt0までの交流電圧値V0よりも高い値V1に設定する。そして、最終半波電圧の交流電圧値VをV1から0Vまで徐々に低下させる。
図6に示す電圧波形は、例えば信号発生器11において、表3に示すように時間、周波数、交流電圧値を設定することにより、容易に生成される。このとき、最終半波電圧の課電時間(交流電圧の減衰時間)t0〜t2を適切に設定することにより、オーバーシュートの発生を効果的に抑制することができる。本発明者等が行った実験では、最終半波電圧の課電時間t0〜t2が最終半波以前の交流電圧の1周期程度となるようにして、交流電圧の周波数fを0Hzまで低下させるとともに、交流電圧値Vを0Vまで減少させることで、オーバーシュートの発生を防止することができた。
Figure 2012220304
このように、変形例では、最終半波電圧の交流電圧値の初期値を、最終半波電圧以前の交流電圧値V0より高く設定する。これにより、最終半波電圧の交流電圧値を徐々に低下させても電力ケーブル20の絶縁体に蓄積される電荷量が確保されるので、残留電荷の検出感度が低下するのを防止できる。
なお、変形例では、最終半波電圧のピーク値VpがV0と一致するように、最終半波電圧の交流電圧値の初期値を設定しているが、交流電圧値の初期値は、残留電荷の十分な検出感度が得られる範囲で適宜に設定可能である。
以上、第2の実施の形態およびその変形例では、第1工程において、最終半波電圧の周波数fを所定の周波数(例えば当該最終半波電圧以前の周波数f0)から0Hzまで徐々に低下させるとともに、最終半波電圧の交流電圧値Vを所定の電圧値から0Vまで徐々に低下させる(可変電圧可変周波数制御)。これにより、第1の実施の形態と同様に、再現性の高い絶縁劣化診断が可能となる。
なお、最終半波電圧の波形が、課電終了(図5,6におけるタイミングt2)まで連続的に滑らかに減衰する波形となるような制御であれば、周波数f及び交流電圧値Vを徐々に低下させるための制御パターン(周波数fの低下率、交流電圧値Vの低下率など)は特に制限されない。具体的には、最終半波電圧の波形が、周波数fが0Hzかつ交流電圧値Vが0Vとなる点において微分可能で、かつ微分係数が“0”である滑らかな曲線形状となるように制御パターンが設定されていればよい。
最終半波電圧の波形が、交流課電をゼロクロス付近で遮断するような微分不可能な波形(不連続な波形)である場合にはオーバーシュートが発生しやすいが、上述したような滑らかな曲線形状であれば、オーバーシュートの発生を効果的に防止できる。
第1の実施の形態、第2の実施の形態及びその変形例に係る絶縁劣化診断方法では、直流課電により絶縁体に電荷を蓄積させる場合に比較して、検出された残留電荷はおおよそ70%前後の値となった。つまり、これらの絶縁劣化診断方法は、直流課電により電荷蓄積する場合に比較して検出感度が劣るものの、検出感度としては十分な値が得られるので、直流課電による電荷蓄積を利用できないケーブル線路においては極めて有用である。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施の形態では、負極性の最終半波電圧の交流課電により絶縁体への電荷蓄積を行うが、正極性の最終半波電圧の交流課電により絶縁体への電荷蓄積を行うようにしてもよい。また例えば、絶縁劣化診断装置1の装置構成は、本発明を実現できる範囲で適宜変更可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 絶縁劣化診断装置
11 信号発生器
12 電力増幅器
13 トランス
14 検出器
15 スイッチ
20 電力ケーブル

Claims (4)

  1. 電力ケーブルの絶縁体に対して交流電圧を課電し、この交流課電をゼロクロス点で終了させることにより、当該ゼロクロス点の直前の最終半波電圧で前記絶縁体内に電荷を蓄積させる第1工程と、
    前記絶縁体に対して交流電圧を課電することにより前記絶縁体内に蓄積された残留電荷を放出させ、このときに検出回路に現れる直流成分を前記絶縁体の劣化を示す劣化信号として検出する第2工程と、を有する絶縁劣化診断方法であって、
    前記第1工程における前記最終半波電圧の課電時に、当該最終半波電圧の周波数を所定の周波数から0Hzまで低下させることを特徴とする電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
  2. 前記最終半波電圧の課電時に、当該最終半波電圧の周波数を所定の周波数から0Hzまで低下させるとともに、当該最終半波電圧の交流電圧値を所定の電圧値から0Vまで低下させることを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
  3. 前記所定の電圧値を、前記最終半波電圧以前の交流電圧値より高く設定することを特徴とする請求項2に記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
  4. 電力ケーブルの絶縁体に対して交流電圧を課電し、この交流課電をゼロクロス点で終了させることにより、当該ゼロクロス点の直前の最終半波電圧で前記絶縁体内に電荷を蓄積させる第1工程と、
    前記絶縁体に対して交流電圧を課電することにより前記絶縁体内に蓄積された残留電荷を放出させ、このときに検出回路に現れる直流成分を前記絶縁体の劣化を示す劣化信号として検出する第2工程と、を有する絶縁劣化診断方法に用いられる絶縁劣化診断装置であって、
    前記第1工程及び前記第2工程で交流電圧を課電する際に、任意の電圧波形を生成する信号発生器と、
    前記信号発生器から入力された交流電圧を増幅して出力する電力増幅器と、
    前記電力増幅器から入力された交流電圧を増幅して電力ケーブルを課電するトランスと、
    前記第2工程における交流電圧の課電により放出される電力ケーブルの残留電荷を測定する検出器と、を備え、
    前記信号発生器が、前記第1工程における前記最終半波電圧の課電時に、当該最終半波電圧の周波数が所定の周波数から0Hzまで低下する電圧波形を生成することを特徴とする絶縁劣化診断装置。
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