JP2012207170A - ポリ乳酸系樹脂組成物および成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】架橋ポリ乳酸樹脂によって、実使用を含めた機械的強度、耐熱性、耐湿熱性に優れた樹脂組成物と、実使用可能な成形体を提供する。
【解決手段】D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であり、かつ架橋されているポリ乳酸樹脂70〜99質量部と、アラミド繊維および/またはLCP繊維30〜1質量部との合計量100質量部に対して、カルボジイミド化合物0.01〜10質量部が配合されていることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であり、かつ架橋されているポリ乳酸樹脂70〜99質量部と、アラミド繊維および/またはLCP繊維30〜1質量部との合計量100質量部に対して、カルボジイミド化合物0.01〜10質量部が配合されていることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明はポリ乳酸系樹脂組成物および同組成物を用いた成形体に関し、特に、アラミド繊維やLCP繊維で強化された樹脂組成物および同組成物を用いた成形体に関する。
近年、環境保全の見地から生分解性ポリエステル樹脂が注目されている。なかでも、ポリ乳酸は、結晶性高分子であり、他の生分解性ポリエステル樹脂と比較して融点が高く、耐熱性も高い。また大量生産可能なためコストも安く、有用性が高い。さらに、ポリ乳酸はトウモロコシやサツマイモ等の植物を原料として製造可能で、石油等の枯渇のおそれのある資源の節約に貢献できる。
しかし、ポリ乳酸は、結晶化速度が遅いため成形サイクルが長いだけでなく、得られる成形体の機械的強度や耐熱性に劣るという欠点もある。
ポリ乳酸樹脂の結晶化速度を向上させる方法として、例えば、乳酸系ポリマーに結晶核剤として通常のタルク、シリカ、乳酸カルシウム等を添加する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このようにしても、結晶化速度はなお遅く、得られた成形体の耐熱性は100℃以下と低い。
ポリ乳酸樹脂の結晶化速度を向上させる方法として、例えば、乳酸系ポリマーに結晶核剤として通常のタルク、シリカ、乳酸カルシウム等を添加する方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このようにしても、結晶化速度はなお遅く、得られた成形体の耐熱性は100℃以下と低い。
また、ポリ乳酸にアミド基を有する低分子化合物と有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物とを添加し、それらの相乗効果によりポリ乳酸の結晶化速度および耐熱性を向上させることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この場合は、結晶化速度および耐熱性の向上は認められるものの、その効果は未だ不十分であり、このため射出成形時の成形サイクルが長く、また実使用に耐えうる耐熱性を付与するには至っていない。
また、結晶化速度を向上させるために、生分解性ポリエステル樹脂に(メタ)アクリル酸エステル化合物を添加したものも開発されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この場合は、結晶化速度は向上するものの、その効果は十分ではなかった。
また、ポリ乳酸にアラミド繊維、および/または、LCP繊維、加水分解防止剤を含有させ、その相乗効果で耐熱性、剛性や耐久性を向上させたものも提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、この場合は、耐熱性、剛性および耐久性の向上は認められるものの、その効果は未だ不十分であった。
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、結晶化速度が速く、耐熱性に優れており、さらには機械的強度、耐衝撃性、耐湿熱性にも優れたポリ乳酸系樹脂組成物、および、該樹脂組成物を成形加工した成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂としてD体含有量が特定のものであり、かつ架橋されているものを用い、ポリ乳酸樹脂とアラミド繊維および/またはLCP繊維と、カルボジイミド化合物とを併用することによって前記課題が解決されることを見いだし、本発明に到達した。すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であり、かつ架橋されているポリ乳酸樹脂70〜99質量部と、アラミド繊維および/またはLCP繊維30〜1質量部との合計量100質量部に対して、カルボジイミド化合物0.01〜10質量部が配合されていることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(2)ポリ乳酸樹脂100質量部中に(メタ)アクリル酸エステル化合物が0.01〜20質量部含有されていることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(3)カルボジイミド化合物が末端基にイソシアネート基を有することを特徴とする(1)又は(2)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物が成形加工されたものであることを特徴とする成形体。
(2)ポリ乳酸樹脂100質量部中に(メタ)アクリル酸エステル化合物が0.01〜20質量部含有されていることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(3)カルボジイミド化合物が末端基にイソシアネート基を有することを特徴とする(1)又は(2)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物が成形加工されたものであることを特徴とする成形体。
本発明によれば、ポリ乳酸樹脂としてD体含有量が特定のものであり、かつ架橋されているものを用いるため、樹脂組成物の結晶化速度と耐熱性を向上させることができる。また、カルボジイミド化合物を含有することで、樹脂組成物の耐湿熱性を向上させることができる。さらに、アラミド繊維および/またはLCPを含有することで、樹脂組成物の機械的強度や耐熱性、耐衝撃性を向上させることができる。
このように本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、優れた性能を有しているため、産業上の利用価値は極めて高い。また、天然物由来の生分解性樹脂を利用しているので、石油等の枯渇資源の節約に貢献できる。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、各種成形方法により、種々の成形体とすることができ、このような本発明のポリ乳酸系樹脂組成物が成形加工された成形体は、種々の製品に使用することができる。
このように本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、優れた性能を有しているため、産業上の利用価値は極めて高い。また、天然物由来の生分解性樹脂を利用しているので、石油等の枯渇資源の節約に貢献できる。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、各種成形方法により、種々の成形体とすることができ、このような本発明のポリ乳酸系樹脂組成物が成形加工された成形体は、種々の製品に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明におけるポリ乳酸樹脂は、D体含有量が1.0モル%以下であるか、または、D体含有量が99.0モル%以上であることが必要であり、中でも、0.1〜0.6モル%であるか、または、99.4〜99.9モル%であることが好ましい。D体含有量がこの範囲内であることにより、結晶性に優れ、結晶化速度が向上するとともに耐熱性も向上する。D体含有量がこの範囲外であるポリ乳酸樹脂であると、結晶性化速度、耐熱性の向上効果が不十分となる。
まず、本発明におけるポリ乳酸樹脂は、D体含有量が1.0モル%以下であるか、または、D体含有量が99.0モル%以上であることが必要であり、中でも、0.1〜0.6モル%であるか、または、99.4〜99.9モル%であることが好ましい。D体含有量がこの範囲内であることにより、結晶性に優れ、結晶化速度が向上するとともに耐熱性も向上する。D体含有量がこの範囲外であるポリ乳酸樹脂であると、結晶性化速度、耐熱性の向上効果が不十分となる。
本発明において、ポリ乳酸樹脂のD体含有量とは、ポリ乳酸樹脂を構成する総乳酸単位のうち、D乳酸単位が占める割合(モル%)である。したがって、例えば、D体含有量が1.0モル%のポリ乳酸樹脂の場合、このポリ乳酸樹脂は、D乳酸単位が占める割合が1.0モル%であり、L乳酸単位が占める割合が99.0モル%である。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂のD体含有量は、ポリ乳酸樹脂を分解して得られるL乳酸とD乳酸を全てメチルエステル化し、L乳酸のメチルエステルとD乳酸のメチルエステルとをガスクロマトグラフィー分析機で分析する方法により算出するものである。
本発明に用いるポリ乳酸樹脂としては、市販の各種ポリ乳酸樹脂のうち、D体含有量が本発明で規定する範囲のポリ乳酸樹脂を用いることができる。また、乳酸の環状2量体であるラクチドのうち、D体含有量が十分に低いL-ラクチド、または、L体含有量が十分に低いD-ラクチドを原料に用い、公知の溶融重合法で、あるいは、さらに固相重合法を併用して製造したものを用いることができる。
そして、本発明におけるポリ乳酸樹脂は、上記のようなD体含有量を満足するとともに架橋されているものである(以下、架橋ポリ乳酸樹脂と称することがある)。本発明における架橋ポリ乳酸樹脂は、架橋剤として、ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルフェニル、ジビニルカルバゾール、ジビニルピリジンおよびこれらの核置換化合物や近縁同族体や;エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等の多官能性アクリル酸系化合物や;エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート等の多官能性メタクリル酸系化合物や;ジビニルフタレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ビスアクリロイルオキシエチルテレフタレート等の、脂肪族または芳香族多価カルボン酸のポリビニルエステル、ポリアリルエステル、ポリアクリロイルオキシアルキルエステル、ポリメタクリロイルオキシアルキルエステルや;ジエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジビニルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル等の、脂肪族または芳香族多価アルコールのポリビニルエーテルまたはポリアリルエーテルや;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の、シアヌール酸またはイソシアヌール酸のアリルエステル、トリアリルホスフェート、トリスアクリルオキシエチルホスフェートや;N−フェニルマレイミド、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物や;、フタル酸ジプロパギル、マレイン酸ジプロパギル等の2個以上の三重結合を有する化合物などの多官能性モノマーを使用することができる。
ポリ乳酸樹脂を架橋ポリ乳酸樹脂とすることにより、機械的強度や耐熱性が向上し、寸法安定性も向上する。そして架橋剤としては、中でも(メタ)アクリル酸エステル化合物が望ましい。この成分によりポリ乳酸樹脂が架橋されると、特に機械的強度、耐熱性、寸法安定性が向上する。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、ポリ乳酸樹脂との反応性が高くモノマーが残りにくく、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。具体的な化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。また、これらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体であってもよい。さらに、ブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、ポリ乳酸樹脂との反応性が高くモノマーが残りにくく、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。具体的な化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレートが挙げられる。また、これらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体であってもよい。さらに、ブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いる場合、樹脂組成物中の含有量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、中でも0.05〜10質量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
(メタ)アクリル酸エステル化合物をポリ乳酸樹脂に配合する場合には、過酸化物を併用すると、架橋反応が促進されるので好ましい。過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。過酸化物の配合量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、中でも0.1〜10質量部であることが好ましい。20質量部を超えても使用できるが、コスト面では不利となる。なお、こうした過酸化物は、樹脂との混合の際に分解するため、たとえ配合時に使用されても、得られた樹脂組成物中には含まれていない場合がある。
ポリ乳酸樹脂に(メタ)アクリル酸エステル化合物を配合する手段としては、一般的な押出機を用いて溶融混練する方法を挙げることができる。混練状態をよくする意味では、二軸の押出機を使用することが好ましい。混練温度はポリ乳酸樹脂の融点+5℃〜ポリ乳酸樹脂の融点+100℃の範囲が好ましく、混練時間は20秒〜30分が好ましい。この範囲より低温や短時間であると、混練や反応が不充分となり、また、高温や長時間であると樹脂の分解や着色が起きることがある。配合に際しては、(メタ)アクリル酸エステル化合物が固体状であればドライブレンドや粉体フィーダーを用いて供給する方法が好ましく、液体状の場合は加圧ポンプを用いて押出機の途中から注入する方法が好ましい。同様の方法で過酸化物を配合することもできる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物と過酸化物を併用する場合の好ましい方法として、(メタ)アクリル酸エステル化合物および/または過酸化物を媒体に溶解または分散して混練機に注入する方法が挙げられ、これにより操業性を格段に改良することができる。すなわち、ポリ乳酸樹脂成分と過酸化物との溶融混練中に(メタ)アクリル酸エステル化合物の溶解液または分散液を注入したり、ポリ乳酸樹脂を溶融混練中に、(メタ)アクリル酸エステル化合物と過酸化物との溶解液または分散液を注入して溶融混練したりすることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物および/または過酸化物を溶解または分散させる媒体としては、一般的なものが用いられ、特に限定されないが、本発明のポリ乳酸樹脂との相溶性に優れた可塑剤が好ましい。例えば、脂肪族多価カルボン酸エステル誘導体、脂肪族多価アルコールエステル誘導体、脂肪族オキシエステル誘導体、脂肪族ポリエーテル誘導体、脂肪族ポリエーテル多価カルボン酸エステル誘導体などから選ばれた1種以上の可塑剤などが挙げられる。具体的な化合物としては、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルトリブチルクエン酸、ポリエチレングリコール、ジブチルジグリコールサクシネート、グリセリンジアセトモノカプリレート、グリセリンジアセトモノラウレートなどが挙げられる。可塑剤の使用量は、生分解性樹脂ポリエステル樹脂100質量部に対し30質量部以下、好ましくは、0.1〜20質量部である。架橋剤の反応性が低い場合は可塑剤を使用しなくてもよいが、反応性が高い場合には0.1質量部以上用いることが好ましい。なお、この媒体は、樹脂との混合時に揮発することがあるため、たとえ製造時に使用しても、得られた樹脂組成物中にはこの媒体が含まれていない場合がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、架橋ポリ乳酸樹脂にアラミド繊維および/またはLCP繊維を配合することによって、機械的強度や耐熱性、耐衝撃性を向上させることができる。
本発明におけるアラミド繊維は、ポリパラフェニレンテレフタラミドや、コポリパラフェニレン・3.4′オキシジフェニレン・テレフタラミド等の芳香族アミド構造を有する樹脂からなる繊維である。具体例としては、デュポン社製「ケブラー」、帝人テクノプロダクツ社製「テクノーラ」、「トワロン」等がある。これらは、通常、アラミド原料を硫酸やN−メチルピロリドンに溶解させ、湿式紡糸することにより、繊維に成形される。
本発明におけるLCP(液晶樹脂(Liquid Crystalline Poly
esters))繊維は、溶融時に液晶性を示す樹脂からなる繊維であり、通常は溶融時に液晶性を示すポリエステルにて形成された繊維を指す。溶融時に液晶性を示すポリエステルとは、90°直交した2枚の偏光板の間にある加熱試料台上にポリエステル試料粉末を置いて昇温していった時に、流動可能な温度域において、光を透過しうる性質を有するものを意味している。
esters))繊維は、溶融時に液晶性を示す樹脂からなる繊維であり、通常は溶融時に液晶性を示すポリエステルにて形成された繊維を指す。溶融時に液晶性を示すポリエステルとは、90°直交した2枚の偏光板の間にある加熱試料台上にポリエステル試料粉末を置いて昇温していった時に、流動可能な温度域において、光を透過しうる性質を有するものを意味している。
このようなポリエステルとして、芳香族ポリエステルが挙げられる。この芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび/または芳香族ヒドロキシカルボン酸やこれらの誘導体からなるもので、場合によりこれらと脂環族ジカルボン酸、脂環族ジオール、脂肪族ジオールやこれらの誘導体との共重合体も含まれる。
上記の芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4′ジカルボキシジフェニル、2,6−ジカルボキシナフタレン、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン等やこれらのアルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲン基の核置換体があげられる。
芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン等やこれらのアルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲン基等の核置換体があげられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸、1−ヒドロキシナフタレン−5−カルボン酸等やこれらのアルキル、アリール、アルコキシ、ハロゲン基の核置換体があげられる。
脂環族ジカルボン酸としては、trans−1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、cis−1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等やこれらのアルキル、アリール、ハロゲン基の置換体があげられる。
脂環族および脂肪族ジオールとしては、trans−1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、cis−1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、キシリレンジオール等があげられる。
LCP繊維は、通常これらのポリエステル原料を溶融紡糸することにより得られる。LPC繊維の具体例としては、ヒドロキシ安息香酸とヒドロキシナフタレンカルボン酸からなるクラレ社製「ベクトラン」や、ヒドロキシ安息香酸を主成分とした住友化学工業社製「スミカスーパー繊維」等が挙げられる。
アラミド繊維および/またはLCP繊維の含有量は、架橋ポリ乳酸樹脂99〜70質量部に対して1〜30質量部であることが必要である。好ましくは、5〜20質量部(架橋ポリ乳酸樹脂95〜80質量部)である。含有量が1質量部未満では、機械的強度や耐熱性、耐衝撃性などの向上効果が十分に得られない。含有量が30質量部を超えると、樹脂組成物の流動性が劣り、操業時に詰まりが生じるなど操業性が悪化する。また、成形加工性も損なわれる。
アラミド繊維および/またはLCP繊維の直径は、1〜40μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより望ましい。かかる範囲を下回ると、繊維の価格が上がって経済性が低下したり、嵩密度の低下によりハンドリング性が低下したりする。逆に上回ると、樹脂組成物の強度改良効果が低下する。
アラミド繊維および/またはLCP繊維の長さは、0.5〜30mmであることが好ましく、1〜10mmであることがさらに好ましく、2〜6mmであることがいっそう望ましい。かかる範囲を下回ると、樹脂組成物の機械的強度や耐熱性、耐衝撃性の向上効果が乏しく、逆に上回ると、成形機のホッパーでブリッジを起こすなど作業性が低下したり、溶融特性を著しく阻害したりする等の問題を生ずる。
アラミド繊維および/またはLCP繊維の形態としては、上記直径と長さを有する範囲で、ステープル、カットフィラメント、チョップドストランド、チョップドストランドマット、パルプ等の、任意の形態をとることができる。
架橋ポリ乳酸樹脂に対する分散性や接着性の改良を目的として、アラミド繊維および/またはLCP繊維に表面処理剤を塗布することもできる。表面処理剤としては、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキサゾニル基、水酸基、アミノ基などを2個以上持った化合物、例えば、酸無水物変性ポリオレフィン、EGMG、エポキシ樹脂、酸無水物変性ポリエステル、フェノギン樹脂、ジニトロアミン、酸無水物変性ポリエステルなどが好ましい。
アラミド繊維および/またはLCP繊維を架橋ポリ乳酸樹脂中に添加する方法は、特に限定されないが、とりわけ以下の2つの方法が好ましい。一つ目の方法は、あらかじめ所定の長さを有するカット繊維やステープルを、2軸押出機や溶融ミキサーを用いて架橋ポリ乳酸樹脂に練り込んでコンパウンドを作製する方法である。この時、繊維を押出機にフィードするにあたり、まず架橋ポリ乳酸樹脂のみを溶融させた後、サイドフィーダー等で2軸押出機の半ばから繊維をフィードしてもよい。
二つ目の方法は、連続フィラメントや連続ステープルヤーンを巻き出し、乳酸系樹脂をクロスヘッドダイから押し出すと同時に上記の繊維に樹脂を被覆・含浸させるという、いわゆる引き抜き成形法を利用する方法である。引き抜き成形されたストランドは、ペレットカッター等により適当なサイズにカットされ、樹脂ペレットとされる。樹脂ペレットに含まれる繊維の長さは、樹脂ペレットの長さとほぼ同等に制御される。
さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、カルボジイミド化合物を含有するものであり、カルボジイミド化合物を含有することによって耐湿熱性が向上する。
本発明に使用されるカルボジイミド化合物としては、4,4′−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、N,N−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等があげられるが、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物であれば、特に限定されない。
このようなカルボジイミド化合物は、従来から知られている方法で製造でき、ジイソシアネート化合物を原料とする脱二酸化炭素反応を伴うカルボジイミド反応により製造することができる。末端封止処理を行わなければ、末端にイソシアネート基を有する。
本発明の樹脂組成物に使用するカルボジイミド化合物としては、耐湿熱性と機械物性の向上の点から、末端基にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物を使用することが好ましい。イソシアネート基は、カルボジイミド基より高い反応性を有し、より高い効果が得られる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中のカルボジイミド化合物の含有量は、架橋ポリ乳酸樹脂とアラミド繊維および/またはLCP繊維との合計100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが必要で、0.1〜5質量部であることが好ましい。含有量が0.01質量部未満であると、本発明の樹脂組成物の耐湿熱性を向上させる効果は見られず、一方、10質量部を超えると耐熱性や成形性が低下する。
また、本発明の樹脂組成物には、機械的強度や耐熱性の向上を目的としてガラス繊維を添加してもよい。その量は、樹脂組成物100質量部に対し1〜50質量部が好適である。ガラス繊維は通常のガラス繊維で十分であり、樹脂との密着性を高めるために、表面処理を施してもよい。添加の方法としては、押出し機において、ホッパーから、あるいはサイドフィーダーを用いて混練の途中から、添加することができる。また、ガラス繊維をマスターバッチ加工することで、成形時にベース樹脂で希釈し、使用することもできる。
本発明の樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、結晶核材等を添加することができる。熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤が使用できるが、環境を配慮した場合、非ハロゲン系難燃剤の使用が望ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水和金属化合物(水酸化アルミ、水酸化マグネシウム)、N含有化合物(メラミン系、グアニジン系)、無機系化合物(硼酸塩、Mo化合物)が挙げられる。無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。無機結晶核材としては、タルク、カオリン等が挙げられ、有機結晶核材としては、ソルビトール化合物、安息香酸およびその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物等が挙げられる。なお、本発明のポリエステル樹脂組成物にこれらを混合する方法は特に限定されない。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、その機械的な物性として、曲げ強度、曲げ弾性率、曲げ破断歪が以下の値をとることが好ましい。曲げ強度は120MPa以上であることが好ましく、中でも130MPa以上であることが好ましく、さらには、135MPa以上であることが好ましい。曲げ弾性率は、4.0GPa以上であることが好ましく、中でも5.0GPa以上であることが好ましく、さらには6.0GPa以上であることが好ましい。曲げ破断歪みは4%以上であることが好ましく、さらには4.5%以上であることが好ましい。
なお、上記の曲げ強度、曲げ弾性率、曲げ破断歪は、射出成形機(東芝IS−80G)を用い、樹脂組成物を成形温度200〜170℃で溶融し、金型温度95℃の条件でISOダンベル型試験片を作製し、ISO 178に基づいて測定するものである。
なお、上記の曲げ強度、曲げ弾性率、曲げ破断歪は、射出成形機(東芝IS−80G)を用い、樹脂組成物を成形温度200〜170℃で溶融し、金型温度95℃の条件でISOダンベル型試験片を作製し、ISO 178に基づいて測定するものである。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、耐衝撃性に優れるものであり、シャルピー衝撃強度が3.5kJ/m2以上であることが好ましく、中でも8.0kJ/m2以上であることが好ましく、さらには、15.0kJ/m2以上であることが好ましい。
シャルピー衝撃強度は、上記と同様にISOダンベル型試験片を作製し、ISO 179に基づいて測定するものである。
シャルピー衝撃強度は、上記と同様にISOダンベル型試験片を作製し、ISO 179に基づいて測定するものである。
そして、本発明の樹脂組成物が耐熱性に優れることを示す指標として、熱変形温度が130℃以上であることが好ましく、中でも135℃以上であることが好ましい。
熱変形温度は、上記と同様にISOダンベル型試験片を作製し、ISO 75に基づいて、荷重0.45MPaで測定するものである。
熱変形温度は、上記と同様にISOダンベル型試験片を作製し、ISO 75に基づいて、荷重0.45MPaで測定するものである。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の結晶化速度が向上していることを示す指標として、成形サイクル(秒)があり、金型温度を95℃とした場合に、30秒以下であることが好ましく、中でも28秒以下であることが好ましい。
成形サイクルは、上記と同様に、射出成形機(東芝IS−80G)を用い、樹脂組成物を成形温度200〜170℃で溶融し、金型温度95℃の条件でISOダンベル型試験片を作製する際に、樹脂組成物が金型内に射出された後、良好(成形体が金型に固着、または抵抗なく)に離型できるまでの時間(秒)とするものである。
成形サイクルは、上記と同様に、射出成形機(東芝IS−80G)を用い、樹脂組成物を成形温度200〜170℃で溶融し、金型温度95℃の条件でISOダンベル型試験片を作製する際に、樹脂組成物が金型内に射出された後、良好(成形体が金型に固着、または抵抗なく)に離型できるまでの時間(秒)とするものである。
さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物が耐湿熱性に優れることを示す指標として、強度保持率があり、90%を超えることが好ましい。
強度保持率は、上述の曲げ強さ(処理前曲げ強さ)を測定した試験片を用い、温度60℃、湿度95%RHの環境下で600時間処理した後、再度曲げ強さ(処理後曲げ強さ)を測定し、以下の式により強度保持率を算出するものである。
強度保持率(%)=(処理後曲げ強さ/処理前曲げ強さ)×100
強度保持率は、上述の曲げ強さ(処理前曲げ強さ)を測定した試験片を用い、温度60℃、湿度95%RHの環境下で600時間処理した後、再度曲げ強さ(処理後曲げ強さ)を測定し、以下の式により強度保持率を算出するものである。
強度保持率(%)=(処理後曲げ強さ/処理前曲げ強さ)×100
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、および、シート加工後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の成形方法により、各種成形体とすることができる。とりわけ、射出成形法を用いることが好ましく、一般的な射出成形法のほか、ガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。本発明の樹脂組成物に適した射出成形条件の一例を挙げれば、シリンダ温度をポリ乳酸の融点または流動開始温度以上、好ましくは180〜250℃、最適には190〜240℃の範囲とし、また、金型温度は(樹脂組成物の融点−20)℃以下とするのが適当である。成形温度が低すぎると、成形品に充填不良が発生するなど操業性が不安定になったり、過負荷に陥りやすくなったりする。逆に成形温度が高すぎると、樹脂組成物が分解して、得られる成形体の強度が低下したり、着色したりする等の問題が発生しやすい。
本発明の樹脂組成物および成形体は、結晶化を促進させることにより、その耐熱性を高めることができる。例えば、射出成形時の金型温度を工夫することによって結晶化を促進させることができ、その場合には、金型温度を(ポリ乳酸のガラス転移温度+20)℃以上かつ(樹脂組成物の融点−20)℃以下で所定時間保った後、ポリ乳酸のガラス転移温度以下に冷却することが好ましい。また、成形後に結晶化を促進させる方法としては、ポリ乳酸のガラス転移温度以下に直接冷却した後に、再度、ポリ乳酸のガラス転移温度以上かつ(樹脂組成物の融点−20)℃以下で熱処理することが好ましい。
本発明の成形体の具体例としては、各種筐体等の電化製品用樹脂部品;コンテナや栽培容器等の農業資材や農業機械用樹脂部品;浮きや水産加工品容器等の水産業務用樹脂部品;皿、コップ、スプーン等の食器や食品容器;注射器や点滴容器等の医療用樹脂部品;ドレーン材、フェンス、収納箱、工事用配電盤等の住宅・土木・建築材用樹脂部品;クーラーボックス、団扇、玩具等のレジャー、雑貨用樹脂部品;バンパー、インスツルメントパネル、ドアトリム等の自動車用樹脂部品等が挙げられる。また、フィルム、シート、パイプ等の押出成形品や中空成形品等とすることもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。以下の実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)曲げ強さ、曲げ弾性率、曲げ破断歪
上記したように、得られた試験片を用い、ISO 178に基づいて測定した。
(2)シャルピー衝撃強さ:
上記したように、得られた試験片を用い、ISO 179に基づいて測定した。
(3)熱変形温度(℃)
上記したように、得られた試験片を用い、ISO 75に基づいて、荷重0.45MPaで測定した。
(4)耐湿熱性
上記したように、湿熱処理後の曲げ強度保持率を算出して評価した。
(5)成形サイクル
上記したように、試験片を作製する際の成形時間を測定した。
(1)曲げ強さ、曲げ弾性率、曲げ破断歪
上記したように、得られた試験片を用い、ISO 178に基づいて測定した。
(2)シャルピー衝撃強さ:
上記したように、得られた試験片を用い、ISO 179に基づいて測定した。
(3)熱変形温度(℃)
上記したように、得られた試験片を用い、ISO 75に基づいて、荷重0.45MPaで測定した。
(4)耐湿熱性
上記したように、湿熱処理後の曲げ強度保持率を算出して評価した。
(5)成形サイクル
上記したように、試験片を作製する際の成形時間を測定した。
本発明の実施例と比較例で用いた原料を以下に示す。
〔ポリ乳酸樹脂〕
・トヨタ社製、商品名「S−12」;D体含有量=0.1モル%(以下「S−12」と称する場合がある。)
・ユニチカ社製、商品名「TE−4000」;D体含有量=1.4モル%(以下、「TE−4000」と称する場合がある。)
〔過酸化物〕
・ジ−t−ブチルパーオキサイド;日本油脂社製、商品名「パーブチルD」(以下、「PBD」と称する場合がある)
〔(メタ)アクリル酸エステル化合物〕
・エチレングリコールジメタクリレート;日本油脂社製、商品名「ブレンマーPDE−50」(以下、「PDE」と称する場合がある)
〔アラミド繊維〕
・帝人テクノプロダクツ社製「テクノーラ」;T−322EH3−12
〔LCP繊維〕
・クラレ社製「ベクトラン」;CF1670T
〔カルボジイミド化合物〕
・日清紡社製「LA−1」;末端基にイソシアネート基を有するものであり、イソシアネート基含有率1〜3%のもの(以下、「LA−1」と称する場合がある)
・日清紡社製「HMV−8CA」;末端基にイソシアネート基を有していないもの(以下、「HMV」と称する場合がある)
〔ポリ乳酸樹脂〕
・トヨタ社製、商品名「S−12」;D体含有量=0.1モル%(以下「S−12」と称する場合がある。)
・ユニチカ社製、商品名「TE−4000」;D体含有量=1.4モル%(以下、「TE−4000」と称する場合がある。)
〔過酸化物〕
・ジ−t−ブチルパーオキサイド;日本油脂社製、商品名「パーブチルD」(以下、「PBD」と称する場合がある)
〔(メタ)アクリル酸エステル化合物〕
・エチレングリコールジメタクリレート;日本油脂社製、商品名「ブレンマーPDE−50」(以下、「PDE」と称する場合がある)
〔アラミド繊維〕
・帝人テクノプロダクツ社製「テクノーラ」;T−322EH3−12
〔LCP繊維〕
・クラレ社製「ベクトラン」;CF1670T
〔カルボジイミド化合物〕
・日清紡社製「LA−1」;末端基にイソシアネート基を有するものであり、イソシアネート基含有率1〜3%のもの(以下、「LA−1」と称する場合がある)
・日清紡社製「HMV−8CA」;末端基にイソシアネート基を有していないもの(以下、「HMV」と称する場合がある)
(架橋ポリ乳酸樹脂の作製)
2軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM37BS型」)を使用して、押出機の根元供給口からポリ乳酸樹脂(100質量部)を供給し、また、混練機途中からポンプを用いて、表1に示す割合で(メタ)アクリル酸エステル化合物と過酸化物を混合した溶液を注入し、加工温度170〜200℃で溶融混練押出しをおこなった。押出機先端から吐出された溶融樹脂をストランド状に引き取り、冷却水を満たしたバットを通過させて冷却した後、ペレット状にカッティングして、架橋ポリ乳酸樹脂(A−1)〜(A−5)のペレットを得た。
2軸押出機(東芝機械社製、商品名「TEM37BS型」)を使用して、押出機の根元供給口からポリ乳酸樹脂(100質量部)を供給し、また、混練機途中からポンプを用いて、表1に示す割合で(メタ)アクリル酸エステル化合物と過酸化物を混合した溶液を注入し、加工温度170〜200℃で溶融混練押出しをおこなった。押出機先端から吐出された溶融樹脂をストランド状に引き取り、冷却水を満たしたバットを通過させて冷却した後、ペレット状にカッティングして、架橋ポリ乳酸樹脂(A−1)〜(A−5)のペレットを得た。
実施例1
二軸押出機(東芝機械社製 商品名「TEM37BS型」)を用い、ポリ乳酸樹脂(A−1)99質量部、アラミド繊維1質量部、カルボジイミド化合物(ポリ乳酸樹脂とアライド繊維の100質量部に対して、1.5質量部)をドライブレンドして、押出機の根元供給口から供給し、バレル温度190℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hの条件で、ベントを効かせながら溶融押出を実施した。押出機先端から吐出された溶融樹脂をストランド状に引き取り、冷却水を満たしたバットを通過させて冷却した後、ペレット状にカッティングして、樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを、70℃にて24時間真空乾燥した。その後、射出成形機(東芝機械社製 商品名「IS−80G型」)を用いて、金型表面温度を95℃に調整しながら、ISO準拠の試験片を作製した。
二軸押出機(東芝機械社製 商品名「TEM37BS型」)を用い、ポリ乳酸樹脂(A−1)99質量部、アラミド繊維1質量部、カルボジイミド化合物(ポリ乳酸樹脂とアライド繊維の100質量部に対して、1.5質量部)をドライブレンドして、押出機の根元供給口から供給し、バレル温度190℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量15kg/hの条件で、ベントを効かせながら溶融押出を実施した。押出機先端から吐出された溶融樹脂をストランド状に引き取り、冷却水を満たしたバットを通過させて冷却した後、ペレット状にカッティングして、樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを、70℃にて24時間真空乾燥した。その後、射出成形機(東芝機械社製 商品名「IS−80G型」)を用いて、金型表面温度を95℃に調整しながら、ISO準拠の試験片を作製した。
実施例2〜11、比較例1〜8
ポリ乳酸樹脂、アラミド繊維、LCP繊維、カルボジイミド化合物の種類、含有量を表2に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得、実施例1と同様にして試験片を作製した。
ポリ乳酸樹脂、アラミド繊維、LCP繊維、カルボジイミド化合物の種類、含有量を表2に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得、実施例1と同様にして試験片を作製した。
実施例1〜11、比較例1〜8で得られたポリ乳酸系樹脂組成物の特性値、評価結果をまとめて表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1〜11で得られたポリ乳酸系樹脂組成物については、曲げ特性、耐衝撃性、耐熱性、耐湿熱性、成形サイクル(結晶化速度)のいずれにも優れていた。
一方、比較例1〜3の樹脂組成物は、D体含有量が本発明で規定する範囲外のポリ乳酸樹脂を使用したため、結晶化速度や耐熱性の向上効果がなく、熱変形温度が低く、成形サイクルが長いものとなった。比較例4の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物を含有しないものであったため、耐湿熱性に劣る結果となった。比較例5の樹脂組成物は、アラミド繊維やLCP繊維を含有しないものであったため、曲げ特性、耐熱性、耐衝撃性のいずれにも劣る結果となった。比較例6の樹脂組成物は、アラミド繊維の含有量が多すぎたため、流動性が悪化し、成形機へのフィード不良が生じ、樹脂組成物を得ることができなかった。比較例7の樹脂組成物は、架橋ポリ乳酸樹脂を使用しなかった(ポリ乳酸樹脂として、S−12を架橋せずに用いた)ため、曲げ強度や耐熱性に劣る結果となった。比較例8の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物の含有量が多すぎたため、カルボジイミド化合物を本発明の範囲内で配合した実施例3、5と比べて耐熱性、成形性に劣る結果となった。
一方、比較例1〜3の樹脂組成物は、D体含有量が本発明で規定する範囲外のポリ乳酸樹脂を使用したため、結晶化速度や耐熱性の向上効果がなく、熱変形温度が低く、成形サイクルが長いものとなった。比較例4の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物を含有しないものであったため、耐湿熱性に劣る結果となった。比較例5の樹脂組成物は、アラミド繊維やLCP繊維を含有しないものであったため、曲げ特性、耐熱性、耐衝撃性のいずれにも劣る結果となった。比較例6の樹脂組成物は、アラミド繊維の含有量が多すぎたため、流動性が悪化し、成形機へのフィード不良が生じ、樹脂組成物を得ることができなかった。比較例7の樹脂組成物は、架橋ポリ乳酸樹脂を使用しなかった(ポリ乳酸樹脂として、S−12を架橋せずに用いた)ため、曲げ強度や耐熱性に劣る結果となった。比較例8の樹脂組成物は、カルボジイミド化合物の含有量が多すぎたため、カルボジイミド化合物を本発明の範囲内で配合した実施例3、5と比べて耐熱性、成形性に劣る結果となった。
Claims (4)
- D体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であり、かつ架橋されているポリ乳酸樹脂70〜99質量部と、アラミド繊維および/またはLCP繊維30〜1質量部との合計量100質量部に対して、カルボジイミド化合物0.01〜10質量部が配合されていることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
- ポリ乳酸樹脂100質量部中に(メタ)アクリル酸エステル化合物が0.01〜20質量部含有されていることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- カルボジイミド化合物が末端基にイソシアネート基を有することを特徴とする請求項1又は2記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物が成形加工されたものであることを特徴とする成形体。
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JP2017507729A (ja) * | 2014-03-12 | 2017-03-23 | リチャージャブル バッテリー コーポレイション | ヒータを備えた熱成形可能な医療用部材及びその製造方法 |
JP2018145378A (ja) * | 2017-03-09 | 2018-09-20 | 帝人株式会社 | 樹脂組成物 |
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