本発明の上記のメス型コネクタにおいて、前記メス型コネクタの前記外周面は、前記一対の凸部に隣接する位置に、凹状に窪んだ凹部を備えることが好ましい。これにより、メス型コネクタを回転させるときに、凹部に指を当てて押力を印加することによりハンドルを容易に回転させることができる。指を当接させる部分が凹状に窪んでいるので、指が滑りにくい。また、凹部が把持部に隣接しているので、把持部と凹部との間で指を容易且つ迅速に移動させることができる。
本発明の上記のメス型コネクタが、前記挿入部よりも前記オス型コネクタ側に突出した一対の鍔部を更に備えることが好ましい。この場合、前記一対の鍔部の互いに対向する面に前記一対の凸部が形成されていることが好ましい。また、前記一対の把持部が設けられた前記中心軸方向の位置での前記外周面の前記長軸方向の外寸法は、前記一対の鍔部の前記長軸方向の外寸法と同じであることが好ましい。これにより、鍔部が長軸方向に突出することがなくなるので、メス型コネクタの外周面の凹凸が少なくなり、その意匠的価値が向上する。
本発明の上記のメス型コネクタが、筒状のアダプタと、前記アダプタが挿入された環状のハンドルとを備えることが好ましい。この場合、前記アダプタは可撓性及び弾性を有することが好ましく、前記ハンドルは前記アダプタよりも硬い材料からなることが好ましい。前記アダプタには、その外周面に外方向に突出したフランジ部と、前記挿入部とが設けられていることが好ましい。また、前記ハンドルには、前記フランジ部の前記オス型コネクタとは反対側の面を保持するフランジ保持部と、前記一対の凸部と、前記一対の把持部とが設けられていることが好ましい。このように、メス型コネクタを、柔らかいアダプタと、硬いハンドルとの2部品で構成することにより、オス型コネクタの管状部の形状や寸法が異なる場合にも接続可能なメス型コネクタを実現できる。また、オス型コネクタの管状部と挿入部との密着性が向上するので、接続部での液状物の漏れを低減することができる。ハンドルのフランジ保持部がアダプタのフランジ部を保持するので、アダプタに手を触れることなく、オス型コネクタの管状部をアダプタの挿入部に挿入することができる。
あるいは、挿入部と一対の凸部と一対の把持部とが共通する部材に一体的に設けられていてもよい。これにより、メス型コネクタを構成する部品の数を少なくすることができるので、メス型コネクタを安価に製造することができる。
前記管状部の中心軸と平行な方向に沿って見たとき、前記オス型コネクタの外寸法が最大となる長軸上に前記一対の係合爪が配置されていることが好ましい。これにより、オス型コネクタの取り扱い時に、係合爪が邪魔になることが少ない。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、以下の各図中の寸法は、実際の寸法および寸法比率等を忠実に表したものではない。
(実施形態1)
図1Aは本発明の一実施形態にかかるメス型コネクタ30Aの斜視図、図1Bはその側面図である。本実施形態のメス型コネクタ30Aは、オス型コネクタの管状部が挿入されるアダプタ40と、アダプタ40に外装される環状のハンドル50とを備える。参照符号31は、メス型コネクタ30Aの中心軸であり、これはアダプタ40の中心軸及びハンドル50の中心軸でもある。図2は、図1Aの2−2線及び中心軸31を含む面に沿ったメス型コネクタ30Aの矢視断面図である。以下の説明の便宜のため、図1B及び図2の紙面の上側(オス型コネクタ側)をメス型コネクタ30Aの「上」側、図1B及び図2の紙面の下側(オス型コネクタとは反対側)をメス型コネクタ30Aの「下」側と呼ぶ。但し、これらはメス型コネクタ30Aの実際の使用状態での上下方向を意味するものではない。
図3はアダプタ40の斜視図、図4Aはその平面図、図4Bはその側面図、図4Cは図3Aの4C−4C線を含む面に沿ったその矢視断面図である。
アダプタ40は、液状物が流れる流路がその中心軸31に沿って形成された、全体として円筒形状を有する。オス型コネクタの管状部は、アダプタ40の上側の開口から挿入される(後述する図9A、図9Bを参照)。オス型コネクタの管状部が挿入されるアダプタ40の部分を挿入部41と呼ぶ。アダプタ40の、挿入部41とは反対側(下側)の部分は、栄養セットの柔軟性を有するチューブ49(後述する図9A〜図9C、図10を参照)が挿入され固定される基端部47である。
アダプタ40は、可撓性及び弾性を有する材料からなり、特に制限はないが、例えば、PBD(ポリブタジエン)、PVC(ポリ塩化ビニル樹脂)、ABS(アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリアミド樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、天然ゴム、合成ゴム等を用いて、一体成型により作成することができる。
挿入部41側の開口端縁の外周面には、外方向に突出したフランジ部42が形成されている。本実施形態では、フランジ部42は、挿入部41の外周面に周方向に連続しているが、周方向に2以上に分断されていてもよい。また、本実施形態では、フランジ部42はアダプタ40の上端に設けられているが、アダプタ40の上端の近傍、即ち、上端から下方に僅かに離れた位置に設けられていてもよい。フランジ部42の基端部47側の面には、周方向に沿った環状の溝43が形成されている。
挿入部41の、フランジ部42よりも下側の領域の外周面には、外方向に突出した複数(本実施形態では4本)のリブ45が上下方向に延びている。複数のリブ45は中心軸31に対して等角度間隔で配置されている。リブ45の頂部でのアダプタ40の外径は、フランジ部42でのアダプタ40の外径より小さい。リブ45の数は4本に限定されず、これより少なくても多くてもよい。
図5Aはハンドル50の上方から見た斜視図、図5Bはその下方から見た斜視図、図6Aはその平面図、図6Bはその側面図、図6Cはその下面図、図6Dは図6Aの6D−6D線を含む面に沿ったハンドル50の矢視断面図である。ハンドル50は、中心軸31を中心として周方向に連続した環状形状を有している。ハンドル50は、中心軸31に対して2回回転対称形状(即ち、中心軸31回りに180°回転させると回転前の形状と一致する)を有している。
ハンドル50は、アダプタ40よりも高い剛性を有し且つ硬い材料からなり、特に制限はないが、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、PVC、PBD等を用いて、一体成型により作成することができる。
ハンドル50の内周面には、アダプタ40のフランジ部42の外径より大きな内径を有する大径部51と、大径部51より下側に、アダプタ40のフランジ部42の外径より小さな内径を有する小径部52とを有する。そして大径部51と小径部52との間に、フランジ保持部53が形成されている。フランジ保持部53は、上側に向いた面を有し、この面上に、上方に向かって突出した凸条54が形成されている。凸状54は、周方向に沿って延びている。本実施形態では、小径部52においてハンドル50の内径は最小となる。
大径部51よりも上側に、一対の鍔部60が上方に向かって突出するように形成されている。鍔部60の中心軸31に対向する内周面61は、中心軸31を中心とする円筒面の一部をなす。内周面61には、中心軸31に向かって突出した凸部62及びストッパ部63が形成されている。凸部62は、内周面61の上側端縁に沿って周方向に延びている。ストッパ部63は、中心軸31から見て凸部62の右側端から下方に向かって延びている。互いに対向する凸部62間の距離及び互いに対向するストッパ部63間の距離は、アダプタ40のフランジ部42の外径及び大径部51の内径より大きい。
図6A、図6Cに示されているように、ハンドル50を、その中心軸31と平行な方向に沿って見たとき、ハンドル50の外周面は、互いに直交する長軸59aと短軸59bとを有する。長軸59aは、中心軸31と直交し、且つ、ハンドル50の外寸法が最大となる方向と平行な軸である。一対の鍔部60及びその内周面61上に形成された一対の凸部62は、長軸59a上に配置されている。
このように、ハンドル50の外周面を非円筒面とし、その長軸59a上に一対の凸部62を配置することにより、一対の凸部62の中心軸31回りの位置をハンドル50の外周面の形状より認識することができる。従って、後述するように、凸部62をオス型コネクタの係合爪105(後述する図7を参照)に係合する際に、オス型コネクタに対するハンドル50の中心軸31回りの位置合わせが容易となり、係合作業を効率よく行うことができる。
一対の鍔部60より下側のハンドル50の外周面上の領域には、中心軸31を挟んで互いに対向する位置に一対の把持部55が形成されている。図6Cから理解できるように、ハンドル50を、その中心軸31と平行な方向に沿って見たとき、一対の把持部55は短軸59b上に配置されている。一対の把持部55の外面は、中心軸31を中心とする円筒面の一部をなす。
把持部55が形成された中心軸31方向の位置でのハンドル50の外周面の長軸59a方向の外寸法が、一対の鍔部60の長軸59a方向の外寸法とほぼ同じになるように、一対の鍔部60の外周面が下方に延長されている。従って、把持部55が形成された中心軸31方向の位置において、ハンドル50の外周面の長軸59a方向の外寸法は、ハンドル50の外周面の短軸59b方向の外寸法(即ち、一対の把持部55間の距離)よりも大きい。また、図6Bに示されているように、ハンドル50の外周面の下側の端縁は、把持部55が形成された短軸上の方が、鍔部60が形成された長軸上よりも、より下方に延びている。以上のようにハンドル50の外周面が造形されているために、作業者は、ハンドル50を把持する場合、外寸法が小さく且つ面積が広い一対の把持部55を、極めて自然に親指と人差し指とで挟んで把持する。また、一対の把持部55を把持してハンドル50に中心軸31周りの回転トルクを印加するのも容易である。
図6Bに示されているように、ハンドル50の外周面の長軸59a方向の外寸法は、一対の鍔部60が形成された上端から、下方に向かってほぼ一定である。即ち、図14に示した従来のハンドル950の一対の鍔部960と異なり、一対の鍔部60の部分のみが長軸59a方向に突出していない。従って、ハンドル50の外観形状はすっきりした印象を与え、その意匠的価値を高めている。
一対の鍔部60の外周面が下方に延長されているので、ハンドル50の外周面の短軸59b方向の寸法(即ち、一対の把持部55間の距離)と、当該外周面の長軸59a方向の寸法との差が大きい。従って、一対の把持部55を把持してハンドル50に中心軸31周りの回転トルクを印加するのが更に容易になる。このように、ハンドル50の外観形状は、機能的にも優れている。
把持部55に対してハンドル50の周方向の両側に、把持部55に隣接して、凹状に窪んだ凹部56a,56bが形成されている。把持部55に対して右側に隣接する凹部56aを第1凹部、左側に隣接する凹部56bを第2凹部と呼ぶ(図6Bを参照)。
図5B及び図6Cから理解できるように、第1凹部56a及び第2凹部56bは、ハンドル50の外周面上の長軸59aと短軸59bとの間の領域に形成されている。従って、ハンドル50を下方から見て時計回り方向に中心軸31回りに回転させるときは、親指及び人差し指を一対の第1凹部56aに当接させることによりハンドル50に回転トルクを印加しやすい。また、これとは逆に、ハンドル50を下方から見て反時計回り方向に中心軸31回りに回転させるときは、親指及び人差し指を一対の第2凹部56bに当接させることによりハンドル50に回転トルクを印加しやすい。指が当接する部分56a,56bが凹状に窪んでいるので、指が滑りにくく、安定して押力を印加することができる。
図1A、図1B、図2に示すように、アダプタ40はハンドル50の開口内に挿入される。アダプタ40のフランジ部42はハンドル50の大径部51内に嵌入される。ハンドル50は、アダプタ40に対して中心軸31方向に移動可能であり、且つ、アダプタ40の回りに回転可能である。
但し、図2に示されているように、アダプタ40のフランジ部42の下面は、ハンドル50のフランジ保持部53と当接する。更に、フランジ部42の下面に形成された溝43に、フランジ保持部53の凸状54が嵌入する。このようにしてフランジ部42とフランジ保持部53とが係合すると、アダプタ40はハンドル50に対してこれ以上下方に移動することができない。
アダプタ40の外周面に形成されたリブ45は、ハンドル50の内周面の少なくとも一部(例えば小径部52)と接触していることが好ましい。これにより、アダプタ40とハンドル50との間に発生する静止摩擦力によってハンドル50がアダプタ40に保持されるので、ハンドル50が下方に落下するのを防止できる。
本実施形態1のメス型コネクタ30Aと接続されるオス型コネクタ100を説明する。
図7はオス型コネクタ100の斜視図、図8Aはその平面図、図8Bはその正面図、図8Cはその側面図である。このオス型コネクタ100は、医療用容器(図示せず)と接合される接合部102と、接合部102の一端に設けられた天板103と、天板103に設けられた台座104と、台座104の中央に設けられた管状部108とを備えている。参照符号101は、オス型コネクタ100の中心軸である。
接合部102の外周面は、互いに直交する長軸102a及び短軸102bを有する略菱形を底面とする四角柱面形状を有している。接合部102に接合される容器としては、特に制限はないが、例えば、柔軟な同一寸法の2枚のシートを重ね合わせて、その外周端縁をヒートシール法等により接合した袋状の容器(いわゆるパウチ)であってもよい。接合部102を、短軸102b方向に2枚のシートの外周端縁の間に挟んだ状態で、接合部102と2枚のシートとをシールすることにより、オス型コネクタ100を容器と一体化させることができる。
台座104は、天板103の中央の円形の領域を突出させることで形成されている。台座104の外周面には、中心軸101に対して対称位置に一対の係合爪105が形成されている。図8Aに示されているように、中心軸101と平行な方向に沿って見たとき、係合爪105は、長軸102a上に設けられており、また、中心軸101に対して放射方向に突出している。従って、オス型コネクタ100の取り扱い時に、係合爪105が邪魔になることが少ない。
管状部108に、液状物が流れる流路(貫通穴)109が中心軸101に沿って形成されている。管状部108の外周面には、台座104に近づくほど外径が小さくなる逆テーパ面108aと、台座104に近づくほど外径が大きくなるテーパ面(円錐台面)108bとが、台座104側から先端側にこの順に形成されている。なお、管状部108の外周面の形状は、これに限定されない。例えば、逆テーパ面108aに代えて、中心軸101方向において外径が一定である円筒面を形成してもよい。
オス型コネクタ100は、アダプタ40よりも高い剛性を有し且つ硬い材料からなり、特に制限はないが、ハンドル50と同種の材料、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、PVC、PBD等を用いて、一体成型により作成することができる。
メス型コネクタ30Aとオス型コネクタ100との接続は以下のようにして行われる。
最初に、メス型コネクタ30Aとオス型コネクタ100とを、図9Aに示すように対向させ、オス型コネクタ100の管状部108をメス型コネクタ30Aのアダプタ40内に挿入する。作業者は、片方の手の親指と人差し指とでメス型コネクタ30Aのハンドル50の一対の把持部55を把持し、他方の手の親指と人差し指とでオス型コネクタ100の接合部102を短軸102b(図8A参照)方向に把持することができる。実際には、接合部102には、容器を構成するシートが接合されているが、図9A〜図9Cでは、図面を簡単化するために、シートを省略している。参照符号49は、基端部47に挿入され固定されたチューブである。
管状部108の先端のテーパ面108bが、管状部108をアダプタ40の挿入部41(図2、図3を参照)内に案内する。
図2に示したように、アダプタ40のフランジ部42の下面をハンドル50のフランジ保持部53が保持することでフランジ部42とフランジ保持部53とが係合しているので、作業者は、アダプタ40に管状部108を挿入する作業中に、アダプタ40に手を触れる必要はなく、ハンドル50のみを保持すれば足りる。
フランジ部42の溝43にフランジ保持部53の凸状54が嵌入しているので、アダプタ40に管状部108を挿入する作業中に加えられる力によってフランジ部42とフランジ保持部53との係合は外れにくい。
フランジ部42はアダプタ40の上端又はその近傍に形成されているので、アダプタ40に管状部108を挿入する作業中に加えられる力によってアダプタ40が座屈変形することはない。
アダプタ40のフランジ部42がオス型コネクタ100の台座104に当接又は接近するまでアダプタ40内に管状部108を挿入した後、図9Bに示すように、オス型コネクタ100に対してハンドル50を、下方から見て時計回り方向50aに回転させる。これにより、オス型コネクタ100の台座104の外周面に形成された係合爪105と、ハンドル50の鍔部60に形成された凸部62(図1A、図5Aを参照)とを係合させる。オス型コネクタ100の係合爪105がハンドル50のストッパ部63(図5A参照)に当接するまで回転させれば、係合爪105と凸部62とを深く係合させることができる。
ハンドル50を回転させる際に、把持部55を把持していた親指及び人差し指を、把持部55に隣接する第1凹部56aに移動させて、第1凹部56aに回転トルクを印加する。これにより、ハンドル50に回転トルクを容易に加えることができる。また、把持部55と第1凹部56aとは極めて近接しているので、把持部55を把持してアダプタ40内へ管状部108を挿入する作業から、ハンドル50を回転させて係合爪105と凸部62とを係合させる作業へ、素早く移行することができる。これにより、メス型コネクタ30Aとオス型コネクタ100とを接続するための一連の作業を効率よく行うことができる。
かくして、図9C及び図10に示すように、メス型コネクタ30Aとオス型コネクタ100とを接続することができる。
アダプタ40は可撓性及び弾性を有するので、オス型コネクタ100の管状部108の外周面の寸法及び形状に応じ拡径及び変形し、その弾性回復力により管状部108の外周面に密着する。従って、管状部108からアダプタ40へ流れる液状物に圧力が加えられても、両者の接続部分から液状物が漏れ出すことはなく、所望の「耐圧特性」が得られる。
凸部62と係合爪105とが係合しているので、接続されたオス型コネクタ100とメス型コネクタ30Aとに引っ張り力を加えても、両者が分離することはなく、所望の「引っ張り特性」が得られる。
アダプタ30Aの挿入部41は、管状部108が挿入されたことによって拡径するかも知れない。この挿入部41の拡径は、挿入部41の外周面に形成されたリブ45(図3、図4Bを参照)が、ハンドル50の小径部52内で半径方向に弾性圧縮変形することによって許容される。
メス型コネクタ30Aとオス型コネクタ100とを接続したとき(図9C参照)、ハンドル50の長軸59a(図6A参照)とオス型コネクタ100の長軸102a(図8A参照)とが平行となる。従って、メス型コネクタ30Aとオス型コネクタ100とを接続したとき、ハンドル50の鍔部60がオス型コネクタ100の天板103の外周端縁から短軸102b(図8A参照)方向に大きく突出することがない。
メス型コネクタ30Aのオス型コネクタ100からの分離は上記の動作を逆に行うことで可能である。即ち、オス型コネクタ100に対してハンドル50を、下方から見て反時計回り方向に回転させ、係合爪105と凸部62との係合を解除する。ハンドル50の回転は、一対の第2凹部56bに回転トルクを印加することにより行うことができる。これにより、ハンドル50に回転トルクを容易に加えることができる。係合爪105と凸部62との係合を解除した後、アダプタ40をオス型コネクタ100の管状部108から抜き取る。
以上のように、本実施形態1のメス型コネクタ30Aは、短軸59b上の外周面上に一対の把持部55が配置され、把持部55が配置された中心軸31方向の位置において、長軸59a方向の外寸法が短軸59b方向の外寸法(即ち、一対の把持部55間の距離)よりも大きなハンドル50を備えるので、一対の把持部55を2本の指で把持して、ハンドル50に中心軸31周りの回転トルクを印加しやすい。従って、上述した従来のメス型コネクタ930のハンドル950とは異なり、ハンドル50を回転させるために、一対の把持部55を大きな力で把持する必要はない。よって、非力な作業者であっても、メス型コネクタ30Aとオス型コネクタ100との接続及び分離の作業を簡単に行うことができる。
上記の実施形態に示したオス型コネクタ100の管状部108は、その長さ(突出量)が比較的小さく、メス型コネクタの挿入部に対する挿入深さは比較的浅い。しかしながら、本発明のオス型コネクタの管状部はこれに限定されない。例えば、図13に示した管状部918のように、メス型コネクタにより深く挿入できるように、より大きく突出した管状部であってもよい。また、管状部の外周面の形状も任意であり、図13に示した管状部918のようなテーパ面であってもよく、あるいは、特許文献1に記載されたような種々の形状を有していてもよい。
オス型コネクタのメス型コネクタに挿入される管状部に関しては標準となる規格が存在せず、管状部の外周面の形状や寸法が異なる各種のオス型コネクタが存在し現実に使用されている。実施形態1に示したアダプタ40の内周面は、各種の管状部に対して適合できるように構成されている。以下にこれを説明する。
図4Cに示されているように、アダプタ40の内周面は、上側から下側に向かって、第1領域40A、第2領域40B、第3領域40Cをこの順に有する。アダプタ40の内径は、第1領域40A、第2領域40B、第3領域40Cの順に小さい。アダプタ40の内径をこのように徐々に小さくすることにより、オス型コネクタの管状部の外周面の形状や寸法が種々に異なっても、いずれかの領域でアダプタ40の内周面と管状部の外周面とを密着させることができるので、オス型コネクタの管状部の仕様にかかわらず、オス型コネクタと接続したときの引っ張り特性及び耐圧特性が向上する。
第1領域40A、第2領域40B、第3領域40Cのそれぞれは、中心軸31方向において内径が一定である円筒面、又は、基端部47に近づくにしたがって内径が小さくなるテーパ面である。特に、第1領域40A(更にはこれに加えて第2領域40B)は、基端部47に近づくにしたがって内径が小さくなるテーパ面であることが好ましい。これにより、オス型コネクタの管状部をメス型コネクタに挿入する際に、テーパ面である第1領域40A(更には第2領域40B)が管状部を案内するので、アダプタ40に挿入された管状部の中心軸をアダプタ40の中心軸31に容易に一致させることができる。その結果、アダプタ40の内周面と管状部の外周面との密着性が向上するので、オス型コネクタと接続したときの耐圧特性が向上する。
第1領域40Aには、第1リブ46A及び第2リブ46Bが形成されている。更に、第1領域40Aと第2領域40Bとの境界領域には第3リブ46Cが形成されている。第1,第2,第3リブ46A,46B,46Cは、中心軸31方向に突出し、且つ、周方向に連続した環状の突起である。これにより、オス型コネクタの管状部をアダプタ40に挿入すると、第1,第2,第3リブ46A,46B,46Cのうちの少なくとも1つを管状部の外周面に当接させ適宜弾性変形させて管状部の外周面に局所的に密着させることができる。その結果、オス型コネクタと接続したときの耐圧特性が更に向上する。また、管状部の外周面に周方向に延びた溝が形成されている場合には、当該溝に第1,第2,第3リブ46A,46B,46Cのうちの少なくとも1つを嵌入させることにより、引っ張り特性が更に向上する。
アダプタ40は、柔軟性を有するので、外径の大きな管状部を挿入すると、拡径することができる。アダプタ40の外周面に形成されたリブ45は、ハンドル50の小径部52内で半径方向に圧縮変形可能であるので、アダプタ40のこの拡径が許容される。
このように、本実施形態のアダプタ40は、オス型コネクタの各種の管状部に適合可能である。但し、本発明のアダプタ40は、上述した好ましい構成の一部又は全部を有していなくてもよい。
(実施形態2)
実施形態1のメス型コネクタ30Aは、互いに別部品であるアダプタ40及びハンドル50の2部品から構成されていた。これに対して、本実施形態2のメス型コネクタ30Bは、実施形態1のアダプタ40及びハンドル50が一体的に形成された1部品から構成されている。以下、本実施形態2を実施形態1との相違点を中心に説明する。
図11Aは、本発明の実施形態2にかかるメス型コネクタを示した斜視図、図11Bは、図11Aの11B−11B線及び中心軸31を含む面に沿った矢視断面図である。実施形態1で説明した部材に対応する部材には同じ符号が付されており、それらの説明を省略する。図11Bから理解できるように、本実施形態1では、実施形態1のアダプタ40とハンドル50とが、フランジ部42とフランジ保持部53とで接合されたのと実質的に同じ構造を有している。
本実施形態2のメス型コネクタ30Bは、相対的に高い剛性を有し且つ硬い材料からなることが好ましく、特に制限はないが、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、PVC、PBD等を用いて、一体成型により作成することができる。
本実施形態2のメス型コネクタ30Bは、実施形態1で説明したオス型コネクタ100と接続することができる。メス型コネクタ30Bは硬質材料からなるので、実施形態1のアダプタ40に比べて、弾性変形しにくい。従って、挿入部41の内周面は、これに挿入される管状部108に適合した形状にあらかじめ形成されていることが好ましい。
実施形態1と同様に、中心軸31と平行な方向に沿って見たとき、メス型コネクタ30Bの外寸法が最大となる長軸59a上に一対の凸部61が配置されており、長軸59aと直交する短軸59b上に一対の把持部55が配置されている。把持部55が配置された中心軸31方向の位置において、メス型コネクタ30Bの外周面の長軸59a方向の外寸法は、メス型コネクタ30Bの外周面の短軸59b方向の外寸法(即ち、一対の把持部55間の距離)よりも大きい。
本実施形態2のメス型コネクタ30Bは、実施形態1の図9A〜図9Cで説明したのと同様にして、オス型コネクタ100と接続することができ、また、接続されたオス型コネクタ100から分離することができる。
実施形態1と同様に、本実施形態2においても、一対の把持部55を2本の指で把持して、メス型コネクタ30Bに中心軸31周りの回転トルクを印加しやすい。従って、メス型コネクタ30Bを回転させるために、一対の把持部55を大きな力で把持する必要はない。よって、非力な作業者であっても、メス型コネクタ30Bとオス型コネクタ100との接続及び分離の作業を簡単に行うことができる。
挿入部41に挿入されるオス型コネクタの管状部の形状や寸法は、図7、図8A〜図8Cに示したものに限定されず、実施形態1で説明したように任意である。挿入部41の内周面は、管状部の形状や寸法に応じて設計されることが好ましい。
上記の実施形態1,2は例示に過ぎない。本発明はこれらの実施形態1,2に限定されず、適宜変更することができる。
一対の把持部55は、円筒面である必要はない。例えば、平面又は凹面であってもよい。
一対の凹部56a及び一対の凹部56bのいずれか一方又は両方を省略してもよい。一対の凹部56a及び一対の凹部56bの形状(例えば大きさや深さ等)は同じである必要はなく、異なっていてもよい。
上記の実施形態1,2のオス型コネクタ100は、医療用容器に接合される接合部102を有していたが、図12に示したオス型コネクタ910のように、医療用容器のポートに着脱可能なキャップを有していてもよい。更に、これら以外の公知の構成を有していてもよい。
実施形態1において、アダプタ40の構成を以下のように適宜変更することができる。
例えば、フランジ部42の下面に形成した溝43を省略することができる。この場合、ハンドル50のフランジ保持部53に形成した凸状54も省略することができる。
アダプタ30の外周面に形成したリブ45は、上記の実施形態のように上下方向に延びている必要はなく、例えば周方向に連続的に若しくは断続的に延びていてもよく、または、螺旋状に連続的に若しくは断続的に延びていてもよい。あるいは、ドット状の突起であってもよい。更に、リブ45を省略してもよい。
アダプタ30の内周面の形状も上記の実施形態1に限定されない。内周面の形状や径によって区別される領域の数は、上記の実施形態のように3つに限定されず、これより多くても、少なくてもよい。また、第1,第2,第3リブ46A,46B,46Cのうちの少なくとも1つは、周方向に複数個に分断されていてもよい。内周面に形成される環状のリブの数は、上記の実施形態1のように3つに限定されず、これより多くても、少なくてもよい。例えば、第1,第2,第3リブ46A,46B,46Cのうちの少なくとも1つを省略してもよい。第1,第2,第3リブ46A,46B,46Cとは異なる1つ以上のリブ又は溝をアダプタの内周面に形成してもよい。