JP2012219995A - 転がり軸受およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明確にし、その条件を満たす長寿命な転がり軸受およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 転がり軸受は、内輪1、外輪2、およびこれら内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在した複数の転動体3を有する。この転がり軸受は、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で使用されるものであり、前記内外輪1,2の軌道面1a,2aまたは転動体3の表面の表面粗さのパラメータである2乗平均傾斜Rdqを5°以下にした。
【選択図】 図1

Description

この発明は、希薄潤滑条件で長寿命を得ることができる転がり軸受およびその製造方法に関する。
転がり軸受の寿命は、油膜形成状況が悪くなると低下することが知られている(非特許文献1)。これは、油膜厚さが転動体と軌道輪の表面粗さよりも小さい場合、転動体と軌道輪が直接接触する可能性が高くなるためである。この問題を回避するために、希薄潤滑条件での転動寿命の長寿命化の方法として、転がり軸受のローラーの表面に、微小な凹凸をランダムに形成し、潤滑特性を向上させる技術が公開されている(特許文献1)。また、この技術を、エアコンディショナ、圧延用ローラーのようなアプリケーションに適用する例についても公開されている(特許文献2,3)。
特開平6−42536号公報 特開平4−265480号公報 特開平4−266410号公報
高田浩年, 鈴木進, 前田悦生, 潤滑, 26, 9 (1981) 645-650. イー・イオアニデス(E. Ioannides)、ジー・ベーリング(G. Bergling)、エー・ガベッリ(A. Gabelli)共著、「アクタ ポリテクニカ スカンジナビカ(Acta Polytechnica Scandinavica)」、メカニカル エンジニアリング シリーズ(Mechanical Engineering series) No. 137 (1999)
従来、希薄潤滑条件での転動寿命の長寿命化では、転動面に微小な凹凸をランダムに形成し、結果として潤滑特性を向上させていたが、その長寿命化のメカニズムの詳細については不明な点があった。
この発明の目的は、希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明確にし、その条件を満たす長寿命な転がり軸受およびその製造方法を提供することである。
この発明の転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受において、この転がり軸受は、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で使用されるものであり、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の表面粗さのパラメータである2乗平均傾斜Rdqを5°以下にしたことを特徴とする。
希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明らかにするために、各種条件での転動寿命試験を実施した。各種条件での試験結果のうち、計算寿命よりも長寿命であったものと、計算寿命よりも短寿命であったものに着目し、これら長寿命と短寿命の原因について調査した。
先ず、計算寿命と略同等の寿命であった試験結果(水準1)と、計算寿命よりも数倍長寿命であった試験結果(水準8)の転動体の試験後の表面粗さを調査した。ここで、表面粗さのパラメータとしては2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqに着目した。これは、2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqが表面での突起接触の程度と突起接触部での面圧を表す指標とされているためである(非特許文献2)。
水準1と水準8の2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqは、いずれも試験後に低下していた。これら2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqの低下の程度は、Rqで水準1,8間の差はなかったが、Rdqで水準1,8間の差がみられた。水準1よりも転動速度が1/3遅い水準8の2乗平均傾斜Rdqは、水準1よりも低下が顕著であったことから、水準8の長寿命は、転動速度が遅い条件で転動面がなじみやすく、突起接触部の面圧が低下し、長寿命になったことに起因していると考えられる。
この構成によると、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で使用される転がり軸受で、内外輪の軌道面または転動体の表面の表面粗さのパラメータである2乗平均傾斜Rdqを5°以下にすれば、希薄潤滑条件で計算寿命よりも長い寿命を得ることができる。
前記2乗平均傾斜Rdqを1.5°以下にしても良い。この場合、転がり軸受よりの更なる長寿命化を達成することができる。
前記転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均傾斜Rdqを5°以下または1.5°以下にしても良い。
前記転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均粗さRqを、なじみ運転により転動させる前よりも低下させても良い。
前記転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均傾斜Rdqを、なじみ運転により転動させる前よりも低下させても良い。このように転動速度が遅いなじみ運転により、2乗平均傾斜Rdqを所望の角度以下に小さくすることができる。この転動速度が遅くなると、2乗平均傾斜Rdqが小さくなり易い性質を利用して、希薄潤滑条件での転動寿命の更なる長寿命化の可能性について検討した。使用前の軸受を低速でなじみ運転させたものと、なじみ運転しなかったものの2水準の転動寿命試験を行った。その結果、なじみ運転させた水準の転動寿命は、なじみ運転しなかった水準に比べて平均値で150倍以上であり、転がり軸受の計算寿命式の使用条件係数を考慮しない計算寿命よりも長寿命を示した。
前記内外輪の軌道面または転動体の表面の残留圧縮応力を、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させる前よりも増加させたものとしても良い。
前記内外輪の軌道面または転動体の表面の残留圧縮応力を600MPa以上に増加させたものとしても良い。なじみ運転直後の転動面は、転動面が塑性変形を伴いながらなじむため、副産物として圧縮残留応力が得られる。この圧縮残留応力を600MPa以上に増加させることで、希薄潤滑下での転動寿命の向上を図ることができる。
前記転がり軸受をなじみ運転により転動させる転動速度を2.5m/s以下としても良い。このなじみ運転を手動により2.5m/s以下で行っても良い。転動速度が小さくなるほど2乗平均傾斜Rdqが低下しやすくなるという現象を検証する目的で、負荷回数一定の条件における転動速度と転動後の2乗平均傾斜Rdqの関係を調査した。その結果、負荷回数一定の条件では、転動面の2乗平均傾斜Rdqは転動速度が小さいほど低下しやすくなることが分かった。更に追加調査を行った結果、転動速度が2.5m/s以下では、転動速度が小さくなるほど2乗平均傾斜Rdqが低下しやすいことが分かった。これより、転動部品の表面は転動速度が2.5m/sの条件では、転動面は転動速度が遅くなるほどなじみやすく、希薄潤滑条件での転動寿命が長くなることが分かった。なお、ここでの希薄潤滑条件は、油膜がほぼ破断されている油膜パラメータΛが0.6以下の条件である。
前記転がり軸受をなじみ運転により転動させるときの潤滑剤中に、遊離と粒を混入させても良い。2乗平均傾斜Rdqを低下させるためには、転がり軸受を長時間低速運転して、転動体表面を十分になじませる必要がある。この構成によると、なじみ運転による転動中、潤滑剤中に、遊離と粒を混入させてなじみを加速させることで、2乗平均傾斜Rdqを短時間で低下させることができる。
前記転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させたものとしても良い。
この発明の転がり軸受の製造方法は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受の製造方法であって、前記転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させ、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均傾斜Rdqを5°以下にすることを特徴とする。
このように、転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させ、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均傾斜Rdqを5°以下にすることで、希薄潤滑条件で計算寿命よりも長い寿命を得ることができる。
前記転がり軸受は、圧延用ローラーを回転自在に支持するものであっても良い。
前記転がり軸受は、エアコンディショナー用コンプレッサの回転軸を、回転自在に支持するものであっても良い。
この発明の転がり軸受は、内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受において、この転がり軸受は、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で使用されるものであり、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の表面粗さのパラメータである2乗平均傾斜Rdqを5°以下にしたため、希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明確にし、その条件を満たす長寿命な転がり軸受を提供することができる。
この発明の転がり軸受の製造方法は、転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させ、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均傾斜Rdqを5°以下にすることで、希薄潤滑条件で計算寿命よりも長い寿命を得ることができる転がり軸受を得ることが可能となる。
この発明の第1の実施形態に係る転がり軸受の断面図である。 試験結果から得られた10%寿命と、計算寿命との関係を示す図である。 油膜パラメータΛと使用条件係数aの関係を示す図である。 2条平均傾斜を説明するための図である。 (a)は水準1と水準8の2乗平均粗さを示す図、(b)は水準1と水準8の2乗平均傾斜を示す図である。 負荷回数を一定にしたときの転動速度と転動後の2乗平均傾斜の関係を示す図である。 (a)は水準10の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図、(b)は水準11の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図、(c)は水準12の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図である。 なじみ運転の有無による転動寿命の変化を示す図である。 この発明の転がり軸受をエアコンディショナー用コンプレッサに用いた例を概略示す断面図である。
この発明の第1の実施形態に係る転がり軸受を図1ないし図8と共に説明する。以下の説明は転がり軸受の製造方法についての説明をも含む。この実施形態に係る転がり軸受は、例えば、エアコンディショナ、圧延用ローラー等に用いられる。但し、転がり軸受は、エアコンディショナ、圧延用ローラー用途に限定されるものではなく、希薄潤滑条件で使用される種々の装置、機器等に用いられる。
図1に示す転がり軸受は、圧延用ローラーを回転自在に支持する転がり軸受であり、内外輪1,2および、これら内外輪1,2の軌道面1a,2a間に介在した複数の転動体3を有する。この例では、二つ割りされた内輪1,1が軸方向に組付けられ、これら各内輪1の軌道面1a,1aと、同軌道面1a,1aに対向する外輪2の一つの軌道面2aとの間に、2列の転動体3であるころが軸方向に沿って配置される自動調心ころ軸受が適用されている。前記外輪2が固定され、内輪1,1の内周面が、圧延用ローラー4のネック部分5の外周面に嵌合されている。外輪2の外周面には、水冷用のジャケットを成す環状凹み部6が設けられている。
次に、希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明らかにするために、表1に示す各種条件での転動寿命試験を実施した。
転動寿命試験で用いた試験片は、呼び番号「51105」のスラスト玉軸受である。
表1の試験片の欄のRaは二乗平均粗さであり、Ra=0.15−0.22μmとは各水準の二乗平均粗さの範囲を意味する。同表1の転動体の欄のRaは二乗平均粗さであり、Ra=0.07−0.15は各水準の二乗平均粗さの範囲を意味する。表1の右欄の「n」は各水準の試験片個数を表す。
潤滑油粘度は、工業用潤滑油類としてISO粘度分類のVGが適用され、40℃における潤滑油の粘度が示されている。この粘度の単位は、mm/sである。
表1の「Λ」は、Grubinの式に基づく油膜パラメータであり、油膜厚さと接触二面の合成粗さの比で定義される。ここで、油膜パラメータΛと、後述の式(1)で用いられる使用条件係数aとの間には、図3に示すような関係がある。
Figure 2012219995

図2は、試験結果から得られた10%寿命と、計算寿命との関係を示す図である。
前記計算寿命は、以下の転がり軸受の寿命計算式(1)から求めることができる。
Figure 2012219995
試験結果から得られる10%寿命は、ほとんどの水準で計算寿命と概ね一致していたが、一部の水準では計算寿命からの乖離が見られた。計算寿命からの乖離が見られた水準としては、計算寿命よりも長寿命であった水準8と、計算寿命よりも短寿命であった水準10〜12があった。希薄潤滑条件での転動寿命が長くなる直接的な条件を明らかにするために、長寿命と短寿命の原因を明確にする必要がある。以下では、これら長寿命と短寿命の原因調査について説明する。
先ず、計算寿命と略同等の寿命であった試験結果(水準1)と、計算寿命よりも2.6倍長寿命であった試験結果(水準8)の転動体の試験後の表面粗さを調査した。ここで、表面粗さのパラメータとしては2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqに着目した。これは、2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqが表面での突起接触の程度と突起接触部での面圧を表す指標とされているためである。
前記2乗平均傾斜Rdqとは、図4に示すように、表面粗さ計で測定される測定曲線(断面曲線)を、一定間隔ΔXで区切り、各区間内における測定曲線の始点と終点とを結ぶ線分の角度arctan(ΔYi/ΔX)の二乗値{arctan(ΔYi/ΔX)}の平均を求める。その平均値の平方根を2乗平均傾斜Rdqと言う。
図5(a)は水準1と水準8の2乗平均粗さを示す図であり、図5(b)は水準1と水準8の2乗平均傾斜を示す図である。水準1と水準8の2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqは、いずれも試験後に低下していた。これら2乗平均粗さRqと2乗平均傾斜Rdqの低下の程度は、Rqで水準1,8間の差はなかったが、Rdqで水準1,8間の差がみられた。水準1よりも転動速度が1/3遅い水準8の2乗平均傾斜Rdqは、水準1よりも低下が顕著であったことから、水準8の長寿命は、転動速度が遅い条件で転動面(転動体の表面および内外輪の軌道面)がなじみやすく、突起接触部の面圧が低下し、長寿命になったことに起因していると考えられる。
次に、転動速度が小さくなる程、2乗平均傾斜Rdqが低下し易くなるという現象を検証する目的で、負荷回数一定の条件における転動速度と、転動後の2乗平均傾斜Rdqとの関係を調査した。その調査結果を図6に示す。負荷回数一定の条件では、転動面の2乗平均傾斜Rdqは、転動速度が小さい程低下し易くなることが分かった。これより、転動部品である転動体、軌道輪の表面は、転動速度が2.5m/sの条件では、転動面は転動速度が遅くなる程なじみ易く、希薄潤滑条件での転動寿命が長くなることが分かった。なお、ここでの希薄潤滑条件は、油膜がほぼ破断されている油膜パラメータΛが0.6以下の条件である。
次に、計算寿命よりも短寿命であった水準10〜12の軌道輪の外観を調査した。図7(a)は水準10の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図、図7(b)は水準11の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図、図7(c)は水準12の試験後の軌道輪の転動面の外観を示す図である。計算寿命よりも短寿命であった水準10〜12では、転動面における破損形態が、いずれもピーリング(微小なはく離の集合体)であった。追加調査を行った結果、2乗平均傾斜Rdqが5°よりも大きくなるとピーリングが発生し易いことが分かった。これより、ピーリングによる短寿命を防止するには、2乗平均傾斜Rdqを5°以下にする必要があることが分かった。
最後に、転動速度が遅くなると2乗平均傾斜Rdqが小さくなり易い性質を利用して、希薄潤滑条件での転動寿命の更なる長寿命化の可能性について検討した。図8は、なじみ運転の有無による転動寿命の変化を示す図である。なじみ運転させた水準の転動寿命は、なじみ運転しなかった水準に比べて平均値で150倍以上であり、前述の寿命計算式(1)の使用条件係数を考慮しない計算寿命よりも長寿命を示した。すなわち、なじみ運転させた軸受の寿命は、良好な潤滑条件での寿命と同等以上になることを見出した。なじみ運転直後の転動体の2乗平均傾斜Rdqは0.6〜1.5°であったことから、希薄潤滑条件において、良好な潤滑条件での寿命以上の寿命を達成するには、2乗平均傾斜Rdqを1.5°以下にすることが望ましい。
なお、転がり軸受について前述のなじみ運転を行うことなく、例えば転動面の機械加工により、油膜パラメータΛが0.6以下の条件で2乗平均傾斜Rdqを5°以下または1.5°以下にすることも可能である。また、転がり軸受について、なじみ運転を行う前2乗平均傾斜Rdqが5°よりも大であったものが、なじみ運転後、油膜パラメータΛが0.6以下の条件でRdqが5°以下とするものとしても良い。
2乗平均傾斜Rdqを低下させるためには、転がり軸受を長時間低速運転して、十分に転動表面をなじませる必要がある。短時間で且つ低速運転で2乗平均傾斜Rdqを低下させるためには、転がり軸受の転動中潤滑油中に遊離と粒を混入させてなじみを加速させることができる。なお、2物体が直接接触するといわれている油膜パラメータΛの条件は0.6以下であるので、なじみ運転は油膜パラメータΛが0.6以下の条件で実施される必要がある。
一方、なじみ運転直後の転動面は、転動面が塑性変形を伴いながらなじむため、副産物として圧縮残留応力が得られる。なじみ前後の軌道輪の残留圧縮応力を測定した結果、なじみ前の残留圧縮応力300MPaから、なじみ後の残留圧縮応力600MPaに増加していた。
図9に示すように、転がり軸受は、エアコンディショナー用コンプレッサ7の回転軸8を、回転自在に支持するものであっても良い。同図9の例では、回転軸8に固定した両面傾斜板9でピストン10を往復動させる両傾斜タイプのエアコンディショナー用コンプレッサ7が示されている。このコンプレッサ7のハウジング11の両端に、シェル形針状ころ軸受BR1,BR1がそれぞれ嵌合され、これら針状ころ軸受BR1,BR1が回転軸8を回転自在に支持している。回転軸8の中間付近で両面傾斜板9とハウジング11との間に、それぞれスラスト針状ころ軸受BR2,BR2が嵌合され、これらスラスト針状ころ軸受BR2,BR2により両方向のアキシアル荷重を付与可能に構成されている。
以上の針状ころ軸受BR1,BR1およびスラスト針状ころ軸受BR2,BR2を、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で、転動面の2乗平均傾斜Rdqを5°以下または1.5°以下にすることで、希薄潤滑条件下での転動寿命の向上を図ることができる。
この実施形態では、軸受をエアコンディショナ、圧延用ローラー等の装置に組込む前に、なじみ運転を行うことで、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均傾斜Rdqを5°以下または1.5°以下にしているが、この例に限定されるものではない。軸受を装置に組込んだ後、2.5m/s以下の転動速度でなじみ運転を行っても良い。
転がり軸受の例として、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト針状ころ軸受を示したが、これらの転がり軸受に限定されるものではない。例えば、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、4点接触玉軸受、クロスローラ軸受等種々の転がり軸受に適用可能である。
1…内輪
2…外輪
1a,2a…軌道面
3…転動体
4…圧延用ローラー
7…エアコンディショナー用コンプレッサ
8…回転軸

Claims (14)

  1. 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受において、
    この転がり軸受は、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で使用されるものであり、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の表面粗さのパラメータである2乗平均傾斜Rdqを5°以下にしたことを特徴とする転がり軸受。
  2. 請求項1において、前記2乗平均傾斜Rdqを1.5°以下にした転がり軸受。
  3. 請求項1または請求項2において、前記転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均傾斜Rdqを5°以下または1.5°以下にした転がり軸受。
  4. 請求項1または請求項2において、前記転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均粗さRqを、なじみ運転により転動させる前よりも低下させた転がり軸受。
  5. 請求項1または請求項2において、前記転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させることで、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均傾斜Rdqを、なじみ運転により転動させる前よりも低下させた転がり軸受。
  6. 請求項3ないし請求項5のいずれか1項において、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の残留圧縮応力を、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させる前よりも増加させた転がり軸受。
  7. 請求項3ないし請求項6のいずれか1項において、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の残留圧縮応力を、なじみ運転により600MPa以上に増加させた転がり軸受。
  8. 請求項3ないし請求項7のいずれか1項において、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させる転動速度を2.5m/s以下とした転がり軸受。
  9. 請求項3ないし請求項8のいずれか1項において、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させるときの油膜パラメータΛを0.6以下とした転がり軸受。
  10. 請求項3ないし請求項9のいずれか1項において、前記転がり軸受をなじみ運転により転動させるときの潤滑剤中に、遊離と粒を混入させた転がり軸受。
  11. 請求項1または請求項2において、前記転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させたものとした転がり軸受。
  12. 内輪、外輪、およびこれら内外輪の軌道面間に介在した複数の転動体を有する転がり軸受の製造方法であって、
    前記転がり軸受を、使用前に少なくとも一度はなじみ運転により転動させ、油膜パラメータΛが0.6以下の希薄潤滑条件下で、前記内外輪の軌道面または転動体の表面の2乗平均傾斜Rdqを5°以下にする転がり軸受の製造方法。
  13. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、前記転がり軸受は、圧延用ローラーを回転自在に支持する転がり軸受。
  14. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、前記転がり軸受は、エアコンディショナー用コンプレッサの回転軸を、回転自在に支持する転がり軸受。
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