JP2012188870A - 鋼コンクリート合成柱 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の住戸が隣接配置され、建物全体の平断面形状が一方向に長い形状になっている集合住宅の建築構造に用いて好適な鋼コンクリート合成柱を提供する。
【解決手段】H形鋼柱と前記H形鋼柱のウェブとフランジ間の空間に充填したコンクリートを備え、前記H形鋼柱は少なくともフランジの両縁部が、直線状に、好ましくは20度以上70度以下の角度で折り曲げられて、または全巾に亘ってウェブ側に湾曲した曲面状で、または両縁部のみがウェブ側に湾曲した曲面状で、ウェブ側に向いている鋼コンクリート合成柱。
【選択図】図2
【解決手段】H形鋼柱と前記H形鋼柱のウェブとフランジ間の空間に充填したコンクリートを備え、前記H形鋼柱は少なくともフランジの両縁部が、直線状に、好ましくは20度以上70度以下の角度で折り曲げられて、または全巾に亘ってウェブ側に湾曲した曲面状で、または両縁部のみがウェブ側に湾曲した曲面状で、ウェブ側に向いている鋼コンクリート合成柱。
【選択図】図2
Description
本発明は、鋼コンクリート合成柱に関し、複数の住戸が隣接配置され、建物全体の平断面形状が一方向に長い形状になっている集合住宅の建築構造に用いて好適ものに関する。
図8は非特許文献1に記載されたマンションと通称されている集合住宅の一部の斜視図を示し、集合住宅の場合、桁行き方向(図中の矢印Aで示す方向)は柱31と梁33よりなるラーメン架構とし、梁間方向(図中の矢印Bで示す方向)は、鉛直荷重を負担する梁35と耐震要素である戸境壁37からなる壁式構造とするのが一般的である。
このような壁式構造では、柱31として図9に示す非特許文献1に記載された、H形鋼にコンクリートを充填させた合成柱が用いられ、耐力壁を取り付けるH形鋼のフランジとウェブで囲まれた空間の開口側にコンクリートが移動しないように、当該空間内に鉄筋・スタッドなどを配置している。
ところで、非特許文献1のようなマンションにおいて桁行き方向のスパンを長くする場合、桁行き方向を鉄骨鉄筋コンクリート造(以下SRC造)とすることが多い。しかし、SRC造は施工が煩雑であり工期が長くなるという問題点があるため、特許文献1のような構造が考案されている。
特許文献1は、間取りの自由度が高く、コストも低減できる建築構造に関し、桁行き方向がH形鋼柱と該H形鋼柱の強軸方向に配置されたH形鋼梁よりなるラーメン架構で、梁間方向は戸境壁を鉛直加重及び水平加重に対する耐力要素とする構造が記載されている。
特許文献1記載の建築構造において、さらに工期を短縮するため、H形鋼柱として非特許文献2、特許文献2記載の合成柱を適用することが有効であるが、非特許文献2、特許文献2記載の合成柱では、H形鋼柱のフランジとウェブの空間に充填したコンクリートを拘束しないためコンクリート充填鋼管柱のように充填コンクリートのコンファインド効果(鋼管とコンクリートの特性を十分に引き出す相互拘束効果で、外力をうけているコンクリートが外側へ移動、変形することを鋼管が拘束することにより、強度や粘り強さが増す。鋼管もコンクリートに拘束されて、局部的な変形、座屈などが押えられ、粘り強さが増す。)を期待することが出来ない。
そこで、本発明は、短工期、高耐力が可能な鋼コンクリート合成柱およびそれを用いた一方向ラーメン、一方向壁式構造の建築構造物を提供することを目的とする。
上記課題は以下の手段で達成可能である。
1.H形鋼柱と前記H形鋼柱のウェブとフランジ間の空間に充填したコンクリートを備えた鋼コンクリート合成柱であって、前記H形鋼柱は少なくともフランジの両縁部が、ウェブ側に向いていることを特徴とする鋼コンクリート合成柱。
2.前記フランジの両縁部がウェブ側へ元のフランジ幅に対し70%以内の範囲にわたって、20度以上70度以下の角度で直線状に折り曲げられていることを特徴とする1記載の鋼コンクリート合成柱。
3.前記フランジが全巾に亘ってウェブ側に湾曲した曲面状で、前記フランジの両縁部においてフランジ縁におけるフランジ板のウェブに対する角度が20度以上70度以下であることを特徴とする1記載の鋼コンクリート合成柱。
4.前記フランジが両縁部のみがウェブ側に湾曲した曲面状で、前記フランジの両縁部においてフランジ縁におけるフランジ板のウェブに対する角度が20度以上70度以下であることを特徴とする1記載の鋼コンクリート合成柱。
5.1乃至4のいずれか一つに記載の鋼コンクリート合成柱と耐力壁の接合構造であって、前記鋼コンクリート合成柱を構成するH形鋼柱のウェブの両側又は片側でウェブとフランジで囲まれた開口部内に耐力壁を一体化してコンクリートを打設したことを特徴とするH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
6.前記H形鋼柱は前記耐力壁が接合される側の開口部において、柱長さ方向に断続的に開口部のフランジ縁間に掛け渡して接合されたバンドプレートを有し、前記バンドプレートで塞がれる面積を除いた開口面積が前記H形鋼柱側から見た耐力壁の断面積以上であるか、もしくは、バンドプレートの少なくとも壁側に突起を設け、その付着力を耐力壁のせん断応力で除した値を実開口面積に加算した等価開口面積が耐力壁の断面積以上であることを特徴とする5記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
7.前記H形鋼柱のウェブまたはフランジ内面に孔空きジベルが接合され、前記耐力壁の横方向配筋が孔開き鋼板ジベルのジベル孔を通して開口部内に納められていることを特徴とする、6に記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
8.前記H形鋼柱のウェブに配筋およびコンクリートせん断力伝達用の孔が設けられていることを特徴とする、6または7に記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
9.前記H形鋼柱のウェブまたはフランジ内面に、突起またはスタッドが設けられていることを特徴とする、6または8に記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
10.1乃至4のいずれか一つに記載の鋼コンクリート合成柱を用いた一方向ラーメン、一方向壁式構造。
1.H形鋼柱と前記H形鋼柱のウェブとフランジ間の空間に充填したコンクリートを備えた鋼コンクリート合成柱であって、前記H形鋼柱は少なくともフランジの両縁部が、ウェブ側に向いていることを特徴とする鋼コンクリート合成柱。
2.前記フランジの両縁部がウェブ側へ元のフランジ幅に対し70%以内の範囲にわたって、20度以上70度以下の角度で直線状に折り曲げられていることを特徴とする1記載の鋼コンクリート合成柱。
3.前記フランジが全巾に亘ってウェブ側に湾曲した曲面状で、前記フランジの両縁部においてフランジ縁におけるフランジ板のウェブに対する角度が20度以上70度以下であることを特徴とする1記載の鋼コンクリート合成柱。
4.前記フランジが両縁部のみがウェブ側に湾曲した曲面状で、前記フランジの両縁部においてフランジ縁におけるフランジ板のウェブに対する角度が20度以上70度以下であることを特徴とする1記載の鋼コンクリート合成柱。
5.1乃至4のいずれか一つに記載の鋼コンクリート合成柱と耐力壁の接合構造であって、前記鋼コンクリート合成柱を構成するH形鋼柱のウェブの両側又は片側でウェブとフランジで囲まれた開口部内に耐力壁を一体化してコンクリートを打設したことを特徴とするH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
6.前記H形鋼柱は前記耐力壁が接合される側の開口部において、柱長さ方向に断続的に開口部のフランジ縁間に掛け渡して接合されたバンドプレートを有し、前記バンドプレートで塞がれる面積を除いた開口面積が前記H形鋼柱側から見た耐力壁の断面積以上であるか、もしくは、バンドプレートの少なくとも壁側に突起を設け、その付着力を耐力壁のせん断応力で除した値を実開口面積に加算した等価開口面積が耐力壁の断面積以上であることを特徴とする5記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
7.前記H形鋼柱のウェブまたはフランジ内面に孔空きジベルが接合され、前記耐力壁の横方向配筋が孔開き鋼板ジベルのジベル孔を通して開口部内に納められていることを特徴とする、6に記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
8.前記H形鋼柱のウェブに配筋およびコンクリートせん断力伝達用の孔が設けられていることを特徴とする、6または7に記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
9.前記H形鋼柱のウェブまたはフランジ内面に、突起またはスタッドが設けられていることを特徴とする、6または8に記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
10.1乃至4のいずれか一つに記載の鋼コンクリート合成柱を用いた一方向ラーメン、一方向壁式構造。
本発明によれば、一方向ラーメン、一方向壁式構造の建築構造物に好適な短工期、高耐力が可能な鋼コンクリート合成柱が得られ、産業上極めて有用である。
以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。本発明は、鋼コンクリート合成柱を構成するH形鋼柱のフランジを内側に屈曲、あるいはフランジを曲面状とし、更にフランジ間にバンドプレートを耐力壁のせん断力伝達を妨げない程度に配置することを特徴とする。
図1に本発明に係る鋼コンクリート合成柱を適用するのに好適な建築構造である一方向ラーメン、一方向壁式構造の部分斜視図の一例を示す。桁行き方向が本発明に係る鋼コンクリート合成柱1と鉄骨梁2よりなるラーメン架構で、梁間方向は、隣接する鋼コンクリート合成柱1の間に耐震要素である耐久壁3を有する壁式構造で、居住区とするための床スラブ4を備える。
図3は本発明に係る鋼コンクリート合成柱の構成を説明する図で、(a)〜(c)に本発明の具体的実施例における柱軸直角方向の模式的断面図を示す。
図3(a)〜(c)に示した鋼コンクリート合成柱は、H形鋼5からなるH形鋼柱とH形鋼柱のウェブ7とフランジ6間の空間(開口部とも言う)に充填した充填コンクリート8を備え、少なくともフランジ6の両縁部が、水平線(フランジの直線部と同じ、図示しない)からウェブ7側に向いている。
(a)はフランジ6の両縁部における長さLの部分を直線状にウェブ7内側に屈曲させた場合を示し、(b)はフランジ6がその全巾に亘ってウェブ7側に湾曲した曲面状の場合、(c)はフランジ6の両縁部を水平線に投影した長さLの部分を曲線状にウェブ内側に屈曲させた場合を示す。
フランジが内側に屈曲することにより、コンクリート打設時の型枠面積を減少させ施工性を向上させると共に、コンクリートに柱材軸方向の圧縮応力が作用した時に横方向に拘束されるコンクリート面積が増大する。
例えば、RC構造で使用される帯筋の場合、帯筋の外側の部分はかぶりコンクリートとなり、拘束力が作用しないため、柱の変形が進むと剥離し耐力を負担できなくなるが、本発明の方法によれば、コンクリートの大部分で拘束力が期待できることから、コンクリート部分の耐力・変形性能の向上が期待できる。
フランジの屈曲による開口の減少幅(屈曲により覆われる部分を壁側から見た投影幅)は、通常のH形鋼の開口幅(ウェブの内法幅)から、接続される耐力壁を差引いた幅の半分以上であることが望ましい。
鋼コンクリート合成柱におけるコンファインド効果は、充填コンクリートの拘束度に応じて発揮されるので、ウェブ7に対してフランジ6を折り曲げる角度(フランジ折れ曲がり部の角度または屈曲角度とも言う)(定義:図3(a)ではウェブ7に平行な直線aと直線状に折り曲げられたフランジ6の屈曲部に沿った直線bの成す角度θ、図3(b)、(c)では前記直線aとフランジ6の屈曲部先端における接線cと成す角度θ)をいずれの鋼コンクリート合成柱においても、20度以上70度以下とする。
フランジの屈曲角度をウェブに対して20度以上70度以下(通常の曲げていないフランジは90度)としているのは、この角度において、鋼コンクリート合成柱の曲げ耐力、軸耐力が高く、部材性能として最適な断面となるためである.
図3(a)に示した鋼コンクリート合成柱における折り曲げる長さLはLsinθが0.25〜0.35B(Bはフランジ幅)、図3(c)に示した鋼コンクリート合成柱における折り曲げる長さLは0.25〜0.35Bとすることが好ましい。図3(a)(c)に示した鋼コンクリート合成柱における折り曲げる長さL、前述の屈曲角度θの限定理由については、後述する実施例で更に詳細に説明する。尚、図3(b)においてフランジの屈曲角度θはフランジ先端の角度で定める。
図3(a)に示した鋼コンクリート合成柱における折り曲げる長さLはLsinθが0.25〜0.35B(Bはフランジ幅)、図3(c)に示した鋼コンクリート合成柱における折り曲げる長さLは0.25〜0.35Bとすることが好ましい。図3(a)(c)に示した鋼コンクリート合成柱における折り曲げる長さL、前述の屈曲角度θの限定理由については、後述する実施例で更に詳細に説明する。尚、図3(b)においてフランジの屈曲角度θはフランジ先端の角度で定める。
本発明に係る鋼コンクリート合成柱に耐力壁を接合する場合、H形鋼柱のウェブとフランジで囲まれた開口部内に耐力壁を一体化してコンクリートを打設する。
図4は、図3(a)に示した鋼コンクリート合成柱のコンファインド効果を更に向上させる構造を説明する図で、(a)はH形鋼柱の柱軸直角方向断面図を示し、(b)は模式的外観図を示す。
図示した鋼コンクリート合成柱では、フランジ6のフランジ縁間に掛け渡して溶接接合されたバンドプレート9を有する。バンドプレート9は鋼コンクリート合成柱と耐力壁が結合されるように柱長さ方向に断続的に開口部のフランジ縁間に掛け渡して、フランジ6とウェブ7に囲まれた開口部(空間という場合がある)が囲まれるように溶接接合する(図4(b))。
バンドプレート9のH形鋼柱への取り付けは、バンドプレート9で塞がれる開口領域の面積を除いた開口面積が前記H形鋼柱側から見た耐力壁(図示しない)の断面積以上であるか、もしくは、バンドプレート9の少なくとも耐力壁側に突起を設け、その付着力を等価開口面積(”付着力を耐力壁の最大せん断応力で除した値”を”実開口面積”に加算した値)が耐力壁(図示しない)の断面積以上となるように行う。開口領域は幅(フランジ縁間)と長さ(H形鋼柱の高さ)を有する領域で開口面積はその乗算で求まる面積とする。
フランジ6を屈曲させた状態のままでは、フランジ6のH形鋼の材軸方向を回転軸とした面外曲げ剛性が片持ち梁と同等であり、同じ板厚、径の鋼管と比較して拘束力が低下するため、バンドプレート9を取り付けることが望ましい。
バンドプレート9を取り付けた断面では、両端支持となるためフランジ6の面外曲げ剛性が向上する。一方で、耐力壁と柱の間でせん断力を伝達させる必要があり、耐力壁の断面と等しい開口面積を確保する必要があるため、開口面積の制約を設けた。
なお、図はフランジ縁間に掛け渡して溶接接合されたバンドプレート9を示すが、接合方法はボルトでも良く特に規定しない。溶接の場合は、溶接接合部10により耐力壁からH形鋼柱へ円滑に応力伝達がなされる。
図5は、図4に示した鋼コンクリート合成柱に耐力壁をとりつける具体的構造を説明する図で、(a)はH形鋼柱の柱軸直角方向断面図を示し、(b)は模式的斜視外観図を示す。H形鋼柱に、耐力壁(図示しない)を固定するため、耐力壁(図示しない)からH形鋼柱のウェブ7とフランジ6で囲まれた空間の開口部よりその内部までに配筋される鉄筋12の端部を、ウェブ7に取り付けた孔開き鋼板ジベル11のジベル孔を通して締結する。その後、H形鋼柱のウェブ7とフランジ6で囲まれた空間内にコンクリートを充填して鋼コンクリート合成柱とする。当該鋼コンクリート合成柱に耐力壁(図示しない)が固定される。
図では耐力壁(図示しない)からの2本の鉄筋12を孔開き鋼板ジベル11のジベル孔を通してウェブ7に沿って折り曲げて締結し、コンクリートを充填した場合を示す。耐力壁はバンドプレート9を避けてH形鋼柱に接続されている。 孔開き鋼板ジベル11をH形鋼5のフランジと平行にウェブに取り付けると、鋼コンクリート合成柱1と鉄骨梁2によるラーメン構造の剛性が向上して望ましい。孔開き鋼板ジベル11はフランジ内面に取り付けてもよい。
バンドプレート9を取り付けたH形鋼柱において、孔開き鋼板ジベル11と併用して、または孔開き鋼板ジベル11に替えてH形鋼柱のウェブ7に配筋およびコンクリートせん断力伝達用の孔を設けても良い。さらに、孔開き鋼板ジベル11と併用して、または孔開き鋼板ジベル11に替えてウェブ7またはフランジ内面に、鉄筋を固定するための突起またはスタッドを設けても良い。
壁式構造構面では、柱は曲げモーメントよりもせん断力が卓越すると考えられる。充填コンクリートがウェブにより分断された状態では、コンクリートのせん断耐力が低下し、かつ柱の両方向に壁が存在する場合に両者の応力を伝達することが難しいため、孔開き鋼板ジベルの設置、ウェブの孔あけ、内面の突起・スタッドにより、柱せん断耐力向上、せん断力伝達を可能とする。
また、孔開き鋼板ジベル11の設置、ウェブ7の孔あけにより、耐力壁3の鉄筋2の収まりを容易にする。ウェブ7の孔開けの数・サイズは、ラーメン架構方向の柱必要せん断力を下回らないよう設計する必要がある。図2に、孔開き鋼板ジベル11により耐力壁3の鉄筋2をH形鋼柱のウェブに締結し、鋼コンクリート合成柱1に耐力壁3を固定して、一方向ラーメン、一方向壁式構造とした建築構造の部分平面図を示す。
図6に示す断面の鋼コンクリート合成柱について、部材性能を検討した結果を示す。
H形鋼は元の断面、高さ600mm、幅B=600mm、ウェブ厚16mm、フランジ厚19mmであり、フランジが中心からβBの1/2幅の位置で内側に角度(90度−α)折れた形状である。屈曲角度αとする。
H形鋼は元の断面、高さ600mm、幅B=600mm、ウェブ厚16mm、フランジ厚19mmであり、フランジが中心からβBの1/2幅の位置で内側に角度(90度−α)折れた形状である。屈曲角度αとする。
充填コンクリートは図6の上下フランジ端を結んだ線(開口部)よりも内側を有効断面として考える(実際には外側にも壁としてのコンクリートがある)。
当該有効断面のうち、開口部から外への移動がH形鋼フランジに拘束されている部分(ただし、フランジ端から45度の角度で拘束部分は広がるものと考える)を拘束が強いコンクリート(領域1)とし、それ以外の部分は拘束が弱いコンクリート(領域2)とする。拘束が強い部分の強度は部材性能評価時にコンクリートの圧縮強度を使用し、弱い部分はコンクリートの圧縮強度に低減係数0.85を乗じた値を用いる。
図7に折れ曲がり部の角度αと幅Bのフランジでの折れ曲がり位置を決定する値βをパラメータとして部材性能(図7(a)は曲げ耐力、図7(b)は軸耐力)を評価した結果を示す。図7(a)に示す曲げ耐力、図7(b)に示す軸耐力において縦軸は柱長さ1mを形成するのに必要な材料費1万円当たりの部材性能である。鉄骨の設計強度は325N/mm2、コンクリートの圧縮強度は60N/mm2、材料費は鉄骨1tonあたり10万円、コンクリートを1m3あたり2.4万円として評価した。
また、バンドプレートは開口の半分を埋めるよう配置し、板厚はフランジの1/√2倍とした。曲げ耐力はコンクリートが負担する軸力がコンクリート軸耐力の1/2である場合の値とした。
図7(a)に示す曲げ耐力、図7(b)に示す軸耐力ともに折れ曲がり角度αが20度〜70度の範囲で効果が高いことが分かる。また、折れ曲がり位置βは0.5〜0.7程度であることが望ましい。
1 鋼コンクリート合成柱
2 鉄骨梁
3 耐力壁
4 床スラブ
5 H形鋼
6 フランジ
7 ウェブ
8 充填コンクリート
9 バンドプレート
10 溶接接合部
11 孔開き鋼板ジベル
2 鉄骨梁
3 耐力壁
4 床スラブ
5 H形鋼
6 フランジ
7 ウェブ
8 充填コンクリート
9 バンドプレート
10 溶接接合部
11 孔開き鋼板ジベル
季刊カラムNo.47(新日本製鐵(株))P29
「ウェブをコンクリートで補強したH形鋼柱・ハリ部材に関する実験的研究(その1〜4)」、日本建築学会大会学術講演会梗概集、1987年度C分冊、p.1209
Claims (10)
- H形鋼柱と前記H形鋼柱のウェブとフランジ間の空間に充填したコンクリートを備えた鋼コンクリート合成柱であって、前記H形鋼柱は少なくともフランジの両縁部が、ウェブ側に向いていることを特徴とする鋼コンクリート合成柱。
- 前記フランジの両縁部がウェブ側へ元のフランジ幅に対し70%以内の範囲にわたって、20度以上70度以下の角度で直線状に折り曲げられていることを特徴とする請求項1記載の鋼コンクリート合成柱。
- 前記フランジが全巾に亘ってウェブ側に湾曲した曲面状で、前記フランジの両縁部においてフランジ縁におけるフランジ板のウェブに対する角度が20度以上70度以下であることを特徴とする請求項1記載の鋼コンクリート合成柱。
- 前記フランジが両縁部のみがウェブ側に湾曲した曲面状で、前記フランジの両縁部においてフランジ縁におけるフランジ板のウェブに対する角度が20度以上70度以下であることを特徴とする請求項1記載の鋼コンクリート合成柱。
- 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の鋼コンクリート合成柱と耐力壁の接合構造であって、前記鋼コンクリート合成柱を構成するH形鋼柱のウェブの両側又は片側でウェブとフランジで囲まれた開口部内に耐力壁を一体化してコンクリートを打設したことを特徴とするH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
- 前記H形鋼柱は前記耐力壁が接合される側の開口部において、柱長さ方向に断続的に開口部のフランジ縁間に掛け渡して接合されたバンドプレートを有し、前記バンドプレートで塞がれる面積を除いた開口面積が前記H形鋼柱側から見た耐力壁の断面積以上であるか、もしくは、バンドプレートの少なくとも壁側に突起を設け、その付着力を耐力壁のせん断応力で除した値を実開口面積に加算した等価開口面積が耐力壁の断面積以上であることを特徴とする請求項5記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
- 前記H形鋼柱のウェブまたはフランジ内面に孔空きジベルが接合され、前記耐力壁の横方向配筋が孔開き鋼板ジベルのジベル孔を通して開口部内に納められていることを特徴とする、請求項6に記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
- 前記H形鋼柱のウェブに配筋およびコンクリートせん断力伝達用の孔が設けられていることを特徴とする、請求項6または7に記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
- 前記H形鋼柱のウェブまたはフランジ内面に、突起またはスタッドが設けられていることを特徴とする、請求項6または8に記載のH形鋼柱と耐力壁の接合構造。
- 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の鋼コンクリート合成柱を用いた一方向ラーメン、一方向壁式構造。
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JP2016017336A (ja) * | 2014-07-09 | 2016-02-01 | 前田建設工業株式会社 | 接合構造、及び接合方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140513 |