JP2012167302A - 粉末冶金用粉末混合物およびその製造方法 - Google Patents

粉末冶金用粉末混合物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粉末の偏在が抑制され、流動性等の粉末特性に優れ、圧縮成形後の抜き出し性に優れた粉末冶金用粉末混合物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】金属粉末からなる主原料粉末と、機械的特性を改善する副原料粉末2と、成形潤滑剤とから成る粉末冶金用粉末混合物において、成形潤滑剤が、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩およびワックスのうちの少なくとも1種であるとともに、融点が80〜240℃の高融点潤滑剤3と、融点が60〜80℃の低融点潤滑剤4とからなり、金属粉末が高融点潤滑剤で被覆されるとともに、高融点潤滑剤により副原料粉末が金属粉末に結着され、低融点潤滑剤が高融点潤滑剤に付着していることを特徴とする粉末冶金用粉末混合物。
【選択図】図1

Description

本発明は、混合粉末中の粉末の偏在が抑制され、粉末特性に優れ、成形後の抜き出し性に優れた粉末冶金用粉末混合物およびその製造方法に関する。
粉末冶金法のうち、特に金型成形法においては、金型壁面と圧粉体との摩擦を軽減するため、通常、成形潤滑剤の粉末を混入させた粉末混合物を用いる。粉末混合物は、主原料粉末である鉄基粉末に、例えば、銅粉末、黒鉛粉末、および切削性改善用粉末等の副原料粉末と成形潤滑剤を混合したものである。成形潤滑剤は粉末混合物の粉末特性(流動性や充填性)を改善し、圧縮成形した圧粉体を金型から抜き出し易くする。たとえば、成形潤滑剤の粉末として、ステアリン酸およびその金属石鹸系、ワックス類、脂肪酸アミド系(特許文献1参照)、金属石鹸系と脂肪酸アミド系の混合物(特許文献2参照)等が挙げられる。成形潤滑剤は、金属粉末との混合性、粉末混合物としたときの粉末特性や、圧縮成形後の抜き出し性、圧粉体を焼結する際の逸散性などの観点から選択される。なかでも、比較的優れた潤滑特性およびコストの点から、ステアリン酸亜鉛が広く用いられている。このような成形潤滑剤は、原料粉末に予め混入させて用いるのが一般的である。なお、成形潤滑剤を金型壁面に塗布して用いる方法もあるが、特殊な装置が必要となるため製造コストが割高となる。
しかしながら、従来の粉末混合物では、粉末が容易に偏在(偏析とも言う)するという問題がある。これは、粉末混合物中の鉄基粉末、銅粉末、黒鉛粉末、成形潤滑剤等において、それぞれ、粉末の大きさ、形状および密度が異なるためで、各粉末の混合後の輸送、ホッパへの装入、払い出し、または成形処理などの際に、粉末の偏在が生じる。特に、黒鉛粉末や金属石鹸系潤滑剤の粉末混合物は、輸送中の振動等により容器内で偏在し、鉄基粉末から浮かび上がる。また、ホッパに装入された黒鉛粉末や金属石鹸系潤滑剤がホッパ内で偏在し、ホッパからの排出の初期、中期、終期で黒鉛粉末の濃度が異なることがある。このため、各製品で組成にばらつきが生じ、寸法変化や機械強度のばらつきが大きくなるため、不良品が発生しやすくなる。
また、粉末混合物中の黒鉛粉末は微粉末であるため、粉末混合物の比表面積を増大させ、その結果、流動性や充填性を低下させる要因となっている。流動性や充填性の低下は、成形用金型への充填密度分布のばらつきや、ブロッキング等による巣の発生の原因となる。また、黒鉛粉末等の微粉末が、成形金型同士の摺動面に入り込んでしまう。
さらに、圧粉体を高密度とするために高い成形圧力を要する場合などには、従来の成形潤滑剤では摩擦軽減が不十分であるため、高い抜き出し力が必要となったり、それによって圧粉体に割れ、かじり、クラック等の不良が発生し易くなる。
この問題に対して、本出願人は先に、圧縮成形後の抜き出し工程において、圧粉体抜き出しの初期段階、即ち圧粉体が動き出すときの摩擦(静止摩擦)の軽減には固体潤滑が適しており、圧粉体が動きだしてからの摩擦(動摩擦)の軽減には液体潤滑のほうが適していることを見出した(特許文献3参照)。この知見に基づいて、特許文献3には、圧粉体を成形する金型に加熱・冷却手段を設け、金型下部の内壁を潤滑剤の融点以下、金型上部の内壁を潤滑剤の融点以上に制御することが記載されている。これによれば、圧粉体が成形される金型下部の内壁では潤滑剤が固体状態となり、圧粉体が抜き出される金型上部の内壁では潤滑剤が液体状態となり、抜き出し時の摩擦が軽減される。
特開平4−136104号公報 特開平11−193404号公報 特開平11−100602号広報
しかしながら、特許文献3においては、金型の加熱・冷却手段が必要であるため、金型の構造が複雑となってコストがかかることや、成形時の手間が増えるなどの問題があった。このような背景から、本発明は、粉末の偏在が抑制され、流動性等の粉末特性に優れ、圧縮成形後の抜き出し性に優れた粉末冶金用粉末混合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明においては、抜き出し工程時に液体潤滑および固体潤滑の両方を利用することによって、圧粉体と金型の間の動摩擦および静止摩擦を軽減できるように、抜き出し時の金型の温度で溶融する低融点潤滑剤と溶融しない高融点潤滑剤を使用する。
一般に、金型成形法における成形工程は、主に、原料粉末の充填工程、原料粉末の圧縮成形工程、および圧粉体の抜き出し工程から成る。この成形工程中、金型は、圧縮成形工程において60℃程度、抜き出し工程において80℃程度となり、抜き出し工程時に最も高温となる。このため、圧縮成形工程では溶融せず抜き出し工程時に溶融するように、融点が60℃以上の低融点潤滑剤と、抜き出し工程時にも溶融しないように、融点が80℃以上の高融点潤滑剤とを用いる。この低融点潤滑剤と高融点潤滑剤は、主原料粉末等に単に混合して用いると前述のように偏在しやすい。そこで、本発明者等は、高融点潤滑剤と低融点潤滑剤を主原料粉末等に付着させて用いることに思い至った。
本発明の粉末冶金用粉末混合物は、上記知見に基づいてなされたもので、金属粉末からなる主原料粉末と、機械的特性を改善する副原料粉末と、成形潤滑剤とから成る粉末冶金用粉末混合物において、成形潤滑剤が、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩およびワックスのうちの少なくとも1種であるとともに、融点が80〜240℃の高融点潤滑剤と、融点が60〜80℃の低融点潤滑剤とからなり、金属粉末が高融点潤滑剤で被覆されるとともに、高融点潤滑剤により副原料粉末が金属粉末に結着され、低融点潤滑剤が高融点潤滑剤に付着していることを特徴とする。
本発明の粉末冶金用粉末混合物によれば、副原料粉末は主原料粉末よりも比重が小さいが、高融点潤滑剤により金属粉末に結着されているため、粉末の偏在を抑制できる。さらに、副原料粉末が主原料粉末に結着され、成形潤滑剤に覆われているため、粉末混合物の比表面積を低下でき、流動性や充填性を改善できる。また、低融点潤滑剤は抜き出し工程時に溶融し、圧粉体と金型の壁面に滲みだして液体潤滑の作用をして動摩擦を低減し、高融点潤滑剤は抜き出し工程時に溶融せず、固体潤滑の作用をし、静止摩擦を低減する。これにより、抜き出し工程時の摩擦を低減できる。さらに、主原料粉末表面に高融点潤滑剤が配置されているため、低融点潤滑剤による液体潤滑の潤滑膜が切れても、主原料粉末と金型壁面が直接接触することを防止できる。
高融点潤滑剤は、圧粉体と金型の壁面の間で固体潤滑として作用し、静止摩擦の低減に効果がある。この効果を得るため、高融点潤滑剤の融点は、抜き出し工程時において溶融しないように、80℃以上とする。また、成形潤滑剤は、圧粉体の焼結工程において除去される必要があるため、融点が高いと潤滑剤の分解温度も高くなり、残留しやすくなる。このため、高融点潤滑剤の融点の上限を240℃とする。また、金属粉末に副原料粉末を十分に結着でき、必要な固体潤滑が得られるように、金属粉末と副原料粉末との総量100質量部に対して0.1質量部以上とすることが好ましい。
低融点潤滑剤は、圧粉体と金型の壁面に滲みだして液体潤滑として作用し、動摩擦の低減に効果がある。この効果を得るため、低融点潤滑剤の融点は、抜き出し工程時において溶融し、その他の工程においては溶融しないように、60℃以上とする。また、抜き出し工程時に溶融するように、低融点潤滑剤の融点の上限は80℃とする。また、副原料粉末を補助的に結着でき、必要な液体潤滑が得られるように、金属粉末と副原料粉末との総量100質量部に対して0.3質量部以上とすることが好ましい。
上記の高融点潤滑剤および低融点潤滑剤は、流動性等の粉末特性が著しく低下しないように、その総量の上限を、金属粉末と副原料粉末との総量100質量部に対して1.0質量部とすることが好ましい。したがって、高融点潤滑剤および低融点潤滑剤は、その総量が0.4〜1.0質量部となるように設定する。
上記成形潤滑剤は、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩およびワックスからのうち少なくとも1種から選択される。高融点潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、エチレンビスステアロアミド、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸バリウム等の粉末が挙げられる。また、低融点潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸、オレイン酸アミド、リシノール酸アミド等の粉末が挙げられる。特に、高融点潤滑剤がステアリン酸亜鉛であり、低融点潤滑剤がステアリン酸であることが好ましい。ステアリン酸亜鉛やステアリン酸は、潤滑剤として広く用いられているものであり、流動性や潤滑性に優れており、これらを上記添加量の範囲で用いることにより、流動性や潤滑性に優れた粉末冶金用粉末混合物が得られる。
また、本発明の粉末冶金用粉末混合物の製造方法は、主原料粉末となる金属粉末と、機械的特性を改善する副原料粉末と、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩およびワックスのうちの少なくとも1種であり、融点が80〜240℃の高融点潤滑剤の粉末と、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩およびワックスのうちの少なくとも1種であり、融点が60〜80℃の低融点潤滑剤の粉末とを用意し、金属粉末に高融点潤滑剤の粉末を添加し、混合しながら高融点潤滑剤の融点以上に加熱して高融点潤滑剤を溶融させ、金属粉末の表面に高融点潤滑剤を被覆する高融点潤滑剤被覆工程と、高融点潤滑剤を被覆された金属粉末に、副原料粉末を添加し、引き続き混合して1次混合物を得る副原料粉末結着工程と、1次混合物を、低融点潤滑剤の融点以上かつ高融点潤滑剤の融点未満の温度に冷却しつつ混合する第1冷却工程と、冷却された1次混合物に低融点潤滑剤の粉末を添加しつつ混合して2次混合物を得る低融点潤滑剤混合工程と、2次混合物を混合しつつ常温まで冷却する第2冷却工程と、からなることを特徴とする。
本発明の製造方法において、主原料粉末の表面に高融点潤滑剤を被覆した後に副原料粉末を添加しているため、確実に主原料粉末の表面全体に高融点潤滑剤を被覆でき、高融点潤滑剤により副原料粉末を主原料粉末に結着することができる。このため、副原料粉末が浮かび上がるなどの偏在を抑制できる。また、低融点潤滑剤は後から添加されるため、副原料粉末が結着されている主原料粉末全体に付着する。すなわち、主原料粉末や副原料粉末を覆っている高融点潤滑剤の表面や、高融点潤滑剤に覆われなかった副原料粉末の一部が低融点潤滑剤によって覆われる。このため、低融点潤滑剤によって、副原料粉末を主原料粉末にさらに確実に結着させることができる。
なお、上記製造方法においては、低融点潤滑剤粉末の融点以上かつ高融点潤滑剤の融点未満の温度に1次混合物を冷却して維持した状態で、低融点潤滑剤粉末の添加、溶融および混合を行う。このような工程とすることで、低融点潤滑剤粉末の添加の際に、1次混合物を再加熱するというような熱のロスがない。
本発明によれば、粉末の偏在が抑制され、流動性等の粉末特性に優れ、圧縮成形後の抜き出し性に優れた粉末冶金用粉末混合物が得られる。
本発明の粉末冶金用粉末混合物の構造を示す図である。 本発明の粉末冶金用粉末混合物の形成工程を示す図である。
図1に本発明の粉末冶金用粉末混合物の構造の一例を示す。粉末混合物は、主原料粉末である鉄基粉末1、鉄基地の強化や切削性改善のための副原料粉末2と、成形潤滑剤である高融点潤滑剤3と低融点潤滑剤4を用いる。図1に示すように、鉄基粉末1の表面は高融点潤滑剤3で被覆されており、高融点潤滑剤3により副原料粉末2が鉄基粉末1に結着されている。高融点潤滑剤3はその溶融によって副原料粉末2を鉄基粉末1に結着させる作用があり、鉄基粉末1全体を覆うが、副原料粉末2を完全には覆わない。このため、高融点潤滑剤3の表面と副原料粉末2の一部が低融点潤滑剤4で覆われている。副原料粉末2は主原料粉末よりも比重が小さいが、高融点潤滑剤3により鉄基粉末1に結着されているため、粉末の偏在を抑制できる。
このような構造の粉末冶金用粉末混合物は、次のように作製する。図2に示すように、主原料粉末となる鉄基粉末1、副原料粉末2、高融点潤滑剤3の粉末および低融点潤滑剤4の粉末を用意し、金属粉末1に高融点潤滑剤3の粉末を添加し、混合しながら高融点潤滑剤3の融点以上に加熱して高融点潤滑剤3を溶融させ、金属粉末1の表面に高融点潤滑剤3を被覆する(高融点潤滑剤被覆工程)。さらに、高融点潤滑剤被覆工程の後、高融点潤滑剤3が溶融している状態において、高融点潤滑剤3を被覆された鉄基粉末1に副原料粉末2を添加し、引き続き混合して1次混合物を得る(副原料粉末結着工程)。この1次混合物を、低融点潤滑剤4の融点以上かつ高融点潤滑剤3の融点未満の温度に冷却しつつ混合して、高融点潤滑剤を凝固させることによって副原料粉末2を鉄基粉末1に確実に結着させる(第1冷却工程)。次に、冷却された1次混合物に低融点潤滑剤4の粉末を添加しつつ混合して、低融点潤滑剤4が溶融した状態の2次混合物を作製する(低融点潤滑剤混合工程)。そして、2次混合物を混合しつつ常温まで冷却を行い、低融点潤滑剤を凝固させて、高融点潤滑剤3の表面および副原料粉末2の一部に低融点潤滑剤を付着させる(第2冷却工程)。以上により、鉄基粉末1が高融点潤滑剤3で被覆されるとともに、鉄基粉末1に高融点潤滑剤3により副原料粉末2が結着され、低融点潤滑剤4がそれら表面に付着している粉末冶金用粉末混合物が得られる。
(鉄粉末混合物の作製)
以下、本発明をさらに詳細に説明する。主原料粉末として平均粒径が75μmの粉末冶金用アトマイズ鉄粉末、副原料粉末として平均粒径が30μmで100メッシュ以下が70重量%の電解銅粉末、平均粒径が10μmで全量が325メッシュ以下の黒鉛粉末を用意した。さらに、表1に示す高融点潤滑剤および低融点潤滑剤を用意した。まず、鉄粉末に高融点潤滑剤を表1に示す割合で添加して、ミキサによって混合を行い、混合粉体を得た。そして、ミキサ内において混合粉体を加熱し、各高融点潤滑剤の融点より高い温度に昇温し、高融点潤滑剤を溶融して、高融点潤滑剤を鉄粉末に被覆した。さらに、高融点潤滑剤が溶融した状態において、銅粉末が1.5質量%、黒鉛粉末が1.0質量%になるように、それぞれ混合物に添加して混合し、1次混合物を作製した。このとき、溶融している高融点潤滑剤により鉄基粉末に銅粉末と黒鉛粉末を十分に付着させ、均質に分散させた。
次に、低融点潤滑剤の融点以上かつ高融点潤滑剤の融点未満に1次混合物を冷却し、高融点潤滑剤を凝固させることによって鉄粉末に銅粉末と黒鉛粉末を結着させた。さらに、この冷却した1次混合物に対して、低融点潤滑剤を表1に示す割合で添加して混合を行い、2次混合物を作製した。このとき、低融点潤滑剤を溶融させて、高融点潤滑剤や銅粉末および黒鉛粉末の一部の表面に、低融点潤滑剤を付着させた。溶融している低融点潤滑剤を十分に付着させた後、室温まで冷却して低融点潤滑剤を凝固させた。このようにして、銅粉末と黒鉛粉末が鉄粉末に結着され、鉄粉末全体が高融点潤滑剤によって被覆され、さらにそれらの表面に低融点潤滑剤が付着した鉄粉末混合物の試料(試料番号01〜08、11〜26)を得た。
また、上記と同様な粉末を用意して、鉄粉末、銅粉末、黒鉛粉末、表1に示す高融点潤滑剤および低融点潤滑剤を一度に混合し、低融点潤滑剤の融点以上かつ高融点潤滑剤の融点未満の温度に昇温してから冷却を行い、鉄粉末混合物の試料(試料番号09)を得た。この試料は、低融点潤滑剤を溶融させ、高融点潤滑剤は溶融させないため、鉄粉末等の粉末の表面が低融点潤滑剤に覆われており、低融点潤滑剤の表面に部分的に高融点潤滑剤が付着している構造であった。さらに、従来例として、鉄粉末、銅粉末、黒鉛粉末および表1に示す高融点潤滑剤を単純に混合した試料を用意した(試料番号10)。
(鉄粉末混合物の評価)
以上のようにして得られた鉄粉末混合物の試料について、鉄粉末への黒鉛粉末付着量を調べるため、次のように炭素分析を行った。100メッシュと200メッシュの篩を用意し、100メッシュの篩を通過し、200メッシュの篩を通過しなかった粉末混合物について、炭素量の測定を行った。この結果を表1に併記する。
また、粉末混合物の流動特性として、JIS Z2502に規定される流動度試験方法に従って流動度測定を行った。さらに、試料を金型に充填して圧縮成形を行い、直径20mm、高さ30mmで密度が7.0kg/mの圧粉体を作製した。この圧粉体の抜き出し時に抜き出し圧力の測定を行い、圧粉体の外観観察を行った。これらの結果も表1にまとめて示す。
Figure 2012167302
表1の試料番号01〜05の試料より、高融点潤滑剤の影響がわかる。高融点潤滑剤を含有しない試料番号01の試料では、高融点潤滑剤の黒鉛粉末を鉄粉末へ結着する作用が得られず、低融点潤滑剤による補助的な結着作用のみが得られるため、黒鉛粉末の結着量が不十分となり、炭素分析値が低い値となった。また、高融点潤滑剤による固体潤滑が得られないため、抜き出し圧力が大きくなり、圧粉体にカジリが生じた。したがって、高融点潤滑剤は、添加量が0.1質量部以上のとき効果を得ることができることが確認された。また、高融点潤滑剤の増加にしたがい、炭素分析値や抜き出し圧力が向上したが、流動度が大きくなり、流動性が低下した。
表1の試料番号03、06〜08の試料より、低融点潤滑剤の影響がわかる。低融点潤滑剤の添加量が0.2質量部の試料番号06の試料では、低融点潤滑剤の液体潤滑の効果が不十分となり、抜き出し圧力が大きくなった。このため、低融点潤滑剤は、添加量が0.2質量部より多いとき効果を得ることができることが確認された。また、低融点潤滑剤の増加にしたがい、炭素分析値や抜き出し圧力が向上したが、流動性は低下した。
試料番号05および08の試料より、成形潤滑剤の総量の影響がわかる。これらの試料では、成形潤滑剤の総量が1.0質量部を超えており、流動度が大きく、流動性が著しく低下している。また、試料番号08の試料では、潤滑量が多いため、圧粉体の抜き出し時に溶融した潤滑剤が吹き出て黒点が生じた。このことから、成形潤滑剤の総量は1.0質量部以下である必要があることがわかった。
試料番号03、09および10の試料より、粉末混合物の作製方法の影響がわかる。試料番号09では、低融点潤滑剤が鉄粉末を覆い、高融点潤滑材が外側に配置されているため、抜き出し圧力が大きくなった。これは、外側の高融点潤滑剤が、溶融した低融点潤滑剤の滲み出しを阻害したり、低融点潤滑剤が溶融したために外側の高融点潤滑剤が移動し、液体潤滑の潤滑膜が切れた箇所に主原料粉末等と金型壁面が直接接触したためと考えられる。また、試料番号10の試料は、粉末を単純に混合しているため粉末が偏在し、炭素分析値が著しく低下し、粉末混合物の比表面積が大きいため、流動性が低下した。また、鉄粉末表面が潤滑剤によって覆われていないため、鉄粉末が金型に直接接触し、抜き出し圧力が大きくなった。このことから、本発明の製造方法の優位性を確認できた。
試料番号03、11〜26の試料より、高融点潤滑剤および低融点潤滑剤の融点の影響がわかる。低融点潤滑剤の融点が80℃以上の試料番号13の試料では、低融点潤滑剤が抜き出し工程において溶融せず、液体潤滑が得られないため、抜き出し圧力が大きくなった。また、高融点潤滑剤の融点が80℃以下の試料番号14の試料では、抜き出し工程時に高融点潤滑剤が溶融したため、抜き出し時に高融点潤滑剤が圧粉体表面に吹き出て黒点が生じた。このことから、低融点潤滑剤の融点が60〜80℃、高融点潤滑剤の融点が80〜240℃において、良好な粉末混合物が得られることがわかった。

Claims (6)

  1. 金属粉末からなる主原料粉末と、機械的特性を改善する副原料粉末と、成形潤滑剤とから成る粉末冶金用粉末混合物において、
    成形潤滑剤が、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩およびワックスのうちの少なくとも1種であるとともに、融点が80〜240℃の高融点潤滑剤と、融点が60〜80℃の低融点潤滑剤とからなり、
    前記金属粉末が前記高融点潤滑剤で被覆されるとともに、前記高融点潤滑剤により前記副原料粉末が前記金属粉末に結着され、前記低融点潤滑剤が前記高融点潤滑剤に付着していることを特徴とする粉末冶金用粉末混合物。
  2. 前記高融点潤滑剤がステアリン酸亜鉛であり、前記低融点潤滑剤がステアリン酸であることを特徴とする請求項1に記載の粉末冶金用粉末混合物。
  3. 前記金属粉末と、前記副原料粉末との総量100質量部に対して、前記高融点潤滑剤の量が0.1質量部以上、かつ前記低融点潤滑剤の量が0.3質量部以上であり、前記高融点潤滑剤と前記低融点潤滑剤の総量が0.4〜1.0質量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の粉末冶金用粉末混合物。
  4. 主原料粉末となる金属粉末と、機械的特性を改善する副原料粉末と、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩およびワックスのうちの少なくとも1種であり、融点が80〜240℃の高融点潤滑剤の粉末と、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩およびワックスのうちの少なくとも1種であり、融点が60〜80℃の低融点潤滑剤の粉末とを用意し、
    前記金属粉末に前記高融点潤滑剤の粉末を添加し、混合しながら前記高融点潤滑剤の融点以上に加熱して前記高融点潤滑剤を溶融させ、前記金属粉末の表面に前記高融点潤滑剤を被覆する高融点潤滑剤被覆工程と、
    前記高融点潤滑剤を被覆された前記金属粉末に、前記副原料粉末を添加し、引き続き混合して1次混合物を得る副原料粉末結着工程と、
    前記1次混合物を、前記低融点潤滑剤の融点以上かつ前記高融点潤滑剤の融点未満の温度に冷却しつつ混合する第1冷却工程と、
    前記冷却された1次混合物に前記低融点潤滑剤の粉末を添加しつつ混合して2次混合物を得る低融点潤滑剤混合工程と、
    前記2次混合物を混合しつつ常温まで冷却する第2冷却工程と、
    からなることを特徴とする粉末冶金用粉末混合物の製造方法。
  5. 前記高融点潤滑剤粉末がステアリン酸亜鉛粉末であり、前記低融点潤滑剤粉末がステアリン酸粉末であることを特徴とする請求項4に記載の粉末冶金用粉末混合物の製造方法。
  6. 前記金属粉末と、前記副原料粉末との総量100質量部に対して、前記高融点潤滑剤粉末の添加量が0.1質量部以上、かつ前記低融点潤滑剤粉末の添加量が0.3質量部以上であり、前記高融点潤滑剤と前記低融点潤滑剤の総量が0.4〜1.0質量部であることを特徴とする請求項4または5に記載の粉末冶金用粉末混合物の製造方法。
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