JP2012179758A - 処理液収容容器及び処理液カートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料を含むインク組成物と共に用いられ、該インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分として液全質量に対する含有比率が1〜30質量%のマロン酸を含有するインクジェット記録用処理液を収容する処理液収容部と、多孔質構造を有する気体透過性かつ液体非透過性のフィルタ基材を備え、前記処理液収容部のインクジェット記録用処理液を給排する給排口を閉塞する蓋部とを備えている。
【選択図】なし
Description
インクが使用されるにしたがい容器内が負圧になって生じるインク流通の悪化や、輸送時や保管時におけるケース内部の空気の熱膨張やインクの蒸発によりインクが通気性のフィルタに押付けられてインクが染み込み、ひいては漏洩する現象などを防ぐ観点から、撥水撥油処理が施されたフッ素樹脂多孔質膜が通気性支持材で補強された通気フィルタを有するインクカートリッジが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
<1> 顔料を含むインク組成物と共に用いられ、該インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分として液全質量に対する含有比率が1〜30質量%のマロン酸を含有するインクジェット記録用処理液を収容する処理液収容部と、多孔質構造を有する気体透過性かつ液体非透過性のフィルタ基材を備え、前記処理液収容部のインクジェット記録用処理液を給排する給排口を閉塞する蓋部と、を備えた処理液収容容器である。
本発明によれば、マロン酸含有の処理液を収容するが経時での形状変化(変形)が抑えられた処理液カートリッジを提供することができる。
さらに、本発明の処理液収容容器及び処理液カートリッジは、環境変化に対する制約が緩和され、長期に亘り安定した流通、保管等に適応するものである。
例えば、気体透過性かつ液体非透過性のフィルタ等の膜が設けられたコダマ樹脂製のKC−6053などを使用することができる。
本発明における「気体透過性」は、処理液から発生した炭酸ガスをパック等の収容部外に逃す気体透過性を有していることをいい、具体的には、二酸化炭素、酸素、酢酸などの気体を透過することをいう。本発明のフィルタ基材は、撥油撥水性フィルタであることが好ましい。
−処理液−
処理液は、後述するインク組成物と接触したときに凝集体を形成する水性液体である。具体的には、処理液は、インク組成物と混合されたときにインク組成物中の着色粒子(顔料等)や樹脂粒子などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成する凝集成分を少なくとも含み、必要に応じて他の成分を含んで構成される。画像形成にあたってインク組成物と共に処理液を用い、例えば、処理液が付与された上にインク組成物を付与する画像形成法を採ることで、インクジェット記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
前記pHは、東亜DKK(株)製のpHメータWM−50EGを用いて25±1℃で測定される値である。
中でも、マロン酸の処理液中に占める質量比率は、3〜25質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは5〜20質量%の範囲である。
リン酸基を有する化合物を処理液に含有していると、処理液のpHがより低下し、マロン酸の分解が促されやすいため、本発明の効果がより奏されることになる。
観点からリンゴ酸、コハク酸、酒石酸が好ましい。これらの化合物は、その1種類がマロン酸と併用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
「粘度」としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。粘度は、VISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
また、「表面張力」としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mの範囲が好ましく、25〜50mN/mの範囲がより好ましく、30〜45mN/mの範囲がさらに好ましい。表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
前記処理液の作用を受けて凝集することによる画像形成を担うインク組成物について説明する。本発明におけるインク組成物は、少なくとも顔料と水とを含有し、好ましくは着色剤(顔料を含む)及び水に加え、樹脂粒子やワックス粒子などの高分子成分、有機溶剤、及び界面活性剤や尿素又はその誘導体などの各種添加剤等を含有していてもよい。
本発明におけるインク組成物は、着色剤の少なくとも一種を含有し、着色組成物として構成される。着色剤としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である色材であることが好ましく、特に顔料が好ましい。顔料は、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。
具体的には、シアン顔料の例として、C.I.ピグメント・ブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、16、17:1、22、25、56、60、C.I.バットブルー4、60、63等が挙げられる。
また、マゼンタ顔料の例として、C.I.ピグメント・レッド48,57,122,184,188,C.I.ピグメント・バイオレット19等が挙げられる。
(1)カプセル化顔料は、ポリマー微粒子に顔料を含有させてなるポリマーエマルジョンであり、詳しくは、親水性水不溶性の樹脂で顔料を被覆し顔料表面の樹脂層にて親水化することで顔料を水に分散したものである。
(2)自己分散顔料は、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、詳しくは、主にカーボンブラックなどを表面酸化処理して親水化し、顔料単体が水に分散するようにしたものである。
(3)樹脂分散顔料は、質量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物により分散された顔料である。
(4)界面活性剤分散顔料は、界面活性剤により分散された顔料である。
上記のうち、好ましい例は(1)カプセル化顔料、又は(2)自己分散顔料であり、特に好ましい例は(1)カプセル化顔料である。
カプセル化顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水と水溶性有機溶剤の混合溶媒中で自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常は数平均分子量が1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は、有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量は、この範囲内であると顔料における被覆膜として又はインクとした際の塗膜としての機能を発揮することができる。樹脂は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で用いられるのが好ましい。
これら樹脂のうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(以下、「アニオン性基含有アクリルモノマー」という。)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1個以上のアニオン性基を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマーが特に好ましい。
なお、転相乳化法及び酸析法のより具体的な方法については、特開平9−151342号、特開平10−140065号の各公報に記載を参照することができる。
前記α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体又は共重合体を高分子分散剤として用いることができる。具体的には、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
「不溶性」とは、25℃の水系媒体にポリマーを混合したときに、水系媒体に溶解するポリマーの量が、混合した全ポリマーに対する質量比として10質量%以下であることをいう。
このポリマーは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位の少なくとも一種と、イオン性基を有する繰り返し単位の少なくとも一種とを含み、必要に応じて、更に、一般式(1)で表される繰り返し単位以外の他の疎水性繰り返し単位や、非イオン性の官能基を持つ親水性繰り返し単位などの他の構造単位を含むことができる。
L1は、*−COO−、*−OCO−、*−CONR2−、*−O−、又は置換もしくは無置換のフェニレン基を表す。L1がフェニレン基を表す場合、無置換が好ましい。R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。
L2は単結合、又は2価の連結基を表す。前記2価の連結基としては、好ましくは炭素数1〜30の連結基であり、より好ましくは炭素数1〜25の連結基であり、更に好ましくは炭素数1〜20の連結基であり、特に好ましくは炭素数1〜15の連結基である。中でも、最も好ましくは、炭素数1〜25(より好ましくは1〜10)のアルキレンオキシ基、イミノ基(−NH−)、スルファモイル基、及び、炭素数1〜20(より好ましくは1〜15)のアルキレン基やエチレンオキシド基[−(CH2CH2O)n−,n=1〜6]などの、アルキレン基を含む2価の連結基等、並びにこれらの2種以上を組み合わせた基などである。
前記「炭素数8以上の縮環型芳香環」は、少なくとも2以上のベンゼン環が縮環した芳香環、少なくとも1種の芳香環と該芳香環に縮環して脂環式炭化水素で環が構成された炭素数8以上の芳香族化合物である。具体的な例としては、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アセナフテンなどが挙げられる。前記「ヘテロ環が縮環した芳香環」とは、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(好ましくはベンゼン環)と、ヘテロ原子を有する環状化合物とが縮環した化合物である。ここで、ヘテロ原子を有する環状化合物は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましい。ヘテロ原子を有する環状化合物は、複数のヘテロ原子を有していてもよい。この場合、ヘテロ原子は互いに同じでも異なっていてもよい。
芳香環が縮環したヘテロ環の具体例としては、フタルイミド、アクリドン、カルバゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
また、前記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、N−アリル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
・フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)
・フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)
・フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
・ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(60/30/10)
なお、酸価とは、水不溶性樹脂の1gを完全に中和するのに要するKOHの質量(mg)で定義され、JIS規格(JIS K 0070、1992)記載の方法により測定されるものである。
また、数平均分子量(Mn)では1,000〜100,000の範囲程度のものが好ましく、3,000〜50,000の範囲程度のものが特に好ましい。数平均分子量が前記範囲内であると、顔料における被覆膜としての機能又はインク組成物の塗膜としての機能を発揮することができる。ポリマー〔1〕は、アルカリ金属や有機アミンの塩の形で使用されることが好ましい。
本発明におけるインク組成物は、水を含有して水系に調製される。水の含有量は、特に制限はないが、10〜99質量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
本発明におけるインク組成物は、水不溶性樹脂の粒子を含有することができる。水不溶性の樹脂粒子を、顔料を被う前記樹脂以外に含有することにより、インク組成物の記録媒体への定着性及び画像の耐擦過性をより向上させることができる。
自己分散性樹脂は、(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含むアクリル系樹脂が好ましく、更には、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
本発明におけるインク組成物としてインクジェット記録用のインク組成物等を調製する場合には、上記成分に加え、必要に応じて、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤などの他の成分を含むことができる。具体的には、特開2007−100071号公報の段落番号[0153]〜[0162]に記載のその他の添加剤などが挙げられる。
「粘度」は、インクの付与をインクジェット方式で行なう場合、打滴安定性と凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて20℃で測定される。
「pH」としては、インク安定性と凝集速度の観点から、pH7.5〜10.0が好ましく、pH8.0〜9.5がより好ましい。pHは、東亜DKK(株)製のpHメータWM−50EGにより25±1℃で測定される。また、インク組成物のpHは、47質量%硫酸などの酸性化合物又は50質量%水酸化ナトリウムなどの塩基性化合物を用いて調製することができる。
[処理液の調製]
以下の成分を混合して、処理液101を調製した。
処理液のpHを測定したところ、1.0であった。pHの測定は、東亜DKK(株)製のpHメータWM−50EGを用い、処理液を原液のまま25℃±1℃にて行なった。
<組成>
・マロン酸 ・・・20.0質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・4質量%
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル ・・・4質量%
・ベンゾトリアゾール ・・・1質量%
・イオン交換水 ・・・全体で100質量%となる量
以下に示すように、作製された処理液カートリッジについて試験、評価を行なった。試験、評価の結果は、下記表1に示す。
調製した処理液を、コダマ樹脂製のタマカンKM−331に10リットル充填し、撥水性膜を有するキャップとして、コダマ樹脂製のKC−6053を接続して処理液カートリッジを作製した。その後、この容器の幅方向中央部における幅長W0をノギスで測り、その後45℃の恒温条件下に1ヶ月間保管した。保管後、この容器の同じ場所の幅長W1をノギスで測り、増加率(%;=W1/W0×100)を算出して容器膨張の程度を評価した。
容器の膨張は、外観、積荷したときの荷崩れや破損などの点で、3%以下に抑えられていると良好であり、製品品質上は2%以下に抑えられていることが望ましい。
容器膨張を評価するのと同様にして処理液カートリッジを作製し、横倒しにして7日間室温にて放置することにより、液漏れの有無を評価した。
<評価基準>
○:目視にて液漏れが全く見られなかった。
×:目視にて液漏れが見られた。
以下に示すように、インクジェット記録装置を用い、実施例1の処理液カートリッジから処理液を塗布した後、乾燥し、インクを打滴した後、下記の評価(凝集性、光沢ムラ)を行なった。
−水不溶性ポリマー1の合成−
攪拌機及び冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え、窒素雰囲気下で72℃に加熱した。これに、メチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.86g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、及びメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応させた後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.40gを溶解した溶液を加え、80℃に昇温し、4時間加熱した。得られた反応溶液を大過剰量のヘキサンに2回再沈殿させ、析出した樹脂を乾燥させることにより、96gの水不溶性ポリマー1を得た。得られた水不溶性ポリマーの組成を1H−NMRにより確認した。また、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)は、43300であった。更に、JIS規格(JIS K 0070:1992)に記載の方法で水不溶性ポリマーの酸価を求めたところ、64.6mgKOH/gであった。
以下に示す組成中の成分を混合し、ビーズミルでφ0.1mmジルコニアビーズを用いて3〜6時間分散した。続いて、得られた分散体を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、マゼンタ顔料の濃度が15.0質量%である樹脂被覆マゼンタ顔料分散体を調製した。
<樹脂被覆マゼンタ顔料分散体の組成>
・C.I.ピグメント・レッド122顔料粉末 ・・・10.0部
(Cromophtal Jet Magenta DMQ、チバ・ジャパン社製;マゼンタ顔料)
・前記水不溶性ポリマー1(水不溶性樹脂) ・・・4.0部
・メチルエチルケトン(有機溶剤) ・・・30.5部
・1mol/lNaOH水溶液(中和剤) ・・・5.6部
・イオン交換水 ・・・98.7部
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、メチルメタクリレート158.4g、メトキシエチルアクリレート54.0g、ベンジルメタクリレート126.0g、メタクリル酸21.6g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、これに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で3時間攪拌した後、さらに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2.5時間攪拌を続けることにより、重合体溶液を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、68000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))であった。
次に、得られた重合体溶液668.3gを秤量し、イソプロパノール388.3g、1モル/LのNaOH水溶液145.7ml(中和度60%)を加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に、蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化した。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧し、イソプロパノール、メチルエチルケトン、及び蒸留水を合計で913.7g留去し、以下に示す固形分濃度28.0%のポリマー分散体Cを得た。なお、以下に示すポリマー分散体C中の各構成単位の右下に付した数字は「質量比」を表す。
上記で得られた分散体を用いて、下記に示す組成を有するインクを調液し、さらに0.2μmのメンブレンフィルターで濾過することにより、マゼンタインクを調製した。得られたマゼンタインクのpHを以下に示す方法で測定したところ、8.5であった。
<マゼンタインクの組成>
・前記マゼンタ顔料分散体 ・・・5質量%(マゼンタ顔料の固形分)
・サンニックスGP−250 ・・・10質量%
(ニューポールGP−250 三洋化成工業(株)製)
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル・・・3質量%
・ジプロピレングリコール ・・・5質量%
・前記ポリマー分散体C ・・・7質量%(共重合体の固形分)
・EM46D(カルナバワックス) ・・・1質量%
・尿素 ・・・5質量%
・オルフィン E1010 ・・・0.5質量%
(ノニオン系界面活性剤、日信化学工業(株)製)
・プロキセルXL2 ・・・0.3質量%
(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、AVECIA社製)
・イオン交換水 ・・・残量
インクジェット記録装置として、特開2010−155928号公報の図1に記載のインクジェット記録装置と同様の構成を有する装置を用意し、これを下記の設定条件(符号は、同公報の図1中に記載の番号を示す)に設定した。
<設定条件>
・サブタンク102内のインク温度:35℃
・フィルタ122のメッシュサイズ:5μm
・ヘッドユニット51:ノズル径18μm、1200dpi、1ユニット2cmの長さ
・圧電素子68 :チタン酸ジルコン酸鉛(ピエゾ)
・共通流路52を流れるインク量:2〜4ml/sec
なお、定着ローラは、内部にハロゲンランプが内装されたSUS製の円筒体の芯金の表面がシリコーン樹脂で被覆された加熱ロールと、該加熱ローラに圧接する対向ロールとで構成されたものである。
−3.凝集性−
上記マゼンタインクについて、インクジェット記録装置を用いてインクを打滴し、王子計測機器株式会社製のドットアナライザーDA−6000を用いてマゼンタドットのドット径を測定した。処理液101を用いたときのドット径を100で規格化したときの他の各処理液を使用した場合のドット径を相対値で示し、評価した。値は小さいほど凝集性に優れていることを意味する。
マゼンタのベタ画像を描画し、その画像に対し指触試験を行い指跡の光沢ムラを目視にて評価した。
<評価基準>
○:光沢ムラが見られなかった。
△:僅かに光沢ムラが発生しているが、実用上許容内であった。
×:指跡状に光沢ムラが発生し、実用上支障を来す範囲であった。
Claims (6)
- 顔料を含むインク組成物と共に用いられ、該インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分として液全質量に対する含有比率が1〜30質量%のマロン酸を含有するインクジェット記録用処理液を収容する処理液収容部と、
多孔質構造を有する気体透過性かつ液体非透過性のフィルタ基材を備え、前記処理液収容部のインクジェット記録用処理液を給排する給排口を閉塞する蓋部と、
を備えた処理液収容容器。 - 前記フィルタ基材は、撥油撥水性を有する請求項1に記載の処理液収容容器。
- 前記フィルタ基材は、ポリテトラフルオロエチレンを含む請求項1又は請求項2に記載の処理液収容容器。
- 顔料を含むインク組成物と共に用いられ、該インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分として液全質量に対する含有比率が1〜30質量%のマロン酸を含有するインクジェット記録用処理液が、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の処理液収容容器に収容された処理液カートリッジ。
- 前記インクジェット記録用処理液は、更に、リン酸基を有する化合物を含む請求項4に記載の処理液カートリッジ。
- マロン酸の前記インクジェット記録用処理液中における含有比率が処理液全質量に対して1〜20質量%であり、リン酸基を有する化合物の前記インクジェット記録用処理液中における含有比率が処理液全質量に対して0.5〜10質量%である請求項5に記載の処理液カートリッジ。
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