JP2012218054A - レーザ加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ミラーの回動軸を支持する軸受の偏摩耗に起因する加工精度の低下を極力抑えることができるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】コントローラは入力した印字データを基に座標データを作成し、座標データをガルバノ駆動データとしてヘッドユニットに送信してガルバノスキャナを制御する。このとき座標データを使用座標データとしてメモリに記憶する。非印字時期(例えば電源投入時)になると、使用座標データをメモリから読み出す(S11)。使用座標データを基にガルバノミラーの回動軸を支持するボールベアリングを構成するボールの転動接触していない未使用領域データ(転動接触回数を度数とする度数分布曲線データ)を作成する(S12)。そして、未使用領域を基にリフレッシュ用のガルバノ駆動データを作成し(S23)、ガルバノ駆動データを基にガルバノモータを駆動させるリフレッシュ動作を行う(S24)。
【選択図】図12

Description

本発明は、加工対象物に照射するレーザ光をガルバノスキャナで走査するレーザ加工装置に関する。
この種のレーザ加工装置では、レーザ光源から出射されたレーザ光の方向を変更して加工対象物の被加工面に対するレーザ光の照射位置を走査させるガルバノスキャナが、レーザ光源と集光レンズ間の光路の途中に設けられている(例えば特許文献1)。
ガルバノスキャナは、通常、ガルバノミラーの回動軸はガルバノモータに設けられたボールベアリング等の軸受を介して回動可能に支持されている。
例えば特許文献1では、電圧発生装置から出力される駆動電圧の電圧波形の電圧降下カーブを電圧上昇カーブよりも急峻にすることで、ガルバノミラー(振動ミラー)の回動軸を支持するベアリングの回動軸に当接される位置を周期ごとに変化させ、ベアリングの局所磨耗を防止する光走査装置が開示されている。
また、特許文献2には、ミラーを双方向に交互に振らせて光を走査するガルバノミラー装置において、測定時よりも非測定時の方がミラーの揺動角が大きくなるように、かつ、揺動周期が長くなるように制御する光学顕微鏡におけるガルバノミラー装置が開示されている。
さらに特許文献3には、電源投入後、ガルバノスキャナを温度が安定するまで加工開始前に駆動させるエージングを行うレーザ加工装置が開示されている。このレーザ加工装置では、加工開始前に、ガルバノミラーをエージング動作として加工時の最大角度範囲で往復動させている。
特開平9−80349号公報 特開平8−334724号公報 特開2008−296258号公報 特開2008−15004号公報
ところで、ガルバノスキャニング方式のレーザ加工装置においては、ショートベクトルで構成される小文字や2次元コードなどを印字する場合、ガルバノミラーは最大回動角度範囲のうち比較的狭い特定角度範囲を繰り返し使用することになる。この特定角度範囲での使用が長期間続くと、ガルバノモータのベアリング(転動軸受)を構成する内輪(インナーレース)と外輪(アウターレース)との間に介在するボール(転動体)が、内輪及び外輪の各内周面(被転動面)に対して、その外周面上の一部の極狭い範囲で集中的に繰り返し転動接触することになる。このため、ボールが偏摩耗したり、内輪と外輪の各内周面が偏摩耗したりする。ボールや内輪及び外輪が偏摩耗すると、ガルバノミラーの回転運動がスムーズでなくなり、加工対象物に加工(印字)される文字や図形が変形するという問題がある。
特許文献1では、駆動電圧の電圧波形の電圧降下カーブを電圧上昇カーブよりも急峻にすることで、ガルバノミラー(振動ミラー)の回動軸を支持するベアリングの回動軸に当接される位置を周期ごとに変化させるが、制御が複雑になるうえ、この特異な制御が加工中に行われるので、加工精度に影響する恐れがある。
また、特許文献2では、測定時よりも非測定時の方がミラーの揺動角を大きくし、また特許文献3では、非加工時(電源投入後の加工開始前)にガルバノミラーを最大角度範囲で往復動させる。このため、測定時や加工時に過度に摩耗した部分以外の部分の摩耗も進めることができる。しかし、過度に摩耗した部分も同様に摩耗が進むので、偏摩耗を抑制する効果はほとんど期待できない。
なお、特許文献4には、ガルバノミラーの軸受に流体軸受を用いるレーザ加工装置も開示されているが、流体の供給及び制御をする流体制御系の装置が必要になるため、レーザ加工装置の大型化及びコスト高を招くという問題がある。このため、ガルバノミラーの回動軸の軸受としてボールベアリング等の転動軸受を使用する構成において、転動体やレースの偏摩耗に起因するレーザ加工精度の低下を極力抑えたいという要望がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ミラーの回動軸を支持する軸受の偏摩耗に起因する加工精度の低下を極力抑えることができるレーザ加工装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、レーザ光源からのレーザ光を照射して加工対象物に加工を施すレーザ加工装置であって、前記レーザ光源からのレーザ光の方向を変更して加工対象物に対するレーザ光の照射位置を走査させるガルバノスキャナと、前記ガルバノスキャナを制御して加工のための走査を行わせる第1の制御手段とを備え、前記ガルバノスキャナは、レーザ光を反射させるミラーと、当該ミラーの回動軸を回動させるガルバノ動力源とを備え、前記ガルバノ動力源は、前記ミラーの回動軸を支持するとともに前記回動軸の回動に伴って被転動面上を転動する複数の転動体を有する転動軸受を有し、前記レーザ加工装置の加工過程における前記ミラーの回動履歴情報を取得する履歴情報取得手段と、前記ミラーの回動履歴情報に基づき前記転動体の転動面のうち又は前記被転動面のうち前記加工過程の前記ミラーの回動によって前記転動体が転動接触しなかった回数の位置毎の分布であって前記回数を度数とする度数分布で示される非接触分布を求める演算手段と、前記レーザ加工装置の非加工期間に、前記非接触分布に基づく回動範囲及び回動回数で前記ミラーを回動させるリフレッシュ動作を行うように前記ガルバノ動力源を駆動制御する第2の制御手段と、を備えたことを要旨とする。
この構成によれば、履歴情報取得手段が、レーザ加工装置の加工過程、すなわち第1の制御手段により加工のためのガルバノスキャナの走査が行われたときのミラーの回動履歴情報を取得する。そして、演算手段は、転動体の転動面のうち又は被転動面のうち加工過程のミラーの回動によって転動体が転動接触しなかった回数の位置毎の分布であって回数を度数とする度数分布を示す非接触分布を求める。第2の制御手段は、レーザ加工装置の非加工期間に、非接触分布に基づく回動範囲及び回動回数でミラーを回動させるリフレッシュ動作を行うようにガルバノ動力源を駆動制御する。このため、転動軸受の偏摩耗が小さく抑えられる。よって、ミラーの回動軸を支持する転動軸受の偏摩耗に起因する加工精度の低下を極力抑えることができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のレーザ加工装置において、前記演算手段は、前記回動履歴情報に基づき、前記転動面のうち又は前記被転動面のうち前記転動体が転動接触した回数の位置毎の分布であって前記回数を度数とする度数分布で示される接触分布を求め、前記接触分布に基づき、当該接触分布における最大回数の位置と同じ摩耗度合とするために必要な転動接触の回数を度数とする度数分布で示される前記非接触分布を求めることが好ましい。
この構成によれば、演算手段は、回動履歴情報に基づき、転動面のうち又は前記被転動面のうち転動体が転動接触した位置及び回数の分布であって回数を度数とする度数分布で示される接触分布を求める。そして、演算手段は、接触分布に基づき、接触分布における最大回数の位置と同じ摩耗度合とするために必要な転動接触の回数を度数とする度数分布で示される前記非接触分布を求める。このため、第2の制御手段がガルバノ動力源を駆動させたときに、転動接触回数の最大値(最大回数)の位置と同じ摩耗度合とするために必要な転動接触回数を補うことができるので、転動軸受の使用範囲の全域で摩耗の程度をほぼ均一にすることができる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のレーザ加工装置において、前記演算手段は、前記接触分布における回数の最大値と当該接触分布上の各位置の回数との差分に基づき前記非接触分布を求めることが好ましい。
この構成によれば、演算手段は、接触分布における回数の最大値と接触分布上の各位置の回数との差分に基づき非接触分布を求める。このため、第2の制御手段がガルバノ動力源を駆動させたときに、転動接触回数の最大値に対して不足した転動接触回数を各位置で補うことができるので、転動軸受の使用範囲の全域で摩耗の程度をほぼ均一にすることができる。また、転動接触回数の最大値に対して不足した転動接触回数を補うため、余分に摩耗してしまうことを回避しやすい。
請求項4に記載の発明では、請求項2又は3に記載のレーザ加工装置において、前記第1の制御手段は、加工データから生成した座標データを基に前記ガルバノ動力源を制御する構成であり、前記履歴情報取得手段は、前記第1の制御手段が生成した前記座標データを加工回数個分含む使用座標データを前記回動履歴情報として取得する構成であり、前記演算手段は、前記使用座標データに基づき、前記位置が座標で示された前記度数分布として前記接触分布を求め、当該接触分布に基づき、回数の座標毎の分布であって回数を度数とする度数分布で示される前記非接触分布を求めることが好ましい。
この構成によれば、履歴情報取得手段は、第1の制御手段が生成した座標データを加工回数個分含む使用座標データを回動履歴情報として取得する。演算手段は、使用座標データに基づき、位置が座標で示された度数分布として接触分布を求め、この接触分布に基づき、回数の座標毎の分布であって回数を度数とする度数分布で示される非接触分布を求める。このため、第1の制御手段が加工用に生成した座標データを利用できるうえ、非接触分布も回数の座標毎の分布で示されるので、第2の制御手段は非接触分布に座標に変換する処理を加えなくても、非接触分布に基づきガルバノ動力源を制御することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項2に記載のレーザ加工装置において、前記ミラーの回動角を検出する角度検出手段を備え、前記履歴情報取得手段は、前記角度検出手段が加工過程で検出した回動角の履歴を示す回動角履歴情報を前記回動履歴情報として取得し、前記演算手段は、前記回動角履歴情報を基に、前記回動角と回数の分布であって前記回数を度数とする度数分布で示される前記接触分布を求め、当該接触分布を基に、前記非接触分布を求めるとともに、当該非接触分布における回動角を座標に変換することが好ましい。
この構成によれば、履歴情報取得手段により、角度検出手段が加工過程で検出した回動角の履歴を示す回動角履歴情報が回動履歴情報として取得される。そして、演算手段は、回動角履歴情報を基に、回動角と回数の分布であって回数を度数とする度数分布で示される接触分布を求め、この接触分布を基に、非接触分布を求めるとともに、この非接触分布における回動角を座標に変換する。このため、角度検出手段の検出結果を回動角履歴情報として使用し、回動角履歴情報に基づき生成した非接触分布に基づき、第2の制御手段はガルバノ動力源を駆動制御することができる。
請求項6に記載の発明では、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、前記第2の制御手段が前記ガルバノ動力源を駆動させる前記リフレッシュ動作が必要であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記リフレッシュ動作が必要であると判定されると、その判定結果を報知する報知手段と、前記リフレッシュ動作を行わせる指示を与える操作手段と、前記第2の制御手段は、前記操作手段から前記指示が与えられると、前記ガルバノ動力源を駆動して前記リフレッシュ動作を行わせることが好ましい。
この構成によれば、判定手段により、第2の制御手段がガルバノ動力源を駆動させるリフレッシュ動作が必要であるか否かが判定される。判定手段によりリフレッシュ動作が必要であると判定されると、その判定結果は報知手段により報知される。そして、操作手段の操作によりリフレッシュ動作を行わせる指示が与えられると、第2の制御手段は、ガルバノ動力源を駆動してリフレッシュ動作を行わせる。このため、リフレッシュ動作が必要な時期を報知により知ることができるうえ、リフレッシュ動作を行わせるか否かを選択することができる。
請求項7に記載の発明では、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、前記第1の制御手段は、入力した走査速度に基づき前記ガルバノ動力源の駆動速度を制御する構成であり、前記演算手段は、前記ミラーの回動履歴情報と前記走査速度に基づき前記加工過程の前記ミラーの回動によって前記転動体が転動接触しなかった前記回数と前記走査速度とを基に規定される負荷量の位置毎の分布であって、前記負荷量を度数とする度数分布で示される負荷分布を求め、当該負荷分布における負荷量とリフレッシュ動作時の走査速度とを基に、前記回数の位置毎の分布である前記非接触分布を求めることが好ましい。
この構成によれば、ミラーの回動履歴情報と走査速度とに基づき加工過程のミラーの回動によって転動体が転動接触しなかった回数と走査速度とを基に規定される負荷量の位置毎の分布である負荷分布を求め、負荷分布における負荷量とリフレッシュ動作時の走査速度とを基に、回数の位置毎の分布である非接触分布が求められる。そして、第2の制御手段によって、非接触分布に基づく回動範囲及び回動回数で、ミラーを回動させるリフレッシュ動作が行われる。このようにリフレッシュ時の走査速度と負荷量とに基づき、ミラーを回動範囲で往復回動させる際の適切な回動回数を決めることが可能になるので、転動軸受の偏摩耗を一層小さく抑えることができる。
請求項8に記載の発明では、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、前記ガルバノ動力源が交換時期に達したことを検出する検出手段と、前記検出手段が前記交換時期に達したことを検出すると、交換を促す旨を報知する報知手段とを備えることが好ましい。
この構成によれば、検出手段によりガルバノ動力源が交換時期に達したことが検出されると、報知手段によってガルバノ動力源の交換を促す旨が報知される。よって、ガルバノ動力源を適切な時期に交換できる。
本発明によれば、ミラーの回動軸を支持する軸受の偏摩耗に起因する加工精度の低下を極力抑えることができる。
第1実施形態におけるレーザマーキング装置の概略構成を示す斜視図。 レーザマーキング装置の概略構成を示すブロック図。 ガルバノスキャナにおけるミラーの回動可能範囲を説明する模式正面図。 ボールベアリングの模式正面図。 ボールの使用領域及び未使用領域を説明する模式図。 内輪及び外輪の使用領域及び未使用領域を説明する模式図。 使用座標データを説明するグラフ。 通過回数の度数分布で表される使用領域を示すグラフ。 使用領域から未使用領域の求め方を説明するグラフ。 通過回数の度数分布で表される未使用領域を示すグラフ。 印字動作ルーチンを示すフローチャート。 電源投入時リフレッシュ動作ルーチンを示すフローチャート。 シャットダウン時リフレッシュ動作ルーチンを示すフローチャート。 手動モード時のリフレッシュ動作ルーチンを示すフローチャート。 第2実施形態における負荷量の度数分布で表される使用領域を示すグラフ。 負荷量の度数分布で表される未使用領域を示すグラフ。
(第1実施形態)
以下、本発明をレーザマーキング装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、レーザ加工装置としてのレーザマーキング装置1は、レーザ光Lを出射するヘッドユニット2(マーカヘッド)と、ヘッドユニット2と電力ケーブル3及び信号ケーブル4を介して接続されるコントローラ5とを備えている。また、コントローラ5には電気ケーブル6を介してコンソール7が接続されている。ヘッドユニット2は、略直方体形状の本体部11の下面に、レーザ光Lを出射させるために形成された窓部8が、加工対象物Wの被加工面Wa(マーキング面)と対向する状態で設置されている。なお、コンソール7に替えてモニタとマウスをコントローラ5に接続することもできる。
レーザマーキング装置1は、例えば搬送ベルト9により搬送される加工対象物Wの被加工面Waにレーザ光Lを照射することにより、その照射されたレーザ光の高エネルギーによって被加工面Wa上に所望の文字、図形、記号等(以下、文字等という)をマーキング(印字)する。なお、図1において二点鎖線で示す四角領域が、レーザ光Lによる印字が可能な最大範囲Amax(レーザ光照射可能範囲)となる。
コンソール7は表示部7aを備え、加工条件を含む設定情報の入力や印字データの選択に用いられる。コントローラ5は、コンソール7から入力された設定情報中の電力設定値に応じた電力を電力ケーブル3を通じてヘッドユニット2へ供給する。また、コントローラ5は、設定情報に基づく各種の制御信号、及び選択された印字データを基に生成した座標データCD(X・Y座標データ)を、信号ケーブル4を通じてヘッドユニット2へ送信する。座標データCDとは、印字される文字等をX,Y座標で表したデータである。そして、ヘッドユニット2は、座標データCDに基づいて加工対象物Wの被加工面Waに照射するレーザ光Lの照射位置をX方向及びY方向に走査して、被加工面Waにレーザ加工による印字を施す。
次に、レーザマーキング装置1の詳細な構成を説明する。
図2に示すように、コンソール7の表示部7aでは、コントローラ5内のメモリ19に記憶された印字データPDに基づく文字等(同図の例では文字列「ABCD」)を表示エリア16に表示させることができる。表示部7aは例えばタッチパネル式であって、その画面上に表示された各種の操作ボタン17を操作することで、印字データの選択、文字等の印字サイズや印字位置などの設定、及び走査速度や電力設定値などを含む加工条件の設定が可能である。コントローラ5は、制御ユニット18と前述のメモリ19を内蔵し、コンソール7で入力された設定情報や印字データPDの選択情報をメモリ19に一時記憶する。こうして設定終了後、ユーザーが操作ボタン17を操作して印字開始の指示を与えると、コントローラ5は設定された設定情報及び選択された印字データPDに基づき印字動作を開始する。
制御ユニット18は、メモリ19に予め記憶されたプログラムを実行するコンピュータを備える。図2に示すように、制御ユニット18は、コンピュータがプログラムを実行することにより構築される各部20〜27を備える。すなわち、制御ユニット18は、主制御部20、第1データ生成部21、第2データ生成部22、第3データ生成部23、リフレッシュ制御部24、判定部25、検出部26及び報知部27などを備えている。
主制御部20は、コントローラ5が行う印字制御をはじめとする各種の処理や制御を統括制御する。コントローラ5の筐体には、電源のオン・オフを操作する電源スイッチ5aが設けられている。コントローラ5の停止状態の下で電源スイッチ5aが操作されて電源が投入されると、主制御部20はコントローラ5を起動させ、一方、コントローラ5の起動状態の下で電源スイッチ5aが操作されると、主制御部20はコントローラ5をシャットダウンさせる。
第1データ生成部21は、メモリ19から作業者により印字すべく選択された印字データPDを読み出し、その読み出した印字データPDを座標データCDに変換する。これは、ヘッドユニット2がレーザ光Lの走査制御に用いるデータ形式が座標データCDだからである。本実施形態では、ガルバノスキャナ33を駆動させるためにヘッドユニット2へ送るべきこの座標データCDを、ガルバノ駆動データGDと呼ぶ場合もある。印字動作を司る主制御部20は、設定情報に応じた制御信号及びガルバノ駆動データGD(座標データ)をヘッドユニット2に送信する。このとき、主制御部20は、ガルバノ駆動データGDを、設定された走査速度に応じた時間間隔(周期)でヘッドユニット2に送信することで、ガルバノスキャナ33による走査速度を制御する。また、第1データ生成部21は、印字動作のために生成した座標データCDを逐次メモリ19に記憶することで、印字回数分の座標データCDからなる使用座標データUDをメモリ19に保存する。本実施形態では、印字回数分の座標データCDからなる使用座標データUDが、回動履歴情報に相当する。なお、各部22〜27の構成及び機能については後述する。
次にヘッドユニット2の概略構成を説明する。
ヘッドユニット2の筐体をなすハウジング2a内には、制御回路30、レーザ光源としてのレーザ発振器31、ビームエキスパンダ32、ガルバノスキャナ33(走査ユニット)及び集光レンズ34が設けられている。ガルバノスキャナ33は、本実施形態では、2軸ガルバノスキャナであり、X方向の走査を行う第1スキャナ35と、Y方向の走査を行う第2スキャナ36とを備える。
図2に示す制御回路30は、コントローラ5から入力した電力をヘッドユニット2内の各電気系部品に必要に応じて電力値を変換して供給する。また、制御回路30は、コントローラ5から入力した制御信号及びガルバノ駆動データGDを入力する。制御回路30は、第1スキャナ35を制御する第1スキャナ制御部41と、第2スキャナ36を制御する第2スキャナ制御部42と、レーザ発振器31を制御するレーザ制御部43とを備えている。
第1スキャナ制御部41は第1駆動回路44を介して第1スキャナ35を制御し、第2スキャナ制御部42は第2駆動回路45を介して第2スキャナ36を制御する。また、レーザ制御部43は、レーザ発振器31を制御し、例えばレーザ発振器31に電力設定値に応じた電力を供給する。
図2に示すように、レーザ発振器31は、ヘッドユニット2のハウジング2a内における長手方向に窓部8と反対側(図2における右側)となる位置に配置されている。レーザ発振器31の後段(図2における左側)には、レーザ発振器31からのレーザ光Lのビーム径を拡大するビームエキスパンダ32が配置されている。さらに、ビームエキスパンダ32の後段にはガルバノスキャナ33が配置されている。ガルバノスキャナ33は、ビームエキスパンダ32からのレーザ光を光偏向させることにより、ハウジング2aのベース板2bが有する孔よりなる窓部8から出射されるレーザ光を、X方向及びY方向に走査する機能を有する。ガルバノスキャナ33を構成する第1スキャナは35は、第1ガルバノモータ46(ガルバノメータ)と、その回動軸に固定されたミラーとしての第1ガルバノミラー46a(X軸ミラー)とを備える。また、ガルバノスキャナ33を構成する第2スキャナ36は、第2ガルバノモータ47(ガルバノメータ)と、その回動軸に固定されたミラーとしての第2ガルバノミラー47a(Y軸ミラー)とを備える。各ガルバノミラー46a,47aは各ガルバノモータ46,47が駆動されることにより所定角度範囲を回動する。ビームエキスパンダ32からのレーザ光Lが、第2ガルバノミラー47a、第1ガルバノミラー46aに順次反射することでレーザ光Lの方向が変更されることにより光偏向される。そして、ガルバノスキャナ33により光偏向されたレーザ光Lは、窓部8に相対して位置する集光レンズ34を通って集光され、被加工面Waに小さなスポットで照射される。なお、集光レンズ34は例えばfθレンズで構成される。
レーザ発振器31は、その光軸がハウジング2aの長手方向と平行になる向きに配置されている。レーザ発振器31は、ガス炭酸ガスレーザなどの気体ガスレーザ、YAGレーザなどの固体レーザ、半導体レーザ、ファイバレーザ、金属レーザ、色素レーザを備えるタイプのものである。
図2に示すように、レーザ発振器31はレーザ発振管31aを内蔵する。レーザ発振管31aは、例えば励起光源、レーザ媒体、光共振器(光増幅器)を備えた公知の構成のものである。レーザ発振管31aにレーザ制御部43から電力が供給されると、励起光源が点灯し、その点灯した光のうち特定波長の励起光によってレーザ媒質が励起されて誘導放出光を発生する。そして、この誘導放出光が光共振器を構成する全反射ミラーと出力ミラー(部分透過ミラー)との間を多重反射してレーザ発振することにより、出力ミラーの外側へ出た一部のレーザ光が、光出射口31bから出射される。このときレーザ光はレーザ発振器31に供給される電力が大きいほど高エネルギーとなる。また、レーザ制御部43は、座標データCDに基づきレーザ発振管31aをオン/オフ制御し、印字される文字等に応じたレーザ光Lのパルスをレーザ発振器31に発生させる。
図2に示すように、ビームエキスパンダ32は、レーザ発振器31の光出射口31bと光軸を一致させた状態で配置され、レーザ発振器31からのレーザ光のビーム径を拡大する機能を有する。詳しくは、ビームエキスパンダ32は、鏡胴50内に光軸方向に所定の距離を隔して配置された拡大レンズ51と収束レンズ52(コリノメータレンズ)とを備える。拡大レンズ51はレーザ光Lのビーム径を拡大し、収束レンズ52は拡大されたレーザ光Lを平行光にする。ビームエキスパンダ32が拡大したレーザ光Lは、その後段(図2では左側)に位置するガルバノスキャナ33に入射される。なお、ビームエキスパンダ32とガルバノスキャナ33との間には、操作部(図示せず)の操作で機械的に開閉駆動されるシャッタ53(図2で二点鎖線で示す)が設けられている。
ガルバノスキャナ33は、二軸式ガルバノスキャナであって、X方向に走査位置を制御するための第1スキャナ35と、Y方向に走査位置を制御するための第2スキャナ36とを備える。第1スキャナ35は、第1ガルバノモータ46と、その回動軸に固定された第1ガルバノミラー46aとを備える。また、第2スキャナ36は、第2ガルバノモータ47と、その回動軸に固定された第2ガルバノミラー47aとを備える。第1ガルバノモータ46の端部には第1ガルバノミラー46aの回動角を検出する角度検出器55が設けられ、第2ガルバノモータ47の端部には第2ガルバノミラー47aの回動角を検出する角度検出器56が設けられている。角度検出器55,56には例えばロータリエンコーダが用いられる。
第1スキャナ制御部41は、ガルバノ駆動データGDのうちのX座標データに基づくデューティ指令値を第1駆動回路44に出力して第1駆動回路44から第1ガルバノモータ46に供給される電流の値及び向きを制御することにより、第1ガルバノモータ46を駆動制御する。また、第2スキャナ制御部42は、ガルバノ駆動データGDのうちのY座標データに基づくデューティ指令値を第2駆動回路45に出力して第2駆動回路45から第2ガルバノモータ47に供給される電流の値及び向きを制御することにより第2ガルバノモータ47を駆動制御する。このとき、第1スキャナ制御部41には角度検出器55の角度検出信号θxが入力され、第2スキャナ制御部42には角度検出器56の角度検出信号θyが入力される。そして、第1スキャナ制御部41は角度検出信号θxに基づき第1ガルバノモータ46をフィードバック制御し、第2スキャナ制御部42は角度検出信号θyに基づき第2ガルバノモータ47をフィードバック制御する。具体的には、第1及び第2スキャナ制御部41,42は、各ガルバノモータ46,47をそれぞれサーボ制御する。
ビームエキスパンダ32からのレーザ光Lは、第2ガルバノミラー47a(Y軸ミラー)で反射した後、第1ガルバノミラー46a(X軸ミラー)で反射して、集光レンズ34に入射する。各ガルバノミラー46a,47aが、ガルバノ駆動データGDのX座標データ及びY座標データに応じた回動角に変更されることで、集光レンズ34を通ったレーザ光Lの照射位置が印字される文字等を描くように走査される。
次に、第1及び第2スキャナ35,36の構成を説明する。なお、各スキャナ35,36は、X軸・Y軸に応じて配置される姿勢が異なるものの、同一の構成を有しているので、ここでは、第1スキャナ35について説明する。なお、図3では、第1スキャナ35の部材等に付した符号と共に括弧内に第2スキャナ36の対応する符号を付している。
図3に示すように、スキャナ35(36)を構成するガルバノモータ46(47)は、ガルバノミラー46a(47a)が先端部に固定された回動軸46b(47b)を有する。この回動軸46b(47b)は円筒状のモータケーシング46c(47c)に対して転動軸受としてのボールベアリング60を介して回動可能に支持されている。ボールベアリング60はモータケーシング46cの軸方向2箇所に取り付けられ、回動軸46b(47b)は2個のボールベアリング60によりその軸方向二箇所で支持されている。
ガルバノモータ46(47)は、例えば回動軸46b(47b)に設けた可動側磁石と、モータケーシング46c(47c)側に設けた固定側磁石と、可動側又は固定側に設けた駆動コイル(いずれも図示せず)とを備える。可動側磁石と固定側磁石の間の磁力によって、電力供給オフ状態で、ガルバノミラー46a(47a)は初期位置(原点)に保持される。ガルバノモータ46(47)に電流が供給されると、ガルバノミラー46a(47a)は、原点を中心として両側に所定の回動範囲内で回動する。このとき、ガルバノミラー46a,47aは、ガルバノモータ46,47内の駆動コイルに流される電流の大きさ及び向きに応じた回動角に回動する。例えばガルバノモータ46(47)に供給される電流の向きが正方向であれば、ガルバノミラー46a(47a)は原点から図3における時計方向に電流値に応じた回動量だけ回動する。一方、ガルバノモータ46(47)に供給される電流の向きが逆方向であれば、ガルバノミラー46a(47a)は原点から図3における反時計方向に電流値に応じた回動量だけ回動する。
本実施形態では、ガルバノモータ46(47)を電流制御することにより、ガルバノミラー46a(47a)は図3に示す原点を中心として回動可能範囲Bを回動する。つまり、ガルバノミラー46a(47a)は原点を中心にマイナス側(図3では反時計方向)に−Bmaxまで、プラス側(図3では時計方向)に+Bmaxまで回動可能である。原点から両方向に不図示のストッパに当たるまでの機械的な回動可能範囲があり、これより内側に印字に使用される回動可能範囲Bが設定されている。図1に示したレーザ照射可能範囲Amaxは、各ガルバノミラー46a,47aの回動可能範囲Bから規定される。もちろん、機械的な回動可能範囲を、印字用の回動可能範囲Bに設定してもよい。
図4に示すように、ボールベアリング60は、回動軸46b(47b)にこれが挿通された状態で固定された内輪61(インナレース)と、モータケーシング46c(47b)(図3参照)に固定された外輪62(アウタレース)と、内輪61と外輪62との間に転動可能な状態で保持された転動体としての複数のボール63とを備えている。なお、ボール63はリテーナ(図示せず)により、ボールベアリング60の周方向に所定の間隔を保った状態で保持されている。
次にボールベアリング60の偏摩耗について説明する。印字中においては、ガルバノミラー46a(47a)は、図3に示す回動可能範囲Bのうち印字対象の文字等のサイズに応じた一部の範囲で回動する。図5は印字中におけるボール63が内輪61及び外輪62に対する接触状況を示す。図5ではガルバノミラー46a(47a)が原点に位置するときの1つのボール63の状態を示す。ガルバノミラー46a(47a)が原点を中心に回動可能範囲B(−Bmax〜+Bmax)(図3参照)を回動することにより、ボール63は、その原点位置を中心として「−Cmax」〜「+Cmax」の範囲で転動する。このとき、ボール63は、「−Cmax」〜「+Cmax」の範囲に相当する外周面で内輪61の内周面61aに接触する。印字中のボール63は、ボールベアリング60の回動可能範囲Bに対応する外周面(転動面)のうち一部の領域(以下、「使用領域U1」という)だけを使って、内輪61の内周面61aに転動接触する。そして、ヘッドユニット2からのレーザ光Lの出射方向と、印字対象の文字等のサイズがほぼ同じであると、ボール63は図5に太線で示した使用領域U1だけを繰り返し使用して摩耗する。また、ボール63の同様の摩耗が外輪62の内周面62aとの間でも起こり、ボール63は外周面のうち図5に太線で示した一部の使用領域U2だけを使って、外輪62の内周面62aに繰り返し転動接触する。
本実施形態では、ボール63の使用領域U1,U2が集中的に摩耗して起こる偏摩耗を小さく抑えるため、図5に示すボール63の外周面において使用領域U1以外の未使用領域V1,V2の摩耗を進めるリフレッシュ動作を、非加工期間としての非印字期間に、ガルバノミラー46aを回動させることにより行う。このリフレッシュ動作では、未使用領域V1,V2を使用領域U1と同程度に摩耗させる。このとき、ミラー回動履歴情報としての使用座標データUDから、印字過程におけるボール63の外周面上の各位置における転動接触回数(通過回数)を考慮し、ボール63の外周面上(又は内輪61の内周面61a上)における最大転動接触回数(最大通過回数)に対して不足分の回数だけボール63(又は内輪61)を転動接触させる。
ここで、ボールベアリング60は、ボール63が剛球である場合、内輪61及び外輪62よりボール63が比較的摩耗しやすい傾向にあり、一方、ボール63がセラミック球である場合、ボール63より内輪61及び外輪62が比較的摩耗しやすい傾向にある。もちろん、ボール63と内輪61及び外輪62の材質や硬度によって、どちらが摩耗しやすいかが変わってくる。しかし、本実施形態で目的とするところは、ボールベアリング60の偏摩耗に起因してガルバノミラー46a,47aがスムーズに回動しなくなる現象を極力小さく抑えることにある。そのため、ガルバノミラー46a,47aの回動がスムーズでなくなる現象の原因が、ボール63側の偏摩耗にあれば、ボール63の摩耗を均一化するリフレッシュ動作を行い、その原因が内輪61及び外輪62側の偏摩耗にあれば、内輪61及び外輪62の摩耗を均一化するリフレッシュ動作を行う。
図6は内輪61及び外輪62側の偏摩耗を抑制するリフレッシュ動作を説明する例である。例えばボール63がセラミック球の場合、内輪61及び外輪62が偏摩耗しやすい傾向がある。図6ではガルバノミラー46aが原点を中心に回動可能範囲B(−Bmax〜+Bmax)(図3参照)を回動することにより、ボール63は、その原点位置を中心として「−Cmax」〜「+Cmax」の範囲に相当する外周面(転動面)を、内周面61a,62aに転動接触させる。印字中の内輪61の内周面61aは、ボール63の「−Cmax」〜「+Cmax」の範囲に相当する外周面が転動接触可能な全領域のうち一部の領域(以下、「使用領域Q1」という)だけでボール63と接触する。そして、ヘッドユニット2からのレーザ光Lの出射方向と、印字対象の文字等のサイズがほぼ同じであると、内輪61の内周面61aは図6に太線で示した使用領域Q1で集中的に転動接触する。また、同様の集中的な転動接触が、ボール63と外輪62との間でも起こり、外輪62の内周面62aは、ボール63と図6に太線で示した使用領域Q2で繰り返し転動接触する。
この場合、図6に示す内周面61aにおいて、左側のボール63の−Cmax〜+Cmaxの範囲に相当する外周面が転動接触する範囲は、隣(同図右側)のボール63の同範囲に相当する外周面が転動接触する範囲と一部重複する。このため、リフレッシュ動作時に、隣合う2つのボール63が同じ場所を重複して転動接触しないように−Co〜+Coの範囲を定め、この範囲−Co〜+Coから使用領域Q1を除いた領域を未使用領域R1,R2とする。そして、非印字時に、未使用領域R1,R2を使用領域Q1と同程度に摩耗させるリフレッシュ動作を行う。もちろん、内輪61よりも外輪62側の偏摩耗を抑えるべく、外輪62の内周面62aにおける使用領域Q2以外の未使用領域を、使用領域Q2と同程度に摩耗させるリフレッシュ動作を行う構成も採用できる。
なお、図5及び図6では、説明の便宜上、使用領域と未使用領域を位置で分けて説明したが、本実施形態における使用領域と未使用領域は、位置と転動接触回数の分布から定められる。このため、各位置における加工時の転動接触累積回数の分布を示す領域が使用領域となり、各位置における転動接触回数の最大値に対して不足した回数の分布を示す領域が未使用領域となる。そして、リフレッシュ動作では、転動接触回数の最大値に対して不足した回数だけボール63の各位置を転動接触させる。
次に、図2に戻って、コントローラ5の機能構成を説明する。制御ユニット18がその内部に備える各部20〜27は、ヘッドユニット2に対して印字動作とリフレッシュ動作を指示する。主制御部20は、各部21〜27を統括的に制御する他、印字動作の制御を担う。主制御部20は、印字動作に必要な制御信号や、印字用のガルバノ駆動データGD1をヘッドユニット2へ送信する。
第1データ生成部21は、コンソール7で選択された印字データPDを基に、ヘッドユニット2内の第1及び第2スキャナ制御部41,42が各スキャナ35,36を制御する際に使用する座標データを生成する。この座標データは、X座標データとY座標データとを含み、文字等の座標上の軌跡を特定する多数の座標点(x,y)群により構成される。主制御部20は第1データ生成部21が生成した座標データを、印字用のガルバノ駆動データGD1として、ヘッドユニット2へ送信する。このガルバノ駆動データGD1を受信したヘッドユニット2内の制御回路30では、第1スキャナ制御部41がそのうちのX座標データを用いて第1スキャナ35を制御し、第2スキャナ制御部42がそのうちのY座標データを用いて第2スキャナ36を制御する。
第1データ生成部21は、加工対象物Wに対する1回の印字(例えば図1に示すような文字列「ABCD」の印字)ごとに座標データを毎回生成する。このため、第1データ生成部21によって印字回数と同数の座標データが、メモリ19に使用座標データUDとして保存される。使用座標データUDは、リフレッシュ動作時のガルバノミラー46a,47aの回動範囲及び回動回数を決める未使用領域V1,V2(又はR1,R2)を求めるために使用される。
第2データ生成部22は、使用座標データUDを基に使用領域データADを生成する。
第3データ生成部23は、使用領域データADを基に未使用領域データBDを生成する。
図7は、座標データの印字回数分の蓄積である使用座標データを、座標データと時間tとの関係で模式的に表したグラフである。図7では、使用座標データUDのうちX方向成分の使用X座標データを示しており、そのY方向成分の使用Y座標データについてもグラフ線が異なるだけで、基本的に同様のグラフになる。図7ではY座標については括弧内に示している。図7のグラフでは、横軸が座標、縦軸が時間tを示す。図7のグラフにおいて、X座標「−Xmax〜Xmax」の範囲は、ガルバノミラー46aの回動可能範囲Bである「−Bmax〜Bmax」に対応する。例えば比較的小さな文字等の印字が施される場合、ガルバノミラー46aは回動可能範囲Bのうち極一部の狭い範囲を往復回動する。
次々に搬送されてくる加工対象物Wにレーザ光Lを照射して印字が施されるので、時間tが経過する(つまり印字回数nが増える)に連れて座標データCDは蓄積される。この例では、ボール63は内輪61及び外輪62と、図7のグラフに破線で示したX座標の範囲で繰り返し転動接触する。図7に示すグラフ線から分かるように、印字回数分のX座標データの蓄積である使用X座標データUDxは、第1ガルバノミラー46a(X軸ミラー)の回動履歴を表している。同様に印字回数分の使用Y座標データUDyは、第2ガルバノミラー47a(Y軸ミラー)の回動履歴を表している。なお、図7は、メモリ19に保存された使用座標データUDのうちの使用X座標データUDxの履歴が分かるように時間tに対して示したものであり、実際の印字では、1回の印字の所要時間は例えば1ミリ秒未満であり、加工対象物W間の間隔を待つ待ち時間(印字間隔時間)に比べて、極めて短時間である。
図8は、図7のグラフ線(X座標履歴)がX座標軸上の各座標点を通過する回数(以下、「通過回数NX」という)(転動接触回数)を度数とする度数分布データ(度数分布曲線上の点群の座標データ)である。図8のグラフにおいて、通過回数NXが1回以上の領域、つまり度数分布曲線で囲まれた領域が、ボール63の外周面のうち内輪61の内周面61aに転動接触した使用領域となる。図8のグラフから分かるように、時間t、つまり印字回数nが増えるに連れて通過回数NXが増えていく。そして、通過回数NXが高い部分ほど摩耗が進むので、通過回数NXの高いX座標値に対応する部分でボール63は繰り返し転動接触する。つまり、ボール63の外周面上における転動接触回数の分布が、図8に示すような度数分布曲線で表される。
第2データ生成部22は、図7に模式的に示す使用座標データUDをメモリ19から読み出し、その読み出した使用座標データUDを基に使用領域データUを生成する。使用座標データUDは、図7に示すように座標データを印字回数分集めた履歴情報であり、そのX方向の履歴を示す図7のグラフ線がX座標上の各点を何回通過したかが分かるデータである。この各点の通過回数は、各点の転動接触回数に等しい。
第2データ生成部22は、座標上の各点を何回通過したかが分かる使用座標データUDを基に、使用領域データUを生成する。使用領域データUは、X方向とY方向のそれぞれについて各点の通過回数を示すデータである。例えば図7の使用X座標データUDxが得られた場合、この使用X座標データUDxを基に、図8に示すように、横軸がX座標(又はY座標)、縦軸が通過回数NX(NY)とした座標系で、通過回数NXを度数とする度数分布曲線f(x)で示される使用領域データUxを生成する。すなわち、第2データ生成部22は、使用座標データUDのうち使用X座標データUDxを基にX方向の度数分布曲線f(x)のデータを生成し、使用Y座標データUDyを基にY方向の度数分布曲線f(y)のデータを生成する。詳しくは、使用領域データUxは、図9に示す度数分布曲線f(x)上の点群の座標(x,NX)の集合として表される座標データとして求められる。同様に、使用領域データUyは、度数分布曲線f(y)上の点群の座標(y,NY)の集合として表される座標データとして求められる。
本実施形態では、図5における使用領域U1,U2及び図6における使用領域Q1,Q2は、図8及び図9に示すように、通過回数NX,NYの成分も有する度数分布曲線f(x)、f(y)上の点群データとして求められる。なお、本実施形態では、使用領域の度数分布曲線f(x)、f(y)が、接触分布に相当する。
第3データ生成部23は、使用領域データUx,Uyを基に未使用領域データVx,Vyを生成する。図9に示すように、まず、度数分布曲線f(x)で示される使用領域Uxの最大値NXmax(最大通過回数)を求め、X座標軸上の各点ごとに、使用領域Uxの最大値NXmax(最大通過回数)と、使用領域Uxの値との差を演算する。つまり、最大値NXmaxから、度数分布曲線f(x)上の各点の値を減算し、減算して得られた差分値ΔNXとX座標軸上の各点の座標値xとで示される点(x,ΔNX)を集めた点群からなる図10に示すような未使用領域Vxを演算する。図10は、X座標軸上の各点において、最大通過回数NXmaxに達するまでに不足する通過回数を度数とする度数分布曲線g(x)のグラフとなる。
また、同様に、第3データ生成部23は、Y座標上の各点ごとに、使用領域Uyの最大値NYmax(最大通過回数)と、使用領域Uyの値との差を演算する。つまり、最大値NYmaxから、度数分布曲線f(y)上の各点の値を減算し、減算して得られた差分値ΔNYとY座標の点の値yとで示される点(y,ΔNY)を集めた点群からなる図10に示すような未使用領域Vyを演算する。図10は、Y座標軸上の各点において、最大通過回数NYmaxに達するまでに不足する通過回数を示した度数分布曲線g(y)のグラフとなる。なお、本実施形態では、非使用領域の度数分布曲線g(x)、g(y)が、非接触分布に相当する。
リフレッシュ制御部24は、未使用領域データVx,Vyから、通過回数1,2,…,NXmax毎に各座標データ(x,y)を生成し、各座標データ(x,y)をリフレッシュ用のガルバノ駆動データGD2としてヘッドユニット2へ送信する。ここで、図10に示す未使用領域Vx(Vy)は、図9に示す使用領域Ux(Uy)に相当する位置の両側に位置する図10に示す2つの未使用領域V1,V2に分かれて存在する。リフレッシュ制御部24は、まず例えば未使用領域V1から決まる座標データ(x,y)をヘッドユニット2へ送信する。
この結果、ガルバノミラー46a,47aは、図10のグラフにおいて未使用領域V1中に示された破線矢印の経路に沿って、未使用領域V1を、1回からNXmax回(NYmax回)まで、X方向に繰り返し往復回動する。そして、ガルバノミラー46a,47aが未使用領域V1での回動を終えると、次に、未使用領域V2から決まる座標データ(x,y)をヘッドユニット2へ送信する。この結果、ガルバノミラー46a,47aは、図10のグラフにおいて未使用領域V2中に示された破線矢印の経路に沿って、未使用領域V2を、1回からNXmax回(NYmax回)まで、X方向に繰り返し往復回動する。これにより、ガルバノミラー46a,47aの回動可能範囲Bの全域においてボールベアリング60の摩耗の程度が均一になる。つまり、ボール63の使用可能範囲「−Cmax〜+Cmax」において、摩耗の程度が均一になる。なお、上記の座標データ(x,y)は、未使用領域Vxを構成する各未使用領域V1,V2における通過回数NX(NX=1〜NXmax)毎のX方向の範囲(始点x1〜終点x2)と、未使用領域Vyを構成する各未使用領域V1,V2における通過回数NXi毎のY方向の範囲を特定する座標データ(始点y1〜終点y2)を意味する。
ここで、リフレッシュ動作のときにはガルバノモータ46,47を最高速又は最高速に近い高速領域(例えば最高速に対して90%以上の速度領域)で駆動させる。通常、印字動作のときには、ガルバノモータ46,47は、最高速に対して例えば20〜60%程度の速度領域で駆動される。このため、ガルバノモータ46,47を高速領域で駆動させてリフレッシュ動作を行うことにより、リフレッシュ動作を比較的短時間で済ませられる。また、1回の印字動作は1ミリ秒未満で行われ、加工対象物W間の間隔時間(搬送時間)に比べ印字動作時間は非常に短い。このため、仮に印字動作時の最大通過回数に達するまでリフレッシュ動作を行ったとしても、リフレッシュ動作は、例えば1秒〜数分の範囲内の所要時間で済む。なお、本実施形態では、ガルバノモータ46,47を印字用に設定可能な最高速度(つまり最高走査速度)で駆動させることによりリフレッシュ動作を行う。
図2に示す判定部25は、リフレッシュ動作が必要であるか否かを判定する。ここで、本実施形態では、リフレッシュ動作を非印字時期に自動で行う自動モード(オートモード)と、リフレッシュ動作の開始を手動で指示する手動モード(マニュアルモード)とが用意されている。作業者は、コンソール7の操作ボタン17の操作によって自動モードか手動モードかを選択設定できる。判定部25は手動モード時に、リフレッシュ動作が必要であるか否かを判定する。本例では、図8のグラフに示されるような閾値NXo(NYo)が予め設定されている。判定部25は、第2データ生成部22が生成した使用領域データUxが閾値NXoを超えたか否かの判定と、使用領域データUyが閾値NYoを超えたか否かの判定とを行う。そして、判定部25は、使用領域データUxと使用領域データUyのうち少なくとも一方が閾値を超えた場合に、リフレッシュ動作が必要と判定する。
検出部26は、ガルバノモータ46,47の交換時期を検出する。ガルバノモータ46,47には、ガルバノミラー46a,47aの回動回数換算で予め定められた使用限界回数がある。検出部26は、ガルバノミラー46a,47aの各回動回数を計数し、その回動回数が使用限界回数よりも余裕を見込んだ所定回数分少ない規定回数(以下、「交換時期回数」という)に達したことをもって、ガルバノモータ46,47の交換時期を検出する。詳しくは、検出部26は、ガルバノミラー46a,47a個別に、各回動回数を計数するカウンタ(図示せず)を備える。カウンタには初期に交換時期回数がセットされ、交換時期回数からガルバノミラー46a,47aの回動回数が減算される。そして、検出部26は、カウンタの計数値が例えば「0」になったことをもって、ガルバノモータ46,47の交換時期を検出する。このとき減算される回動回数には、印字動作時の回動回数とリフレッシュ動作時の回動回数の両方が含まれ、印字動作時の回動回数とリフレッシュ動作時の回動回数とを合わせた累積の回動回数が交換時期回数に達したときが交換時期となる。
また、他の方法として、ボールベアリング60を構成するボール63の摩耗量から交換時期を検出してもよい。検出部26は、ボール63が限界摩耗量よりも余裕を見込んだ所定摩耗量分少ない摩耗量(以下、「交換時期摩耗量」という)に達したことをもって、ガルバノモータ46,47の交換時期を検出する。この場合、ガルバノミラー46a,47aの印字動作時の回動によってボール63は局所摩耗し、ボール63の摩耗を均一化させるべくその局所摩耗した使用領域以外の未使用領域を、ガルバノミラー46a,47aのリフレッシュ動作時の回動により同程度に摩耗させる。このため、リフレッシュ動作実施の度に使用領域の最大通過回数(最大摩耗量に相当)を、メモリ19の所定記憶領域に保存されている前回までの通過回数累積値に加算する。そして、検出部26は、前回までの通過回数累積値に、今回のリフレッシュ動作終了以後の使用領域の最大通過回数を都度加算し、その加算した値(最大累積摩耗量に相当)が、交換時期摩耗量に達したことをもって、ガルバノモータ46,47の交換時期を検出する。
さらに他の方法として、検出部26は、角度検出器55,56からの角度信号を基にガルバノミラー46a,47a(つまり回動軸46b,47b)の回動速度を求め、回動速度がそのときの指令電流値から想定される回動速度範囲から外れたことをもって、ガルバノモータ46,47の交換時期を検出する。また、他の方法として、検出部26は、各スキャナ制御部41,42が各ガルバノモータ46,47を制御するために駆動回路44,45へ出力する指令電流値が、角度検出器55,56からの角度信号によるフィードバック制御のため、想定される電流値範囲から外れたことをもって、ガルバノモータ46,47の交換時期を検出してもよい。
報知部27は、判定部25によりリフレッシュ動作が必要であると判定された場合に、コンソール7の表示部7aにリフレッシュ動作の実施を促す旨を表示させる。作業者は、リフレッシュ動作を実施させるときには、表示部7a中の所定の操作ボタン17を操作して、リフレッシュ動作の実施を指示する。また、報知部27は、検出部26がガルバノモータ46,47のうちいずれか一方が交換時期に達したことを検出したときには、コンソール7の表示部7aにその交換時期に達したガルバノモータの交換を促す旨を表示させる。なお、報知に音声を加え、あるいは音声のみとし、コンソール7のスピーカ(図示せず)からの音声によって、リフレッシュ動作の実施を促したり、ガルバノモータ46,47の交換を促したりする構成も採用できる。
リフレッシュ制御部24は、コンソール7からリフレッシュ動作の実施の指示を入力すると、リフレッシュ動作を開始させるべく前述のリフレッシュ用のガルバノ駆動データGD2をヘッドユニット2へ送信する。また、リフレッシュ制御部24は、自動モードでは、作業者が電源スイッチ5aを操作してコントローラ5に電源が投入された起動時と、電源スイッチ5aを操作してコントローラ5がシャットダウン指令を受け付けたシャットダウン時に、ヘッドユニット2内のガルバノスキャナ33を制御して、自動でリフレッシュ動作を行わせる。
次に、上記のように構成されたレーザマーキング装置1の作用を説明する。なお、図11〜図14に示す各ルーチンは、コントローラ5内の制御ユニット18(コンピュータ)が実行する。
まず印字動作を図11のフローチャートに従って説明する。
ここで、ヘッドユニット2の動作モードには、印字動作モード(加工動作モード)と、リフレッシュ動作モードとがある。印字動作モードとは、印字を行う動作モードであり、ヘッドユニット2は加工データに基づき窓部8からレーザ光Lを照射して加工対象物Wに印字を施す。また、リフレッシュ動作モードとは、ボールベアリング60の偏摩耗を緩和するための動作モードであり、レーザ光Lは出射されずガルバノスキャナ33が空駆動される。リフレッシュ動作モードでは、印字中にメモリ19に保存された使用座標データが用いられる。
まずステップS1では、印字データを選択する。これは作業者がコンソール7の表示部7a中の操作ボタン17を操作して、印字すべき文字等の印字データを選択する。
ステップS2では、印字用のガルバノ駆動データを作成する。すなわち、第1データ生成部21が、印字データを座標データに変換することにより、座標データからなるガルバノ駆動データGD1を作成する。
次のステップS3では、印字を開始すべきか否かを判断する。例えばコンソール7で印字を開始する操作がなされると、コンソール7からコントローラ5へ印字指令信号が入力される。コントローラ5内の制御ユニット18は、印字指令信号を入力すると、印字を開始すべきと判断し、一方、印字指令信号の入力がなければ印字を開始すべきでないと判断する。
こうして、印字開始操作が行われる前は、印字データが選択される度にそれを座標データに変換して印字用のガルバノ駆動データGD1を作成する。その後、印字開始操作が行われ、印字指令信号を入力すると、ステップS4に進む。
ステップS4では、主制御部20が印字用のガルバノ駆動データGD1をヘッドユニット2へ送信する。
ステップS5では、使用座標データをメモリ19に記憶する。すなわち、第1データ生成部21により作成された座標データをガルバノ駆動データGD1として送信する度に、その座標データを、使用座標データUDとしてメモリ19に記憶する。使用座標データUDは、ガルバノミラー46a,47aの回動履歴情報として用いられる。
ステップS6では、印字終了であるか否かを判断する。コンソール7の操作で指定された印字回数の印字を終了すると、印字終了と判断する。印字が終了していなければステップS4に戻り、次の印字用のガルバノ駆動データGD1を送信する。そして、印字用のガルバノ駆動データGD1を送信すると、ステップS5において、ガルバノ駆動データGD1として送信された座標データを、使用座標データUDとしてメモリ19に記憶する。こうして印字用のガルバノ駆動データGD1が送信される度に、その同じ座標データが使用座標データUDとしてメモリ19に記憶される。よって、メモリ19には、印字回数と同数個の座標データが使用座標データUDとして記憶される。
例えば電源投入時だけにリフレッシュ動作を行う自動モードに設定されていたとする。この場合、印字動作の終了後、作業者が電源スイッチ5aを操作すると、コントローラ5はリフレッシュ動作を行うことなくシャットダウンされる。その後、作業者が電源スイッチ5aを操作して、コントローラ5の電源が投入されると、コントローラ5内の制御ユニット18が図12に示す電源投入時リフレッシュ動作ルーチンを実行する。
まずステップS11では、使用座標データUDをメモリ19から読み出す。ここで、使用座標データUDは、前回のリフレッシュ動作以後の印字回数と同数の座標データからなるので、その間のガルバノミラー46a,47aの回動履歴を示す情報となる。使用座標データUDは、第1ガルバノミラー46a(X軸ミラー)の回動履歴情報である使用X座標データUDxと、第2ガルバノミラー47a(Y軸ミラー)の回動履歴情報である使用Y座標データUDyとからなる。そして、使用X座標データUDxと使用Y座標データUDyとからなる使用座標データUDを、メモリ19から読み出す。
ステップS12では、未使用領域データVx,Vyを作成する。未使用領域データVx,Vyの作成は、第2及び第3データ生成部22,23が行う。このとき、まず第2データ生成部22が使用座標データUDを用いて使用領域データUx,Uyを求める。すなわち、図7に示すような使用座標データUDである場合、使用座標データUDから、図9に示す度数分布曲線f(x)上の点群で示される使用領域データUx,Uyを求める。次に、第3データ生成部23が、まず度数分布曲線f(x)で示される使用領域Uxの最大値NXmax(最大通過回数)を求める。そして、第3データ生成部23が、使用領域Uxの最大値NXmaxから、使用領域Uxの度数分布曲線f(x)におけるX座標軸上の各点xjの回数f(xj)を減算し、減算して得られた差分値ΔNXjとX座標軸上の各点の座標値xjとで示される点(xj,ΔNXj)を集めた点群からなる図10に示すような未使用領域Vxを演算する。この図10に示す未使用領域Vxは、X座標軸上の各点xjにおいて、最大通過回数NXmaxに達するまでに不足する通過回数を度数とする度数分布曲線g(x)のグラフとなる。
また、同様に、第2データ生成部22は、使用領域Uyを求める。次に第3データ生成部23は、使用領域Uyの最大値NYmax(最大通過回数)から、使用領域UyのY座標軸上の各点yjの回数を減算し、減算して得られた差分値ΔNYjとY座標軸上の各点の値yjとで示される点(yj,ΔNYj)を集めた点群からなる図10に示すような未使用領域Vyを演算する。この図10に示す未使用領域Vyは、Y座標軸上の各点yjにおいて、最大通過回数NYmaxに達するまでに不足する通過回数を度数とする度数分布曲線g(y)のグラフとなる。こうして、使用領域データUx,Uy以外の部分を未使用領域データVx,Vyとして求める。
ステップS13では、リフレッシュ用ガルバノ駆動データを作成する。未使用領域データVx,Vyが求められると、この未使用領域データVx,Vyを基にリフレッシュ用のガルバノ駆動データGD2を作成する。このガルバノ駆動データGD2は、ヘッドユニット2内の各スキャナ制御部41,42がガルバノモータ46,47を制御する際に使用される制御データである。
ステップS14では、リフレッシュ動作を行う。すなわち、リフレッシュ制御部24がリフレッシュ用のガルバノ駆動データGD2をヘッドユニット2へ送信する。ヘッドユニット2内の各スキャナ制御部41,42は、リフレッシュ用ガルバノ駆動データGD2を基にデューティ値及び回動方向を求め、求めたデューティ値に応じた電流を回動方向に応じた向きに流すことにより、ガルバノモータ46,47を制御する。この結果、ガルバノミラー46a,47aは、まず図10における未使用領域V1中を破線で示すように往復回動を繰り返す。この結果、未使用領域V1の摩耗量が使用領域Ux,Uyのうちの最大の摩耗度に追いつく。次に、ガルバノミラー46a,47aは、図10における未使用領域V2中を破線で示すように往復回動を繰り返す。この結果、未使用領域V2の摩耗量が使用領域Ux,Uyのうちの最大の摩耗度に追いつく。
次のステップS15では、使用座標データをメモリから消去する。
そして、ステップS16では、印字動作(図11参照)に移行する。印字動作中は、印字回数分の座標データが使用座標データとしてメモリ19に記憶される。
次にシャットダウン時リフレッシュ動作ルーチンについて説明する。コントローラ5の起動状態において電源スイッチ5aが操作され、その操作に基づくシャットダウン指令を入力すると、制御ユニット18は図13に示すシャットダウン時リフレッシュ動作ルーチンを実行する。
このルーチンでは、ステップS21〜ステップS25は、電源投入時リフレッシュ動作ルーチン(図12)におけるステップS11〜ステップS15と同様の処理が行われる。すなわち、使用座標データUDのメモリ19から読み出し(S21)、未使用領域データUBの作成(S22)、リフレッシュ用のガルバノ駆動データGD2の作成(S23)、リフレッシュ動作(S24)を順次行う。そして、リフレッシュ動作を終了すると、使用座標データUDをメモリ19から消去し(S25)、最後にレーザマーキング装置1を停止する(S26)。このシャットダウン時リフレッシュ動作ルーチンを行うことによって、電源投入後の印字動作によってボール63が局所的に摩耗しても、その摩耗に使用された使用領域U(又はQ)以外の未使用領域V(又はR)も同程度に摩耗されることにより、ボールベアリング60に偏摩耗のない状態でレーザマーキング装置1の運転を停止することができる。
次に、手動モードにおけるリフレッシュ動作ルーチンについて図14を用いて説明する。このルーチンは、手動モードが設定されている場合、制御ユニット18が非印字時期に実行する。ここでいう非印字時期とは、電源投入時(システム起動時)、シャットダウン時(電源遮断時)を少なくとも含み、本例では更に印字休止時期も含む。ここで、印字休止時期とは、例えば印字動作を停止してから計時を開始したタイマー(図示せず)の計時時間が、印字休止状態が一定時間継続したことを示す設定時間に達したときである。非印字時期になると、図14に示す手動モード用のリフレッシュ動作ルーチンを実行し、まずステップS31において、使用座標データUDをメモリ19から読み出す。
次のステップS32では、使用領域の最大値が閾値を超えたか否かを判断する。詳しくは、使用座標データUDx,UDyを基に、図8に示す使用領域Ux,Uyを求め、これらの使用領域Ux,Uyの最大値の少なくとも一方が閾値NXo,NYoを超えたか否かを判断する。使用領域の最大値が閾値を超えたと判断した場合はステップS33に進み、使用領域の最大値が閾値を超えないと判断した場合は当該ルーチンを終了する。
ステップS33では、リフレッシュ動作を促す旨を報知する。すなわち、報知部27がリフレッシュ動作を促す旨の信号をコンソール7に出力する。この結果、コンソール7の表示部7aにリフレッシュ動作を促す旨が表示される。作業者は、リフレッシュ動作を行わせたいときには操作ボタン17の操作でリフレッシュ選択をし、リフレッシュ動作の開始を指示する。一方、作業者は、リフレッシュ動作を行わせたくないときには操作ボタン17の操作でリフレッシュ非選択とし、リフレッシュ動作の不実施を指示する。この操作ボタン17の操作結果はコンソール7からコントローラ5へ入力される。
ステップS34では、リフレッシュ選択が行われたか否かを判断する。すなわち、コンソール7から入力した操作信号に基づき、制御ユニット18はリフレッシュ選択が行われたか否かを判断する。そして、リフレッシュ選択が行われたと判断した場合はステップS35に進み、リフレッシュ選択が行われなかった場合(リフレッシュ非選択の場合)は当該ルーチンを終了する。
そして、以降のステップS35〜S37の処理は、図12におけるステップS12〜S14と同様に行われる。すなわち、未使用領域データを作成し(S35)、リフレッシュ用のガルバノ駆動データGD2を作成し(S36)、リフレッシュ動作を行う(S37)。そして、リフレッシュ動作を終了すると、使用座標データUDをメモリ19から消去する(S38)。
なお、本実施形態においては、図12〜図14に示す各ルーチンで、リフレッシュ動作終了後にリフレッシュ動作を行ったことをリフレッシュ動作履歴情報としてメモリ19に記憶する。例えばリフレッシュ動作実施時期とリフレッシュ動作実施回数をメモリ19に記憶する。このため、作業者はコンソール7の表示部7aに過去の指定期間内におけるリフレッシュ実施回数や各リフレッシュ動作の実施時期を表示させて確認することができる。この場合、自動モードのときには、自動でリフレッシュ動作が行われたかどうか、実施された場合にはいつ行われたかを確認することができる。また、手動モードのときには、過去のリフレッシュ動作の実施状況を確認し、これを参考にリフレッシュ動作を実施するかどうかを判断できる。また、手動モードのときには、リフレッシュ動作を促す旨を表示する際に、リフレッシュ動作実施状況の情報も一緒に表示させてもよい。
以上詳述したように本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)ガルバノミラー46a,47aの回動履歴情報である使用座標データUDを基にボールベアリング60の未使用領域Vx,Vy(度数分布)を求め、非印字時期に未使用領域Vx,Vyを基にリフレッシュ動作を行うようにした。このため、なるべくボール63を使用可能領域の全域(又は内輪61の使用可能領域の全域)に亘ってほぼ均一に摩耗させることができる。この結果、ガルバノモータ46,47の回動軸46b,47bを支持するボールベアリング60の偏摩耗をなるべく小さく抑えることができる。このため、ガルバノモータ46,47の回動軸46b,47bをスムーズに回動させることができる。よって、ショートベクトルで構成される小文字や2次元コードなどを印字する場合に、ガルバノミラー46a,47aが極狭い一部の範囲を繰り返し回動する使われ方をしても、長期間に亘って高い走査位置精度で文字等を印字することができる。
(2)印字回数分の座標データを蓄積した使用座標データUDを用いて、座標と通過回数を各座標軸としかつ通過回数を度数とする度数分布曲線を使用領域として求めた。そして、使用領域の度数分布曲線f(x),f(y)の最大値NXmax,NYmaxから、度数分布曲線f(x),f(y)上の値を座標点毎に減算し、その減算した値を基に未使用領域の度数分布曲線g(x),g(y)を求めた。このため、最大値NXmax,NYmaxに達するまでに必要な座標点毎の通過回数を分布g(x),g(y)として求め、その求めた分布g(x),g(y)を基に図10に示すようなリフレッシュ動作を行うので、ボール63の使用可能領域の全域で摩耗度合をほぼ均一にすることができる。
(3)ガルバノ駆動データGD1として使用される座標データCDをメモリ19に印字回数分記憶することで使用座標データUDを保存し、使用座標データUDを基に未使用領域Vx,Vyを求める構成とした。このようにガルバノ駆動データGD1(座標データCD)を利用するので、座標データに変換するなどの余分な処理が必要なく、演算処理の負担が軽く済む。
(4)リフレッシュ動作時は、ガルバノモータ46,47を最高速又は最高速に近い高速領域(例えば最高速に対して90%以上の速度領域)で駆動させるので、リフレッシュ動作を比較的短時間で済ませることができる。また、1回の印字動作は1ミリ秒未満で行われ、印字期間中における実際の印字動作時間は非常に短いので、印字動作中の最大通過回数NXmax,NYmaxに達するまでに必要な通過回数だけガルバノミラー46a,47aを往復回動させるリフレッシュ動作を行ったとしても、リフレッシュ動作を通常1秒〜数分の範囲内の所要時間で済ませることができる。特に、本実施形態では、リフレッシュ動作時に、ガルバノモータ46,47を、最高速度で駆動させるので、リフレッシュ動作の所要時間を最大限短くすることができる。
(5)ガルバノモータ46,47が交換時期に達したことを検出する検出部26を設け、交換時期に達したことを検出部26が検出すると、報知部27がガルバノモータ46,47の交換を促す旨を表示部7aに表示する構成とした。このため、作業者はガルバノモータ46,47を適切な交換時期に交換することができ、印字精度を保証することができる。
(6)自動でリフレッシュ動作を行う自動モードの場合、ボールベアリング60の偏摩耗がほぼない状態で印字動作を行うことができる。
(7)手動モードでは、作業者が希望する時期にリフレッシュ動作を行わせることができる。
(8)ガルバノモータ46,47の回動軸46b、47bを支持する軸受として、比較的高価かつメンテナンスが面倒な流体軸受を採用することなく、接触式の軸受(転動軸受)を使用する構成のままでも、長期に亘って高い印字精度を維持することができる。
(第2実施形態)
前記第1実施形態では、印字中のボール63が転動接触しない回数(通過回数)の位置毎(座標毎)の度数分布である接触分布を基に非接触分布を求め、この非接触分布を基に、未使用領域において最大通過回数(転動接触回数)に対して不足した回数を補うようにリフレッシュ動作を行った。これに対し、この第2実施形態では、ボール63の転動接触により転動面又は被転動面が受ける負荷量の位置毎の度数分布である第1の負荷分布を求め、この第1の負荷分布を基に、最大負荷量に対して不足した負荷量の位置毎の度数分布である第2の負荷分布を求める。そして、第2の負荷分布を基に、未使用領域の各位置において最大負荷量に対して不足した負荷量を補うようにリフレッシュ動作を行う構成を採用することもできる。
図15は、位置毎の負荷量LX(LY)を示すグラフである。負荷量LX(LY)は、走査速度(スキャンスピード)Vxscan(Vyscan)と、通過回数NX(NY)(転動接触回数)と、係数μとの積で表される(LX=Vxscan・NX・μ、LY=Vyscan・NY・μ)。
印字される加工対象物Wの材質などに応じて文字等を印字する際に設定されるガルバノスキャナ33の走査速度Vscanは異なる。ある期間における走査速度と通過回数の組合せを(Vscanj、NXj)(但し、添字jはj=1,2,…)とおく。図15のグラフにおいて、時刻0〜時刻t1で(Vscan1、NX1)、時刻t1〜時刻t2で(Vscan2、NX2)、…、時刻tn-1〜時刻tnで(Vscann、NXn)になる。このとき、負荷量は、時刻0〜時刻t1で「Vscan1・NX1・μ」、時刻t1〜時刻t2で「Vscan2・NX2・μ」、…、時刻tn-1〜時刻tnで「Vscann・NXn・μ」になる。そして、これらのX方向の負荷量を加算すると、図15に示す度数分布u(x)(第1負荷分布)で表される使用領域LUxが求まる。同様に、各期間のY方向の負荷量を加算すると、図15に括弧内に示す度数分布u(y)(第1負荷分布)で表される使用領域LUyが求まる。そして、図15に示す使用領域LUxの度数分布曲線の最大値(最大負荷量LXmax)から各位置(各座標xi)の負荷量u(xi)(但しxiは−Xmax〜Xmaxの範囲内の各点)を減算することにより、図16に示す未使用領域LVx(LVy)の度数分布v(x)(v(y))(第2負荷分布)が求まる。そして、負荷量が均一になるように未使用領域LVx(LVy)を構成する各領域V1,V2の座標範囲でガルバノミラー46a,47aを繰り返し回動させる。
具体的には、リフレッシュ動作時の走査速度Vrefreshは予め定められているため、未使用領域LVx(LVy)の各位置(各座標xi)の負荷量v(xi)を、走査速度Vrefreshと係数μとの積で除算することにより(g(xi)=v(xi)/(Vrefresh・μ))、図10に示すような位置毎(座標xi毎)の通過回数NX(NY)の度数分布である未使用領域Vx(Vy)が求まる。そして、前記実施形態で説明したように、図10に示す未使用領域Vx(Vy)の度数分布g(x)(g(y))を基に、領域V1の回動範囲と回動回数でガルバノミラー46a,47aを回動駆動し、続いて領域V2の回動範囲と回動回数でガルバノミラー46a,47aを回動駆動する。
本実施形態では、これらの演算は、第2データ生成部22及び第3データ生成部23が行う。すなわち、第2データ生成部22が使用座標データUDを基に、図15に示す負荷量の度数分布である使用領域LUx(LUy)(図15)を求める。そして、第3データ生成部23が、使用領域データLUx(LUy)を基に、補うべき負荷量の度数分布である未使用領域データLVx(LVy)(図16)を生成する。さらに第3データ生成部23は、未使用領域データLVx(LVy)を、未使用領域データVx(Vy)(図10)に変換する。
また、手動モードでは、図15に示す使用領域LUx,LUyのうち少なくとも一方が、負荷量の閾値LXo,LYoを超えると、報知部27はコンソール7の表示部7aにリフレッシュ動作の実施を促す旨を表示させる。
この第2実施形態によれば、摩耗の進度が通過回数NX(NY)だけでなく走査速度Vscanにも依存することに着目し、通過回数NX(NY)と走査速度Vscanと係数μとの積で表される負荷量v(xi)(v(yi))が各位置(各座標xi(yi))で同じになるようにリフレッシュ動作を行う。このため、ボールベアリング60の偏摩耗を一層小さく抑えることができる。
実施形態は上記構成に限定されず、例えば以下の変形例も採用できる。
・前記実施形態では、印字データから作成した印字用のガルバノ駆動データGD1が座標データであることから、この座標データを使用座標データ(使用履歴情報)としてメモリ19に記憶したが、例えば角度検出器55,56が出力する角度検出信号θx,θyに基づく角度データDθx,Dθyを使用角度データ(使用履歴情報)としてメモリ19に保存してもよい。また、角度検出器55,56が出力する角度検出信号θx,θyに基づく角度データDθx,Dθyを座標データに変換し、座標データを使用座標データ(使用履歴情報)としてメモリ19に保存してもよい。使用角度データを保存した場合は、電源投入時やシャットダウン指令時に、使用角度データをメモリ19から読み出し、ミラー角度と座標の関係から使用角度データを使用座標データに変換する。使用座標データを取得した後の処理(図12におけるS12〜S15、図13におけるS22〜S26、図14におけるS32〜S38等)は、前記実施形態と同様である。この構成によれば、角度検出器55,56の検出結果に基づく角度データDθx,Dθyを使用履歴情報としてリフレッシュ動作を行うことができる。
・上記の角度検出器55,56からの角度データDθx,Dθyを回動履歴情報とする構成の場合、座標データに変換することなく、通過回数の角度毎の分布である度数分布曲線(接触分布)(点群データ)を求めてもよい。そして、この接触分布を基に、最大通過回数に達するまでに必要な通過回数の角度毎の分布である非接触分布を求め、非接触分布の角度データを座標データに変換して、リフレッシュ用のガルバノ駆動データGD2を生成する。このように通過回数の位置毎の分布である非接触分布や接触分布では、位置は座標であっても角度であってもよい。
・未使用領域V1,V2(又はR1,R2)を別々にリフレッシュ動作させたが、未使用領域V1,V2(又はR1,R2)をまとめてリフレッシュ動作させてもよい。例えば図5において、使用領域U2を無視でき、かつ−Cmax〜+Cmaxが1回転以上に相当する範囲である場合、使用領域U1を挟んだ両側をまとめて往復動させてもよい。また、図6において、右側のボール63に対応する未使用領域R1と、左側のボール63に対応する未使用領域R2とをまとめてリフレッシュ動作させてもよい。
・ガルバノミラーの回動可能範囲Bの回動でボール63が1回転以上転動する場合などボール63の使用可能範囲が比較的広い(例えば180度を超える)場合は、回動可能範囲Bに対応するボール63の範囲(−Cmax〜+Cmax)より狭い範囲内で未使用領域を設定することができる。
・前記第2実施形態では、走査速度が高速であるほど、1回当たりの摩耗量(摩耗速度)が大きくなるという条件下で、リフレッシュ動作時における通過回数を走査速度Vscanが高速なほど少なくして、リフレッシュ動作をなるべく短時間で済ませるようにしたが、これに限定されない。例えばボールと被転動面との接触面状態(接触圧や面粗度)や接触する双方の材質の組合せなどの条件によっては、走査速度が低速なほど、係数μが大きな値をとる条件もある。このような条件下では、リフレッシュ動作時の走査速度Vxscan(Vyscan)を、印字動作時のそれに比べ低速とすることにより、通過回数NX(NY)を少なくする構成も採用できる。要するに、走査速度Vxscan(Vyscan)や係数μ(例えばμが走査速度の関数で与えられる場合)から決まるリフレッシュ時の走査速度Vxscan(Vyscan)と通過回数の組合せを、リフレッシュ動作の所要時間が最も短く済むように決定する。
・走査速度が高速なほど摩耗速度が小さくなる場合は、使用領域を跨ぐようにミラー回動範囲を設定し、未使用領域を跨いだ両側の反転位置近傍が低速域であることを利用し、未使用領域を低速度で摩耗させる方法も採用できる。
・前記第2実施形態において、角度検出器55,56からの角度データDθx,Dθyを回動履歴情報としてもよい。この場合、角度データDθx,Dθyを用いて、印字動作過程の角度毎の通過回数を度数分布で示す接触分布(点群データ)を求め、この接触分布上の通過回数と最大通過回数との角度毎の差分を基に、リフレッシュ時に用いる非接触分布を求めてもよい。もちろん、角度データDθx,Dθyを逐次座標データx,yに変換して使用座標データ(回動履歴情報)として保存し、前記第2実施形態と同様に、使用座標データを用いて、座標(位置)毎の通過回数が示された非接触分布を求めてもよい。
・印字動作中に角度検出器55,56の角度検出信号から把握したガルバノモータ46,47の回動速度(駆動速度)をメモリ19に保存しておき、第2実施形態における負荷量を求める際に、この回動速度(駆動速度)を走査速度として用いてもよい。この場合、ミラー回動範囲における位置(座標又は角度)毎の回動速度(速度履歴情報)を取得し、リフレッシュ動作時に位置毎の回動速度を考慮して位置毎の通過回数を設定してもよい。この構成によれば、印字動作時の速度履歴を考慮して、位置毎に適切な通過回数を設定したリフレッシュ動作を行うことができる。
・負荷量LX(LY)は、走査速度Vxscan(Vyscan)と、通過回数NX(NY)(転動接触回数)と、係数μとの積で求められることに限定されない。走査速度と通過回数のうち少なくとも一方の平方根又は二乗に負荷量が比例するような計算式を採用してもよい。要するに、負荷量が、走査速度と通過回数により規定される計算式であればよい。
・通過回数の最大値と度数分布上の各位置の通過回数との差分に基づいて未使用領域を求める構成に限定されない。例えば通過回数の最大値よりも少し大きな値を基準値とし、基準値と度数分布上の位置毎の通過回数との差分に基づき、非接触分布(未使用領域)を求めてもよい。また、例えば通過回数の最大値よりも少し小さな値を基準値とし、基準値と度数分布上の位置毎の通過回数との差分に基づき、非接触分布(未使用領域)を求めてもよい。また、負荷量の分布を用いて使用領域から未使用領域を求める場合も同様である。
・座標データCDを印字回数個分含む使用座標データUDをメモリ19に保存することに限定されない。例えば各加工対象物Wに印字される文字等が全て同じである場合、1つの座標データと印字回数とを含む使用座標データUDとしてメモリ19に保存する構成としてもよい。この場合、印字1回分の座標データに基づき位置毎の通過回数を求め、その求めた通過回数に印字回数を乗じることで、印字回数分の位置毎の通過回数を求める。そして、印字回数分の位置毎の通過回数を基に、使用領域の度数分布を求めればよい。この構成によれば、使用座標データUDの保存のためにメモリ19で使用される記憶容量を大幅に低減できる。
・前記第2実施形態において、ガルバノミラー46a,47aの往復回動範囲の両端付近(反転位置近傍)では、その間の定速域(高速域)に比べ負荷量が大きくなる(摩耗しやすい)傾向にある場合もある。そのため、この反転位置近傍における1回当たりの負荷量が定速域のそれに比べ大きいことを加味した負荷量の度数分布を作成するようにしてもよい。
・ガルバノモータ46,47の印字用の最高速度を、印字精度を保証するため、定格上の最高速度未満の所定速度に制限する場合もありうるが、その場合は、定格上の最高速度以下において、印字用に設定可能な最高速度よりも高速のリフレッシュ用の最高速度でガルバノモータ46,47を駆動させてもよい。
・自動モードのときに、手動モードと同様に、印字休止期間(非加工期間)にリフレッシュ動作を行ってもよい。
・自動モードのときにも、判定部25の判定結果に基づいてリフレッシュ動作を行うか否かを判断してもよい。この場合、判定部25は、通過回数の最大値が閾値を超えたか否かを判断したが、例えば通過回数の最大値と最小値との差分を求め、その差分が閾値を超えたか否かを判定する構成としてもよい。
・通過回数の最大値NXmax,NYmaxに達するまでの通過回数でリフレッシュ動作を行うことに限定されない。つまり、非接触分布に基づく回動範囲及び回動回数は、ボール63の使用可能領域に対応する範囲の全域をほぼ均一な摩耗度合にすることに限定されない。リフレッシュ動作によって通過回数が最大値NXmax,NYmaxに達しなくても、各位置の通過回数と最大通過回数との差が縮まればよい。各位置の通過回数と最大通過回数との差が縮まれば、リフレッシュ動作前に比べ回動軸46b,47bをスムーズに回動させることができる。この場合、位置が使用領域に近い側ほど、通過回数の累積が最大通過回数により近くなるようにリフレッシュ動作を行うとよい。この構成によれば、ボール63の外周面(転動面)あるいは内輪61等の内周面(被転動面)上において使用領域と未使用領域との境界付近の段差がリフレッシュ動作により緩和されるので、回動軸46b,47bをよりスムーズに回動させることができる。
・度数分布曲線を特定するサンプル点(x,f(x)),(y,f(y))が少ない場合は、補間演算して、サンプル点間の座標点を追加して、リフレッシュ動作時の座標点を増やしてもよい。この場合、使用座標データUDから未使用領域を求める演算を簡単にでき、しかもリフレッシュ動作を印字過程の各位置の実際の通過回数に合わせてなるべく正確に行うことができる。
・転動軸受は、転動体がボールであるものに限定されず、転動体がローラであるものでもよい。
・ガルバノスキャナを構成する各スキャナの配置位置は適宜変更してよい。また、ガルバノスキャナはX,Yの2軸に限定されず、X,Y,Z(集光レンズ34の光軸方向)の3軸ガルバノスキャナを採用することもできる。
・レーザマーキング装置に具体化したが、これに限定されるものではなく、他のレーザ加工装置、例えばレーザ溶接機、レーザ穴あけ機、レーザ切断機等に具体化してもよい。
1…レーザ加工装置としてのレーザマーキング装置、5…コントローラ、5a…電源スイッチ、7…コンソール、7a…表示器、17…操作手段としての操作ボタン、18…制御ユニット、19…履歴情報取得手段を構成する記憶手段としてのメモリ、20…第1の制御手段としての主制御部、21…第1データ生成部、22…演算手段を構成する第2データ生成部、23…演算手段を構成する第3データ生成部、24…第2の制御手段としてのリフレッシュ制御部、25…判定手段としての判定部、26…検出手段としての検出部、27…報知手段としての報知部、30…制御回路、31…レーザ光源としてのレーザ発振器、32…ビームエキスパンダ、33…ガルバノスキャナ、34…集光レンズ、41…第1スキャナ制御部、42…第2スキャナ制御部、43…レーザ制御部、46…ガルバノ動力源としての第1ガルバノモータ、47…ガルバノ動力源としての第2ガルバノモータ、46a…ミラーとしての第1ガルバノミラー、47a…ミラーとしての第2ガルバノミラー、46b,47b…回動軸、55,56…角度検出手段としての角度検出器、60…転送軸受としてのボールベアリング、61…内輪、62…外輪、61a,62a…被転動面としての内周面、63…転動体としてのボール、L…レーザ光、W…加工対象物、PD…加工データとしての印字データ、CD…座標データ、UD…回動履歴情報としての使用座標データ、UDx…回動履歴情報としての使用X座標データ、UDy…回動履歴情報としての使用Y座標データ、Ux,Uy…使用領域、f(x),f(y)…接触分布としての使用領域の度数分布曲線、g(x),g(y)…非接触分布としての未使用領域の度数分布曲線、Vx,Vy,V1,V2…未使用領域、NXmax,NYmax…最大回数としての通過回数の最大値(最大通過回数)、LX,LY…負荷量。

Claims (8)

  1. レーザ光源からのレーザ光を照射して加工対象物に加工を施すレーザ加工装置であって、
    前記レーザ光源からのレーザ光の方向を変更して加工対象物に対するレーザ光の照射位置を走査させるガルバノスキャナと、
    前記ガルバノスキャナを制御して加工のための走査を行わせる第1の制御手段とを備え、
    前記ガルバノスキャナは、レーザ光を反射させるミラーと、当該ミラーの回動軸を回動させるガルバノ動力源とを備え、前記ガルバノ動力源は、前記ミラーの回動軸を支持するとともに前記回動軸の回動に伴って被転動面上を転動する複数の転動体を有する転動軸受を有し、
    前記レーザ加工装置の加工過程における前記ミラーの回動履歴情報を取得する履歴情報取得手段と、
    前記ミラーの回動履歴情報に基づき前記転動体の転動面のうち又は前記被転動面のうち前記加工過程の前記ミラーの回動によって前記転動体が転動接触しなかった回数の位置毎の分布であって前記回数を度数とする度数分布で示される非接触分布を求める演算手段と、
    前記レーザ加工装置の非加工期間に、前記非接触分布に基づく回動範囲及び回動回数で前記ミラーを回動させるリフレッシュ動作を行うように前記ガルバノ動力源を駆動制御する第2の制御手段と、
    を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 前記演算手段は、前記回動履歴情報に基づき、前記転動面のうち又は前記被転動面のうち前記転動体が転動接触した回数の位置毎の分布であって前記回数を度数とする度数分布で示される接触分布を求め、前記接触分布に基づき、当該接触分布における最大回数の位置と同じ摩耗度合とするために必要な転動接触の回数を度数とする度数分布で示される前記非接触分布を求めることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 前記演算手段は、前記接触分布における回数の最大値と当該接触分布上の各位置の回数との差分に基づき前記非接触分布を求めることを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記第1の制御手段は、加工データから生成した座標データを基に前記ガルバノ動力源を制御する構成であり、
    前記履歴情報取得手段は、前記第1の制御手段が生成した前記座標データを加工回数個分含む使用座標データを、前記回動履歴情報として取得する構成であり、
    前記演算手段は、前記使用座標データに基づき、前記位置が座標で示された前記度数分布として前記接触分布を求め、当該接触分布に基づき、回数の座標毎の分布であって回数を度数とする度数分布で示される前記非接触分布を求めることを特徴とする請求項2又は3に記載のレーザ加工装置。
  5. 前記ミラーの回動角を検出する角度検出手段を備え、
    前記履歴情報取得手段は、前記角度検出手段が加工過程で検出した回動角の履歴を示す回動角履歴情報を前記回動履歴情報として取得し、
    前記演算手段は、前記回動角履歴情報を基に、前記回動角と回数の分布であって前記回数を度数とする度数分布で示される前記接触分布を求め、当該接触分布を基に、前記非接触分布を求めるとともに、当該非接触分布における回動角を座標に変換することを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工装置。
  6. 前記第2の制御手段が前記ガルバノ動力源を駆動させる前記リフレッシュ動作が必要であるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記リフレッシュ動作が必要であると判定されると、その判定結果を報知する報知手段と、
    前記リフレッシュ動作を行わせる指示を与える操作手段と、
    前記第2の制御手段は、前記操作手段から前記指示が与えられると、前記ガルバノ動力源を駆動して前記リフレッシュ動作を行わせることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
  7. 前記第1の制御手段は、入力した走査速度に基づき前記ガルバノ動力源の駆動速度を制御する構成であり、
    前記演算手段は、前記ミラーの回動履歴情報と前記走査速度に基づき前記加工過程の前記ミラーの回動によって前記転動体が転動接触しなかった前記回数と前記走査速度とを基に規定される負荷量の位置毎の分布であって、前記負荷量を度数とする度数分布で示される負荷分布を求め、当該負荷分布における負荷量とリフレッシュ動作時の走査速度とを基に、前記回数の位置毎の分布である前記非接触分布を求めることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
  8. 前記ガルバノ動力源が交換時期に達したことを検出する検出手段と、
    前記検出手段が前記交換時期に達したことを検出すると、交換を促す旨を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のレーザ加工装置。
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