JP2012177163A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄心にギャップを設ける以外の方法で、偏磁が生じる用途で使われる場合にも、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を提案する。
【解決手段】電子ビーム照射により、板幅方向と30度以内をなす角度で線状に、照射列の圧延方向の列間隔を2〜10mmとして、以下の式(1)にて定義される単位面積あたりの照射エネルギー量E(mJ/mm2)を、磁束密度Bが1.90T以上でかつ磁束密度B0.5が1.60T以下を満足するように、20〜220 mJ/mm2の範囲で歪を導入する。
E(mJ/mm2)=電子ビーム加速電圧(kV)×ビーム電流値(mA)/ (ビーム走査速度(m/s)×ビーム径(mm)) …(1)
【選択図】図2

Description

本発明は、変圧器などの鉄心材料に好適な方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、主にトランスの鉄心として利用され、その磁化特性が優れていること、特に鉄損が低いことが求められている。
そのためには、鋼板中の二次再結晶粒を(110)[001]方位(いわゆる、ゴス方位)に高度に揃えることや製品鋼板中の不純物を低減することが重要である。さらに、結晶方位の制御や、不純物を低減することは、製造コストとの兼ね合い等で限界がある。そこで、鋼板の表面に対して物理的な手法で不均一性を導入し、磁区の幅を細分化して鉄損を低減する技術、すなわち磁区細分化技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、最終製品板にレーザーを照射し、鋼板表層に高転位密度領域を導入し、磁区幅を狭くすることで、鋼板の鉄損を低減する技術が提案されている。また、特許文献2には、電子ビームの照射により磁区幅を制御する技術が提案されている。
ここに、方向性電磁鋼板が偏磁の生じる用途で使われた場合、鉄損や、励磁電流が大幅に増加することが知られている。この問題に対しては、偏磁が生じた際に、変圧器やリアクトルなどにおいて鉄心が焼失しないよう、鉄心にギャップを設けるという方策がある。
特公昭57−2252号公報 特公平6−72266号公報
しかしながら、上述したようなギャップを設けた場合には、透磁率が減少して偏磁が生じていない平常時の磁気特性が劣化してしまうという問題があった。
本発明は、鉄心にギャップを設ける以外の方法で、偏磁が生じる用途で使われる場合にも、優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板を提案することを目的とする。
さて、偏磁とは、なんらかの原因で、励磁電流にオフセットが生じ、方向性電磁鋼板にかかる磁化Hに偏りが生じることである。
図1に、一般的な方向性電磁鋼板のB−Hループ(同図に示したように、上方の減磁側の曲線をA1、下方の磁界印加側の曲線をA2とする)、励磁電流(曲線Y1,曲線Y2)および励磁電流とB−Hループから求めた磁束密度(曲線Z1,曲線Z2)とをそれぞれ示す。
上記図1を用いて、偏磁により鉄損や励磁電流が増加する理由を説明する。
まず、なんらかの原因で励磁電流にIdcという大きさのオフセットがかかった場合の励磁電流(曲線Y2)を考える。この場合、同図に示したように、初期の励磁電流(曲線Y1)上の点y1からIdcだけx軸側に平行移動したy2を求める。ついで、y2からy軸に平行に伸ばした点線がB−Hループ(A1)と交わった点から直角(x軸に平行)に、点線を引くと、曲線Z2上の点z2が求められる。この時、オフセットのない励磁電流(曲線Y1)から同様に求めた磁束密度Bの曲線Z1上の点z1と、上記点z2のx座標の差を求めると、磁束密度Bにも、いわゆるオフセットが発生していることが分かる。すなわち、図1に示したように、Idcだけ偏磁をした場合の磁束密度BにおけるオフセットはBdcとなる。
上記のようなオフセットBdcが生じると、図1に示したように、磁束密度Bの最大値(図中のBmax)が増えてしまう。このような場合に、方向性電磁鋼板は、高磁束密度での透磁率が小さい為に、磁化H(図1中のH)が大幅に増加することになる。従って、励磁電流が大幅に増加(曲線Y2)することになる。その結果、同図の曲線Y2に示したような磁化Hの偏り、いわゆる偏磁という現象が起こる。
そして、この偏磁現象が発生すると、鋼板の鉄損は大幅に増加してしまう。
上記した問題を解決する為には、二つのアプローチが考えられる。
一つは、高磁束密度側での透磁率を大きくすることである。というのは、透磁率を大きくすると、図1中のHで示した増加幅が小さく抑えられるからである。ここに、高磁束密度まで透磁率が大きい材料とは、二次再結晶粒を(110)[001]方位(ゴス方位)に高度に揃えたり、製品中の不純物を低減した、交流磁化H=800A/mにおける磁束密度Bの大きい方向性電磁鋼板である。
もう一つのアプローチは、図1に示した励磁電流にIdcというオフセットがかかった時に、磁束密度Bに生じるオフセットBdcを小さくすることである。すなわち、低磁束密度側での透磁率が小さければ、偏磁が生じた場合であっても、磁束密度Bに生じるオフセットBdcを小さく抑えることができるからである。
ここに、低磁束密度側での透磁率を示す指標としては、交流磁化H=50A/mにおける磁束密度B0.5を用いる。すなわち、B0.5が小さい方向性電磁鋼板は、低磁束密度側における透磁率が小さいのである。
上記した2つのアプローチを基に、偏磁が生じ易い用途で使われる場合に好適な方向性電磁鋼板を見出すための実験を行った。この実験には、鉄心に偏磁がかけられるように、直流励磁巻き線を追加したエプスタイン試験装置を用いた。
以下、本発明の諸条件を規定するに至った実験結果について述べる。
まず、方向性電磁鋼板の持つBの影響について調査を行った。図2に、Bの異なる0.23mm厚の方向性電磁鋼板を用い、偏磁量:30A/mの偏磁がかかった状態で鉄損W17/50を測定した結果を示す。同図より、Bが1.90T以上の領域で、偏磁下における鉄損が小さくなることが分かった。
次に、B0.5の影響ついて調査を行った。図3に、B0.5の異なる0.23mm厚の方向性電磁鋼板を用い、偏磁量:30A/mの偏磁がかかった状態で鉄損W17/50を測定した結果を示す。同図より、B0.5が1.60T以下の領域で、偏磁下における鉄損が小さくなることが分かった。
一般に、磁束密度Bが大きく、二次結晶粒の方位がゴス方位に揃った方向性電磁鋼板は、低磁束密度側での透磁率が高くなって、B0.5が大きくなり、上記条件(1.60T以下)を満たさない。
そこで、Bの大きい方向性電磁鋼板に、電子ビームを照射することで、磁区細分化効果を得るのと同時に、低磁束密度側での透磁率を下げるという方法を検討した。
電子ビーム照射により、低磁束密度側での透磁率が下がる原理は以下のとおりである。
電子ビームにより歪みを導入すると、その歪みを起点として還流磁区が発生する。この還流磁区により鋼板の静磁エネルギーが増大する。同時に、この静磁エネルギーを下げるように、180度磁区の細分化が起こり、鋼板の圧延方向の鉄損は減少する。これが磁区細分化効果である。このような磁区細分化が起る際に、低磁束密度側では、磁区が鋼板の圧延方向に揃いにくくなるため、透磁率が減少するのである。なお、高磁束密度側では、還流磁区の影響が小さく、透磁率の減少は少ない。
従って、鋼板に、適正な歪み量を、適正な歪み領域密度で与えることができれば、低磁束密度側の透磁率のみを減少させると同時に、高磁束密度側の透磁率を保ち、かつ十分な磁区細分化効果も期待できることになる。
そこで、B:1.93T、B0.5:1.68Tの方向性電磁鋼板に、照射条件を変えて電子ビーム照射を行い、前述したような最適範囲に収まるビーム条件を検討した。ここで、単位面積あたりの照射エネルギー量E(mJ/mm2)は以下のように規定した。
E(mJ/mm2)=電子ビーム加速電圧(kV)×ビーム電流値(mA)/ (ビーム走査速度(m/s)×ビーム径(mm))
表1に、様々なビーム条件でのB、およびB0.5の測定結果を示す。
Figure 2012177163
上記の実験結果から、単位面積あたりの照射エネルギー量が20 mJ/mm2より小さい場合、歪み導入量が少なく、B0.5が十分に下がらない。一方、単位面積あたりの照射エネルギー量が220 mJ/mm2より大きい場合は、歪み導入量が過多となり、Bの減少量が大きくなり過ぎる。
従って、適切な照射エネルギー量で歪みを導入することにより、BおよびB0.5の値が最適範囲となる方向性電磁鋼板を得られることが分かり、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.磁束密度Bが1.92T以上の方向性電磁鋼板に、電子ビーム照射により、板幅方向と30度以内をなす角度で線状に歪を導入するに際し、
照射列の圧延方向の列間隔を2〜10mmとすること、
下記式(1)にて定義される単位面積あたりの照射エネルギー量E(mJ/mm2)を、磁束密度Bが1.90T以上でかつ磁束密度B0.5が1.60T以下を満足するように、20〜220 mJ/mm2の範囲で制御すること
を特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

E(mJ/mm2)=電子ビーム加速電圧(kV)×ビーム電流値(mA)/ (ビーム走査速度(m/s)×ビーム径(mm)) …(1)
本発明に従う要領の下に、電子ビームを用いて方向性電磁鋼板に歪みを付与することによって、通常用途は勿論のこと、偏磁が生じ易い用途で使われても、優れた鉄損値を示す方向性電磁鋼板を製造することが可能になった。
磁束密度Bと磁化Hとの関係を説明する図である。 磁束密度Bと鉄損との関係を示すグラフである。 磁束密度B0.5と鉄損との関係を示すグラフである。
前述したように、B、およびB0.5が、本発明の最適範囲(Bが1.90T以上でかつB0.5が1.60T以下)となる方向性電磁鋼板を得るためには、磁束密度Bが1.92T以上の方向性電磁鋼板を用い、電子ビーム照射が、以下の式(1)で表される単位面積あたりの照射エネルギー量Eで、20mJ/mm2以上220mJ/mm2以下の範囲とすることが必要である。
ここに、磁束密度Bが1.92T以上の鋼板を用いるのは、低磁束密度側での透磁率が高くなって、そのままでは、B0.5が大きくなって上記最適範囲を満たさないからである。
E(mJ/mm2)=電子ビーム加速電圧(kV)×ビーム電流値(mA)/ (ビーム走査速度(m/s)×ビーム径(mm))・・・(1)
なお、上記のビーム径は、公知のスリット法を用いて、電子ビームのエネルギープロファイルの半値幅で規定するものとする。
本発明における線状に歪を導入する場合、歪み導入の形態は、点列歪みでも、線状歪みでも問題はない。また、点列および線の列間隔は、2mm以上10mm以下とする。というのは、2mm未満であると、歪みの導入が多すぎて、圧延方向のヒステリシス損が大幅に大きくなってしまう。一方、10mm超では、磁区細分化効果が小さく、磁束密度が好適範囲を満たしても鉄損抑制効果が小さいからである。
なお、点列歪みにおける、各点歪みの間隔は、0.60mm以内とすることが好ましい。
本発明において、線状の歪みの板幅方向となす角度は、30°以内とすることが肝要である。この範囲よりも板幅方向とのなす角度が大きくなると、圧延方向の鉄損減少量が小さくなるからである。
また、歪み導入手法としては、大きなエネルギーをビーム径を絞って導入することができる電子ビーム照射が最も適している。
電子ビーム照射により線状に歪み導入を行うと、条件によっては照射痕跡が残り、鋼板の絶縁性が損なわれる場合がある。その場合には、絶縁被膜の再コートを行い、導入された歪みが解消されない温度領域で焼き付けを行う。
次に、上記以外の方向性電磁鋼板の製造条件に関して具体的に説明する。
本発明において、方向性電磁鋼板用スラブの成分組成は、二次再結晶が生じる成分組成で、かつ磁束密度Bが1.92T以上の方向性電磁鋼板となればよい。また、インヒビターを利用する場合、例えばAlN系インヒビターを利用する場合であればAlおよびNを、またMnS・MnSe系インヒビターを利用する場合であればMnとSeおよび/またはSを、それぞれ適量含有させればよい。勿論、両インヒビターを併用してもよい。この場合におけるAl、N、SおよびSeの好適含有量はそれぞれ、Al:0.01〜0.065質量%、N:0.005〜0.012質量%、S:0.005〜0.03質量%、Se:0.005〜0.03質量%である。
さらに、本発明は、Al、N、SおよびSeの含有量を制限した、インヒビターを使用しない方向性電磁鋼板にも適用することができる。この場合には、Al、N、SおよびSe量はそれぞれ、Al:100 質量ppm以下、N:50 質量ppm以下、S:50 質量ppm以下およびSe:50 質量ppm以下に抑制することが好ましい。
本発明の方向性電磁鋼板用スラブの基本成分および任意添加成分について具体的に述べると、次のとおりである。
C:0.08質量%以下
Cは、熱延板組織の改善のために添加をするが、0.08質量%を超えると製造工程中に磁気時効の起こらない50質量ppm以下までCを低減することが困難になるため、0.08質量%以下とすることが好ましい。なお、下限に関しては、Cを含まない素材でも二次再結晶が可能であるので特に設ける必要はない。
Si:2.0〜8.0質量%
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を改善するのに有効な元素であるが、含有量が2.0質量%に満たないと十分な鉄損低減効果が達成できず、一方、8.0質量%を超えると加工性が著しく低下し、また磁束密度も低下するため、Si量は2.0〜8.0質量%の範囲とすることが好ましい。
Mn:0.005〜1.0質量%
Mnは、熱間加工性を良好にする上で必要な元素であるが、含有量が0.005質量%未満ではその添加効果に乏しく、一方1.0質量%を超えると製品板の磁束密度が低下するため、Mn量は0.005〜1.0質量%の範囲とすることが好ましい。
上記の基本成分以外に、磁気特性改善成分として、次に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.03〜1.5質量%、Sn:0.01〜1.5質量%、Sb:0.005〜1.5質量%、Cu:0.03〜3.0質量%、P:0.03〜0.5質量%、Mo:0.005〜0.1質量%およびCr:0.03〜1.5質量%のうちから選んだ少なくとも1種
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させるために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.03質量%未満では磁気特性の向上効果が小さく、一方1.5質量%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化する。そのため、Ni量は0.03〜1.5質量%の範囲とするのが好ましい。
また、Sn、Sb、Cu、P、MoおよびCrはそれぞれ磁気特性の向上に有用な元素であるが、いずれも上記した各成分の下限に満たないと、磁気特性の向上効果が小さく、一方、上記した各成分の上限量を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害されるため、それぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。
なお、上記成分以外の残部は、製造工程において混入する不可避的不純物およびFeである。
次いで、上記した成分組成を有するスラブは、常法に従い加熱して熱間圧延に供するが、鋳造後、加熱せずに直ちに熱間圧延してもよい。薄鋳片の場合には熱間圧延しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進んでもよい。
さらに、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。この時、ゴス組織を製品板において高度に発達させるためには、熱延板焼鈍温度として800〜1100℃の範囲が好適である。熱延板焼鈍温度が800℃未満であると、熱間圧延でのバンド組織が残留し、整粒した一次再結晶組織を実現することが困難になり、二次再結晶の発達が阻害される。一方、熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化しすぎるために、整粒した一次再結晶組織の実現が極めて困難となる。
熱延板焼鈍後は、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施した後、再結晶焼鈍を行い、焼鈍分離剤を塗布する。焼鈍分離剤を塗布した後に、二次再結晶およびフォルステライト被膜の形成を目的として最終仕上げ焼鈍を施す。
最終仕上げ焼鈍後には、平坦化焼鈍を行って形状を矯正することが有効である。なお、本発明では、平坦化焼鈍前または後に、鋼板表面に絶縁コーティングを施す。ここに、この絶縁コーティングは、本発明では、鉄損低減のために、鋼板に張力を付与できるコーティング(以下、張力コーティングという)を意味する。なお、張力コーティングとしては、シリカを含有する無機系コーティングや物理蒸着法、化学蒸着法等によるセラミックコーティング等が挙げられる。
本発明では、上述した最終仕上げ焼鈍後または張力コーティング後の方向性電磁鋼板に、いずれかの時点で鋼板表面に電子ビームを前記した条件で照射することにより、磁区細分化処理を施す。
本発明において、上述した工程や製造条件以外については、従来公知の電子ビームを用いた磁区細分化処理を施す方向性電磁鋼板の製造方法を適用すればよい。
Si:3質量%を含有する、最終板厚:0.23mmに圧延された冷延板を、脱炭、一次再結晶焼鈍した後、MgOを主成分とした焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶過程と純化過程を含む最終焼鈍を施し、フォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板を得た。60%のコロイダルシリカとリン酸アルミニウムからなる絶縁コートを塗布、800℃にて焼付けた。ついで、圧延方向と直角に電子ビーム照射を行い、点列状あるいは線状に歪み導入を行った。点列照射の場合、ビームの走査速度は、ビーム走査の停止時間を含めた平均速度とした。
この鋼板を、鉄心に偏磁がかけられるように、直流励磁巻き線を追加したエプスタイン試験装置(280mm角)を用いて、偏磁量:50A/mの時の鉄損W17/50を測定した。
上記鉄損の測定結果を、表2に併記する。
Figure 2012177163
表2に示したように、電子ビーム照射を用いて、適切な歪み量が導入された適合例では、鉄損W17/50がいずれの場合にあっても、比較例と比べて、5%以上鉄損W17/50が減少していることが分かる。

Claims (1)

  1. 磁束密度Bが1.92T以上の方向性電磁鋼板に、電子ビーム照射により、板幅方向と30度以内をなす角度で線状に歪を導入するに際し、
    照射列の圧延方向の列間隔を2〜10mmとすること、
    下記式(1)にて定義される単位面積あたりの照射エネルギー量E(mJ/mm2)を、磁束密度Bが1.90T以上でかつ磁束密度B0.5が1.60T以下を満足するように、20〜220 mJ/mm2の範囲で制御すること
    を特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。

    E(mJ/mm2)=電子ビーム加速電圧(kV)×ビーム電流値(mA)/ (ビーム走査速度(m/s)×ビーム径(mm)) …(1)


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